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Title:
POLYMERIC OPTICAL WAVEGUIDE FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028172
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a polymeric optical waveguide film possessing excellent sliding and bending resistance and machinability. This polymeric optical waveguide film is a bendable polymeric optical waveguide film comprising a first clad layer, a second clad layer, and a core held between the first and second clad layers. This polymeric optical waveguide film has a groove provided by a cutting process. A polymeric material constituting a layer, which is located on the outside of the core when the polymeric optical waveguide filmis bent and a part or the whole of which has been cut in the thickness-wise direction by the cutting process, has a tensile modulus of not less than 0.1 GPa and less than 1 GPa as measured at room temperature using a test piece having a thickness of 0.06 mm.

Inventors:
SHIODA TSUYOSHI
Application Number:
PCT/JP2008/002310
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
SHIODA TSUYOSHI
International Classes:
G02B6/122; G02B6/12
Domestic Patent References:
WO2007004575A12007-01-11
WO2007091596A12007-08-16
Foreign References:
JP2007190692A2007-08-02
JP2001235641A2001-08-31
JP2004182804A2004-07-02
JP2006128808A2006-05-18
Other References:
T. SHIODA; K. YAMADA: "Bending Stable Polyimide Waveguide Film", 2005 IEICE ELECTRONICS SOCIETY CONFERENCE, pages C-3 - 54
See also references of EP 2202549A4
Attorney, Agent or Firm:
WASHIDA, Kimihito (Shintoshicenter Bldg.24-1, Tsurumaki 1-chome,Tama-sh, Tokyo 34, JP)
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Claims:
 第一クラッド層;第二クラッド層;ならびに前記第一クラッド層および前記第二クラッド層により挟まれたコアを有する屈曲可能な光導波路高分子フィルムであって、
 前記光導波路高分子フィルムは切削加工により設けられた溝を有し、
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層を構成する高分子材料の厚さ0.06mmの試験片の室温における引張弾性率が、0.1GPa以上1GPa未満である、光導波路高分子フィルム。
 第一クラッド層;第二クラッド層;前記第一クラッド層および前記第二クラッド層により挟まれたコア;ならびに第一クラッド層の下に前記第一クラッド層または第二クラッド層とは異なる高分子材料からなるベース層を有する屈曲可能な光導波路高分子フィルムであって、
 前記光導波路高分子フィルムは切削加工により設けられた溝を有し、
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層を構成する高分子材料の厚さ0.06mmの試験片の室温における引張弾性率が、0.1GPa以上1GPa未満である、光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層を構成する高分子材料の厚さ0.06mmの試験片の室温での引張試験における降伏点から破断点までの伸び率が、10%以上である請求項1に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層を構成する高分子材料の厚さ0.06mmの試験片の室温での引張試験における降伏点から破断点までの伸び率が、10%以上である請求項2に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層は、前記ベース層である請求項2に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層は、シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層は、シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂を含む、請求項2に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の光導波路高分子フィルム。
(式中、lは1~7の整数を示し、Aは4価の有機基を示す)
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される際に前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリイミド樹脂を含む、請求項2に記載の光導波路高分子フィルム。
(式中、lは1~7の整数を示し、Aは4価の有機基を示す)
 前記一般式(1)におけるlが3~5である、請求項8に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記一般式(1)におけるlが3~5である、請求項9に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムの屈曲部の前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層の切削加工面の表面粗さRaが0.4μm以下である、請求項1に記載の光導波路高分子フィルム。
 前記光導波路高分子フィルムの屈曲部の前記コアよりも外側になる層であって前記切削加工により厚さ方向の一部または全部が切削されている層の切削加工面の表面粗さRaが0.4μm以下である、請求項2に記載の光導波路高分子フィルム。
 請求項1に記載の光導波路高分子フィルムが屈曲されて収納された電子機器。
 請求項2に記載の光導波路高分子フィルムが屈曲されて収納された電子機器。
Description:
光導波路高分子フィルム

 本発明は光導波路高分子フィルムに関す 。

 近年、携帯電話は、従来の折り畳みタイ に代わりデザイン性等に優れるスライドタ プが注目されている。スライドタイプの携 電話とは、キーパッド部(「メインボード部 」ともいう)とディスプレイ部が分かれてお 、それぞれが重なった状態から、ディスプ イ部を摺動してずらすことにより、キーパ ド部を露呈できる携帯電話である。スライ タイプの携帯電話においては、前記キーパ ド部とディスプレイ部の2つの部位を電気的 接続するために、電気配線フィルム(「フレ キシブル電気配線板」ともいう)が用いられ 。電気配線フィルムはその一端が前記キー ッド側の電気配線板の一部に接合され、他 端が前記ディスプレイ側の電気配線板の一 に接合されている。そのため電気配線フィ ムは、一定の曲率半径を以てU字状に屈曲さ て配置されている。さらに前記ディスプレ 部の開閉に伴い、電気配線フィルムはU字状 に屈曲された状態を保ったまま前後に繰り返 し摺動させられる(例えば特許文献1参照)。従 って電気配線フィルムには前記の繰り返し摺 動(「摺動屈曲」という)を受けても破断しな こと、すなわち耐摺動屈曲性に優れること 要求されている。

 さらに最近は、スライドタイプの携帯電 が薄型になってきており、フレキシブル電 配線板をU字に屈曲させたときの曲率の直径 と近似できるギャップがより小さくなってき ている。従来は、携帯電話に用いられる電気 配線フィルムに対して行われる摺動屈曲試験 (JIS C 5016 8.6)において、ギャップが3~4mmの条 件で摺動試験を行い、耐摺動屈曲性を満足す れば十分であったが、最近ではギャップを2mm にした条件での耐摺動屈曲性が求められてい る。ギャップが小さくなるほど摺動屈曲条件 が厳しくなり、従来の電気配線フィルムでは 多くのものがギャップ2mmでの耐摺動屈曲性を 満足できなかった。

 一方、前記キーパッド部と前記ディスプ イ部間の信号の伝送を、従来の電気伝送か 光伝送にするという提案がなされている。 なわち電気配線フィルムの代わりに光導波 高分子フィルム(「フレキシブル光導波路」 ともいう)を用いて、前記キーパッド部と前 ディスプレイ部を光的に接合する方法が提 されている。光伝送にすることにより伝送 度が高くなるため、伝送に要するスペース 小さくすることができる。

 この場合、光導波路高分子フィルムも電気 線フィルムと同様に耐摺動屈曲性が求めら る。光導波路高分子フィルムの耐摺動屈曲 を向上させる方法として、非特許文献1には コアの延伸方向へ溝を設ける方法が開示され ている。しかし非特許文献1に開示されてい 光導波路を用いても、前述のような厳しい 件における耐摺動屈曲性を満足することは 難であった。

特開2006-128808号公報 塩田剛史、山田一博、「高屈曲ポリイミ ド光導波路フィルム」、電子情報通信学会200 5年エレクトロニクスソサイエティ大会予稿 C-3-54、(2005)

 光導波路高分子フィルムが摺動屈曲され 場合、光導波路高分子フィルムの内側には 縮応力、外側には引張応力が印加される。 曲されたフィルムは最内側、最外側が最大 力点となる。光導波路高分子フィルムは通 は樹脂でできており、樹脂は圧縮応力より 引張応力に弱い。そのため、摺動屈曲時の ィルムの破断の主原因は、引張応力を受け いるフィルム外側の破断にあると推察され 。このようなことから発明者らは屈曲時に 側になる部分に優れた引張特性を有する樹 を用いることに着眼した。すなわち引張弾 率が低い樹脂を用いることにより、引っ張 れた部位に発生する応力を低減させるとい 着想を得た。

 しかしながら、引張弾性率が低い樹脂を用 た光導波路高分子フィルムは、ダイシング どにより切削加工を施した際に、精度よく 工できないこと、切断面が粗くなること、 削面に切削カスやバリなどが多数発生して まうこと(「切削加工性が悪い」ともいう) 明らかとなった。切断面が粗くなったり、 断面に切削カス・バリが発生したりすると 光損失や加工精度の低下等の問題が生じる また、前記バリは光導波路の破断の起点と りうるため、耐摺動屈曲性を低下させる可 性がある。
 以上から本発明は、耐摺動屈曲性および切 加工性に優れる光導波路高分子フィルムを 供することを目的とする。

 発明者らは検討の結果、所定厚さの試験片 したときの引張弾性率が特定の範囲にある 脂を用いた光導波路高分子フィルムが、耐 動屈曲性と切削加工性のバランスに優れる とを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、前記課題は以下の本発明により 決される。

