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Patent Searching and Data


Title:
MICROWAVE HEATING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050893
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a microwave heating device which can effectively heat an object-to-be-heated of various shapes, types, sizes, and amounts contained in a heating chamber by reducing a reflection power of the microwave emitted from microwave supply means. A microwave generation unit includes: oscillation units (2a, 2b); power distribution units (3a, 3b); power amplification units (5a-5d); a heating chamber (10) for containing an object-to-be-heated; and a plurality of feed units (8a-8d, 9a-9b) arranged on a wall of the heating chamber for supplying a microwave into the heating chamber. The microwave heating device is so configured that it is possible to variably control a phase difference and an oscillation frequency of microwaves outputted from the feed units constituting a pair in control.

Inventors:
YASUI KENJI
NOBUE TOMOTAKA
OOMORI YOSHIHARU
MIHARA MAKOTO
Application Number:
PCT/JP2008/002930
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
YASUI KENJI
NOBUE TOMOTAKA
OOMORI YOSHIHARU
MIHARA MAKOTO
International Classes:
H05B6/66; H05B6/72; H05B6/74
Domestic Patent References:
WO2008018466A12008-02-14
Foreign References:
JP2000357583A2000-12-26
JPS4712595B1
JPS6132390A1986-02-15
JPS5219342A1977-02-14
JPS5696487A1981-08-04
JPS5111244A1976-01-29
JPS59228395A1984-12-21
JPS53162446U1978-12-19
JP2004512661A2004-04-22
JP2008269793A2008-11-06
JPS56132793A1981-10-17
Other References:
See also references of EP 2205043A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building3-7, Shiromi,1-chome, Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 01, JP)
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Claims:
 被加熱物を収容する加熱室と、発振部と、前記発振部の出力を複数に分配して出力する電力分配部と、前記電力分配部の出力をそれぞれ電力増幅する複数の電力増幅部と、前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給する複数の第1の給電部と、前記第1の給電部に入力された反射電力を前記加熱室に供給する複数の第2の給電部と、前記第1の給電部からの反射電力を前記第2の給電部へ供給する循環型の非可逆回路と、を備え、
 前記第1の給電部と前記第2の給電部は、前記加熱室へ供給するマイクロ波の励振方向が異なるように構成されたマイクロ波加熱装置。
 前記発振部、前記電力分配部、前記電力増幅部、前記第1の給電部、前記第2の給電部および前記非可逆回路により構成されたマイクロ波発生部を少なくとも二組以上備えた請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記第1の給電部と前記第2の給電部が前記加熱室を構成する壁面における同一壁面に配置された請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。
 複数の前記第1の給電部が前記加熱室を構成する壁面における同一壁面に配置された請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。
 複数の前記第1の給電部が前記加熱室を構成する壁面における異なる壁面に配置された請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。
 複数の前記発振部が同一の周波数で発振するよう構成した請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。
 複数の前記発振部が異なる周波数で発振するよう構成した請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記マイクロ波発生部は、前記電力分配部の出力に接続され、前記電力分配部の出力位相を可変する位相可変部と、制御部とを有する請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。
 複数の前記位相可変部の各々が独立の位相量を可変制御する構成とした請求項8に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記マイクロ波発生部は、前記電力増幅部に加熱室内部からの反射電力を検出する電力検出部と、制御部とを有し、前記電力増幅部への反射電力が最小となる周波数となるよう発振部の発振周波数を制御するよう構成した請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記電力検出部の検出する反射電力が所定値以上になると前記電力増幅部が出力する電力を所定の割合で減ずる構成とした請求項10に記載のマイクロ波加熱装置。
 加熱動作の初期状態において、前記制御部は、使用可能な周波数帯域において前記電力検出部が検出した反射電力に関する周波数特性から反射電力が最小となる周波数を探索する最小反射電力探査動作を行うよう構成した請求項10に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記制御部は、前記最小反射電力探査動作を行うとき、前記電力増幅部の出力を低下させ、前記最小反射電力探査動作が終了して反射電力が最小となる周波数により加熱動作を行うときに前記電力増幅部の出力を上昇させるよう構成した請求項12に記載のマイクロ波加熱装置。
 加熱動作において、前記制御部は、前記電力検出部が逐次検出した反射電力において、より小さい値となる周波数を選択して加熱動作を継続させる極小反射電力追尾動作を行うよう構成した請求項10に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記制御部は、前記極小反射電力追尾動作において、前記電力検出部が検出した反射電力の値が所定値を越えた場合には前記電力増幅部の出力を低下させるよう構成した請求項14に記載のマイクロ波加熱装置。
 前記制御部は、前記極小反射電力追尾動作において、前記電力検出部が検出した反射電力の値が所定値を越えた場合には、加熱動作を停止して、前記最小反射電力探査動作を実行して反射電力が最小となる周波数を探索するよう構成した請求項14に記載のマイクロ波加熱装置。
Description:
マイクロ波加熱装置

 本発明は、固体素子である半導体素子を いて構成したマイクロ波発生部を備えたマ クロ波加熱装置に関するものである。

 マイクロ波により被加熱物を加熱処理す マイクロ波加熱装置の代表的な装置として 電子レンジがある。電子レンジにおいては マイクロ波発生部において発生したマイク 波が金属製の加熱室内部に放射され、加熱 内部の被加熱物が放射されたマイクロ波に り加熱処理される。

 従来の電子レンジにおけるマイクロ波発生 には、マグネトロンが用いられていた。マ ネトロンにより生成されたマイクロ波は、 波管を介して加熱室内部に供給され、被加 物に放射されて、被加熱物に対する加熱処 が行われていた。
 マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部 しては、近年、固体素子である半導体素子 用いて構成したものが注目されている。

 この種のマイクロ波発生部としては、半 体発振部と、半導体発振部の出力を複数に 配する分配部と、分配された出力をそれぞ 増幅する複数の増幅部と、増幅部の出力を 合成する合成部とを有し、分配部と増幅部 の間に位相器を設けたものがある。このよ なマイクロ波発生部を用いたマイクロ波加 装置には、例えば、日本の特開昭56-132793号 報に開示された電子レンジがある。

 特開昭56-132793号公報に開示された電子レン においては、位相器がダイオードのオンオ 特性によりマイクロ波の伝送線路の長さを り換える構成である。この電子レンジにお て、合成器として90度および180度ハイブリ ドを用いることにより2つの出力を形成して る。この従来の電子レンジにおいては、位 器を制御することにより2つの出力の電力比 を変化させて、2つの出力間の位相を同相あ いは逆相に設定している。このような位相 を備えた従来の電子レンジにおいては、合 器の2つの出力から放射されるマイクロ波は 位相器によって同相または逆相に切り換え ことで2つの放射アンテナからの放射される 電力比と位相差を変化させている。

特開昭56-132793号公報

 電子レンジに代表されるマイクロ波加熱 置において、マイクロ波が供給される加熱 内には、形状、種類、大きさ、量の異なる まざまな被加熱物が収納される。加熱室内 おいては、収納された被加熱物に対してマ クロ波が放射されるが、被加熱物の形状、 類、大きさ、量等に応じて大きさの異なる 射電力が発生する。発生した反射電力が大 い場合は、加熱効率が悪く、被加熱物を効 高く所望の状態で加熱していないことを示 ている。したがって、マイクロ波が供給さ る加熱室内に収納された形状、種類、大き 、量の異なる様々な被加熱物に対して、被 熱物をユーザが所望する状態に加熱すると に反射電力を可能な限り小さくして、加熱 率を高めることはこの分野における達成す き重要な課題であった。

 本発明は、従来のマイクロ波加熱装置に ける上記の課題を達成するものであり、加 室内に収納される形状、種類、大きさ、量 異なる様々な被加熱物に対して、マイクロ 供給手段から放射されたマイクロ波の加熱 側からの反射電力を小さくして、様々な被 熱物に対し効率の高い加熱を行うことがで るマイクロ波加熱装置を提供することを目 とする。また、本発明は、複数のマイクロ 供給手段を加熱室の異なる壁面に最適に配 して、加熱室内部のマイクロ波の電磁界分 を均一、若しくは被加熱物に応じて適切に 熱することを可能とし、且つ小型化が可能 マイクロ波加熱装置を提供することを目的 する。

 本発明は、上記目的を達成するものであ 、マイクロ波を放射する機能を有した複数 マイクロ波供給手段である、第1の給電部を 加熱室が構成される壁面に配置するとともに 、第1の給電部が受け取った反射電力を加熱 に再放射する第2の給電部を設けることによ 、形状、種類、大きさ、量の異なる様々な 加熱物により生じる反射電力を小さくして 被加熱物を効率高く所望の状態に加熱する イクロ波加熱装置を提供するものである。

