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Patent Searching and Data


Title:
WHITENING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111562
Kind Code:
A1
Abstract:
A whitening agent containing, as the active ingredient, a whey protein hydrolyzate, which has the characteristics of showing the main peak at 200 Da to 3 kDa in the molecular weight distribution of 10 kDa or less, having an APL (average peptide chain length) of 2 to 8, having a free amino acid content of 20% or less and having an antigenicity 1/10,000 times or less as high as the antigenicity of β-lactoglobulin, exerting an excellent whitening effect on the skin and being efficacious in preventing and treating spots, freckles and so on; and whitening products such as a cosmetic, a food, a drink, a feed and a drug each containing the whitening agent as described above.

Inventors:
WATANABE TATSUYA (JP)
KATO KEN (JP)
UENO HIROSHI (JP)
HARUTA YUKO (JP)
UEDA NORIKO (JP)
YOSHIOKA TOSHIMITSU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054313
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SNOW BRAND MILK PRODUCTS CO LTD (JP)
WATANABE TATSUYA (JP)
KATO KEN (JP)
UENO HIROSHI (JP)
HARUTA YUKO (JP)
UEDA NORIKO (JP)
YOSHIOKA TOSHIMITSU (JP)
International Classes:
A61K8/64; A23C21/00; A23K10/28; A23L1/305; A23L2/52; A61K35/20; A61K38/00; A61P17/00; A61Q19/02
Foreign References:
JPH0469315A1992-03-04
JPH04187619A1992-07-06
JPH07252126A1995-10-03
JPH0930928A1997-02-04
JPH10218755A1998-08-18
JPH0898656A1996-04-16
JPH05209000A1993-08-20
JPH04112753A1992-04-14
JPH02138991A1990-05-28
JPH0469315A1992-03-04
JPH02138991A1990-05-28
JPH04112753A1992-04-14
Other References:
GUADIX A. ET AL.: "Production of whey protein hydrolysates with reduced allergenicity in stable membrane reactor", JOURNAL OF FOOD ENGINEERING, vol. 72, no. 4, 2006, pages 398 - 405, XP005080364
JOURNAL OF JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY, vol. 1, 1987, pages 36
JOURNAL OF JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY, vol. 1, no. 36, 1987
Attorney, Agent or Firm:
KODAMA, Yoshihiro (17-2Sotokanda 2-chome , Chiyoda-ku, Tokyo 21, JP)
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Claims:
 以下の特徴を有するホエータンパク加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
 (A)分子量分布は10kDa以下でメインピーク200Da~3kDa
 (B)APL(平均ペプチド鎖長)は2~8
 (C)遊離アミノ酸含量20%以下
 (D)抗原性は、β-ラクトグロブリンの抗原性の1/10,000以下 
 有効成分として含有するホエータンパク加水分解物が、ホエータンパクをpH6~10、50~70℃において耐熱性のタンパク加水分解酵素を用いて熱変性させながら酵素分解し、これを加熱して酵素を失活させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の美白剤。
 有効成分として含有するホエータンパク加水分解物が、ホエータンパクをpH6~10、20~55℃においてタンパク加水分解酵素を用いて酵素分解し、これを50~70℃に昇温させ、pH6~10、50~70℃において耐熱性のタンパク加水分解酵素を用いて未分解のホエータンパクを熱変性させながら酵素分解し、これを加熱して酵素を失活させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の美白剤。
 請求項1乃至3のいずれかに記載の美白剤を含むことを特徴とする美白用化粧品、美白用飲食品、美白用栄養組成物、美白用飼料又は美白用医薬品。
Description:
美白剤

 本発明は、皮膚の美白効果に優れ、シミ、 バカス等の予防及び治療に有効で、且つ苦 が少なく、安定性及び安全性に優れた美白 に関する。
 本発明は、さらに該美白剤を含有する美白 化粧品、美白用飲食品、美白用栄養組成物 美白用飼料又は美白用医薬品に関する。