 [1]第一クラッド層;第二クラッド層;ならび 前記第一クラッド層および前記第二クラッ 層により挟まれたコアを有する屈曲可能な 導波路高分子フィルムであって、
 前記光導波路高分子フィルムは切削加工に り設けられた溝を有し、
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される に前記コアよりも外側になる層であって前 切削加工により厚さ方向の一部または全部 切削されている層を構成する高分子材料の さ0.06mmの試験片の室温における引張弾性率 、0.1GPa以上1GPa未満である、光導波路高分子 フィルム。
 [2]第一クラッド層;第二クラッド層;前記第 クラッド層および前記第二クラッド層によ 挟まれたコア;ならびに第一クラッド層の下 前記第一クラッド層または第二クラッド層 は異なる高分子材料からなるベース層を有 る屈曲可能な光導波路高分子フィルムであ て、
 前記光導波路高分子フィルムは切削加工に り設けられた溝を有し、
 前記光導波路高分子フィルムが屈曲される に前記コアよりも外側になる層であって前 切削加工により厚さ方向の一部または全部 切削されている層を構成する高分子材料の さ0.06mmの試験片の室温における引張弾性率 、0.1GPa以上1GPa未満である、光導波路高分子 フィルム。
 [3]前記光導波路高分子フィルムが屈曲され 際に前記コアよりも外側になる層であって 記切削加工により厚さ方向の一部または全 が切削されている層を構成する高分子材料 厚さ0.06mmの試験片の室温下での引張試験に ける降伏点から破断点までの伸び率が、10% 上である、[1]または[2]に記載の光導波路高 子フィルム。
 [4]前記光導波路高分子フィルムが屈曲され 際に前記コアよりも外側になる層であって 記切削加工により厚さ方向の一部または全 が切削されている層は、前記ベース層であ [2]に記載の光導波路高分子フィルム。
 [5]前記光導波路高分子フィルムが屈曲され 際に前記コアよりも外側になる層であって 記切削加工により厚さ方向の一部または全 が切削されている層は、シロキサン骨格を するポリイミド樹脂を含む、[1]または[2]に 載の光導波路高分子フィルム。
 [6]前記光導波路高分子フィルムが屈曲され 際に前記コアよりも外側になる層であって 記切削加工により厚さ方向の一部または全 が切削されている層は、下記一般式(1)で表 れる繰り返し構造単位を有するポリイミド 脂を含む、[1]または[2]に記載の光導波路高 子フィルム。
(式中、lは1~7の整数を示し、Aは4価の有機基 示す)
 [7]前記一般式(1)におけるlが3~5である、[6]に 記載の光導波路高分子フィルム。
 [8]前記光導波路高分子フィルムの屈曲部の 記コアよりも外側になる層であって前記切 加工により厚さ方向の一部または全部が切 されている層の切削加工面の表面粗さRaが0. 4μm以下である、[1]または[2]に記載の光導波 高分子フィルム。
 [9][1]または[2]に記載の光導波路高分子フィ ムが屈曲されて収納された電子機器。

 本発明により、耐摺動屈曲性および切削 工性に優れる光導波路高分子フィルムを提 できる。

三層溝タイプの光導波路高分子フィル の一態様およびその製造方法を示す図であ 。 三層溝タイプの光導波路高分子フィル の別の態様を示す断面図である。 三層リソグラフィータイプの光導波路 分子フィルムの一態様を示す断面図である 三層リソグラフィータイプの光導波路 分子フィルムの別の態様を示す断面図であ 。 三層リソグラフィータイプの光導波路 分子フィルムのさらに別の態様を示す断面 である。 四層溝タイプの光導波路高分子フィル の一態様を示す断面図である。 四層リソグラフィータイプの光導波路 分子フィルムの一態様を示す断面図である 四層リソグラフィータイプの光導波路 分子フィルムの別の態様を示す断面図であ 。 図1の光導波路高分子フィルムを屈曲し た状態の一例を示す部分斜視図である。 図6の光導波路高分子フィルムを屈曲 た状態の一例を示す部分斜視図である。

 1.光導波路高分子フィルム
 光導波路とは、コアと、コアの周囲に形成 れるクラッドとを有し、コアに閉じこめら た光が伝搬するデバイスをいう。
 コアとは、光導波路において主として光を 搬する高屈折率の部分をいい、クラッドと 、コアに比べて屈折率の低い部分をいう。
 本明細書において、光導波路高分子フィル を単に「フィルム」ということがある。本 明の光導波路高分子フィルムは後述するよ に高分子材料で構成されており、柔軟であ ため屈曲して用いることができる。

 本発明の光導波路高分子フィルムにおける アを構成するコア材は、透明性樹脂であれ よいが、柔軟性を有していることが好まし 。柔軟性を有する透明性樹脂の例には、ポ イミド樹脂(フッ素系ポリイミド樹脂を含む )、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン変性 ポキシ樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂 シリコーン変性ポリノルボルネン等が含ま る。
 コア材は、後述するクラッド材よりも屈折 が高いことが必要である。屈折率の調整は 例えばコア材がポリイミド樹脂である場合 ポリイミド樹脂の構成単位である酸二無水 とジアミンのうち、ジアミンの組成を適宜 整することによってなされうる。

 本発明の光導波路高分子フィルムにおけ クラッドを構成するクラッド材は、コア材 りも屈折率が低い樹脂であればよく、具体 には、上記コア材で述べたものと同様の樹 を用いることができる。

 光導波路高分子フィルムは、必要に応じて 他の層(例えばベース層)を有していてもよ 。ベース層は、例えばクラッドに積層され 光導波路高分子フィルムを保護・補強し、 らには光導波路のハンドリング性を向上さ るために設けられる。ベース層は光導波に とんど寄与しないので光学的な性能は要求 れない。そのため、ベース層を構成するベ ス材は、クラッドとして用いられるクラッ 材以外の種々の材料から選択してよい。
 このようなベース材の好ましい例には、公 のシリコーン変性アクリル樹脂、公知のシ コーン変性エポキシ樹脂、公知のシリコー 変性ポリアミドイミド樹脂、前述のクラッ 材としても用いることのできるシリコーン 性ポリイミド樹脂等が含まれる。ただし、 ース材とクラッド材は異なる材料である必 がある。

 本発明の光導波路高分子フィルムの第1は、 第一クラッド層;第二クラッド層;ならびに前 第一クラッド層および前記第二クラッド層 より挟まれたコアを有する屈曲可能な光導 路高分子フィルムであって、当該光導波路 分子フィルムは切削加工により設けられた を有し、当該光導波路高分子フィルムが屈 される際に前記コアよりも外側になる層で って切削加工により厚さ方向の一部または 部が切削されている層を構成する高分子材 の厚さ0.06mmの試験片の室温における引張弾 率が、0.1GPa以上1GPa未満であることを特徴と する。
 また、本発明の光導波路高分子フィルムの 2は、第一クラッド層;第二クラッド層;前記 一クラッド層および前記第二クラッド層に り挟まれたコア;ならびに第一クラッド層の 下に前記第一クラッド層または第二クラッド 層とは異なる高分子材料からなるベース層を 有する屈曲可能な光導波路高分子フィルムで あって、当該光導波路高分子フィルムは切削 加工により設けられた溝を有し、当該光導波 路高分子フィルムが屈曲される際に前記コア よりも外側になる層であって前記切削加工に より厚さ方向の一部または全部が切削されて いる層を構成する高分子材料の厚さ0.06mmの試 験片の室温における引張弾性率が、0.1GPa以上 1GPa未満であることを特徴とする。

 第1の光導波路高分子フィルムはベース層を 有さないが、第2の光導波路高分子フィルム ベース層を有する。「コア」を「層」とし 考えると第1の光導波路高分子フィルムは三 、第2の光導波路高分子フィルムは四層とい える。そこで、第1の光導波路高分子フィル を「三層の光導波路高分子フィルム」、第2 光導波路高分子フィルムを「四層の光導波 高分子フィルム」ということがある。
 以下では、主に、三層の光導波路高分子フ ルムと四層の光導波路高分子フィルムにつ て説明するが、これに限定されず、その他 機能層を有する多層の光導波路高分子フィ ムにも本発明を適用することができる。

 (1)三層の光導波路高分子フィルム
 三層の光導波路高分子フィルムは形成され コアの態様により以下の2つに分類される。
 1)コア層を溝で画すことで形成されたコア 有する場合
 本発明の三層の光導波路高分子フィルムは 図1Bに示すとおり、第一クラッド層および 二クラッド層に挟まれたコア層が、切削に り設けられた溝で画されることによりコア 形成されている。このような光導波路高分 フィルムを「三層溝タイプ」という。
 クラッド層とはコア層に積層されている層 あって、クラッドの機能を担う層をいう。 ア層とは、2つのクラッド層に挟まれる層で あって、切削により溝を設けられることによ ってコアとなる層をいう。

 三層溝タイプの光導波路高分子フィルム おけるコアの幅は40~200μm程度であればよく 特に限定されない。またコアの厚さも限定 れないが、他の光部品との位置合わせを容 にするという点からは、30~100μmであること 好ましい。

 図1は、三層溝タイプの光導波路高分子フィ ルムの一態様およびその製造方法を示す図で ある。図1Aは溝が設けられる前の積層体の断 図であり、図1Aにおいて1は第一クラッド層 2はコア層、3は第二クラッド層である。図1B は、前記積層体に溝が設けられて製造された 光導波路高分子フィルムの断面図である。図 1B中、20はコア層2が溝により切断されて設け れたコアである。4は溝であり、5は溝底で る。溝底5は、第一クラッド層1の内部にある 。7は積層体である。
 三層溝タイプの光導波路高分子フィルムの 造方法については後に詳しく述べる。

 図2は三層溝タイプの光導波路高分子フィ ルムの別の態様を示す断面図である。本光導 波路高分子フィルムにおいては、溝底5が、 ア20と第一クラッド層1の界面と同じ位置に る。図2における符号の意味は、図1の符号の 意味と同じである。

