JP2011158909A | 2011-08-18 | |||
JP2014052482A | 2014-03-20 | |||
JP2015225154A | 2015-12-14 | |||
JP2017028259A | 2017-02-02 | |||
JP2008270516A | 2008-11-06 | |||
JP2013253895A | 2013-12-19 | |||
JPS57114470A | 1982-07-16 |
\¥0 2020/175320 24 卩(:17 2020 /006836 請求の範囲 [請求項 1 ] 基板と、 該基板の一方の主面上に設けられた屈折率の異なる誘電体薄膜を積 層した第 1の光学多層膜と、 該第 1の光学多層膜の表面に設けられたフツ化マグネシウム膜と、 を備え、 前記フツ化マグネシウム膜は、 マグネシウム成分を含む酸化物層を 空気側の最表面の少なくとも一部に有することを特徴とする光学フィ ルタ。 [請求項 2] 前記フツ化マグネシウム膜を備える側の光学フィルタの主面は、 表 面粗さ (8 3) が〇. 4 n であることを特徴とする請 求項 1 に記載の光学フィルタ。 [請求項 3] 前記フツ化マグネシウム膜を備える側の光学フィルタの主面は、 純 水に対する接触角が 5 ° 〜 8 0 ° であることを特徴とする請求項 1 ま たは請求項 2に記載の光学フィルタ。 [請求項 4] 前記基板は、 他方の主面上に透明樹脂及び赤外線吸収色素を含有す る近赤外線吸収層を備えることを特徴とする請求項 1ないし請求項 3 のいずれか 1項に記載の光学フィルタ。 [請求項 5] 前記近赤外線吸収層の表面に第 2の光学多層膜を備えることを特徴 とする請求項 4に記載の光学フィルタ。 [請求項 6] 前記基板は、 ガラス又は樹脂であることを特徴とする請求項 1ない し請求項 5のいずれか 1項に記載の光学フィルタ。 [請求項 7] 前記光学フィルタは、 近赤外領域の波長の光をカツ トする近赤外線 カツ トフィルタであることを特徴とする請求項 1ないし請求項 6のい ずれか 1項に記載の光学フィルタ。 [請求項 8] 請求項 1ないし請求項 7のいずれか 1項に記載の前記光学フィルタ を複数個備え、 前記光学フィルタの両主面は保護用シートにて挟持されていることを 〇 2020/175320 25 卩(:171? 2020 /006836 特徴とする光学フィルタの搬送支持体。 [請求項 9] 基板を準備する工程と、 該基板の一方の主面上に第 1の光学多層膜 を形成する工程と、 形成された第 1の光学多層膜の表面にフッ化マグ ネシウム膜を形成する工程と、 フッ化マグネシウム膜が形成された基 板を個片に切断する工程と、 を少なくとも備える光学フィルタの製造 方法。 [請求項 10] 前記フッ化マグネシウム膜が形成された基板を個片に切断する工程 は、 基板の切断予定線に沿って、 レーザを用いて基板内部に改質層を 形成する工程と、 基板に応力を作用することにより該改質層からクラ ックを伸展し、 基板を切断する工程とを含む請求項 9の光学フィルタ の製造方法。 [請求項 1 1 ] 前記フッ化マグネシウム膜が形成された基板を個片に切断する工程 は、 基板の切断予定線に沿って、 回転刃を用いて基板を切断する工程 とを含む請求項 9の光学フィルタの製造方法。 [請求項 12] 前記フッ化マグネシウム膜が形成された基板を個片に切断する工程 の前に、 基板の他方の主面上に透明樹脂及び赤外線吸収色素を含有す る近赤外線吸収層を形成する工程と、 近赤外線吸収層の表面に第 2の 光学多層膜を形成する工程とを備える請求項 9ないし 1 1のいずれか 1項の光学フィルタの製造方法。 [請求項 13] 前記フッ化マグネシウム膜が形成された基板を個片に切断する工程 の前もしくは後に、 該フッ化マグネシウム膜の空気側の最表面の少な くとも一部にマグネシウム成分を含む酸化物層を形成する工程を備え る請求項 9ないし 1 2のいずれか 1項の光学フィルタの製造方法。 |
発明の名称 :
光学フィルタ、 光学フィルタの搬送支持体、 光学フィルタの製造方法 技術分野
[0001] 本発明は、 光学フィルタ、 及び光学フィルタの製造方法に関する。 また、 光学フィルタの搬送支持体に関する。
背景技術
[0002] CCD (C h a r g e Co u p l e d D e v i c e) イメージセンサ 、 CMOS (Com p l e me n t a r y Me t a l Ox i d e S e m i c o n d u c t o r) イメージセンサ等の固体撮像素子は、 人間の視感 度特性に比べて赤外光に強い感度を有する。
[0003] このため、 例えばデジタルカメラやデジタルビデオ等で は、 近赤外線カツ トフィルタ等の光学フィルタを用いることに より分光補正を行っている。
[0004] 近年、 携帯電話やスマートフォンに搭載される撮像 装置の薄型化に伴い、 撮像装置に用いられる光学フィルタと撮像素 子との距離が短くなる傾向にあ る。 また、 カメラの高精細化の進展により、 撮像素子の 1画素 (ピクセル) のサイズが小さくなる傾向にある。
[0005] これらにより、 光学フィルタ表面に存在する異物への要求が 非常に厳しく なっている。 具体的には、 従来不問とされてきた微小サイズの異物が問 題と なる。
[0006] 従来、 光学フィルタ表面のゴミの吸着を抑制する技 術として、 光学多層膜 の最終層に酸化インジウムスズ ( I T〇 : I n d i u m T i n Ox i d e) を蒸着させ、 光学多層膜フィルタの表面に導電膜を形成す る方法で帯電 を除去する方法が知られている (特許文献 1) 。
先行技術文献
特許文献
[0007] 特許文献 1 : 日本国特開 2007— 29895 1号公報 \¥0 2020/175320 2 卩(:17 2020 /006836 発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0008] 光学フィルタの帯電を除去するため、 表面に 丨 丁〇を形成することは有効 な手段である。 しかしながら、 ゴミの付着が懸念される製造工程の際、 もし くはその製造工程の直前に 丨 丁〇にアースをしてフィルタの帯電を除去す る 必要があり、 非常に手間がかかる。 更に、 帯電の状態に関わらず、 丨 丁〇の 表面に一旦付着したゴミは、 丨 丁〇との付着力が強く、 容易に除去できない ことを本発明者らは確認した。