 本発明に係る第1の観点のマイクロ波加熱装 置は、被加熱物を収容する加熱室と、発振部 と、前記発振部の出力を複数に分配して出力 する電力分配部と、前記電力分配部の出力を それぞれ電力増幅する複数の電力増幅部と、 前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給す る複数の第1の給電部と、前記第1の給電部に 力された反射電力を前記加熱室に供給する 数の第2の給電部と、前記第1の給電部から 反射電力を前記第2の給電部へ供給する循環 の非可逆回路と、を備え、
 前記第1の給電部と前記第2の給電部は、前 加熱室へ供給するマイクロ波の励振方向が なるように構成されている。

 上記のように構成された第1の観点のマイ クロ波加熱装置は、第1の給電部が受け取っ マイクロ波の反射電力を第2の給電部によっ 加熱室に再放射する構成であるため、電力 幅部が出力するマイクロ波を効率よく被加 物に吸収させることができる。また、本発 においては、マイクロ波放射を異なる複数 給電部から行うことにより、異なる方向か 被加熱物に対して直接的にマイクロ波を効 高く照射することができる。

 本発明に係る第2の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第1の観点における前記発振部 前記電力分配部、前記電力増幅部、前記第1 給電部、前記第2の給電部および前記非可逆 回路により構成されたマイクロ波発生部を少 なくとも二組以上備える構成としてもよい。 このように構成された第2の観点のマイクロ 加熱装置は、マイクロ波放射を異なる方向 ら被加熱物に対して直接的に照射すること できるため、形状、種類、大きさ、量の異 る様々な被加熱物を所望の状態に効率高く 熱することができる。

 本発明に係る第3の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第2の観点における前記第1の給 部と前記第2の給電部が前記加熱室を構成す る壁面における同一壁面に配置される構成と してもよい。このように構成された第3の観 のマイクロ波加熱装置は、第1の給電部と第2 の給電部間の物理的な距離を最小化して両給 電部間での伝送路による伝送損失を大幅に低 減し、電力増幅部が出力するマイクロ波を効 率高く加熱室内に放射することができる。

 本発明に係る第4の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第2の観点における複数の前記 1の給電部が前記加熱室を構成する壁面にお る同一壁面に配置される構成としてもよい このように構成された第4の観点のマイクロ 波加熱装置は、マイクロ波発生部において各 構成要素間を接続する伝送路を物理的に最小 距離にて構成することが可能となり、伝送路 による伝送損失を最小化して、電力増幅部が 出力するマイクロ波を効率高く加熱室内に放 射することができる。

 本発明に係る第5の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第2の観点における複数の前記 1の給電部が前記加熱室を構成する壁面にお る異なる壁面に配置される構成としてもよ 。このように構成された第5の観点のマイク ロ波加熱装置は、異なる方向から被加熱物に 対して直接的にマイクロ波を照射することが でき、様々な形状、種類、大きさ、量の異な る被加熱物が加熱室内に載置された場合でも 加熱室内に放射されたマイクロ波を効率的に 被加熱物に吸収させて、反射電力を最小に抑 制して被加熱物の加熱を効果的に行い、短時 間での加熱を実現することが可能となる。

 本発明に係る第6の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第2の観点における複数の前記 振部が同一の周波数で発振するよう構成し もよい。このように構成された第6の観点の イクロ波加熱装置は、マイクロ波加熱装置 構成する各々のマイクロ波発生部の発振器 共用することができ、マイクロ波加熱装置 小型化が可能となる。

 本発明に係る第7の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第2の観点における複数の前記 振部が異なる周波数で発振するよう構成し もよい。このように構成された第7の観点の イクロ波加熱装置は、各々のマイクロ波発 部において反射電力が最小となる周波数を 々独立に選択できるため様々な形状、種類 大きさ、量の異なる被加熱物が加熱室に載 された場合でも加熱室内に放射されたマイ ロ波を効率的に被加熱物に吸収させて、反 電力を最小に抑制して被加熱物の加熱を効 的に行い、短時間での加熱を実現すること 可能となる。

 本発明に係る第8の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第2の観点における前記マイク 波発生部が、前記電力分配部の出力に接続 れ、前記電力分配部の出力位相を可変する 相可変部と、制御部とを有する構成として よい。このように構成された第8の観点のマ クロ波加熱装置は、第1の給電部から放射さ れるマイクロ波を被加熱物が置かれた位置で 干渉させることができ、加熱室内に放射され たマイクロ波を効率的に被加熱物に吸収させ て、反射電力を最小に抑制して被加熱物の加 熱を効果的に行い、短時間での加熱を実現す ることが可能となる。

 本発明に係る第9の観点のマイクロ波加熱 装置は、前記第8の観点における複数の前記 相可変部の各々が独立の位相量を可変制御 る構成としてもよい。このように構成され 第9の観点のマイクロ波加熱装置は、各々の イクロ波発生部における位相量を独立して 御することができ、様々な形状、種類、大 さ、量の異なる被加熱物が加熱室に載置さ た場合でも、加熱室内に放射されたマイク 波を効率的に被加熱物に吸収させて、反射 力を最小に抑制して被加熱物の加熱を効果 に行い、短時間での加熱を実現することが 能となる。

 本発明に係る第10の観点のマイクロ波加 装置は、前記第1の観点における前記マイク 波発生部が、前記電力増幅部に加熱室内部 らの反射電力を検出する電力検出部と、制 部とを有し、前記電力増幅部への反射電力 最小となる周波数となるよう発振部の発振 波数を制御するよう構成してもよい。この うに構成された第10の観点のマイクロ波加 装置は、様々な形状、種類、大きさ、量の なる被加熱物が加熱室に載置された場合で 過大な反射電力によって増幅部に致命的な 傷を負わせることなく、被加熱物の加熱を 率的に行うことができる。

 本発明に係る第11の観点のマイクロ波加 装置は、前記第10の観点における前記電力検 出部の検出する反射電力が所定値以上になる と前記電力増幅部が出力する電力を所定の割 合で減ずる構成としてもよい。このように構 成された第11の観点のマイクロ波加熱装置は 様々な形状、種類、大きさ、量の異なる被 熱物が加熱室に載置された場合でも過大な 射電力によって増幅部に致命的な損傷を負 せることなく被加熱物の加熱を効率的に行 ことができると同時に、加熱中も常時所定 反射電力以下となる位相差および発振周波 を維持できるため、被加熱物の温度上昇に って電波の吸収および反射の状態が変化し も常に効率的に被加熱物の加熱を行うこと できる。

 本発明に係る第12の観点のマイクロ波加 装置は、前記第10の観点における加熱動作の 初期状態において、前記制御部が、使用可能 な周波数帯域において前記電力検出部が検出 した反射電力に関する周波数特性から反射電 力が最小となる周波数を探索する最小反射電 力探査動作を行うよう構成してもよい。この ように構成された第12の観点のマイクロ波加 装置は、様々な形状、種類、大きさ、量の なる被加熱物が加熱室に載置された場合で 、反射電力を最小に抑制して被加熱物の加 を効果的に行うことができる。

 本発明に係る第13の観点のマイクロ波加 装置は、前記第12の観点における前記制御部 が、前記最小反射電力探査動作を行うとき、 前記電力増幅部の出力を低下させ、前記最小 反射電力探査動作が終了して反射電力が最小 となる周波数により加熱動作を行うときに前 記電力増幅部の出力を上昇させるよう構成し てもよい。このように構成された第13の観点 マイクロ波加熱装置は、様々な形状、種類 大きさ、量の異なる被加熱物が加熱室に載 された場合でも過大な反射電力によって増 部に致命的な損傷を負わせることなく被加 物の加熱を効率的に行うことができる。

 本発明に係る第14の観点のマイクロ波加 装置は、前記第10の観点における加熱動作に おいて、前記制御部が、前記電力検出部が逐 次検出した反射電力において、より小さい値 となる周波数を選択して加熱動作を継続させ る極小反射電力追尾動作を行うよう構成して もよい。このように構成された第14の観点の イクロ波加熱装置は、加熱動作中において 、反射電力を最小化し、被加熱物の加熱を 果的に行うことができる。

 本発明に係る第15の観点のマイクロ波加 装置は、前記第14の観点における前記制御部 が、前記極小反射電力追尾動作において、前 記電力検出部が検出した反射電力の値が所定 値を越えた場合には前記電力増幅部の出力を 低下させるよう構成してもよい。このように 構成された第15の観点のマイクロ波加熱装置 、加熱動作中において、過大な反射電力に って増幅部に致命的な損傷を負わせること く被加熱物の加熱を効率的に行うことがで る。

 本発明に係る第16の観点のマイクロ波加 装置は、前記第14の観点における前記制御部 が、前記極小反射電力追尾動作において、前 記電力検出部が検出した反射電力の値が所定 値を越えた場合には、加熱動作を停止して、 前記最小反射電力探査動作を実行して反射電 力が最小となる周波数を探索するよう構成し てもよい。このように構成された第16の観点 マイクロ波加熱装置は、加熱動作中におい 、過大な反射電力によって増幅部に致命的 損傷を負わせることなく、信頼性の高い装 となる。

