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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR THE TREATMENT OF WASTE GAS FROM OXIDATION AND THE RECOVERY OF ENERGY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105084
Kind Code:
A1
Abstract:
A system which facilitates the reduction and recovery of components contained in the oxidation waste gas discharged from the manufacturing process of aromatic dicarboxylic acids and enables the recovery of the pressure of the waste gas as power energy in a relatively low temperature range (of 150°C or below), namely, a system integrated with the manufacturing process of aromatic dicarboxylic acids in which the recovered energy is used as the power for compressing the air to be used in the oxidation and the resulting low-pressure waste gas (0.1Kg/cm2G) is used in processing (such as drying or transporting) the formed dicarboxylic acid powder. The system comprises (1) subjecting oxidation waste gas to two-stage absorption in high-pressure absorption towers with acetic acid and water, (2) bringing the resulting waste gas into contact with an adsorbent to dehydrate the waste gas and form a dry waste gas, (3) recovering the pressure of the dry waste gas in a relatively low temperature range as power energy with a two-stage expansion turbine by using the steam (5Kg/cm2G) generated in the oxidation as the heat source, (4) circulating the components recovered from the oxidation waste gas to the reaction solvent recovery step and reusing them, (5) using the recovered power energy in the oxidation, and (6) utilizing the resulting low-pressure waste gas for the formed powder.

Inventors:
HARA NORIAKI (JP)
ITO TOSHINOBU (JP)
YAMAZAKI HATSUTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/053777
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI PLANT TECHNOLOGIES LTD (JP)
HARA NORIAKI (JP)
ITO TOSHINOBU (JP)
YAMAZAKI HATSUTARO (JP)
International Classes:
B01D53/72; B01D53/77; F02C6/00
Foreign References:
JP2005213223A2005-08-11
JPH10246198A1998-09-14
JP2000072714A2000-03-07
JPS5640636A1981-04-16
JP2006249106A2006-09-21
Attorney, Agent or Firm:
Polaire I.P.C. (Chuo-ku Tokyo 32, Chuo-ku Tokyo 32, JP)
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Claims:
 ジアルキル芳香族炭化水素を原料として、酢酸を溶媒とし、コバルト及びマンガンからなる触媒金属と酸化促進剤としての臭素の存在下、185~205℃の温度範囲で酸素含有ガスにより酸化反応器内において液相酸化して、芳香族ジカルボン酸の製造する方法において、上記酸化反応器から排出される反応排ガスを冷却して、凝縮性成分を凝縮・分離した高圧の反応排ガスを、
1) 酢酸および水を吸収剤とする高圧の吸収塔で処理して、上記反応排ガス中の含有成分を低減したのち、
2) 吸着塔に該反応排ガスを導入し吸着剤と接触させて、上記反応排ガス中の水分を脱水処理し、
3) 140℃以上に加熱したのち、2段式膨張タービンに導入して圧力エネルギーを回収することを特徴とする酸化反応排ガスの処理方法。
 請求項1において、
 酢酸による前記高圧吸収塔での処理を40℃以下、好ましくは35℃以下の温度で行うことを特徴とする酸化反応排ガスの処理方法。
 請求項1又は2において、
 前記2段式膨張タービンの各タービンへの導入ガスを、前記酸化反応器に取り付けられた蒸気発生器からの発生蒸気でもって、140℃以上の温度に加熱して行うことを特徴とする酸化反応排ガスの処理方法。
 請求項1乃至3のいずれか一において得られた処理ガスは、上記芳香族ジカルボン酸の製造における芳香族ジカルボン酸粉体の乾燥、輸送および混合などをするための原料ガスとして用いることを特徴とする酸化反応排ガスの処理方法。
 請求項1乃至3のいずれか一において、
 回収される吸収回収液および脱着回収液を直接または間接的に酢酸溶媒回収工程に移送し、有効成分をそれぞれ活用することを特徴とする酸化反応排ガスの処理方法。
Description:
酸化反応排ガスの処理とエネル ーの回収方法

