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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF EMBEDDING INSERT PART
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/040906
Kind Code:
A1
Abstract:
Relating to a substrate obtained by, by means of a metal coating, metallizing the whole surface of a frame of thermoplastic resin having an insert part embedded in an area thereof, a method of embedding an insert part while avoiding any attachment of the metal coating to, in particular, the female screw within the insert part. The first mode of the method comprises in advance forming metal coating (5) on the whole surface of frame (1) including through hole (4) within the frame and thereafter performing hot press fitting of insert part (2) in the through hole (4). The second mode of the method comprises, prior to forming the metal coating (5) on the frame (1) fitted with the insert part (2), providing masking member (16) covering the whole surface of female screw (3) of the insert part (2).

Inventors:
KUMAI TOSHIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/068707
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
FUJITSU LTD (JP)
KUMAI TOSHIO (JP)
International Classes:
B29C65/48; B29C65/44; B29C65/64
Foreign References:
JP2001211015A2001-08-03
JPH11156944A1999-06-15
JPH08258158A1996-10-08
JPS621525A1987-01-07
JP2000135741A2000-05-16
JP2002001824A2002-01-08
Attorney, Agent or Firm:
AOKI, Atsushi et al. (Toranomon 37 Mori Bldg. 5-1,Toranomon 3-chome, Minato-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 貫通孔を一部に有し該貫通孔内面も含めて全表面が金属皮膜によりメタライズされた熱可塑性樹脂からなるフレームに、前記貫通孔において、金属よりなるインサート部品を埋め込む方法において、
 少なくとも前記インサート部品を所定温度に加熱する工程と、
 前記加熱により軟化した前記貫通孔内面と、前記インサート部品の外周面との間に、該貫通孔内面の前記金属皮膜と共に軟化した樹脂を閉じ込めるように、該インサート部品を該貫通孔内に圧入する工程と、
 を有することを特徴とするインサート部品の埋め込み方法。
 前記インサート部品の外周面の一部にその円周に沿って少なくとも一条の溝を有し、該溝内に、前記金属皮膜と共に前記の軟化した貫通孔内面を埋め込むことを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記インサート部品の外周面に予め樹脂層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記樹脂層は、硬化反応型樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記硬化反応型樹脂は、速硬化エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記樹脂層は、軟質系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記軟質系樹脂は、ポリアミド樹脂またはウレタン樹脂であることを特徴とする請求項6に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記インサート部品の外周面に予め電気めっき層または浸漬はんだめっき層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記金属皮膜が下記の、材質および膜厚の組
     ・Ni皮膜:膜厚3~100μm
     ・Sn合金皮膜:膜厚3~200μm
     ・AL合金皮膜:膜厚3~200μm
     ・Au皮膜:膜厚3~200μm
     ・Ag合金皮膜:膜厚3~200μm
     ・Cr皮膜:膜厚3~100μm
     ・C皮膜:膜厚3~400μm
 のいずれかの組からなることを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記金属皮膜は、
 ・無電界めっきまたは電界めっき等の湿式プロセッス法
 ・真空蒸着法
 ・スパッタリング法
 ・電子ビーム法
 のいずれかにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記貫通孔の、前記インサート部品の挿入側の一端のみが開口でその他端は閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 熱可塑性樹脂からなるフレームに、内側に雌ねじが形成された金属よりなるインサート部品を埋め込みさらに、全面を金属皮膜によりメタライズするようにした、インサート部品の埋め込み方法において、
 前記フレーム内に前記インサート部品を固定する工程と、
 前記フレーム内に固定された前記インサート部品内側の前記雌ねじの表面部分を覆うように、マスキング部材を封入する工程と、
 前記マスキング部材と共に前記フレーム全面を前記金属皮膜によりメタライズする工程と、
 前記メタライズ後に、前記マスキング部材を除去する工程と、
 を有することを特徴とするインサート部品の埋め込み方法。
 前記のマスキング部材を封入する工程において、該マスキング部材は、前記雌ねじと噛み合う樹脂製の雄ねじからなることを特徴とする請求項12に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記のマスキング部材を封入する工程において、該マスキング部材は、前記雌ねじと噛み合う金属製の雄ねじからなり、かつ、該金属製の雄ねじの表面部分に樹脂層を形成することを特徴とする請求項12に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記樹脂層は、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂またはシリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項12に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記のマスキング部材を封入する工程において、該マスキング部材は軟質シリコーンゴムからなり、該軟質シリコーンゴムを押し込み治具にて前記雌ねじ部分に押し込むことを特徴とする請求項12に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記のマスキング部材を封入する工程において、前記雌ねじ部分に樹脂製の中空パイプを挿入し、該中空パイプ内を空気で充填しさらにその両端を封止して前記マスキング部材とすることを特徴とする請求項12に記載のインサート部品の埋め込み方法。
 前記のマスキング部材を封入する工程において、該マスキング部材は、前記雌ねじ部分内に押し込むようにスクリーン印刷される、パラフィンからなるペースト状の印刷インクであることを特徴とする請求項12に記載のインサート部品の埋め込み方法。
Description:
インサート部品の埋め込み方法

