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Patent Searching and Data


Title:
MODIFIED METAL COMPLEXES AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111568
Kind Code:
A1
Abstract:
A modified metal complex, obtained by treating a metal complex having a ligand consisting of an organic compound which has in the molecule one nitrogenous aromatic heterocycle and four or more structures selected from the group consisting of phenol ring, thiophenol ring, aniline ring, and nitrogenous aromatic heterocycles by any means of heating, irradiation with radiation, and electric discharge treatment until the mass loss due to the treatment reaches 1 to 90% by mass and thus causing the complex to have a carbon content of 5% by mass or above; and a modified metal complex, obtained by treating a mononuclear complex having a ligand consisting of an organic compound which has in the molecule one nitrogenous aromatic heterocycle, one phenol ring, and one or two structures selected from the group consisting of phenol ring, thiophenol ring, and nitrogenous aromatic heterocycles by any means of heating, irradiation with radiation, and electric discharge treatment until the mass loss due to the treatment reaches 1 to 90% by mass and thus causing the complex to have a carbon content of 5% by mass or above.

Inventors:
MATSUNAGA TADAFUMI (JP)
KOSHINO NOBUYOSHI (JP)
HIGASHIMURA HIDEYUKI (JP)
HAMAMATSU HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054329
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
MATSUNAGA TADAFUMI (JP)
KOSHINO NOBUYOSHI (JP)
HIGASHIMURA HIDEYUKI (JP)
HAMAMATSU HIROSHI (JP)
International Classes:
C07D213/30; B01J31/22; C07D471/04; C08F4/40
Domestic Patent References:
WO2007091616A12007-08-16
Foreign References:
JP2006035186A2006-02-09
JP2007061009A2007-03-15
JP2007084345A2007-04-05
JP2007205956A2007-08-16
Other References:
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TETRAHEDRON., vol. 55, 1999, pages 8377
A CHEMISTRY, EUROPEAN JOURNAL, vol. 5, 1999, pages 1460
See also references of EP 2133336A4
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10Shimbashi 3-chome,Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 分子内に含窒素芳香族複素環を1つと、さらにフェノール環、チオフェノール環、アニリン環、および含窒素芳香族複素環からなる群から選ばれた構造を4つ以上有する有機化合物を配位子とする金属錯体を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの処理により、処理前後の質量減少率を1質量%以上90質量%以下となるまで処理し、処理後の炭素含有率を5質量%以上とした変性金属錯体。
 分子内にフェノール環を2つ以上と、含窒素芳香族複素環を3つ以上有する有機化合物を配位子とする金属錯体を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの処理により、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量%以下となるまで処理し、処理後の炭素含有率を5質量%以上とした変性金属錯体。
 前記金属錯体が、周期表の第4周期から第6周期に属する遷移金属原子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の変性金属錯体。
 前記金属錯体に含まれる金属原子の個数が1~10であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の変性金属錯体。
 前記配位子が、下記一般式(I)で示される配位子であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の変性金属錯体。
(式中、R 1 は、水素原子または置換基であり、隣合う2つの原子に結合している2つのR 1 は、互いに連結していてもよく、複数あるR 1 は、それぞれ同一であっても異なって
いてもよい。Q 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を有する2価の有機基であり、T 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を有する1価の有機基であり、2つのT 1 は、同一でも異なっていてもよい。)
 前記一般式(I)で表される配位子の残基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の変性金属錯体。
 前記一般式(I)で表される配位子の残基を繰り返し単位として有するポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の変性金属錯体。
 前記金属錯体が、窒素原子及び酸素原子を配位原子とすることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の変性金属錯体。
 前記の金属錯体を250℃以上1200℃以下で加熱処理することを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の変性金属錯体。
 励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求めたスペクトルにおいて、1500~1600cm -1 の範囲に吸収極大を有することを特徴とする請求項1~9の何れかに記載の変性金属錯体。
 請求項1又は2で規定した処理前の金属錯体と、カーボン担体、沸点もしくは融点が250℃以上の有機化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下である有機化合物から選ばれる少なくとも1種の有機化合物と、からなる混合物を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理より、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量%以下まで変性し、変性後の炭素含有率を5質量%以上とした変性金属錯体。
 請求項1又は2で規定した処理前の金属錯体と、カーボン担体及び/または導電性高分子とを含む組成物を加熱処理、放射照射処理もしくは放電処理してなる変性金属錯体。
 請求項1~12の何れかに記載の変性金属錯体を用いた触媒。
 ヘテロ原子を配位原子とする金属錯体であり、中心金属の広域X線吸収微細構造(EXAFS)動径分布関数において、1.0Å以上2.5Å以下の範囲に観測される第一近接原子由来のピークから0.58Å以内に別ピークを1つ以上有するカーボン化合物。
 励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求めたスペクトルにおいて、1500~1600cm -1 の範囲に吸収極大を有することを特徴とする請求項14に記載のカーボン化合物。
 請求項14又は15に記載のカーボン化合物を用いた触媒。
 分子内に、含窒素芳香族複素環及びフェノール環を1つずつ有し、さらにフェノール環、チオフェノール環、および含窒素芳香族複素環からなる群から選ばれた構造を1つまたは2つ有する有機化合物を配位子とする単核錯体を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理により、処理前後の質量減少率を1質量%以上90質量%以下となるまで処理し、処理後の炭素含有率を5質量%以上とした変性金属錯体。
 分子内にフェノール環を2つと、含窒素芳香族複素環を1つまたは2つ有する有機化合物を配位子とする単核錯体を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理のいずれかの変性処理により、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量%以下となるまで変性し、変性後の炭素含有率が5質量%以上とした変性金属錯体。
 前記単核錯体が、周期表の第4周期から第6周期に属する遷移金属原子を含むことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の変性金属錯体。
 前記配位子が、下記一般式(XI)または(XII)で示される配位子であることを特徴とする請求項17~19の何れかに記載の変性金属錯体。
(式中、R 11 は、水素原子または置換基であり、隣り合う2つのR 11 は互いに連結していてもよく、複数あるR 11 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Qは1つの含窒素芳香族複素環を有する2価の有機基であり、Zは1つまたは2つの含窒素芳香族複素環を有する2価の有機基である。T 11 は含窒素芳香族複素環を表す。W 11 は、窒素を含まない一価の芳香族置換基あるいは水素原子であり、W 11 が複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
 前記単核錯体が、窒素原子及び酸素原子を配位原子とすることを特徴とする前記請求項17~20の何れかに記載の変性金属錯体。
 前記単核錯体を250℃以上1200℃以下で加熱処理したものである前記請求項17~21の何れかに記載の変性金属錯体。
 請求項17又は18で用いる単核錯体と、カーボン担体と、沸点あるいは融点が250℃以上の有機化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下である有機化合物から選ばれる少なくとも1種の有機化合物と、からなる混合物を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理により、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量%以下まで変性し、変性後の炭素含有率が5質量%以上とした変性金属錯体。
 請求項17又は18で用いる単核錯体と、カーボン担体及び/または導電性高分子とを含む組成物を加熱、放射、照射もしくは放電処理してなる変性金属錯体。
 請求項17~24の何れかに記載の変性金属錯体からなる触媒。
 請求項17~24の何れかに記載の変性金属錯体からなる電極触媒。
Description:
変性金属錯体及びその用途

 本発明は、酸や加熱に対する安定性の高 変性金属錯体に関する。また、本発明は、 媒として好適な変性金属錯体に関する。さ に本発明は、該変性金属錯体を用いた触媒 関する。

 金属錯体は、酸素添加反応、酸化カップ ング反応、脱水素反応、水素添加反応、酸 物分解反応等の電子移動を伴うレドックス 応における触媒(レドックス触媒)として作 し、有機化合物又は高分子化合物の製造に 用されている。さらに、添加剤、改質剤、 池、センサーの材料等、種々の用途にも使 されている。該金属錯体は、酸素還元触媒 、過酸化水素分解触媒として優れた反応活 を有することが知られている(Z.Liu,F.C.Anson,Ino rganic Chemistry,40,1329(2001)およびM.D.Godbole他,Europ ian Journal of Inorganic Chemistry,305(2005)参照)。

 しかし、上記のような金属錯体をレドッ ス触媒として用いた場合、当該錯体の熱安 性、および化学的安定性が不十分であり、 存在下や加熱下で反応を行う場合において この触媒を使用するには問題があった。こ ように金属錯体触媒を適用する反応におい 、酸の存在または加熱に対する安定性を向 させることが切望されていた。

 金属錯体の安定性を向上させる方法とし は、金属錯体を加熱処理する方法がTatsuhiro Okada,et.al.,Journal of Inorganic and Organometallic P olymers,9,199,(1999)に記載されている。しかし、 文献に記載されているような触媒の反応活 は、実用レベルで使用するには不十分であ 、更なる反応活性の向上が望まれていた。

 また、特に、前記金属錯体の中でも、金属 体が集積されることにより、特異な反応空 が提供され、レドックス反応の反応速度を めたり、反応選択性を制御することができ ことが知られている(SusumuKitagawa,Ryo Kitaura,Sh in-ichiro Noro,AngewandteChemie International Edition,43, 2334(2004))。
 金属錯体の中でも、遷移金属原子を中心金 として有する場合、過酸化水素分解触媒や 化カップリング触媒として優れた反応活性 有することが知られている(Bulletin of Chemica l Society of Japan,68,1105(1995)およびAngewandte Chem ie International Edition,42,6008(2003)参照)。
 しかしながら、Bulletin of Chemical Society of  Japan,68,1105(1995)やAngewandte Chemie International Edi tion,42,6008(2003)で開示されているような金属錯 体は、安定性が不十分であり、とりわけ酸の 存在下で反応を行う場合や加熱下で反応を行 う場合、この触媒を使用するには問題があっ た。このように金属錯体を触媒として適用す るためには、酸または加熱に対する安定性を 向上させることが切望されていた。

 本発明の課題は、安定性に優れた変性金属 体を提供することにある。
 さらに、本発明の課題は、レドックス触媒 して高反応活性であり、熱安定性にも優れ 、変性金属錯体を提供することにある。

 本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)分子内に含窒素芳香族複素環を1つと、さ にフェノール環、チオフェノール環、アニ ン環、および含窒素芳香族複素環からなる から選ばれた構造を4つ以上有する有機化合 を配位子とする金属錯体を、加熱処理、放 線照射処理又は放電処理の何れかの処理に り、処理前後の質量減少率を1質量%以上90質 量%以下となるまで処理し、処理後の炭素含 率を5質量%以上とした変性金属錯体。
(2)分子内にフェノール環を2つ以上と、含窒 芳香族複素環を3つ以上有する有機化合物を 位子とする金属錯体を、加熱処理、放射線 射処理又は放電処理の何れかの処理により 処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量% 下となるまで処理し、処理後の炭素含有率 5質量%以上とした変性金属錯体。
(3)前記金属錯体が、周期表の第4周期から第6 期に属する遷移金属原子を含むことを特徴 する(1)又は(2)に記載の変性金属錯体。
(4)前記金属錯体に含まれる金属原子の個数が 1~10であることを特徴とする(1)~(3)の何れかに 載の変性金属錯体。
(5)前記配位子が、下記一般式(I)で示される配 位子であることを特徴とする(1)~(4)の何れか 記載の変性金属錯体。

(式中、R 1 は、水素原子または置換基であり、隣合う2 の原子に結合している2つのR 1 は、互いに連結していてもよく、複数あるR 1 は、それぞれ同一であっても異なって
いてもよい。Q 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を する2価の有機基であり、T 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を する1価の有機基であり、2つのT 1 は、同一でも異なっていてもよい。なお、電 荷は省略してある。)
(6)前記一般式(I)で表される配位子の残基を有 するポリマーであることを特徴とする(1)~(3) 何れかに記載の変性金属錯体。
(7)前記一般式(I)で表される配位子の残基を繰 り返し単位として有するポリマーであること を特徴とする(6)に記載の変性金属錯体。
(8)前記金属錯体が、窒素原子及び酸素原子を 配位原子とすることを特徴とする(1)~(7)の何 かに記載の変性金属錯体。
(9)前記の金属錯体を250℃以上1200℃以下で加 処理することを特徴とする(1)~(8)の何れかに 載の変性金属錯体。
(10)励起波長532nmのレーザーラマン分光測定に より求めたスペクトルにおいて、1500~1600cm -1 の範囲に吸収極大を有することを特徴とする (1)~(9)の何れかに記載の変性金属錯体。
(11)前記の(1)又は(2)で規定した処理前の金属 体と、カーボン担体、沸点もしくは融点が25 0℃以上の有機化合物、又は熱重合開始温度 250℃以下である有機化合物から選ばれる少 くとも1種の有機化合物と、からなる混合物 、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理 何れかの変性処理より、処理前後の質量減 率が1質量%以上90質量%以下まで変性し、変 後の炭素含有率を5質量%以上とした変性金属 錯体。
(12)前記の(1)又は(2)で規定した処理前の金属 体と、カーボン担体及び/または導電性高分 とを含む組成物を加熱処理、放射照射処理 しくは放電処理してなる変性金属錯体。
(13)(1)~(12)の何れかに記載の変性金属錯体を用 いた触媒。
(14)ヘテロ原子を配位原子とする金属錯体で り、中心金属の広域X線吸収微細構造(EXAFS)動 径分布関数において、1.0Å以上2.5Å以下の範 囲に観測される第一近接原子由来のピークか ら0.58Å以内に別ピークを1つ以上有するカー ン化合物。
(15)励起波長532nmのレーザーラマン分光測定に より求めたスペクトルにおいて、1500~1600cm -1 の範囲に吸収極大を有することを特徴とする (14)に記載のカーボン化合物。
(16)(14)又は(15)に記載のカーボン化合物を用い た触媒。

(17)分子内に、含窒素芳香族複素環及びフェ ール環を1つずつ有し、さらにフェノール環 チオフェノール環、および含窒素芳香族複 環からなる群から選ばれた構造を1つまたは 2つ有する有機化合物を配位子とする単核錯 を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処 の何れかの変性処理により、処理前後の質 減少率を1質量%以上90質量%以下となるまで処 理し、処理後の炭素含有率を5質量%以上とし 変性金属錯体。
(18)分子内にフェノール環を2つと、含窒素芳 族複素環を1つまたは2つ有する有機化合物 配位子とする単核錯体を、加熱処理、放射 照射処理又は放電処理のいずれかの変性処 により、処理前後の質量減少率が1質量%以上 90質量%以下となるまで変性し、変性後の炭素 含有率が5質量%以上とした変性金属錯体。
(19)前記単核錯体が、周期表の第4周期から第6 周期に属する遷移金属原子を含むことを特徴 とする(17)又は(18)に記載の変性金属錯体。
(20)前記配位子が、下記一般式(XI)または(XII) 示される配位子であることを特徴とする(17)~ (19)の何れかに記載の変性金属錯体。

(式中、R 11 は、水素原子または置換基であり、隣り合う 2つのR 11 は互いに連結していてもよく、複数あるR 11 は、互いに同一であっても異なっていてもよ い。Qは1つの含窒素芳香族複素環を有する2価 の有機基であり、Zは1つまたは2つの含窒素芳 香族複素環を有する2価の有機基である。T 11 は含窒素芳香族複素環を表す。W 11 は、窒素を含まない一価の芳香族置換基ある いは水素原子であり、W 11 が複数ある場合は、互いに同一であっても異 なっていてもよい。なお、電荷は省略してあ る。)
(21)前記単核錯体が、窒素原子及び酸素原子 配位原子とすることを特徴とする前記(17)~(20 )の何れかに記載の変性金属錯体。
(22)前記単核錯体を250℃以上1200℃以下で加熱 理したものである前記(17)~(21)の何れかに記 の変性金属錯体。
(23)(17)又は(18)で用いる単核錯体と、カーボン 担体と、沸点あるいは融点が250℃以上の有機 化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下であ る有機化合物から選ばれる少なくとも1種の 機化合物と、からなる混合物を、加熱処理 放射線照射処理又は放電処理の何れかの変 処理により、処理前後の質量減少率が1質量% 以上90質量%以下まで変性し、変性後の炭素含 有率が5質量%以上とした変性金属錯体。
(24)(17)又は(18)で用いる金属錯体と、カーボン 担体及び/または導電性高分子とを含む組成 を加熱、放射、照射もしくは放電処理して る変性金属錯体。
(25)(17)~(24)の何れかに記載の変性金属錯体か なる触媒。
(26)(17)~(24)の何れかに記載の変性金属錯体か なる電極触媒。

