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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF MEASURING ACTIVITY OF CULTURED CELLS, MICROCHAMBER, MICROCHAMBER ARRAY, CULTURE CONTAINER AND DEVICE FOR MEASURING ACTIVITY OF CULTURED CELLS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157211
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of measuring the activity of cultured cells which comprises a dividing procedure and a measuring procedure.  By the dividing procedure, a microchamber surrounding the cells to be measured is located in a culture container containing a liquid culture medium and the cultured cells and thus a space for the measurement, which is minor compared with the capacity of the culture container, is formed inside the microchamber.  By the measuring procedure, an environmental factor contained in the measurement space is measured and thus the activity of the cells to be measured is determined.

Inventors:
ICHIKI TAKANORI (JP)
SHIONO HIROFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002952
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO (JP)
NIKON CORP (JP)
ICHIKI TAKANORI (JP)
SHIONO HIROFUMI (JP)
International Classes:
C12M1/34; C12Q1/02; G01N27/416; G01N37/00
Foreign References:
JP2006115723A2006-05-11
JP2005532060A2005-10-27
JP2004081083A2004-03-18
JP2004081084A2004-03-18
Attorney, Agent or Firm:
FURUYA, Fumio et al. (JP)
History Wang of Furuya (JP)
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Claims:
 培養液および培養細胞を収容した培養容器内に計測対象の細胞を取り囲むマイクロチャンバを配置し、前記培養容器の容積に対して微少な被計測空間を前記マイクロチャンバの内側に形成する区画手順と、
 前記被計測空間に含まれる環境因子を計測し、前記計測対象の細胞の活性を求める計測手順と、
 を有することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記計測手順では、前記被計測空間を形成した後に所定の待機時間をあけて前記環境因子を計測することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記計測手順では、各々の計測時期を変化させて前記環境因子を複数回計測し、前記環境因子の量が変化する速度を求めることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記計測手順の終了後に前記培養容器から前記マイクロチャンバを除去し、前記計測対象の細胞の培養環境を復元する復元手順をさらに有することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記マイクロチャンバは、前記培養容器と接触する底面側が開放されたカップ状の部材で構成されることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記マイクロチャンバは、前記培養容器と接触する底面と、上面または側面とにそれぞれ開口部を有する筒状の部材で構成されることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項6に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記マイクロチャンバの上面または側面に形成された開口部は、前記培養液の流出入を阻害する半透過膜で覆われていることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記環境因子の量を電気信号に変換するセンサを前記被計測空間に配置するとともに、
 前記計測手順では、前記センサの出力に基づいて前記環境因子を計測することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記環境因子の量に応じて光学的な変化を示す検出プローブを前記被計測空間に配置するとともに、
 前記計測手順では、前記検出プローブによる光学的な変化に基づいて前記環境因子を計測することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 前記培養容器に前記マイクロチャンバを複数配置し、前記マイクロチャンバごとに形成された各々の前記被計測空間で前記計測手順を並行して実行することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項10に記載の培養細胞の活性計測方法において、
 複数の前記マイクロチャンバは、前記培養容器内で一定間隔をおいて2次元的に配列されることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法で用いられるマイクロチャンバであって、
 前記培養容器と接触する底面側が開放されたカップ状の部材で構成され、計測対象の細胞を内部に収容可能であることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの内面が親水性を有することを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの上面部が平坦に形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法で用いられるマイクロチャンバであって、
 前記培養容器と接触する底面と、上面または側面とにそれぞれ開口部を有する筒状の部材で構成され、計測対象の細胞を内部に収容可能であることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの上面または側面に形成された開口部は、前記培養液の流出入を阻害する半透過膜で覆われていることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの内面に、培養液に含まれる環境因子の量を電気信号に変換するセンサが配置されていることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの内面に、培養液に含まれる環境因子の量に応じて光学的な変化を示す検出プローブが固定されていることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項18に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバは、前記光学的な変化に対応した波長の光を透過する透光性材料で形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項19に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの屈折率は、培養液の屈折率と同じ値に設定されていることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバが弾性材料で形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバが酸素透過性を有する材質で形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、
 前記マイクロチャンバの表面に蛋白質の吸着を阻害する被膜が形成されていることを特徴とするマイクロチャンバ。
 請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバが同一平面上に複数配置された本体部を有し、
 各々の前記マイクロチャンバは、一定間隔をおいて2次元的に配列されていることを特徴とするマイクロチャンバアレイ。
 請求項24のマイクロチャンバアレイを、容器内の培養面上に配置可能な培養容器であって、
 培養細胞を許容する複数の第1領域と、前記第1領域よりも培養細胞の付着性を低下させた第2領域とが前記培養面上にそれぞれ形成され、
 各々の前記第1領域の形成位置は、前記マイクロチャンバアレイ上で各々のマイクロチャンバが配列される位置に対応することを特徴とする培養容器。
 培養容器内に存在する計測対象の細胞の位置を特定する位置検出部と、
 前記計測対象の細胞を取り囲むマイクロチャンバを前記培養容器内に配置し、前記培養容器の容積に対して微少な被計測空間を前記マイクロチャンバの内側に形成するマイクロチャンバ配置部と、
 前記被計測空間に含まれる環境因子を計測する計測部と、
 を備えることを特徴とする培養細胞の活性計測装置。
 
