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Title:
METHOD FOR ANODIZING ALUMINUM PIPE FOR BASE OF PHOTOCONDUCTOR DRUM, AND BASE OF PHOTOCONDUCTOR DRUM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060844
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for anodizing an aluminum pipe for a base of a photoconductor drum, characterized by bringing an electrolysis solution (6) into contact with the outer circumferential surface of an aluminum pipe (2) for a base of a photoconductor drum and, in this state, applying a high-frequency voltage of not less than 5 kHz to the electrolysis solution to conduct electrolysis and thus to form an anodic oxide film on the outer circumferential surface of the aluminum pipe (2). According to this method, an anodic oxide film can be formed on the surface of the pipe, and an aluminum pipe free from burr-shaped convex defects can be produced. Further, anodization for film formation can be carried out at a high speed, and an anodic oxide film, which causes no significant elution of an electrolyte, can be formed.

Inventors:
MORIKAWA TAKUYA (JP)
OHIDE MASAAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070080
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
November 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
MORIKAWA TAKUYA (JP)
OHIDE MASAAKI (JP)
International Classes:
C25D11/04; G03G5/00; G03G5/10
Foreign References:
JP2007154301A2007-06-21
JP2007154300A2007-06-21
JP2006083467A2006-03-30
JP2004277812A2004-10-07
JPH07301935A1995-11-14
JPH06317921A1994-11-15
JPH08267122A1996-10-15
Other References:
See also references of EP 2206807A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Yoshihito et al. (4-26 Minamisemba 3-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 81, JP)
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Claims:
  感光ドラム基体用アルミニウム管の外周面に電解液を接触させた状態で該電解液に5kHz以上の高周波電圧を印加して電解を行うことによって、前記アルミニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
  前記高周波電圧の印加の際の負成分の電圧が0Vである請求項1に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
  前記高周波電圧の印加の際に、1周期における負成分の電圧の印加時間を1周期全体の時間で除して算出される負電圧印加割合が0.05~0.8である請求項2に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
  前記高周波電圧の印加の際の負成分の電圧の出力を短絡回路を用いて行う請求項2または3に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
  前記高周波電圧による電解の際の電解波形が矩形波である請求項1~4のいずれか1項に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
 前記電解液として、硫酸、リン酸及び蓚酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸を含有してなる電解液を用いる請求項1~5のいずれか1項に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
 前記アルミニウム管を電解槽内の電解液に浸漬することによって該アルミニウム管の外周面に電解液を接触させると共に、前記電解槽内の電解液に、温度調整及び濃度調整のうちの少なくとも1つの操作を行いつつ前記電解を行うことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
 前記アルミニウム管として、Al-Mn系合金、Al-Mg系合金、Al-Mg-Si系合金及び純Alからなる群より選ばれる1種の材料からなる管を用いる請求項1~7のいずれか1項に記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。
  請求項1~8のいずれか1項に記載の陽極酸化処理方法で陽極酸化処理して得られたアルミニウム管からなることを特徴とする感光ドラム基体。
  陽極酸化皮膜が形成された前記アルミニウム管の表面のマクロビッカース硬度を「T」とし、直流電圧を印加した以外は同じ電解条件で電解して陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム管の表面のマクロビッカース硬度を「W」としたとき、
 (T-W)≧50
の関係式が成立する請求項9に記載の感光ドラム基体。
Description:
感光ドラム基体用アルミニウム の陽極酸化処理方法及び感光ドラム基体

 この発明は、例えば複写機、プリンタ、 ァクシミリ等の電子写真装置のOPC感光ドラ 用の基体として用いられる表面品質に優れ アルミニウム管を製造するための陽極酸化 理方法及び該方法で陽極酸化処理して得ら た表面品質に優れた感光ドラム基体に関す 。

 なお、この明細書及び特許請求の範囲に いて、「アルミニウム」の語は、アルミニ ム及びその合金を含む意味で用いる。

  また、この明細書及び特許請求の範囲 おいて、「電解波形」の語は、電流、電圧 中から選ばれる制御因子であって、電解処 の際に制御に用いられる制御因子の出力波 を意味するものである。

  複写機、プリンタ、ファクシミリ等の 子写真装置の感光ドラムの基体として用い れるアルミニウム管は、その表面に均一なOP C(有機光導電体)塗膜を形成させる必要がある ことから、鏡面に近い表面状態であることが 要求される。

