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Patent Searching and Data


Title:
METHYL-SUBSTITUTED PIPERIDINE DERIVATIVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084497
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is 2-({6-[(3R)-3-amino-3-methylpiperidin-1-yl]- 1,3-dimethyl-2,4-dioxo-1,2,3,4-tetrahydro-5H-pyrrolo[3,2-d]pyrimidin-5-yl}methyl)-4-fluorobenzonitrile having high DPP-IV inhibitory activity and improved safety and toxicity, or a pharmaceutically acceptable salt thereof.

Inventors:
NAKAHIRA HIROYUKI (JP)
NISHIO YUKIHIRO (JP)
KIMURA HIDENORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073275
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAINIPPON SUMITOMO PHARMA CO (JP)
NAKAHIRA HIROYUKI (JP)
NISHIO YUKIHIRO (JP)
KIMURA HIDENORI (JP)
International Classes:
C07D487/04; A61K31/519; A61P3/10; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2006068163A12006-06-29
WO2005037779A22005-04-28
Foreign References:
JP2007509947A2007-04-19
Attorney, Agent or Firm:
ISOBE, Yutaka et al. (Dainippon Sumitomo Pharma Co. Ltd., 33-94, Enoki-cho, Suita-sh, Osaka 53, JP)
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Claims:
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハイドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学上許容される塩。
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハイドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル。
請求項1記載の化合物もしくはその薬学上許容される塩、または請求項2記載の化合物を有効成分として含有するジペプチジルペプチダーゼ-IV阻害剤。
請求項1記載の化合物もしくはその薬学上許容される塩、または請求項2記載の化合物を有効成分として含有する糖尿病治療剤。
Description:
メチル置換ピペリジン誘導体

 本発明は、2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピ リジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3 ,4-テトラハイドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン- 5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル(以 、必要に応じ化合物Aと略称することがある )またはその薬学上許容される塩(以下、化合 Aまたはその薬学上許容される塩を必要に応 じ本発明化合物と略称することがある)に関 る。本発明化合物は、医薬として有用であ 、より詳しくは、ジペプチジルペプチダー -IV(DPP-IV)阻害剤として有効である。本発明は 、更に本発明化合物を有効成分として含有す る糖尿病治療剤に関する。

 種々のDPP-IV阻害剤が報告されており、例え 特許文献1および2にピロロ[3,2-d]ピリミジン を有する化合物がDPP-IV阻害剤として有効で ることが報告されている。しかしながら、 れらの文献には本発明の化合物は具体的に 載されていない。

国際公開第2006/068163号パンフレット

国際公開第2007/071738号パンフレット

 本発明の課題は、優れたDPP-IV阻害活性を する新規な化合物を提供することにある。

 本発明者らは、上記課題を達成するため 鋭意検討した結果、本発明化合物が優れたD PP-IV阻害作用を有することを見出した。さら 、後述する試験例で明らかなように、構造 似の化合物が時間に依存した代謝反応阻害 増強、すなわちMechanism-based-inhibition(MBI)を有 するのに対し、本発明化合物はMBIの回避が可 能であることを見出し、本発明を完成するに 到った。

 すなわち本発明は:
[1] 2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1- ル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハ イドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチ ル)-4-フルオロベンゾニトリルまたはその薬 上許容される塩、
[2] 2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1- ル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハ イドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチ ル)-4-フルオロベンゾニトリル、
[3] [1]記載の化合物もしくはその薬学上許容 れる塩、または[2]記載の化合物を有効成分 して含有するジペプチジルペプチダーゼ-IV 害剤、および
[4] [1]記載の化合物もしくはその薬学上許容 れる塩、または[2]記載の化合物を有効成分 して含有する糖尿病治療剤、に関する。

 本発明化合物は、優れたDPP-IV阻害活性を する。DPP-IV阻害活性を有する化合物は、例 ば国際公開第2006/068163号パンフレットに記 されているように血中GLP-1に作用することに より、血糖値に依存したインスリン分泌の促 進、膵臓機能の改善、食後高血糖の改善、耐 糖能異常の改善、インスリン抵抗性の改善な どの効果を有し、2型糖尿病(非インスリン依 型糖尿病)の治療薬として有用である(R.A.Pede rsonら, Diabetes Vol.47, p1253-1258, 1998)。

 一方、代謝酵素に対する不可逆的な阻害作 をMechanism-based-inhibition(MBI)という。薬物の投 与中止後もしばらく阻害が持続するのが特徴 である。メカニズム的には代謝酵素により生 成した代謝物が、その代謝酵素と安定的な複 合体を形成あるいは共有結合することが知ら れている。
 MBIの作用を有する薬剤とその関連する酵素 代謝を受ける薬剤との併用は、後者の剤の 中濃度を上昇させ、薬物相互作用の原因と りうる。従って、MBIの作用を有する薬剤は 用が制限されるなどの使い難いものとなる 例えば、クラリスロマイシンの代謝物はMBI 作用を有しており、テルフェナジンと併用 た場合、テルフェナジンの血中濃度が上昇 、不整脈を惹起することが報告されている
 治療効果が高く、また安全性の高い薬剤を 発する上で、MBIを回避することは大変重要 課題となっている。例えば厚生労働省医薬 審査管理課長通知 医薬審発第813号「薬物 互作用の検討方法について」中Q&AのQ5で 「チトクロムP450の阻害機構が非可逆的であ 場合、...必ず臨床試験を行うべきであると うことか」との問いに対し「...臨床的に有 な相互作用が危惧されるものであれば、原 として開発中止が望ましい。しかし、開発 品の予想される有用性がそのリスクに勝る 合には、...臨床試験を行う。」と記載され いる。また、FDAのwebsite中”Guidance for Indust ry”の項目III(http://www.fda.gov/cber/gdlns/metabol.htm# iii)には、”In contrast, when positive findings ari se in in vitro metabolic and/or drug-drug interaction  studies, clinical studies are recommended...”と記 されている。