Description:
培養細胞の活性計測方法、マイ ロチャンバ、マイクロチャンバアレイ、培 容器および培養細胞の活性計測装置

 本発明は、培養細胞の活性計測方法とそ 周辺技術に関する。

 培養細胞の生物学的活性を計測する技術 、再生医療などの先端医療分野や医薬品の クリーニングをはじめとする幅広い分野に ける基盤技術となっている。一例として、 生医療分野では、インビトロで細胞を増殖 分化させるプロセスが存在する。そして、 記のプロセスでは、細胞の分化の成否、細 の癌化や感染の有無を管理するために、培 細胞の生物学的活性を計測することが不可 となる。

 一方、従来から公知の細胞の活性計測方 のうち、個々の細胞を解析した上で分離す 手法の一例としてフローセルソーターによ 計測が挙げられる。フローセルソーターで 、電荷を持たせた液滴中に蛍光染色処理後 細胞を単離して滴下する。そして、この液 中の細胞の蛍光の有無、光散乱量の大小に づいて液滴の落下方向を電界の印加で制御 、複数の容器に細胞を分画して回収するこ ができる(例えば、非特許文献1参照)。

 また、細胞の集団を対象とした活性評価 行うための手法として、液体中の物質の高 度分析を行う酵素免疫測定法(EIA)や蛍光免 測定法(FIA)、あるいは両者を組み合わせたELI SA法なども知られている。

Kamarck,M.E. Methods Enzymol. 第151巻第150頁か ら第165頁(1987年)

 しかし、フローセルソーターをはじめと る従来の計測手法では、計測対象の細胞お び周囲の培養環境に大きな影響を与えずに 個々の細胞の活性を高い感度で計測するこ が非常に困難であった。そのため、上記の ーズを満たす細胞の活性計測方法がなお探 されている。

 そこで、本発明の目的は、計測対象の細 および周囲の培養環境に対して低侵襲で、 つ計測対象の細胞の活性を高い感度で計測 るための手段を提供することにある。

 一の態様に係る培養細胞の活性計測方法 、区画手順と計測手順とを有する。区画手 では、培養液および培養細胞を収容した培 容器内に計測対象の細胞を取り囲むマイク チャンバを配置し、培養容器の容積に対し 微少な被計測空間をマイクロチャンバの内 に形成する。また、計測手順では、被計測 間に含まれる環境因子を計測し、計測対象 細胞の活性を求める。

 なお、上述の培養細胞の活性計測方法に 用されるマイクロチャンバ、マイクロチャ バアレイ、培養容器などの消耗品の構成や 上述の培養細胞の活性計測方法に適した活 計測装置の構成も、本発明の具体的態様と て有効である。