[0009] 例えば、 光学フィルタの製造工程においては、 フィルタ表面のゴミを除去 するため洗浄工程を行うが、 丨 丁〇に付着したゴミは十分に除去できないお それがある。 特に、 微小な異物は、 質量が小さいため、 超音波洗浄のような 振動が作用しにくく、 フィルタ表面に付着してしまうと除去が難し いと考え られる。
[0010] 本発明は、 このような背景に鑑みてなされたものであり 、 光学フィルタ表 面に微小な異物等の付着が少ないクリーンな 光学フィルタを提供することを 目的とする。
課題を解決するための手段
[001 1 ] 本発明の実施形態の光学フィルタは、 基板と、 基板の一方の主面上に設け られた屈折率の異なる誘電体薄膜を積層した 第 1の光学多層膜と、 第 1の光 学多層膜の表面に設けられたフッ化マグネシ ウム膜と、 を備え、 フッ化マグ ネシウム膜は、 マグネシウム成分を含む酸化物層を空気側の 最表面の少なく とも一部に有する。
[0012] 本発明の他の実施形態の光学フィルタにおい ては、 上記フッ化マグネシウ ム膜を備える側の光学フィルタの主面は、 表面粗さ ([^ 3) が〇. 3 n m〜 2 . 4 01である。
[0013] 本発明の他の実施形態の光学フィルタにおい ては、 上記フッ化マグネシウ ム膜を備える側の光学フィルタの主面は、 純水に対する接触角が 5 ° 〜 8 0 ° である。 〇 2020/175320 3 卩(:171? 2020 /006836
[0014] 本発明の他の実施形態の光学フィルタにおい ては、 上記基板は、 他方の主 面上に透明樹脂及び赤外線吸収色素を含有す る近赤外線吸収層を備える。
[0015] 本発明の他の実施形態の光学フィルタにおい ては、 上記近赤外線吸収層の 表面に第 2の光学多層膜を備える。
[0016] 本発明の他の実施形態の光学フィルタにおい ては、 上記基板は、 ガラス又 は樹脂である。
[0017] 本発明の他の実施形態の光学フィルタにおい ては、 近赤外領域の波長の光 をカッ トする近赤外線カッ トフィルタである。
[0018] また、 本発明の実施形態の光学フィルタの搬送支持 体は、 上記光学フィル 夕を複数個備え、 上記光学フィルタの両主面は保護用シートに て挟持されて いる。
[0019] また、 本発明の実施形態の光学フィルタの製造方法 は、 基板を準備するエ 程と、 該基板の一方の主面上に第 1の光学多層膜を形成する工程と、 形成さ れた第 1の光学多層膜の表面にフッ化マグネシウム を形成する工程と、 フ ッ化マグネシウム膜が形成された基板を個片 に切断する工程と、 を少なくと も備える。
[0020] 本発明の他の実施形態の光学フィルタの製造 方法においては、 上記フッ化 マグネシウム膜が形成された基板を個片に切 断する工程は、 基板の切断予定 線に沿って、 レーザを用いて基板内部に改質層を形成する 工程と、 基板に応 力を作用することにより該改質層からクラッ クを伸展し、 基板を切断するエ 程とを含む。
[0021 ] 本発明の他の実施形態の光学フィルタの製造 方法においては、 上記フッ化 マグネシウム膜が形成された基板を個片に切 断する工程は、 基板の切断予定 線に沿って、 回転刃を用いて基板を切断する工程とを含む 。
[0022] 本発明の他の実施形態の光学フィルタの製造 方法においては、 上記フッ化 マグネシウム膜が形成された基板を個片に切 断する工程の前に、 基板の他方 の主面上に透明樹脂及び赤外線吸収色素を含 有する近赤外線吸収層を形成す る工程と、 近赤外線吸収層の表面に第 2の光学多層膜を形成する工程とを備 \¥0 2020/175320 4 卩(:17 2020 /006836
ス ·る。
[0023] 本発明の他の実施形態の光学フィルタの製造 方法においては、 上記フッ化 マグネシウム膜が形成された基板を個片に切 断する工程の前もしくは後に、 該フッ化マグネシウム膜の空気側の最表面の 少なくとも _ 部にマグネシウム 成分を含む酸化物層を形成する工程を備える 。
発明の効果
[0024] 本発明によれば、 光学フィルタ表面に微小な異物等の付着が少 ないクリー ンな光学フィルタが提供される。
図面の簡単な説明
[0025] [図 1]本発明の第 1の実施形態に係る光学フィルタの構成を模 的に示した断 面図である。
[図 2]本発明の第 2の実施形態に係る光学フィルタの構成を模 的に示した断 面図である。
[図 3]本発明の第 3の実施形態に係る光学フィルタの構成を模 的に示した断 面図である。
[図 4]本発明の実施形態の光学フィルタの搬送 持体の構成を模式的に示した 平面図である。
[図 5]本発明の実施形態の光学フィルタの搬送 持体の構成を模式的に示した 部分断面図である。
[図 6]本発明の実施形態の光学フィルタの搬送 持体において、 保護用シート の剥離により異物を除去することを示す説明 図である。
発明を実施するための形態
[0026] 以下、 本発明の実施形態の光学フィルタについて、 実施形態を参照しなが ら詳細に説明する。 ただし、 本発明は以下の実施形態に限定されるもので は なく、 本発明の要旨を逸脱しない範囲で、 任意に変形して実施できる。 また 、 数値範囲を示す 「〜」 とは、 その前後に記載された数値を下限値及び上限 値として含む意味で使用される。
[0027] [第 1の実施形態] 〇 2020/175320 5 卩(:171? 2020 /006836
本発明の第 1の実施形態に係る光学フィルタ 1 0について、 図 1 を用いて 説明する。 図 1は、 光学フィルタ 1 〇の構成を模式的に示した断面図である 。 光学フィルタ 1 〇は、 平板であって、 平面視で矩形、 丸型、 および多角形 等の任意の形状で用いられる。
[0028] 光学フィルタ 1 0は、 基板 1 と、 基板 1の一方の主面上に設けられた屈折 率の異なる誘電体薄膜を積層した第 1の光学多層膜 2と、 第 1の光学多層膜 2の表面に設けられたフッ化マグネシウム膜 3と、 を備え、 フッ化マグネシ ウム膜 3は、 マグネシウム成分を含む酸化物層 4を空気側の最表面の少なく とも一部に有する。
[0029] 基板 1は、 第 1の光学多層膜 2及びフッ化マグネシウム膜 3を支持する基 体となるものである。 そのため、 これら膜の内部応力による光学フィルタの 反りや破損を抑制するため、 一定以上の剛性を備えることが好ましい。 基板 1の材料としては、 ガラス又は樹脂を好適に用いることができる 。
[0030] 光学フィルタ 1 0の薄型化の観点から、 基板 1の厚さは、 3 以下が好 ましく、 2 以下がより好ましく、 1 以下がいっそう好ましく、 〇.