 以下、前記(1)~(12)項に記載の変性金属錯体 前記(13)項に記載の触媒、前記(14)~(15)項に記 のカーボン化合物及び前記(16)項に記載の触 媒を第一の実施態様という。
 また、前記(17)~(24)項に記載の変性金属錯体 前記(25)項に記載の触媒、及び前記(26)項に 載の電極触媒を第二の実施態様という。
 ここで、特に断らない限り、本発明とは前 第一乃至第二の実施態様の全てを包含する 味である。

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

金属錯体(A)の熱重量分析チャートを示 。 金属錯体(B)の熱重量分析チャートを示 。 金属錯体(D)の熱重量分析チャートを示 。 金属錯体(E)の熱重量分析チャートを示 。 変性金属錯体(A-1)のレーザーラマンス クトルを示す。 変性金属錯体(B-1)のレーザーラマンス クトルを示す。 変性金属錯体(E-1)のレーザーラマンス クトルを示す。 変性金属錯体(G-1)のレーザーラマンス クトルを示す。 変性金属錯体(L)のレーザーラマンスペ トルを示す。 変性金属錯体(A-2)の広域X線吸収微細構 造から得られた動径分布関数 変性金属錯体(B-2)の広域X線吸収微細構 造から得られた動径分布関数 変性金属錯体(E-1)及び金属錯体(E)の過 化水素分解試験結果

 まず、本発明の第1の実施態様について説明 する。
 本発明の第1の実施態様に適用する金属錯体 の配位子は、含窒素芳香族複素環を1つと、 らにフェノール環、チオフェノール環、ア リン環、および含窒素芳香族複素環、のい れかの構造を4つ以上有する有機化合物であ 。該有機化合物の具体的な構造を、下記式( a)~(e)に例示する。なお、電荷は省略されてい る。

 ここで含窒素芳香族複素環とは、少なく も1つの窒素原子を環内に含む芳香族複素環 骨格を有するという条件を最低限満たす化合 物構造としての芳香族基である。該環系を構 成する原子としては、炭素と窒素の他に、酸 素原子や硫黄原子等のヘテロ原子を含んでい てもよい。含窒素芳香族複素環の具体例とし ては、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピ リミジン、ピロール、トリアゾール、ピラゾ ール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾ ール、インドール、ベンゾイミダゾール、フ ェナントロリン、カルバゾール、キノリン、 イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キ ナゾリン、キノキサリン、ベンゾジアジンな どを基本骨格とする基を挙げることができる 。なお、フェナントロリンは、含窒素芳香族 複素環を2つ有していると数える。また、ヒ ロキシ基(OH)、スルフヒドリル基(SH)及びアミ ノ基からプロトンを1つ以上放出していても い。

 また、フェノール環とは、少なくとも1つ のヒドロキシ基(OH)が結合したベンゼン環骨 を有するという条件を最低限満たす化合物 造としての芳香族基であり、チオフェノー 環とは、少なくとも1つのスルフヒドリル基( SH)が結合したベンゼン環骨格を有するという 条件を最低限満たす化合物構造としての芳香 族基であり、アニリン環とは、少なくとも1 のアミノ基が結合したベンゼン環骨格を有 るという条件を最低限満たす化合物構造と ての芳香族基である。

 ベンゼン環骨格を有するという条件を最 限満たす化合物構造としての芳香族基とし 具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、 ンデン、ビフェニレン、アセナフチレン、 ルオレン、フェナレン、フェナントレン、 ントラセン、フルオランテン、アセフェナ トリレン、アセアントリレン、トリフェニ ン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセ 、ペリレン、ペンタセン、テトラフェニレ 、ヘキサセン、コロネン等の芳香族炭化水 、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、キサ テン等の酸素、硫黄元素を含む縮合複素環 合物を基本骨格とする基が挙げられる。好 しくは、芳香族炭化水素の基であり、より ましくは、ベンゼン、ナフタレン、インデ 、ビフェニレン、アセナフチレン、フルオ ン、フェナントレンより得られる基である

 さらに前記の配位子としての有機化合物 、フェノール環を2つ以上と、含窒素芳香族 複素環を3つ以上と、フェノール環を2つ以上 するとより好ましい。前記構造を有した配 子を用いることで、安定性が高まる。好ま い含窒素芳香族複素環の数は3~8であり、よ 好ましくは、3~5であり、特に好ましくは3ま たは4である。また、フェノール環の数とし 好ましくは、2~6であり、より好ましくは2~4 あり、特に好ましくは2である。

 本発明の第1の実施態様に用いられる変性 処理前の金属錯体の配位子としては、より好 ましくは、下記一般式(I)で表される有機化合 物を挙げることができる。なお、電荷は省略 されている。

(式中、R 1 は、水素原子または置換基であり、隣合う2 の原子に結合している2つのR 1 は、互いに連結していてもよく、複数あるR 1 は、互いに同一であっても異なってい
てもよい。Q 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を する2価の有機基であり、T 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を する1価の有機基であり、2つのT 1
は、同一でも異なっていてもよい。)

 前記一般式(I)中のR 1 が置換基のときは、該置換基としては、水酸 基、アミノ基、
ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ホル ミル基、ヒドロシキスルホニル基、ハロゲン 原子、置換されていてもよい1価の炭化水素 、置換されていてもよいヒドロカルビルオ シ基(置換されていてもよい炭化水素オキシ )、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で 換されたアミノ基(即ち、置換されていても よい炭化水素二置換アミノ基)、置換されて てもよいヒドロカルビルメルカプト基(置換 れていてもよい炭化水素メルカプト基)、置 換されていてもよいヒドロカルビルカルボニ ル基(置換されていてもよい炭化水素カルボ ル基)、置換されていてもよいヒドロカルビ オキシカルボニル基(置換されていてもよい 炭化水素オキシカルボニル基)、非置換又は 換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ カルボニル基(即ち、置換されていてもよい 化水素二置換アミノカルボニル基)、又は置 されていてもよいヒドロカルビルオキシス ホニル基(置換されていてもよい炭化水素ス ルホニル基)であり、置換されていてもよい1 の炭化水素基、置換されていてもよいヒド カルビルオキシ基、非置換又は置換の1価の 炭化水素基2個で置換されたアミノ基、置換 れていてもよいヒドロカルビルメルカプト 、置換されていてもよいヒドロカルビルカ ボニル基、置換されていてもよいヒドロカ ビルオキシカルボニル基が好ましく、置換 れていてもよい1価の炭化水素基、置換され いてもよいヒドロカルビルオキシ基、非置 又は置換の1価の炭化水素基2個で置換され アミノ基がより好ましく、置換されていて よい1価の炭化水素基、置換されていてもよ ヒドロカルビルオキシ基がさらに好ましい これらの基において、水素原子の結合した 素原子は、1価の炭化水素基で置換されてい ることが好ましい。また、R 1 で表される基が複数の置換基を有する場合に は、2個の置換基が連結して環を形成しても い。

 上記R 1 で表される1価の炭化水素基としては、例え 、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ ロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチ ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、 ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル 基、ドコシル基等の炭素数1~50の、好ましく 1~20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロ ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシ ル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、 ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数3~5 0の、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基;エ テニル基、プロペニル基、3-ブテニル基、2- テニル基、2-ペンテニル基、2-ヘキセニル基 2-ノネニル基、2-ドデセニル基等の炭素数2~5 0の、好ましくは2~20のアルケニル基;フェニル 基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-メチルフ ェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフ ニル基、4-エチルフェニル基、4-プロピルフ ニル基、4-イソプロピルフェニル基、4-ブチ ルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、4-ヘキ シルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル 、4-アダマンチルフェニル基、4-フェニルフ ェニル基等の炭素数6~50の、好ましくは6~20の リール基;フェニルメチル基、1-フェニルエ ル基、2-フェニルエチル基、1-フェニル-1-プ ロピル基、1-フェニル-2-プロピル基、2-フェ ル-2-プロピル基、3-フェニル-1-プロピル基、 4-フェニル-1-ブチル基、5-フェニル-1-ペンチ 基、6-フェニル-1-ヘキシル基等の炭素数7~50 、好ましくは7~20のアラルキル基が挙げられ 。

 R 1 で表される1価の炭化水素基としては、炭素 1~20のものが好ましく、炭素数1~12のものがよ り好ましく、炭素数2~12のものがより好まし 、炭素数1~10のものがより好ましく、炭素数3 ~10のものがさらに好ましい。

 R 1 で表されるヒドロカルビルオキシ基、ヒドロ カルビルメルカプト基、ヒドロカルビルカル ボニル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル 基、ヒドロカルビルスルホニル基は、それぞ れ、オキシ基、メルカプト基、カルボニル基 、オキシカルボニル基、スルホニル基に、前 記の1価の炭化水素基が1個結合してなる基で る。

 R 1 で表される"非置換又は置換の1価の炭化水素 2個で置換されたアミノ基"、"非置換又は置 の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ ルボニル基"は、それぞれ、アミノ基、アミ カルボニル基(即ち、-C(=O)-NH 2 )中の2個の水素原子が前記の1価の炭化水素基 に置換された基である。これらに含まれる1 の炭化水素基の具体例及び好ましい例は、 記のR 1 で表される1価の炭化水素基と同じである。

 R 1 で表される1価の炭化水素基、ヒドロカルビ オキシ基、ヒドロカルビルメルカプト基、 ドロカルビルカルボニル基、ヒドロカルビ オキシカルボニル基、ヒドロカルビルスル ニル基は、これらの基に含まれる水素原子 一部又は全部が、ハロゲン原子、水酸基、 ミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換されて てもよい1価の炭化水素基、置換されていて よいヒドロカルビルオキシ基、置換されて てもよいヒドロカルビルメルカプト基、置 されていてもよいヒドロカルビルカルボニ 基、置換されていてもよいヒドロカルビル キシカルボニル基、置換されていてもよい ドロカルビルスルホニル基等で置換されて てもよい。

 前記R 1 の中でも、特に好ましくは、水素原子、メチ ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル 基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、 ェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基 ある。

 一般式(I)のQ 1 は、少なくとも1つの含窒素芳香族複素環を する2価の有機基であり、具体的な例として 、ピリジレン基、ピラジレン基、ピリミジ ン基、ピリダジレン基、ピロリレン基、チ ゾリレン基、イミダゾリレン基、オキサゾ レン基、トリアゾリレン基、インドリレン 、ベンゾイミダゾリレン基、ベンゾフリレ 基、ベンゾチエニレン基、キノリレン基、 ソキノリレン基、シンノリレン基、フタラ レン基、キナゾリレン基、キノキサリレン 、ベンゾジアジレン基、1,10-フェナントロ レン基、2,2´-ビピリジレン基、2,2´-ビチオ ェニレン基、2,2´-ビピローレン基、2,2´-ビ アゾリレン基、2,2´-ビフリレン基、2,2´-ビ リミジレン基、2,2´-ビピリダジレン基、2,2´ -ビイミダゾリレン基が挙げられ、好ましく 、ピリジレン基、ピラジレン基、ピリミジ ン基、ピリダジレン基、ピロリレン基、1,10- フェナントロリレン基、2,2´-ビピリジレン基 、2,2´-ビチオフェニレン基、2,2´-ビピローレ ン基、2,2´-ビチアゾリレン基、2,2´-ビフリレ ン基、2,2´-ビピリミジレン基、2,2´-ビピリダ ジレン基、2,2´-ビイミダゾリレン基であり、 さらに好ましくは、1,10-フェナントロリレン 、2,2´-ビピリジレン基、2,2´-ビピローレン 、2,2´-ビチアゾリレン基、2,2´-ビイミダゾ レン基である。
 また、これらの基は、さらに前記R 1 で置換されてもよい。

 T 1 は、置換されてもよい含窒素芳香族複素環基 を表す。含窒素芳香族複素環基とは、具体的 な例としては、ピリジル基、ピラジル基、ピ リミジル基、ピリダジル基、ピロリル基、ピ ラゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基 、オキサゾリル基、トリアゾリル基、インド リル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基 、イソキノリル基、シンノリル基、フタラジ ル基、キナゾリル基、キノキサリル基、ベン ゾジアジル基、などが挙げられる。
 好ましくは、ピリジル基、ピラジル基、ピ ダジル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ピ ダジル基、チアゾリル基、インドリル基、 ンゾイミダゾリル基であり、さらに好まし は、ピリジル基、ピロリル基、ピラゾリル 、ピリダジル基、チアゾリル基である。
 また、これらの基は、さらに前記R 1 における置換基で置換されてもよい。

 前記一般式(I)に示される配位子は、下記 (II)の構造を有する配位子であると好ましい 。

(式中、R 2 は、一般式(II)のR 1 と同義であり、隣合う2つの原子に結合して る2
つのR 2 は、互いに連結していてもよく、複数あるR 2 は、それぞれ同一であっても異な
っていてもよい。)Y 1 及びY 2 は、

(R 3 は水素原子または炭素数が1~4の炭化水素基で ある。)
を表す。P 1 は、Y 1 とY 1 の隣接位の2つの炭素原子と一体となって複 環を形成するために必要な原子群であり、P 2 は、Y 2 とY 2 の隣接位の2つの炭素原子と一体となって複 環を形成するために必要な原子群であり、P 1 とP 2 が互いにさらに結合して環を形成しても良い 。T 2 は、一般式(I)のT 1 と同義である。なお、電荷は省略してある。 )

 前記式(II)中のY 1 及びY 2 は、

(R 3 は、水素原子または炭素数が1~4の炭化水素基 である。)
を表し、P 1 は、Y 1 とY 1 の隣接位の2つの炭素原子と一体となって含 素芳香族複素環を形成するために必要な原 群であり、P 2 は、Y 2 とY 2 の隣接位の2つの炭素原子と一体となって含 素芳香族複素環を形成するために必要な原 群であり、P 1 とP 2 が互いにさらに結合して環を形成しても良い 。含窒素芳香族複素環の具体例として、ピリ ジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N- ルキルピロール、チアゾール、イミダゾー 、オキサゾール、イソキノリン、キナゾリ が挙げられ、これらは前記R 1 で置換されてもよい。好ましくは、ピリジン 、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N-アル ルピロール、チアゾール、イミダゾール、 キサゾールであり、さらに好ましくは、ピ ジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N -アルキルピロール、イミダゾールである。 れらの基は、さらに前記R 1 における置換基で置換されてもよい。N-アル ピロールのアルキル基は、メチル基、エチ 基が好ましく、より好ましくはメチル基で る。

 また、P 1 とP 2 骨格が互いに結合して新たに環を形成しても 良く、以下のような(III―1)~(III―6)の構造を つものが好ましい。さらに好ましくは、(III 1)~(III―3)の構造をもつ。

(式中のR 4 は、一般式(I)のR 1 と同義であり、複数あるR 4 は、それぞれ同じでも、異なっていてもよい 。R 5 は水素原子または炭素数が1~30で表される炭 水素基を表し、複数あるR 5 は、それぞれ同じでも、異なっていてもよい 。

 上記R 5 は好ましくは、水素原子または炭素数1~8で表 される炭化水素基が好ましく、具体的には、 メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ ピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル 、ヘキシル基、フェニル基、オクチル基が げられる。

 前記金属錯体における配位子としては、金 原子と配位結合で結合しうる配位原子を5~15 個有すると好ましい。ここで配位原子とは、 久保亮五他編「岩波 理化学辞典 第4版」(199 1年1月10日発行、岩波書店)966頁に記載の通り 該金属原子の空軌道に電子を供与する非共 電子対を有し、金属原子と配位結合で結合 る原子を示す。
 該配位子中の配位原子の総数は、好ましく 5~12個であり、より好ましくは6~10個であり 特に好ましくは6~8個である。また、該配位 子は電気的に中性であっても、荷電したイ ンであってもよい。

 該配位原子としては、窒素原子、酸素原 、リン原子又は硫黄原子から選ばれ、複数 る配位原子は互いに同一でも異なっていて よい。より好ましくは窒素原子、酸素原子 硫黄原子であり、特に好ましくは窒素原子 よび酸素原子である。

 ここで前記式(II)の構造を有する配位子の 具体的な構造を下記式(IV―1)~(IV―18)に例示す る。このうち、好ましくは、式(IV―1)~(IV―12) であり、特に好ましくは、式(IV―1)~(IV―6)で る。なお、電荷は省略してある。

