Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PHARMACEUTICAL COMPOSITION CONTAINING STATIN-ENCAPSULATED NANOPARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026702
Kind Code:
A1
Abstract:
The object is to provide a novel nanotechnology-based strategy for a anti-angiogenesis therapy, particularly statin encapsulated in a biodegradable nanoparticle. The statin-encapsulated nanoparticle enables the local treatment with statin and can provide the improvement in therapeutic efficacy of statin in a disease which can be treated with statin including ischemic angiogenesis.

Inventors:
EGASHIRA KENSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066926
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 30, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV KYUSHU NAT UNIV CORP (JP)
EGASHIRA KENSUKE (JP)
International Classes:
A61K9/51; A61K9/10; A61K31/22; A61K31/366; A61K31/40; A61K31/404; A61K31/47; A61K31/505; A61K47/34
Domestic Patent References:
WO2001093806A22001-12-13
WO1999018952A11999-04-22
WO2001093806A22001-12-13
Foreign References:
US5902805A1999-05-11
US5674893A1997-10-07
US5622985A1997-04-22
US5135935A1992-08-04
US5356896A1994-10-18
US4920109A1990-04-24
US5286895A1994-02-15
US5262435A1993-11-16
US5260332A1993-11-09
US5317031A1994-05-31
US5283256A1994-02-01
US5256689A1993-10-26
US5182298A1993-01-26
US5369125A1994-11-29
US5302604A1994-04-12
US5166171A1992-11-24
US5202327A1993-04-13
US5276021A1994-01-04
US5196440A1993-03-23
US5091386A1992-02-25
US5091378A1992-02-25
US4904646A1990-02-27
US5385932A1995-01-31
US5250435A1993-10-05
US5132312A1992-07-21
US5130306A1992-07-14
US5116870A1992-05-26
US5112857A1992-05-12
US5102911A1992-04-07
US5098931A1992-03-24
US5081136A1992-01-14
US5025000A1991-06-18
US5021453A1991-06-04
US5017716A1991-05-21
US5001144A1991-03-19
US5001128A1991-03-19
US4997837A1991-03-05
US4996234A1991-02-26
US4994494A1991-02-19
US4992429A1991-02-12
US4970231A1990-11-13
US4968693A1990-11-06
US4963538A1990-10-16
US4957940A1990-09-18
US4950675A1990-08-21
US4946864A1990-08-07
US4946860A1990-08-07
US4940800A1990-07-10
US4940727A1990-07-10
US4939143A1990-07-03
US4929620A1990-05-29
US4923861A1990-05-08
US4906657A1990-03-06
US4906624A1990-03-06
US4897402A1990-01-30
US4346227A1982-08-24
US4444784A1984-04-24
US4739073A1988-04-19
US5273995A1993-12-28
US4231938A1980-11-04
Other References:
WAIS M. ET AL.: "Statins Have Biphasic Effects on Angiogenesis", CIRCULATION, vol. 105, 2002, pages 739 - 745, XP003021335
KATSUMOTO M. ET AL.: "New 3-hydroxy-3 methyl glutaryl coenzyme A (HMG-CoA) reductase inhibitor, pitavastatin has biphasic effect on angiogenesis", ATHEROSCLEROSIS SUPPLEMENTS, vol. 4, no. 2, 2003, pages 203 + ABSTR. NO. 3P-0644, XP003021336
SONG C. ET AL.: "Arterial uptake of biodegradable nanoparticles for intravascular local drug delivery: Results with an acute dog model", JOURNAL OF CONTROLLED RELEASE, vol. 54, 1998, pages 201 - 211, XP004134568
AVOGOUSTAKIS K. ET AL.: "Effect of copolymer composition on the physicochemical characteristics, in vitro stability, and biodistribution of PLGA-mPEG nanoparticles", INTERNATIONAL JOURNAL OF PHARMACEUTICS, vol. 259, 2003, pages 115 - 127, XP003021337
KUBO M. ET AL.: "A Novel Nanotechnology-Based Strategy for Therapeutic Neovascularization: Local Delivery of Statin with Biodegradable-Polymeric-Nanoparticle Improves Therapeutic Efficacy of Ischemic Neovascularization", CIRCULATION, vol. 114, no. 18, SUPPL. II, 31 October 2006 (2006-10-31), pages 250, XP003021338
EGASHIRA K.: "Kekkan Naihi Saibo Hyotekika Nano DDS o Mochiita Statin Kyokusho Delivery ni yoru Teishinshu Chiryoteki Kekkan Shinsei Ryoho no Kaihatsu", JAPAN ATHEROSCLEROSIS SOCIETY SOKAI. GAKUJUTSU SHUKAI PROGRAM. SHOROKUSHU, 27 June 2007 (2007-06-27), pages 162, XP003021339
KUBO M. ET AL.: "A Novel Nanotechnology-Based Strategy for Therapeutic Neovascularization: Local Delivery of Statin with Biodegradable-Polymeric-Nanoparticle Improves Therapeutic Efficacy of Ischemic Neovascularization", CIRC. J., vol. 71, no. SUPPL. 1, 1 March 2007 (2007-03-01), pages 298, XP003021340
SETO H. ET AL.: "Rat Shishuen Model ni Okeru Simvastatin no Shisokotsu Keisei Sayo", THE JAPANEES SOCIETY OF PERIODONTOLOGY GAKUJUTSU TAIKEI PROGRAM OYOBI KOEN SHOROKUSHU, vol. 49TH, 30 September 2006 (2006-09-30), pages P-23 + ABSTR. NO. 050103, XP003021341
See also references of EP 2057987A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building3-7, Shiromi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 01, JP)
Download PDF:
Claims:
 スタチンを生体適合性ナノ粒子の内部に封入してなるスタチン封入ナノ粒子を含む医薬組成物。
 スタチンがプラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンおよびリピトールから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
 スタチンがピタバスタチンまたはアトルバスタチンである、請求項1に記載の医薬組成物。
 1種以上のスタチンを封入した、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
 スタチンと共にその他の薬剤を封入した、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
 その他の薬剤が、新血管形成効果を有する薬剤、抗生物質、抗炎症剤、ビタミン、またはスタチンと併用することが望ましくない薬剤以外のものである、請求項5に記載の医薬組成物。
 生体適合性ナノ粒子が、生体適合性ポリエステルまたはそのポリエチレングリコール/キトサン修飾体を含む、請求項1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
 生体適合性ポリエステルが、ポリラクチドグリコライド共重合体である請求項7に記載の医薬組成物。
 ナノ粒子が2.5~1,000nmの個数平均粒子径である、請求項1~8のいずれかに記載の医薬組成物。
 HMG-CoA還元酵素が関与する状態の処置または予防に使用するための、請求項1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
 HMG-CoA還元酵素が関与する状態が、、新血管形成が必要な状態、糖尿病性潰瘍、壊疽、治癒促進のために新血管形成が必要な外科または他の創傷、バージャー症候群、高血圧、虚血疾患、高血圧、潰瘍または微小血管の減少を特徴とする外科創傷である、請求項10に記載の医薬組成物。
 虚血が脳血管虚血、腎虚血、肺虚血、肢虚血、虚血性心筋症、心筋虚血、筋虚血または脳虚血である、請求項11に記載の医薬組成物。
 請求項1~12のいずれかに記載の医薬組成物を温血動物に投与することを含む、HMG-CoA還元酵素が関与する状態の処置または予防法。
 投与が注射投与である、請求項13に記載の方法。
Description:
スタチン封入ナノ粒子含有医薬 成物