Aは化合物Aとヒト肝ミクロソームをNADPH 存在下プレインキュベーションした後の基質 物質(ミダゾラム)の代謝活性を測定し、プレ ンキュベーションによる代謝活性への影響 検討した結果を示す。Bは化合物Bによる同 の試験で得た結果を示す。Cは化合物Cによる 同様の試験で得た結果を示す。それぞれの図 において、縦軸は代謝活性(%)を示す。横軸は 時間(分)を示す。○は0μM、●は1μM、□は5μM ■は10μM、△は20μM、▲は50μM、◇は100μMで 値をそれぞれ示す。

Aは化合物Aの各濃度における不活性化速度定 を示す。Bは化合物Bの各濃度における不活 化速度定数を示す。Cは化合物Cの各濃度にお ける不活性化速度定数を示す。それぞれの図 において、縦軸は不活性化速度定数(min -1 )を示す。横軸は各化合物の濃度(μM)を示す。

 以下に、本発明をさらに詳細に説明する

 化合物Aは、次の式で表される化合物であ る。

 「薬学上許容される塩」としては、例え 塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩 しくは硝酸塩等の無機酸塩、または酢酸塩 プロピオン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩 乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸 、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスル ン酸塩、ベンゼンスルホン酸、p-トルエン ルホン酸塩もしくはアスコルビン酸塩等の 機酸塩等が挙げられる。

 また、本発明には、本発明化合物の水和 またはエタノール溶媒和物等の溶媒和物も まれる。さらに、本発明は、本発明化合物 あらゆる互変異性体、存在するあらゆる立 異性体、およびあらゆる態様の結晶形のも も包含している。

 以下に、本発明化合物の製造法について、 を挙げて説明するが、本発明はもとよりこ に限定されるものではない。なお、本明細 において、記載の簡略化のために次の略号 使用することもある。Me:メチル基、Et:エチ 基、 t Bu:tert-ブチル基、Boc:tert-ブトキシカルボニル

 本発明化合物は公知化合物から公知の合 方法を組み合わせることにより合成するこ ができる。例えば、国際公開第2006/068163号 ンフレット記載の方法に準じて合成できる その一例を以下に示す。

1)工程1
 化合物(1-5)は、化合物(1-1)と、化合物(1-2)を 不活性溶媒中で反応させることにより製造 ることができる。不活性溶媒としては、例 ば、トルエン、ベンゼン、もしくはキシレ などの芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられ 。反応温度としては、通常、約30℃~約100℃ 範囲から選択することができる。

2)工程2
 化合物(1-7)は、化合物(1-5)と化合物(1-6)を、 機塩基存在下、不活性溶媒中、反応させる とにより製造される。不活性溶媒としては アセトニトリルもしくはプロピオニトリル のニトリル系溶媒等が挙げられる。有機塩 としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ -7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5- ン、もしくは1,4-ジアザビシクロ[5.4.0]ウン カ-7-エン等が挙げられる。反応温度として 、通常、約30℃~約80℃の範囲から選択される が、還流下に反応を行ってもよい。

3)工程3
 化合物(1-9)は、不活性溶媒中、塩基の存在 、化合物(1-7)と化合物(1-8)を反応させること より製造することができる。塩基としては 例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭 セシウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水 ナトリウム等の炭酸アルカリ等が挙げられ 好適には、炭酸カリウム等が挙げられる。 活性溶媒としては、非プロトン性溶媒(N,N- メチルホルムアミドまたはジメチルスルホ シド等)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル 、テトラヒドロフランまたは1,4-ジオキサン )、ケトン(アセトン等)、またはこれらの混 溶媒等が挙げられ、好適には、N,N-ジメチル ルムアミド等が挙げられる。反応温度とし は、通常、約10℃~約60℃の範囲から選択す ことができる。

4)工程4
 化合物(1-10)は、不活性溶媒中、化合物(1-9) 塩基を反応させることにより製造すること できる。塩基としては、リチウムアミドも くはナトリウムアミド等のアルカリアミド または水素化ナトリウムまたは水素化カリ ム等の水素化アルカリ等が挙げられる。不 性溶媒としては、トルエン、ベンゼン、も くはキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、 キサンもしくはヘプタン等の炭化水素系溶 、tert-ブチルアルコール、アセトニトリル、 N,N-ジメチルホルムアミド、エーテル系溶媒( エチルエーテル、テトラヒドロフランまた 1,4-ジオキサン等)、またはこれらの混合溶 等が挙げられる。条件としては、塩基とし 、リチウムアミドが好ましい。溶媒として ter-ブチルアルコールおよびアセトニトリル 混合溶媒、またはter-ブチルアルコール、ア セトニトリル、ヘプタン、およびトルエンの 混合溶媒が好ましい。反応温度としては、通 常、約10℃~約100℃の範囲から選択することが できる。

