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Title:
NITRIDING STEEL MEMBER, AND METHOD AND DEVICE FOR MANUFACTURING NITRIDING STEEL MEMBER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175453
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention is a nitriding steel member in which a matrix phase is composed of a carbon steel or a low-alloy steel, the nitriding steel member being characterized in that a nitride compound layer is provided on the surface, a hardened layer having an austenite structure is provided below the nitride compound layer, and a diffused layer in which nitrogen is diffused in the matrix phase is provided below the hardened layer, wherein the nitride compound layer has a phase distribution in which an ε phase, a γ' phase and an ε phase are arranged in this order, the volume ratio of the γ' phase in the nitride compound layer is 20% or more, and the nitride compound layer has a thickness of 5 to 50 μm from the surface of the nitriding steel member.

Inventors:
HIRAOKA YASUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007395
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 25, 2020
Export Citation:
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Assignee:
PARKER NETSUSHORI KOGYO CO LTD (JP)
International Classes:
C23C8/26; C21D1/06; C21D1/76; C21D9/30; C21D9/32; F16C3/06; F16H55/06
Domestic Patent References:
WO2015136917A12015-09-17
WO2012035900A12012-03-22
WO2019131602A12019-07-04
Foreign References:
JP2014047410A2014-03-17
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA Shinichiro et al. (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175453 29 卩(:17 2020 /007395

請求の範囲

[請求項 1 ] 炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部材であって、

表面に、 窒化化合物層を備え、

前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織を有する硬化層を 備え、

前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散されている拡散層を 備え、

前記窒化化合物層は、 £相、 ア’ 相、 £相の順番の相分布を有して おり、

前記窒化化合物層中のア’ 相の体積比率は、 2 0 %以上であり、 前記窒化化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〇1〜5 の厚さを有していることを特徴とする窒化鋼部材。

[請求項 2] 炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部材であって、

表面に、 窒化化合物層を備え、

前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織を有する硬化層を 備え、

前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散されている拡散層を 備え、

前記窒化化合物層は、 ア’ 相、 £相の順番の相分布を有しており、 前記窒化化合物層中のア’ 相の体積比率は、 3 0 %以上あり、 前記窒化化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〇1〜3 0 〇1 の厚さを有していることを特徴とする窒化鋼部材。

[請求項 3] 炭素含有量が質量%で〇. 1 %以上である炭素鋼を母相としている ことを特徴とする請求項 1 または 2に記載の窒化鋼部材。

[請求項 4] 案内筒と撹拌ファンとを備えた循環型処理炉を用いて、 炭素鋼また は低合金鋼を母相とする窒化鋼部材を製造する方法であって、 窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の温度範囲が、 6 1 0 °

〜 6 6 0 °0に制御され、 〇 2020/175453 30 卩(:170? 2020 /007395

前記窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の窒化ポテンシャル が、 〇. 1 5〜〇. 6の範囲に制御され、

前記窒化処理後、 急冷され、 更に再加熱処理がなされる

ことを特徴とする窒化鋼部材の製造方法。

[請求項 5] 案内筒と撹拌ファンとを有する循環型処理炉を備え、

窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の温度範囲が、 6 1 0 °〇 〜 6 6 0 °〇に制御され、

前記窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の窒化ポテンシャル を制御するために、 アンモニアガスとアンモニア分解ガスとが前記循 環型処理炉内に導入されるようになっている窒化鋼部材の製造装置で あって、

前記循環型処理炉内の窒化ポテンシャルは、 前記アンモニア分解ガ スの炉内導入量を一定とし且つ前記アンモニアガスの炉内導入量を変 化させることで、 〇. 1 5〜〇. 6の範囲の目標の窒化ポテンシャル に制御されるようになっている

ことを特徴とする窒化鋼部材の製造装置。

Description:
\¥02020/175453 1 ?€1/^2020/007395

明 細 書

発明の名称 :

窒化鋼部材並びに窒化鋼部材の製造方法及 び製造装置

技術分野

[0001 ] 本発明は、 窒化鋼部材並びに窒化鋼部材の製造方法及び 製造装置に関する 。 さらに詳しくは、 自動車用の変速機用の歯車やクランクシャフ ト等に有用 な耐摩耗性に優れる窒化鋼部材並びに当該窒 化鋼部材の製造方法及び製造装 置に関する。

背景技術

[0002] 鋼材の表面硬化処理の中でも、 低熱処理ひずみ処理である窒化処理の二一 ズは高く、 最近では特に、 ガス窒化処理の雰囲気制御技術への関心が高 まつ ている。

[0003] ガス窒化処理により得られる基本的な組織構 成では、 表面において鉄窒化 物である化合物層が形成され、 内部において拡散層と呼ばれる硬化層が形成 される。 当該硬化層は、 通常、 母材成分の 3 丨や 0 「などの合金窒化物から なる。

[0004] これらの 2層の各々の厚さ (深さ) 及び/または表面の鉄窒化物のタイプ 等を制御するために、 ガス窒化処理の温度と時間とに加えて、 ガス窒化処理 炉内の雰囲気も適宜に制御されている。 具体的には、 ガス窒化炉内の窒化ポ テンシャル (<„) が適宜に制御されている。

[0005] そして、 当該制御を介して、 鋼材の表面に生成される化合物層中のァ’ 相 ( 6 4 1\1) と £相 ( 6 2-3 1\1) の体積分率 (鉄窒化物のタイプ) が制御され ている。

[0006] 例えば、 £相よりもァ’ 相を形成することにより、 耐疲労性が改善される ことが知られている (非特許文献 1) 。

[0007] 更に、 · ^ 相の形成により曲げ疲労強度や面疲労を改善 した窒化鋼部材も 提供されている (特許文献 1) 。 〇 2020/175453 2 卩(:170? 2020 /007395

[0008] あるいは、 本発明が着目する耐摩耗性については、 s相を多くすることで 改善されることが報告されている (非特許文献 2) 。 そして、 s相を多く含 む化合物層を表面に形成させる窒化法として 、 少量の浸炭性ガスをアンモニ ア雰囲気に混合させて実施される軟窒化処理 が知られている。

[0009] 一方、 F e_N二元合金の共析変態点 (約 590°C) 以上の温度で窒化処 理を行うと、 表面には化合物層が形成され、 その後急冷すればその下部には 窒素含有マルテンサイ ト組織を含む硬化層が形成される。 当該温度域での窒 化処理は、 従来の窒化処理 (N i t r i d i n g) と区別して、 浸窒処理 ( A u s t e n i t i c N i t r i d i n g) と呼ばれている。

[0010] しかし、 当該浸窒処理では、 表面近傍の組織 (表面の化合物層は除く) の オーステナイ トが安定化され、 その後に急冷されても大部分のオーステナイ 卜が残留する。 このため、 熱処理後のひずみは、 窒化処理と同程度である。 加えて、 この安定化された才ーステナイ トは、 250〜 300 ° Cの温度にま で再加熱されることで、 硬質なマルテンサイ ト組織へと変態される。

[0011] 例えば、 STKM- 1 3C (J I S G 3445に規程される機械構造 炭素鋼鋼管) を 640°Cで 90m i n浸窒処理し、 更に 660 °Cで 40 m i n浸窒処理してから急冷し、 その後 280°Cで 9 Om i n再加熱処理するこ とにより、 表面近傍の才ーステナイ トは 800〜 900 HVまで硬化される

[0012] 更に、 700 ° Cで J I S-S PCC (冷間圧延鋼板の一種) を浸窒処理し ても、 表面に化合物層が形成され、 その後の急冷でその下部に窒素マルテン サイ ト組織の硬化層が形成される (非特許文献 3) 。 この時の表面の化合物 層は、 s相であると報告されている。 先行技術文献

特許文献

[0013] 特許文献 1 :特開 201 3— 22 1 203号公報

特許文献 2 :特開 201 4— 25 1 6 1号公報

非特許文献 1 :平岡泰、 渡邊陽一、 石田暁丈:熱処理、 55巻、 1号、 1 _ 2 〇 2020/175453 3 卩(:170? 2020 /007395