 本発明は、新血管新生治療のための新ナ テクノロジーベース戦略、とりわけ生物分 可能なナノ粒子に封入したスタチンを提供 る。かかるスタチン封入ナノ粒子によって スタチンの局所的処置が可能となり、した って虚血性新血管新生を初めとする様々な タチンによって治療可能な疾患の治療有効 の向上がもたらされる。

 スタチンは、肝でのコレステロール生合 における律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻 害するため、血中から肝へのコレステロール 取り込みを促進させ、その結果、強力な血中 コレステロール濃度低下作用および血清中性 脂肪値低下作用を有する化合物である。スタ チンとしては、例えば、プラバスタチン、シ ンバスタチン、フルバスタチン、アトルバス タチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、 リピトールなどが知られている。

 高脂血症の処置の他に、近年スタチン化 物の様々な疾患の処置に使用し得ることが 出されている。例えば、座瘡および/または 皮膚老化の処置に有用であることや(特許文 1);一酸化窒素(NO)介在性血管拡張および血管 緩を増加させ得ること(特許文献2);そして2 目ないしそれ以後の心筋梗塞の予防に有用 あること(特許文献3および4)が知られている

 また、スタチンは組織における血管形成を 進するためにも使用することができ、かか スタチンは新規血管増殖が望まれる疾患の 置に使用することができる(特許文献5)。こ は、(1)内皮原種細胞(EPCs)の数と機能の増加; (2)虚血性の/損傷した組織への、EPCs混合の刺 ;そして、(3)損害した組織の再生/治癒の促 、が含まれる。

U. S. Pat. No. 5,902,805

WO 99/18952

U. S. Pat. No. 5,674,893

U. S. Pat. No. 5,622,985

WO01/93806

 しかし、これらの有益な効能は、スタチ の「全身性」投与の結果としてもたらされ 臨床環境で使用される量よりも投与量が極 に多い時のみであるが、かかる「全身性」 与にはスタチン副作用である横紋筋融解症 らびに肝障害が発生し易いという問題があ た。かかる副作用を回避ないし低減すべく 臨床的に使用可能な量のスタチンを「局所 投与することが望まれる。

 そこで本発明者は、生物分解可能な重合 ノ粒子技術を使用してスタチンをナノ粒子 介投与するという着想に基づき、臨床服用 囲内でのスタチンのナノ粒子媒介による局 投与が虚血性新血管新生の治療向上に有効 あることを見出して、本願発明に至った。 こで、本発明でいう「局所」投与とは、皮 投与や眼投与等のいわゆる局所投与のみな ず、例えば経口投与の後、特定の組織、例 ば虚血組織に薬剤が選択的に輸送されて、 所的に処置される場合も含むものとする。

 本発明のスタチン封入ナノ粒子は、特定 織でのスタチンの効果的な細胞内放出と、 血管新生に関連した治療効力を、横紋筋融 症や肝障害などの潜在的副作用もなく、長 間に亘って示す。

下肢虚血作製後にFITC封入ナノ粒子を筋 注した虚血下肢を示す。FITC封入ナノ粒子は 筋細胞および間質組織に取り込まれ、7日後 も筋組織内に残存していた。

下肢虚血作製後、虚血下肢筋へアトル スタチンおよび同等量のアトルバスタチン 封入したナノ粒子を筋注した後、下肢虚血 ら14日目のレーザードップラーでの血流評 (矢印は虚血側)を示す。アトルバスタチン封 入ナノ粒子により、虚血側の血流改善が認め られた。