 第一クラッド層1および第二クラッド層3の さは、光導波路高分子フィルムの柔軟性を めるために薄いことが好ましい。したがっ 、コア20に閉じ込められた光が光学的に漏れ ない範囲で薄くすることが好ましい。例えば 、コア20の屈折率n core と、第一クラッド層1または第二クラッド層3 屈折率n clad の比屈折率差「(n core -n clad /n core )×100:(850nm、室温)」が1%以上である場合に、 一クラッド層1または第二クラッド層3の厚さ は5μm程度以上であればよい。
 以上から、積層体7の全体の厚みは、40~200μm であることが好ましく、50~150μmであることが より好ましく、70~110μmであることがさらに好 ましい。

 また、第一クラッド層となるクラッド材 第二クラッド層となるクラッド材とは、任 に組み合わせることができる。ただし、光 波路高分子フィルムの製造を容易にすると う観点においては、第一クラッド層となる ラッド材と第二クラッド層となるクラッド とは同じであることが好ましい。

 三層溝タイプの光導波路高分子フィルムは 溝4によりコア層2が画されてコア20が形成さ れる。前記溝4が延びる方向とコア20が延びる 方向は同じである。同じ方向とは、コア20が 線である場合はその直線に平行な方向であ 。また、コア20が曲線状に設けられている 合は、当該コア20に沿って溝4が設けられて ることを意味する。
 前記溝4は切削加工により形成される。切削 加工とは材料を切る・削る等により加工する ことである。切削加工の例には、ダイシング ソーによる加工が含まれる。本発明の光導波 路高分子フィルムは後述するように、切削加 工により溝4の切削面が荒れたり、切削面に リ・切削カスが付着したりする等の不良が 生しにくく、光伝搬損失の劣化を低減でき 利点がある。

 前記溝4は、その切削面が、コア20の周囲 形成されている第一クラッド層1および第二 クラッド層3の面に対してほぼ垂直になるよ に形成されている。これにより第一クラッ 層1とコア層2が切断されコア20が形成される 前記溝底5は、コア20と第一クラッド層1の界 面と同じ位置か、第一クラッド層1の内部に る。前記溝底5のフィルムの厚さ、すなわち 底部の下のフィルムの残余厚さが薄いと、 導波路高分子フィルムの柔軟性が高くなる しかし、溝底部の下のフィルムの残余厚さ 薄すぎると、光導波路高分子フィルムの強 等が低下することがある。そのため溝底部 下のフィルムの残余厚さは10~100μmであるこ が好ましく、20~75μmであることがより好ま い。

 三層溝タイプの光導波路高分子フィルム 形成される溝4の幅は、特に限定されず、光 導波路高分子フィルムを取り扱う際に必要な 剛性に応じて適宜決定すればよい。通常は、 溝4の幅は溝4の深さよりも短いことが好まし 。

 溝4の長さは特に限定されず、溝4は光導 路高分子フィルムの全長にわたって存在し いてよい。また、光導波路高分子フィルム 存在する溝4は前述のとおり直線状であって 曲線状であってもよい。

 溝4の数は1本以上であればよい。溝4が1本 である場合は、溝4と光導波路の側面で挟ま た領域にコア20が形成される。溝4が2本以上 ある場合には、溝4で挟まれた領域にそれぞ れコア20が形成される。

 前記溝4は、その内部の屈折率がコア20の 折率より低いことが必要である。従って、 4の内部は空隙、あるいはコア20よりも屈折 が低い材料で充填されていてもよい。しか ながら、光導波路高分子フィルムの柔軟性 高めるためには、前記溝4の内部は空隙であ ることが好ましい。さらに溝4の切削面に第 クラッド層1または第二クラッド層3と同じ材 料からなる層が形成されていてもよい。当該 層は、1μm程度の厚さを有していればよい。 れにより切断面が露出されないので、汚染 ユーザ先で他の樹脂が塗布された場合の光 波特性への影響を防ぐことができる。

 2)リソグラフィーにより形成されたコアを する場合
 本発明の三層の光導波路高分子フィルムは 図3に示すとおり、第一クラッド層および第 二クラッド層に挟まれた領域にリソグラフィ ーによりパターニングされたコアを有してい てもよい。このような光導波路高分子フィル ムを「三層リソグラフィータイプ」という。

 図3は三層リソグラフィータイプの光導波 路高分子フィルムの一態様を示す断面図であ る。図3中、1は第一クラッド層、20はコア、3 第二クラッド層、4は溝であり、5は溝底で る。図4は三層リソグラフィータイプの光導 路高分子フィルムの別の態様を示す断面図 ある。また、図5は三層リソグラフィータイ プの光導波路高分子フィルムのさらに別の態 様を示す断面図である。

 三層リソグラフィータイプの光導波路高分 フィルムのコア20の幅は40~100μm程度であれ よく、特に限定されない。またコア20の厚さ も限定されないが、他の光部品との位置合わ せを容易にするという点からは、30~100μmであ ることが好ましい。また、第一クラッド層1 よび第二クラッド層3の厚さは、5μm程度以上 であればよい。
 以上から、三層リソグラフィータイプの光 波路高分子フィルムの全体の厚み(最大厚み )は、40~200μmであることが好ましく、50~150μm あることがより好ましく、70~110μmであるこ がさらに好ましい。
 リソグラフィーによりコアを形成する方法 、後で詳しく述べる。

 三層リソグラフィータイプの光導波路高 子フィルムは、切削により設けられた溝を する。当該溝は、三層溝タイプの光導波路 分子フィルムに設けられた溝のように、コ を形成するためのものではないが、光導波 高分子フィルムの柔軟性を向上させ、耐摺 屈曲性を向上させる。溝の形状や大きさは 既述したのと同様とすることが好ましい。

 図3に示される光導波路高分子フィルムの 溝4は、第二クラッド層3を切断し、その溝底5 は第一クラッド層1の内部に存在する。図4に される光導波路高分子フィルムの溝4は、第 二クラッド層3を切断し、その溝底5は第一ク ッド層1と第二クラッド層3の界面に存在す 。図5に示される光導波路高分子フィルムの 4は、第一クラッド層1側から設けられ、そ 溝底5は第一クラッド層1内に存在する。また 、図示していないが、図5に示される光導波 高分子フィルムの溝4は、第一クラッド層1を 切断し、その溝底5が第一クラッド層1と第二 ラッド層3の界面ではなく第二クラッド層3 内部に設けられていてもよい。

 (2)四層の光導波路高分子フィルム
 四層の光導波路高分子フィルムは、三層の 導波路高分子フィルムと同様に、形成され コアの態様により以下の2つに分類される。

 1)コア層を溝で画すことで形成されたコア 有する場合
 本発明の四層の光導波路高分子フィルムは 図6に示すとおり、第一クラッド層および第 二クラッド層に挟まれたコア層が、切削によ り設けられた溝で画されることにより形成さ れたコアと、第一クラッド層の面のうちコア が形成されていない面に形成されたベース層 と、を有している。このタイプの光導波路高 分子フィルムを「四層溝タイプ」という。

 図6は、四層溝タイプの光導波路高分子フィ ルムの一態様を示す図である。図6中、6はベ ス層であり、第一クラッド層1の下に設けら れている。図6における他の符号の意味は図1 符号の意味と同じである。
 ベース層6は、光導波路高分子フィルムを保 護・補強し、光導波路のハンドリング性を向 上させるために設けられる層である。また、 ベース層6はコア20と第一クラッド層1または 二クラッド層3との屈折率差を保持し、光学 性を変更せず、屈曲性を向上させるために けられる層でもある。

 四層溝タイプの光導波路高分子フィルム おけるコア20、第一クラッド層1および第二 ラッド層3の幅および厚さは、三層溝タイプ の光導波路高分子フィルムにおけるコア20お び第一クラッド層1および第二クラッド層3 幅および厚さと同様にすればよい。また、 層溝タイプの光導波路高分子フィルムにお るベース層6の厚みは、5~25μmであることが好 ましい。よって、四層溝タイプの光導波路高 分子フィルムの全体の厚みは50~150μmであるこ とが好ましい。

 四層溝タイプの光導波路高分子フィルム 、溝4によりコア層が画されてコア20が形成 れる。当該溝4は、前述の「三層溝タイプ」 の光導波路高分子フィルムと同じように設け られていることが好ましい。ただし、溝底5 、第一クラッド層1とベース層6の界面ではな くベース層6の内部にある。溝底部の下のフ ルムの残余厚さは10~100μmであることが好ま く、20~75μmであることがより好ましい。

 2)リソグラフィーにより形成されたコアを する場合
 本発明の四層の光導波路高分子フィルムは 図7に示すとおり、第一クラッド層および第 二クラッド層に挟まれた領域にリソグラフィ ーにより形成されたコアと、第一クラッド層 の面のうちコアが形成されていない面に形成 されたベース層と、を有している。このタイ プの光導波路高分子フィルムを「四層リソグ ラフィータイプ」という。

 図7は四層リソグラフィータイプの光導波 路高分子フィルムの一態様を示す断面図であ る。図7において6はベース層であり、第一ク ッド層のうちコアが形成されていない面に けられている。図8は四層リソグラフィータ イプの光導波路高分子フィルムの別の態様を 示す断面図である。図7および図8における他 符号の意味は図3の符号の意味と同じである 。