ぺージ

非特許文献 2 :ディータリートケほか:鉄の窒化と軟窒化 アグネ技術センタ —、 2 0 1 3年、 8 4ページ

非特許文献 3 :河田 _喜、 木立徹: 日本熱処理技術協会、 第 8 1回春季講演大 会概要集、 2 9— 3 0ページ

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0014] 機械部品、 例えば自動車用のエンジン内部のカムシャフ ト、 ピストンリン グ、 クランクシャフト等、 における摩擦損失は、 1 0 %以上にもなる。 一部 の機械部品には、 既に窒化処理等の表面処理が適用されている が、 さらなる 摩擦損失の低減が望まれている。

[0015] 鋼部品の摩耗損失を低減するための一つの方 策として、 鋼部品の 「硬さ」 を増加させることが考えられる。 前述のように、 浸窒処理及び急冷後に再加 熱処理を行うことによって、 表面化合物層の硬さを高められることが知ら れ ている。

[0016] しかしながら、 非特許文献 3に開示された処理では、 窒化温度が 7 0 0 °〇 であって比較的高いため、 母材や拡散層の硬度が低下してしまう懸念が ある

[0017] 更に、 特許文献 2に開示された処理について再現実験を試み が、 当該文 献に記載されているような硬化組織 (具体的にはァ’ 相内に 相が析出し た混相) を再現することはできなかった (当該文献の記述内容に何らかの誤 りがあると推測される) 。

[0018] 一方、 軟窒化処理によって形成される化合物層は、 表面硬度が不十分であ り (後述の図 1 1の比較例参照) 、 耐摩耗性も不十分である (後述の表 1の 比較例参照) 。

[0019] 本件発明者は、 鋭意の検討及び種々の実験を繰り返し、 処理炉の構成を限 定した上で窒化処理の温度及び窒化ポテンシ ャルを高精度に制御することに よって、 十分な硬度を維持しつつ耐摩耗性が改善され た窒化鋼部材を製造で 〇 2020/175453 4 卩(:170? 2020 /007395

きることを知見した。

[0020] 本発明は、 以上の知見に基づいて創案されたものである 。 本発明の目的は

、 表層領域の耐摩耗性が改善された窒化鋼部材 、 及び、 そのような窒化鋼部 材を製造するための製造方法及び製造装置を 提供することである。

課題を解決するための手段

[0021 ] 本発明は、 炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材であって、 表面 に、 窒化化合物層を備え、 前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織 を有する硬化層を備え、 前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散され ている拡散層を備え、 前記窒化化合物層は、 £相、 ァ’ 相、 £相の順番の相 分布を有しており、 前記窒化化合物層中のァ’ 相の体積比率は、 2 0 %以上 であり、 前記窒化化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〜

5 0 の厚さを有していることを特徴とする窒化鋼 部材である。

[0022] 本発明によれば、 表面の窒化化合物層が £相、 · ^ 相、 £相の順番の相分 布を有し、 且つ、 5 〇!〜 5 0 〇!の厚さを有し、 窒化化合物層中のァ’ 相 の体積比率が 2 0 %以上であることにより (このような構成は、 後述される 窒化方法によって初めて実現されたものであ る) 、 窒化鋼部材として十分な 硬度を提供しつつ、 耐摩耗性を改善することができる。

[0023] なお、 窒化化合物層の厚さについて 5 0 を上限値としたのは、 その値 が本願出願時までに本件発明者によって確認 された最大厚さであるからであ る (後述の循環型処理炉を用いて、 3 5 0(3鋼を母相として、 処理温度: 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル: 0 . 6、 処理時間: 2時間、 という浸窒処理条 件を採用することによって得られることが確 認されている) 。

[0024] 更に、 窒化化合物層の厚さについて、 窒化化合物層が窒化鋼部材の表面全 体に形成される (窒化化合物層が局所的に形成されない場合 がない) ための 条件として、 5 を下限値としている。

[0025] また、 本発明は、 炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材であって 、 表面に、 窒化化合物層を備え、 前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ 卜組織を有する硬化層を備え、 前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡 〇 2020/175453 5 卩(:170? 2020 /007395

散されている拡散層を備え、 前記窒化化合物層は、 ア’ 相、 £相の順番の相 分布を有しており、 前記窒化化合物層中のア’ 相の体積比率は、 3 0 %以上 であり、 前記窒化化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〜

3 0 の厚さを有していることを特徴とする窒化鋼 部材である。

[0026] 本発明によれば、 表面の窒化化合物層がア’ 相、 £相の順番の相分布を有 し、 且つ、 窒化化合物層中のア’ 相の体積 比率が 3 0 %以上であることにより (このような構成は、 後述される窒化方 法によって初めて実現されたものである) 、 窒化鋼部材として十分な硬度を 提供しつつ、 耐摩耗性を改善することができる。

[0027] 本発明においても、 窒化化合物層の厚さについて 3 0 を上限値として いるが、 これは、 その値が本願出願時までに本件発明者によっ て確認された 最大厚さであるからである (後述の循環型処理炉を用いて、 3 1 5(3を母相 として、 処理温度: 6 5 0 ° 〇、 窒化ポテンシャル = 0 . 2、 処理時間: 2時 間、 という浸窒処理条件を採用することによって 得られることが確認されて いる) 。

[0028] 更に、 本発明においても、 窒化化合物層の厚さについて、 窒化化合物層が 窒化鋼部材の表面全体に形成される (窒化化合物層が局所的に形成されない 場合がない) ための条件として、 5 を下限値としている。

[0029] 以上の各発明において、 例えば、 炭素含有量が質量%で〇. 1 %以上である 炭素鋼を母相とすることができる。

[0030] また、 本発明は、 窒化鋼部材の製造方法として認識することも 可能である 。 すなわち、 本発明は、 案内筒と撹拌ファンとを備えた循環型処理炉 を用い て、 炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材を製造する方法であって 、 窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の温度範囲が、 6 1 0 ° 〇〜6 6 0 ° 〇に制御され、 前記窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の窒化ポテ ンシャルが、 〇. 1 5〜〇. 6の範囲に制御され、 前記窒化処理後、 急冷さ れ、 更に再加熱処理がなされることを特徴とする 窒化鋼部材の製造方法であ る。 〇 2020/175453 6 卩(:170? 2020 /007395

[0031 ] 本発明の窒化鋼部材の製造方法によれば、

炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材であって、 表面に、 窒化化 合物層を備え、 前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織を有する硬 化層を備え、 前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散されている拡散 層を備え、 前記窒化化合物層は、 £相、 ァ’ 相、 £相の順番の相分布を有し ており、 前記窒化化合物層中のァ’ 相の体積比率は、 2 0 %以上であり、 前 記窒化化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〜 5〇 の 厚さを有していることを特徴とする窒化鋼部 材

を製造することができる。

[0032] あるいは、 本発明の窒化鋼部材の製造方法によれば、

炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材であって、 表面に、 窒化化 合物層を備え、 前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織を有する硬 化層を備え、 前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散されている拡散 層を備え、 前記窒化化合物層は、 ァ’ 相、 £相の順番の相分布を有しており 、 前記窒化化合物層中のァ’ 相の体積比率は、 3 0 %以上であり、 前記窒化 化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〇!〜 3 0 〇!の厚さを有してい ることを特徴とする窒化鋼部材

を製造することができる。

[0033] また、 本発明は、 窒化鋼部材の製造装置として認識することも 可能である 。 すなわち、 本発明は、 案内筒と撹拌ファンとを有する循環型処理炉 を備え 、 窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の温度範囲が、 6 1 0 ° 〇〜6 6 0 ° 〇に制御され、 前記窒化処理時において、 前記循環型処理炉内の窒化ポテ ンシャルを制御するために、 アンモニアガスとアンモニア分解ガスとが前 記 循環型処理炉内に導入されるようになってい る窒化鋼部材の製造装置であっ て、 前記循環型処理炉内の窒化ポテンシャルは、 前記アンモニア分解ガスの 炉内導入量を一定とし且つ前記アンモニアガ スの炉内導入量を変化させるこ とで、 〇. 1 5〜〇. 6の範囲の目標の窒化ポテンシャルに制御さ るよう になっていることを特徴とする窒化鋼部材の 製造装置である。 〇 2020/175453 7 卩(:170? 2020 /007395