5)工程5
 化合物(1-11)は、不活性溶媒中、化合物(1-10) シアン酸カリウムを反応させることにより 造される。不活性溶媒としては、水、酢酸 しくはプロピオン酸等の有機酸、またはト エン、ベンゼン、もしくはキシレンなどの 香族炭化水素系溶媒等が挙げられ、通常は 、酢酸およびトルエンの混合溶媒中で実施 れる。反応温度としては、通常、約20℃~約8 0℃の範囲から選択される。

6)工程6
 化合物(1-12)は、不活性溶媒中、化合物(1-11) 無機塩基を反応させることにより製造され 。無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸 シウム、もしくは炭酸ナトリウム等が挙げ れる。不活性溶媒としては、非プロトン性 媒(N,N-ジメチルホルムアミドまたはジメチ スルホキシド等)等が挙げられ、N,N-ジメチル ホルムアミドの使用が好ましい。反応温度と しては、通常、約20℃~約80℃の範囲から選択 れる。

7)工程7
 化合物(1-14)は、不活性溶媒中、化合物(1-12) ヨウ化メチルを反応させることにより製造 れる。不活性溶媒としては、非プロトン性 媒(N,N-ジメチルホルムアミドまたはジメチ スルホキシド等)等が挙げられ、N,N-ジメチル ホルムアミドの使用が好ましい。反応温度と しては、通常、約20℃~約50℃の範囲から選択 れる。また、工程6における反応溶液にヨウ 化メチルを加えて反応させることも可能であ る。

8)工程8
 化合物(1-15)は、不活性溶媒中、シアン化亜 およびPd触媒存在下、ホスフィンの存在下 しくは非存在下、化合物(1-14)をシアノ化さ ることにより製造される。不活性溶媒とし は、N-メチル-2-ピロリドンもしくはN,N-ジメ ルホルムアミド等が挙げられる。Pd触媒とし ては、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパ ジウム錯体Pd 2 (dba) 3 ・CHCl 3 、ビス[トリ(tert-ブチル)ホスフィン]パラジウ ム錯体Pd[(tert-Bu) 3 P] 2 、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ ウム錯体Pd(PPh 3 ) 4 、ビス(トリフルオロアセトキシ)パラジウム 体Pd(OCOCF 3 ) 2 が挙げられ、ホスフィンとしては、トリフェ ニルホスフィン[Ph 3 P]、トリ(tert-ブチル)ホスフィン[(tert-Bu) 3 P]、トリ-o-トルイルホスフィン[(o-Tol) 3 P]、ジフェニルホスフィノフェロセン[DPPf]、 フェニルホスフィノブタン[DPPb]等が挙げら る。Pd 2 (dba) 2 をPd触媒として使用する際には、(o-Tol) 3 Pを使用することが好ましい。反応温度とし は、通常、約80℃~約130℃の範囲から選択さ る。また、本工程においては、文献(例えばS ynth. Commun. 24, 887 (1994)、Organic Letters 9, 171 1 (2007)、Tetrahedron Lett. 40, 8193 (1999)、Tetrahed ron Lett. 45, 1441 (2004)等)に記載された製造法 を参考にすることも出来る。

9)工程9
 工程9として、下記の製造法(A)および製造法 (B)を用いることができる。
製造法(A):化合物Aは、化合物(1-15)を、不活性 媒中、ベンゼンスルホン酸もしくはその一 和物と反応させ、反応終了後、無機塩基に り中和することにより、製造することがで る。無機塩基としては、水酸化ナトリウム しくは水酸化カリウムが挙げられ、通常、 溶液として使用する。不活性溶媒としては アルコール系溶媒(エタノール、メタノール もしくは2-プロパノール等)、またはニトリル 系溶媒(アセトニトリルもしくはプロピオニ リル等)が挙げられ、通常、アルコール系溶 とニトリル系溶媒の混合溶媒が用いられる 反応温度としては、通常、約50℃~約100℃の 囲から選択することができる。
製造法(B):化合物Aは、化合物(1-15)を、不活性 媒中、無機酸と反応させることにより、製 することができる。不活性溶媒としては、 クロロメタン、1、2-ジクロロエタン、もし はクロロホルム等のハロゲン化炭化水素系 媒等が挙げられる。無機酸としては、塩酸 が挙げられる。反応温度としては、通常、 -10℃~約30℃の範囲から選択することができ 。

 以上において使用した原料や試薬などは 特にことわらない限り、市販の化合物であ か、または公知の化合物から公知の方法を いて製造することができる。例えば、化合 (1-2)は文献記載(Organic Letters 7, 55-58 (2005)) 方法に準じて合成できる。

 また、本発明化合物はラセミ体として合 し、光学活性なリガンドを結合した充填剤 用いたカラムクロマトグラフィーにより分 することもできる。

 本発明の化合物は、例えば水、メタノー 、エタノール、アセトン等の溶媒中で、薬 上許容される酸と混合することで、塩にす ことができる。薬学上許容される酸として 、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸 硝酸等の無機酸、あるいは酢酸、プロピオ 酸、シュウ酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸 酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸 メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p -トルエンスルホン酸、アスコルビン酸等の 機酸が挙げられる。