 また、本発明の前記の金属錯体において 位子原子が配位結合する金属原子は、無電 でも、荷電しているイオンであってもよい

 次に、本発明の第2の実施態様について説明 する。
 本発明者らは、とりわけ高い反応活性を示 レドックス触媒を見出すべく、鋭意検討し 。芳香族骨格からなる単核錯体は、これま 開示されている脂肪族骨格からなる単核錯 と比較して、特に熱や酸に対して優れた安 性を示すことを見い出し、この知見に基づ 、本発明の第2の実施態様を完成させるに至 った。

 本発明の第2の実施態様に適用する単核錯 体の配位子は、含窒素芳香族複素環及びフェ ノール環を1つずつ有し、さらにフェノール 、チオフェノール環、および含窒素芳香族 素環からなる群から選ばれた構造を1つまた 2つ有する有機化合物である。該有機化合物 の具体的な構造を下記式(1a)~(1c)に例示する。 なお、電荷は省略してある。

 ここで含窒素芳香族複素環とは、少なくと 1つの窒素原子を環内に含む芳香族複素環骨 格を有するという条件を最低限満たす化合物 構造としての芳香族基である。該環系を構成 する原子としては、炭素と窒素の他に、酸素 原子や硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいて もよい。含窒素芳香族複素環の具体例として は、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリ ミジン、ピロール、トリアゾール、ピラゾー ル、チアゾール、オキサゾール、イミダゾー ル、インドール、ベンゾイミダゾール、フェ ナントロリン、カルバゾール、キノリン、イ ソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナ ゾリン、キノキサリン、ベンゾジアジンなど を基本骨格とする基を挙げることができる。 なお、フェナントロリンは、含窒素芳香族複 素環を2つ有していると数える。
 さらに前記の配位子としての有機化合物が フェノール環が2個であると好ましい。前記 構造を有した配位子を用いることで、錯体の 安定性が向上する。
 また、フェノール環とは、少なくとも1つの ヒドロキシ基(OH)が結合したベンゼン環骨格 有するという条件を最低限満たす化合物構 としての芳香族基であり、チオフェノール とは、少なくとも1つのスルフヒドリル基(SH) が結合したベンゼン環骨格を有するという条 件を最低限満たす化合物構造としての芳香族 基である。
 ベンゼン環骨格を有するという条件を最低 満たす化合物構造としての芳香族基として 具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、 ンデン、ビフェニレン、アセナフチレン、 ルオレン、フェナレン、フェナントレン、 ントラセン、フルオランテン、アセフェナ トリレン、アセアントリレン、トリフェニ ン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセ 、ペリレン、ペンタセン、テトラフェニレ 、ヘキサセン、コロネン等の芳香族炭化水 、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、キサ テン等の酸素、硫黄元素を含む縮合複素環 合物を基本骨格とする基が挙げられる。好 しくは、芳香族炭化水素の基であり、より ましくは、ベンゼン、ナフタレン、インデ 、ビフェニレン、アセナフチレン、フルオ ン、フェナントレンより得られる基である

 本発明の第2の実施態様に用いる配位子と しては、より好ましくは、下記一般式(XI)ま は(XII)で表される有機化合物を挙げることが できる。

(式中、R 11 は、水素原子または置換基であり、隣り合う 2つのR 11 は互いに連結していてもよく、複数あるR 11 は、互いに同一であっても異なっていてもよ い。Qは1つの含窒素芳香族複素環を有する2価 の有機基であり、Zは1つまたは2つの含窒素芳 香族複素環を有する2価の有機基である。T 11 は含窒素芳香族複素環を表す。W 11 は、窒素を含まない一価の芳香族置換基ある いは水素原子であり、W 11 が複数ある場合は、互いに同一であっても異 なっていてもよい。なお、電荷は省略してあ る。)

 前記一般式(XI)または前記一般式(XII)中のR 11 は一般式(I)におけるR 1 と同義であり、好ましい範囲も同じである。

 R 11 で表される1価の炭化水素基としては、炭素 1~20のものが好ましく、炭素数1~12のものがよ り好ましく、炭素数2~12のものがより好まし 、炭素数1~10のものがより好ましく、炭素数3 ~10のものがさらに好ましく、炭素数3~10のア キル基が特に好ましい。

 前記R 11 の中でも、特に好ましくは、水素原子、メチ ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル 基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、 ェニル基、メチルフェニル基、4-t-ブチルフ ェニル基、ナフチル基である。

 前記一般式(XI)のQは、1つの含窒素芳香族複 環を有する2価の有機基であり、具体的な例 としては、ピリジレン基、ピラジレン基、ピ リミジレン基、ピリダジレン基、ピロリレン 基、チアゾリレン基、イミダゾリレン基、オ キサゾリレン基、トリアゾリレン基、インド リレン基、ベンゾイミダゾリレン基、ベンゾ フリレン基、ベンゾチエニレン基、キノリレ ン基、イソキノリレン基、シンノリレン基、 フタラジレン基、キナゾリレン基、キノキサ リレン基、ベンゾジアジレン基が挙げられ、 好ましくは、ピリジレン基、ピラジレン基、 ピリミジレン基、ピリダジレン基、ピロリレ ン基であり、さらに好ましくは、ピリジレン 基である。
 一般式(XII)のZは、1つまたは2つの含窒素芳 族複素環を有する2価の有機基であり、具体 な例としては、前記Qに記載の有機基に加え 、1,10-フェナントロリレン基、2,2’-ビピリジ レン基、2,2’-ビピローレン基、2,2’-ビチア リレン基、2,2’-ビピリミジレン基、2,2’- ピリダジレン基、2,2’-ビイミダゾリレン基 挙げられ、好ましくは、2,2’-ビピリジレン 基、2,2’-ビピローレン基、2,2’-ビチアゾリ ン基、2,2’-ビピリミジレン基、2,2’-ビピ ダジレン基、2,2’-ビイミダゾリレン基、1,10 -フェナントロリレン基であり、さらに好ま くは、2,2’-ビピリジレン基、2,2’-ビピロー レン基、2,2’-ビチアゾリレン基、2,2’-ビイ ダゾリレン基、1,10-フェナントロリレン基 ある。
 また、これらの基は、水素原子が前記R 1 に記載の置換基で置換されてもよい。

 前記一般式(XI)のT 11 は含窒素芳香族複素環を表し、具体例として 、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダ ジン、ピロール、チアゾール、イミダゾール 、オキサゾール、トリアゾール、インドール 、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノ リン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン 、キノキサリン、ベンゾジアジンが挙げられ 、好ましくは、ピリジン、ピラジン、ピリミ ジン、ピリダジン、ピロール、チアゾール、 イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール 、インドール、ベンゾイミダゾールであり、 さらに好ましくは、ピリジン、ピラジン、ピ リミジン、ピリダジン、ピロール、チアゾー ル、イミダゾール、オキサゾールである。こ れらの基は、さらに前記R 1 における置換基で置換されてもよい。

 前記一般式(XI)又は(XII)のW 11 は、窒素を含まない一価の芳香族置換基ある いは水素原子であり、W 11 が複数ある場合は、互いに同一であっても異 なっていてもよい。具体的な例としては、チ エニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエ ニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベン ゾフリル基、シロリル基、ベンゾシロリル基 、ジベンゾシロリル基、水素原子、及び前記 R 1 における置換基などが挙げられる。
 好ましくは、チエニル基、ベンゾチエニル 、フリル基、ベンゾフリル基、水素原子、 び前記R 11 における置換基である。
 また、これらの基は、さらに前記R 11 中に記載の炭化水素基で置換されてもよい。

 前記一般式(XI)または(XII)に示される配位 としては、下記式(XIII)の構造を有する配位 で特に好ましい。

(式中、R 12 は、下記一般式(XI)または(XII)のR 11 と同義であり、隣合う2つの原子に結合して る2つのR 12 は、互いに連結していてもよく、複数あるR 12 は、それぞれ同一であっても異なっていても よい。)Y 11 及びY 12 は、それぞれ独立に

(R 13 は水素原子または炭素数が1~4の炭化水素基で ある。)
を表す。P 11 は、Y 11 とY 11 の隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳 族複素環を形成するために必要な原子群で り、P 12 は、Y 12 とY 12 の隣接位の2つの炭素原子と一体となって複 環を形成するために必要な原子群である。P 11 とP 12 は、互いにさらに結合して環を形成しても良 い。W 12 は、前記一般式(XI)のW 11 と同義である。なお、電荷は省略してある。 )

 P 11 とP 12 は、互いにさらに結合して環を形成しても良 い。含窒素芳香族複素環の具体例として、ピ リジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、 N-アルキルピロール、チアゾール、イミダゾ ル、オキサゾール、イソキノリン、キナゾ ンが挙げられ、これらは前記R 1 で置換されてもよい。好ましくは、ピリジン 、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N-アル ルピロール、チアゾール、イミダゾール、 キサゾールであり、さらに好ましくは、ピ ジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N -アルキルピロール、イミダゾールである。 れらの基は、さらに前記R 11 における置換基で置換されてもよい。

 前記のようにP 11 とP 12 骨格が互いに結合して新たに環を形成しても 良いが例えば以下のような(XIII-1)~(XIII-6)の構 をもつものが好ましい。さらに好ましくは (XIII-1)~(XIII-3)の構造をもつ。

(式中のR 14 は、一般式(XI)のR 11 と同義であり、複数あるR 14 は、それぞれ同じでも、異なっていてもよい 。R 15 は水素原子または炭素数が1~20で表される炭 水素基を表し、複数あるR 15 は、それぞれ同じでも、異なっていてもよい 。

 前記単核錯体における配位子としては、金 原子と配位結合で結合しうる配位原子を3~15 個有すると好ましい。ここで配位原子とは、 久保亮五他編「岩波 理化学辞典 第4版」(199 1年1月10日発行、岩波書店)966頁に記載の通り 該金属原子の空軌道に電子を供与する非共 電子対を有し、金属原子と配位結合で結合 る原子を示す。
 該配位子中の配位原子の総数は、好ましく 3~10個であり、より好ましくは3~8個であり、 特に好ましくは4~6個である。また、該配位原 子は電気的に中性であっても、荷電したイオ ンであってもよい。

 該配位原子としては、窒素原子、酸素原 、又は硫黄原子から選ばれ、複数ある配位 子は互いに同一でも異なっていてもよい。 り好ましくは窒素原子および酸素原子であ 。

 ここで前記一般式(XIII)の構造を有する配位 の具体的な構造を下記式(XIV-1)~(XIV-7)に例示 る。このうち、好ましくは、式(XIV-1)~(XIV-5) あり、特に好ましくは、式(XIV-1)~(XIV-4)であ 。なお、電荷は省略してある。(なお式中 t Buはtert-ブチルを示す。)

 また、本発明に適用する単核錯体に含ま る金属原子は、無電荷でも、荷電している オンであってもよい。本発明に用いる金属 体としての好ましい配位形態としては、第4 周期に属する遷移金属から選ばれる遷移金属 と前記式(XIV-1)~(XIV-7)に記載の配位子のいずれ かを反応させて得られる金属錯体であり、さ らに好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、 ニッケル、銅から選ばれる遷移金属と前記式 (XIV-1)~(XIV-4)に記載の配位子のいずれかを反応 させて得られる単核錯体である。

 本発明において、前記の金属原子としては 元素の周期表の第4周期~第6周期に属する遷 金属原子であると好ましい。
 本発明の第1の実施態様において、具体的に は、スカンジウム、チタン、バナジウム、ク ロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、 銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、 モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジ ウム、銀、ランタン、セリウム、プラセオジ ム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、 ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム 、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッ テルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タン タル、タングステン、レニウム、オスミウム 、イリジウム、白金及び金からなる群から選 ばれる金属原子が例示される。
 これらの中で好ましくはスカンジウム、チ ン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、 バルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジ コニウム、ニオブ、モリブデン、銀、ラン ン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、 マリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、 ルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、 ルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ル チウム、ハフニウム、タンタル及びタング テンからなる群から選ばれる金属原子であ 、さらに好ましくはスカンジウム、チタン バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ ト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ モリブデン、タンタル及びタングステンか なる群から選ばれる金属原子である。
 これらの中でも、とりわけ、バナジウム、 ロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル び銅からなる群から選ばれる金属原子であ と好ましく、特に好ましくは、前記で例示 た金属原子マンガン、鉄、コバルト、ニッ ル及び銅からなる群から選ばれる金属原子 ある。
 本発明の第2の実施態様において、具体的に は、スカンジウム、チタン、バナジウム、ク ロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、 銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、 モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジ ウム、銀、ランタン、セリウム、プラセオジ ム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、 ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、 ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、 ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハ フニウム、タンタル、タングステン、レニウ ム、オスミウム、イリジウム、白金及び金か らなる群から選ばれる金属原子が例示される 。
 これらの中で好ましくはスカンジウム、チ ン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、 バルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジ コニウム、ニオブ、モリブデン、銀、ラン ン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、 ロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、 ドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッ ルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タン ル及びタングステンからなる群から選ばれ 金属原子であり、さらに好ましくはスカン ウム、チタン、バナジウム、クロム、マン ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコ ウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及び ングステンからなる群から選ばれる金属原 である。
 これらの中でも、とりわけ、第4周期の遷移 金属であるバナジウム、クロム、マンガン、 鉄、コバルト、ニッケル及び銅からなる群か ら選ばれる金属原子であると好ましく、特に 好ましくは、前記で例示したマンガン、鉄、 コバルト、ニッケル及び銅からなる群から選 ばれる金属原子である。

 また、本発明の第1の実施態様に用いられ る金属錯体は、1~10個の金属原子を有してい と好ましく、より好ましくは1~5個であり、 らに好ましくは1~4個であり、特に好ましく 1または2個である。

 本発明の第1の実施態様に用いられる金属 錯体は、分子内に含窒素芳香族複素環を1つ 、さらにフェノール環、チオフェノール環 アニリン環、および含窒素芳香族複素環か なる群から選ばれた構造を4つ以上有する有 化合物を配位子とすることを必須とするが 前記配位子に加え、他の配位子を有してい もよい。本発明の第2の実施態様に用いられ る単核錯体は、前記配位子に加え、他の配位 子を有していてもよい。他の配位子としては イオン性でも電気的に中性の化合物でもよく 、このような他の配位子を複数有する場合、 これらの他の配位子は互いに同一でも異なっ ていてもよい。

 本発明の第1の実施態様における前記他の配 位子における電気的に中性の化合物としては 、アンモニア、ピリジン、ピロール、ピリダ ジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4―トリア ン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3―ト アゾール、オキサゾール、イソオキサゾー 、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、イ チアゾール、インドール、インダゾール、 ノリン、イソキノリン、フェナントリジン シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キ キサリン、1,8-ナフチリジン、アクリジン、2 ,2’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、1,10-フェ ナントロリン、エチレンジアミン、プロピレ ンジアミン、フェニレンジアミン、シクロヘ キサンジアミン、ピペラジン、1,4-ジアザビ クロ[2,2,2]オクタン、ピリジンN-オキシド、2, 2´-ビピリジンN,N’-ジオキシド、オキサミド ジメチルグリオキシム、o―アミノフェノー ルなどの窒素原子含有化合物;水、メタノー 、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノ ル、n-ブチルアルコール、イソブチルアル ール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルア コール、2-メトキシエタノール、フェノール 、シュウ酸、カテコール、サリチル酸、フタ ル酸、2,4-ペンタンジオン、1,1,1-トリフルオ -2,4-ペンタンジオン、ヘキサフルオロペンタ ンジオン、1,3-ジフェニルー1,3―プロパンジ ン、2,2’-ビナフトール等の酸素含有化合物; ジメチルスルホキシド、尿素等の硫黄含有化 合物;1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1, 2-フェニレンビス(ジメチルホスフィン)等の ン含有化合物等が例示される。
 好ましくはアンモニア、ピリジン、ピロー 、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2, 4―トリアジン、ピラゾール、イミダゾール 1,2,3―トリアゾール、オキサゾール、イソオ キサゾール、1,3,4-オキサジアゾール、インド ール、インダゾール、キノリン、イソキノリ ン、フェナントリジン、シンノリン、フタラ ジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフ リジン、アクリジン、2,2’-ビピリジン、4,4 -ビピリジン、1,10-フェナントロリン、エチ ンジアミン、プロピレンジアミン、フェニ ンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ピ ラジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン ピリジンN-オキシド、2,2’-ビピリジンN,N’- オキシド、オキサミド、ジメチルグリオキ ム、o―アミノフェノール、水、フェノール 、シュウ酸、カテコール、サリチル酸、フタ ル酸、2,4-ペンタンジオン、1,1,1-トリフルオ -2,4-ペンタンジオン、ヘキサフルオロペンタ ンジオン、1,3-ジフェニル-1,3―プロパンジオ 、2,2’-ビナフトールであり、 より好まし はアンモニア、ピリジン、ピロール、ピリ ジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4―トリ ジン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3―ト リアゾール、オキサゾール、イソオキサゾー ル、1,3,4-オキサジアゾール、インドール、イ ンダゾール、キノリン、イソキノリン、フェ ナントリジン、シンノリン、フタラジン、キ ナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン アクリジン、2,2’-ビピリジン、4,4’-ビピリ ジン、1,10-フェナントロリン、エチレンジア ン、プロピレンジアミン、フェニレンジア ン、シクロヘキサンジアミン、ピリジンN- キシド、2,2’-ビピリジンN,N’-ジオキシド、 o―アミノフェノール、フェノール、カテコ ル、サリチル酸、フタル酸、1,3-ジフェニル 1,3―プロパンジオン、2,2’-ビナフトールが 挙げられる。
 これらの中でも、ピリジン、ピロール、ピ ダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾー 、イミダゾール、オキサゾール、インドー 、キノリン、イソキノリン、アクリジン、2 ,2’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、1,10-フェ ナントロリン、フェニレンジアミン、ピペラ ジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ピ ジンN-オキシド、2,2´-ビピリジンN,N’-ジオ シド、o―アミノフェノール、フェノールが さらに好ましい。

