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Patent Searching and Data


Title:
METHOD AND APPARATUS FOR TREATING DISCHARGE GAS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078722
Kind Code:
A1
Abstract:
The following devices are successively disposed in the following order from the upstream side to the downstream side in the discharge gas duct of a combustion apparatus: an air preheater which preheats combustion air for use in the apparatus for discharge gas treatment; a heat collector which recovers discharge-gas heat at the outlet of the air preheater; a dust collector which collects soot/dust contained in the discharge gas at the outlet of the heat collector; a wet flue-gas desulfurizer which removes sulfur oxides contained in the discharge gas at the outlet of the dust collector; and a reheater which heats the discharge gas at the outlet of the wet flue-gas desulfurizer. The heat collector and the reheater each has a heat transfer pipe, and a circulation line which connects the heat transfer pipes is disposed. A sulfuric anhydride (SO3) remover is supplied to the upstream side of the heat collector, and the temperature of the discharge gas at the outlet of the heat collector is regulated to or below the dew point of the sulfuric anhydride. As the sulfuric anhydride remover, use is preferably made of at least any one of a sulfuric anhydride adsorbent, sulfuric-anhydride-reducing agent, and sulfuric-anhydride-neutralizing agent. Thus, even when coal having a high sulfur content is used as a fuel, heavy metal(s) contained in the discharge gas can be effectively removed from the discharge gas.

Inventors:
KOBAYASHI KAZUKI (JP)
KIKKAWA HIROFUMI (JP)
ISHIZAKA HIROSHI (JP)
SASAKI GOKI (JP)
NOSAKA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074766
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 24, 2007
Export Citation:
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Assignee:
BABCOCK HITACHI KK (JP)
KOBAYASHI KAZUKI (JP)
KIKKAWA HIROFUMI (JP)
ISHIZAKA HIROSHI (JP)
SASAKI GOKI (JP)
NOSAKA HIROYUKI (JP)
International Classes:
B01D53/64; B01D53/50; B01D53/68; B01D53/77; B01D53/94; F23J15/00
Domestic Patent References:
WO2004023040A12004-03-18
Foreign References:
JP2001000833A2001-01-09
JP2000317260A2000-11-21
JP2004154683A2004-06-03
Other References:
TATSUHIRO FUJII: "Hitachi Zosen Technical Review", vol. 53, June 1992, HITACHI SHIPBUILDING CORPORATION, article "Development and Practical Application of a Comprehensive Exhaust Gas Treating System for Bag Filter Type Municipal Waste Incinerator", pages: 23 - 30
Attorney, Agent or Firm:
MATSUNAGA, Takayoshi et al. (15-2 Nihonbashi 3-chome, Chuo-k, Tokyo 27, JP)
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Claims:
 燃焼装置(1)から排出する排ガスにより燃焼装置(1)の燃焼用空気を予熱し、
 該空気予熱後の排ガスの熱を熱回収器(11)により回収し、
 該熱回収器(11)出口の排ガス中の媒塵を乾式集塵機(4)により回収する排ガス処理方法において、
 前記熱回収器(11)入口の上流側で排ガス中に無水硫酸除去剤を供給することを特徴とする排ガス処理方法。
 前記熱回収器(11)出口の排ガス温度を無水硫酸の露点温度付近に低下させることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
 空気予熱前の排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒により脱硝処理し、
 乾式集塵機(4)出口の排ガス中の硫黄酸化物を脱硫処理することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
 前記熱回収器(11)内で熱媒により排ガスの熱を回収し、熱回収器(11)から供給される熱媒で脱硫処理後の排ガスを加熱するために設けた再加熱器(13)または熱回収器(11)から供給される熱媒を冷却するために設けた冷却器(25)に前記熱媒を循環供給して、
 熱媒循環量、熱媒加熱量及び熱媒冷却量のうちの少なくともいずれかを調整することにより熱回収器(11)出口の排ガス温度を無水硫酸の露点温度付近に低下させることを特徴とする請求項2記載の排ガス処理方法。
 前記無水硫酸除去剤として、無水硫酸還元剤又は無水硫酸中和剤を用いることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
 前記無水硫酸除去剤として、無水硫酸吸着剤を用いることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
 乾式集塵機(4)出口の排ガス中の無水硫酸濃度、塩素濃度及び重金属濃度の中の少なくとも1つを測定し、その濃度に応じた量の無水硫酸除去剤を排ガス中に供給することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
 燃焼装置(1)から排出する排ガスにより燃焼装置(1)の燃焼用空気を予熱する空気予熱器(3)と、該空気予熱器(3)出口の排ガスの熱を回収する熱回収器(11)と、該熱回収器(11)出口の排ガス中の媒塵を回収する乾式集塵機(4)を燃焼装置(1)の排ガスダクトの上流側から下流側に順次配置した排ガス処理装置において、
 前記熱回収器(11)入口の上流側の排ガス中に無水硫酸除去剤を供給する無水硫酸除去剤供給装置(18)を設けたことを特徴とする排ガス処理装置。
 前記熱回収器(11)出口の排ガス温度を無水硫酸の露点温度付近に低下させる制御をする排ガス温度制御装置(24)を設けたことを特徴とする請求項8記載の排ガス処理装置。
 前記空気予熱器(3)の上流側に燃焼装置(11)から発生する排ガス中の窒素酸化物を脱硝処理する脱硝装置(2)と、
 前記乾式集塵機(4)出口の排ガス中の硫黄酸化物を脱硫処理する脱硫装置(6)を設けたことを特徴とする請求項8記載の排ガス処理装置。
 前記熱回収器(11)は、排ガスの熱を熱媒に回収する伝熱管群から構成し、
 前記脱硫装置(6)出口の排ガスを前記熱回収器(11)から供給される熱媒で加熱する伝熱管群からなる再加熱器(13)または熱回収器(11)から供給される熱媒を冷却する伝熱管群からなる冷却器(25)を設け、
 熱回収器(11)と再加熱器(13)にそれぞれ設けられた伝熱管または熱回収器(11)と冷却器(25)にそれぞれ設けられた伝熱管を連絡し、該伝熱管の内部に熱媒を循環させる循環ライン(15)を設け、
 前記循環ライン(15)を流れる熱媒循環量、熱媒加熱量及び熱媒冷却量のうちの少なくともいずれかを前記排ガス温度制御装置(24)により調整する調整手段(10)を設けたことを特徴とする請求項9記載の排ガス処理装置。
 前記無水硫酸除去剤供給装置(18)として、無水硫酸還元剤供給装置又は無水硫酸中和剤供給装置を用いることを特徴とする請求項8記載の排ガス処理装置。
 前記無水硫酸除去剤供給装置(18)として、無水硫酸吸着剤供給装置を用いることを特徴とする請求項8記載の排ガス処理装置。
 乾式集塵機(4)出口の排ガス中の無水硫酸濃度、塩素濃度及び重金属濃度の中の少なくとも1つを測定する測定装置(21~23)と、
 無水硫酸除去剤供給装置(18)から供給する供給量を調整する調整手段と、
 前記測定装置(21~23)の測定値に応じた量の無水硫酸除去剤を供給するように前記調整手段を制御をする無水硫酸除去剤供給量制御装置(24)と
を備えたことを特徴とする請求項8記載の排ガス処理装置。
Description:
排ガス処理方法と装置