 本発明は、芳香族ジカルボン酸の製造の に大量に発生する反応排ガスを処理し、該 ガスと同伴する有効成分ならびにエネルギ を回収する技術ならびにシステムである。 しくは該カルボン酸製造から発生する排ガ 中の含有成分を除去・回収したのち、圧力 動力エネルギーとして回収する排ガス処理 システム技術である。そして排出される低 の排ガスを活用することのできる省資源化 術でもある。

 p-キシレンなどのジアルキル芳香族炭化 素を原料として、酢酸を溶媒としコバルト マンガンおよび臭素からなる触媒の存在下 高圧の分子状酸素ガスにより液相酸化して 香族ジカルボン酸を製造することは、芳香 ジカルボン酸の用途の成長とともに、工業 に大規模に実施されてきた。

 この製造方法においては、酸化反応器から 出される酸化反応済みの酸素含有量の低下 た反応排ガスは、多量に発生する酸化反応 反応熱除去のため、溶媒の酢酸および反応 成水の蒸気を伴って該反応器から排出され 。そのため該蒸気含有ガスを熱交換器でも て冷却・熱除去を行って同伴の凝縮性成分 凝縮させ、凝縮液を分離したのち、反応排 スが反応系から排出されている。なお、本 化反応では上記の熱交換器での冷却・熱除 する際に蒸気発生(約5 Kg/cm 2 G蒸気)が伴われていることおよび凝縮・分離 れた凝縮液は酸化反応器に還流され、酸化 応の冷却と溶媒量の維持操作が伴われてい 。

 そして、該排出の反応排ガスには凝縮液 離温度(約50℃)における酢酸および水などの 凝縮液と平衡となる飽和蒸気が含有されてい るため、工業的には水による洗浄・吸収を行 う高圧吸収塔を通し、酢酸などの有機含有成 分を低減したのち、該製造装置から放出され てきた(特許文献1:特公昭39-8818号参照)。

 その後の環境問題および省資源化のニーズ 高まりにより、該排出ガスの保有する資源 処理・回収するための方法が下記のように 種提案されている。
先ず、特許文献2(特開平2-32040号)、特許文献3( 特開平4-74153号)には排ガス中の含有有機物の 着除去を、さらに脱着回収を目的に提案さ ているが、含有成分中の水分が吸着能力に 影響をもたらすこと、ならびに吸着後の成 の脱離が困難なことなどの課題を抱えてい と言われている
 一方、特許文献4(特開平8-268953号)には該排 スを触媒に接触させて酸化処理して含有成 を無害化する方法も提案されている。
また、該排ガスは酸化反応圧力をほぼ保持し たまま排出されるため、該排ガスを圧力状態 のまま触媒の存在による接触酸化(燃焼、 300 ℃以上)あるいは触媒なしに直接燃焼(800℃以 )して高温にしたのち、膨張タービンを通し て排ガスの持つ圧力を動力エネルギーに変換 ・回収する方法も提案されてきた(特許文献5: 特開昭55-99517号、特許文献6:特開昭56-72221号、 特許文献7:特開平8-155265号参照)。

 しかし、該方法では、該排ガスには酸化反 の副生物の一つである臭化メチルが含有さ ていることなどから、燃焼により腐食性の 素化合物(Br2 or HBr)に転換するとして、燃 処理ガスを膨張タービンに導入する際に防 対策を必要として、特許文献8:特開昭60-219421 号では、燃焼処理ガスを水溶液による吸収塔 を通して腐食性成分を除去したのち、膨張タ ービンに導入する方法を提案している。また 、特許文献9:特開2000-189753号、特許文献10:特 2001-525576号では、タービン内を通気する間の 温度、圧力が露点以下とならない(結露しな )ような条件にしてエネルギーを回収するこ も提案している。
以上のように、芳香族ジカルボン酸の製造装 置から排出される反応排ガスの含有成分を吸 着・回収するにあたって、吸脱着に対する問 題点があり、その改善には特殊な吸着剤なら びに吸着技術を必要としており、また、保持 圧力を動力エネルギーとして変換するにあた っては、高圧下での燃焼設備ならびに腐食対 策のための高温化設備を必要としている。

特公昭39-8818公報

特開平2-32040号公報

特開平4-74153号公報

特開平8-268953号公報

特開昭55-99517号公報

特開昭56-72221号公報

特開平8-155265号公報

特開昭60-219421号公報

特開2000-189753号公報

特表2001-525576号公報

特開昭53-84933号公報

特開昭54-100310号公報

 芳香族ジカルボン酸の製造装置から排出 れる高圧の反応排ガスは一般に次表の組成 らなるとされ、有機含有成分として酢酸、 酸メチル、ベンゼン、トルエン、p-キシレ および臭化メチルからなると言われている

