Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PRODUCING SEALED HONEYCOMB STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114637
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of producing a sealed honeycomb structure has a sealing process. In the sealing process, one end (first end)(13) of a honeycomb base member (10) is immersed in sealing slurry (20) while the slurry (20) is vibrated, the inside of a cell (12a) is set to a negative pressure and then returned to the atmospheric pressure, the slurry (20) is vibrated to make it enter a first opening end section of the cell (12a), and the slurry (20) having entered the first opening end section of the cell (12a) is dried to form a first sealing section(19) at the first end section.

Inventors:
ITO KOICHI (JP)
TOKUNAGA TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054264
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 10, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NGK INSULATORS LTD (JP)
ITO KOICHI (JP)
TOKUNAGA TAKESHI (JP)
International Classes:
B28B11/02; B01D39/00; B01D39/20; F01N3/02
Domestic Patent References:
WO2006062141A12006-06-15
Foreign References:
JP2003170043A2003-06-17
JP2001300922A2001-10-30
JPH06190218A1994-07-12
JPH06190224A1994-07-12
Other References:
See also references of EP 2123414A4
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Kazuhira (No.8 Kikuboshi Tower Building 20-18, Asakusabashi 3-chome, Taito-k, Tokyo 53, JP)
Download PDF:
Claims:
 多孔質の隔壁によって複数のセルが区画形成された筒状のハニカム基材と、前記セルの開口端部に配設された目封止部と、を備えた目封止ハニカム構造体を製造する目封止ハニカム構造体の製造方法であって、
 前記ハニカム基材の一方の端部(第一の端部)を、目封止用スラリーを振動させながら前記目封止用スラリーに浸漬し、前記セル内部を負圧にした後、前記セル内部を大気圧に戻し、前記目封止用スラリーを振動させ、前記セルの第一の開口端部に前記目封止用スラリーを浸入させ、前記セルの前記第一の開口端部に浸入した前記目封止用スラリーを乾燥させ、前記第一の端部に第一の目封止部を形成する目封止工程を備える目封止ハニカム構造体の製造方法。
 前記ハニカム基材の一方の端部を、製造する前記目封止ハニカム構造体の前記第一の目封止部の深さに相当する深さまで前記目封止用スラリーに浸漬する請求項1に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
 更に、前記目封止工程の前に、前記ハニカム基材の第一及び第二の端面にマスク用フィルムを貼り付けるとともに、前記マスク用フィルムの、所定のセルの一方の開口端部(第一の開口端部)及び残余のセルの他方の開口端部のそれぞれに対応する部分にスラリー浸入孔を穿孔するマスキング工程を有し、
 前記目封止工程が、前記第一の端部に前記第一の目封止部を形成した後、前記ハニカム基材の前記第二の端面側の第二の端部を、前記目封止用スラリーを振動させながら前記目封止用スラリーに浸漬し、前記セル内部を負圧にした後、前記セル内部を大気圧に戻し、前記目封止用スラリーを振動させ、前記セルの第二の開口端部に前記目封止用スラリーを浸入させ、前記セルの前記第二の開口端部に浸入した前記目封止用スラリーを乾燥させ、前記第二の端部に第二の目封止部を形成する工程である請求項1または2に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
 前記ハニカム基材の前記第二の端面側の第二の端部を、前記目封止ハニカム構造体の前記第二の目封止部の深さに相当する深さまで前記目封止用スラリーに浸漬する請求項3に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
 前記セル内部を負圧にした後に、前記セル内部を大気圧に戻し、前記目封止用スラリーを、鉛直方向上下に、振動数1~1,000,000Hz、振幅0.001~50mmの条件で振動させる請求項1~4のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
 前記負圧にする条件を、0.1~100kPaで0.1~60秒間とする請求項1~5のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
 前記目封止用スラリーの粘度が、1~1,000dPa・sである請求項1~6のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
Description:
目封止ハニカム構造体の製造方

 本発明は、目封止ハニカム構造体の製造 法に関し、更に詳しくは、ディーゼルパテ キュレートフィルター等のフィルターに好 に用いることができる、端面で所定のセル 封止された目封止ハニカム構造体の製造方 に関する。

 ディーゼルパティキュレートフィルター( DPF)に代表される集塵フィルターとして、ハ カム構造を有するセラミック製のフィルタ が使用されている。このようなフィルター 、多孔質の隔壁により区画形成された、流 の流路となる多数のセルを有するハニカム 造体の端面を、市松模様状を呈するように 隣接するセルを互いに反対側となる一方の 部で封止した構造を有するものである。

 このフィルター(目封止ハニカム構造体) 一方の端面よりパティキュレート等の微粒 を含む排ガスを通気させると、この排ガス 、当該一端面側の端部が封じられていない のセルより構造体内部に流入し、多孔質の 壁を通過して、構造体の他端面側の端部が じられていない他のセルに入る。そして、 の隔壁を通過する際に排ガス中の微粒子が 壁に捕捉され、微粒子を除去された浄化後 ガスがハニカム構造体の他端面より排出さ る。

 通常、このような構造の目封止ハニカム 造体を製造するには、図2に示すように、ハ ニカム基材10の端面にマスクとなるマスク用 ィルム11を貼り付け、このマスク用フィル 11の所定のセル12の開口端部に対応する位置 スラリー浸入孔11aを設け、目封止用スラリ 20が貯留された容器にハニカム基材10の端部 を浸漬することにより、マスク用フィルム11 スラリー浸入孔11aを通じて所定のセル12の 口端部に目封止用スラリー20を浸入させると いう方法が採用されている(例えば、特許文 1参照)。

 上記目封止用スラリーとしては、チキソ ロピー性を有するスラリーを使用し、この 封止用スラリーを加振しつつハニカム基材 所定のセル内に浸入させる方法が開示され いる(例えば、特許文献2,3参照)。