[0034] 本発明の窒化鋼部材の製造装置によれば、

炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材であって、 表面に、 窒化化 合物層を備え、 前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織を有する硬 化層を備え、 前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散されている拡散 層を備え、 前記窒化化合物層は、 £相、 ァ’ 相、 £相の順番の相分布を有し ており、 前記窒化化合物層中のァ’ 相の体積比率は、 2 0 %以上であり、 前 記窒化化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〜 5〇 の 厚さを有していることを特徴とする窒化鋼部 材

を製造することができる。

[0035] あるいは、 本発明の窒化鋼部材の製造装置によれば、

炭素鋼または低合金鋼を母相とする窒化鋼部 材であって、 表面に、 窒化化 合物層を備え、 前記窒化化合物層の下部に、 オーステナイ ト組織を有する硬 化層を備え、 前記硬化層の下部に、 前記母相内に窒素が拡散されている拡散 層を備え、 前記窒化化合物層は、 ァ’ 相、 £相の順番の相分布を有しており 、 前記窒化化合物層中のァ’ 相の体積比率は、 3 0 %以上であり、 前記窒化 化合物層は、 当該窒化鋼部材の表面から 5 〇!〜 3 0 〇!の厚さを有してい ることを特徴とする窒化鋼部材

を製造することができる。

発明の効果

[0036] 本発明の窒化鋼部材によれば、 窒化鋼部材として十分な硬度を提供しつつ 、 耐摩耗性を改善することができる。

[0037] また、 本発明の窒化鋼部材の製造方法によれば、 十分な硬度及び耐摩耗性 を有する窒化鋼部材を製造することができる 。

[0038] また、 本発明の窒化鋼部材の製造装置によれば、 十分な硬度及び耐摩耗性 を有する窒化鋼部材を製造することができる 。

図面の簡単な説明

[0039] [図 1]本発明の第 1実施形態による窒化鋼部材の断面顕微鏡写 である。

[図 2]図 1の窒化鋼部材の巳巳 3口法による解析結果を示す図である。 〇 2020/175453 8 卩(:170? 2020 /007395

[図 3]本発明の第 1実施形態の窒化鋼部材の再加熱処理前の状 の断面顕微鏡 写真である。

[図 4]図 3の窒化鋼部材の巳巳 3口法による解析結果を示す図である。

[図 5]本発明の第 2実施形態による窒化鋼部材の断面顕微鏡写 である。

[図 6]図 5の窒化鋼部材の巳巳 3口法による解析結果を示す図である。

[図 7]本発明の第 2実施形態の窒化鋼部材の再加熱処理前の状 の断面顕微鏡 写真である。

[図 8]図 7の窒化鋼部材の巳巳 3口法による解析結果を示す図である。

[図 9]比較例としての窒化鋼部材の断面顕微鏡 真である。

[図 10]図 9の窒化鋼部材の巳巳 3口法による解析結果を示す図である。

[図 1 1]硬さの測定結果を示すグラフである。

[図 12]本発明の一実施形態による窒化鋼部材の 造装置の概略図である。

[図 13]循環型処理炉 (横型ガス窒化炉) の概略断面図である。

[図 14八]ガス導入制御の一例を示すグラフであ 。

[図 148]ガス導入制御の一例を示すグラフである 。

[図 15]摩擦摩耗試験に用いた試験片の斜視図で る。

[図 16]摩擦摩耗試験に用いた 3 V試験機の斜視図である。

発明を実施するための形態

[0040] 以下、 本発明の好ましい実施形態について説明する が、 本発明は以下の実 施形態に限定されるものではない。

[0041] (窒化鋼部材の第 1実施形態の構成、 製法及び効果)

図 1は、 本発明の第 1実施形態の窒化鋼部材 1 1 0の断面顕微鏡写真であ る。 図 1 に示すように、 本実施形態の窒化鋼部材 1 1 〇は、 表面に、 窒化化 合物層 1 1 1が形成されており、 当該窒化化合物層 1 1 1の下方に、 後述す るようなオーステナイ ト組織を有する硬化層 1 1 2を備え、 当該硬化層 1 1 2の下方に、 母相内に窒素が拡散されている拡散層 1 1 3を備えている。 本 実施形態の母相 (母材) は、 炭素含有量が質量%で〇. 4 5 %である炭素鋼 である。 〇 2020/175453 9 卩(:170? 2020 /007395

[0042] 図 1 において、 窒化化合物層 1 1 1の下部や硬化層 1 1 2が黒く見えてい るのは、 組織観察用の腐食液によって強く腐食された ためである。 また、 表 面の更に上方に見えているのは、 研磨用の板であり、 窒化鋼部材の構成要素 ではない。

[0043] 窒化鋼部材 1 1 0の相分布は、 X線回折とを併用することに よって解析され得る。 具体的には、 図 2に示すように、 0法によって 、 表面側から £相、 ァ’ 相 結晶相) 、 £相の順番の相分布が分かる 。 そして、 X線回折が併用されることで、 硬化層 1 1 2の干 結晶相が才 —ステナイ ト相 (ァ相) であることが確認される。

[0044] 窒化化合物層 1 1 1は、 窒化鋼部材 1 1 0の表面から約 3 0 の厚さを 有しており、 これは 5 ~ 5 0 の範囲内の厚さである。 表面の £相は 、 数 111の厚さである。

[0045] また、 窒化化合物層 1 1 1中のァ’ 相の体積比率は、

による分析範囲 (窒化化合物層 1 1 中に占めるァ’ 相 と £相のカウント数に基づいて測定され得る。 あるいは、 得られた図 2の画 像から、 画像解析によって計算してもよい。 本実施形態の窒化化合物層 1 1 1の場合、 4 1 %である。

[0046] 硬化層 1 1 2は、 再加熱処理によってマルテンサイ ト組織に変態している と予想されたが、 本件発明者が前述のような X線回折法による結晶構造解析 を適用したところ、 硬化層 1 1 2の大部分が才ーステナイ ト相 (ァ相) であ るとの結果であった。 従って、 本件発明者は、 硬化層 1 1 2について、 厳密 には才ーステナイ トとマルテンサイ トとの混合組織ではないか、 と考えてい る。 もっとも、 浸窒処理後の鋼材サイズや冷却条件や再加熱 条件により、 ベ イナイ ト組織やブラウナイ ト組織等、 更に複数種類の微細組織を含む可能性 も排除されない。

[0047] 本実施形態の窒化鋼部材 1 1 0は、 後述の循環型処理炉を用いて、 処理温 度: 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル: 0 . 4、 処理時間: 2時間、 という処理 条件で浸窒処理された後、 急冷され、 更に処理温度: 2 5 0 ° 〇、 処理時間: 〇 2020/175453 10 卩(:170? 2020 /007395

2時間、 という処理条件で再加熱されることで、 製造され得る。

[0048] 以上のような窒化鋼部材 1 1 0は、 窒化化合物層 1 1 1中のァ’ 相の体積 比率が 4 1 % (2 0 %以上) であることにより、 実用に足る十分な硬度を提 供できると共に (後述の図 1 1の実施例 1 _ 3 0参照) 、 耐摩耗性も改善さ れている (後述の表 1の実施例 1 _ 3 0参照) 。

[0049] 参考のため、 窒化鋼部材 1 1 0の再加熱処理前の状態の断面顕微鏡写真を 図 3に示す。

また、 図 4は、 図 3の窒化鋼部材 1 6 0の巳巳 3 0法による解析結果を示す 図である。

[0050] 図 3及び図 4に示すように、 再加熱処理前の状態では、 窒化化合物層 1 1

1 に相当する領域 1 6 1の大部分が £相である。 このため、 十分な硬さが得 られない (後述の図 1 1の参考例 1参照) 。

[0051 ] (窒化鋼部材の第 2実施形態の構成、 製法及び効果)