一の実施形態に係る活性計測方法の概 図 一の実施形態に係るマイクロチャンバ 構成例を模式的に示す断面図 マイクロチャンバの他の構成例を模式 に示す断面図 マイクロチャンバの他の構成例を模式 に示す断面図 他の実施形態に係る培養細胞の活性計 方法の概要を示す図 他の実施形態に係るマイクロチャンバ ートを模式的に示す部分断面図 他の実施形態で用いる培養容器の培養 と、マイクロチャンバシートとの対応関係 示す図 活性計測装置の構成例を示すブロック 活性計測装置の動作例を示す流れ図 実施例での測定系の構成を示す概略図 実施例での蛍光強度と溶存酸素濃度と の関係を示すグラフ 実施例での蛍光強度の逆数と溶存酸素 濃度との関係を示すグラフ 実施例での検量線を示したグラフ

 <一の実施形態の活性計測方法の説明>
 図1は、一の実施形態に係る培養細胞の活性 計測方法の概要を示す図である。一の実施形 態では、液体培地11とともに培養細胞12を収 したディッシュなどの培養容器13に対して、 計測対象の細胞12を取り囲むマイクロチャン 14を配置し、マイクロチャンバ14内の空間に 含まれる環境因子を測定する。

 ここで、本明細書の環境因子とは、細胞 代謝で産生または消費される物質を意味す 。一例として、環境因子には、グルコース カルシウムイオン、カリウムイオン、ナト ウムイオン、水素イオン、酸素、活性酸素 、過酸化水素、二酸化炭素、細胞が産出す タンパクやヘプタイドなど(例えばサイトカ イン、ホルモンなど)が含まれる。

 図2は、一の実施形態に係るマイクロチャ ンバ14の構成例を模式的に示す断面図である 一の実施形態のマイクロチャンバ14の全体 状は、培養容器13の培養面と接触する底面側 が開放されるとともに、上面側が閉塞された 有底円筒形のカップ状に構成されている。そ のため、マイクロチャンバ14の内側には計測 象の細胞12を収容可能となっている。そし 、一の実施形態では、培養容器13の培養面上 にマイクロチャンバ14を配置することで、培 容器13の容積に対して十分に微小な被計測 間がマイクロチャンバ14の内側に構築される 。なお、マイクロチャンバ14の大きさは、計 対象の細胞12の種類や数、計測する環境因 の種類、計測の所要時間などに応じて適宜 択されるが、一例として、その直径が50μmか ら100μm程度に設定される。

 また、一の実施形態のマイクロチャンバ1 4の内側には、環境因子センサ15および生体分 子検出プローブ16がそれぞれ固定されている 環境因子センサ15は、培養液に含まれる環 因子の量を電気化学的手段によって電気信 に変換するセンサである。一例として、環 因子センサ15は、酸素センサや各種のバイオ センサ(グルコースセンサなど)で構成される

 生体分子検出プローブ16は、環境因子の ちから選択された標的分子を特異的に補足 る分子で構成され、例えば、抗体、酵素等 タンパク質、ペプチド、糖類等を用いるこ ができる。一の実施形態では、異なる種類 生体分子検出プローブ16をパターニング等で マイクロチャンバ14の特定の位置(マイクロチ ャンバ14内の上面など)にアレイ化して固定し てもよい。この場合には、同時に多項目の網 羅的な解析が可能になる。また、標的分子を 蛍光標識等しておけば、生体分子検出プロー ブ16と標的分子との結合を容易に判断するこ ができる。なお、上記の場合には蛍光強度 よって標的分子の量を測ることもできる。

 ここで、一の実施形態でのマイクロチャ バ14は、以下の(1)から(5)の構成(あるいはこ らの組み合わせ)を有していてもよい。

 (1)光学的計測(蛍光測定、色変化の測定、 吸光度測定)によって環境因子を計測する場 には、マイクロチャンバ14内で生じる光学的 な変化に対応した波長の光を透過する透光性 材料でマイクロチャンバ14を形成することが ましい。このとき、光学的計測を容易に行 観点から、マイクロチャンバ14の屈折率は 体培地11の屈折率と同じ値に設定することが 好ましい。一例として、可視光に対する透光 性を有するとともに屈折率が液体培地11とほ 同等な材質として、非晶質フッ素樹脂(例え ば、サイトップ(登録商標))などが挙げられる 。