 皮膚の色は、主にメラニン、ヘモグロビ 、カロチノイド等の着色成分の表皮及び真 内における種類、量によって決まっている また、これらは、一定でなく様々な外的・ 的因子によって制御されている。メラニン 素は、皮膚において主にメラノサイトによ て合成され、紫外線刺激、ホルモン分泌や 囲の角化細胞から放出される刺激因子によ て活性化される。メラニン色素の主な役割 、紫外線による皮膚障害を緩和することに る。しかし、過剰にメラニン合成が亢進、 らにその代謝異常によって局所的な色素沈 、いわゆるシミ及びソバカス等が引き起こ れ、美容上の大きな問題になる。

 皮膚への色素沈着を改善する作用機序とし 、メラノサイト内でのメラニン生成抑制、 成メラニンの還元、表皮内メラニンの排出 進、メラノサイトに対する選択毒性が考え れる。その中で美白作用物質として還元作 を有するL-アスコルビン酸及びその誘導体 広く用いられているが、十分な美白効果は られていない。
 また、メラニン合成酵素であるチロシナー の阻害物質であるハイドロキノン、アルブ ン、コウジ酸、甘草エキス又はプラセンタ キス等が美白剤として用いられているが、 れらの物質には安定性や安全性等で問題が り、新たな美白剤の開発が望まれている。

 さらに、乳タンパクの加水分解物がチロ ナーゼ活性阻害作用を持つことは特許文献1 にて報告されているが、当該特許では、分解 物の水溶液が白濁しているため、実際に製品 に使用する際に制限があり、透明性を求める 製品には使用できない欠点があった。また、 ペプチド特有の苦味があるため、特に、経口 的に摂取する食品や飼料、医薬品等を製造す る際には、風味上の制限があった。

 一方、乳タンパクの加水分解物は、牛乳、 製品における食物アレルギーを防止するた に様々な製品に用いられている。特に、牛 のホエータンパクは母乳のタンパクと異な 、アレルゲンになると考えられており、こ を防止するためにホエータンパクを酵素で 水分解することが知られ、特許文献2や特許 文献3等の製造方法が報告されている。
 これらの方法、例えばホエータンパク加水 解物を製造する際、酵素処理後に酵素を加 失活し、さらに酵素処理を行う方法による 、1)加熱失活後に生成するホエータンパク 沈殿物、凝集物に対して酵素処理が難しく 抗原性の低下及び歩留まり向上につながら い、2)予め酵素処理する前にホエータンパク を加熱処理(90℃で10分以上)すると歩留まりは 低下する等、多くの問題点があった。

 上記問題点を解決するため、発明者等は 既にホエータンパクを特定の条件で、耐熱 のタンパク加水分解酵素を加えて、熱変性 させながら酵素分解して得ることのできる エータンパク加水分解物の製造方法を開発 、既に特許として成立している(特許文献4) しかしながら、この製造方法で得られたホ ータンパク加水分解物自体は、低アレルゲ 性効果を発揮することは確認していたが、 白剤としての機能については考えも及ばな った。また、限外濾過(UF)膜や精密濾過(MF) 処理により、さらに美白作用が向上するこ を見出した。

特開平4-69315号公報

特開平2-2319号公報

特開平2-138991号公報

特開平4-112753号公報

 そこで、本発明では、安全性に優れ、水溶 が高い透明性を示し、苦味が少く風味上の 限がないため、製品に使用する際の制限が く、皮膚に対して美白作用を有するホエー ンパク加水分解物からなる美白剤を提供す ことを課題とする。
 さらに、美白機能を有し、安全性に優れた 白用化粧品、安全性に優れ、風味上に問題 ない経口的に摂取する美白用飲食品、美白 栄養組成物、美白用飼料又は美白用医薬品 提供することを課題とする。