 四層リソグラフィータイプの光導波路高 子フィルムは、切削により設けられた溝を する。当該溝は、前述の「三層リソグラフ ータイプ」と同様に、光導波路高分子フィ ムの耐摺動屈曲性を向上させるために設け れる。当該溝は、三層リソグラフィータイ と同じように設けられていることが好まし 。

 図7に示される光導波路高分子フィルムの 溝4は、第二クラッド層3、第一クラッド層1を 切断し、その溝底5は第一クラッド層1とベー 層6の界面ではなくベース層6の内部にある 一方、図8に示される光導波路高分子フィル の溝4は、ベース層6側から設けられており その溝底5は第一クラッド層1とベース層6の 面ではなく第一クラッド層1の内部にある。 た、図示していないが、図8に示される光導 波路高分子フィルムの溝4は、その溝底5がベ ス層6の内部にあってもよい。

 (3)特定外層
 特定外層とは、光導波路高分子フィルムが 曲された際に、コアよりも外側になる層で って切削加工により厚さ方向の一部または 部が切削されている層をいう。
 本発明において「屈曲される」とは、通常 、光導波路高分子フィルムが、当該フィル の長手方向の一端ともう一方の端を重ね合 せるように屈曲されることをいうが、これ 限定されず、例えばS字型に屈曲される態様 も含まれる。S字型に屈曲される場合、屈曲 ごとに特定外層を特定すればよいため、コ に対してフィルムの両面が特定外層となっ もよい。

 前述の「三層溝タイプ」、「三層リソグ フィータイプ」においては、特定外層は、 削加工により溝が設けられた、または溝形 のために一部が切断された第一クラッド層1 または第二クラッド層3であって、光導波路 分子フィルムが屈曲させられたときにコア20 よりも外側にある層をいう。

 具体的には、図1Bにおいて特定外層は、光 波路高分子フィルムが紙面の上を凸にして 曲させられたときの第二クラッド層3、また 同光導波路高分子フィルムが紙面の下を凸 して屈曲させられたときの第一クラッド層1 である。
 図9は、図1の光導波路高分子フィルムが屈 された状態の一例を示す斜視図である。こ うち図9Aは、第二クラッド層3が特定外層と る態様であり、図9Bは、第一クラッド層1が 定外層となる態様である。
 図2における特定外層は、光導波路高分子フ ィルムが紙面の上を凸にして屈曲させられた ときの第二クラッド層3である。
 図3における特定外層は、光導波路高分子フ ィルムが紙面の上を凸にして屈曲させられた ときの第二クラッド層3、または同光導波路 分子フィルムが紙面の下を凸にして屈曲さ られたときの第一クラッド層1である。
 図4における特定外層は、光導波路高分子フ ィルムが紙面の上を凸にして屈曲させられた ときの第二クラッド層3である。
 図5における特定外層は、光導波路高分子フ ィルムが紙面の下を凸にして屈曲させられた ときの第一クラッド層1である。

 前述の「四層溝タイプ」、「四層リソグラ ィータイプ」においては、特定外層は、切 加工により溝が設けられているか、溝形成 ために一部が切断された第一クラッド層1、 第二クラッド層3またはベース層6であって、 導波路高分子フィルムが屈曲させられたと にコア20よりも外側にある層をいう。
 ただし、特定外層は、ベース層6であること が好ましい。ベース層6とは本来、光導波路 分子フィルムを保護する目的等で設けられ 層であり、柔軟性・強度に富む材料が用い れるため、光導波路高分子フィルムの耐摺 屈曲性をより高めることができるからであ 。
 四層以上の多層の光導波路高分子フィルム は、特定外層は、1層でもよいし、2層以上 ってもよい。また、特定外層が複数ある態 としては、図6のように特定外層である第一 ラッド層1およびベース層6が互いに隣接し いる態様だけでなく、互いに隣接していな 態様も含まれる。

 具体的には、図6において特定外層は、光導 波路高分子フィルムが紙面の上を凸にして屈 曲させられたときの第二クラッド層3、また 同光導波路高分子フィルムが紙面の下を凸 して屈曲させられたときのベース層6および 一クラッド層1である。
 図10は、図6の光導波路高分子フィルムが屈 された状態の一例を示す斜視図である。こ うち図10Aは、第二クラッド層3が特定外層と なる態様であり、図10Bは、ベース層6および 一クラッド層1が特定外層となる態様である
 図7における特定外層は、光導波路高分子フ ィルムが紙面の上を凸にして屈曲させられた ときの第二クラッド層3、または同光導波路 分子フィルムが紙面の下を凸にして屈曲さ られたときのベース層6および第一クラッド 1である。
 図8における特定外層は、光導波路高分子フ ィルムが紙面の下を凸にして屈曲させられた ときのベース層6および第一クラッド層1であ 。
 特定外層となる第一クラッド層1、第二クラ ッド層3またはベース層6は、摺動屈曲される とにより、小さなヒビが発生し、透明性が 化することがある。しかし第一クラッド層1 、第二クラッド層3またはベース層6は光伝搬 失にはほとんど影響を及ぼさないため、光 波路高分子フィルムの性能にも問題は生じ い。

 本発明の光導波路高分子フィルムは、既に べたとおり耐摺動屈曲性と切削加工性のバ ンスに優れる必要がある。そのため、光導 路高分子フィルムは、「フィルムが屈曲さ る際に特定外層となる高分子材料」の、厚 0.06mmの試験片の室温における引張弾性率が0 .1GPa以上1GPa未満である必要があり、0.5~0.9GPa あることが好ましい。
 引張弾性率は、厚み0.06mmの試験片を用いて JIS K7161:1994に準拠して室温にて引張試験を い、応力-歪曲線の接線の傾きから求められ る。

 例えば、三層の光導波路高分子フィルム おいて、第一クラッド層が特定外層になる 合、第一クラッド層を構成する高分子材料 、厚み0.06mmの試験片としたときの室温にお る引張弾性率が前記範囲にあればよい。

 さらに、特定外層となる高分子材料の厚さ0 .06mmの試験片の、室温下での引張試験におけ 降伏点から破断点までの伸び率が10%以上50% 下であることが好ましい。前記伸び率が大 いと、ねばり強く、大きな変形に対する耐 に優れることから、耐摺動屈曲性がより向 する。
 降伏点とは、応力歪み曲線において応力は 加せずに、ひずみだけが増加するようにな 点をいう。破断点とは応力歪み曲線におい 応力サンプルが破断する点をいう。「降伏 から破断点までの伸び率」とは、降伏点か 破断点に至るまでにサンプルが伸びた量の ンプルの元の長さに対する割合である。一 に脆い材料は降伏点と破断点がほぼ同じに り、ねばり強い材料は降伏点を超えてもサ プルは伸び続ける。中には破断しない材料 あり、その場合は前記伸び率は無限大とな 。

 一般に、樹脂からなる試験片の引張弾性 は、樹脂の主鎖の構造が剛直であると向上 る。従って、樹脂からなる試験片の引張弾 率を前述の範囲に調整するには、樹脂の主 の骨格を適度な剛直性がある構造とすれば い。あるいは、同じサイズの試験片とした きの引張弾性率が異なる二種類以上の樹脂 組み合わせて調整してもよい。

 本発明の好ましい特定外層の例にはポリ ミド樹脂が含まれる。一般にポリイミド樹 は、所定厚さの試験片としたときの引張弾 率が高い(2GPa以上)。しかし、ポリイミド樹 は、原料であるジアミン成分、酸二無水物 分を適宜選択することにより、所定厚さの 験片としたときの引張弾性率を本願の範囲( 0.1~1.0GPa)に調整できる。

 上記引張弾性率を達成する上で好ましいポ イミド樹脂の第1は、ポリシロキサン鎖が導 入されたシリコーン変性ポリイミド樹脂(シ キサン骨格を有するポリイミド樹脂)である ポリイミド樹脂の一部に柔軟なポリシロキ ン鎖が導入されたシリコーン変性ポリイミ 樹脂を用いると、ポリイミド樹脂の他の性 をほとんど変えることなく引張弾性率を低 することができるため好ましい。シリコー 変性ポリイミド樹脂は、公知の方法で得ら るが、末端にアミノ基を有するポリシロキ ンを含有するジアミン成分と、テトラカル ン酸二無水物の縮合反応によって得ること 好ましい。
 「末端にアミノ基を有するポリシロキサン 含有するジアミン成分」は、単独で用いら てもよいし、上記ポリイミド樹脂の原料と て用いられるその他のジアミン化合物と組 合わせて用いられてもよい。ポリシロキサ とは、ケイ素-酸素結合の繰り返し構造によ り主鎖が形成されているポリマーである。
 「末端にアミノ基を有するポリシロキサン 含有するジアミン成分」は、ポリイミド樹 を構成する全ジアミン成分に対して5~25モル %含まれることが好ましい。

 シリコーン変性ポリイミド樹脂は、両末 にアミノ基を有するポリシロキサンと2,2-ビ ス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフ ニル(TFDB)との混合物であるジアミン成分を テトラカルボン酸二無水物成分である2,2-ビ (3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロ ロパン二無水物(6FDA)と重縮合反応させて得 れる樹脂であることが好ましい。このよう ポリイミド樹脂は、その厚さ0.06mmの試験片 室温における引張弾性率が0.1GPa以上1GPa未満 であって、かつ、クラッド材としての光学特 性に優れるからである。また、シリコーン変 性ポリイミド樹脂は、厚さ0.06mmの試験片とし たときの室温下における降伏点から破断点ま での伸び率が10%以上50%以下であるため好まし い。