 また、光学的計測を行う場合には、計測 の光学像のひずみを避けるために、マイク チャンバ14の上面を平坦にしてもよい。あ いは、光学的計測でのNAを向上させるために 、マイクロチャンバ14の上面にマイクロレン を形成してもよい(この場合の図示は省略す る)。

 (2)マイクロチャンバ14は、柔軟性の高い 性材料で形成してもよい。かかる構成によ ば、例えば、外部の細胞と接合した軸索な にダメージを与えずに計測対象の細胞12にマ イクロチャンバ14を被せることができる。ま 、培養容器13の培養面に対してマイクロチ ンバ14に傾きが生じている場合にも、マイク ロチャンバ14の変形によってアライメントの 差を吸収することが可能となる。なお、マ クロチャンバ14に用いられる弾性材料とし は、例えば、シリコンゴム(ポリジメチルシ キサン)が挙げられる。

 (3)マイクロチャンバ14は、酸素透過性を する材質で形成してもよい。かかる構成に れば、比較的長時間の計測を行う場合にも マイクロチャンバ14内に細胞の培養環境を維 持できる。勿論、この場合には酸素濃度が計 測項目に含まれないことが前提となる。なお 、マイクロチャンバ14に用いられる酸素透過 材料としては、例えば、シリコンゴム(ポリ ジメチルシロキサン)が挙げられる。

 (4)被計測空間内を液体培地11で満たすこ を容易とするために、マイクロチャンバ14の 内面には、親水性被膜の形成などによって親 水性を付与してもよい。この場合には、マイ クロチャンバ14を上下に反転させて空気が入 ないように予め液体培地11を容器内に充填 、その後にマイクロチャンバ14を本来の状態 (底面側に開口がある状態)に戻しても表面張 によって容器内の液体は保持される。した って、この場合には、予め液体培地11で満 されている状態のマイクロチャンバ14を、細 胞12の上に被せることが可能となる。

 (5)マイクロチャンバ14の表面には、蛋白 の吸着を阻害する物質(ポリエチレングリコ ル(PEG)、2-メタクリロイオキシエチルホスホ リルコリン(MPC)など)で被膜を形成してもよい 。この場合には、計測が培養環境に及ぼす影 響をより低減させることができる。

 次に、一の実施形態における培養細胞の 性計測方法の各手順を具体的に説明する。

 第1の手順では、培養容器13内の上側から 計測対象の細胞12を取り囲むようにマイク チャンバ14を配置する。これにより、計測対 象の細胞12が収容されるとともに培養容器13 容積に対して微少な被計測空間がマイクロ ャンバ14の内側に形成される。

 また、熱の移動による培養環境への悪影 を抑制するために、マイクロチャンバ14は め培地11と同じ温度に保温しておくことが好 ましい。なお、被計測空間に収容する細胞12 数は複数であってもよいが、一の実施形態 はマイクロチャンバ14内に1つの細胞を収容 るものとする。

 第2の手順では、被計測空間に含まれる環 境因子を計測する。これにより、計測された 環境因子の量に基づいて、計測対象の細胞の 活性、細胞のアポトーシスや分化の度合い、 細胞の性質などを評価することができる。

 培養容器13の環境因子を測定する場合に 、培地全体に代謝物などが拡散されるため 個々の細胞に着目して環境因子を測定する とは不可能である。一方、一の実施形態で 、培養容器13内にマイクロチャンバ14を配置 て、計測対象の細胞12を含む微小な被計測 間を構成して環境因子を計測している。こ 被計測空間に含まれる環境因子は計測対象 細胞12と密接に関連するので、培養環境下に おいて計測対象の細胞12に注目した局所的な 境因子の計測が可能となる。

 また、マイクロチャンバ14内の被計測空 は培養容器13の容積に対して微小であるので 、マイクロチャンバ14の外側の環境と比べて 計測空間内では代謝物などの濃度変化がよ 大きくなる。そのため、非常に高い感度で 境因子を検出できる。また、被計測空間内 は環境因子の濃度変化が高くなるため、比 的短時間で計測を行うことが可能となる。

