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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF DENDRITIC CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143047
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a method for producing a dendritic cell (DC), which involves the step of culturing a DC precursor cell in the presence of two or more cytokines; a DC produced by the method; and use of the DC. The method can produce a large quantity of a DC precursor cell which is highly capable of being differentiated into a DC. The method can also produce a large quantity of a DC from a small quantity of a DC precursor cell. Therefore, it becomes possible to readily increase the number of DCs to be administered in the anti-tumor immunotherapy or the treatment of an infectious disease utilizing a DC, resulting in the enhancement of the efficacy of a DC vaccine.

Inventors:
INOUE MAKOTO (JP)
HASEGAWA MAMORU (JP)
YONEMITSU YOSHIKAZU (JP)
HARADA YUI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058719
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DNAVEC CORP (JP)
UEDA YASUJI (JP)
INOUE MAKOTO (JP)
HASEGAWA MAMORU (JP)
YONEMITSU YOSHIKAZU (JP)
HARADA YUI (JP)
International Classes:
C12N5/0784
Other References:
BONTKES H.J. ET AL.: "Expansion of dendritic cell precursors from human CD34(+) progenitor cells isolated from healthy donor blood; growth factor combination determines proliferation rate and functional outcome", J. LEUKOC. BIOL., vol. 72, no. 2, 2002, pages 321 - 329, XP002990425
SARAYA K. ET AL.: "Synergistic interaction between c-kit ligand (SCF), GM-CSF and TNF promotes optimal dendritic Langerhans cell proliferation from primitive progenitors in human bone marrow", ADV. EXP. MED. BIOL., vol. 378, 1995, pages 13 - 16, XP008124841
SZABOLCS P. ET AL.: "Expansion of immunostimulatory dendritic cells among the myeloid progeny of human CD34+ bone marrow precursors cultured with c-kit ligand, granulocyte-macrophage colony-stimulating factor, and TNF-alpha", J. IMMUNOL., vol. 154, no. 11, 1995, pages 5851 - 5861, XP001179701
See also references of EP 2154243A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Hatsushi et al. (1-1-1 Oroshi-mach, Tsuchiura-shi Ibaraki 47, JP)
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Claims:
樹状細胞を製造する方法であって、樹状細胞前駆細胞を複数のサイトカインの存在下で培養する工程を含む方法。
複数のサイトカインが、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および幹細胞因子(SCF)である、請求項1に記載の方法。
樹状細胞前駆細胞は、ヒト由来の細胞である、請求項1または2に記載の方法。
該工程が、樹状細胞前駆細胞を顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)1 ng/ml以上、および幹細胞因子(SCF)0.5 ng/ml以上の存在下で培養する工程である、請求項2または3に記載の方法。
該工程が、樹状細胞前駆細胞を顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)10 ng/ml以上、および幹細胞因子(SCF)5 ng/ml以上の存在下で培養する工程である、請求項4に記載の方法。
該工程が、樹状細胞前駆細胞を顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)1 ng/mlから100 ng/ml 、および幹細胞因子(SCF)0.5 から50 ng/mlの存在下で培養する工程である、請求項4に記載の方法。
Description:
樹状細胞の製造方法

 本発明は樹状細胞の製造方法、製造され 樹状細胞およびその利用に関する。

 樹状細胞 (dendritic cell; DC) は末梢血液 皮膚、リンパ器官及び胸腺などに存在する 原提示細胞 (APC) の1つであり、リンパ組織 び非リンパ組織に広く分布している (Steinma n, R. M. 1991, Ann. Rev. Immunol. 9:271; Banchereau,  J.B. および R.M. Steinman, 1998, Nature 392:245  参照)。樹状細胞は強力な抗原提示能を有し 樹状細胞上のクラスI、クラスIIに抗原ペプ ドを発現させ、それぞれ、CD4、CD8 T細胞を 性化する。これにより特定の抗原(病原微生 の抗原、腫瘍関連抗原、移植抗原など)に対 する生体内の免疫応答を誘導する。

 DCが持つ高い免疫誘導能は、多くの腫瘍に する免疫療法(DC治療)に有用である。本発明 らは以前、マウスにおいてセンダイウイル  (SeV) で刺激したDCが強力な抗腫瘍効果を つことを示してきた (S. Shibata et al., J. Im munol, 2006 177: 3564-3576; Yoneyama, Y. et al., Bio chem. Biophys. Res. Commun., 2007, 355:129-135)。と ろで抗腫瘍効果は接種するDCの数に依存する 。臨床においても、接種するDCの数量が治療 果に大きく関与すると考えられるが、患者 容態によっては、採取可能なDC前駆細胞(DC  progenitors)の数が限られる場合が多くあると予 想され、結果的に得られるDCの数が十分でな ために治療効果が不十分となる可能性があ 。従って、限られたDC前駆細胞を効率的に 幅する方法が求められている。
Steinman, R. M., 1991, Ann. Rev. Immunol. 9: 2 71-296 Banchereau, J.B. および R.M. Steinman, 1998,  Nature 392: 245-252 Shibata, S. et al., J. Immunol, 2006 177: 3564 -3576 Yoneyama, Y. et al., Biochem. Biophys. Res. Com mun., 2007, 355:129-135

 本発明は上記状況に鑑みてなされたもの あり、本発明が解決しようとする課題は、 量の樹状細胞を効率的に製造する方法を提 することである。

 DC前駆細胞を効率的に増幅しDCに分化させる 方法を開発するため、本発明者らは、DC前駆 胞を様々なサイトカインの添加により期間 変えながら培養し、その後DCを分化させた 、DCの表面マーカーを指標に増幅した細胞を 分析した。その結果、DC前駆細胞を幹細胞因 (Stem cell factor;SCF)およびインターロイキン( IL)-3 を含む培地で培養すると、DC前駆細胞は 顕著な増殖を示すことを見出した。SCFおよび IL-3に加え、Flt-3リガンドおよびIL-6も加えた( なわち、Flt-3リガンド、SCF、IL-3、およびIL-6  (FS36と略記) を含む)培地で培養すると、DC 駆細胞はさらに顕著な増殖を示した。増幅 た細胞をGM-CSFおよびIL-4、またはGM-CSFおよびS CFにより分化させて得られたDCの数は、採取 後から分化させた場合と比べると数百倍に した。特にFS36で約3週間培養した後に分化さ せた細胞集団は、DCの割合が顕著に高く、FS36 による約3週間の培養がDCの増幅法として極め て優れていることが判明した。増幅後に得ら れた細胞は、従来の分化方法により得られた DCと同様に、RNAウイルスの感染またはLPS等に って、co-stimuratory molecules であるCD80および CD86の発現が増強されることが確認された。 た、ヒトCD34 + 細胞をGM-CSFおよびSCFを含む培地で培養するこ とによっても、DCが顕著に増殖することを見 した。得られたDCは、上記と同様に、LPSに ってCD86の発現が増強されることが確認され 。このように本発明は、DC前駆細胞を大量 増幅させる方法、および得られたDC前駆細胞 を高い効率でDCに分化させる方法を提供する のである。これらの方法により製造されたD Cは、癌や感染症などに対する免疫療法に有 である。

 すなわち本発明は、樹状細胞の製造方法、 造された樹状細胞およびその利用等に関し より具体的には、
〔1〕樹状細胞を製造する方法であって、樹 細胞前駆細胞を複数のサイトカインの存在 で培養する工程を含む方法。
〔2〕複数のサイトカインが、顆粒球/マクロ ァージコロニー刺激因子(GM-CSF)および幹細 因子(SCF)である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕樹状細胞前駆細胞は、ヒト由来の細胞 ある、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕該工程が、樹状細胞前駆細胞をGM-CSF 1  ng/ml以上、およびSCF 0.5 ng/ml以上の存在下で 養する工程である、〔2〕または〔3〕に記 の方法。
〔5〕該工程が、樹状細胞前駆細胞をGM-CSF 10 ng/ml以上、およびSCF 5 ng/ml以上の存在下で 養する工程である、〔4〕に記載の方法。
〔6〕該工程が、GM-CSF 1 ng/mlから100 ng/ml 、 よびSCF 0.5 ng/mlから50 ng/mlの存在下で培養 る工程である、〔4〕に記載の方法。
〔7〕該工程が、樹状細胞前駆細胞をGM-CSF 10 ng/mlから100 ng/ml 、およびSCF 5 ng/mlから50 n g/mlの存在下で培養する工程である、〔5〕ま は〔6〕に記載の方法。
等に関する。
 なお上記の各項において、同一の項を引用 る各項に記載の発明の2つまたはそれ以上を 任意に組み合わせた発明は、それらに引用さ れる上位の項に記載の発明において、既に意 図されている。また、本明細書に記載した任 意の発明要素およびその任意の組み合わせは 、本明細書において意図されている。また、 それらの発明において、本明細書に記載の任 意の要素またはその任意の組み合わせを除外 した発明も、本明細書に意図されている。ま た本明細書は、明細書中に例えば好ましいと してある特定の態様を記載した場合、それを 開示するのみならず、その態様を含むより上 位の本明細書に開示された発明から、その態 様を除外した発明も開示するものである。

 樹状細胞は高い免疫誘導能を有するため 本発明の方法により得られた樹状細胞は、 および感染症などの免疫治療に有用な樹状 胞(DC)ワクチンとして有用である。例えば、 腫瘍免疫治療に関しては、樹状細胞に腫瘍抗 原を提示をさせるために、腫瘍細胞のcell lys ate (細胞溶解物) と混合、ペプチドでパルス 、または樹状細胞に腫瘍抗原遺伝子を導入す る方法などにより抗原を提示させ、腫瘍に対 するDC治療に用いることができる。本発明の 法を用いれば、患者から採取したDCが少な ても、治療効果を得るのに十分な細胞数のDC を調製することが可能となる。

