TANIOKA ASAO (JP)
KURATA RYUICHI (JP)
NISSIN PHARMA INC (JP)
NAKAZAWA SAYOKO (JP)
TANIOKA ASAO (JP)
KURATA RYUICHI (JP)
WO1998007445A1 | 1998-02-26 | |||
WO2006051797A1 | 2006-05-18 |
YAMAGUCHI O.: "Kakatsudo Boko no Byotai to Yakubutsu Ryoho", FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA, vol. 121, no. 5, 2003, pages 331 - 338, XP003023944
KUBOTA Y. ET AL.: "Kakutsudo Boko no Saikin no Kiso Kenkyu", JAPANESE JOURNAL OF CLINICAL UROLOGY, vol. 57, no. 12, 2003, pages 961 - 969, XP003023945
一般式(I) 又は(III) |
尿意切迫感を軽減するものである請求項1記載の頻尿若しくは尿失禁の予防又は治療剤。 |
対象疾患が間質性膀胱炎に起因する頻尿若しくは尿失禁である請求項1又は2に記載の頻尿若しくは尿失禁の予防又は治療剤。 |
対象疾患が過活動膀胱に起因する頻尿若しくは尿失禁である請求項1又は2に記載の頻尿若しくは尿失禁の予防又は治療剤。 |
一般式(I) 又は(III) |
対象疾患が間質性膀胱炎に起因する下部尿路における疼痛又は知覚過敏である請求項5記載の抑制剤。。 |
対象疾患が過活動膀胱に起因する下部尿路における疼痛又は知覚過敏である請求項5記載の抑制剤。 |
一般式(I) 又は(III) |
本発明は、頻尿及び尿失禁の予防又は治 剤に関する。
近年、高齢化社会の到来と共に、頻尿や 失禁に悩む患者数は年々増加傾向にある。 のような頻尿や尿失禁の原因となるものと て間質性膀胱炎や過活動膀胱などが挙げら る。
間質性膀胱炎とは、頻尿や尿意切迫感、 胱充満時の膀胱痛を主症状とし、細菌感染 伴わない、慢性の膀胱炎症である。尿意切 感や膀胱痛の症状は非常に重く、QOLを著し 損なう疾患であることが知られている。治 としては、カプサイシンやレジニフェラト シンの膀胱内注入療法があるが、薬剤の膀 内注入は侵襲性の高い治療法であり、より 便な治療法が望ましい。
また、過活動膀胱は、膀胱が勝手に収縮 るために頻尿、尿失禁などが起きる病態を う。これまでに、ムスカリン性アセチルコ ン受容体拮抗薬やβ3受容体作動薬など膀胱 滑筋の弛緩作用を有する薬剤が、過活動膀 の治療薬として販売あるいは試験されてい (特許文献1,2,3)。
一方、6-[2-(R)-[(2(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒ
ロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ
-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸は、β 3
アドレナリン受容体に対して選択的活性化に
優れ、有効性(efficacy)と効力(potency)の高い化
物であり、糖尿病治療に有用であることが
告されている(特許文献4)。しかし、頻尿及
尿失禁の予防・治療効果や下部尿路におけ
疼痛、膀胱痛の軽減については知られてい
い。
本発明の目的の1つは、優れた効果を有す る頻尿及び尿失禁の予防・治療剤を提供する ことである。
また、本発明の目的の1つは、優れた効果 を有する下部尿路における疼痛、膀胱痛又は 知覚過敏の抑制剤を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するべく 意検討を重ねた結果、特定のβ3アドレナリ 受容体作動薬が、頻尿及び尿失禁の予防・ 療に効果を有し、かつ、カプサイシン注入 より誘発されるラットのlicking行動を顕著に 抑制することを見出し、本発明を完成するに 至った。
即ち、本発明は、
1)一般式(I)
〔式中、Aはアリール基又はC 3-8 シクロアルキル基を示し、R 1 及びR 2 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子 、C 1-6 アルキル基、トリフルオロメチル基、C 1-6 アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ 基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基(ここでアリール基、アリ ルオキシ基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基は、場合により1又は2個の ロゲン原子で置換されていてもよい)を示し 、又は、R 1 とR 2 とは一緒になって-OCH 2 O-を示し、R 3 は水素原子又はC 1-6 アルキル基を示し、R 4 は水素原子又はCO 2 R 5 を示し、R 5 は水素原子又はC 1-6 アルキル基を示し、Xは一般式(II)
