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Title:
METHOD FOR PREDICTING XENON VIBRATION AND COMPUTER PROGRAM FOR PREDICTING XENON VIBRATION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139933
Kind Code:
A1
Abstract:
Xenon vibration at current and subsequent moments in time is predicted. Assuming the axial direction output deviation of the output distribution of a nuclear reactor is AOp, the axial direction output deviation of the output distribution based on the xenon distribution is AOx, and the axial direction output deviation of the output distribution based on the iodine distribution is AOi, a parameter DAOpx(=AOp-AOx) and a parameter DAOix(=AOi-AOx) are described by a relation of triangular function using the angular frequency of xenon vibration. Phases corresponding to the initial values of the parameters DAOpx and DAOix are then determined (step S101). The parameters DAOpx and DAOix represented using the phases thus determined and the coefficients of the relation determined from these phases are employed, respectively, as the X coordinate and the Y coordinate. The orbit at current and subsequent moments in time is then predicted using the orbit thus obtained (step S102), and the timing for suppressing xenon vibration is predicted (step S103).

Inventors:
SHIMAZU YOICHIRO
Application Number:
PCT/JP2008/058263
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
April 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HEAVY IND LTD (JP)
SHIMAZU YOICHIRO
International Classes:
G21C17/00
Foreign References:
JPH07104092A1995-04-21
JPH07140290A1995-06-02
JP2000121779A2000-04-28
JP3202430B22001-08-27
Other References:
SHIMAZU Y. AND TAKEDA K.: "Monitoring and Control of Radial Xenon Oscillation in PWRs by a Three-Radial-Offset Concept", JOURNAL OF NUCLEAR SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 44, no. 2, 25 February 2007 (2007-02-25), pages 155 - 162, XP008121386
SHIMAZU Y.: "Xenon Oscillation Control in Large PWRs Using a Characteristic Ellipse Trajectory Drawn by Three Axial Offsets", JOURNAL OF NUCLEAR SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 45, no. 4, 1 April 2008 (2008-04-01), pages 257 - 262, XP008121387
See also references of EP 2157582A4
YOICHIRO SHIMAZU; KENSHIRO TAKEDA: "Monitoring and Control of Radial Xenon Oscillation in PWRs by a Three-Radial-Offsets Concept", JOURNAL OF NUCLEAR SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 44, no. 2, 2007, pages 155 - 162, XP008121386
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Hiroaki (Kasumigaseki Building2-5, Kasumigaseki 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 原子炉の出力分布の軸方向出力偏差をAOp、キセノン分布に基づく出力分布の軸方向出力偏差をAOx、ヨウ素分布に基づく出力分布の軸方向出力偏差をAOiとして、パラメータDAOpx(=AOp-AOx)及びパラメータDAOix(=AOi-AOx)を、キセノン振動の角周波数を用いた三角関数と、指数関数との関係式で記述する手順と、
 前記パラメータDAOpx、前記パラメータDAOixの初期値に対する位相を求める手順と、
 前記位相から、前記パラメータDAOpx、前記パラメータDAOixの初期値に対する前記関係式の係数を求める手順と、
 求めた前記位相及び前記係数を用いて記述した前記関係式で表される前記パラメータDAOpxをX座標に、前記パラメータDAOixをY座標にすることによって得られる軌跡の情報に基づいて、前記初期値以降におけるキセノン振動の状態を予測する手順と、
 を含むことを特徴とするキセノン振動予測方法。
 前記パラメータDAOpx、前記パラメータDAOixの初期値に対する位相及び、前記パラメータDAOpx、前記パラメータDAOixの初期値に対する前記関係式の係数を用いて記述した前記関係式で表される前記パラメータDAOpxをX座標に、前記パラメータDAOixをY座標にすることによって得られる第1の予測軌跡を求める手順と、
 前記原子炉の制御棒を操作する際における前記制御棒の操作量に相当する量だけX-Y座標の原点からX軸に沿って平行移動した座標を、前記制御棒の戻し操作を実行する制御棒戻し操作点とする手順と、
 前記制御棒戻し操作点を初期値として得られる位相及び係数を用いて記述した前記関係式で表される前記パラメータDAOpxをX座標に、前記パラメータDAOixをY座標にして、時間を逆算することによって得られる第2の予測軌跡を求める手順と、
 前記第2の予測軌跡が前記X-Y座標の原点を通るように、前記第2の予測軌跡を前記X軸と平行に移動して得られる軌跡を第3の予測軌跡とする手順と、
 前記X-Y座標における前記第1の予測軌跡と前記第3の予測軌跡とが交わる座標を、前記制御棒を操作する制御棒操作点とする手順と、
 を含むことを特徴とする請求項1に記載のキセノン振動予測方法。
 請求項1又は請求項2に記載のキセノン振動予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とするキセノン振動予測用コンピュータプログラム。
Description:
キセノン振動予測方法及びキセ ン振動予測用コンピュータプログラム