 上記引張弾性率を達成する上で好ましいポ イミド樹脂の第2は、下記一般式(1)で表され る繰り返し構造単位を有するポリイミド樹脂 である。
(式中、lは1~7の整数を示し、Aは4価の有機基 示す)
 上記ポリイミド樹脂は、前述したようなシ キサン骨格を有するポリイミド樹脂の場合 生じ得るブリードや汚染等が発生せず、柔 性に優れる。

 上記ポリイミド樹脂を構成するジアミン 、複数のベンゼン環が互いにメタ位で、エ テル結合を介して結合した構成単位を有し おり、ポリイミド樹脂に柔軟性を付与して る。上記一般式(1)において、lは1~7の整数で あり、ポリイミド樹脂の柔軟性を適切に調整 できる点で、lが3~5の整数であることが好ま い。lが3を下回ると柔軟性に劣り、lが5を上 ると柔軟性が高すぎるだけでなく、コスト 増大するためである。なお、上記ポリイミ 樹脂を構成するジアミンは、lが同じジアミ ン単独でもよいし、lが異なるジアミンが組 合わされてもよい。

 上記ポリイミド樹脂を構成する有機基Aは、 テトラカルボン酸二無水物成分から誘導され る基であり、4価の脂肪族基または4価の芳香 基であり、好ましくは4価の芳香族基である 。
 4価の芳香族基としては、「4価の芳香環基 あって、Aに結合するカルボニル基のすべて 1の芳香環に結合している基」または「2以 の芳香環を含む4価の基であり、Aに結合する カルボニル基のうちの2つが一方の芳香環に 合し、残りの2つがもう一方の芳香環に結合 ている基(2以上の芳香環を含む4価の基)」で ある。
 芳香環は、芳香族炭化水素であっても芳香 複素環であってもよいが、好ましくは芳香 炭化水素である。芳香族炭化水素の例には ベンゼン、ナフチレンや、3以上のベンゼン 環が縮合した芳香環などが含まれる。「2以 の芳香環を含む4価の基」とは、2つの芳香族 炭化水素、例えば、2つのベンゼンが直接結 したビフェニルや、COを介して結合したベン ゾフェノンや、O、SO 2 、S、CH 2 、C(CH 3 ) 2 、CF 2 、C(CF 3 ) 2 などを介して結合した基などが含まれる。中 でも、「2以上の芳香環を含む4価の基」とし 、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサ フルオロプロパン二無水物(6FDA)、3,3’,4,4’- フェニルエーテルテトラカルボン酸二無水 (ODPA)等が、適度な剛直性を有しつつ、柔軟 を調整し易い点から好ましい。
 テトラカルボン酸二無水物の例には、ピロ リット酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニル ーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4 -ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2 ’,3,3’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水 、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパ ン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニ ル)プロパン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボ シフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジ ルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2, 3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビ ス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物 、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二 無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二 無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エー テル二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボ ン酸二無水物、3,4,3’,4’-ベンゾフェノンテ ラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3-ベンゾフ ノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’- ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、 1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物 2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水 、1,2,4,5-ナフタレン-テトラカルボン酸二無 物、1,4,5,8-ナフタレン-テトラカルボン酸二 水物、2,6-ジクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラ ルボン酸二無水物、2,7-ジクロルナフタレン -1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テ ラクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン 二無水物、フエナンスレン-1,8,9,10-テトラカ ルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカ ルボン酸二無水物、チオフエン-2,3,4,5-テトラ カルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニル トラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’-ビフ ニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’- ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス (3,4-ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二 無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メチ ルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4-ジカル キシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、 1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルジメチルシ リル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカル キシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシクロ キサン二無水物、p-フェニルビス(トリメリ ト酸モノエステル酸無水物)、エチレンテト ラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラ ルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン- 1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチ ル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6- トラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1 ,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジ -2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シ クロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス (エキソ-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン-2,3-ジカル ボン酸無水物)スルホン、ビシクロ-(2,2,2)-オ ト(7)-エン2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物 2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフ オロプロパン二無水物、2,2-ビス〔4-(3,4-ジ ルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフル ロプロパン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカル キシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無 水物、1,4-ビス(2-ヒドロキシヘキサフルオロ ソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無 水物)、1,3-ビス(2-ヒドロキシヘキサフルオロ ソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸 水物)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3 -メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無 水物、テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカル ボン酸二無水物、エチレングリコールビスト リメリテート二無水物等が含まれ、2種類以 を混合して用いてもよい。

 (4)光導波路高分子フィルムの物性
 1)光導波路高分子フィルムの耐摺動屈曲性
 光導波路高分子フィルムの耐摺動屈曲性は JIS C 5016 8.6(耐屈曲性試験)に準じた装置を 用い、プレート間隔(ギャップ)2mm、摺動速さ5 00rpm、ストローク30mmで、光導波路高分子フィ ルムを摺動させて、光導波路高分子フィルム の破断する摺動回数で評価することが好まし い。三層の光導波路高分子フィルムを評価す る際は、切削加工されている層であって、厚 さ0.06mmの試験片としたときの室温における引 張弾性率が0.1GPa以上1GPa未満である第一クラ ド層または第二クラッド層が、屈曲された にコアよりも外側になるようにセットされ 。また、四層の光導波路高分子フィルムを 価する際は、切削加工されている層であっ 、厚さ0.06mmの試験片としたときの室温にお る引張弾性率が0.1GPa以上1GPa未満ある第一ク ッド層、第二クラッド層またはベース層が 屈曲された際にコアよりも外側になるよう セットされる。

 本発明の光導波路高分子フィルムは、当 試験において、フィルムの破断する摺動回 が10万回以上であることが好ましく、特に25 万回以上であることが好ましい。当該回数が 10万回以上である光導波路高分子フィルム、 に好ましくは25万回以上である光導波路高 子フィルムは、スライドタイプの携帯電話 に用いられた場合に、優れた耐摺動屈曲性 発現できるからである。

 2)光導波路高分子フィルムの切削加工面の 面粗さ
 本発明の光導波路高分子フィルムの屈曲部 おける切削加工面は、バリや切削カス等が ないことから破断し難く、耐摺動屈曲性に れる点から、表面粗さRaが0.4μm以下、特に ましくは0.2μm以下であることが好ましい。 屈曲部における切削加工面」とは、屈曲部 おいて、切削加工によって露出する面全体 いう。中でも、屈曲部における特定外層の 削加工面をいう。
 表面粗さRaは、例えば、AFM(原子間力顕微鏡) により測定することができる。測定位置は、 ポリイミド樹脂の切削加工面、例えば、溝の 側面、底面等である。

 2.光導波路高分子フィルムの製造方法
 本発明の光導波路高分子フィルムは発明の 果を損なわない範囲で任意に製造できるが 以下好ましい製造方法について説明する。

 (1)三層溝タイプの光導波路高分子フィルム 製造方法
 図1に示されるような光導波路高分子フィル ムは、
 A)第一クラッド層1、コア層2、第二クラッド 層3がこの順に積層された積層体7を準備する 程(図1A)、
 B)前記積層体7に切削加工により、第二クラ ド層3とコア層2の厚さ方向の全部および第 クラッド層1の厚さ方向の一部を切断する溝4 であって、その溝底5が第一クラッド層1の内 にある溝4を2以上形成して、当該溝4で挟ま る領域にコア20を形成する工程(図1B)、を含 方法で製造されることが好ましい。

 A)工程は、第一クラッド層1、コア層2、第 二クラッド層3をこの順番に基板上に積層し 行ってよい。また、A)工程は、コア層2の一 の面に第一クラッド層1を形成し、もう一方 面に第二クラッド層3を形成することによっ て行ってもよい。前記基板の例にはシリコン ウエハが含まれる。

 各層の具体的な形成法は、各層を構成す 材質によって異なるが、例えばその材質が リイミド樹脂である場合には、ポリアミド 溶液を塗布して、かつ熱処理することによ てイミド化させて形成すればよい。ポリア ド酸溶液の塗布は、たとえばスピンコート によってなされうる。

 B)工程は、前記A)工程で製造された積層体 7に溝4が形成される。溝4の形成は切削加工に よりなされる。切削加工の例には、ダイシン グソー、ダイヤモンドカッター、フライス盤 等を用いた加工が含まれる。図1Bは、切削加 により3本の溝が設けられた光導波路高分子 フィルムを示す。二本の溝4の間に挟まれた 域にコア20が形成される。溝4が形成された 導波路高分子フィルムは、コア20および溝4 含むように、必要な大きさに切り出して用 られうる。形成された溝4の切削面には、ク ッド材でコーティングを施してもよい。当 コーティング層は1μm程度の膜厚を有してい ればよい。