術直後、3日後、7日後、14日後それぞれ での下肢の血流を、レーザードップラーで測 定した虚血側の健常側に対する血流比を示す 。アトルバスタチン封入ナノ粒子により、7 目から血流の有意な改善が認められた。ア ルバスタチンのみおよびPLGAのみでは、無処 群と差がなかった。無処置に対して、*:p< 0.05および**:p<0.01、n=8~12。◆:無処置、■:PLG A、▲:アトルバスタチン、×:PLGA-Ato、*:PEG/CS-At o。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。HE染色にて、アトルバス タチン封入ナノ粒子群では、壊死領域が小さ かった(矢印で囲まれた領域)。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。内皮細胞のマーカーで るCD31に対する免疫染色にて、アトルバスタ ン封入ナノ粒子群で、CD31陽性細胞の有意な 増加が認められ、血管新生能(angiogenesis)の亢 が示唆された。アトルバスタチンのみおよ PLGAのみでは、無処置群と差がなかった。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。内皮細胞のマーカーで るCD31に対する免疫染色にて、アトルバスタ ン封入ナノ粒子群で、CD31陽性細胞の有意な 増加が認められ、血管新生能の亢進が示唆さ れた。アトルバスタチンのみおよびPLGAのみ は、無処置群と差がなかった。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。アトルバスタチン封入 ノ粒子群で、径20μm以上の血管構造の有意な 増加が認められ、機能的血管新生の増加(arter iogenesis)が示唆された。アトルバスタチンの およびPLGAのみでは、無処置群と差がなかっ 。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。アトルバスタチン封入 ノ粒子群で、径20μm以上の血管構造の有意な 増加が認められ、機能的血管新生の増加が示 唆された。アトルバスタチンのみおよびPLGA みでは、無処置群と差がなかった。

下肢虚血作製後、虚血下肢筋へピタバ タチンおよび同等量のピタバスタチンを封 したナノ粒子を筋注した後、下肢虚血から1 4日目のレーザードップラーでの血流評価(矢 は虚血側)。アトルバスタチン封入ナノ粒子 により、虚血側の血流改善が認められた。

術直後、3日後、7日後、14日後それぞ での下肢の血流を、レーザードップラーで 定した虚血側の健常側に対する血流比を示 。ピタバスタチン封入ナノ粒子により、7日 から血流の有意な改善が認められた。ピタ スタチンのみおよびPLGAのみでは、無処置群 と差がなかった。無処置に対して、*:p<0.05 よび**:p<0.01、n=8~12。◆:無処置、■:PLGA、 :アトルバスタチン、×:PLGA-Ato、*:PEG/CS-Ato。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。内皮細胞のマーカーで るCD31に対する免疫染色にて、ピタバスタチ ン封入ナノ粒子群で、CD31陽性細胞の有意な 加が認められ、血管新生能の亢進が示唆さ た。ピタバスタチンのみおよびPLGAのみでは 無処置群と差がなかった。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。内皮細胞のマーカーで るCD31に対する免疫染色にて、ピタバスタチ ン封入ナノ粒子群で、CD31陽性細胞の有意な 加が認められ、血管新生能の亢進が示唆さ た。ピタバスタチンのみおよびPLGAのみでは 無処置群と差がなかった。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。ピタバスタチン封入ナ 粒子群で、αSMA(α平滑筋アクチン)陽性血管 造の有意な増加が認められ、機能的血管新 の増加が示唆された。ピタバスタチンのみ よびPLGAのみでは、無処置群と差がなかった 。

下肢虚血から14日目の虚血側下肢筋の 織学的評価を示す。ピタバスタチン封入ナ 粒子群で、αSMA(α平滑筋アクチン)陽性血管 造の有意な増加が認められ、機能的血管新 の増加が示唆された。ピタバスタチンのみ よびPLGAのみでは、無処置群と差がなかった 。

下肢虚血後、ナノ粒子のみ、ピタバス タチン(0.4、4、20mg/kg)のみ、あるいはPLGA-ピタ バスタチンを1回筋注し、3日後、7日後、14日 それぞれでの下肢の正常部分に対する虚血 分の比を示す。ピタバスタチンを高用量に ても血管新生作用は得られないが、ピタバ タチン封入ナノ粒子を投与することで血管 生作用を得ることができる。◆:PLGA-Pit、▲: ピタバスタチン0.4mg/kg、■:ピタバスタチン4mg /kg、×:ピタバスタチン20mg/kg。

虚血作成35日後の血管造影静止画像を 用した、血管数の評価を示す。PLGA-Pit群は の3群と比較し、有意に血管数の増加が認め れた。

虚血作成後35日後のPLGA-Pit群日本ウサ の筋肉運動前後での動静脈血酸素分圧較差 示す。運動中に動静脈血酸素分圧格差の増 が認められなかった。

虚血作成35日後のPLGA-FITC群日本ウサギ 筋肉運動前後での動静脈血酸素分圧較差を す。運動中に動静脈血酸素分圧格差の増大 認めた。

虚血作成35日後のPit群日本ウサギの筋 運動前後での動静脈血酸素分圧較差を示す 運動中に動静脈血酸素分圧格差の増大を認 た。

虚血作成35日後の無処置(PBS投与)群日 ウサギの筋肉運動前後での動静脈血酸素分 較差を示す。運動中に動静脈血酸素分圧格 の増大を認めた。

非虚血マウス(コントロール)および虚 後14日目の無治療群とピタバスタチン封入 ノ粒子投与群より末梢血を採取し、血管内 前駆細胞(EPC)数を測定して算出した末梢血白 血球中の割合(%)を示す。ピタバスタチン封入 ナノ粒子投与によるスタチンの局所送達によ る血管新生作用は、骨髄を含む全身への作用 というより、虚血局所での作用が主体である ことが理解できる。