 上記課題を解決するため、発明者等は、 述するようにホエータンパクを特定の条件 、耐熱性のタンパク加水分解酵素を加えて 熱変性をさせながら酵素分解して得ること できるホエータンパク加水分解物の物性に いて、鋭意検討したところ、本発明の特許 求の範囲に記載するような、分子量分布は1 0kDa以下でメインピーク200Da~3kDa、APL(平均ペプ チド鎖長)は2~8、すべての構成成分に対する 離アミノ酸含量20%以下、抗原性は、β-ラク グロブリンの抗原性の1/10,000以下のホエータ ンパク加水分解物が上記課題を満たす美白効 果を有することを見出した。

 したがって、本発明は、下記の構成からな 発明である。
(1)以下の特徴を有するホエータンパク加水分 解物を有効成分として含有することを特徴と する美白剤。
 (A)分子量分布は10kDa以下でメインピーク200Da ~3kDa
 (B)APL(平均ペプチド鎖長)は2~8
 (C)遊離アミノ酸含量20%以下
 (D)抗原性は、β-ラクトグロブリンの抗原性 1/10,000以下
(2)有効成分として含有するホエータンパク加 水分解物が、ホエータンパクをpH6~10、50~70℃ おいて耐熱性のタンパク加水分解酵素を用 て熱変性させながら酵素分解し、これを加 して酵素を失活させて得られるものである とを特徴とする(1)に記載の美白剤。
(3)有効成分として含有するホエータンパク加 水分解物が、ホエータンパクをpH6~10、20~55℃ おいてタンパク加水分解酵素を用いて酵素 解し、これを50~70℃に昇温させ、pH6~10、50~70 ℃において耐熱性のタンパク加水分解酵素を 用いて未分解のホエータンパクを熱変性させ ながら酵素分解し、これを加熱して酵素を失 活させて得られるものであることを特徴とす る(1)に記載の美白剤。
(4)(1)~(3)のいずれかに記載の美白剤を含むこ を特徴とする美白用化粧品、美白用飲食品 美白用栄養組成物、美白用飼料又は美白用 薬品。

 本発明の美白剤は、チロシナーゼ活性阻害 用、メラニン生成阻害効果及び色素沈着予 ・改善効果が顕著であり、該美白剤は、皮 の美白効果に優れ、シミ、ソバカス等の予 及び治療に有用である。
 この美白剤の有効成分として用いられるホ ータンパク加水分解物は、後述するように 抗原性がβ-ラクトグロブリンに比べて1/10,00 0以下、ホエータンパクに比べて1/10,000以下に なることが確認されているため、極めて安全 である。
 また、その水溶液は、透明で、苦味度も2程 度であることから、美白剤として使用する際 に制限がなく、特に、透明性を求める美白剤 への高配合が可能である。
 さらに、上記美白剤を有効成分として含有 る美白機能を有し、安全性に優れた美白用 粧品、安全性に優れ、風味上に問題のない 口的に摂取する美白用飲食品、美白用栄養 成物、美白用飼料や美白用医薬品を提供で る。
 さらにまた、本発明の美白剤は、ホエータ パクを原料としているため、簡便且つ経済 に容易に製造することができる。

 本発明の美白剤に含有される、ホエータン ク加水分解物は、ホエータンパクをpH6~10、5 0~70℃とし、これに耐熱性のタンパク加水分 酵素を加えて熱変性させながら酵素分解し これを加熱して酵素を失活させることによ なる美白作用を有するホエータンパク加水 解物であり、さらにまた、上記酵素分解を う前に、ホエータンパクをpH6~10、20~55℃にお いてタンパク加水分解酵素を用いて酵素分解 し、これを冷却することなく直ちに上記条件 で酵素分解すると収率を一層高めることがで きる。
 なお、上記のように調製したホエータンパ 加水分解物を、さらに分画分子量1kDa~20kDa、 好ましくは、2~10kDaの限外濾過(UF)膜及び/又は 分画分子量100Da~500Da、好ましくは150Da~300Daの 密濾過(MF)膜から選ばれる方法で濃縮するこ により、一層美白効果を高めることができ 。また、さらに苦味を軽減し、透明性を向 させることもできる。

