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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR OPERATING FUEL CELL SYSTEM, AND FUEL CELL SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129793
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a method for operating a fuel cell system comprising a water-bearing layer forming step of, in an operation for starting the supply of at least one of a reducing agent and an oxidizing agent, forming a water-bearing layer, by injecting water through a water supply part before the start of supply of at least one of the reducing agent and the oxidizing agent, so as to clog at least one of at least a part of a reducing agent supply passage on the upstream side of a reducing agent supply end in a reducing agent flow direction, and at least a part of an oxidizing agent supply passage on the upstream side of an oxidizing agent supply end in a flow direction of the oxidizing agent.

Inventors:
SUGAWARA YASUSHI
URATA TAKAYUKI
UMEDA TAKAHIRO
SHIBATA SOICHI
MORITA JUNJI
Application Number:
PCT/JP2008/000622
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
March 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
SUGAWARA YASUSHI
URATA TAKAYUKI
UMEDA TAKAHIRO
SHIBATA SOICHI
MORITA JUNJI
International Classes:
H01M8/04; H01M8/06; H01M8/10
Foreign References:
JP2003142132A2003-05-16
JP2001325974A2001-11-22
JPH10270065A1998-10-09
JPH0927334A1997-01-28
JPH06251788A1994-09-09
JP2003142132A2003-05-16
JP2005190854A2005-07-14
JP2006024390A2006-01-26
JPH10270065A1998-10-09
JPH07272737A1995-10-20
JPH06251788A1994-09-09
Other References:
See also references of EP 2131435A4
Attorney, Agent or Firm:
PATENT CORPORATE BODY ARCO PATENT OFFICE (Bo-eki Bldg.123-1 Higashimachi, Chuo-k, Kobe-shi Hyogo 31, JP)
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Claims:
 還元剤を供給する還元剤供給部と、
 酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
 高分子電解質膜を基材とするMEAによって隔離された還元剤流路及び酸化剤流路が構成された単電池が複数積層された燃料電池本体と、
 全ての前記単電池の前記還元剤流路の端部である還元剤供給端が接続された還元剤供給経路と、
 全ての前記単電池の前記酸化剤流路の端部である酸化剤供給端が接続された酸化剤供給経路と、
 前記還元剤供給経路及び前記酸化剤供給経路の少なくともいずれかに水を注水する水供給部と、を有する燃料電池システムの運転方法であって、
 前記還元剤及び前記酸化剤の少なくともいずれかの供給開始動作において、前記還元剤及び前記酸化剤の少なくともいずれかの供給開始前に、前記水供給部からの注水によって、前記還元剤の流通方向において前記還元剤供給端よりも上流側の前記還元剤供給経路の少なくとも一部、及び前記酸化剤の流通方向において前記酸化剤供給端よりも上流側の前記酸化剤供給経路の少なくとも一部、の少なくともいずれかを閉塞するように帯水層を形成する、帯水層形成ステップを有する、燃料電池システムの運転方法。
 前記帯水層形成ステップにおける、前記水供給部からの注水圧及び注水時間は、全ての前記還元剤流路及び前記酸化剤流路において水が通り抜けない程度の注水圧及び注水時間である、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記帯水層形成ステップにおける、前記水供給部からの注水圧が前記還元剤供給部及び前記酸化剤供給部からの前記還元剤及び前記酸化剤の供給圧より低い、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかの排出側に接続されている弁をさらに有し、
 前記帯水層形成ステップにおいて、前記弁を開放した状態で前記注水を開始し、全ての前記還元剤供給端に水が到達した状態及び全ての前記酸化剤供給端に水が到達した状態、の少なくともいずれかの状態で前記弁を閉止して、前記注水を停止する、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかの排出側に接続されている燃焼装置をさらに有し、
 前記帯水層形成ステップにおいて、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかから排出される残留ガスを前記燃焼装置において焼却する焼却ステップを有する、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかの排出側であって、かつ前記燃焼装置の上流側に接続されている気液分離装置をさらに有し、
 前記帯水層形成ステップにおいて、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかから排出される残留ガスと水とを前記気液分離装置において分離し、かつ気体のみを前記気液分離装置から前記燃焼装置へ流す分離ステップを有する、請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記水供給部が、前記燃料電池本体の冷却水供給部を利用して構成されている、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記水供給部が、前記燃料電池本体の冷却水供給部からは独立して動作可能に構成されている、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記還元剤流路の残留ガスが前記還元剤であり、前記酸化剤流路の残留ガスが不活性ガスである状態において、
 前記酸化剤供給経路においてのみ前記帯水層形成ステップを行う、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記還元剤流路の残留ガスが不活性ガスであり、前記酸化剤流路の残留ガスが前記酸化剤である状態において、
 前記還元剤供給経路においてのみ前記帯水層形成ステップを行う、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 前記還元剤流路の残留ガスが還元剤であり、前記酸化剤流路の残留ガスが酸化剤である状態において、
 前記還元剤供給経路及び前記酸化剤供給経路の両方において前記帯水層形成ステップを行う、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法
 前記還元剤供給経路は全ての前記単電池の前記還元剤供給端が接続された還元剤供給マニホールドを有し、
 前記酸化剤供給経路は全ての前記単電池の前記酸化剤供給端が接続された酸化剤供給マニホールドを有し、
  前記帯水層形成ステップにおける、前記注水の注水量が、前記還元剤供給マニホールド及び前記酸化剤供給マニホールドの少なくともいずれかが水没する程度の量である、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
 還元剤を供給する還元剤供給部と、
 酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
 高分子電解質膜を基材とするMEAによって隔離された還元剤流路及び酸化剤流路が構成された単電池が複数積層された燃料電池本体と、
 全ての前記単電池の前記還元剤流路の端部である還元剤供給端が接続された還元剤供給経路と、
 全ての前記単電池の前記酸化剤流路の端部である酸化剤供給端が接続された酸化剤供給経路と、
 前記還元剤供給経路及び前記酸化剤供給経路の少なくともいずれかに水を注水する水供給部と、
 制御装置と、を有する燃料電池システムであって、
 前記制御装置は、前記還元剤及び前記酸化剤の少なくともいずれかの供給開始動作において、前記還元剤及び前記酸化剤の少なくともいずれかの供給開始前に、前記水供給部からの注水を制御して、前記還元剤の流通方向において前記還元剤供給端よりも上流側の前記還元剤供給経路の少なくとも一部、及び前記酸化剤の流通方向において前記酸化剤供給端よりも上流側の前記酸化剤供給経路の少なくとも一部、の少なくともいずれかを閉塞するように帯水層を形成する、燃料電池システム。
 前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかの排出側に接続されている燃焼装置をさらに有する燃料電池システムであって、
 前記制御装置は、前記帯水層形成時において、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかから排出される残留ガスを前記燃焼装置において焼却するよう構成されている、請求項13に記載の燃料電池システム。
 前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかの排出側に接続されている気液分離装置をさらに有する燃料電池システムであって、
 前記制御装置は、前記帯水層形成時において、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくともいずれかから排出される残留ガスと水とを前記気液分離装置において分離し、かつ気体のみを前記気液分離装置から前記燃焼装置へ流すよう構成されている、請求項14に記載の燃料電池システム。
 前記水供給部が、前記燃料電池本体の冷却水供給部を利用して構成されている、請求項13に記載の燃料電池システム。
 前記水供給部が、前記燃料電池本体の冷却水供給部からは独立して動作可能に構成されている、請求項13に記載の燃料電池システム。
Description:
燃料電池システムの運転方法及 燃料電池システム

 本発明は、高分子電解質形燃料電池(以下 、Polymer Electrolyte Fuel CellをPEFCと略称する) 用いた燃料電池システム(PEFCシステム)の運 方法、及びその運転方法を利用したPEFCシス ムに関する。特に、PEFC本体への還元剤及び 酸化剤の供給開始動作におけるPEFCシステム 運転方法、及びその運転方法を利用したPEFC ステムに関する。

 近年、実用化に向けて研究開発が盛んに われているPEFCは、高分子電解質膜を基材と するMEA(Membrane-Electrode-Assembly)によって隔離さ た還元剤流路及び酸化剤流路が構成された 電池が複数積層されている。

 このPEFCを燃料電池本体として用いた燃料 電池システム(PEFCシステム)の起動動作におい ては、MEAの劣化を防止するために、PEFC本体 還元剤流路及び酸化剤流路の残留ガスを不 性ガスや水でパージするパージ動作が一般 に行われている。例えば、特許文献1では酸 剤流路に水が流通されている。

 一方で、PEFCシステムの停止状態において 、還元剤流路の残留ガスには酸化剤流路ある いは外部から酸素などの酸化剤が混入してい るおそれがあり、酸化剤流路の残留ガスには 還元剤の主成分である水素が還元剤流路から 混入しているおそれがある。したがって、こ れらの残留ガスと還元剤及び酸化剤とが混合 すると還元剤流路あるいは酸化剤流路におい て不測の燃焼反応が発生し、MEAを損傷するお それがある。このため、特許文献2及び特許 献3では、PEFCシステムの起動動作、すなわち PEFC本体への還元剤及び酸化剤の供給開始動 において、これらの残留ガスと還元剤及び 化剤との混合を抑制する技術が開示されて る。

 特許文献2の技術は、水素通過時間短縮用 ガスによって、還元剤流路を流通するガスの 体積流量を増大させ、還元剤流路の残留ガス のパージを加速させる技術である(特許文献2 落[0041]参照)。

 特許文献3の技術は、還元剤流路への還元 剤の供給及び酸化剤流路への酸化剤の供給の 前に、還元剤流路内に水素を流し込んでから 還元剤流路の残留ガスを還元剤流路を含むア ノード循環路を循環させて、還元剤流路の残 留ガス中の酸素濃度を予め低減させておく技 術である(特許文献3段落[0017]参照)。

 特許文献4の技術は、PEFC起動動作におい 、循環水を還元剤流路へ送入し、還元剤流 内をパージすると共に、PEFCのアノード側電 を予熱し、予熱後に、還元剤を還元剤流路 送入して還元剤流路中の水を押し出し、還 剤流路に還元剤を流通させる技術である。 お、特許文献4の技術は、同文献[図1]に開示 されているように、ポンプ(62)によって還元 流路(5)内及びアノード側電極(2,3)内を経由し て循環水を循環させる技術である。同文献は 、パージのため特別な不活性ガスボンベを設 置する必要はないとしている。また、同文献 は、還元剤流路に循環水を流入して、セルを 直接に加熱するから、高い予熱効率が得られ るとしている。