 そのため、該ガスをそのまま膨張タービン 導入してエネルギー回収するには、タービ 中では排出ガスが温度降下をするため、何 かの加熱を必要とする。
それはタービンでの断熱膨張による温度降下 により、排ガス含有成分中の水ならびに有機 分による結露がタービンの回転に支障がある ためである。
本発明者らは加熱に必要な熱源として、前記 酸化反応器から発生している蒸気(約5 kg/cm 2 G蒸気)を用いて、導入排ガスを140℃以上に加 する比較的低温域内で圧力エネルギーを回 し、該排ガスのタービン内での温度降下に いても結露を回避できるまで含有成分を低 することに着目して検討を行った。

 そのため本発明者らは、1)該排ガス中の含 成分とその分離特性を解析、低減のための 離・回収工程の検討を行って、前記製造装 の溶媒回収工程と一体化処理するシステム すること、2)該処理済みガスが保持している 圧力を、高温化の設備ならびに防食対策を必 要としないで比較的低温域で結露することな く、動力エネルギーとして回収すること、そ して、3)該動力回収後の低圧(約0.1 Kg/cm 2 G)の排ガスを、前記製造の芳香族ジカルボン 粉体の乾燥、混合、輸送などに用いること 可能とすることなどを課題として該ジカル ン酸製造プロセスと処理を一体化した反応 ガスの効率的な処理システムを構築するこ を目的として行った。

 芳香族ジカルボン酸の製造装置から排出さ る反応排ガスは前記表に示されるように、 有成分中には水分の含有量は有機物と同量 上の量含有されるため、有機成分の吸着に たって水分量が吸着能力を低下させる問題 あり、また、一旦吸着した有機成分は脱離 容易でないという問題があった。
そのため、本発明者らはこれらの課題を解決 するため、含有される有機成分を溶剤による 吸収によって除去・低減すること、そして含 有水分は従来の公知の吸着法によって除去・ 低減をする機能分担処理によって、有機成分 の除去・回収を容易にし、膨張タービン内で の水分の結露を回避できる方法に到達した。
そのため動力回収に対しても従来のように排 ガスの高温化のため燃焼設備を付設すること なく、エネルギー回収用の乾燥ガスを容易に 造りだすができ、そして、それぞれの処理に より分離・回収された回収液は該製造装置の 溶媒回収工程の一処理工程とできる方法を本 発明者らが見出した。
そして得られた高圧の該乾燥排ガスを膨張タ ービンによる動力回収するにあたって、前記 したように酸化反応器から発生する蒸気を加 熱源として比較的低温域(140~150℃以下)に加熱 するだけで、2段式膨張タービンを用いるこ によって、低圧となったタービン排出ガス 極低温にまで低下させるこのないエネルギ 回収法を見出した。
エネルギー回収後の該低圧排ガスをそのまま 不活性ガスとして、前記製造の芳香族ジカル ボン酸粉体の乾燥、輸送および混合などの原 料ガスとして使用することが出来ることを見 出した。

 芳香族ジカルボン酸製造装置から排出され 反応排ガスは前記したように水による高圧 収塔で処理したガスであり、含有される溶 酢酸量低減の目的は達成されるが、他の含 有機物(酢酸メチル、p-キシレンなど)は殆ど 低減されることなく排出されているのが実状 である。そして、該吸収塔では吸収水と平衡 となる水分蒸気が含有されて温度降下時の結 露要因を形成して排出される。(比較例 1、2)
 そのため、本発明者らは該反応排ガスの水 よる高圧吸収塔での吸収処理前に酢酸によ 高圧吸収塔を設置し、該排ガス中の酢酸メ ルなどの有機成分を酢酸により吸収・低減 たのち(酢酸含有量は増加することになるが )、既設の水による吸収塔での水吸収処理を うことによって、該高圧排ガス中の有機含 量を大幅に低減出来ることを見出した。そ て、酢酸による吸収処理温度を低下させる とによって、さらに含有有機成分を低減す ことが可能なことも分かった。
即ち、該製造装置から排出されていた従来の 反応排ガス中の含有成分に比較して、酢酸お よび水による高圧吸収塔で吸収処理すること によって、水分含量がほぼ同量であるが、有 機成分含有量は大幅に低減された(約1/3以下) 圧の排ガスが得られることが分かった。