 (2)四層溝タイプの光導波路高分子フィルム 製造方法
 図6に示されるような光導波路高分子フィル ムは、例えば、
 A’)ベース層6、第一クラッド層1、コア層2 第二クラッド層3がこの順に積層された積層 を準備する工程、
 B’)前記積層体に切削加工により、第二ク ッド層3、コア層2、および第一クラッド層1 厚さ方向の全部およびベース層6の厚さ方向 一部を切断する溝4であって、当該溝底5が ース層6の内部にある溝4を2以上形成して、 該溝4で挟まれる領域にコア20を形成する工 、を含む方法で製造される。

 図6の光導波路高分子フィルムにおいて、 ベース層6が切削加工面を有しない場合、例 ば、溝底5が第一クラッド層1内にある場合は 、上記A’)工程において、ベース層6を含まな い三層の積層体を用意し、上記B’)工程を行 た後にベース層6を積層してもよい。

 (3)三層リソグラフィータイプの光導波路高 子フィルムの製造方法
 図3に示されるような光導波路高分子フィル ムは、
 C)第一クラッド層1、コア層2がこの順に積層 された積層体を準備する工程、
 D)コア層2にフォトリソグラフィーおよびイ ンエッチング等を行って、コアパターンの を残し、その余のコア層2を除去する工程、
 E)前記工程で得られた積層体に、第二クラ ド層3を積層する工程、
 F)前記工程で得られた積層体に、前記B)工程 に準じて切削加工により、第二クラッド層3 厚さ方向の全部と、第一クラッド層1の厚さ 向の一部を切断する溝4であって、当該溝底 5が第一クラッド層1の内部にある溝4を形成す る工程、を含む方法で製造されることが好ま しい。

 (4)四層リソグラフィータイプの光導波路高 子フィルムの製造方法
 図7に示されるような光導波路高分子フィル ムは、
 C’)ベース層6、第一クラッド層1、コア層2 この順に積層された積層体を準備する工程
 D’)コア層2にフォトリソグラフィーおよび オンエッチング等を行って、コアパターン みを残し、その余のコア層2を除去する工程 、
 E’)前記工程で得られた積層体に、第二ク ッド層3を積層する工程、
 F’)前記工程で得られた積層体に、前記B)工 程に準じて切削加工により、第二クラッド層 3と第一クラッド層1の厚さ方向の全部、およ ベース層6の厚さ方向の一部を切断する溝4 あって、当該溝底5がベース層6の内部にある 溝4を形成する工程、を含む方法で製造され ことが好ましい。

 図7の光導波路高分子フィルムにおいて、 ベース層6が切削加工面を有しない場合、例 ば、溝底5が第一クラッド層1内にある場合は 、上記C’)工程において、ベース層6を含まな い三層の積層体を用意し、上記D’)工程、E’ )工程およびF’)工程を行った後にベース層6 積層してもよい。

 以上は、図1、図3、図6、および図7に示さ れる光導波路高分子フィルムの製造方法を示 したが、図2、図4、図5に示される光導波路高 分子フィルムを製造する場合は、材料の選択 、切削条件の変更を適宜行えばよい。

 従来の光導波路高分子フィルムでは、引張 性率が比較的高い材料が用いられるため、 削加工によりフィルムは精度よく切断され またこの際にフィルムの切削面が荒れたり バリや切削カスが発生して付着したりする とは少ない(切削加工性に優れる)。
 しかし、本発明の光導波路高分子フィルム 、高耐摺動屈曲性を実現するためにクラッ に比較的引張弾性率が低い材料を用いてい ため、切削時に前記不良が発生する(切削加 工性に劣る)ことが懸念される。弾性率の低 材料は、切削時にサンプルに発生する応力 熱として緩和しやすく、サンプルが変形し すいため、前記不良を生じやすいと考えら る。切削加工性の低下は、次のような影響 及ぼす。

 図1Bに示す光導波路高分子フィルムを例に て、切削加工性の低下が光導波路高分子フ ルムに及ぼす影響を説明する。
 まず、第一クラッド層1や第二クラッド層3 切削面にバリや切削カスが付着するなどの 削時の不良が発生すると、バリや切削カス 一部がコアに接触するため、光伝搬におけ 損失が大きくなり、光伝搬性能が低下する とがある。
 次に、切削面がゆがんでしまい設計通りの 削加工ができないなどの不良が発生すると 光導波路高分子フィルムの切断端面の精度 損なわれる。光導波路高分子フィルムの切 端面は他の電子部材(電気配線フィルム等) 接合する際の位置決めの標準となることが る。このため、光導波路高分子フィルムの 削精度が低下すると、他の部材との接合精 が低下することがある。
 さらに、第一クラッド層1や第二クラッド層 3の切削面に付着したバリや切削カスは、光 波路高分子フィルムが摺動屈曲された際の 断の起点となり、光導波路高分子フィルム 耐摺動屈曲性を損なうおそれがある。

 しかしながら、本発明の光導波路高分子 ィルムは、所定厚みの試験片としたときの 張弾性率が特定の範囲にある材料を、「屈 される際にコアよりも外側になる層であっ 切削加工により厚さ方向の一部または全部 切削されている層(特定外層)」に用いてい ため、前記不良が発生しにくく、光伝搬特 、加工精度を損なうことがない。

 3.本発明の光導波路高分子フィルムが収納 れた電子機器
 本発明の光導波路高分子フィルムは、携帯 話をはじめとする電子機器に用いられる。 述のとおり、本発明の光導波路高分子フィ ムは耐摺動屈曲性に優れるので、光導波路 分子フィルムが屈曲されて収納されるスラ ド式携帯電話に好適である。特に、屈曲部 曲率の直径が2mm以下となるように収納され スライド式携帯電話に好適である。

 本発明の光導波路高分子フィルムが屈曲 れて電子機器に収納される場合、屈曲時に アよりも外側になる層であって切削加工さ ている層(特定外層)は、光導波路高分子フ ルムに設けられた溝により切断されている (例えば図1の第二クラッド層3)であってもよ し、溝底を有している層(例えば図1の第一 ラッド層1)であってもよい。特定外層が溝底 を有している層であると、光導波路高分子フ ィルムの耐摺動屈曲性がより高くなる。その ため、本発明の光導波路高分子フィルムが屈 曲されて電子機器に収納される際には、溝底 を有している層を特定外層とすることが好ま しい。

 [実施例1:図1に示される光導波路高分子フィ ルムの製造]
 2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフ ルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2-ビス(ト フルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル( TFDB)および6FDAと4,4’-オキシジアニリン(ODA)と の共重合ポリアミド酸溶液(日立化成社製OPI-N 3405)を準備した。
 当該溶液を8インチシリコンウエハ上にスピ ンコートした後で熱処理して、膜厚が50μmの ィルムを得た。前記シリコンウエハをフッ 水溶液に浸漬し、50μm厚みのフィルムをシ コンウエハから剥離した。

 N、N-ジメチルアセトアミド、6FDA、シロキ サンジアミンである1,3-ビス(3-アミノプロピ )テトラメチルシロキサンおよびTFDBからなる シリコーン変性ポリアミド酸溶液を準備した 。シロキサンジアミンとTFDBの比率は15:85(モ 比)とした。

 シリコンウエハから剥離したフィルムを ア層2とし、当該フィルムの一方の面に、前 記シリコーン変性ポリアミド酸溶液を塗布し 、250℃で加熱して第一クラッド層1を積層し 。第一クラッド層1の熱処理後の膜厚は20μm なるようにした。コア層2の裏面にも同様に シリコーン変性ポリアミド酸溶液を用いて 二クラッド層3を積層した。第二クラッド層 3の熱処理後の膜厚は7μmになるようにした。 のようにして、第一クラッド層1、コア層2 第二クラッド層3の順に積層された積層体を た。当該積層体は5cm×8cmの大きさに切断さ た。

 当該積層体に、ダイシング加工により溝4 を形成した。ダイシングブレードが前記積層 体の第二クラッド層3とコア層2を貫通し、第 クラッド層1内で止まるような条件で、2本 直線状の溝4を形成した(図1には3本の溝4が形 成された光導波路高分子フィルムが示してあ るが、本実施例では溝4は2本とした)。溝4は 積層体の短辺(5cmの辺)に平行に設けられた。 この2本の溝4で挟まれた部分に光を導波する ア20が形成された。本実施例ではブレード が30μmのダイシングブレードを用いたため、 2本の溝4の中心間距離を130μmにすることで、 り合う2本の溝4により挟まれた約100μm幅の ア20が形成された。

 溝4が形成された前記積層体から、ダイシ ング加工により、コアの延びる方向を長手方 向とする、幅3mmの光導波路高分子フィルムを 切り出した。得られた光導波路高分子フィル ムの溝4および端部の切削面はなめらかであ 、切削カスなどはほとんど付着していなか た。切り出された複数の光導波路高分子フ ルムは、いずれも設計通りの形状に加工さ ており、加工精度に優れていた。

 このようにして得た光導波路高分子フィ ムを、第一クラッド層1がコアよりも外側に なるように屈曲させて摺動屈曲試験を行った 。当該試験はJIS C 5016 8.6(耐屈曲性)に準じ 装置を用い、プレート間隔(ギャップ)2mm、摺 動速さ500rpm、ストローク30mmとして行った。 導波路高分子フィルムが破断するまでの摺 回数を測定した。その結果40万回以上摺動さ せても光導波路高分子フィルムは破断しない ことが明らかとなった。