 特許文献5の技術は、PEFC停止動作時に、 ージガス(不活性ガス、空気など)を冷却剤流 路の一部を経由して還元剤流路に流し込む技 術である。これによると、パージガスと残留 ガスとの間に冷却剤(水)を介在させて、PEFC内 の還元剤流路から残留ガスを排除することが できる。冷却剤には残留ガスが拡散すること がない。したがって、同文献は、PEFC停止後 短時間で簡便にかつ経済的にPEFC内を不活性 囲気下にすることができるとしている。

 特許文献6の技術は、PEFC停止時に、還元剤 路または酸化剤流路に水を封入した状態も くは加湿された不活性ガスを封入した状態 運転を停止し、保管する技術である。同文 は、PEFCシステムの起動動作において、特段 パージ動作を要さず還元剤または酸化剤を し込むことができるので、パージ用の不活 ガス使用量を減少させることができるとし いる。

特開2003-142132号公報

特開2005-190854号公報

特開2006-24390号公報

特開平10-270065号公報

特開平7-272737号公報

特開平6-251788号公報

 しかしながら、特許文献2の技術では、還 元剤流路の残留ガスと還元剤との接触は回避 できないので、残留ガスと還元剤との混合に よるMEAの損傷防止には改善の余地があった。 また、還元剤と共に水素通過時間短縮用ガス を加圧供給する動作制御は、PEFCシステムの 御を複雑にするという問題もあった。

 また、特許文献3の技術では、還元剤流路 の残留ガスと還元剤との接触は回避できない ので、残留ガスと還元剤との混合による単電 池の損傷防止には改善の余地があった。また 、水素が混合された残留ガスを循環させる時 間を要し、PEFCシステムの速やかな起動には 善の余地があった。

 また、特許文献1の水による還元剤流路及 び酸化剤流路の残留ガスのパージには、還元 剤流路及び酸化剤流路に水を充満させて、残 留ガスを還元剤流路及び酸化剤流路から排除 するまでの時間を要するので、PEFCシステム 起動動作に要する時間(起動動作時間)を増大 させ、PEFCシステムの機動性を低下させると う問題があった。

 また、特許文献4の技術によると、循環水 よる還元剤流路の予熱には時間を要するので 、PEFCシステムの起動動作時間を増大させ、PE FCシステムの機動性を低下させるという問題 あった。また、特許文献4の技術は、ポンプ によって水を循環させる必要があるので、循 環水を還元剤流路内及びアノード側電極内に 充満させる必要があり、起動動作時間の短縮 には改善の余地があった。

 また、特許文献5の技術によると、停止動 作後起動動作前までの間に還元剤流路内のパ ージガスには酸素などの酸化剤が混在してい るおそれがある。したがって、PEFCシステム 起動動作時において、還元剤流路内を改め パージする必要がある。しかし、PEFCの起動 作時には冷却剤を用いてPEFCを反応温度近傍 まで予熱する必要がある。また起動動作後の 運転状態においては冷却系統を使用する。し たがって、PEFCシステムの起動動作において 、冷却剤流路を経由して還元剤を還元剤流 に流し込むことができないので、特許文献5 技術は利用できない。

 また、特許文献6の技術によると、PEFCシ テムの起動動作時のおけるパージ動作を省 することができ、PEFCシステムの起動動作時 を短縮することができる。しかし、保存時 の水を相当量を冷却用の水量とは別に余分 要するので、PEFCシステムの構造を簡素化す る余地があった。特に、自動車など移動用機 器に搭載されるPEFCシステムにおいては、PEFC ステムの容積及び重量をより軽減させる必 があった。また、水もしくは加湿ガスを封 した状態で運転停止して保管することで電 の拡散性の低下を助長する懸念があった。

 本発明は、上記のような課題を解決する めになされたもので、PEFCシステムの起動動 作において水や不活性ガスによる還元剤流路 及び酸化剤流路のパージを省略することがで きる、PEFCシステムの運転方法、及びその運 方法を利用したPEFCシステムを提供すること 目的としている。

 発明者らは、上記課題を解決すべく、残 ガスと酸化剤あるいは還元剤との界面を形 させない運転方法に着目して鋭意研究を重 た。その結果、PEFC本体内の還元剤流路及び 酸化剤流路の還元剤供給端及び酸化剤供給端 よりも上流側の還元剤供給経路及び酸化剤供 給経路の一部を閉塞する帯水層を形成する運 転方法に想到した。

 すなわち、第1の本発明の燃料電池システム の運転方法は、還元剤を供給する還元剤供給 部と、
 酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
 高分子電解質膜を基材とするMEAによって隔 された還元剤流路及び酸化剤流路が構成さ た単電池が複数積層された燃料電池本体と
 全ての前記単電池の前記還元剤流路の端部 ある還元剤供給端が接続された還元剤供給 路と、
 全ての前記単電池の前記酸化剤流路の端部 ある酸化剤供給端が接続された酸化剤供給 路と、
 前記還元剤供給経路及び前記酸化剤供給経 の少なくともいずれかに水を注水する水供 部と、を有する燃料電池システムの運転方 であって、
 前記還元剤及び前記酸化剤の少なくともい れかの供給開始動作において、前記還元剤 び前記酸化剤の少なくともいずれかの供給 始前に、前記水供給部からの注水によって 前記還元剤の流通方向において前記還元剤 給端よりも上流側の前記還元剤供給経路の なくとも一部、及び前記酸化剤の流通方向 おいて前記酸化剤供給端よりも上流側の前 酸化剤供給経路の少なくとも一部、の少な ともいずれかを閉塞するように帯水層を形 する、帯水層形成ステップを有する。

 このような構成によって、燃料電池シス ムの起動動作において水や不活性ガスによ 還元剤流路及び酸化剤流路のパージを省略 ることができる。つまり、燃料電池システ を速やかに起動させることができる。また パージ用の不活性ガスや水を不要とするこ ができるので、燃料電池システムを小型化 び軽量化することができる。

 第2の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記帯水層形成ステップにおける、前 記水供給部からの注水圧及び注水時間は、全 ての前記還元剤流路及び前記酸化剤流路にお いて水が通り抜けない程度の注水圧及び注水 時間であるとよい。このような構成とすると 、本発明の燃料電池システムの運転方法を効 率的にすることができる。

 第3の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記帯水層形成ステップにおける、前 記水供給部からの注水圧が前記還元剤供給部 及び前記酸化剤供給部からの前記還元剤及び 前記酸化剤の供給圧より低いとよい。このよ うに構成すると、より容易に本発明の燃料電 池システムの運転方法を実施することができ る。

 第4の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の 少なくともいずれかの排出側に接続されてい る弁をさらに有し、前記帯水層形成ステップ において、前記弁を開放した状態で前記注水 を開始し、全ての前記還元剤供給端に水が到 達した状態及び全ての前記酸化剤供給端に水 が到達した状態、の少なくともいずれかの状 態で前記弁を閉止して、前記注水を停止する とよい。このように構成すると、注水された 水の下流側の圧力を高めることができるので 、より円滑に帯水層を形成することができる 。

 第5の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の 少なくともいずれかの排出側に接続されてい る燃焼装置をさらに有し、前記帯水層形成ス テップにおいて、前記還元剤流路及び前記酸 化剤流路の少なくともいずれかから排出され る残留ガスを前記燃焼装置において焼却する 焼却ステップを有するとよい。このように構 成すると、可燃性の残留ガスを焼却処分する ことができるので、燃料電池システムをより 安全に運転させることができる。

 第6の本発明の燃料電池システムの運転方法 は、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少 なくともいずれかの排出側であって、かつ前 記燃焼装置の上流側に接続されている気液分 離装置をさらに有し、前記帯水層形成ステッ プにおいて、前記還元剤流路及び前記酸化剤 流路の少なくともいずれかから排出される残 留ガスと水とを前記気液分離装置において分 離し、かつ気体のみを前記気液分離装置から 前記燃焼装置へ流す分離ステップを有する
するとよい。このような構成とすると、気液 分離装置において回収された水を水供給部に おいて再利用することができるので、燃料電 池システム外部からの給水を節約することが できる。また、燃焼装置への水の流入を防止 することもできる。

 第7の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記水供給部が、前記燃料電池本体の 冷却水供給部を利用して構成されているとよ い。このような構成とすると、本発明の燃料 電池システムの運転方法を効率的にすること ができる。また、本発明の燃料電池システム の構成をより簡素化することができる。

 第8の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記水供給部が、前記燃料電池本体の 冷却水供給部からは独立して動作可能に構成 されているとよい。このような構成とすると 、本発明の燃料電池システムの起動動作の柔 軟性を向上させることができる。

 第9の本発明の燃料電池システムの運転方 法は、前記還元剤流路の残留ガスが前記還元 剤であり、前記酸化剤流路の残留ガスが不活 性ガスである状態において、前記酸化剤供給 経路においてのみ前記帯水層形成ステップを 行うとよい。このような構成とすると、還元 剤流路の残留ガスへの酸化剤の混入のおそれ がない。したがって、還元剤供給マニホール ドへの注水を省略することができるので、燃 料電池システムをより速やかに起動させるこ とができる。

 第10の本発明の燃料電池システムの運転 法は、前記還元剤流路の残留ガスが不活性 スであり、前記酸化剤流路の残留ガスが前 酸化剤である状態において、前記還元剤供 経路においてのみ前記帯水層形成ステップ 行うとよい。このような構成とすると、酸 剤流路の残留ガスへの還元剤の混入のおそ がない。したがって、酸化剤供給マニホー ドへの注水を省略することができるので、 料電池システムをより速やかに起動させる とができる。

 第11の本発明の燃料電池システムの運転 法は、前記還元剤流路の残留ガスが還元剤 あり、前記酸化剤流路の残留ガスが酸化剤 ある状態において、前記還元剤供給経路及 前記酸化剤供給経路の両方において前記帯 層形成ステップを行うとよい。このような 成とすると、還元剤流路の残留ガスへの酸 剤の混入のおそれと、酸化剤流路の残留ガ への還元剤の混入のおそれがある場合に、 料電池システムの起動動作におけるMEAの損 をより確実に防止することができる。

 第12の本発明の燃料電池システムの運転 法は、前記還元剤供給経路は全ての前記単 池の前記還元剤供給端が接続された還元剤 給マニホールドを有し、前記酸化剤供給経 は全ての前記単電池の前記酸化剤供給端が 続された酸化剤供給マニホールドを有し、 記帯水層形成ステップにおける、前記注水 注水量が、前記還元剤供給マニホールド及 前記酸化剤供給マニホールドの少なくとも ずれかが水没する程度の量であるとよい。 のような構成とすると、より的確に本発明 実施することができる。

