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Title:
METHOD FOR SCREENING OF THERAPEUTIC AGENT FOR ALLERGIC AIRWAY INFLAMMATION AND/OR AIRWAY HYPERSENSITIVITY USING IL-17RB-POSITIVE NKT CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069355
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a screening method for finding a novel therapeutic agent for allergic airway inflammation and/or airway hypersensitivity; a therapeutic agent for allergic airway inflammation and/or airway hypersensitivity, which has a novel mechanism of action; various kinds of means which enable to develop the screening method and the therapeutic agent; and others. Specifically disclosed are: a method for screening a therapeutic agent for allergic airway inflammation and/or airway hypersensitivity, which is characterized by using an IL-17RB-positive NKT cell; a therapeutic agent for allergic airway inflammation and/or airway hypersensitivity, which comprises a substance capable of inhibiting or eliminating the Th2 cell-like function of an IL-17RB-positive NKT cell as an active ingredient.

Inventors:
WATARAI HIROSHI (JP)
TANIGUCHI MASARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065569
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
August 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
RIKEN (JP)
WATARAI HIROSHI (JP)
TANIGUCHI MASARU (JP)
International Classes:
C12N15/09; A61K39/395; A61K45/00; A61P11/00; A61P37/08; A61P43/00; C07K16/24; C12N5/10; C12N15/02; C12Q1/02; G01N33/15; G01N33/50; G01N33/53; C12P21/08
Domestic Patent References:
WO2001057202A22001-08-09
Other References:
TIAN E. ET AL.: "Evi27 encodes a novel membrane protein with homology to the IL17 receptor.", ONCOGENE, vol. 19, no. 17, 2000, pages 2098 - 2109
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
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Claims:
 IL-17RBの細胞外領域とヒトIgG1のFc領域とを結合させたIL-17RB組換え体によって免疫されたヒト以外の哺乳動物から単離したリンパ球又は脾臓細胞とミエローマ細胞株との融合細胞であって、その培養上清がIL-17RBと特異的に反応するハイブリドーマ。
 請求項1に記載のハイブリドーマにより産生され、IL-17RBを特異的に認識するモノクローナル抗体。
 請求項2に記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、IL-17RB陽性細胞を検出する方法。
 定常状態においてはIL-17RB陽性細胞がIL-17RB陽性NKT細胞である、請求項3記載の方法。
 請求項2に記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、IL-17RB陽性細胞を他のリンパ球系細胞から分離する方法。
 定常状態においてはIL-17RB陽性細胞がIL-17RB陽性NKT細胞である、請求項5記載の方法。
 IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を測定する工程を含む、アレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬のスクリーニング方法。
 以下の工程を含む、アレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬のスクリーニング方法:
 IL-17RB陽性NKT細胞にIL-17RBのリガンドの存在下、試験化合物を接触させる工程(工程1)、
 試験化合物を接触させたIL-17RB陽性NKT細胞と試験化合物を接触させていないIL-17RB陽性NKT細胞との、そのTh2細胞様の機能を測定し、その結果を比較する工程(工程2)、及び
 有意にTh2細胞様の機能を抑制した試験化合物をアレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬として選抜する工程(工程3)。
 Th2細胞様の機能が、リガンド刺激依存性のTh2サイトカイン・ケモカイン産生能である、請求項8記載の方法。
 Th2サイトカイン・ケモカインが、IL-4、IL-5、IL-13、TARC/CCL17及びMDC/CCL22からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9記載の方法。
 以下の工程を含む、アレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬のスクリーニング方法:
 IL-17RB陽性NKT細胞を有するヒト以外の哺乳動物にIL-17RBのリガンドの存在下、試験化合物を投与する工程(工程1)、
 試験化合物を投与した哺乳動物と、試験化合物を投与していない哺乳動物との、そのTh2細胞様の機能を測定し、その結果を比較する工程(工程2)、及び
 有意にTh2細胞様の機能を抑制した試験化合物をアレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬として選抜する工程(工程3)。
 Th2細胞様の機能が、リガンド刺激依存性の気道抵抗の上昇である、請求項11記載の方法。
 リガンドが、IL-17E/IL-25である、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
 IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し得る物質を有効成分として含有する、アレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬。
 IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し得る物質を有効成分として含有する、好酸球増加症の治療薬。
 IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し得る物質が、IL-17RBに対するアンタゴニスティック抗体並びに低分子阻害剤、IL-17E/IL-25に対する抗体及びIL-17RBの可溶化型分子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項14記載のアレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬。
 IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し得る物質が、IL-17RBに対するアンタゴニスティック抗体並びに低分子阻害剤、IL-17E/IL-25に対する抗体及びIL-17RBの可溶化型分子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項15記載の好酸球増加症の治療薬。
Description:
IL-17RB陽性NKT細胞を用いたアレル ギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療 のスクリーニング方法

 本発明は新規なアレルギー性気道炎症及 /又は気道過敏症の治療薬のスクリーニング 方法に関する。より詳細には、IL-17RB陽性NKT 胞のTh2細胞様の機能を測定することを含む レルギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の 療薬のスクリーニング方法ならびにIL-17RB陽 性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し 得る物質を有効成分として含有するアレルギ ー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬 に関する。

 IL-17は1993年にマウスのT細胞ハイブリドーマ からクローニングされ、1995年には、このタ パク質にNF-κBの活性化能やIL-6誘導能がある とが示されたサイトカインの1種である。IL- 17は分子量20~30kDのペプチドからなるホモダイ マーの糖蛋白質であり、現在、IL-17(IL-17Aとも 呼ぶ)以外に、相同性を持つ6個のファミリー 子(IL-17、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-25(IL-17E)、IL- 17F)からなることが知られている。IL-17は主に 活性化T細胞(Th1細胞、Th2細胞)より産生され、 線維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、マク ロファージ等種々の細胞に作用して、炎症性 サイトカインやケモカイン、細胞接着因子等 、種々の因子を誘導して炎症を誘導すること が知られている。
 IL-17が主に活性化T細胞から産生されるのに し、IL-17レセプター(以下、IL-17Rとも称する) は種々の細胞で構成的に発現している。リガ ンドと同様にレセプターもファミリー(IL-17RA IL-17RB、IL-17RC、IL-17RD、IL-17RE)を形成してい ことが知られている。

 気管支喘息等のアレルギー性気道炎症は、T h2細胞、好酸球、好中球、肥満細胞、好塩基 等の炎症局所へ浸潤した血球系細胞と、血 内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞等の組織 胞との相互作用により惹起される。Th2細胞 、IL-4、IL-5、IL-13、TARC/CCL17、MDC/CCL22等のTh2 イトカイン・ケモカインを産生し、IgE産生 好酸球の活性化、気道上皮細胞からの粘液 他のサイトカイン・ケモカインの産生、血 内皮細胞上の接着分子の発現の誘導により アレルギー性気道炎症の惹起に中心的な役 を果たしている。
 近年、新たなTh2細胞サイトカインとしてIL-1 7ファミリーに属するIL-17E/IL-25が同定された( 特許文献1、2)。IL-17E/IL-25はIL-17RBのリガンド であり、IL-4、IL-5、IL-13等のTh2サイトカイン 産生を誘導し、気道過敏症や喘息の惹起あ いは増悪をもたらす役割を担っているもの 考えられている(非特許文献5~7)。しかしなが ら、その標的となるTh2サイトカイン産生細胞 の詳細、特に特定のサブセットを有する細胞 がアレルギー性気道炎症や気道過敏症へのIL- 17E/IL-25の関与に重要であるということは明ら かにされていない。

 ナチュラルキラーT(NKT)細胞は抗原提示細胞( APC)上の抗原提示分子CD1dに提示されたスフィ ゴ糖脂質をリガンドとして認識・活性化さ 、Th1/2両方のサイトカインの産生、細胞障 活性を誘導し、特に抗腫瘍に重要な機能発 をもたらすことが知られている。NKT細胞は 記のような多機能性を有することから種々 病態の寛解に関与する一方で、増悪に関与 るケースが報告されている。特に喘息の発 及び増悪においてはNKT細胞の活性化がその き金となっていることが報告されている(非 許文献3、4)。また、喘息の治療には、主に 入ステロイドを用いた対処療法が行われて るが、ステロイド非感受性の喘息患者がい ことが知られており、多くの場合、NKT細胞 増悪に関与しているケースと相関があると 報告がある(非特許文献4)。
 しかしながら、NKT細胞の特定のサブセット 喘息への関与に重要であることは知られて ない。
Lee J., et al.IL-17E, a novel proinflammatorylig and for the IL-17 receptor homolog IL-17Rh1. J Biol Chem. 2001 Jan 12;276(2):1660-1664. Fort M.M., et al. IL-25 induces IL-4, IL-5, an d IL-13 and Th2-associated pathologies in vivo. Immun ity. 2001 Dec;15(6):985-995. Akbari O., et al. Essential role of NKT cells producing IL-4 and IL-13 in the development of alle rgen-induced airway hyperreactivity. Nat Med. 2003 May ;9(5):582-588. Umetsu D.T., DeKruyff R.H. A role for natural  killer T cells in asthma. Nat Rev Immunol.2006 Dec;6 (12):953-8. Angkasekwinai P., et al. Interleukin 25 promotes  the initiation of proallergictype 2 responses. J Ex p Med. 2007 Jul 9;204(7):1509-17. Wang Y.H., et al. IL-25 augments type 2 immune  responses by enhancing the expansion and functions  of TSLP-DC-activated Th2 memory cells. J Exp Med. 20 07 Aug 6;204(8):1837-47. Ballantyne S.J., et al. Blocking IL-25 prevents airway hyperresponsivenessin allergic asthma. J Allerg y Clin Immunol.2007 Sep 20.