 本発明は排ガス処理方法と装置に係り、 に煙突から排出される排ガス中の微量成分 度を低減するため、乾式集塵装置での微量 分除去性能を向上させた排ガス中の微量重 属成分を除去する方法と装置に関するもの ある。

 石炭などの化石燃料の燃焼装置である火 発電所ボイラなどから排出する排ガスには 素酸化物や硫黄酸化物の他に水銀などの重 属が含まれている。前記窒素酸化物は脱硝 置で除去され、硫黄酸化物は脱硫装置で除 されるが、水銀、セレン、カドミウム、ク ム、鉛、亜鉛などの重金属は前記脱硝装置 脱硫装置では除去できず、また排ガス中の 塵除去用の集塵装置でも完全には捕集でき い。前記重金属は毒性が強いので、最近は の排出規制が厳しくなっている。排ガス中 重金属、特に毒性の強い水銀の除去方法が 討されている。

 図8には、その中の一つで、ごみ焼却炉等 の燃焼装置1からの排ガス中の水銀除去に適 される排ガス処理システムを示している。 の排ガス処理システムでは、燃焼装置1から 排ガスを、まず脱硝装置2で処理して窒素酸 化物を除去し、次いで空気予熱器3において 焼装置1で使用される燃焼用空気を排ガスに り加熱する。次いで該空気予熱器3から排出 される排ガス中の煤塵を集塵機4で捕集し、 集塵機4から排出される排ガスを誘引ファン5 で湿式排煙脱硫装置6に導き、排ガス中の硫 酸化物を除去し、ブースアップファン7によ 煙突8から大気中に排出する構成である。な お、煙突8の前流側に排ガス中の硫黄酸化物 窒素酸化物、重金属(Hg)などの濃度などを測 する測定装置9を配置して、これらの排ガス 中の成分濃度を監視している。

 上記図8に示す排ガス処理システムは、集 塵機4の入口(前段)の排ガス中に水銀吸着剤供 給装置16などにより水銀吸着剤を添加するこ に特徴があり、該集塵機4の入口(前段)の排 スが活性炭等の最も水銀吸着性能が高い温 (150~240℃)領域にあり、集塵機4で水銀を吸着 した活性炭等を回収する排ガス処理システム である(非特許文献1など参照)。

 また、図9には火力発電所ボイラからの排 ガス中の水銀除去に適用される排ガス処理シ ステムを示し、排ガス中の重金属を吸収する ための吸収剤を用いずに経済的に重金属を除 去するために、排ガス温度を低下させること によって大気中に排出される排ガス中の重金 属濃度が所定の範囲となるようにする排ガス 処理システムである。

 図9に示す排ガス処理システムでは、ボイ ラなどの燃焼装置1からの排ガスを脱硝装置2 供給して窒素酸化物を除去した後、空気予 器3で燃焼用空気の加熱に利用する。次いで 該空気予熱器3から排出される排ガスにより 回収器11中の熱媒を加熱し、さらに熱回収器 11から排出される温度の低下した排ガス中の 塵を効率的に集塵機4で捕集し、さらに集塵 機4から排出される排ガスを誘引ファン5で湿 排煙脱硫装置6に導いて脱硫処理する。該湿 式排煙脱硫装置6から排出される排ガスを、 記熱回収器11から熱媒循環管路15-1、15-2を経 して循環供給される熱媒により再加熱器13 再加熱し、ブースアップファン7により煙突8 から大気中に排出する構成である(特許文献1) 。なお、図9に示すシステムでも煙突8からの 出前に排ガス中の硫黄酸化物、窒素酸化物 重金属などの濃度などを測定する測定装置9 を配置して、これらの排ガス中の成分濃度を 監視している。

 図9に示す排ガス処理システムは、排ガス温 度が低くなるほど排ガス中の重金属が灰粒子 などの固体表面に付着し易くなることを利用 するものであり、灰粒子中の重金属は適切な 方法で回収するか、灰粒子から溶出しないよ うな処理を施すことができるというものであ る。なお、特許文献1には図9に示す排ガス処 システムで、湿式排煙脱硫装置6から排出す る排ガス中の重金属濃度(Hg)を測定し、該重 属濃度の測定値が所定の範囲内に収まるよ に湿式排煙脱硫装置6で利用する吸収液のpH 酸化空気流量、排水流量のいずれか1つ以上 調整する方法でも排ガス中の重金属濃度を 制できることが開示されている。
藤井達宏 外6名、「バグフィルタ式都市 ゴミ焼却炉用総合排ガス処理システムの開発 と実用化」日立造船技報、日立造船株式会社 、平成4年6月、第53巻、第2号、23-30頁

国際公開第2004/023040号パンフレット

 本発明者らの検討によると上記の非特許 献1記載の排ガス処理システムでは、硫黄分 を多く含む石炭をボイラなどの燃料として用 いた場合に発生する排ガス中の重金属が吸着 剤である活性炭にほとんど吸着されないで、 そのまま排ガス処理したはずの排ガス中に含 まれるということが分かった。また、特許文 献1記載の排ガス処理システムにおいても、 黄分を多く含む石炭をボイラなどの燃料と て用いた場合は、排ガスの温度を低くして 排ガス中の重金属はあまり回収されないこ が分かった。