 本発明の第2の実施態様における前記他の配 位子における電気的に中性の化合物としては 、アンモニア、ピリジン、ピロール、ピリダ ジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4-トリアジ ン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリア ゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、 1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、イソチ アゾール、インドール、インダゾール、キノ リン、イソキノリン、フェナントリジン、シ ンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキ サリン、1,8-ナフチリジン、アクリジン、2,2 -ビピリジン、4,4’-ビピリジン、1,10-フェナ トロリン、エチレンジアミン、プロピレン アミン、フェニレンジアミン、シクロヘキ ンジアミン、ピリジンN-オキシド、2,2’-ビ リジンN,N’-ジオキシド、オキサミド、ジメ チルグリオキシム、o-アミノフェノールなど 窒素原子含有化合物;水、メタノール、エタ ノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n- ブチルアルコール、イソブチルアルコール、 sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール 、2-メトキシエタノール、フェノール、シュ 酸、カテコール、サリチル酸、フタル酸、2 ,4-ペンタンジオン、1,1,1-トリフルオロ-2,4-ペ タンジオン、ヘキサフルオロペンタンジオ 、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、2,2’- ビナフトール等の酸素含有化合物;ジメチル ルホキシド、尿素等の硫黄含有化合物;1,2-ビ ス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2-フェニレ ンビス(ジメチルホスフィン)等のリン含有化 物等が例示される。
 これらの中で好ましいものとしてアンモニ 、ピリジン、ピロール、ピリダジン、ピリ ジン、ピラジン、1,2,4-トリアジン、ピラゾ ル、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、オ サゾール、イソオキサゾール、1,3,4-オキサ アゾール、インドール、インダゾール、キ リン、イソキノリン、フェナントリジン、 ンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノ サリン、1,8-ナフチリジン、アクリジン、2,2 ’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、1,10-フェ ントロリン、エチレンジアミン、プロピレ ジアミン、フェニレンジアミン、シクロヘ サンジアミン、ピリジンN-オキシド、2,2’- ピリジンN,N’-ジオキシド、オキサミド、ジ チルグリオキシム、o-アミノフェノール、 、フェノール、シュウ酸、カテコール、サ チル酸、フタル酸、2,4-ペンタンジオン、1,1, 1-トリフルオロ-2,4-ペンタンジオン、ヘキサ ルオロペンタンジオン、1,3-ジフェニル-1,3- ロパンジオン、2,2’-ビナフトールが挙げら 、より好ましくはアンモニア、ピリジン、 ロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジ 、1,2,4-トリアジン、ピラゾール、イミダゾ ル、1,2,3-トリアゾール、オキサゾール、イ オキサゾール、1,3,4-オキサジアゾール、イ ドール、インダゾール、キノリン、イソキ リン、フェナントリジン、シンノリン、フ ラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナ フチリジン、アクリジン、2,2’-ビピリジン 4,4’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、 チレンジアミン、プロピレンジアミン、フ ニレンジアミン、シクロヘキサンジアミン ピリジンN-オキシド、2,2’-ビピリジンN,N’- オキシド、o-アミノフェノール、フェノー 、カテコール、サリチル酸、フタル酸、1,3- フェニル-1,3-プロパンジオン、2,2’-ビナフ ールが挙げられる。
 さらに、上記の例示した中でも、これらの でも、ピリジン、ピロール、ピリダジン、 リミジン、ピラジン、ピラゾール、イミダ ール、オキサゾール、インドール、キノリ 、イソキノリン、アクリジン、2,2’-ビピリ ジン、4,4’-ビピリジン、1,10-フェナントロリ ン、フェニレンジアミン、ピリジンN-オキシ 、2,2’-ビピリジンN,N’-ジオキシド、o-アミ ノフェノール、フェノールがさらに好ましい 。

 また、本発明の第1の実施態様において、ア ニオン性を有する配位子としては、水酸化物 イオン、ペルオキシド、スーパーオキシド、 シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、フ ッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン 、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン 、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過 塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオ ン、テトラフェニルボレートイオンなどのテ トラアリールボレートイオン、ヘキサフルオ ロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イ オン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン 、p-トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンス ホン酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イ ン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン 2-エチルヘキサン酸イオン、プロピオン酸 オン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、 属酸化物イオン、メトキサイドイオン、エ キサイドイオン等が挙げられる。
 好ましくは、水酸化物イオン、塩化物イオ 、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、 塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイ ン、テトラフェニルボレートイオン、ヘキ フルオロホスフェイトイオン、メタンスル ン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ベ ゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン、酢 イオン、トリフルオロ酢酸イオンが例示さ 、これらの中でも、水酸化物イオン、塩化 イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イ ン、テトラフェニルボレートイオン、トリ ルオロメタンスルホン酸イオン、p-トルエン スルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオ ロ酢酸イオン、2-エチルヘキサン酸イオンが り好ましい。

 また、本発明の第2の実施態様において、ア ニオン性を有する配位子としては、水酸化物 イオン、ペルオキシド、スーパーオキシド、 シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、フ ッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン 、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン 、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過 塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオ ン、テトラフェニルボレートイオンなどのテ トラアリールボレートイオン、ヘキサフルオ ロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イ オン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン 、p-トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンス ホン酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イ ン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水 化物イオン、金属酸化物イオン、メトキサ ドイオン、エトキサイドイオン等が挙げら る。
 これらの中で水酸化物イオン、硫酸イオン 硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン テトラフルオロボレートイオン、テトラフ ニルボレートイオン、ヘキサフルオロホス ェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、 リフルオロメタンスルホン酸イオン、p-ト エンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、トリ ルオロ酢酸イオンが好ましく、さらに水酸 物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸 オン、テトラフェニルボレートイオン、ト フルオロメタンスルホン酸イオン、p-トルエ ンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフル オロ酢酸イオンが特に好ましい。

 さらに、前記アニオン性を有する配位子 して例示したイオンは、本発明の金属錯体 体または本発明に用いられる単核錯体自体 電気的に中和する対イオンとして有してい もよい。

 また、本発明に用いられる金属錯体または 核錯体は、電気的中性を保たせるようなカ オン性を有する対イオンを持つ場合がある カチオン性を有する対イオンとしては、ア カリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオン、テト ラエチルアンモニウムイオン等のテトラアル キルアンモニウムイオン、テトラフェニルホ スホニウムイオンなどのテトラアリールホス ホニウムイオン等が例示され、具体的には、 リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウ ムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオ ン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン 、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、 テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオン、テト エチルアンモニウムイオン、テトラフェニ ホスホニウムイオンであり、より好ましく テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオン、テト エチルアンモニウムイオン、テトラフェニ ホスホニウムイオンが挙げられる。
 これらの中でも、カチオン性を有する対イ ンとして、テトラ(n-ブチル)アンモニウムイ オン、テトラエチルアンモニウムイオンが好 ましい。

 次に本発明に適用する金属錯体および単 錯体の合成法について説明する。本発明の 属錯体および単核錯体は、配位子を有機化 的に合成し、前記の金属原子を付与する反 剤(以下、「金属付与剤」と呼ぶ)と混合す ことにより得ることができる。金属付与剤 しては、前記例示した金属の酢酸塩、塩酸 、硫酸塩、炭酸塩などを用いることができ 。ここで、金属付与剤は、前記記載の金属 子Mと対イオンXの組み合わせからなる金属塩 であり、金属原子Mの好ましい具体的例示と て、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、 が挙げられ、対イオンXの好ましい具体的例 として、酢酸イオン、塩化物イオン、硝酸 オン、2-エチルヘキサン酸イオンが挙げら 、これら金属原子Mと対イオンXの組み合わせ からなる金属塩が好ましい。

 配位子の合成は、非特許文献Tetrahedron.,1999,5 5,8377.に記載されているように、有機金属反 剤の複素環化合物(複素環式化合物)への付加 反応及び酸化をおこない、ハロゲン化反応、 次いで遷移金属触媒を用いたクロスカップリ ング反応を行うによって合成することができ る。
 また、ハロゲン化された芳香族複素環化合 (複素環のハロゲン化物)を用いた多段階の ロスカップリング反応を行うことによって 成することも可能である。

 前記のとおり、本発明の金属錯体または本 明に用いられる単核錯体は、配位子及び金 付与剤を適当な反応溶媒の存在下で混合さ ることで得ることができる。具体的には、 応溶媒としては、水、酢酸、シュウ酸、ア モニア水、メタノール、エタノール、n-プ パノ-ル、イソプロピルアルコール、2-メト シエタノール、1-ブタノール、1,1-ジメチル タノール、エチレングリコール、ジエチル ーテル、1,2-ジメトキシエタン、メチルエチ エーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフ ラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシ チレン、デュレン、デカリン、ジクロロメタ ン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベン ゼン、1,2-ジクロロベンゼン、N,N’-ジメチル ルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、 N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシ 、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニト ル、トリエチルアミン、ピリジンが挙げら 、これらを2種以上混合してなる反応溶媒を 用いてもよいが、配位子及び金属付与剤が溶 解し得るものが好ましい。反応温度としては 通常-10~200℃、好ましくは0~150℃、特に好まし くは0~100℃、反応時間としては通常1分~1週間 好ましくは5分~24時間、特に好ましくは1時 ~12時間で実施することができる。なお、反 温度および反応時間についても、配位子及 金属付与剤の種類によって適宜設定できる
 反応後の反応溶液から、生成した金属錯体 たは単核錯体を単離精製する手段としては 公知の再結晶法、再沈殿法あるいはクロマ グラフィー法から適宜最適な手段を選択し 用いることができ、これらの手段を組合わ てもよい。
 なお、前記反応溶媒の種類によっては、生 した金属錯体または単核錯体が析出する場 があり、析出した金属錯体または単核錯体 濾別等で分離し、必要に応じて洗浄操作や 燥操作を行うことでも、金属錯体または単 錯体を単離精製することもできる。

 本発明の第1の実施態様に用いる金属錯体 としての好ましい配位形態としては、第4周 に属する遷移金属から選ばれる遷移金属と 記式(IV-1)~(IV-12)に記載の配位子のいずれかを 反応させて得られる金属錯体であり、さらに 好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッ ケル、銅から選ばれる遷移金属と前記式(IV-1) ~(IV-7)に記載の配位子のいずれかを反応させ 得られる金属錯体である。

 前記式(I)で表される配位子の残基を有する リマーとは、前記式(I)で表される配位子を する金属錯体における水素原子の一部又は 部(通常、1個)を取り除いてなる原子団から る基を有するポリマーを意味しており、こ 場合に用いられるポリマーとして、特に制 はないが、導電性高分子、デンドリマー、 然高分子、固体高分子電解質、ポリエチレ 、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ 等を例示することができる。その中でも、 電性高分子、固体高分子電解質が特に好ま い。導電性高分子とは金属的または半金属 な導電性を示す高分子物質の総称である(岩 波理化学辞典第5版:1988年発行)。導電性高分 としては、「導電性ポリマー」(吉村進一著 共立出版)や「導電性高分子の最新応用技術 」(小林征男監修、シーエムシー出版)に記載 れているような、ポリアセチレン及びその 導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体 ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導 、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオ ェン及びその誘導体、ポリピロール及びそ 誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、 リフルオレン及びその誘導体、ポリカルバ ール及びその誘導体、ポリインドール及び の誘導体、ならびに前記導電性高分子の共 合体などを挙げることができる。
 固体高分子電解質としては、パーフルオロ ルホン酸、ポリエーテルエーテルケトン、 リイミド、ポリフェニレン、ポリアリーレ 、ポリアリーレンエーテルスルホンをスル ン化した高分子などを挙げることができる

 前記式(I)で表される配位子の残基を繰り返 単位として有するポリマーとは、前記式(I) 表される金属錯体における水素原子の一部 は全部(通常、2個)を取り除いてなる原子団 らなる基を繰り返し単位として有するポリ ーを意味しており、例えば、大環状配位子 含む二官能性モノマーを重合することによ 生成するものである。また、前記一般式(XI) または一般式(XII)で表される配位子を有する 属錯体における水素原子の一部又は全部(通 常、1個)を取り除いてなる原子団からなる基 有するポリマーでもよく、この場合に用い れるポリマーとして、特に制限はないが、 電性高分子、デンドリマー、天然高分子、 体高分子電解質、ポリエチレン、ポリエチ ングリコール、ポリプロピレンなどを例示 ることができる。その中でも、導電性高分 、固体高分子電解質が特に好ましい。導電 高分子とは金属的または半金属的な導電性 示す高分子物質の総称である(岩波理化学辞 典第5版:1988年発行)。導電性高分子としては 「導電性ポリマー」(吉村進一著、共立出版) や「導電性高分子の最新応用技術」(小林征 監修、シーエムシー出版)に記載されている うな、ポリアセチレン及びその誘導体、ポ パラフェニレン及びその誘導体、ポリパラ ェニレンビニレン及びその誘導体、ポリア リン及びその誘導体、ポリチオフェン及び の誘導体、ポリピロール及びその誘導体、 リフルオレン及びその誘導体、ポリフルオ ン及びその誘導体、ポリカルバゾール及び の誘導体、ポリインドール及びその誘導体 ならびに前記導電性高分子の共重合体など 挙げることができる。
 固体高分子電解質としては、パーフルオロ ルホン酸、ポリエーテルエーテルケトン、 リイミド、ポリフェニレン、ポリアリーレ 、ポリアリーレンエーテルスルホンをスル ン化した高分子などを挙げることができる
 また、前記一般式(XI)または一般式(XII)で表 れる配位子を有する金属錯体における水素 子の一部又は全部(通常、2個)を取り除いて る原子団からなる基を繰り返し単位として するポリマーでもよく、例えば、大環状配 子を含む二官能性モノマーを重合すること より生成するものである。

 次に、本発明における、金属錯体または単 錯体の安定化処理(変性処理)の条件につい 詳述する。
 変性処理に用いる金属錯体または単核錯体 、1種の金属錯体または単核錯体のみを用い てもよく、2種以上の金属錯体または単核錯 を用いることもできる。
 該金属錯体または単核錯体は、変性処理を す前処理として、15℃以上200℃以下の温度 10Torr以下の減圧下において6時間以上乾燥さ ておくと特に好ましい。該前処理としては 真空乾燥機等を用いることができる。

 本発明の第1の実施態様において、金属錯体 の変性処理を行う際に用いる雰囲気としては 、水素、ヘリウム、窒素、アンモニア、酸素 、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン 、アセトニトリル、並びにこれらの混合ガス の存在下であることが好ましい。
 好ましくは水素、ヘリウム、窒素、アンモ ア、酸素、ネオン、アルゴン、並びにこれ の混合ガスの存在下であり、より好ましく 水素、窒素、アンモニア、アルゴン、並び これらの混合ガスの存在下である。
 また、変性処理に係る圧力は、選択する変 処理において適宜変更することができる。
 該金属錯体を加熱処理する際の温度は、該 熱処理の前後において、質量減少率が1質量 %以上90質量%以下となり、且つ加熱処理後の 性物の炭素含有率が5質量%以上となる温度で あれば、特に限定されない。
 該加熱処理の処理温度としては、好ましく 250℃以上であり、より好ましくは300℃以上 さらに好ましくは400℃以上、特に好ましく 500℃以上である。また、焼成処理にかかる 度の上限も、処理後の変性物の炭素含有率 5質量%以上にできるものであれば、特に限 されないが、好ましくは1200℃以下であり、 り好ましくは1000℃以下である。

