FUJII HIRONOBU (JP)
ICHIKAWA TAKAYUKI (JP)
HINO SATOSHI (JP)
LENG HAIYAN (JP)
TANGE KYOICHI (JP)
OMATSU CHIE (JP)
UNIV HIROSHIMA (JP)
KOJIMA YOSHITSUGU (JP)
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TANGE KYOICHI (JP)
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JP2005306724A | 2005-11-04 | |||
JPS51120999A | 1976-10-22 |
ISOBE S.: "Effect of Ti catalyst with different chemical from on LI-N-H hydrogen storage properties", JOURNAL OF ALLOYS AND COMPOUNDS, vol. 404-406, 2005, pages 439 - 442, XP005180198
水素分圧が0.1MPa以上の水素ガスを含む気流中において、その水素と、金属アミドと金属イミドのいずれか一方または両方とを反応させることによって、金属水素化物を生成させることを特徴とする金属水素化物の製造方法。 |
前記金属アミドと金属イミドを構成する金属はリチウムまたはナトリウムまたはカリウムであることを特徴とする請求項1に記載の金属水素化物の製造方法。 |
本発明は金属水素化物の製造方法に関し より詳しくは金属アミドと金属イミドから 属水素化物を製造する方法に関する。
水素は合成化学や石油精製等の工業分野に いて大量に利用されている重要な化学原料 ある。また、NO X やSO X 等の有害物質や地球温暖化の原因とされてい るCO 2 等の温室効果ガスを出さないクリーンなエネ ルギー源として、水素を燃料として用いて発 電を行う燃料電池の開発が盛んに行われてい る。
水素を貯蔵する方法としては、高圧ボン に圧縮して貯蔵する方法や、冷却して液体 させて貯蔵する方法、活性炭や水素吸蔵合 等の水素貯蔵物質に吸蔵させて保存する方 等が知られている。
このような水素貯蔵方法のうち水素貯蔵 質による水素貯蔵方法は、燃料電池自動車 の移動体に搭載される燃料電池の稼働に用 る水素を供給するための水素貯蔵方法とし 特に注目されている。しかし、例えば、水 貯蔵物質の1種である水素吸蔵合金は、比重 が大きいために単位質量あたりの水素貯蔵率 が1~2質量%と小さいという問題がある。
そこで、近時、金属水素化物とアンモニア( NH 3 )とを反応させて水素を発生させる方法が注 されている(例えば、特許文献1参照)。例え 、水素化リチウム(LiH)がNH 3 と接触すると、“LiH+NH 3 →LiNH 2 +H 2 ”の反応式にしたがって水素が発生する。
この反応を用いた場合、原料である“LiH+NH 3 ”が軽量であること、原料の単位質量あたり の水素発生率が約8質量%(=H 2 質量/(LiH+NH 3 )質量)と大きい等の利点がある。また、生成 たLiNH 2 が未反応のLiHと接触すると、“LiNH 2 +LiH→Li 2 NH+H 2 ”の反応式にしたがって水素が発生し、その 際にリチウムイミド(Li 2 NH)が副生成する。
しかしながら、この水素発生方法では、水
の発生とともに生成するLiNH 2
やLi 2
NHを再びLiHへ戻して再利用することが好まし
が、LiNH 2
やLi 2
NHからLiHを得るための実用的な製造方法は報
されていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたも であり、金属アミド,金属イミドから金属水 素化物を高い転化率で製造する方法を提供す ることを目的とする。
本発明に係る金属水素化物の製造方法は 水素分圧が0.1MPa以上の水素ガスを含む気流 において、その水素と、金属アミドと金属 ミドのいずれか一方または両方とを反応さ ることによって、金属水素化物を生成させ ことを特徴としている。