 本発明は、アレルギー性気道炎症及び/又 は気道過敏症の治療薬を得る為のスクリーニ ング方法、新規な作用機序を有するアレルギ ー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬 ならびにそれらを開発し得る種々の手段等 提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検 を行った結果、未刺激のNKT細胞(定常状態の NKT細胞)の一部にIL-17RBの特異的な発現が見ら ることを、抗IL-17RBモノクローナル抗体を用 いて確認し、さらに、そのIL-17RB陽性のNKT細 が活性化されることによりTh2細胞様の機能 示すようになり、喘息の誘導に深く寄与し いることを見出した。さらにIL-17RB陽性NKT細 のTh2細胞様の機能に及ぼす影響を調べるこ によってアレルギー性気道炎症及び/又は気 道過敏症の治療薬のスクリーニング方法を実 施し得ることを見出して本発明を完成した。 すなわち本発明は以下の通りである。

[1]IL-17RBの細胞外領域とヒトIgG1のFc領域とを 合させたIL-17RB組換え体によって免疫された ト以外の哺乳動物から単離したリンパ球又 脾臓細胞とミエローマ細胞株との融合細胞 あって、その培養上清がIL-17RBと特異的に反 応するハイブリドーマ。
[2]上記[1]に記載のハイブリドーマにより産生 され、IL-17RBを特異的に認識するモノクロー ル抗体。
[3]上記[2]に記載のモノクローナル抗体を用い ることを特徴とする、IL-17RB陽性細胞を検出 る方法。
[4]定常状態においてはIL-17RB陽性細胞がIL-17RB 性NKT細胞である、上記[3]記載の方法。
[5]上記[2]に記載のモノクローナル抗体を用い ることを特徴とする、IL-17RB陽性細胞を他の ンパ球系細胞から分離する方法。
[6]定常状態においてはIL-17RB陽性細胞がIL-17RB 性NKT細胞である、上記[5]記載の方法。
[7]IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を測定 る工程を含む、アレルギー性気道炎症及び/ は気道過敏症の治療薬のスクリーニング方 。
[8]以下の工程を含む、アレルギー性気道炎症 及び/又は気道過敏症の治療薬のスクリーニ グ方法:
 IL-17RB陽性NKT細胞にIL-17RBのリガンドの存在 、試験化合物を接触させる工程(工程1)、
 試験化合物を接触させたIL-17RB陽性NKT細胞と 試験化合物を接触させていないIL-17RB陽性NKT 胞との、そのTh2細胞様の機能を測定し、そ 結果を比較する工程(工程2)、及び
 有意にTh2細胞様の機能を抑制した試験化合 をアレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏 症の治療薬として選抜する工程(工程3)。
[9]Th2細胞様の機能が、リガンド刺激依存性の Th2サイトカイン・ケモカイン産生能である、 上記[8]記載の方法。
[10]Th2サイトカイン・ケモカインが、IL-4、IL-5 、IL-13、TARC/CCL17及びMDC/CCL22からなる群から選 択される少なくとも1種である、上記[9]記載 方法。

[11]以下の工程を含む、アレルギー性気道炎 及び/又は気道過敏症の治療薬のスクリーニ グ方法:
 IL-17RB陽性NKT細胞を有するヒト以外の哺乳動 物にIL-17RBのリガンドの存在下、試験化合物 投与する工程(工程1)、
 試験化合物を投与した哺乳動物と、試験化 物を投与していない哺乳動物との、そのTh2 胞様の機能を測定し、その結果を比較する 程(工程2)、及び
 有意にTh2細胞様の機能を抑制した試験化合 をアレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏 症の治療薬として選抜する工程(工程3)。
[12]Th2細胞様の機能が、リガンド刺激依存性 気道抵抗の上昇である、上記[11]記載の方法
[13]リガンドが、IL-17E/IL-25である、上記[8]~[12] のいずれかに記載の方法。
[14]IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害 は除去し得る物質を有効成分として含有す 、アレルギー性気道炎症及び/又は気道過敏 症の治療薬。
[15]IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害 は除去し得る物質を有効成分として含有す 、好酸球増加症の治療薬。
[16]IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害 は除去し得る物質が、IL-17RBに対するアンタ ゴニスティック抗体並びに低分子阻害剤、IL- 17E/IL-25に対する抗体及びIL-17RBの可溶化型分 からなる群から選択される少なくとも1種で る、上記[14]記載のアレルギー性気道炎症及 び/又は気道過敏症の治療薬。
[17]IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害 は除去し得る物質が、IL-17RBに対するアンタ ゴニスティック抗体並びに低分子阻害剤、IL- 17E/IL-25に対する抗体及びIL-17RBの可溶化型分 からなる群から選択される少なくとも1種で る、上記[15]記載の好酸球増加症の治療薬。

 本発明により、IL-17RB陽性細胞あるいはIL- 17RB陽性NKT細胞を選択的に検出することがで る。また、IL-17RB陽性細胞あるいはIL-17RB陽性 NKT細胞を他のリンパ球系細胞から選択的に高 い純度で分離することができる。さらに活性 化されたIL-17RB陽性NKT細胞はその機能解析の 果からTh2細胞様の機能を有し、リガンドで るIL-17E/IL-25の刺激により大量のIL-13等のTh2サ イトカインを産生することから、気道過敏症 あるいはアレルギー性気道炎症の増悪に中心 的な役割を担っているものと考えられる。こ れまで、喘息等のアレルギー疾患に関しては 、ステロイドを用いた対処療法が施されてき たが、ステロイド不応答性であるケースも知 られており、NKT細胞が増悪に関与している場 合との相関性が指摘されている。これらの結 果から、IL-17RB陽性NKT細胞の機能を阻害ある は除去することで免疫応答を制御し得るこ が期待される。

IL-17RBのハイドロパシープロット解析の 結果を示す図である。 可溶化型IL-17RB-Ig組換え体の発現と精製 を示す図である。 IL-17RB特異的モノクローナル抗体(B5F6C11 3H8E9)の、IL-17RB強制発現細胞株への反応性を 示す図である。 IL-17RBがNKT細胞に特異的に発現すること を示した図である。 IL-17RBがTh2優位マウスのNKT細胞に発現す ることを示した図である。Th1優位マウスのNKT 細胞には発現していない。 IL-17RB陽性NKT細胞の各臓器における存在 様式を調べた結果を示す図である。IL-17RB陽 NKT細胞は肺に多く存在している。 IL-17RBがCD4陽性のNKT細胞に発現すること を示した図である。 NKT細胞サブセットの表面マーカーの発 プロファイルを調べた結果を示す図である NKT細胞サブセットの遺伝子の発現プロ ァイルを調べた結果を示す図である。 IL-17RB陽性NKT細胞がリガンド依存的に 殖することを示した図である。 IL-17RB陽性NKT細胞がリガンド依存的に 量のTh2サイトカイン・ケモカインを産生す ことを示した図である。 リガンドの投与によりNKT細胞依存的に 気道抵抗値が上昇することを示した図である 。 リガンド投与によりNKT細胞依存的にIL- 13が産生されることを示した図である。 各種細胞におけるIL-17RBの発現様式に いて解析した結果を示す図である。図14aは 腸管膜リンパ節のc-kit陽性非B非T細胞におけ IL-17RBの発現を、図14bは、脾臓細胞の各サブ セットにおけるIL-17RBの発現を、図14cは、肺 核球の各サブセットにおけるIL-17RBの発現を している。 NKT細胞サブセットの遺伝子(IL-17/IL-17A RORγt)の発現プロファイルを調べた結果を示 図である。 IL-17RB陽性NKT細胞がリガンド依存的に 量のeosinophil chemotactic factor-L(ECF-L)を産生す ことを示した図である。 リガンド依存的な気道過敏症発症にお けるIL-17RB陽性NKT細胞の役割を解明するため 行った実験のプロトコルを示す図である。 NKT細胞欠損マウスでは、リガンド投与 による気道抵抗値の上昇が抑制されているこ とを示す図である。 NKT細胞欠損マウスでは、リガンド投与 による肺胞液中への細胞浸潤が抑制されてい ることを示す図である。 NKT細胞欠損マウスでは、リガンド投与 によるIL-4及びIL-5産生が抑制されていること 示す図である。 リガンドの投与による好酸球や好中球の浸潤 (図21a)及びムチン粘液過剰産生(図21b)につい 調べた結果を示す図である。Balb/cマウス(WT) るいはNKT欠損マウス(Jα18 -/- )について調べた。 抗IL-17RB抗体でIL-17RB陽性NKT細胞を除去 ることによって、リガンドの投与による気 抵抗値の上昇を抑制し得ることを示した図 ある。図22aはIL-17RB陽性NKT細胞が除去されて いることを確認した図であり、図22bは気道抵 抗値の測定結果を示した図である。 NKT細胞欠損マウスにIL-17RB陽性NKT細胞 移入することにより、リガンドの投与によ 気道抵抗値の上昇が確認されたことを示す である。 RSV感染マウスの肺胞洗浄液中のIL-25、I L-6、IL-4あるいはIL-13の濃度を測定した結果を 示す図である。 RSV感染によりNKT細胞が肺胞液中に浸潤 することを示した図である。 RSV依存的な気道過敏症発症におけるIL- 17RB陽性NKT細胞の関与を解析するためのプロ コルを示す図である。 RSV依存的な気道過敏症発症におけるIL- 17RB陽性NKT細胞の関与を示す図である。図27a 、リガンド投与による気道抵抗値の上昇に いて調べた結果を示す。図27bは、リガンド 与による肺胞液中への細胞浸潤について調 た結果を示す。 RSV依存的な気道過敏症発症におけるIL- 17RB陽性NKT細胞の関与を示す図である。図28a 、リガンド投与による肺胞液中への好酸球 好中球の浸潤を、図28bは、リガンド投与に るムチン過剰産生を、それぞれ調べた結果 示す。

 文中で特に断らない限り、本明細書で用 るすべての技術用語及び科学用語は、本発 が属する技術分野の当業者に一般に理解さ るのと同じ意味をもつ。本明細書に記載さ たものと同様又は同等の任意の方法及び材 は、本発明の実施又は試験において使用す ことができるが、好ましい方法及び材料を 下に記載する。本明細書で言及したすべて 刊行物及び特許は、例えば、記載された発 に関連して使用されうる刊行物に記載され いる、構築物及び方法論を記載及び開示す 目的で、参照として本明細書に組み入れら る。

