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Title:
METHOD FOR WATER PURIFICATION, EQUIPMENT FOR WATER PURIFICATION, AND WATER PURIFICATION SET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110499
Kind Code:
A1
Abstract:
A method for water purification which comprises bringing a scavenger containing both a compound represented by general formula (I) and metal ions capable of square planar coordination or octahedral coordination into contact with water containing molecules to be scavenged and bringing a porous solid into contact with water containing molecules to be scavenged. In general formula (I), one of R2, R3 and R4 is Ry present at a position meta or para to Rx; Rx and Ry are each independently a heterocyclic substituent described below; R1, R2, R3, R4 and R5 except Ry are each independently hydrogen, a substituted or unsubstituted hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms, or a sulfonic acid group, with the proviso that they are not simultaneously hydrogen; and in the heterocyclic substituent, R6 and R7 are each independently hydrogen or methyl and A is a 5- or 6-membered heterocyclic group containing at least one nitrogen atom.

Inventors:
KONDO MITSURU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054051
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
March 04, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV SHIZUOKA NAT UNIV CORP (JP)
KONDO MITSURU (JP)
International Classes:
C02F1/58; C02F1/28; C02F1/42; C07D233/61; C07F1/08
Domestic Patent References:
WO2008029804A12008-03-13
Foreign References:
JPS58174235A1983-10-13
JPS60143891A1985-07-30
JPH0717386U1995-03-28
Other References:
KIYOSHI SATO: "SIZE SERECTIVE RECOGNITION OF ANIONS BY A TETRACATIONIC IMIDAZOLIOPHANE", HETEROCYCLES, vol. 60, no. 4, 2003, pages 779 - 784
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Jun et al. (JP)
Nakajima 淳 (JP)
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Claims:
 下記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、被捕捉分子を含む水と、を接触させること、
及び、
 多孔質固体と、被捕捉分子を含む水と、を接触させること、
を含む水の浄化方法。

 
[式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し、

 
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水素基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
 前記複素環置換基のうち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。]
 前記被捕捉分子の分子サイズが1nm以下であることを特徴とする請求項1記載の水の浄化方法。
 前記捕捉剤との接触後の水と、前記多孔質固体と、を接触させる請求項1記載の水の浄化方法。
 前記多孔質固体が、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、クレー、及びシリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の水の浄化方法。
 前記一般式(I)中、R y がR x に対してパラ位にある請求項1記載の水の浄化方法。
 前記一般式(I)中、前記R 6 及びR 7 が共に水素原子である請求項1記載の水の浄化方法。
 前記一般式(I)中、R 3 がR y であり、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1~10の置換若しくは未置換の炭化水素基であり、Aがイミダゾリル基である請求項1記載の水の浄化方法。
 前記一般式(I)中、R 3 がR y であり、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1~6の置換若しくは未置換の炭化水素基であり、Aがイミダゾリル基である請求項1記載の水の浄化方法。
 前記一般式(I)中、R 3 がR y であり、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1又は2の置換若しくは未置換の炭化水素基であり、Aがイミダゾリル基である請求項1記載の水の浄化方法。
 前記捕捉剤が、前記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む配位化合物である請求項1記載の水の浄化方法。
 下記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を含む濾過部を備えた水の浄化装置。

 
[式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し、

 
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水素基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
 前記複素環置換基のうち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。]
 前記濾過部が、前記捕捉剤を含む捕捉部と、前記捕捉部に接続し、前記多孔質固体を含む吸着部と、を有する請求項11記載の水の浄化装置。
 下記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を有する水の浄化セット。

 
[式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し、

 
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水素基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
 前記複素環置換基のうち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。]
Description:
水の浄化方法、水の浄化装置、 び水の浄化セット

 本発明は、水の浄化方法、水の浄化装置 及び水の浄化セットに関する。

 従来より、水中の不純物の濃度を低減させ 水の浄化方法について、種々の検討がなさ ている。不純物の例として、過塩素酸塩が げられる。
 過塩素酸塩は、成人の代謝作用を司り小児 身体発育を促進する甲状腺に障害を及ぼす 質である。近年、土壌・水中において、高 度の過塩素酸イオンが検出された事例が、 次いで報告されている。また、過塩素酸イ ン(ClO 4 - )は、水に対して高い溶解度を示し、全ての イオンの中で、最も陽イオンと相互作用し くいため、沈殿等として水溶液から取り出 ことが困難なイオンである。
 過塩素酸塩(又は過塩素酸イオン)により汚 された廃液から過塩素酸塩を除去する技術 して、過塩素酸塩を濃縮し、濃縮された過 素酸塩溶液にKClを加えて過塩素酸カリ(KClO 4 )を生成させ、冷却して結晶化させる方法が られている(例えば、特表平9-504472号公報参 )。また、樹脂を用いて過塩素酸塩を除去す 水処理システム(例えば、特開2004-346299号公 及び「NEDO海外レポート、No.946、2004.12.15、[ 成20年2月19日検索]、インターネット<http:/ /www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/946/946-07.pdf>」参 )も知られている。
 一方、種々のイオンを取り込むようにカプ ルを形成しうる化合物が知られている(例え ば、J.Am.Chem.Soc., 2003, Vol.125, No.28, p.8595-8613 照)。この化合物は、カプセル内に取り込ま れるイオンの種類やイオンのサイズにかかわ らず、カプセル骨格を形成しやすい構造を有 する。

 しかしながら、過塩素酸塩から過塩素酸カ を生成させ結晶化させる前記の方法では、 液から溶媒を蒸発させる濃縮工程を有する め、溶液の状態を保持したまま、溶液中の 塩素酸イオンを捕捉することはできない。 た、樹脂を用いて過塩素酸塩を除去する前 の方法では、樹脂の再生にコストがかかる 、過塩素酸イオン捕捉に関し、選択性に劣 問題がある。
 一方、前記カプセルを形成しうる化合物を いて過塩素酸イオンの除去を試みたとして 、複数の陰イオンが存在する系から過塩素 イオンを選択的に捕捉することはできない
 従って、過塩素酸イオン等の特定の分子を 択的に捕捉し、捕捉された被捕捉分子の水 における濃度を低減させる浄化方法の開発 必要である。

 本発明は前記に鑑みなされたものであり 被捕捉分子の少ない水に浄化できる水の浄 方法、水の浄化装置、及び水の浄化セット 提供することを目的とする。

 前記課題を解決するための手段は以下のと りである。
<1> 下記一般式(I)で表される化合物及び 面四配位又は正八面体配位可能な金属イオ を含む捕捉剤と、被捕捉分子を含む水と、 接触させること、及び、多孔質固体と、分 サイズ1nm以下の被捕捉分子を含む水と、を 触させること、を含む水の浄化方法である


 

[式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し 、

 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子 、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水 基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水 原子であることはなく、前記複素環置換基 うち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を 表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員 又は6員の複素環基を表す。]

<2> 前記被捕捉分子の分子サイズが1nm以 であることを特徴とする<1>記載の水の 化方法である。
<3> 前記捕捉剤との接触後の水と、前記 孔質固体と、を接触させる<1>記載の水 浄化方法である。
<4> 前記多孔質固体が、活性炭、ゼオラ ト、イオン交換樹脂、クレー、及びシリカ ルからなる群から選択される少なくとも1種 である<1>記載の水の浄化方法である。
<5> 前記一般式(I)中、R y がR x に対してパラ位にある<1>記載の水の浄化 方法である。
<6> 前記一般式(I)中、前記R 6 及びR 7 が共に水素原子である<1>記載の水の浄化 方法である。