図 5は、 本発明の第 2実施形態の窒化鋼部材 1 2 0の断面顕微鏡写真であ る。 図 5に示すように、 本実施形態の窒化鋼部材 1 2 0は、 表面に、 窒化化 合物層 1 2 1が形成されており、 当該窒化化合物層 1 2 1の下方に、 後述す るようなオーステナイ ト組織を有する硬化層 1 2 2を備え、 当該硬化層 1 2 2の下方に、 母相内に窒素が拡散されている拡散層 1 2 3を備えている。 本 実施形態の母相 (母材) は、 炭素含有量が質量%で〇. 4 5 %である炭素鋼 である。

[0052] 図 5においても、 窒化化合物層 1 2 1の下部や硬化層 1 2 2が黒く見えて いるのは、 組織観察用の腐食液によって強く腐食された ためである。 また、 表面の更に上方に見えているのは、 研磨用の板であり、 窒化鋼部材の構成要 素ではない。

[0053] 窒化鋼部材 1 2 0の相分布は、 巳巳3 0法と X線回折とを併用することに よって解析され得る。 具体的には、 図 6に示すように、 0法によって 、 表面側からァ’ 相 結晶相) 、 £相の順番の相分布が分かる。 そし て、 X線回折が併用されることで、 硬化層 1 2 2の干〇〇結晶相が才ーステ 〇 2020/175453 1 1 卩(:170? 2020 /007395

ナイ ト相 (ァ相) であることが確認される。

[0054] 窒化化合物層 1 2 1は、 窒化鋼部材 1 2 0の表面から約 1 2 の厚さを 有しており、 これは の範囲内の厚さである。 表面のァ’ 相 は、 数 111の厚さである。

[0055] また、 窒化化合物層 1 2 1中のァ’ 相の体積比率は、

による分析範囲 (窒化化合物層 中に占めるァ’ 相 と £相のカウント数に基づいて測定され得る。 あるいは、 得られた図 2の画 像から、 画像解析によって計算してもよい。 本実施形態の窒化化合物層 1 2 1の場合、 5 2 %である。

[0056] 硬化層 1 2 2は、 再加熱処理によってマルテンサイ ト組織に変態している と予想されたが、 図 6に示す巳巳 3 0の結果と前述のような X線回折法によ る結晶構造解析とにより、 硬化層 1 2 2においては、 部分的に多くの才ース テナイ トが残っていることが確認された。 もっとも、 浸窒処理後の鋼材サイ ズや冷却条件や再加熱条件により、 ベイナイ ト組織やブラウナイ ト組織等、 更に複数種類の微細組織を含む可能性も排除 されない。

[0057] 本実施形態の窒化鋼部材 1 2 0は、 後述の循環型処理炉を用いて、 処理温 度: 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル: 0 . 2、 処理時間: 2時間、 という処理 条件で浸窒処理された後、 急冷され、 更に処理温度: 2 5 0 ° 〇、 処理時間: 2時間、 という処理条件で再加熱されることで、 製造され得る。

[0058] 以上のような窒化鋼部材 1 2 0は、 窒化化合物層 1 2 1中の· ^ 相の体積 比率が 5 2 % (3 0 %以上) であることにより、 実用に足る十分な硬度を提 供できると共に (後述の図 1 1の実施例 2 _ 1 2参照) 、 耐摩耗性も改善さ れている (後述の表 1の実施例 2 - 1 2参照) 。

[0059] 参考のため、 窒化鋼部材 1 2 0の再加熱処理前の状態の断面顕微鏡写真を 図 7に示す。

また、 図 8は、 図 7の窒化鋼部材 1 7 0の巳巳 3 0法による解析結果を示す 図である。

[0060] 図 7及び図 8に示すように、 再加熱処理前の状態では、 窒化化合物層 1 2 〇 2020/175453 12 卩(:170? 2020 /007395

1 に相当する領域 1 7 1の大部分が £相である。 このため、 十分な硬さが得 られない。

[0061 ] (窒化鋼部材の比較例)

図 9は、 比較例の窒化鋼部材 3 0 0の断面顕微鏡写真である。 図 9に示す ように、 比較例の窒化鋼部材 3 0 0は、 表面に、 窒化化合物層 3 0 1が形成 されており、 当該窒化化合物層 3 0 1の下方に、 母相内に窒素が拡散されて いる拡散層 3 0 3を備えている。 比較例の母相 (母材) も、 炭素含有量が質 量%で〇. 4 5 %である炭素鋼である。

[0062] 従来の一般的な窒化処理で得られる化合物層 の表面側は多孔質である。 図

9において、 窒化化合物層 3 0 1の上部が黒く見えているのは、 この領域に 多数の微細なボイ ドが存在しているからである。 また、 表面の更に上方に見 えているのは、 研磨用の板であり、 窒化鋼部材の構成要素ではない。

[0063] 窒化鋼部材 3 0 0の相分布も、 巳巳3 0法と X線回折とを併用することに よって解析され得る。 具体的には、 図 1 0に示すように、 0法によっ て、 窒化化合物層 3 0 1の大部分が £相であることが分かる。

[0064] 窒化化合物層 3 0 1は、 窒化鋼部材 3 0 0の表面から約 1 7 の厚さを 有している。

[0065] 当該比較例の窒化鋼部材 3 0 0は、 後述の循環型処理炉を用いて、 処理温 度: 5 8 0 °〇、 窒化ポテンシャル 2 . 5、 処理時間: 2時間、 という処理条 件で軟窒化処理された後 (雰囲気ガスは、 アンモニア、 窒素ガス及び炭酸ガ ス) 、 急冷されることで、 製造され得る。 なお、 当該比較例の窒化化合物層 3 0 1は、 再加熱処理を施しても硬化しないことが確認 されている (軟窒化 処理時の温度が比較的低いためであると考え られる) 。

[0066] 以上のような窒化鋼部材 3 0 0は、 窒化化合物層 3 0 1の大部分が ^相で あり、 従来はこの硬い £相を利用して耐摩耗性を向上させていた。 しかし、 本発明の浸窒処理による £化合物層と比べると表面硬度が不十分であ (後 述の図 1 1の比較例参照) 、 そのことが耐摩耗性にも不利に影響して、 耐摩 耗性も不十分である (後述の表 1の比較例参照) 。 〇 2020/175453 13 卩(:170? 2020 /007395

[0067] 更に、 比較例の窒化鋼部材 3 0 0については、 窒化化合物層 3 0 1の表面 側に多くのボイ ド (図 9において黒く見えている) が形成されてしまうとい う欠点も指摘される。 当該ボイ ド (ポーラス) は、 亀裂発生の起点となり得 るため、 その存在は好ましくない。

[0068] (硬度の評価)

図 1 1は、 硬さの測定結果を示すグラフである。 第 1実施形態の窒化鋼部 材 1 1 〇 (実施例 1 _ 3 0) 、 第 2実施形態の窒化鋼部材 1 2 0 (実施例 2 - 1 2) , 参考例の窒化鋼部材 1 6 0 (参考例 1 _ 3 0) 、 及び、 比較例の 窒化鋼部材 3 0 0の各々について、 表面から所定深さでの硬さを測定した結 果がプロッ トされている。

[0069] 第 1実施形態の窒化鋼部材 1 1 0 (実施例 1 _ 3 0) では、 窒化化合物層

1 1 1の厚さ全体 (3 0 ) に亙って、 1 0 0 0 1·! V以上という高い硬さ が得られている。 特に、 心部側の £相に対応する部分の硬さが大きくなって いる。

[0070] これに対して、 参考例の窒化鋼部材 1 6 0 (参考例 1 _ 3 0) では、 表面 付近での硬さが 8 0 0 1 ~ 1 Vを少し下回っており、 十分ではない。

[0071 ] 第 2実施形態の窒化鋼部材 1 2 0 (実施例 2 _ 1 2) では、 内部に向かっ て硬さは低下しているが、 表面付近での硬さは十分に高い。