 本発明化合物は、そのDPP-IVに対する阻害 用より様々な疾病の治療への応用が考えら る。本明細書に記載の化合物は、前糖尿病 態における食後高血糖の抑制、非インスリ 依存性糖尿病の治療、関節炎や関節リウマ など自己免疫性疾患の治療、腸管粘膜疾患 治療、成長促進、移植臓器片の拒絶反応抑 、肥満治療、摂食障害の治療、HIV感染の治 、癌転移の抑制、前立腺肥大症の治療、歯 膜炎の治療、および骨粗鬆症の治療に有用 ある。

 本発明化合物は、治療に使用する場合に 医薬組成物として、経口的または非経口的( 例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内注射 、局所的、経直腸的、経皮的、または経鼻的 )に投与することができる。経口投与のため 組成物としては、例えば、錠剤、カプセル 、丸剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤など 挙げられ、非経口投与のための組成物とし は、例えば、注射用水性剤、もしくは油性 、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、エ ロゾル剤、坐剤、貼付剤などが挙げられる これらの製剤は、従来公知の技術を用いて 製され、製剤分野において通常使用される 毒性かつ不活性な担体もしくは賦形剤を含 することができる。

 用量は、個々の化合物により、また患者 疾患、年齢、体重、性別、症状、投与経路 により変化するが、通常は成人(体重50 kg) 対して、本発明化合物を、0.1~1000 mg/日、好 しくは1~300 mg/日を1日1回または2ないし3回 分けて投与する。また、数日~数週に1回投与 することもできる。

 本発明化合物は、その効果の増強を目的 して、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療 、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿 などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と み合わせて用いることができる。本発明化 物および併用薬剤の投与時期は限定されず これらを投与対象に対し、同時に投与して よいし、時間差をおいて投与してもよい。 た、本発明化合物と併用薬剤の合剤として 良い。併用薬剤の投与量は、臨床上用いら ている用量を基準として適宜選択すること できる。また、本発明化合物と併用薬剤と 配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾 、症状、組み合わせなどにより適宜選択す ことができる。例えば投与対象がヒトであ 場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬 を0.01~100重量部用いればよい。

 なお、糖尿病治療剤としては、インスリ 製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された 動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用 、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン 剤など)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオ グリタゾンまたはその塩酸塩、トログリタゾ ン、ロシグリタゾンまたはそのマレイン酸塩 、GI-262570、JTT-501,MCC-555、YM-440、KRP-297,CS-011等) 、α-グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボー 、アカルボース、ミグリトール、エミグリ ート等)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン 等)、インスリン分泌促進剤(例、トルブタミ 、グリベンクラミド、グリクラジド、クロ プロパミド、トラザミド、アセトヘキサミ 、グリクロピラミド、グリメピリド等のス ホニルウレア剤;レパグリニド、セナグリニ ド、ナテグリニド、ミチグリニド等)、GLP-1、 GLP-1アナログ(エキセナタイド、リラグルタイ ド、SUN-E7001、AVE010、BIM-51077、CJC1131等)、プロ インチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バ ナジン酸等)、β3アゴニスト(例、GW-427353B、N-5 984等)が挙げられる。

 糖尿病性合併症治療剤としては、アルド ス還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エ パルレスタット、ゼナレスタット、ゾポレス タット、ミナレスタット、フィダレスタット 、ラニレスタット、SK-860、CT-112等)、神経栄 因子(例、NGF、NT-3、BDNF等)、PKC阻害剤(例、LY- 333531等)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、 ラトキサチン、N-フェナシルチアゾリウム   ブロマイド(ALT766)等)、活性酸素消去薬(例、 チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリ 、メキシレチン等)が挙げられる。抗高脂血 剤としては、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例、プラ スタチン、シンバスタチン、ロバスタチン アトルバスタチン、フルバスタチン、イタ スタチンまたはそれらのナトリウム塩等)、 スクアレン合成酵素阻害剤、ACAT阻害剤等が げられる。降圧剤としては、アンジオテン ン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナ プリル、アラセプリル、デラプリル、リジ プリル、イミダプリル、ベナゼプリル、シ ザプリル、テモカプリル、トランドラプリ 等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、オルメ サルタン、メドキソミル、カンデサルタン、 シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン 、バルサンタン、テルミサルタン、イルベサ ルタン、タソサルタン等)、カルシウム拮抗 (例、塩酸ニカルジピン、塩酸マニジピン、 ソルジピン、ニトレンジピン、ニルバジピ 、アムロジピン等)、レニン阻害剤(アリス レン等)等が挙げられる。

 抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満 (例、フェンテルミン、シブトラミン、アン フェプラモン、デキサンフェタミン、マジン ドール、SR-141716A等)、膵リパーゼ阻害薬(例、 オルリスタット等)、ペプチド性食欲抑制薬( 、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、 コレシストキニンアゴニスト(例、リンチト プト、FPL-15849等)等が挙げられる。利尿剤と ては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチ ル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カ ルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤( 、エチアジド、シクロペンチアジド、トリ ロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、 ドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロ チアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製 剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン )、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド 等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤( 、クロルタリドン、メフルシド、インダパ ド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタク リン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミ ド等が挙げられる。