 本発明の第1の実施態様において、多核錯体 の加熱処理を行う際に用いる雰囲気は、水素 、一酸化炭素などの還元雰囲気、酸素、炭酸 ガス、水蒸気などの酸化雰囲気、窒素、ヘリ ウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセ ノンなどの不活性ガス雰囲気、アンモニア、 アセトニトリルなどの含窒素化合物のガスま たは蒸気、並びにこれらの混合ガスの存在下 であることが好ましい。より好ましくは、還 元雰囲気であれば、水素、および水素と前記 不活性ガスとの混合雰囲気、酸化雰囲気であ れば、酸素、および酸素と前記不活性ガスと の混合雰囲気、また、不活性ガス雰囲気であ れば、窒素、ネオン、アルゴン、並びにこれ らのガスの混合雰囲気である。
 また、加熱処理に係る圧力は、特に限定さ るものではないが、0.5~1.5気圧程度の常圧付 近であると好ましい。

 本発明の第2の実施態様において、単核錯体 の加熱処理を行う際に用いる雰囲気は、水素 、一酸化炭素などの還元雰囲気、酸素、炭酸 ガス、水蒸気などの酸化雰囲気、窒素、ヘリ ウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセ ノンなどの不活性ガス雰囲気、アンモニア、 アセトニトリルなどの含窒素化合物のガスま たは蒸気、並びにこれらの混合ガスの存在下 であることが好ましい。より好ましくは、還 元雰囲気であれば、水素、および水素と前記 不活性ガスとの混合雰囲気、酸化雰囲気であ れば、酸素、および酸素と前記不活性ガスと の混合雰囲気、また、不活性ガス雰囲気であ れば、窒素、ネオン、アルゴン、並びにこれ らのガスの混合雰囲気である。
 また、加熱処理に係る圧力は、特に限定さ るものではないが、0.5~1.5気圧程度の常圧付 近であると好ましい。

 本発明の第2の実施態様において、該単核錯 体を加熱処理する際の温度は該加熱処理の前 後において、質量減少率を1質量%以上にでき 温度であれば、特に限定されない。
 該加熱処理の処理温度としては、好ましく 250℃以上であり、より好ましくは300℃以上 さらに好ましくは400℃以上、特に好ましく 500℃以上である。また、焼成処理にかかる 度の上限も、処理前後の質量減少率が1質量 %以上90質量%以下になり、且つ処理後の変性 の炭素含有率が5質量%以上にできるものであ れば、特に限定されないが、好ましくは1200 以下であり、より好ましくは1000℃以下であ 。

 加熱処理にかかる処理時間は、前記の使 ガスや温度等により適宜設定できるが、上 ガスの密閉あるいは通気させた状態におい 、室温から徐々に温度を上昇させ目的温度 達後、すぐに降温してもよい。中でも、目 温度に到達後、温度を維持することで、徐 に金属錯体または単核錯体を加熱すること 、耐久性をより向上させることができるた 好ましい。目的とする温度到達後の保持時 は、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質 量%以下になり、且つ処理後の変性物の炭素 有率が5質量%以上にできるものであれば、特 に限定されないが、好ましくは1~100時間であ 、より好ましくは1~40時間であり、さらに好 ましくは2時間~10時間であり、特に好ましく 2~5時間である。

 本発明の第1の実施態様において、加熱処 理を行う装置も、特に限定されるものではな く、管状炉、オーブン、ファーネス、IHホッ プレート等が例示される。本発明の変性金 錯体は、前記のような加熱処理による、低 子脱離を伴って質量減少を生じ、配位子同 が反応することで、金属錯体が縮合体を形 し、その縮合体の中で配位構造が安定する のと考えられる。該加熱処理に代わる、他 変性処理においても、質量減少率を前記の 囲にできる処理において、同等の効果が得 れる。

 本発明の第2の実施態様において、加熱処 理を行う装置も、特に限定されるものではな く、オーブン、ファーネス、IHホットプレー 等が例示される。また、加熱処理を行う単 錯体が数十mg程度であれば、通常熱分析に 用される熱分析計のファーネスを適用する ともできる。熱分析計の中でも熱質量分析 を用いると、質量減少率を確認しながら所 の熱質量減少率が得られた段階で加熱処理 停止できるため、簡便に本発明の加熱処理 実施することができる。

 本発明、特に本発明の第2の実施態様の変 性金属錯体は、配位子が芳香族化合物からな るので、加熱処理による金属原子周辺の構造 が保持されやすくなり、配位構造が安定して いるものと考えられる。該加熱処理に代わる 、変性処理においても、質量減少率を前記の 範囲にできる処理において、同等の効果が得 られるものと考えられる。

 加熱処理に代わる変性処理としては、α線 β線、中性子線、電子線、γ線、X線、真空紫 外線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ 波、電波、レーザー等の電磁波又は粒子線等 から選ばれる何れかの放射線照射処理、コロ ナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理 (低温プラズマ処理を含む)等の放電処理から 択することができる。
 これらの中でも、好ましい変性処理として 、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線 、マイクロ波及びレーザーから選ばれる放射 線照射処理又は低温プラズマ処理が挙げられ る。より好ましくは、紫外線、可視光線、赤 外線、マイクロ波、レーザーから選ばれる放 射線を照射する方法である。
 これらの方法は、通常高分子フィルムの表 改質処理に用いられる機器、処理方法に準 て行うことが可能であり、例えば文献(日本 接着学会編、「表面解析・改質の化学」、日 刊工業新聞社、2003年12月19日発行)等に記載さ れた方法を用いることができる。

 ここで、前記の加熱処理、放射線照射処 又は放電処理を行う際に、該金属錯体また 単核錯体が、処理前後の質量減少率が1質量 %以上90質量%以下になり、且つ処理後の変性 の炭素含有率が5質量%以上にできるよう、変 成できる条件を任意に設定することができる が、好ましい処理時間としては10時間以内、 り好ましくは3時間以内、さらに好ましくは 1時間以内、特に好ましくは30分以内である。

 前記のようにして加熱処理、放射線照射 理又は放電処理の何れかの変性処理を施し 質量減少率が1質量%以上、好ましくは2質量% 以上変性処理を行って本発明の変性金属錯体 が得られる。

 一方、加熱処理、放射線照射処理又は放 処理の際に、大幅に質量減少する場合は錯 構造の分解が顕著となるため好ましくない 本発明において、質量減少率の上限として ましくは80質量%以下、より好ましくは70質 %以下、とりわけ好ましくは60質量%以下であ 。

 さらに、本発明の変性金属錯体は元素分析 おける炭素含有率が5質量%以上である。該 素含有率が10質量%以上であると好ましく、20 質量%以上であるとより好ましく、30質量%以 であるとさらに好ましく、40質量%以上98質量 %以下であると特に好ましい。本発明、特に 発明の第1の実施態様において、処理物の炭 含有率が高いほど錯体構造がより安定化し 該変性金属錯体における金属原子の集積度 向上しやすいため好ましい。
 本発明の変性金属錯体は、前記記載の処理 より得ることができるが、該処理後におい 、未反応の金属錯体や、金属錯体が分解す ことで生成した金属微粒子や金属酸化物を んでいる場合がある。このような場合、酸 理等により、金属微粒子や金属酸化物を取 除いたものが変性金属錯体であるが、変性 属錯体としての機能を妨げない限りにおい 、そのまま触媒として使用することができ 。

 本発明において「変性金属錯体」とは、加 処理、放射線照射処理又は放電処理の何れ の変性処理により、処理前後の質量減少率 1質量%以上90質量%以下、好ましくは80質量% 下、より好ましくは70質量%以下、とりわけ ましくは60質量%以下となるまで変性し、変 後の炭素含有率が5質量%以上である金属錯体 または単核錯体をいい、好ましくはカーボン 化合物を形成する場合であり、更に好ましく は、グラフェン化合物を形成する場合である 。なお、カーボン化合物とは、炭素含有率が 5質量%以上である化合物をいう。変性処理前 金属錯体と同様の触媒活性を安定化し、一 高めることができる。
 該質量減少は、主に金属錯体からの低分子 離に起因するものであり、このような低分 の脱離は、変性処理にて生成するガス成分 質量分析装置などを用いて確認することが きる。また、金属錯体構造は、X線吸収微細 構造(EXAFS)分析法、赤外分光法、ラマン分光 などにより、金属原子と配位原子との結合 帰属されるスペクトルから確認することが きる。

 本発明の変性金属錯体は、前記に示したよ に、変性処理に伴って配位子同士の反応、 なわち配位子同士が低分子離脱を伴って縮 し、配位子が縮合して生じた配位子変性体 中に、金属原子が変性前の金属錯体とほぼ 等の空間的配置を維持してなるものと推定 れる。ここで、配位子の変性体はグラフェ 状構造で縮合・連結された状態であると、 り酸に対する安定性、熱安定性が高まるの 好ましい。また、「グラフェン状構造」と 、炭素原子がsp 2 混成軌道によって化学結合し二次元に広がっ た炭素六角網面構造を意味し、グラフェン状 構造を構成する炭素原子の一部は、窒素など のヘテロ原子に置き換えられてもよい。また 、前述のグラフェン状構造が積層したグラフ ァイト状構造を取ってもよい。
 また、本発明の変性金属錯体がグラフェン 構造である場合、導電性も向上するという 果もある。かかる場合のグラフェン状構造 存在は、励起波長532nmのレーザーラマン分 分析により得られるスペクトルにおいて、 ラフェン状構造の存在を表す1550~1600cm -1 のピーク(極大)の存在により確認される。該 ーク(極大)の観測される下限値としては、 ましくは1560cm -1 であり、より好ましくは1570cm -1 である。また、該ピーク(極大)の観測される 限値としては、好ましくは1595cm -1 であり、より好ましくは1590cm -1 である。

 次に、本発明の変性金属錯体における別の 施形態について説明する。
 本発明の第1の実施態様の変性金属錯体は、 前記に記載したような(a)金属錯体と、(b)カー ボン担体、沸点あるいは融点が250℃以上の有 機化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下で ある有機化合物とを、含む金属錯体混合物を 、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の 何れかの変性処理を施し、処理前後の質量減 少率が5質量%以上90質量%以下まで変性し、変 後の炭素含有率が5質量%以上として変性金 錯体組成物である。本発明の第2の実施態様 変性金属錯体は、前記に記載したような(a1) 単核錯体と、(b1)カーボン担体、沸点あるい 融点が250℃以上の有機化合物、又は熱重合 始温度が250℃以下である有機化合物とを、 む単核錯体混合物を、加熱処理、放射線照 処理又は放電処理の何れかの変性処理を施 、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量% 以下まで変性し、変性後の炭素含有率が5質 %以上である変性金属錯体である。ここで、 量減少率は、金属錯体混合物におけると、( a)と(b)または(a1)と(b1)の合計質量に対して求 る。

 本発明の第1の実施態様において、該金属 錯体混合物における(a)と(b)の混合比率は、(a) と(b)の合計質量に対し、(a)の含有量が、1~70 量%になるように設定することが好ましい。 記卑金属錯体の含有量が2~60質量%であると より好ましく、3~50質量%であると、特に好ま しい。本発明の第2の実施態様において、該 核錯体混合物における(a1)と(b1)の混合比率は 、(a1)と(b1)の合計重質量に対し、(a1)の含有量 が、1~70質量%になるように設定することが好 しい。2~60質量%であると、より好ましく、3~ 50質量%であると、特に好ましい。

 前記カーボン担体の例としては、ノーリ ト(NORIT社製)、ケッチェンブラック(Lion社製) 、バルカン(Cabot社製)、ブラックパール(Cabot 製)、アセチレンブラック(Chevron社製)(いずれ も商品名)等のカーボン粒子、C60やC70等のフ ーレン、カーボンナノチューブ、カーボン ノホーン、カーボン繊維等が挙げられる。

 沸点あるいは融点が250℃以上である有機化 物の例としては、ペリレン―3,4,9,10―テト カルボン酸二無水物、3,4,9,10―ペリレンテト ラカルボン酸ジイミド、1,4,5,8―ナフタレン トラカルボン酸二無水物、1,4,5,8―ナフタレ テトラカルボン酸ジイミド、1,4,5,8―ナフタ レンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、二 無水ピロメリット酸などの芳香族系化合物カ ルボン酸誘導体などが挙げられる。ここで、 沸点又は融点は、公知の方法を用いて測定す ることが可能であり、測定された値から選択 することが可能であるが、文献等に記載され ている値を用いて選択されることもできる。
 また、計算機シミュレーション等で求めら た計算値でもよく、例えば、Chemical Abstract Serviceから提供されるソフトウェアであるSciF inderに登録されている沸点あるいは融点の計 値を用いても選んでも良い。下記に示す化 物において沸点(b.p.)にある「calc」の表記は 、前記SciFinderに登録されている計算値である 。

 また、250℃以下で熱重合を開始する化合 は、芳香族環の他に二重結合または三重結 を有する有機化合物であり、例えばアセナ チレンやビニルナフタレンなどの有機化合 が例示される。下記に示す化合物に記載の 値は、各有機化合物の重合開始温度である なお、該数値は「炭素化工学の基礎」(第1 第2刷、昭和57年、オーム社)に記載されてい 。

 この実施形態は上記のように(a)成分に加 て(b)成分として用いる以外、またはまたは( a1)成分に加えて(b1)成分として用いる以外、 の変性処理方法、処理条件、変性処理(安定 処理)による質量減少率、処理後の金属錯体 または単核錯体の炭素含有率等については、 第1の実施形態と同様である。

 本発明において、とりわけ、ヘテロ原子を 位原子とする金属錯体に上記の処理を施し 場合、中心金属とヘテロ原子との結合の他 新たな結合が形成され、安定性が一層高ま 。ここでいうヘテロ原子とは、酸素原子、 素原子、硫黄原子、リン原子、セレン原子 ヒ素原子、ハロゲン原子であり、より好ま くは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リ 原子、さらに好ましくは、酸素原子、窒素 子、硫黄原子、特に好ましくは酸素原子、 素原子である。
 また、該金属錯体に含まれる金属原子とし は、前記の金属原子と同義である。中心金 への新たな結合の形成は、広域X線吸収微細 構造(EXAFS)分析法を用いて確認することがで る。中心金属のEXAFS動径分布関数において、 中心金属に配位したヘテロ原子は、第一近接 原子由来にピークとして観測され、通常、1.0 Å以上2.5Å以下の範囲に観測される。第一近 接原子由来のピークが観測される範囲の下限 値として、より好ましくは1.1Å以上であり、 さらに好ましくは1.2Å以上である。また、そ の上限値として、より好ましくは2.2Å以下で あり、さらに好ましくは1.8Å以下であり、特 に好ましくは1.6Å以下である。上記の新たな 結合の形成は、第一近接原子由来のピークよ りも中心金属からより離れた位置に別ピーク として観測される。該ピークの位置は、第一 近接原子由来のピークよりも0.58Å以内であ 、より好ましくは、0.57Å以内、さらに好ま くは、0.56Å以内であり、特に好ましくは0.5 5Å以内である。
 別ピークの数は、1以上であれば特に限定さ れないが、好ましくは1~3、より好ましくは1~2 、特に好ましくは1である。また、該ピーク 強度は、第一近接原子由来のピーク強度に して、2/5以上の強度を持つものが好ましく より好ましくは、1/2以上の強度、特に好ま くは2/3以上の強度であり、とりわけ好まし は、3/4以上の強度である。

 本発明、特に本発明の第1の実施態様の変性 金属錯体は、種々の用途に応じて、種々の担 体、添加剤等を併用することや、その形状を 加工することができる。本発明の処理金属錯 体は錯体構造が安定化して、金属原子の集積 度が高いので用途として、過酸化水素分解触 媒、バッテリーの電極材料、電子デバイスの メモリ材料、燃料電池用の膜劣化防止剤、芳 香族化合物の酸化カップリング触媒、排ガス ・排水浄化用触媒、色素増感太陽電池の酸化 還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素 製造用触媒、酸素センサーなどに特に好適で ある。
 本発明、特に本発明の第2の実施態様の変性 金属錯体は、種々の用途に応じて、種々の担 体、添加剤等を併用することや、その形状を 加工することができる。用途として、燃料電 池用の電極触媒や膜劣化防止剤、芳香族化合 物の酸化カップリング触媒、排ガス・排水浄 化用触媒、色素増感太陽電池の酸化還元触媒 層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触 媒、酸素センサーなどの用途が挙げられる。