 次いで、水分を含有した該排ガスは公知 吸着剤(シリカゲル、活性アルミナなど)を いた高圧の吸着塔を通して主に水を脱水し 露点-30℃以下(大気圧下)の乾燥ガスとする方 法である。そして、乾燥された高圧の該反応 排ガスは膨張タービンに導入し、保持圧力を 膨張タービン内で断熱膨張させて動力エネル ギ-として回収されることになる。

 これらに高圧吸収塔ならびに高圧吸着塔か 回収された液は該ジカルボン酸製造の溶剤 収工程に移送して有機成分を回収すること でき、それぞれの成分は該製造プロセスに 用される一処理工程とすることができる。( 酢酸は溶媒に、酢酸メチルは酢酸損失の低減 に(特許文献11:特開昭53-84933号、特許文献12:特 開昭54-100310号)、p-キシレンは原料に活用され る。また、水は溶媒回収工程から排出される 。)
現在芳香族ジカルボン酸の工業製造における 酸化反応器での反応条件は製造の経済性など から185~205℃の温度範囲に集約されてきてい 。そのため、溶媒中の原料および水の含有 により多少左右されるが、反応排ガスの圧 は12.5~16.5 Kg/cm 2 Gの範囲に集約され、排ガス処理されたター ン導入にあたっての圧力は12~16 Kg/cm 2 Gの範囲を保持したものとなる。

 従って、該ガスを酸化反応器からの発生蒸 (約5 Kg/cm 2 G、158℃)程度の蒸気で加熱すると膨張タービ 導入口の条件は12~16 Kg/cm 2 G、140~150℃とすることができる。
この状態の排ガスを1段式の膨張タービンに 入し、1段で約0.1 Kg/cm 2 Gの低圧ガスを直接得るとすればタービン出 では-85~-70℃の低温ガスとなり、露点に対す 厳しい管理と排ガスの活用には再び加熱処 を必要とすることになる。
そのため、本発明者らは膨張タービンを2段 とし、1段目排出ガスを再び前記蒸気で140~150 ℃に加熱し、2段目タービンに導入する2段式 張タービンによるエネルギー回収法によっ 、タービン排出の低圧(約0.1 Kg/cm 2 G)ガスが極低温下にすることなく得ることが 来ることを見出した。そのときの1段目排出 の圧力(中間圧力)およびそれぞれの温度を試 し図2,3に、そして2段目排出の温度(タービ 排出温度)の結果を図4にプロットした。
  なお、ガスの断熱膨張における圧力-温度 係は次式を用いて試算した。

  (T2/T1)^γ=(P2/P1)^(γ-1)
  γ=Cp/Cv = 1.4
  ここで、T1, P1 : 入口側の温度、圧力を し、T2, P2 : 出口側の温度、圧力を示す。( お、温度、圧力は絶対表記で換算)
  γ : 定圧比熱Cpと定容比熱Cvの比を示す。 (なお、空気または2原子ガスは1.4)
2段式膨張タービンでは1段目タービンと2段目 タービンで回収される動力の割合が等しいと き(W2/W1=1.0のとき)最大動力の回収となる。(W1: 1段目タービン動力回収量、W2:2段目タービン 力回収量)そのため、中間圧力(1段目排出圧 =2段目導入圧力)を回収動力比W2/W1=0.8、1.0、1 .2、1.4、1.6を設定・試算した(図2)。その設定 より2段式膨張タービンでの各タービン出口 温度を試算し、回収動力比W2/W1=1.0を中心に0.8 と1.6をパラメーターとした試算結果を図3、4 プロットした。(図3、4において回収動力比W 2/W1=1.2、1.4の試算結果は該動力比と相関して1 .0と1.6の間にプロットされるため省いた。)
 それらの結果、タービン排出温度(図4)は回 動力比W2/W1=0.8~1.6において、-23~39℃の範囲( 力:0.1 Kg/cm 2 G)で得られることが推定され、露点-30℃以下( 大気圧)の乾燥排ガスを用いれば結露に対し 問題なく動力回収できる温度である。