 本発明は、電子機器の一構成部品である レーム(基板)の一部に「ねじ」を形成する めの方法、特に熱可塑性樹脂にメタライズ たフレームの一部に、インサート式のねじ 品であるインサート部品を埋め込むための 法に関する。

 電子機器、例えば携帯電話機には、それ れ役割の異なる複数のフレーム(基板)が内 されている。その1つに一例として電磁シー ド板がある。この電磁シールド板は従来は 導電性で軽量かつ高強度といった要求を満 すために、マグネシウム合金、アルミニウ 合金、チタン合金等の軽金属合金材が用い れてきた。

 ところが近年、上記の要求の他に、高熱 導性、高光学反射性(例えばLCDの反射照明板 としての機能も兼備)といった要求、さらに 設計自由度の拡大、加工精度の向上、量産 、コストダウン等の要求も加わり、これら 要求をも満たす上記フレームの素材として 可塑性樹脂を用い、これに金属めっき(メタ イズ)を施すという製法が一般的になってき た。

 このように熱可塑性樹脂のプレートに金 皮膜をメタライズしてなるフレームは、上 のマグネシウム合金製のフレームと同程度 軽量性と高強度性を実現すると共に、上述 たさらなる要求をも満足することができる その性能(曲げ弾性率と比重)の一例は下記 ごとくである。

 ・マグネシウム合金(AZ91D)         =33GPa  比重=1.80
 ・PC+ASA-CF10にNiめっき60μ/両面 =33GPa 比重=1. 60
 なお、下段のPC+ASA-CF10は、熱可塑性樹脂か なる高強度キャビネット材料として市販さ ている。

 このように樹脂製フレームは軽金属合金 フレームよりも優れた性能を備えるものの 逆に、ねじの形成といった点では不都合が る。フレームには、該フレームと他の回路 品や基板との固定、フレーム自体の筐体と 固定等、といった目的で、フレームに複数 ねじを設ける必要がある。このねじの形成 、上記の合金の場合は容易であるものの、 記の樹脂の場合にはこれに直にねじを切る とはできないため、金属製のインサートね 部品(インサート部品)を該樹脂に埋め込む とによって、ねじの形成を行う必要がある このインサート部品内には予め所望のねじ 形成されている。

 なお本発明のインサート部品に関連する 知例としては、下記の〔特許文献1〕および 〔特許文献2〕がある。〔特許文献1〕におい は、フレームからインサート部品が抜け落 たり、またインサート部品がフレームにし かり固定されずに回転したりすることを防 する構造が提案され、また〔特許文献2〕は 、インサート部品をフレームの表面に対して 傾くことなく、フレームの中間層に容易かつ 低コストで埋め込むことを目的としたインサ ート部品の埋め込み方法が提案されている。

特開平10-26122

特開2002-46187

 メタライズされたフレームに対してインサ ト部品を埋め込む典型的な方法は、
 (1)フレームを形成するための金型内にまず ンサート部品を置いて、次にこれを包囲す ように該金型内に該フレームとなる樹脂を し込み、さらに固化した後、
 (2)インサート部品の埋め込み済みフレーム 体をNi等の金属でめっきする(メタライズ)、
という工程からなる。