  従来は、アルミニウム管を切削するこ によって鏡面仕上げが行われていたが、切 用刃具の調整や管理が容易でない上に作業 熟練を要することから、大量生産には適さ いという問題があった。

 そこで、近年では、アルミニウム圧延板 しごき加工したDI管、アルミニウム押出素 をしごき加工したEI管、アルミニウム押出素 管を引き抜き加工したED管などの無切削管が 感光ドラム用基体として多く用いられるよ になってきている。中でも、ED管は、他の 切削管とは異なり、10本以上の管を1加工(2回 の引抜加工)で生産できるので大量生産に適 ており、市場拡大に伴う大量消費に対応し るものとして注目されている。

  ED管は、一般に、アルミニウム製のビレ ットを押出してアルミニウム押出素管を得た 後、該押出素管を所定長さに切断し、これを 引き抜き加工することによって外径、内径、 管壁の肉厚が所定値に規定されたアルミニウ ム管を得、次いで切断、端部の面取り加工、 洗浄を順次行い、さらに寸法及び外観の検査 を経て、製造されている。

 上記ED管からなる感光ドラム用基体は、 度の表面平滑性と寸法精度を有しているこ が求められるが、無切削加工であるために 押出加工のダイスラインに起因したスジ状 陥や、引き抜き加工の潤滑油押し込みに起 したオイルピット等の微細な表面欠陥を有 ている。

 とりわけ、微小なアルミニウム片(91)が表 面に付着した押出素管が引き抜かれて発生す る鱗片状の表面欠陥(92)は、超音波洗浄や、OP C塗工時の熱の影響等によって立ち上がって サクレ状の凸欠陥(93)を生じやすかった(図5 照)。このようなササクレ状凸欠陥(93)が感光 ドラム用基体の表面に存在すると、感光ドラ ムを構成して一様帯電した際に、該ササクレ 状凸欠陥(93)がリーク(漏電)の起点になりやす く、画像が劣化するという問題があった。

  このようなササクレ状凸欠陥の発生を防 する技術として、押出ダイスのベアリング の周方向における中心線平均粗さRa(Y)と押出 方向における中心線平均粗さRa(X)との関係が Ra(Y)<Ra(X)に設定された押出ダイスを用い 押出加工を行ってアルミニウム押出素管を 造することによって、ササクレ状凸欠陥の 因になっている押出素管表面での微小なア ミニウム片の付着(発生)を抑制する方法が公 知である(特許文献1参照)。この方法により、 ED管表面でのササクレ状凸欠陥の発生を抑制 ることができるものの、稀にササクレ状凸 陥が発生することがあり、ササクレ状凸欠 の発生を確実に防止できるまでには至って なかった。

特開平8-267122号公報

  本発明者は、微小なアルミニウム片が 面に付着した押出素管が引き抜き加工され 発生することのある鱗片状の表面欠陥がた え発生していても、この鱗片状表面欠陥が その後の超音波洗浄や、OPC塗工時の熱の影 等によって立ち上がることのないように、 ルミニウム管の表面に陽極酸化皮膜を形成 しめることを着想した。即ち、陽極酸化皮 の形成により、アルミニウム引抜管(ED管)の 片状表面欠陥を含む表面を硬化せしめる(硬 くする)ことによって鱗片状表面欠陥が立ち がらないようにし、これによってササクレ 凸欠陥の発生を確実に防止することを着想 た。

 ところで、このような陽極酸化皮膜を形 するには、陽極酸化処理を行わなければな ないが、この陽極酸化処理はできるだけ安 に行われることが強く要請されるところで る。

  アルミニウム材の陽極酸化処理は、一 に、電解槽内の電解液中にアルミニウム材 び対極板を浸漬し、アルミニウム材を陽極 対極板を陰極にして通電することによって 行われるが、その成膜速度は遅いものであ 、このために処理に時間がかかり、陽極酸 処理に要するコストを高くする要因になっ いた。

 また、ED管からなる感光ドラム用基体は 連続して大量に生産されているので、陽極 化処理装置は、生産ラインの流れの中に容 に組み込むことのできるものでなければな ない、即ち生産ラインの流れに対応するべ 高速で処理できるものでなければならない 、従来の陽極酸化処理方法では、このよう 高速化の要求に応えることは到底できなか た。