 第1の態様において本発明は、スタチンを 生体適合性ナノ粒子の内部に封入してなるス タチン封入ナノ粒子を含む医薬組成物を提供 する。

 スタチンには、HMG-CoA(3-ヒドロキシ-3-メチ ルグルタリル-コエンザイムA)還元酵素阻害剤 として知られるあらゆる化合物を含有し、例 えばU. S. Patent No. 5,622,985; U. S. Patent No.  5,135,935; U. S. Patent No. 5,356,896; U. S. Patent No. 4,920,109; U. S. Patent No. 5,286,895; U. S. P atent No. 5,262,435; U. S. Patent No. 5,260,332; U. S. Patent No. 5,317,031; U. S. Patent No. 5,283,256 ; U. S. Patent No. 5,256,689; U. S. Patent No. 5,1 82,298; U. S. Patent No. 5, 369, 125; U. S. Patent  No. 5,302,604; U. S. Patent No. 5,166,171; U. S.  Patent No. 5,202,327; U. S. Patent No. 5,276,021; U.  S. Patent No. 5,196,440; U. S. Patent No. 5,091,38 6 ; U. S. Patent No. 5,091,378; U. S. Patent No.  4,904,646; U. S. Patent No. 5,385,932; U. S. Patent No. 5,250,435; U. S. Patent No. 5,132,312; U. S. P atent No. 5,130,306; U. S. Patent No. 5,116,870; U. S. Patent No. 5,112,857; U. S. Patent No. 5,102,911 ; U. S. Patent No. 5,098,931; U. S. Patent No. 5,0 81,136; U. S. Patent No. 5,025,000; U. S. Patent No . 5,021,453; U. S. Patent No. 5,017,716; U. S. Pate nt No. 5,001,144; U. S. Patent No. 5,001,128; U. S.  Patent No. 4,997, 837; U. S. Patent No. 4,996,234;  U. S. Patent No. 4,994,494; U. S. Patent No. 4,99 2,429; U. S. Patent No. 4,970,231; U. S. Patent No.  4,968,693; U. S. Patent No. 4,963,538; U. S. Paten t No. 4,957,940; U. S. Patent No. 4,950,675; U. S. Patent No. 4,946,864; U. S. Patent No. 4,946,860; U . S. Patent No. 4,940,800; U. S. Patent No. 4,940,7 27; U. S. Patent No. 4,939,143; U. S. Patent No. 4 ,929,620; U. S. Patent No. 4,923,861; U. S. Patent  No. 4,906,657; U. S. Patent No. 4,906,624; and U. S . Patent No. 4,897,402に記載のものが含まれ得 が、特にプラバスタチン(U. S. Patent No. 4,34 6,227)、シンバスタチン(U. S. Patent No. 4,444,78 4)、フルバスタチン(U. S. Patent No. 4,739, 073) 、アトルバスタチン(U. S. Patent No. 5,273,995) ピタバスタチン、ロスバスタチン(U. S. Pate nt No. 4,231,938)およびリピトール、とりわけ タバスタチンおよびアトルバスタチンが好 しい。これらの文献を出典明示により本願 細書の一部とする。

 本発明のナノ粒子には、1種またはそれ以 上のスタチンを封入することができる。ある いは、1種またはそれ以上のスタチンとその の薬剤を封入することもできる。スタチン 共に封入され得るその他の薬剤には、新血 形成効果を有する薬剤、抗生物質、抗炎症 、ビタミン、あるいはスタチンと併用する とが望ましくない薬剤以外のものを使用す ことができる。

 本発明の生体適合性ナノ粒子は、生体適 性ポリマー、例えば生体適合性ポリエステ から製造することができる。「生体適合性 リエステル」なる用語は、本発明において 例えばD,L-ラクチド、D-ラクチド、L-ラクチ 、D,L-乳酸、D-乳酸、L-乳酸、グリコリド、グ リコール酸、ε-カプロラクトン、ε-ヒドロキ シヘキサン酸、γ-ブチロラクトン、γ-ヒドロ キシ酪酸、δ-バレロラクトン、δ-ヒドロキシ 吉草酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸などから 選択される一種またはそれ以上のモノマーを 重合することにより合成される、任意のポリ エステルを意味する。好ましい態様において 、生体適合性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグ リコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、 または乳酸・アスパラギン酸共重合体、とり わけPLGAまたはPEG/CS-PLGA(ポリエチレングリコ ル/キトサン修飾-PLGA)である。

 本明細書において使用される、「PLGA」な る語は、様々な割合の、例えば1:99~99:1、好ま しくは3:1の乳酸またはラクチドと、グリコー ル酸またはグリコライドからなるコポリマー 、すなわちポリラクチドグリコライド共重合 体を意味する。PLGAは任意のモノマーから常 の方法で合成してもよいし、市販のものを 用してもよい。市販のPLGAとしては、例えばP LGA7520(乳酸:グリコール酸=75:25、平均重量分子 量20,000、和光純薬)が挙げられる。乳酸およ グリコール酸の含有量が25重量%~65重量%であ PLGAは非晶質であり、アセトンなどの有機溶 媒に可溶であるから好ましい。

 ポリマーは様々な平均鎖長をもち、その 果、様々な内部粘性およびポリマー特性の 異をもたらすが、とりわけ生体への刺激や 性が低く、生体適合性で、投与後分解して 謝される生体内分解性のものが好ましい。 た、生体適合性ポリマーから得られたナノ 子は封入するスタチンを持続して放出する とが好ましい。このようなポリマーとして 、例えば5,000~200,000の分子量のもの、例えば 15,000~25,000の分子量のものが好ましい。

 また、生体適合性ポリマーの表面をポリ チレングリコール(PEG)で修飾しておくと、 溶性のスタチンとポリマーの親和性が向上 、封入が容易になるため好ましい。

 本発明のスタチン含有ナノ粒子は、生体 合性ポリマーとスタチンを光散乱法で測定 たときに1,000nm未満、例えば2.5~1,000nm、より ましくは約5~500nm、さらに好ましくは25~300nm 最も好ましくは約50~200nmの個数平均粒子径 有する粒子に加工することができる方法で ればいかなる方法によっても製造すること できるが、好ましくは球形晶析法を使用し 製造する。球形晶析法は、化合物合成の最 プロセスにおける結晶の生成・成長プロセ を制御することで、球状の結晶粒子を設計 、その物性を直接制御して加工することが きる方法である。この球形晶析法の一つに エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)がある。

 ESD法は、簡単に説明すると、薬物を封入 る基剤ポリマーとなる生体適合性ポリマー を溶解できる良溶媒と、これとは逆に生体 合性ポリマーを溶解しない貧溶媒の二種類 溶媒を用いる。この良溶媒には、生体適合 ポリマーを溶解し、且つ貧溶媒へ混和する 機溶媒を用いる。良溶媒および貧溶媒の種 は、封入されるスタチンの種類等に応じて 定されるものであり特に限定されるもので ないが、本発明のナノ粒子は、人体へ作用 せる医薬製剤の原料として用いられるため 人体に対して安全性が高く、且つ環境負荷 少ないものを用いることが好ましい。