 併用薬剤は、好ましくはGLP-1、GLP-1アナロ グ、α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド 剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗 性改善剤などである。上記併用薬剤は、2種 上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい

 本発明化合物が、併用薬剤と組み合せて 用される場合には、これらの薬剤の使用量 、薬剤の副作用を考えて安全な範囲内で低 できる。特に、ビグアナイド剤は通常の投 量よりも低減できる。したがって、これら 薬剤により引き起こされるであろう副作用 安全に防止できる。それに加えて、糖尿病 併症剤、抗高脂血症剤、降圧剤などの投与 は低減でき、その結果これらの薬剤により き起こされるであろう副作用は効果的に防 できる。

実施例
 以下に本発明を、参考例、実施例および試 例により、さらに具体的に説明するが、本 明はもとよりこれに限定されるものではな 。尚、以下の参考例および実施例において された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に うものではない。

参考例1
tert-ブチル 3-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル )アミノ]-3-メチルピペリジン-1-イル}-2-シアノ -3-(メチルチオ)アクリレート

 tert-ブチル 2-シアノ-3,3-ビス(メチルチオ)ア クリレート (48.43 g)のトルエン (25 ml)溶液 (3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メ ルピペリジン (40.23 g)のトルエン溶液 (70ml )を加えて80℃で攪拌した。4時間後、ヘプタ  (300ml)を80℃で加えて室温まで戻した。その 後、氷浴にて一時間攪拌した後に、析出した 白色固体をろ過によって回収した。減圧乾燥 を行い、表題の化合物 (64.50g)を白色固体と て得た。
MS (ESI+) 412(M + +1, 60%)

参考例2
tert-ブチル 3-[(2-ブロモ-5-フルオロベンジル) ミノ]-3-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)ア ノ]-3-メチルピペリジン-1-イル}-2-シアノアク リレート

 参考例1の化合物 (70.7 g)をアセトニトリル (70 ml)に溶かし、DBU (52.35g)、2-ブロモ-5-フル オロ ベンジルアミン (36.22g)を加えて50℃で 拌した。五時間後、トルエン (200ml)で希釈 、水洗した。得られた有機層を水、10%硫酸 素カリウム水溶液、10%水酸化ナトリウム水 液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過 、減圧濃縮することにより表題の化合物(108 .3 g)を黄色のアモルファスとして得た。
MS (ESI+) 567(M + +1, 60%)

参考例3
tert-ブチル 3-[(2-ブロモ-5-フルオロベンジル)( 2-エトキシ-2-オキソエチル)アミノ]-3-{(3R)-3-[(t ert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メチルピペ リジン-1-イル}-2-シアノアクリレート


 参考例2の化合物 (108.3 g)をジメチルホルム アミド (170 ml)に溶かし、炭酸カリウム (104. 8g)を加え室温で撹拌した。ブロモ酢酸エチル  (50.63 g)を滴下した後に、40℃で一時間攪拌 た。トルエンを加えセライトろ過し、得ら た有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで 燥、ろ過し、減圧濃縮することにより表題 化合物(124.10 g)を暗赤色のアモルファスと て得た。
MS (ESI+) 653(M + +1, 60%)

参考例4
4-tert-ブチル 2-エチル 3-アミノ-1-(2-ブロモ-5- フルオロベンジル)-5-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカ ボニル)アミノ]-3-メチルピペリジン-1-イル}-1 H-ピロール-2,4-ジカルボキシレート

 リチウムアミド (9.6 g)にヘプタン (146 ml) 加え、80℃でtert-ブチルアルコール (268 g) ヘプタン (30 ml)の混合溶液を滴下した。一 間後に30℃まで冷却し、アセトニトリル (34 0 ml)を加えた。その混合物に、参考例3の化 物 (124.10 g)のトルエン (350ml)溶液を加えて 拌した。二時間後、溶媒を減圧留去し、ト エン (700 ml)と水 (370 ml)を加えた。濃塩酸 で約pH 5.0に調整し、セライトろ過、分液し 。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥 ろ過し、減圧濃縮することにより表題の化 物(100 g)を暗赤色の油状物質として得た。
MS (ESI+) 653(M + +1, 100%)

参考例5
4-tert-ブチル 2-エチル 3-[(アミノカルボニル) アミノ]-1-(2-ブロモ-5-フルオロベンジル)-5-{(3R )-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メチ ピペリジン-1-イル}-1H-ピロール-2,4-ジカルボ シレート

 参考例4の化合物 (100 g)を酢酸 (490 ml)に溶 かした混合物に、シアン酸カリウム (25 g)を 水 (40 g)に溶かした溶液を40℃で滴下し、攪 した。二時間後、室温まで戻し、トルエン (700 ml)で希釈し、水 (300 ml)で三回洗浄した 。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリ ウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮することにより 表題の化合物(110 g)を暗赤色のアモルファス して得た。
MS (ESI+) 696(M + +1, 100%)

参考例6
tert-ブチル 5-(2-ブロモ-5-フルオロベンジル)-6 -{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メ チルピペリジン-1-イル}-1,3-ジメチル-2,4-ジオ ソ-2,3,4,5-テトラハイドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピ ミジン-7-カルボキシレート