5 以下が最も好ましい。 また、 基板の厚さは、 加エコストの抑制と強度 低下の抑制の観点から、 〇. 〇 5 以上が好ましく、 〇. 1 以上がよ り好ましく、 〇. 以上がいっそう好ましい。
[0031 ] 基板 1 としてガラスを用いる場合、 光学フィルタの用途に応じて公知のガ ラスを選択できる。
[0032] 例えば、 可視光を多く透過することが求められる用途 においては、 可視光 を吸収する鉄等の不純物の含有が少ない白板 ガラスが好適に用いられる。 ま た、 撮像装置の視感度補正フィルタとして、 近赤外線の光を遮蔽することが 求められる用途では、 近赤外光を吸収する銅や鉄を含有する近赤外 線吸収ガ ラスが好適に用いられる。
[0033] ガラス組成としては、 ホウケイ酸ガラス、 ソーダライムガラス、 無アルカ リガラス、 アルミノシリケートガラス、 リン酸ガラス、 およびフツリン酸ガ ラス等、 公知のガラスを挙げることができる。 〇 2020/175320 6 卩(:171? 2020 /006836
[0034] 基板 1 として樹脂を用いる場合、 光学フィルタの用途に応じて公知の樹脂 を選択できる。
[0035] 例えば、 可視光を透過することが求められる用途にお いては、 透明樹脂と して、 アクリル樹脂、 エポキシ樹脂、 エン ·チオール樹脂、 ポリカーボネー 卜樹脂、 ポリエーテル樹脂、 ポリアリレート樹脂、 ポリスルホン樹脂、 ポリ エーテルスルホン樹脂、 ポリパラフエニレン樹脂、 ポリエステル樹脂、 ポリ イミ ド樹脂、 ポリアミ ドイミ ド樹脂、 ポリオレフィン樹脂、 および環状オレ フィン樹脂等が挙げられる。
[0036] 特に、 ガラス転移温度 (丁 9) が高い樹脂として、 ポリエステル樹脂、 ポ リカ _ボネ _卜樹脂、 ポリエーテルスルホン樹脂、 ポリアリレート樹脂、 ポ リイミ ド樹脂、 およびエポキシ樹脂から選ばれる 1種以上が好ましい。
[0037] さらに、 透明基体となる樹脂は、 ポリエステル樹脂、 およびポリイミ ド樹 脂から選ばれる 1種以上がより好ましく、 ポリイミ ド樹脂が特に好ましい。 ポリエステル樹脂としては、 ポリエチレンテレフタレート樹脂、 およびポリ エチレンナフタレート樹脂などが好ましい。
[0038] 撮像装置の視感度補正フィルタとして、 近赤外線の光を遮蔽することが求 められる用途では、 上記透明樹脂に赤外光吸収色素を含有しても よい。 赤外 線吸収色素としては、 シアニン系、 ピリリウム系、 スクワリリウム系、 クロ コニウム系、 アズレニウム系、 フタロシアニン系、 ジチオール金属錯体、 ナ ヒトキノン系、 アントアキノン系、 インドフエノール系、 およびアジ系など の公知の化合物や、 銅イオンやネオジムイオン、 プラセオジムイオン、 エル ピウムイオン、 およびホルミウムイオンなどの金属イオンを 挙げることがで きる。
[0039] また、 透明樹脂に、 赤外線吸収色素と共に公知の紫外線吸収色素 を含有し てもよい。
[0040] 第 1 の光学多層膜 2は、 基板 1 の一方の主面上に設けられた屈折率の異な る誘電体薄膜が積層されたものであり、 光学フィルタの用途により所定の光 学特性を有する層である。 〇 2020/175320 7 卩(:171? 2020 /006836
[0041 ] 第 1の光学多層膜 2は、 屈折率の異なる誘電体薄膜として、 例えば、 高屈 折率膜と、 高屈折率膜よりも屈折率が低い低屈折率膜と を、 複数交互に積層 して構成される。
[0042] 高屈折率膜としては、 例えば、 「〇 2 、 1\1 6 2 〇 5 、 八 I 2 〇 3 、 丁 丨 〇 2 、 および丁 3 2 〇 5 から選ばれる少なくとも 1種の金属酸化物膜等が用いられる
[0043] 低屈折率膜としては、 例えば、 3 丨 〇 2 等が用いられる。 高屈折率膜と低屈 折率膜との膜厚や積層数は、 第 1の光学多層膜 2に要求される光学特性に応 じて適宜設定される。
[0044] なお、 第 1の光学多層膜 2は、 屈折率の異なる 3種以上の誘電体薄膜を用 いてもよい。
[0045] 第 1の光学多層膜 2は、 光の干渉作用により、 特定の波長の光を反射、 透 過することができる。 例えば、 可視光の反射を抑制する反射防止膜、 近赤外 光を反射する赤外線遮蔽膜、 紫外光を反射する紫外線遮蔽膜、 紫外光及び近 赤外光を反射する紫外線及び赤外線遮蔽膜な どである。
[0046] 第 1の光学多層膜 2は、 例えば、 スパッタリング法やイオンアシスト蒸着 法を用いて、 基板 1の主面上に形成される。
[0047] スパッタリング法やイオンアシスト蒸着法に より成膜された膜は、 イオン アシストを用いない蒸着法により形成された 膜と比較して、 高温高湿下にお ける分光特性の変化が非常に小さく、 実質的に分光変化がないノンシフト膜 の実現が可能であるという利点がある。 また、 これらの方法で成膜された膜 は、 緻密で硬度が高いため、 傷が付きにくく、 部品組込み工程等における取 扱性にも優れている。
[0048] また、 第 1の光学多層膜 2は、 イオンアシストを用いない真空蒸着法によ り形成してもよい。 この蒸着方法を用いる場合、 装置コストが低く、 製造コ ストを抑制できる。 また、 第 1の光学多層膜 2を形成する際に異物等の付着 が少ない膜を得ることができる。 すなわち、 第 1の光学多層膜 2の形成方法 は、 スパッタリング法やイオンアシスト蒸着法な どに限られず、 任意であつ 〇 2020/175320 8 卩(:171? 2020 /006836
てよい。
[0049] フッ化マグネシウム膜 3は、 第 1の光学多層膜 2の表面に設けられたもの である。 フッ化マグネシウム膜 3は、 無機系フッ素化合物であり、 後述する マグネシウム成分を含む酸化物層のベースと なる構成である。 また、 フッ化 マグネシウム膜 3は、 高い防汚性、 および防塵性を有し、 光学フィルタ表面 にゴミ等の異物を付着しにくくする作用があ る。
[0050] フッ化マグネシウム膜 3は、 例えば、 イオンアシストを用いない真空加熱 蒸着法により形成される。 この蒸着方法を用いる場合、 装置コストが低く、 光学フィルタの製造コストを抑制できる。 また、 フッ化マグネシウム膜 3の 形成方法は、 真空加熱蒸着法に限らず、 スパッタリング法やイオンアシスト 蒸着法など、 任意であってよい。