(式中nは1又は2を示す)
又は一般式(III)
を有する2価の基を示す〕で表される1,4-ベ ゾジオキシン誘導体又はその薬理学的に許 される塩を有効成分とする頻尿若しくは尿 禁の予防又は治療剤、
2)尿意切迫感を軽減するものである1)記載 頻尿若しくは尿失禁の予防又は治療剤、
3)対象疾患が間質性膀胱炎に起因する頻尿 しくは尿失禁である1)又は2)に記載の頻尿若 しくは尿失禁の予防又は治療剤、
4)対象疾患が過活動膀胱に起因する頻尿若 くは尿失禁である1)又は2)に記載の頻尿若し くは尿失禁の予防又は治療剤、
5)一般式(I)
〔式中、Aはアリール基又はC 3-8 シクロアルキル基を示し、 R 1 及びR 2 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子 、C 1-6 アルキル基、トリフルオロメチル基、C 1-6 アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ 基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基(ここでアリール基、アリ ルオキシ基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基は、場合により1又は2個の ロゲン原子で置換されていてもよい)を示す か、又は、R 1 とR 2 とは一緒になって-OCH 2 O-を示し、R 3 は水素原子又はC 1-6 アルキル基を示し、 R 4 は水素原子又はCO 2 R 5 を示し、R 5 は水素原子又はC 1-6 アルキル基を示し、Xは一般式(II)
(式中nは1又は2を示す)
又は(III)
を有する2価の基を示す〕で表される1,4-ベ ゾジオキシン誘導体又はその薬理学的に許 される塩を有効成分とする下部尿路におけ 疼痛、膀胱痛又は知覚過敏の抑制剤、
6)対象疾患が間質性膀胱炎に起因する下部 路における疼痛、膀胱痛又は知覚過敏であ 5)記載の抑制剤、
7)対象疾患が過活動膀胱に起因する下部尿 における疼痛、膀胱痛又は知覚過敏である5 )記載の抑制剤、
8)一般式(I)
〔式中、Aはアリール基又はC 3-8 シクロアルキル基を示し、 R 1 及びR 2 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子 、C 1-6 アルキル基、トリフルオロメチル基、C 1-6 アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ 基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基(ここでアリール基、アリ ルオキシ基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基は、場合により1又は2個の ロゲン原子で置換されていてもよい)を示す か、又は、R 1 とR 2 とは一緒になって-OCH 2 O-を示し、R 3 は水素原子又はC 1-6 アルキル基を示し、 R 4 は水素原子又はCO 2 R 5 を示し、R 5 は水素原子又はC 1-6 アルキル基を示し、Xは一般式(II)
(式中nは1又は2を示す)
又は(III)
を有する2価の基を示す〕で表される1,4-ベン
ジオキシン誘導体又はその薬理学的に許容
れる塩を投与することからなる頻尿若しく
尿失禁の予防又は治療方法、
に関するものである。
本発明により、優れた効果を有する頻尿 は尿失禁の予防・治療剤及び尿意切迫感の 防・治療剤や下部尿路における疼痛、膀胱 、知覚過敏の抑制剤の提供が可能となった
本発明の頻尿若しくは尿失禁の予防又は 療剤及び下部尿路における疼痛、膀胱痛又 知覚過敏の抑制剤は、有効成分として一般 (I)
〔式中、Aは、アリール基又はC 3-8 シクロアルキル基を表わし、 R 1 及びR 2 は、同一又は異なり、水素原子、ハロゲン原 子、C 1-6 アルキル基、トリフルオロメチル基、C 1-6 アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ 基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基(ここでアリール基、アリ ルオキシ基又はアリールC 1-6 アルキルオキシ基は、場合により1又は2個の ロゲン原子で置換されていてもよい)を表わ し、又は、R 1 とR 2 とは一緒になって-OCH 2 O-を表わし、R 3 は、水素原子又はC 1-6 アルキル基を表わし、 R 4 は、水素原子又はCO 2 R 5 を表わし、R 5 は、水素原子又はC 1-6 アルキル基を表わし、Xは、一般式(II)
(式中nは1又は2を示す)
又は(III)
