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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING PROPYLENE GLYCOL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151021
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing propylene glycol with a high yield using glycerin as a raw material, which does not require a step of evaporating glycerin. The method for producing propylene glycol is characterized by including a step of obtaining propylene glycol by catalytically hydrogenating glycerin in the presence of a catalyst which contains (a) at least one of copper and copper oxide, (b) zinc oxide and (c) an oxide of at least one element selected from the group consisting of group 2-6 elements and group 8-10 elements of the periodic table.

Inventors:
YOSHIMURA NARITOSHI (JP)
OZAWA SHUJI (JP)
KOUNO HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060444
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
YOSHIMURA NARITOSHI (JP)
OZAWA SHUJI (JP)
KOUNO HIROSHI (JP)
International Classes:
C07C29/60; C07C31/20; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007099161A12007-09-07
WO2007053705A22007-05-10
Foreign References:
CN101214440A2008-07-09
JP2009173550A2009-08-06
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (JP)
Shunichiro Suzuki (JP)
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Claims:
 (a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、
 (b)酸化亜鉛と、
 (c)周期律表第2族~第6族、第8族~第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物と
を含む触媒の存在下で、グリセリンを接触水素添加してプロピレングリコールを得る工程を含むことを特徴とするプロピレングリコールの製造方法。
 前記触媒における酸化物(c)が、マグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレングリコールの製造方法。
 前記触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化亜鉛(b))が、6:1~6:35の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレングリコールの製造方法。
 前記触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化物(c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化物(c))が、100:1~1.5:1の範囲にあることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のプロピレングリコールの製造方法。
 前記接触水素添加を、反応温度100~350℃、水素圧1~30MPaで行うことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のプロピレングリコールの製造方法。
Description:
プロピレングリコールの製造方

 本発明は、グリセリンを原料とするプロ レングリコールの製造方法に関する。

 近年、地球温暖化を抑制する対策の一つ して、植物及び/または動物油脂を原料とし たバイオディーゼルと呼ばれているディーゼ ルエンジン用燃料が開発されている。バイオ ディーゼルの製造過程ではグリセリンが原料 油脂に対して約10%程度副生しており、該グリ セリンの有効活用が精力的に研究されている 。

 一方、プロピレングリコールはグリセリ の1位の水酸基が水素に変換された化合物で あるが、生物への毒性が低く、また無味無臭 であることから、保湿剤、潤滑剤、乳化剤、 不凍液、溶媒などとして、広く医薬品や化粧 品、食料品などの分野で用いられている。一 般にプロピレングリコールは化石原料と呼ば れている石油から誘導されるプロピレンを酸 化してプロピレンオキシドとし、その後、そ れを水和することにより製造されている。

 ここで、前記のグリセリンの有効活用に いて、銅触媒を使用してグリセリンをプロ レングリコールに変換することが知られて る。例えば米国特許第5214219号明細書には、 酸化銅および酸化亜鉛を含む混合物触媒の存 在下、グリセリンと水素を反応させて、グリ セリンをプロピレングリコールおよびエチレ ングリコールに変換する方法が開示されてい る。

 またWO2007/099161号パンフレットには、触媒 の存在下、特定の反応温度、特定の反応圧力 において、グリセリンを水素化する方法が開 示されている。そしてその反応に用いられる 触媒として、銅を含む触媒、特に酸化銅、酸 化亜鉛およびアルミナよりなる触媒等が例示 されている。

 また、WO2007/010299号パンフレットには、触 媒の存在下、特定の反応温度、特定の反応圧 力、特定の水素と原料との量比および特定の 反応時間かつ気相で、固定床連続反応器を用 い、グリセリンを水素化する方法が開示され ている。

 そしてその反応に用いられる触媒として 酸化銅および酸化亜鉛を含む混合物触媒等 例示されている。この方法によれば、高収 でプロピレングリコールを得ることができ とWO2007/010299号パンフレットに記載されてい る。しかし、この方法ではグリセリンを反応 器に導入する前に気化器で気化する必要があ り、反応を実施するための消費エネルギーが 増大するため、前記方法は経済的に不利であ り、効率的とは言い難い。

 一方独国特許発明第102007003188号明細書に 、20~60重量%の酸化銅と、30~70重量%の酸化亜 および1~10重量%の酸化マンガンを含む触媒 存在下、180~240℃、20~100barで、グリセリンを 素と反応させるプロピレングリコールの製 方法が開示されている。