 また、1段目タービン排出温度(図3)では回収 動力比W2/W1=0.8~1.6において-9~55℃の範囲であり 、1段目の結露に対して厳しくなる回収動力 W2/W1=0.8のとき、大気圧露点-30℃の乾燥ガス 用いたとしても結露温度は約-16℃(中間圧力: 2.2~2.6 Kg/cm 2 G)となり、1段目出口の結露に対して問題のな い温度となることが分かる。そのため露点-30 ℃以下の排ガスとなればさらに結露の危険は 回避されることになる。
従って、前記酢酸および水による高圧吸収処 理し、さらに吸着による脱水された大気圧露 点-30℃以下の乾燥排ガスを得てのち、約5 Kg/ cm 2 G蒸気でもって140~150℃に加熱し、2段式膨張タ ービンで回収動力比W2/W1=0.8~1.6の範囲で動力 収しても、1段目、2段目ともに結露に危険な く回収できることが分かった。
  なお、膨張タービンでの断熱膨張による 力の回収量については次式を用いて行った

  W = K{(V2)^(1-γ)-(V1)^(1-γ)}/(1-γ)
  ここで、K = PV^γ:断熱状態式=一定であり
      V1, V2:入口側、出口側のガス容量を し、
      γ=Cp/Cv:定圧比熱Cpと定容比熱Cvの比 示す。

     (なお、空気または2原子ガスは1.4)
      PV=nRT:左関係式でV1, V2を換算
 以上工業的に大規模に生産されている芳香 ジカルボン酸製造装置からの反応排ガスを 従来行われていた水による高圧吸収塔によ 処理前に、酢酸による高圧吸収塔を設置し 酢酸および水による吸収処理をしたのち、 知吸着剤による脱水吸着塔を通して乾燥排 スとする。そして、それぞれの処理回収液 該カルボン酸製造装置の直接または間接に 剤回収工程に取り入れ、反応排ガス中の含 成分は処理回収されることになる。
次いで、得られた高圧の該乾燥排ガスを140~15 0℃に蒸気加熱し、2段式膨張タービンに導入 、圧力を動力エネルギーとして回収し、低 (約0.1 Kg/cm 2 G)のガスとして排出する。そして、排出され 低圧の排ガスをそのまま製造ジカルボン酸 体の混合、乾燥および輸送用などのガスと て使用することの出来るプロセスシステム 構築した。
なお、上記加熱用の蒸気は酸化反応器に付設 の蒸気発生器からの自前蒸気(約5 Kg/cm 2 G)を用い、動力回収の2段式膨張タービンにお いて1段目タービンと2段目タービンの回収動 比W2/W1が0.8~1.6の範囲に設定・設計されたタ ビンを用いることが好ましいことも分かっ 。

 以上本発明方法の効果は、従来酸化反応に 用済みとして排出されていた反応排ガスか 、含有の酢酸、酢酸メチルなどの有機成分 回収するとともに脱水することによって乾 排ガスとしたのち、該排ガスの持つ圧力を 気加熱のみによる2段式膨張タービンでもっ て動力エネルギーとして回収するシステムを 本体芳香族ジカルボン酸製造プロセスと一体 としたシステムにしたことは、設備コストな らびに本体ジカルボン酸製造コストの低減に 直接寄与し、該製造装置の排出物ならびに廃 熱を低減した環境にやさしいプロセスとして 、プロセス価値の高い芳香族ジカルボン酸製 造プロセスを構築したことにある。
そしてそれらの具体的効果を列記すると下記 の通りとなる。
1)該排ガス中に水分とともに含有し回収が困 とされた有機成分を、酢酸および水による 収処理と吸着剤による脱水処理する機能分 処理により、容易に回収することができ、 料および副資材として循環使用してコスト 減に寄与した。(酢酸メチルの回収は酢酸の 損失低減に寄与する。) 同時に2)本体ジカル ン酸粉体用処理の不活性乾燥ガスを生成し 。そのため、3)2段式膨張タービンを採用し 、高圧の燃焼設備ならびに高温の熱回収設 などを必要とせず、比較的低温域(150℃以下 )で該排ガスの圧力エネルギーを動力として 収を可能にした。4)その動力回収のための加 熱源として本体酸化反応で発生する自前蒸気 (約5 Kg/cm 2 G蒸気)を用いることが可能になったこと。5) の回収した動力を本体酸化反応に必要な空 の圧縮動力として活用できる。そして、6)そ の動力回収後の低圧の排ガスを何ら処理する ことなく本体ジカルボン酸粉体処理用に使用 できることなどである。

