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Patent Searching and Data


Title:
ORGANIC ELECTROLUMINESCENT DEVICE, PROCESS FOR PRODUCING ORGANIC ELECTROLUMINESCENT DEVICE, DISPLAY, AND ILLUMINATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108162
Kind Code:
A1
Abstract:
A crosslinkable material containing one or more compounds each having polymerizable groups in the molecule or containing a polymer of at least one such compound is used to form an organic compound layer as a component of an organic EL device. Thus, barrier properties can be imparted to the organic layer itself. Due to this, the application of an adhesive, sealing material, or the like to edge parts of the device can be omitted. Thus, an organic EL device having a high luminescent efficiency and a long luminescence life can be provided without the need of a sealing step. Also provided is a process for producing the organic EL device.

Inventors:
TAKA HIDEO (JP)
KITA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052726
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA HOLDINGS INC (JP)
TAKA HIDEO (JP)
KITA HIROSHI (JP)
International Classes:
H01L51/50; H05B33/10; C09K11/06
Domestic Patent References:
WO2005027583A12005-03-24
Foreign References:
JP2006302556A2006-11-02
JP2005093134A2005-04-07
JP2004346312A2004-12-09
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Claims:
陽極側基板、陰極側基板に挟まれた少なくとも1層以上の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
 前記有機層のすくなくとも1層が、分子内に複数の重合性基を有する化合物または該化合物の少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記有機層を少なくとも2層有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記陽極側基板の周辺部または前記陰極側基板の周辺部が、接着または融着封止されていないことを特徴とする請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記陽極側基板及び前記陰極側基板が可撓性を有することを特徴とする請求の範囲第1項~請求の範囲第3項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記有機層が塗布で成膜されたことを特徴とする請求の範囲第1項~請求の範囲第4項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
請求の範囲第1項~請求の範囲第5項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するにあたり、前記有機層の少なくとも1層を塗布で成膜する工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
請求の範囲第1項~請求の範囲第5項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するにあたり、基板A上に設けられた有機層Aと基板B上に設けられた有機層Bとを貼合する工程または該有機層Aと該基板Bとを貼合する工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
りん光発光性化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項~請求の範囲第5項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
白色に発光することを特徴とする請求の範囲第1項~請求の範囲第5項のいずれか1項または請求の範囲第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
請求の範囲第1項~請求の範囲第5項のいずれか1項、請求の範囲第8項及び請求の範囲第9項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
請求の範囲第1項~請求の範囲第5項のいずれか1項、請求の範囲第8項及び請求の範囲第9項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
Description:
有機エレクトロルミネッセンス 子、有機エレクトロルミネッセンス素子の 造方法、表示装置及び照明装置

 本発明は、有機エレクトロルミネッセン 素子、有機エレクトロルミネッセンス素子 製造方法、表示装置及び照明装置に関する

 有機エレクトロルミネッセンス素子(以下 、有機EL素子ともいう)は、電極と電極の間を 厚さわずか0.1μm程度の有機材料の膜で構成す る全固体素子であり、なおかつその発光が2V~ 20V程度の比較的低い電圧で達成できることか ら、次世代の平面ディスプレイや照明として 期待されている技術である。

 更に、最近発見されたリン光発光を利用 る有機ELでは、以前の蛍光発光を利用する れに比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可 であることから、その材料開発を初めとし 発光素子の層構成や電極の研究開発が世界 で行われている。

 有機EL素子の構成は、透明電極と対抗電 に有機層が挟まれただけの単純なものであ 、平面ディスプレイの代表である液晶ディ プレイに比べ、部品点数が圧倒的に少ない め、製造コストも低く抑えられるはずであ が、現状では必ずしもそうではなく、性能 にもコスト的にも液晶ディスプレイに大き 水をあけられている。

 特にコストに対しては、生産性の悪さが の要因と考えられる。幾つかの要因がある 、その一つとして、有機EL素子が酸素や水 に対して非常に敏感であり、非常に厳しい 止行程を必要とすることにある。形成され 薄膜と平行な面はガラス基板、あるいはバ アー付きのフィルムを使用することで封止 果を付与することができる反面、側面部分 封止は困難であり、これが技術的課題とな 。

 例えば、光硬化性の樹脂で全面をカバー ガラスなどを貼り付ける方法(例えば、特許 文献1参照。)、ラミネートフィルムで被覆す 方法(例えば、特許文献2参照。)、また有機 の一部にバインダー材料を含有させ、この インダー材料の軟化により接着する方法(例 えば、特許文献3参照。)等が開示されている

 いずれも基板周辺部を接着または融着する とによって側面部分の封止効果を得るもの あるが、実用性の高い有機EL素子として用 るには、外部取り出し量子効率や、発光寿 等にまだ、十分ではなく、これらの課題の 服が求められているのが現状である。

特開平6-338392号公報

特開昭60-14798号公報

特開平9-7763号公報

 本発明の目的は、外部取り出し量子効率 高く、発光寿命の長い有機EL素子を提供す ことであり、更にまた、有機EL素子の製造方 法、照明装置及び表示装置を提供することで ある。

 本発明の上記目的は、下記構成により達 された。

 1.陽極側基板、陰極側基板に挟まれた少な とも1層以上の有機層を有する有機エレクト ルミネッセンス素子において、
 前記有機層の少なくとも1層が、分子内に複 数の重合性基を有する化合物または該化合物 の少なくとも1種の重合体を含有することを 徴とする有機エレクトロルミネッセンス素 。

 2.前記有機層を少なくとも2層有すること 特徴とする前記1に記載の有機エレクトロル ミネッセンス素子。

 3.前記陽極側基板の周辺部または前記陰 側基板の周辺部が、接着または融着封止さ ていないことを特徴とする前記1または2に記 載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

 4.前記陽極側基板及び前記陰極側基板が 撓性を有することを特徴とする前記1~3のい れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセ ス素子。

 5.前記有機層の少なくとも1層が塗布で成 されたことを特徴とする前記1~4のいずれか1 項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素 子。

 6.前記1~5のいずれか1項に記載の有機エレ トロルミネッセンス素子を製造するにあた 、前記有機層を塗布で成膜する工程を有す ことを特徴とする有機エレクトロルミネッ ンス素子の製造方法。

 7.前記1~5のいずれか1項に記載の有機エレ トロルミネッセンス素子を製造するにあた 、基板A上に設けられた有機層Aと基板B上に けられた有機層Bとを貼合する工程または該 有機層Aと該基板Bとを貼合する工程を有する とを特徴とする有機エレクトロルミネッセ ス素子の製造方法。

 8.りん光発光性化合物を含有することを 徴とする前記1~5のいずれか1項に記載の有機 レクトロルミネッセンス素子。

 9.白色に発光することを特徴とする前記1~ 5のいずれか1項または前記8に記載の有機エレ クトロルミネッセンス素子。

 10.前記1~5のいずれか1項、前記8及び9のい れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセ ンス素子を備えたことを特徴とする表示装置 。

 11.前記1~5のいずれか1項、前記8及び9のい れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセ ンス素子を備えたことを特徴とする照明装置 。

 本発明により、外部取り出し量子効率が高 、発光寿命の長い有機EL素子を提供するこ 、更に、有機EL素子の製造方法、照明装置及 び表示装置を提供することができた。
を提供することができた。

有機EL素子から構成される表示装置の 例を示した模式図である。 表示部の模式図である。 照明装置の断面図である。 星形形状のを有する白色照明装置の一 を示す模式図である。

符号の説明

 1 ディスプレイ
 3 画素
 5 走査線
 6 データ線
 7 電源ライン
 10 有機EL素子
 11 スイッチングトランジスタ
 12 駆動トランジスタ
 13 コンデンサ
 A 表示部
 B 制御部
 101 有機EL素子
 107 透明電極付き基板
 106 有機EL層
 105 電極付き基板

 本発明の有機EL素子においては、請求の 囲1~5、8及び9のいずれか1項に記載の構成を することにより、外部取り出し量子効率が く、発光寿命の長い有機EL素子を提供するこ とができた。併せて、有機EL素子の製造方法 照明装置及びディスプレイ装置を提供する とができた。

 以下、本発明に係る各構成要素の詳細に いて、順次説明する。

 本発明者等は、従来公知の有機EL素子に いられている、基板周辺部を接着または融 することによって側面部分の封止効果を得 技術に着目し、特に、素子の側面部分の封 に関して新たな技術を創出することができ ば、現在のような封止行程の必要性は無く り大きな生産性の向上を達成でき、実用性 高い有機EL素子の提供が可能になると考えた 。

 また、従来、有機EL素子の製造時、最終 程に封止工程が位置するため、有機EL素子の 最終形態はこの封止工程時の形状に限定され ていたが、封止工程が必要なくなるならば、 素子製造後に素子形状を変化させることも可 能となり、例えば、「光るカッティングシー ト」のような新しい製品用途の創出等の展開 が可能となる。

 本発明では、有機EL素子を構成する有機 (有機化合物層ともいう)に架橋高分子材料( 数の重合性基の重合反応によりネットワー 化された高分子材料となる)を用いることで 有機層自身にバリアー性を付与することで 素子の側面部分に接着剤の使用、封止材料 使用等を必要としない有機EL素子を提供で る。

 本発明の有機EL素子は、請求の範囲1に記載 ように、陽極側基板、陰極側基板に挟まれ 少なくとも1層以上の有機層を有する有機エ レクトロルミネッセンス素子において、
 前記有機層の少なくもとも1層が、分子内に 複数個の重合性基を有する化合物または該化 合物の少なくとも1種の重合体を含有するこ を特徴とする。

 本発明の有機EL素子に係る、陽極側基板 陰極側基板、有機層については、後に詳細 説明する。

 《分子内に複数の重合性基を有する化合物 該化合物の重合体》
 本発明に係る、分子内に複数の重合性基を する化合物(以下、架橋性材料ともいう)に いて説明する。また、該化合物の重合体と 、前記化合物の単独重合体(ホモポリマー)ま たは共重合体等が挙げられる。