 また、前記従来の陽極酸化処理法で陽極 化皮膜を形成するには、一般に、高濃度の 解液を用いることになるが、そうすると、 成された陽極酸化皮膜中に残存した電解質( イオン種)が、OPC塗工後においてOPC側に溶出 行しやすく、このOPC層において該イオンに るキャリア注入が発生し、画像劣化を生じ ことが問題となる。

  この発明は、かかる技術的背景に鑑み なされたものであって、管の表面に陽極酸 皮膜を形成できてササクレ状凸欠陥のない ルミニウム管の製造が可能となると共に、 膜形成のための陽極酸化処理を高速で行う とができ、且つ残存した電解質の溶出の少 い陽極酸化皮膜を形成できる、感光ドラム 体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法及 ササクレ状凸欠陥がなく表面品質に優れる 共に高品質の画像を形成できる感光ドラム 体を提供することを目的とする。

  前記目的を達成するために、本発明は 下の手段を提供する。

 [1]感光ドラム基体用アルミニウム管の外 面に電解液を接触させた状態で該電解液に5 kHz以上の高周波電圧を印加して電解を行うこ とによって、前記アルミニウム管の外周面に 陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする感 光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処 理方法。

 [2]前記高周波電圧の印加の際の負成分の 圧が0Vである前項1に記載の感光ドラム基体 アルミニウム管の陽極酸化処理方法。

 [3]前記高周波電圧の印加の際に、1周期に おける負成分の電圧の印加時間を1周期全体 時間で除して算出される負電圧印加割合が0. 05~0.8である前項2に記載の感光ドラム基体用 ルミニウム管の陽極酸化処理方法。

 [4]前記高周波電圧の印加の際の負成分の 圧の出力を短絡回路を用いて行う前項2また は3に記載の感光ドラム基体用アルミニウム の陽極酸化処理方法。

 [5]前記高周波電圧による電解の際の電解 形が矩形波である前項1~4のいずれか1項に記 載の感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極 酸化処理方法。

 [6]前記電解液として、硫酸、リン酸及び 酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の 酸を含有してなる電解液を用いる前項1~5のい ずれか1項に記載の感光ドラム基体用アルミ ウム管の陽極酸化処理方法。

 [7]前記アルミニウム管を電解槽内の電解 に浸漬することによって該アルミニウム管 外周面に電解液を接触させると共に、前記 解槽内の電解液に、温度調整及び濃度調整 うちの少なくとも1つの操作を行いつつ前記 電解を行うことを特徴とする前項1~6のいずれ か1項に記載の感光ドラム基体用アルミニウ 管の陽極酸化処理方法。

 [8]前記アルミニウム管として、Al-Mn系合 、Al-Mg系合金、Al-Mg-Si系合金及び純Alからな 群より選ばれる1種の材料からなる管を用い 前項1~7のいずれか1項に記載の感光ドラム基 体用アルミニウム管の陽極酸化処理方法。

 [9]前項1~8のいずれか1項に記載の陽極酸化 処理方法で陽極酸化処理して得られたアルミ ニウム管からなることを特徴とする感光ドラ ム基体。

 [10]陽極酸化皮膜が形成された前記アルミニ ウム管の表面のマクロビッカース硬度を「T とし、直流電圧を印加した以外は同じ電解 件で電解して陽極酸化皮膜が形成されたア ミニウム管の表面のマクロビッカース硬度 「W」としたとき、
 (T-W)≧50
の関係式が成立する前項9に記載の感光ドラ 基体。

 [1]の発明では、陽極酸化処理によりアル ニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成す ことができ、このような陽極酸化皮膜の形 によってアルミニウム管の外周面が硬化す ので、鱗片状表面欠陥は立ち上がらなくな (即ちササクレ状凸欠陥が発生しない)。即 、この陽極酸化処理の後に、例えば洗浄の めの超音波照射やOPC塗工時の加熱等を行っ も、ササクレ状凸欠陥が発生するのを十分 防止できる。従って、本発明の処理方法で 極酸化処理が施されて製造されたアルミニ ム管は、ササクレ状凸欠陥がなくて表面品 に優れており、従ってこのアルミニウム管 基体にして構成された感光ドラムに一様帯 した際にリークは生じ難いものとなる。

 また、電解液に5kHz以上の高周波電圧を印 加して電解を行うので、陽極酸化皮膜の成膜 速度を向上させることができる。このように 高速で陽極酸化処理を行うことができる(陽 酸化処理を高い処理効率で行うことができ )ので、連続生産ラインの流れの中に組み込 ことが可能である(インラインで陽極酸化処 理を行うことが可能である)。