<7> 前記一般式(I)中、R 3 がR y であり、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1~10の置換若し は未置換の炭化水素基であり、Aがイミダゾ ル基である<1>記載の水の浄化方法であ 。
<8> 前記一般式(I)中、R 3 がR y であり、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1~6の置換若しく は未置換の炭化水素基であり、Aがイミダゾ ル基である<1>記載の水の浄化方法であ 。
<9> 前記一般式(I)中、R 3 がR y であり、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1又は2の置換若 くは未置換の炭化水素基であり、Aがイミダ ゾリル基である<1>記載の水の浄化方法で ある。
<10> 前記捕捉剤が、前記一般式(I)で表さ れる化合物及び平面四配位又は正八面体配位 可能な金属イオンを含む配位化合物である< ;1>記載の水の浄化方法である。

<11> 下記一般式(I)で表される化合物及 び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イ オンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を含む 濾過部を備えた水の浄化装置である。

[式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し 、

 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子 、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水 基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水 原子であることはなく、前記複素環置換基 うち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を 表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員 又は6員の複素環基を表す。]

<12> 前記濾過部が、前記捕捉剤を含む 捕捉部と、前記捕捉部に接続し、前記多孔質 固体を含む吸着部と、を有する<11>記載 水の浄化装置である。

<13> 下記一般式(I)で表される化合物及 び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イ オンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を有す る水の浄化セットである。

[式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し 、

 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子 、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水 基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水 原子であることはなく、前記複素環置換基 うち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を 表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員 又は6員の複素環基を表す。]

 本発明によれば、被捕捉分子の少ない水 浄化できる水の浄化方法、水の浄化装置、 び水の浄化セットを提供することができる

本発明に係る水の浄化装置の一例を示 概念図である。 本発明に係る水の浄化装置の別の一例 示す概念図である。 本発明の参考例に係る捕捉カプセル型分子1 子が過塩素酸イオン(ClO 4 - )1分子を内包する様子を、原子半径を無視し 表した図である。 本発明の参考例に係る捕捉カプセル型分子1 子が過塩素酸イオン(ClO 4 - )1分子を内包する様子を、ファンデルワール 半径を考慮して表した図である。 本発明の参考例に係る配位化合物の二 元シート型構造(A layer)を示す図である。 本発明の参考例に係る配位化合物の二 元シート型構造(B layer)を示す図である。 本発明の参考例に係る配位化合物の三 元構造を示す図である。

≪水の浄化方法≫
 本発明の水の浄化方法は、下記一般式(I)で される化合物と平面四配位若しくは正八面 配位可能な金属イオンとを含む捕捉剤と、 捕捉分子を含む水と、を接触させること、 び、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とを 触させること、を有する。
 本発明では、前記捕捉剤と被捕捉分子を含 水とが接触すると、後述するように、一般 (I)で表される化合物4分子と前記金属イオン 2個とによって被捕捉分子1分子を取り囲んだ 造の捕捉カプセル型分子が形成される。ま 、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とが接 すると、前記被捕捉分子及び前記捕捉カプ ル型分子が多孔質固体に吸着する。
 以上により、本発明の水の浄化方法によれ 、水中における被捕捉分子の濃度を効果的 低減でき、被捕捉分子の少ない水に浄化で る。

 前記被捕捉分子としては、前記捕捉剤によ 捕捉される分子であれば特に限定はないが 上記効果をより効果的に得る観点からは、 子サイズ1nm以下の被捕捉分子であることが ましい。
 本発明において、分子サイズ1nm以下とは、 子の最大径が1nm以下であることを指す。
 ここで、分子の最大径は、ファンデルワー ス半径を考慮して作製した構造モデルを基 、その分子を構成する末端の原子間距離の 長距離の平均から求められた値を指す。
 また、本発明における「分子」は、陽イオ 、陰イオン、及び中性分子のいずれであっ もよい。

 本発明における被捕捉分子の具体例を以下 示す。
 陰イオンとして、過塩素酸イオン(ClO 4 - )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF 3 SO 3 - )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF 4 - )、アジ化物イオン(N 3 - )、リン酸イオン(PO 4 3- )、等が挙げられる。
 中性分子として、ベンゼン、トルエン、キ レン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、 挙げられる。

 以上の具体例の中でも、除去効率の点から 、過塩素酸イオン(ClO 4 - )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF 3 SO 3 - )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF 4 - )が好ましい。

 また、本発明における「被捕捉分子を含む 」は、水中に被捕捉分子が含まれている限 他の成分を含んでいてもよい。
 「被捕捉分子を含む水」には、例えば、飲 水、工業用水、廃水等のほか、各種水溶液 コロイド溶液(牛乳等)、食品や土壌等を含 懸濁液、等が含まれる。

<捕捉剤>
 本発明における捕捉剤は下記一般式(I)で表 れる化合物及び平面四配位又は正八面体配 可能な金属イオンを含む。
 本発明における捕捉剤の形態としては、一 式(I)で表される化合物及び前記金属イオン 含む配位化合物の形態や、前記配位化合物 び他の成分を含む混合物の形態が挙げられ 。
 また、本発明における捕捉剤の別の形態と ては、独立して存在する(即ち、前記配位化 合物の形態をとらない)一般式(I)で表される 合物と、前記金属イオンを含む金属塩と、 有する混合物の形態が挙げられる。
 以下、一般式(I)で表される化合物について 明し、引き続き、平面四配位又は正八面体 位可能な金属イオン、配位化合物、金属塩 ついて説明する。

~ 一般式(I)で表される化合物 ~

 式中、R 2 、R 3 、及びR 4 のうち1つは、R x に対してメタ位又はパラ位にあるR y であり、R x 及びR y は互いに独立して下記の複素環置換基を表し 、

 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子 、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水 基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水 原子であることはなく、
 前記複素環置換基のうち、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を 表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員 又は6員の複素環基を表す。

 前記一般式(I)で表される化合物は、液体試 中で、平面四配位又は正八面体配位可能な 属イオンと被捕捉分子とに接触すると、複 集まって前記金属イオンとともに、被捕捉 子を取り込んでカプセル分子を形成する(自 己集積化反応;例えば、後述の図3及び図4参照 )。被捕捉分子の具体例については前述のと りである。
 本発明においては、被捕捉分子を取り込ん カプセル分子を、「捕捉カプセル型分子」 いう。
 捕捉カプセル型分子は、被捕捉分子1分子を 内包して捕捉するほか、前記捕捉カプセル型 分子の外側(2個の金属イオン)にも、配位結合 により被捕捉分子を捕捉することができる。 従って、捕捉カプセル型分子1分子は、被捕 分子を3分子捕捉することが可能である。さ に、捕捉カプセル型分子1分子は、被捕捉分 子3分子に加え、別の捕捉カプセル型分子と 間に、被捕捉分子をさらに1分子捕捉するこ が確認されている。即ち、捕捉カプセル型 子1分子は、被捕捉分子を最大4分子まで捕 できることがわかっている。
 以上の形態は、例えば単結晶構造解析及び 視・紫外分光スペクトル等により確認する とができる。