 ここで、重合性基とは、ラジカル重合反 、イオン重合反応、縮重合反応等を起こす とが可能な基であればよく、例えば、ビニ 基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、メ クリロイル基、メルカプト基、ヒドロキシ 、カルボキシ基、シアネート基、イソシア ート基、チオシアネート基、イソチオシア ート基、オキシラン(エチレンオキシド)か 導出される基(エポキシ基)、トリメチレンオ キシド(オキセタン)から導出される基等を挙 ることができる。

 以下、本発明に係る分子内に複数の重合 基を有する化合物(架橋性材料)の具体例を げるが、本発明はこれらに限定されない。

 尚、上記の架橋性材料の具体例の中で、 合物MO-1~MO-21は、架橋性の正孔輸送材料とし て好ましく用いられ、MO-22~MO-44は、架橋性ホ ト(架橋性ホスト化合物ともいう)として好 しく用いられ、また、MO-45~MO-52は、架橋性電 子輸送材料として好ましく用いられる。

 上記の架橋性材料は、更に置換基を有し いてもよく、該置換基としては、後述する 般式(E)において、Arで表される芳香族複素 が有してもよい置換基を挙げることができ 。更にまた、本発明に係る架橋性材料とし は、後述する、従来公知の有機EL素子材料( えば、ホスト化合物、電子輸送材料、正孔 送材料や、正孔阻止層、電子阻止層、電子 入層、正孔注入層等に含有される化合物等) 重合性基が置換した化合物を用いることも きる。

 また、有機EL素子の側面部分に十分な封 効果を付与する観点から、本発明に係る、 子内に複数の重合性基を有する化合物(以下 架橋性材料ともいう)の重合体を含む有機層 (有機化合物層)中での含有量は50質量%以上で ることが好ましい。

 《有機EL素子の構成層、有機層、無機層》
 本発明の有機EL素子の構成層、有機層(有機 合物層ともいう)、無機層(無機化合物層と いう)について説明する。本発明において、 機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下 示すが、本発明はこれらに限定されない。

 ここで、本発明に係る有機層(有機化合物層 )としては、該層の形成材料として有機化合 が含有されていればよいが、好ましくは、 記有機層の構成成分の50質量%以上を有機化 物が含有されている場合である。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子 輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子 送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層 /正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/ 極
 《基板の周辺部が、接着または融着封止さ ていない素子》
 本発明の有機EL素子は、請求の範囲3に記載 ように、陽極基板の周辺部または陰極基板 周辺部が、下記に示す接着封止または融着 止されていないことを特徴とする。

 ここで、本発明に係る陽極基板の周辺部 は、素子を構成する陽極基板及び陽極基板 の少なくとも一つの有機層を含む側面領域 示す、同様に、陰極基板の周辺部とは、素 を構成する陰極基板及び陰極基板上の少な とも一つの有機層を含む側面領域を示す。

 《接着封止または融着封止》
 従来公知の有機EL素子の陽極基板の周辺部 たは陰極基板の周辺部に適用されている、 着または融着封止としては、例えば、封止 材と電極、支持基板とを接着剤で接着する 法を挙げることができる。

 封止部材としては、有機EL素子の表示領 を覆うように配置され、具体的には、ガラ 板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィ ム等が挙げられる。ガラス板としては、特 ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチ ム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸 ラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケ 酸ガラス、石英等を挙げることができる。 た、ポリマー板としては、ポリカーボネー 、アクリル、ポリエチレンテレフタレート ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォ 等を挙げることができる。

 金属板としては、ステンレス、鉄、銅、 ルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜 、クロム、チタン、モリブテン、シリコン ゲルマニウム及びタンタルからなる群から ばれる一種以上の金属または合金からなる のが挙げられる。

 また、従来公知の接着剤としては、アク ル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴ ーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱 化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステル の湿気硬化型等の接着剤を挙げることがで る。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化 (二液混合)を挙げることができる。また、ホ ットメルト型のポリアミド、ポリエステル、 ポリオレフィンを挙げることができる。また 、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキ シ樹脂接着剤等が用いられている。

 以下、本発明の有機EL素子を構成する各 について説明する。

 《電子輸送層》
 電子輸送層とは電子を輸送する機能を有す 材料からなり、広い意味で電子注入層、正 阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送 は単層または複数層設けることができる。

 従来、単層の電子輸送層、及び複数層と る場合は発光層に対して陰極側に隣接する 子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻 止材料を兼ねる)としては、陰極より注入さ た電子を発光層に伝達する機能を有してい ばよく、その材料としては従来公知の化合 の中から任意のものを選択して用いること でき、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導 、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジ キシド誘導体、カルボジイミド、フレオレ リデンメタン誘導体、アントラキノジメタ 及びアントロン誘導体、オキサジアゾール 導体等が挙げられる。更に上記オキサジア ール誘導体において、オキサジアゾール環 酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾ ル誘導体、電子吸引基として知られている ノキサリン環を有するキノキサリン誘導体 、電子輸送材料として用いることができる 更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、 たはこれらの材料を高分子の主鎖とした高 子材料を用いることもできる。

 また8-キノリノール誘導体の金属錯体、 えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム( Alq)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)ア ミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノー ル)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリ ール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノ ノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール )亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金 属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わ た金属錯体も、電子輸送材料として用いる とができる。その他、メタルフリーもしく メタルフタロシアニン、またはそれらの末 がアルキル基やスルホン酸基等で置換され いるものも、電子輸送材料として好ましく いることができる。また、発光層の材料と て例示したジスチリルピラジン誘導体も、 子輸送材料として用いることができるし、 孔注入層、正孔輸送層と同様にn型-Si、n型-S iC等の無機半導体も電子輸送材料として用い ことができる。

 電子輸送層は上記電子輸送材料を、例え 、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト 、インクジェット法を含む印刷法、LB法等 公知の方法により、薄膜化することにより 成することができる。電子輸送層の膜厚に いては特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度 、好ましくは5nm~200nmである。電子輸送層は上 記材料の1種または2種以上からなる一層構造 あってもよい。

 また、不純物をドープしたn性の高い電子 輸送層を用いることもできる。その例として は、特開平4-297076号公報、同10-270172号公報、 開2000-196140号公報、同2001-102175号公報、J.Appl .Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げら る。

 本発明においては、このようなn性の高い 電子輸送層を用いることがより低消費電力の 素子を作製することができるため好ましい。

 以下、本発明の有機EL素子の電子輸送層 形成に好ましく用いられる化合物の具体例 挙げるが、本発明はこれらに限定されない

 尚、上記の電子輸送層の形成に好ましく いられる化合物に、複数の重合性基を導入 て、本発明に係る架橋性材料として用いる ともできる。

 《発光層》
 本発明に係る発光層は、電極または電子輸 層、正孔輸送層から注入されてくる電子及 正孔が再結合して発光する層であり、発光 る部分は発光層の層内であっても発光層と 接層との界面であってもよい。

 発光層の膜厚の総和は特に制限はないが 膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を 加するのを防止し、かつ、駆動電流に対す 発光色の安定性向上の観点から、2nm~5μmの 囲に調整することが好ましく、さらに好ま くは2nm~200nmの範囲に調整され、特に好まし は、10nm~20nmの範囲である。

 発光層の作製には、後述する発光ドーパ トやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法 スピンコート法、キャスト法、LB法、イン ジェット法等の公知の薄膜化法により製膜 て形成することができる。

 本発明の有機EL素子の発光層には、発光 スト化合物と、発光ドーパント(リン光ドー ント(リン光発光性ドーパントともいう)や 光ドーパント等)の少なくとも1種類とを含有 することが好ましい。

 (ホスト化合物(発光ホスト等ともいう))
 本発明に用いられるホスト化合物について 明する。

 ここで、本発明においてホスト化合物と 、発光層に含有される化合物の内でその層 での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃) においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1 未満の化合物と定義される。好ましくはリン 光量子収率が0.01未満である。また、発光層 含有される化合物の中で、その層中での質 比が20%以上であることが好ましい。

 ホスト化合物としては、公知のホスト化 物を単独で用いてもよく、または複数種併 して用いてもよい。ホスト化合物を複数種 いることで、電荷の移動を調整することが 能であり、有機EL素子を高効率化すること できる。また、後述する発光ドーパントを 数種用いることで、異なる発光を混ぜるこ が可能となり、これにより任意の発光色を ることができる。

 また、本発明に用いられる発光ホストと ては、従来公知の低分子化合物でも、繰り し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニ 基やエポキシ基のような重合性基を有する 分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でも良 。

 併用してもよい公知のホスト化合物とし は、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、 つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガ ス転移温度)である化合物が好ましい。

 また、公知のホスト化合物の具体例とし は、以下の文献に記載されている化合物が げられる。

 特開2001-257076号公報、同2002-308855号公報、 同2001-313179号公報、同2002-319491号公報、同2001- 357977号公報、同2002-334786号公報、同2002-8860号 報、同2002-334787号公報、同2002-15871号公報、 2002-334788号公報、同2002-43056号公報、同2002-33 4789号公報、同2002-75645号公報、同2002-338579号 報、同2002-105445号公報、同2002-343568号公報、 2002-141173号公報、同2002-352957号公報、同2002-2 03683号公報、同2002-363227号公報、同2002-231453号 公報、同2003-3165号公報、同2002-234888号公報、 2003-27048号公報、同2002-255934号公報、同2002-26 0861号公報、同2002-280183号公報、同2002-299060号 報、同2002-302516号公報、同2002-305083号公報、 同2002-305084号公報、同2002-308837号公報等。

 以下、本発明の有機EL素子の発光層のホ ト化合物として好ましく用いられる化合物 具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定 れない。

 尚、上記のホスト化合物に、複数の重合 基を導入して、架橋性材料として用いるこ もできる。

 《発光ドーパント》
 本発明に係る発光ドーパントについて説明 る。

 本発明に係る発光ドーパントとしては、 光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リ 光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合 、リン光発光性化合物等ともいう)を用いる ことができるが、より発光効率の高い有機EL 子を得る観点からは、本発明の有機EL素子 発光層や発光ユニットに使用される発光ド パント(単に、発光材料ということもある)と しては、上記のホスト化合物を含有すると同 時に、リン光ドーパントを含有することが好 ましい。