 第13の本発明の燃料電池システムは、還元 を供給する還元剤供給部と、
 酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
 高分子電解質膜を基材とするMEAによって隔 された還元剤流路及び酸化剤流路が構成さ た単電池が複数積層された燃料電池本体と
 全ての前記単電池の前記還元剤流路の端部 ある還元剤供給端が接続された還元剤供給 路と、
 全ての前記単電池の前記酸化剤流路の端部 ある酸化剤供給端が接続された酸化剤供給 路と、
 前記還元剤供給経路及び前記酸化剤供給経 の少なくともいずれかに水を注水する水供 部と、
 制御装置と、を有する燃料電池システムで って、
 前記制御装置は、前記還元剤及び前記酸化 の少なくともいずれかの供給開始動作にお て、前記還元剤及び前記酸化剤の少なくと いずれかの供給開始前に、前記水供給部か の注水を制御して、前記還元剤の流通方向 おいて前記還元剤供給端よりも上流側の前 還元剤供給経路の少なくとも一部、及び前 酸化剤の流通方向において前記酸化剤供給 よりも上流側の前記酸化剤供給経路の少な とも一部、の少なくともいずれかを閉塞す ように帯水層を形成する。このような構成 すると、燃料電池システムの起動動作にお て水や不活性ガスによる還元剤流路及び酸 剤流路のパージを省略することができる。 まり、燃料電池システムを速やかに起動さ ることができる。また、パージ用の不活性 スや水を不要とすることができるので、燃 電池システムを小型化及び軽量化すること できる。

 第14の本発明の燃料電池システムは、前 還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくと いずれかの排出側に接続されている燃焼装 をさらに有する燃料電池システムであって 前記制御装置は、前記帯水層形成時におい 、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路の少 くともいずれかから排出される残留ガスを 記燃焼装置において焼却するよう構成され いるとよい。このような構成とすると、可 性の残留ガスを焼却処分することができる で、燃料電池システムをより安全に運転さ ることができる。

 第15の本発明の燃料電池システムは、前 還元剤流路及び前記酸化剤流路の少なくと いずれかの排出側に接続されている気液分 装置をさらに有する燃料電池システムであ て、前記制御装置は、前記帯水層形成時に いて、前記還元剤流路及び前記酸化剤流路 少なくともいずれかから排出される残留ガ と水とを前記気液分離装置において分離し かつ気体のみを前記気液分離装置から前記 焼装置へ流すよう構成されているとよい。 のような構成とすると、気液分離装置にお て回収された水を水供給部において再利用 ることができるので、燃料電池システム外 からの給水を節約することができる。また 燃焼装置への水の流入を防止することもで る。

 第16の本発明の燃料電池システムは、前 水供給部が、前記燃料電池本体の冷却水供 部を利用して構成されているとよい。この うな構成とすると、本発明の燃料電池シス ムの運転方法を効率的にすることができる また、本発明の燃料電池システムの構成を り簡素化することができる。

 第17の本発明の燃料電池システムは、前 水供給部が、前記燃料電池本体の冷却水供 部からは独立して動作可能に構成されてい とよい。このような構成とすると、本発明 燃料電池システムの起動動作の柔軟性を向 させることができる。

 本発明の燃料電池システムの運転方法、 びその運転方法を利用した燃料電池システ によれば、燃料電池システムの起動動作に いて水や不活性ガスによる還元剤流路及び 化剤流路のパージを省略することができる つまり、燃料電池システムを速やかに起動 せることができる。また、パージ用の不活 ガスや水を不要とすることができるので、 料電池システムを小型化及び軽量化するこ ができる

図1は、本発明の第1実施形態の単電池 びPEFC本体の積層構造を模式的に例示する部 分解斜視図である。 図2は、図1の単電池の構造を示す要部 面図である。 図3は、図1のPEFC本体の単電池間の積層 造を模式的に例示する分解斜視図である。 図4は、図1のPEFC本体の端部の構造を模 的に例示する分解斜視図である。 図5は、第1実施形態のPEFCシステムの構 を概略的に示す図である。 図6は、図5のPEFCシステムの起動動作に ける酸化剤の供給開始の動作例を示すフロ チャートである。 図7は、第2実施形態のPEFCシステムの構 を概略的に示す図である。 図8は、図7のPEFCシステムの起動動作に ける還元剤の供給開始の動作例を示すフロ チャートである。 図9は、第3実施形態のPEFCシステムの構 を概略的に示す図である。 図10は、図9のPEFCシステムの起動動作 おける還元剤及び酸化剤の供給開始の動作 を示すフローチャートである。 図11は、図5のPEFCシステムにおける供 側連絡路の変形例を示す図である。 図12は、図5のPEFCシステムにおける弁 成の変形例を示す図である。 図13は、変形例3における図1のPEFC本体 アノードセパレータ板を示す平面図である 図14は、変形例3における図1のPEFC本体 カソードセパレータ板を示す平面図である 図15は、変形例3における図1のPEFC本体 酸化剤供給マニホールド領域での断面の一 を拡大して示す断面図である。

符号の説明

 1 高分子電解質膜
 2A アノード側触媒層
 2C カソード側触媒層
 4A アノード側ガス拡散層
 4C カソード側ガス拡散層
 5 MEA
 6 枠体
 7 MEA部材
 9A アノードセパレータ板
 9C カソードセパレータ板
 10 単電池
 12I、22I、32I 還元剤供給マニホールド孔
 12E、22E、32E 還元剤排出マニホールド孔
 13I、23I、33I 酸化剤供給マニホールド孔
 13E、23E、33E 酸化剤排出マニホールド孔
 14I、24I、34I 水供給マニホールド孔
 14E、24E、34E 水排出マニホールド孔
 15,25,35、55,65,75 ボルト孔
 20、30 MEA当接領域
 21 還元剤流路
 21I 還元剤供給端
 26、36 水流路
 31 酸化剤流路
 31I 酸化剤供給端
 50、51 集電板
 56 端子
 60、61 絶縁板
 70、71 端板
 52I、62I、72I 還元剤供給孔
 52E、62E、72E 還元剤排出孔
 53I、63I、73I 酸化剤供給孔
 53E、63E、73E 酸化剤排出孔
 54I、64I,74I 水供給孔
 54E、64E,74E 水排出孔
 80 ボルト
 81 座金
 82 ナット
 92I 還元剤供給マニホールド
 92E 還元剤排出マニホールド
 93I 酸化剤供給マニホールド
 93E 酸化剤排出マニホールド
 94I 水供給マニホールド
 94E 水排出マニホールド 
 99 PEFC本体
 102I 還元剤供給ノズル
 102E 還元剤排出ノズル
 103I 酸化剤供給ノズル
 103E 酸化剤排出ノズル
 104I 水供給ノズル
 104E 水排出ノズル
 112I 還元剤供給経路
 112E 還元剤排出経路
 113I 酸化剤供給経路
 113E 酸化剤排出経路
 114I 水供給経路
 114E 水排出経路
 121 供給側連絡路(第1供給側連絡路)
 122 排出側連絡路
 123 第2供給側連絡路
 125 燃焼装置
 126、127 気液分離装置
 131V、132V、133V、134V、135V、136V、139V 弁
 137V、138V 三方弁
 142 還元剤供給部
 143 酸化剤供給部
 144 水供給部
 145 第2水供給部
 151、152,153,154 残留ガス処理系統
 300 制御装置
 301 入力部
 302 記憶部
 303 時間計測部
 304 制御部 
 S ステップ
 T、T A 、T C  時間
 T 1  注水時間
 T 2  排気時間
 W 水 

 以下、本発明を実施するための最良の形 について図面を参照しながら説明する。

 (第1実施形態)
 まず、本実施形態のPEFC本体(燃料電池本体)9 9の構成を説明する。

 図1は、本発明の第1実施形態の単電池及 PEFC本体の積層構造を模式的に例示する部分 解斜視図である。

 一般的には、PEFCは、単電池(セル)10が複 積層されたPEFC本体(スタック)99と、還元剤供 給マニホールド92Iと、酸化剤供給マニホール ド93Iと、水供給マニホールド94Iと、還元剤排 出マニホールド92Eと、酸化剤排出マニホール ド93Eと、水排出マニホールド94Eと、を有して 構成されている。還元剤供給マニホールド92I には、全ての単電池10の還元剤流路21の還元 供給端21Iが接続され、酸化剤供給マニホー ド93Iには、全ての単電池10の酸化剤流路31の 化剤供給端31Iが接続されている。本実施形 では、図1に示すように、これらマニホール ド92I,93I,94I,92E,93E,94EがPEFC本体99に一体化され 構成されている。本実施形態のPEFCは、いわ ゆる内部マニホールド型のPEFCである。

 そして、単電池10はMEA5を挟んで対向する ノードセパレータ板9A及びカソードセパレ タ板9C(両者をセパレータと総称する)を有す 。より正確には、単電池10は、MEA部材7が一 のセパレータ板9A、9Cで挟まれて構成されて いる。

 また、本実施形態では、全てのセパレー 板9A、9C及びMEA部材7には板面を貫通するマ ホールド孔が相互に積層するように形成さ ており、複数のセパレータ板9A、9C及びMEA部 7の積層によって還元剤供給マニホールド92I 、酸化剤供給マニホールド93I、水供給マニホ ールド94I、還元剤排出マニホールド92E、酸化 剤排出マニホールド93E及び水排出マニホール ド94Eが単電池10の積層方向に沿って延伸して 成されている。

 具体的には、平面視(セパレータ板9A、9C 厚み方向)において、セパレータ板9A,9C及びME A部材7の周縁部には、ボルト孔15、25,35、還元 剤供給マニホールド孔12I、22I、32I、還元剤排 出マニホールド孔12E、22E、32E、酸化剤供給マ ニホールド孔13I、23I、33I、酸化剤排出マニホ ールド孔13E、23E、33E、水供給マニホールド孔 14I、24I、34I、および水排出マニホールド孔14E 、24E、34Eが、それぞれの主面を貫通するよう にして形成されている。還元剤供給マニホー ルド孔12I、22I、32I、および還元剤排出マニホ ールド孔12E、22E、32E、は、それぞれPEFC本体99 において連なって延伸して、還元剤供給マニ ホールド92Iおよび還元剤排出マニホールド92E を形成する。また、同様にして、酸化剤供給 マニホールド孔13I、23I、33I、および酸化剤排 出マニホールド孔13E、23E、33Eは、それぞれPEF C本体99において連なって延伸して、酸化剤供 給マニホールド93Iおよび酸化剤排出マニホー ルド93Eを形成する。さらに、同様にして、水 供給マニホールド孔14I、24I、34I、および水排 出マニホールド孔14E、24E、34Eは、それぞれPEF C本体99において連なって延伸して、水供給マ ニホールド94Iおよび水排出マニホールド94Eを 形成する。