 本発明の課題は硫黄分を多く含む石炭を 料として用いた場合でも排ガス中の重金属 効果的に除去する排ガス処理方法と装置を 供することである。

 本発明の課題は、次の手段により解決する とができる。 
 請求項1記載の発明は、燃焼装置1から排出 る排ガスにより燃焼装置1の燃焼用空気を予 し、該空気予熱後の排ガスの熱を熱回収器1 1により回収し、該熱回収器11出口の排ガス中 の媒塵を乾式集塵機4により回収する排ガス 理方法において、前記熱回収器11入口の上流 側で排ガス中に無水硫酸除去剤を供給する排 ガス処理方法である。

 請求項2記載の発明は、前記熱回収器11出 の排ガス温度を無水硫酸の露点温度付近に 下させる請求項1記載の排ガス処理方法であ る。

 請求項3記載の発明は、空気予熱前の排ガ ス中の窒素酸化物を脱硝触媒により脱硝処理 し、乾式集塵機4出口の排ガス中の硫黄酸化 を脱硫処理する請求項1記載の排ガス処理方 である。

 請求項4記載の発明は、前記熱回収器11内 熱媒により排ガスの熱を回収し、熱回収器1 1から供給される熱媒で脱硫処理後の排ガス 加熱するために設けた再加熱器13に前記熱媒 を循環供給して、熱媒循環量、熱媒加熱量及 び熱媒冷却量のうちの少なくともいずれかを 調整することにより熱回収器11出口の排ガス 度を無水硫酸の露点温度付近に低下させる 求項2記載の排ガス処理方法である。

 請求項5記載の発明は、前記無水硫酸除去 剤として、無水硫酸還元剤又は無水硫酸中和 剤を用いる請求項1記載の排ガス処理方法で る。

 請求項6記載の発明は、前記無水硫酸除去 剤として、無水硫酸吸着剤を用いる請求項1 載の排ガス処理方法である。

 請求項7記載の発明は、乾式集塵機4出口 排ガス中の無水硫酸濃度、塩素濃度及び重 属濃度の中の少なくとも1つを測定し、その 度に応じた量の無水硫酸除去剤を排ガス中 供給する請求項1記載の排ガス処理方法であ る。

 請求項8記載の発明は、燃焼装置1から排 する排ガスにより燃焼装置1の燃焼用空気を 熱する空気予熱器3と、該空気予熱器3出口 排ガスの熱を回収する熱回収器11と、該熱回 収器11出口の排ガス中の媒塵を回収する乾式 塵機4とを燃焼装置1の排ガスダクトの上流 から下流側に順次配置した排ガス処理装置 おいて、前記熱回収器11入口の上流側の排ガ ス中に無水硫酸除去剤を供給する無水硫酸除 去剤供給装置18を設けた排ガス処理装置であ 。

 請求項9記載の発明は、前記熱回収器11出 の排ガス温度を無水硫酸の露点温度付近に 下させる制御をする排ガス温度制御装置24 設けた請求項8記載の排ガス処理装置である

 請求項10記載の発明は、前記空気予熱器3 上流側に燃焼装置1から発生する排ガス中の 窒素酸化物を脱硝処理する脱硝装置2と、前 乾式集塵機4出口の排ガス中の硫黄酸化物を 硫処理する脱硫装置6を設けた請求項8記載 排ガス処理装置である。

 請求項11記載の発明は、前記熱回収器11は 、排ガスの熱を熱媒に回収する伝熱管群から 構成し、前記脱硫装置6出口の排ガスを前記 回収器11から供給される熱媒で加熱する伝熱 管群からなる再加熱器13または熱回収器11か 供給される熱媒を冷却する伝熱管群からな 冷却器25を設け、熱回収器11と再加熱器13に れぞれ設けられた伝熱管または熱回収器11と 冷却器25にそれぞれ設けられた伝熱管を連絡 、該伝熱管の内部に熱媒を循環させる循環 イン15を設け、前記循環ライン15を流れる熱 媒循環量、熱媒加熱量及び熱媒冷却量のうち の少なくともいずれかを前記排ガス温度制御 装置24により調整する調整手段10を設けた請 項9記載の排ガス処理装置である。

 請求項12記載の発明は、前記無水硫酸除 剤供給装置18として、無水硫酸還元剤供給装 置又は無水硫酸中和剤供給装置を用いる請求 項8記載の排ガス処理装置である。

 請求項13記載の発明は、前記無水硫酸除 剤供給装置18として、無水硫酸吸着剤供給装 置を用いる請求項8記載の排ガス処理装置で る。

 請求項14記載の発明は、乾式集塵機4出口 排ガス中の無水硫酸濃度、塩素濃度及び重 属濃度の中の少なくとも1つを測定する測定 装置21~23と、無水硫酸除去剤供給装置18から 給する供給量を調整する調整手段と、前記 定装置21~23の測定値に応じた量の無水硫酸除 去剤を供給するように前記調整手段を制御を する無水硫酸除去剤供給量制御装置24とを備 た請求項8記載の排ガス処理装置である。

 請求項1、8記載の熱回収器には、排ガス 熱を回収する熱媒を流す伝熱管群を配置し 、上記排ガス系とは別に設けた熱放出物の 器との間で熱交換する構成または直接熱回 器11内に冷却水を噴霧する構成などを用いる 。

 化石燃料を燃焼させた際に発生する排ガ 中の亜硫酸ガスの一部は脱硝触媒などの触 作用により排ガス中の酸素と反応して無水 酸となる。亜硫酸ガスの無水硫酸への転換 は条件により異なるが、1~3%程度である。石 炭焚きボイラなどの燃焼装置1から排出され 排ガス中の亜硫酸ガスの濃度は、一般的に30 0~3000ppm程度であるので、排ガス中の無水硫酸 の濃度は3~90ppm程度であるが、石炭中の硫黄 度が4%を越えるような高硫黄含有炭において は、無水硫酸の濃度は100ppmを超える場合もあ る。

 そして本発明者らの研究によると、硫黄 を多く含む化石燃料を燃焼させた場合には 記非特許文献1と特許文献1等に開示された 来から行われている排ガス処理システムで 燃焼排ガス中の重金属が効果的に除去でき いことが判明した。

 前述のように硫黄分を比較的多く含む化石 料を燃焼させると、排ガス中の硫黄酸化物( SO 2 とSO 3 )の生成量が硫黄分の比較的少ない燃料を燃 させた場合に生成する排ガス中の硫黄酸化 の生成量に比べて多くなるので、本発明者 は排ガス中の硫黄酸化物が重金属の除去の 害になっているものと推定した。