[0051 ] 光学フィルタの防塵性の観点から、 フッ化マグネシウム膜 3の膜厚は、 1 . 〇 以下が好ましく、 〇. 5 以下がより好ましい。 また、 加エコス 卜の抑制の観点から、 フッ化マグネシウム膜 3の膜厚は、 1 0 n m以上が好 ましく、 3 0 n 以上がより好ましい。
[0052] マグネシウム成分を含む酸化物層 4 (以下、 酸化物層ということもある。
) は、 上述したフッ化マグネシウム膜 3の空気側の最表面の少なくとも一部 に存在する。 酸化物層 4は、 フッ化マグネシウム膜 3のマグネシウム成分と 大気中の酸素とが反応して生成されたもので ある。
[0053] 物質としては、 例えば、 酸化マグネシウム (1\/1 9 〇) 、 水酸化マグネシウ ム (IV! 9 (〇 1 ~ 1) 2 ) 、 炭酸マグネシウム (1\/1 9 〇〇 3 ) 、 炭酸水素マグネシ ウム (1 ~ 1〇〇 3 ) 2 ) 、 および光学多層膜 2の膜材料 IV!とフッ化マグネ シウム膜 等を包含する概念である。
[0054] これら酸化物層 4は、 潮解性が高い。 また、 酸化物層 4は、 フッ化マグネ シウム膜 3とは物質として異なるものとして表面に存 する。 そのため、 光 学フィルタ表面の酸化物層 4に異物が付着した場合、 洗浄時の振動や粘着シ -卜の剥離等の外力によって、 酸化物層 4は異物と共にフッ化マグネシウム 膜 3から容易に脱離すると考えられる。 そのため、 光学フィルタ表面の異物 〇 2020/175320 9 卩(:171? 2020 /006836
を洗浄等により確実に除去することが可能 である。
[0055] 酸化物層 4は、 フッ化マグネシウム膜 3の空気側の最表面の少なくとも一 部に存在すればよく、 最表面の全面に存在してもよい。 なお、 酸化物層 4は 、 フッ化マグネシウム膜 3と第 1の光学多層膜 2との界面には存在すべきで はない。 前述のとおり、 酸化物層 4は、 潮解性が高いため、 フッ化マグネシ ウム膜 3と第 1の光学多層膜 2との密着性を低下させるおそれがある。
[0056] 酸化物層 4の形成方法は、 例えば、 フッ化マグネシウム膜 3を形成した後 に基板を高温状態に保持することにより、 フッ化マグネシウム膜 3のマグネ シウム成分と大気中の酸素との反応を促進し 生成する。 酸化物層 4が生成す れば、 この形成方法に限らず、 他の製造工程と同時処理とする方法や洗浄エ 程等、 適宜の方法を用いることが可能である。
[0057] フッ化マグネシウム膜 3を備える側の光学フィルタ 1 0の主面は、 表面粗 さ ることが好ましい。 本発明におけ る表面粗さとは、 」 丨 3 6 0 6 0 1 : 2 0 0 1 にて規定される中心線平均 粗さ 3 をいうものである。 また、 フッ化マグネシウム膜 3を備える側の光 学フィルタ 1 0の主面とは、 酸化物層 4を含む光学フィルタ表面をいうもの である。
[0058] フッ化マグネシウム膜 3を備える側の光学フィルタ 1 0の主面は、 表面粗 さが上記範囲内であると、 光学フィルタ 1 〇に付着した異物が除去しやすい ため好ましい。 上記表面粗さの範囲は、 光学フィルタの一般的な表面粗さよ り大きいため、 異物と光学フィルタ 1 0との接触面積が小さく、 上述した酸 化物層 4との相乗効果により、 異物が光学フィルタ表面から脱離しやすいも のと考えられる。
[0059] 上記表面粗さの範囲は、 〇. 3 n 以上であると、 異物と光学フィルタ 1
0との接触面積が大きくならず、 異物の除去がしにくくなることを防ぐこと ができる。 また、 上記表面粗さの範囲は、 2 . 4 n 以下であると、 光学フ ィルタ 1 0のヘイズ値が大きくならず、 光学特性が悪化することを防ぐこと ができる。 〇 2020/175320 10 卩(:171? 2020 /006836
[0060] 上記表面粗さの範囲は、 〇. 3 n 以上であることが好ましく、 0 . 7 n 以上であることがより好ましい。 また、 上記表面粗さの範囲は、 2 . 4 n 以下であることが好ましく、 1 . 1 门 以下であることがより好ましい。
[0061 ] フッ化マグネシウム膜 3を備える側の光学フィルタ 1 0の主面は、 純水に 対する接触角が 5 ° 〜 8 0 ° であることが好ましい。 本発明における接触角 とは、 」 丨 3 [¾ 3 2 5 7 : 1 9 9 9にて規定される測定方法を用いて得ら れる接触角をいうものである。 また、 フッ化マグネシウム膜 3を備える側の 光学フィルタ 1 0の主面とは、 酸化物層 4を含む光学フィルタ表面をいうも のである。
[0062] フッ化マグネシウム膜 3を備える側の光学フィルタ 1 0の主面は、 純水に 対する接触角が上記範囲内であると、 光学フィルタ 1 〇に付着した異物を除 去しやすいため好ましい。
[0063] 従来、 フッ化マグネシウム膜 3は、 無機系フッ素化合物ゆえに、 撥水性を 備え、 異物の付着抑制に寄与するものと考えられて きた。 しかしながら、 本 発明者が測定を行ったところ、 フッ化マグネシウム膜 3に酸化物層 4を有す る光学フィルタ 1 0の主面は、 必ずしも撥水性を示すものではなく、 むしろ 親水性であることを見出した。 さらに、 光学フィルタ 1 0の主面が親水性で あることが、 光学フィルタ 1 0に付着した異物が除去しやすさに寄与する とを見出した。
[0064] この理由としては、 以下が仮説として考えられる。
[0065] フッ化マグネシウム膜 3は、 物質としては撥水性であるものの、 表面の凹 凸形状ゆえに表面自由エネルギーが大きくな り、 空気中の水分を取り込むこ とで薄い水膜を形成する。 これにより、 フッ化マグネシウム膜 3は、 見かけ 上、 親水性を備えるものと推測される。 そして、 この水膜上に異物が付着す ると、 水膜と異物との分子間力により一体化するこ とで、 振動などの外力に よってフッ化マグネシウム膜 3から容易に除去が可能になる。
[0066] フッ化マグネシウム膜 3を備える側の光学フィルタ 1 0の主面は、 純水に 対する接触角が 5 ° 以上であると、 製造の難易度が非常に高くなることがな 〇 2020/175320 1 1 卩(:171? 2020 /006836
い。 また、 純水に対する接触角が 8 0 ° 以下であると、 光学フィルタ表面が 撥水性となることを防ぎ、 光学フィルタ 1 〇に付着した異物が除去し難くな ることを防止できる。