 本発明におけるホエータンパクは、牛乳 水牛、山羊、ヒト等の哺乳動物のホエー、 の凝集物、粉末、あるいは精製タンパクを い、これを酵素反応させる時は水溶液の状 で使用する。

 この溶液をpH6~10に調整するが、通常ホエ タンパクはこの範囲のpHになっているので 別pHの調整を行う必要はないが、必要な場合 は、塩酸、クエン酸及び乳酸等の酸溶液ある いは苛性ソーダ、水酸化カルシウム及び燐酸 ソーダ等のアルカリ溶液を用いてpH6~10とする 。加熱は50~70℃で行うが、耐熱性のタンパク 水分解酵素は、この温度にして添加するよ もむしろ加熱前から加え酵素分解を行って た方が収率の面から好ましい。

 一般的なProtease(プロテアーゼ)の至適温度は 40℃以下であるが、耐熱性のタンパク加水分 酵素は45℃以上であり、耐熱性のタンパク 水分解酵素としては、従来このような至適 度を有する耐熱性のタンパク加水分解酵素 して知られているものであれば特に制限な 使用できる。このような耐熱性のタンパク 水分解酵素としてパパイン、プロテアーゼS( 商品名)、プロレザー(商品名)、サモアーゼ( 品名)、アルカラーゼ(商品名)、プロチンA(商 品名)等を例示することができる。耐熱性の ンパク加水分解酵素は、80℃で30分加熱して 存活性が約10%あるいはそれ以上になるもの 望ましい。また、単独よりも複数の酵素を 用することにより効果的である。反応は30 ~10時間程度行うことが好ましい。
 最後に、反応液を加熱して酵素を失活させ 。酵素の失活は反応液を100℃以上で10秒間 上加熱することにより行うことができる。

 そして反応液を遠心分離して上清を回収し 上清を乾燥して粉末製品とする。なお、遠 分離した時に生ずる沈殿物は上清に比べ低 レルゲン化の程度が小さいので、これを除 した方が好ましいが、勿論反応液をそのま 乾燥して使用しても差し支えない。
 この方法により得られるホエータンパク加 分解物は、Inhibition ELISA法〔日本小児アレ ギー学会誌、1,36(1987)〕で測定して、抗原性 β-ラクトグロブリンに比べて1/10,000以下、 エータンパクに比べて1/10,000以下になること が確認されているため、極めて安全である。 また、その水溶液は透明で、苦味度も2程度 あることから、製品に使用する際に制限が い。なお、透明性及び苦味の評価は下記の 法により評価した。

 透明性評価法:1%ホエータンパク加水分解 溶液を調製し、650nmにおける吸光度を測定 た。

 苦味評価法:10%ホエータンパク加水分解物 溶液を調製し、苦味物質である塩酸キニーネ を添加して、苦味を評価した。表1に示すよ に、苦味点数が2点以下であれば、飲食品な として利用可能である。

 本発明のホエータンパク加水分解物は、そ まま美白剤として使用することが可能であ が、常法に従い、粉末剤、顆粒剤、錠剤、 プセル剤、ドリンク剤等に製剤化して用い ことも出来る。また、さらに限外濾過 (UF) や精密濾過 (MF)膜処理により得られたホエ タンパク加水分解物についても、そのまま 白剤として使用することも可能であり、そ まま乾燥しても使用できる。また、常法に い、製剤化して用いることもできる。
 さらに、これらを製剤化した後に、これを 養剤やヨーグルト、乳飲料、ウエハース等 飲食品、栄養組成物、飼料及び医薬品に配 することも可能である。

 本発明の美白用飲食品、美白用栄養組成物 美白用飼料及び美白用医薬品とは、このホ ータンパク加水分解物のみを含む場合の他 、安定剤や糖類、脂質、フレーバー、ビタ ン、ミネラル、フラボノイド、ポリフェノ ル等、他の飲食品、飼料及び医薬に通常含 れる原材料等を含有することができる。
 また、そのような美白用飲食品、美白用栄 組成物、美白用飼料又は美白用医薬品を原 料として、他の飲食品等に通常含まれる原 料等を配合して調製することも可能である