 一方、無水硫酸が露点以下の温度に低下 た雰囲気下で生成した硫酸ミストは、排ガ 中にかなりの量で存在する灰粒子に吸着さ ることを本発明者らは既に見いだしている( 特開2004-154683号公報([0030]、[0031])。

 なお、無水硫酸の露点は、無水硫酸と水分 に依存するが、通常の硫黄含有率の石炭(硫 黄濃度が3%以下の石炭)を燃焼させるボイラの 排ガスの場合の無水硫酸の露点は120~160℃、 硫黄含有炭(硫黄濃度が3%を超える石炭)を燃 させるボイラの排ガスの場合の無水硫酸の 点は160℃以上となる場合がある。このため 排ガス温度を少なくとも180℃以下の無水硫 (SO 3 )の露点以下にすることで、排ガス中の無水 酸(SO 3 )を凝縮させて硫酸ミスト(H 2 SO 4 )とすることができる。

 このように、高硫黄含有炭から生成する多 の無水硫酸(SO 3 )を含有する排ガスを無水硫酸の露点以下の 度に下げると、湿式排煙脱硫装置でも石膏 して回収できない無水硫酸を硫酸ミストと て回収することができる。しかも、この硫 ミストは排ガス中にかなりの量で存在する 粒子に吸着される効果がある。なお、灰粒 に吸着さる硫酸ミストの量は少量なので灰 子の重金属吸着性能はほとんど低下しない

 そこで、高硫黄含有炭を利用するボイラで い濃度で生成する硫酸ミスト(H 2 SO 4 )を灰粒子に積極的に吸着させる条件下にお 、得られた硫酸ミスト吸着灰粒子を回収す ことで、排ガス中には無水硫酸(SO 3 )がほとんど存在しない状態にして排ガス中 硫黄成分を大気中へ排出させないようにす ことができると考えられる。

 しかし、高硫黄含有炭を利用するボイラ 排ガスからは前記非特許文献1と特許文献1 いずれの方法を用いても排ガス中の水銀な の重金属の濃度を低下させることができな ことが最近、問題視されていることは既に べた通りである。

 前述のように、重金属の回収ができない 象がどうして生じるのかについて鋭意検討 た結果、「硫酸ミストを多く吸着した灰粒 は排ガス中の水銀などの重金属を吸着する 力が無くなる。」という仮説を立てて、こ 仮説に基づく対策により、高硫黄含有炭を 用する燃焼装置の排ガスからでも水銀など 重金属の濃度を低下させることができるこ を見出し、本発明を完成させた。

 すなわち、発明者らは、排ガス中に多量に 成する無水硫酸(SO 3 )が水銀などの重金属と共存する場合には、 中の未燃分等の吸着活性点に無水硫酸(SO 3 )が水銀などの重金属よりも優先的に吸着さ ることにより、ほとんど全ての前記活性点 の水銀などの重金属の吸着が阻害されて、 収灰中の水銀などの重金属濃度が大幅に低 するのではないかと考えた。そこで、排ガ 中の温度を下げる前に、排ガス中のSO 3 を除去することで、灰中の未燃分等の吸着活 性点に水銀が効果的に吸着されるとの仮説を 立て、鋭意研究の結果、本発明を完成させる に至った。

 図3は、図1、図2に示す排ガス処理システム 熱回収器11の入口(前段)で無水硫酸(SO 3 )除去用の、例えば還元剤を噴霧し、乾式集 機4の入口(前段)の熱回収器11により集塵機4 入る排ガス温度を変化させた時の乾式集塵 4での回収灰中の水銀濃度を示したものであ 。

 なお、図3中の「還元剤有り」とは、水銀酸 化機能をもつ脱硝触媒を備えた脱硝装置2(図1 、図2)の後段で、無水硫酸(SO 3 )の除去剤として、例えば還元剤を無水硫酸 対してモル当量比=1で噴霧した場合を示した ものである。なお図3は、無水硫酸の還元剤 して、重亜硫酸ナトリウムを使用した例を す。このような還元剤の添加により、無水 酸は次式(1)によって二酸化硫黄(SO 2 )に還元される。 
 SO 3 + NaHSO 3  → NaHSO 4  + SO 2    (1)

 還元剤を噴霧しない系、還元剤を噴霧し 系ともに、一般的な集塵機4が温度160℃であ る場合と酸露点以下に相当する低温(110℃)で る場合とを比較すると、乾式集塵機4で回収 した灰中の水銀(Hg)濃度は、低温(110℃)の場合 が温度160℃の場合より若干増加している。こ れは、排ガスの低温化により排ガス中の重金 属が灰粒子などの固体表面に付着しやすくな って、水銀の灰粒子への吸着性能が増加し、 水銀が凝集するものと考えられる。

 そして、還元剤の添加後に排ガスの温度を 温(110℃)にした場合は、式(1)に示すように 水硫酸(SO 3 )が二酸化硫黄(SO 2 )に還元され、排ガス中に無水硫酸(SO 3 )がほとんどない状態で排ガス温度が低温と るため、灰中の未燃分等の活性点に無水硫 (SO 3 )が吸着することなく、前記灰中の活性点に 銀が効果的に吸着し、回収灰中の水銀濃度 大幅に増加することが分かる。

 また、図4には、排ガス中の無水硫酸(SO 3 )に対するモル当量の中和剤(Na 2 CO 3 )を添加した場合の排ガス中の水銀濃度の変 を示す。無水硫酸(SO 3 )に対する1モル当量の中和剤(Na 2 CO 3 )を添加することにより排ガス中の水銀濃度 最低になった。

 また図5には排ガス中の無水硫酸(SO 3 )に対するモル当量の中和剤(Na 2 CO 3 )を添加した場合の排ガス中の酸性物質(SO 3 、HCl)濃度の変化を示す。ここで図5の制御範 とはHgの除去性能を上げるためのアルカリ 給量の適正範囲を示す。