 また、5kHz以上の高周波電圧を印加して電 解を行うので、5kHz未満の高周波電圧を用い 電解した場合と比較して、より硬質の陽極 化皮膜を形成できると共に、陽極酸化皮膜 ら溶出する電解質の溶出量を低減できる(即 陽極酸化皮膜中の残留イオンが溶出するこ による影響を排除することができる)。

 [2]の発明では、高周波電圧の印加の際の 成分の電圧が0Vであるから、より高速で陽 酸化処理を行うことができる。

 [3]の発明では、高周波電圧の印加の際に 1周期における負成分の電圧の印加時間を1 期全体の時間で除して算出される負電圧印 割合が0.05~0.8であるから、より一層高速で陽 極酸化処理を行うことができる。

 [4]の発明では、負側を受け持つ電源の代 りに短絡回路を利用するので、このような 側電源の省略により設備コストを低減でき 、低コストで陽極酸化処理を行うことがで る。

 [5]の発明では、高周波電圧による電解の の電解波形が矩形波であるから、より一層 速で陽極酸化処理を行うことができる。

 [6]の発明では、陽極酸化皮膜の成膜速度 さらに向上させることができる。

 [7]の発明では、電解液に、温度調整及び 度調整のうちの少なくとも1つの操作を行い つつ前記電解を行うので、成膜速度や膜質の ばらつきを抑制することができる。

 [8]の発明では、アルミニウム管として、A l-Mn系合金、Al-Mg系合金、Al-Mg-Si系合金及び純A lからなる群より選ばれる1種の材料からなる を用いるので、陽極酸化皮膜の成膜速度を 上させることができると共に陽極酸化皮膜 膜質もより均一化できる。

 [9]の発明に係る感光ドラム基体は、外周 にササクレ状凸欠陥が実質的に存在しない ら、この感光ドラム基体の外周面に感光層( OPC等)が被覆形成されてなる感光ドラムは、 様帯電した際にリークは生じ難いものとな 。また、インラインでの陽極酸化処理が可 であることので、低コストである。

 [10]の発明に係る感光ドラム基体は、(T-W) 50の関係式が成立するので、ササクレ状凸 陥の発生がより十分に防止される。

この発明の陽極酸化処理方法で用いる 極酸化処理装置の一例を示す概略図である 電源部の回路構成の例を示す図であり (a)は正側電源及び負側電源を備えた回路構 図であり、(b)は正側電源及び短絡回路を備 た回路構成図である。 実施例1で用いた印加電圧の電解波形を 示す波形グラフである。 実施例6で用いた印加電圧の電解波形を 示す波形グラフである。 ササクレ状凸欠陥の発生経路を説明す 説明図である。

符号の説明

1…陽極酸化処理装置
2…アルミニウム管
4…電解槽
6…電解液
11…温度調整機
12…濃度調整機

  この発明に係る感光ドラム基体用アル ニウム管の陽極酸化処理方法は、感光ドラ 基体用アルミニウム管の外周面に電解液を 触させた状態で該電解液に5kHz以上の高周波 圧を印加して電解を行うものである。

 上記電解によりアルミニウム管の外周面 陽極酸化皮膜を形成することができるが、 の陽極酸化皮膜の形成によってアルミニウ 管の外周面が硬化するので、鱗片状表面欠 は立ち上がらなくなる(即ちササクレ状凸欠 陥が発生しない)。即ち、この陽極酸化処理 後に、例えば洗浄のための超音波照射やOPC 工時の加熱等を行っても、ササクレ状凸欠 が発生するのを十分に防止できる。従って 本発明の処理方法で陽極酸化処理が施され 製造されたアルミニウム管は、外周面にサ クレ状凸欠陥が実質的に存在せず、表面品 に優れており、このアルミニウム管を基体 して構成された感光ドラムに一様帯電した にリークは生じ難いものとなる。なお、「 周面にササクレ状凸欠陥が実質的に存在し い」とは、アルミニウム管の外周面にOPC塗 が形成された状態において該OPC塗膜の表面 りも外方に突出したササクレ状凸部(欠陥部) が存在しないことを意味するものである。

 また、電解液に5kHz以上の高周波電圧を印 加して電解を行うので、陽極酸化皮膜の成膜 速度を向上させることができる。このように 高速で陽極酸化処理を行うことができるので 、連続生産ラインの流れの中に本発明の処理 方法を容易に組み込むことが可能である(即 インラインで陽極酸化処理を行うことが可 である)。