 このような貧溶媒としては、水、或いは 面活性剤を添加した水が挙げられるが、例 ば界面活性剤としてポリビニルアルコール 添加したポリビニルアルコール水溶液が好 に用いられる。ポリビニルアルコール以外 界面活性剤としては、レシチン、ヒドロキ メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ ロース等が挙げられる。なお、余剰のポリ ニルアルコールが残存している場合は、溶 留去工程の後に、遠心分離等によりポリビ ルアルコールを除去する工程(除去工程)を けても良い。

 良溶媒としては、低沸点且つ難水溶性の 機溶媒であるハロゲン化アルカン類、アセ ン、メタノール、エタノール、エチルアセ ート、ジエチルエーテル、シクロヘキサン ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、例 ば環境や人体に対する悪影響が少ないアセ ンのみ、若しくはアセトンとエタノールの 合液が好適に用いられる。

 まず、良溶媒中に生体適合性ポリマーを 解後、この生体適合性ポリマーが析出しな ように、薬物溶解液を良溶媒中へ添加混合 る。このポリマーと薬物を含む混合液を、 溶媒中に攪拌下、滴下すると、混合液中の 溶媒が貧溶媒中へ急速に拡散移行する。そ 結果、貧溶媒中で良溶媒の乳化が起き、サ ミクロンサイズの良溶媒のエマルジョン滴 形成される。さらに、良溶媒と貧溶媒の相 拡散により、エマルジョン内から有機溶媒 貧溶媒へと継続的に拡散していくので、エ ルジョン滴内の生体適合性ポリマー並びに 物の溶解度が低下し、最終的に、薬物を包 した球形結晶粒子のポリマーナノ粒子が生 する。

 好ましくは、薬物封入ナノ粒子には、薬 が0.1~99%(w/v)、例えば0.1~30%(w/v)、より好まし は1~10%(w/v)封入される。薬物には1種以上の タチン及び所望によりその他の薬剤が含ま る。

 上記球形晶析法では、物理化学的な手法 ナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ 子が略球形であるため触媒や原料化合物の 留といった問題を考慮する必要がなく、粒 径のばらつきが少ないナノ粒子を、容易に 成することができる。その後、良溶媒であ 有機溶媒を遠心分離または減圧留去し(溶媒 留去工程)、薬物封入ナノ粒子粉末を得る。 して、得られた粉末をそのまま、或いは必 に応じて凍結乾燥等により再分散可能な凝 粒子に複合化し(複合化工程)、複合粒子とし た後、容器内に充填してスタチン含有ナノ粒 子とする。

 また、ナノ粒子内部へのスタチンの封入 を高めるため、貧溶媒にカチオン性高分子 添加することが好ましい。カチオン性高分 を貧溶媒中に添加した場合は、ナノ粒子表 に吸着したカチオン性高分子がエマルショ 滴表面に存在するスタチンと相互作用し、 溶媒中へのスタチンの漏出を抑制すること できるものと考えられる。

 カチオン性高分子としては、キトサン及 キトサン誘導体、セルロースに複数のカチ ン基を結合させたカチオン化セルロース、 リエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポ アリルアミン等のポリアミノ化合物、ポリ ルニチン、ポリリジン等のポリアミノ酸、 リビニルイミダゾール、ポリビニルピリジ ウムクロリド、アルキルアミノメタクリレ ト4級塩重合物(DAM)、アルキルアミノメタク レート4級塩・アクリルアミド共重合物(DAA) が挙げられるが、特にキトサン或いはその 導体が好適に用いられる。

 キトサンは、アミノ基を有する糖の1種で あるグルコサミンが多数結合した天然高分子 であり、乳化安定性、保形性、生分解性、生 体適合性、抗菌性等の特徴を有するため、化 粧品や食品、衣料品、医薬品等の原料として 広く用いられている。このキトサンを貧溶媒 中に添加することにより、生体への悪影響が なく、安全性の高いスタチン封入ナノ粒子を 製造することができる。

 また、良溶媒中での核酸化合物の親和性 び分散安定性を向上させるため、良溶媒中 DOTAP等のカチオン性脂質を添加し、核酸化 物と複合体を形成させても良い。但し、細 内において放出されたカチオン性脂質によ 細胞障害性を示すおそれがあるため、添加 には注意が必要である。

 以上のようにして得られたナノ粒子は、 結乾燥等により粉末化させる際に再分散可 な凝集粒子(ナノコンポジット)に複合化で る。このとき、有機または無機の物質を再 散可能に複合化させ、ナノ粒子と共に乾燥 せることが好ましい。例えば、糖アルコー やショ糖を適用することにより、封入率の らつきを効果的に防止するとともに、糖ア コール等が賦形剤となりナノ粒子の取り扱 性を高めることができる。糖アルコールと ては、マンニトール、トレハロース、ソル トール、エリスリトール、マルチトース、 シリトースなどが挙げられ、この中でも特 トレハロースが好ましい。

 この複合化により、使用前まではナノ粒 が集まった、取り扱いやすい凝集粒子とな ており、使用時に水分に触れることでナノ 子に戻って高反応性等の特性を復元する複 粒子となる。なお、凍結乾燥法に代えて、 動層乾燥造粒法(例えば、ホソカワミクロン (株)製アグロマスタAGMを使用)により複合化し て、再度分離可能な状態で一体化することも できる。