 本明細書中で使用するIL-17RBに対する抗体 ならびに本発明のIL-17RBを特異的に認識する ノクローナル抗体(以下、便宜上両者をあわ て本発明の抗体とも称する)は、本発明の抗 体がIL-17RB分子のみが有するエピトープと免 学的に交差反応し、他のファミリーのタン ク質と交差反応しないことを意味する。こ ようなエピトープは、例えばIL-17RBのアミノ 配列と他のタンパク質のアミノ酸配列とを 列比較することによって、本質的に異なる 列部分(連続する少なくとも5アミノ酸、好 しくは少なくとも8アミノ酸、さらに好まし は少なくとも15アミノ酸)を選択することに って決定できる。

 目的の抗体を得るための抗原エピトープ 、IL-17RBのアミノ酸配列(推定アミノ酸配列 配列番号2に、塩基配列を配列番号1に示す) おいて抗原性の高い領域、表在性がある領 、二次構造をとらない可能性のある領域、 のタンパク質(特にIL-17RBが属するファミリー の他のタンパク質)と相同性がないか又は低 領域から選択されうる。ここで「相同性」 いう用語は、2つ以上のアミノ酸配列または 基配列間での配列の同一性または類似性を 味し、配列は例えば対角線図形法や頻度分 法等を含む慣用的方法で比較しうる。抗原 の高い領域は、Parkerらの方法[Biochemistry、25 、5425-5432頁(1986年)]によって推定可能である 。表在性がある領域は、例えばハイドロパシ ーインデックスを計算しプロットすることに よって推定可能である。二次構造をとらない 可能性のある領域は、例えば、ChouとFasmanの 法[Adv. Enzymol. Relat. Areas Mol. Biol.、47巻 45- 148頁(1978年)]によって推定可能である。さら 、特にIL-17RBが属する他のタンパク質とホモ ジーがないか又は低い領域は、IL-17RBのアミ ノ酸配列と他のタンパク質のアミノ酸配列と の相同性比較によって推定可能である。

 上記の手法で推定された抗原エピトープ して機能し得るIL-17RBの部分アミノ酸配列を 基に、ペプチド合成法を利用することによっ て該アミノ酸配列からなるペプチドを合成す ることができる。目的のペプチドは、例えば 、R.B. Merrifield[Science、232巻、341-347頁(1986年)] よって開発された固相ペプチド合成に基い 市販のペプチド合成機を使用して合成し、 護基を脱離後、イオン交換クロマトグラフ ー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相ク マトグラフィー等を単独もしくは組み合わ た方法により精製する。得られた精製ペプ ドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH )やアルブミン等のキャリアタンパク質と結 し免疫原として使用することができる。

 さらに、遺伝子組換えIL-17RB(以下、便宜 IL-17RB組換え体とも称する)を免疫原として用 い、IL-17RBに対するポリクローナル抗体ある はモノクローナル抗体を公知の手法により 製することもできる。この場合、IL-17RB、モ クローナル抗体、ポリクローナル抗体、ま は他のタンパク質に関して用いられる「組 え」という用語は、これらのタンパク質が 主細胞内で組換えDNAによって生産されたも であることを意味する。当該組換え体は、 記した目的の抗体を得るための抗原エピト プ部分、すなわちIL-17RBの部分アミノ酸配列 をコードするものであってもよいし、該配列 を含む限りIL-17RB全長のアミノ酸配列あるい 任意の部分アミノ酸配列をコードするもの あってもよい。組換えDNAは適当なベクター に挿入して使用することができる。本発明 用いるベクターの種類は特に限定されず、 えば、自立的に複製するベクター(例えばプ スミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞 に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込 まれ、組み込まれた染色体と共に複製される ものであってもよい。

 好ましくは、本発明で用いるベクターは 現ベクターである。発現ベクターにおいてI L-17RB組換え体をコードする遺伝子は、適当な 転写/翻訳調節配列(例えば、プロモーター等) に機能的に連結されている。発現ベクターの 種類としては、例えばプラスミド、ファージ 、コスミド、ウイルス等が挙げられる。プロ モーターは宿主細胞において転写活性を示す DNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜選択 することができる。

 転写/翻訳調節配列には、使用する宿主/ クター系に応じて選択されたプロモーター よびエンハンサーを含めることができる。 た、上記組換えDNAは必要に応じて、適切な ーミネーターに機能的に結合されてもよい さらに当該組換えベクターは更に、ポリア ニレーションシグナル(例えばSV40またはアデ ノウイルス5E1b領域由来のもの)、転写エンハ サー配列(例えばSV40エンハンサー)等の要素 有していてもよい。さらに、形質転換細胞 択のための選択マーカー遺伝子(テトラサイ クリン、アンピシリン、カナマイシン、ハイ グロマイシン、ホスフィノスリシン等の薬剤 に対する抵抗性を付与する遺伝子、栄養要求 性変異を相補する遺伝子等)をさらに含むこ もできる。

 当該組換えDNAあるいは組換えベクターを適 な宿主に導入することによってIL-17RB組換え 体を発現する形質転換体を作製することがで きる。DNAまたはベクターを導入される宿主細 胞は、IL-17RB組換え体を発現できれば任意の 胞を使用できる。宿主細胞としては、原核 胞、酵母類、動物細胞、真菌細胞、昆虫細 又は植物細胞等が使用可能である。
 原核細胞の形質転換は、プロトプラスト法 または公知の方法でコンピテント細胞を用 ることにより行なうことができる。酵母宿 へのベクターの導入方法としては、例えば エレクトロポレーション法、スフェロプラ ト法、酢酸リチウム法等を挙げることがで る。動物細胞へのベクターの導入方法とし は、例えば、エレクトロポレーション法、 ン酸カルシウム法、リポフェクション法等 用いることができる。宿主細胞として糸状 を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組 込んで組換え宿主細胞を得ることにより形 転換を行うことができる。DNA構築物の宿主 色体への組み込みは、公知の方法に従い、 えば相同組換えまたは異種組換えにより行 ことができる。昆虫細胞を宿主として用い 場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよ バキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して 虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た 、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染 せ、タンパク質を発現させることができる

 形質転換またはトランスフェクトされた 主細胞は適当な培養培地中で培養されて目 遺伝子を発現させ、産生したIL-17RB組換え体 を培地中から、または宿主細胞中から回収す る。細胞から回収する場合には、培養終了後 、細胞を遠心分離等により分離し、水性緩衝 液に懸濁し、音波処理、フレンチプレス、ダ イノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出 液を得る。膜分子の単離精製は、タンパク質 の精製に用いられる一般的方法、例えばゲル 濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフ ィニティクロマトグラフィー、疎水性クロマ トグラフィー等のクロマトグラフィー、HPLC 電気泳動法、脱塩法、有機溶媒沈殿法等を 意に組み合わせて行うことができる。

 本発明の「抗体」はペプチド抗体、ポリ ローナル抗体、モノクローナル抗体のいず でもよい。「抗体」は、マウスまたは他の した宿主動物を免疫に用いられたタンパク に特異的に結合するであろう抗体を産生す か、産生するであろうリンパ球又は脾臓細 を引き出すために、皮下、腹腔内、または 肉内の経路によって、抗原あるいは抗原発 細胞により免疫化することによって得られ 。抗原としては上記目的の抗体を得るため 抗原エピトープや該エピトープを含む部分 ミノ酸配列が挙げられ、抗原発現細胞とし は、上記目的の抗体を得るための抗原エピ ープや該エピトープを含む部分アミノ酸配 をコードする組換えDNAで形質転換またはト ンスフェクトされた宿主細胞が挙げられる さらに宿主動物としてはヒト抗体遺伝子の パートリーを有するトランスジェニック動 に抗原または抗原発現細胞を投与し、所望 ヒト抗体を取得してもよい[Proc. Natl. Acad.  Sci. USA、97巻、722-727頁(2000年)、国際公開WO96/3 3735、WO97/07671、WO97/13852、WO98/37757参照]。その わりに、リンパ球をin vitroで免疫化しても い。宿主動物から得られた血清から、抗原 結合する画分を集め、精製することにより ポリクローナル抗体を取得することができ 。また、ハイブリドーマ細胞を形成するた に、ポリエチレングリコールのような適当 融合試薬を用いて、リンパ球又は脾臓細胞 ミエローマ細胞株と融合させることにより モノクローナル抗体を作製することができ (Goding, Monoclonal Antibodies: Principals and Practi ce、59-103頁、Academic press、1986年)。例えば本 明のモノクローナル抗体は、ハイブリドー 法[Nature、256巻、495頁(1975年)]を用いても、組 換えDNA法(Cabillyら、米国特許第4816567号)を用 ても作製することができる。

 抗原タンパク質はIL-17RBのタンパク質の全 てまたは部分配列をコードするDNAを、大腸菌 や酵母、昆虫細胞、動物細胞等で発現させる ことにより調製することができる。得られた 抗原タンパク質は、アフィニティクロマトグ ラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、 ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマト グラフィー等を単独もしくは組み合わせた方 法により精製し、この精製標品を免疫原とし て用いる。

 また、本発明の抗体は、無傷の抗体であっ もよいし、あるいは(Fab’) 2 やFab等の抗体断片であってもよいし、単鎖抗 体等の組換え抗体であってもよい。

 また、定常領域をヒトの定常領域に置き えたキメラ抗体(例えばマウス-ヒトキメラ 体;Cabillyら、米国特許4816567及びMorrisonら、Pro c. Natl. Acad. Sci. USA、89巻、6851頁 (1984年))、 定常領域および超可変領域(または、Complementa ry-determining region;CDR)を除く全ての可変領域を ヒトの配列に置き換えたヒト化抗体(Carterら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻、4285頁、1992年 びCarterら、BioTechnology、10巻、163頁、1992年) 本発明の抗体に含まれる。

 例えば、IL-17RBの細胞外ドメインと考えら れる領域(例えば配列番号2のアミノ酸1位~282 まで)とヒトIgG1のFc領域を結合させた組換え を免疫原として用いることができる。該組 え体のアミノ酸配列を配列番号4に示す。本 発明で用いる組換え体では、細胞表面上に存 在するFcγ受容体に結合しないよう、3箇所の ミノ酸置換を行なった(配列番号4に示すア ノ酸配列中302位(Leu→Ala)、303位(Leu→Glu)、469 (Val→Asp))。