 また、本発明の変性金属錯体は、触媒と て使用する際に、カーボン担体及び/又は導 電性高分子とを含む組成物として用いること もできる。このようにすると、より変性金属 錯体の安定性がより増したり、触媒活性がよ り向上したりする等の観点から有用である。 なお、導電性高分子としては、ポリアセチレ ン、ポリアニリン、ポリピロール等を挙げる ことができる。また、カーボン担体の具体例 は前記と同等である。また、このような組成 物としては、本発明の変性金属錯体を複数混 合して使用することもできるし、カーボン担 体又は導電性高分子を複数使用することもで きるし、カーボン担体と導電性高分子を組合 わせて使用することもできる。

 以下に、本発明の変性金属錯体の、好まし 用途について説明する。
 本発明、特に本発明の第1の実施態様の変性 金属錯体は、好ましくはカーボン化合物を形 成する場合であり、更に好ましくはグラフェ ン化合物を形成する場合である。変性処理前 の金属錯体と同様の触媒活性を安定化し、一 層高めることができる。具体的には過酸化物 の分解触媒、特に過酸化水素の分解触媒に用 いることがより好ましい。過酸化水素の分解 触媒に用いる場合、ヒドロキシルラジカルの 発生を抑制しつつ水と酸素に分解できるとい う特徴を有する。具体的には、固体高分子電 解質型燃料電池用や水電気分解用のイオン伝 導膜の劣化防止剤や、医農薬や食品の抗酸化 剤等の用途が挙げられる。
 固体高分子型燃料電池に本発明、特に本発 の第2の実施態様の変性金属錯体を用いると 好ましく、この用途において、該変性金属錯 体を電解質、電極、および電解質/電極界面 に導入して用いることができる。固体高分 型燃料電池は、通常、水素あるいはメタノ ルなど含む燃料が導入される燃料極と、酸 を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と該 料極と該酸素極との間に挟装された電解質 からなる電解質膜電極接合体がセパレータ を介して複数個積層されて構成される。好 しい導入部位としては、酸素極、燃料極お び電解質/各電極界面である。該触媒を電解 や、電極、および電解質/電極界面等に導入 する方法としては、種々の方法を用いること ができる。例えば、該変性金属錯体をフッ素 系イオン交換樹脂(ナフィオン(登録商標、デ ポン社製)など)などの電解質溶液に分散さ たものを作成し、これを膜状に成型して電 質膜として用いる方法、あるいはこの分散 を電解質膜に塗布、乾燥させたものを電極 して用いる方法、該変性物を分散させた溶 を電極に塗布し乾燥させここに電解質膜を 合することで電解質‐電極界面に過酸化物 解触媒層を導入する方法等が挙げられる。
 また、本発明の変性金属錯体は芳香族化合 の酸化カップリング触媒としても好適であ 、この用途である場合、例えば、ポリフェ レンエーテルやポリカーボネートなどのポ マー製造に関わる触媒として使用すること できる。使用形態としては、前記変性物を 応溶液に直接添加する方法や、該変性物を オライトやシリカ等に担持させる方法が挙 られる。

 本発明の変性金属錯体は、各種工場や自 車からの排ガス中に含有されている硫黄酸 物や窒素酸化物を硫酸やアンモニアへ転換 るための脱硫・脱硝触媒としても使用でき 。工場からの排ガスが通気する塔に充填す 方法や、自動車のマフラーに充填する方法 どが挙げられる。

 さらに、本発明の変性金属錯体は、改質 素中のCOを変成させる触媒として使用する ともできる。改質水素中にはCOなどが含まれ ており、改質水素を燃料電池として使用する 場合、燃料極がCOの被毒を受けることが問題 あり、COの濃度を極力低減することが望ま る。具体的な使用形態については、例えば Chemical Communication,3385(2005)に記載の方法等が げられる。

 本発明、特に本発明の第1の実施態様の変 性金属錯体は、安定性(例えば、耐酸性、熱 定性)に優れた変性金属錯体であり、通常、 れた触媒活性を示す。本発明、特に本発明 第1の実施態様の変性金属錯体は、溶液中で 優れた金属保持性を示す錯体化合物である。 また、含窒素芳香族複素環、フェノール環、 チオフェノール環、アニリン環の何れかによ り、金属原子が集積されており、触媒反応に 適した反応空間が提供され、かつ、変性処理 により、集積化された金属錯体間で新たな結 合が形成されることで、安定性が高められる ばかりでなく反応選択性にも優れた触媒とな ることが期待される。

 本発明、特に本発明の第1の実施態様によ れば、過酸化物分解反応、酸化物分解反応、 酸素添加反応、酸化カップリング反応、脱水 素反応、水素添加反応、電極反応等の電子移 動を伴うレドックス反応の触媒として、酸の 存在下や加熱下であっても高反応活性を有す る触媒が得られ、該触媒は、有機化合物、高 分子化合物の合成用途や、添加剤、改質剤、 センサーの材料用途に好適に用いることがで き、工業的に極めて有用である。

 本発明では、金属錯体または単核錯体を 性処理することにより、レドックス触媒と て高反応活性であり、熱安定性にも優れる 変性金属錯体を提供することができる。

 以下、本発明を実施例に基づいて具体的 さらに詳細に説明するが、本発明は実施例 制限されるものではない。

合成例1
 金属錯体(A)を以下の反応式に従って合成し 。

 なお、錯体の原料となる上記配位子はTetrahe dron,55,8377(1999)に記載の方法により合成した。 窒素雰囲気下において、1.388gの配位子と1.245g の酢酸コバルト4水和物を含んだ2-メトキシエ タノール200ml溶液を500mlのナスフラスコに入 、80℃に加熱しながら2時間攪拌し、褐色固 が生成した。この固体を濾取し、さらに2-メ トキシエタノール20mlで洗浄、乾燥すること 金属錯体(A)を得た(収量1.532g:収率74%)。元素 析値(%):C 49 H 50 Co 2 N 4 O 8 として;計算値C,62.56;H,5.36;N,5.96;Co,12.53.実測値: C,62.12;H,5.07;N,6.03;Co,12.74.また、金属錯体(A)と ーボン担体(ケッチェンブラックEC300J(商品名 )、ライオン社製)を1:4の質量比で混合し、該 合物を、エタノール中、室温にて攪拌後、 温にて1.5Torrの減圧下で12時間乾燥すること 、金属錯体混合物(A)を調製した。

合成例2
 金属錯体(B)を以下の反応式に従って合成し 。

 なお、錯体の原料となる上記配位子は、実 例1で合成した配位子を用いた。0.315gの該配 位子と0.124gの酢酸コバルト4水和物を含んだ50 mlのエタノールを100mlのナスフラスコに入れ 80℃にて1時間攪拌した。生成した褐色沈殿 濾取してエタノールで洗浄後、真空乾燥す ことで金属錯体(B)を得た(収量0.270g:収率81%) 元素分析値(%):C 42 H 40 CoN 4 O 4 として;計算値C,69.70;H,5.57; N, 7.74; 実測値:C,7 0.01;H,5.80;N,7.56.また、金属錯体(B)とカーボン 体(ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製) を1:4の質量比で混合し、該混合物を、エタノ ール中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの 圧下で12時間乾燥することで、金属錯体混合 物(B)を調製した。

合成例3
 下記反応式に示される金属錯体(C)をAustralian  Journal of Chemistry,23,2225(1970)に記載の方法に い合成した。

 窒素雰囲気下において1.9gの塩化コバルト6 和物と1.31gの4―メチル-2,6-ジホルミルフェノ ールを含んだ50mlメタノール溶液を100mlのナス フラスコに入れ、室温にて攪拌した。この溶 液に0.59gの1,3-プロパンジアミンを20mlのメタ ールに溶解した溶液を徐々に添加した。上 混合物を3時間還流することにより茶褐色沈 が生成した。この沈殿を濾取し、乾燥する とで金属錯体(C)を得た(収量1.75g:収率74%)。 お、上記反応式において、「Cl 2 」とは、2当量の塩素イオンが対イオンとし あることを示し、「2MeOH」とは、2当量のメ ノールが含まれていることを示す。元素分 値(%):C 26 H 34 Cl 2 Co 2 N 4 O 4 として;計算値C,47.65;H,5.23;N,8.55.実測値:C,46.64;H ,5.02;N,8.58.また、金属錯体(C)とカーボン担体( ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 の質量比で混合し、該混合物を、エタノール 中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧 で12時間乾燥することで、金属錯体混合物(C) を調製した。

合成例4
 金属錯体(D)を以下の反応式に従って合成し 。

 なお、錯体の原料となる上記配位子は、合 例1で合成した配位子を用いた。窒素雰囲気 下において、0.126gの配位子を含んだエタノー ル10ml溶液と0.078gの酢酸鉄を含んだメタノー 5ml溶液を50mlのナスフラスコに入れ、80℃に 熱しながら3時間攪拌したところ、褐色固体 析出した。この、固体を濾取し、さらにメ ノールで洗浄、乾燥することで金属錯体(D) 得た(収量0.075g:収率41%)。なお、上記反応式 おいて、「(OAc) 2 」とは、2当量の酢酸イオンが対イオンとし あることを示し、「MeOH」とは、2当量のメタ ノール分子が含まれていることを示している 。元素分析値(%):C 48 H 50 Fe 2 N 4 O 8 として;計算値:C,62.49;H,5.46;N,6.07、実測値:C,59.9 3;H,5.29;N,5.70.また、金属錯体(D)とカーボン担 (ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を 1:4の質量比で混合し、該混合物を、エタノー ル中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減 下で12時間乾燥することで、金属錯体混合物 (D)を調製した。

合成例5
 金属錯体(E)を以下の反応式に従って合成し 。

 なお、錯体の原料となる上記配位子は、合 例1で合成した配位子を用いた。窒素雰囲気 下において、0.126gの配位子を含んだクロロホ ルム2ml溶液と0.089gの塩化マンガン4水和物を んだエタノール6ml溶液を25mlのナスフラスコ 入れ、80℃に加熱しながら3時間攪拌したと ろ、黄色固体が析出した。この、固体を濾 し、さらにクロロホルムとエタノールで洗 、乾燥することで金属錯体(E)を得た(収量0.0 92g)。なお、上記反応式において、「Cl 2 」とは、2当量の塩化物イオンが対イオンと てあることを示し、「2H 2 O」とは、2当量の水分子が含まれていること 示している。元素分析値(%):C 42 H 40 Mn 2 N 4 O 4 として;計算値:C,59.66;H,4.77;N,6.63、実測値:C,58.2 6;H,4.58;N,6.33.また、金属錯体(E)とカーボン担 (ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を 1:4の重量比で混合し、該混合物を、エタノー ル中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減 下で12時間乾燥することで、金属錯体混合物 (E)を調製した。

合成例6
 金属錯体(F)を以下の反応式に従って、配位 と2-エチルヘキサン酸コバルトを含んだク ロホルム溶液を混合・反応させることによ 合成した。錯体の原料となる下記配位子はTe trahedron.,1999,55,8377に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.077gの配位子と0.23 9gの2-エチルヘキサン酸コバルト(65wt%ミネラ オイル溶液)を含んだクロロホルム5mlを25mlの ナスフラスコに入れ、60℃に加熱しながら9時 間攪拌した。この溶液を、ジエチルエーテル 50mlの三角フラスコに滴下した。析出した固 を濾取し、さらにジエチルエーテルで洗浄 乾燥することで金属錯体(F)を得た(収量0.146g) 。ESI-MS[M+・]:1032.2。
 元素分析値(%):計算値(C 58 H 66 Co 2 N 4 O 6 として);C,67.43;H,6.44;N,5.42.実測値:C,66.97;H,6.21;N, 5.27であった。また、金属錯体(F)とカーボン 体(ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製) を1:4の重量比で混合し、該混合物を、エタノ ール中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの 圧下で12時間乾燥することで、金属錯体混合 物(F)を調製した。

合成例7
 金属錯体(G)を以下の反応式に従って、配位 と酢酸ニッケル4水和物を含んだエタノール 溶液を混合・反応させることにより合成した 。錯体の原料となる下記配位子はTetrahedron.,19 99,55,8377に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.250gの配位子と0.10 0gの酢酸ニッケル4水和物を含んだ30mlのエタ ールを50mlのナスフラスコに入れ、80℃にて2 間攪拌した。生成した橙色沈殿を濾取して タノールで洗浄後、真空乾燥することで金 錯体(G)を得た(収量0.242g)。元素分析値(%):Calc d for C 42 H 36 N 4 NiO 2 ;C,73.38;H,5.28;N,8.15.Found:C,72.42;H,5.27;N,7.96.ESI-MS[M+ ・]:687.1. また、金属錯体(G)とカーボン担体( ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 の重量比で混合し、該混合物を、エタノール 中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧 で12時間乾燥することで、金属錯体混合物(G) を調製した。

合成例8
 金属錯体(H)を以下の反応式に従って、配位 と酢酸銅1水和物を含んだエタノール溶液を 混合・反応させることにより合成した。錯体 の原料となる下記配位子はTetrahedron.,1999,55,837 7に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.315gの配位子と0.10 0gの酢酸銅1水和物を含んだ30mlのエタノール 50mlのナスフラスコに入れ、80℃にて2時間攪 した。生成した黄土色沈殿を濾取してエタ ールで洗浄後、真空乾燥することで金属錯 (H)を得た(収量0.250g)。元素分析値(%):Calcd for  C 42 H 36 CuN 4 O 2 ;C,72.87;H,5.24;N,8.09.Found:C,72.22;H,5.37;N,7.77.ESI-MS[M+ ・]:692.1. また、金属錯体(H)とカーボン担体( ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 の重量比で混合し、該混合物を、エタノール 中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧 で12時間乾燥することで、金属錯体混合物(H) を調製した。

合成例9
 金属錯体(I)を以下の反応式に従って、配位 と酢酸鉄を含んだエタノール溶液を混合・ 応させることにより合成した。錯体の原料 なる下記配位子はTetrahedron.,1999,55,8377に基づ き合成した。

 窒素雰囲気下において、0.440gの配位子と0.12 0gの酢酸鉄を含んだ30mlのエタノールを50mlの スフラスコに入れ、80℃にて2時間攪拌した 生成した橙色沈殿を濾取してエタノールで 浄後、真空乾燥することで金属錯体(I)を得 (収量0.380g)。元素分析値(%):Calcd for C 42 H 36 FeN 4 O 2 ;C,73.68;H,5.30;N,8.18.Found:C,72.20;H,5.42;N,7.85.ESI-MS[M+ ・]:684.0. また、金属錯体(I)とカーボン担体( ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 の重量比で混合し、該混合物を、エタノール 中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧 で12時間乾燥することで、金属錯体混合物(I) を調製した。

合成例10
 金属錯体(J)を以下の反応式に従って、配位 と酢酸ニッケルを含んだエタノール溶液を 合・反応させることにより合成した。錯体 原料となる下記配位子はTetrahedron.,1999,55,8377 に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.200gの配位子と0.25 0gの酢酸ニッケル4水和物を含んだエタノール 30ml溶液を50mLのナスフラスコに100℃に加熱し がら2時間攪拌したところ、橙色固体が析出 した。この固体を濾取し、エタノールとジエ チルエーテルで洗浄、乾燥することで金属錯 体(J)を得た(収量0.276g)。元素分析値(%):C 46 H 42 N 4 Ni 2 O 6 として、計算値:C,63.93;H,4.90;N,6.07.実測値:C,63.2 2;H,5.02;N,6.43.また、金属錯体(J)とカーボン担 (ケッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を 1:4の重量比で混合し、該混合物を、エタノー ル中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減 下で12時間乾燥することで、金属錯体混合物 (J)を調製した。

合成例11
 金属錯体(K)を以下の反応式に従って、配位 を含んだクロロホルム溶液と硝酸コバルト6 水和物を含んだメタノール溶液を混合・反応 させることにより合成した。錯体の原料とな る下記配位子はTetrahedron.,1999,55,8377に基づき 成した。