 前記一般式(I)で表される化合物による自己 積化反応は、被捕捉分子に対して極めて高 選択性を示すため、液体中に被捕捉分子が 在する場合、効率よくかつ確実に被捕捉分 を捕捉することができる。
 なお、前記一般式(I)で表される化合物は、 記金属イオンと被捕捉分子以外の陰イオン に接触した場合には、このような捕捉カプ ル型分子ではなく、後述する配位化合物の うな高分子構造を容易に形成する。

 前記一般式(I)において、R y がR x に対してパラ位にあること、即ち、R 3 がR y であることが、被捕捉分子が離脱しない、隙 間の無い捕捉空間を形成させる観点から、好 ましい。
 また、R y とR x は同一の複素環置換基であることが、生成す る捕捉カプセル型分子の異性体の数を制限で き、生成物の同定を行いやすい観点からは、 好ましい。
 R x 及びR y において、R 6 及びR 7 は、芳香族環の他の置換基と立体障害を起こ すことなく、捕捉カプセル型分子を形成しう る観点から、共に水素原子であることが好ま しい。

 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子 、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水 基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水 原子であることはない。また、R 1 及びR 2 は、互いに結合して環(芳香族環又は脂肪族 )を形成してもよい。また、R 4 及びR 5 も、互いに結合して環(芳香族環又は脂肪族 )を形成してもよい。
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 のうち、R y を除いた残りとしては、炭素数1~30の置換若 くは未置換の炭化水素基が好ましい。
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 及びR 5 で表される炭化水素基の炭素数としては、合 成容易性の観点や、一般式(I)で表される化合 物同士が立体的に障害となることなくカプセ ルを形成し、また陰イオンのカプセル内から の離脱を防ぐ観点から、1~10が好ましく、1~6 より好ましく、1~2が特に好ましい。
 この炭化水素基に置換可能な置換基として 、ハロゲン原子、スルホン酸基、ニトロ基 ヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基を げることができるが、合成容易性、安定性 及び水に対する不溶性の観点から、フッ素 子、又はパーフルオロアルキル基が好まし 。

 R x 及びR y において、Aで表される複素環基は、炭素数1~ 6のアルキル基やスルホン酸基等の置換基で 換されていてもよい。また、前記複素環基 には、窒素原子の他に、酸素原子や硫黄原 が含まれていてもよい。
 Aで表される複素環基としては、前記金属イ オンに配位可能な複素環基が挙げられる。こ のような複素環基としては、ピロール-1-イル 基以外のピロリル基、2H-ピロール-1-イル基以 外の2H-ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾ リル基、イソチアゾール-1-イル基以外のイソ チアゾリル基、イソオキサゾール-1-イル基以 外のイソオキサゾリル基、ピロリジン-1-イル 基以外のピロリジニル基、イミダゾリジニル 基、ピラゾリジニル基、ピリジン-1-イル基以 外のピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル 基、ピリダジニル基、ピペリジン-1-イル基以 外のピペリジニル基、ピペラジニル基、モル ホリン-4-イル基以外のモルホリニル基、下記 構造式で表される基が好ましい。

 前記の中でも、合成容易性と金属イオン 対する配位性との観点からは、ピロール-1- ル基以外のピロリル基、イミダゾリル基、 リジン-1-イル基以外のピリジル基、下記構 式で表される基がより好ましい。

 前記の中でもイミダゾリル基が特に好ま い。

 前記一般式(I)で表される化合物の特に好ま い形態は、合成の容易性の観点、異性体の 成の阻止の観点、及び被捕捉分子を離脱さ ないカプセル空間を形成させる観点からは R 3 がR y であって、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 が、それぞれ独立に、炭素数1~10(より好まし は炭素数1~6、更に好ましくは炭素数1又は2) 置換(より好ましくはハロゲン置換)若しく 未置換の炭化水素基であって、Aがイミダゾ ル基である形態である。

 また、前記一般式(I)で表される化合物と ては、合成の容易性の観点、異性体の生成 阻止の観点、及び被捕捉分子を離脱させな カプセル空間を形成させる観点からは、下 一般式(II)で表される化合物も好ましい。


 

 一般式(II)において、R 1 、R 2 、R 4 、及びR 5 は、R y でないこと以外は、一般式(I)におけるR 1 、R 2 、R 4 、及びR 5 について前述した事項をそのまま適用可能で ある。
 また、一般式(II)において、A 1 は、一般式(I)におけるAと同義であり、好ま い範囲も同様である。

 本発明の化合物は、例えば、ハロゲン置 された芳香族化合物と、一般式(I)中のAに相 当する化合物とをアルカリ金属塩の存在下で 反応させて、ハロゲン原子をAで置換するこ により容易に合成することができる。例え 、イミダゾールとα,α’-ジブロモ-p-キシレ を水素化ナトリウムの存在下で加熱反応さ て、1,4-ビス(イミダゾール-1-イル-メチル)ベ ゼンを合成することができる。このような 成方法としては、例えば、C.-H. Zhou, R.-G. X ie, and H.-M. Zhao, Organic. Preparations and Procedu res Int., 1996, 28(3), 345 に記載されている。

 以下、一般式(I)で表される化合物の例示 合物(例示化合物(a)~(h))を示す。ただし本発 はこれらに限定されるものではない。

 前記例示化合物(a)~(h)のうち、例示化合物 (a)又は例示化合物(b)がより好ましい。

~ 平面四配位又は正八面体配位可能な金属イ オン ~
 本発明における平面四配位又は正八面体配 可能な金属イオンとしては、例えば、Zn 2+ 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Co 2+ 、Fe 2+ 、Mn 2+ 、Ag + 、Pd 2+ 、及びPt 2+ が挙げられる。
 中でも、捕捉カプセル型分子の形成性及び 位化合物の形成性の観点等からは、Zn 2+ 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Pd 2+ 、Pt 2+ が好ましく、Cu 2+ が特に好ましい。

~ 配位化合物 ~
 本発明における配位化合物は、前述の一般 (I)で表される化合物と、前述の金属イオン 、を含む化合物である。

 前記配位化合物を液体試料中で前記被捕捉 子に接触させると、該配位化合物を構成す 前記一般式(I)で表される化合物及び前記金 イオンが、前記被捕捉分子を取り込んだ捕 カプセル型分子に再構成される。
 このため、前記一般式(I)で表される化合物 単体として用いる場合と同様に、前記被捕 分子を選択性高く捕捉することができる。

 本発明の配位化合物の具体的な構造として 、該配位化合物に含まれる複数の金属イオ のそれぞれに対し、前記一般式(I)で表され 化合物が複数配位した高分子錯体の構造が げられる。
 該高分子錯体の構造としては、例えば、各 属イオンに対し前記一般式(I)で表される化 物が4分子ずつ配位した二次元シート型構造 などがある。該二次元シート型構造において は、各一般式(I)で表される化合物は、二つの 金属イオン間に配置され、一方の複素環中の 窒素原子の部分で一方の金属イオンに配位し 、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の 金属イオンに配位している(例えば、後述す 図5及び図6参照)。
 本発明の配位化合物には、水分子や前記被 捉分子以外の陰イオンが含まれることがあ が、これらの水分子や陰イオンは、前記金 イオンに配位していてもよいし、前記金属 オンに配位していなくてもよい。