 更に、5kHz以上の高周波電圧を印加して電 解を行うので、5kHz未満の高周波電圧を用い 場合と比較して、より硬質の陽極酸化皮膜 形成できると共に、陽極酸化皮膜中に残存 た電解質が該皮膜から溶出する溶出量を低 することができる(即ち残留イオンが溶出す ことにより生じる画像の劣化を防止できる) 。

  この発明の陽極酸化処理方法で用いる 極酸化処理装置(1)の一例を図1に示す。この 1において、(4)は電解槽、(5)は電源部、(11) 温度調整機、(12)は濃度調整機である。

 前記電解槽(4)の内部には電解液(6)が配置 れている。また、電解枠(20)が、前記電解槽 (4)の内部の中央部に位置するように吊り下げ 状態で固定されている。前記電解枠(20)の底 の上にアルミニウム管(2)が立設状態に配置 れている。このアルミニウム管(2)の全体が 記電解槽(4)内の電解液(6)に浸漬されるよう 配置される。また、前記電解槽(4)の内部に いて、前記アルミニウム管(2)を非接触で挟 態様で左右一対の対極(3)(3)が配置されてい 。これら対極(3)(3)は、その大部分が前記電 槽(4)内の電解液(6)に浸漬されるように配置 れる。

 前記電源部(5)の陽極(+極)が、前記電解枠( 20)を介してアルミニウム管(2)に接続され、前 記電源部(5)の陰極(-極)が、前記対極(3)(3)に接 続されている。しかして、この電源部(5)から 電解液(6)に5kHz以上の高周波電圧を印加して 解を行うことによって、前記アルミニウム (2)の外周面に陽極酸化皮膜を形成する。

 前記アルミニウム管(陽極酸化処理対象の アルミニウム管)(2)としては、アルミニウム 出素管に引き抜き加工を行うことによって られた感光ドラム基体用アルミニウム引抜 (感光ドラム基体用アルミニウムED管)等が挙 られる。

  前記温度調整機(11)は、電解液(6)の温度 整を行う装置である。即ち、この温度調整 (11)は、前記電解槽(4)内の電解液(6)を吸液管 (15)を介して取り込み、温度調整を行った後 この温度調整された電解液(6)を戻し管(16)を して前記電解槽(4)内に戻す。

  前記濃度調整機(12)は、電解液(6)の濃度 整を行う装置である。即ち、この濃度調整 (12)は、前記電解槽(4)内の電解液(6)を吸液管 (17)を介して取り込み、濃度調整を行った後 この濃度調整された電解液(6)を戻し管(18)を して前記電解槽(4)内に戻す。

  これら温度調整機(11)及び濃度調整機(12) を用いることによって、前記電解槽(4)内の電 解液(6)の温度及び濃度を一定に保つことがで き、これにより陽極酸化皮膜の成膜速度や膜 質のばらつきを抑制することができる。

 この発明の陽極酸化処理方法では、電解 に5kHz以上の高周波電圧を印加して電解を行 うが、中でも6~30kHzの高周波電圧を印加して 解を行うのが好ましく、特に好ましいのは10 ~15kHzの高周波電圧である。

 また、電解時には、高周波電圧印加の際 負成分の電圧が0Vになるように設定するの 好ましい。この場合にはより高速で陽極酸 処理を行うことができる利点がある。例え 、図3に示す電解波形グラフのように、高周 電圧印加の際の負成分の電圧は0Vであるの 好ましい。

 また、高周波電圧印加の際の負成分の電 が0Vになるように設定する場合において、 周波電圧印加の際の負成分の電圧の出力は 短絡回路を用いて行うのが好ましい。即ち 例えば図2(b)に示すような正側電源(33)及び短 絡回路(34)を備えた回路構成を採用するのが ましい。このような短絡回路(34)を用いるこ で、負側電源を省略できるので、設備コス を低減することができる。

 なお、高周波電圧印加の際の負成分の電 が0Vより小さい電圧(マイナスの電圧)になる ように設定する場合(例えば図4参照)には、例 えば図2(a)に示すような正側電源(31)及び負側 源(32)を備えた回路構成を採用すれば良い。

  また、高周波電圧による電解の際の電 波形としては、特に限定されるものではな が、例えば矩形波、正弦波、三角波等が挙 られる。中でも、電解波形は矩形波(例えば 3、4参照)であるのが好ましく、この場合に さらに高速で陽極酸化処理を行うことがで る。