この金属水素化物の製造方法は、特に、 属アミドと金属イミドを構成する金属がリ ウムまたはナトリウムまたはカリウムの場 に、好適に用いられる。
本発明によれば、金属アミド,金属イミド から高い転化率で金属水素化物を製造するこ とができる。これにより、例えば、燃料電池 等の水素放出/吸蔵サイクルが必要な水素供 源としての利用が可能になる。
(a)Kを水素雰囲気下で熱処理して得ら
る生成物
(b)KHを室温においてNH3雰囲気中で反応
させて得られる生成物
(c)KNH 2
をH 2
気流中で熱処理して得られる生成物
(a)実施例7(KNH 2
粉末)
(b)実施例8(NaNH 2
粉末)
(c)実施例9(LiNH 2
粉末)
本発明に係る金属水素化物の製造方法では 水素分圧(H 2 分圧)が0.1MPa以上の水素(H 2 )ガスを含む気流中において、そのH 2 と、金属アミドと金属イミドのいずれか一方 または両方とを反応させることによって、金 属水素化物を生成させる。
H 2 分圧が0.1MPa以上のH 2 ガスを含む気流中とは、純H 2 ガスであればその圧力が0.1MPa以上であればよ く、他のガスを含む混合ガスの場合には、こ れに含まれるH 2 ガスの分圧が0.1MPa以上であればよいことをい う。
混合ガスを用いる場合には、他のガスは、 属水素化物の生成反応を阻害しない性質を している必要があり、具体的には、ヘリウ (He)ガスやアルゴン(Ar)ガス、窒素(N 2 )ガス等の不活性ガスが用いられる。
金属アミドとしては、リチウムアミド(LiNH 2 )、ナトリウムアミド(NaNH 2 )、カリウムアミド(KNH 2 )、マグネシウムアミド(Mg(NH 2 ) 2 )、カルシウムアミド(Ca(NH 2 ) 2 )等が挙げられる。
例えば、LiNH 2
からその金属水素化物である水素化リチウム
(LiH)を得るための化学反応式は、
LiNH 2
+H 2
→LiH+NH 3
…(1A)
で示される。
この式(1A)から、LiHの生成と同時にアンモニ ア(NH 3 )が生成することがわかる。LiHを製造すると う観点からこの反応を進行させるためには 生成したNH 3 を逐次、反応系外へ放出することが好ましい 。そのため、この反応に供されるH 2 ガスを含むガスを循環させて用いる場合には 、循環経路にNH 3 を除去する手段を設けることが必要となる。
式(1A)の化学反応は可逆反応であり、
LiH+NH 3
→LiNH 2
+H 2
…(1B)
で示される反応を所定の条件で生じさせるこ
とができる。
例えば、式(1A)の反応は、H 2 分圧を0.5MPa、反応温度を300℃として所定時間 (例えば、4時間)反応させることにより、反応 率約100%にてLiHを合成することができる。一 、式(1B)の反応は、NH 3 ガス分圧を0.9MPa、室温にて24時間反応させる とにより、反応率約100%にてLiNH 2 を合成することができる。式(1A)・(1B)の反応 は、水素放出/水素吸蔵を繰り返し行うこと ができる1種の水素貯蔵材料を示している。
また、NaNH 2
からその金属水素化物である水素化ナトリウ
ム(NaH)を得るための化学反応式は、
NaNH 2
+H 2
→NaH+NH 3
…(2A)
で示される。この反応は吸熱反応である。H 2
分圧を0.5MPa、反応温度を200℃として所定時間
(例えば、4時間)反応させることにより、反応
率約100%にてNaHを合成することができる。
式(2A)の化学反応もまた可逆反応であり、
NaH+NH 3
→NaNH 2
+H 2
…(2B)
で示される発熱反応が室温で進行する。例え
ば、NH 3
ガス分圧を0.5MPaとして室温にて24時間保持す
ことにより、約62%の反応率でNaNH 2
を得ることができる。これと同じ条件で式(1B
)の反応を行った場合には、約50%の反応率でLi
NH 2
が得られる。これらの対比および前述した式
(1A),(2A)の反応条件・結果との対比から、“金
属アミド+水素”と“水素化金属+アンモニア
の間の可逆反応系では、金属種がLiである