 前記二次元シート型構造の配位化合物にお て、金属イオンに陰イオンが配位した例と ては、例えば、後述する図5中の「A layer」 挙げられる。
 また、前記二次元シート型構造の配位化合 において、金属イオンに水分子が配位した としては、例えば、後述する図6中の「B lay er」が挙げられる。

 また、前記配位化合物の構造が前記陰イオ を含む前記二次元シート型構造である場合 該二次元シート型構造中の陰イオンは、(1) の二次元シート型構造中の金属イオンと配 結合するか、(2)別の二次元シート型構造中 金属イオンに配位した水分子と水素結合し いてもよい。前記(1)及び(2)の場合には、前 配位化合物の構造は二次元シート型構造が 数重なった三次元構造となる(例えば、後述 する図7参照)。
 また、三次元構造の別の例としては、金属 オンに水分子が配位した二次元シート型構 (例えば、後述する図6中の「B layer」)同士 、陰イオン(例えば、硫酸イオン)を介して相 互に重なった構造も挙げられる。この構造で は、二次元シート型構造中の水分子と、別の 二次元シート型構造中の水分子と、が陰イオ ンを介して相互作用している。

 以上で説明した配位化合物の構造は、例 ば、元素分析や単結晶構造解析等により明 かとなっている。

 また、本発明の配位化合物に含まれること ある、被捕捉分子以外の陰イオンとしては 例えば、OH - 、SO 4 2- 、CO 3 2- 、NO 3 - 、CH 3 COO - 、C 2 O 4 2- 、HCOO - 、Cl - 、Br - 、F - 、PF 6 - 、アセチルアセトナト(C 5 H 7 O 2 - )、SiF 6 2- 、等が挙げられる。
 中でも、配位化合物の形成性の観点等から 、NO 3 - 、SO 4 2- 、OH - 、CO 3 2- が好ましく、SO 4 2- がより好ましい。

 本発明の配位化合物の合成方法としては 前記金属イオン(A成分)と、前記一般式(I)で される化合物(B成分)とを、モル比〔A成分/B 分〕が1/2となる割合で反応させる方法が挙 られる。

 前記A成分と前記B成分とを反応させる方 としては、前記A成分と被捕捉分子以外の陰 オン(具体例は前述のとおりである)とから る金属塩を、溶剤(例えば、水、ジメチルホ ムアミド、メタノール、エタノール、プロ ノール、アセトニトリル、アセトン、等)中 に溶解させて溶液Aとし、前記B成分を別の溶 (例えば、ジメチルホルムアミド、メタノー ル、エタノール、プロパノール、アセトニト リル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Bと 、溶液Aと溶液Bとを混合して反応させる方 が挙げられる。

 また、前記A成分と前記B成分とを同一の 剤中に溶解させて反応させてもよく、この 合の溶剤としては、メタノール、ジメチル ルムアミド、又はエタノール等の単一溶媒 使用してもよいし、水/アセトニトリル、水/ ジメチルホルムアミド、水/メタノール、水/ タノール、メタノール/ジメチルホルムアミ ド、エタノール/ジメチルホルムアミド等の 合溶剤を使用してもよい。

~ 金属塩 ~
 本発明における捕捉剤は、上記配位化合物 含む形態の他、独立して存在する(配位化合 物の形態をとらない)一般式(I)で表される化 物と、金属塩と、を含む混合物の形態であ てもよい。
 ここで、金属塩としては、上述の「A成分と 被捕捉分子以外の陰イオンとからなる金属塩 」を用いることができる。

<多孔質固体>
 本発明における多孔質固体の具体例として 、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂(陽 イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂)、ク ー(粘土)、シリカゲル、ガラスファイバー、 不織布、濾紙、等が挙げられる。中でも、活 性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、クレー (粘土)、シリカゲルが好ましく、活性炭、ゼ ライト、イオン交換樹脂、クレー(粘土)が り好ましい。

 前記活性炭としては、例えば、破砕状活 炭、顆粒状活性炭、粉末状活性炭が挙げら 、中でも、処理される水溶液の通過速度の から、顆粒状活性炭、破砕状活性炭が好ま く、破砕状活性炭がより好ましい。

 前記ゼオライトとしては、天然ゼオライト 合成ゼオライトが利用できる。
 例えば、ゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオ ライト5A、ゼオライト13Xが挙げられ、中でも ゼオライト5A、ゼオライト13Xが好ましく、 オライト13Xがより好ましい。

 前記陰イオン交換樹脂としては、アクリ 系の陰イオン交換樹脂、スチレン系の陰イ ン交換樹脂、ジメチルアミン系の陰イオン 換樹脂が挙げられ、中でも、スチレン系の イオン交換樹脂、ジメチルアミン系の陰イ ン交換樹脂が好ましく、ジメチルアミン系 陰イオン交換樹脂がより好ましい。

 前記陽イオン交換樹脂としては、スチレ 系の陽イオン交換樹脂、メタクリル酸系の イオン交換樹脂、アクリル酸系の陽イオン 換樹脂が挙げられ、中でも、メタクリル酸 の陽イオン交換樹脂が好ましい。

 本発明における多孔質固体の孔径として 特に限定はないが、被捕捉分子のサイズに る吸着性等の観点から、0.4nm~1.5nmが好まし 、0.6nm~1.0nmが特に好ましい。

 本発明では、捕捉剤と被捕捉分子を含む水 を接触させる方法は、被捕捉分子を含む水 捕捉剤を添加する方法でも、被捕捉分子を む水を捕捉剤に通過させる方法でもよい。
 また、本発明では、多孔質固体と被捕捉分 を含む水とを接触させる方法は、被捕捉分 を含む水に多孔質固体を添加する方法でも 被捕捉分子を含む水を多孔質固体に通過さ る方法でもよい。

 本発明では、捕捉剤と被捕捉分子を含む (以下、この「被捕捉分子を含む水」を、単 に「液体試料」ともいう)とを接触させるこ (以下、「処理A」ともいう)、及び、多孔質 体と被捕捉分子を含む水とを接触させるこ (以下、「処理B」ともいう)、は同時に行っ も別個独立に行ってもよい。

 本発明において、処理A及び処理Bを同時 行う形態としては、前記捕捉剤と前記多孔 固体とを液体試料中に添加する(独立に添加 ても混合物として添加してもよい)形態、前 記捕捉剤と前記多孔質固体とを含む混合物に 液体試料を通過させる形態、等が挙げられる 。

 本発明において、処理A及び処理Bを別個独 に行う形態としては、処理Aから処理Bの順に 行う形態と、処理Bから処理Aの順に行う形態 、が挙げられる。
 被捕捉分子の濃度をより効果的に低減する 点からは、処理A及び処理Bを別個独立に行 形態としては、上記2形態のうち、処理Aから 処理Bの順に行う形態(即ち、捕捉剤との接触 の液体試料と、前記多孔質固体と、を接触 せる形態)が好ましい。
 また、処理Aから処理Bの順に行うことで、 捕捉分子の濃度だけでなく、金属イオンの 度をも低減できる。