 尚、下記図1、図2、図4から図10、図13、図15 図21(A)、図21(B)、図22(A)、図28、図29記載のグ ラフの縦軸の目盛の標記は、以下を意味する ものとする。
 1.E+04、1e4、または1.00E+04:1.0×10 4 (個)
 1.E+05または1.00E+05:1.0×10 5 (個)
 1.E+06または1.00E+06:1.0×10 6 (個)
 1.E+07または1.00E+07:1.0×10 7 (個)
 1.E+08または1.00E+08:1.0×10 8 (個)
 1.E+09または1.00E+09:1.0×10 9 (個)
 1.E+10または1.00E+10:1.0×10 10 (個)
 1.E+11または1.00E+11:1.0×10 11 (個)
 1.E+12または1.00E+12:1.0×10 12 (個)
FS36投与群、GMSCF投与群、GMIL-4投与群の 件で培養したDC前駆細胞の増殖曲線を示す である。FS36投与群では、42日間培養した。 DCを以下(i)から(iii)の条件で調製した過 程を示す増殖曲線を示した図と、(1)・(2)・(3) 時点におけるDC及びDC前駆細胞の形態を表し 写真である。(1)及び(3)時点においては、樹 突起が観察できた((3))。各DCは、各々以下(i) ら(iii)の工程で調製した。(i)前駆細胞をFS36 与群の条件で42日間培養して得られたDC。(ii )前駆細胞をFS36投与群の条件で21日間培養し その後培地をGMIL-4投与群の条件にし、7日間 養して得られたDC。(iii)前駆細胞GMIL-4投与群 の条件で7日間培養して得られたDC。 DC前駆細胞増殖培養期間中のCD11b、c-kit、CD131 性率の推移を示す図である。左のカラムがC D11b +  細胞の割合を、中のカラムがc-kit +  細胞の割合を、右のカラムがCD131細胞の割 を示す。図面記載の各サンプル(1)~(6)は、以 の培養条件で製造したDCである。(1):通常DC(n ormal DC)。(2):FS36投与群の条件で一週間培養し 、その後培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週 間培養したもの。(3):FS36投与群の条件で二週 培養し、その後培地をGMIL-4投与群の条件に 、一週間培養したもの。(4):FS36投与群の条 で三週間培養し、その後培地をGMIL-4投与群 条件にし、一週間培養したもの。(5):FS36投与 群の条件で四週間培養し、その後培地をGMIL-4 投与群の条件にし、一週間培養したもの。(6) :FS36投与群の条件で五週間培養し、その後培 をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養した の。 FS36投与群(1)、GMIL-4投与群(2)、GMSCF投与群(3)の 条件による1週間の培養におけるDC前駆細胞の 増殖曲線、およびCD11b + /CD11c +  率を示す図である。 各サンプル(1)~(4)においての、CD11b +  /CD11c +  率と培養期間の増殖曲線を示す図である。( 1)~(4)は、以下の培養条件で製造したDCである (1):FS36投与群の条件で一週間培養し、その 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養 たもの。(2):FS36投与群の条件で一週間培養し 、その後培地をGMSCF投与群の条件にし、一週 培養したもの。(3):GMIL-4投与群の条件で二週 間培養したもの。(4):GMSCF投与群の条件で二週 間培養したもの。 各サンプル(1)~(2)においての、CD11b +  /CD11c +  率と培養期間の増殖曲線を示す図である。( 1)~(2)は、以下の培養条件で製造したDCである (1):FS36投与群の条件で二週間培養し、その 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養 たもの。(2):FS36投与群の条件で二週間培養し 、その後培地をGMSCF投与群の条件にし、一週 培養したもの。 各サンプル(1)~(2)においての、CD11b +  /CD11c +  率と培養期間の増殖曲線を示す図である。( 1)~(2)は、以下の培養条件で製造したDCである (1):FS36投与群の条件で三週間培養し、その 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養 たもの。(2):FS36投与群の条件で三週間培養し 、その後培地をGMSCF投与群の条件にし、一週 培養したもの。 各サンプル(1)~(2)においての、CD11b +  /CD11c +  率と培養期間の増殖曲線を示す図である。( 1)~(2)は、以下の培養条件で製造したDCである (1):FS36投与群の条件で四週間培養し、その 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養 たもの。(2):FS36投与群の条件で四週間培養し 、その後培地をGMSCF投与群の条件にし、一週 培養したもの。 各サンプル(1)~(2)においての、CD11b +  /CD11c +  率と培養期間の増殖曲線を示す図である。( 1)~(2)は、以下の培養条件で製造したDCである (1):FS36投与群の条件で五週間培養し、その 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養 たもの。(2):FS36投与群の条件で五週間培養し 、その後培地をGMSCF投与群の条件にし、一週 培養したもの。 DC前駆細胞を、FS36投与群の条件による培養後 に、GMIL-4投与群またはGMSCF投与群の条件で培 した期間の細胞数の推移、および得られたC D11b +  CD11c +  細胞数を示す図である。 下記(A)~(D)のDCに、F遺伝子欠失型セン イウイルス(SeV/dF)(図中ではDC(SeV)と表記)また はLPS(図中ではDC(LPS)と表記)を加えて2日後のCD 80、CD86、MHC class II、およびCD40の発現量の比 較を示す図である。何も加えなかった対照( 中ではDC(NT)と表記)の結果も示した。図中の( A)~(D)で示しているもので用いたDCは、以下の りである。(A):FS36投与群の条件で三週間培 し、その後培地をGMIL-4投与群の条件にし、 週間培養したことにより得られたDC。(B):通 DC(normal DC)。(C):FS36投与群の条件で二週間培 し、その後培地をGMIL-4投与群の条件にし、 週間培養したことにより得られたDC。(D):FS36 投与群の条件で四週間培養し、その後培地を GMIL-4投与群の条件にし、一週間培養したこと により得られたDC。 下記(A)~(D)のDCに、F遺伝子欠失型セン イウイルス(SeV/dF)またはLPSを加えて2日後のCD 80、CD86、およびCD40の発現量の比較を示す図 ある。何も加えなかった対照(DC(NT))の結果も 示した。図中の(A)~(D)で示しているもので用 たDCは、以下の通りである。(A):GMSCF投与群の 条件で一週間培養培養したことにより得られ たDC。(B):FS36投与群の条件で二週間培養し、 の後培地をGMSCF投与群の条件にし、一週間培 養したことにより得られたDC。(C): FS36投与群 の条件で三週間培養し、その後培地をGMSCF投 群の条件にし、一週間培養したことにより られたDC。(D):FS36投与群の条件で四週間培養 し、その後培地をGMSCF投与群の条件にし、一 間培養したことにより得られたDC。 ヒトCD34 +  細胞の増殖曲線を示す図である。GMIL-4投与 (1)またはGMSCF投与群の条件の培地中での細 の増殖を示す。 ヒトCD34 +  細胞のCD11c +  率の推移を示す図である。GMIL-4投与群(1)ま はGMSCF投与群の条件の培地中で細胞を培養 、CD11c +  率の推移を決定した。 ヒトCD34 +  細胞から得たCD11c +  細胞数(全細胞×CD11c +  率)の推移を示す図である。GMIL-4投与群(1)ま たはGMSCF投与群の条件の培地中で細胞を培養 、CD11c +  細胞数を測定した。 GMSCF投与群の条件で35日間培養したヒトCD34 +  細胞と、35日間の最後の3日間にLPSで刺激し ヒトCD34 +  細胞のCD86の発現量の比較を示す図である。 ヒトの臍帯血由来DC前駆細胞は、GM-CSFとSCFで 幅と同時に分化する。 FS36投与群の条件で三週間培養し、その後培 をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養したDC のELISA法によるサイトカイン産生量の検討し 結果である。DCに、F遺伝子欠失型センダイ イルス(SeV/dF)(図中ではSeVと標記している)ま たはLPS(図中ではLPSと標記している)を加えて2 日後の培養上清液(10 5 cells/ml)をサンプルとして用いて、サイトカイ ン産生量を測定した。図中のDC(NT)とは、F遺 子欠失型センダイウイルス(SeV/dF)またはLPSを 加えていないサンプルを示す。GMIL-4投与群の 条件にし、一週間培養したDCにおいて、サイ カイン処理されていないDCと同様に、IL-12及 びIFN-βの産生が確認された。図中の(1)~(4)の 細は、以下の通りである。(1):FS36投与群の条 件で三週間培養し、その後培地をGMIL-4投与群 の条件にし、一週間培養したことにより得ら れたDCにおける、IFN-βの産生量の測定結果。( 2):FS36投与群の条件で三週間培養し、その後 地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養し ことにより得られたDCにおける、IL-12の産生 の測定結果。(3):通常DC(normal DC)における、I FN-βの産生量の測定結果。(4):通常DC(normal DC) おける、IL-12の産生量の測定結果。 FS36投与群の条件により培養し、その 培地をGMSCF投与群の条件にし、更に1週間培 して得られたDCに、F遺伝子欠失型センダイ イルス(SeV/dF)またはLPSを加えて2日後のFITC-dex tran 取り込み能 (endo-/phagocytotic activity)を測 した。図中のDC(NT)とは、F遺伝子欠失型セン ダイウイルス(SeV/dF)(図中ではSeVと標記してい る)またはLPS(図中ではLPSと標記している)を加 えていないサンプルを示す。DCのFITC-dextran (M W=40,000)取り込みは37℃で活発で、4℃で阻害さ れる。各反応は37℃及び4℃において、FITC-dext ran 1mg/ml で30分取り込ませた。FS36投与群の 件により培養し、その後培地をGMSCF投与群の 条件にし、更に1週間培養して得られたDCは、 抗原取り込み能を保持していた。図中の(1)・ (2)の詳細は、以下の通りである。(1):FS36投与 の条件で三週間培養し、その後培地をGMIL-4 与群の条件にし、一週間培養して得られたD Cにおける測定結果。(2):通常DC(normal DC)にお る測定結果。 FS36投与群の条件により培養し、その後培地 GMSCF投与群の条件にし、更に1週間培養して られたDCについてT cell (C57BL/6) に対する増 刺激の強度を測定した。尚、T細胞は全て10 6 細胞とした。FS36投与群の条件により培養し その後培地をGMSCF投与群の条件にし、更に1 間培養して得られたDCは、T細胞の増殖・活 化能を保持している。(1):FS36投与群の条件で 三週間培養し、その後培地をGMIL-4投与群の条 件にし、一週間培養して得られたDC(F遺伝子 失型センダイウイルス(SeV/dF)やLPSによる刺激 を行っていないサンプル)における測定結果 (2):FS36投与群の条件で三週間培養し、その後 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養し て得られたDCにおいて、F遺伝子欠失型センダ イウイルス(SeV/dF)を加えて2日後のサンプルに おける測定結果。(3):FS36投与群の条件で三週 培養し、その後培地をGMIL-4投与群の条件に 、一週間培養して得られたDC前駆細胞にお て、LPSを加えて2日後のサンプルにおける測 結果。(4):通常DC(normal DC)(F遺伝子欠失型セ ダイウイルス(SeV/dF)やLPSによる刺激を行って いないDC)における測定結果。(5):通常DC(normal  DC)において、F遺伝子欠失型センダイウイル (SeV/dF)を加えて2日後のサンプルにおける測 結果。(6):通常DC(normal DC)において、LPSを加 て2日後のサンプルにおける測定結果。(7):同 系リンパ球による混合培養によるサンプルの 測定結果。(8):通常DC(normal DC)自体(T細胞なし) の測定結果。 FS36投与群の条件により培養し、その 培地をGMSCF投与群の条件にし、更に1週間培 して得られたDCについてのin vivoでの治療効 を検討した。図中のサンプル(1)~(4)の詳細は 、以下の通りである。(1):DCを投与していない マウスにおける、肺への転移結節数のカウン ト結果。(2):通常DC(normal DC)をマウスの尾静脈 に投与したマウスにおける、肺への転移結節 数のカウント結果。(3):FS36投与群の条件で二 間培養し、その後培地をGMIL-4投与群の条件 し、一週間培養して得られたDCをマウスの 静脈に投与したマウスおける、肺への転移 節数のカウント結果。(4):FS36投与群の条件で 三週間培養し、その後培地をGMSCF投与群の条 にし、一週間培養して得られたDCをマウス 尾静脈に投与したマウスおける、肺への転 結節数のカウント結果。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の増殖分化を曲線を示す図(A)及び図(B) 増殖した細胞のCD11c陽性細胞の割合を示し 図(C)である。図(B)は、図(A)におけるサンプ (5)の投与群及びサンプル(6)の投与群におい の、培養期間0日から15日の期間についての 記細胞の増殖について、詳細に示したもの ある。また、別の実験においてGMSCF培地中で 5週間培養したヒト臍帯血由来CD34 +  細胞のFACS解析の結果を図(D)に示した(CD11c陽 性率 88.87%)。図(D)の黒塗りのグラフはCD11c抗 の結果を、白抜きのグラフはアイソタイプ ントロール(iso)の結果を示す。図(D)内の右 数値はCD11c抗体、左の数値はアイソタイプコ ントロール(iso)におけるM1領域の細胞数の割 (%)を示す。 図の(A)のサンプル (1)~(8) の詳 は、以下の通りである。なお、図(A)及び図( B)で記載されているサンプル (1)~(8)の標記の 尾のA~Eとは、それぞれ異なる被験者由来の 胞の結果であることを示している。 (1) か ら (5):GMSCF投与群の条件で培養。 (6):GMIL4投 群(2)の条件で培養。 (7) 及び (8):GMIL4投与 (1)の条件で培養。 ヒトG-CSF処置末梢血由来CD34 +  細胞の増殖曲線を示す図(A)と増殖した細胞 CD11c陽性細胞の割合を示した図(B)である。 のサンプル (1)~(3) の詳細は、以下の通りで ある。図(A)で記載されているサンプル (1)~(3) の標記の末尾のA及びBとは、それぞれ異なる 験者由来の細胞の結果であることを示して る。(1) 及び (2):GMSCF投与群の条件で培養。 (3):GMIL4投与群(1)の条件で培養。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、GMSCF投与群の条件で35日 間培養した時点の細胞について、樹状突起の 有無についての確認した結果である。パネル Bは、パネルAの中央のサンプル(GMSCF投与群の 件で5週間培養後、LPSで48時間刺激したもの) の拡大図である。樹状突起がはっきりと確認 できる。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養14日(2W)または35日(5 W)の時点の細胞(GMSCF投与群の条件により培養 た細胞)について、CD11b、CD33、HLA-ABC発現を 析した結果である。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞 ついて、LPS処理又はSeV/dF処理した場合にお る、ICAM-1、CD86、HLA-DR、CD40、CD80、及びCCR7の 現を解析した結果である。尚、図中の標記 以下の通りである。iDC:iDC処理、SeV:SeV/dF処 、LPS:LPS処理。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞(G MSCF投与群の条件により培養した細胞)につい 、未成熟DC(iDC)、またはLPSを加えて2日後のDC のFITC-dextran 取り込み能 (endo-/phagocytotic activ ity)を測定した。樹状細胞のFITC-dextran (MW=40,00 0) 取り込みは37℃で活発で、4℃で阻害され 。各反応は37℃及び4℃において、FITC-dextran  1mg/ml で30分取り込ませた。上記細胞は、樹 細胞のように、FITC-dextran (MW=40,000)取り込み 37℃で活発で、4℃で阻害される結果となっ 。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞(G MSCF投与群の条件により培養した細胞)につい 、ELISA法によりサイトカイン産生量を検討 た結果である。上記培養した細胞に、下記 定の処理を行った。上記処理後の培養上清 (10 cells/ml)をサンプルとして用いて、サイトカイ ン産生量を測定した。図中のNTとは、下記所 の処理を行っていないサンプルを示す。尚 「所定の処理」とは、具体的には以下を指 。(1)iDC処理:図中ではiDCと標記している。(2) SeV/dF処理:図中ではSeVと標記している。(3)LPS 理:図中ではLPSと標記している。(4)Poly(I:C)処 :図中ではPoly(I:C)と標記している。(5)CpG処理 :図中ではCpGと標記している。(6)R-848処理:図 ではR-848と標記している。(7)OK432処理:図中で はOK432と標記している。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞( 21記載の (1) 又は (2) の条件により培養し た細胞)について、T細胞 (allogenicT cell from v olunteer) に対する増殖刺激の強度を測定した 尚、T細胞は全て10 細胞とした。右上のパネルにおいて、DC細胞 が1.00E+03(1x10 3 個)の結果が、DC:CD3 +  T細胞=1:100(混合群1)に対応し、DC細胞数が1.00 E+04(1x10 4 個)の結果が、DC:CD3 +  T細胞=1:10(混合群2)に対応する。iDC:iDC + T細 胞、SeV:SeVで刺激したDC + T細胞、LPS:LPSで刺 したDC + T細胞、iDCのみ:iDCのみでT細胞なし Tのみ:T細胞のみ。 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の下記 (1)~(3) の条件における培養結 である。(1):GMSCF投与群の条件で培養したも (図の標記は、「GMSCF」)。(2):0.1GMSCF投与群の 件で培養したもの(図の標記は、「GMSCF0.1」) 。(3):0.01GMSCF投与群の条件で培養したもの(図 標記は、「GMSCF0.01」)。 上記図29のアスタリスク(*)で示した時 (35日間培養時点)における各条件で培養した 細胞のCD11c陽性細胞率を測定した結果である 図の標記は以下の通りである。(1)GMSCF:GMSCF 与群の条件で培養したもの。(2)GMSCF0.1:0.1GMSCF 投与群の条件で培養したもの。(3)GMSCF0.01:0.01G MSCF投与群の条件で培養したもの。