 参考例5 の化合物 (110 g)をジメチルホルム アミド (290 ml)に溶かし、炭酸カリウム (66  g)、水 (2.9 ml)を加え50℃で攪拌した。五時間 後、30℃まで冷却し、ヨウ化メチル (51 g)を 下、攪拌した。二時間後、水(400 ml)を加え 析出した固体をろ過により回収した。得ら た固体をイソプロパノール(700 ml)中60℃で ラリー洗浄し、室温まで戻した。固体をろ によって回収し、再度イソプロパノール(400 ml)中60℃でスラリー洗浄した。得られた固体 を減圧乾燥することにより表題の化合物(54.7 g)を白色固体として得た。
MS (ESI+) 678(M + +1, 100%)

参考例7
tert-ブチル 5-(2-シアノ-5-フルオロベンジル)-6 -{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メ チルピペリジン-1-イル}-1,3-ジメチル-2,4-ジオ ソ-2,3,4,5-テトラハイドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピ ミジン-7-カルボキシレート

 参考例6 の化合物 (27.14 g)にN-メチルピロ ドン (100 ml)、トリス(ジベンジリデンアセ ン)ジパラジウム (1.83 g)、トリス(o-トリル) スフィン (4.99 g)、シアン化亜鉛(Zn(CN) 2 )(2.90 g)を加え減圧脱気、窒素置換を五回行 た。その混合物を120℃で攪拌した。二時間 、室温まで冷却し、セライトろ過した。得 れた有機層をアンモニア水、飽和塩化アン ニウム水溶液、水を4:4:1で混合した溶液に加 えて激しく攪拌した。生じた黄色の固体をろ 過によって回収し、アセトニトリル(20 ml)中 80℃で二時間スラリー洗浄し、氷浴で一時 攪拌した後にろ過によって回収した。得ら た固体を減圧乾燥することにより表題の化 物(18.30 g)を白色固体として得た。
MS (ESI+) 625(M + +1, 90%). 

実施例1
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル] -1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハイ ロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)- 4-フルオロベンゾニトリル

 tert-ブチル 5-(2-シアノ-5-フルオロベンジル) -6-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3- チルピペリジン-1-イル}-1,3-ジメチル-2,4-ジ キソ-2,3,4,5-テトラハイドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピ リミジン-7-カルボキシレート(18.3 g)のアセト ニトリル(30 ml)の混合物にベンゼンスルホン 一水和物(10.85g)のエタノール(15 ml)溶液を40 で滴下後、80℃で二時間攪拌した。室温ま 戻し、酢酸エチル(50 ml)で希釈後にNaOH (2.49 g)を水(50 ml)に溶かした溶液を加えて中和し 。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナト ウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮することによ 表題の化合物(11.86 g)を得た。
1 H NMR (400 MHz, DMSO-d 6 ) δ 7.97-8.00 (m, 1H), 7.30-7.35 (m, 1H), 6.36-6.39  (m, 1H), 5.99 (s, 1H), 5.65 (s, 2H), 3.37 (s, 3H ), 3.14 (s, 3H), 2.73-2.82 (m, 2H), 2.55-2.63 (m, 2 H), 1.62-1.68 (m, 1H), 1.47-1.59 (m, 1H), 1.40(brs,  2H), 1.28-1.38 (m, 2H), 0.89 (s, 3H).
MS (ESI+) 425(M + +1, 100%).

実施例2
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル] -1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハイ ロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)- 4-フルオロベンゾニトリル 塩酸塩

 実施例1と同様にして得られた化合物(140 mg) をクロロホルム(3.0 ml)に溶かし、1N 塩酸エ テル(2.0 ml)を加えて濃縮し、表題の化合物(1 50 mg)を合成した。
1 H NMR (400 MHz, DMSO-d 6 ) δ 8.17 (brs, 3H), 7.97-8.00 (m, 1H), 7.30-7.35 ( m, 1H), 6.25-6.28 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 5.57-5.68  (m, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.09 (s, 3H), 3.04-3.07 (m, 1H), 2.88-2.94 (m, 2H), 2.69-2.73 (m, 1H), 1.78-1.90  (m, 2H), 1.56-1.61 (m, 2H), 1.24 (s, 3H).
MS (ESI+) 425(M + +1, 100%).

参考例8
 2-({6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジ チル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハイドロ-5H- ロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フル ロベンゾニトリル(以下化合物Bと略) 塩酸塩

 国際公開第2006/068163号パンフレット実施例13 記載の方法により合成した。
1 H NMR (300 MHz, CDCl 3 ) δ 8.50 (brs, 3H), 7.71-7.65 (m, 1H), 7.07-7.00 ( m, 1H), 6.57-6.53 (m, 1H), 5.84 (d, J = 16.7 Hz,  1H), 5.73 (s, 1H), 5.64 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 3.5 9-3.57 (m, 1H), 3.45 (s, 3H), 3.39-3.37 (m, 1H), 3. 33 (s, 3H), 3.16-3.09 (m, 1H), 2.70-2.68 (m, 2H), 2 .08-2.06 (m, 1H), 1.80-1.78 (m, 2H), 1.60-1.58 (m, 1 H).  
MS (ESI+) 411(M + +1, 100%).