[0072] その他、 比較例の窒化鋼部材 3 0 0では、 表面付近での硬さが 6 0 0 1 ~ 1 V 程度となっており、 十分ではない。

[0073] (第 1実施形態の窒化鋼部材 1 1 0の窒化化合物層 1 1 1の厚さ)

第 1実施形態の窒化鋼部材 1 1 〇の窒化化合物層 1 1 1の厚さは、 一般的 には、 より厚い方が摩耗許容量が大きくなるため好 ましいと言える。

[0074] 本件発明者は、 一般的にシャフト類に使われる炭素鋼で炭素 量の多い (具 体的には例えば 3 5〇〇鋼) 場合に、 窒化化合物層 1 1 1が厚くなり易いと いう傾向を確認した。 そして、 具体的に、 3 5 0(3鋼を、 処理温度 = 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル: 0 . 6、 処理時間: 2時間で浸窒処理し、 急冷して 、 処理温度: 2 5 0 ° 〇、 処理時間: 2時間で再加熱した時、 窒化化合物層 1 〇 2020/175453 14 卩(:170? 2020 /007395

1 1の厚みは 5〇 であった (後述の表 1の実施例 1 _ 5 0参照) 。 従っ て、 当業者が本発明の課題を解決できると認識し 得る窒化化合物層 1 1 1の 厚さの最大値を、 5 0 |^|とした。

[0075] その他、 本件発明者は、 窒化化合物層 1 1 1の厚さについて、 浸窒処理時 の窒化ポテンシャルが高い場合に厚くなると いう傾向を確認している。

[0076] (第 2実施形態の窒化鋼部材 1 2 0の窒化化合物層 1 2 1の厚さ)

第 2実施形態の窒化鋼部材 1 2 0の窒化化合物層 1 2 1の厚さも、 一般的 には、 より厚い方が摩耗許容量が大きくなるため好 ましいと言える。

[0077] 本件発明者は、 一般的に歯車に使われる炭素鋼で炭素量が低 い (具体的に は例えば 3 1 5(3鋼) 場合に、 窒化化合物層 1 2 1が厚くなり易いという傾 向を確認した。 そして、 具体的に、 3 1 5(3鋼を、 処理温度: 6 5 0 ° 〇、 窒 化ポテンシャル: 0 . 2、 処理時間: 2時間で浸窒処理し、 急冷して、 処理 温度: 2 5 0 °〇、 処理時間: 2時間で再加熱した時、 窒化化合物層 1 2 1の 厚みは 3 0 であった (後述の表 1の実施例 2— 3 0参照) 。 従って、 当 業者が本発明の課題を解決できると認識し得 る窒化化合物層 1 1 1の厚さの 最大値を、 3 0 |^|とした。

[0078] その他、 本件発明者は、 窒化化合物層 1 2 1の厚さについても、 浸窒処理 時の窒化ポテンシャルが高い場合に厚くなる という傾向を確認している。

[0079] (第 1実施形態の窒化鋼部材 1 1 0の窒化化合物層 1 1 1中の· ^ 相の体積 比率)

本件発明者は、 窒化化合物層 1 1 1中のァ’ 相の体積比率について、 より 大きい方が硬さを高めるためには好ましいこ とを確認している。 最小値につ いては、 具体的に、 3 5〇〇鋼を、 処理温度: 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル : 0 . 6、 処理時間: 2時間で浸窒処理し、 急冷して、 処理温度: 2 5 0 °〇 、 処理時間: 2時間で再加熱した時、 窒化化合物層 1 1 1中の· ^ 相の体積 比率は 2 0 %であった (後述の表 1の実施例 1 _ 5 0参照) 。 従って、 当業 者が本発明の課題を解決できると認識し得る 窒化化合物層 1 1 1中のァ’ 相 の体積比率の最小値を、 2 0 %とした。 〇 2020/175453 15 卩(:170? 2020 /007395

[0080] (第 2実施形態の窒化鋼部材 1 2 0の窒化化合物層 1 2 1中の· ^ 相の体積 比率)

本件発明者は、 窒化化合物層 1 2 1中の· ^ 相の体積比率についても、 よ り大きい方が硬さを高めるためには好ましい ことを確認している。 最小値に ついては、 具体的に、 3 1 5〇鋼を、 処理温度: 6 5 0 °〇、 窒化ポテンシャ ル: 0 . 2、 処理時間: 2時間で浸窒処理し、 急冷して、 処理温度 = 2 5 0 °〇、 処理時間: 2時間で再加熱した時、 窒化化合物層 1 2 1中の· ^ 相の体 積比率は 3 0 %であった (後述の表 1の実施例 2 _ 3 0参照) 。 従って、 当 業者が本発明の課題を解決できると認識し得 る窒化化合物層 1 2 1中の· ^ 相の体積比率の最小値を、 3 0 %とした。

[0081 ] (窒化鋼部材の製造装置の構成)

続いて、 窒化鋼部材の製造装置について説明する。 まず、 ガス窒化処理の 基本的事項について化学的に説明すれば、 ガス窒化処理では、 被処理品が配 置される処理炉 (ガス窒化炉) 内において、 以下の式 (1) で表される窒化 反応が発生する。

3®[1\1]+3/2¾ - ( 1)

[0082] このとき、 窒化ポテンシャル%は、 以下の式 (2) で定義される。

%= 3 /2

ここで、 卩 は炉内アンモニア分圧であり、 は炉内水素分圧である。 窒化ポ テンシャル は、 ガス窒化炉内の雰囲気が有する窒化能力を表 す指標として周 知である。

[0083] 一方、 ガス窒化処理中の炉内では、 当該炉内へ導入されたアンモニアガス の一部が、 式 (3) の反応にしたがって水素ガスと窒素ガスとに 熱分解する ®1 /21\1 2 +3/2¾ - (3)

[0084] 炉内では、 主に式 (3) の反応が生じており、 式 (1) の窒化反応は量的 にはほとんど無視できる。 したがって、 式 (3) の反応で消費された炉内ア ンモニア濃度または式 (3) の反応で発生された水素ガス濃度が分かれば 、 〇 2020/175453 16 卩(:170? 2020 /007395

窒化ポテンシャルを演算することができる 。 すなわち、 発生される水素及び 窒素は、 アンモニア 1モルから、 それぞれ 1 . 5モルと〇. 5モルであるか ら、 炉内アンモニア濃度を測定すれば炉内水素濃 度も分かり、 窒化ポテンシ ャルを演算することができる。 あるいは、 炉内水素濃度を測定すれば、 炉内 アンモニア濃度が分かり、 やはり窒化ポテンシャルを演算することがで きる

[0085] なお、 ガス窒化炉内に流されたアンモニアガスは、 炉内を循環した後、 炉 外へ排出される。 すなわち、 ガス窒化処理では、 炉内の既存ガスに対して、 フレッシュ (新た) なアンモニアガスを炉内へ絶えず流入させる ことにより 、 当該既存ガスが炉外へ排出され続ける (供給圧で押し出される) 。

[0086] ここで、 炉内へ導入されるアンモニアガスの流量が少 なければ、 炉内での ガス滞留時間が長くなるため、 分解されるアンモニアガスの量が増加して、 当該分解反応によって発生される窒素ガス十 水素ガスの量は増加する。 一方 、 炉内へ導入されるアンモニアガスの流量が多 ければ、 分解されずに炉外へ 排出されるアンモニアガスの量が増加して、 炉内で発生される窒素ガス十水 素ガスの量は減少する。

[0087] さて、 図 1 2は、 本発明の一実施形態による窒化鋼部材を製造 するための 製造装置を示す概略図である。 図 1 2に示すように、 本実施形態の製造装置 1は、 循環型処理炉 2を備えており、 当該循環型処理炉 2内へ導入するガス として、 アンモニアとアンモニア分解ガスの 2種類のみを用いている。 アン モニア分解ガスとは、 八 Xガスとも呼ばれるガスで、 1 : 3の比率の窒素と 水素とからなる混合ガスである。 もっとも、 導入ガスとしては、 (1) アン モニアガスのみ、 (2) アンモニアとアンモニア分解ガスの 2種類のみ、 ( 3) アンモニアと窒素ガスの 2種類のみ、 または、 (4) アンモニアとアン モニア分解ガスと窒素ガスの 3種類のみ、 から選択され得る。