 本発明によれば、マイクロ波を放射する 能を有する複数のマイクロ波供給手段であ 給電部を加熱室が構成される壁面に最適に 置するとともに第1の給電部から放射された マイクロ波の反射電力を第2の給電部から加 室内へ再放射するよう構成することにより 形状、種類、大きさ、量の異なる様々な被 熱物を効率高く所望の状態で加熱するマイ ロ波加熱装置を提供することができる。

本発明に係る実施の形態1のマイクロ波 加熱装置の構成を示す模式図 実施の形態1のマイクロ波加熱装置にお ける給電部の配置例を示す図 実施の形態1のマイクロ波加熱装置に ける第1の給電部の支配的な励振方向を示す 実施の形態1のマイクロ波加熱装置に ける第2の給電部の支配的な励振方向を示す 実施の形態1のマイクロ波加熱装置の位 相差および発振周波数の制御例を示すフロー チャート 実施の形態1のマイクロ波加熱装置の最 小反射電力探査動作を示すフローチャート 図5に示す最小反射電力探査動作におけ る周波数特性の一例を示す図 実施の形態1のマイクロ波加熱装置の極 小反射電力追尾動作を示すフローチャート 図7に示す極小反射電力追尾動作を説 する図 図7に示す極小反射電力追尾動作の異 時の動作を示す図 マイクロ波加熱装置において、位相差 整による加熱室内部の電磁界分布の実験に いた加熱室を上方から見た平面断面図 マイクロ波加熱装置において、位相差 0度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 40度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 80度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 120度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を 示す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 160度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を 示す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 200度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を 示す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 240度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を 示す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 280度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を 示す等温線図 マイクロ波加熱装置において、位相差 320度の加熱室内部の電磁界分布の実験結果を 示す等温線図 本発明に係る実施の形態2のマイクロ 加熱装置における給電部の配置例を示す図 本発明に係る実施の形態3のマイクロ 加熱装置における最小反射電力探査動作を 明する図 実施の形態3のマイクロ波加熱装置に ける最小反射電力探査動作を説明する図

 以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置 好適な実施の形態について、添付の図面を 照しながら説明する。なお、以下の実施の 態のマイクロ波加熱装置においては電子レ ジについて説明するが、電子レンジは1つの 例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は 、電子レンジに限定されるものではなく、誘 電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、 あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加 熱装置を含むものである。また、本発明は、 以下の実施の形態の具体的な構成に限定され るものではなく、同じ技術的思想に基づく構 成が本発明に含まれる。

 (実施の形態1)
 図1は本発明に係る実施の形態1のマイクロ 加熱装置の構成を示す模式図である。特に 図1においては実施の形態1のマイクロ波加熱 装置におけるマイクロ波発生手段であるマイ クロ波発生部の構成をブロック図で示してい る。

 図1において、実施の形態1のマイクロ波 生部は、半導体素子を用いて構成した2つの 振部2a,2b、各発振部2a,2bの出力を2分配する 力分配部3a,3b、分配部3a,3bのそれぞれの出力 増幅する電力増幅部5a,5b,5c,5d、電力増幅部5a ,5b,5c,5dによって増幅されたマイクロ波出力を 加熱室10の内部に放射する第1の給電部8a,8b,8c, 8d、および、第1の給電部8a,8b,8c,8dが受け取っ 反射電力を循環型の非可逆回路7a,7b,7c,7dを して加熱室内部に再放射する第2の給電部9a,9 b,9c,9dを具備している。

 循環型の非可逆回路7a,7b,7c,7dは3つの入出 のポートを有しており、第1のポートから入 力されたマイクロ波電力は第2のポートへと かれ、第3のポートには現れない。また、第2 のポートから入力されたマイクロ波電力は全 て第3のポートへと導かれ、第1のポートへは れないように動作する。一般に、このよう 動作する循環型の非可逆回路をサーキュレ タと称している。以下の本明細書において 、非可逆回路7a,7b,7c,7dをサーキュレータと して説明する。

 また、実施の形態1のマイクロ波発生部は 、電力分配部3a,3bと電力増幅部5a,5b,5c,5dとを 続するマイクロ波伝送路に挿入され、電力 幅部5a,5b,5c,5dへの出力に任意の位相差を発生 させる位相可変部4a,4b,4c,4dと、電力増幅部5a,5 b,5c,5dと第1の給電部8a,8b,8c,8dとを接続するマ クロ波伝送路に挿入され、第2の給電部9a,9b,9 c,9dが受け取った加熱室内部からの反射電力 検出する電力検出部6a,6b,6c,6dと、電力検出部 6a,6b,6c,6dからの検出信号が入力され、発振部2 a,2bと位相可変部4a,4b,4c,4dと電力増幅部5a,5b,5c, 5dを駆動制御する制御部12と、有している。

 電力検出部6a,6b,6c,6dと第1の給電部8a,8b,8c,8 dとの間に挿入されたサーキュレータ7a,7b,7c,7d は、第1の給電部8a,8b,8c,8dが受け取った反射電 力を第2の給電部9a,9b,9c,9dに導いている。制御 部12は、電力検出部6a,6b,6c,6dによって検出さ た反射電力に応じて発振部2a,2bの発振周波数 と、位相可変部4a,4b,4c,4dの位相量と、電力増 部5a,5b,5c,5dの増幅率を制御する。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置は、被 加熱物11を収納する略直方体構造からなる加 室10を有し、加熱室10は金属材料からなる左 壁面、右壁面、底壁面、上壁面、奥壁面、お よび被加熱物11を収納するために開閉する開 扉(図1においては手前側であり、図示省略) 構成されている。上記のように構成された 熱室10は、開閉扉が閉じた状態において、 熱室内に供給されたマイクロ波を内部に閉 込めて、マイクロ波が漏れないように構成 れている。また、加熱室内には被加熱物11を 載置するための載置台13が設けられている。

 また、実施の形態1のマイクロ波加熱装置 は、マイクロ波発生部の出力が伝送されて、 そのマイクロ波を加熱室内に放射供給する2 の給電部である、第1の給電部8a,8b,8c,8dおよ 第2の給電部9a,9b,9c,9dが加熱室10を構成する各 壁面に配置されている。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい ては、制御的に対となる給電部が対向する壁 面に配置されている。即ち、左壁面および右 壁面の略中央には、第1の電力分配部3aにより 分配されたマイクロ波が供給される制御的に 対となる第1の給電部8a,8bがそれぞれ配置され ている。また、左壁面および右壁面には、制 御的に対となる第1の給電部8a,8bが受け取った 反射電力をサーキュレータ7a,7bを介して出力 る、制御的に対となる第2の給電部9a,9bがそ ぞれ配置されている。

 実施の形態1において、第1の給電部8a,8bは 、左壁面および右壁面の略中央に配置された 例を示しているが、それらのマイクロ波放射 方向が完全に対向しないようにずれて配置さ れている。また、第2の給電部9a,9bにおいても 、左壁面および右壁面に配置された例を示し ているが、それらのマイクロ波放射方向が完 全に対向しないようずれて配置されている。 第2の給電部9a,9bのそれぞれは、各第1の給電 8a,8bの下側に配置されており、載置台13上の 加熱物11に対して確実にマイクロ波が照射 れる位置に配置されている。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい ては、加熱室10の上壁面と底壁面の略中央に 御的に対となる第1の給電部8c,8dを配置し、 様に加熱室10の上壁面と底壁面に第2の給電 9c,9dを配置した構成を示している。しかし 本発明のマイクロ波加熱装置の構成は、実 の形態1のマイクロ波加熱装置における各給 部の配置に拘束されるものではなく、各種 応が可能である。例えば、いずれか1つの壁 面に複数の第1の給電部を設けてもよいし、 向面ではない壁面、例えば右壁面と底壁面 ような隣接する壁面に制御的に対となる給 部を設けた構成も可能である。

 半導体素子を有して構成された電力増幅 5a,5b,5c,5dは、低誘電損失材料により形成さ た誘電体基板の片面に形成した導電体パタ ンにて回路を構成し、各電力増幅部5a,5b,5c,5d の増幅素子である半導体素子を良好に動作さ せるべく、各半導体素子の入力側と出力側に それぞれ整合回路を配している。

 各々の機能ブロックを接続するマイクロ 伝送路は、誘電体基板の片面に設けられた 電体パターンによって特性インピーダンス 略50ωの伝送回路が形成されている。

 第1の電力分配部3aおよび第2の電力分配部 3bは、例えばウィルキンソン型分配器のよう 出力間に位相差を生じない同相分配器であ てもよいし、ブランチライン型やラットレ ス型のような出力間に位相差を生じる分配 であってもよい。第1の電力分配部3aは、第1 の発振部2aから入力されたマイクロ波電力の 1/2の電力を2つの位相可変部4a,4bにそれぞれ 力する。また、第2の分配部3bは、第2の発振 部2bから入力されたマイクロ波電力の略1/2の 力を2つの位相可変部4c,4dにそれぞれ出力す 。