りもNaである方が反応性が高いことがわかる
。これは、NaNH 2
,NaHがそれぞれLiNH 2
,LiHよりも不安定であることによるものと考
られる。
なお、式(1B),(2B)の反応は、NH 3 ガス分圧を0.5MPaとしてミリング処理を2時間 うことにより、両反応で約100%の反応率が得 れる。式(2A)・(2B)の反応系もまた、水素放 /水素吸蔵を繰り返し行うことができる1種の 水素貯蔵材料を示している。
また、KNH 2
からその金属水素化物である水素化カリウム
(KH)を得るための化学反応式は、
KNH 2
+H 2
→KH+NH 3
…(3A)
で示される。この反応は吸熱反応である。例
えば、H 2
分圧を0.5MPaとして、昇温速度5℃/分で300℃ま
昇温することにより、反応率約90%にてKHを
成することができる。
式(3A)の化学反応もまた可逆反応であり、
KH+NH 3
→KNH 2
+H 2
…(3B)
で示される発熱反応が室温で進行する。例え
ば、NH 3
ガス分圧を0.5MPaとして室温にて24時間保持す
ことにより、KNH 2
を得ることができる。式(3A)・(3B)の反応系も
た、水素放出/水素吸蔵を繰り返し行うこと
ができる1種の水素貯蔵材料と考えることが
きる。
金属イミドとしては、リチウムイミド(Li 2
NH)、ナトリウムイミド(Na 2
NH)、カリウムイミド(KNH)、マグネシウムイミ
(MgNH)、カルシウムイミド(CaNH)等が挙げられ
例えば、Li 2
NHからLiHを得るための化学反応式は、
Li 2
NH+2H 2
→2LiH+NH 3
…(4)
で与えられ、Li 2
NHとH 2
とが1:2のモル比で反応してLiHが生成する。式
(1A)と式(4)を考慮すると、LiHを製造するため
原料は、LiNH 2
とLi 2
NHとが混在しているものであってもよいこと
わかる。
式(4)においても、LiHの生成と同時にNH 3 が生成することがわかり、そのため、LiHを製 造するという観点からは、生成したNH 3 を逐次、反応系外へ放出する必要があること は、上述したように出発原料としてLiNH 2 を用いる場合と同様である。式(4)の反応もま た可逆反応であり、水素放出/水素吸蔵を繰 返し行うことができる水素貯蔵材料の1つで ることを示している。
上述した各種金属水素化物を得るための好 な反応温度は金属種によって異なる。反応 度が低過ぎると、反応生成物における金属 素化物の純度が低くなるという問題が生じ 。一方、反応温度が高すぎると、原料自体 分解反応により金属水素化物を得ることが きなくなるおそれがある。例えば、LiNH 2 が原料である場合を例に挙げれば、その分解 反応である“2LiNH 2 →Li 2 NH+NH 3 ”の反応が起こらない温度に設定される。
反応雰囲気のH 2 分圧を0.1MPa以上とするのは、後述する実施例 に示されるように、0.1MPa未満の場合には、反 応生成物におけるLiHの純度が低くなるからで ある。反応雰囲気におけるH 2 分圧の上限は、得られる生成物における金属 水素化物の反応効率を重視する観点よりはむ しろ、反応装置に求められる安全性の観点か ら決められる。
この金属水素化物の製造方法は、特に、 属アミドと金属イミドを構成する金属がリ ウムまたはナトリウムまたはカリウムの場 に特に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細 説明する。
[Li系]
[試料作製およびX線回折装置による構造解析]
(実施例1,2、比較例1)
LiNH 2
(シグマ・アルドリッチ社製、純度;95%(以下同
じ))を300mg秤量し、これを遊星型ボールミル
置(Fritsch社製:P-5型)に装着されるミル容器(内
容積:250ml)に入れ、ミル容器内を真空排気し
後、Arガス(純度99.995%)を内圧が0.9MPaとなるよ
うに導入し、2時間ミリング処理を行った。
得られた粉砕物から5mgを採取し、これをH 2 分圧が0.05MPaの気流中、300℃で4時間保持した なお、「H 2 分圧が0.05MPa」は、「H 2 ガスとArガスの混合気体であって、全圧が0.25 MPaとなっているガスにより、実現されている (以下同様)。