 また、このようにして得られた本発明の 体に対する抗体、すなわち抗イディオタイ 抗体もまた本発明に含まれる。

 このようにして得られたIL-17RBに対する各 種抗体は、その特徴を生かすことができる様 々な用途に使用可能である。本抗体を蛍光性 物質(ローダミン、フルオレサミン等)で標識 、周知のFACSを用いて目的の、IL-17RBを発現 ている細胞(IL-17RB陽性細胞)、特にIL-17RB陽性N KT細胞を検出・分離することができる。さら 種々の臓器におけるIL-17RB陽性NKT細胞の存在 様式を知ることができる。またビオチンで標 識し、フィコエリスリン等が結合したアビジ ンを用いても同様にIL-17RB陽性NKT細胞を検出 分離することができる。ここで分離とは、 の細胞、特にリンパ球系細胞、具体的にはB 胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、NK 胞、IL-17RB陰性NKT細胞、好中球、好酸球、好 塩基球等の多型核白血球、マスト細胞等の免 疫担当細胞、等からの分離を意味する。

 IL-17RBの検出に関しては、FACSでの検出に どまるものではない。例えばウェスタンブ ッティングにおいて本抗体を1次抗体として 用させることにより検出可能であることが 想されるし、タンパク質レベルでの発現確 を行うことができる。また本抗体を固相(ポ リスチレンビーズ、マイクロタイターウエル 表面、ラテックスビーズ等)に結合して不均 系で、あるいは均一系で、免疫学的反応を って検出、定量(蛍光抗体法、ELISA、ラジオ ムノアッセイ等の方法を使用)することがで る。この場合、免疫学的反応は競合反応で ってもよいし非競合反応であってもよい。 た2つ以上の抗体(モノクローンまたはポリ ローン)を用いるサンドイッチ法による反応 使用できる。上記における検出、定量のた には、当業界で公知のいずれの免疫学的手 も用いることができる。

 IL-17RB陽性NKT細胞においてIL-17RBリガンドの 激により活性化されTh2細胞様の機能が誘導 れるようになることは、本発明において得 れた知見である。
 本発明において、IL-17RB陽性細胞としては、 活性化Th2細胞、活性化好酸球等が挙げられる 。また、定常状態では、IL-17RB陽性細胞とし 、好ましくはIL-17RB陽性NKT細胞が挙げられる IL-17RB陽性NKT細胞は、NKT細胞の中でも特にCD4 陽性のNKT細胞に見られ、CD4陽性のNKT細胞のう ち約1/3を占める。脾臓や胸腺、肺に多く見ら れる。ここで、「定常状態」とは、生体が健 康な状態、特に喘息や潰瘍性大腸炎等のアレ ルギー疾患を有さない状態を示す。

 本発明は、IL-17RB陽性NKT細胞、特にリガンド 刺激により活性化されたIL-17RB陽性NKT細胞のTh 2細胞様の機能を測定することを含む、アレ ギー性気道炎症及び/又は気道過敏症の治療 のスクリーニング方法を提供する。アレル ー性気道炎症とは、アレルギーの原因(例、 ダニやハウスダスト等の環境性抗原)を吸い んで気管支粘膜で免疫反応が起こり、ヒス ミン、ロイコトリエン、化学伝達物質が遊 され、マスト細胞、好酸球、好中球、リン 球によるアレルギー性炎症反応が誘発され 生じる気道の炎症であり、喘息発作を伴う 合がある。気道過敏症では、非特異的な種 の刺激に反応して気管が収縮し、喘息発作 伴う。わずかな刺激でも気管が過剰に反応 、冷たい空気を吸ったり、急に走ったりす だけでも喘息発作が起こる場合がある。
 本発明において「Th2細胞様の機能」とは、 性免疫を制御するIL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13 等のサイトカインを産生し、B細胞の抗体産 を促進するヘルパーT細胞2型(Th2細胞)と同等 機能を意味する。具体的には、活性化したI L-17RB陽性NKT細胞がIL-4、IL-5、IL-13、TARC/CCL17、M DC/CCL22等のサイトカイン・ケモカインを産生 る能力、産生された種々のサイトカイン・ モカインが発揮し得る種々の作用を意味す 。
 さらに、リガンド刺激により活性化されたI L-17RB陽性NKT細胞は、好酸球走化因子(ECF-L)を 生し、IL-5産生性の好酸球を局所に呼び寄せ 機能を有する。
 IL-4(インターロイキン-4)は、活性化されたCD 4陽性T細胞(Th2細胞)、CD8陽性T細胞、マスト細 (肥満細胞)、好塩基球、NKT細胞から産生さ るサイトカインの1種であり、Th2細胞の増殖 分化を促進し、活性化されたB細胞に作用し てIgMから、IgG1、IgEへのクラススイッチを促 させ、IgG1抗体、IgE抗体の産生を促進する。 た、マクロファージの活性化を抑制し、NO プロスタグランジン(PGE 2 )、IFN-γの産生を抑制することが知られてい 。
 IL-5(インターロイキン-5)は、主として活性 T細胞および肥満細胞より産生され、B細胞や 好酸球の活性化、増殖・分化に重要な役割を 演じるサイトカインである。また、IL-2共存 の細胞傷害性T細胞の生成促進や好塩基球の スタミン遊離の増強作用も明らかになって る。アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性 膚炎のようなアレルギー疾患とIL-5の関連を 示唆する報告が多い。
 IL-13(インターロイキン-13)は、喘息のエフェ クター分子として作用し、例えば無感作動物 にIL-13を投与するだけで気道過敏性、好酸球 炎症,粘膜異形成といったアレルギー性喘息 に特徴的な症状を発現することが報告されて いる。
 TARC/CCL17及びMDC/CCL22は、ともにCCR4の特異的 ガンドであり、Th2細胞に発現しているケモ インである。
 従ってIL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能の 測定としては、リガンド刺激依存性のTh2サイ トカイン・ケモカイン(IL-4、IL-5、IL-13、TARC/CC L17、MDC/CCL22等)を産生する能力の測定、リガ ド刺激依存性の気道抵抗の上昇の有無の測 (in vivoでの測定)、これに付随して肺胞洗浄 中に含まれる免疫担当細胞、特に好酸球の の測定、等が挙げられる。詳細な測定方法 測定手順については後述する。

 本スクリーニング方法で用いるIL-17RB陽性 NKT細胞は、NKT細胞を含有する細胞集団から上 記した本発明の抗体を用いてIL-17RBを発現し いるNKT細胞を検出・分離して得ることがで る。NKT細胞は、その存在割合は少ないが免 系で制御的な役割を担っているリンパ球の 種である。NKT細胞はT細胞レセプター(TCR)とNK レセプターの2つの抗原レセプターを有する NKT細胞の由来は特に限定されず、ヒトを含 霊長類、げっ歯類、ウサギ、ネコ、イヌ、 マ、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びブタ等の哺乳 物の臍帯血、末梢血、肺、骨髄、脾臓、リ パ節、胸腺等から回収することができる。 明細書で用いる「霊長類」という用語は、 ル、類人猿、及びヒトが含まれるがこれら 限定されない、哺乳類の群に属する、任意 動物を意味する。具体的には末梢血や肺、 臓、胸腺のホモジネートから回収される単 胞の懸濁液を、NKT細胞に高度に保持されたTC Rに認識され得る、CD1d分子と結合したα-ガラ トシルセラミド(α-GalCer若しくはα-GC)のよう な抗原糖脂質を用いてFACS解析することによ て選別、回収し、次いで上記したIL-17RBに対 る抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を いてIL-17RBを発現しているNKT細胞のみを選別 回収する。あるいは、IL-17RBが定常状態にあ るNKT細胞の一部に特異的に発現していること から、末梢血や肺、脾臓、胸腺のホモジネー トから回収される単細胞の懸濁液、好ましく は脾臓由来の白血球から直接IL-17RBに対する 体(好ましくはモノクローナル抗体)を用いて IL-17RB陽性のNKT細胞を選別、回収することも きる。

 本発明のアレルギー性気道炎症及び/又は気 道過敏症の治療薬のスクリーニング方法の一 態様(態様1)を以下に示す。
態様1
(工程1)IL-17RB陽性NKT細胞にIL-17RBのリガンドの 在下、試験化合物を接触させる工程。
 本工程で用いるIL-17RB陽性NKT細胞としては、 上記したIL-17RBに対する抗体(好ましくはモノ ローナル抗体)で検出・分離した細胞が挙げ られる。該NKT細胞は好ましくはAPCで活性化さ れているか、活性化される条件下で用いられ る。具体的にはAPCの共存下で本工程を実施す る。本工程で用いるリガンドとしては、IL-17R B陽性NKT細胞に作用してTh2細胞様の機能を誘 する、すなわちTh2サイトカインやケモカイ を産生させるような物質であれば特に限定 れないが、IL-17RBのリガンドとして知られて るIL-17E/IL-25を用いることが好ましい。使用 るリガンドの濃度は、IL-17RB陽性NKT細胞の増 殖に不利に作用することのない、好ましくは 増殖を促し、Th2サイトカインやケモカインを 産生させることが可能な範囲で適宜設定され るが、反応系の媒体となる培養液や緩衝液中 、通常0.1~10ng/ml、好ましくは1ng/ml程度である ここで、当該リガンドは、リガンドがIL-17RB 陽性NKT細胞に作用してTh2サイトカインやケモ カインを産生させるような状態で反応系に存 在する限り、試験化合物とIL-17RB陽性NKT細胞 の接触の前に反応系に添加されていても、 触の後に反応系に添加されていても、ある は接触と同時に反応系に添加されるもので ってもよい。
 本明細書において「試験化合物」とは、IL-1 7RB陽性NKT細胞に作用してその機能を阻害ある いは除去することができるか否かを調べる目 的で選択あるいは合成された化合物であり、 新規な化合物以外に、既に別の作用を有する ことが報告されている既知化合物をも包含す る。また組成物として用いてもよい。例えば 、核酸(例、ヌクレオシド、オリゴヌクレオ ド、ポリヌクレオチド)、糖質(例、単糖、二 糖、オリゴ糖、多糖)、脂質(例、飽和又は不 和の直鎖、分岐鎖及び/又は環を含む脂肪酸 )、アミノ酸、タンパク質(例、オリゴペプチ 、ポリペプチド)、有機低分子化合物、コン ビナトリアルケミストリー技術を用いて作製 された化合物ライブラリ、固相合成やファー ジディスプレイ法により作製されたランダム ペプチドライブラリ、天然成分(例、微生物 動植物、海洋生物等由来の成分)、あるいは 品、飲料水等が挙げられる。本発明のスク ーニング方法によりIL-17RB陽性NKT細胞の機能 を阻害あるいは除去する作用があると認めら れた化合物は、上述の如くアレルギー性気道 炎症や気道過敏症への適用が期待される。
 IL-17RB陽性NKT細胞の試験化合物との接触は、 該試験化合物が、活性化されたIL-17RB陽性NKT 胞が有するTh2サイトカイン・ケモカイン産 能に影響を及ぼすか否かを判定できる限り その方法は特に限定されないが、簡便にはIL -17RB陽性NKT細胞及びその活性化物質(例えばリ ガンドや抗原提示細胞)を含有する細胞懸濁 等の反応系中、リガンドの存在下に所定の で添加することによって実施される。試験 合物の添加量は、細胞の状況に応じて適宜 定されるが、通常、希釈系列を設定するこ が好ましい。接触に要する時間も、所望の 果が得られる範囲で適宜設定することがで る。通常、24~120時間、好ましくは48~72時間程 度である。