 また、各位相可変部4a,4b,4c,4dは、印加電 に応じて容量が変化する容量可変素子を用 て構成されており、各位相可変部4a,4b,4c,4dの 位相可変範囲は、0度から略180度の範囲であ 。したがって、各位相可変部4a,4b,4c,4dより出 力されるマイクロ波電力の位相差は、0度か ±180度の範囲内で制御することが可能である 。

 電力検出部6a,6b,6c,6dは、加熱室10側から第 2の給電部9a,9b,9c,9dが受け取り、サーキュレー タ7a,7b,7c,7dを介して電力増幅部5a,5b,5c,5dに伝 される、いわゆる反射波の電力を抽出する のである。電力検出部6a,6b,6c,6dの電力結合度 は、例えば約40dBであり、反射電力の約1/10000 電力量を抽出する。電力検出部6a,6b,6c,6dに り検出された電力信号はそれぞれ、検波ダ オード(図示省略)で整流し、コンデンサ(図 省略)で平滑処理して、その平滑された信号 制御部12に入力される。

 制御部12は、ユーザが直接入力する被加 物の加熱条件あるいは加熱中に被加熱物の 熱状態から得られる加熱情報、および電力 出部6a,6b,6c,6dにより検出された電力信号であ る反射電力の情報などに基づいて、マイクロ 波発生部の構成要素である第1の発振部2a、第 2の発振部2b、および電力増幅部5a,5b,5c,5dのそ ぞれに供給する駆動電力の制御、並びに位 可変部4a,4b,4c,4dに供給する電圧を制御して 加熱室10内に収納された被加熱物11をユーザ 所望する状態となるよう最適に加熱する。 た、マイクロ波発生部には主に電力増幅部5 a,5b,5c,5dに設けられた半導体素子の発熱を放 させるための放熱手段(図示省略)が設けられ ている。

 また、第1の給電部8a,8b,8c,8dから放射する イクロ波の支配的な励振方向は、第2の給電 部9a,9b,9c,9dから放射するマイクロ波の支配的 励振方向と一致しないように、第1の給電部 8a,8b,8c,8dおよび第2の給電部9a,9b,9c,9dが以下の うに構成されている。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい て、加熱室10の各壁面に設けられた第1の給電 部8a,8b,8c,8dおよび第2の給電部9a,9b,9c,9dは、開 部がアンテナとなる開口型の給電部である 図2は第1の給電部8a,8b,8c,8dおよび第2の給電 9a,9b,9c,9dの開口部の形状の一例を示している 。開口型の給電部においては、マイクロ波を 加熱室内に放射するアンテナである開口部の 形状が、マイクロ波の支配的な励振方向を決 定する。

 第1の給電部8a,8b,8c,8dおよび第2の給電部9a, 9b,9c,9dの構成は、効率的にマイクロ波を開口 から加熱室内に放射するために、開口部に けるインピーダンスと加熱室内の空間のイ ピーダンスとを整合させる必要がある。具 的には、加熱室内の開放空間に対して開口 における反射が-20dB以下となるように開口 のインピーダンスを設計すると、開口部に して供給する電力の99%が開口部から放射さ ることになる。

 また、第1の給電部8a,8b,8c,8dおよび第2の給電 部9a,9b,9c,9dの各開口部は、いわゆるアンテナ して機能するため、各給電部へマイクロ波 導く導波路内において単一のモードのマイ ロ波が存在するように設定するとインピー ンスの設計が容易になる。電磁波の伝搬形 としては、TEモード(Transverse Electric Mode)、T Mモード(Transverse Magnetic Mode)、およびTEMモー (Transverse Electromagnetic Mode)の3形態がある。 えば、放射するマイクロ波の周波数が電子 ンジにおいて使用されている2450MHz±50MHzの 波数帯域であって、長方形状の開口部にお る長辺と短辺の長さの比が2:1である矩形状 導波管を用いた場合、短辺に垂直な方向に 界が立つTE 10 モードでマイクロ波を伝播させるためには、 開口部の長辺の長さが110mmであり、短辺の長 が55mmの、いわゆるWR-430導波管(EIA規格名)が いられる。このときの管内波長λgは約148mm なり、開口部の短辺の長さをλg/4程度に設計 しておくと、開口部から効率的にマイクロ波 が放射される。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置の構成 においては、発明者が各種実験を行い検討し た結果、給電部の各開口部における短辺の長 さを30mm、長辺の長さを80mmと設定した。この 定した長さは、厳密には管内波長の1/4とは 違しているが、この程度の相違は本発明の 果を損なうものではない。

 図3Aおよび図3Bは、加熱室10の左壁面に設 られた第1の給電部8aおよび第2の給電部9aの 開口部から放射されるマイクロ波の支配的 励振方向を示す図である。図3Aは第1の給電 8aの開口部における励振方向(図3Aにおいて 上下方向)を矢印で示しており、図3Bは第2の 電部9aの開口部における励振方向(図3Bにお ては左右方向)を矢印で示している。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい ては、左壁面の第1の給電部8a、右壁面の第1 給電部8b、底壁面の第1の給電部8c、および上 壁面の第1の給電部8dがそれぞれ放射するマイ クロ波の支配的な励振方向は、ほぼ一致する ように構成されている。また、左壁面の第2 給電部9a、右壁面の第2の給電部9b、底壁面の 第2の給電部9c、および上壁面の第2の給電部9d が放射するマイクロ波の支配的な励振方向は 、ほぼ一致するように構成されている。しか し、第1の給電部8a,8b,8c,8dおよび第2の給電部9a ,9b,9c,9dの各開口部は、図2に示すように配設 れているため、第1の給電部8a,8b,8c,8dが放射 るマイクロ波と、第2の給電部9a,9b,9c,9dが放 するマイクロ波の支配的な励振方向は、一 しないものとなっている。

 図2に示したように、実施の形態1におい は、例えば左壁面の第1の給電部8aの開口部 第2の給電部9aの開口部におけるそれぞれの 手方向が直交するように構成した例で説明 たが、本発明はこの例に限定されるもので ない。例えば、第1の給電部8aの開口部の長 方向と第2の給電部9aの開口部の長手方向の す角度を、90度の他に、30度、45度等の任意 角度に設定することが可能である。

 図3Aおよび図3Bに示すように、各開口部か ら放射されるマイクロ波の支配的な励振方向 は、開口部の長手方向に対して垂直な短辺方 向であり、この短辺方向に支配的なマイクロ 波が励振されて、開口部から放射されている 。したがって、開口部において支配的な方向 に振動するマイクロ波は、このマイクロ波が 放射される開口部においては容易に通過する のに対して、その開口部の短辺方向と異なる 方向(例えば、短辺方向から90度回転した長手 方向)に振動するマイクロ波は、その開口部 通過することが困難となる。このため、第1 給電部8a,8b,8c,8dの各開口部から放射された イクロ波が、第2の給電部9a,9b,9c,9dの開口部 に直接的に伝送されることが極めて少なく 殆どのマイクロ波は加熱室内に放射されて 被加熱物11を加熱する。

[加熱動作]
 次に、以上のように構成された実施の形態1 のマイクロ波加熱装置における加熱動作につ いて説明する。

 図4は実施の形態1のマイクロ波加熱装置 おいて実行される加熱動作を示すフローチ ートである。図4に示すように、実施の形態1 のマイクロ波加熱装置においては、実際に所 定の出力で加熱動作(本加熱動作)を行う前の 熱動作初期状態において、加熱室10内に被 熱物11が配置された状態で、被加熱物11から 反射電力が最小となる周波数を探査する最 反射電力探査動作が行われる(ステップ1)。 の最小反射電力探査動作においては、マイ ロ波出力は低く抑えられている。ステップ1 において検知された最小反射電力のときの周 波数で第1の発振部2aおよび第2の発振部2bを発 振させて、実際の所定の出力で加熱する本加 熱動作が開始される(ステップ2)。この本加熱 動作においては、極小反射電力追尾動作が実 行される(ステップ3)。極小反射電力追尾動作 は、ユーザが設定した加熱条件を満たした時 点(例えば、設定時間、設定温度等を満たし 時点)である加熱動作終了まで行われる(ステ ップ4)。実施の形態1のマイクロ波加熱装置に おける最小反射電力探査動作および極小反射 電力追尾動作の詳細については、後述する。

 まず始めに、ユーザが被加熱物11を加熱 内に配置して、その被加熱物11に関する加熱 条件を操作部(図示していない)において入力 る。ユーザが加熱開始キーを押圧すること より、加熱開始信号が生成されて、その加 開始信号が制御部12に入力される。加熱開 信号が入力された制御部12は制御出力信号を 生成し、マイクロ波発生部は動作を開始する 。制御部12は、駆動電源(図示省略)を稼働し 、第1の発振部2aおよび第2の発振部2bに電力 供給する。この時、制御部12は、第1の発振 2aおよび第2の発振部2bに対して、初期の発振 周波数、例えば2400MHzに設定される信号を供 して、第1の発振部2aおよび第2の発振部2bに ける発振を開始させる。