[0088] 循環型処理炉 2の断面構造例を、 図 1 3に示す。 図 1 3において、 炉壁 ( ベルとも呼ばれる) 2 0 1の中に、 レトルトと呼ばれる円筒 2 0 2が配置さ れ、 更にその内側に内部レトルトと呼ばれる円筒 2 0 4が配置されている。 〇 2020/175453 17 卩(:170? 2020 /007395

ガス導入管 2 0 5から供給される導入ガスは、 図中の矢印に示されるように 、 被処理品の周囲を通過した後、 攪拌扇 2 0 3の作用によって 2つの円筒 2 0 2、 2 0 4間の空間を通過して循環する。 2 0 6は、 フレア付きのガスフ —ドであり、 2 0 7は、 熱電対であり、 2 0 8は冷却作業用の蓋であり、 2 0 9は、 冷却作業用のファンである。 当該循環型処理炉 2は、 横型ガス窒化 炉とも呼ばれており、 その構造自体は公知のものである。

[0089] 被処理品 3は、 炭素鋼または低合金鋼であって、 例えば自動車部品である クランクシャフトやギア等である。

[0090] また、 図 1 2に示すように、 本実施形態の表面硬化処理装置 1の処理炉 2 には、 炉開閉蓋 7と、 攪拌ファン 8と、 攪拌ファン駆動モータ 9と、 雰囲気 ガス濃度検出装置 3と、 窒化ポテンシャル調節計 4と、 プログラマブルロジ ックコントローラ 3 1 と、 炉内導入ガス供給部 2 0と、 が設けられている。

[0091 ] 攪拌ファン 8は、 処理炉 2内に配置されており、 処理炉 2内で回転して、 処理炉 2内の雰囲気を攪拌するようになっている。 攪拌ファン駆動モータ 9 は、 攪拌ファン 8に連結されており、 攪拌ファン 8を任意の回転速度で回転 させるようになっている。

[0092] 雰囲気ガス濃度検出装置 3は、 処理炉 2内の水素濃度またはアンモニア濃 度を炉内雰囲気ガス濃度として検出可能なセ ンサにより構成されている。 当 該センサの検出本体部は、 雰囲気ガス配管 1 2を介して処理炉 2の内部と連 通している。 雰囲気ガス配管 1 2は、 本実施形態においては、 雰囲気ガス濃 度検出装置 3のセンサ本体部と処理炉 2とを直接連通させる経路で形成され 、 途中で排ガス燃焼分解装置 4 1へ繫がる炉内ガス廃棄配管 4 0が接続され ている。 これにより、 雰囲気ガスは、 廃棄されるガスと雰囲気ガス濃度検出 装置 3に供給されるガスとに分配される。

[0093] また、 雰囲気ガス濃度検出装置 3は、 炉内雰囲気ガス濃度を検出した後、 当該検出濃度を含む情報信号を、 窒化ポテンシャル調節計 4へ出力するよう になっている。

[0094] 窒化ポテンシャル調節計 4は、 炉内窒化ポテンシャル演算装置 1 3と、 ガ 〇 2020/175453 18 卩(:170? 2020 /007395

ス流量出力調整装置 3 0と、 を有している。 また、 プログラマブルロジック コントローラ 3 1は、 ガス導入量制御装置 1 4と、 パラメータ設定装置 1 5 と、 を有している。

[0095] 炉内窒化ポテンシャル演算装置 1 3は、 炉内雰囲気ガス濃度検出装置 3に よって検出される水素濃度またはアンモニア 濃度に基づいて、 処理炉 2内の 窒化ポテンシャルを演算するようになってい る。 具体的には、 実際の炉内導 入ガスに応じてプログラムされた窒化ポテン シャルの演算式が組み込まれて おり、 炉内雰囲気ガス濃度の値から窒化ポテンシャ ルを演算するようになっ ている。

[0096] パラメータ設定装置 1 5は、 例えばタッチパネルからなり、 炉内導入ガス の総流量、 ガス種、 処理温度、 目標窒化ポテンシャル、 等をそれぞれ設定入 力できるようになっている。 設定入力された各設定パラメータ値は、 ガス流 量出力調整装置 3 0へ伝送されるようになっている。

[0097] そして、 ガス流量出力調整装置 3 0が、 炉内窒化ポテンシャル演算装置 1

3によって演算された窒化ポテンシャルを出 値とし、 目標窒化ポテンシャ ル (設定された窒化ポテンシャル) を目標値とし、 アンモニアガスとアンモ ニア分解ガスの各々の導入量を入力値とした 制御を実施するようになってい る。 より具体的には、 アンモニア分解ガスの炉内導入量を一定とし 且つアン モニアガスの炉内導入量を変化させる制御を 実施できるようになっている。 ガス流量出力調整装置 3 0の出力値は、 ガス導入量制御装置 1 4へ伝達され るようになっている。

[0098] ガス導入量制御装置 1 4は、 各ガスの導入量を実現するべく、 アンモニア ガス用の第 1供給量制御装置 2 2とアンモニア分解ガス用の第 2供給量制御 装置 2 6とにそれぞれ制御信号を送るようになって る。

[0099] 本実施形態の炉内導入ガス供給部 2 0は、 アンモニアガス用の第 1炉内導 入ガス供給部 2 1 と、 第 1供給量制御装置 2 2と、 第 1供給弁 2 3と、 第 1 流量計と、 を有している。 また、 本実施形態の炉内導入ガス供給部 2 0は、 アンモニア分解ガス (八乂ガス) 用の第 2炉内導入ガス供給部 2 5と、 第 2 〇 2020/175453 19 卩(:170? 2020 /007395

供給量制御装置 2 6と、 第 2供給弁 2 7と、 第 2流量計と、 を有している。

[0100] 本実施形態では、 アンモニアガスとアンモニア分解ガスとは、 処理炉 2内 に入る前の炉内導入ガス導入配管 2 9内で混合されるようになっている。

[0101 ] 第 1炉内導入ガス供給部 2 1は、 例えば、 第 1炉内導入ガス (本例ではア ンモニアガス) を充填したタンクにより形成されている。

[0102] 第 1供給量制御装置 2 2は、 マスフローコントローラにより形成されてお り、 第 1炉内導入ガス供給部 2 1 と第 1供給弁 2 3との間に介装されている 。 第 1供給量制御装置 2 2の開度が、 ガス導入量制御装置 1 4から出力され る制御信号に応じて変化する。 また、 第 1供給量制御装置 2 2は、 第 1炉内 導入ガス供給部 2 1から第 1供給弁 2 3への供給量を検出し、 この検出した 供給量を含む情報信号をガス導入量制御装置 1 4へ出力するようになってい る。 当該制御信号は、 ガス導入量制御装置 1 4による制御の補正等に用いら れ得る。

[0103] 第 1供給弁 2 3は、 ガス導入量制御装置 1 4が出力する制御信号に応じて 開閉状態を切り換える電磁弁により形成され ており、 第 1供給量制御装置 2 2と第 1流量計との間に介装されている。

[0104] 第 2炉内導入ガス供給部 2 5は、 例えば、 第 2炉内導入ガス (本例ではア ンモニア分解ガス) を充填したタンクにより形成されている。

[0105] 第 2供給量制御装置 2 6は、 マスフローコントローラにより形成されてお り、 第 2炉内導入ガス供給部 2 5と第 2供給弁 2 7との間に介装されている 。 第 2供給量制御装置 2 6の開度が、 ガス導入量制御装置 1 4から出力され る制御信号に応じて変化する。 また、 第 2供給量制御装置 2 6は、 第 2炉内 導入ガス供給部 2 5から第 2供給弁 2 7への供給量を検出し、 この検出した 供給量を含む情報信号をガス導入量制御装置 1 4へ出力するようになってい る。 当該制御信号は、 ガス導入量制御装置 1 4による制御の補正等に用いら れ得る。