 排ガス中に中和剤(Na 2 CO 3 )を過剰に添加すると無水硫酸(SO 3 )以外に、水銀の除去性能を向上させる塩素(C l 2 又はHCl)の濃度も減少させてしまうため、集 機4の出口での排ガス中の無水硫酸(SO 3 )、塩素成分(Cl 2 又はHCl)、水銀濃度の中のいずれか1つの濃度 は2以上の濃度を測定し、その濃度に応じた 量の中和剤を排ガス中に噴霧することが好ま しいことが分かる。中和剤の供給量は排ガス 中の無水硫酸(SO 3 )に対して1モル当量以下の1モル当量付近の量 で添加することが望ましい。

 また、排ガス中の重金属は、燃焼装置1内 の高温域ではそのほとんどが気体として存在 するが、排ガスの温度が低くなると灰粒子な どの固体表面に付着しやすくなる。これは、 その元素及び化合物は温度が低いほど蒸気圧 も低くなり、気体として存在しにくくなるか らである。このため、集塵機4では、排ガス 温度が低いほど重金属が灰粒子とともに回 できる。回収した灰中の重金属を必要に応 て灰から除去、回収することも可能である 、灰粒子から溶出しないように安定化させ ことも可能である。しかし、集塵機4での排 スの温度が低くなりすぎると、集塵機4内で 灰粒子が凝縮しやすくなり、集塵機4の下部 灰回収部(ホッパーなど)から排出しにくくな るという問題も生じる。したがって、集塵機 4からの灰が安定に回収可能な程度の排ガス 度に低温化させることが望ましい。

 このように排ガス中の無水硫酸の濃度が低 され、熱回収器11の入口(前段)で無水硫酸を 除去することで、 熱回収器11の伝熱管及び 塵機4等の熱回収器11よりも後段に配置され 機器の腐食を防止できる。更に無水硫酸を 回収器11の入口(前段)で除去することによっ 無水硫酸が未燃分等の灰中吸着成分に吸着 ることを防ぎ、無水硫酸除去剤による水銀 どの重金属の吸着性能の低下を防止できる こうして水銀などの重金属は熱回収器11の 段で灰に吸着するため、これら水銀などの 金属を効率的に除去できる。このように無 硫酸(SO 3 )除去剤を用いることと、排ガスを低温化す ことにより回収灰中の水銀濃度が大幅に増 する結果となった。

 また、図6には、排ガス中の酸性物質(SO 3 、Cl 2 又はHCl)濃度と排ガスへの還元剤供給量の関 を示す。排ガス中に還元剤を過剰に添加す と無水硫酸(SO 3 )以外に、水銀の除去性能を向上させる塩素(C l 2 又はHCl)を減少させてしまうため、集塵機4の 口での排ガス中の無水硫酸(SO 3 )、塩素成分(Cl 2 又はHCl)、水銀濃度の中のいずれか1つの濃度 は2以上の濃度を測定し、その濃度に応じた 量の還元剤を排ガス中に噴霧することが好ま しい。なお、図6には、還元剤としてNaHSO 3 を使用した例を示している。

 市販のHCl計で塩化水素を検知し、市販の連 水銀モニタで水銀濃度を検知し、さらに市 の無水硫酸濃度計で無水硫酸濃度を検知し これらの少なくとも1つの化合物の検知濃度 に基づき所定量の還元剤を排ガス中に供給す ることで、無水硫酸(SO 3 )の濃度を制御することは可能となる。

 このように、無水硫酸(SO 3 )が存在しない排ガス系では、排ガス中の水 は灰中の未燃分等の活性点に効果的に吸着 れることが分かった。すなわち、高硫黄含 炭を利用するボイラの排ガスであっても、 ガス中に無水硫酸(SO 3 )がほとんど含まれない状態にすれば水銀な の重金属を効果的に除去できることが分か た。

 本発明によれば、燃焼装置1から排出される 排ガス中の重金属濃度を低減することができ る。 
 請求項1及び請求項8記載の発明によれば、 硫黄含有炭を燃焼させた場合の排ガス中の 銀などの重金属を燃焼装置1の排ガス出口濃 から低減することができる。また、熱回収 11の前段で無水硫酸(SO 3 )を除去できるため、熱回収器11の伝熱管や集 塵機4等の熱回収器よりも後段にある機器の 食を防止できる。

 請求項2及び請求項9の発明によれば、請 項1及び請求項8記載の発明の効果に加えて、 排ガス温度の低下で水銀などの重金属が灰粒 子に吸着され易くなり、また排ガス中の無水 硫酸濃度を低下させる効果がある。なお無水 硫酸濃度が低いので灰粒子に吸着する硫酸ミ スト量は少なく、水銀などの重金属の灰粒子 への吸着性能はほとんど低下しない。

 請求項3及び請求項10の発明によれば、請 項1及び請求項8記載の発明の効果に加えて 高硫黄含有炭を燃焼させた場合の排ガス中 水銀などの重金属を燃焼装置1の排ガス出口 度からほぼ99%低減することができ、さらに ガス中の窒素酸化物と硫黄酸化物も除去で る。

 請求項4及び請求項11の発明によれば、請 項2及び請求項9記載の発明の効果に加えて 熱回収器11出口の排ガス温度の調整を、熱回 収器11と熱媒が流れる循環ライン15で接続さ た再加熱器13又は冷却器25との熱媒の循環量 熱媒加熱量及び熱媒冷却量のうちの少なく もいずれかにより行うため、同一排ガス系 内で容易に排ガス温度の調整が可能となる

 請求項5及び請求項12の発明によれば、請 項1及び請求項8記載の発明の効果に加えて 無水硫酸が還元剤または中和剤により還元 たは中和されて確実に除去できる。

 請求項6及び請求項13の発明によれば、請 項1及び請求項8記載の発明の効果に加えて 無水硫酸が吸着剤に吸着されることで、確 に除去できる。

 請求項7及び請求項14の発明によれば、請 項1及び請求項8記載の発明の効果に加えて 排ガス中の重金属の除去性能を低下させず 適切な無水硫酸除去剤の量を排ガス中へ添 でき、また添加量を適切に管理できる。

 本発明の排ガス処理システムの実施例を 面と共に説明する。

 図1に本発明の一実施例の排ガス処理システ ムの構成図を示す。 
 ボイラから排出される排ガス成分は煤塵濃 20g/m 3 N、NOx200ppm、SOx4000ppm、Hg濃度10μg/m 3 Nである。図1に示すように、本実施の形態の ガス処理システムでは、ボイラ等の燃焼装 1から排出される排ガスは脱硝装置2に導入 れ、脱硝装置2内の脱硝触媒などにより排ガ 中の窒素酸化物が20ppm以下まで除去された 、空気予熱器3に導かれる。空気予熱器3の前 段では無水硫酸(SO 3 )除去剤供給装置18により無水硫酸(SO 3 )の除去剤が添加される。