 ここで、一般的に、PEFC本体99の発電運転 おいては、酸化剤の流量の方が還元剤の流 よりも多いので、酸化剤のマニホールド93I 93Eの方が、還元剤のマニホールド92I、92Eよ も大きい形状となっている。例えば、図1に おいては、酸化剤供給マニホールド93I及び酸 化剤排出マニホールド93Eの管路断面(延伸方 断面)の形状は、長径50mm程度、短径20mm程度 楕円形状である。還元剤供給マニホールド92 I及び還元剤排出マニホールド92Eの管路断面( 伸方向断面)の形状は、長径30mm程度、短径20 mm程度の楕円形状である。

 セパレータ板9A、9Cは、導電性材料で構成 されている。例えば、黒鉛板、フェノール樹 脂を含浸させた黒鉛板、金属板からなる。ま た、アノードセパレータ板9Aの内面には、還 剤供給マニホールド孔22Iと還元剤排出マニ ールド孔22Eとの間を結ぶようにして溝状の 元剤流路21が形成されている。還元剤供給 21Iは、還元剤供給マニホールド孔22Iの壁面 一部に形成されている。また、還元剤流路21 は、MEA当接領域20の略全面に亘ってサーペン イン(serpentine)状に形成されている。

 同様にして、カソードセパレータ板9Cの 面には、酸化剤供給マニホールド孔33Iと酸 剤排出マニホールド孔33Eとの間を結ぶよう して溝状の酸化剤流路31が形成されている。 酸化剤供給端31Iは、酸化剤供給マニホールド 孔33Iの壁面の一部に形成されている。また、 酸化剤流路31は、MEA当接領域30の略全面に亘 てサーペンタイン状に形成されている。

 これによって、セル10組立状態において MEA5が還元剤流路21及び酸化剤流路31の溝蓋と なる。正確には、還元剤流路21と酸化剤流路3 1とは、MEA5によって隔離されて、流路に構成 れる。MEA部材7とアノードセパレータ板9Aと 間には、還元剤供給マニホールド孔22Iと還 剤排出マニホールド孔22Eとを結んで延びる 元剤流路21が構成される。また、MEA部材7と ソードセパレータ板9Cとの間には、酸化剤 給マニホールド孔33Iと酸化剤排出マニホー ド孔33Eとを結んで延びる酸化剤流路31が構成 される。

 また、前述の酸化剤及び還元剤のマニホー ドの形状比と同様に、一般的に、PEFC本体99 発電運転においては、酸化剤の流量の方が 元剤の流量よりも多いので、酸化剤流路31 方が還元剤流路21よりも流路断面積が大きい 。そこで、一般的には、溝状の流路の本数に よって流路断面積が調整されている。本実施 形態では、還元剤流路21及び酸化剤流路31の 幅は約2mm、溝深さは約1mmとなっている。そ て、図1では、還元剤流路21は1本の流路溝に って構成されている。酸化剤流路31は3本の 路溝によって構成されている。ただし、本 施形態の還元剤流路21及び酸化剤流路31を構 成する溝数は、本実施形態の本数に限られな い。一般的に、還元剤流路21よりも酸化剤流 31の溝数の方が多く、還元剤流路21は1乃至5 によって構成され、酸化剤流路31は3本乃至1 0本によって構成される。すなわち、供給端21 I,31I(還元剤供給端21I及び酸化剤供給端31Iを総 称して供給端21I、31Iという)の開口形状は、1m m×2mmの矩形の孔部が、換言すると一般的には 数mm 2 程度の大きさの孔部が、単数若しくは複数並 ぶ形態となっている。

 以上から、供給端21I、31Iの開口面積は、 れぞれの供給マニホールド孔22I、33Iの断面 に比べ十分小さい。しかも、開口形状は複 に分割して形成されている。したがって、 性を有する液相の水を、それぞれの供給マ ホールド孔22I、33Iから供給端21I、31Iに流入 せるには、かなりの注水圧を要する。

 図2は、図1の単電池の構造を示す要部断 図である。

 MEA部材7は、MEA5と、MEA5の周縁に延在する 分子電解膜1に密着して、高分子電解質膜1 挟み込むようにして構成された枠体6と、を して構成されている。したがって、枠体6の 中央開口部(枠内)の両面にはMEA5が露出してい る。また、枠体6の材質は、耐環境性を有す 弾性物質であり、ガスケットの機能を有し いる。枠体6の材質の例示としては、フッ素 ゴムが好適である。

 MEA5は、高分子電解質膜1とその両面に積 して構成された一対の電極とを有して構成 れている。具体的には、MEA5は、水素イオン 選択的に透過すると考えられているイオン 換膜からなる高分子電解質膜1と、高分子電 解質膜1の周縁部より内側の部分の両面に形 された一対の電極層を有して構成されてい 。アノード側の電極層は、高分子電解質膜1 一方の面に配設されたアノード側触媒層2A 、アノード側触媒層2Aの外面に配設されたア ノード側ガス拡散層4Aとを備えて構成されて る。カソード側の電極層は、高分子電解質 1の他方の面に配設されたカソード側触媒層 2Cと、カソード側触媒層2Cの外面に配設され カソード側ガス拡散層4Cとを備えて構成され ている。ここで、触媒層2A、2Cは白金族金属 媒を担持したカーボン粉末を主成分として る。ガス拡散層4A,4Cは、通気性と電子伝導性 を併せ持つ多孔質構造を有している。

 高分子電解質膜1には、パーフルオロスル ホン酸からなる膜が好適である。例えば、DuP ont社製Nafion(登録商標)膜が例示される。そし 、MEA5は、一般的には、高分子電解質膜1上 触媒層2A、2C及びガス拡散層4A,4Cを順次塗布 転写、ホットプレス等の方法により形成し 製造される。あるいは、MEAの市販品を利用 ることもできる。

 ガス拡散層4Aは、単電池10組立状態におい て、アノードセパレータ板9Aの内面のMEA当接 域20(図1参照)に接触する。カソード側ガス 散層4Cは、カソードセパレータ板9Cの内面のM EA当接領域30(図1参照)に接触する。

 アノードセパレータ板9Aの還元剤流路21が アノード側ガス拡散層4Aに当接している。こ によって、還元剤流路21内を流通する還元 は、外部に漏出することなく、多孔質のア ード側ガス拡散層4A内部に拡散しながら侵入 して、アノード側触媒層2Aまで到達する。同 にして、カソードセパレータ板9Cの酸化剤 路31がカソード側ガス拡散層4Cに当接してい 。これによって、酸化剤流路31内を流通す 酸化剤は、外部に漏出することなく、多孔 のカソード側ガス拡散層4C内部に拡散しなが ら侵入して、カソード側触媒層2Cまで到達す 。そして、電池反応が可能となる。セパレ タ板9A、9Cは導電性材料からなるので、MEA5 おいて発生した電気エネルギーをセパレー 板9A、9Cを経由して外部へ取り出すことがで る。

 図3は、図1のPEFC本体の単電池間の積層構 を模式的に例示する分解斜視図である。

 図3に示すように、アノードセパレータ板 9Aの外面には、水供給マニホールド孔24Iと水 出マニホールド孔24Eとの間を結ぶようにし 溝状の水流路26が形成されている。水流路26 は、MEA当接領域20の背部を全面に亘ってサー ンタイン状に形成されている。同様にして カソードセパレータ板9Cの外面には、水供 マニホールド孔34Iと水排出マニホールド孔34 Eとの間を結ぶようにして溝状の水流路36が形 成されている。水流路36は、MEA当接領域30の 部を全面に亘ってサーペンタイン状に形成 れている。また、PEFC本体99においては、水 路26と水流路36とが接合するように形成され いる。すなわち、単電池10積層状態におい 水流路26,36は一体化し、積層された単電池10 士の積層面間には水供給マニホールド孔24I 34Iと水排出マニホールド孔24E,34Eとを結んで 延びる水流路が構成される。これによって、 水を伝熱媒体として利用することができる。 すなわち、PEFC本体99を流通する水によって、 発電運転時にはPEFC本体99の反応熱を除熱し、 また、発電運転開始前にはPEFC本体99を暖機す ることができる。

 図4は、図1のPEFC本体の端部の構造を模式 に例示する分解斜視図である。

 PEFC本体99は、単電池10の積層方向の両端 一対の端部材が配設されて構成されている すなわち、単電池10の両端の最外層には、単 電池10と同形の平面を有する集電板50,51,絶縁 60,61,端板70,71が積層されている。集電板50,51 、絶縁板60,61,端板70,71の4隅にはボルト孔55,65, 75が形成されている。

 集電板50,51は銅金属等の導電性材料から り、それぞれ端子56が形成されている。そし て、一方の集電板50には、その主面を貫通す 供給孔及び排出孔が形成されている。具体 には、集電板50に当接するカソードセパレ タ板9CE、すなわち、積層された単電池10の一 方の端面を構成するカソードセパレータ板9CE の水供給マニホールド孔34Iに連通する水供給 孔54I、水排出マニホールド孔34Eに連通する水 排出孔54E、還元剤供給マニホールド孔32Iに連 通する還元剤供給孔52I、還元剤排出マニホー ルド孔32Eに連通する還元剤排出孔52E、酸化剤 供給孔33Iに連通する酸化剤供給孔53I、および 酸化剤排出マニホールド孔33Eに連通する酸化 剤排出孔53Eが形成されている。

 絶縁板60,61および端板70,71は電気絶縁性材 料からなる。そして、一方の絶縁板60には、 電板50に形成された供給孔及び排出孔52I,52E, 53I,53E,54I,54Eにそれぞれ連通する還元剤供給孔 62I、還元剤排出孔62E、酸化剤供給孔63I、酸化 剤排出孔63E、水供給孔64I、および水排出孔64E が形成され、一方の端板70には、絶縁板60に 成された供給孔及び排出孔62I,62E,63I,63E,64I,64E にそれぞれ連通する還元剤供給孔72I、還元剤 排出孔72E、酸化剤供給孔73I、酸化剤排出孔73E 、水供給孔74I、および水排出孔74Eが形成され ている。そして、端板70外面側の供給孔及び 出孔72I,72E,73I,73E,74I,74Eにはそれぞれ還元剤 給ノズル102I、還元剤排出ノズル102E、酸化剤 供給ノズル103I、酸化剤排出ノズル103E、水供 ノズル104I、水排出ノズル104Eが装着されて る。これらノズルには、外部の管路部材と 一般的な接続部材が用いられる。また、図 しないが、他方の集電板51,絶縁板61,および 板71はこれら供給孔及び排出孔が形成されて いない点を除いて、集電板50,絶縁板60,端板70 同じ構成である。これによって、PEFC本体99 には、還元剤、酸化剤および水それぞれに いて、供給孔52I、62I、72I、53I、63I、73I、54I 64I、74Iおよび供給マニホールド92I,93I,94Iを て、供給マニホールド92I,93I,94Iから単電池10 るいは単電池10の間の流路21,31,26,36に分流し て、排出マニホールド92E,93E,94Eで合流して、 出マニホールド92E,93E,94Eから排出孔52E、62E 72E、53E、63E、73E、54E、64E、74Eに至る流路が 成される。