 処理Aから処理Bの順に行う形態の具体例と ては、液体試料を捕捉剤に通過させ(処理A) 捕捉剤を通過した液体試料を、更に多孔質 体に通過させる(処理B)形態が好適である。 の形態の場合、必要に応じ、その他の濾過 組み合わせてもよい。
 処理Aから処理Bの順に行う形態の別の具体 としては、捕捉剤を前記液体試料に添加し( 理A)、捕捉剤が添加された液体試料から未 応分の捕捉剤を濾過等により除去し、捕捉 が除去された液体試料に多孔質固体を添加 る(処理A)形態が挙げられる。

 本発明において、捕捉剤と被捕捉分子を含 水とを接触させる時間については特に限定 ないが、2時間以上が好ましく、6時間以上 より好ましく、10時間以上が特に好ましい。 上限も特に限定はないが、例えば30時間であ 。
 本発明において、多孔質固体と被捕捉分子 含む水とを接触させる時間についても特に 定はなく多孔質固体の種類にもよるが、2時 間以上が好ましく、6時間以上がより好まし 、10時間以上が特に好ましい。上限も特に限 定はないが、例えば30時間である。

 前記処理Aにおいては、一般式(I)で表される 化合物と金属イオンと被捕捉分子との接触頻 度を高め、捕捉カプセル型分子形成反応の反 応性を向上させる観点からは、液体試料を加 熱してもよい。加熱の温度としては、金属塩 の種類、一般式(I)で表される化合物の種類、 及び配位化合物の種類などによっても異なる が、0~100℃が好ましく、20~70℃がより好まし 。
 前記処理Bにおける液体試料の温度は、多孔 質固体の種類等によっても異なるが、吸着性 の観点からは、5~40℃が好ましく、20~30℃がよ り好ましい。

 以上、本発明の水の浄化方法の好ましい形 について説明したが、本発明の水の浄化方 は、前記処理A及び前記処理B以外に、前処 、中処理、後処理など、その他の処理を含 でいてもよい。
 前記前処理の例としては、例えば、液体試 が酸性やアルカリ性を示す場合に、液体試 を緩衝剤に通過させる(又は、該液体試料に 緩衝剤を添加する)ことで、該液体試料を中 に近づける処理が挙げられる。この処理に り、特に、処理Aにおける効率が更に向上す 。ここで、緩衝剤としては、土などが挙げ れる。
 前記後処理の例としては、公知のフィルタ による濾過等が挙げられる。

≪水の浄化装置≫
 本発明の水の浄化装置は、前記一般式(I)で される化合物及び平面四配位又は正八面体 位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔 固体と、を含む濾過部を備える。
 本発明の水の浄化装置によれば、前記捕捉 と前記被捕捉分子を含む水とを接触させる とができ、さらに、多孔質固体と被捕捉分 を含む水とを接触させることができるので 水中の被捕捉分子の濃度を効果的に低減で る。

 以下、本発明の水の浄化装置の一例につい 、図1を参照して説明する。
 図1において、水の浄化装置10は、捕捉剤14 び多孔質固体16を含む濾過部12を有している 濾過部12は供給口22及び排出口24を有し、排 口24には流量調節部18が接続されている。
 また、捕捉剤14の下流側(排出口24側、以下 じ)にはフィルタ15が、多孔質固体16の下流側 にはフィルタ17が、それぞれ備えられている
 捕捉剤14及び多孔質固体16の配置は、上流側 (供給口22側、以下同じ)が捕捉剤14、下流側が 多孔質固体16となっている。

 次に、水の浄化装置10を用いて液体試料(即 、被捕捉分子を含む水)の浄化処理を行う場 合について説明する。
 まず、矢印Iの方向から液体試料が濾過部12 供給され、供給された液体試料は、濾過部1 2内で捕捉剤14に接触する(前記処理A)。これに より液体試料中の被捕捉分子が捕捉剤14によ 捕捉される(即ち、捕捉カプセル型分子が形 成される)。
 次に、液体試料は、フィルタ15を通過し、 孔質固体16と接触する(前記処理B)。これによ り、前記捕捉剤により捕捉しきれなかった微 量の被捕捉分子が多孔質固体16に吸着される 一方、前記で形成された捕捉カプセル型分 も多孔質固体16に吸着する。
 以上の浄化処理の後の液体試料は、フィル 17、排出口24及び流量調節部18を通り、矢印O の方向に排出される。

 上記浄化処理では、液体試料と捕捉剤14と 接触時間、及び、液体試料と多孔質固体16と の接触時間は、流量調節部18により一括して 整できる。
 該接触時間の好ましい範囲は前述のとおり ある。
 例えば、捕捉剤14及び多孔質固体16のうち、 接触時間を多く必要とする側にあわせ、流量 調節部18により流量を調節することが好まし 。
 流量調節部18としては、操作弁や調整弁等 公知の手段を用いることができる。

 前記濾過部12の具体的な構造としては、例 ば、中空容器中に捕捉剤14及び多孔質固体16 入れた構造が挙げられる。ここで、中空容 としては特に限定はなく、例えば、公知の ラムやフィルタハウジング等を用いること できる。
 捕捉剤14の量としては特に限定はないが、 えば、被捕捉分子を100ppm含む水100lを処理す 場合には、50g以上が好ましく、100g以上がよ り好ましい。上限も特に限定はないが、例え ば500gである。
 また、多孔質固体16の量としても特に限定 ないが、例えば、被捕捉分子を100ppm含む水10 0lを処理する場合には、50g以上が好ましく、1 00g以上がより好ましい。上限も特に限定はな いが、例えば500gである。

 また、中空容器中、捕捉剤14の下流側及び 孔質固体16の下流側に備えられたフィルタ15 びフィルタ17としては、公知のフィルタを いることができる。なお、これらのフィル の少なくとも一方は省略することも可能で る。
 また、水の浄化装置10では、前記中空容器 捕捉剤14及び多孔質固体16を直接入れる形態 は限られず、前記中空容器に捕捉剤14を含 カートリッジ及び多孔質固体16を含むカート リッジを装着する形態であってもよい。

 また、図1では、上流側を捕捉剤14(即ち、捕 捉部)、下流側を多孔質固体16(即ち、吸着部) して濾過部を2つに分けた構成となっている が、捕捉剤14と多孔質固体16とが混合されて つの濾過部を構成してもよい。
 但し、被捕捉分子の濃度をより低下させる 点からは、図1のように、上流側に捕捉部と しての捕捉剤14、下流側に吸着部としての多 質固体16を配置することがより好ましい。

 また、液体試料の流路における、濾過部1 2の上流側に流量調節部を設け、液体試料の 給速度を調節できるようにしてもよい。

 以上、一つの中空容器中に捕捉剤14及び多 質固体16を一緒に入れる形態について説明し たが、図2に示すように、捕捉剤14及び多孔質 固体16を別々の中空容器に入れる他の一例も 適である。
 図2において、水の浄化装置30は、捕捉剤14 有する捕捉部32と、多孔質固体16を含む吸着 42と、を有している。捕捉部32と吸着部42と より濾過部が構成される。捕捉部32及び吸 部42の具体的構造は、前記水の浄化装置30中 濾過部12について説明した事項をそのまま 用できる。また、捕捉剤14及び多孔質固体16 好ましい量については、水の浄化装置10の 合と同様である。
 捕捉部32は供給口36及び排出口37を有してい 。捕捉剤14の下流側(排出口37側、以下同じ) は、フィルタ35が備えられている。なお、 ィルタ35は省略することもできる。
 吸着部42は供給口46及び排出口47を有してお 、多孔質固体16の下流側(排出口47側、以下 じ)には、フィルタ45が備えられている。な 、フィルタ45は省略することもできる。
 前記捕捉部32の排出口37と、前記吸着部42の 給口46と、は接続部40によって接続されてい る。接続部40は、後述するように流量調節機 を有していてもよい。
 また、前記吸着部42の排出口47には流量調節 部50が接続されている。