 しかしながら,当該特許文献に記載の技術 においては、反応形式がオートクレーブを使 用するバッチ反応に限定されており,前記特 文献には経済的に有利な固定床連続反応器 における記載はまったくない。

 また,中国特許出願公開第101012149号明細書 には、銅、亜鉛およびマンガン(およびアル ニウム)を有する触媒(金属元素重量比は16~48: 24~48:0.15~4:0~8)を使用し、200~250℃、2.5~5MPaで、 リセリンに水素添加するプロピレングリコ ルの製造方法が開示されている。

 当該特許文献には固定床連続反応器を使 する実施例が記載されているが,当該反応に おいては水素をグリセリンに対して800~1200当 と大過剰に使用している。未反応の水素の 収再利用等を考慮すると、この反応は工業 には有利な方法とは言いがたい。

米国特許第5214219号明細書

WO2007/099161号パンフレット

WO2007/010299号パンフレット

独国特許発明第102007003188号明細書

中国特許出願公開第101012149号明細書

 本発明は、グリセリンを原料とするプロ レングリコールの製造方法において、グリ リンを気化する工程を必要としない、高収 でプロピレングリコールを製造する方法を 供することを課題とする。

 本発明者らは上記の課題を解決するため 鋭意研究した結果、(a)銅および酸化銅の少 くとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c)周期律表 2族~第6族、第8族~第10族の元素からなる群よ り選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物と 含む触媒を用いることにより、上記課題を 決することができることを見出し、本発明 完成させるに至った。

 即ち本発明の要旨は、
 (a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、(b) 化亜鉛と、(c)周期律表第2族~第6族、第8族~ 10族の元素からなる群より選ばれる少なくと も1種の元素の酸化物とを含む触媒の存在下 、グリセリンを接触水素添加してプロピレ グリコールを得る工程を含むことを特徴と るプロピレングリコールの製造方法である

 前記触媒における酸化物(c)は、マグネシ ム、カルシウム、バリウム、スカンジウム チタン、バナジウム、クロム、モリブデン タングステン、鉄、コバルトおよびニッケ からなる群より選ばれる少なくとも1種の元 素の酸化物であることが望ましい。

 前記触媒における銅および酸化銅の少な とも一方(a)と酸化亜鉛(b)との重量比(銅およ び酸化銅の少なくとも一方(a):酸化亜鉛(b))は 6:1~6:35の範囲にあることが望ましい。

 また、前記触媒における銅および酸化銅 少なくとも一方(a)と酸化物(c)との重量比(銅 および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化物(c)) 、100:1~1.5:1の範囲にあることもまた望まし 。

 さらに、前記接触水素添加は、反応温度1 00~350℃、水素圧1~30MPaで行われることが望ま い。

 本発明によれば、(a)銅および酸化銅の少 くとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c)周期律表 2族~第6族、第8族~第10族の元素からなる群よ り選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物と 含む触媒を用いることにより、グリセリン 気化せずとも、高収率でグリセリンからプ ピレングリコールを製造することができる この効果は特に、前記酸化物(c)としてマグ シウム、カルシウム、バリウム、スカンジ ム、チタン、バナジウム、クロム、モリブ ン、タングステン、鉄、コバルトおよびニ ケルからなる群より選ばれる少なくとも1種 元素の酸化物を含む触媒を用いることによ 、顕著に奏される。したがって、本発明の 造方法には大きな工業的利用価値がある。

 以下に本発明を詳細に説明する。
 [触媒]
 本発明に使用される触媒は、(a)銅および酸 銅の少なくとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c) 期律表第2族~第6族、第8族~第10族の元素から なる群より選ばれる少なくとも1種の元素の 化物(以下単に酸化物(c)ともいう)とを含む触 媒である。

 前記触媒の調製方法は特に限定されるもの はないが、以下の方法などが挙げられる。
(1)銅の各種塩、亜鉛の各種塩および周期律表 第2族~第6族、第8族~第10族の元素からなる群 り選ばれる少なくとも1種の元素の各種塩な を原料として公知の方法、例えば共沈法、 浸法、混練法などにより調製する方法
(2)公知の方法で調製した銅および酸化銅の少 なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と 、別途公知の方法で調製した酸化物(c)を含む 物質または触媒とを混合する方法。

 <触媒の好ましい態様1>
 本発明に使用される触媒の好ましい態様の とつは、銅の各種塩、亜鉛の各種塩および 期律表第2族~第6族、第8族~第10族の元素から なる群より選ばれる少なくとも1種の元素の 種塩などを原料として公知の方法で製造さ た触媒である。