 さらに当該光導波路高分子フィルムの光 搬損失試験をJPCA-PE02-05-01S-2005高分子光導波 の試験方法(5.3.2光伝搬損失)に準じて行った ところ、波長850nmの光伝搬損失は0.2dB/cmであ た。

 本実施例で用いた第一クラッド層1または 第二クラッド層3を構成するクラッド材の、 さ0.06mmの試験片を用いて、JIS K7161:1994に準 して室温にて引張試験を行い、応力-歪曲線 接線の傾きから引張弾性率を求めた。その 果、上記クラッド材の試験片の室温におけ 引張弾性率は0.5GPaであった。また、引張試 の応力歪曲線から、当該クラッド材からな 試験片は、降伏点を超えてもサンプルが伸 る、塑性伸び領域が存在した。当該クラッ 材からなる試験片の降伏点から破断点まで 伸び率(単に「伸び率」ともいう)は約18%で った。

 [実施例2:図1に示される光導波路高分子フィ ルムの製造]
 シリコーン変性ポリアミド酸溶液のシロキ ンジアミンとTFDBの比率を8:92(モル比)とした 以外は、実施例1と同様にして、光導波路高 子フィルムを製造した。得られた光導波路 分子フィルムについて、実施例1と同様に評 を行った。
 その結果、本実施例で得られた光導波路高 子フィルムは、25万回以上摺動させても破 しないことが明らかとなった。さらに当該 導波路高分子フィルムの光伝搬損失試験を 施例1と同様にして行ったところ、波長850nm 光伝搬損失は0.2dB/cmであった。当該クラッド 材の厚さ0.06mmの試験片の室温における引張弾 性率は0.9GPaであり、伸び率は約10%であった。

 [実施例3:図4に示される光導波路高分子フィ ルムの製造]
 実施例1で用いたシリコーン変性ポリアミド 酸溶液をシリコンウエハにコートし、熱処理 によって硬化させ20μmの第一クラッド層1を得 た。

 日立化成社製OPI-N3405を前記第一クラッド 1の上にコートし、熱処理によって硬化させ 、コア層を形成した(図示せず)。このときコ 層の厚みは35μmとなるようにした。

 次に、コア層にフォトリソグラフィーと 素プラズマによるイオンエッチングを施し コア層からコア部だけを残すコアパターニ グを行い、二本の直線状のコア20を形成し 。このときのコア20の幅は50μmであり、二本 コア20の間隔は500μmとした。

 コア20上に、前記シリコーン変性ポリアミ 酸溶液をコートし、熱処理によって硬化さ 、コア20の上に第二クラッド層3を形成した 第二クラッド層3のコア20上部での厚みは10μm であった。また、コア20が存在しない部分、 なわち第一クラッド層1の上に設けられた第 二クラッド層3の厚みは、20μmであった。
 このようにして得た積層体を、5重量%のフ 酸水溶液に浸漬させ、光導波路高分子フィ ムをシリコンウエハから剥離した。

 当該光導波路高分子フィルムは5cm×8cmの きさに切断された。このとき、光導波路高 子フィルムは、フィルムの短辺(5cmの辺)が、 コア20の延びる方向と平行になるように切断 れた。ブレード幅30μmのダイシンングソー 用いて、当該光導波路高分子フィルムに、 本の溝4を設けた。溝4はコア20の延びる方向 平行であって、紙面左側のコア20の右側の 辺から100μmのところに溝4の左側の長辺が位 するように設けられた。もう一本の溝4は、 紙面右側のコアの左側の長辺から100μmのとこ ろに溝4の右側の長辺が位置するように設け れた。

 溝4が形成された前記積層体から、ダイシン グ加工により、コア20の延びる方向を長手方 とする、幅3mmの光導波路高分子フィルムを り出した。得られた光導波路高分子フィル の溝4および端部の切削面はなめらかであり 、切削カスなどはほとんど付着していなかっ た。切り出された複数の光導波路高分子フィ ルムは、いずれも設計通りの形状に加工され ており、加工精度に優れていた。
 この光導波路高分子フィルムについて、実 例1と同様に評価を行った。その結果、30万 以上摺動しても破断しないことが明らかに った。本実施例で用いたクラッド材の厚さ0 .06mmの試験片の室温における引張弾性率は0.5G Paであった。

 [実施例4:図6に示される光導波路高分子フィ ルムの製造]
 日立化成社製OPI-N3405を8インチシリコンウエ ハ上にスピンコートした後、熱処理した。こ のとき熱処理後の膜厚が50μmになるようにし 。当該シリコンウエハをフッ酸水溶液に浸 し、フィルムをシリコンウエハから剥離し コア層(図示せず)とした。次に、2,2-ビス(3,4 -ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロ ン二無水物(6FDA)と2,2-ビス(トリフルオロメ ル)-4,4’-ジアミノビフェニル(TFDB)のポリア ド酸溶液(日立化成社製OPI-N1005)をコア層の上 にスピンコートして、70℃で30分乾燥させて 一クラッド層1とした。このとき、乾燥後の 厚が7μmの膜厚になるようにした。さらに、 コア層の逆の面に、OPI-N1005をスピンコートし 、70℃で30分乾燥させて第二クラッド層3を形 した。このとき、乾燥後の膜厚が、7μmにな るように調整した。こうして得た積層体をさ らに320℃で1時間乾燥した。

 前記積層体を第一クラッド層1が上となる ように置き、その上に実施例1で用いたシリ ーン変性ポリアミド酸溶液を塗布し、300℃ 乾燥させ、ベース層6を形成した。このとき ベース層6の乾燥後の膜厚が10μmになるよう した。このようにして、第二クラッド層3が 上になるようにしたときに、第一クラッド層 1の下にベース層6が形成された4層の積層体が 製造された。

 得られた積層体はカッターにより10cm×10cm の大きさに切断された。当該積層体に、ダイ シング加工により溝4を形成した。ダイシン ブレードが前記積層体の第二クラッド層3、 ア層、および第一クラッド層1を貫通し、ベ ース層6内で止まるような条件で、2本の直線 の溝4を形成した(図6には3本の溝4が形成さ た光導波路高分子フィルムが示してあるが 本実施例では溝4は2本とした)。溝4は、積層 の辺に平行に設けられた。この2本の溝4で まれた部分に光を導波するコア20が形成され た。本実施例ではブレード幅が30μmのダイシ グブレードを用いたため、2本の溝4の中心 距離を130μmにすることで、隣り合う2本の溝4 により挟まれた約100μm幅のコア20が形成され 。

 溝4が形成された前記積層体から、ダイシ ング加工により、コア20の延びる方向を長手 向とする、幅3mmの光導波路高分子フィルム 切り出した。得られた光導波路高分子フィ ムの溝4および端部の切削面はなめらかであ り、切削カスなどはほとんど付着していなか った。切り出された複数の光導波路高分子フ ィルムは、いずれも設計通りの形状に加工さ れており、加工精度に優れていた。

 続いて、光導波路高分子フィルムのベース 6がコアよりも外側になるように屈曲させて 、摺動屈曲試験を行った。その結果、当該光 導波路高分子フィルムは30万回摺動しても破 しないことが明らかになった。
 ベース層6を構成するベース材の、厚さ0.06mm の試験片の室温における引張弾性率は、0.5GPa であり、伸び率は約18%であった。

 [実施例5]
 実施例1のクラッド材の代わりに、ジアミン 成分としてAPB5(1,3-ビス(3-(3-アミノフェノキシ )フェノキシ)ベンゼンと、酸二無水物としてO DPA(3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカル ボン酸二無水物)とより得られるポリイミド 脂を実施例1と同様に作製した。ジアミン成 と酸二無水物成分のモル比は仕込みで1:1と た。そして、当該クラッド材からなる厚さ0 .06mmの試験片の室温における引張弾性率は0.9G Paであった。
 また、当該クラッド材を用いて実施例1と同 様に光導波路高分子フィルムを作製し、光伝 播損失を測定したところ、実施例1、2の構成 ものとほぼ同等の結果が得られた。また、 該光導波路高分子フィルムは、厚さ0.06mmの 験片としたときの室温における引張弾性率 実施例1と同等のクラッド材を使用している ことから、実施例1と同等の高い耐摺動屈曲 を示すことが示唆されると考えられる。
 以上の結果から、実施例1、2におけるシロ サン骨格を有するポリイミド樹脂と同様に 用できることが明らかとなった。

 [比較例1]
 2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフ ルオロプロパン二無水物(6FDA)と2,2-ビス(トリ ルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル(TFD B)のポリアミド酸溶液(日立化成社製OPI-N1005) 準備した。当該溶液を8インチシリコンウエ 上にスピンコートした後に熱処理して、20μ mの厚みの第一クラッド層を作製した。

 次に、6FDAとTFDBおよび6FDAと4,4’-オキシジ アニリン(ODA)の共重合ポリアミド酸溶液(日立 化成社製OPI-N3405)を、前記第一クラッド層の にスピンコートした後、熱処理してコア層 形成した。このときコア層の熱処理後の膜 が50μmの厚みになるようにした。さらに当該 コア層の上に前述の日立化成社製OPI-N1005をコ ーティングし、熱処理して、第二クラッド層 を積層した。当該第二クラッド層の熱処理後 の膜厚は7μmになるようにした。