特開2001-300922号公報

特開平6-190218号公報

特開平6-190224号公報

 しかしながら、特許文献1のような方法で 所定のセルの開口端部(セルの端部)を目封止 る場合、目封止用スラリー20が、セル12内の 所望とする深さにまで浸入しない場合があっ た。また、目封止用スラリー20の浸入深さが 一にならない場合もあり、均質な目封止ハ カム構造体を製造することが困難であると う問題があった。なお、目封止しようとす 各セルの内部に浸入する目封止用スラリー 浸入深さが不均一であると、得られる目封 ハニカム構造体のセル毎の圧力損失にバラ キが生じ、濾過物の堆積量に偏りが生じる の不具合が発生し易くなる。

 また、特許文献2,3において開示された方 であっても、目封止用スラリーは、セル内 所望とする深さにまで必ずしも浸入せず、 入深さが均一にならない場合があった。

 このように浸入深さが均一にならない原 の一つは、ハニカム基材を目封止用スラリ に浸漬した際、ハニカム基材の端面と上記 ラリー表面との間に空気が混入することが げられる。このように混入される空気は、 状、層状など様々な状態で存在し、この空 の存在によって、ハニカム基材のセル内に 記スラリーが浸入することが阻害される。 して、上記空気によって上記スラリーの浸 が阻害されたセルには、十分に目封止部が 成されず、また、目抜け(目封止部の形成が 不完全であるため貫通孔(セル)が開いている と)が発生する。このように目封止部の形成 が不完全であったり、目封止部の深さにバラ ツキが生じると、得られる目封止ハニカム構 造体がフィルターとして十分に機能せず、大 きな問題であった。

 本発明は、このような従来技術の有する 題点に鑑みてなされたものであり、その課 とするところは、セルの所望とする深さに で目封止用スラリーを均一に浸入させるこ ができ、目抜け等の製品欠陥が極めて生じ い目封止ハニカム構造体の製造方法を提供 る。即ち、均一な長さの目封止部を備え、 抜け等の製品欠陥が生じていない目封止ハ カム構造体を製造することができる目封止 ニカム構造体の製造方法を提供する。

 本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意 討した結果、目封止部の深さのバラツキに きく影響を及ぼす、ハニカム基材の端面と 封止用スラリー表面との間に混入した空気( 混入空気)を除去するため、また、セル内の 気による反力を低減するため、ハニカム基 の端部を、目封止用スラリーを振動させな らこの目封止用スラリーに浸漬した後、セ 内部を負圧にし、セル内部を大気圧に戻し 目封止用スラリーを振動させ、セルの端部 目封止用スラリーを浸入させ、セルの開口 部に浸入した目封止用スラリーを乾燥させ 第一の目封止部を形成する目封止工程を備 ることによって、上記課題を達成すること 可能であることを見出し、本発明を完成す に至った。

 即ち、本発明によれば、以下に示す、目 止ハニカム構造体の製造方法が提供される

[1] 多孔質の隔壁によって複数のセルが区 形成された筒状のハニカム基材と、前記セ の開口端部に配設された目封止部と、を備 た目封止ハニカム構造体を製造する目封止 ニカム構造体の製造方法であって、前記ハ カム基材の一方の端部(第一の端部)を、目 止用スラリーを振動させながら前記目封止 スラリーに浸漬し、前記セル内部を負圧に た後、前記セル内部を大気圧に戻し、前記 封止用スラリーを振動させ、前記セルの第 の開口端部に前記目封止用スラリーを浸入 せ、前記セルの前記第一の開口端部に浸入 た前記目封止用スラリーを乾燥させ、前記 一の端部に第一の目封止部を形成する目封 工程を備える目封止ハニカム構造体の製造 法。

[2] 前記ハニカム基材の一方の端部を、製 する前記目封止ハニカム構造体の前記第一 目封止部の深さに相当する深さまで前記目 止用スラリーに浸漬する前記[1]に記載の目 止ハニカム構造体の製造方法。

[3] 更に、前記目封止工程の前に、前記ハ カム基材の第一及び第二の端面にマスク用 ィルムを貼り付けるとともに、前記マスク フィルムの、所定のセルの一方の開口端部( 第一の開口端部)及び残余のセルの他方の開 端部のそれぞれに対応する部分にスラリー 入孔を穿孔するマスキング工程を有し、前 目封止工程が、前記第一の端部に前記第一 目封止部を形成した後、前記ハニカム基材 前記第二の端面側の第二の端部を、前記目 止用スラリーを振動させながら前記目封止 スラリーに浸漬し、前記セル内部を負圧に た後、前記セル内部を大気圧に戻し、前記 封止用スラリーを振動させ、前記セルの第 の開口端部に前記目封止用スラリーを浸入 せ、前記セルの前記第二の開口端部に浸入 た前記目封止用スラリーを乾燥させ、前記 二の端部に第二の目封止部を形成する工程 ある前記[1]または[2]に記載の目封止ハニカ 構造体の製造方法。

[4] 前記ハニカム基材の前記第二の端面側 第二の端部を、前記目封止ハニカム構造体 前記第二の目封止部の深さに相当する深さ で前記目封止用スラリーに浸漬する前記[3] 記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。

[5] 前記セル内部を負圧にした後に、前記 ル内部を大気圧に戻し、前記目封止用スラ ーを、鉛直方向上下に、振動数1~1,000,000Hz、 振幅0.001~50mmの条件で振動させる前記[1]~[4]の ずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製 方法。