 本発明は、原子炉内に発生することのあ キセノンの空間分布の振動に由来して炉心 に生ずる出力分布振動(以下キセノン振動と いう)を予測することに関するものである。

 原子炉においては、核分裂反応の結果と て直接生ずるキセノン、及び核分裂反応の 果として生ずるヨウ素の崩壊によって発生 るキセノンが強い中性子吸収能力を持つ。 のため、炉心中の出力分布形状が周期的に 動するキセノン振動という現象が発生する この現象が発生すると、原子炉内における 力分布の片寄りが大きくなり、炉心を構成 る核燃料の最高線出力密度の上昇を招くこ がある。原子炉内における出力分布の片寄 を回避するため、キセノン振動が発生した 合には、これを抑制する必要がある。キセ ン振動を抑制する方法としては、例えば、 許文献1に、キセノン振動に特徴的な楕円状 軌跡の特性を利用してキセノン振動を抑制す る方法が開示されている。

特許第3202430号公報、段落番号0017~0022、 1

 特許文献1に開示されている技術は、現時 点におけるキセノン振動に対する情報を得る ことができる。しかし、特許文献1に開示さ ている技術は、キセノン振動の将来の状態 ついては予測することはできず、この点に 善の余地がある。

 本発明は、現時点以降におけるキセノン 動の状態を予測すること、時間を遡ること より、任意の指定時間に至るキセノン振動 状態を予測することのうち少なくとも一つ 実現キセノン振動予測方法及びキセノン振 予測用コンピュータプログラムを提供する とを目的とする。

 上述の目的を達成するため、本発明に係 キセノン振動予測方法は、原子炉の出力分 の軸方向出力偏差をAOp、キセノン分布に基 く出力分布の軸方向出力偏差をAOx、ヨウ素 布に基づく出力分布の軸方向出力偏差をAOi して、パラメータDAOpx(=AOp-AOx)及びパラメー DAOix(=AOi-AOx)を、キセノン振動の角周波数を いた三角関数と、指数関数との関係式で記 する手順と、前記パラメータDAOpx、前記パ メータDAOixの初期値に対する位相を求める手 順と、前記位相から、前記パラメータDAOpx、 記パラメータDAOixの初期値に対する前記関 式の係数を求める手順と、求めた前記位相 び前記係数を用いて記述した前記関係式で される前記パラメータDAOpxをX座標に、前記 ラメータDAOixをY座標にすることによって得 れる軌跡の情報に基づいて、前記初期値以 におけるキセノン振動の状態を予測する手 と、を含むことを特徴とする。

 原子炉の出力分布の軸方向出力偏差AOpと セノン分布に基づく出力分布の軸方向出力 差AOxとの差で表されるパラメータDAOpx、及 ヨウ素分布に基づく出力分布の軸方向出力 布偏差AOiと原子炉の出力分布の軸方向出力 差AOpとの差で表されるパラメータDAOixを、キ セノン振動の角周波数を用いた三角関数と、 指数関数との関係式で記述する。そして、こ の関係式を用いてキセノン振動を予測する。 これによって、現時点以降におけるキセノン 振動の軌跡を求めることができるので、現時 点以降におけるキセノン振動を予測すること ができる。

 また、本発明に係るキセノン振動予測方 は、前記本発明に係るキセノン振動予測方 において、前記パラメータDAOpx、前記パラ ータDAOixの初期値に対する位相及び、前記パ ラメータDAOpx、前記パラメータDAOixの初期値 対する前記関係式の係数を用いて記述した 記関係式で表される前記パラメータDAOpxをX 標に、前記パラメータDAOixをY座標にするこ によって得られる第1の予測軌跡を求める手 と、前記原子炉の制御棒を操作する際にお る前記制御棒の操作量に相当する量だけX-Y 標の原点からX軸に沿って平行移動した座標 を、前記制御棒の戻し操作を実行する制御棒 戻し操作点とする手順と、前記制御棒戻し操 作点を初期値として得られる位相及び係数を 用いて記述した前記関係式で表される前記パ ラメータDAOpxをX座標に、前記パラメータDAOix Y座標にして、時間を逆算することによって 得られる第2の予測軌跡を求める手順と、前 第2の予測軌跡が前記X-Y座標の原点を通るよ に、前記第2の予測軌跡を前記X軸と平行に 動して得られる軌跡を第3の予測軌跡とする 順と、前記X-Y座標における前記第1の予測軌 跡と前記第3の予測軌跡とが交わる座標を、 記制御棒を操作する制御棒操作点とする手 と、を含むようにしてもよい。