 水の浄化装置30を用いても、前述の水の浄 装置10を用いた場合と同様に水(液体試料)の 化を行うことができる。
 即ち、矢印Iの方向から液体試料が捕捉部32 供給され、供給された液体試料は、捕捉部3 2内で捕捉剤14に接触する(処理A)。これにより 液体試料中の被捕捉分子が捕捉剤14により捕 される(即ち、捕捉カプセル型分子が形成さ れる)。
 捕捉剤14に接触後の液体試料は、フィルタ35 、排出口37、接続部40、及び供給口46を通って 吸着部42に移送される。
 移送された液体試料は、多孔質固体16と接 する(処理B)。これにより、前記捕捉剤によ 捕捉しきれなかった微量の被捕捉分子が多 質固体16に吸着される。一方、前記で形成さ れた捕捉カプセル型分子も多孔質固体16に吸 する。
 以上の浄化処理の後の液体試料は、フィル 45、排出口47及び流量調節部50を通り、矢印O の方向に排出される。

 水の浄化装置30において、液体試料と捕捉 14との接触時間、及び、液体試料と多孔質固 体16との接触時間は、流量調節部50により一 して調整できる。
 該接触時間の好ましい範囲は前述のとおり ある。
 例えば、捕捉剤14及び多孔質固体16のうち、 接触時間を多く必要とする側にあわせ、流量 調節部50により流量を調節することが好まし 。
 流量調節部50としては、操作弁や調整弁等 公知の手段を用いることができる。

 また、水の浄化装置30では、流量調節部50と 同様の手段を他の箇所に設けることもできる 。
 例えば、液体試料の流路における、捕捉部3 2と吸着部42との間に流量調節部を設けること で、液体試料と捕捉剤14との接触時間と、液 試料と多孔質固体16との接触時間と、をそ ぞれ独立に調節することができる。
 前記「液体試料の流路における、捕捉部32 吸着部42との間」とは、例えば、捕捉部32の 流側(例えば、排出口37付近)、吸着部42の上 側(例えば、供給口46付近)、等が挙げられる 。また、接続部40が流量調節機能を有してい もよい。
 また、液体試料の流路における、捕捉部32 上流側(例えば、供給口36付近)に流量調節部 設け、液体試料の供給速度を調節できるよ にしてもよい。

 また、捕捉部32と吸着部42との接続は、図 2に示す独立した接続部40を用いることには限 定されない。例えば、捕捉部32の端部と吸着 42の端部とに、相互に接続可能な機構(ねじ 構など)を備え、この機構により捕捉部32と 着部42とが接続されていてもよい。

 以上、本発明の水の浄化装置の例につい 説明したが、捕捉剤と、多孔質固体と、を む濾過部を備える限り、本発明の水の浄化 置は上記2例に限定されるものではない。例 えば、公知の浄水器等の構造を特に制限なく 用いることができる。

≪水の浄化セット≫
 本発明の水の浄化セットは、前記一般式(I) 表される化合物及び平面四配位又は正八面 配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多 質固体と、を含む。
 前記水の浄化セットを用い、本発明の水の 化方法を行うことができる。
 即ち、捕捉剤を用いて前記処理Aを行うこと ができ、多孔質固体を用いて前記処理Bを行 ことができる。

 前記水の浄化セットを用いる利点として 捕捉剤を、液体試料に任意の時間接触させ ことを、簡易に行えることが挙げられる。 えば、捕捉剤をガラスフィルター容器に充 後、液体試料中に任意の時間浸し、続いて 性炭、あるいはイオン交換樹脂などを水溶 に任意の時間浸す、などの操作が可能とな 。

 前記水の浄化セットの具体的形態としては 捕捉剤と、多孔質固体と、を個別に容器に れた状態で組み合わせたセットの形態が挙 られる。この形態では、捕捉剤と多孔質固 とを1種ずつ組み合わせたセットであっても よいし、捕捉剤及び/又は多孔質固体を複数 含むセット(即ち、被捕捉分子種などの条件 応じて捕捉剤と多孔質固体との組み合わせ 選択できるセット)であってもよい。
 この形態において、捕捉剤及び多孔質固体 、それぞれ使用時に容器から出して用いる とができる。

 また、前記水の浄化セットの別の具体的形 としては、捕捉剤を含む捕捉部材と、多孔 固体を含む吸着部材と、を組み合わせたセ トの形態も好適である。この形態では、捕 部材と吸着部材とを1種ずつ組み合わせたセ ットであってもよいし、捕捉部材及び/又は 着部材を複数種含むセット(即ち、被捕捉分 種などの条件に応じて捕捉部材と吸着部材 の組み合わせを選択できるセット)であって もよい。
 ここで、捕捉部材及び吸着部材については 上述した水の浄化装置30について説明した 捉部32及び吸着部42と同様の構造の部材をそ ぞれ適用できる。
 この形態では、捕捉部材を用いて前記処理A を行うことができ、吸着部材を用いて前記処 理Bを行うことができる。
 また、前記捕捉部材と前記吸着部材とを接 することにより、本発明の水の浄化装置を ることができる。接続は、前述のとおり、 立した接続部材を用いて行ってもよいし、 記捕捉手段の端部及び前記吸着手段の端部 、相互に接続可能な機構(ねじ機構など)を えることにより行ってもよい。

 以下、本発明の実施例について説明する 、本発明はこれらの実施例に限定されるも ではない。

〔参考例1〕
<例示化合物(a)(1,4-ビス(イミダゾール-1-イ -メチル)2,3,5,6-テトラメチルベンゼン;bitb)の 成>
 下記反応スキーム1に従って例示化合物(a)(bi tb)の合成を行った。
 まず、イミダゾール(関東化学(株)製)0.33g(5mm ol)のTHF溶液10mlに、NaH(関東化学(株)製)0.095g(4mm ol)のTHF懸濁液(5ml)をゆっくりと加え、20分撹 した(THF(テトラヒドロフラン)は関東化学(株) 製、以下同じ)。
 前記撹拌後の溶液に、1,4-ビスブロモメチル -2,3,5,6-テトラメチルベンゼン(東京化成工業( )製、慣用名:ジブロモズレン)0.64g(2mmol)のTHF 液(15ml)をゆっくり添加し、60℃で3~5時間還 した。還流後の溶液を室温に冷却し、冷却 の溶液に水(40ml)を加え、更にクロロホルム( 東化学(株)製)を加えて粗生成物をクロロホ ムで抽出した。得られたクロロホルム抽出 を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥 のクロロホルム抽出液を濃縮し石油エーテ (関東化学(株)製)を加えることで例示化合物 (a)を収率53%で得た。