 (リン光ドーパント)
 本発明に係るリン光ドーパントについて説 する。

 本発明に係るリン光ドーパントは、励起 重項からの発光が観測される化合物であり 具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する 化合物であり、リン光量子収率が、25℃にお て0.01以上の化合物であると定義されるが、 好ましいリン光量子収率は0.1以上である。

 上記リン光量子収率は、第4版実験化学講 座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方 法により測定できる。溶液中でのリン光量子 収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本 発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒 のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01 上)が達成されればよい。

 リン光ドーパントの発光は原理としては2 種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホ スト化合物上でキャリアの再結合が起こって ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネ ルギーをリン光ドーパントに移動させること でリン光ドーパントからの発光を得るという エネルギー移動型、もう一つはリン光ドーパ ントがキャリアトラップとなり、リン光ドー パント上でキャリアの再結合が起こりリン光 ドーパントからの発光が得られるというキャ リアトラップ型であるが、いずれの場合にお いても、リン光ドーパントの励起状態のエネ ルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギ ーよりも低いことが条件である。

 リン光ドーパントは、有機EL素子の発光 に使用される公知のものの中から適宜選択 て用いることができる。

 本発明に係るリン光ドーパントとしては 好ましくは元素周期表で8族~10族の金属を含 有する錯体系化合物であり、さらに好ましく はイリジウム化合物、オスミウム化合物、ま たは白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類 体であり、中でも最も好ましいのはイリジ ム化合物である。

 以下に、リン光ドーパントとして用いら る化合物の具体例を示すが、本発明はこれ に限定されない。これらの化合物は、例え 、Inorg.Chem.40巻、1704~1711に記載の方法等によ り合成できる。

 尚、上記のリン光ドーパントに、複数の 合性基を導入して、本発明に係る架橋性材 として用いることもできる。

 また、発光層には、下記に示す反応性リ 光ドーパントを用いることもできる。

 上記の反応性リン光ドーパントの中で、 発明に係る分子内に複数の重合性基を有す 化合物(架橋性材料)として、MD-7、MD-8、MD-9 MD-10等のような、重合性基を複数有する化合 物が好ましく用いられる。

 また、反応性リン光ドーパントとしては 従来公知のリン光性化合物に、上記の反応 ホスト化合物が有してもよい重合性基が置 した化合物も好ましく用いられる。

 本発明に係るリン光ドーパント(リン光性 化合物、リン光発光性化合物等ともいう)と ては、励起三重項からの発光が青色である いわゆる、青色発光ドーパントとして下記 ような青色発光性オルトメタル錯体が好ま く用いられる。

 《デンドリマー型リン光発光性有機金属錯 》
 また、本発明に係るリン光ドーパントとし は、下記一般式(D1)で表されるデンドリマー 型リン光発光性有機金属錯体を用いることが できる。

 一般式(D1)
 P-[(デンドロン)m]n
 一般式(D1)において、デンドロンは、下記一 般式(E)で表される樹木状分子を表し、nは、0 超える整数を表し、mは、0を超え、且つ、n 満の整数を表す。Pは、コア(核)となる、リ 光発光性有機金属錯体を表す。

 一般式(E)においてArは、芳香族炭化水素 または芳香族複素環から導出される三価の を表す。芳香族複素環を表し、Xは、前記コ (核)となる、リン光発光性有機金属錯体Pと 合する単結合または二価の連結基を表す。n は、分岐回数(世代数ともいう)を表す。

 一般式(E)において、Arで表される芳香族 化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニ 環、ナフタレン環、アズレン環、アントラ ン環、フェナントレン環、ピレン環、クリ ン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o- テルフェニル環、m-テルフェニル環、p-テル ェニル環、アセナフテン環、コロネン環、 ルオレン環、フルオラントレン環、ナフタ ン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタ ェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレ 環、アンスラアントレン環等が挙げられる 尚、これらの環は、更に、下記の一般式(A) おいて、Rで表される置換基を有していても い。

 一般式(E)において、Arで表される芳香族 素環としては、例えば、フラン環、チオフ ン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリ ン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラ ン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール 、オキサジアゾール環、トリアゾール環、 ミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール 、インドール環、インダゾール環、ベンゾ ミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベン オキサゾール環、キノキサリン環、キナゾ ン環、シンノリン環、キノリン環、イソキ リン環、フタラジン環、ナフチリジン環、 ルバゾール環、カルボリン環、ジアザカル ゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素 の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換さ ている環を示す)等が挙げられる。

 尚、これらの環は、更に、置換基を有し いてもよく、置換基としては、アルキル基( 例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、 イソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基 ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ト デシル基、テトラデシル基、ペンタデシル 等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペ チル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル (例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキ ル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基 )、アリール基(例えば、フェニル基、ナフ ル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基 、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基 、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジ ニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チ アゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル 基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基 (前記カルボリニル基のカルボリン環を構成 る任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き わったものを示す)、フタラジニル基等)、複 素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリ ル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等) アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキ シ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基 、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ド デシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例 ば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキ ルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アル ルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチ オ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘ キシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチ オ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シ ロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基 )、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ 、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニ 基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エ チルオキシカルボニル基、ブチルオキシカル ボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ド デシルオキシカルボニル基等)、アリールオ シカルボニル基(例えば、フェニルオキシカ ボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等) 、スルファモイル基(例えば、アミノスルホ ル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチ アミノスルホニル基、ブチルアミノスルホ ル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シク ヘキシルアミノスルホニル基、オクチルア ノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニ 基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチ アミノスルホニル基、2-ピリジルアミノスル ホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基 エチルカルボニル基、プロピルカルボニル 、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシル ルボニル基、オクチルカルボニル基、2-エ ルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボ ル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカ ボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシ オキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチ ルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオ キシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデ シルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニ ルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカ ボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ 、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピル ルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルア ノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基 2-エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オ チルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボ ルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基 ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモ ル基(例えば、アミノカルボニル基、メチル アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボ ニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペン チルアミノカルボニル基、シクロヘキシルア ミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニ ル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニル基 ドデシルアミノカルボニル基、フェニルア ノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニ 基、2-ピリジルアミノカルボニル基等)、ウ イド基(例えば、メチルウレイド基、エチル ウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘ キシルウレイド基、オクチルウレイド基、ド デシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフ チルウレイド基、2-ピリジルアミノウレイド 等)、スルフィニル基(例えば、メチルスル ィニル基、エチルスルフィニル基、ブチル ルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニ 基、2-エチルヘキシルスルフィニル基、ドデ シルスルフィニル基、フェニルスルフィニル 基、ナフチルスルフィニル基、2-ピリジルス フィニル基等)、アルキルスルホニル基(例 ば、メチルスルホニル基、エチルスルホニ 基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシル ルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基 、ドデシルスルホニル基等)、アリールスル ニル基またはヘテロアリールスルホニル基( えば、フェニルスルホニル基、ナフチルス ホニル基、2-ピリジルスルホニル基等)、ア ノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、 ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロ ペンチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ 、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチ アミノ基、2-ピリジルアミノ基等)、ハロゲ 原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素 原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオ メチル基、トリフルオロメチル基、ペンタ ルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル 等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、 メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチ シリル基、トリイソプロピルシリル基、ト フェニルシリル基、フェニルジエチルシリ 基等)等が挙げられる。尚、これらの置換基 、上記の置換基によってさらに置換されて てもよい。また、これらの置換基は複数が いに結合して環を形成していてもよい。

 一般式(E)において、Xで表される二価の連 結基としては、アルキレン基、アルケニレン 基、アルキニレン基、アリーレン基などの炭 化水素基のほか、前記アルキレン基、前記ア ルケニレン基、前記アルキニレン基、前記ア リーレン基中、各々ヘテロ原子(例えば、窒 原子、硫黄原子、珪素原子等)を含むもので ってもよく、また、チオフェン-2,5-ジイル や、ピラジン-2,3-ジイル基のような、芳香族 複素環を有する化合物(ヘテロ芳香族化合物 もいう)に由来する二価の連結基であっても いし、酸素や硫黄などのカルコゲン原子で ってもよい。また、アルキルイミノ基、ジ ルキルシランジイル基やジアリールゲルマ ジイル基のような、ヘテロ原子を会して連 する基でもよい。

 以下、一般式(D1)で表されるデンドリマー の具体例を示すが、本発明はこれらに限定さ れない。

 《シクロデキストリン誘導体》
 本発明に係るリン光ドーパントとしては、 記一般式(D)で表されるシクロデキストリン 導体を用いることができる。ここで、シク デキストリン誘導体とは、複数のD-グルコ ラノース基がα-1、4グリコシド結合によって 環化した構造を有する化合物の総称。分子内 に存在する1級と2級の水酸基は置換基で置換 れていて構わない。

 一般式(D)において、Rは置換基を表し、Z リン光性化合物の残基を表す。

 一般式(D)において、Rで表される置換基は 、上記一般式(E)において、Arで表される芳香 炭化水素環が有してもよい置換基と同義で る。

 一般式(D)において、Zで表されるリン光性 化合物の残基として用いられるリン光性化合 物としては、リン光性化合物(リン光ドーパ トともいう)を用いることができる。

 以下、本発明に用いられるシクロデキス リン誘導体の好ましい具体例を示すが、本 明はこれらに限定されない。

 尚、CD-1、2において、Acは、各々アセチル 基を表す。

 《カリックスアレーン誘導体》
 本発明に係るリン光ドーパントの一種とし 用いられるカリックスアレーン誘導体につ て説明する。

 本発明に用いられるカリックスアレーン 導体とは、下記一般式(A)で表されるように フェノール誘導体をアルキレン基またはオ シアルキレン基で結合した環状構造を有す 化合物の総称を表し、また、分子内のフェ ール性水酸基は置換基で置換されていて構 ない。