 このような工程を適用すると、上記工程( 2)において、インサート部品の内ねじ(雌ねじ )の表面部分にも当然、上記のめっきによる 属皮膜が付着形成される。そうすると、後 工程で、上記フレームに例えばプリント回 基板を固定するために上記雌ねじに雄ねじ 締め付ける際、上記の雌ねじに付着形成さ た金属皮膜が雄ねじによってこすり取られ 脱落し、金属の切粉が発生する。この切粉 例えば上記プリント回路基板の上に落ちて 路ショートをひき起こす、といった問題が じる。あるいは、上記の携帯電話機のLCD画 上にその切粉が入り込むと、これが異物と てユーザの目に映る、といった問題が生じ 。

 また雌ねじの仕様(外形やねじピッチ)を 定する際に、この雌ねじに付着形成される 属皮膜の厚みとそのバラツキを予め考慮に れておかなければならず、設計時の雌ねじ 選択が容易には行えない、といった問題も る。

 これらの問題に対処するために、インサ ト部品内部の雌ねじの表面に、樹脂製のレ ストを予め塗布しこれをマスキングしてか 、フレームの全面を金属でめっきするとい 手法も考えられた。しかしこの手法による 、めっき液の温度(40℃~60℃)によって、レジ スト内に一緒に巻き込まれたボイドが加熱膨 張して破裂したり、レジスト剥離の際に用い る溶解液によってフレームに傷が付いたり、 またその剥離がきれいにかつ安全には行えな い、といった問題もある。

 一般的に、孔内を精度よくマスキングす 方法として、感光性レジストを印刷し、紫 線硬化してめっき後、有機溶剤にて剥離を う、いわゆるホトリソグラフィ技術を利用 る方法もあるが、コストが高いという問題 ある。

 したがって本発明は、上記諸問題点に鑑 、根本的に切粉を発生させないようにする とができ、また、マスキング法を採用する しても、上記のレジストを不要にすること できる、インサート部品のフレームへの埋 込み方法を提供することを目的とするもの ある。

 本発明の第1の形態によれば、貫通孔を一 部に有しこの貫通孔内面も含めて全表面が金 属皮膜によりメタライズされた熱可塑性樹脂 からなるフレームに、その貫通孔において、 金属よりなるインサート部品を埋め込む方法 において、(1)少なくともこのインサート部品 を所定温度に加熱する工程と、(2)その加熱に より軟化した貫通孔内面と、インサート部品 の外周面との間に、貫通孔内面の金属皮膜を 軟化した樹脂と共に閉じ込めるように、イン サート部品を貫通孔内に圧入する工程と、を 有する。なお前記の貫通孔は、前記インサー ト部品の挿入側の一端のみが開口でその他端 は閉塞されているものであってもよい。

 また本発明の第2の形態によれば、熱可塑 性樹脂からなるフレームに、内側に雌ねじが 形成された金属よりなるインサート部品を埋 め込みさらに、全面を金属皮膜によりメタラ イズするようにした、インサート部品の埋め 込み方法において、(1)上記のフレーム内に上 記のインサート部品を固定する工程と、(2)そ の固定されたインサート部品内側の雌ねじの 表面部分を覆うように、マスキング部材を封 入する工程と、(3)このマスキング部材と共に フレーム全面に、金属皮膜によりメタライズ する工程と、(4)そのメタライズ後に、上記の マスキング部材を除去する工程と、を有する 。

 上記本発明の第1の形態によれば、貫通孔 を含めてフレーム全面に先に金属めっきを施 してから、後でその貫通孔(内面に金属皮膜 付着している)にインサート部品を加熱圧入 るから、インサート部品内の雌ねじ部分に 元々金属めっきが付くことはあり得ない。 たがって、問題となる上記の切粉も根本的 発生し得ない。これは、従来の「先インサ ト→後めっき」といった典型的な工程順で ったのを、「先めっき→後インサート」と うようにその工程順を逆にするという、発 の転換に基づく。