 このようにすることで、原子炉の制御棒 移動量に制限がある場合には、その制限の 囲内で、炉心に対する制御棒の挿入量と引 抜き量とを同じ大きさとしてキセノン振動 消滅させる最短のタイミングを、迅速かつ 確に予測することができる。

 上述の目的を達成するため、本発明に係 キセノン振動予測用コンピュータプログラ は、前記キセノン振動予測方法をコンピュ タに実行させることを特徴とする。これに って、本発明に係るキセノン振動予測方法 、コンピュータを利用して実現できる。

 本発明によれば、現時点以降におけるキ ノン振動の状態を予測すること、又は時間 遡ることにより、任意の指定時間に至るキ ノン振動の状態を予測することのうち少な とも一つを実現できる。

図1は、本実施形態に係るキセノン振動 制御方法を実現する装置の概念図である。 図2は、キセノン振動を示す周期の説明 図である。 図3は、キセノン振動が発生していると きのAO(アキシャルオフセット)を示す説明図 ある。 図4は、本実施形態に係るキセノン振動 予測方法の手順を示すフローチャートである 。 図5は、キセノン振動の消滅を予測する 手法の一例を示す説明図である。 図6は、キセノン振動の消滅を予測する 手法の一例を示す説明図である。 図7は、キセノン振動の消滅を予測する 手法の他の例を示す説明図である。

符号の説明

 1 原子炉
 2 圧力容器
 3 炉心
 4 制御棒
 5 連結棒
 6 制御棒制御装置
 7 上部炉外中性子束検出器
 8 下部炉外中性子束検出器
 9 中性子束計測装置
 10 制御装置
 11 表示装置
 12 入力装置

 以下、この発明につき図面を参照しつつ 細に説明する。なお、この発明を実施する めの最良の形態(以下実施形態という)によ この発明が限定されるものではない。また 下記実施の形態における構成要素には、当 者が容易に想定できるもの、実質的に同一 もの、いわゆる均等の範囲のものが含まれ 。

 以下においては、原子炉の高さ方向(すな わち原子炉の軸方向)におけるキセノン振動 ついて本発明を適用した例を説明するが、 子炉の半径方向におけるキセノン振動につ て本発明を適用してもよい。ここで、原子 の半径方向におけるキセノン振動について 、例えば、文献「Yoichiro SHIMAZU and Kenshiro T AKEDA, "Monitoring and Control of Radial Xenon Oscill ation in PWRs by a Three-Radial-Offsets Concept", Jou rnal of Nuclear Science and Technology, Vol. 44, No. 2, pp. 155-162, 2007」に開示されている。

 本実施形態は、キセノン振動に特徴的な 円軌跡が、簡単な三角関数と、指数関数と 用いて表現できることを利用し、X-Y座標上 表されるキセノン振動を表す楕円軌跡上に ける任意の点を初期値として、この初期値 りも将来の軌跡を予測する点に特徴がある

 図1は、本実施形態に係るキセノン振動制 御方法を実現する装置の概念図である。原子 炉1は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reac tor)である。原子炉1は、圧力容器2内に炉心3 備えている。炉心の核分裂反応を制御する め、原子炉1は、複数の制御棒4を備えている 。制御棒4は、制御棒制御装置6と連結棒5で連 結されており、制御棒制御装置6によって炉 3に挿入され、また炉心3から取り出される。 ここで、制御棒4は、炉心3を構成する燃料棒 平行に移動する。制御棒4の移動方向及び燃 料棒の長手方向が、原子炉1の軸(すなわち炉 3の軸)AXと平行になる。原子炉1は、上部炉 中性子束検出器7及び下部炉外中性子束検出 8を備えている。ここで、重力の作用方向側 が下、重力の作用方向とは反対側が上である 。

