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Patent Searching and Data


Title:
SYNTHETIC RESIN MOLDED ARTICLE, LAMINATE FILM OR TRANSFER FILM FOR FORMING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105083
Kind Code:
A1
Abstract:
A transparent synthetic resin molded article in which even if the surface is scratched by sand, it is repaired and the transparency is recovered, and moreover, even if a secondary thermal processing such as thermal bending is carried out, wrinkles and the like are not caused is provided. It is a molded article having a surface resin layer (3) formed on a synthetic resin substrate (1) via an adhesive layer (2). The surface resin layer (3) is formed of a polyurethane acrylate resin. The adhesive layer (2) is formed of a polyurethane resin obtained by reacting polyisocyanate and polyol by mixing them such that the molar equivalent of isocyanate group of polyisocyanate is larger than the molar equivalent of hydroxyl group of polyol. By the urethane acrylate surface resin layer, self-repairing property is exhibited. By setting the molar equivalent of isocyanate group to the molar equivalent of hydroxyl group in the adhesive layer to more than 1.0 and not more than 5.0, thereby to allow the isocyanate group to remain on the adhesive layer, adhesiveness is improved and occurrence of wrinkles and the like during thermal processing is eliminated.

Inventors:
SATO MASAKI (JP)
MIYAURA KATSUMI (JP)
IHIRA MAKOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/053776
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TAKIRON CO (JP)
SATO MASAKI (JP)
MIYAURA KATSUMI (JP)
IHIRA MAKOTO (JP)
International Classes:
B32B27/00; B32B7/02
Domestic Patent References:
WO2003064489A12003-08-07
Foreign References:
JPH10219006A1998-08-18
JPH07195623A1995-08-01
JPH0752176A1995-02-28
JP2002256053A2002-09-11
JPH06207143A1994-07-26
JPS61179733A1986-08-12
JPS61281136A1986-12-11
Attorney, Agent or Firm:
KAWASAKI, Masaki (Keihan Marquis Umeda5-5, Nishitemma 4-chome, Kita-k, Osaka-shi Osaka 47, JP)
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Claims:
 合成樹脂基材の少なくとも片面に接着層を介して表面樹脂層を形成してなる成形体であって、該成形体の全光線透過率が75%以上、ヘーズが5%以下の透明性を有し、表面樹脂層に対しての傷付与試験の試験前のヘーズと試験直後のヘーズの変化量が0.3%以上であり、該試験の5分経過後は下記式(1)に基づいて得られる回復率が50%以上となるヘーズを示すことを特徴とする合成樹脂成形体。
 前記成形体の傷付与試験前のヘーズが0.1~1.0%、試験直後のヘーズが0.3~5.0%、試験前と試験直後のヘーズの変化量が0.2~4.0%の範囲内であり、傷付与試験の5分経過後のヘーズの回復率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂成形体。
 傷付与試験が、真鍮ブラシを用いて行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合成樹脂成形体。
 表面樹脂層が、ウレタンアクリレート樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の合成樹脂成形体。
 表面樹脂層にシリカが含まれることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の合成樹脂成形体。
 合成樹脂基材が熱可塑性樹脂で形成されると共に表面樹脂層がウレタンアクリレート樹脂で形成された成形体であり、該成形体が熱加工可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の合成樹脂成形体。
 接着層が、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル当量がポリオールの水酸基のモル当量より多くなるように、ポリイソシアネートとポリオールとを配合して反応させたポリウレタン系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の合成樹脂成形体。
 接着層に多く配合されたポリイソシアネートのイソシアネート基が、接着層に残存していることを特徴とする請求項7に記載の合成樹脂成形体。
 接着層を形成するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル当量とポリオールの水酸基のモル当量とのモル当量比が、1.0<イソシアネート基モル当量/水酸基モル当量≦5.0であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の合成樹脂成形体。
 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の合成樹脂成形体の成形に使用されるラミネートフィルムであって、接着性フィルムの表面に、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル当量がポリオールの水酸基のモル当量より多くなるように、ポリイソシアネートとポリオールとを配合して反応させたポリウレタン系樹脂より形成された接着層と、ウレタンアクリレート樹脂より形成された表面樹脂層とが積層されていることを特徴とするラミネートフィルム。
 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の合成樹脂成形体の成形に使用される転写フィルムであって、剥離フィルムの表面に、ウレタンアクリレート樹脂より形成された表面樹脂層と、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル当量がポリオールの水酸基のモル当量より多くなるように、ポリイソシアネートとポリオールとを配合して反応させたポリウレタン系樹脂より形成された接着層とが積層されていることを特徴とする転写フィルム。
 表面樹脂層にシリカが含まれていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の転写フィルム。
 
Description:
合成樹脂成形体及びこの成形体 成形するためのラミネートフィルムまたは 写フィルム

 本発明は、表面に傷が付いても速やかに 復して透明性が回復し、しかも、皺のない 着層を有する、自己修復性に優れた合成樹 成形体、特に二次熱加工できる合成樹脂成 体に関する。

 ポリカーボネートやポリエチレンテレフ レートなどの熱可塑性樹脂からなる成形体 、樹脂自体が有する透明性や耐衝撃性を生 して、建築用素材、産業用素材などとして 種用途に用いられている。しかし、これら 樹脂成形体は表面硬度が乏しく、その表面 傷付き易いという欠点を有している。その め、該樹脂成形体、特に透明樹脂成形体は の表面に傷が付かないようにするために、 の表面にシリコーン樹脂やアクリル樹脂な からなるハードコート層を形成して表面硬 を向上させているものがある。

 このような表面硬度を向上させたシリコ ンハードコート成形体としては、例えば、 リカーボネート樹脂などの透光性樹脂基材 表面に形成した酸化ケイ素改質膜にシリコ ン系ハードコート膜を設けた透光性樹脂製 が知られている(日本特開2005-305310号公報:特 許文献1)。該特許文献1は酸化ケイ素改質膜を 形成したので、シリコーン系ハードコート膜 の密着性が良く、耐擦傷性においても優れた 透光性樹脂製品を得ることができるものであ る。

 また、アクリルハードコート成形体とし は、例えば、ポリエステルやポリカーボネ トからなるフィルムに活性線硬化または熱 化アクリル組成物を塗布硬化させたハード ートフィルムが知られている(日本特開2006-2 31845号公報:特許文献2)。該特許文献2はアクリ ル組成物に低分子量のアクリルポリマーを添 加して塗液の表面粘度を低下させて表面平滑 性を向上させたものである。

特開2005-305310号公報

特開2006-231845号公報

 しかし、上記特許文献1の透光性樹脂製品 は、シリコーン系ハードコート層を有するた めにハードコート性には優れているが、一旦 傷が付くと自己修復することなく該傷が長期 にわたり存在して外観を悪くするし、該製品 を二次熱加工することはできなかった。

 また、上記特許文献2のハードコートフィ ルムにおいても、耐磨耗性やリコート性やレ ベリング性が良好で、視認性に優れたフィル ムを得ることができるが、アクリルハードコ ート層が活性線や熱により硬化しているため に、一旦傷が付くと自己修復することができ ないし、二次熱加工することもできなかった 。

 本発明は、上記問題を解決したものであ て、表面に傷がついても該傷を自己修復し 透明性を回復する、自己修復性に優れた合 樹脂成形体を提供することを目的とする。 た、基材と表面樹脂層との密着性に優れ且 気泡や皺も発生しない接着層により積層一 化された、自己修復性に優れた合成樹脂成 体を提供することを目的とする。さらに、 形体を二次熱加工してもクラックや皺など 不都合が発生しない合成樹脂成形体を提供 ることを目的とする。

 そのため、本発明に係る合成樹脂成形体 、合成樹脂基材の少なくとも片面に接着層 介して表面樹脂層を形成してなる成形体で って、該成形体の全光線透過率が75%以上、 ーズが5%以下の透明性を有し、表面樹脂層 対しての傷付与試験の試験前のヘーズと試 直後のヘーズの変化量が0.3%以上であり、該 験の5分経過後は下記式(1)に基づいて得られ る回復率が50%以上となるヘーズを示すことを 特徴とするものである。