 前記電解液(6)としては、特に限定される のではないが、硫酸、リン酸及び蓚酸から る群より選ばれる少なくとも1種の酸を含有 してなる電解液が好ましく用いられる。中で も、硫酸を主成分として含有してなる電解液 (6)を用いるのが特に好ましく、この場合には 陽極酸化皮膜の成膜速度をさらに向上させる ことができる。

 前記アルミニウム管(2)としては、Al-Mn系 金、Al-Mg系合金、Al-Mg-Si系合金または純Alか なる管が、陽極酸化皮膜の成膜速度を向上 せることができると共に該皮膜の膜質もよ 均一化できる点で、好ましく用いられるが 特にこれら例示のものに限定されるもので ない。

 この発明の陽極酸化処理方法で陽極酸化処 が施されて製造されたアルミニウム管は、 の外周面にササクレ状凸欠陥が実質的に存 せず、優れた表面品質を備えているのであ が、この陽極酸化皮膜が形成されたアルミ ウム管の表面のマクロビッカース硬度MHvを T」とし、直流電圧を印加した以外は同じ電 解条件で電解して陽極酸化皮膜が形成された アルミニウム管の表面のマクロビッカース硬 度MHvを「W」としたとき、
 (T-W)≧50
の関係式が成立する構成であるのが好ましい 。(T-W)が50以上であることでササクレ状凸欠 の発生をより十分に防止することができて より一層表面品質に優れた感光ドラム基体 アルミニウム管を提供することができる。

 また、前記5kHz以上の高周波電圧を印加して 電解して陽極酸化皮膜が形成されたアルミニ ウム管の溶出電解質の量を「X」とし、直流 圧を印加した以外は同じ電解条件で電解し 陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム管 溶出電解質の量を「Y」としたとき、
 (X-Y)/Y ≦ 2/3
の関係式が成立するのが好ましい。このよう な関係式が成立する構成である場合には、陽 極酸化皮膜から溶出する電解質の溶出量を十 分に低減できて、即ち陽極酸化皮膜中の残留 イオンがOPC(有機光導電体)側に溶出すること よる品質への影響(画像の劣化)を十分に排 することができて、感光ドラム基体として 期にわたる品質安定性を確保できる。

 次に、この発明の具体的実施例について 明するが、本発明はこれら実施例のものに に限定されるものではない。

 <実施例1>
  A3003材からなるアルミニウム押出素管に引 き抜き加工を行うことによって得られたアル ミニウム引抜管(アルミニウムED管)(2)を、図1 示す陽極酸化処理装置(1)にセットして電解 行うことによって、アルミニウム引抜管(2) 外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ド ム基体用アルミニウム管を得た。電源部(5) して図2(b)に示す正側電源(33)及び短絡回路(3 4)を備えてなる電源部を用い、電解液(6)とし 濃度30質量%の硫酸水溶液を用い、電解浴(電 解液)(6)の温度を5℃に制御し、図3に示す矩形 状の電解波形を有する5000Hz(5kHz)の高周波電圧 を印加して電解を行った。なお、正側ではCC 電流電解とし、負側ではCV定電圧電解とし (図3参照)。この電解時の正電流密度は5A/dm 2 、正電圧印加割合は0.5、負電圧は0V、負電圧 加割合は0.1であった。しかして、20分間電 を行うことによって27μmの陽極酸化皮膜が形 成された。

 なお、正電圧印加割合は、1周期における 正電圧印加時間を1周期の時間で除して算出 れる値(割合)である。また、負電圧印加割合 は、1周期における負電圧印加時間を1周期の 間で除して算出される値(割合)である。

 <実施例2~7>
  電解条件を表1に示す値に設定した以外は 実施例1と同様にして感光ドラム基体用アル ミニウム管を得た。なお、実施例6、7では、 極酸化処理装置(1)の電源部(5)として、図2(a) に示す正側電源(31)及び負側電源(32)を備えて る電源部を用いた。

 <比較例1~5>
  電解条件を表1に示す値に設定した以外は 実施例1と同様にして感光ドラム基体用アル ミニウム管を得た。

 <比較例6、7>
  表1に示す電解条件で直流(DC)電圧を印加し て電解を行った以外は、実施例1と同様にし 感光ドラム基体用アルミニウム管を得た。

  各実施例、各比較例における電解時間 形成された陽極酸化皮膜の厚さ、成膜速度 陽極酸化処理して得られたアルミニウム管 表面のマクロビッカース硬度(MHv)及び前述し た溶出電解質の量の増加割合(X-Y)/Yを表1に示 。