(工程2)試験化合物を接触させたIL-17RB陽性NKT 胞と試験化合物を接触させていないIL-17RB陽 NKT細胞との、そのTh2細胞様の機能を測定し 較する工程。
 IL-17RB陽性NKT細胞は、抗原提示細胞(APC)等に って活性化されていることが好ましい。か るIL-17RB陽性NKT細胞をIL-17RBのリガンド(例え IL-17E/IL-25)で刺激することによって、Th2細胞 様の機能が誘導される。Th2細胞様の機能とし ては具体的にはTh2サイトカイン・ケモカイン の産生能が挙げられる。Th2サイトカイン・ケ モカインとしては上述の如き、IL-13、IL-4、TAR C/CCL17、MDC/CCL22等が挙げられる。これらサイ カイン・ケモカインの産生能は、通常、当 野で実施される方法、例えば各サイトカイ ・ケモカインに対する抗体を用いたウェス ンブロットやELISA法、プローブを用いたノザ ンブロットやプライマーを用いた定量PCR等に よって測定することができる。各種抗体やプ ローブ、プライマーは、各サイトカイン・ケ モカインのアミノ酸配列や遺伝子配列、ある いは精製方法等の既知の情報に基づいて適宜 調製することができるか、商業的に入手可能 なものである。

(工程3)有意にTh2細胞様の機能を抑制した試験 化合物をアレルギー性気道炎症及び/又は気 過敏症の治療薬として選抜する工程。
 工程2同様、Th2細胞様の機能としてはTh2サイ トカイン・ケモカインの産生能が挙げられる 。IL-17RB陽性NKT細胞が産生するTh2サイトカイ ・ケモカインは、気道過敏症あるいは喘息 増悪に中心的な役割を担っているものと考 られ、従って、上記工程2で得られた情報に づいて選抜された、有意にTh2細胞様の機能 抑制した、特にTh2サイトカイン・ケモカイ 産生を抑制した試験化合物は、アレルギー 気道炎症及び/又は気道過敏症の治療薬の候 補となり得る。効果の有意性は、通常、当分 野で実施している統計学的処理に基づいて有 意差検定を行なうことにより決定することが できる。

 さらに、本発明が提供するスクリーニング 法の別態様(態様2)を以下に示す。
態様2
(工程1)IL-17RB陽性NKT細胞を有するヒト以外の 乳動物にIL-17RBのリガンドの存在下、試験化 物を投与する工程(工程1)。
 本工程で用いる、IL-17RB陽性NKT細胞を有する ヒト以外の哺乳動物としては、IL-17RBのリガ ド刺激依存性のTh2サイトカイン・ケモカイ の産生や、気道抵抗の上昇等の作用が認め れるヒト以外の哺乳動物であれば特に限定 れず、ヒト以外の霊長類、げっ歯類、ウサ 、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ びブタ等の哺乳動物が挙げられる。それら 中でも特にTh2優位であることが望ましい。 えばマウスであれば、Th1優位として知られ C57BL/6やC3H/HeN系統よりは、Th2優位として知ら れるBalb/cやDBA/2cr系統のマウスが好ましく用 られる(実施例4参照)。IL-17RBのリガンド及び 験化合物としては、上記した本発明のスク ーニング方法の態様1で用いられるものと同 様なものが挙げられる。
 IL-17RBのリガンドの投与量は、ヒト以外の哺 乳動物の体内に存在するIL-17RB陽性NKT細胞(好 しくは活性化された状態)に対して、リガン ド刺激依存的にTh2細胞様の機能を誘導する、 すなわち、Th2サイトカイン・ケモカイン(IL-13 、IL-4、TARC/CCL17、MDC/CCL22等)を産生させる、及 び/又は気道収縮物質(メタコリン等)刺激によ る気道抵抗の上昇をもたらすような量であれ ば特に限定されないが、通常体重1kgあたり1~1 00mg、好ましくは1~10mg程度である。上記したIL -17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能が誘導され 該機能への試験化合物の影響が測定できれ 、試験化合物及びリガンドを、ヒト以外の 乳動物へ投与する順序は、特に制限されず 試験化合物の投与はリガンドの投与前であ ても、リガンド投与後であっても構わない また、アレルギー性気道炎症及び/又は気道 過敏症の治療薬、特に喘息の治療薬として所 望される作用点に応じて、適宜投与するタイ ミングが検討され得る。

(工程2)試験化合物を投与した哺乳動物と、試 験化合物を投与していない哺乳動物との、そ のTh2細胞様の機能を測定し、その結果を比較 する工程。
 本工程において「Th2細胞様の機能」として 、上記本発明のスクリーニング方法の態様1 で述べたものと同様なものが挙げられる。具 体的にはリガンド刺激依存性のTh2サイトカイ ン・ケモカイン(IL-4、IL-5、IL-13、TARC/CCL17、MDC /CCL22等)を産生する能力の測定、リガンド刺 依存性の気道抵抗の上昇の有無の測定、こ に付随して肺胞洗浄液中に含まれる免疫担 細胞(特に好酸球)の数の測定等が挙げられる 。リガンド刺激依存性のTh2サイトカイン・ケ モカインを産生する能力の測定は、上記本発 明のスクリーニング方法の態様1で述べたも と同様な方法によって実施される。リガン 刺激依存性の気道抵抗の上昇の有無は、卵 アルブミン(OVA)誘導性の気道炎症モデル(喘 モデル)を用いて測定することができる。OVA 用いた気道炎症モデルは、OVA-alumで免疫後 OVAを吸入させて気道炎症を起こすものであ 。本発明では、このモデルを用いてIL-17RB陽 NKT細胞のTh2細胞様機能を測定することを目 とするのでIL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様機能 の誘導にはIL-17RBのリガンドを用いる。該誘 により気管支周囲や血管周囲に好酸球性の 潤が認められる。メタコリン等により気道 縮を起こしたときに非常に強く反応し、気 抵抗が上昇する。IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞 の機能はこの気道抵抗の上昇の程度に基づ て測定される。試験化合物がこの気道抵抗 上昇を抑制するか否かを測定することによ て、試験化合物のアレルギー性気道炎症及 /又は気道過敏症の治療薬としての有用性を 確認することができる。肺胞洗浄液中に含ま れる免疫担当細胞(特に好酸球)の数の測定は 通常臨床試験の分野で実施されている方法 用いて行なうことができる。例えば好酸球 ギムザ染色法により鑑別可能であり、肺胞 浄液中の好酸球の数を測定し得る。あるい 好酸球特異的表面分子であるCCR3に注目し、 CCR3陽性の細胞を数えることで測定しうる。 験化合物が、例えば肺胞洗浄液中の好酸球 の増加を抑制するか否かを測定することに って、試験化合物のアレルギー性気道炎症 び/又は気道過敏症の治療薬としての有用性 確認することができる。

(工程3)有意にTh2細胞様の機能を抑制した試験 化合物をアレルギー性気道炎症及び/又は気 過敏症の治療薬として選抜する工程。
 本工程は、上記本発明のスクリーニング方 の態様1の工程3と同様にして実施すること できる。

 本発明のスクリーニング方法では、好まし は、陽性の対照化合物を用いることができ 。陽性の対照化合物とは、IL-17RB陽性NKT細胞 のTh2細胞様の機能、すなわちリガンドでの刺 激によりTh2サイトカインやケモカインを産生 する能力を抑制することがあらかじめわかっ ている化合物である。具体的には、IL-17RBに するアンタゴニスティック抗体並びに低分 阻害剤、IL-17E/IL-25に対する抗体あるいはIL-17 RBの可溶型分子等が挙げられる。
 IL-17RBに対するアンタゴニスティック抗体は 、ターゲット抗原であるIL-17RBに対してアン ゴニスティックに作用し、また、IL-17RBとそ リガンドとの結合を阻害することによって IL-17E/IL-25に対する抗体は、IL-17RBとそのリガ ンドとの結合を阻害することによって、IL-17R B陽性NKT細胞の機能を阻害あるいは除去する IL-17RBに対する低分子阻害剤としては、IL-17RB とそのリガンドとの相互作用を調節してIL-17R B陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害あるい 除去できる低分子物質やIL-17RBとそのリガン に関わる細胞内シグナル経路を調節してIL-1 7RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害あるい は除去できる低分子物質が挙げられる。さら にはIL-17RBの可溶化型分子(すなわち、細胞外 域に相当する分子)は、競合的にリガンドと 結合することによって、IL-17RB陽性NKT細胞の 能を阻害あるいは除去する。陽性の対照化 物の使用濃度は、IL-17RB陽性NKT細胞の機能を 害あるいは除去する作用が確認される濃度 あれば特に限定されず、用いる化合物の種 によっても異なるが、例えばIL-17RBに対する アンタゴニスティック抗体を用いる場合であ れば、通常体重1kgあたり1~100mg、好ましくは1~ 10mg程度である。
 IL-17RBに対するアンタゴニスティック抗体並 びに低分子阻害剤、IL-17E/IL-25に対する抗体及 びIL-17RBの可溶型分子としては、それぞれ、 述のアレルギー性気道炎症及び/又は気道過 症の治療薬に含められる、IL-17RB陽性NKT細胞 のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し得る物質 と同様なものが用いられる。