 この傷付与試験は表面樹脂層に対しての 行われ、真鍮ブラシを用いて行われること 好ましい。

 本発明において、前記成形体の傷付与試 前のヘーズが0.1~1.0%、試験直後のヘーズが0. 3~5.0%、試験前と試験直後のヘーズの変化量が 0.2~4.0%の範囲内であり、傷付与試験の5分経過 後のヘーズの回復率が70%以上であることが好 ましい。また、表面樹脂層が、ウレタンアク リレート樹脂で形成されていることも好まし い。そして、これらの表面樹脂層にシリカが 含まれることも好ましい。さらに、合成樹脂 基材が熱可塑性樹脂で形成されると共に表面 樹脂層がウレタンアクリレート樹脂で形成さ れた成形体であり、該成形体が熱加工可能で あることも好ましい。

 更に、本発明における成形体の接着層が ポリイソシアネートのイソシアネート基の ル当量がポリオールの水酸基のモル当量よ 多くなるように、ポリイソシアネートとポ オールとを配合して反応させたポリウレタ 系樹脂より形成されていることが好ましい また、この接着層に多く配合されたポリイ シアネートのイソシアネート基が、接着層 残存していることが好ましい。更に、接着 を形成するポリイソシアネートのイソシア ート基のモル当量とポリオールの水酸基の ル当量とのモル当量比が、1.0<イソシアネ ート基モル当量/水酸基モル当量≦5.0である とが好ましい。

 本発明のラミネートフィルムは、これら 合成樹脂成形体の成形に使用されるラミネ トフィルムであって、接着性フィルムの表 に、ポリイソシアネートのイソシアネート のモル当量がポリオールの水酸基のモル当 より多くなるように、ポリイソシアネート ポリオールとを配合して反応させたポリウ タン系樹脂より形成された接着層と、ウレ ンアクリレート樹脂より形成された表面樹 層とが積層されていることを特徴とするも である。

 本発明の転写フィルムは、これらの合成 脂成形体の成形に使用される転写フィルム あって、剥離フィルムの表面に、ウレタン クリレート樹脂より形成された表面樹脂層 、ポリイソシアネートのイソシアネート基 モル当量がポリオールの水酸基のモル当量 り多くなるように、ポリイソシアネートと リオールとを配合して反応させたポリウレ ン系樹脂より形成された接着層とが積層さ ていることを特徴とするものである。

 これらのラミネートフィルムまたは転写 ィルムにおいて、表面樹脂層にシリカが含 れていることが好ましい。

 本発明の合成樹脂成形体は、合成樹脂基 の表面に表面樹脂層を形成してなる透明成 体であって、表面樹脂層に対して真鍮ブラ などを用いた傷付与試験を行った前後のヘ ズの変化量が0.3%以上で、前記式(1)で求めら れるヘーズの回復率が50%以上であるので、該 透明合成樹脂成形体に砂などが風により擦り 付けられたり物が当たったりすると、表面樹 脂層に傷が付いてヘーズが高くなって白濁し 外観が悪くなる。しかし、時間が経過すると 、この傷が自己修復されて外観上傷がない状 態となり、ヘーズが回復し、白濁がなくてほ ぼ元の透明性を有する成形体となる。そのた め、本発明の合成樹脂成形体は、耐擦傷性が 良好な成形体である。この自己修復性は、傷 が時間の経過と共に傷周囲の樹脂の弾力によ り塞がれて元の状態に修復・復元し、光の散 乱による白濁がなくなって元の透明性が回復 するものと考えられる。

 また、合成樹脂成形体の表面樹脂層に対 る傷付与試験前のヘーズが0.1~1.0%、試験直 のヘーズが0.3~5.0%、試験前と試験直後のヘー ズの変化量が0.2~4.0%であり、傷付与試験の5分 経過後のヘーズの回復率が70%以上であると、 成形体は良好な透明性を発揮すると共に、傷 付与試験により表面樹脂層に傷を付けるとヘ ーズが高くなって白濁し一時的に透明性が損 なわれるが、5分経過後には試験前のヘーズ までほぼ回復して、元の白濁のない良好な 明性を有した成形体となる。そのため、合 樹脂成形体が砂などで傷付いて白濁しても 該白濁は一時的なもので、時間の経過によ 該傷が自己修復により塞がって透明性が回 するので、良好な透明性を長期間に亘り発 する成形体とすることができる。

 また、表面樹脂層がウレタンアクリレー 樹脂であると、表面硬度は従来のシリコー 樹脂やアクリル樹脂からなるハードコート よりも劣るものの、ポリカーボネートやポ エチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹 基材よりも表面硬度に優れていて、成形体 耐擦傷性を付与することができる。また、 ウレタンアクリレート樹脂は伸縮性を有す ので、熱加工性を付与することもできる。 のため、合成樹脂基材が熱可塑性樹脂で形 されると、熱曲げや圧空成形や型押し成形 どの二次熱加工も可能となる。

 このようなウレタンアクリレート樹脂は 常温においても弾性を有しているので、こ 樹脂よりなる表面樹脂層(成形体表面)に傷 どが付いても、該傷が該樹脂の弾性により 易に塞がれて元の外観に修復、復元し易く 傷のない表面状態として目視することがで る。従って、成形体に傷が付いて光が乱反 し一時的に白濁しても、しばらくすると、 傷が塞がって元の状態に復元し、光が乱反 することがなくなり、元の白濁のない透明 を発揮することができる。

 さらに、ウレタンアクリレート樹脂など らなる表面樹脂層にシリカが含まれると、 面硬度が僅かに向上して傷が付き難くなる 、ラミネートフィルムによる製造の際には レス金型や成形ロールからの剥離が良好に われるし、転写フィルムによる製造の際に 剥離フィルムからの表面樹脂層の剥離が良 に行われて、表面状態の良い合成樹脂成形 とすることができる。

 一方、本発明の合成樹脂成形体の接着層 、ポリイソシアネートのイソシアネート基 モル当量がポリオールの水酸基のモル当量 り多くなるように、ポリイソシアネートと リオールとを配合して反応させたポリウレ ン系樹脂より形成されていると、未反応の ソシアネート基が合成樹脂基材及び表面樹 層との間で水酸基、アミノ基、イミノ基、 ルボキシル基、ウレタン結合、尿素結合な の活性水素と反応し、共有結合を生じて密 性を向上させることができる。さらに、ウ タン結合は水素結合などの分子間力を生じ せて密着性をさらに向上させ、また、接着 が合成樹脂基材及び表面樹脂層との界面で 互いが入り込んだ状態で固化し良好な接着 を発揮できる。

 また、この接着層は、ポリオールの水酸 と、そのモル当量に見合うポリイソシアネ トのイソシアネート基とがウレタン結合を しているので、熱や水などに対する安定性 有し、煮沸水試験などによっても気泡や皺 どが発生することがないし、部分的に剥離 ることもなく、実使用においても層間剥離 どを生ぜず、長期間使用可能である。

 さらに、接着層にポリウレタン系樹脂を 用することで、二次熱加工するための加熱 より可塑性を示し、しかも、上記に記載の く、未反応のイソシアネート基が合成樹脂 材及び表面樹脂層との間で共有結合を生じ 密着性を向上させているので、加熱による 間の密着性を保持し、合成樹脂基材と表面 脂層とが剥離することを防止することがで 、熱曲げなどの二次熱加工を良好に行うこ ができる。

 そして、接着層のポリウレタン系樹脂を 成するポリイソシアネートのイソシアネー 基のモル当量とポリオールの水酸基のモル 量とのモル当量比が、1.0<イソシアネート 基モル当量/水酸基モル当量≦5.0であると、 酸基は略全て反応するので、水との相溶性 悪くなり、煮沸水試験時における密着性を 上させることができて極めて良好な密着性 有し、合成樹脂基材と表面樹脂層とが剥離 ない合成樹脂成形体とすることができる。