 美白用飲食品、美白用栄養組成物、美白 飼料及び美白用医薬品におけるホエータン ク加水分解物の配合量は、特に制限はない 、成人一人一日あたりホエータンパク加水 解物を5mg以上経口的に摂取させるためには 飲食品、飼料及び医薬の形態にもよるが、 質量に対して一般に0.001~10(重量/重量)、好 しくは0.1~5(重量/重量)含有していることが好 ましい。

 美白用化粧品としては、乳液、クリーム ローション、パック等通常の化粧品形態に いることができる。これらの化粧品は常法 より製造し、ホエータンパク加水分解物は の製造過程で適宜配合すればよい。また、 のような化粧品を原材料として、化粧品を 造することも可能である。化粧品における エータンパク加水分解物の配合量は、特に 限はないが、全質量に対して一般に0.001~30( 量/重量)、好ましくは0.1~10(重量/重量)含有 ていることが好ましい。

 本発明の美白剤は、上記の有効成分に適当 助剤を添加して任意の形態に製剤化して、 口又は非経口投与が可能な美白組成物とす ことができる。製剤化に際して、通常使用 れる充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、界 活性剤、滑沢剤等の希釈剤又は賦形剤を用 ることができる。
 また、医薬製剤としては、各種形態が選択 き、例えばカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散 、液剤、懸濁剤、乳剤、坐剤、注射剤、軟 剤等が挙げられる。賦形剤としては、例え ショ糖、乳糖、デンプン、結晶性セルロー 、マンニット、軽質無水珪酸、アルミン酸 グネシウム、合成珪酸アルミニウム、メタ 酸アルミン酸マグネシウム、炭酸カルシウ 、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシ ム、カルボキシルメチルセルロースカルシ ム等の1種又は2種以上を組み合わせて加え ことができる。

 以下に実施例、比較例及び試験例を示し 本発明について詳細に説明するが、これら 単に例示するのみであり、本発明はこれら よって何ら限定されるものではない。

〔実施例1〕
 ホエータンパク10%水溶液1Lに、パパイン50U/g ・ホエータンパク及びプロレザー(Proleather:天 野エンザイム社製)150U/g・ホエータンパクを え、pH8に調整し、55℃において6時間ホエー ンパクを変性させながら酵素分解を行った 反応液を100℃で15秒間以上加熱して酵素を失 活させ、遠心分離して上清を回収し、これを 乾燥してホエータンパク加水分解物(HW)を得 。
 得られたホエータンパク加水分解物(HW)の分 子量分布は10kDa以下、メインピークは1.3kDa、A PLは7.2、すべての構成成分に対する遊離アミ 酸含量18.9%であった。
 Inhibition ELISA法によってβ-ラクトグロブリ に対する抗原性の低下を測定したところ1/10, 000以下で収率(酵素反応液を遠心分離し、仕 み量の乾燥重量に対する上清の乾燥重量の 率(%))80.3%、苦味度は2であった。
 このようにして得られたホエータンパク加 分解物は、そのまま本発明の美白剤として 用可能である。

〔実施例2〕
 ホエータンパク10%水溶液1Lに、パパイン50U/g ・ホエータンパク及びプロレザー(Proleather:天 野エンザイム社製)150U/g・ホエータンパクを え、pH8、50℃で3時間酵素分解を行った。こ を55℃に昇温させ、この温度で3時間維持し タンパクを変性させるとともに、タンパク 酵素分解を行い、100℃で15秒間以上加熱して 酵素を失活させた。この反応液を分画分子量 10kDaのUF膜(STC社製)及び分画分子量300DaのMF膜(S TC社製)処理を行い、濃縮液画分を回収し、こ れを乾燥してホエータンパク加水分解物(HW) 得た。
 得られたホエータンパク加水分解物(HW)の分 子量分布は10kDa以下、メインピークは500Da、AP Lは3.0、すべての構成成分に対する遊離アミ 酸含量15.2%であった。
 Inhibition ELISA法によってβ-ラクトグロブリ に対する抗原性の低下を測定したところ1/10, 000以下で、収率65.4%、苦味度は2であった。
 このようにして得られたホエータンパク加 分解物は、そのまま本発明の美白剤として 用可能である。