 すなわち、本発明に使用される触媒は、銅 硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物 酸化物及び水酸化物等から選ばれる少なく も1種と、
亜鉛の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩 化物、酸化物及び水酸化物等から選ばれる少 なくとも1種と、
さらに周期律表第2族~第6族、第8族~第10族の 素からなる群より選ばれる少なくとも1種の 素の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩 物、酸化物及び水酸化物等から選ばれる少 くとも1種とを原料として、共沈法、含浸法 、混練法などの公知の方法で製造することが 可能である。

 例えば、共沈法と呼ばれる方法では、例 ば、銅の硝酸塩と、亜鉛の硝酸塩と、周期 表第2族の元素の硝酸塩とを含む水溶液を塩 基の存在下で反応させ、銅と、亜鉛と、周期 律表第2族の元素とを含む共沈物を製造する その後、共沈物を乾燥、焼成することによ 、本発明に使用される触媒を製造すること できる。

 また、使用する銅の各種塩、亜鉛の各種 、および周期律表第2族~第6族、第8族~第10族 の元素からなる群より選ばれる少なくとも1 の元素の各種塩の量比を変更することによ 、本発明に使用される触媒における銅およ 酸化銅の少なくとも一方(a)、酸化亜鉛(b)お び酸化物(c)の含有量を調節することができ 。

 ここで、本発明で使用される触媒に含ま る銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸 亜鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なく とも一方(a):酸化亜鉛(b))に特に制限はないが 6:1~6:35の範囲にあることが望ましく、5:1~5:15 の範囲にあることがより望ましく、3:1~3:7の 囲にあることがさらに望ましく、2:1~2:4の範 にあることが特に望ましい。重量比が上記 範囲にある触媒を使用すると、高収率で触 反応が進行する。

 また、本発明で使用される触媒に含まれ 銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化 (c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも 一方(a):酸化物(c))に特に制限はないが、100:1~1 .5:1の範囲にあることが望ましく、100:1~4:1の 囲にあることがより望ましい。重量比が上 の範囲にある触媒を使用すると、高収率で 媒反応が進行する。

 上記記載の酸化物(c)は、マグネシウム、 ルシウム、バリウム、スカンジウム、チタ 、バナジウム、クロム、モリブデン、タン ステン、鉄、コバルトおよびニッケルから る群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸 化物であることが望ましく、マグネシウム、 鉄、タングステン、バナジウム、コバルトお よびニッケルからなる群より選ばれる少なく とも1種の元素の酸化物であることがより望 しい。

 また、本発明で使用される触媒中に本反 を阻害しない程度に、銅および酸化銅の少 くとも一方(a)、酸化亜鉛(b)および酸化物(c) 外の第4の成分を含有させてもよい。この成 分としては、ナトリウム、カリウム、セシウ ムなどのアルカリ金属類、酸化物(c)において 選ばれた周期律表第2族~第6族、第8族~第10族 元素以外の元素、およびこれらの酸化物等 挙げられる。この第4の成分を触媒に含有さ ることにより、触媒の効果の持続性向上や 媒の安定性向上が期待される。

 <触媒の好ましい態様2>
 また、公知の方法で調製した銅および酸化 の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む 媒と、別途公知の方法で調製した周期律表 2族~第6族、第8族~第10族の元素からなる群よ り選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物(c) 含む物質または触媒とを混合して得られた 媒も、本発明に使用される触媒の好ましい 様のひとつである。

 本発明で使用される銅および酸化銅の少 くとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と ては、上記の公知の方法(共沈法、含浸法、 混練法など)で製造された触媒や、市販され いるもの(例えば、日揮化学(株)製F10Gやズー ケミー触媒(株)製シフトマックス210等)を使 することができる。

 また、酸化物(c)を含む物質または触媒とし は、例えば以下のものを使用することがで る。
(1)周期律表第2族~第6族、第8族~第10族の元素 酸化物
(2)これらの元素の複数種の酸化物の混合物( えば、ズードケミー触媒(株)製N-150、N850等)
(3)銅および酸化銅の少なくとも一方と周期律 表第2族~第6族、第8族~第10族の元素からなる より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物( c)とを含む触媒、すなわち上記の公知の方法( 共沈法、含浸法、混練法など)で製造された 媒や、市販されている触媒(例えば、ズード ミー触媒(株)製N-140、N-840等)。