[6] 前記負圧にする条件を、0.1~100kPaで0.1~60 秒間とする前記[1]~[5]のいずれかに記載の目 止ハニカム構造体の製造方法。

[7] 前記目封止用スラリーの粘度が、1~1,000 dPa・sである前記[1]~[6]のいずれかに記載の目 止ハニカム構造体の製造方法。

 本発明の目封止ハニカム構造体の製造方 によれば、セル内部を負圧にすることによ 、ハニカム基材の一方の端部を目封止用ス リーに浸漬した際に、ハニカム基材の端面 目封止用スラリー表面との間に混入した空 (混入空気)を除去することができるため、 封止用スラリーをセル内部に均一に浸入さ ることができ、目抜け等の製品欠陥が極め 生じ難い目封止ハニカム構造体を製造する とができる。

本発明の目封止ハニカム構造体の製造 方法の一の実施形態を示す模式図である。 本発明の目封止ハニカム構造体の製造 方法の一の実施形態を示す模式図である。 本発明の目封止ハニカム構造体の製造 方法の一の実施形態を示す模式図である。 本発明の目封止ハニカム構造体の製造 方法の一の実施形態を示す模式図である。 従来の、セルの開口端部に目封止用ス リーを浸入させる状態を示す模式図である 大気開放からハニカム基材を目封止用 ラリーから取り出すまでの時間と第一の目 止部の深さとの関係を示すグラフである。 大気開放からハニカム基材を目封止用 ラリーから取り出すまでの時間と第二の目 止部の深さとの関係を示すグラフである。

符号の説明

10:ハニカム基材、11:マスク用フィルム、11a :スラリー浸入孔、12a,12b:セル、13:第一の端面 (一方の端面)、14:第二の端面(他方の端面)、16 ,17:空気の流れ、19:第一の目封止部、20:目封 用スラリー、30:超音波発生装置、40:負圧器 41:ロート、42:真空ポンプ。

 以下、本発明の実施の最良の形態につい 説明するが、本発明は以下の実施の形態に 定されるものではなく、本発明の趣旨を逸 しない範囲で、当業者の通常の知識に基づ て、以下の実施の形態に対し適宜変更、改 等が加えられたものも本発明の範囲に入る とが理解されるべきである。

 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製 方法は、多孔質の隔壁によって複数のセル 区画形成された筒状のハニカム基材と、セ の開口端部に配設された目封止部と、を備 た目封止ハニカム構造体を製造する目封止 ニカム構造体の製造方法であって、ハニカ 基材の一方の端部(第一の端部)を、目封止 スラリーを振動させながら目封止用スラリ に浸漬し、セル内部を負圧にした後、セル 部を大気圧に戻し、目封止用スラリーを振 させ、セルの第一の開口端部に目封止用ス リーを浸入させ、セルの第一の開口端部に 入した目封止用スラリーを乾燥させ、第一 端部に第一の目封止部を形成する目封止工 を備えるものである。

 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製 方法は、セル内部を負圧にすることにより ハニカム基材の一方の端部を目封止用スラ ーに浸漬した際に、ハニカム基材の端面と 封止用スラリー表面との間に混入した空気( 混入空気)を除去することができるため、目 止用スラリーをセル内部に均一に浸入させ ことができ、目抜け等の製品欠陥が極めて じ難い目封止ハニカム構造体を製造するこ ができる。

[1]ハニカム基材の形成:
 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造 法に用いるハニカム基材は、多孔質の隔壁 よって複数のセルが区画形成された筒状の のである限り、特に制限されるものではな が、例えば、以下のような方法により製造 れたものを用いることができる。

 ハニカム基材の製造方法としては、まず ハニカム基材を成形するための坏土を形成 る。この坏土は、コージェライト、炭化珪 、サイアロン、ムライト、窒化珪素、リン ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、ア ミナ、及びシリカからなる群より選択され 少なくとも一種の成形原料を混合、混練し 得られるものである。

 例えば、成形原料としてコージェライト 料を用いる場合、コージェライト原料に水 の分散媒、及び造孔材を加えて、更に、有 バインダ及び分散剤を加えて混練し、粘土 の坏土を形成する。ここで、コージェライ 原料とは、焼成によりコージェライトとな 原料を意味し、シリカが42~56質量%、アルミ が30~45質量%、マグネシアが12~16質量%の範囲 入る化学組成となるように配合されたセラ ックス原料である。具体的には、タルク、 オリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化 ルミニウム、及びシリカの中から選ばれた 数の無機原料を上記化学組成となるような 合で含むものが挙げられる。

 造孔材としては、焼成工程により飛散消 する性質のものであればよく、コークス等 無機物質や発泡樹脂等の高分子化合物、澱 等の有機物質等を単独で用いるか、または み合わせて用いることができる。

 有機バインダとしては、ヒドロキシプロ ルメチルセルロース、メチルセルロース、 ドロキシエチルセルロース、カルボキシル チルセルロース、ポリビニルアルコール等 使用することができる。これらは、一種単 で使用してもよいし、二種以上を組み合わ て使用してもよい。

 分散剤としては、エチレングリコール、 キストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール を使用することができる。これらは、一種 独で使用してもよいし、二種以上を組み合 せて使用してもよい。

 成形原料を混練して坏土を調製する方法 しては、特に制限はなく、例えば、ニーダ 、真空土練機等を用いる方法を挙げること できる。

 次に、得られた坏土を、ハニカム形状に 形してハニカム成形体を作製する。ハニカ 成形体を作製する方法としては、特に制限 なく、押出成形、射出成形、プレス成形等 従来公知の成形法を用いることができる。 れらの中でも、上述のように調製した坏土 、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を する口金を用いて押出成形する方法等を好 例として挙げることができる。