 さらに、一の実施形態では、細胞12の周 の空間に含まれる環境因子を計測対象とし 細胞の活性を評価する。そのため、細胞自 を計測対象とする場合と比べて計測による 胞への影響を少なくできる。また、一の実 形態では計測対象の細胞12を培養容器13内で のまま計測できるので、計測によって細胞1 2や周囲の培養環境に与える影響を極めて少 くできる。

 ここで、第2の手順での計測方法をより詳 細に説明する。具体的には、第2の手順では マイクロチャンバ14内に配置された環境因子 センサ15で被計測空間の環境因子を計測する あるいは、第2の手順では、マイクロチャン バ14内に配置した生体分子検出プローブ16や 試薬(pH指示薬など)による被計測空間の光学 な変化を顕微鏡で観察し、環境因子の光学 計測(蛍光測定、色変化の測定、吸光度測定 など)を行ってもよい。なお、上記の光学的 測で用いる生体分子検出プローブは、マイ ロチャンバ14の内面に固定するものでもよく 、マイクロチャンバ14に固定せずに培養容器1 3内の培地11に直接投入するものであってもよ い。

 また、第2の手順では、マイクロチャンバ 14内の被計測空間で代謝物を十分蓄積させる めに、被計測空間を形成した後に所定の待 時間をあけて環境因子を計測してもよい。 らに、第2の手順では、各々の計測時期を変 化させて環境因子を複数回計測してもよい。 この場合には、環境因子の量の変化と計測の インターバルとに基づいて、環境因子の量が 変化する速度を求めることが可能となる。

 第3の手順では、上記の環境因子の計測が 終了した後に、培養容器13からマイクロチャ バ14を除去する。これにより、細胞の培養 境を計測前とほぼ同様の状態に復元できる したがって、一の実施形態では、上記の第1 手順から第3の手順を繰り返すことで、培養 環境下で培養される細胞12の活性をほぼ非侵 で周期的に判断することが可能となる。

 なお、一の実施形態において、1つの培養 容器13内に複数のマイクロチャンバ14を配置 て、異なる細胞12の活性測定を並行して行う ようにしてもよい。

 <一の実施形態の変形例>
  図3、図4は、一の実施形態のマイクロチャ ンバ14の他の構成例をそれぞれ模式的に示す 面図である。これらの構成によっても、計 対象の細胞12の周囲に微小な被計測空間を 築することができ、図2に示すマイクロチャ バ14の場合とほぼ同様の効果を得ることが きる。なお、図3、図4において図2と共通す 構成については、同一符号を付して重複説 は省略する。

 図3に示すマイクロチャンバ14は、培養容 13と接触する底面と、上面とがそれぞれ開 した筒状の部材で構成されている。図3の構 によれば、マイクロチャンバ14を細胞12に被 せるときに上面側の開口から空気を逃がすこ とができる。なお、図3の構成では、マイク チャンバ14の上面側から培地11が流入するこ を防ぐように、マイクロチャンバ14の高さ 設定する必要がある。

 図4に示すマイクロチャンバ14は、培養容 13と接触する底面と、上面とがそれぞれ開 した筒状の部材で構成されている。そして 図4のマイクロチャンバ14では、培地11の流出 入を阻害するとともに空気の流出入を許容す る疎水性の半透過膜17で上面側の開口部が覆 れている。図4の構成によれば、マイクロチ ャンバ14を細胞12に被せるときに上面側の開 から空気を一方的に逃がすことができ、か 、被計測空間内を形成したときにマイクロ ャンバ14の内外で培地11が混ざることを防止 きる。

 <他の実施形態の活性計測方法の説明>
 図5は、他の実施形態に係る培養細胞の活性 計測方法の概要を示す図である。他の実施形 態は、図1に示す一の実施形態の変形例であ て、マイクロチャンバ14を配列したマイクロ チャンバシート21を用いて各々の被計測空間 に環境因子の計測を行う。なお、他の実施 態では培養容器13側の培養面を修飾するこ で、培養細胞12の付着位置がマイクロチャン バシート21に合わせて制御されている。