 モル当量比が1.0以下であると、ウレタン 合をなした後においても、水酸基が残存す こととなり、当該残存水酸基と水とが良好 相溶性を示すので、煮沸水試験での密着性 悪くして層間剥離する恐れがある。一方、 ル当量比が5.0より大きいと、接着層の凝集 が弱くなるために、やはり煮沸水試験時の 着性が悪くなる。このように煮沸水試験時 密着性が悪いと、屋外などでの実使用時に ラックや層間剥離という問題が発生する。 のために、モル当量比を上記1.0<イソシア ネート基モル当量/水酸基モル当量≦5.0にす と前記問題をなくすことができるので好ま い。

 本発明のラミネートフィルムは、ポリイ シアネートのイソシアネート基のモル当量 ポリオールの水酸基のモル当量より多くな ように、ポリイソシアネートとポリオール を配合して反応させたポリウレタン系樹脂 り形成された接着層と、ウレタンアクリレ ト樹脂より形成された表面樹脂層とが積層 れているので、該ラミネートフィルムは柔 性を有し紙管などに巻いても各層が剥離し り皺が入ったりすることがない。そして、 着層は、接着性フィルムとアンカー効果、 有結合、分子間力などにより良好に接着接 しているので、ラミネートの際の熱によっ も剥離や皺や気泡などが生じることがない

 本発明の転写フィルムは、ウレタンアク レート樹脂より形成された表面樹脂層と、 リイソシアネートのイソシアネート基のモ 当量がポリオールの水酸基のモル当量より くなるように、ポリイソシアネートとポリ ールとを配合して反応させたポリウレタン 樹脂より形成された接着層を有するので、 転写フィルムは柔軟性を有し、転写フィル を紙管などに巻いても各層が剥離したり皺 入ったりすることを防止することができる そして、接着層は、転写の際の熱により十 に軟化し、樹脂基材の柔らかい表面と十分 密着し、アンカー効果、共有結合、分子間 などにより、良好に接着接合することがで る。

 このようなラミネートフィルムや転写フ ルムの表面樹脂層にシリカが含まれると、 シリカ含有表面樹脂層がラミネートフィル による製造の際に使用されるプレス金型や 形ロールから良好に剥離するし、転写フィ ムによる製造の際に使用される剥離フィル から良好に剥離するので、表面状態の良い 成樹脂成形体を製造することができる。

図1は、本発明の一実施形態を示す合成 樹脂成形体の断面図である。 図2は、本発明の合成樹脂成形体の製造 に使用される転写フィルムの断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態を示す合 成樹脂成形体の断面図である。 図4は、本発明の合成樹脂成形体の製造 に使用されるラミネートフィルムの断面図で ある。 図5は、本発明の合成樹脂成形板を熱型 押し成形して得られた熱加工成形体の斜視図 である。

符号の説明

 P1,P2 合成樹脂成形体
 1 樹脂基材
 2 接着層
 3 表面樹脂層
 4 剥離フィルム
 5 接着樹脂層
 F1 転写フィルム
 F2 ラミネートフィルム

 以下、図面を参照して本発明の具体的な 施形態を詳述する。しかし、本発明はこれ に限定されるものではない。

 図1は本発明の一実施形態に係る合成樹脂 成形体を示す断面図、図2は該合成樹脂成形 を形成するために使用される転写フィルム 断面図である。

この実施形態の透明合成樹脂成形体P1は、 明な板状の樹脂基材1の片側の表面に、接着 層2と表面樹脂層3とがこの順で積層一体化さ た厚さ0.1~20mmの成形体であり、その成形体 全光線透過率は75%以上~98%以下、ヘーズは5% 下~0.1%以上となされている。そして、表面樹 脂層3に対して傷付与試験を行ない、その試 前と試験直後のヘーズの変化量が0.3%以上で り、しかも、該試験の5分経過後には下記式 (1)に基づいて得られる回復率が50%以上となる ヘーズを示す自己修復性を有する成形体であ る。ここで、試験直後のヘーズとは、傷付与 試験後40秒以内に測定して得たヘーズをいう

 上記の傷付与試験は、真鍮ブラシを用い 行うと表面樹脂層のみに傷を付けることが 易に行えるので、上記表面樹脂層の自己修 性を測る上で好ましい。なお、樹脂基材1の 両表面に接着層2、2、表面樹脂層3、3を積層 体化させて、両表面共に自己修復性能を有 る合成樹脂成形体としてもよい。

 この実施形態の透明合成樹脂成形体P1の 脂基材1は、透明な熱可塑性樹脂を板状に成 したものである。この熱可塑性樹脂は限定 れるものではないが、例えば、ポリエチレ 、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等 オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ チルメタクリレート、ポリスチレン等のビ ル系樹脂、ニトロセルロース、トリアセチ セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカ ボネート、非晶質又は結晶質ポリエチレン レフタレート、芳香族ポリエステル等のエ テル系樹脂、ABS樹脂、これらの樹脂の共重 体樹脂、これらの樹脂の混合樹脂などが用 られる。

 上記熱可塑性樹脂は、加熱により軟化し 次熱加工できるので、二次熱加工可能な本 明合成樹脂成形体の基材樹脂として好まし 用いられる。特に、熱可塑性ポリカーボネ トは耐衝撃性が良好で透明性も有していて 主に屋外用途の基材樹脂として好ましく用 ることができ、また、非晶質ポリエチレン レフタレートは加工性が良好で、深絞りな を行なう二次熱加工を行なう用途の基材樹 として好ましく用いられる。そして、この リカーボネートや非晶質ポリエチレンテレ タレートは、表面硬度が乏しく傷が付き易 ので、本発明のように、表面に表面樹脂層3 を設けて耐擦傷性を発揮させたり、傷が付い ても自己修復させて表面状態を復元し透明性 を回復させることで、更に用途を拡大するこ とができる。

 この樹脂基材1には、前記各樹脂の成形な どに一般に添加される可塑剤、安定剤、酸化 防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤が適宜配合 され、成形性、熱安定性、耐候性等が高めら れている。この樹脂基材1の厚さは用途に応 て適宜変更されるが、通常、0.1~20mm程度の厚 さで用いられる。二次熱加工可能な本発明合 成樹脂成形体の樹脂基材1であれば、0.5~15.0mm 度の厚さであることが二次熱加工の成形性 を発揮させるうえで好ましい。

 この実施形態の透明合成樹脂成形体P1は 樹脂基材1を板状体に成形しているが、それ 外の異型形状に成形してもよい。また、樹 基材1にはフィラーや着色剤などを配合して 着色透明や半透明などの透明性を有した基材 であってもよいが、合成樹脂成形体P1の全光 透過率が75%以上、ヘーズが5%以下の透明性 必要とするので、75%以上の全光線透過率と5% 以下のヘーズの透明性を有する樹脂基材1で る必要がある。好ましくは、85~98%の全光線 過率と0.1~1.0%のヘーズとを有する樹脂基材1 あることが望ましい。

 接着層2は、樹脂基材1と表面樹脂層3とを 着一体化するものであり、アクリル樹脂、 化ビニル樹脂、酢酸ビニル、エチレン-酢酸 ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリウレタ ン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエス テル樹脂、シリコーン樹脂などの可塑性を示 す硬化性樹脂により形成されていている。こ れらの樹脂には、必要により前記各樹脂に一 般的に添加される紫外線吸収剤、顔料、染料 、表面改質剤、重合開始剤などの添加剤が適 宜添加されている。これらの樹脂は透光性、 特に透明性を有していることが透明合成樹脂 成形体P1を作製するうえで好ましい。しかし 樹脂は透光性・透明性を有していなくても その厚さを薄くすることで、接着層2は透光 性や透明性を有することとなるので、必ずし も透光性・透明性を有する必要はない。しか し、樹脂基材1と表面樹脂層3との接着一体化 度を考慮すれば一定以上の厚さが必要なの 、全光線透過率が75%以上、ヘーズが5%以下 透明接着層2であることが好ましく、そのた には透光性樹脂で形成することが好ましい 更に、二次熱加工する合成樹脂成形体P1で れば、該接着層2は熱可塑性樹脂や架橋密度 低くて可塑性を有する硬化性樹脂にて形成 れている必要がある。

 なお、硬化性樹脂が熱可塑性を示すため は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを共重 する、あるいは、長鎖アルキル基などの柔 性を示す基を有する硬化性モノマーを重合 る等により、架橋密度を低くすることによ なされる。