 なお、ハニカム成形体の全体形状は、特 制限されないが、例えば、円筒状、三角柱 、四角柱状、その他角柱状等を挙げること できる。また、ハニカム成形体のセル形状 即ち、ハニカム成形体の中心軸が伸びる方 (セルが伸びる方向)に対して垂直な断面に けるセル形状についても特に制限はなく、 えば、三角形、四角形、六角形等を挙げる とができる。

 次に、このように作製したハニカム成形 を乾燥させて、ハニカム基材を作製する。 の乾燥の方法も特に制限はなく、例えば、 風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧 燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾 法を用いることができる。これらの中でも 成形体全体を迅速かつ均一に乾燥すること できる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥 たは誘電乾燥と、を組み合わせた乾燥方法 好ましい。

[2]マスキング工程:
 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造 法は、後述する目封止工程の前に、ハニカ 基材の両端面(即ち、第一及び第二の端面) マスク用フィルムを貼り付けるとともに、 スク用フィルムの、所定のセルの一方の開 端部(第一の開口端部)及び残余のセルの他方 の開口端部に対応する部分にスラリー浸入孔 を穿孔するマスキング工程を有することが好 ましい。このように筒状のハニカム基材の両 端面(第一及び第二の端面)に予めマスク用フ ルムを貼り付けることにより、生産性、作 性を向上させることができる。例えば、レ ザー光の照射による穿孔作業を両端面同時 行うことができるため、時間を短縮するこ ができ、生産性の向上を図ることができる いう利点がある。以下に、マスキング工程 ついて具体的に説明する。

 マスキング工程では、まず、ハニカム基 の両端面(即ち、第一及び第二の端面)にマ ク用フィルムを貼り付ける。

 マスク用フィルムは、その種類に特に制 はないが、例えば、加熱によって溶融可能 あるとともに、レーザー光の照射によって 孔可能なフィルムが好ましい。また、ハニ ム基材の端面上で固定することができると う観点から、粘着層を有するフィルムを用 ることが好ましい。このようなマスク用フ ルムの具体例としては、ポリエステル、ポ オレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン等 ポリマー材料からなる基材層と、この基材 に積層配置される、アクリル系粘着材等か なる粘着層と、を備えたフィルムを挙げる とができる。また、マスク用フィルムの厚 は、適当な強度を有し、孔が開け易い等の 点から、10~100μm程度であることが好ましい

 マスク用フィルムを貼り付ける方法は、 に制限はなく、上記粘着層を有するフィル のように粘着層などによって、フィルム(基 材層)をハニカム基材の両端面に貼り付ける とができる。

 次いで、貼り付けたマスク用フィルムの 所定のセルの一方の開口端部(第一の開口端 部)に対応する部分にスラリー浸入孔を開け (穿孔する)。このスラリー浸入孔は、目封止 工程において、所定のセル内に目封止用スラ リーを流入させるための流入口として機能す る。なお、スラリー浸入孔の開口面積は、セ ルの開口の開口面積に対して30~100%とすると 目封止用スラリーを良好に浸入させること 可能になるため好ましく、上記開口面積を40 ~100%とすることが更に好ましく、50~100%とする ことが特に好ましい。

 マスク用フィルムにスラリー浸入孔を開 る方法は、特に限定されないが、例えば、 ーザー照射(レーザーマーカー)により穿孔 形成する方法、一本の針で一つずつ穿孔を 成する方法、セルのピッチに対応した所定 形状を有する剣山状の針を使用して多数の ラリー浸入孔をまとめて形成する方法など 挙げることができる。なお、セルのピッチ 開口形状が一定ではないハニカム基材にも 軟に対応することが可能であるという観点 ら、ハニカム基材の端面を画像処理し、ス リー浸入孔を開けるべきセルの位置を抽出 、レーザーマーカーによって上記抽出した 置に対応する部分にスラリー浸入孔を穿孔 る方法が好ましい。

 なお、ハニカム基材の両端面(第一及び第 二の端面)にマスク用フィルムを貼り付ける 合、スラリー浸入孔は、所定のセルの一方 開口端部及び残余のセルの他方の開口端部 対応する部分に形成することが好ましく、 定のセルの一方の開口端部及び残余のセル 他方の開口端部に対応する部分に形成され スラリー浸入孔は、相補的な市松模様にな ように形成することが特に好ましい。

[3]目封止工程(目封止部の形成):
 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造 法は、上述のようにして作製したハニカム 材の一方の端部(第一の端部)を、目封止用 ラリーを振動させながらこの目封止用スラ ーに浸漬し、セル内部を負圧にし、セル内 を大気圧に戻し、目封止用スラリーを振動 せ、セルの端部に目封止用スラリーを浸入 せ、セルの第一の開口端部(第一の端部)に浸 入した目封止用スラリーを乾燥させ、第一の 端部に第一の目封止部を形成する目封止工程 を備えるものである。

 目封止工程は、まず、作製したハニカム 材の一方の端部(第一の端部)を、目封止用 ラリーを振動させながらこの目封止用スラ ーに浸漬する。

 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製 方法に用いる目封止用スラリーは、その種 などは特に制限はないが、例えば、セラミ ク粉末とスラリー用分散媒とを混合するこ により調製したものとすることができる。

 上記セラミック粉末とは、例えば、炭化 素粉末やコージェライト粉末等のセラミッ を含有する粉末であり、このような粉末で る限りその種類は特に限定されないが、例 ば、炭化珪素粉末やコージェライト粉末等 好適に用いることができる。また、上記ス リー用分散媒としては、例えば、アセトン メタノール、エタノール等の有機溶媒や水 を好適例として挙げることができる。更に 上記目封止用スラリーには、必要に応じて 結合剤、解膠剤等の添加剤を加えてもよい 結合剤としては、例えば、ポリビニルアル ール(PVA)等の樹脂を用いることができ、加 によってゲル化する特性を有する熱ゲル硬 性の結合剤を用いることが好適である。こ 熱ゲル硬化性の結合剤としては、例えば、 チルセルロースを好適に用いることができ 。