 本発明は、樹状細胞前駆細胞を複数のサイ カインの存在下で培養する工程を含む、樹 細胞を製造する方法に関する。当該工程に り、DC前駆細胞を効率的に増幅および/また 分化させることができる。本発明の方法は 複数のサイトカインを添加した培地中で、D C前駆細胞を培養することにより実施する。 数のサイトカインとしては、SCFおよびイン ーロイキン-3(IL-3)を含むことが好ましく、よ り好ましくはFLT-3リガンド(FLT-3L)またはイン ーロイキン-6(IL-6)をさらに含む。すなわち、 FLT-3L、SCF、IL-3、およびIL-6のすべてを添加し 培地を好適に用いることができ、患者から 取したDCが少なくても、治療効果を得るの 十分な細胞数のDCを調製することが可能とな る。
 さらに好ましくは、FLT-3L、SCF、IL-3、および IL-6のすべてを添加した培地の存在下で培養 た工程の後で、(i) GM-CSFおよびIL-4、または  (ii) GM-CSFおよびSCFの存在下で培養する工程を さらに含むことが好ましい。DC前駆細胞を効 よくDCへ分化する上で有効である。すなわ 、患者から採取したDCが少なくても、治療効 果を得るのに十分な細胞数のDCを効率よく調 することが可能となる。

 本発明において樹状細胞(Dendritic cell; DC)と は、成熟状態において樹枝状形態をとり、抗 原を提示してT細胞を活性化する能力を持つ 胞である。また本発明において樹状細胞前 細胞とは、適当なサイトカイン(すなわちG-CS F、GM-CSF、TNF-α、IL-4、IL-13、SCF (c-kitリガンド )、Flt-3リガンド、またはそれらの組み合わせ )の存在下でDCに分化する細胞を言い、好まし くは4週間以内、より好ましくは20日以内、よ り好ましくは18日以内、より好ましくは16日 内に樹状細胞に分化できる細胞である。こ ような細胞には、CD34 + 幹細胞、造血始原細胞、骨髄単核球等が挙げ られる。これらの細胞は、例えば細胞画分と して調製することができる。細胞画分とは、 細胞の分離(または分画)により得られた細胞 団である。細胞画分は、細胞および薬学的 許容される担体を含む組成物であってよい 担体としては、生理食塩水、リン酸緩衝生 食塩水(PBS)、培養液、血清など、生細胞を 濁することができる所望の溶液が挙げられ 。樹状細胞への分化は、例えばSCF (50 ng/ml) GM-CSF (500 U/ml)、TNF-α (50 ng/ml) の存在下で 3日間程度培養後、SCF (50 ng/ml)、GM-CSF (500 U/ ml)、IL-4 (250 U/ml)、TNF-α (50ng/ml) の存在下で 培養することで実施することであってよい。 より好ましくは、GM-CSF(20 ng/ml)およびIL-4(20 n g/ml)の存在下、あるいはGM-CSF(20 ng/ml)およびSC F(10 ng/ml)の存在下で培養する。

 樹状細胞には、生体内各種組織器官に分 する骨髄細胞由来の樹枝状形態をとる細胞 、および骨髄または血液由来の幹細胞から in vitroでサイトカイン等を利用して分化誘 をかけた生体内組織器官に分布する樹枝状 態をとる細胞、およびそれと同等の細胞群 含まれる。具体的には、樹状細胞には、例 ばリンパ球系樹状細胞(Th2への誘導または免 疫寛容を誘導するものであってもよい)、骨 球系樹状細胞 (一般的に用いられる樹状細 。未熟樹状細胞および成熟樹状細胞を含む) ランゲルハンス細胞(皮膚の抗原提示細胞で 重要な樹状細胞)、相互連結細胞(リンパ節、 臓のT細胞領域にあり、T細胞への抗原提示 働いていると考えられている細胞)、ろ胞樹 細胞(B細胞への抗原提示細胞として重要、 原と抗体複合体、抗原と補体複合体を抗体 セプター、補体レセプターにより、樹状細 上に提示することで、B細胞に抗原提示して る。)などを含むものであり、好ましくは、 MHCクラスIおよびクラスIIを高発現しており、 さらに好ましくはCD11cを発現している細胞で る。本発明においては、より好ましくは、 髄または末梢血から回収された細胞からDC たはDC前駆細胞が用いられる。またDCの由来 る生物種は特に限定されず、ヒト、サルな の霊長類、マウス、ラットなどのげっ歯類 ウサギ、ウシ、ヤギなどの哺乳類のDCであ てよい。

 また、樹状細胞は、樹枝状形態を有し、CD11 c、HLA-class II (HLA-DR、-DP、または -DQ)、CD40、 およびCD1aからなる群より選択される表面マ カーの2つ以上が陽性の細胞であってよい。 発明において樹状細胞は、より好ましくは HLA-class II + およびCD11c + の細胞、より好ましくはCD1a + 、HLA-class II + 、およびCD11c + の細胞で、かつ系統マーカーが陰性(Lin - )、すなわちT細胞マーカー(CD3)、B細胞マーカ (CD19、CD20)、NK細胞マーカー(CD56)、好中球マ カー(CD15)、単球マーカー(CD14)を発現してな 細胞である。骨髄球系樹状細胞(Myeloid DC)の 場合、CD11bをさらに発現していることが好ま い。例えば、CD11b +  CD11c +  細胞は、本発明においてDCに含まれる。リ パ球系樹状細胞(Lymphoid DC)においては、CD8を さらに発現していてよい。

 また、本発明において樹状細胞には成熟樹 細胞および未成熟樹状細胞が含まれる。未 熟樹状細胞とは、成熟状態に比べT細胞活性 化能力が有意に低い樹状細胞を言う。具体的 には、未成熟樹状細胞は、LPS (1μg/ml) を添 し2日間培養して成熟を誘導した樹状細胞に べ、抗原提示能が1/2未満、好ましくは1/4未 のものであってよい。抗原提示能は、例え アロT細胞活性化能(混合リンパ球試験;アロT 細胞と樹状細胞の混合培養で、T細胞対樹状 胞の割り合いは1:10で培養、好ましくはその 率を変化させて培養したもので、培養終了8 時間前に 3 H-thymidineを添加し、そのT細胞のDNA内の取込み 量によって、T細胞増殖能力を定量したもの; 献 Gene Therapy 2000; 7; 249-254)、あるいはペ チドを用いた特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の 導能試験(樹状細胞に、ある抗原のあるClass I 拘束性の既知のペプチドを添加して、樹 細胞を採取したのと同じ健常人末梢血のT細 を共培養(3日目以降はIL-2を25U/ml、好ましく 100U/ml)(好ましくは21日間3回の樹状細胞によ 刺激、更に好ましくは14日間2回の樹状細胞 刺激)し、得られたエフェクター細胞と 51 Crでラベルされたターゲット細胞(ペプチドの 拘束性のClass I陽性の腫瘍細胞)を100:1~2.5:1(100 :1、50:1、25:1、20:1、12.5:1、10:1、5:1、または 2 .5:1)、好ましくは10:1 で4時間混合培養してタ ーゲット細胞の 51 Cr遊出量で定量したもの(文献 Arch Dermatol Res  2000; 292; 325-332))により定量することができ る。また未成熟樹状細胞は、好ましくは抗原 貪食能を持ち、更に好ましくはT細胞活性化 ための副刺激を誘導する受容体の発現が低 現(例えば上記のようにLPS誘導した成熟DCに べ有意に)あるいは陰性である。一方で、成 樹状細胞とはT細胞活性化などの為の抗原提 示能力が未成熟状態に比べて有意に高い樹状 細胞を言う。具体的には、成熟樹状細胞は、 LPS (1μg/ml) を添加し2日間培養して成熟を誘 した樹状細胞の抗原提示能の1/2以上、好ま くは同等以上の抗原提示能を持つ細胞であ てよい。また成熟樹状細胞は、好ましくは 原貪食能が低いか、または持たず、更に好 しくはT細胞活性化のための副刺激を誘導す る受容体の発現が陽性のものをいう。また、 樹状細胞の活性化とは、未成熟樹状細胞から 成熟樹状細胞への移行を言い、活性化樹状細 胞には、成熟樹状細胞、および、活性化刺激 により副刺激を誘導するCD80、CD86の発現を上 させている途中経過の樹状細胞が、その範 に含まれる。

 成熟ヒト樹状細胞は、CD40、CD80、CD86およ HLA-class IIの発現が陽性の細胞である。例え ば、CD80、およびCD86からなる群より選択され マーカーを基に、未成熟樹状細胞と成熟樹 細胞を見分けることができる。未成熟樹状 胞ではこれらのマーカーは弱いか、好まし は陰性であるが、成熟樹状細胞では陽性で る。

 上記のように、未成熟樹状細胞は、通常 高い貪食能を保持している。樹状細胞にLPS (1μg/ml) を添加し2日間培養すると、樹状細 は活性化され貪食能は低下する。貪食能は 樹状細胞内への小分子の取り込み量または り込み細胞の割合を測定して知ることがで る。好ましくは、貪食能は、樹状細胞内へ 小分子の取り込み量で決定される。例えば 直径 1μm程度の着色ビーズを用いて、樹状 胞内へのビーズの取り込みを測定すること できる。4℃で陽性となるバックグランドを し引いて定量する。高い貪食能とは、樹状 胞内への小分子の取り込み量が、樹状細胞 上記のようにLPS (1μg/ml) で2日間刺激した 状細胞の4倍以上、より好ましくは5倍以上、 より好ましくは6倍以上の貪食能を言う。あ いは、小分子の取り込み細胞の割合が2倍以 、より好ましくは3倍以上である。低い貪食 能とは、樹状細胞内への小分子の取り込み量 が、LPS (1μg/ml) で2日間刺激した樹状細胞の4 倍未満、より好ましくは2倍未満、より好ま くは1.5倍未満である。あるいは、小分子の り込み細胞の割合で測定した場合に、2倍未 、より好ましくは1.5倍未満である。

 成熟樹状細胞の判別は当業者が通常行っ おり、上記の各マーカーおよびその発現の 定方法も当業者に周知である。例えばCD11c 約150 kDの接着糖蛋白 (p150, インテグリンα ) である。CD11cはCD18と結合してCD11c/CD18複合 体を形成し、フィブリノーゲンへの結合力を 有し、また、iC3bおよびICAM-1の受容体となる とが報告されている。また、CD11c/CD18は刺激 受けた上皮の受容体に結合する接着分子と て働きうることが報告されている(Knapp, W.  et al., eds., 1989, Leucocyte Typing IV: White Cell Differentiation Antigens, Oxford University Press, New  York; Barclay, N.A. et al., eds., 1993, The Leucoc yte Antigen FactsBook, CD11 Section, Academic Press I nc., San Diego, California, p. 124; Stacker, S.A. an d T.A. Springer, 1991, J. Immunol. 146:648)。

 CD1aは約49 kDのポリペプチドでβ 2ミクロ ロブリンと結合する。CD1aはMHC class I抗原 構造的に類似しており、抗原提示に機能す とみなされる(Knapp, W. et al., eds., 1989, Leuc ocyte Typing IV: White Cell Differentiation Antigens, Oxford University Press, New York; Schlossman, S. et  al., eds., 1995, Leucocyte Typing V: White Cell Di fferentiation Antigens. Oxford University Press, New Y ork; Hanau, D. et al., 1990, J. Investigative Dermat ol. 95: 503; Calabi, F. and A. Bradbury., 1991., Ti ssue Antigens 37: 1)。

 CD11bは、インテグリンαM鎖、Mac-1、CR3、iC3 bR(complement receptor type 3)、Mo1とも呼ばれる、 分子量が約165~約170のI型膜貫通糖蛋白質であ 。補体 (iC3b)、フィブリノーゲン、凝固因 X のレセプターとして機能し、食細胞運動 関与する(Todd R.F. et al. J. Immunol.,126,1435-144 2 (1981); Leong A.S.Y. Appl. Immunohistochem. Surg. P athol.,120-128 (1993); Todd R.F. et al. Hybridoma, 1,  329-337 (1982); Cobbold S. et al. Leucocyte Typing III, 788-803 (1987); Keizer G. et al. Eur. J. Immu nol., 15,1142-1148. (1985); Laffon A. et al. J.Clin. Invest., 88, 546-552 (1991); Acevedo A. et al. J.  Invest. Dermatol., 97, 659-666 (1991))。

 CD11c(インテグリンαXサブユニット、もし はp150白血球表面抗原)は、インテグリンフ ミリーの分子であり、他の白血球インテグ ン(CD11a、CD11b、CD11d)と同様に、インテグリン β2サブユニット(CD18)と非共有結合的に結合し ている。CD11cは、分子量145-150kDaの膜貫通糖タ ンパクで、樹状細胞のマーカーとしてよく知 られている(Molica S. et al. Blood, 81, 2466 (199 3); Van der Vieren M. et al. Immunity, 3, 683-690  (1995); Hogg N. et al. Leucocyte Typing III, 576-602  (1987))。

 CD14は53-55 kDのグリコシルホスファチジル イノシトール (GPI) アンカー型単鎖糖蛋白で 、細網樹状細胞およびある種のランゲルハン ス細胞で発現する。CD14はLPSと血清LPS結合蛋 質 (LPB) の複合体に対する高親和性の表面 容体として同定された(McMichael, A.J. et al.,  eds., 1987, Leucocyte Typing III: White Cell Differen tiation Antigens, Oxford University Press, New York;  Knapp, W. et al., eds., 1989, Leucocyte Typing IV:  White Cell Differentiation Antigens, Oxford University Press, New York; Schlossman, S. et al., eds., 1995,  Leucocyte Typing V: White Cell Differentiation Antig ens. Oxford University Press, New York; Wright , S.D . et al., 1990, Science 249:1434)。