 窒素雰囲気下において、0.096gの配位子と0.08 2gの硝酸コバルト6水和物を含んだクロロホル ム2mlとメタノール5mlの混合溶液を100mlのナス ラスコに入れ、60℃に加熱しながら7時間攪 し、黄色固体が生成した。この固体を濾取 、さらにメタノールで洗浄、乾燥すること 金属錯体(K)を得た(収量0.036g)。ESI-MS[M-NO 3 + :808.0。また、金属錯体(K)とカーボン担体(ケ チェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4の 量比で混合し、該混合物を、エタノール中 室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下で 12時間乾燥することで、金属錯体混合物(K)を 製した。

合成例12
 金属錯体(L)を以下の反応式に従って、配位 と酢酸コバルト4水和物を含んだエタノール 溶液を混合・反応させることにより合成した 。錯体の原料となる下記配位子はTetrahedron.,19 99,55,8377に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.303gの配位子と0.12 5gの酢酸コバルト4水和物を100mlの二口フラス に入れ、50mlのエタノールを加えた。この溶 液を3時間還流することにより、黄土色固体 生成した。この沈殿を濾取し、乾燥するこ で金属錯体(L)を得た(収量0.242g)。ESI-MS[M+H] +  :664.2。また、金属錯体(L)とカーボン担体(ケ ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 重量比で混合し、該混合物を、エタノール 、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下 12時間乾燥することで、金属錯体混合物(L) 調製した。

合成例13
 金属錯体(M)を以下の反応式に従って、配位 と酢酸コバルト4水和物を含んだエタノール 溶液を混合・反応させることにより合成した 。錯体の原料となる下記配位子はTetrahedron.,19 99,55,8377に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.303gの配位子と0.32 4gの酢酸コバルト4水和物を100mlの二口フラス に入れ、20mlのエタノールと20mlのクロロホ ム混合溶液を加えた。この溶液を3時間還流 ることにより、黄土色固体が生成した。こ 沈殿を濾取し、乾燥することで金属錯体(M) 得た(収量0.133g)。ESI-MS[M-OAc] +  :781.0。また、金属錯体(M)とカーボン担体(ケ ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 重量比で混合し、該混合物を、エタノール 、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下 12時間乾燥することで、金属錯体混合物(M) 調製した。

 金属錯体(P)を以下の反応式に従い、化合物( N)、配位子(O)を経由して合成した。
合成例14[化合物(N)の合成]

 アルゴン雰囲気下で、3.945gの2,9-ジ(3’-ブロ モ-5’-tert-ブチル-2’-メトキシフェニル)-1,10- フェナントロリン、3.165gの1-N-Boc-ピロール-2- ロン酸、0.138gのトリス(ベンジリデンアセト ン)ジパラジウム、0.247gの2-ジシクロヘキシル ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、5 .527gのリン酸カリウムを200mLのジオキサンと20 mLの水の混合溶媒に溶解し、60℃にて6時間攪 した。反応終了後、放冷して蒸留水、クロ ホルムを加えて、有機層を抽出した。得ら た有機層を濃縮して、黒い残渣を得る。こ を、シリカゲルカラムを用いて精製し、化 物(N)を得た。 1 H-NMR(300MHz, CDCl 3 )δ1.34(s, 18H), 1.37(s, 18H), 3.30(s, 6H), 6.21(m, 2 H), 6.27(m, 2H), 7.37(m, 2H), 7.41(s, 2H), 7.82(s, 2 H), 8.00(s, 2H), 8.19(d, J=8.6Hz, 2H), 8.27(d, J=8.6H z, 2H).

合成例15[配位子(O)の合成]

 窒素雰囲気下で0.904gの化合物(N)を10mLの無水 ジクロロメタンに溶解させる。ジクロロメタ ン溶液を-78℃に冷却しながら、8.8mLの三臭化 ウ素(1.0Mジクロロメタン溶液)をゆっくり滴 した。滴下後、10分間そのまま攪拌させた 、室温まで攪拌させながら放置した。3時間 、反応溶液を0℃まで冷却させ、飽和NaHCO 3 水溶液を加えたのち、クロロホルムを加えて 抽出し、有機層を濃縮した。得られた褐色の 残渣を、シリカゲルカラムで精製し、配位子 (O)を得た。 1 H-NMR(300MHz, CDCl 3 )δ1.40(s, 18H), 6.25(m, 2H), 6.44(m, 2H), 6.74(m, 2H ), 7.84(s, 2H), 7.89(s, 2H), 7.92(s, 2H), 8.35(d, J= 8.4Hz, 2H), 8.46(d, J=8.4Hz, 2H), 10.61(s, 2H), 15.88 (s, 2H). 

合成例16[金属錯体(P)の合成]

 窒素雰囲気下において、0.100gの配位子(O) 0.040gの酢酸コバルト4水和物を含んだ20mlのAr で脱気したアセトニトリル溶液を、100mlの二 フラスコに入れ、室温にて攪拌した。この 液にトリエチルアミンを45μl滴下し、3時間 流した。この溶液を濃縮し、冷却した後、 ンブレンフィルターで濾取し、乾燥するこ で金属錯体(P)を得た(収量0.098g)。ESI-MS[M+・] :663.1。また、金属錯体(P)とカーボン担体(ケ チェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4の 重量比で混合し、該混合物を、エタノール中 、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下 12時間乾燥することで、金属錯体混合物(P)を 調製した。

 金属錯体(S)を以下の反応式に従い、化合 (Q)、配位子(R)を経由して合成した。

合成例17[化合物(Q)の合成]

 アルゴン雰囲気下で、0.132gの2,9-ジ(3’-ブ ロモ-5’-tert-ブチル-2’-メトキシフェニル)-1, 10-フェナントロリン、0.061gの3-ピリジルボロ 酸、0.046gのテトラキス(トリフェニルホスフ ィノ)パラジウム、0.111gの炭酸カリウムを5mL ジオキサンと0.5mLの水の混合溶媒に溶解し、 100℃にて9時間攪拌した。反応終了後、放冷 て蒸留水、クロロホルムを加えて、有機層 抽出した。得られた有機層を濃縮して、黒 残渣を得る。これを、シリカゲルカラムを いて精製し化合物(Q)を得た。

合成例18[配位子(R)の合成]

 窒素雰囲気下で0.110gの化合物(Q)を3mLの無水 クロロメタンに溶解させた。ジクロロメタ 溶液をドライアイス/アセトンバスで-78℃に 冷却しながら、1.3mLの三臭化ホウ素(1.0Mジク ロメタン溶液)をゆっくり滴下した。滴下後 10分間そのまま攪拌させた後、ドライアイ /アセトンバスを取り除き、室温まで攪拌さ ながら放置した。4時間後、飽和NaHCO 3 水溶液を加えて中和し、クロロホルムを加え て3回抽出した。得られた有機層を濃縮して 得られた残渣を精製し、配位子(R)を得た。 1 H-NMR(300MHz, CDCl 3 )δ1.47(s, 18H), 7.44(t,J=6.2Hz,2H), 7.55(s, 2H), 7.95( s, 2H), 8.16(s, 2H), 8.40(d, J=8.3Hz, 2H), 8.53(d, J =8.3Hz, 2H), 8.67(d, J=7.5Hz, 2H), 9.47(s, 2H), 9.79( d, J=2.8Hz, 2H), 15.36(s, 2H).

合成例19[金属錯体(S)の合成]

 窒素雰囲気下において、0.096gの配位子(R) 0.037gの酢酸コバルト4水和物を含んだクロロ ホルム10mlとエタノール4mlの混合溶液を100mlの ナスフラスコに入れ、60℃に加熱しながら6時 間攪拌し、褐色固体が生成した。この固体を 濾取し、さらにエタノールで洗浄、乾燥する ことで金属錯体(S)を得た(収量0.040g)。ESI-MS[M+ ]:687.1。また、金属錯体(S)とカーボン担体( ッチェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4 重量比で混合し、該混合物を、エタノール 、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下 で12時間乾燥することで、金属錯体混合物(S) 調製した。

 金属錯体(V)を以下の反応式に従い、化合 (T)、配位子(U)を経由して合成した。

合成例20[化合物(T)の合成]

 アルゴン雰囲気下で、0.662gの2,9-ジ(3'-ブロ -5'-tert-ブチル-2'-メトキシフェニル)-1,10-フェ ナントロリン、0.520gの2-tert-ブチル-5-メトキ フェニルボロン酸、0.090gのトリス(ベンジリ ンアセトン)ジパラジウム、0.160gの2-ジシク ヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビ ェニル、0.920gのリン酸カリウムを30mLのジオ サンと10mLの水の混合溶媒に溶解し、60℃に 31時間攪拌した。反応終了後、放冷して蒸 水、クロロホルムを加えて、有機層を抽出 た。得られた有機層を濃縮して、黒い残渣 得る。これを、シリカゲルカラムを用いて 製し化合物(T)を得た。 1 H-NMR(300MHz, CDCl 3 )δ1.34(s, 18H), 1.39(s, 18H), 3.33(s, 6H), 3.76(s, 6 H), 6.91(s, 2H), 6.94(s, 2H), 7.36(m, 6H), 7.83(s, 2 H), 7.95(d, J=2.6Hz, 2H), 8.16(d, J=8.2Hz, 2H), 8.26( d, J=8.2Hz, 2H).

合成例21[配位子(U)の合成]

 窒素雰囲気下で0.281gの化合物(T)を5mLの酢酸 溶解させる。48%臭化水素酸0.573gを滴下し、1 10℃で攪拌させた。20時間後、反応溶液を0℃ で冷却させ、水を加えたのち、クロロホル を加えて抽出し、有機層を濃縮した。得ら た残渣を、シリカゲルカラムで精製し、配 子(U)を得た。 1 H-NMR(300MHz, CDCl 3 ) δ1.40(s, 18H), 1.44(s, 18H), 6.59(s, 2H), 6.62(s, 2H), 7.35(m, 6H), 7.53(s, 2H), 7.89(s, 2H), 8.01(s, 2H), 8.38(d, J=9.0Hz, 2H), 8.47(d, J=9.0Hz, 2H) , 1 6.12(s, 2H).

合成例22[金属錯体(V)の合成]

 窒素雰囲気下において、0.077gの配位子(U) 0.050gの酢酸コバルト4水和物を含んだクロロ ホルム10mlとエタノール2mlの混合溶液を25mlの スフラスコに入れ、70℃に加熱しながら9時 攪拌した。この溶液を、ジエチルエーテル5 0mlの三角フラスコに滴下した。析出した固体 を濾取し、さらにジエチルエーテルで洗浄、 乾燥することで金属錯体(V)を得た(収量0.018g) ESI-MS[M+・]:829.3。また、金属錯体(V)とカーボ ン担体(ケッチェンブラックEC300J、ライオン 製)を1:4の重量比で混合し、該混合物を、エ ノール中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torr の減圧下で12時間乾燥することで、金属錯体 合物(V)を調製した。

参考例1
 熱質量/示差熱分析装置(セイコーインスツ EXSTAR-6300、以下熱分析装置と呼ぶ)を用いて 金属錯体(A)、金属錯体(B)、金属錯体(D)、お び金属錯体(E)の熱処理時における重量変化(T GA)を測定した。測定条件は窒素雰囲気下(昇 速度10℃/min)であり、熱処理にはアルミナ皿 使用した。分析結果(分析チャート)を、図1~ 図4に示す。

実施例1~21
 上記、熱質量分析結果から得られた知見を に、熱処理時の質量減少率が1質量%以上と るように熱処理を行った。すなわち、金属 体あるいは金属錯体混合物を管状炉を用い 、窒素雰囲気下において目的温度で2時間熱 理を行った。
熱処理に用いた管状炉および熱処理条件を以 下に示す。
    管状炉:プログラム制御開閉式管状炉EPK RO-14R、いすゞ製作所
    熱処理雰囲気:窒素ガスフロー(200ml/min)
    昇温速度および降温速度:200℃/h
 表1に使用した金属錯体あるいは金属錯体混 合物、熱処理により得られた変性金属錯体名 、熱処理温度を示し、処理後の質量減少率を 示す。また、熱処理後の炭素含有量(元素分 値)を併記する。

参考例2[変性金属錯体の金属保持能力の評価 験]
 変性金属錯体(A-2)、変性金属錯体(B-1)、変性 金属錯体(B-2)及び変性金属錯体(E-1)をそれぞ 0.1mol/Lの塩酸水溶液に浸漬し、室温にて15分 超音波処理を行った。試料に含まれる金属 を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)法 より定量し、金属保持率を下記算出式を用 て算出した。
金属保持率(%)=100-(溶液側へ溶出した金属量)/( 変性物に含まれていた金属量)×100

 比較例1
 また、比較参考例として、合成例3で調製し た金属錯体混合物(C)を実施例1~21に記載の方 に従い、500℃にて熱処理を行うことで金属 体組成物(C)を得た。
 得られた金属錯体組成物(C)の金属保持率を 記方法に従い算出した。含窒素芳香族複素 を有していない金属錯体組成物(C)は、変性 属錯体(A-2)、変性金属錯体(B-1)、変性金属錯 体(B-2)及び変性金属錯体(E-1)と比較して、金 保持能力に劣るものであった。

実施例22~26[変性金属錯体のレーザーラマンス ペクトルの測定]
 図5に、変性金属錯体(A-1)のレーザーラマン ペクトルを示す。測定は、下記の条件で行 た。
  使用装置    :顕微レーザーラマン分光 置NSR1000(日本分光)
  励起波長    :532nm
  対物レンズ   :50倍
  測定範囲    :200~3900cm -1
 図5から、変性金属錯体(A-1)は、1580cm -1 に極大ピークを有していることが分かる。こ のことから、変性処理により得られた変性金 属錯体においてグラフェン状炭素が生成して いることが示される。
 同様にして、変性金属錯体(B-1)、変性金属 体(E-1)、変性金属錯体(G-1)、及び変性金属錯 (L)についてラマン分光測定をおこない、レ ザーラマンスペクトルをそれぞれ図6、図7 図8及び図9に示す。いずれのチャートも、そ れぞれ、1588cm -1 、1587cm -1 、1579cm -1 、1592cm -1 に極大ピークを有し、グラフェン状炭素が生 成していることが示される。

実施例27及び28[広域X線吸収微細構造の測定]
 前述の変性金属錯体(A-2)および変性金属錯 (B-2)及び変性金属錯体(P-2)を塩酸溶液中にて 音波処理し、真空乾燥することでカーボン 合物(A-2)およびカーボン化合物(B-2)及びカー ボン化合物(P-2)を得た。これらの広域X線吸収 微細構造(Extended X-ray Absorption Fine Structure,EX AFS)の測定を行った。EXAFSの測定には、高エネ ルギー加速器研究機構放射光研究施設のビー ムライン(BL-9A,12C)を用いた。直径10mmのペレッ ト化した試料を20Kの温度に冷却し、透過法に て測定を行った。測定によって得られたX線 収スペクトルをフーリエ変換することで動 分布関数を求めた。図10および図11に、カー ン化合物(A-2)およびカーボン化合物(B-2)の動 径分布関数を示す。カーボン化合物(A-2)およ カーボン化合物(B-2)は、第一近接原子[ここ いう第一近接原子とは、EXAFS分析において 定対象となる中心金属に最も接近している 子(群)のことであり、例えば、中心金属から 1.0Å以上2.5Å以下の範囲に位置する酸素原子 や窒素原子などのヘテロ原子がこれに相当す る。]由来のピークからそれぞれ0.50Åおよび0 .53Åにピークを有することが分かる。なお、 同ビームラインにてコバルト金属箔のEXAFSを 温にて測定し、得られた動径分布関数にお て、コバルト金属に由来するピークは2.19Å に観測された。ここでいうピークとは、最大 強度値の1/2以上のものを指す。カーボン化合 物(P-2)について、同様の測定を行い、得られ 動径分布関数において、第一近接原子由来 ピークが1.35Åに観測され、そのピークから 0.49Åにピークを有することが分かった。

比較例2[広域X線吸収微細構造の測定]
 また、比較例として5,10,15,20-テトラフェニ -21H,23H-ポルフィン コバルト(II)(Aldrich社製) カーボン担体(ケッチェンブラックEC300J、ラ オン社製)を1:4の重量比で混合し、該混合物 を、エタノール中、室温にて攪拌後、室温に て1.5Torrの減圧下で12時間乾燥することで、金 属錯体混合物(W)を調製した。この金属錯体混 合物を前述と同様の方法で600℃で熱処理をお こない、変性金属錯体(W)を調製した。(質量 少率1.67%,炭素含有率92.95%)
 変性金属錯体(W)を塩酸溶液中にて超音波処 し、真空乾燥することでカーボン化合物(W) 得た。前述と同様の方法で、広域X線吸収微 細構造(Extended X-ray Absorption Fine Structure,EXAFS )の測定を行い、動径分布関数を求めた。そ 結果、コバルトとの第一近接原子由来のピ クは1.44Åに観測されたが、他にはピークが 測されなかった。