 また、特開平4-69315号公報で報告されてい る、以下の乳タンパクの加水分解物を調製し 、比較試料とした。

〔比較例1〕
 ホエータンパク120gを精製水1,800mlに溶解し 1Mカセイソーダ溶液でpHを7.0に調整した。次 で、60℃で10分間加熱して殺菌し、45℃に保 してアマノA(天野エンザイム社製)20gを添加 、2時間反応させた。80℃で10分間加熱して 素を失活させ、凍結乾燥し、ホエータンパ 加水分解物を得た。
 得られたホエータンパク加水分解物の分解 18%、収率80.6%であった。

〔比較例2〕
 ホエータンパク120gを精製水1,800mlに溶解し 1Mカセイソーダ溶液でpHを7.0に調整した。次 で、60℃で10分間加熱して殺菌し、45℃に保 してアマノA(天野エンザイム社製)20gを添加 、8時間反応させた。80℃で10分間加熱して 素を失活させ、凍結乾燥し、ホエータンパ 加水分解物を得た。
 得られたホエータンパク加水分解物の分解 30%、収率80.6%であった。

〔比較例3〕
 カゼイン200gを精製水2,000mlに懸濁し、1Mカセ イソーダ溶液でpHを8.0に調整して完全に溶解 た。次いで、80℃で10分間加熱して殺菌し、 50℃に保持してパンクレアチンF(天野エンザ ム社製)20g及びアマノA(天野エンザイム社製)2 0gを添加し、10時間反応させた。80℃で10分間 熱して酵素を失活させ、凍結乾燥し、カゼ ン加水分解物を得た。
 得られたカゼイン加水分解物の分解率38%、 率77.8%であった。

〔比較例4〕
 カゼイン200gを精製水2,000mlに懸濁し、1Mカセ イソーダ溶液でpHを8.0に調整して完全に溶解 た。次いで、80℃で10分間加熱して殺菌し、 40℃に保持してパンクレアチンF(天野エンザ ム社製)15gを添加し、5時間反応させた。80℃ 10分間加熱して酵素を失活させ、凍結乾燥 、カゼイン加水分解物を得た。
 得られたカゼイン加水分解物の分解率20%、 率79.1%であった。

〔試験例1〕
(透明性試験)
 実施例1、2及び比較例1~4の各タンパク加水 解物の1%水溶液を調製し、650nmにおける吸光 を測定した。その結果を表2に示す。

 実施例1、2のホエータンパク加水分解物(H W)は、吸光度が低いことからわかるように、 明性が高い。一方、比較試料においては、 施例1、2のホエータンパク加水分解物に比 、吸光度が高く透明性が低いことがわかっ 。また、膜処理をした実施例2のホエータン ク加水分解物(HW)の吸光度は、実施例1のホ ータンパク加水分解物(HW)より低く、透明性 優れていた。

〔試験例2〕
(チロシナーゼ活性阻害作用)
 チロシナーゼはチロシンからメラニンを合 する酵素で、合成経路中、チロシンをドー に、さらにドーパをドーパキノンへ変換す 。チロシナーゼ(Sigma-Aldrich社製、マッシュ ーム由来)を用い、実施例1、2で得られたホ ータンパク加水分解物(HW)及び比較試料(比較 例1~4)をそれぞれ加え37℃で15分間前処理を行 た。基質としてドーパ(Sigma-Aldrich社製)を添 し、さらに37℃で5分間反応させた後、476nm おける吸光度を測定した。無添加の値を100% して阻害率を算出した。
 その結果を表3に示す。