 前記で得られた例示化合物(a)は、NMRにより 造を確認した。
~NMRデータ~
1 H NMR spectrum(300MHz, CDCl 3 , r.t.) : δ7.24(d, 2H), 6.97(s, 2H), 6.75(d, 2H),  5.17(s, 4H) , 2.19(s, 12H) 

〔参考例2〕
<過塩素酸を取り込んだ捕捉カプセル型分 の形成>
 過塩素酸銅(II)6水和物(キシダ化学(株)製)0.09 3g(0.25mmol)と、参考例1で得られた例示化合物(a )(bitb)0.147g(0.5mmol)とを、アセトニトリル/水(25m l/25ml)の混合溶液中に加え(アセトニトリルは 東化学(株)製)、この混合溶液を撹拌し、そ 後数日間静置させ、紫色結晶を得た。
 得られた紫色結晶を集めて、紫色結晶の構 を単結晶構造解析及び質量分析測定により 認した。
 単結晶構造解析は、(株)リガク製の構造解 装置(マーキュリー二次元検出器システム)を 用い、室温でモリブデンKαの線源を用いてX の反射データを収集した。構造解析は、(株) リガク製の Crystal Structure プログラムを用 て行った。
 また、質量分析測定は、Micromass社製のLCT質 分析計を用いて行った。

~単結晶構造解析データ~
monoclinic space group P2 1 /c(No.14), a = 25.73 (2) Å, b = 13.26(1) Å, c = 27.73(4) Å, β = 117.52(1)°, V = 8383(13) Å 3 , Z = 4, R = 0.090, Rw = 0.223

 上記単結晶構造解析データ及び質量分析測 より、前記紫色結晶は、以下の反応によっ 得られた[Cu 2 (bitb) 4 ](ClO 4 ) 4 であることがわかった。

 また、上記単結晶構造解析データ及び質量 析測定より、前記紫色結晶([Cu 2 (bitb) 4 ](ClO 4 ) 4 )は、捕捉カプセル型分子であることがわか た。
 上記単結晶構造解析データ及び質量分析測 より明らかとなった捕捉カプセル型分子の 造を、図3及び図4に示す。

 図3に示すように、捕捉カプセル型分子の構 造は、銅(II)イオン2個及びbitb4分子により形 されたカプセル骨格が、過塩素酸イオン1分 を内包する構造である。なお、図示しない 、両方の銅(II)イオンには、カプセルの外側 から過塩素酸イオンが1分子ずつ配位してい 。
 また、図4に示すように、銅(II)イオン2個及 bitb4分子により形成される空間のサイズは 6.5Å(0.65nm)×6.5Å(0.65nm)×5.0Å(0.50nm)であり、 塩素酸イオンを離脱不能な程度に内包する イズであった。
 また、図3及び図4では水素原子を省略して している。

 また、得られた紫色結晶は、ジメチルホ ムアミド、メタノール、エタノール、アセ ニトリル、アセトンのいずれにも溶解した この結果も、該紫色結晶が捕捉カプセル型 子の構造を有することを示す。

〔参考例3〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物(Cu-bi tbポリマー)の合成>
 試薬は、和光純薬工業株式会社の硫酸銅五 和物(CuSO 4 ・5H 2 O)、関東化学株式会社のジメチルホルムアミ (DMF)、を用いて合成した。
 bitb58.9mg(0.2mmol)をDMF20mlに、硫酸銅25.0mg(0.1mmol )を水20mlにそれぞれ溶かした。得られたそれ れの溶液を一気に反応させ、室温下で1週間 静置することによって水不溶性の青色結晶を 得た。
 得られた青色結晶について、単結晶構造解 を行った。
 また、該青色結晶は溶媒に溶けず、質量分 を行うことができなかったため、該青色結 中の炭素、水素、及び窒素の比を元素分析 確認し、単結晶構造解析結果と一致するこ を確認した。

~元素分析データ~
理論値(C 36 H 60 CuN 8 O 12 S) C, 48.45; H, 6.78; N, 12.55
実測値 C, 48.72; H, 6.41; N,12.73
(測定装置 Euro Vector社製 Euro EA3000)

~単結晶構造解析データ~
monoclinic space group C2/m(No.12),C 36 H 60 CuN 8 O 12 S,Mw(式量)892.5, a = 12.3(1) Å, b = 27.3(2) Å,  c = 13.8(1)Å, β = 113.42(1)°, V = 4252(62)  3 , Z = 4, R = 0.114, Rw = 0.470

 元素分析及び単結晶構造解析の結果より、 られた青色結晶は、参考例2のような捕捉カ プセル型分子ではなく、配位化合物({[Cu(bitb) 2 (H 2 O) 2 ] [Cu(bitb) 2 (SO 4 ) 2 ] }で表される高分子錯体;以下、「Cu-bitbポリマ ー」ともいう)であることがわかった。該配 化合物の詳細な構造については後述する。

 また、得られた青色結晶は、水、ジメチル ルムアミド、メタノール、エタノールのい れにも溶解しなかった。この結果も、該青 結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではな 、配位化合物({[Cu(bitb) 2 (H 2 O) 2 ] [Cu(bitb) 2 (SO 4 ) 2 ] }で表される高分子錯体)の構造を有すること 示す。
 該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造 はなく配位化合物の構造をとる理由は、硫 イオンのサイズが過塩素酸イオンのサイズ り大きいことが原因と考えられる。即ち、b itb4分子及び金属イオン2個からなるカプセル 格が内包し得る分子のサイズと、硫酸イオ のサイズとが一致しないため、カプセル骨 を形成せず、配位化合物を形成したものと われる。

 元素分析及び単結晶構造解析の結果よりに り明らかとなった配位化合物の構造を図5~7 示す。
 図5及び図6中、6つの結合手を有するイオン は銅(II)イオンを表し、2つの銅(II)イオン間 配置する、1つの6員環と2つの5員環(複素環) を含む分子はbitbを表す。ここで、bitbは、 方の複素環中の窒素原子の部分で一方の銅(I I)イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原 の部分で他方の銅(II)イオンに配位している 。また、該配位化合物は無限鎖状に広がった 構造を有しているため、図5~図7では、図の周 辺部に位置する原子や分子を省略して表して いる。また、図5~図7では、水素原子を省略し て表している。
 図5~7に示すように、該配位化合物の構造は 2種類の二次元シート型構造(図5に示すA laye r及び図6に示すB layer)が交互に積層された三 元構造(図7)である。
以下、各構造の詳細について説明する。

 図5に示すA layerは、1つの銅(II)イオンにbitb 4分子配位して形成された、二次元的に無限 鎖状に広がった二次元シート型構造体である 。より詳細には、A layerは、前記銅(II)イオン に対し、更に、硫酸イオンが2分子配位した 負電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb) 2 (SO 4 ) 2 ] である。図5中、矢印a及び矢印bは、A layerの 次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」 b軸」ともいう)。

 図6に示すB layerも、1つの銅(II)イオンにbitb 4分子配位して形成された、二次元的に無限 鎖状に広がった二次元シート型構造である。 より詳細には、B layerは、前記銅(II)イオンに 対し、更に、水分子が2分子配位した、正電 を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb) 2 (H 2 O) 2 ] である。図6中、矢印a及び矢印bは、B layerの 次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」 b軸」ともいう)。