を有する2価の基を示す〕で表される1,4-ベ ゾジオキシン誘導体又はその薬理学的に許 される塩を含有することを特徴とする。
一般式(I)で表される化合物においてアリ ル基としては、フェニル基、ナフチル基等 挙げられる。
C 3-8 シクロアルキル基としては、シクロプロピル 基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シ クロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロ オクチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、 素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ 。
C 1-6 アルキル基は、炭素原子数1~6の直鎖若しくは 分岐鎖状のアルキル基を意味し、メチル基、 エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ チル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル 基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキ シル基等が挙げられる。
C 1-6 アルコキシ基は、炭素原子数1~6の直鎖又は分 岐鎖状のアルコキシ基を意味し、メトキシ基 、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキ シ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブト シ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、 キソキシ基、イソヘキソキシ基等が挙げら る。
アリールオキシ基としては、フェノキシ 、ナフトキシ基等が挙げられる。
アリールC 1-6 アルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ 基、フェネチルオキシ基、フェニルプロピル オキシ基、ナフチルメチルオキシ基等が挙げ られる。
薬理学的に許容される塩とは、酸付加塩 して、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、硝酸 、燐酸塩などの無機酸塩又は酢酸塩、マロ 酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン 塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、メシ 酸塩などの有機酸塩があげられる。また塩 付加塩としては、ナトリウム塩、リチウム 、カリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩 マグネシウム塩、ストロンチウム塩又はセ ウム塩が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物の好ましい例 して、下記式(1)で示される6-[2-(R)-[(2-(R)-(3- ロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ] ロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2- (R)-カルボン酸(CAS REGISTRY No.:220475-76-3、以下 化合物(1)」と略す)を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物は、上記特許 献4に開示された化合物であり、特開平11-140 079号公報及びWO00/006562パンフレットに開示さ た方法により製造することができる。
一般式(I)で表される化合物は、カプサイ ン感受性知覚神経の刺激で誘発されるラッ のlicking行動を抑制し、かつ、膀胱容量を増 大させるので排尿障害(例えば、過活動膀胱 間質性膀胱炎、頻尿、尿意切迫感、腹圧性 失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、遺尿 夜間遺尿、持続性尿失禁、その他の尿失禁 下部尿路における疼痛、膀胱痛、知覚過敏 ど)の予防剤や治療剤として有用である。特 、間質性膀胱炎、尿意切迫感、下部尿路に ける疼痛、膀胱痛又は知覚過敏などの症状 減に有効である。
本発明の頻尿若しくは尿失禁の予防又は 療剤及び下部尿路における疼痛、膀胱痛又 知覚過敏の抑制剤は、一般式(I)で表される 合物又はその薬理学的に許容される塩を、 理学的に許容し得る担体、賦形剤、結合剤 希釈剤等と混合し、顆粒剤、粉剤、錠剤、 プセル剤、シロップ剤、座薬、懸濁剤、溶 剤などとして、経口又は非経口的に投与す ことができる。
本発明における薬剤の有効成分の投与量 、投与対象、その年齢や体重、症状、投与 間、使用剤形、投与方法、薬剤との組み合 せ方に適宜変化し得る。