 また、SO 3 除去剤の添加方法に特に制限はないが、固体 粉末や水溶液での供給が可能であり、スプレ 式ノズル等により除去剤を排ガス煙道中に噴 霧することで、簡便に行うことができる。本 実施例では、無水硫酸(SO 3 )の除去剤として還元剤が噴霧される例を示 、SO 3 はSO 2 へ還元される。なお、本実施例では、脱硝装 置2と空気予熱器3との間の煙道中で無水硫酸( SO 3 )の除去剤を噴霧しているが、熱回収器11の前 段であれば特にその設置部位は限定されない 。

 空気予熱器3に導かれた排ガスは、燃焼装 置1へ供給される燃焼用空気と熱交換され、 えば、120~170℃に冷却されて熱回収器11に導 される。熱回収器11に導入された排ガスの熱 は、熱交換により伝熱管内を流れる熱媒に回 収され、灰中未燃分による固形分の吸着性能 を高めるため、排ガスは好ましくは冷却され る。排ガス温度の低下で水銀などの重金属が 灰粒子に吸着され易くなる。また、排ガス温 度を好ましくは無水硫酸の露点温度付近に低 下させると、排ガス中の無水硫酸が硫酸ミス トに転化され、排ガス中には無水硫酸がほと んど含まれなくなる。なお、この段階では無 水硫酸濃度が低いので灰粒子に吸着する硫酸 ミスト量は少なく、水銀などの重金属の灰粒 子への吸着性能はほとんど低下しない。

 乾式電気集塵機4を通った排煙は、誘引フ ァン5により昇圧されて湿式排煙脱硫装置の 例であるスプレ式石灰石-石膏法の湿式排煙 硫装置6に導入され、排ガスと排ガス吸収液 との気液接触により排ガス中の硫黄酸化物(SO x)が除去される。湿式排煙脱硫装置6において 飽和ガス温度にまで冷却された排ガスは、再 加熱器13により昇温され、脱硫ファン7を介し て煙突8から排出される。前記再加熱器13は、 熱回収器11と同様に熱媒が通流される伝熱管 備えた熱交換器であり、排ガスは伝熱管内 流れる熱媒との熱交換により、例えば90~110 に昇温される。また、熱回収器11と再加熱 13の伝熱管は、熱媒循環管路15-1、15-2によっ 連通され、ポンプ10により熱回収器11と再加 熱器13との間に熱媒が循環されるようになっ いる。また、熱回収器11の出口排ガス温度 測定する排ガス温度計20を設けている。更に 、排ガス温度計20の測定結果に基づき熱回収 11の出口排ガス温度を制御する熱媒ポンプ10 の熱媒循環量を決める制御装置24を設置して る。

 なお、熱媒流量による排ガス温度の制御は 図示していないが、前記熱媒を冷却する手 、前記熱媒を加熱する手段及び前記熱回収 11に通流する熱媒管路の入口と出口を短絡 るバイパス管を設置し、該バイパス管内の 媒流量を調整する手段のいずれか一つ以上 用いることによっても可能である。なお、 記熱媒流量による排ガス温度の制御は他の 施例にも共通する。 
 また、再加熱器13を使用しないで図1に示す ガス系統以外からの熱の授受により熱回収 11の出口排ガス温度を調整しても良い。

 図1に示す排ガス処理システムでは、還元剤 として例えば重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水 ナトリウム、NaHSO 3 )を添加することで、上記(1)に示すように無 硫酸(SO 3 )の濃度を低下させることができる。そして 排ガス温度計20の排ガス温度測定値に基づき ポンプ10の熱媒循環量等によって熱回収器11 出口における排ガス温度を制御することに り、排ガス中の水銀の灰への吸着量を増加 せ、排ガス中の水銀の除去効率を上げるこ が可能となる。

 既に説明したように図6には、排ガス中の酸 性物質(SO 3 、Cl 2 又はHCl)濃度と排ガスへの還元剤供給量の関 を示す。図示していないが、排ガス中に還 剤(NaHSO 3 )を過剰に添加すると無水硫酸(SO 3 )以外に、水銀の除去性能を向上させる塩素(C l 2 又はHCl)の濃度も減少させてしまうため、集 機4の出口での排ガス中の無水硫酸(SO 3 )、塩素成分(Cl 2 又はHCl)、水銀濃度の中のいずれか1つの濃度 は2以上の濃度を測定し、その濃度に応じた 量の還元剤を排ガス中に噴霧することが好ま しい。

 還元剤としては重亜硫酸ナトリウムの他に 亜硫酸ナトリウム(Na 2 SO 3 )、重亜硫酸カリウム(KaHSO 3 )、亜硫酸カリウム(K 2 SO 3 )、亜硫酸カルシウム(CaSO 3 )などが用いられる。燃焼装置1として例えば 石炭焚きボイラで使用される石炭中の硫黄 が2%以下の場合は、排ガス中の無水硫酸(SO 3 )濃度は50ppm以下となるが、4%以上の高硫黄分 石炭を燃焼させると100ppmを超える。このよ な無水硫酸(SO 3 )を比較的多く含む排ガス条件では、前述の うに、灰中の未燃分の活性点に無水硫酸(SO 3 )が吸着して、吸着した無水硫酸(SO 3 )が排ガス中の水銀の吸着を阻害したものと 定される。

 本実施例の排ガス処理システムにおいて、 回収器11の出口では、排ガス中の無水硫酸(S O 3 )は還元剤等の無水硫酸(SO 3 )除去剤の添加により減少しているため、水 の灰への吸着量が増加して、乾式電気集塵 4において排ガス中に存在する50%以上の水銀 除去できる。また、熱回収器11の後段に配 された湿式排煙脱硫装置6での除去も含める 、排ガス中の99%以上の水銀を除去できた。 た、無水硫酸(SO 3 )還元剤を適宜排ガス中に添加して硫酸ミス を還元して除去することで、SO 3 除去剤供給装置18よりも後段の機器の腐食を 止することもでき、運用開始1年後も装置の 腐食を防止できた。排ガス中の水銀濃度の確 認は煙突8の前に配置した測定装置9に内蔵さ ている連続水銀モニタで監視し、さらに排 ス中のNOx、SOxも測定装置9に内蔵されている 各モニタで監視して、それぞれ規制値をクリ アすることを確認できた。なお、前記規制値 を外れていたらプラントの運転を継続させな いが、本実施例では前記規制値を外れること はない。