 これら本発明で使用される触媒に含まれ 銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化 鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なくと も一方(a):酸化亜鉛(b))に特に制限はないが、6 :1~6:35の範囲にあることが望ましく、5:1~5:15の 範囲にあることがより望ましく、3:1~3:7の範 にあることがさらに望ましく、2:1~2:4の範囲 あることが特に望ましい。重量比が上記の 囲にある触媒を使用すると、高収率で触媒 応が進行する。なお、ここで銅および酸化 の少なくとも一方(a)の重量は、酸化物(c)を む物質または触媒に銅および酸化銅の少な とも一方が含まれる場合には、銅および酸 銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含 触媒中の銅および酸化銅の重量と、酸化物( c)を含む物質または触媒中の銅および酸化銅 重量との合計を指す。

 また、本発明で使用される触媒に含まれ 銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化 (c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも 一方(a):酸化物(c))に特に制限はないが、100:1~1 .5:1の範囲にあることが望ましく、100:1~4:1の 囲にあることがより望ましく、100:1~5:1の範 にあることがさらに望ましい。重量比が上 の範囲にある触媒を使用すると、高収率で 媒反応が進行する。なお、ここで銅および 化銅の少なくとも一方(a)の重量は、酸化物(c )を含む物質または触媒に銅および酸化銅の なくとも一方が含まれる場合には、銅およ 酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)と 含む触媒中の銅および酸化銅の重量と、酸 物(c)を含む物質または触媒中の銅および酸 銅の重量との合計を指す。

 上記記載の酸化物(c)は、マグネシウム、 ルシウム、バリウム、スカンジウム、チタ 、バナジウム、クロム、モリブデン、タン ステン、鉄、コバルトおよびニッケルから る群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸 化物であることが望ましく、マグネシウム、 鉄、タングステン、バナジウム、コバルトお よびニッケルからなる群より選ばれる少なく とも1種の元素の酸化物であることがより望 しい。

 また、本発明で使用される触媒中に本反 を阻害しない程度に、銅および酸化銅の少 くとも一方(a)、酸化亜鉛(b)および酸化物(c) 外の第4の成分を含有させてもよい。この成 分としては、ナトリウム、カリウム、セシウ ムなどのアルカリ金属類、酸化物(c)において 選ばれた周期律表第2族~第6族、第8族~第10族 元素以外の元素、およびこれらの酸化物等 挙げられる。この成分を触媒に含有させる とにより、触媒の効果の持続性向上や触媒 安定性向上が期待される。

 [反応]
 本発明の製造方法においては、銅および酸 銅の少なくとも一方(a)と、酸化亜鉛(b)と、 化物(c)とを含む触媒の存在下でグリセリン 対して接触水素添加をする。

 本発明で用いる上記触媒はそのまま利用 てもよいが、取扱い性の改善、触媒の安定 改善、反応効率の改善などのため公知の方 (例えば、触媒講座5、触媒設計、第4章、116 ージ、触媒学会編、講談社、1985年刊参照) 成形してもよい。成形して触媒の粒子径お び形状をどのようにするかは、反応の様式 よび反応器の形状によって任意に選択しう 。

 成形の際、適当なバインダーを用いるこ もできる。バインダーは固体を結合させ触 の機械的強度を増強させる目的で用いられ ものである。本発明に係わる反応を阻害し いものであれば無機物、有機物のいずれで 、バインダーとして使用できる。バインダ の具体例としては、粘土、カオリン、タル 、ベントナイト、アルミナゾル、ジルコニ ゾル、ケイ酸塩、炭化ケイ素、有機ポリマ などが挙げられる。

 本発明の製造方法ではグリセリンを接触 素添加してプロピレングリコールを得る。 記グリセリンは単独、水溶液又は有機溶剤 の溶液のいずれの状態でも用いることがで る。水又は有機溶剤の使用量は特に制限は いが、グリセリン100重量%に対して通常5~90 量%である。容積効率や反応速度の観点から 好ましくは、10~70重量%である。

 本発明の製造方法を実施する反応装置と ては、バッチ式反応装置(たとえばオートク レーブ)、固定床連続反応装置(固定床触媒反 器を備えている)、流動床連続反応装置(流 床触媒反応器を備えている)および移動床連 反応装置(移動床触媒反応器を備えている) を挙げることができる。

 反応効率の観点からは、固定床連続反応 置、流動床連続反応装置または移動床連続 応装置を使用することが望ましく、設備が 単な固定床連続反応装置を使用することが り望ましく、トリクルベッド式固定床連続 応装置を使用することがさらに望ましい。