これらの薬剤には、一般式(I)で表される 合物を0.001mgから100mg又は製剤全体中0.001w/w% 上、好ましくは0.01w/w%から80w/w%で含有させ ことが好ましい。
本発明の薬剤の投与方法は、経口投与又 非経口投与(例えば静脈内投与、動脈内投与 、皮下投与、腹腔内投与、膀胱内投与又は直 腸内投与など)が挙げられる。投与方法並び 投与量は、疾患、症状、年齢、体重などに り異なるが、通常成人1日あたり0.001mgから100 mgを投与する。
<実施例>
本発明内容を以下の実施例によって更に詳
に説明するが、本発明はこれらの例によっ
限定されるものではない。
カプサイシン誘発 licking行動に対
する抑制効果
ハロタン吸入麻酔下でWistar 系SPF雌性ラッ
、体重約250g(日本医科)を背位に固定して下
部を4~5cm正中切開した。胃内投与を必要とす
る場合には、生理食塩液を満たしたカテーテ
ルを胃内に挿入の上、巾着縫合した。膀胱頂
部を切開して、0.1mg/mLゲンタマイシン/ 生理
塩液を満たした膀胱カテーテルの先端を膀
内に挿入し、巾着縫合して固定した。下腹
切開創の縫合は、胃内投与用カテーテル及
膀胱カテーテルが下腹部切開創上部より導
するように行った。カテーテルは皮下を通
て頸背部に導出し、皮下に留置した。
6~8日後、ハロタン吸入麻酔下で皮下に留 しておいたカテーテルの先端を取り出し延 した。また、静脈内投与を必要とする試験 は200U/mLヘパリンを満たした静脈内投与用カ テーテルを大腿静脈内に挿入して筋層に固定 し、カテーテルは皮下を通して頸背部に導出 した。ラットを縦30cm横20cm高さ12cmの透明の飼 育ケージに入れ、1時間以上慣らした後、測 を開始した。
生理食塩液あるいはカプサイシン(シグマ )溶液を膀胱内注入は、インフュージョンポ プを用いて10 mL/hrで行った。膀胱に生理食 液を30分間流した後、注入液を30μMカプサイ ン溶液に交換して30分間licking(足と尻尾以外 の身体を舐める)行動を行っている時間を測 し、これを初回反応とした。2時間後、同様 測定をもう一度行い、2回目反応とした。化 合物の効果は、2回目のlicking時間の初回licking 時間に対する割合(%)として算出した。このlic king行動は、カプサイシン125mg/kgを3日間に分 て皮下投与すると脱感作を起こし消失する とからC-fiber求心性神経(カプサイシン感受性 知覚神経)を介していることを確認している
2回目反応測定のためのカプサイシン溶液 膀胱内注入2時間前に、化合物(1)またはその 媒(0.5%メチルセルロース)を胃内投与し、licki ng行動の抑制を検討した。
その結果を図1に示した。カプサイシンで 誘発されるlicking行動は、化合物(1)の0.3およ 3mg/kg投与により有意に抑制された。
また、2回目反応測定時のカプサイシン注 入の直前に化合物(1) 0.03mg/kgを静脈内投与し さらにその10分前にβ3受容体遮断薬SR59230A( グマ)1mg/kgを腹腔内投与した場合のlicking行動 への影響を図2に示した。化合物(1)によって められたカプサイシン誘発licking行動の有意 抑制効果は、β3受容体遮断薬を前投与する とによって観察できなくなった。
化合物(1)は、カプサイシン感受性知覚神 であるc-fiberの機能に抑制的に作用し、疼痛 を伴う疾患である間質性膀胱炎の治療に有用 な治療法を提供するものであることが理解さ れた。
摘出イヌ膀胱平滑筋に対する影響
イヌから膀胱を摘出し、予め95% O 2
-5% CO 2
ガスを通気したKrebs-Henseleit液(NaCl:118mmol/L、KCl
:4.7 mmol/L、CaCl 2
:2.5 mmol/L、MgCl 2
:1.2 mmol/L、NaHCO 3
:25.0mmol/L、KH 2
PO 4
:1.2 mmol/L、glucose:11.1 mmol/L)に入れた。Krebs-Hen
seleit液中で結合組織を除去し、膀胱を幅1.5~2m
m長さ約10 mmの条片とし、更に膀胱内膜の除
を行い標本とした。作成した標本は、初期
力1~2 gで60分間平衡化し張力の変化を等尺性
に記録した。平衡化終了後、フェントラミン
10 -6
mol/Lを30分間前処理し、化合物(1)を累積的に
加して標本の弛緩反応を得た。化合物(1)の
積的な添加終了後にフォルスコリン10 -5
mol/Lを処理し各標本の最大弛緩を得た。
記録された化合物(1)の投与直前の位置とフ ルスコリン 10 -5 mol/Lによって得られる最大弛緩の位置との さの差を求め100%とした。化合物(1)の累積的 投与によって得られる弛緩率を各濃度毎に 出した。また、弛緩率が50%となる濃度を濃 反応曲線より求め、これを負の対数値とし ものをpEC 50 値とした。
対照として、選択的β 3 アドレナリン受容体活性化作用を有すること が報告されているKUC-7322(排尿機能学会誌,13巻 ,120頁(2002年))を使用した。