 そして、締結部材によって、一対の端板間 締結されている。ここでは、ボルト80が、 ルト孔15、25,35、55,65,75に挿通されて、PEFC本 99の両端間を貫通している。そして、ボル 80の両端に座金81とナット82が装着されて、 対の端板70,71間がボルト80と座金81とナット82 とによって締結されて構成されている。例え ば、セパレータの面積当たり10kgf/cm 2 程度の力で締結されている。

 なお、積層された単電池10の一方の端面 構成するカソードセパレータ板9CEの外面に 水流路36は形成されていない。また、図示し ないが、他方の端面を構成するアノードセパ レータの外面にも水流路26は形成されていな 。

 図1乃至図4の説明から明らかなように、PE FC本体99においては、PEFC本体99に供給される 元剤は、還元剤供給マニホールド92Iから各 元剤供給端21Iに分岐して還元剤流路21を流通 する。同様にして、PEFC本体99に供給される酸 化剤は、酸化剤供給マニホールド93Iから各酸 化剤供給端31Iに分岐して酸化剤流路31を流通 る。

 ここで、発明者らが見出した知見を説明 る。

 まず、PEFC本体99では、極力多くの単電池10 おいて発電電力が均等になるように、後述 る還元剤供給経路112Iから各還元剤供給端21I 分岐する還元剤の流量配分、及び酸化剤供 経路113I各酸化剤供給端31Iに分岐する酸化剤 の流量配分がそれぞれ均等となるように構成 されている。具体的には、一般的に、還元剤 供給経路112Iの一部をなす還元剤供給マニホ ルド92I、及び酸化剤供給経路113Iの一部をな 酸化剤供給マニホールド93Iの管路断面積は 還元剤流路21及び酸化剤流路31の流路断面積 より大きくなるよう設計されている。また、 還元剤流路21及び酸化剤流路31の排出側も背 が均等となるように構成されている。例え 、還元剤排出マニホールド92E及び酸化剤排 マニホールド93Eが構成されている。これに り、還元剤供給マニホールド92I及び酸化剤 給マニホールド93Iにおいては、流体の圧力 均等化され、かつ、全ての単電池10の還元剤 流路21及び酸化剤流路31の流体の流量が均等 される。ここで、発明者らは、還元剤及び 化剤の供給マニホールド92I,93Iから還元剤流 21及び酸化剤流路31に分岐する流路構造は、 供給端21I31Iにおいて、比較的大きな流路抵抗 が生じることに気付いた。すなわち、これら マニホールド92I,93Iへ流体を流し込むに必要 圧力に比べ、これらマニホールド92I、93Iか 還元剤流路21及び酸化剤流路31へ流体を流し むに必要な圧力は大きい。しかも、供給端2 1I、31Iは数mm 2 程度という小さな開口部単位に区画されてい て、液相の水は表面張力等の粘性を有するの で、水を流す場合には、形状効果による流路 抵抗が加わる。さらには、水が酸化剤流路31 び還元剤流路21を通り抜けるには、これら 路21,31の流路抵抗が加わるものと推察した。 すなわち、還元剤供給マニホールド92I及び酸 化剤供給マニホールド93Iに水を注水する場合 、これらマニホールド内の残留ガスは、水に 押されて、還元剤流路21及び酸化剤流路31を 由して、PEFC本体99の外部へと押し出される しかし、注水される水圧の程度によっては 水は、流路抵抗などの要因から還元剤流路21 及び酸化剤流路31を通り抜けることなく供給 21I、31Iを水没させる。つまり、水は、還元 供給経路112I及び酸化剤供給経路113Iの一部 ここでは還元剤供給マニホールド92I及び酸 剤供給マニホールド93I、を閉塞する。発明 らは、この知見を利用することによって本 明に想到することができた。すなわち、PEFC ステムの起動動作において水や不活性ガス よる還元剤流路及び酸化剤流路のパージを 略することができる、PEFCシステムの運転方 法、及びその運転方法を利用したPEFCシステ を見出すことができた。

 図5は、第1実施形態のPEFCシステムの構成 概略的に示す図である。

 図5に示すように、PEFC本体99の還元剤供給 ノズル102Iには、還元剤供給経路112Iが接続さ 、還元剤供給経路112Iは還元剤供給部142に接 続されている。還元剤供給経路112Iには弁136V 配設されている。

 本実施形態では、還元剤には水素を含有 る水素ガスが用いられている。還元剤供給 142は一般的な構造を利用しているので詳細 図示しないが、水素ガスを供給する装置を して構成されている。例えば、還元剤供給 142は、水素ガスを貯留する水素ガスボンベ 、水素ガスの供給圧あるいは流量を調節す 圧力調整弁あるいは弁開度調整弁とを有し 構成されている。あるいは、還元剤供給部1 42は、天然ガス等の炭化水素系物質を供給す 供給インフラと、プランジャポンプと、流 調整具と、当該炭化水素系物質を原料にし 水蒸気改質反応等により水素ガスを生成か 供給する水素製造供給システムとを有して 成されていてもよい。

 また、還元剤排出ノズル102Eには、還元剤 排出経路112Eが接続されている。還元剤排出 路112Eには弁139Vが配設されている。そして、 還元剤の流通方向において弁139Vの下流側に 液分離装置127が配設されている。気液分離 置127の下流側の還元剤排出経路112Eの大気開 端、すなわち還元剤の流通方向において下 端には還元剤排出経路112E内の気体を焼却処 分することができる燃焼装置125が構成されて いる。このような構成により、気液分離装置 127において還元剤排出経路112Eの流体を気相 液相とに分離して、気相のみを燃焼装置125 流すことができる。さらには、当該気相が 燃性であった場合には、燃焼装置125によっ 当該気相を焼却処分することができる。

 燃焼装置125は、一般的なバーナーである あるいは、還元剤供給部142に水素生成装置 構成されている場合には、還元剤排出経路1 12Eの下流端が当該水素生成装置のバーナーに 接続可能なように構成されているとよい。こ れによって、PEFCシステムの構成を簡素化す ことができる。

 酸化剤供給ノズル103Iには、酸化剤供給経 路113Iが接続され、酸化剤供給経路113Iは酸化 供給部143に接続されている。還元剤供給経 113Iには弁132Vが配設されている。

 酸化剤には酸素を含有する酸素ガスが一 的に用いられ、本実施形態では空気が用い れている。酸化剤供給部143は、公知の構造 利用しているので詳細は図示しないが、一 的にはシロッコファン等の送風器、空気中 硫黄分を排除するフィルタ、及び酸化剤を 熱しながら加湿する加湿器を有して構成さ ている。

 酸化剤排出ノズル103Eには、酸化剤排出経 路113Eが接続されている。酸化剤排出経路113E は弁133Vが配設されている。酸化剤排出経路 113Eは、酸化剤の流通方向において下流端は 気開放されていて、余剰の酸化剤を大気中 放出する排気口(図示せず)が構成されている 。

 なお、酸化剤排出経路113Eと酸化剤供給経 路113Iとは一部において全熱交換型加湿器を 由して、酸化剤排出経路113E側から酸化剤供 経路113Iへと水及び熱を交換できるように構 成することもできる。これによって、PEFCシ テムのエネルギー利用効率を向上させるこ ができる。

 水供給ノズル104Iには、水供給経路114Iが 続され、水供給経路114Iは水供給部144に接続 れている。水供給部144は、一般的な構造を 用しているので詳細は図示しないが、一般 には水道インフラと、水道インフラから供 される水を浄化する浄化装置と、水供給経 114Iに水を送り込むポンプと、水温を調節す る熱交換器とを有して構成されている。

 水排出ノズル104Eには、水排出経路114Eが 続されている。水排出経路114Eは、一般的な 造を利用しているので図示しないが、水供 部144の熱交換器に接続され、水が、水供給 路114I、PEFC本体99及び水排出経路114Eを循環 るように構成されている。

 ここで、本実施形態のPEFCシステムは、酸 化剤供給経路113Iと水排出経路114Eとを接続す 供給側連絡路(第1供給側連絡路)121と、供給 連絡路121に配設された弁131Vとを有している 。また、酸化剤の流通方向において供給側連 絡路121よりも上流側の酸化剤供給経路113Iに 弁132Vが配設されている。これによって、弁1 32Vを閉止状態として、弁131Vを開放状態とす ことによって、水排出経路114Eの水圧と酸化 供給経路113I内の圧力との圧力差に応じて、 水排出経路114Eの水を供給側連絡路121を通っ 酸化剤供給経路113Iに注水することができる さらに酸化剤供給ノズル103I及びPEFC本体99内 の流路抵抗と水排出経路114Eの水圧とに応じ 、水排出経路114Eの水を酸化剤供給マニホー ド93I(図1及び図4参照)内に注水することがで きる。

 また、酸化剤排出経路113Eには、残留ガス 処理系統151が構成されている。

 残留ガス処理系統151は、燃焼装置125と、 元剤排出路112E及び酸化剤排出経路113Eを接 する排出側連絡路122と、排出側連絡路122に 設されている弁134Vと、排出側連絡路122に配 されている気液分離装置126と、酸化剤の流 方向において排出側連絡路122よりも下流側 酸化剤排出経路113Eに配設されている弁133V 、を有して構成されている。

 ここで、排出側連絡路122は、還元剤の流 方向において燃焼装置125よりも上流側の還 剤排出路112Eに接続されている。

 また、気液分離装置126は、流入する流体 ら気相成分(気体成分)と液相成分(液体成分) とを分離し、気相成分のみをさらに下流側に 流通させる装置であればよい。ここでは、一 般的なドレン(drain)タンクを用いていて、タ ク上方に排出側連絡路122の出入口が構成さ て、タンク下方に貯水領域が構成されてい 。

 残留ガス処理系統151において、弁133Vを閉 止状態として、弁134Vを開放状態とすること よって、酸化剤排出経路113Eの流体を排出側 絡路122に導入することができる。また、気 分離装置126において流体の気相と液相とを 離して気相のみを還元剤排出経路112Eに排出 することができる。さらには、当該気相が可 燃性であった場合には、燃焼装置125によって 焼却処分することができる。