 CD40は45-48 kDのI型膜嵌入型蛋白質(type I inte gral membrane glycoprotein)であり、抗CD40抗体は細 胞マーカーとしてよく使用されている(Schlossm an, S. et al., eds., 1995, Leucocyte Typing V: Whit e Cell Differentiation Antigens. Oxford University Pre ss, New York; Galy, A.H.M.; and H. Spits, 1992, J. Immunol. 149: 775; Clark, E.A. and J.A. Ledbetter,  1986, Proc. Natl. Acad. Sci. 83: 4494; Itoh, H. et al., 1991, Cell 66: 233; Barclay, N.A. et al., 199 3, The Leucocyte Antigen Facts Book., Academic Press) 。
 CD80は約60 kDの膜貫通型糖蛋白であり Ig sup ergene familyの一員である。CD80はT細胞で発現 るCD28およびCD152 (CTLA-4) のリガンドである(S chlossman, S. et al., eds., 1995, Leucocyte Typing V : White Cell Differentiation Antigens. Oxford Universi ty Press, New York; Schwarts, R.H., 1992, Cell 71:  1065; Azuma, M. et al., 1993, J. Exp. Med. 177: 84 5; Koulova, L. et al., 1991, J. Exp. Med. 173: 759 ; Freeman, G.J. et al., 1998, J. Immunol. 161: 2708 ; Behrens, L. et al., 1998, J. Immunol., 161(11):594 3; Guesdon, J.-L. et al., 1979, J. Histochem. Cytoch em. 27: 1131-1139)。

 CD83は約45 kDの膜貫通蛋白質でIg superfamilyの 一員である。CD83は短鎖のV型Igの細胞外ドメ ンとC末の細胞質tailを持つ。CD83は主にろ胞 状細胞、循環樹状細胞、リンパ組織の相互 結 (interdigitating) 樹状細胞、in vitroで生成 せた樹状細胞、および胸腺樹状細胞に発現 る(Zhou, L-J., and T.F. Tedder, 1995, J. Immunol.  154. 3821; Zhou, L-J. et al., 1992, J. Immunol. 149 : 735; Summers, K.L. et al., 1995, Clin Exp. Immuno l. 100:81; Weissman, D. et al., 1995, Proc. Natl. A cad. Sci USA. 92: 826; Hart, D.N.J., 1997, Blood 90 : 3245)。
 CD86 (B70/B7-2) は約75 kDの細胞表面蛋白質でC D28およびCTLA-4の第2のリガンドであり初期免 応答におけるT細胞の副刺激に重要な役割を つ(Azuma M. et al., 1993, Nature 366: 76; Nozawa Y. et al., 1993, J. Pathology 169: 309; Engle, P. et al. 1994., Blood 84: 1402; Engel, P. et al., C D86 Workshop Report. In: Leukocyte Typing V. Schlossm an, S.F. et al. eds., 1994, Oxford University Press;  Yang, X.F. et al., 1994, Upregulation of CD86 anti gen on TPAstimulated U937 cells, 1994, (abstract). Am erican Society of Hematology, Nashville, TN; Guesdon, J.-L.et al., 1979, J. Histochem. Cytochem. 27: 1131- 1139)。

 CCR7はBLR-2、EBI-1、およびCMKBR7とも呼ばれ 7回膜貫通型G蛋白質結合受容体であり、CCケ カインである MIP-3β/Exodus 3/ELC/CCL19 および  6Ckine/Exodus 2/SLC/TCA4/CCL21 の受容体である(Sal lusto, F. et al., 1999, Nature 401:708-12; Lipp, M. et al., 2000, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 251:173 -9; Birkenbach, M.et al., 1993, J. Virol. 67:2209-20;  Schweickart, V. L. et al., 1994, Genomics 23:643-50 ; Burgstahler, R. et al., 1995, Biochem. Biophys. Re s. Commun. 215:737-43; Yoshida, R. et al., 1997, J. Biol. Chem. 272:13803-9; Yoshida, R. et al., 1998,  J. Biol. Chem. 273:7118-22; Yoshida, R. et al., 1998 , Int. Immunol. 10:901-10; Kim, C. H. et al., 1998,  J. Immunol. 161:2580-5; Yanagihara, S. et al., 1998 , J. Immunol. 161:3096-102)。

 HLA-class IIはDR, DP, およびDQがあり、その 全てに結合する抗体により網羅的に検出する ことができる(Pawelec, G. et al., 1985, Human Imm unology 12:165; Ziegler, A. et al., 1986, Immunobiol.  171:77)。HLA-DRはMHCのヒトclass II抗原の1つでα 鎖 (36 kDa) とβサブユニット (27 kDa) から る膜貫通糖蛋白質である。表皮のランゲル ンス細胞ではCD1a抗原と共発現する。CD1aは抗 原提示において細胞の相互作用に主要な役割 を果たす(Barclay, N.A. et al., 1993, The Leucocyte  Antigen Facts Book. p. 376. Academic Press)。

 上記のマーカー遺伝子およびそれらの相 遺伝子産物を指標に、ヒトおよびヒト以外 哺乳動物に関して樹状細胞を特定すること できる。これらのマーカーに対する抗体は 例えばBD Biosciences社(BD PharMingen)より入手す ることができ、その詳細は同社または販売代 理店のウェブサイトで知ることができる。

 また、樹状細胞マーカーに関しては、以 のKiertscherらおよびOehlerらの文献も参照のこ と(Kiertscher SM, Roth MD, Human CD14+ leukocytes ac quire the phenotype and function of antigen-presenting  dendritic cells when cultured in GM-CSF and IL-4,  J. Leukoc. Biol., 1996, 59(2):208-18; Oehler, L. et  al., Neutrophil granulocyte-committed cells can be dri ven to acquire dendritic cell characteristics., J. Ex p. Med., 1998, 187(7):1019-28)。また、フローサイ トメトリーに関しては、Okanoら、およびStites の文献を参照することができる(Okano, S. et al., Recombinant Sendai virus vectors for activated  T lymphocytes., Gene Ther., 2003, 10(16):1381-91; Stit es, D. et al., Flow cytometric analysis of lymphocyt e phenotypes in AIDS using monoclonal antibodies and simultaneous dual immunofluorescence., Clin. Immunol.  Immunopathol., 1986, 38:161-177)。各マーカーの発 については、例えば、isotype control antibodyで 染色した時に、陽性率が1%以下の蛍光強度を 界として、それ以上は陽性、それ未満は陰 と判断される。

 樹状細胞またはその前駆細胞の調製は、公 の方法に従ってまたは準じて行うことがで る。例えば、血液(例えば末梢血または臍帯 血)、骨髄、リンパ節、他のリンパ器官、脾 、皮膚などから分離することができる(Bishop et al., Blood 83: 610-616, 1994; Bontkes, H. J. et  al. (2002) J. Leukoc. Biol. 72, 321-329; Katsuaki, S. et al. (1998) CRYOBIOLOGY 37, 362-371; Ladan, K.  et al. (2006) Stem Cells 24, 2150-2157; Ueda, T.  et al. (2000) J. Clin. Invest. 105: 1013-1021)。好 しくは、樹状細胞は、本発明に使用するた に血液または骨髄から得られる。また、本 明で用いられる樹状細胞は、皮膚のランゲ ハンス細胞、輸入リンパ管のベール細胞、 胞樹状細胞、脾臓の樹状細胞、およびリン 器官の指状突起細胞などであってもよい。 た本発明で用いられる樹状細胞は、CD34 + 由来樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、単球由来 樹状細胞、脾細胞由来樹状細胞、皮膚由来樹 状細胞、濾胞樹状細胞、および胚中心樹状細 胞からなる群から選択される樹状細胞が含ま れる。DC前駆細胞としては、特に骨髄または 梢血から得られた造血幹細胞または造血始 細胞等が好ましい。造血幹細胞または造血 原細胞は、市販のキットなどを用いたネガ ィブセレクションや、CD34 +  などのポジティブセレクションにより単離 ることができる(米国特許出願 08/539,142参照 )。例えば、磁気ビーズ、蛍光ラベルによる ーティング、ビオチンまたはアビジン結合 体等により、表面抗原を利用した細胞の単 方法が知られている(Berenson et al., J. Immunol . Meth., 91:11, 1986; WO 93/08268)。

 DCやDC前駆細胞とそれ以外の細胞とを含む 組成物からDCやDC前駆細胞を選択(または濃縮) する場合は、DCおよびDC前駆細胞以外の細胞 取り除くいわゆるネガティブ選択を実施す ことが好ましい。ネガティブ選択を用いる とにより、DC-granulocytesのprecursor(J. Exp. Med., 1998, 187: 1019-1028; Blood, 1996, 87: 4520-4530)  除去されずに残り、接着性のCD14細胞から分 したDCだけでなく、それらのprecursorから分 したDCをあわせて回収することが可能と考え られる。これにより、DCにベクターを導入す 際などにおける細胞障害性を軽減すること 期待できる。

 例えば、T細胞、NK細胞、B細胞などに特異 的な抗体を用いて、これらの細胞を取り除く ことにより、DCを濃縮することが可能である 具体的には、例えば、CD2、CD3、CD8、CD19、CD5 6、CD66bから選択される表面マーカーまたはそ の任意の組み合わせの発現がlowまたはnegative 細胞を得ることが好ましい。より好ましく 、CD2、CD3、CD8、CD19、CD56、およびCD66bの全て がlowまたはnegativeの細胞である。そのために これらのマーカーに対する抗体を用いて、 れらのマーカーを発現する細胞を除去する よい(Hsu et al. (1996) Nature Med. 2: 52)。な 、ネガティブ選択においては多価抗体を用 て行うことができるし、あるいは磁気細胞 離 (MACS) のためにビーズ等を用いても、同 のセレクションを実施することが可能であ 。血球分離等を用いて単核球を採取するな 、細胞を大量に調製する場合は、ビーズを いることが好ましい。例えば生体から得た 胞溶液から単球をエンリッチし、これに対 てネガティブ選択を行って調製したDC前駆 胞を本発明において好適に用いることがで る。

 樹状細胞の具体的な単離方法は、例えば Cameron et al., 1992, Science 257: 383、Langhoff et  al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 7998、C hehimi et al., 1993,J. Gen. Viol. 74: 1277、Cameron et al., 1992, Clin.Exp.Immunol. 88: 226、Thomas et  al., 1993, J. Immunol. 150: 821、Karhumaki et al.,  1993, Clin.Exp.Immunol. 91: 482 などに記載されて いる。また、フローサイトメトリーによる樹 状細胞の単離については、例えば、Thomas et  al., 1994, J.Immunol. 153: 4016、Ferbas et al., 1994 , J.Immunol. 152: 4649、および O'Dohelrty et al., 1994, Immunology 82: 487 に記載されている。ま た、磁気細胞選別については、例えば Milteny i et al., 1990, Cytometry 11: 231-238 に記述され ている。

 また、例えばヒト樹状細胞の単離および増 に関しては、Macatonia et al., 1991, Immunol. 74 : 399-406、O'Doherty et al., 1993, J. Exp. Med. 178 : 1067-1078、Markowicz et al., 1990, J. Clin. Invest . 85: 955-961、Romani et al., 1994, J. Exp. Med. 1 80: 83-93、Sallusto et al., 1994, J. Exp. Med. 179:  1109-1118、Berhard et al., 1995, J. Exp. Med. 55: 1099-1104 などに記載の方法を用いてもよい。 また、骨髄、臍帯血、または末梢血等から得 られるCD34 + 細胞および末梢血由来の単核細胞からの樹状 細胞形成については Van Tendeloo et al., 1998, Gene Ther. 5: 700-707 に記載の方法を用いて実 施してもよい。

 DC前駆細胞は、1または複数のサイトカイ を含む培地中で増幅される。例えば、IL-3単 独でも約10日にわたりDC前駆細胞を増幅する とが可能である。しかし、より長期に渡る 幅は、IL-3単独では見られない。本発明者ら 、SCFおよびIL-3を含む培地でDC前駆細胞を培 することにより、極めて高い効率でDCへの 化能を持つ細胞を増幅できることを見出し 。従って、2週以上の増幅にはIL-3とSCFの組合 せることが好ましい。特に、FLT-3L、SCF、IL-3 およびIL-6の4種のサイトカインを含む培地で DC前駆細胞を培養することにより、DCへの高 分化能を持つDC前駆細胞を大量に得ることが できる。本発明は、IL-3およびSCFを含みFLT-3L よびIL-6を含まない培地、FLT-3L、SCF、およびI L-3を含みIL-6を含まない培地、あるいはSCF、IL -3、およびIL-6を含みFLT-3Lを含まない培地でDC 駆細胞を増幅する工程を含む、DCの製造方 に関する。また本発明は、FLT-3L、SCF、IL-3、 よびIL-6を含む培地、例えばそれらを含み、 G-CSF、GM-CSF、IL-4、およびTNF-αから選択される 1つ以上(またはそれらの任意の組み合わせ)の サイトカインを有意に含まない培地でDC前駆 胞を増幅する工程を含む、DCの製造方法に 関する。

 FLT-3L (Fms様チロシンキナーゼ3リガンド) 、Flt-3のリガンドであり、造血系前駆細胞の 分化、増殖を促す (Namikawa R. et al., BLOOD 87 : 1881-1890, 1996)。EP 0627487 A2およびWO 94/2839 記載されている一群のポリペプチドは、本 明においてFlt-3Lに含まれる。ヒトFLT-3L cDNA 、accession number ATCC 69382 としてAmerican Type Culture Collection (ATCC) より入手できる。SCFは 、c-kitリガンド、マスト細胞増殖因子(MGF)、 たはスチール因子とも呼ばれる(Zsebo et al., Cell 63: 195-201, 1990; Huan, E. Cell 63: 225-233; Williams, D.E., Cell 63: 167-174, 1990; Toksoz. D e t al, PNAS 89: 7350-7354, 1992)。SCFとしては、EP 423,980 に記載されているポリペプチドが含 れる。