参考例3[変性金属錯体(E-1)の過酸化水素分解 験]
 変性金属錯体(E-1)3.6mg(約8μmol(1金属原子当り ))を2口フラスコに量り取り、ここに溶媒とし て酒石酸/酒石酸ナトリウム緩衝溶液(1.00ml(0.2 0mol/l酒石酸水溶液と0.10mol/l酒石酸ナトリウム 水溶液から調製、pH4.0))とエチレングリコー (1.00ml)を加え攪拌した。これを触媒混合溶液 として用いた。

 この触媒混合溶液の入った2口フラスコの一 方の口にセプタムを取り付け、もう一方の口 をガスビュレットへ連結した。このフラスコ を80℃下5分間攪拌した後、過酸化水素水溶液 (11.4mol/l、0.20ml(2.28mmol))をシリンジで加え、80 下20分間、過酸化水素分解反応を行った。 生する酸素をガスビュレットにより測定し 分解した過酸化水素を定量した。
 分解された過酸化水素量は、該過酸化水素 解試験で発生する酸素を含む気体体積から めた。下式により、実測の発生気体体積値v は水蒸気圧を考慮した0℃,101325Pa(760mmHg)下の 体体積Vに換算した。
 結果を図12に示す。本発明の変性金属錯体(E -1)は、後述のブランク試験と比較して、発生 気体体積量が高く、過酸化水素分解に係る触 媒効果を確認した。

(式中、P:大気圧(mmHg)、p:水の蒸気圧(mmHg)、t :温度(℃)、v:実測の発生気体体積(ml)、V:0℃、 101325Pa(760mmHg)下の気体体積(ml)を示す。)

 [ブランク試験]
 2口フラスコに溶媒として酒石酸水溶液/酒 酸ナトリウム緩衝溶液1.00ml(0.20mol/l酒石酸水 液と0.10mol/l酒石酸ナトリウム水溶液から調 、pH4.0)とエチレングリコール1.00mlを加えた この2口フラスコの一方の口にセプタムを取 り付け、もう一方の口をガスビュレットへ連 結した。このフラスコを80℃下5分間攪拌した 後、過酸化水素水溶液(11.4mol/l、0.200ml(2.28mmol) )を加え、80℃下20分間、発生する気体をガス ュレットにより定量した。
 本ブランク試験は、溶液中に溶存している 気等が主に検出されるものと考えられる。

比較例3[金属錯体(E)の過酸化水素分解試験]
 参考例3の変性金属錯体(E-1)を金属錯体(E)に 更した以外は、参考例3と同等の試験を行っ た。結果を図12に、参考例3と併せて示す。
 これらの結果より、変性処理により得られ 変性金属錯体は、錯体より酸性条件下で高 酸素還元能を示すことが分かった。

合成例31[金属錯体(3A)の合成]
 金属錯体(3A)を以下の反応式に従って配位子 と酢酸コバルト4水和物を含んだエタノール 混合、反応させることにより合成した。錯 の原料となる下記配位子はTetrahedron.,1999,55,83 77に基づき合成した。

 窒素雰囲気下において、0.300gの該配位子と0 .149gの酢酸コバルト4水和物を含んだ4mlのエタ ノールを25mlのナスフラスコに入れ、80℃にて 1時間攪拌した。生成した褐色沈殿を濾取し エタノールで洗浄後、乾燥することで金属 体(3A)を得た(収量0.197g)。元素分析値(%):C 32 H 34 CoN 2 O 4 として、計算値;C,67.48;H,6.02;N,4.92;実測値:C,68.2 9;H,5.83;N,4.35.ESI-MS[M+・]:533.1。また、金属錯体( 3A)とカーボン担体(ケッチェンブラックEC300J ライオン社製)を1:4の重量比で混合し、該混 物を、エタノール中、室温にて攪拌後、室 にて1.5Torrの減圧下で12時間乾燥することで 金属錯体混合物(3B)を調製した。

 金属錯体(3E)を以下の反応式に従い、化合物 (3C)、配位子(3D)を経由して合成した。
合成例32[化合物(3C)の合成]

 アルゴン雰囲気下で、0.662gの2,9-ジ(3’-ブロ モ-5’-tert-ブチル-2’-メトキシフェニル)-1,10- フェナントロリン、0.320gの2-チエニルボロン 、0.090gのトリス(ベンジリデンアセトン)ジ ラジウム、0.160gの2-ジシクロヘキシルホスフ ィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、0.920gの ン酸カリウムを30mLのジオキサンと5mLの水の 混合溶媒に溶解し、80℃にて12時間攪拌した 反応終了後、放冷して蒸留水、クロロホル を加えて、有機層を抽出した。得られた有 層を濃縮して、黒い残渣を得た。これを、 リカゲルカラムを用いて精製したのち、再 晶により化合物(3C)を得た。 1 H-NMR(300MHz,
CDCl 3 )δ1.42(s, 18H), 3.48(s, 6H), 7.12(dd, 2H), 7.38(d, J =5.0 Hz,
2H), 7.52(d, J=2.9 Hz, 2H), 7.73(s, 2H), 7.87(s, 2H) , 7.98(s, 2H), 8.28(d, J=8.6Hz,
2H), 8.30(d, J=8.6Hz, 2H).

合成例33[配位子(3D)の合成]
 窒素雰囲気下で0.134gの化合物(3C)を5mLの酢酸 に溶解させた。48%臭化水素酸0.337gを滴下し、 120℃で攪拌させた。20時間後、反応溶液を0℃ まで冷却させ、水を加えたのち、クロロホル ムを加えて抽出し、有機層を濃縮した。得ら れた残渣を、シリカゲルカラムで精製し、配 位子(3D)を得た。 1 H-NMR(300MHz,
CDCl 3 )δ1.40(s, 18H), 6.25(m, 2H), 6.44(m, 2H), 6.74(m, 2H ), 7.84(s,
2H), 7.89(s, 2H), 7.92(s, 2H), 8.35(d, J=8.4Hz, 2H), 8.46(d, J=8.4Hz, 2H), 10.61(s,
2H), 15.88(s, 2H).

合成例34[金属錯体(3E)の合成]
 窒素雰囲気下において、0.062gの配位子(3D)と 0.025gの酢酸コバルト4水和物を含んだクロロ ルム2mlとエタノール6mlの混合溶液を25mlのナ フラスコに入れ、60℃に加熱しながら2時間 拌し、褐色固体が生成した。この固体を濾 し、さらにエタノールで洗浄、乾燥するこ で金属錯体(3E)を得た(収量0.034g)。ESI-MS[M+・] :697.0。また、金属錯体(3E)とカーボン担体(ケ チェンブラックEC300J、ライオン社製)を1:4の 重量比で混合し、該混合物を、エタノール中 、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下 12時間乾燥することで、金属錯体混合物(3F) 調製した。

 金属錯体(3I)を以下の反応式に従い、化合物 (3G)、配位子(3H)を経由して合成した。
合成例35[化合物(3G)の合成]

 アルゴン雰囲気下で、0.528gの2,9-ジ(3’-ブロ モ-5’-tert-ブチル-2’-メトキシフェニル)-1,10- フェナントロリン、0.356gの4-tert-ブチルフェ ルボロン酸、0.184gのテトラキス(トリフェニ ホスフィノ)パラジウム、1.042gの炭酸セシウ ムを20mLのジオキサンに混合し、100℃にて13時 間攪拌した。反応終了後、放冷して蒸留水、 クロロホルムを加えて、有機層を抽出した。 得られた有機層を濃縮して、シリカゲルカラ ムを用いて精製して化合物(3G)を得た。 1 H-NMR(300MHz,
CDCl 3 )δ1.39(s,18H),1.40(s,18H),3.31(s,6H),7.44(s,2H),7.46(d,J=7. 0Hz,4H),7.55(d,J=7.0Hz,4H),7.86(s,2H),7.99(s,2H),8.23(d,J=8. 0Hz,2H),8.29(d,J=8.4Hz,2H).

合成例36[配位子(3H)の合成]

 窒素雰囲気下で0.242gの化合物(3G)を10mLの無 ジクロロメタンに溶解させた。ジクロロメ ン溶液をドライアイス/アセトンバスで-78℃ 冷却しながら、2.4mLの三臭化ホウ素(1.0Mジク ロロメタン溶液)をゆっくり滴下した。滴下 、10分間そのまま攪拌させた後、ドライアイ ス/アセトンバスを取り除き、室温まで攪拌 せながら放置した。2時間後、飽和NaHCO 3 水溶液を加えて中和し、クロロホルムを加え て3回抽出した。得られた有機層を濃縮して 得られた残渣をシリカゲルで精製し、配位 (3H)を得た。 1 H-NMR(300MHz,
CDCl 3 )δ1.34(s, 18H), 1.43(s, 18H), 7.39(d,J=7.3Hz,4H), 7.55 (s, 2H),
7.72(d, J=7.3Hz, 4H), 7.92(s, 2H), 8.27(d, J=8.4Hz, 2 H), 8.38(d, J=8.4Hz, 2H),
14.81(s, 2H).

合成例37[金属錯体(3I)の合成]

 窒素雰囲気下において、0.085gの配位子(3H) と0.031gの酢酸コバルト4水和物を含んだクロ ホルム10mlとメタノール4mlの混合溶液を100ml ナスフラスコに入れ、70℃に加熱しながら9 間攪拌した。溶液を濃縮し、析出した固体 クロロホルム5mlに溶解させた。この溶液を ジエチルエーテル50mlの三角フラスコに滴下 た。析出した固体を濾取し、さらにジエチ エーテルで洗浄、乾燥することで金属錯体( 3I)を得た(収量0.018g)。ESI-MS[M+・]:799.3また、金 属錯体(3I)とカーボン担体(ケッチェンブラッ EC300J、ライオン社製)を1:4の重量比で混合し 、該混合物を、エタノール中、室温にて攪拌 後、室温にて1.5Torrの減圧下で12時間乾燥する ことで、金属錯体混合物(3J)を調製した。

合成例38[金属錯体(3K)の合成]
 錯体の原料となるシッフ塩基配位子及び金 錯体(3K)をA Chemistry,European Journal,1999,5,1460記 載の方法に従い合成した。

 窒素雰囲気下において0.303gのo-フェニレン アミンと1.00gの4-tert-ブチル-2-ホルミルフェ ールを含んだ10mlエタノール溶液を50mlのナス フラスコに入れ、80℃にて3時間攪拌した。析 出した橙色沈殿を濾過し、洗浄及び乾燥をお こない、シッフ塩基配位子を得た。(収量0.838 g:収率70%)。 1 H-NMR;δ:12.83(s,2H),8.64(s,2H),7.41(d,8.7Hz,2H),7.36-7.32(m ,4H),7.25-7.21(m,4H),6.99(d:8.7Hz,2H),1.32(s,18H)。
 続いて、金属錯体(3K)を前記シッフ塩基配位 子を含んだクロロホルムと酢酸コバルト4水 物を含んだエタノールを混合、反応させる とにより合成した。

 0.214gの前記シッフ塩基配位子を含んだ3mlの ロロホルム溶液の入った25mlナスフラスコへ 0.125gの酢酸コバルト4水和物を含んだ7mlのエ ノールを攪拌しながら加え、室温下で6時間 拌した。析出した褐色沈殿を濾過してエタ ールで洗浄した後、真空乾燥させて金属錯 (3K)を得た。(収量0.138g)。元素分析値(%):C 28 H 34 CoN 2 O 4 として、計算値;C,64.49;H,6.57;N,5.37.実測値:C,64.9 2;H,6.13;N,5.06.ESI-MS[M+・]:485.1。また、金属錯体( 3K)とカーボン担体(ケッチェンブラックEC300J ライオン社製)を1:4の重量比で混合し、該混 物を、エタノール中、室温にて攪拌後、室 にて1.5Torrの減圧下で12時間乾燥することで 金属錯体混合物(3L)を調製した。

実施例31、32、33及び34
 上記で調製した金属錯体混合物(3B)、につい て、熱質量分析結果を元に、熱処理時の質量 減少率が1質量%以上となるように熱処理を行 た。すなわち、単核錯体混合物(3B)を管状炉 を用いて、窒素雰囲気下において目的温度で 2時間熱処理を行った。
 熱処理に用いた管状炉および熱処理条件を 下に示す。
    管状炉:プログラム制御開閉式管状炉EPK RO-14R、いすゞ製作所
    熱処理雰囲気:窒素ガスフロー(200ml/min)
    昇温速度および降温速度:200℃/h
 表3に使用した金属錯体混合物、熱処理温度 を示し、処理後に得られた変性金属錯体の質 量減少率を示す。また、熱処理後の炭素含有 量(元素分析値)を併記する。

 ここで、上記の金属錯体混合物(3B)、(3F) び(3J)の熱処理により得られた変性金属錯体 、それぞれ変性金属錯体(3B-1)、変性金属錯 (3B-2)、変性金属錯体(3F-1)及び変性金属錯体( 3J-1)とする。

参考例31
 実施例31で得られた変性金属錯体(3B-1)を0.1mo l/Lの塩酸水溶液に浸漬し、室温にて15分間超 波処理を行った。試料に含まれる金属量をI CP発光分析法により定量し、金属維持率を下 の算出式を用いて算出した。
   金属維持率(%)=(酸処理後の金属量)/(酸処 前の金属量)
 表4に、変性金属錯体(3B-1)の金属維持率を示 す。

 また、比較参考例として、合成例38で調 した金属錯体混合物(3L)を実施例31に記載の 法に従い、450℃にて熱処理を行うことで金 錯体組成物(3L-1)を得た。得られた金属錯体 成物(3L-1)の金属維持率を上記方法に従い算 した。結果を表4に示す。含窒素芳香族複素 構造を有していない金属錯体組成物(3L-1)は 変性金属錯体(3B-1)と比較して、金属維持能 の劣るものであった。

実施例35、36及び37
[電極の作成]
 電極には、ディスク部がグラッシーカーボ (4.0mmφ)、リング部がPt(リング内径5.0mm、リ グ外径7.0mm)とするリングディスク電極を用 た。
 変性金属錯体(3B-2)2mgを入れたサンプル瓶へ 水0.6mL、エタノール0.4mL、ナフィオン溶液(Al drich、5wt%溶液)20μLを加えた後、超音波で分散 処理を行った。得られた懸濁液4.4μLを上記電 極のディスク部に滴下した後、室温にて12時 乾燥することにより、測定用電極を得た。
[回転リングディスク電極による酸素還元能 評価]
 前記で作成した電極を回転させることによ 、その時の酸素還元反応の電流置を評価し 。測定は室温において窒素雰囲気下および 素雰囲気下で行い、酸素雰囲気下での測定 得られた電流値から、窒素雰囲気下での測 で得られた電流値を引いた値を酸素還元の 流値とした。測定装置および測定条件は、 下の通りである。
測定装置
  ビー・エー・エス株式会社製
  RRDE-2回転リングディスク電極装置
  ALSモデル701Cデュアル電気化学アナライザ
測定条件
  セル溶液:0.05mol/L硫酸水溶液(酸素飽和)
  溶液温度:25℃
  参照電極:銀/塩化銀電極(飽和KCl)
  カウンター電極:白金ワイヤー
  掃引速度:5mV/s
  電極回転速度:600rpm

 変性金属錯体(3B-2)、変性金属錯体(3F-1)及 変性金属錯体(3J-1)の酸素還元の触媒活性を 5に示す。なお、触媒活性は、可逆水素電極 に対して0.6Vにおける電流値を電極面積で割 た電流密度の値で示している。

比較例31
 前記で作成した金属錯体組成物(3L-1)につい 、実施例35に記載の方法に従い評価をおこ った。その結果を表5に示す。

 本発明の変性金属錯体は、安定性(例えば 、耐酸性、熱安定性)に優れた変性金属錯体 ある。従って、本発明の変性金属錯体から る触媒は有機化合物、高分子化合物の合成 途や、添加剤、改質剤、電池、センサーの 料用途に好適に用いることができる。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。

 本願は、2007年3月9日に日本国で特許出願 れた特願2007-061009、2007年3月28日に日本国で 許出願された特願2007-084345、及び2007年8月7 に日本国で特許出願された特願2007-205956に基 づく優先権を主張するものであり、これらは いずれもここに参照してその内容を本明細書 の記載の一部として取り込む。




 
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