 しかしこの逆工程の場合、貫通孔内面に 着形成されていた金属皮膜を、該貫通孔部 の熱可塑性樹脂中に巻き込んでインサート るため、そのインサート部品のフレームに する引張強度と回転トルク力とを低下させ ようでは、上記の問題点を解決したことに ならない。そこでこれらの引張強度と回転 ルク力とを、所定の試験機により測定した ころそれぞれ平均値として、145Nおよび40N・ cmといった高い測定値が得られ、実用上全く 題ないことを確認した。

 また上記本発明の第2の形態によれば、従 来のマスキング法として一般的なレジストを 全く用いることなく、例えば樹脂製の雄ねじ やシリコーンゴムのプラグといったマスキン グ部材のみで十分、雌ねじ表面への金属皮膜 の付着形成を防止できることが分かった。

図1は、本発明の第1の形態による方法 工程(A)および(B)として示す図である。 図2は、インサート部品2をフレーム1に め込むまでの様子を、(A),(B),(C)および(D)の 様でさらに具体的に示す図である。 図3は、インサート不良状態の第1例を 面図(A)と底面図(B)にて示す図である。 図4は、インサート不良状態の第2例を 面図(A)と底面図(B)にて示す図である。 図5は、本発明の第1の形態に基づく第2 別実施例を3つの態様(A),(B)および(C)に示す である。 図6は、本発明の第1の形態に基づく第2 別実施例を3つの態様(A),(B),および(C)にて示 図である。 図7は、さらに別の実施例を示す図であ る。 図8は、インサート部品2の引張試験を 明するための図である。 図9は、インサート部品2の回転トルク を説明するための図である。 図10は、本発明の第2の形態による方法 を工程(A)および(B)として示す図である。 図11は、本発明の第2の形態に基づく第 1例を示す断面図である。 図12は、本発明の第2の形態に基づく第 2例を示す断面図である。 図13は、本発明の第2の形態に基づく第 3例を3つの工程(A),(B)および(C)により示す図で ある。 図14は、本発明の第2の形態に基づく第 4例を3つの工程(A),(B)および(C)により示す図で ある。 図15は、本発明の第2の形態に基づく第 5例を3つの工程(A),(B)および(C)により示す図で ある。 図16は、インサート部品を埋め込んだ レームの一例を示す図である。 図17は、従来の一般的なインサート工 (A),(B)および(C)を示す図である。 図18は、図17の工程によるインサート 品埋め込みフレーム(樹脂母体)の詳細例を3 の態様(A),(B)および(C)により示す図である。

符号の説明

 1  フレーム
 2  インサート部品
 3  雌ねじ
 4  貫通孔
 5  金属皮膜
 6  雄ねじ
 7  他の回路基板(あるいは外装ケース)
 8  溝
 9  ロレットねじ目
 12  樹脂層
 12a  硬化反応型樹脂
 12b  軟質系樹脂
 13  めっき層
 16  マスキング部材
 17  マスキング用雄ねじ
 18  マスキング用雄ねじ
 19  樹脂層
 20  マスキング部材(軟質シリコーンゴム)
 22  中空パイプ
 26  印刷インク

 まず初めに従来の技術を簡単に説明する 、図16はインサート部品を埋め込んだフレ ムの一例を示す図であり、携帯電話機の一 分の分解斜視図である。本図中、参照番号1 全面メタライズされた熱可塑性樹脂からな フレームであり、このフレーム1の中にイン サート部品2(図では3ヶ所)が埋め込まれてお 、全体として電磁シールド板として機能す 。

 図17は従来の一般的なインサート工程(A),(B) よび(C)を示す図である。本図において、
 工程(A)では、加熱したインサート部品2をフ レーム1の貫通孔4に向けて位置合せし、
 工程(B)では、加熱したインサート部品2によ り貫通孔4近傍を軟化させつつ、これをフレ ム1内に圧入し、
 工程(C)は、インサート部品2を圧入し終えた フレーム1の全表面を、金属皮膜5によりめっ するメタライズ工程である。このとき、イ サート部品2の内側に形成されている雌ねじ 3の表面全体にも金属皮膜5が付着する。この 着した金属皮膜5が前述した問題の切粉の元 となる。