 このようにして得られる本発明のスタチ 含有ナノ粒子は、HMG-CoA還元酵素が関与する 様々な状態、例えば組織の血管新生不全(ま はその素因)を特徴とする状態、すなわち組 が十分に脈管化される必要のある、新血管 成が必要な状態、ならびに(1)糖尿病性潰瘍 (2)壊疽、(3)治癒促進のために新血管形成が 要な外科または他の創傷、(4)バージャー症 群、(5)高血圧(肺高血圧症を含む)、(6)虚血 患、例えば脳血管虚血、腎虚血、肺虚血、 虚血、虚血性心筋症、心筋虚血、筋、脳、 臓および肺等の組織の虚血、高血圧、潰瘍( えば糖尿病性潰瘍)、微小血管の減少を特徴 とする外科創傷または他の状態が含まれる。 好ましい態様において、本発明によって処置 される状態は、治療的血管形成によって処置 される状態、とりわけ虚血である。

 本発明において「処置」とは、状態の処 および予防を含む。

 また、本発明のスタチン封入ナノ粒子は 内皮細胞、白血球、心筋細胞および繊維芽 胞のような他の細胞タイプによって同様に り込まれるため、いくつかの難治疾患処置 本発明のスタチン封入ナノ粒子を適用する とができる。したがって、本発明の広い局 で、本発明のスタチン封入ナノ粒子はまた 重症の家族性高コレステロール血症、肺高 圧症、動脈硬化症、大動脈瘤、変性性神経 患、アルツハイマー病、脳血管性痴呆、臓 線維化、悪性腫瘍の処置に使用できる。

 従って、さらなる局面において、本発明 スタチンによって処置される疾患および/ま たは状態の予防および処置のための、本発明 のスタチン封入ナノ粒子を組み込まれた薬剤 送達システムに関する。

 本発明の特定の発見によると、本発明は た、本発明のスタチン封入ナノ粒子の治療 有効用量を、スタチンによって処置可能な 患および/または状態を有する温血動物(ヒ を含む)へと投与する、温血動物の処置法を 供する。

 本発明のナノ粒子を含む医薬組成物は、 所的、経腸的、例えば経口的もしくは経直 的、または非経腸的投与に、とりわけ筋、 脈または動脈注射に適しており、そして、 機または有機、固体または液体であり得る 学的に許容される担体を含み得る。たとえ 、経口投与用本発明の医薬組成物は、希釈 、例えばラクトース、デキストロース、ス ロース、マンニトール、ソルビトール、セ ロースおよび/またはグリセロール、および /または滑沢剤、例えばケイ酸、タルク、ス アリン酸もしくはステアリン酸マグネシウ もしくはステアリン酸カルシウムのような の塩、および/またはポリエチレングリコー 、および/または安定化剤と共に本発明のナ ノ粒子を含み、とりわけ錠剤またはゼラチン カプセルを使用することができる。錠剤はま た結合剤および、所望により、崩壊剤、吸着 剤、染料、香味料および甘味剤を含み得る。 本発明のナノ粒子はまた非経腸的投与用組成 物の形または注入溶液の形で使用できる。か かる溶液は、賦形剤、例えば安定化剤、保存 剤、湿潤剤および/または乳化剤、浸透圧を 節する塩および/またはバッファーを含む。 医薬組成物は、当業者に既知の方法で製造 れ、そして約0.1%~99%、とりわけ約1%~約50%、 ましくは1~20%(%は重量%)の有効成分を含む。

 使用される本発明のナノ粒子の用量範囲 、温血動物の種、体重および年齢、投与形 、特定の使用される物質および処置される 患の状態を含む、当業者に既知の要素に依 している。特に記載がない限り、本発明の ノ粒子は、好ましくは1日に1~4回の投与され る。とりわけ好ましい態様において本発明の 医薬組成物は、その長期間の薬剤放出能力の ため(例えば図1参照)、毎日、隔日、1週間に1 、隔週、1ヶ月に1回等の様々な投与頻度で 与することができる。好ましくは、かかる 度は当業者に既知の要素に依存し、医師等 より容易に決定される。

 本発明のスタチン封入ナノ粒子によって 与されるスタチンは、治療上有効量を投与 れる。有効量とは、所望の結果を得るため 必要なスタチンの量であり、処置する状態 進行の遅延、阻害、予防、逆転または治癒 もたらすのに必要な量であり、典型的には 約0.01mg/kg~約1000mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg~約 200mg/kg、より好ましくは約0.2mg/kg~約20mg/kgであ り、1日に1回、またはそれ以上に分割して投 することができる。

  スタチン封入ナノ粒子の製造
i)アトルバスタチン封入PLGA
 PLGA(和光純薬、PLGA7520、乳酸:グリコール酸=7 5:25、平均重量分子量20,000)1.2gとアトルバスタ チン120mgをアセトン40mL、エタノール20mLの混 に溶解しポリマー溶液とした。これを40℃、 400rpmで攪拌した0.5wt%PVA溶液120mL中に一定速度( 4mL/min)で滴下しアトルバスタチン封入PLGAナノ 粒子懸濁液を得た。続いて減圧下40℃、100rpm 攪拌を続けながら、有機溶媒(アセトン、エ タノール)を留去した。約2時間溶媒留去後、 濁液をフィルターろ過(目開き32μm)し、ろ液 を一晩凍結乾燥し、アトルバスタチン封入PLG Aナノ粒子を得た。アトルバスタチンは、ナ 粒子中6.3%(w/v)封入された。アトルバスタチ に代えて蛍光マーカー(FITC)を封入したPLGAナ 粒子を、同様に製造した。蛍光マーカーは ナノ粒子中5%(w/v)封入された。