結果を図3に示した。この結果、化合物(1)は 摘出イヌ膀胱平滑筋を完全に弛緩させた。ま た、化合物(1)のpEC 50 値は、8.86とKUC-7322で得られたpEC 50 値7.68よりも高い数値を示したことから、化 物(1)はKUC-7322よりも高い効力(potency)を有する ことが明らかとなった。
摘出ラット膀胱平滑筋に対する影
響
ラットから膀胱を摘出し、予め95% O 2
-5% CO 2
ガスを通気したKrebs-Henseleit液(NaCl:118mmol/L、KCl
:4.7 mmol/L、CaCl 2
:2.5 mmol/L、MgCl 2
:1.2 mmol/L、NaHCO 3
:25.0mmol/L、KH 2
PO 4
:1.2 mmol/L、glucose:11.1 mmol/L)に入れた。Krebs-Hen
seleit液中で結合組織を除去し、膀胱を幅1.5~2m
m長さ約10 mmの条片とし、更に膀胱内膜の除
を行い標本とした。作成した標本は、初期
力0.4~0.5 gで60分間平衡化し張力の変化を等
性に記録した。平衡化終了後、フェントラ
ン10 -6
mol/Lを30分間前処理し、化合物(1)を累積的に
加して標本の弛緩反応を得た。化合物(1)の
積的な添加終了後にフォルスコリン 10 -5
mol/Lを処理し各標本の最大弛緩を得た。
記録された化合物(1)の投与直前の位置とフ ルスコリン10 -5 mol/Lによって得られる最大弛緩の位置との さの差を求め100%とした。化合物(1)の累積的 投与によって得られる弛緩率を各濃度毎に 出した。また、弛緩率が50%となる濃度を濃 反応曲線より求め、これを負の対数値とし ものをpEC 50 値とした。
対照として、選択的β 3 アドレナリン受容体活性化作用を有すること が報告されているKUC-7322(排尿機能学会誌,13巻 ,120頁(2002年))を使用した。
結果を図4に示した。この結果、化合物(1)は 摘出ラット膀胱平滑筋をほぼ完全に弛緩させ た。また、化合物(1)のpEC 50 値は、8.41とKUC-7322で得られたpEC 50 値7.30よりも高い数値を示し、KUC-7322よりも高 い効力(potency)を有することが示された。
ラット頻尿モデルに対する影響
Takedaらの報告にほぼ準じて検討を行った(Neu
rourology and Urodynamics,21巻,558~565ページ(2002年))
。ハロタン麻酔下でラットの左鼠径部及び腹
部正中を切開し、大腿静脈及び膀胱を露出さ
せた。露出した大腿静脈及び膀胱頂部にカテ
ーテルを挿入し固定した。切開部を縫合し、
ボールマンケージにラットを入れ麻酔から覚
醒させた。その後、膀胱頂部に挿入したカテ
ーテルから3.6mL/hrの流速で生理食塩液を膀胱
に注入すると同時に膀胱内の圧力を圧トラ
スデューサ、アンプを介してレコーダー上
記録した。生理食塩液注入によって生じる
尿毎の膀胱内圧のピークからピークまでの
隔(排尿間隔)及びピークの高さ(最大圧)がほ
ぼ一定となったら、膀胱に注入している生理
食塩液をプロスタグランジンE 2
60μmol/L含有生理食塩液に交換してラット頻尿
モデルを作製した。プロスタグランジンE 2
60μmol/L含有生理食塩液に交換後の排尿間隔及
び最大圧がほぼ一定となったら、大腿静脈に
挿入したカテーテルから化合物(1)或いはKUC-73
22を投与した。
薬物投与による影響は、以下のような方 で評価した。レコーダー上に記録した排尿 膀胱内圧のピークの間隔を測定し、これに 入速度を乗じて有効膀胱容量を求めた。薬 投与前30分間の有効膀胱容量の平均を100%、0 時とし、以後30分毎の有効膀胱容量の平均値 %を算出し、0.5、1、1.5、2、2.5及び3時間の値 とした。
結果を図5に示した。化合物(1)をラット頻 尿モデルに投与すると投与後30分で有効膀胱 量を約140%まで増加させた。また、その効果 は観察終了の投与3時間後まで130%前後の値で 続した。一方、KUC-7322をラット頻尿モデル 投与すると、投与後30分で有効膀胱容量を約 120%まで増加させたが、この効果は投与1.5時 以後では認められなかった。
製剤例
錠剤(1錠)
化合物(1) 1mg
乳糖 適量
カルボキシメチルセルロース 15mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5m
g
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 100mg
各成分を均一に混合し、直打用粉末とする
これをロータリー式打錠機で直径6mm、重量1
00mgの錠剤に成型した。
本発明化合物は、膀胱平滑筋を弛緩させ 膀胱容量を増大させ、かつ、カプサイシン 受性知覚神経であるc-fiberの機能に抑制的に 作用することから、過活動膀胱、間質性膀胱 炎などに起因する頻尿及び尿失禁の予防又は 治療や下部尿路における疼痛、膀胱痛又は知 覚過敏抑制の抑制に有用である。