 表3の結果からわかるように、実施例1及び2 ホエータンパク加水分解物(HW)は、0.01%~1.0% 濃度で濃度依存的に酵素活性を抑制した。 た、比較試料においても抑制効果が認めら た。
 しかし、実施例1、2のホエータンパク加水 解物(HW)には、比較試料と比較して顕著な抑 効果が認められた。さらに、膜処理を行う とによって、より抑制効果が向上すること わかった。

〔試験例3〕
(メラニン生成阻害試験)
 マウス悪性黒色腫B16-F0細胞(大日本住友製薬 社より購入)を使用した。牛胎児血清を10%含 Eagle’s MEM培地(Sigma-Aldrich社製)を使用し、CO 2 インキュベーター(5%CO 2 、37℃)内で培養した。B16細胞を細胞濃度3×10 5 個/mlの懸濁液とし、この1mlを培地が9ml入って いる100mmディッシュに分注した。翌日、0.01~1% の実施例1、2で得られたホエータンパク加水 解物(HW)、比較試料(比較例1~4)それぞれを含 培地に交換し、4日間培養した。培養終了後 、細胞をはがし、各群の細胞数を5×10 6 個にそろえ遠心した。
 1mol/L NaOHを500ml添加して溶解した後、その 解液の405nmにおける吸光度を測定した。
 無添加群を100%として各群のメラニン生成阻 害率を算出した結果を表4に示す。

 表4からわかるように、実施例1、2のホエー ンパク加水分解物(HW)には、0.01%~1.0%の濃度 濃度依存的にメラニン生成阻害効果が認め れた。
 また、比較試料においても同様に阻害効果 見られたが、本発明のホエータンパク加水 解物(HW)の方が比較試料に比べ優れた阻害効 果を示した。さらに、膜処理を行うことによ って、より阻害効果が向上することが明らか となった。

〔試験例4〕
(動物実験)
 A-1系雌モルモット、体重約400gの背部を除毛 し、背部に紫外線(UVA(max.360nm)30.3kJ/m 2 、UVB(max.312nm)4.8kJ/m 2 )照射を1回/日、4日行った。その後、生理食 水をモルモット体重1kgあたり5ml投与する群(A 群)、実施例2のホエータンパク加水分解物(HW) をモルモット体重1kgあたり2mg/5ml投与する群(B 群)、HWをモルモット体重1kgあたり5mg/5ml投与 る群(C群)、HWをモルモット体重1kgあたり10mg/5 ml投与する群(D群)の4試験群(各群10匹ずつ)に け、それぞれを毎日1回ゾンデで経口投与し 4週間飼育した。試料投与開始時と試料投与 終了時にモルモット背部皮膚の色素沈着への 影響をMINOLTA社製の色素計 (CHROMA METER CR-200) 測定した。紫外線照射前の明度と照射後の 度の差から照射前の明度を100%として回復率 を算出した。
 その結果を表5に示す。

 表5からわかるように、B~D群は、顕著な明 度の改善効果を示した。この結果から、本発 明のホエータンパク加水分解物(HW)には色素 着予防・改善効果が認められた。

〔試験例5〕
(動物実験)
 A-1系雌モルモット、体重約400gの背部を除毛 し、背部に紫外線(UVA(max.360nm)30.3kJ/m 2 、UVB(max.312nm)4.8kJ/m 2 )照射を1回/日、4日行った。その後、1日2回、 4週間被験部位に試料を連続塗布した。被験 料は、水、エタノール、プロピレングリコ ルを2:2:1の比率で混和したものに溶解して、 これを塗布した。
 コントロール群(A群)、実施例2のホエータン パク加水分解物(HW)0.01%(B群)、0.1%(C群)、1%(D群) の4試験群(各群10匹ずつ)にわけた。試料塗布 始時と試料塗布終了時にモルモット背部皮 の色素沈着への影響をそれぞれMINOLTA社製の 色差計(CHROMA METER CR-200)で測定した。紫外線 射前の明度と照射後の明度の差から、照射 の明度を100%として回復率を算出した。その 結果を表6に示す。