 IL-3は、活性化T細胞、肥満細胞、好酸球 よって産生される造血因子である。本発明 おいてIL-3には、米国特許第5,108,910号に記載 れているIL-3ポリペプチドが含まれる。ヒト IL-3蛋白質をコードするDNA配列は、accession num ber ATCC 67747として入手可能である。IL-6はB細 胞の分化誘導因子として発見され、抗体産生 系のみならず、肝における急性期蛋白の生合 成誘導やIL-3との相乗作用に基づく造血幹細 の増殖促進など多彩な生理活性を有する (Pa ul SR et al., Blood, 1991, 77: 1723-1733)。IL-4は にヘルパーT細胞より産生され、T細胞、B細 および他の血球細胞に広汎な生理活性を有 る (Mosley et al., Cell 59: 335 (1989); Idzerda e t al., J. Exp. Med. 171: 861 (1990); Galizzi et al ., Intl. Immunol. 2: 669 (1990))。GM-CSFは、マク ファージまたは顆粒球を含有するコロニー 成長を刺激した因子として単離されたサイ カインである(米国特許第5,108,910号および5,22 9,496号)。GM-CSFは、顆粒球およびマクロファー ジの前駆細胞の成長および発生に必須の因子 であり、骨髄芽球および単芽球を刺激し分化 を誘導する。

 各サイトカインの濃度は適宜調整してよい 、FLT-3Lであれば 5~35 ng/ml、好ましくは 10~3 0 ng/ml、より好ましくは 15~25 ng/ml、より好 しくは約20 ng/ml である。SCF、IL-3、IL-6につ ては、例えばFS36などのGM-CSF不含の培地を用 いる場合は、3~20 ng/ml、好ましくは 5~15 ng/ml 、より好ましくは 7~12 ng/ml、より好ましく 約10 ng/ml であるが、これらに限定されない 。培地としては、例えばRPMI1640またはIMDMを用 いることができる。培地には、5~20%、好まし は約10%の血清、好ましくはウシ胎児血清 (F BS) を適宜添加する。DC前駆細胞は、1×10 5  ~ 5×10 5  細胞程度、例えば約2.5×10 5  細胞から培養を開始することができる。好 しくは3日~4日ごとに継代する。継代時には 2×10 6  /ml 以下の濃度となるように細胞数を調整 ることが好ましい。ヒトCD34 + 細胞などの霊長類CD34 +  細胞をGM-CSFとSCFを組み合わせて培養する場 は、GM-CSFは例えば 1~500 ng/ml(1~200 ng/ml ま は 1~100 ng/ml)、より好ましくは 2~300 ng/ml、 例えば 5~200 ng/ml、好ましくは 10~150 ng/ml、 り好ましくは 20~120 ng/ml、より好ましくは 30~100 ng/ml で用いるとよい。SCFは例えば 0.5 ~500 ng/ml(0.5~100 ng/ml または 0.5~50 ng/ml)、よ 好ましくは 1~300 ng/ml、より好ましくは 2~2 00 ng/ml、より好ましくは 5~100 ng/ml、例えば 10~70 ng/ml、より好ましくは 例えば 20~60 ng/ ml、より好ましくは 25~50 ng/ml 程度で用いる とよい。

 本発明者らは、DC前駆細胞の増幅期間を 3~4週間とすることで、その後のDCへの分化効 率を顕著に高められることを見出した。これ より長い期間培養すれば、より多くの細胞を 得ることができるが、DCへの分化効率は低下 る。特にFS36培地において5週間増幅させたDC 前駆細胞は、DCへの分化効率が顕著に低下す 。従って、例えばFS36などのGM-CSF不含の培地 を用いる場合は、DC前駆細胞の培養期間は約3 週間から約4週間、好ましくは約3週間にする とが好ましく、例えば 18~24日間、より好ま しくは20~22日間培養し、その期間を超えて同 サイトカインの組み合わせを含む培地でDC 駆細胞を増幅させることは避けることが好 しい。その期間培養した後、以下に記載す ようにDC分化培地で培養し、DCを分化させる 例えば、FLT-3L、SCF、IL-3、およびIL-6を含む 地でDC前駆細胞を培養する場合は、上記の期 間培養後、FLT-3L、SCF、IL-3、およびIL-6の全て む培地以外の培地で培養される。

 増幅したDC前駆細胞は、サイトカインに りDCに分化させることができる。例えば顆粒 球コロニー刺激因子 (G-CSF)、GM-CSF、腫瘍ネク ローシスファクター (TNF)-α、IL-4、IL-13、SCF(c -kitリガンド)、Flt-3リガンド、またはそれら 組み合わせなどにより分化させることがで る。例えば、GM-CSF不含の培地(FS36など)で増 させたDC前駆細胞を、GM-CSFおよびIL-4の存在 、あるいはGM-CSFおよびSCFの存在下でDCに分化 させることが好ましい。TNF-αでさらに刺激す ることにより成熟樹状細胞へと分化させるこ ともできる。本発明においては、好ましくは 、上記の方法に従いGM-CSF不含の培地(FS36など) で増幅したDC前駆細胞を、(i) GM-CSFおよびIL-4 または (ii) GM-CSFおよびSCFの存在下で培養 る。サイトカインの濃度は適宜調整してよ が、GM-CSF不含の培地を用いてDC前駆細胞を増 幅した場合は、GM-CSFおよびIL-4については、 えば 1~500 ng/ml、より具体的には 2~300 ng/ml 例えば 5~100 ng/ml、好ましくは 10~50 ng/ml、 より好ましくは 15~25 ng/ml、より好ましくは 20 ng/ml である。SCFについては、例えば 1~2 00 ng/ml、より具体的には 2~100 ng/ml、2~80 ng/m l、または 2~60 ng/ml、より具体的には、例え  3~20 ng/ml、好ましくは 5~15 ng/ml、より好 しくは 7~12 ng/ml、より好ましくは約10 ng/ml である。培地としては、例えばRPMI1640または IMDMを用いることができる。5~20%、好ましくは 約10%の血清、好ましくはウシ胎児血清 (FBS)  を適宜添加する。培養期間は、例えば5~15日 、好ましくは 6~10日、より好ましくは約7日 である。FS36で細胞を増幅した場合は、GM-CSF およびIL-4の存在下で分化させるよりも、GM-CS FおよびSCFの存在下で分化させる方が、より 率的にDCを得ることができる。

 またヒトCD34+ 細胞などのヒトDC前駆細胞ま は他の霊長類DC前駆細胞であれば、上記の うにSCFおよびIL-3(S3)、あるいはFS36で増幅し くても、(i) GM-CSFおよびIL-4、または (ii) GM- CSFおよびSCFの存在下で培養することにより、 増幅と同時に分化させることが可能である。 この場合、培養期間は1~10週間、例えば 1~6週 間、好ましくは2~5週間、好ましくは3~6週間、 好ましくは3~5週間、好ましくは4~5週間とする 。霊長類CD34 +  細胞としては、例えば臍帯血由来CD34 +  細胞、骨髄由来CD34 +  細胞、および末梢血由来CD34 +  細胞等を用いることができる。

 培養液としては、適宜所望の培地を用いる とができるが、例えば DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)、MEM(Minimum Essential Medium)、RPMI-164 0、X-VIVO TM (Lonza)、IMDM(Iscove's Modified Dulbecco's Medium)等が 挙げられる。最も好ましくは IMDM が用いら る。適宜血清を添加することが好ましく、 えば 1~20%(v/v)、より好ましくは 2~20%、より 好ましくは 5~15%、より好ましくは 5~10%(例え ば 約10%)を添加する。血清は、ウシ由来の血 清が好ましく、最も好ましくはウシ胎児血清 (FCS)である。ヒトCD34 +  細胞からiDCを増幅する際には、TNF-αおよび/ またはIL-4を添加しないことが好ましい。例 ば培地中のTNF-αおよびIL-4濃度は、加える血 中に含まれる各濃度と比較して、それを著 く超えない範囲、例えば血清(例えば正常FCS )中の各サイトカイン濃度の3、2、または1倍 下であることが好ましく、好ましくは 1/2以 下、より好ましくは1/3以下、または1/5以下、 具体的には 50 ng/ml以下、好ましくは 40、30 20、10、5、3、または 1 ng/ml 以下である。 トCD34 +  細胞からiDCを増幅するための培地は、好ま くはサイトカインとしてはGM-CSFおよびSCFの が添加された培地である。培地は、好まし は、サイトカインとしてはGM-CSFおよびSCFの を含み、他のサイトカインを含まない。

 本発明は、GM-CSFおよびSCFを含む、樹状細胞 幅用組成物、樹状細胞調製用組成物、樹状 胞製造用組成物、樹状細胞増幅用培地、樹 細胞調製用培地、および樹状細胞製造用培 を提供する。組成物は、適宜滅菌水、緩衝 、塩等を含んでもよい。また培地としては 上記に記載した培養液などが挙げられるが それらに限定されない。培地は、血清を含 でもよいし、含まなくてもよい。また、抗 物質を含んでもよいし、含まなくてもよい また本発明は、これらの組成物または培地 製造における、GM-CSFおよびSCFの使用にも関 る。また本発明は、GM-CSFおよびSCFをキット 要素として含む、樹状細胞増幅用キット、 状細胞調製用キット、樹状細胞製造用キッ にも関する。当該キットは、培養液(例えば 血清を含まない)または培養液を調製するた の粉末(アミノ酸や塩等を含み、血清や抗生 質等が含まれていないもの)をさらに含んで もよい。これらの組成物、培地、およびキッ トは、好ましくはヒトを含む霊長類樹状細胞 を増幅、調製、および製造するためのもので あり、より好ましくはヒトを含む霊長類CD34 + 細胞から樹状細胞を増幅、調製、および製造 するためのものである。これらは、TNF-αおよ び/またはIL-4を含まないことが好ましい。例 ば組成物および培地中のTNF-αおよびIL-4濃度 は、血清を含む場合は血清中に含まれる各濃 度と比較して、それを著しく超えない範囲、 例えば血清(例えば正常FCS)中の各サイトカイ 濃度の3、2、または1倍以下であることが好 しく、好ましくは 1/2以下、より好ましく 1/3以下、または1/5以下、具体的には 50 ng/ml 以下、好ましくは 40、30、20、10、5、3、また は 1 ng/ml 以下である。血清を含まない場合 は、好ましくはサイトカインとしてはGM-CSFお よびSCFのみを含む。

 本発明の方法に従えば、CD34 +  細胞からDCを例えば 10 2 倍、好ましくは 0.5×10 3 倍、より好ましくは 1×10 3 倍、より好ましくは 0.5×10 4 倍、より好ましくは 1×10 4 倍、より好ましくは 0.5×10 5 倍、より好ましくは 1×10 5 倍、より好ましくは 0.5×10 6 倍以上に増幅して得ることができる。細胞は 、例えば1週間の培養で5倍、好ましくは6、7 8、9、10、11、12、または13倍以上の速度で増 させることができる。増幅された細胞は、 純度でDC(iDC)を含む。増幅された細胞のCD11c 性率(全細胞中のCD11c + 細胞の割合)は、例えば30%以上、好ましくは40 %以上、より好ましくは50%以上、60%以上、70% 上、75%以上、80%以上、または85%以上である また、iDCをLPSまたはPoly(I:C)、あるいはセン イウイルス等で処理することにより、成熟DC を得ることができる。

 本発明の方法により得られる樹状細胞は 感染症、癌、その他、免疫誘導により有益 効果を期待できる所望の疾患の免疫治療に 用なDCワクチンとして有用である。例えば 腫瘍免疫治療に関しては、樹状細胞に腫瘍 原を提示をさせるために、腫瘍細胞のcell ly sate (細胞溶解物) と混合、ペプチドでパル 、または樹状細胞に腫瘍抗原遺伝子を導入 る方法などにより抗原を提示させ、腫瘍に するDC治療に用いることができる。

 例えば樹状細胞に腫瘍抗原を遺伝子導入 れば、腫瘍ライセートおよびペプチドパル よりもin vivoでの腫瘍抗原提示時間の延長 期待でき、さらにHLAの制限(ペプチドの場合;  ペプチドは抗原由来のあるペプチドを使用 るが、HLAとの結合の関係上、HLAの種類が変 れば、その抗原の中の使用するペプチドの 位が変化する)などを受けなくなる利点を有 する。

 樹状細胞に遺伝子を導入するベクターと て、プラスミドを導入するリポソーム法、e lectroporationなどある(Cancer Gene Ther 1997, 4, 17 -25)。より実用的なベクターとして、以下の3 類のベクターがある。i) アデノウイルスベ クター(J. Immnotherapy 2002; 25; 445-454, Gene ther apy 2000; 7; 249-254)、ii) レトロウイルスベク ー(J. Leuko. Biol., 1999; 263-267., Br. J. Haemato l. 2000; 108; 817-824)、iii) レンチウイルスベ ター(J. Gene Med. 2001; 3; 311-320, J. Immunol. M eth. 2002; 153-165, Mol. Ther., 2002; 283-290, Cancer  Gene Therapy 2002; 9: 715-724)。ベクターと樹状 細胞との接触は、in vivoまたはin vitroで行う とができ、例えば培養液、生理食塩水、血 、血漿、血清、体液など所望の生理的水溶 中で実施すればよい。

 例えばレンチウイルスベクターなどのレ ロウイルスベクターを用いて、CD34陽性の幹 細胞に遺伝子を導入し、その後 in vitroで樹 細胞を得ることができる。また、サル免疫 全ウイルス (SIV) の場合、helper constructに いてvpx(proviral DNAの核内移行を促進する)を すことによって、あるいは、HIVでDNA-flapシー ケンスを挿入(これもproviral DNAの核内移行を 進する)することによって、末梢血由来単球 及び分化した樹状細胞への遺伝子導入が可能 となった(Mol. Ther. 2002; 283-290)。