 本発明方法を実施するにあたっての実施形 について図1をもとに以下に詳述する。
なお、図1に示されたプロセスシステムは本 明方法の一例を示すもので、図1のシステム 限定するものではない。
先ず、芳香族ジカルボン酸製造装置における 反応系排ガス(酸化反応系の気液分離器 4 排 出ガス)を高圧吸収塔(1) 6下部に導入し、上 より40℃以下の温度にコントロールされた酢 酸を送入、含有有機成分を吸収処理し、低減 する。
吸収処理する酢酸は有機成分を吸収する効果 から高濃度の方が好ましく、70 wt%以上、好 しくは90wt%以上の酢酸で行われる。また処理 温度は40℃の温度で制御処理されることが好 しく(有機成分約1/3に低減)、35℃以下の温度 で吸収処理されることが有機成分の更なる低 減に好ましい(有機成分約1/4に低減)。
酢酸で吸収処理された排ガスは高圧吸収塔(2) 8下部に導入し、上部より水を導入して従来 と同様に酢酸成分を主に吸収・低減する。 吸収塔での処理温度は従来と同様40~50℃で問 題ないが、前段の酢酸による吸収処理によっ て排ガス中の酢酸含有量が増加傾向にあるた め、酢酸含有量を低減するためには40℃以下 処理することが好ましい。
そして、それぞれの吸収塔から回収される液 には酢酸、酢酸メチル、p-キシレンなどの該 造に有効な成分が含有されているため、該 造における酢酸溶媒処理工程(酢酸回収系) 該回収液を移送・処理する。なお、酢酸に る吸収塔から回収される回収液の酢酸濃度 高い場合には、直接酸化反応用の溶媒酢酸 して使用することが出来る。

 次いで、水による吸収処理された高圧の排 スは、そのまま吸着塔(1)10に導入・処理し 高圧の乾燥ガスとする。該吸着塔の操作方 は吸着-脱着を繰り返す従来公知の方法で行 ことができるが、該ガスは高圧を保持して るためにPSA(Pressure Swing Adsorption)方式を採 した方法で行うことが好ましい。
即ち、図1では吸着塔(1)10は吸着処理を行って 乾燥ガスを生成し、エネルギー回収システム に送入しており、吸着塔(2)11は脱着操作を行 ている流れとなっている。(流れ方向とバル ブの開閉で示す。) 吸着塔(2)11では吸着操作 了後圧力開放したのち、減圧ポンプ13によ 内部の低圧化とともに吸着塔(1)10出口からの 乾燥ガスの一部を取り入れながら吸着成分の 脱着を行っている。そして所定時間脱着操作 を行った後、減圧ポンプ側のバルブを閉止し 、乾燥ガスで昇圧して次の吸着処理に備える PSA方式となる。
吸着塔(2)11からは脱着成分を伴ったガスが排 され、冷却器12を通って冷却された凝縮成 は脱着回収液分離器14で回収され、ポンプ16 循環しながら酢酸溶媒処理工程へ移送・処 される。脱着回収液は水を主成分として僅 の酢酸などの有機成分が存在するため、そ らの成分を処理・回収されるが、水は酸化 応生成水とともに廃棄される。冷却器12で 縮されなかった非凝縮性ガスは脱着回収液 離器14上部から再び排ガス圧縮機15で加圧さ 、高圧吸収塔(1)6の導入ガスに混入し、循環 処理される。
以上反応排ガスの酢酸および水による有機成 分の吸収処理および吸着剤による脱水処理し 、乾燥ガスを生成する一連の処理システムは 本発明法になる排ガス処理システムとなる。