 一般式(A)において、A、Lで、各々表され 二価の連結基としては、一般式(E)において Xで表される二価の連結基と同義である。

 更に、A、Lで各々表される二価の連結基 しては、例えば、カルバゾール環、カルボ ン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカル リン環ともいい、カルボリン環を構成する 素原子のひとつが窒素原子で置き換わった 成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロ ール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサ リン環、チオフェン環、オキサジアゾール環 、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環 、インドール環等のような芳香族複素環群か ら選択される芳香族複素環から導出される二 価の基等を用いることが出来る。

 また、更に、一般式(E)において、Arで表 れる芳香族炭化水素環が有してもよい置換 を有してもよい。

 以下に、本発明に用いられるカリックス レーン誘導体の具体例を挙げるが、本発明 これらに限定されない。

 CA-1において、Aは、CHまたはNを表し、Rは 水素原子、メチル基またはアセチル基を表 、nは、1~6の整数を表す。

 《クラウンエーテル誘導体》
 本発明に係るリン光ドーパントの一種とし 用いられるクラウンエーテル誘導体につい 説明する。

 本発明に用いられるクラウンエーテル誘 体とは、下記一般式(B)または一般式(C)で各 表されるように、環状ポリエーテルであっ 、環全体が多座配位子となり、金属イオン 有機イオンと包接する機能を持つ化合物の 称を表し、且つ、酸素原子の代わりにその 部、または全てが窒素、硫黄で置換されて 良い。

 一般式(B)、一般式(C)の各々において、Lは 、単結合または二価の連結基を表し、Chは、 素原子または硫黄原子を表す。mは、1~9の整 数、nは、1~3の整数を表し、Zは、蛍光性化合 の残基またはリン光性化合物の残基を表す

 一般式(B)、一般式(C)の各々において、Lで 表される二価の連結基は、上記一般式(A)のA Lで各々表される二価の連結基と同義である

 一般式(B)、一般式(C)の各々において、Zで 表されるリン光性化合物の残基として用いら れるリン光性化合物としては、後述するリン 光性化合物(リン光ドーパントともいう)に記 の化合物等が挙げられる。

 また、上記一般式(B)、(C)で各々表される ラウンエーテル誘導体は、上記一般式(A)で されるカリックスアレーン誘導体が有する 換基Rを有していてもよい。

 以下、本発明に用いられるクラウンエー ル誘導体の具体例を挙げるが、本発明はこ らに限定されない。

 上記の具体例である、CE-1、CE-2の各々に いて、Aは、CHまたはNを表し、nは、1~9の整数 を表す。

 本発明に用いられるリン光性化合物は、 えばOrganic Letter誌、vol3、No.16、p2579~2581(2001) 、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685~1687ペー ジ(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年 )、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704~1711ペ ジ(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3 055~3066ページ(2002年)、New Journal of Chemistry., 26巻、1171ページ(2002年)、更に、これらの文 中に記載の参考文献等の方法を適用するこ により合成できる。

 このほかにも、例えば、J.Am.Chem.Soc.123巻43 04~4312頁(2001年)、国際公開第00/70655号パンフレ ット、同第02/15645号パンフレット、特開2001-24 7859号公報、同2001-345183号公報、同2002-117978号 報、同2002-170684号公報、同2002-203678号公報、 同2002-235076号公報、同2002-302671号公報、同2002- 324679号公報、同2002-332291号公報、同2002-332292 公報、同2002-338588号公報等に記載の一般式で あげられるイリジウム錯体、あるいは、具体 的例として挙げられるイリジウム錯体、特開 2002-8860号公報記載の式(IV)で表されるイリジ ム錯体等が挙げられる。

 (蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう))
 蛍光ドーパント(蛍光性化合物)としては、 マリン系色素、ピラン系色素、シアニン系 素、クロコニウム系色素、スクアリウム系 素、オキソベンツアントラセン系色素、フ オレセイン系色素、ローダミン系色素、ピ リウム系色素、ペリレン系色素、スチルベ 系色素、ポリチオフェン系色素、または希 類錯体系蛍光体等が挙げられる。

 本発明に用いることのできる蛍光ドーパ トとしては、上記一般式(D)で表されるシク デキストリン誘導体において、Zで表される リン光性化合物の残基の代わりに、蛍光性化 合物残基を有するものが挙げられる。

 また、本発明に用いることのできる蛍光 ーパントの例としては、上記一般式(B)、上 一般式(C)の各々で表されるクラウンエーテ 誘導体において、Zで表されるリン光発光性 化合物残基の代わりに、蛍光性化合物の残基 を用いて化合物が挙げられる。

 ここで、蛍光性化合物としては、上記の 光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)に記 の色素、蛍光性化合物または蛍光性ドーパ トの具体例等が挙げられる。

 次に、本発明の有機EL素子の構成層とし 用いられる、注入層、阻止層、電子輸送層 について説明する。

 《正孔輸送層》
 正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有す 正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注 層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。 孔輸送層は単層または複数層設けることが きる。

 正孔輸送材料としては、正孔の注入また 輸送、電子の障壁性のいずれかを有するも であり、有機物、無機物のいずれであって よい。例えば、トリアゾール誘導体、オキ ジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、 リアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘 体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジア ン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ 換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、 チリルアントラセン誘導体、フルオレノン 導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導 、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、 た導電性高分子オリゴマー、特にチオフェ オリゴマー等が挙げられる。

 正孔輸送材料としては上記のものを使用 ることができるが、ポルフィリン化合物、 香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン 化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用 ることが好ましい。

 芳香族第3級アミン化合物及びスチリルア ミン化合物の代表例としては、N,N,N″,N″-テ ラフェニル-4,4″-ジアミノフェニル;N,N″-ジ フェニル-N,N″-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1 -ビフェニル〕-4,4″-ジアミン(TPD);2,2-ビス(4- -p-トリルアミノフェニル)プロパン;1,1-ビス( 4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン ;N,N,N″,N″-テトラ-p-トリル-4,4″-ジアミノビ ェニル;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニ )-4-フェニルシクロヘキサン;ビス(4-ジメチル アミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン;ビ (4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタ ン;N,N″-ジフェニル-N,N″-ジ(4-メトキシフェ ル)-4,4″-ジアミノビフェニル;N,N,N″,N″-テ ラフェニル-4,4″-ジアミノジフェニルエーテ ル;4,4″-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリ ェニル;N,N,N-トリ(p-トリル)アミン;4-(ジ-p-ト ルアミノ)-4″-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリ ル〕スチルベン;4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジ ェニルビニル)ベンゼン;3-メトキシ-4″-N,N- フェニルアミノスチルベンゼン;N-フェニル ルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明 書に記載されている2個の縮合芳香族環を分 内に有するもの、例えば、4,4″-ビス〔N-(1- フチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD) 特開平4-308688号公報に記載されているトリ ェニルアミンユニットが3つスターバースト に連結された4,4″,4′-トリス〔N-(3-メチル ェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルア ン(MTDATA)等が挙げられる。

 更にこれらの材料を高分子鎖に導入した またはこれらの材料を高分子の主鎖とした 分子材料を用いることもできる。また、p型 -Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、 孔輸送材料として使用することができる。

 また、特開平11-251067号公報、J.Huang et.al. 文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載 されているような、所謂p型正孔輸送材料を いることもできる。本発明においては、よ 高効率の発光素子が得られることからこれ の材料を用いることが好ましい。

 正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例え 、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト 、インクジェット法を含む印刷法、LB法等 公知の方法により、薄膜化することにより 成することができる。正孔輸送層の膜厚に いては特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度 、好ましくは5nm~200nmである。この正孔輸送層 は上記材料の1種または2種以上からなる一層 造であってもよい。

 また、不純物をドープしたp性の高い正孔 輸送層を用いることもできる。その例として は、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公 、同2001-102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,57 73(2004)等に記載されたものが挙げられる。

 本発明においては、このようなp性の高い 正孔輸送層を用いることが、より低消費電力 の素子を作製することができるため好ましい 。

 以下、本発明の有機EL素子の正孔輸送層 形成に好ましく用いられる化合物の具体例 挙げるが、本発明はこれらに限定されない

 尚、上記の正孔輸送層の形成に好ましく いられる化合物に、複数の重合性基を導入 て、本発明に係る架橋性材料として用いる ともできる。

 《注入層:電子注入層、正孔注入層》
 注入層は必要に応じて設け、電子注入層と 孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層 たは正孔輸送層の間、及び陰極と発光層ま は電子輸送層との間に存在させてもよい。

 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向 のために電極と有機層間に設けられる層の とで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998 年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2 編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載 れており、正孔注入層(陽極バッファー層)と 電子注入層(陰極バッファー層)とがある。

 陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開 9-45479号公報、同9-260062号公報、同8-288069号公 報等にもその詳細が記載されており、具体例 として、銅フタロシアニンに代表されるフタ ロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに 代表される酸化物バッファー層、アモルファ スカーボンバッファー層、ポリアニリン(エ ラルディン)やポリチオフェン等の導電性高 子を用いた高分子バッファー層等が挙げら る。

 陰極バッファー層(電子注入層)は、特開 6-325871号公報、同9-17574号公報、同10-74586号公 報等にもその詳細が記載されており、具体的 にはストロンチウムやアルミニウム等に代表 される金属バッファー層、フッ化リチウムに 代表されるアルカリ金属化合物バッファー層 、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ 土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニ ウムに代表される酸化物バッファー層等が挙 げられる。上記バッファー層(注入層)はごく い膜であることが望ましく、素材にもよる その膜厚は0.1nm~5μmの範囲が好ましい。

 尚、上記の電子注入層、正孔注入層の形 に好ましく用いられる化合物に、複数の重 性基を導入して、本発明に係る架橋性材料 して用いることもできる。

 《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
 阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基 構成層の他に必要に応じて設けられるもの ある。例えば、特開平11-204258号公報、同11-2 04359号公報、及び「有機EL素子とその工業化 前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発 )」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホー ルブロック)層がある。

 正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層 機能を有し、電子を輸送する機能を有しつ 正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻 材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻 することで電子と正孔の再結合確率を向上 せることができる。また、後述する電子輸 層の構成を必要に応じて、本発明に係わる 孔阻止層として用いることができる。