 本発明は、また、IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細 胞様の機能を阻害又は除去する物質を有効成 分として含有するアレルギー性気道炎症及び /又は気道過敏症の治療薬を提供する。IL-17RB 性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去 る物質としては、例えばIL-17RBに対するアン タゴニスティック抗体並びに低分子阻害剤、 IL-17E/IL-25に対する抗体及びIL-17RBの可溶型分 等が挙げられる。さらにNKT細胞においてIL-17 RBが発現するのを阻害する様な物質、例えば ンチセンス核酸(例、DNA、RNA、又は修飾ヌク レオチド、あるいはそれらのキメラ分子)、 ボザイム、RNAi誘導性核酸(細胞内に導入され ることによりRNAi効果を誘導し得るポリヌク オチド、好ましくはRNA:例、siRNA)、アプタマ 、並びにこれらをコードする核酸を含む発 ベクターが挙げられる。

 IL-17RBに対するアンタゴニスティック抗体と しては、上記したIL-17RB陽性NKT細胞を検出・ 離するのに用いられる抗体のうち、IL-17RBに してアンタゴニスティックに作用する抗体 挙げられる。作用の確認はリガンド刺激に って誘導されるIL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様 の機能に対する影響を調べることによって行 なうことができる。低分子阻害剤は、IL-17RB 制発現細胞(例えばIL-17RB強制発現293T細胞)を いたり可溶化型組換え体への結合性を測定 たりすることによってスクリーニングされ ものを用いることができる。本発明におい 用いられるIL-17E/IL-25に対する抗体について IL-17RBに対する抗体と同様、周知の免疫学的 手法により、そのポリクローナル抗体、モノ クローナル抗体として調製することができる 。又、抗体のフラグメント(例、Fab、F(ab’) 2 )、組換え抗体(例、単鎖抗体)であってもよい 。IL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害 は除去し得る物質としてIL-17RB可溶化型分子 用いることができる。IL-17RB可溶化型分子と は、IL-17RBの細胞外領域を含む部分アミノ酸 列を含むタンパク質分子であり、具体的に 配列番号2中1位~282位のアミノ酸配列を有す 。

 活性成分であるIL-17RB陽性NKT細胞のTh2細胞 様の機能を阻害又は除去し得る物質が、核酸 分子又はタンパク質分子である場合、本発明 の治療薬は、核酸分子又はタンパク質分子を コードする核酸分子を含む発現ベクターを有 効成分とすることもできる。当該発現ベクタ ーは、上記の核酸分子をコードするオリゴヌ クレオチドもしくはポリヌクレオチドが、投 与対象である哺乳動物の細胞内でプロモータ ー活性を発揮し得るプロモーターに機能的に 連結されていなければならない。本発明の発 現ベクターが含み得るプロモーターは、その 制御下にある因子の発現を可能とする限り特 に限定されず、因子の種類により適宜選択さ れ得るが、例えば、polIIIプロモーター(例、tR NAプロモーター、U6プロモーター、H1プロモー ター)、哺乳動物用プロモーター(例、CMVプロ ーター、CAGプロモーター、SV40プロモーター )が挙げられる。また、使用されるプロモー ーとしては、リンパ球に特異的なプロモー ー(例、lckプロモーター、Pmed1プロモーター) 用いてもよい。

 発現ベクターは、好ましくは核酸分子を ードするオリゴ(ポリ)ヌクレオチドの下流 転写終結シグナル、すなわちターミネータ 領域を含む。さらに、形質転換細胞選択の めの選択マーカー遺伝子(テトラサイクリン アンピシリン、カナマイシン、ハイグロマ シン、ホスフィノスリシン等の薬剤に対す 抵抗性を付与する遺伝子、栄養要求性変異 相補する遺伝子等)をさらに含むこともでき る。

 発現ベクターとして使用される基本骨格 ベクターは、プラスミド又はウイルスベク ーであり得るが、ヒト等の哺乳動物への投 に好適なベクターとしては、アデノウイル 、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、 ルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポ クスウイルス、ポリオウイルス、シンドビ ウイルス、センダイウイルス等のウイルス クターが挙げられる。

 本発明の治療薬は、IL-17RB陽性NKT細胞のTh2 細胞様の機能を阻害又は除去し得る物質に加 え、任意の担体、例えば医薬上許容され得る 担体を含むことができる。医薬上許容され得 る担体としては、例えば、ショ糖、デンプン 、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコー ス、セルロース、タルク、リン酸カルシウム 、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、 メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル ロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン 、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、 ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カ ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロ ピルスターチ、ナトリウム-グリコール-スタ チ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウ 、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステア ン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、 ウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸 メントール、グリシルリシン・アンモニウ 塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安 香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、 チルパラベン、プロピルパラベン等の保存 、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等 安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピ リドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸 剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩 、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂 ポリエチレングリコール、白灯油等のベー ワックス等が挙げられるが、それらに限定 れるものではない。

 経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩 のような希釈液に有効量の物質を溶解させ 液剤、有効量の物質を固体や顆粒として含 でいるカプセル剤、サッシェ剤又は錠剤、 当な分散媒中に有効量の物質を懸濁させた 濁液剤、有効量の物質を溶解させた溶液を 当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤、 るいは散剤、顆粒剤等である。

 非経口的な投与(例、静脈内注射、皮下注 射、筋肉注射、局所注入等)に好適な製剤と ては、水性および非水性の等張な無菌の注 液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、 菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。 た、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘 、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよ 。当該製剤は、アンプルやバイアルのよう 単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器 封入することができる。また、有効成分お び医薬上許容され得る担体を凍結乾燥し、 用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解又は 濁すればよい状態で保存することもできる

 本発明の治療薬の活性成分であるIL-17RB陽 性NKT細胞のTh2細胞様の機能を阻害又は除去し 得る物質の投与法および投与剤型は特に制限 されないが、静脈、動脈内投与、筋内投与、 経口投与、座剤投与等であり、薬学的に許容 可能な賦形剤や希釈剤と組み合わせて経口用 または非経口用に処方することができる。投 与は1日あたり1回かまたは数回に分けて行い 投与量は患者の重篤度、年齢、性別、体重 の条件に応じて決定され、副作用を併発し い範囲である。

 以下、実施例にそって本発明をさらに詳 に説明するが、これら実施例は本発明の範 を何ら限定するものではない。また、本発 において使用する試薬や装置、材料は特に 及されない限り、商業的に入手可能である

実施例1:IL-17RBの同定
 理研RCAIより報告された各種免疫担当細胞の DNAマイクロアレイの結果(Bioinformatics、in press 、2007年)をリファレンスデータベースとして NKT細胞に優位に発現する遺伝子の抽出を行 た。その結果、IL-17RB(NM_019583、1420789_at)がNKT 細胞において他の免疫担当細胞よりも遺伝子 発現レベルが高いことが明らかとなった。IL- 17RBの推定open reading frame構造を配列番号1に 推定されるアミノ酸配列を配列番号2に示す

 本膜分子の推定アミノ酸配列の一次構造 ついてKyteとDoolittleの方法(J. Exp. Med.、157巻 、105-132頁、1982年)に従い、ハイドロパシープ ロット解析を行なった(図1)。その結果、IL-17R BはN末端にシグナル配列を有するI型の細胞膜 貫通タンパク質であることが明らかとなった 。IL-17RBは499アミノ酸残基からなり、ハイド パシープロット解析結果から17アミノ酸残基 のシグナル配列、265アミノ酸残基の細胞外領 域、23アミノ酸残基の膜貫通領域、194アミノ 残基の細胞内領域を有していると予想され 。さらにホモロジー検索並びにモチーフ検 の結果から細胞外領域は4ヶ所のアスパラギ ン結合型糖鎖付加部位、10個のシステイン残 を有することが明らかとなったが、予想さ る立体構造は未知であった。さらに、IL-17RB は細胞内領域にSEFIRドメイン(329-476)を有する とが明らかとなり、このドメインを介して ダプター分子と会合していることが予想さ 、この会合したアダプター分子を介してシ ナルを伝達することが予想された。

実施例2:IL-17RBの可溶化型組換え体(可溶化型IL -17RB-Ig)の作製
 ハイドロパシープロット解析(図1)の結果か 、細胞外ドメインと考えられる領域とヒトI gG1のFc領域を結合させた組換え体を作製した なおヒトIgG1のFc領域は各種細胞表面上に存 するFcγ受容体への結合を防ぐために3ヶ所 アミノ酸置換を行った。具体的には細胞外 域としてIL-17RBの配列番号1のアミノ酸282位ま でを選択した。この可溶化型組換え体をコー ドするDNA配列を配列番号3に、アミノ酸配列 配列番号4に示す。Fc領域でアミノ酸置換を った部位は配列番号4に示す302位(Leu→Ala)、30 3位(Leu→Glu)、469位(Val→Asp)に相当する。この 伝子をpIRES2-EGFPベクター(Clontech社製)に導入 、CMVプロモーター制御下293T細胞で一過性に 発現させ、得られた培養上清からFc領域に結 性を有するプロテインAを結合させた樹脂を 用いたアフィニティクロマトグラフィーによ り発現産物(IL-17RB可溶化型組換え体)を精製し た(図2)。