 上記目封止用スラリーの粘度は、1~1,000dPa ・sであることが好ましく、5~500dPa・sである とが更に好ましく、10~100dPa・sであることが に好ましい。目封止用スラリーの粘度が、1 dPa・s未満であると、スラリー浸入孔に供給( 入)できたとしても、流動性が高過ぎて端部 付近に保持されないおそれがある。一方、1,0 00dPa・s超であると、流動性に乏しいためスラ リー浸入孔内の所定の深さまで十分に供給( 入)できないおそれがある。ここで、本明細 において「目封止用スラリーの粘度」とは 振動式粘度計により測定した値である。振 式粘度計は、例えば、CBCマテリアルズ社製 「FVM-80A」を用いることができる。

 本工程は、ハニカム基材の一方の端部を 目封止用スラリーを振動させながら、この 封止用スラリーに浸漬する。即ち、ハニカ 基材の一方の端部を目封止用スラリーに浸 する際には、目封止用スラリーを振動させ ことが必要である。目封止用スラリーを振 させる方法は、特に制限はないが、例えば 超音波発生装置、振動篩等を使用すること できる。また、このときの振動条件は特に 限はなく、鉛直方向上下に、振動数1~1,000,00 0Hz、振幅0.001~50mmの条件とすることができる

 なお、本工程は、目封止用スラリーを振 させながら、この目封止用スラリーにハニ ム基材の一方の端部を浸漬した後、目封止 スラリーを振動させ続けてもよいし、振動 停止させてもよい。

 また、目封止用スラリーは、スラリー浸 孔への浸入性が良好であることと、セル内 部付近でのスラリー保持が良好であるとい 観点から、チキソトロピー性を有するもの 用いることが好ましい。このチキソトロピ 性を有する目封止用スラリーを用いる場合 超音波発生装置、振動篩等を使用して上記 封止用スラリーを加振することによって、 ニカム基材を浸漬する前に、予め目封止用 ラリーをゾル化させておくことが好ましい このときの振動条件(目封止用スラリーをゾ ル化させための加振条件)は特に制限はなく 鉛直方向上下に、振動数1~1,000,000Hz、振幅0.00 1~50mmの条件とすることができる。

 ハニカム基材の一方の端部を目封止用ス リーに浸漬する際に、ハニカム基材を浸漬 る深さは特に制限はないが、目封止部の深 を制御することができるという観点から、 造する目封止ハニカム構造体の目封止部の 望の深さまでハニカム基材を目封止用スラ ーに浸漬させることが好ましい。目封止部 深さは、製造する目封止ハニカム構造体に よるが、例えば、直径100~500mm、長さ100~500mm 目封止ハニカム構造体を製造する場合、通 、1~50mmであり、2~10mmであることが好ましい

 次に、本目封止工程は、セル内部を負圧 する。即ち、本実施形態の目封止ハニカム 造体の製造方法は、ハニカム基材の一方の 部を、目封止用スラリーを振動させながら の目封止用スラリーに目封止用スラリーに 漬した後、セル内部を負圧にする。このよ にセル内部を負圧にすると、ハニカム基材 一方の端部を目封止用スラリーに浸漬した に、ハニカム基材の端面と目封止用スラリ 表面との間に混入した空気(混入空気)を除 することができる。混入空気を除去すると 目封止用スラリーがセル内に良好に浸入す とともに、各セル内に浸入した目封止用ス リーの、セルの開口端からの距離が均一に るため、目封止部の深さのバラツキが生じ くなるという利点がある。

 また、本実施形態の目封止ハニカム構造 の製造方法は、セル内部を負圧にする際、 ィルムとハニカム基材の上記反対面との間 間隙を形成させ、セル内を完全に密封して まうことを防止することが好ましい。従来 ハニカム基材の両端面(第一及び第二の端面 )にマスク用フィルムを貼り付けると、この ィルムが蓋の役目を果たすため、目封止用 ラリーがセルに浸入する際に、セル内の空 が、セルに浸入しようとする目封止用スラ ーに反力を及ぼしていた。そのため、各セ に浸入した目封止用スラリーの量が不均一 なることによって、目封止部の深さにバラ キが生じたり、目抜けが発生したりする場 があった。しかし、本実施形態のように、 ル内部を負圧にすることによって、上記セ 内の空気による反力を低減させることがで るため、目封止部の深さにバラツキが生じ り、目抜けが発生したりすることを防止す ことができる。

 セル内部を負圧にするための方法は、特 制限はないが、例えば、図1Aに示すように ハニカム基材10の他方の端面を覆う開口を有 し、上記端面と密閉空間を形成可能なロート 41と、このロート41に接続された真空ポンプ42 とを備える負圧器40を用いて、セル12a内部の 気を吸引する方法などが挙げられる。

 セル内部を負圧にした際のセル内部の圧 (内圧)は、特に制限はないが、0.1~100kPaで0.1~ 60秒間とした状態であることが好ましく、1~50 kPaで0.3~30秒間とした状態であることが更に好 ましく、10~20kPaで1~10秒間とした状態であるこ とが特に好ましい。上記圧力が0.1kPa未満であ ると、外部の大気圧によりセルを形成する隔 壁が破壊されるおそれがある。一方、100kPa超 であると、ハニカム基材の端面と目封止用ス ラリー表面との間に混入した空気(混入空気) 除去するのに時間が掛かり過ぎるおそれが る。また、上記時間が0.1秒未満であると、 ニカム基材の端面と目封止用スラリー表面 の間に混入した空気(混入空気)を除去しき ないおそれがある。一方、60秒超であると、 生産性が著しく低下するおそれがある。