 図18は図17の工程によって製作されるイン サート部品埋め込みフレームの詳細例を3つ 態様(A),(B)および(C)により示す図である。本 の例では、雄ねじ6によって他の回路基板( るいは外装ケース)7をインサート部品2の雌 じ3と共に、フレーム1に締め付ける様子を(A) に示す。

 本図(B)はその締め付け部分の拡大図であ 。この雄ねじ6を雌ねじ3に締め付ける際に 述した問題の切粉が発生する。本図(C)には その切粉の元になる、雌ねじ3の表面に付着 た金属皮膜(Ni)5をやや拡大して示す。

 図1は本発明の第1の形態による方法を工程(A )および(B)として示す図である。本図におい 、
 少なくともインサート部品2を所定温度に加 熱(フレームも一緒に加熱してもよい)する工 (A)と、
 その加熱により軟化した貫通孔4の内面と、 インサート部品2の外周面との間に、貫通孔4 内面の金属皮膜5を軟化した樹脂と共に閉じ 込めるように、インサート部品2を貫通孔4内 圧入する工程(B)と、を示す。さらに詳しく 次のとおりである。

 例えばPC+ASA-CF10材(その他、ABS,PMMA,PC,PA、 リ乳酸系、植物性樹脂等)による樹脂フレー (厚み2mm)1にインサート部品2を挿入するため の貫通孔(φ2.7)4が開いている。このフレーム1 の全面にCu無電解めっきを3μm程度形成後、Ni( その他、Sn,Zn,Au,Ag,Cr,ハステロイド合金等)無 解めっきを30μmの厚みに全面めっきすると、 Mg合金と同等程度の強度が得られ、また高い 電性も得られて、該フレーム1を例えば電磁 シールド板として機能させることができる。

 次に、外径3.0mmのインサート部品2を、約1 20℃に加熱した状態で加熱圧入すると、樹脂 レーム1全体が軟化し、その圧入の力により Niめっき膜も細かく破砕されてインサート部 2の溝8内に押し込まれる。すなわち、本発 の第1の形態においては、インサート部品2の 外周面の一部にその円周に沿って少なくとも 一条の溝(図2では二条の溝)8を有し、この溝8 に、金属皮膜5と共に軟化した貫通孔4内面 埋め込むことを特徴としている。

 フレーム1全体の冷却後に性能試験をする と、インサート部品2の垂直引張力として120N 度が得られ、回転トルク力として240N・cm程 が得られた。その後ねじ3と6で、例えばプ ント回路基板を締め付けることによって強 が補強され、あるいは電磁シールドが得ら る。

 この場合、インサート部品2とフレーム1 貫通孔4との間の嵌合力によって高い密着強 が得られる。このときこれらの間の寸法関 のバランスにより適正な嵌合性が得られる うにする。もしインサート部品2の外径が過 大であると、貫通孔4の部分にクラックが入 破壊される。

 また、インサート部品2の加熱温度が低い とクラックが発生し、逆に高過ぎるとフレー ム1が変形して余剰の樹脂が盛り上がる。こ 余盛は平坦な上記嵌合性に悪影響を与える 合が多く、また後に共締めする他の回路基 7との締結に支障が生じる。また、その余盛 過剰になると、インサート部品2の雌ねじ3 に樹脂が流れ込み、確実な締結ができなく る等、信頼性に悪影響が出る。なおインサ ト部品2の加熱温度は、フレーム1を構成する 樹脂のビッカト軟化点温度近傍とすれば、ほ ぼ適正なインサートが行える。

 図2はインサート部品2をフレーム1に埋め むまでの様子を(A),(B),(C)および(D)の態様で らに具体的に示す図である。本図の(A)では インサート部品2の他の例として、二条の溝8 とロレットねじ目9を有するインサート部品 示している。