 一方、アデノウイルスに関しては、その い導入効率(約80%)と分化した樹状細胞へ直 遺伝子導入できることから、樹状細胞遺伝 導入用ベクターとして期待されている(J. Imm notherapy 2002; 25; 445-454)。但し、遺伝子導入 率を高くするMOIではアロT細胞の混合リンパ 反応(mixed lymphocyte reaction; MLR)を低下させ 免疫抑制作用がある(Gene Therapy 2000; 7; 249-2 54)ので、高MOIでの使用は注意を要する(特に いDC:Tの比率で)。また、episomeの希釈のため CD34陽性細胞などの幹細胞に遺伝子導入後に 状細胞を分化させるよりも、より分化が進 だ段階で導入することが好ましい。

 また、上記のウイルスベクターの他に、 イナス鎖RNAウイルスなどのRNAウイルスをDC 導入することも好適である。マイナス鎖RNA イルスベクターによる遺伝子導入は非常に 期間の接触で終了し、100%近い導入効率を得 ことができ、しかもアロT細胞応答の抑制程 度は比較的軽度であり、T細胞の刺激性が保 される(WO2005/042737)。マイナス鎖RNAウイルス は、マイナス鎖(ウイルス蛋白質をコードす センス鎖に対するアンチセンス鎖)のRNAをゲ ノムとして含むウイルスであり、ネガティブ 鎖RNAウイルスとも呼ばれる。本発明において 用いられるマイナス鎖RNAウイルスとしては、 パラミクソウイルス(Paramyxoviridae科; Respiroviru s属, Morbillivirus属, Rubulavirus属, および Pneumo virus属等を含む)、ラブドウイルス(Rhabdoviridae ; Vesiculovirus属, Lyssavirus属, および Ephemerov irus属等を含む)、フィロウイルス(Filoviridae科) 、オルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae科; Infu luenza virus A, B, C, および Thogoto-like viruses 等を含む)、ブニヤウイルス(Bunyaviridae科; Bun yavirus属, Hantavirus属, Nairovirus属, および Phle bovirus属等を含む)、アレナウイルス(Arenaviridae 科)などの科に属するウイルスが含まれる。

 本発明においてマイナス鎖RNAウイルスは より好ましくは、パラミクソウイルス亜科( レスピロウイルス属、ルブラウイルス属、お よびモルビリウイルス属を含む)に属するウ ルスまたはその誘導体が用いられ、より好 しくはセンダイウイルスを含むレスピロウ ルス属(genus Respirovirus)(パラミクソウイルス (genus Paramyxovirus)とも言う)に属するウィル またはその誘導体が用いられる。誘導体に 、ウイルスによる遺伝子導入能を損なわな ように、ウイルス遺伝子が改変されたウイ ス、および化学修飾されたウイルス等が含 れる。例えばF遺伝子欠損型のマイナス鎖RNA イルスは好適である。様々なマイナス鎖RNA イルスにおいて、組み換えウイルスの製造 法が知られている(WO97/16539; WO97/16538; Durbin,  A. P. et al., 1997, Virology 235: 323-332; Whelan,  S. P. et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9 2: 8388-8392; Schnell. M. J. et al., 1994, EMBO J. 13: 4195-4203; Radecke, F. et al., 1995, EMBO J. 1 4: 5773-5784; Lawson, N. D. et al., Proc. Natl. Aca d. Sci. USA 92: 4477-4481; Garcin, D. et al., 1995,  EMBO J. 14: 6087-6094; Kato, A. et al., 1996, Gen es Cells 1: 569-579; Baron, M. D. and Barrett, T., 1997, J. Virol. 71: 1265-1271; Bridgen, A. and Elli ott, R. M., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 1 5400-15404)。

 マイナス鎖RNAウイルスベクターの導入効 は、樹状細胞が非活性化状態(未成熟状態) 方が、成熟樹状細胞に対するものよりも有 に高い。従って、マイナス鎖RNAウイルスベ ターは、未成熟樹状細胞に接触、または未 熟樹状細胞を含む細胞画分と混合すること 好ましい。樹状細胞は、細菌またはリポポ サッカライド(LPS)、二本鎖RNA、またはRNAウイ ルス等との接触により活性化することができ る。遺伝子導入する樹状細胞をこのような方 法で別途活性化させる場合は、活性化してか らベクターを導入してもよいが、ベクターの 導入効率が低下しないようにするため、活性 化の操作をベクターの導入前ではなく、ベク ターにより遺伝子を導入した後(またはベク ーを樹状細胞に接触させるのと同時)に行う とが好ましい。

 例えば本発明の方法により増幅したDC前 細胞を、GM-CSFおよびSCFの存在下で培養してDC に分化させた後に、LPSまたはRNAウイルス等の 存在下で培養することにより、DCを活性化さ る。培養期間は適宜調整してよいが、例え 2~7日間である。例えばマイナス鎖RNAウイル などのRNAウイルスは、免疫賦活(腫瘍免疫な ど)に使用するにあたって遺伝子導入に利用 きることに加え、RNAウイルスの感染自体が 状細胞の活性化を惹起するため、導入後の イトカインなどでの活性化処理の工程が省 可能で、細胞のviabilityの維持やコスト削減 さらなるex vivoでの操作時間の削減に寄与す るものと考えられる。また、RNAウイルスベク ターで遺伝子導入された樹状細胞を用いて、 T細胞移入療法に必要な活性化T細胞、特に腫 特異的細胞傷害性T細胞などをex vivoで効率 く、短期間、簡単に誘導できる(WO2005/042737;W O2006/001122)。

 DCは、適宜薬学的に許容される担体と組 合わせて組成物とすることができる。担体 しては、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩 (PBS)、培養液、血清など、生細胞を懸濁する ことができる所望の溶液が挙げられる。また 組成物は、樹状細胞に提示させる抗原ペプチ ドが含まれていてもよい。また、DCをワクチ として使用する場合、ワクチン組成物には 免疫原性を高めるために、サイトカイン、 レラ毒素、サルモネラ毒素等の免疫促進剤 添加することもできる。またワクチンには ミョウバン、不完全Freund'sアジュバント、MF 59 (オイルエマルジョン)、MTP-PE (マイコバク テリア細胞壁由来の muramyl tripeptide)、およ  QS-21 (soapbark tree Quilaja saponaria 由来)など のアジュバントを組み合わせることもできる 。

 抗原は、抗原とする細胞ライセートとの 合、ぺプチドパルス、またはベクターにコ ドさせた抗原遺伝子をDCに導入することに りDCに提示させることができる。抗原として は、感染微生物、ウイルス、寄生虫、病原体 、および癌などに関連する所望の抗原が挙げ られる。これらは、構造タンパク質または非 構造タンパク質であってよい。このような抗 原(またはそのプロセスされたペプチド)は、 状細胞表面のMHC分子に結合して細胞表面に 示され、免疫応答が誘導される。

 ワクチンとして用いる場合、例えば腫瘍、 染症、およびその他の一般的な疾患に対し 適用することができる。感染症の治療とし は、例えば感染性微生物の抗原蛋白のエピ ープを解析し、これを樹状細胞で発現また 提示させることができる。
 例えば病原体由来の抗原としては、A型肝炎 ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイル 、デルタ型肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス 原、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘-帯状 疹ウイルス(VZV)、エプスタイン-バーウイル 、サイトメガロウイルス(CMV)、HIV、および ラリアなどが有する蛋白質またはその部分 プチドが挙げられる(G.L. Mandell et al. (Ed.)  Hinman et al., Principles and Practice of Infectious Diseases,3rd Ed., Churchill Livingstone Inc., NY, pp.  2320-2333)。これらの抗原を提示するDCを、感 症に対して予防的および治療的に用いるこ ができる。具体的には、例えばインフルエ ザにおいては、強毒株H5N1型等のエンベロー プ、日本脳炎においては、例えば日本脳炎ウ イルスのエンベロープ蛋白質(Vaccine, vol. 17, No. 15-16, 1869-1882 (1999))、エイズにおいては 例えばHIV gagまたは SIV gag 蛋白質(J. Immuno logy (2000) vol. 164, 4968-4978)、HIVエンベロープ 蛋白質、Nef蛋白質、その他のウイルス蛋白質 などが挙げられる。コレラにおいては、例え ばコレラ毒素のBサブユニット(CTB)(Arakawa T, e t al., Nature Biotechnology (1998) 16(10): 934-8、Ara kawa T, et al., Nature Biotechnology (1998) 16(3): 2 92-7)、狂犬病においては、例えば狂犬病ウイ スの糖タンパク(Lodmell DL et al., 1998, Nature  Medicine 4(8):949-52)、子宮頚癌においては、ヒ トパピローマウイルス6型のカプシドタンパ L1(J. Med. Virol, 60, 200-204 (2000))などが挙げ れる。また、日本脳炎のJE-E抗原タンパク質( 特開昭64-74982、特開平1-285498)、ヒト単純ヘル スウイルスの gD2タンパク質(特開平5-252965) C型肝炎ウイルス由来ポリペプチド(特開平5- 192160)、仮性狂犬病ウイルス由来ポリペプチ (特表平7-502173)などを用いることもできる。 えば、これらの病原性微生物に感染した患 由来の細胞を解析して、抗原提示細胞(APC) おいて提示された抗原蛋白のエピトープを 定し、これを用いてもよい。HLA型を適宜選 することにより、所望のHLA型に対するエピ ープを同定して用いることも好ましい。

 腫瘍に対する免疫応答を特異的に促進さ るには、1以上の腫瘍抗原を樹状細胞に提示 させる。腫瘍関連抗原は、例えば腫瘍細胞の 粗抽出液を調製したり、または抗原を部分的 に精製することにより得ることができる(Cohen  et al., Cancer Res. 54: 1055 (1994); Cohen et al. , Eur. J. Immunol. 24: 315 (1994); Itoh et al., J.  Immunol. 153: 1202 (1994))。得られた腫瘍抗原 さらに精製してもよく、また、組み換えペ チドとして合成または発現させてもよい。

 精製した樹状細胞に抗原をパルス(暴露) DCに抗原を取り込ませると、抗原はDCにより 理され、細胞表面に提示される(Germain, R.N.,  Cell 76: 287 (1994))。樹状細胞を抗原でパル する多数の方法が知られており、当業者で れば、提示させる抗原に応じて適用な方法 選択することは日常行われている。本発明 、本発明の方法により製造したDCに抗原を提 示させたものを含む組成物およびその免疫治 療への使用を提供する。本発明の組成物は、 免疫応答を刺激するために、インジェクショ ン、連続点滴、インプラントからの持続的放 出、もしくは他の適当な技術によって投与さ れ得る。典型的には、生理学的に受容可能な 担体、賦形剤もしくは希釈剤とともに、樹状 細胞を含む組成物を投与する。担体としては 、使用される薬量および濃度において投与個 体に有意な毒性が無いものであり、例えば生 理食塩水が挙げられる。

 腫瘍抗原は腫瘍細胞に特異的なもの(すな わち、腫瘍細胞に存在するが、非腫瘍細胞に は存在しないもの)であっても、同じタイプ 非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞に高レベルで存 するものであってもよい。この樹状細胞を 与することにより免疫系が刺激される。CTL 主なエフェクターとして働く場合は、抗原 しては細胞内外に発現する所望の腫瘍抗原 用いることができる。樹状細胞を用いて、CD 4 T細胞の活性化から引き続くB細胞の活性化 よる抗体産生を惹起し、抗体をエフェクタ として作用させる場合には、抗原としては 胞表面に表出するものが好ましく、例えば 細胞表面受容体または細胞接着蛋白質を用 ることができる。腫瘍抗原の例としては、 巣癌等にするMuc-1 または Muc-1様ムチンタ デムリピートペプチド(米国特許第 5,744,144 )、子宮頸癌を引き起こすヒト乳頭腫ウイル 蛋白質E6およびE7、メラノーマ抗原MART-1、MAG E-1、-2、-3、gp100およびチロシナーゼ、前立腺 癌抗原PSA、その他にも、CEA(Kim, C. et al., Can cer Immunol. Immunother. 47 (1998) 90-96)、およびHe r2neu(HER2p63-71、p780-788; Eur. J. Immunol. 2000; 30:  3338-3346)などが挙げられる。

 本発明によって調製される樹状細胞は、 および感染症に対する有効な免疫療法にお て有用であり、腫瘍抗原もしくは感染症関 抗原の遺伝子が導入された樹状細胞または の樹状細胞で刺激されたT細胞による免疫感 作は、患者において抗腫瘍または抗感染症免 疫を誘導する有効な方法となる。本発明は、 本発明の方法により得られた樹状細胞の免疫 反応の誘導における使用にも関する。すなわ ち本発明は、本発明の方法により得られた樹 状細胞の、免疫療法における使用、具体的に は、例えば腫瘍または感染症の治療における 使用に関する。また本発明は、本発明の方法 により得られた樹状細胞の、免疫活性化剤の 製造における使用に関する。すなわち本発明 は、本発明の方法により得られた樹状細胞の 、免疫治療剤の製造における使用、具体的に は、例えば抗腫瘍剤(腫瘍増殖抑制剤)または 染症治療薬の製造における使用に関する。

 また、一般病への適用も考えられる。糖 病においては、例えばI型糖尿病患者または そのモデル動物において、インシュリン断片 のペプチドをエピトープとして利用すること が考えられる(Coon, B. et al., J. Clin. Invest., 1999, 104(2):189-94)。