 「セル内部を負圧にする」とは、セル内 の圧力を大気圧よりも低い圧力にすること いう。例えば、図1Aは、セル12a内の空気を ハニカム基材10の第二の端面14とマスク用フ ルム11の間に存在する空隙を通じてセル12a に排出する状態を示す例である。なお、図1A に示すように、セル12a内の空気を、空気の流 れ16で示すようにハニカム基材10の第二の端 14とマスク用フィルム11の間に存在する空隙 通じてセル12a外に排出する。このようにセ 内部を負圧にすると、ハニカム基材10の第 の端部13を目封止用スラリー20に浸漬した際 、ハニカム基材10の第一の端面13と目封止用 スラリー20表面との間に混入した空気(混入空 気)を除去することができる。そのため、目 止用スラリー20がセル12a内に良好に浸入し、 各セル12a内に浸入する目封止用スラリー20が 一になり、目封止部の深さのバラツキが生 難くなるという利点がある。

 次に、本工程は、上述のようにセル内部 負圧にした後、セル内部を大気圧に戻す。 ル内部を大気圧に戻す方法は特に制限はな 。例えば、図1Bは、負圧器40のロート41をハ カム基材10から取り外すことによって、セ 12a内部と外気とに生じた差圧をなくし、セ 12a内部を大気圧にした例である。このよう セル内部を大気圧に戻すと、目封止用スラ ーは、ハニカム基材の端部を目封止用スラ ーに浸漬した深さ分だけ、セル内に浸入す 。このようにセル内部を大気圧に戻すこと よって、目封止部の深さが所望の深さとな ように制御することができる。仮に、セル 部を負圧の状態に保持したままとする場合 は、目封止部が所望の深さに達する時間を 縮することができるが、目封止部の深さを 御することができなくなる。

 次に、本工程は、セル内部を大気圧に戻 た後、目封止用スラリーを振動させ、セル 端部に目封止用スラリーを浸入させる。目 止用スラリーを振動させることにより、ス リー浸入孔が形成された位置に対応する(即 ち、開口端を有する)全てのセルに目封止用 ラリーを浸入させることができる。また、 封止用スラリーをセルに均一に浸入させる とができる。図1Bは、超音波発生装置30によ て振動された目封止用スラリー20が、ハニ ム基材10を目封止用スラリー20に浸漬した深 まで浸入した状態を示す例である。ここで 目封止用スラリー20がセル12a内に浸入する とに伴い、セル12a外に押し出される空気は ハニカム基材10の第二の端面14とマスク用フ ルム11との間に存在する空隙を通じて容易 排出される。なお、図1Bに示すように、セル 12a内の空気を、空気の流れ16で示すようにハ カム基材10の第二の端面14とマスク用フィル ム11の間に存在する空隙を通じてセル12a外に 出する。

 セルの端部に目封止用スラリーを浸入さ た後の、目封止用スラリーを振動させる方 は、ハニカム基材の一方の端部を目封止用 ラリーに浸漬する際に、目封止用スラリー 振動させる方法と同様の方法によって行う とができる。

 目封止用スラリーを振動させる条件は、 に制限はないが、目封止用スラリーを、鉛 方向上下に、振動数1~1,000,000Hz、振幅0.001~50m mの条件で振動させることが好ましく、鉛直 向上下に、振動数5~500,000Hz、振幅0.005~25mmの 件であることが更に好ましく、鉛直方向上 に、振動数10~100,000Hz、振幅0.01~10mmの条件で ることが特に好ましい。上記振動数が1Hz未 であると、目封止用スラリーが充分にゾル しないため、目封止用スラリーがセルに十 に浸入しないおそれがある。一方、1,000,000Hz 超であると、粒子同士の摩擦によって発熱し 、目封止用スラリーが変質(例えば、分離・ 燥)するおそれがある。また、振幅が0.001mm未 満であると、目封止用スラリーが充分にゾル 化しないため、目封止用スラリーがセルに十 分に浸入しないおそれがある。一方、振幅が 50mm超であると、目封止用スラリーが振動発 装置、振動篩等の容器から飛散するおそれ ある。

 次に、本工程は、セル内に浸入した目封 用スラリーを乾燥させて、セルの端部に第 の目封止部を形成する。この目封止用スラ ーの乾燥方法は、上述したハニカム成形体 乾燥方法と同様の方法を好適に用いること できる。上記目封止用スラリーの乾燥時間 、特に制限はないが、0.1~60分であることが ましく、0.2~30分であることが更に好ましく 0.5~10分であることが特に好ましい。上記乾 時間が0.1分未満であると、乾燥が不充分と るためマスク用フィルムを剥がす際に目封 部となる部分の一部が上記フィルムととも 剥れてしまい、凹部が形成されるおそれが る。一方、60分超であると、生産性が著し 低下するおそれがある。

 また、上記目封止用スラリーの乾燥温度 、特に制限はないが、10~300℃であることが ましく、20~200℃であることが更に好ましく 50~150℃であることが特に好ましい。上記乾 温度が10℃未満であると、充分に乾燥させ ためには時間が掛かり過ぎるおそれがある 一方、300℃超であると、ハニカム基材が熱 よって変質するおそれがある。

 本実施形態の目封止ハニカム構造体の製 方法は、以上のようにして、ハニカム基材 一方の端部(第一の端部)に目封止部を形成 た後、更に他方の端部(第二の端部)に目封止 部を形成することができる。具体的には、ハ ニカム基材の第一の端面側の第一の端部を目 封止用スラリーに浸漬し、セル内部を負圧に し、セル内部を大気圧に戻し、目封止用スラ リーを振動させ、セルの端部に浸入した目封 止用スラリーを乾燥させ、第一の目封止部を 形成した後、ハニカム基材の第二の端面側の 第二の端部を目封止用スラリーに浸漬し、セ ル内部を負圧にし、セル内部を大気圧に戻し 、目封止用スラリーを振動させ、セルの端部 に浸入した目封止用スラリーを乾燥させて、 第二の目封止部を形成することができる。