 本図の(B)は、インサート部品2をフレーム 1の貫通孔4内に加熱圧入した状態を示し、本 の(C)は、(B)のインサート部品2を下方から見 たときの平面図を示す。

 本図の(D)は、(B)における、フレーム1に埋 め込まれたインサート部品2を拡大して示す 面図である。(D)において、5aは軟化した樹脂 (1)が金属皮膜5と共に溝8内に流れ込む様子を し、5bは金属皮膜5の破片を表し、5cは金属 膜5の破砕部を表す。本図における(B)~(D)は、 インサートが良好な状態をもって行われたこ とを表す。一方、インサートが良好でない状 態については、後述の図3および図4に示す。

 図2の説明を補足すると次のとおりである 。本図に示した例によれば、インサート部品 (例えば、178WR13-BZ5A、アイテック社製)2の仕様 は、材質がBS(黄銅)製、雌ねじ3がM1.6×0.35、全 長が2.0mmm、ロレット部9の直径が3.0φであって 、約260℃に加熱したインサート治具(圧入ビ ト)をインサート部品2の頭部に接触させる。

 約3秒間加熱保持すると、熱伝導により樹 脂フレーム1の軟化が開始する。その軟化し タイミングで挿入本圧力(0.2MPa程度)をかける と、インサート部品2が樹脂フレーム1の貫通 4内にスムーズに入り込み、インサート作業 が終了する。

 上記の圧入の力により、軟化したフレー 樹脂(樹脂は溶融はしない)は、インサート 品2の溝(キャビティ)8に押し込まれ、同時に 属皮膜(約30μm厚)5も破断して粉砕され、軟 した樹脂と共に溝8内押し込まれていく。

 図3はインサート不良状態の第1例を断面 (A)とその底面図(B)にて示す図である。この 1例では、樹脂(1)の軟化不足により、すなわ インサート時の加熱不足により、クラック1 0が発生した様子を示す。

 図4はインサート不良状態の第2例を断面 (A)とその底面図(B)にて示す図である。この 2例では、樹脂(1)の軟化過剰により、すなわ インサート時の加熱温度過剰及び/又は圧入 力過大により、前述した樹脂の余盛11が現れ 様子を示す。

 次に本発明の第1の形態に基づく別実施例 について説明する。この別実施例は、インサ ート部品2の外周面に予め樹脂層(12)を形成す 工程をさらに有することを特徴とするもの あり、その具体的な第1例(図5)と第2例(図6) 以下に示す。

 図5は本発明の第1の形態に基づく第1の別 施例を3つの態様(A),(B)および(C)にて示す図 ある。この例では、上記の樹脂層(12)は、硬 反応型樹脂12aからなり、好適例として該硬 反応型樹脂12aは、速硬化エポキシ樹脂であ 。

 本図(A)はインサート部品単体の断面図を し、(B)はそのインサート部品2の外周面に上 記の硬化反応型樹脂(速硬化エポキシ樹脂)12a 塗布した状態を示す。これをフレーム1の貫 通孔4内に加熱圧入した状態を(C)に示す。

 さらに具体例を説明すると、インサート 品2に速硬化エポキシ樹脂(MR-8128N、パナソニ ックファクトリーソルションズ(株)製)12aを塗 布しておき、このインサート部品2を約120℃ 加熱し、10秒間保持する、というインサート 作業を行う。この場合フレーム樹脂(1)が軟化 してインサート部品2と接合する機能にさら 接着剤(12a)による密着効果が加わるため、垂 直引張力は150N程度、回転トルク力は50N・cm程 度にまで向上する。なお、数秒間のインサー ト後フレーム1全体に対し、120℃×1分間のア ターベーキングを行って速硬化エポキシ樹 を完全硬化させる工程を採用してもよい。

 図6は本発明の第1の形態に基づく第2の別 施例を3つの態様(A),(B)および(C)にて示す図 ある。この例では、前述した樹脂層(12)は、 質系樹脂12bからなり、好適例として該軟質 樹脂12bは、ポリアミド樹脂またはウレタン 脂である。