[0067] 上記純水に対する接触角は、 5 ° 〜 8 0 ° であることが好ましく、 5 ° 〜
5 0 ° であることがより好ましく、 5 ° 〜 2 0 ° であることがさらに好まし い。
[0068] 本発明の第 1の実施形態に係る光学フィルタ 1 0は、 上述した各構成を備 えており、 特にマグネシウム成分を含む酸化物層 4をフッ化マグネシウム膜 3の空気側の最表面の少なくとも _ 部に有することで、 光学フィルタ表面に 付着した異物を除去しやすい。
[0069] 光学フィルタ表面に異物が付着する状況は、 光学フィルタ 1 0の製造工程 に限らず、 搬送工程、 撮像装置への組み付け工程、 および撮像装置の使用時 等、 様々であり、 これら状況において、 本発明の第 1の実施形態の光学フィ ルタは異物の除去がし易いという特徴を備え る。
[0070] [第 2の実施形態]
本発明の第 2の実施形態に係る光学フィルタ 2 0について、 図 2を用いて 説明する。 図 2は、 光学フィルタ 2 0の構成を模式的に示した断面図である
[0071 ] 光学フィルタ 2 0は、 基板 1 と、 基板 1の一方の主面上に設けられた屈折 率の異なる誘電体薄膜を積層した第 1の光学多層膜 2と、 第 1の光学多層膜 2の表面に設けられたフッ化マグネシウム膜 3と、 を備え、 マグネシウム成 分を含む酸化物層 4をフッ化マグネシウム膜 3の空気側の最表面の少なくと も一部に有する。
[0072] さらに、 基板 1の他方の主面上にも一方の主面上と同様に 1の光学多層 膜 2と、 第 1の光学多層膜 2の表面に設けられたフッ化マグネシウム膜 3と 、 を備え、 マグネシウム成分を含む酸化物層 4をフッ化マグネシウム膜 3の 空気側の最表面の少なくとも一部に有する。
[0073] すなわち、 第 2の実施形態に係る光学フィルタ 2 0は、 両主面にそれぞれ 〇 2020/175320 12 卩(:171? 2020 /006836
略同一の構成が積層される。
[0074] なお、 第 2の実施形態は、 第 1の実施形態と同一部分または類似部分には 、 同 _ 符号を付して、 重複説明を省略する。
[0075] 光学フィルタ 2 0は、 両主面の空気側の最表面にマグネシウム成分 を含有 する酸化物層 4を備えるため、 両主面の異物の除去がし易く、 クリーンな光 学フィルタを提供できる。 例えば、 撮像装置に光学フィルタ 2 0を用いる場 合、 超音波振動で光学フィルタの異物を除去する システムに好適に用いるこ とができる。
[0076] 光学フィルタ 2 0は、 一方の主面上の第 1の光学多層膜 2と他方の主面上 の第 1の光学多層膜 2とは、 同一の光学特性であっても、 異なる光学特性で あってもよい。 異なる光学特性である場合は、 例えば、 一方の主面上の第 1 の光学多層膜 2が、 近赤外領域の波長をカッ トする近赤外線カッ トフィルタ であり、 他方の主面上の第 1の光学多層膜 2が可視光の反射防止膜が挙げら れる。
[0077] その他、 近赤外波長域の阻止帯が相違する近赤外線カ ッ トフィルタを両主 面の第 1の光学多層膜としてそれぞれ設けてもよい
[0078] [第 3の実施形態]
本発明の第 3の実施形態に係る光学フィルタ 3 0について、 図 3を用いて 説明する。 図 3は、 光学フィルタ 3 0の構成を模式的に示した断面図である
[0079] 光学フィルタ 3 0は、 基板 1 と、 基板 1の一方の主面上に設けられた屈折 率の異なる誘電体薄膜を積層した第 1の光学多層膜 2と、 第 1の光学多層膜 2の表面に設けられたフッ化マグネシウム膜 3と、 を備え、 フッ化マグネシ ウム膜 3は、 マグネシウム成分を含む酸化物層 4を空気側の最表面の少なく とも一部に有する。
[0080] さらに、 基板 1の他方の主面上に透明樹脂及び赤外線吸収 素を含有する 近赤外線吸収層 5を備え、 近赤外線吸収層 5の表面に第 2の光学多層膜 6を 備えるものである。 〇 2020/175320 13 卩(:171? 2020 /006836
[0081 ] なお、 第 3の実施形態は、 第 1の実施形態と同一部分または類似部分には 、 同 _ 符号を付して、 重複説明を省略する。
[0082] 光学フィルタ 3 0は、 _ 方の主面の空気側の最表面にマグネシウ ム成分を 含有する酸化物層 4を備えるため、 光学フィルタ表面の異物の除去がし易く 、 クリーンな光学フィルタを提供できる。
[0083] さらに、 光学フィルタ 3 0の他方の主面に近赤外線吸収層 5を備えるため 、 近赤外光を遮蔽する能力が高く、 また光の入射角度が変化しても光学特性 の変化が小さい。
[0084] 光学フィルタ 3 0の透明樹脂は、 公知の樹脂を用いることができる。 具体 的には、 基板として樹脂を用いる際に説明した各種樹 脂が挙げられる。
[0085] また光学フィルタ 3 0の赤外線吸収色素は、 公知の赤外線吸収色素を用い ることができる。 具体的には、 基板として樹脂を用いる際に説明した各種赤 外線吸収色素が挙げられる。 なお、 赤外線吸収色素と共に公知の紫外線吸収 色素を含有してもよい。
[0086] 近赤外線吸収層 5は、 透明樹脂及び赤外線吸収色素を混合し、 基板の他方 の主面に公知の方法 (例えば、 コーティング、 ディツビング等) を用いて形 成する。
[0087] 近赤外線吸収層 5の表面に第 2の光学多層膜 6を設けてもよい。 第 2の光 学多層膜 6は、 第 1の光学多層膜 2と同様に屈折率の異なる誘電体薄膜が積 層されたものである。 また、 第 2の光学多層膜 6は、 第 1の光学多層膜 2に て説明した膜材料を用い、 同様の形成方法を用いることができる。
[0088] 第 2の光学多層膜 6は、 光の干渉作用により、 特定の波長の光を反射、 透 過することができる。 例えば、 可視光の反射を抑制する反射防止膜、 近赤外 光を反射する赤外線遮蔽膜、 紫外光を反射する紫外線遮蔽膜、 紫外光及び近 赤外光を反射する紫外線及び赤外線遮蔽膜な どである。
[0089] 第 2の光学多層膜 6を備えることで、 光学フィルタ 3 0の光学特性をより 高めることができる。 具体的には、 第 2の光学多層膜 6として、 近赤外領域 の波長をカツ トする近赤外線カツ トフィルタを用いることで、 光学フィルタ 〇 2020/175320 14 卩(:171? 2020 /006836