 次に、該排ガス処理システムから得られた 圧の乾燥排ガスは加熱器(1)21を通し、蒸気( 5 Kg/cm 2 G)により140~150℃に加熱し、膨張機1段目19に導 入して前記中間圧力(2.2~5.3 Kg/cm 2 G)までの圧力を動力エネルギーとして回収す 。そして、該中間圧力となった乾燥排ガス 加熱器(2)22を通して、同じく蒸気加熱によ 140~150℃に加熱し、膨張機2段目20に導入して 0.1 Kg/cm 2 Gまで動力エネルギーを回収する。排出され 該低圧ガスはそのまま粉体移送用などの不 性ガスとして各所ユーザーに供給される。
なお、それぞれの加熱器(1)21、加熱器(2)22で 加熱蒸気は酸化反応器1に付設された蒸気発 器2の蒸気貯槽5からの約5 Kg/cm 2 G(約158℃)蒸気を用い、[1]および[2]の位置での 温度が140℃以上の加熱されていることを確認 することが好ましい。そして、該膨張器(膨 機1段目19+膨張機2段目20)で回収されたエネル ギーは前記酸化反応用の空気圧縮機17の電動 18に連結され、回転エネルギーとして使用 れることによって、前記ジカルボン酸製造 置のエネルギーのクローズド化された好ま いシステムとなる。

 本発明方法の具体的実施態様を実施例で って以下さらに詳述するが、それらの例示 限定されるものではない。

 実施例1―3、および比較例1―2
  コバルト、マンガン、臭素の触媒の存在 、酢酸を溶媒として温度195℃、圧力約14.3 Kg /cm 2 Gの状態で、p-キシレンを原料として空気を吹 き込みながら液相酸化を行い、テレフタル酸 を製造しているプラントの酸化反応器に付設 された気液分離器(高圧吸収塔前)から排出さ ている反応排ガスを配管から分岐して、該 応排ガスの一部を取り出し高圧吸収試験の 料ガスとした。
高圧吸収試験は図5排ガス処理試験装置の略 に示される2つの高圧吸収塔(高圧吸収塔(1)、 高圧吸収塔(2))を用いて、吸収塔排ガス出口 にあるバルブ[2]を閉止して各種吸収処理条 によるガス含有有機成分の影響について試 した。

 高圧吸収塔(2)塔の構造は同一で、直径97.1mm (4”Sch 80 SUS )上部充填塔1.2 m(1/4ラシヒリ グ充填部1.0 m)と下部液相気泡塔0.7 m(液面位 0.5 m)から成っている。酢酸および水の吸収 の何れも定量ポンプで注入され、吸収処理 度を制御するためその注入配管に冷却器が り付けられている。また、吸収済み回収液 サイホン式の連通管で気泡塔液面位を保ち がら吸収液回収ポットに排出され、該回収 ットから適時断続的に取り出すようになっ いる。
高圧吸収試験は前記原料ガスを高圧吸収塔(1) 下部から導入し、上部より注入された酢酸(7k g/hr)でガス含有成分を吸収・処理したのち上 より排出される。吸収処理温度は上部ガス 出管に設置された温度計でガス温度の測定 行い、所定の温度になるよう注入酢酸温度 コントロールを行った。

 高圧吸収塔(1)上部より排出されたガスは高 吸収塔(2)下部に導入し、上部より注入され 水(3.5 kg/hr)でガス含有成分を吸収・処理し のち上部より排出される。前記同様、吸収 理温度は上部ガス排出管に設置された温度 でガス温度の測定を行い、所定の温度にな よう注入水温度のコントロールを行った。
そして、高圧吸収塔(2)上部より排出されたガ スはミスト分離ポットを通してガスメーター 1(乾式ガスメーター)の流量が所定の量(120Nm 3 /hr)になるようにバルブ[1]で制御・排出する ミスト分離ポットでの圧力を計測(13.9~14.1 Kg /cm 2 G)し、高圧吸収塔での処理圧力とした。

 以上の高圧吸収試験により、ガス中の有機 有成分は高圧吸収塔(1)下部ガス導入位置か 原料ガスを、ミスト分離ポットから処理排 ガスを配管分岐によりサンプル採取し、酢 、酢酸メチル、p-キシレンの分析を行った
それら吸収処理試験を実施した結果は表2の りであり、水分量は高圧吸収塔(2)の処理温 、圧力での飽和水分量の計算値を示した。 お、比較例として行った水のみによる吸収 験は高圧吸収塔(1)をバイパスして原料ガス 高圧吸収塔(2)下部に直接導入して行った結 である。

表2の結果、水による高圧吸収塔のみによ 吸収処理(従来法)では酢酸、酢酸メチル、p- シレンの合計含有量が1400~1500ppmであったも が、酢酸および水による高圧吸収塔での吸 処理によってその合計含有量が500ppm以下と 幅に低減された。また、酢酸含有量につい は40℃の酢酸で吸収処理することで増加の 向は見られるが、従来法(比較例1、2)と同程 である。