 このような接着層用樹脂のなかで、ポリ レタン系樹脂、特に、完全架橋しておらず 橋密度が低くて可塑性を有する熱硬化性樹 であるポリウレタン系樹脂は耐熱性と耐水 を有する接着層を形成できるうえに、加熱 より軟化するので、ラミネートフィルム用 転写フィルム用や二次熱加工可能な樹脂成 体用の接着層樹脂として好ましく用いられ 。該架橋密度が低いポリウレタン系樹脂は ポリオールの水酸基とポリイソシアネート イソシアネート基とがモル当量(以下、当量 とも記す)となるように配合されて全てがウ タン結合して三次元構造をなしているもの はなく、ポリイソシアネートのイソシアネ ト基当量がポリオールの水酸基当量より多 なるように、換言すれば、ポリイソシアネ トに含まれるイソシアネート基の数がポリ ールに含まれる水酸基の数より多くなるよ に、ポリイソシアネートとポリオールとが 合されて、水酸基の略全てはイソシアネー 基と反応しているが、余分に配合されたポ イソシアネートのイソシアネート基は未反 のまま残り、接着層2の内部に残存した状態 ポリウレタン系樹脂を形成しているものが ましく用いられる。そのため、該ポリウレ ン系樹脂を用いた接着層2には、ウレタン結 合したウレタン樹脂と未反応ポリイソシアネ ートとが混在していることとなる。

 このポリウレタン系樹脂を形成するポリ ールとしては、エーテル系、エステル系、 ーボネート系、脂肪族系ポリオールなどが いられ、ポリイソシアネートとしては2官能 、3官能、変性イソシアネートなどが用いら る。具体的なポリオールは、ポリオキシエ レングリコール、ポリオキシプロピレング コール、ポリオキシテトラメチレングリコ ル、ポリオキシヘキサメチレングリコール 種々のタイプのエチレンオキシド/プロピレ オキシドコポリマー、ポリジメチルシロキ ンジオール、ポリエチレンアジペート、ポ ブチレンアジペート、ポリヘキサメチレン ジペート、ポリヘキサメチレンカーボネー ジオール、水酸基末端液状ポリブタジエン 水酸基末端液状ポリイソプレンなどが好ま く用いられる。また、具体的なポリイソシ ネートは、トリレンジイソシアネート、ジ ェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ヘ サメチレンジイソシアネートなどが好まし 用いられる。

 そして、ポリイソシアネートとポリオー は、そのイソシアネート基と水酸基とのモ 当量比が、1.0<イソシアネート基モル当量 /水酸基モル当量≦5.0となるように配合する が好ましい。このように配合すると、未反 のポリイソシアネート基が合成樹脂基材1及 /又は表面樹脂層3との間で水酸基、アミノ 、イミノ基、カルボキシル基、ウレタン結 、尿素結合などの活性水素と反応し共有結 を生じて密着性を向上させることで、樹脂 材1と表面樹脂層3との接着接合を維持でき、 二次熱加工するための加熱による層間の密着 性を保持し剥離を防止することができる。さ らに、一部ウレタン結合して架橋しているの で柔らかくなり過ぎて気泡や皺が発生するこ とを防止でき、また耐水性が良好になり、水 に対する安定性を有する。

 このように、一部がウレタン結合するこ により、接着層2に耐熱性、耐水性を発揮さ せて、成形体を煮沸水試験しても該接着層2 気泡や膨れや皺が発生することがなくて、 時間使用しても剥離や外観不良が生じない 成樹脂成形体とすることができるのである

 さらに、このウレタン結合は、樹脂基材1 及び又は表面樹脂層3の分子と水素結合など 分子間力を有していて、これらとの密着力 向上させて、一層剥離を防止している。

 モル当量比(イソシアネート基モル当量/ 酸基モル当量)が1.0であると、イソシアネー 基と水酸基とが全て反応して三次元構造を 成するために密着性が悪くなり、柔軟性が くなる。また、モル当量比が1.0未満である 、接着層内に水酸基が未反応で残存し、当 水酸基は水との相溶性が良いために煮沸水 験時の煮沸水によって密着性が悪化し、気 や膨れや皺などが発生して剥離する恐れが る。一方、当量比が5.0より大きいと、接着 の凝集力が弱くなるために、やはり煮沸水 験時の密着性が悪くて剥離する恐れがある このように煮沸水試験時の密着性が悪いと 屋外などでの実使用時にクラックや層間剥 や外観が悪くなるという問題を発生するの 、上記のように、1.0<イソシアネート基当 量/水酸基当量≦5.0となるようにすることで 前記問題をなくすことができるので好まし のである。さらに好ましい当量比は、1.0< ソシアネート基当量/水酸基当量≦2.0である 。

 該接着層2の厚さは、0.1~10μmにすることが 好ましい。0.1μm以下であると、接着強度を保 つことが困難になるし、柔軟性が乏しくなる ので望ましくなく、また10μm以上にしても、 着強度、保形性のさらなる向上が期待でき いので、材料の無駄遣いとなるし、更に、 明性も悪くなる。

 透明合成樹脂成形体P1の表面樹脂層3は、 可塑性合成樹脂、熱や紫外線や電子線や湿 などで硬化する硬化性樹脂、切断した端面 士が接合する合成樹脂、ゴムなどより形成 れてなり、自己修復性を有するものである これらの合成樹脂としては、ウレタン系樹 、軟質塩化ビニル、スチレンやポリエステ やオレフィンやフッ素などの熱可塑性エラ トマーなどの復元性を有する樹脂が適宜選 して使用される。

 そして、これらの合成樹脂に、シリカや ラスなどの無機粒子、ポリメチルメタクリ ートやシリコーンなどの合成樹脂粒子、酸 チタンや酸化アルミニウムなどの金属粒子 添加して、表面樹脂層3を形成することが好 ましい。該粒子は表面樹脂層3の表面硬度を 上させることができると共に、ラミネート ィルムを使用して合成樹脂成形体P1を作製す る際のプレス金型や成形ロールとの剥離性を 向上させ、転写フィルムを使用して合成樹脂 成形体P1を作製する際の剥離フィルムとの剥 性を向上させて、表面樹脂層3の表面状態を 向上させることができる。特に、シリカは透 明性を有するので、透明表面樹脂層3を形成 るうえで好ましく用いられる。これらの粒 は、表面樹脂層3に1~20質量%、好ましくは3~10 量%程度含ませることが望ましい。また、透 明性や分散性の観点から、その平均粒径は1~2 00nmであることが好ましい。

 さらに、表面樹脂層3には、上記粒子の他 に、紫外線吸収剤、界面活性剤、単量体、重 合開始剤、表面改質剤、帯電防止剤、顔料、 染料、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの、 塗料にするのに必要な一般的な添加剤または 性能を向上させるための添加剤が添加されて 形成される。

 これらの合成樹脂の中で、ウレタン系樹 は硬化後にはウレタン結合のハードセグメ トによる表面硬度性と、ウレタン結合した りのポリオールとポリイソシアネートの残 有機成分であるソフトセグメントによる柔 性とを兼持しているので、自己修復機能を すると共に耐擦傷性と二次熱加工可能な成 体の表面樹脂層3の樹脂として好ましく用い られる。

 ウレタン系樹脂のなかでも、ウレタンア リレート樹脂やウレタンメタアクリレート 脂で表面樹脂層3を形成すると、アクリレー ト成分またはメタアクリレート成分によって も表面硬度が高められて耐擦傷性を一層付与 させることができると共に、万一該表面樹脂 層3に傷が付いても、該傷を周囲の樹脂の上 ソフトセグメントの弾性によりにより塞い 元の表面状態に復元する自己修復性を有す ことになるので特に好ましい。なお、以下 表面樹脂層3に用いるウレタン系樹脂の説明 おいて、アクリレートとメタアクリレート の両方を含む意味で(メタ)アクリレートな 用語を使用する。