 本発明において連続反応装置を使用する 合、連続反応装置に備えられた反応器には あらかじめグリセリンを水素化できる固体 媒が充填されており、そこにグリセリンと 素とが連続的に供給される。エネルギー効 の観点からは、グリセリンをあらかじめ気 器等で気化させることなく液体状の反応液 して反応器に供給することが望ましい。従 て、固定床触媒反応器内では気液固三相状 で反応が進行するため、連続反応装置とし 、特にトリクルベッド式固定床連続反応装 を用いることが望ましい。

 また、バッチ式の反応装置を用いる場合は 反応装置の中にグリセリンを水素化できる 体触媒と、グリセリンを含む反応液とを装 し、更に水素を供給する。
 反応器には、本発明の効果を損なわない限 、反応条件調整等のために窒素等の不活性 スを更に供給してもよい。また、グリセリ や水素には本発明の効果を損なわない程度 他の成分が含まれていてもよい。

 例えばグリセリンには、原料に由来する 合物であって、触媒劣化等を引き起こす不 物(例えば、長鎖脂肪酸、金属塩、硫酸、チ オールおよびチオエーテル等の含硫黄化合物 、ならびにアミンなどの含窒素化合物等)が まれる場合がある。このような不純物の除 には、例えば蒸留、吸着、イオン交換、晶 、抽出等の公知の分離方法を用いることが きる。各種分離方法のうち、精製効率、経 性の観点から、蒸留法を用いるのが望まし 。このような分離方法を実施しても、グリ リンから完全に不純物を分離することは困 であるので、上記のように、グリセリンに 本発明の効果を損なわない程度に他の成分( 純物等)が含まれていてもよいのである。

 触媒の使用量は、例えば、バッチ式反応装 の場合、グリセリン100重量%に対して、通常 0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%である。
 本発明において触媒を反応器に装入する方 について特に制限はない。例えば、触媒の ましい態様2で説明した触媒を用いる場合、 公知の方法で調製した、銅および酸化銅の少 なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と 、別途公知の方法で調製した酸化物(c)を含む 物質または触媒とを混合してから反応器に装 入してもよい。また、例えば、銅および酸化 銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む 触媒と、銅および酸化銅の少なくとも一方と 酸化物(c)とを含む触媒とを用いる場合、固定 床反応器に、それぞれを交互に装入してそれ ぞれの触媒が層状になるようにしてもよい。

 本発明で使用される触媒を反応に用いる 際しては、そのまま反応に用いてもよいし 反応で利用する前に予め水素による還元で 性化し、触媒中に含有される金属化合物を 全にまたは部分的に金属に還元してから用 てもよい。一般にこの還元は100~400℃で触媒 を水素ガスと接触させることにより行なわれ る。

 また、触媒の好ましい態様2で説明した触 媒を使用する場合には、銅および酸化銅の少 なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒の みに対して還元操作を行い、還元操作を経た 触媒に酸化物(c)を含む物質または触媒を混合 してもよいし、銅および酸化銅の少なくとも 一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、酸化物 (c)を含む物質または触媒とを混合して得られ た触媒に対して還元操作を行ってもよい。さ らに、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と 酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、銅および酸化銅 の少なくとも一方と酸化物(c)とを含む触媒に 対してそれぞれ還元操作を行った後にそれら 還元操作を経た2種類の触媒を混合してもよ 。

 通常、反応は、連続条件下又はバッチ式 、液相で、100~350℃の範囲、好ましくは150~30 0℃の範囲、より好ましくは150~250℃の範囲の 応温度で実施することができる。

 連続条件下又はバッチ式の場合、反応は 般に水素圧1~30MPa、好ましくは2~20MPa、より ましくは3~15MPaで実施される。このような範 の圧力では反応速度が十分に速く、効率よ プロピレングリコールを得ることができる

 反応時間はバッチ反応の場合,通常1~20時間 ある。
 また,連続式反応の場合,反応における固体 媒の単位重量あたりのグリセリンの供給速 (LHSV)は、0.05hr -1 以上100hr -1 以下であることが望ましく、0.1hr -1 以上50hr -1 以下であることがより望ましい。

 さらに、連続式反応における反応器に供 する反応液の反応器中での平均移動線速は 特に制限されるものではない。例えば、同 LHSVにおいても反応器の形状により変化し得 る。本発明においてはグリセリンの反応効率 の観点から望ましくは2cm/分~100cm/分であり、 り望ましくは5cm/分~100cm/分である。