 第1の発振部2aおよび第2の発振部2bが発振 作を開始すると、それぞれの出力は第1の電 力分配部3aおよび第2の電力分配部3bにおいて 各々略1/2に分配されて、4つのマイクロ波電 力信号が形成される。分配されたマイクロ波 電力信号は、各位相可変部4a,4b,4c,4dを介して 力増幅部5a,5b,5c,5dにそれぞれ入力される。 御部12は、駆動電源を制御して、各電力増幅 部5a,5b,5c,5dの出力を制御する。

 第1の電力分配部3aおよび第2の電力分配部 3bにおいて分配されて形成されたマイクロ波 力信号は、位相可変部4a,4b,4c,4d、並列動作 る電力増幅部5a,5b,5c,5d、そして電力検出部6a, 6b,6c,6dを経て4つの第1の給電部8a,8b,8c,8dからマ イクロ波電力として出力されて、加熱室10内 放射される。本加熱動作前の加熱動作初期 態における最小反射電力探査動作において 、各電力増幅部5a,5b,5c,5dはそれぞれ100W未満 例えば50Wの低いマイクロ波電力を出力する 最小反射電力探査動作においては、反射電 によって各増幅部5a,5b,5c,5dの発熱量が放熱 能な熱量を超えないように、低いマイクロ 電力がアンテナから加熱室10内に放射される よう構成されている。

 加熱室10内に供給されたマイクロ波電力 被加熱物11に100%吸収されると加熱室10からの 反射電力は0Wになる。しかし、加熱室10内に 納される被加熱物11は、種類、形状、大きさ 、および量がその都度異なるため、常にマイ クロ波電力が被加熱物11に100%吸収されること はなく、加熱室10においては反射電力が発生 る。被加熱物11の種類、形状、大きさ、お び量により、被加熱物11を含む加熱室10の電 的特性が異なっている。このため、被加熱 11により決定される電気的特性に基づくマ クロ波発生部の出力インピーダンスと加熱 10のインピーダンスとに応じた反射電力が発 生する。その反射電力は加熱室10内部からマ クロ波発生部側に伝送される。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい ては、サーキュレータ7a,7b,7c,7dは、第1の給電 部8a,8b,8c,8dが受け取った加熱室10内部から反 されたマイクロ波電力(反射電力)を第2の給 部9a,9b,9c,9dへ導き、第2の給電部9a,9b,9c,9dから 加熱室10内部へ再放射するよう構成されてい 。

 前述のように、実施の形態1のマイクロ波 加熱装置においては、第1の給電部8a,8b,8c,8dと 第2の給電部9a,9b,9c,9dのマイクロ波の励振方向 が異なるように構成されているため、第1の 電部8a,8b,8c,8dから直接的に第2の給電部9a,9b,9c ,9dへ伝送されるマイクロ波電力の量は極めて 低く抑えられている。また、同じ理由により 、第2の給電部9a,9b,9c,9dから直接的に第1の給 部8a,8b,8c,8dへ伝送されるマイクロ波電力の量 は極めて低く抑えられている。このため、電 力増幅部5a,5b,5c,5dが各々出力するマイクロ波 力は、第1の給電部8a,8b,8c,8dおよび第2の給電 部9a,9b,9c,9dから加熱室10内部に確実に放射さ て、反射電力の低減が図られており、被加 物11を効率的に加熱する。

 電力増幅部5a,5b,5c,5dとサーキュレータ7a,7b ,7c,7dとの間に設けられた電力検出部6a,6b,6c,6d 、検出対象周波数帯域(例えば、2400MHz~2500MHz )において、加熱室10内部からマイクロ波発生 部側に伝送されてきた反射電力量を検出し、 その反射電力量に比例した検出信号を抽出す るものである。その反射電力量に比例した検 出信号を受けた制御部12は、検出対象周波数 域(例えば、2400MHz~2500MHz)において、反射電 が最小値となる発振周波数の選択を行う。 の発振周波数の選択動作において、制御部12 は、位相可変部4a,4b,4c,4dにより、制御的に対 なる第1の給電部8aと8b、および第1の給電部8 cと8dにおいて生じる位相差を0度の状態で第1 発振部2aおよび第2の発振部2bの発振周波数 初期の2400MHzから、例えば1MHzピッチ間隔で徐 々に高い周波数側に変化させて、周波数可変 範囲の上限である2500MHzまで変化させていく このときの反射電力が電力検出部6a,6b,6c,6dに より検知されて、その検知信号が制御部12に 力される。

 このように制御部12が発振周波数に対す 最小反射電力探査動作を行うことにより、 御部12は第1の発振部2aおよび第2の発振部2bの 発振周波数に対する反射電力の変動状態を認 識する。制御部12においては、検出対象周波 帯域において反射電力が最も小さくなる発 周波数を出力するように第1の発振部2aおよ 第2の発振部2bを制御するとともに、ユーザ 入力した被加熱物11に対する加熱条件に対 した加熱出力が得られるように、第1の発振 2a,第2の発振部2b,および各電力増幅部5a,5b,5c, 5dを駆動制御する。駆動制御された各電力増 部5a,5b,5c,5dの出力である所望のマイクロ波 力信号は、電力検出部6a,6b,6c,6dおよびサーキ ュレータ7a,7b,7c,7dを介して第1の給電部8a,8b,8c, 8dに供給される。第1の給電部8a,8b,8c,8dは入力 れたマイクロ波電力を加熱室10内の被加熱 11に出力し、第1の給電部8a,8b,8c,8dが受け取っ た反射電力をサーキュレータ7a,7b,7c,7dを介し 第2の給電部9a,9b,9c,9dに供給する。第2の給電 部9a,9b,9c,9dは反射電力のマイクロ波電力を加 室10内部に放射し、被加熱物11を加熱する。

[最小反射電力探査動作]
 次に、実施の形態1のマイクロ波加熱装置に おいて実際に所定の出力で加熱する本加熱動 作の前に行われる最小反射電力探査動作につ いて詳細に説明する。図5は、図4に示したマ クロ波加熱装置の加熱動作において行われ 最小反射電力探査動作を示すフローチャー である。

 最小反射電力探査動作は、ユーザが加熱 始キーを押圧することにより開始する。ス ップ101においては、制御的に対となる給電 (例えば、第1の給電部8aと8b)から出力される マイクロ波の位相差(φ)を0に固定した状態で 且つ発振周波数(F(m))を検出対象周波数帯域 最低周波数(Fmin、例えば、2400MHz)に設定して 加熱室側からの反射電力を検出する(ステッ 102)。次に、最低周波数から最高周波数(Fmax 例えば、2500MHz)へ変化幅δFだけ徐々にm回上 させていく(mは正の整数)。このとき、加熱 側からの反射電力を逐次検出していく(ステ プ102)。この反射電力検出動作を検出対象周 波数帯域の最高周波数まで継続する(ステッ 102~ステップ104)。反射電力検出動作において 検出された反射電力に対する周波数特性に基 づいて、最小反射電力値を示した周波数を検 出して、その周波数を本加熱動作時の第1の 振部2aおよび第2の発振部2bの発振周波数とす る(ステップ105)。なお、実施の形態1のマイク ロ波加熱装置の制御部12においては、各電力 出部6a,6b,6c,6dから入力される反射電力に関 る周波数特性情報が合成されて1つの周波数 性曲線を算出して最小反射電力を示す周波 を検出している。

 以上が実施の形態1のマイクロ波加熱装置 において本加熱動作の前に実行される最小反 射電力探査動作である。図6は、最小反射電 探査動作において、最低周波数(2400MHz)から 高周波数(2500MHz)までの周波数でスイープ動 を行い、反射電力の変動を測定した周波数 性の一例を示す図である。図6における反射 力曲線の最小値が最小反射電力周波数(fop) なる。

 なお、本発明に係る実施の形態1において 、最小反射電力探査動作は検出対象周波数帯 域の最低周波数から最高周波数までの単一方 向だけ行われる例で説明したが、検出対象周 波数帯域の最高周波数から最低周波数までの 単一方向でもよく、または往復動作で探査動 作を行ってもよい。

 上記のように最小反射電力探査動作を行 ことにより、様々な形状、大きさ、量など 異なる被加熱物11に対して反射電力が最も さくなる条件で加熱を開始することができ 電力増幅部5a,5b,5c,5dに備えられた半導体素子 が反射電力によって過剰に発熱することを防 止でき熱的な破壊を回避することができる。