 図6は、他の実施形態に係るマイクロチャ ンバシート21を模式的に示す部分断面図であ 。また、図7は、他の実施形態で用いる培養 容器13の培養面と、マイクロチャンバシート2 1との対応関係を示す図である。他の実施形 に係るマイクロチャンバシート21の全体形状 は、培養容器13の内径よりも外径が小さい円 状の部材であって、一方の面(底面側)には 数のマイクロチャンバ14が形成されている。 マイクロチャンバ14は有底円筒形の凹部で構 されており、例えばリソグラフィなどの公 の微細加工手段で形成される。

 そして、マイクロチャンバシート21の各 のマイクロチャンバ14は一定間隔をおいて2 元的に配列されている。なお、図5、図7では 、一例として、マイクロチャンバ14が4×4の配 列をなすマイクロチャンバシート21を図示す 。

 一方、培養容器13の培養面上には、各々 細胞の付着性が異なる第1領域22と第2領域23 が形成されている。上記の第1領域22は、培 面上で相対的に細胞の付着性が高い領域で る。この第1領域22は培養面上に複数形成さ ており、その数はマイクロチャンバシート21 のマイクロチャンバ14の数と対応する。培養 上の第1領域22は、マイクロチャンバ14の間 に合わせて4×4の配列をなしている。なお、 々の第1領域22のサイズは、マイクロチャン 14のサイズよりも若干小さくなるように設 されている。

 また、第2領域23は、培養面上で相対的に 胞の付着性が低い領域であって、第1領域22 取り囲むように形成されている。そのため 培養容器13内では、マイクロチャンバ14の位 置に対応する第1領域22に細胞が付着しやすく なっている。

 ここで、第1領域22および第2領域23の形成手 としては、以下の(1)から(4)の例が考えられ 。なお、これらの構成は適宜組み合わせて かまわない。
(1)第1領域22に対して親水性を付与することで 蛋白質の吸着を高め、第1領域22での細胞の付 着性を相対的に高くする。一例として、培養 容器13の培養面にプラズマや紫外線を照射し パターニングを行うことで、親水性が付与 れた第1領域22を形成することができる。
(2)電荷を持った高分子被膜(例えばポリリジ のコーティングなど)を第1領域22に形成する とで蛋白質の吸着を高め、第1領域22での細 の付着性を相対的に高くする。
(3)第2領域23に対して蛋白質の吸着を阻害する 皮膜を形成することで、第2領域23での細胞の 付着性を相対的に低くする。上記の被膜の材 料としては、例えば、ポリエチレングリコー ル(PEG)や、2-メタクリロイオキシエチルホス リルコリン(MPC)などが挙げられる。
(4)第2領域23に表面加工で微小な突起を形成し 、細胞の接着面積を低くすることで第2領域23 での細胞の付着性を相対的に低くしてもよい 。

 なお、他の実施形態における活性計測方 の手順は、マイクロチャンバシート21を培 容器13に配置する点と、個々のマイクロチャ ンバ14ごとに環境因子を計測する点を除いて 一の実施形態とほぼ共通するので説明を省 する。なお、マイクロチャンバシート21や 養容器13にアライメントマークを予め設けて おけば、マイクロチャンバシート21を培養容 13に配置するときの位置決めが容易となる

 他の実施形態の構成によれば、上記の一 実施形態の効果に加えて、細胞の活性の計 をアレイ化して一度に行うことができるの 、複数の細胞の活性を評価するときのスル プットを大幅に向上させることができる。 た、他の実施形態では、アレイ化により個 のマイクロチャンバ14をそれぞれ独立して ライメントする必要がないので、計測作業 煩雑さが低減して作業効率が一層向上する