 このウレタン(メタ)アクリレート樹脂と ては、(a)1分子中に複数個のイソシアネート を有する有機イソシアネートとポリカプロ クトン変性アルキル(メタ)アクリレートを 応させて得られるウレタン(メタ)アクリレー ト樹脂、または、(b)1分子中に複数個のイソ アネート基を有する有機イソシアネートと リカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリ レートとを反応させて得られるウレタン(メ )アクリレートを含有し、該ウレタン(メタ) クリレートが、ポリカプロラクトン変性ア キル(メタ)アクリレート残基当たりのカプロ ラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上 ウレタン(メタ)アクリレートで構成されるウ レタン(メタ)アクリレート樹脂、または、(c)1 分子中に複数個のイソシアネート基を有する 有機イソシアネートとカプロラクトン単位の 繰り返し数が異なる2種以上のポリカプロラ トン変性アルキル(メタ)アクリレートとを反 応させて得られるウレタン(メタ)アクリレー 樹脂、または、(d)分子中に複数個のイソシ ネート基を有する有機イソシアネートとポ カプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリ ートとを反応して得られたウレタン(メタ)ア クリレートと、1分子中に複数個のイソシア ート基を有する有機イソシアネートとヒド キシアルキル(メタ)アクリレートとを反応さ せて得られるウレタン(メタ)アクリレートと 含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂であ ことが好ましい。上記各ポリカプロラクト 変性アルキル(メタ)アクリレートとしては、 特にポリカプロラクトン変性ヒドロキシアル キル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ 。

 これらのウレタン(メタ)アクリレート樹 の中でも、(e)1分子中に複数個のイソシアネ ト基を有する有機イソシアネートと、ポリ プロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリ ートとこれとは異なるヒドロキシ(メタ)アク リレート(特に1級水酸基を有するもの)とを共 重合させたヒドロキシ(メタ)アクリル樹脂と を反応させたウレタン(メタ)アクリレート 脂が好ましく用いられる。このウレタン(メ )アクリレート樹脂(e)は、その水酸基価を125 ~145とすることが、有機イソシアヌレートの ソシアヌレート基との反応性を高め、表面 脂層の耐汚染性や外観を良好にするうえで ましい。

 前記有機イソシアネートのうち、1分子中 に2個のイソシアネート基を有する有機イソ アネートとしては、トリレンジイソシアネ ト、ナフタレンジイソシアネート、ジフェ ルメタンジイソシアネート、イソホロンジ ソシアネート、キシリレンジイソシアネー 、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシ ロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4- リメチルヘキサメチレンジイソシアネート メチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート 、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイ ソシアネートモノマーが好ましく用いられる 。また、1分子中に3個以上のイソシアネート を有する有機イソシアネートとしては、ジ ソシアネートモノマーをイソシアヌレート 性させた下記構造式(A)で表される化合物、 イソシアネートモノマーをアダクト変性さ た下記構造式(B)で表される化合物、ジイソ アネートモノマーをビウレット変性させた 記構造式(C)で表される化合物、2-イソシア ートエチル-2,6-ジイソシアネートカプロエー ト、トリアミノノナントリイソシアネートな どのイソシアネートプレポリマーが好ましく 用いられる。

 一方、前記ポリカプロラクトン変性アル ル(メタ)アクリレートまたはポリカプロラ トン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ ートは、下記構造式(D)で表される化合物であ る。この具体例としては、ポリカプロラクト ン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート ポリカプロラクトン変性ヒドロキシプロピ (メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン 性ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなど が好ましく用いられる。これらに使用される カプロラクトンとしては、ε-カプロラクトン 、トリメチルカプロラクトンなどが好ましく 用いられる。

 さらに、前記ヒドロキシアルキル(メタ) クリレートは、下記構造式(E)で表される化 物であり、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー 、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートな が好ましく用いられる。

 さらに、1級水酸基を有するヒドロキシ( タ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエ ル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピ (メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル( タ)アクリレートなどが好ましく用いられる

 これらの上記ウレタン(メタ)アクリレー において、ポリカプロラクトン変性アルキ (メタ)アクリレート残基当たりのカプロラク トン単位の繰り返し数が異なる2種以上のウ タン(メタ)アクリレートが含有されていても よい。さらに、上記ウレタン(メタ)アクリレ トに、1分子中に複数個のイソシアネート基 を有する有機イソシアネートとヒドロキシア ルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得 れるウレタン(メタ)アクリレートとを含有 せてもよい。さらに、スチレンなどの環状 格を有する単量体を添加して擦傷性を向上 せたり、メチル(メタ)アクリレートなどの単 量体を添加して重合反応性を調整したりする ことが好ましく、また、重合開始剤が添加さ れている。

 このようなモノマーや共重合樹脂などを 応して得られたウレタンアクリレート樹脂 りなる表面樹脂層3は自己修復性を有してい て、砂や小石や雑巾やブラシやタワシやスポ ンジなどで表面樹脂層3の表面が傷付けられ も、該傷が時間の経過と共に周囲の樹脂、 に樹脂中のソフトセグメントの弾性により がれて元の表面状態に回復し、傷が目視で なくなるので、表面硬度がシリコーン系ハ ドコート剤やアクリル樹脂系ハードコート で形成された表面樹脂層より劣っても、恰 傷が付きにくい表面樹脂層3となり、該表面 脂層3を有する成形体は耐擦傷性を有するも のとなる。しかも、ウレタンアクリレート樹 脂からなる表面樹脂層3は伸縮性を有するの 、樹脂基材1を熱加工可能な熱可塑性樹脂で 成しておけば熱加工可能な成形体にするこ ができ、熱加工されて屋外で使用される異 成形体を形成するための屋外二次熱加工用 材の表面樹脂層3として特に有用である。

 この表面樹脂層3の厚さは、1~100μmにする とが好ましい。1μm以下であると表面硬度を 高くすることができないし、必要な耐擦傷性 を付与することができず、ウレタンアクリレ ート樹脂からなる表面樹脂層3であっても自 修復性が乏しくなる。一方、100μm以上にし も、自己修復性の更なる向上が期待できな ので、材料の無駄遣いとなり望ましくない より好ましくは、5~20μmである。

 そして、樹脂基材1と接着層2と表面樹脂 3とが何れも透光性又は透明である透明合成 脂成形体P1であるので、上記傷などによっ 光が乱反射して白濁し一時的に透明性を失 が、時間が経過すると、該傷が塞がって元 表面状態に修復し乱反射することがなくな ので、元の透明性をほぼ発揮することがで 、長期化に亘り透明性を維持することがで る透明成形体P1となる。しかし、該傷が接着 層2、更には樹脂基材1にまで達すると、表面 脂層3の傷は元の状態に修復するが、接着層 2、樹脂基材1の傷は修復することがなくて依 として傷付いたままであるので、該傷によ 乱反射して白濁し、成形体としての自己修 性は有さなくなる。又、表面樹脂層3が摩擦 や磨耗などによりなくなると、自己修復性は 有さなくなる。

 特に、合成樹脂成形体P1は全光線透過率 75%以上、ヘーズが5%以下の透明性を有してい るので、自己修復性機能が効果的に発揮され 、砂などにより表面樹脂層3が傷付いて白濁 ても時間の経過と共に自己修復して、ほぼ の前記全光線透過率と前記ヘーズを有する 明性合成樹脂成形体となる。合成樹脂成形 P1の好ましい全光線透過率は80%以上で、ヘー ズは3%以下であり、最も好ましい全光線透過 は85~98%、ヘーズは0.1~1.0%である。

 そして、上記の如き構成の透明合成樹脂 形体P1の表面樹脂層3に対して傷付与試験を うと、該表面樹脂層3が樹脂、特にウレタン アクリレート樹脂で形成されているので、該 成形体表面(表面樹脂層3)に傷が付いて光が乱 反射しヘーズが高くなり、その試験前と試験 直後のヘーズの変化量(試験後40秒以内に測定 したヘーズから試験前のヘーズを差し引いた 値)が0.3%以上となる。そして、この高くなっ ヘーズも、付与された傷が表面樹脂層3を形 成するウレタンアクリレート樹脂によって時 間と共に塞がれて、表面状態が元の状態に修 復されて光の乱反射が小さくなり、傷付与試 験の5分経過後には試験前のヘーズにほぼ回 する。この回復は、前記式(1)により得られ 回復率が50%以上となるようにすることによ 、自己修復性が確実に発揮され透明性をほ 回復できる。より好ましい回復率は70%以上 最も好ましくは85%以上回復させることが望 しい。