[0106] 第 2供給弁 2 7は、 ガス導入量制御装置 1 4が出力する制御信号に応じて 開閉状態を切り換える電磁弁により形成され ており、 第 2供給量制御装置 2 \¥0 2020/175453 20 ?01/1?2020/007395

6と第 2流量計との間に介装されている。

[0107] (窒化鋼部材の製造装置の作用 (製造方法) )

次に、 本実施形態の製造装置 1の作用について説明する。 まず、 循環型処 理炉 2内に被処理品 3が投入され、 循環型処理炉 2が所望の処理温度に加熱 される。 その後、 炉内導入ガス供給部 2 0からアンモニアガスとアンモニア 分解ガスとの混合ガス、 あるいはアンモニアガスのみ、 が設定初期流量で処 理炉 2内へ導入される。 この設定初期流量も、 パラメータ設定装置 1 5にお いて設定入力可能であり、 第 1供給量制御装置 2 2及び第 2供給量制御装置 2 6 (共にマスフローコントローラ) によって制御される。 また、 攪拌ファ ン駆動モータ 9が駆動されて攪拌ファン 8が回転し、 処理炉 2内の雰囲気を 攪拌する。

[0108] 窒化ポテンシャル調節計 4の炉内窒化ポテンシャル演算装置 1 3は、 炉内 の窒化ポテンシャルを演算し (最初は極めて高い値である (炉内に水素が存 在しないため) がアンモニアガスの分解 (水素発生) が進行するにつれて低 下してくる) 、 目標窒化ポテンシャルと基準偏差値との和を 下回ったか否か を判定する。 この基準偏差値も、 パラメータ設定装置 1 5において設定入力 可能である。

[0109] 炉内窒化ポテンシャルの演算値が目標窒化ポ テンシャルと基準偏差値との 和を下回ったと判定されると、 窒化ポテンシャル調節計 4は、 ガス導入量制 御装置 1 4を介して、 炉内導入ガスの導入量の制御を開始する。

[01 10] 窒化ポテンシャル調節計 4の炉内窒化ポテンシャル演算装置 1 3は、 入力 される水素濃度信号またはアンモニア濃度信 号に基づいて炉内窒化ポテンシ ャルを演算する。 そして、 ガス流量出力調整装置 3 0は、 炉内窒化ポテンシ ャル演算装置 1 3によって演算された窒化ポテンシャルを出 値とし、 目標 窒化ポテンシャル (設定された窒化ポテンシャル) を目標値とし、 炉内導入 ガスの導入量を入力値とした I 0制御を実施する。 具体的には、 当該 I 口制御において、 アンモニア分解ガスの炉内導入量を一定とし 且つアンモニ アガスの炉内導入量を変化させる制御を実施 するようになっている。 当該 〇 2020/175453 21 卩(:170? 2020 /007395

I 口制御においては、 パラメータ設定装置 1 5にて設定入力された各設定パ ラメータ値が用いられる。 この設定パラメータ値は、 例えば、 目標窒化ポテ ンシャルの値に応じて異なる値が用意されて いる。

[01 1 1 ] そして、 ガス流量出力調整装置 3 0が、 I 口制御の結果として、 炉内導 入ガスの各々の導入量を制御する。 具体的には、 ガス流量出力調整装置 3 0 が、 各ガスの流量を決定し、 当該出力値がガス導入量制御装置 1 4へ伝達さ れる。

[01 12] ガス導入量制御装置 1 4は、 各ガスの導入量を実現するべく、 アンモニア ガス用の第 1供給量制御装置 2 2とアンモニア分解ガス用の第 2供給量制御 装置 2 6とにそれぞれ制御信号を送る。

[01 13] 以上のような制御により、 炉内窒化ポテンシャルを目標窒化ポテンシャ ル の近傍に安定的に制御することができる。 これにより、 被処理品 3の浸窒処 理を極めて高品質に行うことができる。

[01 14] 以上のような制御の一例を、 図 1 4八及び図 1 4巳に示す。 アンモニア分 解ガスの炉内導入量が一定であり、 アンモニアガスの炉内導入量が 4 0 (丨 /〇! 丨 11) の近傍で小刻みにフイードバック制御されて いる。 この結果、 窒 化ポテンシャルが〇. 1 7に高精度に制御されている。

[01 15] 更に、 被処理品 3の材料種類や形状によっては、 当該製造装置 1 において 浸窒処理後の冷却工程をも実施することが可 能である。 しかし、 当該製造装 置 1の冷却速度では処理後に十分な硬さが得ら ない場合は、 当該製造装置 1での浸窒処理後、 加熱温度を保持した状態で、 被処理品 3を炉外の急冷装 置 (例えば油槽) へ搬送し、 その後に急冷することが必要である。 あるいは 、 製造装置 1 において冷却した後の被処理品 3を製造装置 1から取り出して 、 急冷装置を備えた別の加熱炉において加熱温 度まで再度昇温し、 その後に 急冷することが必要である。

[01 16] 本件発明者の検討によれば、 1 . 0 %以上の窒素で安定化した才ーステナ イ ト組織は、 冷却速度が遅いとブラウナイ ト (フェライ ト相とァ’ 相の層状 組織) となり、 硬さや疲労強度の低下を招く懸念がある。 従って、 ガス冷却 〇 2020/175453 22 卩(:170? 2020 /007395

や空冷を採用する場合には、 部品毎にその冷却速度を最適化することが重 要 である。 一方、 油冷を採用する場合には、 一般的な部品であれば才ーステナ イ ト組織を保持することが十分に可能である。

[0117] (案内筒 (内部レトルト) の重要性について)

また、 本件発明者の実験によれば、 製造装置 1から案内筒 5 (内部レトル 卜) を取り除いて窒化処理を実施した場合には、 窒化ポテンシャルの炉内均 —性が低下して、 処理の均一性が低下することが確認された。

[0118] (硬度及び疲労強度の検証)

図 1 5に示すような形状 (¢ 25 X80101サイズ) の 345〇鋼 (試験片 ) を対象にして、 後記する表 1 に示す各条件で処理を行って、 図 1 6に示す ような摩擦摩耗試験機 (ドイツのォプチモール社製:振動摩擦摩耗 試験機 3 V 4) を用いて耐摩耗性を評価した。

[0119] 摺動子として、 ¢ 1 0の窒化珪素 (硬さ :約 1 6001 ~ 1 ) のボールが用 いられ、 乾式 (室温 25 ° (:、 湿度 30%、 潤滑油なし) の条件下で、 1 〇 の負荷荷重を与えながら、 往復摺動が繰り返され (振幅 1 、 501 ~ 12、

1 〇分) 、 最大摩耗量 (摺動方向に垂直な断面で測定) が測定された。

[0120] 図 1 6において、 401は、 オシレーシヨンブロックヘッ ドプレートであ り、 4023は、 ねじれセンサであり、 402匕は、 試験片固定具であり、

4033は、 上部試験片ホルダであり、 404は、 垂直荷重軸である。

[0121] [表 1]

[0122] (実施例 1 _30) 〇 2020/175453 23 卩(:170? 2020 /007395

表 1 における実施例 1 _ 3 0が、 図 1及び図 2を用いて説明した第 1実施 形態の窒化鋼部材 1 1 〇に相当している。 当該実施例 1 _ 3 0は、 前述の循 環型処理炉 2を用いて、 処理温度: 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル: 0 . 4、 処理時間: 2時間、 という処理条件で浸窒処理された後、 急冷され、 更に処 理温度: 2 5 0 ° 〇、 処理時間: 2時間、 という処理条件で再加熱されること で、 製造された (母相は 3 4 5(3鋼) 。

[0123] 窒化化合物層の相分布は、 £相、 · ^ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物 層の厚さは、 窒化鋼部材の表面から約 3 0 〇!であり、 窒化化合物層中の * ^