 <活性計測装置の構成例>
 図8は、上述の一の実施形態または他の実施 形態の活性計測方法を実行するための活性計 測装置の構成例を示すブロック図である。

 活性計測装置は、恒温室31と、ロボット ーム32と、光学観察ユニット33と、モニタ34 、記憶部35と、制御部36と、ユーザーから各 の操作を受け付ける操作部37とを有してい 。ここで、ロボットアーム32、光学観察ユニ ット33、モニタ34、記憶部35および操作部37は それぞれ制御部36に接続されている。

 恒温室31には、計測対象の細胞12を培養す る培養容器13が収納される。この恒温室31の 部は、細胞の培養に適した環境(例えば温度3 7℃、湿度90%の雰囲気)に維持されるとともに コンタミネーションを防止するために高い 浄度に保たれている。

 ロボットアーム32は、マイクロチャンバ14 (またはマイクロチャンバシート21)が先端に 持されており、マイクロチャンバ14を三次元 的に移動させる。そして、ロボットアーム32 、制御部36の指示に応じて、培養容器13の所 定位置の細胞12にマイクロチャンバ14を被せ とともに、計測終了後にマイクロチャンバ14 を除去する動作を行う。

 光学観察ユニット33は、培養細胞を照明 る照明装置と、培養細胞を観察するための 微光学系と、顕微光学系を介した培養容器13 内の像を撮像する撮像装置とを有している。 この光学観察ユニット33は、ロボットアーム3 2が培養容器13内にマイクロチャンバ14を位置 めするときの位置情報の取得や、マイクロ ャンバ14内の被計測空間で生じる光学的な 化を示す画像情報の取得に用いられる。な 、光学観察ユニット33で撮像された画像は、 制御部36の制御によってモニタ34に表示する とができる。

 記憶部35は、ハードディスクやフラッシ メモリ等の不揮発性の記憶媒体で構成され 。この記憶部35には、環境因子の計測情報や 、環境因子の計測時に光学観察ユニット33が 成した画像情報がそれぞれ記憶される。上 の画像情報や環境因子の計測情報は、計測 象の細胞の識別情報および計測日時の情報 それぞれ対応付けされた状態で記憶部35に 憶される。なお、記憶部35には、制御部36に って実行されるプログラムも記憶される。

 制御部36は、活性計測装置の各部の動作 統括的に制御するプロセッサである。例え 、制御部36は、ロボットアーム32を制御して イクロチャンバ14を移動させる。また、制 部36は、光学観察ユニット33の撮像装置やマ クロチャンバ14内の環境因子センサ15によっ て、マイクロチャンバ14内の環境因子の計測 行う。

 以下、図9の流れ図を参照しつつ、活性計 測装置の動作例を説明する。

 ステップS101:制御部36は、光学観察ユニッ ト33を駆動させて培養容器13内の状態を撮像 た観察画像を取得する。これにより、制御 36は、マイクロチャンバ14を位置決めすると の位置情報を取得する。一例として、制御 36は、画像の基準点(例えば画面の中心)と培 養容器13での位置とを予め対応付けておく。 して、制御部36は、光学観察ユニット33での 撮影倍率やレンズ位置などを考慮して、画像 内における細胞と基準点との位置関係から、 培養容器13での実際の細胞の座標を幾何学的 求めることができる。

 その後、制御部36は、上記の観察画像を ニタ34に表示する。これにより、ユーザーは 観察画像に基づいて、計測対象となる細胞12 操作部37から指定することができる。

 ステップS102:ユーザーから計測対象とな 細胞12の指定を受け付けると、制御部36は、 記の位置情報(S101)に基づいてロボットアー 32を駆動させて計測対象の細胞12の上からマ イクロチャンバ14を配置する。これにより、 測対象の細胞12の周囲にマイクロチャンバ14 で被計測空間が形成される。

 ステップS103:制御部36は、光学観察ユニッ ト33による画像の撮像や、環境因子センサ15 出力によって、被計測空間内の環境因子の 測を実行する。そして、制御部36は、必要に 応じて環境因子の計測結果を統計解析した後 に、記憶部35への計測結果の記録や、モニタ3 4での計測結果の表示を行う。