 この傷付与試験は、表面樹脂層3のみを傷 付ける試験である必要であり、接着層2、更 は樹脂基材1までに達する試験では、接着層2 又は及び樹脂基材1に付いた傷が修復できな ので透明性を回復することができないから ある。具体的には、例えば、直径が0.08~0.2mm 円柱形状をなした真鍮材、これらの真鍮材 多数均一に配置された真鍮ブラシ、真鍮材 多数束ねられた束材が複数個配置された真 ブラシ、真鍮材が柄先に多数取付けられた 鍮刷毛、真鍮繊維からなる真鍮ウール、ナ フなどの刃状体、スチールウール、布、テ バー磨耗輪、サンドペーパーなどを用いて これらで表面樹脂層3のみを傷付けるように する。特に好ましいのは、真鍮で作製された 上記のもの、特に真鍮ブラシであることが好 ましく、他の材料であれば硬過ぎて、接着層 2や樹脂基材1を傷付ける恐れがあるからであ 。

 上記真鍮ブラシとしては、例えば、トラ コ中山株式会社製の真鍮ブラシである「木 真鍮ブラシ4行」(真鍮材は丸形で、その直 は約0.15mm、真鍮材の長さは約16mm、真鍮材が 60本束ねられた束材の58束が4行に並べられ 木柄に固定されたブラシ)があり、本発明者 、これを1kgの力で表面樹脂層3に押し付けて 、前後に滑らせることにより表面樹脂層3の を傷付けることができた。その他の真鍮ブ シとしては、株式会社トップマン製、京都 械工具株式会社製、株式会社MonotaRO製など、 多数市販されている。

 合成樹脂成形体P1のうち、その表面樹脂 3に対して上記傷付与試験を行う前の成形体 ヘーズが0.1~1.0%である透明成形体であって 、表面樹脂層3が樹脂、特にウレタンアクリ ート樹脂で形成されているので、当該試験 の40秒以内に測定したヘーズは0.3~5.0%と高く なって白濁し、その試験前後のヘーズの変化 量は0.2~4.0%となる。このように、ウレタンア リート樹脂より形成された表面樹脂層3を有 する合成樹脂成形体P1は、シリコ-ン系などの ハードコート剤より形成された表面樹脂層よ りも傷付き易くて表面硬度に劣るものの、樹 脂基材1の表面硬度を向上させ、一定以上の 面硬度を有する成形体となる。そして、傷 与試験後の5分経過した後には、上記の如く が塞がり元の状態に修復されて透明性が回 し、そのヘーズの上記回復率が70%以上とな 、試験前の透明性をほぼ維持することとな 。

 そして、樹脂基材1が熱可塑性樹脂により 形成され、表面樹脂層3がウレタンアクリレ ト樹脂で形成された透明樹脂成形体P1である と、該合成樹脂成形体P1は耐擦傷性を有して て傷が付きにくいし、又は/及び、傷がつい ても自己修復性が発揮されて傷が修復される ので元の全光線透過率とヘーズを略回復する ことができるし、また、熱加工ができるので 、砂などが風に飛ばされて擦れる自動車やオ ートバイなどの車両の窓ガラスや風防面体、 或は切削屑などが当たる工作機械カバーや工 作機械室の覗き窓、或は屋外で使用される建 設機械の窓の保護板、或は人が触るタッチパ ネルの保護板などの、透明性と耐擦傷性とを 必要とする用途、特に、前記に加えて二次熱 加工性とを必要とする用途に有用な成形体と なる。なお、熱加工としては、上記熱型押し 成形加工の他に、圧空成形、真空成形、熱曲 げ加工などの公知の熱加工方法が適宜使用さ れる。

 上記の如き構成の合成樹脂成形体P1を得 には、例えば、転写方法、直接塗布方法な の方法を用いることができる。

 転写方法を用いる場合は、図2に示すよう に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートな の剥離フィルム4の片面に、必要なら離形層 形成した後に、上記のウレタンアクリレー 樹脂などの合成樹脂からなる表面樹脂層用 料を塗布、加熱乾燥、硬化させて表面樹脂 3を形成し、次いで、この表面樹脂層3の上 、ポリオールとポリイソシアネートとをイ シアネート基が水酸基より多く含まれるよ に混合した接着層用塗料を塗布、加熱乾燥 て硬化させた接着層2を形成して、剥離フィ ム4と表面樹脂層3と接着層2とがこの順で積 された転写フィルムF1を作製し、紙管に巻 る。そして、押出し成形されている合成樹 シート1(樹脂基材1)の表面に、接着層2が合成 樹脂シート1側となるように転写フィルムF1を 重ねて加熱圧着し、剥離フィルム4を剥離し 、接着層2と表面樹脂層3とを転写することに よって、樹脂基材1と接着層2と表面樹脂層3と が積層一体化した合成樹脂成形体P1を製造す ことができる。

 なお、合成樹脂シートの両面に前記転写 ィルムF1を適用して転写すれば、樹脂基材1 両面に接着層2、2と表面樹脂層3、3とが積層 一体化した合成樹脂成形体を製造することが できる。また、合成樹脂成形体は、プレス成 形されるための複数のカレンダーシートから なる樹脂基材1の上面又は上下両面に転写フ ルムF1を重ね、熱圧成形して一体化した後に 、剥離フィルム4を剥離することによっても 造することができる。

 この転写フィルムF1の表面樹脂層3は、ウ タンアクリレート樹脂などで形成されてい ので、ある程度の柔軟性を有していて紙巻 どに巻き取ることができる。そして、接着 2は、上記の如く、イソシアネート基の一部 が反応せずに残存しているために、合成樹脂 シート1に加熱圧着した時に、該シート1の柔 かい表面と十分密着しアンカー効果で一体 できるうえに、水素結合などの分子間力に り良好な接合力を得ることができる。また この接着層2は柔軟性を有するので、転写フ ィルムF1を紙管などに巻いても該層2がクッシ ョン作用をなして各層が剥離したり皺が入っ たりすることを防止することができる。この ため、この接着層2を有する転写フィルムF1を 用いて製造された合成樹脂成形体P1は、各層 密着・接合・一体化が良好で長期間使用し も剥離することがない。

 直接塗布方法を用いる場合は、合成樹脂 (樹脂基材1)を押出し成形やプレス成形にて め作製し、上記接着層用塗料を該合成樹脂 (樹脂基材1)に塗布、加熱乾燥して硬化させ 接着層2を形成し、次に、その上に上記表面 樹脂層用塗料を塗布、加熱乾燥、硬化させて 表面樹脂層3を形成することにより、樹脂基 1と接着層2と表面樹脂層3とが積層した合成 脂成形体P1を容易に製造することができる。

 図3は本発明の他の実施形態に係る合成樹 脂成形体を示す断面図、図4は該合成樹脂成 体を形成するために使用されるラミネート ィルムを示す。

 この実施形態の合成樹脂成形体P2は、透 な板状の樹脂基材1の片側の表面に、接着樹 層5と接着層2と表面樹脂層3とがこの順で積 一体化された成形体であり、その透明合成 脂成形体P2の全光線透過率は75%以上~98%以下 ヘーズは5%以下~0.1%以上となされている。そ して、表面樹脂層3に対して傷付与試験を行 い、その試験前と試験直後のヘーズの変化 が0.3%以上であり、しかも、該試験の5分経過 後には前記式(1)に基づいて得られる回復率が 50%以上となるヘーズを示す自己修復性を有す る成形体である。該透明合成樹脂成形体P2の 脂基材1、接着層2、表面樹脂層3は、前記合 樹脂成形体P1のそれぞれと同じであるので 同じ符号を付して説明を省略する。

 接着樹脂層5は、アクリル樹脂、ポリカー ボネート樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン- 酸ビニル樹脂などの、基材樹脂1との接着性 優れた樹脂よりなる層である。該接着樹脂 5は、その厚さを30~300μmとし、全光線透過率 を75%以上、ヘーズを5%以下になされて透明性 有していることが好ましい。