ii)アトルバスタチン封入PEG/CS-PLGA
 peg-PLGA(Absorbable Polymers International製;乳酸/グ リコール酸=75/25、分子量22,900 そのうちpeg分 量6,000)1.2gとアトルバスタチン120mgをアセト 40mL、エタノール20mLの混液に溶解しポリマ 溶液とした。これを40℃、400rpmで攪拌した0.0 4wt%キトサン(片倉チッカリン、モイスコートP X、塩化N-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモ ニオ)プロピル〕キトサン)水溶液120mL中に一 速度(4mL/min)で滴下しアトルバスタチン封入pe g-PLGAナノ粒子懸濁液を得た。続いて減圧下40 、100rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒(アセ トン、エタノール)を留去した。約2時間半溶 留去後、懸濁液をフィルターろ過(目開き32 m)し、アトルバスタチン封入PEG/CS-PLGAナノ粒 を得た。アトルバスタチンは、ナノ粒子中8 .8%(w/v)封入された。アトルバスタチンに代え 蛍光マーカー(FITC)を封入したPEG/CS-PLGAナノ 子を、同様に製造した。蛍光マーカーは、 ノ粒子中2.4%(w/v)封入された。

iii)アトルバスタチンに代えて、ピタバス チンを封入したPLGAナノ粒子およびPEG/CS-PLGA ノ粒子をそれぞれ製造した。ピタバスタチ はPLGAナノ粒子中5.5%(w/v)封入され、PEG/CS-PLGA ノ粒子中2.3%(w/v)封入された。

動物と実験上プロトコル
 研究プロトコルは、九州大学医学部、動物 験倫理委員会により検討され、承認を得、 験は、アメリカ生理学会のガイドラインに って行われた。
i)アトルバスタチン封入ナノ粒子の評価
 九州大学動物実験研究室で育てられた雄のC 57BL/6J野生タイプのマウスを実験に使用した 塩酸ケタミンとキシラジン塩酸塩の腹腔内 射による麻酔の後、動物の左大腿動脈を結 し切除して片側のみの後脚虚血を作成した 虚血誘導性新血管形成におけるスタチンの 割を調べるため、一群のAto-マウス(Atoグルー プ)にアトルバスタチン[0.01のmg/100μl(0.5mg/kg)] 筋内注射した。PLGA-Ato-マウス(PLGA-Atoグルー )の一群と、PEG/CS-PLGA-Ato-マウス(PEG/CS-Atoグル ープ)の一群に、それぞれアトルバスタチン 入PLGAナノ粒子(0.16mg/100μl)と、アトルバスタ ン封入PEG/CS-PLGAナノ粒子(0.12mg/100μl、各0.01mg のアトルバスタチンを含む)を筋内注射した 対照群として、PLGA-FITC-マウス(FITCグループ) 一群にFITC封入PLGAナノ粒子(0.16mg/100μl)を筋 注射し、PEG/CS-PLGA-FITC-マウス(PEG/CS-FITCグルー プ)の一群に、FITC封入PLGAナノ粒子(0.12mg/100μl) を筋内注射し、そしてもう一群のマウス(NTグ ループ)は、処置を施さなかった。マウスは 後脚虚血誘導直後、左大腿動脈と脛骨筋肉 アトルバスタチン、またはナノ粒子を27-ゲ ジ針で注射された。

(i)組織学的観察
 ナノ粒子の投与後の動態を調べるため、FITC グループおよびPEG/CS-FITCグループマウスの筋 織を、虚血作成から7日後に採取し、光学顕 微鏡および蛍光顕微鏡でそれぞれ観察を行っ た。結果を図1に示す。いずれのグループで 虚血作成7日後に蛍光が観察されることから 筋組織内にナノ粒子が残存している。

(ii)ドップラーレーザーの局所灌流イメージ グ
 肢血流の測定を、0日目(手術の直後)、3日目 、7日目と14日目に、ドップラーレーザー局所 灌流イメージング(LDPI)アナライザー(モアー インストラメント社製)で行った。14日目の 果を図2に示す。また、LDPIインデックスを、 標準の手足のものと虚血性のものとの比率と して表した(図3)。Atoグループ、PLGAのみを投 したグループ、NTグループでは血流の改善が 見られなかったが、PLGA-AtoグループとPEG/CS-Ato グループでは虚血側の血流改善が認められる 。

(iii)虚血14日後の組織学的評価
 壊死領域を、HE染色した筋組織を観察する とによって各グループ毎に比較した。結果 図4に示す。PLGA-AtoグループおよびPEG/CS-Atoグ ープではNTグループやAtoグループと比較し 壊死領域が小さい。

 毛管密度を、抗マウス血小板内皮細胞接 分子(PECAM)-1抗体(サンタクルス)による、免 組織化学的染色によって測定した。結果を 5および6に示す。PLGA-AtoグループおよびPEG/CS- AtoグループではNTグループやAtoグループと比 して内皮細胞の増加が見られる。

 径20μm以上の血管構造を測定した。結果 図7および8に示す。PLGA-AtoグループおよびPEG/ CS-AtoグループではNTグループやAtoグループと 較して血管構造の増加が見られる。

(iv)血清学的評価
 下肢虚血から14日後の血清学的評価を、下 表に示す。血清中の全コレステロール、ト グリセリド、ミオグロビン、CK、BUN、Creは各 群間で差がなかった。アトルバスタチンおよ びアトルバスタチン封入ナノ粒子の筋注によ り、横紋筋融解を示唆する所見はみられなか った。

ii)ピタバスタチン封入ナノ粒子の評価
 アトルバスタチン封入ナノ粒子と同様に、 ウスを麻酔し、虚血を作成した後、一群のP it-マウス(Pitグループ)にピタバスタチン[0.01 mg/100μl(0.5mg/kg)]を筋内注射した。PLGA-Pit-マウ ス(PLGA-Pitグループ)の一群と、PEG/CS-PLGA-Pit-マ ス(PEG/CS-Pitグループ)の一群に、それぞれピ バスタチン封入PLGAナノ粒子(0.18mg/100μl)と、 アトルバスタチン封入PEG/CS-PLGAナノ粒子(0.44mg /100μl、各0.01mgのアトルバスタチンを含む)を 内注射した。対照群として、PLGA-マウス(PLGA グループ)の一群にPLGAナノ粒子(0.18mg/100μl)を 内注射し、そしてもう一群のマウス(NTグル プ)は、処置を施さなかった。