3 0としての近赤外光の透過率を低減できる。 また、 第 2の光学多層膜 6と して、 可視光の反射防止膜を用いることで、 光学フィルタ 3 0の可視光の透 過率を高くすることができる。
[0090] 本発明の第 3の実施形態の光学フィルタは、 光を選択的に透過、 反射する フィルタとして撮像装置、 赤外線センサ、 および照明装置等に好適に用いる ことができる。 具体的には、 可視光の反射防止フィルタ、 赤外線カッ トフィ ルタ、 赤外線透過フィルタ、 紫外線カッ トフィルタ、 紫外線透過フィルタ、 およびデュアルバンドパスフィルタ (可視光及び近赤外光の一部を透過する フィルタ) 等であるが、 これらに限らない。
[0091 ] [光学フィルタの搬送支持体]
本発明の実施形態の光学フィルタの搬送支持 体 1 〇〇について、 図 4、 お よび図 5を用いて説明する。 図 4は、 光学フィルタの搬送支持体 1 0 0の構 成を模式的に示した平面図である。 図 5は、 光学フィルタの搬送支持体 1 0 〇の構成を模式的に示した部分断面図である 。
[0092] 図 4、 および図 5は、 光学フィルタとして、 第 2の実施形態に係る光学フ ィルタ 2 0を用いているが、 適用可能な光学フィルタはこれに限定される も のではなく、 本発明の趣旨を逸脱しない範囲の光学フィル タを用いることが 可能である。
[0093] 本発明の実施形態の光学フィルタの搬送支持 体 1 0 0は、 光学フィルタを 複数個備え、 光学フィルタの両主面が保護用シート 8にて挟持されている。 なお、 光学フィルタは、 本発明の実施形態として説明したものであり 、 重 複説明を省略する。
[0094] 光学フィルタの搬送支持体 1 0 0は、 2枚の保護用シート 8の間に複数個 の光学フィルタ 2 0が挟持されている。
[0095] 保護用シート 8は、 光学フィルタ 2 0を撮像装置等に組み付ける工程に搬 送する際、 光学フィルタ 2 0の両主面にキズが付いたり、 異物が付着するの を抑制するためのものである。 保護用シート 8は、 光学フィルタ 2 0と接触 する面が粘着性であるため、 搬送時に光学フィルタ 2 0は保護用シート 8に 〇 2020/175320 15 卩(:171? 2020 /006836
固定される。
[0096] 光学フィルタ表面に付着する異物は、 図 6に示すように、 光学フィルタ 2 〇から保護用シート 8を剥離する際、 保護用シート 8の粘着面にくっつくこ とで除去される。 光学フィルタ 2 0は、 前述のとおり主面の空気側の最表面 にマグネシウム成分を含有する酸化物層 4を備えるため、 主面上の異物が脱 離し易い。 そのため、 異物を、 保護用シート 8を用いて確実に除去できる。
[0097] これにより、 光学フィルタの搬送支持体 1 0 0を用いることで、 異物の付 着の少ない光学フィルタ 2 0を次工程に搬送できる。
[0098] 保護用シート 8は、 周囲を枠 7に固定されてもよく、 枠 7に固定されてい なくてもよい。 枠 7は、 例えば、 円盤状の金属板や樹脂板を用いることがで きるが、 これに限らない。
[0099] また、 光学フィルタの搬送支持体 1 0 0は、 搬送支持体 1 0 0を複数個収 納可能な箱を用いて輸送されてもよい。
[0100] 次いで、 光学フィルタの製造方法について説明する。
[0101 ] 本発明の実施形態の光学フィルタは、 例えば、 以下の工程により製造する ことができる。 すなわち、 基板 1 を準備する工程と、 基板 1の一方の主面上 に第 1の光学多層膜 2を形成する工程と、 形成された第 1の光学多層膜 2の 表面にフッ化マグネシウム膜 3を形成する工程と、 フッ化マグネシウム膜 3 が形成された基板 1 を個片に切断する工程と、 を少なくとも備える。
[0102] このような工程で光学フィルタを製造するこ とで、 基板 1の切断時に硝片 等が発生したとしても、 基板 1の表面にフッ化マグネシウム膜 3があるため 、 洗浄等により硝片を容易に除去でき、 クリーンな光学フィルタを提供でき る。
[0103] 基板 1 を準備する工程において、 被加工用の基板 1が準備される。 基板 1 は相互に対向する一方の主面および他方の主 面を有する。
[0104] 基板 1の一方の主面上に第 1の光学多層膜 2を形成する工程は、 前述した 方法により形成する。
[0105] 第 1の光学多層膜 2の表面にフッ化マグネシウム膜 3を形成する工程は、 〇 2020/175320 16 卩(:171? 2020 /006836
前述した方法により形成する。
[0106] フッ化マグネシウム膜 3が形成された基板 1 を個片に切断する工程は、 公 知の方法を用いることができる。 例えば、 下記の切断方法を用いることが好 ましい。
[0107] すなわち、 基板 1 を個片に切断する工程は、 基板の切断予定線に沿って、 レーザを用いて基板内部に改質層を形成する 工程と、 基板に応力を作用する ことにより該改質層からクラックを伸展し、 基板を切断する工程とを含む方 法が挙げられる。
[0108] この切断方法を用いることで、 基板 1の切断部の稜線にクラックを形成す ることなく切断できる。 そのため、 基板 1 に曲げ応力が作用した際の機械的 強度が高く、 かつ主面の清浄性が高い光学フィルタを得る ことができる。
[0109] また、 基板 1 を個片に切断する工程は、 基板の切断予定線に沿って、 回転 刃を用いて基板を切断する工程を用いてもよ い。
[01 10] この切断方法を用いることで、 基板 1 を効率的に切断することができる。
また、 回転刃として断面 V字型ダイシングブレードと切断用ダイシン ブレ —ドとを組み合わせて用いることで、 基板 1の稜線に傾斜面を効率的に形成 することができる。
[01 1 1 ] また、 基板 1 を個片に切断する工程の前もしくは後に、 フッ化マグネシウ ム膜 3の空気側の最表面の少なくとも一部にマグ シウム成分を含む酸化物 層 4を形成する工程を備えてもよい。
[01 12] フッ化マグネシウム膜 3の空気側の最表面の少なくとも一部にマグ シウ ム成分を含む酸化物層 4を形成する工程としては、 例えば、 フッ化マグネシ ウム膜 3を形成した基板 1 を高温状態に保持する。
[01 13] これにより、 フッ化マグネシウム膜 3のマグネシウム成分と大気中の酸素 との反応を促進し酸化物層 4を生成する。 酸化物層 4が生成すれば、 この形 成方法に限らず、 他の製造工程と同時処理とする方法や洗浄工 程等、 適宜の 方法を用いることが可能である。