 本発明の図2に示す実施例2は無水硫酸(SO 3 )除去剤として中和剤を用いた例を示す。図2 示すSO 3 除去剤供給装置18からは下記式(2)に示すよう 中和剤として例えば炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )が添加されることで、排ガス中のSO 3 の濃度は減少する。 
    SO 3 + Na 2 CO 3 → Na 2 SO 4 +CO 2           (2) 

 図4には、排ガス中の無水硫酸(SO 3 )に対するモル当量の中和剤(Na 2 CO 3 )を添加した場合の排ガス中の水銀濃度の変 を示すが、無水硫酸(SO 3 )に対する1モル当量の中和剤(Na 2 CO 3 )を添加することにより排ガス中の水銀濃度 最低になった。

 また、図5に示すように排ガス中の無水硫酸 (SO 3 )に対するモル当量の中和剤(Na 2 CO 3 )を添加した場合の排ガス中の酸性物質(SO 3 、HCl)濃度の変化を示すが、中和剤(Na 2 CO 3 )の添加量の制御範囲はHgの除去性能を上げる ためのアルカリ供給量の適正範囲を示す。

 排ガス中に中和剤(Na 2 CO 3 )を過剰に添加すると無水硫酸(SO 3 )以外に、水銀の除去性能を向上させる塩素(C l 2 又はHCl)の濃度を減少させてしまうため、集 機4の出口での排ガス中の無水硫酸(SO 3 )、塩素成分(Cl 2 又はHCl)、水銀濃度の中のいずれか1つの濃度 は2以上の濃度を測定し、その濃度に応じた 量の中和剤を排ガス中に噴霧することが好ま しいことが分かる。中和剤の供給量は排ガス 中の無水硫酸(SO 3 )に対して1モル当量以下の1モル当量付近の量 で添加することが望ましい。

 中和剤としては炭酸ナトリウムの他にも、 じくアルカリ性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO 3 )、炭酸カリウム(K 2 CO 3 )、炭酸水素カリウム(KHCO 3 )、炭酸カルシウム(CaCO 3 )などが用いられるがこの限りではない。

 本実施例の排ガス処理システムは、燃焼装 1からの排ガスは脱硝装置2に導入され、脱 装置2内の脱硝触媒などにより排ガス中の窒 酸化物が除去された後、空気予熱器3に導か れる。空気予熱器3の前段では実施例1と同様 SO 3 除去剤供給装置18により無水硫酸(SO 3 )の除去剤が添加される。本実施例では、SO 3 除去剤として中和剤が添加される例を示し、 その他の構成は実施例1と同様であるため、 明は省略する。 
 また、再加熱器13を使用しないで図1に示す ガス系統以外からの熱の授受により熱回収 11の出口排ガス温度を調整しても良い。

 中和剤の噴霧位置は好ましくは、脱硝装置2 の後段が良いが、中和反応はすぐに完結する ため、熱回収器11の前段(入口直前)でも良い 中和剤の中のNa、K、Caなどの成分は、脱硝触 媒の劣化成分であるため、脱硝装置2の後段 中和剤を添加することで、脱硝触媒の劣化 防止できる。また、脱硝装置2内の脱硝触媒 作用により排ガス中の亜硫酸ガス(SO 2 )の一部は排ガス中の酸素と反応して無水硫 (SO 3 )となるため、S〇 3 量が増加してから中和剤を噴霧して処理する 方が好ましい。しかし、前述のように中和反 応はすぐに完結するため、熱回収器11の前段 中和剤を添加しても良い。

 図2に示す排ガス処理システムでは乾式電気 集塵機4の出口排ガス中のSO 3 濃度を測定するSO 3 濃度計21、排ガス中の塩化水素濃度を測定す 塩化水素濃度計22及び重金属濃度を測定す 重金属濃度計23に設けている。

 本実施例によれば、SO 3 除去剤供給装置18からの中和剤の供給量は、S O 3 濃度計21、塩化水素濃度計22及び重金属濃度 測定する重金属濃度計23の少なくともいずれ かの測定値に基づき制御装置24の指令で制御 れる。この中和剤供給量の制御装置24は、 回収器11の出口排ガス温度を制御する熱媒ポ ンプ10の熱媒循環量を決める制御装置24と別 設けても良いし、図2に示すように兼用して 良い。

 中和剤の添加量は塩化水素濃度計22で塩素 分濃度を連続検知し、塩素濃度の減少量δが 増大する前にSO 3 除去剤供給装置18からの還元剤の供給量を抑 ることで、水銀の酸化に必要な塩素量がア カリの添加で、脱塩反応で減少しないよう することが望ましい。

 石炭焚きボイラなどで使用される石炭中の 黄分が2%以下の場合は、排ガス中のSO 3 濃度は50ppm以下となるが、硫黄分が4%以上の 硫黄含有炭では100ppmを超える。このような ガス条件では、水銀は灰へはほとんど吸着 ず、集塵装置4では除去されない。

 本実施例では、SO 3 中和剤でSO 3 を中和するため、排ガス中のSO 3 濃度は低下し、更に熱回収器11で排ガス温度 低温化するため灰中の未燃分の活性点に水 が効果的に吸着し、回収灰中の水銀濃度が 幅に増加することで、排ガス中の60%以上の 銀を除去でき、熱回収器11の後段の湿式排 装置6の除去も含め99%以上の水銀を除去でき 。

 煙突8の前の測定装置9では、連続水銀分析 、NOx計、SOx計で排ガス中の有害成分を連続 視し、NOx20ppm、SOx40ppm、Hg濃度0.1μg/m 3 N以下であることを確認した。また、SO 3 中和剤を適宜排ガス中に添加して硫酸ミスト を中和して無害化することで、SO 3 除去剤供給装置18よりも後段の機器の腐食を 止することもでき、運用開始1年後も装置の 腐食を防止できた。

 本発明の実施例3はSO 3 除去剤として吸着剤を用いた例を示す。本実 施例においても、SO 3 除去剤として吸着剤を用いる以外は実施例1 び実施例2と同様であるため、重複部分の説 は省略する。