 DC組成物には、可溶性サイトカイン受容 もしくはサイトカインまたは他の免疫制御 子をさらに含んでもよい(Schrader, J.W. Mol. Im munol. 28: 295 (1991))。これらのサイトカイン 、DC組成物とは別の組成物として調製し、DC 同時に、別々に、または逐次的に投与する ともできる。また、樹状細胞からサイトカ ン類を発現させれば、免疫系を刺激して、 染微生物または癌に対する免疫応答を高め ことから、サイトカインをコードする遺伝 を導入した樹状細胞も、癌やその他のサイ カイン治療が有効と考えられる疾患の治療 おいて有用である。免疫刺激性サイトカイ をコードする遺伝子を搭載するベクターが 入された樹状細胞は効果的な免疫誘導剤と る。例えば、免疫刺激性サイトカインとし 、インターロイキン(例えば、IL-1α、IL-1β、 IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL- 12、IL-15、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-23、IL-27) インターフェロン(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN -γ)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミン グ増殖因子(TGF)-β、顆粒球コロニー刺激因子( G-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF )、GM-CSF、IL-3とGM-CSFを含む融合蛋白質、イン リン様増殖因子 (IGF)-I、IGF-2、Flt-3リガンド 、Fasリガンド、およびc-kitリガンド、CD40リガ ンド (CD40L)、ならびに他の免疫調節タンパク 質(ケモカインおよびコスティミュラトリー 子など)が含まれる。これらは単独もしくは み合わせて用いられ得る。

 これらのサイトカインのアミノ酸配列は 業者には周知であり、IL-4については、例え ば、Araiら (1989)、J. Immunol. 142(1) 274-282、IL-6 については、例えば、Yasukawaら (1987)、EMBO J. 、6(10): 2939-2945、IL-12は、例えば、Wolfら (1991 )、J. Immunol. 146(9): 3074-3081、IFN-αは、例えば 、Grenら (1984) J. Interferon Res. 4(4): 609-617、 よびWeismannら (1982) Princess Takamatsu Symp. 12:  1-22、TNFは、例えば、Pennicaら (1984) Nature 31 2: 724-729、G-CSFは、例えば、Hiranoら (1986) Natu re 324:73-76、GM-CSFは、例えば、Cantrellら (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 82(18): 6250-6254 を 照することができる。より具体的には、GM-CS Fをコードする核酸配列としては Accession numb er NM_000758の84~461番目の配列(アミノ酸配列はN P_000749の18~144番目)を含む配列が挙げられる。 IL-4をコードする核酸配列としては、Accession  number NM_000589の443~829番目の配列(アミノ酸配 はNP_000580の25~153番目)を含む配列が挙げられ 。これらのサイトカインをコードする天然 遺伝子または遺伝子暗号の縮重を利用して 機能的サイトカインをなおコードする変異 伝子を含むベクターを設計し、樹状細胞に 入することができる。

 また、これらのサイトカインの改変体を 現するように遺伝子改変してもよい。例え 、前駆体および成熟体の2つの形態を持つサ イトカイン(例えば、シグナルペプチドの切 により活性フラグメントを生成するもの、 たは蛋白質の限定分解により活性フラグメ トを生成するものなど)について、前駆体ま は成熟体のいずれかを発現するように遺伝 改変してもよい。その他の改変体(例えば、 サイトカインの活性フラグメントと異種配列 (例えば、異種シグナルペプチド)との間の融 タンパク質)を用いてもよい。

 樹状細胞は、患者自身のT細胞をin vivoで 激するのに有用であり、あるいは樹状細胞 T細胞をin vitroで刺激するのにも有用である 。感作したT細胞を患者に投与し、エクスビ 免疫療法を介して患者の免疫系を刺激する ともできる。例えば、抗原を提示させた成 樹状細胞をT細胞に接触させることで、樹状 胞により刺激されたT細胞を作り出すことが できる。樹状細胞で提示させる抗原は、ベク ターから発現させた蛋白質(またはそのプロ スされた産物)であってもよいし、外から樹 細胞にパルスしてもよい。活性化されたT細 胞によりCTLが誘導される。

 また本発明は、本発明の方法により製造 た樹状細胞を用いて、免疫系を刺激する方 に関する。例えば感染症または癌などに罹 した患者において免疫系を刺激する治療を うことができる。この方法は、樹状細胞ま はT細胞を投与する工程を含む方法である。 この方法は、具体的には本発明により製造さ れたDCまたは該DCにより刺激されたT細胞の治 上有効量を患者に投与する工程を含む方法 ある。樹状細胞に、抗原ペプチドをパルス て、所望の抗原を提示させることで、所望 抗原に対する免疫を誘導することができる インビトロでT細胞と樹状細胞を接触させる 場合、患者からT細胞を採取して、エクスビ 投与を行うことが好ましい。

 DCまたはT細胞を含む組成物の個体への投与 は、疾患、患者の体重、年齢、性別、症状 投与目的、投与組成物の形態、投与方法等 より異なるが、当業者であれば適宜決定す ことが可能である。投与経路は適宜選択す ことができ、例えば罹患部位に投与される とが好ましい。一般的には、筋肉内、腹腔 、皮下もしくは静脈内注射、あるいは、リ パ節への直接注入によって注入することが きる。好ましくは皮下、腹腔内注射または ンパ節への直接注入により、患者に投与す 。樹状細胞は、一般的には10 5 ~10 9 細胞、好ましくは10 6 ~10 8 細胞、より好ましくは約10 7 細胞を患者に投与することができる。投与回 数は、1回または臨床上容認可能な副作用の 囲で複数回可能である。投与対象としては に制限はないが、例えば、ニワトリ、ウズ 、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ネコ、ウ 、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、サル、およびヒ などを含む鳥類、哺乳動物(ヒトおよび非ヒ 哺乳動物)、およびその他の脊椎動物が挙げ られる。

 樹状細胞は、抗腫瘍剤として有用である 例えば腫瘍抗原を提示させた樹状細胞を腫 部位に投与することによって、腫瘍の増殖 抑制することができる。腫瘍部位とは、腫 またはその周囲(例えば腫瘍から5 mm以内、 ましくは3 mm以内)の領域を言う。樹状細胞 腫瘍に投与する前に、樹状細胞に腫瘍抗原 接触させるとより高い効果を得ることがで る。樹状細胞への腫瘍抗原の接触は、樹状 胞と腫瘍細胞のcell lysate (細胞溶解物) と 混合する方法、腫瘍抗原ペプチドを樹状細 にパルスする方法、あるいは樹状細胞に腫 抗原遺伝子を導入して発現させる方法など 用いることができる。また、IFN-βまたはIFN- β遺伝子を搭載するベクターでDCを処理した 、あるいは腫瘍に直接注入することにより 腫瘍効果が増大されることが期待できる。 えばIFN-β遺伝子を搭載するRNAウイルスベク ー(例えばマイナス鎖RNAウイルスベクター)は 、抗腫瘍剤として優れている。RNAウイルスベ クターを導入した樹状細胞の投与と、IFN-β遺 伝子を搭載するベクターの腫瘍部位への注入 を組み合わせれば、より高い抗腫瘍効果が発 揮される。

 樹状細胞により活性化したT細胞を投与する 場合は、例えばT細胞は、1 m 2 の体表面積あたり約10 5 ~10 9 細胞、好ましくは10 6 ~10 9 細胞、より好ましくは10 8 ~10 9 細胞の用量で、静脈内注入によって投与され 得る(Ridellら、1992、Science 257: 238-241 を参照) 。注入は、所望の間隔(例えば、毎月)で繰り され得る。投与後のレシピエントは、必要 応じて任意の副作用について、T細胞注入の 間または注入後にモニターされてよい。この とき、T細胞は樹状細胞を得た患者と同じ患 から得ることが好ましい。あるいは、T細胞 患者から採取し、T細胞を刺激するために用 いる樹状細胞は、HLA適合性の健常なドナーに 由来してもよい。または逆に、樹状細胞を患 者から採取し、T細胞はHLA適合性の健常なド ーに由来してもよい。

 本発明により製造されるワクチンの有効 分である樹状細胞を含む細胞は、ヒト体内 治療用のワクチンとして接種することから 安全性を高めるために細胞増殖性を無くし おくこともできる。例えば、臍帯血由来の 球は分化誘導することにより増殖能が極度 低下することが知られているが、細胞ワク ンとしてより安全に利用するため、加熱処 、放射線処理、あるいはマイトマイシンC(MM C)処理などで処理し、ワクチンとしての機能 残したまま、増殖性をなくすことができる 例えば、X線照射を利用する場合、総放射線 量1000~3300 Radで照射することができる。マイ マイシンC処理法は、例えば、樹状細胞に25~ 50μg/mlのマイトマイシン Cを添加し、37℃、30 ~60分間保温処理することができる。熱による 細胞処理方法は、例えば、50~65℃で20分間加 処理を行うことができる。

 以下、実施例により本発明をさらに詳細 説明するが、本発明はこれら実施例に制限 れるものではない。また、本明細書中に引 された文献は、すべて本明細書の一部とし 組み込まれる。

 以下、実施例1、2、4、5、及びそれら実施例 に係る図面において、FS36投与群、GMSCF投与群 、および GMIL-4投与群とは、以下の組成とす 。
   FS36投与群:Flt-3リガンド(20ng/ml)、幹細胞 子(Stem cell factor;SCF)(10ng/ml)、IL-3(10ng/ml)、IL-6 (10ng/ml) (FS36と略記) を含む10%FBS添加RPMI1640
   GMIL-4投与群:GM-CSF(20ng/ml)、IL-4(20ng/ml)を含 10%FBS添加RPMI1640
   GMSCF投与群:GM-CSF(20ng/ml)、SCF(10ng/ml)を含む 10%FBS添加RPMI1640

 以下、実施例3、6、7及びそれら実施例に係 図面において、GMIL-4投与群(1)、GMIL-4投与群( 2)、GMSCF投与群、0.1 GMSCF投与群、及び0.01 GMSC F投与群とは、以下の組成とする。
   GMIL-4投与群(1):組換えヒトGM-CSF(25 ng/ml)(Wa ko, Japan)、組換えヒトIL-4(50 ng/ml)(Wako,Japan)を む10%FBS添加IMDM
   GMIL-4投与群(2):組換えヒトGM-CSF(100 ng/ml)(W ako, Japan)、組換えヒトIL-4(50 ng/ml)(Wako,Japan)を 含む10%FBS添加IMDM
   GMSCF投与群:組換えヒトGM-CSF(100 ng/ml)(Wako,  Japan)、組換えヒトSCF(50 ng/ml)(Wako, Japan)を含 む10%FBS添加IMDM
   0.1 GMSCF投与群:組換えヒトGM-CSF(10 ng/ml)(W ako, Japan)、組換えヒトSCF(5 ng/ml)(Wako, Japan)を 含む10%FBS添加IMDM
   0.01 GMSCF投与群:組換えヒトGM-CSF(1 ng/ml)(W ako, Japan)、組換えヒトSCF(0.5 ng/ml)(Wako, Japan) 含む10%FBS添加IMDM

 以下、実施例6及びそれら実施例に係る図面 において、(1)iDC処理、(2)SeV/dF処理、(3)LPS処理 とは以下の処理とする。
 (1)iDC処理:下記濃度の培地で2日間インキュ ーションすることである。
        10%FBS添加IMDM
 (2)SeV/dF処理:下記濃度の培地で2日間インキ ベーションすることである。
        F遺伝子が欠失しているセンダイ イルス (moi=50) を含む10%FBS添加IMDM
 (3)LPS処理:下記濃度の培地で2日間インキュ ーションすることである。
        LPS(1μg/ml) を含む10%FBS添加IMDM
        尚本実験では以下のLPSを用いた
        SIGMA カタログNo. L7895-1MG(由来生 =Salmonella typhosa)
 (4)Poly(I:C)処理:下記濃度の培地で2日間イン ュベーションすることである。
        Poly(I:C) (100μg/ml) を含む10%FBS添 IMDM
 (5)CpG処理:下記濃度の培地で2日間インキュ ーションすることである。
        CpG (10μg/ml) を含む10%FBS添加IMDM
 (6)R-848処理:下記濃度の培地で2日間インキュ ベーションすることである。
        R-848 (1μg/ml) を含む10%FBS添加IMDM
 (7)OK432処理:下記濃度の培地で2日間インキュ ベーションすることである。
        OK432(0.5KE/ml)(中外製薬 日本標準 品分類番号874299)を含む10%FBS添加IMDM

〔実施例1〕サイトカインによる樹状細胞(DC) 駆細胞の増幅及び分化の確認
 先ず、マウス (C3H) の大腿骨・脛骨の骨髄 らネガティブセレクションによって、造血 駆細胞を採取した (SpinSep mouse hematopoietic  progenitor enrichment kit, StemCell technologies, Canad a)。この前駆細胞を、FS36投与群、GMIL-4投与群 、GMSCF投与群と3グループに分けて、培養した 。培養は2.4×10 5  cellsから始め、3~4日ごとに200万cells/ml 以下 濃度となるように継代を続け、6週間まで培 養した。尚、その過程において、樹状細胞(DC )前駆細胞が調製される(図1)。その間、細胞 をカウントし、増殖速度を確認するととも 、抗CD11b-FITC、抗CD11c-PE、抗c-kit-PE、抗CD131-PE て染色後、FACS解析を行い、上記前駆細胞の 分化能を確認した(図3)。
 FS36投与群においては、他の投与群に比べ、 マウス造血前駆細胞は顕著に増幅され、FS36 用いた培養により21日間で約10,000 倍に増幅 れた(図1、図2)。尚、図2において(1)で示し いる写真は、グラフ中に(1)で示した時点に 応しており、マウス造血前駆細胞をGMIL-4投 群の条件で7日間培養して得られたDCの細胞 態を表した写真(顕微鏡で観察)であるが、実 施例1、2、4、5、及びそれら実施例に係る図 で示す通常DC(normal DC)とは、この細胞、すな わちマウス造血前駆細胞をGMIL-4投与群の条件 で7日間培養して得られたDCとする。尚通常DC( normal DC)においても、樹状突起が確認できる 更に、図2(3)は、図8で示しているFS36投与群 条件で四週間培養し、その後培地をGMIL-4投 群の条件にし、一週間培養して得られたDC 細胞形態を表した写真(顕微鏡で観察)を示し ているが、樹状突起が確認できた。尚、図2 おいては、(3)で示している写真は、曲線(ii) 該当する過程を経て得られたものである。