 図7に示す三次元構造は、前記A layer及び前 B layerが交互に積層された構造である。図7 、矢印cは、前記A layer及び前記B layerの二 元平面に平行でない軸を表す。
 図7に示すように、前記A layer及び前記B laye rは、それぞれab面上に配置され、それらがc に沿って交互に積層した構造となっている
 図7において、A layer中、銅(II)イオンに配位 している硫酸イオンは、となりのB layer中の (II)イオンに配位している水分子に水素結合 している(O-O =2.98Å)。その結果、水素結合を 介した三次元構造となっている。

〔実施例1〕
<過塩素酸イオンの除去に関する実験>
~試料1(ブランク)~
 蒸留水に過塩素酸ナトリウムを溶解させ、 塩素酸イオンが100ppm含まれる試料1(30 ml)を 製した。
 得られた試料1(ブランク)について、過塩素 イオンの濃度をイオンクロマトグラフィー より下記条件にて測定した。

~イオンクロマトグラフィー測定条件~
 メトローム製イオンクロマトグラフIC 861  用いて行った。測定は CO 2  差プレッサー方式で行い、電気伝導度検出 により陰イオンの検出を行った。測定は室 23℃で行い、測定に使用する試料は、メン ランフィルターでろ過し、また測定に用い 水溶液は Millipore製の超純水製造装置 Direct- Q で精製したものを使用した。

~試料2~
 上記試料1に、前記参考例3で得られた配位 合物({[Cu(bitb) 2 (H 2 O) 2 ] [Cu(bitb) 2 (SO 4 ) 2 ] }で表される高分子錯体;以下「Cu-bitbポリマー 」という)46mgを加え(処理A)、24時間静置して 料2を得た。
 得られた試料2について、試料1と同様の測 を行った。

~試料3、試料6、試料9~
 上記試料1に、活性炭(和光純薬製 活性炭、 破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(三菱化 (株)製 弱塩基性陰イオン交換樹脂WA-30)50mg 又はゼオライト(ユニオン昭和(株)製 モレキ ュラーシーブ13X)50mgを加え(処理B)、24時間静 し、試料3、試料6、又は試料9を得た。
 得られた試料3、試料6、又は試料9について 試料1と同様の測定を行った。

~試料4、試料7、試料10~
 上記試料1に、Cu-bitbポリマー46mgと、活性炭( 和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イ オン交換樹脂(前記WA-30)50mg、又はゼオライト( 前記13X)50mgと、を加え(以下、この処理を「AB 時」とする)、24時間静置し、試料4、試料7 又は試料10を得た。
 得られた試料4、試料7、又は試料10について 、試料1と同様の測定を行った。

~試料5、試料8、試料11~
 上記試料1にCu-bitbポリマー46mgを加え、24時 静置した。
 前記24時間静置後、ろ過により沈殿物(未反 分のCu-bitbポリマー、及び捕捉カプセル型分 子)を除き、ろ液に活性炭(和光純薬製 活性 、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(前記 WA-30)50mg、又はゼオライト(前記13X)50mgを加え( 下、ここまでの処理を「A→B」とする)、24 間静置した。
 24時間静置後のろ液について、試料1と同様 測定を行った。

 以上の結果を表1に示す。

 表1に示すように、Cu-bitbポリマーによる処 Aと、活性炭、ゼオライト又はイオン交換樹 による処理Bと、を組み合わせた場合(「AB同 時」及び「A→B」)には、Aのみの場合及びBの の場合と比較して、過塩素酸イオンの濃度 低減されていた。
 また、「AB同時」と比較して、「A→B」では 、過塩素酸イオンの濃度が更に低減されてい た。

〔実施例2〕
<銅イオンの濃度の比較>
 次に、前記実施例1中の試料4、試料5、試料7 、試料8、試料10、及び試料11について、下記 件にて銅イオンの濃度を測定した。

~銅イオン測定条件(マルチ型ICP発光分析装置) ~
 サンプル20mlに硝酸(1%)を加え、加熱分解し 後、試料を20mlにメスアップし、水溶液中に まれている銅イオン濃度を、マルチ型ICP発 分析装置(バリアン製 ICP(VISTA-MPX))を用いて 定した。

 次に、「AB同時」の場合の銅イオン濃度と A→B」の場合の銅イオン濃度との比較を行っ た。
 その結果、試料4(AB同時)の銅イオン濃度を10 0としたとき、試料5(A→B)の銅イオン濃度は13. 9であった。また、試料7(AB同時)の銅イオン濃 度を100としたとき試料8(A→B)の銅イオン濃度 45.9であった。また、試料10(AB同時)の銅イオ ン濃度を100としたとき試料11(A→B)の銅イオン 濃度は1.7であった。
 これらの結果をまとめると表2のようになる 。

 表2に示すように、「AB同時」と比較して、 A→B」では、銅イオンの濃度が低減されて た。
 以上、表1及び表2より、「AB同時」と比較し て「A→B」では、過塩素酸イオンの濃度がさ に低減され、また、銅イオンの濃度も低減 れることが確認された。

〔実施例3〕
<テトラフルオロホウ酸イオン(BF 4 - )の除去に関する実験>
 蒸留水にテトラフルオロホウ酸ナトリウム 溶解させ、テトラフルオロホウ酸イオンが1 00ppm含まれる試料101(30 ml)を調製した。
 なお、上記試料101(ブランク)におけるテト フルオロホウ酸イオンの濃度(100ppm)は、イオ ンクロマトグラフィーにより前述の条件にて 測定された値である。

~試料102、試料104、試料106~
 上記試料101に、Cu-bitbポリマー46mgと、活性 (和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、 オン交換樹脂(前記WA-30)50mg、又はゼオライ (前記13X)50mgと、を加え(以下、この処理を「A B同時」とする)、24時間静置し、試料102、試 104、又は試料106を得た。
 得られた試料102、試料104、又は試料106につ て、試料101と同様の測定を行った。

~試料103、試料105、試料107~
 上記試料101にCu-bitbポリマー46mgを加え、24時 間静置した。
 前記24時間静置後、ろ過により沈殿物(未反 分のCu-bitbポリマー、及び捕捉カプセル型分 子)を除き、ろ液に活性炭(和光純薬製 活性 、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(前記 WA-30)50mg、又はゼオライト(前記13X)50mgを加え( 下、ここまでの処理を「A→B」とする)、24 間静置し、試料103、試料105、又は試料107を た。
 24時間静置後のろ液について、試料101と同 の測定を行った。
 測定結果を下記表3に示す。

 表3に示すように、Cu-bitbポリマーによる処 Aと、活性炭、ゼオライト又はイオン交換樹 による処理Bと、を組み合わせることにより 、テトラフルオロホウ酸イオンの濃度が低減 されることが確認された。
 また、「AB同時」と比較して、「A→B」では 、テトラフルオロホウ酸イオンの濃度が更に 低減されていた。

 日本出願2008-055240の開示はその全体が参照 より本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出 、および技術規格は、個々の文献、特許出 、および技術規格が参照により取り込まれ ことが具体的かつ個々に記された場合と同 度に、本明細書中に参照により取り込まれ 。