 上部炉外中性子束検出器7及び下部炉外中 性子束検出器8は、それぞれ、炉心3の上半分 の出力PT、下半分での出力PBの値に比例した 信号を発生する。この信号は、中性子束計測 装置9を介して制御装置10に入力され、この制 御装置10がキセノン振動を予測するとともに キセノン振動を制御する。制御装置10には 表示装置11が接続されており、キセノン振動 の予測結果が表示される。また、制御装置10 は、入力装置12が接続されている。入力装 12によって、キセノン振動の予測に必要な情 報やキセノン振動の制御に必要な情報を制御 装置10へ入力する。

 キセノン振動は、炉心3内の中性子束分布 により定まるキセノン及びその先行核である ヨウ素の平衡濃度分布と、現実のキセノン及 びヨウ素の濃度分布とが異なることにより発 生する。キセノン振動を制御することは、炉 心3内における中性子束分布、キセノン分布 びヨウ素分布の間の矛盾を解消することに しい。加圧水型原子炉では、軸AX方向におけ るキセノン振動の制御が主であることから、 以下においては、原子炉1の軸AX方向における キセノン振動について説明する。

 加圧水型原子炉の軸方向出力分布は、軸 向出力分布偏差(アキシャルオフセット)AO=( 心上半分出力-炉心下半分出力)/(炉心上半分 出力+炉心下半分出力)で表現できる。このた 、キセノン振動を抑制するための制御は、 方向出力分布偏差の制御によって実現する とができる。ここで、キセノン分布に基づ 出力分布の軸方向出力分偏差をAOx、ヨウ素 布に基づく出力分布の軸方向出力偏差をAOi 原子炉の出力分布の軸方向出力偏差をAOpと ると、キセノン振動はAOx=AOi=AOpという条件 下で抑制される。

 図2は、キセノン振動を示す周期の説明図で ある。いま、パラメータDAOix=AOi-AOx、パラメ タDAOpx=AOp-AOxとして、キセノン振動中におい 、DAOpxをX座標に、DAOixをY座標にプロットす と、キセノン振動中における(DAOpx、DAOix)の 跡Lは、図2に示すように楕円になる。この 跡Lは、次のような特徴がある。
(1)単純なキセノン振動中においては、(DAOpx、 DAOix)の軌跡Lは、第1象限と第3象限内を主とし 、原点(0、0)を中心とした偏平な楕円になる
(2)(DAOpx、DAOix)の軌跡Lの移動方向は、反時計 り(図2の矢印R方向)であり、キセノン振動の1 周期で原点(0、0)の周りを1周する。よって、 の楕円上を移動する速さは楕円の長径から れるほど速くなる。
(3)キセノン振動が発散性の場合には楕円は大 きくなり、収束性の場合には小さくなる。
(4)(DAOpx、DAOix)の軌跡Lの楕円の長径は原点(0、 0)を通るとともに、第1象限と第3象限に存在 る。
(5)(DAOpx、DAOix)の軌跡Lの長径の傾きは、原子 1の運転条件により多少異なるが36°前後であ る。

 また、キセノン振動が発生しているとき、 意に制御棒4を移動して外乱を与えた場合に おける(DAOpx、DAOix)の軌跡Lの挙動は、次のよ になる。
(6)制御棒4を炉心3へ挿入すると、(DAOpx、DAOix) 軌跡LはX軸の負側へ移動する。
(7)制御棒4を炉心3から引き抜くと、(DAOpx、DAOi x)の軌跡LはX軸の正側へ移動する。
(8)制御棒4の移動を停止すると、その後にお る(DAOpx、DAOix)の軌跡Lの移動方向は、基本と っている楕円と同じ方向へ移動する。すな ち、楕円の長径の上にあれば左下がりに、 にあれば右上がりに移動する。

 本実施形態においては、上述した特性を 用してキセノン振動を抑制する。具体的に 、キセノン振動が発生していない状態では DAOpx=DAOix=0、すなわち(DAOpx、DAOix)の軌跡Lは 点(0、0)にある。X-Y座標上における(DAOpx、DAOi x)の軌跡Lを監視し、もし原点からの逸脱が大 きくなれば、(DAOpx、DAOix)の軌跡Lを原点に導 ように制御棒4を操作する。その方向及び量 、X-Y座標上における(DAOpx、DAOix)の軌跡Lを見 ながら定めることができる。具体的には次の ようになる。