[極小反射電力追尾動作]
 次に、実施の形態1のマイクロ波加熱装置に おいて、加熱動作中の本加熱動作において行 われる極小反射電力追尾動作について説明す る。極小反射電力追尾動作とは、本加熱動作 中に行われる反射電力の極小値を逐次追尾す る動作である。

 前述の最小反射電力探査動作により検出 れた周波数による本加熱動作中においては 反射電力が極小値となるように極小反射電 追尾動作が行われる。以下の極小反射電力 尾動作の説明において、加熱動作中におけ 第1の発振部2の発振周波数、および第1の発 部2からの出力が入力され、制御的に対とな っている位相可変部4a,4bの位相差に関する制 について説明する。別の対である位相可変 4c,4dにおいても、位相可変部4a,4bと同様の制 御が行われるため、ここでは代表して一方の 制御的に対である位相可変部4a,4bの制御につ てのみ説明し、位相可変部4c,4dの制御につ ては省略する。

 図7は、実施の形態1のマイクロ波加熱装 において、本加熱動作時に実行される極小 射電力追尾動作のフローチャートであり、 1の発振部2の発振周波数および位相可変部4a, 4bの位相差を制御して、時々刻々変化する発 周波数近辺の反射電力の極小値を追尾する のである。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい ては、位相可変部4a,4b,4c,4dが加熱開始から所 の変化量(δφ)で徐々にその位相を変化させ いる。位相可変部4a,4bによって位相を変化 せることによって加熱室内部において第1の 電部8a,8bが放射するマイクロ波の干渉する 置を変化させることができる。このため、 熱室10内に載置された被加熱物11の位置に応 て位相を制御して干渉位置を変動させるこ により、被加熱物11を均等若しくは局部的 加熱することが可能となる。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におけ る加熱動作中においては、位相可変部4a,4bに ける位相差(φ(n))(nは正の整数)を一定の時間 間隔で、一定の変化幅δφ、例えば10度毎に変 化させる(S301)。このとき、第1の発振部2aは、 位相可変部4a,4bが位相差を変える時間間隔と じ間隔で一定の変化幅δf、例えば0.1MHz毎に 振周波数を変化させていく(S302)。上記のよ に、位相可変部4a,4bの位相差および第1の発 部2aの発振周波数を変更する毎に電力検出 6a,6bにおいて反射電力(Pr(n))を検出する(S303)

 ステップ303において検出された反射電力( Pr(n))が予め設定した所定値Xより大きいか否 が判断される(ステップ304)。検出された反射 電力(Pr(n))が所定値Xより大きい場合(Pr(n)>X) は、加熱室10内の被加熱物11等において初期 状態と大きく異なる状態が生じたと判断して 、本加熱動作を一旦中止して(ステップ305)、 イクロ波加熱装置において本加熱動作の直 に実行した最小反射電力探査動作が再度行 れる(ステップ306)。この最小反射電力探査 作は、前述のように位相差を0度に設定して 検出対象周波数帯域の最低周波数(例えば、 2400MHz)から一定変化幅(例えば、0.1MHz)毎に上 させ、変化させる度に反射電力を検出する のである。最小反射電力探査動作が実行さ ることにより、被加熱物11を収納する当該加 熱室における反射電力に関する周波数特性が 検出される。制御部12は、検出した周波数特 に基づいて、最小反射電力となる周波数を 出し、その周波数で発振するように、第1の 発振部2aおよび第2の発振部2bを制御する。以 、図4に示したステップ2以降が実行される

 一方、ステップ304において、検出された 射電力(Pr(n))が所定値Xより小さい場合(Pr(n) X)には、ステップ307へ移行する。制御部12は 回検出された反射電力(Pr(n))と前回検出され た反射電力(Pr(n-1))とを比較し、今回検出され た反射電力が減少していれば(Pr(n)≦Pr(n-1))、 在の発振周波数を維持する(ステップ308)。 して、変化幅δfの符号(+)をそのまま維持し (ステップ309)、次のステップ301に移行する。 このとき、当該被加熱物11に対する加熱条件 満たされていれば、この加熱動作は終了と り、同時に極小反射電力追尾動作も終了す (ステップ312)。

 一方、ステップ307において、今回検出され 反射電力が増大していれば(Pr(n)>Pr(n-1))、 在の発振周波数を前回の発振周波数に変更 る(ステップ310)。そして、変化幅δfの符号 逆(-)に変更して(ステップ311)、次のステップ 301に移行する。このとき、当該被加熱物11に する加熱条件が満たされていれば、この加 動作は終了となり、同時に極小反射電力追 動作も終了する(ステップ312)。
 上記の極小反射電力追尾動作を本加熱動作 において繰返すことにより、位相差および 振周波数を徐々に変化させていきながら、 該加熱室10からの反射電力を常に極小値に かうよう制御することができる。

 なお、実施の形態1のマイクロ波加熱装置 では、検出された反射電力(Pr(n))が予め設定 た所定値Xより大きい場合(Pr(n)>X)には、本 熱動作を一旦中止して、最小反射電力探査 作を再度行う設定としている(ステップ306) しかし、本加熱動作を一旦停止すると、調 などにおいて問題が生じる場合があるため 例えば電力増幅部5a,5b,5c,5dが出力する電力を 所定の割合で減じていく構成としてもよい。

 図8Aおよび図8Bは、極小反射電力追尾動作 を示す反射電力に対する周波数特性図である 。図8Aにおいて、(a)が前述の図6に示した本加 熱動作前に検出した周波数特性図であり、(b) が本加熱動作中において変化した周波数特性 において極小値が変化した状態を示している 。図8Aの(b)において、破線が本加熱動作前の 波数特性曲線であり、実線が本加熱動作中 周波数特性曲線である。実施の形態1のマイ クロ波加熱装置における加熱動作中の極小反 射電力追尾動作により、反射電力の極小値を 追尾して常に効率の高い加熱が可能となる。

 ただし、図8Bに示すように、加熱動作中 周波数特性曲線が大きく変化した場合には 即ち図7のステップ304において反射電力値(Pr( n))が所定値Xより大きくなった場合には、極 反射電力追尾動作では極小値を追尾できな ため、一旦本加熱動作を停止して最小反射 力探査動作を行う。図8Bにおいて、(a)が前述 の図6に示した本加熱動作前に検出した周波 特性図であり、(b)が本加熱動作中において きく変化した周波数特性曲線を示している 図8の(b)において、破線が本加熱動作前の周 数特性曲線であり、実線が本加熱動作中に いて大きく変化した周波数特性曲線である

 上記のように、極小反射電力追尾動作に いては位相可変部4a,4bが一定の変化幅δφ(例 えば、位相差10度)で位相差φを時々刻々変化 せている。この位相可変部4a,4bによって生 る位相差φを変化させることによって加熱室 10内でのマイクロ波の干渉位置が変化するた 被加熱物11を均等に加熱することが可能と る。一方、位相差φを特定の値に固定するこ とにより、加熱室10内でのマイクロ波の干渉 置を一定として、被加熱物11を局所的に加 することが可能となる。

 実施の形態1のマイクロ波加熱装置におい ては、上記のように加熱動作を制御すること により、加熱動作中においても電力検出部6a, 6bが加熱室10からの反射電力を検出する構成 あるため、制御部12が反射電力の状態を常に 認識して、発振周波数を時々刻々微調整して 、加熱室内部を常に反射電力が低い状態に維 持することができる。また、実施の形態1の イクロ波加熱装置においては、位相差を変 する構成であるため、反射電力の状態を考 して、位相差を時々刻々微調整して、加熱 内部を常に反射電力の低い状態に維持する とが可能である。

 したがって、実施の形態1のマイクロ波加 熱装置においては、半導体素子の発熱を低く 抑えることが可能となり、加熱効率を高く維 持することができるため、短時間での加熱を 図ることが可能である。

 また、実施の形態1のマイクロ波加熱装置 においては、許容可能な反射電力値を所定値 として定め、その許容可能な反射電力値まで の範囲内において、制御部12が時間的に位相 変部4a,4bの位相差と第1の発振部2aと第2の発 部2bの発振周波数を変化させる構成とする とも可能である。このように位相差と発振 波数を変化させることにより、加熱室10内で のマイクロ波の伝播状態を時間的に変化させ ることができるので、被加熱物11の局所加熱 解消し、加熱の均一化を図ることが可能で る。

 なお、上記の説明においては、第1の電力 分配部3aおよび第2の電力分配部3bのそれぞれ 出力に対して、2つの位相可変部4a,4b、およ 4c,4dを挿入した例で説明したが、第1の電力 配部3aおよび第2の電力分配部3bのいずれか 方の出力にのみ位相可変部を挿入して、そ 位相変化幅を0度から360度となるように調整 ることも可能である。