参考例9
 2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-エチルピペリジン-1-イ ]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラハイ ドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル )-4-フルオロベンゾニトリル(以下化合物Cと略 )

 ラセミ体の3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミ ノ]-3-エチルピペリジンから参考例1~7と同様 して合成したtert-ブチル 5-(2-シアノ-5-フル ロベンジル)-6-{3-[(tert-ブトキシカルボニル) ミノ]-3-エチルピペリジン-1-イル}-1,3-ジメチ -2,4-ジオキソ-2,3,4,5-テトラハイドロ-1H-ピロ [3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレート(1.0 g) 用い、実施例1と同様にして表題化合物のラ セミ体(630 mg)を合成した。次にこのラセミ体 をCHIRALPAK(登録商標)AD-H(ダイセル化学工業(株) 製; キラル固定相:amylose tris(3,5-dimethylphenyl c arbamate)を用いてヘキサン/イソプロパノール/ エチルアミン=70/30/0.1(v/v)の条件により分割 ることで表題の化合物(220 mg)を得た。
1 H NMR (400 MHz, DMSO-d 6 ) δ 7.97-8.01 (m, 1H), 7.31-7.36 (m, 1H), 6.39-6.42  (m, 1H), 6.00 (s, 1H), 5.59-5.70 (m, 2H), 3.37 (s , 3H), 3.14 (s, 3H), 2.76-2.84 (m, 2H), 2.57 (s, 2 H), 1.65-1.70 (m, 1H), 1.49-1.53 (m, 1H), 1.10-1.40  (m, 6H), 0.64(t, J = 7.5 Hz, 3H).  
MS (ESI+) 439(M + +1, 100%).

参考例10
(3R)-3-メチル-ニペコチン酸エチル・1/2ジ-p-ト オイル-D-酒石酸塩

 ニペコチン酸エチル(20.0 g)のトルエン溶液( 100 ml)にソジウムヘキサメチルジシラザンの トラヒドロフラン(1.0M, 152 ml)溶液を-20~-30 の温度でゆっくりと滴下した。30分攪拌後、 ヨウ化メチル(19.4 g)を-20~-30℃の温度でゆっ りと滴下し、ゆっくりと室温まで戻した。 (20.8 ml)を加え、分液、濃縮し、得られた残 をトルエンで希釈した後に水(20 ml)で洗浄 た。硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧 縮し、得られた油状成分に酢酸エチル(125 ml )を加えた。その溶液に、ジ-p-トルオイル-D- 石酸の酢酸エチル(60 ml)溶液を50℃で加えて 拌した。一時間後、室温まで戻し生じた白 固体をろ過により回収し、減圧乾燥するこ で表題の化合物(13.87 g)を得た。
MS (ESI+) 171(M + +1, 100%)

参考例11
(3R)-3-メチル-ニペコチン酸エチル

 参考例10の化合物 (13.87 g)を水 (55 ml)に溶 し、10%炭酸カリウム水溶液(55 ml)とエーテ (50 ml)を加えて撹拌した。30分後、有機層を 離し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減 濃縮することにより表題の化合物(4.23 g)を 色の油状成分として得た。
MS (ESI+) 171(M + +1, 100%)

参考例12
1-ベンジル 3-エチル (3R)-3-メチルピペリジン -1,3-ジカルボキシレート

 参考例11の化合物 (4.23 g)をテトラヒドロフ ラン (20 ml)に溶かし、トリエチルアミン(3.76  ml)を加え氷浴で冷却した。ベンジルクロロ ォルメート(3.55 ml)をゆっくりと滴下し、室 温まで戻して一晩攪拌した。セライトろ過後 、溶媒を留去し、酢酸エチルで希釈した。有 機層を水と飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリ ウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮することによ り表題の化合物(7.32 g)を黄色の油状成分とし て得た。
MS (ESI+) 306(M + +1, 100%)

参考例13
(3R)-1-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-メチル ペリジン-3-カルボン酸

 参考例12の化合物 (7.32 g)にメタノール(10 m l)と3N 水酸化ナトリウム水溶液(10 ml)を加え 50℃で攪拌した。三時間後、メタノールを 去し、濃塩酸によってpHを5以下に調整した エーテルで抽出後、有機層を水と飽和食塩 で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し 減圧濃縮することにより表題の化合物(5.45 g )を黄色の油状成分として得た。
MS (ESI+) 278(M + +1, 100%)

参考例14
ベンジル (3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)ア ノ]-3-メチルピペリジン-1-カルボキシレート

 参考例13の化合物 (5.45 g)をトルエン (30 ml )に溶かし、トリエチルアミン(2.09 g)を加え 。ジフェニルホスホリルアジド(5.47 g)のト エン溶液(20 ml)を90℃で、窒素の発生を確認 ながら、ゆっくりと滴下した。滴下終了後 90℃で一時間攪拌した。室温まで戻し、水(2 7 ml)で二回洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、 ろ過し、体積が約1/3になるまで減圧濃縮した 。得られた溶液にtert-ブタノール(3.7 ml)とtert -ブトキシカリウム(1.0 g)を加えて、30℃で攪 した。二時間後、水、飽和塩化アンモニウ 水溶液と飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリ ムで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、カラムクロ トグラフィー精製することにより表題の化 物(3.62 g)を白色固体として得た。
MS (ESI+) 349(M + +1, 20%)