 もし現時点における(DAOpx、DAOix)の軌跡Lが X-Y座標の原点(0、0)より右にあり、かつ長径 り下にあれば、制御棒4を炉心3へ挿入して(DA Opx、DAOix)の軌跡Lを左に移動させる。この際 長径の上側で止めるか、長径の下側で止め かにより、その後における(DAOpx、DAOix)の移 方向が判断できる。制御棒4の移動タイミン や移動量は、(DAOpx、DAOix)の軌跡Lを見ながら 容易に調整でき、(DAOpx、DAOix)の軌跡Lを原点(0 、0)に導き、キセノン振動を許容範囲内に抑 することができる。

 本実施形態においては、上述した(DAOpx、D AOix)の軌跡Lの有する特徴が、三角関数と指数 関数とを用いて解析的に表現できることを利 用して、現時点における(DAOpx、DAOix)の軌跡L ら、将来の(DAOpx、DAOix)の軌跡Lを予測する。D AOpx=X(t)、DAOix=Y(t)とすると、X(t)は式(1)で、Y(t) は式(2)で表すことができる。このように、(DA Opx、DAOix)の軌跡Lは、三角関数と指数関数と 用いた関係式により解析的に表現できる。 こで、tは時間である。ω、φp、r=b/a、λは、 子炉1の核的特性を表すパラメータから算出 することができる。また、これらのパラメー タは、運転中における原子炉1のキセノン振 発生時の運転データからも決定することが きる。

 図3は、キセノン振動が発生しているとき のAO(アキシャルオフセット)を示す説明図で る。上述したωは、角周波数であり、キセノ ン振動の1周期をTとすると、T×ω=2×πとなる すなわち、角周波数ωは、キセノン振動の1 期(およそ30時間強)をTとすると、(2×π)/Tで求 めることができる。

 図4は、本実施形態に係るキセノン振動予 測方法の手順を示すフローチャートである。 キセノン振動が発生している場合、(DAOpx、DAO ix)の軌跡Lは、常に式(1)、式(2)で表現される で、任意の初期値S(X、Y)を与えることにより 、それ以降の軌跡Lを算出してキセノン振動 予測することができる。本実施形態に係る セノン振動予測方法においては、まず初期 における位相を算出する(ステップS101)。φ0 初期位相、t0を初期位相の時刻とすると、式 (1)は式(3)のように、式(2)は式(4)のようになる 。ここで、X、Yは、図2のX-Y平面上における軌 跡L上の座標である。

 式(3)、式(4)からa×cos(φ0)を求めると、式(5 )のようになる。そして、式(5)、式(4)を用い 整理すると、式(6)が得られ、式(6)から、式(7 )が得られる。式(7)で得られるφ0が、初期値 位相、すなわち初期位相φ0である。初期位 φ0が得られると、係数aは式(8)で、係数bは式 (9)で求めることができる。

 初期位相φ0、係数a、係数bが求まると、 期値(X、Y)以降の軌跡は、式(10)、式(11)で求 ることができるので、初期位相φ0、及び式(1 0)、式(11)を用いて、初期値(X、Y)以降におけ (DAOpx、DAOix)の軌跡を予測することができる( テップS102)。すなわち、パラメータDAOpxは式 (10)のX(t)であり、パラメータDAOixは、式(11)のY (t)で表すことができる。式(10)、式(11)の時間t を変化させることにより、初期値S(X、Y)以降 おける(DAOpx、DAOix)の軌跡を求めることがで る。なお、時間tの変化は正の変化(現時点 りも将来)の他、負の変化(現時点よりも過去 )も含まれる。

 ここで、係数a'=X/cos(φ0-φp)、係数b'=X/sin(φ 0)とすると、a=a'×exp[-λ×t0]、b=b'×exp[-λ×t0]と る。これらを用いると、式(10)、式(11)は、 れぞれ式(12)、式(13)のようになるので、式(12 )、式(13)及び初期位相φ0を用いて、初期値S(X Y)以降における(DAOpx、DAOix)の軌跡を予測す こともできる。初期値S(X、Y)以降における(DA Opx、DAOix)の軌跡の予測結果から、キセノン振 動の消滅を予測する(ステップS103)。次に、キ セノン振動の消滅を予測する手法の一例を説 明する。