[位相制御動作]
 実施の形態1のマイクロ波加熱装置において は、制御部12からの制御信号により位相可変 4a,4b,4c,4dが対向して配置された制御的に対 なる2つの第1の給電部8aと8b、および2つの第1 の給電部8cと8dのそれぞれから放射されるマ クロ波の位相差を自在に変化させる構成を している。このように位相可変部4a,4b,4c,4dに より、加熱室10において対向する位置から供 されるマイクロ波の位相を調整することに り、加熱室内部に所望の電磁波分布を形成 ることが可能となる。実施の形態1における 位相可変部4a,4b,4c,4dは、印加電圧に応じて静 容量が変化する静電容量可変素子を用いて 成されており、位相可変範囲が0度~180度の 囲である。なお、制御的に対の第1の給電部8 aと8b、および第1の給電部8cと8dを対向する位 ではなく、対向しない位置、例えば同じ壁 における異なる位置や、隣接する壁面にお る位置に配設した場合であっても、位相を 整することにより加熱室10内の電磁波分布 変更することができる。

 上記のように、実施の形態1のマイクロ波 加熱装置の加熱動作時においては、アンテナ となる第1の給電部8a,8b,8c,8dにおいて制御的に 対の第1の給電部8aと8b、および第1の給電部8c 8dから放射されるマイクロ波の位相差が、 御部12による位相制御により変化するよう構 成されている。

 以下、このように制御部12により位相制 を行うことにより被加熱物11を均等、若しく は局部的に加熱することが可能となる理由に ついて説明する。

 まず、マイクロ波加熱装置において、加 室10を構成する壁面に対向して配置された 電部であるアンテナから放射されるマイク 波において位相差を変化させることにより 加熱室内部の電磁界分布がどのような変化 るかについて、本発明者が実験を行ったの 以下に説明する。

 図9は、実験に用いた加熱室10を上方から た平面断面図である。この実験では、図9に 示すように、初めに加熱室10の内部に所定量 水が入った複数のカップ(図9においてはCUと して表示)を整列配置した。その時の各カッ (CU)内の中央部(図9において点Pと表示)におけ る水の温度を測定した。

 そして、加熱室10の対向する壁面に配置 れたアンテナ(A1,A2)から位相を変化させたマ クロ波を放射させた。その後、所定時間経 後にマイクロ波の放射を停止して、各カッ (CU)内の中央部の位置(P)において、マイクロ 波放射による水の温度上昇値を測定した。

 アンテナA1から放射されるマイクロ波と ンテナA2から放射されるマイクロ波との間で 複数の位相差を設定し、設定した位相差ごと に複数回のマイクロ波を放射した。なお、本 実験では、位相差を0度~320度の範囲において4 0度ごとに変えて測定した。

 上記のように、マイクロ波加熱装置の加 室内部の水平面内に配置された水の温度上 値を測定することにより、加熱室内部にお るマイクロ波の電磁界分布を調査した。本 験によれば、水の温度上昇値が高い領域で 電磁界分布が強いと判定でき、水の温度上 値が低い領域では電磁界分布が弱いと判定 きる。

 図10は、アンテナA1から放射されるマイク ロ波とアンテナA2から放射されるマイクロ波 位相差を0度に設定した場合の実験結果を、 水の温度上昇値に基づく等温線により示した ものである。同様に、図11~図18は、アンテナA 1から放射されるマイクロ波とアンテナA2から 放射されるマイクロ波の位相差を40度から320 の範囲において40度ごと変えて測定した場 の実験結果を等温線で示している。なお、 11~図18に示した各位相差は、アンテナA2から 射されるマイクロ波の位相を基準として、 ンテナA1から放射されるマイクロ波の遅れ 相を示している。

 図10~図18に示される実験結果によれば、 の温度上昇値は、加熱室内部において大き ばらついている。また、図13および図14に示 ように、設定された位相差が120度および160 の場合には、加熱室10の一方の側面(左壁面) に近い領域(図13および図14においてHR1と表示) で温度上昇値が非常に高くなっている。

 また、図17および図18に示すように、設定 された位相差が280度および320度の場合には、 加熱室10の他方の側面(右壁面)に近い領域(図1 7および図18においてHR2と表示)で温度上昇値 非常に高くなっている。

 以上の実験結果から、本発明者は、加熱 内の電磁界分布が、異なる位置に配置され 2個のアンテナA1,A2から放射されるマイクロ の位相差に応じて変化することに着目した 本発明者は、例えば、対向する壁面等の異 る配置されたアンテナA1,A2から放射された イクロ波の位相差を変化させることにより 加熱室内部の被加熱物を均一に加熱するこ が可能であること、および被加熱物の特定 部分を集中的に加熱することが可能である とを見出した。

 したがって、異なる位置に配置されたア テナA1,A2から放射されるマイクロ波の位相 を変化させることにより、加熱室内部の電 波分布を所望の状態に変化させることがで ることが理解できる。このため、加熱ムラ 解消させるために、従来行っていた加熱室 部に配置された被加熱物を加熱室内部で移 させるような機構は必要がなくなる。さら 、上記のように位相差を変化させることに り、加熱室内部の電磁波分布を変化させる とができるため、従来行っていたマイクロ を放射するアンテナを移動させるような機 は必要がなくなる。

 また、上記の実験結果から明らかなよう 、対向して放射されたマイクロ波の衝突に 因した現象が電磁界分布の変化としてあら れているため、アンテナA1とアンテナA2のそ れぞれから放射されるマイクロ波の放射方向 が交差するようにアンテナA1、A2を配設して 同様の現象が発生する。これは、例えば隣 する加熱室壁面にアンテナA1、A2を配設する 成においても実現できる。

 したがって、本発明に係る実施の形態1の マイクロ波加熱装置においては、電磁界分布 を所望の分布とするために、被加熱物または アンテナを移動させるための機構が必要では なく、加熱室内部に被加熱物またはアンテナ の移動用のスペースを確保する必要がない。 その結果、実施の形態1のマイクロ波加熱装 の構成は、低コスト化および小型化を実現 ることができる。

 以上のように、本発明に係る実施の形態1 のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ 波を放射する機能を有する複数のマイクロ波 供給手段である給電部を加熱室が構成される 壁面に最適に配置するとともに、第1の給電 から放射されたマイクロ波の反射電力を第2 給電部から加熱室内へ再放射するよう構成 ることにより、形状、種類、大きさ、量の なる様々な被加熱物を効率高く所望の状態 加熱することができる。

 (実施の形態2)
 図19は本発明に係る実施の形態2のマイクロ 加熱装置における加熱室の給電部の構成を す模式図である。実施の形態2のマイクロ波 加熱装置において、前述の実施の形態1のマ クロ波加熱装置と異なる点は、加熱室の壁 に配設されたアンテナである給電部の構成 ある。

 図19に示すように、実施の形態2のマイク 波加熱装置においては、加熱室210を構成す 底壁面にのみ複数の給電部が設けられてい 。実施の形態2のマイクロ波加熱装置におい て、実施の形態1のマイクロ波加熱装置の構 と異なる点は、給電部の配置であり、図1に したマイクロ波発生部の構成は同じである め、実施の形態2においては異なる点のみに ついて説明する。

 図19において、加熱室210の底壁面には、4 の第1の給電部208a,208b,208c,208dおよび4つの第2 の給電部209a,209b,209c,209dが設けられている。 19に示すように、制御的に対となる第1の給 部208aと208bの各開口部は、その長手方向が左 右方向となり、直線上に所定間隔を有して配 置されている。また、第1の給電部208cと208dの 各開口部は、その長手方向が前後方向となり 、直線上に所定間隔を有して配置されている 。4つの第1の給電部208a,208b,208c,208dは、被加熱 物が配置される加熱領域の略中心軸を中心と して、90度の角度を有して放射状に配置され いる。

 一方、制御的に対となる第2の給電部209a 209bの各開口部の長手方向は、並行に配置さ ており、底壁面において、被加熱物が配置 れる加熱領域の略中心軸から同じ距離に設 られている。実施の形態2のマイクロ波加熱 装置においては、第2の給電部209aが第1の給電 部208aと208dとの間で、それぞれに対して45度 角度に形成されている。同様に、第2の給電 209bが第1の給電部208bと208cとの間で、それぞ れに対して45度の角度に形成されている。ま 、制御的に対となる第2の給電部209cと209dの 開口部の長手方向は、並行に配置されてお 、底壁面において、被加熱物が配置される 熱領域の略中心軸から同じ距離に設けられ いる。実施の形態2のマイクロ波加熱装置に おいては、第2の給電部209cが第1の給電部208a 208cとの間で、それぞれに対して45度の角度 形成されている。同様に、第2の給電部209dが 第1の給電部208bと208dとの間で、それぞれに対 して45度の角度に形成されている。

 上記のように、4つの第1の給電部208a,208b,2 08c,208dは被加熱物が配置される加熱領域の略 心軸を中心として放射状に配置されており 4つの第2の給電部209a,209b,209c,209dは、底壁面 おいて、被加熱物が配置される加熱領域の 中心軸から同じ距離に対向するよう配置さ ている。実施の形態2においては、給電部を 上記のように配置たれ例で説明するが、制御 的について対となる給電部が同じ励振方向と なるように配置され、第1の給電部からのマ クロ波が第2の給電部に伝送されないように 成するものであれば本発明に含まれ、同様 効果を奏するものである。