 本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発 層に隣接して設けられていることが好まし 。

 正孔阻止層には、前述のホスト化合物と て挙げたアザカルバゾール誘導体を含有す ことが好ましい。

 また、本発明においては、複数の発光色 異なる複数の発光層を有する場合、その発 極大波長が最も短波にある発光層が、全発 層中、最も陽極に近いことが好ましいが、 のような場合、該最短波層と該層の次に陽 に近い発光層との間に正孔阻止層を追加し 設けることが好ましい。更には、該位置に けられる正孔阻止層に含有される化合物の5 0質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化 物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV 上大きいことが好ましい。

 イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最 被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位 放出するのに必要なエネルギーで定義され 例えば下記に示すような方法により求める とができる。

 (1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフ ウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4, M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用 、キーワードとしてB3LYP/6-31G*を用いて構造 適化を行うことにより算出した値(eV単位換 値)の小数点第2位を四捨五入した値として オン化ポテンシャルを求めることができる この計算値が有効な背景には、この手法で めた計算値と実験値の相関が高いためであ 。

 (2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法 直接測定する方法により求めることもでき 。例えば、理研計器社製の低エネルギー電 分光装置「Model AC-1」を用いて、あるいは 外光電子分光として知られている方法を好 に用いることができる。

 一方、電子阻止層とは広い意味では正孔 送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい 料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止 ることで電子と正孔の再結合確率を向上さ ることができる。また、後述する正孔輸送 の構成を必要に応じて電子阻止層として用 ることができる。本発明に係る正孔阻止層 電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3nm~ 100nmであり、更に好ましくは5nm~30nmである。

 尚、上記の正孔阻止層、電子阻止層の形 に好ましく用いられる化合物に、複数の重 性基を導入して、本発明に係る架橋性材料 して用いることもできる。

 《縮合ポリマー》
 本発明の有機EL素子の製造方法においては 有機EL素子の有機層の構成材料の他にも、下 記に示す縮合ポリマーを適宜用いることが出 来る。

 以下、本発明に用いられる縮合ポリマー しては、下記一般式(1)で表される化合物が げられるが、本発明はこれらに限定されな 。

 一般式(1)において、[Ar]nは、n個所の置換 能な部位を有する、芳香族炭化水素環また 芳香族複素環を表す。Zは、蛍光性化合物残 基またはリン光性化合物残基を表し、Arの置 可能な部位n個所のうちのm個所がKを介して 結している。Kは、二価の連結基または単結 合を表す。nは、1~3の数を表し、mは、1~nの数 表す。ここで、Z、Kが複数の場合、各々は 立に、同一でもよく、異なっていてもよい Lは、後述する連結基群1から選択される二価 の連結基である。

 一般式(1)において、Arで表される芳香族 化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニ 環、ナフタレン環、アズレン環、アントラ ン環、フェナントレン環、ピレン環、クリ ン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o- テルフェニル環、m-テルフェニル環、p-テル ェニル環、アセナフテン環、コロネン環、 ルオレン環、フルオラントレン環、ナフタ ン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタ ェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレ 環、アンスラアントレン環等が挙げられる 尚、これらの環は、更に、上記一般式(A)に いて、Rで表される置換基を有していてもよ 。

 一般式(1)において、Arで表される芳香族 素環としては、例えば、フラン環、チオフ ン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリ ン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラ ン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール 、オキサジアゾール環、トリアゾール環、 ミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール 、インドール環、インダゾール環、ベンゾ ミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベン オキサゾール環、キノキサリン環、キナゾ ン環、シンノリン環、キノリン環、イソキ リン環、フタラジン環、ナフチリジン環、 ルバゾール環、カルボリン環、ジアザカル ゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素 の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換さ ている環を示す)等が挙げられる。

 尚、これらの環は、更に、上記一般式(E) おいて、Arで表される芳香族炭化水素環が しても良い置換基を有していてもよい。

 一般式(1)において、Kで表される二価の連 結基は、一般式(1)において、Aで表される二 の連結基と同義である。

 一般式(1)において、Zで表される蛍光性化 合物の残基、リン光性化合物残基は、各々、 一般式(1)において、Zで表される蛍光性化合 残基、リン光性化合物残基と各々同義であ 。

 一般式(1)において、Lで表される二価の連 結基は、下記の連結基群1から選択される。

 上記連結基群1において、R 1 ~R 4 は、各々アルキル基、芳香族炭化水素基また は芳香族複素環基を表す。

 上記連結基群1において、R 1 ~R 4 で各々表されるアルキル基としては、例えば 、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ ロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキ ル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシ 基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が げられる。これらは、更に、上記一般式(A) おいて、Rで表される置換基を有していても よい。

 上記連結基群1において、R 1 ~R 4 で表される芳香族炭化水素基としては、例え ば、フェニル基、p-クロロフェニル基、メシ ル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基 アントリル基、アズレニル基、アセナフテ ル基、フルオレニル基、フェナントリル基 インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル 等が挙げられる。

 これらの基は、更に、上記一般式(A)にお て、Rで表される置換基を有していてもよい 。

 上記連結基群1において、R 1 ~R 4 で表される芳香族複素環基としては、例えば 、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、 ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダ ゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ト リアゾリル基(例えば、1,2,4-トリアゾール-1- ル基、1,2,3-トリアゾール-1-イル基等)、オキ ゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾ ル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリ 基、フラザニル基、チエニル基、キノリル 、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベ ゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、イン リル基、カルバゾリル基、カルボリニル基 ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカ ルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素 原子で置き換わったものを示す)、キノキサ ニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基 キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げ れる。

 これらの基は、更に、上記一般式(E)にお て、Arで表される芳香族炭化水素環が有し も良い置換基を有していてもよい。

 以下、一般式(1)で表される縮合ポリマー 具体例を示すが、本発明はこれらに限定さ ない。

 《陽極》
 有機EL素子における陽極としては、仕事関 の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化 合物及びこれらの混合物を電極物質とするも のが好ましく用いられる。このような電極物 質の具体例としては、Au等の金属、CuI、イン ウムチンオキシド(ITO)、SnO 2 、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また 、IDIXO(In 2 O 3 -ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料 用いてもよい。

 陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッ リング等の方法により薄膜を形成させ、フ トリソグラフィー法で所望の形状のパター を形成してもよく、あるいはパターン精度 あまり必要としない場合は(100μm以上程度) 上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に 望の形状のマスクを介してパターンを形成 てもよい。

 あるいは、有機導電性化合物のように塗 可能な物質を用いる場合には、印刷方式、 ーティング方式等湿式製膜法を用いること できる。この陽極より発光を取り出す場合 は、透過率を10%より大きくすることが望ま く、また陽極としてのシート抵抗は数百ω/ 以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよる 、通常は、10nm~1000nmの範囲であり、好まし は10nm~200nmの範囲で選ばれる。

 《陰極》
 一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以 下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電 気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物 質とするものが用いられる。このような電極 物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリ ウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウ 、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀 混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物 マグネシウム/インジウム混合物、アルミニ ム/酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )混合物、インジウム、リチウム/アルミニウ 混合物、希土類金属等が挙げられる。

 これらの中で、電子注入性及び酸化等に対 る耐久性の点から、電子注入性金属とこれ り仕事関数の値が大きく安定な金属である 二金属との混合物、例えば、マグネシウム/ 銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合 、マグネシウム/インジウム混合物、アルミ ウム/酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )混合物、リチウム/アルミニウム混合物、ア ミニウム等が好適である。陰極はこれらの 極物質を蒸着やスパッタリング等の方法に り薄膜を形成させることにより、作製する とができる。

 また、陰極としてのシート抵抗は数百ω/ 以下が好ましく、膜厚は通常10nm~5μm、好ま くは50nm~200nmの範囲で選ばれる。尚、発光し た光を透過させるため、有機EL素子の陽極ま は陰極のいずれか一方が透明または半透明 あれば発光輝度が向上し好都合である。

 また、陰極に上記金属を1nm~20nmの膜厚で 製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透 材料をその上に作製することで、透明また 半透明の陰極を作製することができ、これ 応用することで陽極と陰極の両方が透過性 有する素子を作製することができる。

 《支持基板》
 本発明の有機EL素子に用いることのできる 持基板(以下、基体、基盤、基板、基材、支 体等とも言う)としては、ガラス、プラスチ ック等の種類には特に限定はなく、また透明 であっても不透明であってもよい。支持基板 側から光を取り出す場合には、支持基板は透 明であることが好ましい。好ましく用いられ る透明な支持基板としては、ガラス、石英、 透明樹脂フィルムを挙げることができる。特 に好ましい支持基板は、有機EL素子に可撓性( フレキシブル性)を与えることが可能な樹脂 ィルムである。

 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエ レンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ タレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレ ン、ポリプロピレン、セロファン、セルロー スジアセテート、セルローストリアセテート 、セルロースアセテートブチレート、セルロ ースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロ スアセテートフタレート(TAC)、セルロース イトレート等のセルロースエステル類また それらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポ ビニルアルコール、ポリエチレンビニルア コール、シンジオタクティックポリスチレ 、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、 リメチルペンテン、ポリエーテルケトン、 リイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ フェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポ リエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミ ド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポ リメチルメタクリレート、アクリルあるいは ポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製) るいはアペル(商品名三井化学社製)といっ シクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。

 樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物 被膜またはその両者のハイブリッド被膜が 成されていてもよく、JIS K 7129-1992に準拠 た方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃ 、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m 2 ・24h)以下のバリア性フィルムであることが ましく、更には、JIS K 7126-1987に準拠した方 法で測定された酸素透過度が、10 -3 ml/(m 2 ・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が、10 -5 g/(m 2 ・24h)以下の高バリア性フィルムであること 好ましい。

 バリア膜を形成する材料としては、水分 酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を 制する機能を有する材料であればよく、例 ば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を いることができる。更に該膜の脆弱性を改 するために、これら無機層と有機材料から る層の積層構造を持たせることがより好ま い。無機層と有機層の積層順については特 制限はないが、両者を交互に複数回積層さ ることが好ましい。