 実施例4
  反応排ガスの吸収および吸着処理による ガス処理試験は図5排ガス処理試験装置の略 に示されるバルブ[2]を全開し、吸収処理ガ を高圧のまま吸着処理する方法で行った。
実施例2の条件で吸収処理された処理ガスを 着塔(活性アルミナ約21L)に導入して図5略図 示す流れでPSA法による脱水処理の試験を繰 返し行った。
吸着による脱水試験はガスメーター2(乾式ガ メーター)の排ガス流量が所定量(40 Nm 3 /hr)にバルブ[3]で制御・排出し、排出ガスの 点ならびに有機含有量の測定を行った。な 、吸着は15分間行い、その間ガスメーター1 量を削減(120→80 Nm 3 /hr)し、吸収塔での吸収処理ガスの所定流量(1 20 Nm 3 /hr)を維持した。
吸着剤の再生はバルブ[2]を閉止し(バルブ[3] 閉止高圧状態を維持)、次の手順で行った。 お、その間ガスメーター1のガス流量を120 N m 3 /hrにバルブ[1]を復活調整して吸収処理を継続 させた。
再生手順は内部圧力をバルブ[5]から約1分間 けて開放し、内部を大気圧とする。次いでN 2 ガスをガス流量計(高圧ローターメーター)お びバルブ[4]の調節を通して、上部から導入( 約2Nm 3 /hr)し、内部を13分間N 2 ガスパージを継続する。そしてバルブ[5]を閉 止し、N 2 ガスで内部圧力が吸収処理圧力(13.9~14.1 Kg/cm 2 G)と同圧になるまで約1分間掛けて昇圧し、次 の吸着脱水に備える。
以上のPSA法操作よる吸着を繰り返し行い、処 理ガス(乾燥ガス)の露点ならびに有機含有量 測定結果を表3に示す通りとなる。なお、有 機含有量はバルブ手前の高圧部配管から分岐 し、吸着開始後10分でのサンプル採取による 析結果である。また、露点はガスメーター2 出口側の常圧のガスを露点計に通して判定し た。

表3の結果、処理排ガスの露点は-30℃未満 表し、有機含有量においても減少(成分によ て異なる)することが分かった。

本発明方法による芳香族ジカルボン酸 造プロセスにおける反応排ガスの処理と圧 エネルギーの回収システムの流れを示す系 図。 2段式膨張タービンにおいて排出圧力0.1 Kg/cm 2 Gまで膨張させ、タービン導入圧力と中間圧 (1段目出口圧力=2段目入口圧力)との関係を回 収動力比W2/W1をパラメーターとして示した図( なお、図中W1は1段目の回収動力、W2は2段目の 回収動力の計算値を表す)。 2段式膨張タービンにおいて1段目ター ンを導入圧力から図2中間圧力まで膨張させ ときの、タービン導入圧力と1段目出口温度 の関係を、1段目導入ガス温度(150℃、140℃)と 回収動力比W2/W1(=0.8、1.0、1.6)をパラメーター して示した図。 2段式膨張タービンにおいて2段目タービンを 間圧力から0.1 Kg/cm 2 Gまで膨張させたときの、タービン導入圧力(1 段目入口圧力)と2段目出口温度の関係を、2段 目導入ガス温度(150℃、140℃)と回収動力比W2/W 1(=0.8、1.0、1.6)をパラメーターとして示した 。 本発明方法による酢酸および水による 圧吸収処理を行ってのち、吸着による脱水 理試験を行った排ガス処理試験装置の概略 示す図。

符号の説明

1…酸化反応器、2…蒸気発生器、3…凝縮器 、4…気液分離器、5…蒸気貯槽、6…高圧吸収 塔(1)、7…酢酸冷却器、8…高圧吸収塔(2)、9… 水冷却器、10…吸着塔(1)、11…吸着塔(2)、12… 冷却器、13…減圧ポンプ、14…脱着回収液分 器、15…排ガス圧縮機、16…脱着回収液ポン 、17…空気圧縮機、18…電動機、19…膨張機1 段目、20…膨張機2段目、21…加熱機(1)、22… 熱機(2)、23…凝縮水貯槽。