 上記のように実施の形態2のマイクロ波加 熱装置においては、底壁面に全ての給電部が 設けられているため、前述の図1に示したマ クロ波発生部の構成をマイクロ波加熱装置 おける底部に集中的に配置することができ 。実施の形態2のマイクロ波加熱装置は、マ クロ波発生部が集中的に配置されているた 、マイクロ波伝送路を短くすることができ マイクロ波伝送路における損失を大幅に低 することができる。

 マイクロ波伝送路としては、例えば基板 に設けたマイクロストリップ線路、セミリ ッドケーブルのような同軸線路、または導 管が用いられる。マイクロストリップ線路 は、一般的にはプリント基板を加工して線 を形成したものが用いられるが、実施の形 2においては誘電体シートの一方の面に線路 となる導体を設け、他方の面に接地となる導 体膜を張り付けて構成したものを用いた。な お、誘電体シートとしてはポリテトラフルオ ロエチレンなどの高周波においても低損失な 材料が用いられる。また、マイクロ波伝送路 として用いられる同軸線路としては、誘電体 の内部に線路となる導体線が埋設され、ケー ブル状の誘電体の外面に接地となる外殻導体 が設けられているものが一般的に用いられる 。上記のように、マイクロ波伝送路として用 いられるマイクロストリップ線路と同軸線路 は、誘電体と導体により構成されているため 、誘電体における誘電体損および導体におけ るオーム損が発生する。

 また、一般的に用いられる導波管は、金属 の管(一般的には断面が矩形状の管)であり 損失は少ないが形状が大きくなるという不 な点を有する。例えば、2450MHz程度の周波数 導波管で伝送するためには、110mm×55mm程度 断面形状を有する矩形状の導波管が必要と る。このため、導波管の使用はマイクロ波 生部の占有空間が大きなものとなる。
 実施の形態2のマイクロ波加熱装置において は、マイクロ波発生部を集中的に配置して、 マイクロ波伝送路の長さを短くしている。こ のため、マイクロ波伝送路における損失が大 幅に低減され、効率の高い加熱が可能となる 。

 (実施の形態3)
 以下、本発明に係る実施の形態3のマイクロ 波加熱装置について添付の図20および図21を いて説明する。実施の形態3のマイクロ波加 装置において、前述の実施の形態1のマイク ロ波加熱装置と異なる点は、マイクロ波発生 部における制御部の制御動作である。したが って、実施の形態3のマイクロは加熱装置に いて他の実施の形態1,2と異なる点について 明し、符号は実施の形態1の説明において用 た符号を参照する。

 図20は、加熱動作の初期段階において実 される最小反射電力探査動作において4つの 力検出部6a,6b,6c,6dが検出した反射電力の周 数特性曲線の一例である。図20において、符 号Aが第2の給電部9aが加熱室10側から受け取っ た反射電力をサーキュレータ6aを介して検出 た反射電力の周波数特性曲線である。符号B が第2の給電部9bが加熱室側から受け取った反 射電力をサーキュレータ6bを介して検出した 波数特性曲線である。第2の給電部9aと9bは 制御的に対である第1の給電部8aと8bに対応す るものである。同様に、符号Cが第2の給電部9 cが加熱室10側から受け取った反射電力をサー キュレータ6cを介して検出した反射電力の周 数特性曲線である。符号Dが第2の給電部9dが 加熱室側から受け取った反射電力をサーキュ レータ6dを介して検出した周波数特性曲線で る。第2の給電部9cと9dは、制御的に対であ 第1の給電部8cと8dに対応するものである。

 図20の周波数特性曲線A,B,C,Dの一例が示す うに、電力検出部6a,6b,6c,6dのそれぞれが検 する反射電力は、必ずしも同じ特性曲線を し、同じ周波数で最小値を示すものではな 。これは、加熱室内部に収納された被加熱 の形状が対称形状ではないなどに起因する のであり、それぞれの給電部から見た加熱 内のインピーダンスは異なっている。

 実施の形態3のマイクロ波加熱装置の制御 部12(図1参照)においては、各電力検出部6a,6b,6 c,6dから入力された反射電力に関する周波数 性を制御的に対となる周波数特性AとB、およ びCとDをそれぞれ合成する。

 図21は図20の周波数特性曲線AとB、および 波数特性曲線CとDを合成した周波数特性曲 である。図21において、周波数特性曲線Yが 20の周波数特性曲線AとBを合成して形成され ものである。また、周波数特性曲線Zが図20 周波数特性曲線CとDを合成して形成された のである。

 図21に示すように、周波数特性曲線AとBが 合成されて形成された周波数特性曲線Yにお ては周波数f1において最小反射電力となり、 周波数特性曲線CとDが合成されて形成された 波数特性曲線Zにおいては周波数f2において 小反射電力となる。したがって、制御的に となる第1の給電部8aと8bから周波数f1のマイ クロ波が出力されて反射電力の少ない効率的 な加熱が行われる。同様に、制御的に対とな る第1の給電部8cと8dから周波数f2のマイクロ が出力されて反射電力の少ない効率的な加 が行われる。

 上記のように、実施の形態3のマイクロ波 加熱装置においては、制御的に対となってい るそれぞれの給電部において、反射電力の少 ない周波数を検出して、その周波数により加 熱処理を行うよう構成されている。したがっ て、本発明に係る実施の形態3のマイクロ波 熱装置によれば、加熱システム全体として 反射電力の少ない状態で加熱することがで 、最適な加熱周波数による加熱システムを 築することができる。

 本発明のマイクロ波加熱装置によれば、被 熱物の加熱時において、制御的に対となる 電部から放射されるマイクロ波の位相差を 化させることにより、加熱室内の電磁波分 を変化させて、加熱室内に配置された加熱 を均一、若しくは局部的に加熱することが 能となる。
 本発明のマイクロ波加熱装置においては、 相差を変化させることにより加熱室内の電 波分布を変化させることができるため、加 室内に配置された被加熱物を加熱室内で回 等の移動動作を行うことなく、被加熱物の 一加熱、若しくは局部加熱を行うことが可 となる。
 また、本発明のマイクロ波加熱装置におい は、被加熱物の均一加熱を行い、電磁波分 を変化させるために、マイクロ波を放射す 給電部であるアンテナを移動させる必要が い。したがって、本発明のマイクロ波加熱 置は、被加熱物およびアンテナを移動させ ための機構を必要としないため、加熱室内 被加熱物およびアンテナを移動させるため 空間を確保する必要がなく、マイクロ波加 装置の低コスト化および小型化を実現する とができる。

 前述の実施の形態1のマイクロ波加熱装置 においては、制御部が位相差を連続的または 段階的に変化させる制御動作を行っているが 、位相差を段階的に変化させる場合には、位 相差を、例えば40度ごとに変化させてもよい 、45度ごとに変化させてもよい。この場合 一段階当りに変化させる位相差の値は上記 数値に限定されるものではなく、できる限 小さい値に設定することが好ましい。これ より、被加熱物をより均一に加熱して、不 一な加熱をより低減することができる。

 なお、本発明のマイクロは加熱装置にお ては、位相差の変化の周期を、予め固定的 設定してもよいし、ユーザにより手動で任 に設定する構成としてもよい。位相差の変 の周期を固定的に設定する場合、例えば30 で0度から360度まで変化するように設定して よいし、10秒で0度から360度まで変化するよ に設定してもよい。

 また、位相差の変化の範囲は、必ずしも0度 から360度までの範囲の全てである必要はない 。例えば、予め複数の位相差の値とその位相 差の値に対応する電磁界分布との関係を制御 部の内蔵メモリに記憶させておき、制御部が 被加熱物の加熱状態に応じて複数の位相差の 値を選択的に設定してもよい。具体的には、 加熱室内に複数の温度センサを配置して、加 熱室の加熱処理領域の温度を検知する構成と する。この場合、被加熱物の温度を複数の部 位において測定することができ、被加熱物の 温度分布を知ることができる。
 このとき、制御部は、内蔵メモリに記憶さ た位相差と電磁界分布との関係に基づいて 均一加熱すべき被加熱物における低温度部 で電磁界が強くなるように位相差を設定す 。このように位相差を調整することにより 被加熱物をより均一に効率高く加熱するこ ができる。

 本発明に係るマイクロ波加熱装置は、マ クロ波を放射する複数の給電部を切り替え 御し、動作中の給電部間のマイクロ波の位 差を変化させることにより効率の高い加熱 理が可能となるので、電子レンジで代表さ るような誘電加熱を利用した加熱装置や生 ミ処理機、あるいは半導体製造装置である ラズマ電源のマイクロ波電源などの各種用 に適用できる。