 制御装置300は、キーボード、タッチパネ 等によって構成されている入力部301、メモ 等によって構成される記憶部302、及びタイ ー等によって構成されている時間計測部303 CPU、MPU等によって構成される制御部304を有 ている。そして、制御装置300は、還元剤供 部142,酸化剤供給部143,水供給部144,燃焼装置1 25,弁131,132,133,134を制御するように構成されて いる。

 ここで、制御装置とは、単独の制御装置 けでなく、複数の制御装置が協働して制御 実行する制御装置群をも含んで意味する。 って、制御装置300は、単独の制御装置から 成される必要はなく、複数の制御装置が分 配置されていて、それらが協働して各供給 や弁類を制御するように構成されていても い。例えば、入力部303は、通信機能を有す モバイル機器に構成することもできる。ま 、制御部304を各供給部142,143,144それぞれに けることもできる。

 次に、本実施形態のPEFCシステムの起動動 作における酸化剤の供給開始の動作を説明す る。

 図6は、図5のPEFCシステムの起動動作にお る酸化剤の供給開始の動作例を示すフロー ャートである。これらの動作は制御装置300 よって制御されることによって遂行される

 PEFC本体99への酸化剤の供給は、制御部304 指令信号を取得することによって開始され 。当該指令信号は、図示しないが、一般的 は、PEFCシステムの起動スイッチのON操作、 力負荷の発生予測等によって適宜発信され 制御部304に入力される。

 図6に示すように、スタート後、まず、ス テップS201において、水が水供給部144から、 供給経路114Iを経由して、水供給ノズル104Iか らPEFC本体99に供給され、水排出ノズル104Eか 排出された水が水排出経路114Eへと流通する この時点で、弁131Vは閉止されている。

 なお、水の供給は、酸化剤供給開始の指 信号にかかわらず行われていてもよい。す わち、酸化剤供給開始の指令信号受信時に 、既にPEFC本体99の暖機を目的にして、予熱 れた水がPEFC本体99に供給されている場合も る。

 そして、ステップ(帯水層形成ステップ)S2 02において、弁132V及び弁133Vが閉止され、弁13 1V及び弁134Vが開放される。そして、時間計測 部303において時間Tが計測開始される。

 この帯水層形成ステップS202において、酸 化剤供給経路113Iは、PEFC本体99、酸化剤排出 路113E、排出側連絡路122、気液分離装置126、 元剤排出経路112E、及び燃焼装置125を経由し て大気開放されていて、かつ弁132Vは閉止さ ているので、酸化剤供給経路113Iの内圧は、 気圧とほぼ同等である。また、水供給部144 給水圧はPEFC本体99の水流路26,36の圧損によ 減圧され、水排出経路114Eの水圧は大気圧よ やや高い程度となっている。具体的には、0 .5乃至1kPa程度大気圧より高い水圧となってい る。したがって、水は、水排出経路114Eから 給側連絡路121を通じて酸化剤供給経路113Iへ 注水される。また、水は、酸化剤供給経路1 13Iから酸化剤供給ノズル103Iを経由して、酸 剤供給マニホールド93I(図1及び図4参照)内に れ込む。

 ここで、水が酸化剤供給マニホールド93I ら酸化剤流路31を通り抜けるには水圧が十 でない。あるいは時間を要する。したがっ 、酸化剤供給マニホールド93Iから水が抜け くいので、水が酸化剤流路31の排出端31Eに流 れるまでに酸化剤供給マニホールド93I内部が 水没することとなる。換言すれば、酸化剤供 給マニホールド93I内部水によって閉塞される ようにして帯水層が形成されることとなる。

 また、残留ガス処理系統151は酸化剤流路3 1の残留ガスを燃焼装置125に導くように構成 れている。したがって、注水によって、酸 剤流路31、酸化剤排出マニホールド93E及び酸 化剤排出経路113E内の残留ガスは、酸化剤供 経路113I及び酸化剤供給マニホールド93I内の 留ガスに押されて、排出側連絡路122、還元 排出経路112E、及び気液分離装置126を経由し て燃焼装置125に導かれる。

 ここで、酸化剤流路31の残留ガスが、還 剤、あるいは天然ガス、都市ガス等の可燃 成分を含む場合には、燃焼装置125を動作さ る(焼却ステップ)。これによって、可燃性の 残留ガスを焼却処分することができるので、 PEFCシステムをより安全に運転させることが きる。

 ステップS203において、時間Tが所定の注水 間(第1注水時間)T 1 になるまでステップ(帯水層形成ステップ)S202 は継続される。

 時間Tが所定の注水時間(第1注水時間)T 1 になると、ステップS204に進み、弁131Vが閉止 れる。これによって、酸化剤供給経路113Iへ の注水が終了する。

 ここで、注水時間T 1 は供給側連絡路121を通流した水量が、酸化剤 供給マニホールド93Iの容積、及び酸化剤供給 ノズル103Iと供給側連絡路121との間の区間の 化剤供給経路113Iの容積の合計容積(注水容積 )に達する時間に設定されている。具体的に 、注水容積、供給側連絡路121の流路断面積 及び水排出経路114Eと酸化剤供給経路113Iとの 圧力差に基づいて、流体力学の知識から注水 時間T 1 を見積もることができる。

 あるいは、PEFCシステムを用いた試験を繰り 返すことにより、経験に基づいて酸化剤供給 マニホールド93I内部が水没する時間を見出し て注水時間T 1 とすることもできる。これによって、酸化剤 供給マニホールド93I内部を水没させることが できる。

 あるいは、時間計測部303の代わりに、供 側連絡路121に流量計を配設しておき、制御 304において流量が注水容積に達することを 断して、ステップS204に進むように構成する こともできる。

 したがって、供給側連絡路121及び弁132Vが酸 化剤供給ノズル103Iに近い程、注水容積を小 くすることができるので、注水時間T 1 を短くすることができる。すなわち、供給側 連絡路121及び弁132Vが酸化剤供給ノズル103Iに い程、より速やかにPEFCシステムを起動させ ることができる。

 ステップS204の後、ステップ(供給ステッ )S205において、弁132Vが開放され、酸化剤供 部143から、酸化剤供給経路113Iに酸化剤が供 される。そして、時間計測部303において時 Tが計測開始される。これによって、酸化剤 供給マニホールド93Iを閉塞している帯水層は 、酸化剤に押されて、酸化剤流路31、酸化剤 出マニホールド93E、酸化剤排出経路113E、及 び排出側連絡路122を順次経由して気液分離装 置126まで押し出される。ここで、残留ガスと 酸化剤との間には帯水層が介在するので、残 留ガスと酸化剤との界面が形成されない。し たがって、酸化剤流路31の残留ガスと酸化剤 の混合による燃焼反応が防止され、MEA5の損 傷を防止することができる。

 また、液相の水は気液分離装置126におい 残留ガス及び酸化剤から分離され、気相の 留ガス及び酸化剤のみが気液分離装置126か 下流側へ流される(分離ステップ)。これに って、気液分離装置126において回収された を水供給部144において再利用することがで るので、PEFCシステム外部からの給水を節約 ることができる。また、燃焼装置125への水 流入を防止することもできる。

 一方、酸化剤の供給によって帯水層と共 押し出された残留ガスは気液分離装置126か 還元剤排出経路112Eを経由して燃焼装置125に 導かれる。ここで、残留ガスが、還元剤、あ るいは天然ガス、都市ガス等の可燃性成分を 含む場合には、燃焼装置125を動作させる(焼 ステップ)。これによって、可燃性の残留ガ を焼却処分することができるので、PEFCシス テムをより安全に運転させることができる。

 ステップS206において、時間Tが所定の排気 間T 2 になるまでステップ(供給ステップ)S205は継続 される。

 時間Tが所定の排気時間T 2 になると、ステップS207に進み、弁133Vが開放 れ、かつ弁134Vが閉止される。これによって 、燃焼装置125への排気が終了する。すなわち 、酸化剤の供給はそのまま継続されるが、本 発明の酸化剤の供給開始動作は終了する。

 ここで、排気時間T 2 は排出側連絡路122を通流した気体の流量、あ るいは酸化剤供給部143が供給した酸化剤の流 量が、酸化剤流路31の容積、酸化剤排出マニ ールド93Eの容積、及び酸化剤排出ノズル103E と排出側連絡路122との間の区間の酸化剤排出 経路113Eの容積の合計容積(排気容積)に達する 時間に設定されている。具体的には、排気容 積及び酸化剤供給部143の時間あたり流量から 排気時間T 2 を見積もることができる。あるいは、PEFCシ テムを用いた試験を繰り返すことにより、 験に基づいてT 2 を決定することもできる。

 あるいは、時間計測部303の代わりに、排 側連絡路122に流量計を配設しておき、制御 304において流量が排気容積に達することを 断して、ステップS207に進むように構成する こともできる。

 したがって、排出側連絡路122及び弁133Vが酸 化剤排出ノズル103Eに近い程、排気容積を小 くすることができるので、排気時間T 2 を短くすることができる。すなわち、排出側 連絡路122及び弁133Vが酸化剤排出ノズル103Eに い程、より速やかにPEFCシステムを起動させ ることができる。

 本実施形態のPEFCシステムの運転方法にお いては、酸化剤供給マニホールド93Iを閉塞し ている帯水層によって、酸化剤と酸化剤流路 31の残留ガスとを隔離しながら、残留ガスを し出すことができる。したがって、本運転 法によれば酸化剤流路31の残留ガスと酸化 との混合による燃焼反応が防止され、MEA5の 傷を防止することができる。つまり、本運 方法は、PEFC本体99の発電停止状態において 酸化剤流路31に可燃性成分、特に還元剤の 入のおそれがある場合に、酸化剤の供給開 に伴う、酸化剤流路31での局所的異常燃焼を 防止できるので、効果的である。例えば、本 運転方法は、PEFC本体99の発電停止状態におい て還元剤流路21に可燃性成分が滞留した状態 おいて、PEFCシステムの起動動作として効果 的である。特に、本運転方法は、PEFC本体99の 発電停止動作において、還元剤が滞留したま まの状態で還元剤流路21が密閉されている場 のPEFCシステムの起動動作として効果的であ る。

 また、本実施形態のPEFCシステムの運転方 法は、PEFCシステムの起動動作において水や 活性ガスによる酸化剤流路31のパージを省略 することができる。つまり、PEFCシステムを やかに起動させることができる。また、パ ジ用の不活性ガスや水を不要とすることが きるので、PEFCシステムを小型化及び軽量化 ることができる。