その後、取り出した熱処理物(=比較例1)を粉 末X線回折法(XRD)により相同定した。これと同 様にして、熱処理雰囲気をH 2 分圧が0.1MPaのH 2 気流中(H 2 ガス:0.1MPa、Arガス:0.15MPa)とした熱処理物(=実 例1)、熱処理雰囲気を0.5MPaの純H 2 気流中とした熱処理物(=実施例2)を作製し、XR Dにより相同定した。そのXRDチャートを図1に す。
図1に示される通り、熱処理時のH 2 分圧が低い比較例1ではLiHの生成は確認され かったが、実施例1,2ではLiHの生成が確認さ た。LiHとLiNH 2 とのピーク強度の対比より、H 2 分圧の大きい方が試料中に含まれるLiH量が多 いことがわかる。すなわち、LiHの生成反応を 促進するためには、H 2 ガス圧を大きくすることが好ましいことがわ かる。
(実施例3,4、比較例2)
出発原料としてLiNH 2
に代えてLi 2
NHを用いたことを除いて、その他は上記実施
1,2および比較例1の試料作製,評価方法にし
がった。なお、Li 2
NHは、LiNH 2
を真空中、450℃で加熱して作製したものであ
る。
得られた試料のXRDチャートを図2に示す。図 2に示されるように、H 2 分圧を0.05MPaとして得られた試料(=比較例2)で LiHの存在を示すピークは現れたが、その強 は原料のLi 2 NHのピークに対して大変に小さいものであっ 。一方、H 2 分圧を0.1MPaとして得られた試料(=実施例3)と0. 5MPaとして得られた試料(=実施例4)ではLiHのピ クが大きくなっており、Li 2 NHのピーク強度の低下が顕著に現れた。ここ も、H 2 分圧を大きくすることが、LiHの生成反応を促 進させることが確認された。
(比較例3)
LiNH 2
を300mg秤量し、これを遊星型ボールミル装置P
-5型を用いて2時間ミリング処理し、得られた
粉砕物から100mgを採取し、これを1MPaの純H 2
ガス密閉雰囲気中、300℃で200時間保持した。
その後、取り出した熱処理物(=比較例3)を粉
X線回折法(XRD)により相同定した。
得られた試料のXRDチャートを図3に示す。図 3に示されるように、H 2 分圧を高くしても、その雰囲気が密閉雰囲気 である場合には、LiHの生成は確認できなかっ た。
[水素化リチウム純度の評価方法]
(標準試料の作製と評価)
LiNH 2
とLiH(シグマ・アルドリッチ社製、純度;95%)と
が等モルとなるようにそれぞれ966mgと335mgを
量し、これらと三塩化チタン(TiCl 3
)65mg(シグマ・アルドリッチ社製)とを遊星型
ールミル装置P-5に装着されるミル容器に入
、ミル容器内を真空排気した後、Arガスを内
圧が0.9MPaとなるように導入し、2時間ミリン
処理を行った。
ミリング後の試料を、試料の酸化と水分 着の影響を最小限とするために、Arガス(純 99.995%)雰囲気のグローブボックス内で取り し、Arガス雰囲気で水素放出実験のための反 応容器に移し替え、その後、この反応容器内 を真空排気した。
続いて、反応容器を電気炉を用いて室温~ 250℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、250℃で120 分間保持した。この昇温時に、適宜、反応容 器から排出されるガスを20℃に冷却し、その ス圧を測定して、ガスボンベに採取した。 た、250℃保持中は、放出ガス圧が20kPa以下 なるように、バッファ容器を用いて反応容 内のガス圧を調整しつつ、適宜、排出ガス 20℃に冷却し、そのガス圧を測定して、ガス ボンベに採取した。
こうして採取した放出ガスをガスクロマ グラフ(島津製作所製、GC9A、TCD検出器、カ ム:Molecular Sieve 5A)を用いて分析し、水素放 量を測定した。その測定結果を図4に示す。