 バリア膜の形成方法については特に限定 なく、例えば、真空蒸着法、スパッタリン 法、反応性スパッタリング法、分子線エピ キシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオ ンプレーティング法、プラズマ重合法、大気 圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザー CVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いるこ とができるが、特開2004-68143号公報に記載さ ているような大気圧プラズマ重合法による のが特に好ましい。

 不透明な支持基板としては、例えば、ア ミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不 明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げ れる。

 本発明の有機EL素子の発光の室温におけ 外部取り出し効率は、1%以上であることが好 ましく、より好ましくは5%以上である。

 ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL 子外部に発光した光子数/有機EL素子に流し 電子数×100である。

 また、カラーフィルター等の色相改良フ ルター等を併用しても、有機EL素子からの 光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変 フィルターを併用してもよい。色変換フィ ターを用いる場合においては、有機EL素子の 発光のλmaxは480nm以下が好ましい。

 また、有機層を挟み支持基板と対向する の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、 持基板と接する形で無機物、有機物の層を 成し封止膜とすることも好適にできる。こ 場合、該膜を形成する材料としては、水分 酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を 制する機能を有する材料であればよく、例 ば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を いることができる。更に該膜の脆弱性を改 するために、これら無機層と有機材料から る層の積層構造を持たせることが好ましい これらの膜の形成方法については、特に限 はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリン 法、反応性スパッタリング法、分子線エピ キシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオ ンプレーティング法、プラズマ重合法、大気 圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザー CVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いるこ とができる。

 封止部材と有機EL素子の表示領域との間 には、気相及び液相では、窒素、アルゴン の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコン イルのような不活性液体を注入することが ましい。また真空とすることも可能である また、内部に吸湿性化合物を封入すること できる。

 吸湿性化合物としては、例えば、金属酸 物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム 、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグ ネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例 ば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫 マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロ ゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マ ネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタ 、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化 リウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類( 例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネ シウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロ ン化物及び過塩素酸類においては無水塩が 適に用いられる。

 《保護膜、保護板》
 有機層を挟み支持基板と対向する側の前記 止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側 、素子の機械的強度を高めるために保護膜 あるいは保護板を設けてもよい。特に封止 前記封止膜により行われている場合には、 の機械的強度は必ずしも高くないため、こ ような保護膜、保護板を設けることが好ま い。これに使用することができる材料とし は、前記封止に用いたのと同様なガラス板 ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム を用いることができるが、軽量且つ薄膜化 いうことからポリマーフィルムを用いるこ が好ましい。

 《有機EL素子の製造方法》
 本発明の有機EL素子の製造方法について説 する。

 本発明の有機EL素子の製造方法の一例と て、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電 輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子 の製造方法を説明する。

 まず、適当な基板(支持体、基盤、基体等 ともいう)上に所望の電極物質、例えば、陽 用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは1 0nm~200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタ リング等の方法により形成させ陽極を作製す る。

 次に、この上に有機EL素子材料である正 注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層 電子輸送層等の有機層(有機化合物層)を形成 させる場合、本願請求の範囲6に記載のよう 、前記有機層の少なくとも1層は塗布により 膜することが好ましい。

 《塗布による有機層の形成》
 これらの有機層の形成方法としては、前記 如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコー ト法、キャスト法、インクジェット法、印刷 法)等があるが、均質な膜が得られやすく、 つピンホールが生成しにくい等の点から、 発明においては、塗布(例えば、スピンコー 法、インクジェット法、印刷法等)による成 膜(層形成ともいう)が好ましい。

 有機層形成に用いる塗布液の調製を行う 合、有機EL材料を溶解または分散する液媒 としては、例えば、メチルエチルケトン、 クロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等 ハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレ 、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等 芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカ ン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DM SO等の有機溶媒を用いることができる。

 また、分散方法としては、超音波、高剪 力分散やメディア分散等の分散方法により 散することができる。

 これらの層を形成後、その上に陰極用物 からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50nm~2 00nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸 やスパッタリング等の方法により形成させ 陰極を設けることにより所望の有機EL素子が 得られる。

 また作製順序を逆にして、陰極、電子注 層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正 注入層、陽極の順に作製することも可能で る。このようにして得られた多色の表示装 に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、 陰極を-の極性として電圧2~40V程度を印加する と発光が観測できる。また交流電圧を印加し てもよい。なお、印加する交流の波形は任意 でよい。

 《貼合(貼り合わせともいう)による有機EL素 子の製造》
 更に、本発明の有機EL素子の製造方法とし は、基板A上に設けられた有機層Aと基板B上 設けられた有機層Bとを貼合する工程または 有機層Aと該基板Bとを貼合する工程により 素子形成を行うことが好ましい。

 より具体的に説明すると、例えば、陰極 板上に有機層Aを設けた部材と、陽極基板上 に有機層Bを設けた部材、をそれぞれ作製し 有機層同士を対向させ、部材同士を貼合し 有機EL素子が形成される。

 本発明では、上記の有機層Aと有機層Bは 素子の構成層として同一の機能を示す層で よいし、異なる機能を示す層であってもよ 。

 貼合(貼り合わせ)に用いる、陰極基板側 部材として、例えば、支持体(例えばガラス 板)上にアルミニウム等からなる陰極を真空 蒸着等により形成し、この上に例えば電子輸 送材料層を塗布或いは蒸着等により形成する 。一方、陽極側の部材として、例えばITO等の 薄膜を陽極として形成したガラス基板上に、 例えば正孔輸送層、発光層を、これも塗布或 いは蒸着等により順次形成する。

 陰極側基板及び陽極側基板の二つの部材 互いに有機層同士を対面させ、密着、貼合 ることで、効率よく有機EL素子を得ること できる。

 貼合(貼り合わせ)を行う面は、有機EL素子 各機能層のどの層間でもよいが、貼り合せ面 は、貼合、密着が容易、且つ、貼合後剥離し にくいこと等の観点から、有機層同士の貼合 が好ましい。

 また、貼り合せ面の不具合によるキャリ 移動の面内での不均一による発光ムラは、 機層界面で発光する蛍光発光方式よりも発 層内部に発光領域を持つリン光発光方式の が、比較的現れにくいこと、特に、発光層 有機層全体における相対的な膜厚比率を上 た時や発光層の膜厚を厚くした時、また、 光層同士を接合する発光層2層とした時など 、リン光性発光化合物を含有するリン光発光 方式は発光ムラをわからないくらいにできる ため、貼合による有機EL素子の製造は、リン 発光方式の有機EL素子の製造に好ましく用 られる。

 有機EL素子の製造プロセスにおいて、金 や、金属酸化物による電極を成膜する際は 性能のよい膜とするため、高いエネルギー 印加することが望まれるが、有機層を逐次 層するやり方では、最後に電極層を形成す ため、有機薄膜のダメージが懸念され、実 上、真空蒸着や、穏和な条件下でのスパッ リングで成膜するしかすべがない状況であ が、この点、貼合法においては、予め電極 の形成を行った後、各有機層の積層が行わ るため、逐次有機層が形成される逐次法に べ、すでに成膜されている有機層にダメー を与えることがなく(有機EL素子の発光特性 発光寿命などが大きく劣化してしまう)、ま 性能のよい電極膜を形成でき好ましいもの ある。

 また、貼合時にはエネルギー線も利用で る。エネルギー線としては、X線、中性子線 、電子線、紫外線等があるが、好ましくは、 紫外線、電子線である。

 紫外線の光源としては、紫外線ランプ(例え ば、0.5kPa~1MPaまでの動作圧力を有する低圧、 圧、高圧水銀ランプ)、キセノンランプ、タ ングステンランプ、ハロゲンランプ等が用い られ、5000μW/cm 2 ~8000μW/cm 2 程度の強度を有する紫外線が好ましく照射さ れる。硬化に要するエネルギー量としては0.0 2kJ/cm 2 ~20kJ/cm 2 の範囲が好ましい。

 《接合面の共有結合形成》
 本発明の好ましい態様においては、上記貼 された接合面について、これを分子レベル 密着させるため、接合後に界面間に共有結 を形成させることも、有効である。

 有機EL素子の構成層の層間を共有結合で なぐ技術は、特開2004-103401号公報に開示され ているが、本発明では、貼合法における界面 接着の手段としてこの技術を適用することが できる。

 即ち、貼合面(貼り合わせ面)の両方の有 層に、分子内に複数の重合性基を有する化 物を含有させる。

 分子内の複数の重合性基は、素子の使用 、素子内部で発生する活性種や、貼合時の により化学変化(重合反応)を起こし共有結 を形成することによって、貼合された有機 間の分子レベルでの密着性を向上させる。

 本発明においては、分子内に複数の重合 基を有する化合物が重合反応しているかど かの分析手段として、有機層の赤外分光分 により、前記化合物の有する重合性基の消 をトレースし、前記重合性基の消失により 合反応の進行を確認した。

 《重合性基の分析方法》
 重合性基の確認方法は、IR(赤外分光)、ラマ ン、UV(紫外線分光)等の一般に知られた分析 法を使用できる。

 以下に、その一例として、本発明に用い れる重合性二重結合基(ビニル基、アリル基 )の測定方法を記す。

 有機層中の重合性二重結合基の消失につ ては、重合性二重結合基の分布を測定する 法を利用した。つまり、重合性二重結合基 分布していない(検出限界以下にある)こと もって、重合性二重結合基の消失とみなし 。

 重合性二重結合基の二重結合の分布は以 の工程により求めた。

 (a)分析面積を確保するため、ダイプラウ ンテス社製サイカスNN04型にて斜め切削を行 った。拡大倍率を500倍とし、切削を行い、分 析面積を得た。

 (b)次いで、得られた切削面について、臭 付加法により、薄膜中に残存する二重結合 標識化した。

 (c)標識化後の試料についてX線光電子分光 (XPSともいう)装置アルバックファイ製QuanteraSX Mを用いて切削面表面の元素組成分布を計測 、切削面表面の元素組成分布を得た。