 具体的には、以下のように第二の目封止 を形成することができる。即ち、図1A及び 1Bに示す方法に従って第一の目封止部19を形 した後、図1Cに示すように、第一の端面13に 貼り付けたマスク用フィルム11を剥がしたハ カム基材10を用い、このハニカム基材10の第 二の端面14側の第二の端部を目封止用スラリ 20に浸漬し、上述した負圧器40によってセル 12b内部を負圧にする。このようにすると、ハ ニカム基材10の第二の端面(他方の端部)14を目 封止用スラリー20に浸漬した際に、ハニカム 材10の第二の端面14と目封止用スラリー20表 との間に混入した空気(混入空気)を除去す ことができる。混入空気を除去すると、目 止用スラリー20がセル12b内に良好に浸入する とともに、各セル12b内に浸入した目封止用ス ラリー20の、セルの開口端からの距離が均一 なるという利点がある。なお、図1Cに示す うに、セル12b内の空気は、空気の流れ17で示 すようにセル12bから排出される。

 なお、第一の目封止部19を形成した後、 一の端面13に貼り付けたマスク用フィルム11 、剥がさなくてもよいが、第一の目封止部1 9を形成する際に、第一の端面13とフィルム11 の間にスラリー20が浸入し、浸入したスラ ー20によって、第一の端面13とフィルム11と 密着される場合がある。このような場合、 ル内の空気の逃げ道がなくなり、目封止部 深さにバラツキが生じたり、目抜けが発生 たりするおそれが高い。このようなことを 慮すると、第一の目封止部19を形成した後、 マスク用フィルム11を剥がすことが好ましい

 なお、ハニカム基材の一方の端部(第一の 端部)に目封止部を形成した後、セル12b内部 負圧にする条件は、既に上述した第一の端 に目封止部を形成する場合と同様の条件に り行うことができる。

 その後、図1Dに示すように、負圧器40をハ ニカム基材10から取り外し、セル12b内部を大 圧に戻し、超音波発生装置30によって目封 用スラリー20を振動させ、目封止用スラリー 20をセル12b内部に浸入させる。浸入した目封 用スラリー20を乾燥させ、第二の目封止部 形成する。

 なお、目封止用スラリーを振動させる条 及び浸入した目封止用スラリーを乾燥させ 条件は、特に制限はなく、既に上述した条 により行うことができる。

 なお、本実施形態の目封止ハニカム構造 の製造方法によって製造される目封止ハニ ム構造体において、目封止部は、所定のセ の一方の開口端部及び残余のセルの他方の 口端部に形成されるものであることが好ま い。所定のセルの一方の開口端部及び残余 セルの他方の開口端部に形成される目封止 は、相補的な市松模様を形成するように配 されることが特に好ましい。

[4]焼成:
 次に、乾燥された目封止が形成されたハニ ム基材を焼成(本焼成)することによって目 止ハニカム構造体を得ることができる。な 、本焼成する前に仮焼して仮焼体を作製す ことが好ましい。「仮焼」とは、ハニカム 材中の有機物(有機バインダ、分散剤、造孔 等)を燃焼させて除去する操作を意味する。 一般に、有機バインダの燃焼温度は100~300℃ 度、造孔材の燃焼温度は200~800℃程度である で、仮焼温度は200~1000℃程度とすればよい 仮焼時間としては特に制限はないが、通常 、10~100時間程度である。

 本焼成の焼成条件(温度・時間)は、成形 料の種類により異なるため、その種類に応 て適当な条件を選択すればよいが、コージ ライト原料を焼成する場合には、1410~1440℃ 焼成することが好ましい。また、3~10時間程 焼成することが好ましい。この本焼成によ て、仮焼体中の成形原料を焼結させて緻密 し、所定の強度を確保することができる。

 以下、本発明を実施例に基づいて具体的 説明するが、本発明はこれらの実施例に限 されるものではない。

(実施例1)
 まず、タルク44体積部、カオリン22体積部、 アルミナ19体積部、及びシリカ15体積部を混 してコーディエライト化原料を調製した。 のコーディエライト化原料100質量部に対し 、水30質量部、及び有機バインダ(メチルセ ロース)6質量部、及び造孔材としてグラファ イトを25質量部添加、混合、混練して坏土を 製した。

 調製した坏土を押出成形し、セル断面形 が正方形(1辺の長さが1mm)で、隔壁の厚みが 0.3mmであり、直径5.66インチ、長さ6インチの 円筒形のハニカム成形体を作製した。その後 、このハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で 乾燥し、熱風乾燥機で完全に乾燥させてハニ カム基材を得た。得られたハニカム基材の両 端面を所定の寸法に切断した。

 次に、得られたハニカム基材に目封止を した。ハニカム基材を目封止する前に予め 目封止用スラリーを調製した。この目封止 スラリーは、コージェライト粉末100質量部 対して、メチルセルロース1.5質量部、グリ リン8質量部、水40質量部を加えて混練して た。得られた目封止用スラリーの粘度は、5 0dPa・sであった。

 上記ハニカム基材の両方の端面にマスク フィルムを貼り付け、得られる目封止ハニ ム構造体の目封止が、ハニカム基材の一方 端面と他方の端面とで相補的な市松模様を 成するように、マスク用フィルムに市松模 状に穿孔を形成した。なお、上記フィルム ポリエステル基材上にアクリル系粘着剤に って形成した粘着剤層(接着力5.3N/cm)を備え テープを使用した。