実施例3:IL-17RBに対する特異的モノクローナル 抗体の樹立
 実施例2に記載のIL-17RB可溶化型組換え体を ットに免疫後、ラットミエローマ細胞株P3U1 細胞融合することにより特異的モノクロー ル抗体産生ハイブリドーマを得た。スクリ ニングは実施例2に記載の組換え体を固相化 しELISA法により反応性を有するクローンを選 するとともに、IL-17RB全長を強制的に発現さ せた293T細胞に対する反応性をフローサイト ーターで解析することで特異的モノクロー ル抗体を選抜した。得られたモノクローナ 抗体産生ハイブリドーマ(B5F6C11、3H8E9)の培養 上清とIL-17RB全長強制発現株への反応性を確 した結果を図3に示す。

実施例4:マウス脾細胞へのモノクローナル抗 の反応性の検索
 実施例3に記載の技術により樹立されたモノ クローナル抗体を用いてIL-17RBの発現の局在 確認した。該モノクローナル抗体をビオチ 化した後Balb/cマウス脾臓由来白血球に作用 せ、フィコエリスリン結合アビジンを反応 せることによりIL-17RBの発現細胞を確認した 未刺激の細胞ではα-GalCer/CD1d dimer陽性のイ バリアントNKT細胞の一部が反応性を有する とが確認された(図4)。一方、B細胞、T細胞 樹状細胞、NK細胞等の免疫担当細胞において はIL-17RBの発現は確認できなかった(図4)。さ に種々の系統マウスにおけるインバリアン NKT細胞のIL-17RBの発現について確認したとこ 、Th2優位マウスとして知られるBalb/cやDBA/2cr においては発現が見られるものの、Th1優位マ ウスとして知られるC57BL/6やC3H/HeNにおいては ほとんど発現が見られなかった(図5)。次にB alb/cマウスにおけるIL-17RB陽性のNKT細胞の種々 の臓器における存在様式を確認した。各臓器 から細胞懸濁液を調製し、実施例3で得られ モノクローナル抗体を用いてα-GalCer/CD1d dime r陽性のNKT細胞のうち、IL-17RB陽性のNKT細胞を 出した。その結果、確認した臓器のうち肺 おいて非常に多く存在し、また、脾臓、胸 には存在するが、肝臓においては存在しな ことが明らかとなった(図6)。

実施例5:IL-17RB陽性NKT細胞の表面抗原解析
 NKT細胞はCD4をマーカーとして、機能的に異 る2つのサブセット(CD4陽性とDN)に分けられ との報告(J.Exp.Med.、202巻、1279-1288頁、2005年) 基づいて、IL-17RBのNKT細胞における表面抗原 の発現様式を実施例3に記載のモノクローナ 抗体、及び各表面抗原の抗体を用いてFACS解 により調べた。その結果、IL-17RBは主にCD4陽 性のNKT細胞に発現し、そのCD4陽性のNKT細胞の うち約1/3がIL-17RB陽性であることが明らかと った(図7)。すなわちNKT細胞は(A)CD4陰性IL-17RB 性(DN)、(B)CD4陽性IL-17RB陰性、(C)CD4陽性IL-17RB 性の3つのサブセットに分けられることが示 された。次に(A)、(B)、(C)3つのサブセットに いて、発現する表面抗原の解析を行った(図8 )。その結果、(C)においては(A)、(B)に比してCD 69、CD122の発現が低いこと、キラーレセプタ NKG2D陰性であること、CD62L陰性であること等 知見が得られた。
 CD4発現にはパシフィックブルー標識抗マウ CD4抗体(RM4-5、BD Biosciences社製)を用いた。CD6 9発現にはフィコエリスリン標識抗マウスCD69 体(H1.2F3、BD Biosciences社製)を用いた。CD122発 現にはフィコエリスリン標識抗マウスCD122抗 (TM-β1、BD Biosciences社製)を用いた。NKG2D発現 にはフィコエリスリン標識抗マウスNKG2D抗体( C7、eBioscience社製)を用いた。CD62Lの発現には ィコエリスリン標識抗マウスCD62L抗体(BVD6-24G 2、eBioscience社製)を用いた。

実施例6:IL-17RB陽性NKT細胞の遺伝子発現解析
 実施例5で同定されたNKT細胞の3つのサブセ トについて、mRNAを調製し、定量PCR法による 対的遺伝子発現レベルを確認した(図9)。mRNA の調製や定量PCRについては、通常、当分野で 行われている方法を用いて実施した。具体的 には、Platinum SYBR Green定量PCR(Invitrogen社製)を 用い、プライマーは表1に記す組み合わせを いた。その結果、(C)においては、Th1細胞を 定する遺伝子群の発現は(A)、(B)に比べて相 的に低いこと、Th2細胞を規定する遺伝子群 発現は(A)、(B)に比べて同程度若しくは相対 に高いことが明らかとなった。また細胞障 活性に関わる遺伝子群は(A)のみで発現が見 れることが明らかとなった。さらに、ケモ インレセプターCCR4の発現が(C)において、(A) (B)に比して高いことが明らかとなった。実 例5及び実施例6の結果を併せて考えると、IL -17RB陽性NKT細胞はTh2細胞と表現型が非常に良 似ていることが明らかとなった。
 検出の対象となったTh1細胞を規定する遺伝 及びTh2細胞を規定する遺伝子、細胞障害活 に関わる遺伝子、ならびにケモカイン・ケ カインレセプター遺伝子を、その検出の為 プライマー情報とともに表1にまとめる。尚 、各遺伝子の発現はHPRT遺伝子の発現で標準 した。

実施例7:IL-17RB陽性NKT細胞のin vitroでの機能評 価(1)
 IL-17RBに対するリガンドとしてIL-17E/IL-25が知 られている(J.Biol.Chem.、276巻、1660-1664頁、2001 )。そこで、実施例5に記した(A)、(B)、(C)3つ サブセットについて、IL-17E/IL-25に対する反 性を確認した。その結果、(C)のみでIL-17E/IL- 25依存的な細胞増殖活性が見られた(図10)。細 胞増殖は 3 Hの取込によって測定した。さらに、IL-17E/IL-2 5依存的な反応は(C)から大量のIL-13、IL-4、TARC/ CCL17、MDC/CCL22といったTh2サイトカイン・ケモ インの産生をもたらすことが明らかとなっ (図11)。IFN-γ、IL-5、IL-2、IL-10、IL-4及びIL-13 ついては、各サイトカイン・ケモカインの 体を用いたELISA法で、TARC/CCL17及びMDC/CCL22に いては、各ケモカイン遺伝子に対するプラ マーを用いた定量PCR法により測定した。各 ライマーの組み合わせを上記表1に示す。尚 量PCR法ではHPRT遺伝子の発現で標準化した。 この結果はIL-17RB陽性NKT細胞がIL-17E/IL-25依存 に増殖し、Th2サイトカイン・ケモカインの 生能を有することを示すものである。

実施例8:IL-17RB陽性NKT細胞のin vivoでの機能評
 実施例7に記載するようにIL-17RB陽性NKT細胞 、アレルギー性気道炎症や気道過敏症の発 に重要となるサイトカイン、特にIL-13を産生 することから、喘息モデルにおける該細胞の 役割を明らかとした。Balb/cマウスあるいは本 発明者らによって樹立されたNKT細胞欠損マウ ス(Jα18欠損マウス(Balb/cバックグラウンド)(Sci ence、278巻、1623-1626頁、1997年)をOVA/Alumを皮下 疫後IL-17E/IL-25あるいはPBS(コントロール)を 注し、再度OVAを経鼻投与して、メタコリン 激で誘導した気道抵抗を測定した。その結 、Balb/cマウスにおいてはIL-17E/IL-25依存的に 道抵抗値の上昇が見られるのに対して、NKT 胞欠損マウスにおいてはIL-17E/IL-25投与によ 気道抵抗値の上昇が見られなかった(図12)。 らに気道抵抗値と相関するように、血中のI L-13濃度はIL-17E/IL-25処理したBalb/cマウスでは 昇が見られるものの、NKT細胞欠損マウスで ほとんど上昇が見られなかった(図13)。

実施例9:IL-17RB発現細胞の解析
 実施例3に記載の技術により樹立されたマウ スIL-17RB特異的モノクローナル抗体を用いて 脾臓細胞と肺の単核球におけるIL-17RBの発現 式について、詳細に解析を行なった。これ でIL-17RBは腸管膜リンパ節(MLN)のc-kit陽性非B T細胞(c-kit + NBNT細胞)に発現が見られるという報告(Fallon,  P.G., S.J. Ballantyne, N.E. Mangan, J.L. Barlow, A.  Dasvarma, D.R. Hewett, A. McIlgorm, H.E. Jolin, and  A.N. McKenzie 2006. Identification of an interleukin  (IL)-25-dependent cell population that provides IL-4,  IL-5, and IL-13 at the onset of helminth expulsion. J. Exp. Med. 203:1105-1116)があることから、本 胞について、本発明の抗体を用いてその染 性を確認したところ、約20%の細胞が陽性で ることが確認できた(図14a)。そこで本抗体を 用いて、脾臓細胞と肺の単核球の各サブセッ トについて発現を確認した。実施例3に記載 モノクローナル抗体、及び各サブセットに 有の各表面抗原の抗体を用いてFACS解析によ 調べた。結果、脾臓細胞(図14b)及び肺単核 (図14c)のいずれにおいてもCD1d拘束性のNKT細 の一部でのみ発現が確認され、IL-17RBの発現 局在が明らかとなった。