 図5、図6は、キセノン振動の消滅を予測 る手法の一例を示す説明図である。図5、図6 に示す例では、制御の強さ、すなわち、図1 示す制御棒4の操作によるAOpの変化幅(制御棒 4の操作量によって決定される)を指定する。 ず、初期値S(X、Y)から、上述した手法によ 初期位相φ0、係数a、係数bを求めて、例えば 、式(10)、式(11)を用いて初期値S(X、Y)から任 の制御棒操作点M1までにおける(DAOpx、DAOix)の 軌跡を予測する(図5のAで示す部分)。

 ここで、初期値(X、Y)は、現時点における (DAOpx、DAOix)、すなわち、(AOp-AOx、AOi-AOx)で求 ることができる。現時点における(AOp-AOx、AOi -AOx)は、現時点におけるAOp、AOx、AOiから求め ことができる。ここで、原子炉の出力分布 軸方向出力偏差AOpは式(14)で、ヨウ分布に基 づく出力分布の軸方向出力偏差AOiは式(15)で キセノン分布に基づく出力分布の軸方向出 偏差AOxは式(16)で求めることができる。

 ここで、PTは炉心上半分の出力、PBは炉心 下半分の出力、ITは炉心上半分の平均ヨウ素 度、IBは下半分の平均ヨウ素濃度、XTは炉心 上半分の平均キセノン濃度、XBは下半分の平 キセノン濃度、Giは核分裂によるヨウ素の 生割合、Gxは核分裂によるキセノンの発生割 合、σfは巨視的核分裂断面積、σaはキセノン の微視的吸収断面積である。ここで、ヨウ素 の濃度、キセノンの濃度、及びその結果から としてのヨウ素分布に基づく出力分布の軸方 向出力偏差AOi、キセノン分布に基づく出力分 布の軸方向出力偏差AOxは、式(17)~式(20)を逐次 積分することにより求めることができる。こ こで、φ0は原子炉1の定格出力時における平 中性子束、kiはヨウ素の崩壊定数、kxはキセ ンの崩壊定数である。

 次に、制御棒操作点M1で制御棒4の操作を 行する(図5のBで示す部分)として、制御棒4 操作した効果を与える。制御棒操作点M1では 、制御棒4を炉心3へ挿入する操作を実行する なお、制御棒4を操作した効果は、予め実験 や解析によって得ることができる。制御棒4 操作した効果を与えることによって、制御 操作点M1で制御棒4の操作を実行した後にお る(DAOpx、DAOix)の軌跡は、図5のCで示す部分の ようになる。

 次に、制御棒操作点M1で制御棒4の操作を 行した後における(DAOpx、DAOix)の軌跡がX軸と 交わる点を定める。この点を、制御棒戻し操 作点M2とし、制御棒戻し操作点M2において、 御棒操作点M1における制御棒4の挿入量と同 量だけ制御棒4を炉心3から引き抜くことによ り、キセノン振動を消滅できるか否かを判断 する。すなわち、制御棒戻し操作点M2におい 、制御棒4の挿入量と同じ量だけ制御棒4を 心3から引き抜く操作により、(DAOpx、DAOix)の 跡を原点(0、0)に導くことができるか否かを 判定する。

 図5に示す例では、制御の強さをMCとして 御棒4を炉心へ挿入し、制御棒戻し操作点M2 おいて、M1における制御棒4の操作量と同じ だけ、すなわち、制御棒4を炉心へ挿入する 前の位置まで制御棒4を炉心3から引き抜く。 のようにすると、制御棒4を引き抜いた後の 座標はM3になり、原点(0、0)を超えることが分 かる。これによって、制御棒操作点M1におけ 制御棒4の操作は早過ぎることが分かる。こ の場合、制御棒操作点M1をさらに遅い時期と るか、制御棒操作点M1における制御の強さ すなわち制御棒4の操作量を変更する。この うにすることで、キセノン振動を消滅させ ための最適な条件を探索する。

 この探索は、コンピュータを用いること より、極めて短い時間で可能であり、キセ ン振動の周期が30時間程度であることを考 すると、本実施形態に係るキセノン振動予 方法による探索は、極めて簡単に実行でき 。このようにして、キセノン振動を消滅さ るための最適な条件を探索することにより 例えば、図6に示すような探索結果を得るこ ができる。