 本図の(A),(B)および(C)は、上述した図5の(A ),(B)および(C)にそれぞれ対応する。

 さらに具体例を説明すると、インサート 品2の外周面に、溶融したPA(ポリアミド)樹 を約20μmの厚みに塗布する(B)。その状態で部 品2を貫通孔4にインサートすると、塗布され PA樹脂が適性な弾力性をもつことから(PA樹 は溶けない)、インサート壁との摩擦抵抗力 増大し、インサート後の部品2の抜けにくさ を評価する引張強度が増大する。

 前述した図1および図2の構造と比較する 、インサート部品2の垂直引張力は140N程度、 回転トルク力は50N・cm程度にまで向上する。 おPA樹脂の代替としては、ABS,PS、硬質ゴム の有機物質を用いても同等の機能と効果が 揮される。

 図7はさらに別の実施例を表す図であり、 インサート部品2の外周面に予め電気めっき または浸漬はんだめっき層を形成する工程 さらに追加することを特徴とする。具体例 して、インサート部品2の外周面にSn主成分 鉛フリーはんだ材(例えばSn-Ag3-Cu0.5、融点217 )を電気めっきあるいは浸漬はんだめっきし 、このはんだ材を溶融させずに樹脂フレーム (1)に熱インサートしてもインサート強度を向 上させることができる。その理由は、はんだ 材は柔らかく、表面ざらつき(凹凸)があるこ から、インサート部品2の壁面の摩擦抵抗が 増大し、インサート部品2の引張強度と回転 ルク力が増大するからである。

 図1~図7に示す本発明の第1の形態において用 いる金属皮膜5について補足説明すると次の おりである(なお、後述する本発明の第2の形 態における金属皮膜5についても同様である) この金属皮膜5は、下記の、材質および膜厚 の組、すなわち
     ・Ni皮膜:膜厚3~100μm
     ・Sn合金皮膜:膜厚3~200μm
     ・AL合金皮膜:膜厚3~200μm
     ・Au皮膜:膜厚3~200μm
     ・Ag合金皮膜:膜厚3~200μm
     ・Cr皮膜:膜厚3~100μm
     ・C皮膜:膜厚3~400μm
 のいずれかの組からなる。

 またその金属皮膜5は、
 ・無電界めっきまたは電界めっき等の湿式 ロセッス法
 ・真空蒸着法
 ・スパッタリング法
 ・電子ビーム法
 のいずれかにより形成される。

 図8はインサート部品2の引張試験を説明す ための図であり、
 図9はインサート部品2の回転トルク力を説 するための図である。

 図8において、インサート部品2がフレー 1の貫通孔4内に埋め込まれた完成品に対し、 該インサート部品2の雌ねじ3に引張試験用雄 じ14を嵌入させた状態で、該引張試験用雄 じ14を矢印の方向に引張り上げる。そしてイ ンサート部品2がフレーム1から離脱するとき 引張強度(N)を測定する。

 一方図9においては、同様にして今度は回 転試験用雄ねじ15を、図中矢印の方向に回転 せ、その回転力がインサート部品2とフレー ム1との接合強度限度を超えて、該インサー 部品2が回転し始めるときの回転トルク力(N cm)を、トルクドライバにより測定する。こ らの結果を下記の表に示す。

 次に本発明の第2の形態について説明する。 図10は本発明の第2の形態による方法を工程(A) および(B)として示す図である。この方法は、
 例えば金型内にインサート部品2を置いて熱 可塑性樹脂を流し込むことにより、フレーム 1内にインサート部品2を固定する工程と、
 そのフレーム1内に固定されたインサート部 品2の内側の雌ねじ3の表面部分を覆うように マスキング部材16を封入する工程と(図10の(A )参照)、
 そのマスキング部材16と共にフレーム1全面 金属皮膜5によりメタライズする工程と、
 このメタライズ後に、マスキング部材16を 去する工程と(図10の(B)参照)、
からなる。

 図11は本発明の第2の形態に基づく第1例を 示す断面図である。本図に示すようにこの第 1例では、上述のマスキング部材16を封入する 工程において、そのマスキング部材16は、雌 じ3と噛み合う樹脂製のマスキング用雄ねじ 17からなることを特徴とするものである。