 ハニカム基材の一方の端部(第一の端面) 目封止用スラリーに浸漬深さ5mmで浸漬する 同時に、図1Aに示すように、他方の端面(第 の端面14)に、ロート41と真空ポンプ42とを備 る負圧器40のロート41を密着させ、真空ポン プ42によってハニカム基材10のセル12a内部の 気を真空度20kPaで吸引し、セル12a内部を負圧 にした。吸引後、2秒後にロート41をハニカム 基材10から外して(即ち、負圧にする条件を、 20kPaで2秒間とした)大気開放とした(セル内部 大気圧に戻した)(図1B)。その後、超音波発 装置30によって目封止用スラリー20を振動さ 、上記大気開放から20秒後にハニカム基材10 を目封止用スラリー20から取り出し、熱風乾 機で温度120℃、時間3分の条件にて乾燥処理 を行った。

 乾燥後、目封止を施した側の端面(第一の 端面13)に貼り付けたマスク用フィルム11を剥 した。その後、ハニカム基材10の他方の端 (第二の端面14側の端部)を目封止用スラリー2 0に浸漬深さ5mmで浸漬すると同時に、図1Cに示 すように、第一の端面13にロート41と真空ポ プ42とを備える負圧器40のロート41を密着さ 、真空ポンプ42によってハニカム基材10のセ 12b内部の空気を真空度20kPaで吸引し、セル12 b内部を負圧にした。吸引開始後、2秒後にロ ト41をハニカム基材10から外して大気開放と した(セル内部を大気圧に戻した)(図1D)。その 後、超音波発生装置30によって目封止用スラ ー20を振動させ、上記大気開放から20秒後に ハニカム基材10を目封止用スラリー20から取 出し、熱風乾燥機で温度120℃、時間3分の条 にて乾燥処理を行った。その後、焼成する とによって目封止ハニカム構造体を得た。 成条件は、1410~1440℃、5時間とした。

 得られた目封止ハニカム構造体は、第一 目封止部の深さが4.85mmであり、その標準偏 σが0.10であり、第二の目封止部の深さが4.97 mmであり、その標本標準偏差σが0.13であった なお、第一の目封止部の深さの標本標準偏 σは、得られた目封止ハニカム構造体の第 の端面側に形成された約3,800個の目封止部か ら偏りなく17ヶ所の目封止部を選択し、これ の目封止部について、その深さを測定して 出した。また、第二の目封止部の深さの標 標準偏差σも同様にして算出した。

 なお、大気開放から、1,5,10,及び15秒後に ニカム基材を目封止用スラリーから取り出 て目封止部を形成した場合の、それぞれの 封止部の深さを測定し、その標準偏差を算 した。測定結果を表1に示す。

(実施例2)
 目封止用スラリーの調製に際し、水を35質 部にした以外は、実施例1と同様にして、目 止ハニカム構造体を製造した。なお、調製 た目封止用スラリーの粘度は100dPa・sであっ た。製造した目封止ハニカム構造体の、第一 及び第二の目封止部の深さを測定し、その標 準偏差を算出した。これらの結果を表2に示 。なお、大気開放から、1,5,10,及び15秒後に ニカム基材を目封止用スラリーから取り出 て目封止部を形成した場合の、それぞれの 封止部の深さを測定し、その標準偏差を算 した。測定結果を表2に示す。

(比較例1)
 目封止を形成する際(目封止工程)において セル内部を負圧としなかったこと以外は、 施例1と同様にして、目封止ハニカム構造体 製造した。製造した目封止ハニカム構造体 第一及び第二の目封止部の深さを測定し、 の標準偏差を算出した。これらの結果を表1 に示す。

(比較例2)
 目封止を形成する際(目封止工程)において セル内部を負圧としなかったこと以外は、 施例2と同様にして、目封止ハニカム構造体 製造した。製造した目封止ハニカム構造体 第一及び第二の目封止部の深さを測定し、 の標準偏差を算出した。これらの結果を表2 に示す。

 図3は、大気開放からハニカム基材を目封 止用スラリーから取り出すまでの時間(1,5,10,1 5,及び20秒)と、実施例1,2及び比較例1,2の目封 ハニカム構造体における第一の目封止部の さと、の関係を示すグラフである。但し、 較例1,2の目封止ハニカム構造体については 大気開放からハニカム基材を目封止用スラ ーから取り出すまでの時間を20秒とした場 を示す。

 図4は、大気開放からハニカム基材を目封 止用スラリーから取り出すまでの時間(1,5,10,1 5,及び20秒)と、実施例1,2及び比較例1,2の目封 ハニカム構造体における第二の目封止部の さと、の関係を示すグラフである。但し、 較例1,2の目封止ハニカム構造体については 大気開放からハニカム基材を目封止用スラ ーから取り出すまでの時間を20秒とした場 を示す。

 以上のように、実施例1,2の目封止ハニカ 構造体は、比較例1,2の目封止ハニカム構造 に比べて、大気開放からハニカム基材を目 止用スラリーから取り出すまでの時間を20 とした場合に形成される目封止部の深さの 準偏差が小さく、セルの所望とする深さに で目封止用スラリーを均一に浸入させるこ ができ、目抜け等の製品欠陥が極めて生じ いものであることが確認できた。また、実 例1,2の目封止ハニカム構造体は、比較例1,2 目封止ハニカム構造体に比べて、目封止用 ラリーをセルの所望とする深さにまで容易 到達させることができるため、製造時間を 縮することができる。

 本発明の目封止ハニカム構造体の製造方 によれば、セルの所望とする深さにまで目 止用スラリーを均一に浸入させることがで 、目抜け等の製品欠陥が極めて生じ難い目 止ハニカム構造体を好適に製造することが きる。