 図1または図2のSO 3 除去剤の供給装置18からは吸着剤として、例 ば粉末活性炭が添加され、SO 3 が吸着剤に吸着することにより排ガス中のSO 3 濃度は減少する。上記のように、排ガス中に 無水硫酸(SO 3 )と水銀が共存する場合には、灰中の未燃分 の活性点にSO 3 が水銀よりも優先的に吸着されると考えられ る。したがって、無水硫酸(SO 3 )と水銀が共存する排ガス中に吸着剤を添加 ることで、吸着剤の吸着活性点に効率よくSO 3 が吸着されると推測される。

 吸着剤としては、この場合、平均粒径15μ mの粉末活性炭を使用したが、その他にも吸 性能を持ち、かつ硫酸ミストが付着してい い煤塵回収灰(石炭灰)やシリカゲル、アルミ ナ、ゼオライト、合成ゼオライト、金属酸化 物等が使用できる。

 熱回収器11の前段で無水硫酸(SO 3 )が除去された排ガスは、熱回収器11出口での 温度低下により水銀が煤塵に吸着し、具体的 には、吸着剤の添加で灰中のHg濃度50μg/kgか 300μg/kgへ増加した。

 また水銀の他の重金属、たとえばセレン(Se) 、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr )、ヒ素(As)などは、水銀より蒸気圧が低く、 式集塵機4での活性炭による捕集性能は高い が、本発明の適用により、表1に示すように 集性能に改善が見られる。また、煙突8の前 測定装置9では、連続水銀分析計、NOx計、SOx 計で排ガス中の有害成分を連続監視し、NOx15p pm、SOx30ppm、Hg濃度0.2μg/m 3 N以下であることを確認した。

 図7に示す実施例は図1に示す排ガス処理 ステムの再加熱器13を使用しないで排ガス系 統以外からの熱の授受により熱回収器11の出 排ガス温度を調整する排ガス処理システム 構成図を示す。

 図7に示す構成は、ボイラ1、脱硝装置2、空 予熱器3、電気集塵器4,熱回収器11、誘引フ ン5、湿式脱硫装置6、脱硫ファン7、測定装 9、煙突8、無水硫酸(SO 3 )除去剤供給装置18、熱回収器出口の温度計20 制御装置24は実施例1と同一のものであり、 の説明は省略する。

 本システムでは熱回収器11で排ガスより 回収した熱媒は熱媒循環管路15-1より給水加 器25に導入され,ボイラ1の給水加熱を行った 後,熱媒循環管路15-2により再び熱回収器11に 入される。熱媒はポンプ10により熱回収器11 給水加熱器25との間に熱媒が循環されるよ になっている。

 また、熱回収器11の出口排ガス温度を測 する排ガス温度計20を設けている。また排ガ ス温度計20の測定結果に基づき熱回収器11の 口排ガス温度を制御する熱媒ポンプ10による 熱媒循環量などを決める制御装置24を設置し いる。

 なお、熱媒流量による排ガス温度の制御 、前記熱媒を冷却する手段、前記熱媒を加 する手段及び前記熱回収器11に通流する熱 管路15-1、15-2の入口と出口を短絡するバイパ ス管26を設置し、該バイパス管26内の熱媒流 を調整する熱媒流量調整弁27を用いることに よっても可能である。

 本システムには図2に示す乾式電気集塵機4 出口排ガス中のSO 3 濃度を測定するSO 3 濃度計21、排ガス中の塩化水素濃度を測定す 塩化水素濃度計22及び重金属濃度を測定す 重金属濃度計23に設ける構成を採用してもよ い。その場合は、SO 3 除去剤供給装置18からの中和剤の供給量は、S O 3 濃度計21、塩化水素濃度計22及び重金属濃度 測定する重金属濃度計23の少なくともいずれ かの測定値に基づき制御装置24の指令で制御 れる。

 本システムによれば,ボイラ給水が加熱され ることにより,ボイラの効率向上にも寄与で る。また、本システムでは、無水硫酸除去 により無水硫酸(SO 3 )がほとんど存在しない排ガス中を熱回収器11 により冷却するための,排ガス中の水銀など 重金属が効果的に煤塵に吸着され、回収灰 の水銀などの重金属濃度が大幅に増加し、 ス中の50%以上の水銀を除去でき、後段の湿 排煙脱硫装置6での水銀除去も含めて排ガス の99%以上の水銀を除去できた。

 本発明によれば、煙突などから排出され 排ガス中の水銀などの重金属濃度を低減す ことができる。したがって、本発明は燃焼 より放出される重金属を効果的に低減する 術として、環境分野に限らず工業などの様 な技術分野においても利用可能性がある

本発明の実施例1、3、4の排ガス処理シ テムの構成図である。 本発明の実施例2、3、4の排ガス処理シ テムの構成図である。 本発明の排ガス処理システムのSO 3 除去剤として還元剤を用いた各種条件での集 塵機の回収灰中の水銀濃度を示した図である 。 本発明の排ガス処理システムにおける ガス中の無水硫酸に対するモル当量の中和 を添加した場合の排ガス中の水銀濃度の変 を示す。 本発明の排ガス処理システムにおける排ガス 中の無水硫酸に対するモル当量の中和剤を添 加した場合の排ガス中の酸性物質(SO 3 、HCl)濃度の変化を示す。 本発明の排ガス処理システムの還元剤 給量と酸性ガス濃度の関係を示した図であ 。 本発明の排ガス系統以外からの熱の授 により熱回収器の出口排ガス温度を調整す 排ガス処理システムの構成図である。 従来技術の排ガス処理システムの構成 である。 従来技術の排ガス処理システムの構成 である。

符号の説明

1 燃焼装置     2 脱硝装置
3 空気予熱器    4 乾式電気集塵機
5 誘引ファン    6 湿式排煙脱硫装置
7 ブースアップファン
8 煙突       9 測定装置
10 ポンプ     11 熱回収器
13 再加熱器    15 熱媒循環管路
16 水銀吸着剤供給装置 
18 SO 3 除去剤供給装置
20 温度計
21 SO 3 濃度計   22 塩化水素濃度計
23 重金属濃度計  24 制御装置
25 給水加熱器   26 バイパスライン
27 熱媒流量調整弁 28 ボイラ給水ライン温 計