 FS36投与群においては、マウス造血前駆細胞 を培養することにより、その後GM-CSFおよびIL- 4等で一週間培養により樹状細胞のマーカー あるCD11cの陽性になる細胞へ分化能を保つ前 駆細胞を増幅できた。マウス造血前駆細胞は 、FS36を用いた培養により21日間で約10,000 倍 増幅された(図1、図2)。これらの細胞をGM-CSF およびIL-4、またはGM-CSFおよびSCFにより分化 せて得られたDCにおけるCD11b + CD11c + 細胞数は、採取直後から分化させた場合と比 べると約470倍にもなった。

 この増幅は6週に渡ったが(図1)、分化能は 4週の増幅後より徐々に落ちた。5週増幅させ 後は、分化後のCD11c陽性細胞数は急速に減 した。従って、CD11c陽性細胞数を多く得られ るのは、3週増幅後1週分化あるいは、4週増幅 後1週分化させた時であることが判明した(図1 0)。

 また、図4から図9においては、FS36投与群、G MIL-4投与群、GMSCF投与群の条件による1週間の ウス造血前駆細胞の培養におけるDC前駆細 の増殖曲線、および抗CD11b-FITC、抗CD11c-PEを いた細胞の分化を確認した結果を示してい 。各図に、CD11b + /CD11c +  率(%)を示した。培養方法は、FS36投与群の条 件により増幅継代培養させたマウスの骨髄造 血前駆細胞から、1週ごとに10 6 前後の細胞を取り出し、GMIL-4投与群、あるい はGMSCF投与群の条件で7日間培養した。分化の 確認を抗CD11b-FITC、抗CD11c-PEを用いFACS解析で った後、CD11b + /CD11c + 率により、細胞の分化効率を確認した。CD11b + /CD11c +  率が一番高い条件は、図7に示しているFS36 与群の条件で三週間培養し、その後培地をGM IL-4投与群の条件にし、一週間培養したもの ある。ここで、CD11b + /CD11c +  率が一番高いということは、DC前駆細胞か DCへ分化した細胞の割合が高いということを 指し示している。尚、図2(3)で、図7で示して るFS36投与群の条件で四週間培養し、その後 培地をGMIL-4投与群の条件にし、一週間培養し て得られたDCの細胞形態を表した写真(顕微鏡 で観察)を示しているが、樹状突起が確認で た。

〔実施例2〕DCの分化
 マウス造血前駆細胞から得られたDCにF遺伝 欠失型センダイウイルス(SeV/dF)をmoi50で感染 、あるいはLPS (1μg/ml) 添加後、さらに2日間 養を行い、CD80-PerCP、CD86-PerCP、MHC classII-PerC P、CD40-PerCPを用いてDCの表面マーカーの発現 Flow cytometer により分析した(図11、図12)。そ の結果、センダイウイルスの感染またはLPSに よって、通常DC(normal DC)と同様に(図11(B))、FS3 6投与群の条件で三週間培養し、その後培地 GMIL-4投与群の条件にし、一週間培養したこ により製造したDCにおいては、co-stimuratory mo lecule であるCD80、CD86 の発現、MHC ClassIIの発 現、接着分子(CD40)を発現していることが確認 できた(図11(A))。

〔実施例3〕GM-CSFおよびSCFによるDCの増幅
 ヒト臍帯血CD34 +  細胞 (Cambrex社より購入) をGMSCF投与群又はG MIL-4投与群(1)の条件で35日間培養し、増幅と 化を行った。培養期間中、培養3日~7日ごと c-kit、CD11c、CD86の発現をFlow cytometer により 析した。1×10 5 個のヒト臍帯血CD34 + 細胞をGM-CSFおよびSCFを添加した培地中で培養 することにより、CD11c + 細胞が徐々に増殖し、35日後には3.8×10 9 個得ることが出来た。また32日目にLPSを加え その3日後にCD11c-PE、CD86-PEでFACSを行った。 の結果、上記実施例2の結果と同様に、LPSに ってCD86の発現が増強されることが確認され た(図16)。このように、マウス、ヒト共に、CD 11c +  細胞をサイトカインカクテルにより増幅さ ることができる(図13、14、および 15)。

〔実施例4〕増幅されたDCのサイトカイン産生 量及び抗原取り込み能及びT細胞への増殖・ 性化能の検討
 FS36投与群の条件により培養し、その後培地 をGMIL-4投与群の条件にし、更に1週間培養し 得られたDCについて、サイトカイン産生量( 17)及び抗原取り込み能(図18)及びT細胞への増 殖・活性化能の検討(図19)を行った。
 マウス骨髄由来造血前駆細胞をFS36投与群の 条件で三週間培養し、その後培地をGMIL-4投与 群の条件にし、一週間培養したことにより得 られたDCは、通常DC(normal DC)(マウス造血前駆 胞をGMIL-4投与群の条件で7日間培養して得た もの)と同様に、IL-12 及びIFN-βの産生が確認 れ(図17)、抗原取り込み能(図18)及び T細胞 増殖・活性化能(図19)を有していることが示 れた。

〔実施例5〕増幅DC投与によるマウス骨肉腫の 肺転移抑制
 <サンプルの調製>
 マウス造血前駆細胞由来のDC(1×10 5 個)に腫瘍溶解液(3×10 5 個腫瘍細胞が入っている)を加え、8時間イン ュベーションした。その後、そのDCにF遺伝 欠失型センダイウイルス(SeV/dF)(moi50)を導入 、さらに2日間培養を行った。その培養後の DCをマウス(C3H、7週齢雌マウス)の尾静脈に投 した。投与2日後、LM8マウス骨肉腫細胞をマ ウスの尾静脈に投与した。LM8マウス骨肉腫細 胞投与17日後、マウスを開胸し、肺への転移 節数を肉眼でカウントした(図20)。

 <結果>
 FS36投与群の条件により培養し、その後更に GMIL-4投与群またはGMSCF投与群の条件にして1週 間培養して得られたDC(図20の (3) 及び (4)  照)の投与において、通常DC(normal DC)(マウス 血前駆細胞をGMIL-4投与群の条件で7日間培養 して得たもの)と同様に、肺への癌転移が抑 されたのが確認できた。FS36投与群の条件に り培養し、その後培地をGMIL-4投与群またはG MSCF投与群の条件にし、更に1週間培養して得 れたDCが、癌治療に有用であることが示唆 れた。

〔実施例6〕GM-CSFおよびSCFによるヒト由来樹 細胞前駆細胞からのDCの増幅(その1)
 <実験1>
 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞 (Lonza社より購入)及び ヒトG-CSF処置末 梢血由来CD34 +  細胞 (Lonza社より購入)を、GM-CSFおよびSCFを む培地で、35日間培養し、増幅と分化を行 た。

 <実験1の結果>
 図21(A)、 (B)に示した結果より臍帯血由来CD3 4 +  細胞の培養及び ヒトG-CSF処置後末梢血由来 CD34 +  細胞の培養によっても、GM-CSFおよびSCFを添 した培地中で培養することにより、大量に 胞を得ることができた(図21、図22)。またそ 細胞は、CD11c陽性(+)細胞の割合が高い(図21(C )、(D)、図22(B))。
 また図記載のGMSCF投与群において、培養35日 時点での細胞に上記LPS処理をしたものについ ては、樹状突起が確認できた(図23)。

 <実験2>
 実験1で示しているヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養14日と培養35日の時 点の細胞のうちCD11c陽性(+)細胞についてのCD11 b、CD33、HLA-ABCの発現をFlow cytometer により分 した(図24)。成熟した樹状細胞であれば、CD1 1c陽性(+)でかつCD11b陽性(+)、CD11c陽性(+)でかつ CD33陽性(+)、及びCD11c陽性(+)でかつHLA-ABC陽性(+ )という傾向が示される。
 また、ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞 ついて、LPS処理又はSeV/dF処理した場合にお る、ICAM-1、CD86、HLA-DR、CD40、CD80、及びCCR7の 現をFlow cytometer により分析した(図25)。成 した樹状細胞であれば、LPS処理又はSeV/dF処 した場合において、処理していない場合(iDC 処理)と比べ、ICAM-1、CD86、HLA-DR、CD40、CD80、 びCCR7の発現が亢進する傾向が示される(Nauta AJ., et al. Mesenchymal stem cells inhibit generatio n and function of both CD34+-derived and monocyte-der ived dendritic cells. J Immunol 177(4), 2080-2087  ( 2006))(Yoneyama, Y., et al. Development of immunostimu latory virotherapy using non-transmissible Sendai virus -activated dendritic cells. Biochem Biophys Res Commun  355, 129-135 (2007))。

 <実験2の結果>
 図24で示している結果から(図面中の矢印を 照)、CD11c陽性(+)でかつCD11b陽性(+)、CD11c陽性 (+)でかつCD33陽性(+)、及びCD11c陽性(+)でかつHLA -ABC陽性(+)という傾向が示された。
 また、図25で示している結果から、LPS処理 はSeV/dF処理した場合において、処理してい い場合(iDC処理)と比べ、ICAM-1、CD86、HLA-DR、CD 40、CD80、及びCCR7の発現が亢進する傾向が示 れた。
 よって、図24及び図25に示された結果から、 GM-CSF及びSCFを含む培地で培養し増幅された細 胞は、表面マーカの発現の傾向から、樹状細 胞である可能性が示唆される。

 <実験3>
 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞 ついて、ファゴサイトーシス(食作用)の能力 を調べた(図26)。

 <実験3の結果>
 細胞の食作用の能力が極めて低い4℃の条件 と比べ、37℃の条件においては、細胞の食作 の能力が亢進していることが判明した(図26) 。
 そして、37℃の条件において、iDC処理と比 、LPS処理をしたものにおいては、細胞の食 用の能力が低下していることが判明した。 状細胞は成熟に伴い貪食能力が低下する事 知られていることから踏まえると(Yoneyama, Y. , et al. Development of immunostimulatory virotherapy using non-transmissible Sendai virus-activated dendriti c cells. Biochem Biophys Res Commun 355, 129-135 (20 07))、本実験で用いている細胞(GM-CSFおよびSCF 含む培地で培養し増幅させた細胞)は、樹状 細胞である可能性が示唆される。

 <実験4>
 ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞の培養期間中、培養35日の時点の細胞 ついて、サイトカイン産生能を調べた。実 においては、ベクトン・ディッキンソン ア ンド カンパニー(BD)社のHuman Inflammation Kit( タログ番号:551811)を用いた(図27)。

 <実験4の結果>
 LPSなどの刺激により、IL-6、TNF-α、IL-1βの産 生能が高まった。GM-CSFおよびSCFを含む培地で 培養し増幅させた細胞は、サイトカインを産 生する能力があると考えられる(図27)。

 <実験5>
 リンパ球の増殖刺激能の検討を行った(図28) 。ヒト臍帯血由来CD34 +  細胞からGMSCF培地での培養を通して得たDCを マイトマイシンC(MMC)で処理し、CD3 +  T細胞と以下の割合で混合した。
 混合群1について
  MMC処理したDC数:CD3 +  T細胞数=1:100
 混合群2について
  MMC処理したDC数:CD3 +  T細胞数=1:10
上記混合した細胞を5日間培養した。なお、 合群2については、T細胞の増殖を測定した。

 <実験5の結果>
 混合群2において、混合群1に比べて、LPS等 刺激による効果が高いことが示された(図28) また上記DCが、T細胞の増殖・活性化能(図28) を有していることが示された。

 よって、実験1から実験5の結果から、ヒト 帯血由来CD34 +  細胞のGMSCF投与群の条件での培養を通して た細胞が、成熟した樹状細胞であるという とが確認できた。

 以上の結果は、得られた細胞が、刺激に り典型的な樹状突起を形成すること、MHC Cl ass II分子、接着分子、co-stimulatory分子を発現 すること、炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、I L-1βを含む)を発現すること、エンドサイトー シス活性を持ち、allostimulatory活性を持つこと を示している。すなわち実験2から5の結果よ 、実験1で示されているGMSCF投与群の条件で 養した細胞は、生物活性のある樹状細胞で ると考えられる。よって、GM-CSFおよびSCFを む培地で、樹状細胞前駆細胞から樹状細胞 製造できるということが明らかとなった。

〔実施例7〕GM-CSFおよびSCFによるヒト由来 胞からのDCの増幅(その2)

 図29では、GM-CSF/SCFの濃度によるDC増殖の影 を示している。GM-CSF (100 ng/ml) および SCF  (50 ng/ml) の濃度を1/10に低下させても(10 ng/ml  GM-CSF, 5 ng/ml SCF)、細胞数は若干低下する のの高い増殖性は維持された。GM-CSF (100 ng/ ml) および SCF (50 ng/ml) の濃度を1/100に低下 させた場合(1 ng/ml GM-CSF, 0.5 ng/ml SCF)でも、 DCを増幅できる。そして、35日間培養時点に けるCD11c陽性細胞率について図30で示してい 。いずれの投与群も、CD11c陽性細胞率が高 。
 図29及び図30に示しているデータより、効率 よくDCを増幅させるためには、GM-CSF を1 ng/ml より高い濃度で、およびSCFを 0.5 ng/ml より い濃度で用いることが好ましい。また、0.01 GMSCF投与群の条件で培養しても、DCを増幅で ることから、少ないサイトカイン量で効率 くDCを増幅することができることが示唆され 、本発明の方法が、製造コストが抑えられる DC製造方法となることが期待できる。

 本発明により、樹状細胞を大量に製造す ことが可能となった。製造されたDCは、癌 原を提示させて抗腫瘍DCワクチンとして利用 することができる。本発明の方法を用いれば 、患者から得られるDC前駆細胞が少なくても 量のDCを効率よく製造することが可能とな た。この製造方法により得られたDCは、高い 抗腫瘍効果があり、癌および感染症などの免 疫治療に有用なDCワクチンとして有用である 本発明は、癌に対する免疫療法に大きく貢 することが期待される。