LiNH 2 とLiHによる水素生成は“LiNH 2 +LiH→Li 2 NH+H 2 ”の反応式にしたがう。図4から水素放出量 最大で4.73質量%であることがわかり、このと き前記反応式が完結したものとする。すると 、ここで用いたLiHの純度は95%であるから、LiN H 2 :966mgとLiH含有量が未知(x%)である試料:335mgを 量し、これらとTiCl 3 :65mgとを混合して得られる試料を、上記と同 にして熱処理し、その最大水素放出量(y質 %)を測定することにより、x=(y/4.73)×95、の式 ら、LiH含有量未知試料におけるLiH純度(x%)を 求めることができる。
[試料作製]
LiNH 2
を1.3g秤量し、これをミル容器に投入し、ミ
容器内を0.9MPaのArガス雰囲気として、遊星型
ボールミル装置P-5型を用いて、2時間ミリン
処理を行った。その後、得られた粉砕物500mg
をSUS製の反応容器に移し、H 2
分圧が0.05MPa,0.1MPa,0.5MPaの各H 2
分圧に調整された気流中、175~300℃の範囲の
定の温度で12時間加熱した。また、LiNH 2
に代えてLi 2
NHを用い、これと同じ試験を行った。
[作製試料の純度の評価]
作製した試料のLiHの純度を調べるために、
試料:335mgと、LiNH 2
:966mgと、TiCl 3
:65mgをそれぞれ秤量して、ミル容器に投入し
その内部を0.9MPaのArガス雰囲気に調整して
遊星型ボールミル装置P-5型を用いて、2時間
リングを行った。
次に、この混合粉砕物から500mgをSUS製の 応容器に移し、250℃で120分加熱した後の水 放出量を、ガスクロマトグラフを用いて定 した。
なお、LiNH 2 、Li 2 NH、TiCl 3 および生成物などの秤量、ボールミル容器へ の投入、反応容器への移し替え等は、高純度 Arガスグローブボックス中で行った。
原料にLiNH 2 を用いた場合の試験結果を表1に、原料にLi 2 NHを用いた場合の試験結果を表2にそれぞれ示 す。各試料におけるLiH純度(x%)は、上述した 準試料の評価結果に基づいて、x=(y/4.73)×95( し、y:各試料の水素放出量(質量%))、により めた。
表1より、LiNH 2 を原料とした場合、反応雰囲気の気流におけ るH 2 分圧を0.1MPaとし、200℃以上の温度で反応させ ることにより、LiH純度が50%以上の生成物が得 られており、高い転化率が得られることが確 認された。
また表2より、リチウムイミドを原料とした 場合も同様に、反応雰囲気の気流におけるH 2 分圧を0.1MPaとし、200℃以上の温度で反応させ ることにより、LiH純度が50%以上の生成物が得 られており、高い転化率が得られることが確 認された。
[Na系]
[NaNH 2
の合成]
後述する実施例5,6および比較例4の試験に用
いる高純度なNaNH 2
の合成を行った。NaH(シグマ・アルドリッチ
製、純度;95%)を300mg秤量し、これを高クロム
製ボール(直径:7mmφ)と同素材のミル容器(内
積:30cm 3
)に装入し、このミル容器内をNH 3
ガス雰囲気(内圧:0.5MPa)とし、振動型ミリング
装置(セイワ技研社製、型番:RM-10)を用いて、
温で2時間、反応させた。こうして得られた
試料のXRDチャートを図5に示す。図5にはJCPDF
ード番号85-0402記載の回折パターンを併記し
いる。図5より実質的に単相のNaNH 2
粉末が得られていることが確認された。また
、ミル容器内の試料の重量増加量から生成物
であるNaNH 2
粉末の純度を調べたところ、ほぼ100%である
とが確認された。
[実施例5~6,比較例4の試料作製およびX線回折
置による構造解析]
上述の通りにして得られたNaNH 2
を5mg採取し、これをH 2
分圧が0.5MPaの気流中、200℃で4時間保持した
処理物(=実施例5)、同量のNaNH 2
をH 2
分圧が0.5MPaの気流中、100℃で4時間保持した
処理物(=実施例6)、H 2
分圧が0.05MPaの気流中、200℃で4時間保持した
処理物(=比較例4)を作製し、XRDにより相同定
を行った。そのXRDチャートを図6に示す。