[01 14] マグネシウム成分を含む酸化物層 4を形成する工程は、 基板 1 を個片に切 〇 2020/175320 17 卩(:171? 2020 /006836
断する工程の前もしくは後のどちらであっ てもよい。
[01 15] 基板 1 を個片に切断する工程の前に酸化物層 4を形成する工程を備えると 、 基板 1の切断時に発生する切断屑が基板に付着し としても、 容易に除去 することが可能である。
[01 16] また、 基板 1 を個片に切断する工程の後に酸化物層 4を形成する工程を備 えると、 光学フィルタの搬送や使用時に光学フィルタ 表面から異物を容易に 除去することが可能である。
[01 17] また、 光学フィルタは、 基板 1の他方の主面上に透明樹脂及び赤外線吸収 色素を含有する近赤外線吸収層 5を形成する工程と、 近赤外線吸収層 5の表 面に第 2の光学多層膜 6を形成する工程を備えてもよい。 これら工程は、 基 板 1 を個片に切断する工程の前に行うことが好ま しい。
[01 18] この工程を備えることにより、 特定の波長範囲の光を吸収する近赤外線吸 収層 5を効率的に光学フィルタに形成することが きる。
[01 19] 光学フィルタの搬送支持体の製造方法につい て説明する。
[0120] 本発明の光学フィルタの搬送支持体 1 0 0は、 特には限定されないが、 例 えば、 以下の工程により製造することができる。
[0121 ] 光学フィルタを、 前述した製造方法により準備する。 そして、 保護用シー 卜 8に、 複数個の光学フィルタを載置する。 次いで、 別の保護用シート 8を 用いて、 光学フィルタの主面を覆うことで、 2枚の保護用シート 8で光学フ ィルタの両主面を挟持する。
[0122] 光学フィルタの一方の主面上に酸化物層 4が存在するため、 光学フィルタ から保護用シート 8を剥離する際、 光学フィルタ表面の異物を保護用シート 8と共に脱離することができる。 実施例
[0123] 以下、 本発明の実施例に基づいて詳細に説明するが 、 本発明はこれら実施 例のみに限定されるものではない。
[0124] 例 1、 例 2、 および例 3は本発明の実施例に係る光学フィルタであ 、 例 4は比較例に係る光学フィルタである。 例 1、 例 2および例 3の光学フィル 〇 2020/175320 18 卩(:171? 2020 /006836
夕は各構成の材料、 製造条件は全て同一である。 各例に用いるサンプルは、 次のようにして作製した。
[0125] 実施例に係る光学フィルタは、 基板として、 銅を含有するフツリン酸ガラ ス ( ー5 0、 八◦〇テクノグラス社製、 板厚: 〇. を用意した
。 次いで、 基板の一方の主面上に光学多層膜 (丁 丨 〇 2 と 3 丨 〇 2 とが交互に 合計 5 0層積層された近赤外線カッ トフィルタ、 物理膜厚:約 5 ) を、 イオンアシスト蒸着法を用いて形成した。 次いで、 前記光学多層膜の表面に 、 フッ化マグネシウム膜 (物理膜厚: 9 0 n m) を加熱蒸着法にて形成した 。 次いで、 基板上のフッ化マグネシウム膜の空気側の最 表面にマグネシウム 成分を含む酸化物層を生成した。
[0126] 実施例の光学フィルタにおいて、 基板上のフッ化マグネシウム膜の空気側 の最表面にマグネシウム成分を含む酸化物層 を生成したことは、 以下の方法 を用いて確認できる。
X ? 3 (X線光電子分光法) ワイ ドスペクトルを用いて、 光学フィルタ表 面の組成を分析する方法が挙げられる。 以下具体的に説明する。
[0127] [マグネシウム成分を含む酸化物層の確認]
実施例の光学フィルタについて、 基板上のフッ化マグネシウム膜の空気側 の最表面にマグネシウム成分を含む酸化物層 が生成したことを以下の方法で 確認した。
[0128] 測定サンプルは、 光学フィルタの製造工程の一部から、 サンプル八〜サン プル<3をそれぞれ抜き取りした。
サンプル八 :銅を含有するフツリン酸ガラスの一方の主 面上に光学多層膜 ( 前述と同様) を、 イオンアシスト蒸着法を用いて形成した。 次いで、 光学多 層膜の表面に、 フッ化マグネシウム膜 (物理膜厚: 9 0 n m) を加熱蒸着法 にて形成したもの。
サンプル巳 :サンプル八の製造工程に引き続き、 基板の他方の主面上に透明 樹脂及び赤外線吸収色素を含有する層を設け 、 これらを焼成することで、 近 赤外線吸収層を形成したもの。 〇 2020/175320 19 卩(:171? 2020 /006836
サンプル〇 :サンプル巳の製造工程に引き続き、 光学フィルタを洗浄したも の。
[0129] 各サンプルについて、 X線光電子分光分析装置 (〇リ 3 n I 6 「 3 3乂1\/1 、 アルバック · フアイ社製) を用いて光学フィルタの表面組成を分析した 。 結果を、 表 1 に示す。 なお、 各サンプルは、 それぞれ 2個ずつ分析を行った
[0130] [表 1 ] 表 1
[0131 ] 表 1 に示すとおり、 基板にフッ化マグネシウム膜を形成した直後 (サンプ ル八) と比較し、 サンプル巳、 およびサンプル〇の光学フィルタ表面の酸素 量が多い結果となった。 これにより、 フッ化マグネシウム膜が形成された基 板を焼成、 もしくは焼成後に洗浄することで、 基板上のフッ化マグネシウム 膜の空気側の最表面にマグネシウム成分を含 む酸化物層が生成されたと推察 される。
[0132] 比較例に係る光学フィルタは、 実施例と同一の基板に、 同一の光学多層膜 を形成したものであり、 フッ化マグネシウム膜及び酸化物層を備えな い。 な お、 光学多層膜の空気側の最表層は、 3 丨 〇 2 である。
[0133] 実施例および比較例の光学フィルタの評価と して、 金属粉および樹脂粉に 対する異物の付着しにくさ (防塵性) 、 および異物の除去しやすさ (除塵性 ) を以下の評価方法を用いて検証した。