 上記表6の結果からわかるように、B~D群で は顕著な明度の改善効果を示した。この結果 から、本発明のホエータンパク加水分解物は 塗布することによっても色素沈着予防・改善 効果が認められた。

 本発明において得られる、(A)分子量分布は1 0kDa以下でメインピーク200Da~3kDa、(B)APL(平均ペ プチド鎖長)は2~8、(C)遊離アミノ酸含量20%以 、(4)抗原性は、β-ラクトグロブリンの抗原 の1/10,000以下の成分組成を有するホエータン パク加水分解物を有効成分として含有する美 白剤は、Inhibition ELISA法〔日本小児アレルギ 学会誌、1,36(1987)〕で測定して抗原性がβ-ラ クトグロブリンに比べて1/10,000以下になるこ が確認されているため、極めて安全である
 また、その水溶液は、透明で、苦味度も2程 度であることから、製品に使用する際に制限 がない。チロシナーゼ活性阻害作用、メラニ ン生成阻害効果及び色素沈着予防・改善効果 が顕著である。

〔実施例3〕
(美白用化粧品(クリーム)の調製)
 表6に示す配合で原材料を混合し、本発明の 美白用化粧品(クリーム)を調製した。

〔実施例4〕
(美白用化粧品(ローション)の調製)
 表7に示す配合で原材料を混合し、本発明の 美白用化粧品(ローション)を調製した。

〔実施例5〕
(美白用錠剤の調製)
 表8に示す配合で原材料を混合後、常法によ り1gに成型、打錠して本発明の美白用錠剤を 造した。

 なお、この錠剤1g中には、HWが100mg含まれて た。

〔実施例6〕
(美白用液状栄養組成物の調製)
 実施例2で得られたHW50gを4,950gの脱イオン水 溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー(TK  ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで30 分間撹拌混合してHW含量50g/5kgのHW溶液を得た このHW溶液5.0kgに、カゼイン5.0kg、大豆タン ク質5.0kg、魚油1.0kg、シソ油3.0kg、デキスト ン18.0kg、ミネラル混合物6.0kg、ビタミン混 物1.95kg、乳化剤2.0kg、安定剤4.0kg、香料0.05kg 配合し、200mlのレトルトパウチに充填し、 トルト殺菌機 (第1種圧力容器、TYPE: RCS-4CRTG N、日阪製作所製)で121℃、20分間殺菌して、 発明の美白用液状栄養組成物50kgを製造した
 なお、この美白用液状栄養組成物には、100g あたり、HWが100mg含まれていた。

〔実施例7〕
(美白用飲料の調製)
 脱脂粉乳 300gを409gの脱イオン水に溶解した 後、実施例1で得られたHW 1gを溶解し、50℃ま で加熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA-TURRA X T-25;IKAジャパン社製)にて、9,500rpmで30分間 拌混合した。マルチトール100g、酸味料 2g、 還元水飴20g、香料2g、脱イオン水166gを添加し た後、100mlのガラス瓶に充填し、90℃、15分間 殺菌後、密栓し、本発明の美白用飲料10本(100 ml入り)を調製した。
 なお、この美白用飲料には、100mlあたりHWが 100mg含まれていた。

〔実施例8〕
(イヌ用美白飼料の調製)
 実施例2で得られたHW200gを99.8kgの脱イオン水 に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー(M ARK II 160型;特殊機化工業社製)にて、3,600rpm 40分間撹拌混合してHW含量2g/100gのHW溶液を得 。このHW溶液10kgに大豆粕12kg、脱脂粉乳14kg 大豆油4kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、ト モロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビ ミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル 合物2kgを配合し、120℃、4分間殺菌して、本 明のイヌ用美肌用飼料100kgを製造した。
 なお、このイヌ用美白飼料には、100gあたり HWが20mg含まれていた。