 続いて、前記シリコンウエハをフッ酸水 液に浸漬し、シリコンウエハからフィルム はがし、5cm×8cmの大きさに切断した。この うにして、第一クラッド層、コア層、第二 ラッド層の順に積層されたポリイミド樹脂 らなる積層体を得た。本比較例における熱 理条件はすべて340℃/1時間とした。

 当該積層体に、実施例1と同様にしてダイ シング加工により溝を形成した。ダイシング ブレードが前記積層体の第二クラッド層(7μm) とコア層を貫通し、第一クラッド層(20μm)内 止まるような条件で、2本の直線状の溝を形 した。この2本の溝で挟まれた部分に光を導 波するコアが形成された。本比較例ではブレ ード幅が30μmのダイシングブレードを用いた このため、2本の溝の中心間距離を130μmにす ることで、隣り合う2本の溝により挟まれた 100μm幅のコアが形成された。

 溝が形成された前記積層体から、実施例1 と同様にしてダイシング加工により幅3mmの光 導波路高分子フィルムを切り出した。得られ た光導波路高分子フィルムの溝および端部の 切削面はなめらかであり、切削カスなどは付 着していなかった。切り出された複数の光導 波路高分子フィルムは、いずれも設計通りの 形状に加工されており、加工精度に優れてい た。

 このようにして得た光導波路高分子フィル の摺動屈曲試験を実施例と同様にして行っ 。その結果、当該光導波路高分子フィルム 5万回の摺動で破断した。また、コアよりも 外側の第一クラッド層から破断していること が分かった。
 さらに実施例と同様にして当該光導波路高 子フィルムの光伝搬損失試験を行ったとこ 、波長850nmの光伝搬損失は0.2dB/cmであった。

 さらに実施例と同様にして、本比較例で ア材としたポリイミド樹脂、およびクラッ 材としたポリイミド樹脂の、厚さ0.06mmの試 片の室温における引張試験を行ったところ これらの試験片の引張弾性率は、ともに約2 GPaであった。また、これらの試験片の応力歪 曲線を測定すると、塑性伸び領域はほとんど 無く、降伏点を超えた時点で直ちに破断した ことが分かった。

 [比較例2]
 日立化成社製OPI-N3405を8インチシリコンウエ ハ上にスピンコートした後、熱処理した。こ のとき熱処理後の膜厚が50μmになるようにし 。当該シリコンウエハをフッ酸水溶液に浸 し、フィルムをシリコンウエハから剥離し 。
 次に、当該フィルムの片面にシリコーン変 エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、FX-W711)を塗 し、紫外線照射および120℃の熱処理を行い 厚みが7μmの第二クラッド層を積層した。同 に裏面にもFX-W711からなる20μmの第一クラッ 層を積層し、積層体を得た。得られた積層 はカッターにより10cm×10cmの大きさに切断さ れた。

 こうして得た積層体に、比較例1と同様に して溝を形成し、さらに幅3mmの光導波路高分 子フィルムを切り出した。このとき、溝およ び端部に、切削カスなどはほとんど無かった 。切り出された複数の光導波路高分子フィル ムは、いずれも設計通りの形状に加工されて おり、加工精度に優れていた。

 実施例と同様にして、このようにして得 光導波路高分子フィルムの摺動屈曲試験を った。その結果、当該光導波路高分子フィ ムは3万回の摺動で破断した。また、コアよ りも外側のクラッド層から破断しており、そ の周辺には多数のクラックが確認された。

 さらに実施例と同様にして当該光導波路 分子フィルムの光伝搬損失試験を行ったと ろ、波長850nmの光伝搬損失は0.2dB/cmであった 。

 さらに実施例と同様にして当該クラッド であるFX-W711の厚さ0.06mmの試験片の室温にお ける引張試験を行ったところ、当該試験片の 引張弾性率は、1.5GPaであった。また、当該試 験片の引張試験における応力歪曲線を測定し たところ、降伏点以降の伸びがないことが確 認された。

 [比較例3]
 日立化成社製OPI-N3405を8インチシリコンウエ ハ上にスピンコートした後、熱処理を行った 。このとき、熱処理後の膜厚が50μmになるよ にした。当該シリコンウエハをフッ酸水溶 に浸漬し、50μmのフィルムを剥離した。
 次に、当該フィルムの片面に、シリコーン 脂(株式会社ADEKA製、FX-T121)を塗布し、250℃ 熱処理して第二クラッド層を積層した。こ とき熱処理後の膜厚が7μmになるようにした 同様にしてもう一方の面にもFX-T121からなる 20μmの第一クラッド層を積層した。このよう して、第一クラッド層、コア層、第二クラ ド層の順に積層された積層体を得た。

 こうして得た積層体に、比較例1と同様に して溝を形成し、さらに幅3mmの光導波路高分 子フィルムを切り出した。当該溝の中には、 切削カスや多くのバリなどが存在していた。 また、切断形状の精度も悪く、精度良い加工 ができなかった。引張弾性率の低いクラッド 材が切削時にサンプルに係る応力を緩和する クッション的な役割を果たすため、精度良い 加工ができなかったと推察された。

 実施例と同様にして、このようにして得 光導波路高分子フィルムの摺動屈曲試験を った。その結果、当該光導波路高分子フィ ムは50万回以上の摺動に耐えることを確認 た。

 さらに実施例と同様にして当該光導波路高 子フィルムの光伝搬損失試験を行ったとこ 、波長850nmの光伝搬損失は0.9dB/cmであった。
 本比較例で用いたクラッド材であるFX-T121か らなる厚さ0.06mmの試験片の室温における引張 弾性率は30MPaであった。

 以上の結果を表1にまとめる。

 実施例1~3から、厚さ0.06mmの試験片としたと の室温における引張弾性率が0.1GPa以上1GPa未 満であるクラッド材を特定外層に用いた本発 明の光導波路高分子フィルムは、高い耐摺動 屈曲性、高い切削加工性を有することが明ら かである。また、高い切削加工性に起因して 、光伝搬損失が低いことも明らかである。
 実施例4から、厚さ0.06mmの試験片としたとき の室温における引張弾性率が0.1GPa以上1GPa未 であるベース材を特定外層に用いた本発明 光導波路高分子フィルムは、高い耐摺動屈 性、高い切削加工性を有することが明らか ある。
 一方、比較例1、2からは、厚さ0.06mmの試験 としたときの室温における引張弾性率が1.5GP a以上であるクラッド材を用いると、高い切 加工性は高いものの、耐摺動屈曲性が低く ることが明らかである。さらに比較例3から 、厚さ0.06mmの試験片としたときの室温にお る引張弾性率が0.03GPaと非常に低いクラッド 材を用いると、耐摺動屈曲性が極めて高くな るものの、切削加工性に劣ることが明らかで ある。

 [実施例6:図1に示される光導波路高分子フィ ルムの製造]
 実施例2と同様のクラッド材、即ち、厚さ0.0 6mmの試験片としたときの室温における引張弾 性率が0.9GPaであるクラッド材を用いて光導波 路高分子フィルムを製造した。この光導波路 高分子フィルムを、ダイシング装置(ダイサ 型番DAD3350、ディスコ社製)によって、3万回 /分の回転数で外形切り出しを行い、幅2mmの 導波路高分子フィルムを得た。
 光導波路高分子フィルムを、光導波路幅方 の切断面で、かつ屈曲部が上になるように ンプルホルダにセットし、AFM(原子間力顕微 鏡)を用いて切断面の平均粗さを観測した。 断面の平均粗さは0.4μmであった。
 この光導波路高分子フィルムを、第一クラ ド層1がコア20よりも外側になるように屈曲 せて、摺動屈曲試験を行った。その結果、 該光導波路高分子フィルムは25万回摺動し も破断しないことが明らかになった。

 [実施例7:図1に示される光導波路高分子フィ ルムの製造]
 実施例2と同様のクラッド材、即ち、厚さ0.0 6mmの試験片としたときの室温における引張弾 性率が0.9GPaであるクラッド材を用いて光導波 路高分子フィルムを製造した。ここで、実施 例6のダイシング装置に代えて、外形形状に 工された金型刃によって、通常フレキシブ 電気配線板と同様の条件で外形切り出しを い、幅2mmの光導波路高分子フィルムを得た それ以外は実施例6と同様に、光導波路高分 フィルムの切断面の平均粗さを観測した。 断面の平均粗さは0.7μmであった。
 この光導波路高分子フィルムを、第一クラ ド層1がコアよりも外側になるように屈曲さ せて、摺動屈曲試験を行った。その結果、当 該光導波路高分子フィルムは10万回摺動する 破断することが明らかになった。

 以上より、屈曲された際に特定外層とな 高分子材料の、厚さ0.06mmの試験片としたと の室温における引張弾性率を本願範囲する とで、屈曲部分の切削加工面の表面粗さRa 小さくすることができ、耐摺動屈曲性を高 ることが明らかとなった。

 本出願は、2007年8月30日出願の特願2007-2245 86に基づく優先権を主張する。当該出願明細 および図面に記載された内容は、すべて本 明細書に援用される。

 本発明の光導波路高分子フィルムは、高 耐摺動屈曲性、高い加工精度を有するため 薄型の電子機器、特にスライド式の携帯電 等に好適である。

 [符号の説明]
 1 第一クラッド層
 2 コア層
 3 第二クラッド層
 4 溝
 5 溝底
 6 ベース層
 7 積層体
 20 コア