[0134] [金属粉に対する評価方法] まず、 光学フィルタを、 イオナイザーを用いて 5分間除電する。 次いで、 光学フィルタを、 フッ化マグネシウム膜を形成した面の上にし て、 水平に載 置する。 次いで、 光学フィルタ上に金属粉をまぶす。 なお、 金属粉は、 ステ ンレス製部材から削り出した粉末であり、 粒径分布としては、 0 2 0 未 満が 9 8 %、 0 2 0 M m以上が 2 %である。 次いで、 ピンセッ トで光学フィ ルタの側面を掴み、 主面が垂直となるように取り上げる。 次いで、 光学フィ ルタを顕微鏡にセッ トし、 主面の任意の 5点を撮像する。 得られた画像を、 画像解析ソフト (W i n R O O F , 三谷商事社製) にて分析し、 金属粉の付 着量を算出する。 この金属粉の付着量をもって、 異物の付着しにくさ (防塵 性) を評価した。
[0135] 次いで、 防塵性の評価後、 光学フィルタを樹脂製ケースに収納し、 主面が 垂直となる姿勢に保持して、 ケースを叩いて振動させた。 次いで、 前述と同 様に光学フィルタを顕微鏡にセッ トし、 主面の任意の 5点を撮像する。 得ら れた画像を、 画像解析ソフト (W i n R O O F、 三谷商事社製) にて分析し 、 金属粉の付着量を算出する。 この金属粉の付着量と、 防塵性の評価時に得 られた付着量を用いて、 異物の除去率を算出した。 この異物の残留率により 、 異物の除去しやすさ (除塵性) を評価した。
[0136] [樹脂粉に対する評価方法]
まず、 光学フィルタを、 イオナイザーを用いて 5分間除電する。 次いで、 光学フィルタを樹脂製のデシケータ内にフッ 化マグネシウム膜を形成した面 の上にして、 水平に載置する。 デシケータ内に樹脂粉を入れた容器を載置し 、 その樹脂粉を、 ブロアーを用いて舞い上げ、 光学フィルタ上に降り積もら せる。 なお、 樹脂粉は、 真球状プラスチック粒子 (ミクロパール、 積水化学 工業社製、 平均粒子径:約 2 0 M m) を用いた。 次いで、 ピンセッ トで光学 フィルタの側面を掴み、 主面が垂直となるように取り上げる。 次いで、 光学 フィルタを顕微鏡にセッ トし、 主面の任意の 5点を撮像する。 得られた画像 を、 画像解析ソフト (W i n R O O F , 三谷商事社製) にて分析し、 樹脂粉 の付着量を算出する。 この樹脂粉の付着量をもって、 異物の付着しにくさ ( 防塵性) を評価した。
[0137] 次いで、 防塵性の評価後、 光学フィルタを樹脂製ケースに収納し、 主面が 垂直となる姿勢に保持して、 ケースを叩いて振動させた。 次いで、 前述と同 様に光学フィルタを顕微鏡にセツ トし、 主面の任意の 5点を撮像する。 得ら れた画像を、 画像解析ソフト (W i n ROOF、 三谷商事社製) にて分析し 、 樹脂粉の付着量を算出する。 この樹脂粉の付着量と、 防塵性の評価時に得 られた付着量を用いて、 異物の除去率を算出した。 この異物の残留率により 、 異物の除去しやすさ (除塵性) を評価した。
[0138] [表面粗さ]
製品の幾何特性仕様 (G PS) -表面性状:輪郭曲線方式 -表面性状評価 の方式及び手順 (J I S B0633 : 2001) に準拠した測定方法、 装 S (D I me n s i o n j O O O A t om i c F o r c e M i c r o s c o p e、 Ve e c o社製) を用いて表面粗さ (R a) を測定した。
[0139] 結果を表 2に示す。 金属粉、 樹脂粉ともに付着量は、 画像で得られた付着 面積を画素数 (p i x e l) で示したものである。 防塵性、 除塵性は、 1枚 の測定データ (5点) の平均値であり、 かつこれらを 3枚ずつ (N = 3) 測 定した結果である。 また、 表面粗さは、 3枚の平均値である。
[0140] [表 2] 表 2
〇 2020/175320 22 卩(:171? 2020 /006836
[0141 ] 評価結果より、 実施例の光学フィルタ (例 1) は、 比較例の光学フィルタ (例 4) に対して、 金属粉、 および樹脂粉の付着量が少なく、 防塵性が高い ことがわかる。 また、 実施例の光学フィルタは、 比較例の光学フィルタに対 して、 金属粉、 および樹脂粉の残留率が低く、 除塵性が高いことがわかる。
[0142] 次いで、 光学フィルタの純水に対する接触角と防塵性 、 除塵性との関係を 調べた。
[0143] [純水に対する接触角]
基板ガラス表面のぬれ性試験方法 (」 1 3 6 3 2 5 7 : 1 9 9 9) に準 拠した測定方法、 装置 (自動接触角計 口1\/1 6 — 2 0 0、 協和界面科学社製 ) を用いて純水に対する接触角を測定した。 具体的な測定方法は、 液滴法 ( 0 / 2法) を用い、 着滴量: 1 . 5 !_、 測定時間: 1 0 3 ㊀〇、 室温: 2 5 ° 〇 ± 5 ° 〇、 湿度: 5 0 % ± 1 0 %の条件で行った。
[0144] 結果を表 3に示す。 防塵性、 除塵性は、 1枚の測定データ (5点) の平均 値である。 また、 純水に対する接触角、 1枚当たり 3点の測定データの平均 値である。
[0145] [表 3] 表 3
[0146] 評価結果より、 実施例の光学フィルタ (例 1〜例 3) は、 純水に対する接 触角が 5 0 ° 以下であり、 金属粉の付着量が少なく、 防塵性が高いことがわ かる。 また、 金属粉の残留率が低く、 除麈性も高いことがわかる。
[0147] 以上、 図面を参照しながら各種の実施の形態につい て説明したが、 本発明 はかかる例に限定されないことは言うまでも ない。 当業者であれば、 特許請 〇 2020/175320 23 卩(:171? 2020 /006836
求の範囲に記載された範疇内において、 各種の変更例又は修正例に想到し得 ることは明らかであり、 それらについても当然に本発明の技術的範囲 に属す るものと了解される。 また、 発明の趣旨を逸脱しない範囲において、 上記実 施の形態における各構成要素を任意に組み合 わせてもよい。
[0148] なお、 本出願は、 201 9年 2月 26日出願の日本特許出願 (特願 201
9-032249) に基づくものであり、 その内容は本出願の中に参照とし て援用される。
符号の説明
[0149] 1 基板
2 第 1の光学多層膜
3 フッ化マグネシウム膜
4 マグネシウム成分を含む酸化物層
5 近赤外線吸収層
6 第 2の光学多層膜
7 枠
8 保護用シート
9 異物
1 0, 20, 30 光学フィルタ
1 00 光学フィルタの搬送支持体
Next Patent: NOVEL COMPOUND, COMPOSITION CONTAINING SAID COMPOUND, AND CURED OBJECT