 図6に示す探索結果では、制御棒操作点M1 おいて、制御の強さをMFとして制御棒4を炉 へ挿入し、制御棒戻し操作点M2において、M1 における制御棒4の操作量と同じ量だけ、す わち、制御棒4を炉心へ挿入する前の位置ま 制御棒4を炉心3から引き抜く。すなわち、 御棒戻し操作点M2における制御の強さMB=MF(制 御棒操作点M1における制御の強さ)となるよう に、制御棒4を炉心3へ挿入し、炉心3から引き 抜く。これによって、(DAOpx、DAOix)の軌跡を原 点(0、0)に導くことができるので、キセノン 動を消滅させることができる。

 図7は、キセノン振動の消滅を予測する手 法の他の例を示す説明図である。この手法は 、制御棒4の操作量に制限が課せられている 合に有効な手法である。まず、キセノン振 が発生している状態において、まず、初期 (X、Y)から、上述した手法により初期位相φ0 a、bを求めて、例えば、式(10)、式(11)を用い て(DAOpx、DAOix)の軌跡を予測する。このように して得られた軌跡が、図7のL1である(第1の予 軌跡)。

 次に、制御棒4の操作量MCの分だけ原点(0 0)からX軸の負の方向に向かって平行移動し 座標を求める。この座標が、制御棒の戻し 作を実行する制御棒戻し操作点M2になる。制 御棒戻し操作点M2を求めたら、制御棒戻し操 点M2を初期値として、上述した手法により 期位相φ0、a、bを求める。そして、例えば、 式(10)、式(11)を用いて(DAOpx、DAOix)の軌跡を予 する。ただし、この場合には、時間tを逆算 して(DAOpx、DAOix)の軌跡を予測する。このよう にして得られた軌跡が、図7のL2である(第2の 測軌跡)。

 次に、得られた軌跡L2を、原点(0、0)を通 ように、X軸と平行かつX軸の正の方向に移 する。このようにして得られた軌跡が、図7 L3である(第3の予測軌跡)。軌跡L3と、軌跡L1 が交わる座標を、制御棒操作点M1とする。 して、制御棒操作点M1で、制御棒4を炉心3へ 入する。このときの制御棒4の操作量は、上 述した制御棒4の操作量MCである。このように して決定した制御棒操作点M1で、制御棒4をMC け炉心3へ挿入し、制御棒戻し操作点M2で、 御棒4を炉心3からMCだけ引き抜くことにより 、キセノン振動を消滅させることができる。 このように、制御棒4の挿入量と引き抜き量 を同じ大きさにすることにより、炉心3の状 の変化を極力小さくすることができるので 原子炉1の運転上有利である。

 このように、キセノン振動の軌跡を、三 関数と指数関数とを用いた単純な数式で表 できるようになったため、キセノン振動の 跡の平行移動等を容易に実行して、現時点 降におけるキセノン振動を簡易に予測する とができる。これによって、例えば、キセ ン振動を最短の時間で消滅させる制御や、 御棒4の挿入量と引き出し量とを等しくして キセノン振動を消滅させる制御等のタイミン グを、簡易に予測できる。その結果、原子炉 の制御棒の移動量に制限がある場合には、そ の制限の範囲内で、炉心に対する制御棒の挿 入量と引き抜き量とを同じ大きさとしてキセ ノン振動を消滅させる最短のタイミングを、 迅速かつ正確に予測することができる。

 以上、本実施形態では、原子炉の出力分 の軸方向出力偏差AOpとキセノン分布に基づ 出力分布の軸方向出力偏差AOxとの差で表さ るパラメータDAOpx、及びヨウ素分布に基づ 出力分布の軸方向出力偏差をAOiとキセノン 布に基づく出力分布の軸方向出力偏差AOxと 差で表されるパラメータDAOixを、キセノン振 動の角周波数を用いた三角関数の関係式で記 述する。そして、この関係式を用いてキセノ ン振動を予測する。これによって、現時点以 降におけるキセノン振動の軌跡を求めること ができるので、現時点以降におけるキセノン 振動を予測することができる。その結果、キ セノン振動を消滅させるための制御棒の移動 方向や移動量等の正確な情報を得ることがで きる。また、本実施形態においては、現時点 以降におけるキセノン振動を迅速に予測する ことができるので、キセノン振動を消滅させ るための制御棒の移動方向や移動量等の情報 を迅速かつ正確に得ることができる。その結 果、原子炉のキセノン振動を迅速かつ確実に 抑制することができる。

 以上のように、本発明に係るキセノン振 予測方法及びキセノン振動予測用コンピュ タプログラムは、原子炉の制御に有用であ 、特に、現時点以降におけるキセノン振動 予測することに適している。