 図12は本発明の第2の形態に基づく第2例を 示す断面図である。本図に示すようにこの第 2例では、上述のマスキング部材16を封入する 工程において、そのマスキング部材16は、雌 じ3と噛み合う金属製のマスキング用雄ねじ 18からなり、かつ、この金属製の雄ねじ18の 面部分に樹脂層19を形成することを特徴とす るものである。

 上記の樹脂層19としては、ポリアミド樹 、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂また シリコーン系樹脂を用いることができる。

 図13は本発明の第2の形態に基づく第3例を 3つの工程(A),(B)および(C)により示す図である 本図において、20は軟質シリコーンゴム製 マスキング部材であり、21はこれをインサー ト部品2の雌ねじ3内に押し込む押し込み治具 ある。すなわち上述のマスキング部材16を 入する工程において、そのマスキング部材16 は軟質シリコーンゴム20からなり、この軟質 リコーンゴム20を押し込み治具21にて雌ねじ 3の部分に押し込むことを特徴とするもので る。その後は、このシリコーンゴム20をイン サート部品2から抜き取る。

 例えば図示するように球状の軟質シリコ ンゴム(ゴム硬度20度)20をインサート部品2の 雌ねじ3内に圧入した後、Niめっき(5)を行い、 その後その軟質シリコーンゴム20を抜き取る 、金属(Ni)めっき皮膜が雌ねじ3に付かない ンサート部品2が実現できる。なお、シリコ ンゴムは、柔軟性、耐熱性、耐薬品性に優 ており、めっき液温60℃にも耐えるから、 り返し使用ができる。またその他、EPDMゴム フッ素系ゴムでもよい。

 図14は本発明の第2の形態に基づく第4例を 3つの工程(A),(B)および(C)により示す図である 本図に示すようにこの第4例では、上述のマ スキング部材16を封入する工程において、雌 じ部分(3)に樹脂製の中空パイプ22を挿入し この中空パイプ22内を空気で充填し(エアブ ー23)、さらにその両端を封止部24および25に 封止してマスキング部材とすることを特徴 するものである。その後はこの風船状の中 パイプ22をインサート部品2から除去する。

 例えばポリエチレンチューブをインサー 部品2の雌ねじ3内に挿入し、エアーブロー23 を行い、チューブを雌ねじの壁面に密着させ る。その後、加熱封止して(24,25)マスキング 行う。次にめっき工程に入りめっき(5)の終 後、中空チューブ22を抜き取るか、パンクさ せてその衝撃により抜き取る。なお、めっき 液温度は約60℃であるが、ポリエチレンチュ ブには耐熱性があり、また耐薬品性も高い 、めっき液も付着しない。

 図15は本発明の第2の形態に基づく第5例を 3つの工程(A),(B)および(C)により示す図である 本図に示すようにこの第5例では、上述のマ スキング部材16を封入する工程において、こ マスキング部材16は、雌ねじ部分3内に押し むようにスクリーン印刷される、パラフィ からなるペースト状の印刷インク26である とを特徴とするものである。

 例えば、ポリエチレン系パラフィン(融点 約108℃)を、アルコール等の高沸点有機溶剤 て溶解してペースト状の印刷インク26を作製 する。次に印刷インク26をスクリーン印刷す 。この場合、インサート部品2の雌ねじ3内 負圧の吸引状態にしておけば、より確実に ねじ3内にパラフィンを充填することができ 。

 さらに乾燥後、めっき(5)を行い、めっき 成後アセトン等の有機溶剤にて印刷パラフ ンを取り去る。ポリエチレン系パラフィン 融点は108℃程度であって、めっき液温60℃ 対し軟化しないので、離脱に耐え得る。ま 、ポリエチレン系パラフィンは、120℃程度 加熱すれば溶融して液状になり、エアーや 水、水蒸気等の吹き付けにより除去できる で、有機溶剤は不要となり、環境のVOC(volatil e organic compounds)対策にも好都合である。