図6に示される通り、実施例5,6および比較例 4の全てにおいてNaHの生成が確認されたが、H 2 分圧が低い比較例4ではNaNH 2 が残存していることが確認されており、NaHの 純度が低いことがわかる。実施例6のように 0.5MPaの水素気流中においては、100℃の低温 おいてもNaHの生成が確認されており、LiNH 2 の場合(式(1A)の場合)に比べて、NaNH 2 ではより低温でも金属水素化物を生成させる ことができることが確認された。また、実施 例5においては、NaHの純度は実質的に100%とな ており、LiNH 2 の場合(式(1A)の場合)よりも低い温度で高い純 度のものが得られることが確認された。なお 、NaHの純度の測定は、生成物の重量を測定す ることにより決定した。
[K系]
[KNH 2
の合成]
後述する実施例7の試験に用いる高純度なKNH
2
の合成を行った。まず、K(シグマ・アルドリ
チ社製、純度99.95%)を100mg秤量し、1MPaのH 2
雰囲気下で、600℃で24時間保持した。得られ
試料のXRDチャートを図7(a)に示す。図7にはJC
PDFカード番号54-0410記載の回折パターンを併
している。図7(a)より、KHが合成されている
とを確認した。次に、得られたKHを50mg秤量
、0.5MPaのNH 3
ガス雰囲気下で、室温において24時間反応さ
た。得られた試料のXRDチャートを図7(b)に示
す。図7にはJCPDFカード番号19-0934記載の回折
ターンを併記している。図7(b)より、実質的
単相のKNH 2
粉末が得られていることが確認された。また
、NH 3
との反応後の試料の重量増加量から生成物で
あるKNH 2
粉末の純度を調べたところ、ほぼ100%である
とが確認された。
[実施例7の試料作製およびX線回折装置による
構造解析]
上述の通りにして得られたKNH 2
を4.33mg採取し、SUS製の反応容器(内容積:300ml)
入れ、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・
インスツルメント社製、型式:Q10・PDSC)にセッ
トして、H 2
分圧が0.5MPaの気流中(50ml/分)、昇温速度5℃/分
で300℃まで昇温した。得られた試料をXRDによ
り相同定を行った。そのXRDチャートを図7(c)
示す。図7にはJCPDFカード番号54-0410記載の回
パターンを併記しているが、図7(c)に示され
る通り、実施例7においてKHの生成が確認され
た。また、DSCによる熱処理前後における試料
の重量変化を測定し、反応式(3A)をもとに反
率を算出した結果、反応率は76%であった。(
定前重量:4.33mg⇒熱処理後重量3.43mg)
[DSC測定による水素吸蔵温度の評価]
上述のDSCによる熱処理時での、KNH 2
粉末のDSC曲線(実施例7)を図8(a)に示す。図8(a)
示される通り、水素吸蔵による吸熱が観察
れ、その吸熱のピーク温度は65℃であった
ここで、実施例1などの試料を作製するため に用いたLiNH 2 粉末、および実施例5などの試料を作製する めに合成したNaNH 2 粉末についてもDSC測定を行い、水素吸蔵温度 の評価を行った。DSC測定条件は、H 2 分圧が0.5MPaの気流中(50ml/分)、昇温速度5℃/分 で、NaNH 2 粉末については200℃まで昇温後200℃で保持( 施例8)、LiNH 2 粉末については300℃まで昇温後300℃で保持( 施例9)とした。それぞれのDSC曲線を図8に示 。
図8に示される通り、どちらの場合も水素吸
蔵による吸熱が観察された。その吸熱のピー
ク温度を比較すると、実施例9(LiNH 2
粉末)では300℃以上、実施例8(NaNH 2
粉末)では195℃であり、KNH 2
粉末では水素吸蔵反応におけるピーク温度が
最も低くなることが確認された。このことに
より、実施例7のように、0.5MPaの水素気流中
おいては100℃を大幅に下回る65℃においても
KHの生成が確認されており、LiNH 2
の場合(式(1A)の場合)やNaNH 2
の場合(式(2A))に比べて、KNH 2
ではより低温でも金属水素化物を生成させる
ことができることが確認された。