 ステップS104:制御部36は、計測終了後に、 ロボットアーム32を駆動させて培養容器13か マイクロチャンバ14を除去し、培養容器13内 培養環境を復元する。

 以上で、図9の流れ図の説明を終了する。 上記の活性計測装置によれば、上述の実施形 態の活性計測方法を効率的に実行することが 可能となる。

 <実施例>
 本発明の実施例として、マイクロチャンバ( リアクター)内の溶残酸素濃度の測定が可能 あることを示すために、酸素センサの検量 を作成した。

 図10は、実施例での測定系の構成を示す 略図である。実施例では、ルテニウム(Ru)錯 を含むポリジメチルシロキサン(PDMS)シート ガラス基板上に配置し、上記のシートを配 したガラス基板と、直径500μm-800μmの穴を開 口したシリコン(Si)ウエハとを接着してリア ターを構成した。また、Siウエハの上面側も ガラス基板で封止した。なお、リアクター全 体の厚さは500μmとした。

 そして、上記のリアクター内に溶存酸素 度の異なる溶液を封入して、それぞれ顕微 で蛍光強度を測定した。

 図11は、実施例での蛍光強度と溶存酸素 度との関係を示すグラフである。図11からは 、リアクター内の溶存酸素濃度が上昇するに 従って、蛍光強度が低下することが確認でき た。

 次に、実施例での実験データをもとに酸素 ンサの検量線を作成した。検量線のパラメ タは、下記の式(1)で示される。
I 0 /I=1+K SV [O 2 ]  …(1)
 ここで、「I 0 」は、溶存酸素濃度が0mg/Lであるときの蛍光 度を示す。「I」は、各溶存酸素濃度での蛍 光強度を示す。「K SV 」は、検量線の傾きを示す値である。「O 2 」は溶存酸素濃度を示す。

 実施例では、溶存酸素濃度が0mg/Lであると の蛍光強度を実験から得ることができない め、蛍光強度の逆数を直線で近似し(図12参 )、近似曲線のy切片から求まるI”をI 0 とした。
I”=1/(2.159×10 -5 )=46317.74  …(2)
 そして、上記のI”を用いて、縦軸をI”/Iと し、横軸を溶存酸素濃度として検量線を作成 した(図13参照)。このとき、K SV =0.19976となった。

 <実施形態の補足事項>
 (1)上記の実施形態において、マイクロチャ バ14に光硬化性樹脂を用いた場合には、マ クロチャンバ14にレーザーを照射することで 任意の細胞をマイクロチャンバ14内に封止す ことができる。上記の構成によれば、被計 空間における環境因子の計測結果に基づい 、所望の細胞を選択的に分離抽出すること 可能となる。

 (2)上記の図4の例において、マイクロチャ ンバ14の側面に疎水性の半透過膜17で覆われ 開口部を形成してもよい。

 (3)上記の実施形態において、マイクロチ ンバ14内の蛍光を観察する場合には、マイ ロチャンバ14の側壁の内面側に、蛍光の波長 を反射する反射膜を形成してもよい。この場 合には、マイクロチャンバ14内の蛍光シグナ をより高感度に検出できるようになる。

 (4)なお、上記実施形態のマイクロチャン 14、マイクロチャンバシート21、培養容器13 どの器具は、使い捨て物品として設計する とが好ましい。

 以上の詳細な説明により、実施形態の特 点および利点は明らかになるであろう。こ は、特許請求の範囲が、その精神および権 範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施 態の特徴点および利点にまで及ぶことを意 する。また、当該技術分野において通常の 識を有する者であれば、あらゆる改良およ 変更に容易に想到できるはずであり、発明 を有する実施形態の範囲を前述したものに 定する意図はなく、実施形態に開示された 囲に含まれる適当な改良物および均等物に ることも可能である。

11…培地、12…細胞、13…培養容器、14…マ クロチャンバ、15…環境因子センサ、16…生 体分子検出プローブ、17…半透過膜、21…マ クロチャンバシート、22…第1領域、23…第2 域、31…恒温室、32…ロボットアーム、33… 学観察ユニット、34…モニタ、35…記憶部、3 6…制御部、37…操作部