 さらに、本実施形態のPEFCシステムの運転 方法は、酸化剤流路31の残留ガスが、窒素ガ 、天然ガス等の不活性ガスである場合には 還元剤流路21の残留ガスへの酸化剤の混入 おそれがない。したがって、後述する第3実 形態に比べて、還元剤供給マニホールド92I の注水を省略することができるので、PEFCシ ステムをより速やかに起動させることができ る。

 (第2実施形態)
 図7は、第2実施形態のPEFCシステムの構成を 略的に示す図である。

 図7に示すように、本実施形態のPEFCシス ムは、第1実施形態の供給側連絡路121及び弁1 31Vの代わりに、還元剤供給経路112Iと水排出 路114Eとの間に配設された第2供給側連絡路123 と、第2供給側連絡路123に配設された弁135Vと 有する実施形態である。これに伴って、第1 実施形態の残留ガス処理系統151の代わりに、 還元剤排出経路112Eに残留ガス処理系統152が 成されている。したがって、図7において図5 と同一又は相当する部分には同一の符号を付 してその説明を省略し、相違点のみを説明す る。

 本実施形態のPEFCシステムは、還元剤供給 経路112Iと水排出経路114Eとを接続する第2供給 側連絡路123と、第2供給側連絡路123に配設さ た弁135Vとを有している。また、還元剤の流 方向において第2供給側連絡路123よりも上流 側の還元剤供給経路112Iには弁136Vが配設され いる。これによって、弁136Vを閉止状態とし て、弁135Vを開放状態とすることによって、 排出経路114Eの水圧と還元剤供給経路112I内の 圧力との圧力差に応じて、水排出経路114Eの を第2供給側連絡路123を通って還元剤供給経 112Iに注水することができる。さらに還元剤 供給ノズル102I及びPEFC本体99内の流路抵抗と 排出経路114Eの水圧とに応じて、水排出経路1 14Eの水を還元剤供給マニホールド92I(図1及び 4参照)内に注水することができる。

 また、残留ガス処理系統152は、燃焼装置1 25と、還元剤排出経路112Eに配設されている気 液分離装置127と、を有して構成されている。

 図8は、図7のPEFCシステムの起動動作にお る還元剤の供給開始の動作例を示すフロー ャートである。図8において、図6と同一又 相当するステップには同一の符号を付して の説明を省略し、主として相違点について 明する。

 まず、第1実施形態と同様にステップS201 おいて、水が、水供給部144から、PEFC本体99 供給された後、ステップ(帯水層形成ステッ )S212において、弁136Vが閉止され、弁135Vが開 放される。そして、時間計測部303において時 間Tが計測開始される。

 この帯水層形成ステップS212において、還 元剤供給経路112Iは、PEFC本体99、還元剤排出 路112E、気液分離装置127、及び燃焼装置125を 由して大気開放されているので、還元剤供 経路112Iの内圧は、大気圧とほぼ同等である 。また、水供給部144の給水圧はPEFC本体99の水 流路26,36の圧損により減圧され、水排出経路1 14Eの水圧は大気圧よりやや高い程度となって いる。具体的には、0.5乃至1kPa程度大気圧よ 高い水圧となっている。したがって、水は 水排出経路114Eから第2供給側連絡路123を通じ て還元剤供給経路112Iへと注水される。また 水は、還元剤供給経路112Iから還元剤供給ノ ル102Iを経由して、還元剤供給マニホールド 92I(図1及び図4参照)内に流れ込む。

 ここで、水が還元剤供給マニホールド92I ら還元剤流路21を通り抜けるには水圧が十 でない。あるいは時間を要する。したがっ 、還元剤供給マニホールド92Iから水が抜け くいので、水が還元剤流路21の排出端21Eに流 れるまでに還元剤供給マニホールド92Iが水没 することとなる。換言すれば、還元剤供給マ ニホールド92I内部水によって閉塞されるよう にして帯水層が形成されることとなる。

 また、注水によって、還元剤流路21、還 剤排出マニホールド92E及び還元剤排出経路11 2E内の残留ガスは、還元剤供給経路112I及び還 元剤供給マニホールド92I内の残留ガスに押さ れて、還元剤排出経路112E及び気液分離装置12 7を経由して燃焼装置125に導かれる。

 ここで、還元剤流路21の残留ガスが、還 剤、あるいは天然ガス、都市ガス等の可燃 成分を含む場合には、燃焼装置125を動作さ る(焼却ステップ)。これによって、可燃性の 残留ガスを焼却処分することができるので、 PEFCシステムをより安全に運転させることが きる。

 ステップS213において、時間Tが所定の第2注 時間T 3 になるまでステップ(帯水層形成ステップ)S212 は継続される。

 時間Tが所定の第2注水時間T 3 になると、ステップS214に進み、弁135Vが閉止 れる。これによって、還元剤供給経路112Iへ の注水が終了する。

 ここで、第2注水時間T 3 は第2供給側連絡路123を通流した水量が、還 剤供給マニホールド92Iの容積、及び還元剤 給ノズル102Iと第2供給側連絡路123との間の区 間の還元剤供給経路112Iの容積の合計容積(第2 注水容積)に達する時間に設定されている。 体的には、第2注水容積、第2供給側連絡路123 の流路断面積、及び水排出経路114Eと還元剤 給経路112Iとの圧力差に基づいて、流体力学 知識から第2注水時間T 2 を見積もることができる。

 あるいは、PEFCシステムを用いた試験を繰り 返すことにより、経験に基づいて還元剤供給 マニホールド92I内部が水没する時間を見出し て第2注水時間T 3 とすることもできる。これによって、還元剤 供給マニホールド92I内部を水没させることが できる。

 あるいは、時間計測部303の代わりに、第2 供給側連絡路123に流量計を配設しておき、制 御部304において流量が第2注水容積に達する とを判断して、ステップS214に進むように構 することもできる。

 したがって、第2供給側連絡路123及び弁136V 還元剤供給ノズル102Iに近い程、第2注水容積 を小さくすることができるので、第2注水時 T 3 を短くすることができる。すなわち、第2供 側連絡路123及び弁136Vが還元剤供給ノズル102I に近い程、より速やかにPEFCシステムを起動 せることができる。

 ステップS214の後、ステップ(供給ステッ )S215において、弁136Vが開放され、還元剤供 部142から還元剤供給経路112Iに還元剤が供給 れる。これによって、還元剤供給マニホー ド92Iを閉塞している帯水層は、還元剤に押 れて、還元剤流路21、還元剤排出マニホー ド92E、及び還元剤排出経路112Eを順次経由し 気液分離装置127まで押し出される。ここで 残留ガスと還元剤との間には帯水層が介在 るので、残留ガスと還元剤との界面が形成 れない。

 また、液相の水は気液分離装置127におい 残留ガス及び酸化剤から分離され、気相の 留ガス及び酸化剤のみが気液分離装置127か 下流へ流される(分離ステップ)。これによ て、気液分離装置127において回収された水 水供給部144において再利用することができ ので、PEFCシステム外部からの給水を節約す ことができる。また、燃焼装置125への水の 入を防止することもできる。

 一方、還元剤によって帯水層と共に押し された残留ガスは、気液分離装置127からさ に燃焼装置125に導かれる。ここで、残留ガ が、還元剤、あるいは天然ガス、都市ガス の可燃性成分を含む場合には、燃焼装置125 動作させる(焼却ステップ)。これによって 可燃性の残留ガスを焼却処分することがで るので、PEFCシステムをより安全に運転させ ことができる。

 ステップS215において、燃焼装置125への残 留ガスの排出が完了した時点で、本発明の還 元剤の供給開始動作は終了する。還元剤の供 給はそのまま継続される。

 本実施形態のPEFCシステムの運転方法にお いては、還元剤供給マニホールド92Iを閉塞し ている帯水層によって、還元剤と還元剤流路 21の残留ガスとを隔離しながら、残留ガスを し出すことができる。したがって、本運転 法によれば還元剤流路21の残留ガスと還元 との混合による燃焼反応が防止され、MEA5の 傷を防止することができる。つまり、本運 方法は、PEFC本体99の発電停止状態において 還元剤流路21に酸化剤の混入のおそれがあ 場合に、還元剤の供給開始に伴う、還元剤 路21での局所的異常燃焼を防止できるので、 効果的である。例えば、本運転方法は、PEFC 体99の発電停止状態において酸化剤流路31に 化剤が滞留した状態において、PEFCシステム の起動動作として効果的である。特に、本運 転方法は、PEFC本体99の発電停止動作において 、酸化剤が滞留したままの状態で酸化剤流路 31が密閉されている場合、あるいは大気開放 れている場合のPEFCシステムの起動動作とし て効果的である。

 また、本実施形態のPEFCシステムの運転方 法は、PEFCシステムの起動動作において水や 活性ガスによる還元剤流路21のパージを省略 することができる。つまり、PEFCシステムを やかに起動させることができる。また、パ ジ用の不活性ガスや水を不要とすることが きるので、PEFCシステムを小型化及び軽量化 ることができる。

 さらに、本実施形態のPEFCシステムの運転 方法は、還元剤流路21の残留ガスが、窒素ガ 、天然ガス等の不活性ガス(動作温度(30℃~90 ℃)において、酸素と共存していても、触媒 中で燃焼反応を起こさない)である場合には 酸化剤流路31の残留ガスへの還元剤の混入 おそれがない。したがって、後述する第3実 形態に比べて、酸化剤供給マニホールド93I の注水を省略することができるので、PEFCシ ステムをより速やかに起動させることができ る。

 (第3実施形態)
 図9は、第3実施形態のPEFCシステムの構成を 略的に示す図である。

 図9に示すように、本実施形態のPEFCシス ムは、第1実施形態及び第2実施形態の双方が 構成された実施形態である。したがって、図 9において図7及び図5と同一又は相当する部分 には同一の符号を付してその説明を省略し、 相違点のみを説明する。


 本実施形態のPEFCシステムにおいて、残留ガ ス処理系統153は、第1実施形態の残留ガス処 系統151が変形されて、気液分離装置126が省 されて、気液分離装置127を含めて構成され いる。気液分離装置127においては、酸化剤 出経路113E及び還元剤排出経路112E双方の流体 を気相と液相とに分離して、気相のみを燃焼 装置125に流すことができる。さらには、当該 気相が可燃性であった場合には、燃焼装置125 によって焼却処分することができる。

 図10は、図9のPEFCシステムの起動動作にお ける還元剤及び酸化剤の供給開始の動作例を 示すフローチャートである。図10において、 6及び図8と同一又は相当するステップには 一の符号を付してその説明を省略し、主と て相違点について説明する。