 なお、マクロビッカース硬度(MHv)は、硬 試験機(明石製作所製:マイクロビッカース式  MVK-G2)を用いて試験荷重5gfで測定した値であ る。

 また、「陽極酸化皮膜が形成されたアル ニウム管の溶出電解質の量」とは、次のよ な方法で測定された値である。即ち、まず 純水を容器に入れ、この超純水の電気伝導 (μS/m)を測定し、この測定値をMとする。前 容器を加熱して超純水を沸騰させる。一方 感光ドラム基体用アルミニウム管(陽極酸化 膜が形成されたアルミニウム管)を流水で洗 浄した後、さらに超純水に1分間浸漬して洗 しておく。このアルミニウム管を前記沸騰 態の超純水に浸漬し、この状態で60分間煮沸 する。この煮沸により陽極酸化皮膜中の電解 質が溶出する。次に、容器内からアルミニウ ム管を取り出し、容器内の超純水を冷却し、 室温まで冷却した後、この容器内の超純水の 電気伝導度(μS/m)を測定し、この測定値をNと る。しかして、算出式(N-M)で求められる値 「陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム の溶出電解質の量」とする。

  表1において、高周波電圧の周波数以外 電解条件が同一である実施例1~4及び比較例1 ~5を相互に対比することにより、5000Hz(5kHz)以 の高周波電圧を印加して電解を行った実施 1~4では、5000Hz未満の周波数の電圧を印加し 比較例1~5よりも、成膜速度が向上している とがわかる。このように5000Hz(5kHz)以上の高 波電圧を印加して電解を行うことによって 高速で陽極酸化皮膜を形成することができ 。

 また、実施例4と比較例4、5とを対比する とにより、5000Hz(5kHz)以上の高周波電圧を印 して電解を行った実施例4では、5000Hz未満の 周波数の電圧を印加した比較例4、5よりも、 ッカース硬度が大きくなっていることがわ る。このように5000Hz以上の高周波電圧を印 して電解を行うことによって、得られるア ミニウム管の表面のビッカース硬度も大き することができる。

 なお、比較例1~3及び実施例1~4における周 数と成膜速度のデータから、周波数条件が1 00Hzから1000Hzまで増大するのに伴い、成膜速 は一旦低下するものの、この1000Hzあたりを 小点として、周波数条件が1000Hzから15000Hzま 増大するのに伴い成膜速度は再び大きく増 していることがわかる。

  また、負電圧の設定数値以外は電解条 が同一である実施例5~7を相互に対比すると 負電圧(負成分の電圧)を0Vに設定して電解を った実施例5は、負電圧を-3Vに設定した実施 例6や負電圧を-5Vに設定した実施例7よりも成 速度が顕著に向上していることがわかる。 って、高周波電圧印加の際の負成分の電圧 0Vに設定されるのが好ましい。

  また、負電圧(負成分の電圧)を0Vに設定 て電解を行った実施例5は、負電圧を-3Vに設 定した実施例6や負電圧を-5Vに設定した実施 7と比べて、溶出電解質量の増加量(X-Y)が顕 に小さくなっており、陽極酸化皮膜から溶 する電解質の溶出量を十分に低減できる(即 陽極酸化皮膜中の残留イオンがOPC側に溶出 ることによる画像の劣化現象を十分に防止 きる)ことがわかる。この観点からも、高周 波電圧印加の際の負成分の電圧は0Vに設定さ るのが好ましい。

 本願は、2007年11月8日に出願された日本国 特許出願の特願2007-290825号の優先権主張を伴 ものであり、その開示内容はそのまま本願 一部を構成するものである。

 ここに用いられた用語および表現は、説 のために用いられたものであって限定的に 釈するために用いられたものではなく、こ に示されかつ述べられた特徴事項の如何な 均等物をも排除するものではなく、この発 のクレームされた範囲内における各種変形 も許容するものであると認識されなければ らない。

  この発明の陽極酸化処理方法で処理し 製造されたアルミニウム管は、表面品質に れているので、例えば複写機、プリンタ、 ァクシミリ等の電子写真装置のOPC感光ドラ 用基体として用いられる。




 
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