 本発明において連続反応装置を用いる場 、使用される反応器は、単一の反応器であ ても、複数の反応器からなっていてもよい 特に複数の反応器からなる場合、直列に反 器を設置しても、並列に反応器を設置して よい。直列に反応器を設置することにより 反応条件をより精密に制御可能である。ま 、並列に反応器を設置することにより、例 ば、一方の反応器でグリセリンの接触水添 応を行い、他方の反応器で劣化した触媒の 生運転等を行い、これらの運転を切り替え がら行うことによりプロピレングリコール 生産量を一定に維持することが可能となる

 本発明の製造方法では上述のように、グ セリンを気化せずとも、高収率でグリセリ からプロピレングリコールを製造すること できるが、もちろん、グリセリンを気化し 接触水素添加を気相で行ってもよい。

 以下実施例を用いて本発明を更に具体的 説明するが、本発明はこれにより限定され ものではない。尚、グリセリンの転化率お びプロピレングリコールの収率はガスクロ トグラフィー(ガスクロマトグラフ装置:島 社製GC-14A、カラム:アジレント社製HP-INNOWAX、 検出器:FID)で算出した。プロピレングリコー の選択率は前記転化率及び収率から算出し 。

 [実施例1]
 硝酸第二銅三水和物9.1g、硝酸亜鉛六水和物 11.0gおよび硝酸鉄(III)九水和物3.2gを28%アンモ ア水100ml中で反応させることにより生じた 殿を濾過洗浄し、120℃で6時間乾燥し、さら 400℃で3時間焼成した。得られた固体の元素 分析値より、該固体は酸化銅:酸化亜鉛:酸化 (III)=45:45:10(重量比)である触媒であった。

 グリセリン24g、蒸留水6gおよび上記で得ら た触媒1.20gを量り取り、電磁誘導回転撹拌装 置の付いたSUS316製の100mlオートクレーブに装 した。
 オートクレーブ内部を窒素で置換した(10MPa 5回)後、水素で置換(10MPa×5回)を行い、最後 室温で内圧10MPaになるまで水素を充填し、オ ートクレーブを密閉した。オートクレーブ内 部の触媒を含む反応液を撹拌速度450rpmで撹拌 しながら、オートクレーブを200℃まで加熱し て接触水素添加反応を実施した。12時間後、 熱を停止し、自然放冷でオートクレーブを 却し、オートクレーブ内の温度が30℃以下 下がってから内部を窒素置換して開封した 内容物をろ過して触媒を除去し、得られた 応液をガスクロマトグラフィーで分析した ころ、グリセリンの転化率は91.9%、プロピレ ングリコールの収率は88.6%であった。

 [実施例2~9、比較例1~2]
 実施例2~9および比較例1~2では、用いる触媒 表1に示すように変更した以外は実施例1と 様にして反応を実施した。実施例1とあわせ 結果を表1に示す。なお、各触媒は実施例1 同様に共沈法で製造した。

 [実施例10]
 実施例1で使用した触媒と同一組成の触媒を 、錠剤成形器を用いて0.5mmHg(66.7Pa)の減圧下に 、5MPaの圧力で5分間圧縮した後、触媒を粉砕 、篩い分けを行った。0.25mmの篩いを通過せ ,0.5mmの篩いを通過した部分を集めたところ その嵩密度は0.85g/cm 3 であった。これを成形された触媒として反応 に用いた。

 内径9mmの反応管を有するハステロイC276製固 定床連続反応装置に上記で得られた成形され た触媒5.0g(5.9ml)を充填し、触媒充填部を195℃ 加熱した。この触媒充填部に80重量%グリセ ン水溶液を3g/hr(LHSV=0.6hr -1 )、および水素を50ml/min供給し(水素/グリセリ 供給モル比=5.2/1)、反応を開始した。反応中 、反応管内の圧力を3MPaに保った。5時間後、 応管から流出する液を1時間かけて捕集し、 その捕集液(反応物)の分析を行ったところ、 リセリンの転化率は92.1%、プロピレングリ ールの収率は85.0%であり、プロピレングリコ ールの選択率は92.3%であった。

 [比較例3]
 実施例10で使用した成形された触媒の代わ に,比較例2で使用した触媒と同一組成の触媒 を実施例10と同様に成形して得られる成形さ た触媒5.0g(5.9ml)を使用した以外は実施例10と 同様にして反応を行った。5時間後、反応管 ら流出する液を1時間かけて捕集し、その捕 液(反応物)の分析を行ったところ、グリセ ンの転化率は76.7%、プロピレングリコールの 収率は71.3%であり、プロピレングリコールの 択率は93.0%であった。