(i)ドップラーレーザーの局所灌流イメージン グ
 肢血流の測定を、0日目(手術の直後)、3日目 、7日目と14日目に、ドップラーレーザー局所 灌流イメージング(LDPI)アナライザー(モアー インストラメント社製)で行った。14日目の 果を図9に示す。また、LDPIインデックスを、 標準の手足のものと虚血性のものとの比率と して表した(図10)。Pitグループ、PLGAのみを投 したグループ、NTグループでは血流の改善 見られなかったが、PLGA-PitグループとPEG/CS-Pi tグループでは虚血側の血流改善が認められ 。

(iii)虚血14日後の組織学的評価
 毛管密度を、抗マウス血小板内皮細胞接着 子(PECAM)-1抗体(サンタクルス)による、免疫 織化学的染色によって測定した。結果を図11 および12に示す。PLGA-PitグループではNTグルー プやPitグループと比較して内皮細胞(CD31陽性 胞)の増加が見られる。

 動脈形成を、αSMAの免疫染色によって測 した。結果を図13および14に示す。PLGA-Pitグ ープではNTグループやPitグループと比較して 血管構造の増加が見られる。

 虚血マウスにナノ粒子のみ、ピタバスタ ン(0.4、4、20mg/kg)のみ、あるいはPLGA-ピタバ タチンを1回筋注して、虚血組織の快復率を 測定した。結果を図15に示す。ピタバスタチ の投与量を増加しても血管新生効果の向上 認められなかったが、PLGA-ピタバスタチン は顕著な快復が見られた。

(iv)虚血35日後の組織学的評価
 日本ウサギ(2.7~3.2kg)の片足の大腿動脈を結 除去することによって下肢虚血を作成した 作成7日後にPLGA-ピタバスタチン投与群、PLGA- FITC投与群、ピタバスタチン投与群とPBS投与 の4群にランダムに分け、それぞれの治療物 を虚血筋肉内に5ml(ピタバスタチン封入ナノ 粒子濃度6mg/ml、ピタバスタチンとして0.33mg/ml )筋肉注射した。筋肉注射28日後(虚血作成35日 後)に血管造影を行った。5Frのカテーテルを 内頸動脈より挿入し、透視下に左内腸骨動 に留置した。ミリスロール0.25mgをカテーテ より動脈内注入した後、造影剤を1ml/秒の速 で5秒間注入し血管造影を行った。造影剤注 入開始3秒後の静止画像を使い、血管数の評 を行った。上縁を大腿骨下縁、下縁を大腿 頭筋下縁、内縁を内腸骨動脈(本幹は計測し い。)、外縁は血管切断末梢部の範囲内で5mm 方眼のグリッドを作成し血管の走行が認めら れた方眼数を全方眼数で割った値を血管造影 スコア(angiographic score)とした。

結果;Angiographic score;PLGA-Pit群;0.74±0.04(Mean±S E)、Pit群;0.51±0.04、PLGA-FITC群;0.59±0.03、PBS群;0. 58±0.02であった(図16)。PLGA-Pit群は他の3群と比 較し、有意に血管数の増加が認められた。血 管造影で確認できる血管数の増加は、ナノ粒 子を使ったスタチンによる治療が虚血組織内 の動脈形成を効率よく生じさせることを示唆 する。

 虚血下肢の筋肉運動時の血流不足がナノ タチン投与によって改善するか検討した。 血作成35日後に十分な麻酔下に虚血下肢筋 の電気刺激を行い筋肉運動のモデルとした 30分間の運動を行い、虚血下肢の静脈血の採 血を0分、15分、30分の時点で行った。動脈血 0分の時点で採血した。これにより各時点で の動静脈血酸素分圧較差を測定した。また、 0分の時点でのヘモグロビン濃度を測定した 統計解析はBonferroni's Multiple Comparison Testに るRepeated Measures ANOVAを使用した。ヘモグロ ビン濃度についてはOne-way analysis of variance 使用した。

 結果;ナノスタチン投与群以外の群は運動 中に動静脈血酸素分圧格差の増大を認めた( 17~20)。ヘモグロビン濃度については各群間 差はなかった。Fickの原理によれば、血液拍 量は、酸素消費量í(Hb×1.36×10×動静脈血酸 分圧格差)で求められる。この原理を下肢虚 の運動モデルに当てはめると、下肢筋肉で 酸素消費量を一定と仮定し、Hb値に差がな こと考慮すると、下肢運動時の下肢への血 供給量は動静脈血酸素分圧格差に反比例す ことになる。ナノスタチン投与群以外の群 は運動時に動静脈血酸素分圧格差が有意に 大していることから血液供給不足が示唆さ るが、それがナノスタチン投与により防止 きた。

(v)ナノ粒子による局所的処置
 非虚血マウス(コントロール)および虚血後14 日目の無治療群とピタバスタチン封入ナノ粒 子投与群より末梢血を採取した。末梢血0.5ml 溶血後、得られた白血球をFITC付抗Sca-1抗体1 μgとPE付抗Flk-1抗体1μgとともに30分、4℃でイ キュベーションし、フローサイトメトリー て解析した。Sca-1およびFlk-1ともに陽性の細 胞を血管内皮前駆細胞(EPC)として、末梢血白 球中の割合(%)を算出した。
結果:非虚血マウスにおける末梢血EPC0.51±0.09% に対し、虚血マウスでは無治療群1.19±0.05%、 タチン封入ナノ粒子群1.21±0.03%といずれも 意に増加していた。しかし、無治療群とス チン封入ナノ粒子群ではほぼ同等であった( 21)。下肢虚血により骨髄から末梢血へのEPC 員が増加するものの、スタチン封入ナノ粒 によるさらなる増加はみられなかった。こ により、ナノ粒子によるスタチンの局所送 による血管新生作用は、骨髄を含む全身へ 作用というより、虚血局所での作用が主体 あることが理解できる。




 
Previous Patent: AIR CELL

Next Patent: WHEEL SUPPORTING ROLLING BEARING UNIT