 この透明合成樹脂成形体P2を得るには、 えば、ラミネート方法、直接塗布方法など 方法を用いることができる。

 ラミネート方法を用いる場合は、図4に示 すように、アクリルフィルムなどの接着性樹 脂よりなるフィルム(接着樹脂層)5に、前記接 着層用塗料を塗布、加熱乾燥して硬化させた 接着層2を形成し、次いで、前記表面樹脂層 塗料を塗布、加熱乾燥、硬化させた表面樹 層3を形成して、ラミネートフィルムF2を作 する。そして、該ラミネートフィルムF2を押 出し成形されている合成樹脂シート1(樹脂基 1)にラミネートすることにより、樹脂基材1 接着樹脂層5(アクリルフィルム)と接着層2と 表面樹脂層3とが積層した透明合成樹脂成形 P2を製造することができる。なお、プレス成 形されるための複数のカレンダーシートから なる樹脂基材1の上面又は上下両面にラミネ トフィルムF2を重ね、熱圧成形して一体化す ることによっても製造することができる。な お、合成樹脂シートの両面に前記転写フィル ムF2を適用して転写すれば、樹脂基材1の両面 に接着層2、2と表面樹脂層3、3とが積層一体 した合成樹脂成形体を製造することができ 。

 直接塗布方法を用いる場合は、合成樹脂 (樹脂基材1)を押出し成形やプレス成形にて め作製し、アクリル樹脂などの接着性樹脂 りなる接着樹脂層用塗料を塗布、乾燥して 着樹脂層5を形成し、次に、その上に上記接 着層用塗料を塗布、加熱乾燥し硬化させた接 着層2を形成し、次に、その上に上記表面樹 層用塗料を塗布、加熱乾燥、硬化させた表 樹脂層3を形成することにより、樹脂基材1と 接着樹脂層5と接着層2と表面樹脂層3とが積層 した合成樹脂成形体P2を容易に製造すること できる。

 以下、実施例により更に具体的に説明す 。

(実施例1~7)
 厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ トフィルムに、ウレタンメタアクリレート 脂塗料(ナトコ株式会社製「自己治癒クリア ーNo.3000」)を溶剤(メチルイソブチルケトン) 希釈したウレタンメタアクリレート塗液を 布、加熱乾燥、硬化させて表面樹脂層(乾燥 さ10μm)を形成した。次に、水酸基モル当量 3206のエステル系ポリオールを溶剤に溶解し たエステル系ポリオール塗液(樹脂分:30.0%)と イソシアネート基モル当量が198のポリイソ アネート(樹脂分:100.0%)とを、100:0、100:1、100 :2、100:3、100:4、100:5、100:10と、混合割合(質量 比)を変えて混合し、イソシアネート基と水 基とのモル当量比(イソシアネート基/水酸基 )が0.00、0.54、1.08、1.82、2.16、2.70、5.41である7 種類のウレタン塗液を得、この各ウレタン塗 液を前記表面樹脂層に塗布、加熱乾燥して硬 化させた接着層(厚さ2μm)を形成することによ り、7種類の転写フィルムを作製した。

 そして、ポリカーボネート樹脂を厚さ5mm 透明なシート(タキロン株式会社製「ポリカ ーボネートシートPC1600」)に押出し成形しつ 、前記各転写フィルムの接着層をシート面 押し当てて加熱圧着して積層一体化した後 、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ ムを剥離して接着層と表面樹脂層とを転写 、ポリカーボネート樹脂基材、接着層、表 樹脂層とがこの順で積層した3層構造の透明 ポリカーボネート樹脂成形板を得た。これら を実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実 例5、実施例6、実施例7とする。

 各実施例の透明ポリカーボネート樹脂成 板の、透明性をJIS K7361-1に基づき、スガ試 機株式会社製直読ヘーズコンピューターHGM- 2DPを用いて、全光線透過率とヘーズとを調べ た。その結果を表1及び表2に記載する。

 また、各実施例の成形板の表面硬度を、J IS K5400に基づき、鉛筆硬度により調べた。そ の結果を表1及び表2に併記する。

 また、自己修復性を新東科学株式会社製 面性測定機、TYPE-HEIDON-14を用いて、室温23℃ の雰囲気中にて、荷重1kgの力で真鍮ブラシ( ラスコ中山株式会社製「木柄真鍮ブラシ4行 )を押し付け、5m/分の速度で10回往復して傷 付ける傷付与試験を行った。この傷付与試 終了後、約30秒経過した時点にて、ヘーズ 前記と同様に調べ、これを傷付与試験直後 ヘーズとした。さらに、試験後5分経過した きのヘーズを前記と同様に調べ、これを傷 与試験の5分経過後のヘーズとした。これら の結果を表1及び表2に併記する。さらに、傷 与試験前、試験後約30秒経過したとき、試 後5分経過したときの各ヘーズとから、試験 後のヘーズ変化量、及び前記式(1)に従って ーズの回復率を計算した。この結果を表1及 び表2に併記する。

 また、試験後5分経過したときの成形板の 表面状態を50cm離れた場所から観察し、傷が 視できるか否かを調べた。その結果を表1及 表2に併記する。傷が目視できない成形板に は「無」を、また目視できた成形板には「有 」と記した。これらのヘーズ、ヘーズ変化量 、ヘーズ回復率、目視観察の結果から、自己 修復性能を総合判定した。

 また、各成形板の表面樹脂層の密着性を JIS K5600-5-6に基づいて碁盤目密着性を調べ 。煮沸水に60分間浸漬した後の各成形板につ いて碁盤目テストを行ない、それぞれの未剥 離の数を調べると共に、煮沸水に浸漬した後 の各成形板の外観を目視により調べた。その 結果を表1及び表2に併記する。皺や膨れや気 などの不具合が目視できなかった成形板に ○を、目視できた成形板にはその不具合状 を記した。なお、煮沸水に浸漬する前の各 形板についても同様に碁盤目テスト、外観 調べた結果、全ての成形板は碁盤目テスト 剥離せず、外観も良好であった。

 さらに、熱加工性を調べるため、半径50mm の雄型と雌型を作製し、各成形板を乾燥後、 加熱(220℃、5分)して、雄型と雌型の間に表面 樹脂層が雌型側となるように挟み、型押し成 形を行ない、図5に示すような、中央に半径50 mmの半円形の凸状半円筒部を有する各熱加工 形体P3を得た。この各熱加工成形体P3の凸状 半円筒部の表面を観察し、白化、皺、気泡、 クラック等の不具合の有無を調べた。その結 果を表1及び表2に併記する。不具合がなかっ 成形体P3には○を、不具合があった成形体P3 にはその状態を記した。

(実施例8、9、10)
 実施例1で使用したウレタンメタアクリレー ト樹脂塗料100に対して、コロイダルシリカ( 産化学工業株式会社製「MIBK-ST」)を5、10、15 質量比となるように配合し、これらを溶剤( メチルイソブチルケトン)で希釈したシリカ 有ウレタンメタアクリレート塗液を3種類調 した。この各塗液を用いた以外は実施例4と 同様にして、転写フィルムを作製し、ボリカ ーボネートシートに転写することにより、3 類の3層構造の透明ポリカーボネート樹脂成 板を得た。これらを実施例8、実施例9、実 例10とする。

 これらの各実施例8、9、10の透明樹脂成形 板について、実施例1と同様に、透明性、表 硬度、自己修復性、煮沸水試験、型押し成 の各測定及び試験を行った。その結果を表1 び表2に併記する。

(実施例11)
 実施例1で使用したエステル系ポリオールと ポリイソシアネートとを混合割合100:3で混合 て、水酸基とイソシアネート基との当量比 1.82となるように混合すると共に、更に該混 合液100に対してコロイダルシリカ(日産化学 業株式会社製「MEK-ST」)を20の質量比となる うに添加、混合した接着層用のシリカ含有 レタン塗液を調製した。そして、この接着 用のシリカ含有ウレタン塗液を用いた以外 、実施例4と同様にして、転写フィルムを作 し、ボリカーボネートシートに転写するこ により、3層構造の透明ポリカーボネート樹 脂成形板を得た。これを実施例11とする。