 また、これら、重合前の分子内に複数の 合性基を有する化合物が有機EL素子中に含 されていると、素子の駆動のジュール熱(つ り電流が素子内を流れることにより)化合物 間の反応(化学変化)が進むため、その結果と て分子レベルの密着性が向上、発光性能や 光寿命などが改善されるという新しい現象 ついても発見した。

 有機EL素子の発光層は、通常、リン光性 発光を利用する、いわゆる「リン光素子」 は、リン光発光材料(リン光ドーパント)を発 光ホストに対し質量比で1~20%程度混合するこ が発光効率の観点から有効であるとされて り、本発明においてリン光性の発光を利用 る場合には、発光ホストを併用することが ましく、このような化学変化は、該発光ホ ト材料と、これに反応性を持つリン光発光 料(リン光ドーパント)との化学反応を利用 てもよい。

 例えば、発光層同士を貼合する場合、ま 発光層がリン光ドーパントと発光ホストと 構成されるとき、リン光発光材料(リン光ド ーパント)の化学変化は、発光ホストとの(縮 や重合等)反応を利用してもよく、ホスト( 光ホストともいう)との化学反応を利用する 合、リン光発光材料に置換している特定の 合性基と反応を起こしうる反応性置換基を 光ホストに導入することが好ましい。

 例えば、リン光発光材料に水酸基(-OH)が 換している場合、発光ホストにはイソシア ート基(-NCO)や、イソチオシアナート基(-NCS) 導入した材料を選択する、或いは、リン発 材料にビニル基が置換している場合、それ ラジカル重合可能なビニル基を導入した発 ホストを選択する。

 また、本発明において最も好ましい態様 は、リン光発光材料また発光ホスト、の両 にビニル基が置換した材料を少なくとも1種 ずつ、同一層中に存在させ、その発光素子を 通電により、発光層内で発生するアニオンラ ジカルまたはカチオンラジカルを重合開始剤 として利用し、鎖状または網目状のポリマー (重合体)を形成させることである。

 また、陰極側部材の表面層が電子輸送層 あり、陽極側部材の表面層が発光層の場合 も、例えば、ビニル基等の重合性基をもつ 子輸送層、及び同じくビニル基等の重合性 をもつ発光ホストまたはドーパント材料を 有する発光層を各々有する部材を貼合する とで、層間において重合反応が行われ、貼 された有機層間の密着性の向上が向上し、 発明の有機EL素子の特性が向上する。

 陰極側基板の最表層が、発光層であり、 極側基板の最表層が正孔輸送層である場合 同様に、複数の重合性基を有する正孔輸送 料を含有した正孔輸送層を用いればよい。

 従って、貼合する有機層の少なくとも一 には、分子内に複数の重合性基を有する有 化合物を含有することが好ましく、貼合す 2つの有機層の少なくとも一方に重合性基を 有する化合物を含有し、他方にこれと反応す る基を有する材料を含有していれば、互いに 反応することで密着を強化でき、貼合面(接 面ともいう)の剥離を抑制し、キャリア移動 向上をはかることができる。

 また、貼り合せる有機層の両方に、分子 に複数の重合性基を有する化合物を含有し おくと、積層面の密着が強化の観点から好 しい。

 また、本発明の好ましい態様においては リン光性発光性化合物また発光ホスト、正 輸送材料、電子輸送材料等、貼合される各 機層中にビニル基が置換した材料を少なく も1種存在させることで、その発光素子を通 電により、発光層内で発生するアニオンラジ カルまたはカチオンラジカルを重合開始剤と して利用し、鎖状または網目状のポリマーを 形成させることができ、層内での重合により 、発光素子は、最初の状態よりもより堅牢性 が増強されたものとなり、通電(駆動)するう に次第に耐久性が増す発光素子を実現する とも可能である。

 このような、素子内部で発生する活性種 、駆動時のジュール熱によって化学変化を 超す反応性置換基としては、前記の基も含 以下のような基が挙げられる。

 貼合時や貼合後に、重合性基による架橋反 を行わせる場合、熱、また、エネルギー線 が利用できる。加熱の場合、60℃~200℃の範 で1秒~5時間、また、エネルギー線であれば 例えば、前記の紫外光源が同じく用いるこ ができ、5000μW/cm 2 ~8000μW/cm 2 程度の強度を有する紫外線を照射すればよい 。

 反応に要するエネルギー量としては0.02kJ/cm 2 ~20kJ/cm 2 の範囲が好ましい。

 類似する従来技術は、今までに例を見な が、近い技術として、成膜した後に高分子 化するという公知文献としては以下のよう ものがあり、その架橋反応は本発明の有機E L素子の形成に適用してもよい。

 例えば、特開平5-271166号公報には、分子 にビニル基を2つ有する2官能性のトリフェニ ルアミン誘導体が記載されており、その化合 物を成膜した後に紫外線照射により3次元架 されたポリマーの形成が開示され、特開2001- 297882号公報には、2つ以上のビニル基を有す 材料を複数の層に添加する技術が開示され おり、この場合、重合反応は陰極を積層す 前の有機層成膜時点で紫外線や熱の照射で っている。

 また、特開2003-73666号公報では、リン光ド ーパントの末端にビニル基を有する材料と同 様にビニル基を有するコモノマーの混合物に ラジカル発生剤であるAIBN(アゾイソブチロニ リル)を添加して成膜時に重合反応を進行さ せる製造方法が開示され、特開2003-86371号公 には、同一層内の2分子間でディールスアル ー反応を起こさせて架橋させる製造方法等 技術である。

 《光取り出し》
 有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折 が1.7~2.1程度)層の内部で発光し、発光層で 生した光のうち15%から20%程度の光しか取り せないことが一般的に言われている。これ 、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空 との界面)に入射する光は、全反射を起こし 子外部に取り出すことができないことや、 明電極ないし発光層と透明基板との間で光 全反射を起こし、光が透明電極ないし発光 を導波し、結果として光が素子側面方向に げるためである。

 この光の取り出しの効率を向上させる手 としては、例えば、透明基板表面に凹凸を 成し、透明基板と空気界面での全反射を防 方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に 光性を持たせることにより効率を向上させ 方法(特開昭63-314795号公報)、素子の側面等に 反射面を形成する方法(特開平1-220394号公報) 基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平 層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特 昭62-172691号公報)、基板と発光体の間に基板 よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法 (特開2001-202827号公報)、基板、透明電極層や 光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間) に回折格子を形成する方法(特開平11-283751号 報)等がある。

 本発明においては、これらの方法を本発 の有機EL素子と組み合わせて用いることが きるが、基板と発光体の間に基板よりも低 折率を持つ平坦層を導入する方法、あるい 基板、透明電極層や発光層のいずれかの層 (含む、基板と外界間)に回折格子を形成する 方法を好適に用いることができる。

 本発明はこれらの手段を組み合わせるこ により、更に高輝度あるいは耐久性に優れ 素子を得ることができる。

 透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒 を光の波長よりも長い厚みで形成すると、 明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が いほど外部への取り出し効率が高くなる。

 低屈折率層としては、例えば、エアロゲ 、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フ 素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の 折率は一般に1.5~1.7程度であるので、低屈折 率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好 ましい。また、更に1.35以下であることが好 しい。

 また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波 の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈 折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエ バネッセントで染み出した電磁波が基板内に 入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が 薄れるからである。

 全反射を起こす界面もしくはいずれかの 質中に回折格子を導入する方法は、光取り し効率の向上効果が高いという特徴がある この方法は回折格子が1次の回折や2次の回 といった所謂ブラッグ回折により、光の向 を屈折とは異なる特定の向きに変えること できる性質を利用して、発光層から発生し 光のうち層間での全反射等により外に出る とができない光を、いずれかの層間もしく 、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格 子を導入することで光を回折させ、光を外に 取り出そうとするものである。

 導入する回折格子は、二次元的な周期屈 率を持っていることが望ましい。これは発 層で発光する光はあらゆる方向にランダム 発生するので、ある方向にのみ周期的な屈 率分布を持っている一般的な1次元回折格子 では、特定の方向に進む光しか回折されず、 光の取り出し効率がさほど上がらない。しか しながら、屈折率分布を二次元的な分布にす ることにより、あらゆる方向に進む光が回折 され、光の取り出し効率が上がる。

 回折格子を導入する位置としては前述の り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基 板内や透明電極内)でもよいが、光が発生す 場所である有機発光層の近傍が望ましい。

 このとき、回折格子の周期は媒質中の光 波長の約1/2~3倍程度が好ましい。

 回折格子の配列は正方形のラチス状、三 形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元 的に配列が繰り返されることが好ましい。

 《集光シート》
 本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側 、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造 設けるように加工したり、あるいは所謂集 シートと組み合わせることにより、特定方 、例えば、素子発光面に対し正面方向に集 することにより、特定方向上の輝度を高め ことができる。

 マイクロレンズアレイの例としては、基 の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90 度となるような四角錐を2次元に配列する。 辺は10μm~100μmが好ましい。これより小さく ると回折の効果が発生して色付く、大きす ると厚みが厚くなり好ましくない。

 集光シートとしては、例えば、液晶表示 置のLEDバックライトで実用化されているも を用いることが可能である。このようなシ トとして、例えば、住友スリーエム社製輝 上昇フィルム(BEF)等を用いることができる プリズムシートの形状としては、例えば、 材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライ が形成されたものであってもよいし、頂角 丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変 させた形状、その他の形状であってもよい

 また、発光素子からの光放射角を制御す ために、光拡散板・フィルムを集光シート 併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡 フィルム(ライトアップ)等を用いることがで きる。

 《有機EL素子の用途》
 本発明の有機EL素子は、表示デバイス、デ スプレイ、各種発光光源として用いること できる。発光光源として、例えば、照明装 (家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バッ クライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の 光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機 の光源、光センサーの光源等が挙げられるが これに限定するものではないが、特に液晶表 示装置のバックライト、照明用光源としての 用途に有効に用いることができる。

 本発明の有機EL素子を用いた表示装置と ては、青色発光層の発光極大波長は430nm~480nm にあるものが好ましく、緑色発光層は発光極 大波長が510nm~550nm、赤色発光層は発光極大波 が600nm~640nmの範囲にある単色発光層である とが好ましい。