参考例15
(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メ ルピペリジン

 参考例14の化合物 (34.8 g)を酢酸エチル (50 ml)に溶かし、1N 塩酸(0.5 ml)と10% Pd/C(2.0 g) 加え水素加圧下(2-2.5 atm)で攪拌した。二時 後、セライトろ過し、3N 水酸化ナトリウム 溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナト ウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮することに り表題の化合物(20.4 g)を無色の油状成分と て得た。
MS (ESI+) 215(M + +1, 60%)

参考例16
3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-エチル ペリジン

ニペコチン酸エチルから参考例10(但しジ-p-ト ルオイル-D-酒石酸による塩の形成は行わなか った)、12、13、および14と同様にして得たベ ジル 3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3- チルピペリジン-1-カルボキシレート(6.60 g) り、参考例15と同様にして表題の化合物(4.20  g)を無色の油状成分として得た。
MS (ESI+) 229(M + +1, 60%)

試験例
試験例1 In vitro DPP-IV 阻害作用 定試験
 DPP IV酵素を含むヒト血漿の終濃度が10%とな るように種々の濃度の被験物質溶液を調製し 、マイクロアッセイプレートに添加した。更 に基質(Glycyl-L-Proline 4-Methylcoumaryl-7-Amide、ペ チド研究所)を終濃度50μMになるように添加 、室温にて蛍光プレートリーダーを用いて 蛍光強度(励起波長380nm、測定波長460nm)を連 測定し、酵素活性を求めた。酵素活性を50% 害する被験物質濃度(IC 50 値)を算出した。

試験例2 CYP3A4に対するMechanism-based  inhibition (MBI)評価試験
 ヒト肝ミクロソームに種々濃度の被験化合 を添加し、NADPH存在下あるいは非存在下、37 ℃で15分間プレインキュベーションする。そ 後、反応液をCYP3A4基質であるミダゾラム(mid azolam)とNADPHの混合液で20倍希釈し、さらに37 で5分間反応させた。3倍量のメタノールを添 加して反応を停止させ、ミダゾラムの代謝物 (1-Hydroxy midazolam)の生成量をLC/MS/MSを用いて測 定することによりCYP3A4活性を評価した。NADPH 存在下プレインキュベーション時の活性を 照とし、NADPH存在下プレインキュベーショ 時の活性の減少分を時間(15分)で除した値を 活化速度定数(kobs)とした。この時、被験化 物濃度(I)とkobsの間の関係はkobs= kinact×I/(K'a pp + I)で表される。非線形最小二乗法により 回帰分析することによって最大不活化速度定 数(kinact)、見かけの解離定数(K'app)を算出し、 kinact/K'appの値でMBIの強度を判定した。
 得られた結果を図1、図2および表2に示した 化合物B(参考例8)は濃度依存的なCYP3A4の不活 化が認められた。化合物Bの3-エチル置換体で ある化合物C(参考例9)でもCYP3A4の不活化は認 られるものの、その強度は化合物Bと比較す と低かった。一方、3-メチル置換体である 合物A(実施例1)は不活化が認められず、kobs =  kinact × I/(K'app + I)への回帰分析は不能で った。

N.A.:not applicable

 試験例1および2より、化合物B、化合物A、化 合物Cはそれぞれ3-アミノピペリジン上の置換 基が水素原子、メチル基、エチル基とである ことのみ異なる。ところが、そのDPP-IV阻害活 性IC 50 (nM)は水素原子を有する化合物B(0.34nM)および チル基を有する化合物A(1.6nM)が高く、これら に比べてエチル基を有する化合物Cは大分活 が低い(26nM)。一方で、医薬品の安全性の観 で非常に重要なMBIにおいて、水素原子を有 る化合物B(0.34nM)では検出されたのに対し、 チル基を有する化合物A(1.6nM)では検出されな かった。ところがさらに炭素鎖を延ばしたエ チル基を有する化合物CではまたMBIが検出さ た。これらの結果より、メチル基を有する 合物AがDPP-IV阻害活性の点でもMBIの点でもと わけ優れた化合物であることが見出された 理由としては本発明化合物の全体構造の中 の置換基の相違がDPP-IVとCYP3A4のそれぞれと 相互作用に影響しているものと考えられる しかし、DPP-IVとの相互作用の点において水 原子を有する化合物とメチル基を有する化 物が強いのに対し、CYP3A4との相互作用にお て水素原子を有する化合物とエチル基を有 る化合物が強く、メチル基を有する化合物 は検出されないことは従来の知見から全く 想のつかないことである。

 本発明によってDPP-IV阻害活性を有し、安全 、毒性等で改善された化合物を提供するこ ができる。
 本発明化合物は、前糖尿病状態における食 高血糖の抑制、非インスリン依存性糖尿病 治療、関節炎や関節リウマチなど自己免疫 疾患の治療、腸管粘膜疾患の治療、成長促 、移植臓器片の拒絶反応抑制、肥満治療、 食障害の治療、HIV感染の治療、癌転移の抑 、前立腺肥大症の治療、歯根膜炎の治療、 よび骨粗鬆症の治療に有用である。