’ 相の体積比率は、 4 1 %であった。

[0124] このような実施例 1 _ 3 0の窒化鋼部材は、 図 1 1 に黒三角点で示された ような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大摩耗 量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0125] (実施例 1 - 3 6)

実施例 1 _ 3 6は、 実施例 1 _ 3 0に対して浸窒処理時の窒化ポテンシャ ルを 0 . 5に変更することによって製造された窒化鋼 材である。

[0126] 窒化化合物層の相分布は、 £相、 · ^ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物 層の厚さは、 窒化鋼部材の表面から約 3 6 〇!であり、 窒化化合物層中の * ^

’ 相の体積比率は、 3 3 %であった。

[0127] このような実施例 1 —3 6の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に黒三角点で示さ れたような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大 摩耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0128] (実施例 1 - 4 0)

実施例 1 _ 4 0は、 実施例 1 _ 3 0に対して浸窒処理時の窒化ポテンシャ ルを 0 . 6に変更することによって製造された窒化鋼 材である。

[0129] 窒化化合物層の相分布は、 £相、 · ^ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物 層の厚さは、 窒化鋼部材の表面から約 4 0 01であり、 窒化化合物層中の * ^

’ 相の体積比率は、 2 4 %であった。

[0130] このような実施例 1 —4 0の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に黒三角点で示さ 〇 2020/175453 24 卩(:170? 2020 /007395

れたような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大 摩耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0131 ] (実施例 1 - 5 0)

実施例 1 —5 0は、 実施例 1 —3 0に対して、 母相を 3 5 0(3鋼に変更し 、 更に浸窒処理時の窒化ポテンシャルを〇. 6に変更することによって製造 された窒化鋼部材である。

[0132] 窒化化合物層の相分布は、 £相、 · ^ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物 層の厚さは、 窒化鋼部材の表面から約 5 0 〇!であり、 窒化化合物層中の * ^

’ 相の体積比率は、 2 0 %であった。

[0133] このような実施例 1 —5 0の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に黒三角点で示さ れたような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大 摩耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0134] (実施例 1 - 1 5)

実施例 1 _ 1 5は、 実施例 1 _ 3 0に対して、 浸窒処理時の窒化温度を 6 2 0 °〇に変更することによって製造された窒化 部材である。

[0135] 窒化化合物層の相分布は、 ァ’ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物層の厚 さは、 窒化鋼部材の表面から約 1 5 であり、 窒化化合物層中のァ’ 相の 体積比率は、 3 7 %であった。

[0136] このような実施例 1 _ 1 5の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に白丸点で示され たような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大摩 耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0137] (参考例 1 _ 3 0、 参考例 1 _ 3 6、 参考例 1 _ 4 0)

実施例 1 —3 0、 実施例 1 —3 6、 実施例 1 —4 0について、 それぞれ、 再加熱処理前の状態を参考例 1 _ 3 0、 参考例 1 _ 3 6、 参考例 1 _ 4 0と して、 硬度及び最大摩耗量が評価された。

[0138] その結果、 硬度については、 図 1 1 に白三角点で示されたような不十分な 硬度分布であることが分かり、 摩擦摩耗特性についても、 表 1 に示されたよ うな比較的高い最大摩耗量であった。 〇 2020/175453 25 卩(:170? 2020 /007395

[0139] (実施例 2 - 1 2)

表 1 における実施例 2— 1 2が、 図 5及び図 6を用いて説明した第 2実施 形態の窒化鋼部材 1 2 0に相当している。 当該実施例 2 _ 1 2は、 前述の循 環型処理炉 2を用いて、 処理温度: 6 4 0 °〇、 窒化ポテンシャル: 0 . 2、 処理時間: 2時間、 という処理条件で浸窒処理された後、 急冷され、 更に処 理温度: 2 5 0 ° 〇、 処理時間: 2時間、 という処理条件で再加熱されること で、 製造された (母相は 3 4 5(3鋼) 。

[0140] 窒化化合物層の相分布は、 ァ’ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物層の厚 さは、 窒化鋼部材の表面から約 1 2 であり、 窒化化合物層中のァ’ 相の 体積比率は、 5 2 %であった。

[0141 ] このような実施例 2 - 1 2の窒化鋼部材は、 図 1 1 に白丸点で示されたよ うな十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大摩耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0142] (実施例 2 - 7)

実施例 2 _ 7は、 実施例 2 - 1 2に対して浸窒処理時の窒化ポテンシャル を 0 . 1 8に変更することによって製造された窒化鋼 材である。

[0143] 窒化化合物層の相分布は、 ァ’ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物層の厚 さは、 窒化鋼部材の表面から約 7 であり、 窒化化合物層中のァ’ 相の体 積比率は、 6 0 %であった。

[0144] このような実施例 2 - 7の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に白丸点で示された ような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大摩耗 量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0145] (実施例 2 - 1 6)

実施例 2 _ 1 6は、 実施例 2 _ 1 2に対して浸窒処理時の窒化温度を 6 3 〇 ° 〇、 窒化ポテンシャルを〇. 2 5に変更することによって製造された窒化 鋼部材である。

[0146] 窒化化合物層の相分布は、 ァ’ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物層の厚 さは、 窒化鋼部材の表面から約 1 6 であり、 窒化化合物層中のァ’ 相の 〇 2020/175453 26 卩(:170? 2020 /007395

体積比率は、 4 5 %であった。

[0147] このような実施例 2 _ 1 6の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に白丸点で示され たような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大摩 耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

[0148] (実施例 2 - 3 0)

実施例 2— 3 0は、 実施例 2— 1 2に対して、 母相を 3 1 5(3鋼に変更し 、 更に浸窒処理時の窒化温度を 6 5 0 °〇、 窒化ポテンシャルを〇. 2に変更 することによって製造された窒化鋼部材であ る。

[0149] 窒化化合物層の相分布は、 ア’ 相、 £相の順番であり、 窒化化合物層の厚 さは、 窒化鋼部材の表面から約 3〇 であり、 窒化化合物層中のア’ 相の 体積比率は、 3 0 %であった。

[0150] このような実施例 2— 3 0の窒化鋼部材も、 概ね図 1 1 に白丸点で示され たような十分な硬度分布を提供し、 且つ、 表 1 に示されたような低い最大摩 耗量 (十分な摩擦摩耗特性) を提供することが確認された。

符号の説明

[0151 ] 1 窒化鋼部材の製造装置 (表面硬化装置)

2 循環型処理炉

3 雰囲気ガス濃度検出装置

4 窒化ポテンシャル調節計

5 内部レトルト

6 レトルト

7 炉開閉蓋

8 攪拌ファン

9 攪拌ファン駆動モータ

1 2 雰囲気ガス配管

1 3 炉内窒化ポテンシャル演算装置

1 4 ガス導入量制御装置

1 5 パラメータ設定装置 (タッチパネル) /175453 27 卩(:170? 2020 /007395 0 炉内導入ガス供給部

1 第 1炉内導入ガス供給部

2 第 1供給量制御装置

3 第 1供給弁

5 第 2炉内導入ガス供給部

6 第 2供給量制御装置

7 第 2供給弁

9 炉内導入ガス導入配管

0 ガス流量出力調整装置

1 プログラマブルロジックコントロ フ

0 炉内ガス廃棄配管

1 排ガス燃焼分解装置

1 0 窒化鋼部材 (第 1実施形態)

1 1 窒化化合物層

1 2 硬化層

1 3 拡散層

20 窒化鋼部材 (第 2実施形態)

2 1 窒化化合物層

22 硬化層

23 拡散層

60 窒化鋼部材 (参考例 1)

6 1 窒化化合物層に対応する領域

70 窒化鋼部材 (参考例 2)

7 1 窒化化合物層に対応する領域

00 窒化鋼部材 (比較例)

01 窒化化合物層

03 拡散層

01 炉壁またはべル /175453 28 卩(:170? 2020 /007395 02 レトルト

03 撹拌扇

04 案内筒 (内部レトルト)

05 ガス導入管

06 フレア付きのガスフード

07 熱電対

08 冷却作業用の蓋

09 冷却作業用の送風機