 まず、第1実施形態及び第2実施形態と同様 ステップS201(帯水層形成ステップ)において 供給部144からPEFC本体99に水が注水された後 第1実施形態及び第2実施形態の動作が並行し て行われる。ここで、時間計測部303は、少な くとも2つの時間を並行して計測できるよう 構成されている。具体的には、図10において は、時間T A 及び時間T C を計測するように構成されている。時間T C は第1実施形態における時間Tに相当し、時間T A は第2実施形態における時間Tに相当する。こ によって、第1実施形態及び第2実施形態の 作を並行して実施することができる。

 本実施形態のPEFCシステムの運転方法にお いては、酸化剤供給マニホールド93Iを閉塞し ている帯水層によって酸化剤と酸化剤流路31 残留ガスとを隔離しながら、残留ガスを押 出すことができる。また、還元剤供給マニ ールド92Iを閉塞している帯水層によって還 剤と還元剤流路21の残留ガスとを隔離しな ら、残留ガスを押し出すことができる。換 すると、残留ガスと還元剤及び酸化剤との には帯水層が介在するので、残留ガスと還 剤及び酸化剤との界面が形成されない。

 したがって、本運転方法によれば還元剤 路21及び酸化剤流路31の残留ガスと還元剤及 び酸化剤との混合による燃焼反応が防止され 、MEA5の損傷を防止することができる。つま 、本運転方法は、還元剤流路21の残留ガスへ の酸化剤の混入のおそれと、酸化剤流路31の 留ガスへの還元剤の混入のおそれがある場 に、PEFCシステムの起動動作におけるMEA5の 傷をより確実に防止することができる。例 ば、本運転方法は、PEFC本体99の発電停止状 において酸化剤流路31に酸化剤が滞留し、か つ還元剤流路に還元剤が滞留した状態におい て、PEFCシステムの起動動作として効果的で る。特に、本運転方法は、PEFC本体99の発電 止動作において、還元剤が滞留したままの 態で還元剤流路21が密閉され、かつ、酸化剤 が滞留したままの状態で酸化剤流路31が密閉 れている場合のPEFCシステムの起動動作とし て効果的である。

 また、本実施形態のPEFCシステムの運転方 法は、PEFCシステムの起動動作において水や 活性ガスによる還元剤流路21及び酸化剤流路 31のパージを省略することができる。つまり PEFCシステムを速やかに起動させることがで きる。また、パージ用の不活性ガスや水を不 要とすることができるので、PEFCシステムを 型化及び軽量化することができる。

 以上、本発明の実施形態を説明したが、 水層形成ステップS202、S212における、酸化 供給経路113Iあるいは還元剤供給経路112Iへの 注水経路は、水排出経路114E以外から構成す こともできる。例えば、第1実施形態におい 、供給側連絡路121を水供給経路114I及び酸化 剤供給経路113Iの間を接続するように構成し もよい。この場合、弁131Vを圧力調整弁ある は弁開度調整弁として、酸化剤供給経路113I への注水圧力あるいは弁開度を調整可能に構 成するとよい。このように、上記実施形態を 含め、水供給部144をPEFC本体99の冷却水供給部 を利用する構成とすると、水供給部を統合し て構成することができる。つまり、本発明の PEFCシステムの運転方法を効率的にすること できる。また、本発明のPEFCシステムの構成 より簡素化することができる。

 他方で、第1乃至第3実施形態に共通して 以下の変形例1乃至3のように構成することも できる。

 [変形例1]
 第1実施形態の変形例として説明する。

 図11は、図5のPEFCシステムにおける供給側 連絡路の変形例を示す図である。

 図11に示す通り、本変形例では、水供給 144とは別個の第2水供給部145を有している。 給側連絡路121は、第2水供給部145と酸化剤供 給経路113Iを結ぶように構成され、弁131Vは圧 調整弁あるいは開度調整弁によって構成さ ている。これによって、帯水層形成ステッ (S202)における、酸化剤供給経路113Iへの注水 圧あるいは弁開度は、制御部304が弁131Vを制 することによって調整できる。注水圧ある は弁開度は、予め入力部301から入力されて 記憶部302に記憶されている。あるいは制御 304の調整に拠らず、弁131Vに調整基準圧力あ いは弁開度を設定することによって実施す こともできる。また、第2水供給部145は、水 供給部144からは独立して動作可能に構成され ているので、酸化剤供給経路113Iへの注水動 は、水供給経路114I及び水排出経路114Eの水供 給からは独立して実施することができる。し たがって、PEFCシステムの起動動作において PEFC本体99の暖機動作と酸化剤供給の開始動 とをそれぞれ独立して行うことが可能とな ので、PEFCシステムの起動動作の柔軟性を向 させることができる。

 ここで、第2水供給部145には、上述の水供 給部144と同様に構成されている。あるいは、 注水圧力は、0.5乃至1kPa程度大気圧より高い 圧とすればよいので、第2水供給部145は、PEFC システムよりも高所に配置された貯水タンク とすることもできる。この場合、注水圧力は 水頭圧となるので、PEFC本体99より5cm乃至10cm 度高所に設置された貯水タンクとすること できる。また、弁131Vの圧力調整機能あるい 弁開度調整機能は不要となるので、通常の 閉弁とするとよい。

 また、弁131V,132V,133V,134V,135V,136Vの構成を 理化することもできる。例えば、以下の変 例2のように構成することができる。

 [変形例2]
 第1実施形態の変形例として説明する。

 図12は、図5のPEFCシステムにおける弁構成 の変形例を示す図である。

 図12に示す通り、図5の弁131V及び弁132Vを 三方弁137Vとして統合することもできる。ま 、図5の弁133V及び弁134Vを、三方弁138Vとして 統合することもできる。

 [変形例3]
 第1実施形態の変形例として説明する。

 図13は、変形例3における図1のPEFC本体の ノードセパレータ板を示す平面図である。 14は、変形例3における図1のPEFC本体のカソー ドセパレータ板を示す平面図である。図15は 変形例3における図1のPEFC本体の酸化剤供給 ニホールド領域での断面の一部を拡大して す断面図である。

 図13及び図14に示すように、変形例3では 還元剤供給マニホールド孔22I、32I、酸化剤 給マニホールド孔23I、33I及び水供給マニホ ルド孔24I、34Iが各セパレータ9A,9Cの上部に形 成されている。そして、還元剤供給マニホー ルド孔22Iあるいは酸化剤供給マニホールド孔 33Iの重力方向下面に還元剤供給端21Iあるいは 酸化剤供給端31Iが構成されている。

 本変形例の場合、上記第1乃至3実施形態 び変形例1の帯水層形成ステップ(S202)におい 、例えば酸化剤供給マニホールド93Iでは、 化剤供給端31Iから水が順次それぞれの酸化 流路31に浸入する。ここで、注水速度が遅 なるほど、酸化剤供給マニホールド93Iが水 する前に、水が一部の酸化剤流路31において 排出端31Eに到達してしまうおそれが大きくな る。酸化剤供給マニホールド93Iが水没する前 に、水が一部の酸化剤流路31において排出端3 1Eまで到達してしまうと酸化剤供給マニホー ド93Iの水没は難しくなる。

 しかし、実際に供給する水圧0.5~1kPaでの 水では、図15に示すように、水が酸化剤供給 マニホールド93Iを塞ぎながら、すなわち帯水 層による閉塞領域を拡大させながら、酸化剤 供給マニホールド93Iに浸入してくるので、残 留ガスを効率よく酸化剤ガス流路31へと押し すことができ、酸化剤供給マニホールド93I より円滑に水没させることができる。酸化 流路31側を例として説明したが、還元剤流 21側でも同様である。

 以上の説明から明らかなように、本発明 PEFCシステムは、還元剤供給マニホールド92I 及び酸化剤供給マニホールド93Iの少なくとも いずれかを閉塞するように帯水層を形成する ことができる。したがって、還元剤及び酸化 剤の供給によって、還元剤流路21及び酸化剤 路31の少なくともいずれかの残留ガスと還 剤及び酸化剤の少なくともいずれかとを帯 層によって隔離しながら、残留ガスを押し すことができる。したがって、還元剤流路21 及び酸化剤流路31の少なくともいずれかにお る残留ガスと還元剤及び酸化剤の少なくと いずれかとの混合による燃焼反応が防止さ 、MEA5の損傷を防止することができる。また 、直接、酸化剤あるいは還元剤の少なくとも いずれかによって還元剤流路21及び酸化剤流 31の少なくともいずれかの残留ガスをパー する場合に比べて、残留ガスのパージに要 る時間を短縮することができる。さらに、 によって還元剤流路21及び酸化剤流路31の少 くともいずれかの残留ガスをパージする場 に比べても、使用される水量が少ないので 残留ガスのパージに要する水量の削減と時 の短縮を図ることができる。したがって、P EFCシステムを速やかに起動させることができ る。

 以上、本発明の実施形態について詳細に 明したが、本発明は上記実施形態や変形例 限定されない。

 例えば、上記実施形態では、内部マニホ ルド型のPEFC本体99を用いているが、これら ニホールド92I,93I,94I,92E,93E,94EがPEFC本体99と 別の部材によって構成されている構造(いわ る外部マニホールド型の構造)においても、 同様であり、本発明を適用できる。

 また、本発明は、還元剤及び酸化剤の少 くともいずれかの供給開始動作において、 元剤及び酸化剤の少なくともいずれかの供 開始前に、水供給部からの注水によって、 元剤の流通方向において還元剤供給端21Iよ も上流側の還元剤供給経路112Iの少なくとも 一部、及び酸化剤の流通方向において酸化剤 供給端31Iよりも上流側の酸化剤供給経路113I 少なくとも一部、の少なくともいずれかを 塞するように帯水層を形成することによっ 、実施することができる。

 つまり、帯水層の形成位置を還元剤供給 ニホールド92I及び酸化剤供給マニホールド9 3Iに限定するものではない。還元剤側の帯水 の形成位置が還元剤供給マニホールド92Iに られるわけではない。例えば、還元剤供給 ニホールド92Iの有無にかかわらず、弁で還 剤供給経路112Iを区画しておいてその弁の上 流側に帯水層を形成することもできる。酸化 剤側の帯水層の形成位置も同様である。

 また、還元剤供給経路112Iの流路形状はPEF Cシステムの構成によって異なる。したがっ 、還元剤供給経路112Iの少なくとも一部に還 剤供給マニホールド92Iよりも上流側に十分 帯水層を形成できる形状の流路を設けて、 こに帯水層を形成することもできる。酸化 側の帯水層の形成位置も同様である。

 本発明は、PEFCシステムの起動動作におい て水や不活性ガスによる還元剤流路及び酸化 剤流路のパージを省略することができる、PEF Cシステムの運転方法、及びその運転方法を 用したPEFCシステムとして有用である。