 これらの少なくとも3層の発光層を積層し て白色発光層としたものであってもよい。更 に、発光層間には非発光性の中間層を有して もよい。本発明の有機EL素子としては白色発 層であることが好ましく、これらを用いた 明装置であることが好ましい。

 また、本発明の有機EL素子においては、 要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジ ットプリンティング法等でパターニングを してもよい。パターニングする場合は、電 のみをパターニングしてもよいし、電極と 光層をパターニングしてもよいし、素子全 をパターニングしてもよく、素子の作製に いては、従来公知の方法を用いることがで る。

 本発明の有機EL素子や本発明に係る化合 の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブ ク」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985 )の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS-1 000(コニカミノルタセンシング社製)で測定し 結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で 定される。

 また、本発明の有機EL素子が白色素子の場 には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記 法により測定した際に、1000Cd/m 2 でのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y= 0.33±0.1の領域内にあることを言う。

 以下、実施例により本発明を説明するが 本発明はこれらに限定されない。

 実施例1
 《有機EL素子1-1の製造》
 以下のように、陽極側基板1-1-A、陰極側基 1-1-Bを作製した後、各基板上に形成された発 光層を対面させるようにして貼合して、有機 EL素子1-1を製造した。

 《陽極側基板1-1-Aの作製》
 陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に 、ITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜し 基板(NHテクノグラス社製 NA45)にパターニン を行った後、このITO透明電極を設けた透明 持基板をイソプロピルアルコールで超音波 浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗 を5分間行なった。

 この陽極側基板上に、30mgのMO-18をトルエ 3mlに溶解した溶液を、1000rpm、30秒の条件下 スピンコート法により成膜し、窒素下、150 にて1時間加熱し、MO-18の重合性基を重合さ ることにより不溶化処理を行い、結果、加 処理によりMO-18の重合膜から成る膜厚30nmの 孔輸送層を設けた。

 更に、正孔輸送層上に、30mgのMO-33と1.5mg PD-1をトルエン2mlに溶解した溶液を、1500rpm、 30秒の条件下、スピンコート法により成膜し 60℃にて1時間乾燥し、膜厚25nmの発光層を設 け、陽極側基板1-1-Aを作製した。

 《陰極側基板1-1-Bの作製》
 100mm×100mm×0.7mmのポリエーテルスルホン(PES) 板上をイソプロピルアルコールで超音波洗 し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UV(紫外線)オゾ ン洗浄を5分間行ない、次いで、市販の真空 着装置の基板ホルダーに固定した。真空蒸 装置に取付け、真空槽を4×10 -4 Paまで減圧した。

 基板上に、アルミニウム-マグネシウム合 金110nmを蒸着して陰極を形成した。

 この陰極側基板上に、30mgのMO-47をトルエ 3mlに溶解した溶液を、1000rpm、30秒の条件下 スピンコート法により成膜し、窒素下、150 にて1時間加熱し、MO-47分子内の重合性基を 合させることにより不溶化処理を行った。

 結果、加熱処理によりMO-47の重合膜から る膜厚30nmの膜厚50nmの電子輸送層を設けた。

 更に、電子輸送層上に、30mgのMO-33と1.5mg PD-1をトルエン2mlに溶解した溶液を、1500rpm、 30秒の条件下、スピンコート法により成膜し 60℃にて1時間乾燥し、膜厚25nmの発光層を設 け、陰極側基板1-1-Bを作製した。

 《貼合による有機EL素子1-1の作製》
 得られた陽極側基板1-1-Aと該陰極側基板1-1-B とを各々の発光層を対面させるようにして、 貼合した。

 次いで、窒素下、150℃にて1時間、さらに 170℃にて1時間加熱し、陽極側基板1-1-A、陰極 側基板1-1-Bの各々の発光層に含まれるMO-33分 の重合性基を重合させることで、有機EL素子 1-1を作製した。

 尚、前述の方法により有機EL素子1-1の有 層中の重合性基の消失を確認し、これをも て、MO-33の重合が進行したことを確認した。

 《有機EL素子1-2の作製》
 有機EL素子1-1の作製において、陽極側基板 、下記の陽極側基板1-2-Aを用い、陰極側基板 に下記に陰極側基板1-2-Bを各々用いた以外は 様にして、有機EL素子1-2を製造した。

 《陽極側基板1-2-Aの作製》
 陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に 、ITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜し 基板(NHテクノグラス社製 NA45)にパターニン を行った後、ITO透明電極を設けた透明支持 板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄 、乾燥窒素ガスで乾燥し、UV(紫外線)オゾン 洗浄を5分間行なった。

 これを市販の真空蒸着装置の基板ホルダー 固定し、真空蒸着装置に取付け、真空槽を4 ×10 -4 Paまで減圧した。OC-2の入ったモリブデン製抵 抗加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1 nm/秒で、この陽極側基板上に膜厚30nmの正孔 送層を設けた。

 同様にして、OC-10、PD-1の蒸着速度を各々0 .1nm/秒、0.05nm/秒で共蒸着を行い、膜厚25nmの 光層を設け、陽極側基板1-2-Aを作製した。

 《陰極側基板1-2-Bの作製》
 100mm×100mm×0.7mmのプラスチック基板上をイソ プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒 素ガスで乾燥し、UV(紫外線)オゾン洗浄を5分 行なった。

 これを市販の真空蒸着装置の基板ホルダー 固定した。真空蒸着装置に取付け、真空槽 4×10 -4 Paまで減圧した。基板上に、アルミニウム-マ グネシウム合金110nmを蒸着して陰極を形成し 。

 この陰極側基板上にOC-17を蒸着速度0.1nm/ で蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を設けた。 に、OC-10、PD-1の蒸着速度をそれぞれ0.1nm/秒 0.05nm/秒で共蒸着を行い、膜厚25nmの発光層 設け、陽極側基板1-2-Bを作製した。

 《有機EL素子1-1、1-2の評価》
 得られた有機EL素子1-1、1-2の各々について 下記に記載の方法により、外部取りだし量 効率、発光寿命を測定、評価した。尚、有 EL素子1-1、1-2を各々図3に示すような照明装 を形成して評価した。

 図3は、照明装置の断面図を示し、図3に いて、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電 極付きガラス基板を示す。

 《外部取りだし量子効率の測定》
 作製した有機EL素子について、23℃、乾燥窒 素ガス雰囲気下で2.5mA/cm 2 定電流を印加した時の外部取り出し量子効率 (%)を測定した。尚、測定には分光放射輝度計 CS-1000(コニカミノルタセンシング社製)を用い た。

 《発光寿命の測定》
 温度23℃、大気中で2.5mA/cm 2 の一定電流で駆動したときに、輝度が発光開 始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するの 要した時間を測定し、これを半減寿命時間( τ 0.5 )として寿命の指標とした。尚、測定には同 に、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタセ ンシング社製)を用いた。

 尚、外部取りだし量子効率、発光寿命、 有機EL素子1-2を100とした時の相対値で表し 。

 有機EL素子   外部取りだし量子効率    光寿命       備考
 1-1           108     100000    本発 明
 1-2           100        100    比 較例
 上記の結果が示す通り、本発明の有機EL素 1-1では、封止工程を用いなくとも極めて高 発光寿命特性を有することがわかった。よ て、有機EL素子としての発光性能を低下させ ること無く、革新的な有機EL素子製造プロセ を提供できた。

 実施例2
 《フルカラー表示装置の作製》
 (青色発光有機EL素子)
 実施例1の有機EL素子1-1の作製において、PD-1 をPD-12に変更した以外は同様にして、青色発 有機EL素子1-1B(青)を作製した。

 (緑色発光有機EL素子)
 緑色発光有機EL素子として、実施例1で作製 た有機EL素子1-1を用いた。

 (赤色発光有機EL素子)
 実施例1の有機EL素子1-1において、PD-1をPD-6 変更した以外は同様にして、赤色発光有機EL 素子1-1R(赤)を作製した。

 上記の赤色、緑色及び青色発光有機EL素 を、同一基板上に並置し、図1に記載の形態 有するアクティブマトリクス方式フルカラ 表示装置を作製し、図2には、作製した前記 表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。

 即ち、同一基板上に、複数の走査線5及び データ線6を含む配線部と、並置した複数の 素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素 、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査 5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料か らなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交 て、直交する位置で画素3に接続している( 細は図示せず)。

 前記複数の画素3は、それぞれの発光色に 対応した有機EL素子、アクティブ素子である イッチングトランジスタと駆動トランジス それぞれが設けられたアクティブマトリク 方式で駆動されており、走査線5から走査信 号が印加されると、データ線6から画像デー 信号を受け取り、受け取った画像データに じて発光する。

 この様に各赤、緑、青の画素を適宜、並 することによって、フルカラー表示装置を 製した。

 前記フルカラー表示装置を駆動すること より、発光効率が高い発光寿命の長いフル ラー動画表示が得られることを確認するこ ができた。

 実施例3
 《白色の照明装置の製造》
 (a)実施例1の有機EL素子1-1において、陽極側 板1-1-A及び陰極側基板1-1-Bに用いたPD-1をPD-1 PD-6、PD-12に変更した以外は同様にして、白 発光有機EL素子1-1W(白色)を製造した。

 (b)実施例1の有機EL素子1-1において、陽極 基板1-1-Aに用いたPD-1をPD-13とし、更に陰極 基板1-1-Bの作製に用いたPD-1をPD-10に変更した 以外は同様にして、白色発光有機EL素子1-1W(2) (白色)を製造した。

 得られた有機EL素子1-1W、1-1W(2)を評価する に際しては、実施例1と同様に、照明装置と て評価した。

 組み立てた照明装置は、発光効率が高く 光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装 として使用することができた。

 実施例4
 《星形形状を有する白色照明装置の製造》: カッティングシートの製造
 図4に示したように、前記有機EL素子1-1Wを星 型にカッティングし、白色照明装置とした。 得られた白色照明装置は、発光効率が高く発 光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置 として使用することができた。