 この実施例11の透明樹脂成形板に対して 実施例1と同様に、透明性、表面硬度、自己 復性、煮沸水試験、型押し成形の各測定及 試験を行った。その結果を表1及び表2に併 する。

(比較例1)
 実施例1で使用した2軸延伸ポリエチレンテ フタレートフィルムに、アクリル塗料(GE東 シリコーン株式会社製紫外線硬化型シリコ ン変性アクリル塗料「UVHC3000」)を塗布、乾 した後に、紫外線照射して硬化させて表面 脂層(厚さ4μm)を形成した。次に、実施例4で 用した水酸基とイソシアネート基との当量 が1.82であるウレタン塗液を用い、前記表面 樹脂層の上に、該ウレタン塗液を塗布、加熱 乾燥して硬化させた接着層(厚さ2μm)を形成す ることにより、転写フィルムを作製した。続 いて、実施例4と同様にして、厚さ5mmの透明 リカーボネートシートに転写して、3層構造 比較例1の透明樹脂成形板を得た。

 この比較例1の透明樹脂成形板に対して、 実施例1と同様に、透明性、表面硬度、自己 復性、煮沸水試験、型押し成形の各測定及 試験を行った。その結果を表1及び表2に併記 する。

(比較例2)
 実施例1で使用した2軸延伸ポリエチレンテ フタレートフィルムに、シリコーン系ハー コート塗料(株式会社日本ダクロシャムロッ 製ポリシロキサン系ハードコート処理剤「N P730」)を塗布、加熱乾燥、硬化させてハード ート機能を有する表面樹脂層(厚さ3μm)を形 した。次に、比較例1と同様にして、接着層 (厚さ2μm)を形成した転写フィルムを作製した 。続いて、実施例4と同様にして、厚さ5mmの 明ポリカーボネートシートに転写して、3層 造の比較例2の透明樹脂成形板を得た。

 この比較例2の透明樹脂成形板に対して、 実施例1と同様に、透明性、表面硬度、自己 復性、煮沸水試験、型押し成形の各測定及 試験を行った。その結果を表1及び表2に併記 する。

(比較例3)
 各実施例で押出し成形された厚さ5mmの透明 リカーボネート樹脂製樹脂基材(タキロン株 式会社製ポリカーボネートシートPC1600)を作 し、この樹脂基材に対して、実施例1と同様 、透明性、表面硬度、自己修復性、型押し 形の各測定及び試験を行った。これを比較 3とし、その結果を表1及び表2に併記する。

 この表1及び表2から理解されるように、 ずれの実施例も比較例も、全光線透過率は89 %以上の値を、ヘーズは0.7%以下の値を示して 透明合成樹脂成形板としての性能を有して る。

 また、鉛筆硬度は、樹脂基材のポリカー ネートシートである比較例3が4Bであるのに して、表面樹脂層の樹脂がポウレタンメタ クリレート樹脂である各実施例は3Bであり ポリカーボネート樹脂基材より向上してい 。一方、表面樹脂層がシリコーン変性アク ル樹脂よりなる比較例1はHB、シリコーン樹 よりなる比較例2は2Bであり、各実施例より 面硬度が高かった。このように、各実施例 ウレタンメタアクリレート樹脂よりなる表 樹脂層の表面硬度は、ポリカーボネート樹 基材より良好であるが、シリコーン変性ア リル樹脂及びシリコーン樹脂よりなる表面 脂層より劣っていて、傷が付きやすいこと わかる。

 そして、自己修復性を調べた傷付与試験 おいては、各実施例は試験前のヘーズが0.4~ 0.7%、試験後30秒の時点でのヘーズは1.0~1.3%で り、そのヘーズ変化量が0.5~0.8%となって傷 付いて透明性が悪くなっていた。そして、5 経過した時点では0.4~0.7%に変化して、試験 のヘーズにまでほぼ回復していた。その回 率を前記式(1)に基づいて計算すると、60~100% あった。さらに、試験後5分経過した時点で の表面状態の目視観察では、各実施例は傷が 観察されず透明性が回復していることがわか った。

 このように、各実施例は、その表面樹脂 が自己修復性能を有していて、成形板に傷 付いても元の透明性を回復して維持できる とがわかる。そして、表面樹脂層にシリカ 添加した実施例8、9、10のうち、実施例10の ーズ回復率が60%と他の実施例に比べて悪く っていた。この結果から、表面樹脂層にシ カを添加する場合には10質量比までが好ま いことがわかる。

 しかし、シリコーン系アクリル樹脂表面 脂層を有する比較例1は、試験前のヘーズが 0.5%であり、試験直後においても0.5%、試験の5 分経過した時点でも0.5%と変化がなく、表面 脂層には傷が付いていなくて、自己修復性 は不明である。また、シリコーン樹脂表面 脂層を有する比較例2は、試験前のヘーズ0.5% であり、試験直後には0.7%と高くなり、表面 度を有するものの傷が付く表面樹脂層であ た。そして、試験の5分経過した時点におい も0.7%と変化しておらず、傷がそのまま表面 樹脂層についたままであり、自己修復してい ないことがわかる。さらに、ポリカーボネー ト樹脂基材の比較例3は、試験前は0.4%と透明 を示したが、試験直後は24.2%と非常に悪く り傷が付き易いものであった。そして、試 の5分経過した時点においても24.2%と変化し おらず、傷がそのまま樹脂基材表面に残っ ままであり、自己修復していなかった。

 また、煮沸水試験において、実施例7を除 く各実施例の樹脂板は、100個のうちの90個以 が剥離せず、実用的な密着性を示した。実 例7は全て剥離したものの該試験前の碁盤目 テストでは全て剥離しておらず、煮沸水試験 などに類似する苛酷な条件に曝されなければ 十分密着性を有していた。実施例のうち、実 施例2、3、4、5、6、8、9、10は95個以上が剥離 ず、十分な密着性を示していて、ポリカー ネート樹脂成形板が層間剥離しない積層板 あることがわかる。そして、実施例3、4、5 6、8、9、10は、煮沸水試験後の外観観察に いても皺やクラックなどの不具合が発生し おらず、この結果からも十分に密着してい 。しかし、実施例1、11はテープ剥離結果に いても外観観察において、他の実施例より 悪くなっていた。一方、比較例1、2は共にテ ープ剥離試験において全てが剥離し、更に外 観観察においても皺やクラックが発生してい て、密着していないことがわかる。

 これらの煮沸水試験の結果より、各実施 は各比較例よりも密着性に優れていること わかる。特に、接着層におけるイソシアネ ト基の水酸基とのモル当量比が0.54以上~5.41 満であると、密着性に優れていることがわ る。特に、モル当量比が1.08以上~2.70以下で る接着層を有する樹脂成形板は、テープ剥 試験、外観観察において非常に優れた結果 あった。

 さらに、型押し成形試験において、実施 3~11は外観が良好に熱成形できて熱加工性に 優れていたが、実施例1、2は熱加工ができる のの気泡が発生し若干熱加工性に劣ってい 。一方、比較例1、2はクラックが生じて、 加工された成形体は白濁して透明性を有さ 、外観も悪く、耐擦傷性も有さないものと っていた。

 以上の試験の結果から、表面樹脂層をウ タンアクリレート樹脂で形成し、接着層を ソシアネート基と水酸基とのモル当量比が1 .08~2.70であるウレタン系樹脂で形成した透明 リカーボネート樹脂成形板は、自己修復性 良好で例え砂などで表面が傷付いても該傷 修復されて透明性を回復でき、その各層の 着性も良好で層間剥離がし難く、さらに型 し成形などの熱加工が可能な、実用的な樹 成形板であることがわかる。

 本発明の透明合成樹脂成形体は、砂など より傷が付いて透明性が低下しても、時間 経過すると該傷が自己修復して透明性が回 し、長期に亘り透明性を維持できる。その め、自動車やオートバイなどの車両の窓ガ スや風防面体、建設機械の保護板、工作機 室の覗き窓などに使用できる。