実施例10:IL-17RB陽性NKT細胞の遺伝子発現解析
 実施例5でNKT細胞は(A)CD4陰性IL-17RB陰性(DN)、( B)CD4陽性IL-17RB陰性、及び(C)CD4陽性IL-17RB陽性 3つのサブセットに分けられることが示され 。これらNKT細胞の3つのサブセットについて 、mRNAを調製し、定量PCR法による相対的遺伝 発現レベルをさらに確認した。T細胞の新し サブセットとして認知されたIL-17産生性ヘ パーT細胞(Th17)は、転写因子RORγtをマスター 伝子としている。そこで、IL-17(IL-17A)とRORγt のmRNAを定量PCRにて確認したところ、(A)にお て(B)(C)よりも有意に高いことが明らかとな た。この結果は(C)が既に報告のあるIL-17産生 性NKT細胞(Michel, M.L., A.C. Keller, C. Paget, M.  Fujio, F. Trottein, P.B. Savage, C.H. Wong, E. Schne ider, M. Dy, and M.C. Leite-de-Moraes. 2007. Identifi cation of an IL-17-producing NK1.1(neg) iNKT cell pop ulation involved in airway neutrophilia. J. Exp. Med.  204:995-1001.)とは異なる細胞群であることを しており、IL-17RB陽性NKT細胞が新しく同定さ た細胞集団であることを強く示唆するもの ある(図15)。
 本実施例において定量PCRは、実施例6と同様 の手順で行った。検出の対象となったTh17細 を規定する遺伝子のプライマー情報を表1に した。

実施例11:IL-17RB陽性NKT細胞のin vitroでの機能 価(2)
 実施例10に記した(A)、(B)、(C)3つのサブセッ について、IL-17E/IL-25に対する反応性を確認 た。その結果、IL-17E/IL-25依存的に(C)IL-17RB陽 性NKT細胞から大量のeosinophil chemotactic factor-L (ECF-L)を産生することを示された(図16、上段) この結果は、IL-5産生性の好酸球を局所に呼 び寄せる機能を有することを示しており、活 性化したIL-17RB陽性NKT細胞がIL-17E/IL-25依存的 間接的な好酸球増加症(eosinophilia)を誘導する ことが示唆された。またIL-17Aの発現はIL-25刺 前後でほとんど変わらないことも明らかと った(図16、下段)。

実施例12:IL-17E/IL-25依存的な気道過敏症発症に おけるIL-17RB陽性NKT細胞の役割の解明
 マウスでの喘息モデルとして卵白アルブミ (OVA)を用いた気道炎症モデルがある。これ 、OVA-alumで免疫後、OVAを吸入させて気道炎症 を起こすものである。通常OVA-alum(100μg/2mg)を 腔内に2-3回一週間間隔で免疫後、OVA(100μg) 点鼻で3日間投与することにより、メタコリ 誘発性気道炎症を発症させることができる 本実施例では、IL-17E/IL-25の作用を確認する めに、OVA-alum(50μg/2mg)を腹腔内に2回一週間 隔で免疫後、OVA(50μg)を点鼻で1回投与する、 メタコリン誘発性気道炎症の発症が見られな い条件下で、Balb/cマウス(WT)とNKT細胞欠損マ ス(Jα18KOマウス、Jα18 -/- )におけるIL-17E/IL-25の作用を確認した。一連 プロトコルを図17に示す。
 本モデルにおいて気道圧の上昇を指標に気 炎症の発症を確認したところ、Balb/cマウス はIL-17E/IL-25依存的な気道炎症を発症したが NKT細胞欠損マウスでは発症しなかった(図18) 。本条件下ではOVA吸入後の肺胞洗浄液中への 細胞浸潤を確認したところ、総細胞数(Total) マクロファージ(Mφ)、好酸球(Eos)、好中球(Neu )、リンパ球(Lym)のいずれにおいてもIL-17E/IL-25 投与群においてはNKT細胞欠損マウスに比べて コントロールマウスにおいて著しい浸潤が確 認された(図19)。さらに肺胞洗浄液中のサイ カイン濃度についても、IL-13およびIL-4につ て同様の傾向が強く認められた(図20)。これ マウスの肺組織からミクロトームにより組 切片を作製し、該切片を、ヘマトキシリン エオシン染色あるいはパス染色により調べ 。その結果、IL-17E/IL-25投与コントロールマ スにおいて好酸球・好中球の浸潤(ヘマトキ シリン・エオシン染色(図21a))やムチン粘液過 剰産生(パス染色(図22b))が確認できた。これ の結果は、IL-17RB陽性NKT細胞がIL-17E/IL-25依存 な気道過敏症発症において中心的な役割を っていることを示唆するものである。また 上記モデルにおいて、IL-17E/IL-25投与前に抗I L-17RB抗体でIL-17RB陽性NKT細胞を除去すること よってIL-17RB陽性NKT細胞の役割を確認した(図 22)。IL-17RB陽性NKT細胞が除去されていること FACS解析により確認した(図22a)。IL-17RB陽性NKT 胞が除去されることにより、Balb/cマウスに いてもIL-17E/IL-25依存的な気道炎症が抑制さ ることがわかった(図22b)。さらにIL-17E/IL-25 与前にNKT細胞欠損マウスにIL-17RB陽性NKT細胞 移入した系でIL-17RB陽性NKT細胞の役割を確認 した。IL-17E/IL-25投与前にNKT細胞欠損マウスに IL-17RB陽性NKT細胞を移入することにより、細 数依存的に気道炎症の増悪がみられること 確認された(図23)。

実施例13:RSウイルス依存的な気道過敏症発症 おけるIL-17RB陽性NKT細胞の役割の解明
 RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)は、乳 児急性気道感染症(細気管支炎、肺炎など)の な原因ウイルスである。RSウイルスは接触 飛沫を介して気道に感染し、2-5日の潜伏期 後、発熱、鼻水、咳などで発症、通常1-2週 で軽快するが、2歳以下の乳幼児ではしばし 上気道炎から下気道炎に進展して細気管支 、肺炎を発症し、免疫不全児、低出生体重 や呼吸器・循環器に基礎疾患をもつ乳幼児 重症化しやすく、特に注意が必要である。R SV感染症に効果のあるワクチンはなく、多く 場合は症状を抑える対症療法である。RSV感 マウスの肺胞洗浄液を用いて、該洗浄液中 含まれるサイトカインについて調べた。IL-2 5、IL-6、IL-4及びIL-13濃度を各サイトカイン・ モカインの抗体を用いたELISA法で測定した RSV感染により肺胞液中に早期にIL-25が誘導さ れた(図24)。これはTh2サイトカインであるIL-13 /IL-4や炎症性サイトカインであるIL-6よりも早 い(図24)。また肺胞洗浄液中のNKT細胞割合に いて調べたところ、RSV感染によりNKT細胞が 胞洗浄液中に浸潤することがわかった(図25) これらの結果から、RSV依存的な気道過敏症 症におけるIL-17RB陽性NKT細胞の関与について 解析を行なった。実施例11に記載のOVA-alumの 道炎症発症モデルにおいて、OVA/alum免疫3日 に3回感染させ、OVAによる惹起で発症を観察 た。一連のプロトコルを図26に示す。その 果、NKT細胞欠損マウスにおいては、気道圧 上昇(図27a)、肺胞液中への細胞浸潤(図27b)、 酸球・好中球の浸潤(図28a)、ムチン過剰産 (図28b)、いずれもがBalb/cマウスよりも増悪し ていることが明らかとなった。これらの結果 は、RSVによる気道過敏症発症においてIL-17RB 性NKT細胞がその増悪に関与していることを く示唆するものである。
 
 本出願は、日本で出願された特願2007-307981 基礎としておりそれの内容は本明細書に全 包含されるものである。
 

配列番号3:IL-17RBの細胞外ドメインとヒトIgG1 Fc領域の融合蛋白質。
配列番号4:IL-17RBの細胞外ドメインとヒトIgG1 Fc領域の融合蛋白質。
配列番号5:IFN-γ検出用PCRプライマー(センス)
配列番号6:IFN-γ検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号7:IFN-γR検出用PCRプライマー(センス)
配列番号8:IFN-γR検出用PCRプライマー(アンチ ンス)
配列番号9:IL-12Rβ2検出用PCRプライマー(センス )
配列番号10:IL-12Rβ2検出用PCRプライマー(アン センス)
配列番号11:IL-18Rβ検出用PCRプライマー(センス )
配列番号12:IL-18Rβ検出用PCRプライマー(アンチ センス)
配列番号13:STAT4検出用PCRプライマー(センス)
配列番号14:STAT4検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号15:T-bet検出用PCRプライマー(センス)
配列番号16:T-bet検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号17:IL-4検出用PCRプライマー(センス)
配列番号18:IL-4検出用PCRプライマー(アンチセ ス)
配列番号19:IL-5検出用PCRプライマー(センス)
配列番号20:IL-5検出用PCRプライマー(アンチセ ス)
配列番号21:IL-10検出用PCRプライマー(センス)
配列番号22:IL-10検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号23:IL-13検出用PCRプライマー(センス)
配列番号24:IL-13検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号25:STAT6検出用PCRプライマー(センス)
配列番号26:STAT6検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号27:GATA3検出用PCRプライマー(センス)
配列番号28:GATA3検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号29:GranzymeA検出用PCRプライマー(セン )
配列番号30:GranzymeA検出用PCRプライマー(アン センス)
配列番号31:Perforin1検出用PCRプライマー(セン )
配列番号32:Perforin1検出用PCRプライマー(アン センス)
配列番号33:Klra7検出用PCRプライマー(センス)
配列番号34:Klra7検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号35:Klrc1検出用PCRプライマー(センス)
配列番号36:Klrc1検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号37:Klrd1検出用PCRプライマー(センス)
配列番号38:Klrd1検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号39:Klrg1検出用PCRプライマー(センス)
配列番号40:Klrg1検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号41:CXCR6検出用PCRプライマー(センス)
配列番号42:CXCR6検出用PCRプライマー(アンチセ ンス)
配列番号43:CCR4検出用PCRプライマー(センス)
配列番号44:CCR4検出用PCRプライマー(アンチセ ス)
配列番号45:TARC/CCL17検出用PCRプライマー(セン )
配列番号46:TARC/CCL17検出用PCRプライマー(アン センス)
配列番号47:MDC/CCL22検出用PCRプライマー(セン )
配列番号48:MDC/CCL22検出用PCRプライマー(アン センス)
配列番号49:IL-17A検出用PCRプライマー(センス)
配列番号50:IL-17A検出用PCRプライマー(アンチ ンス)
配列番号51:RORγt検出用PCRプライマー(センス)
配列番号52:RORγt検出用PCRプライマー(アンチ ンス)