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Title:
PROCESS AND APPARATUS FOR PRODUCTION OF CYANOHYDRIN COMPOUND, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF α-HYDROXYESTER COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054355
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing a cyanohydrin compound, which is characterized by flow-reacting a carbonyl compound with hydrogen cyanide in the presence of a catalyst and can therefore reduce the retention time. The process enables to reduce the time period over which the produced cyanohydrin compound is exposed to an unreacted portion of the carbonyl compound. As a result, the reaction of the produced cyanohydrin compound with an unreacted portion of the carbonyl compound can be prevented, resulting in the production of the cyanohydrin compound in high yield. The process for producing a cyanohydrin compound can produce the cyanohydrin compound from a carbonyl compound and hydrogen cyanide in high yield.

Inventors:
KINOSHITA YUICHIRO
FUJIWARA NAOKI
NAKAGAWA KAZUYA
MIDORIKAWA KOJI
Application Number:
PCT/JP2008/068997
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPOH CHEMICALS (JP)
KINOSHITA YUICHIRO
FUJIWARA NAOKI
NAKAGAWA KAZUYA
MIDORIKAWA KOJI
International Classes:
C07C253/00; C07C67/08; C07C69/675; C07C255/16; C07C255/36; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007018221A12007-02-15
Foreign References:
JP2003192655A2003-07-09
JPH1025273A1998-01-27
JP2006143732A2006-06-08
JPH0638793A1994-02-15
JPS34522B1
JPS355755B1
JPS365869B1
JPS3611965B1
JPS3612115B1
JPS386761B1
JPH1025273A1998-01-27
JP2007055953A2007-03-08
Other References:
JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 67, no. 23, 2002, pages 8251 - 8253, XP008133138
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita, Kita-k, Osaka-shi Osaka 41, JP)
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Claims:
 カルボニル化合物(ただし、重水素化物を除く)とシアン化水素とからシアノヒドリン化合物を製造する方法であって、
 前記カルボニル化合物と前記シアン化水素とを、触媒存在下で流通反応させることを特徴とするシアノヒドリン化合物の製造方法。
 前記カルボニル化合物が、一般式(1)で示されるアルデヒド化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシアノヒドリン化合物の製造方法。
(式中、R 1 は、アリール基または炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R 1 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
 前記カルボニル化合物と前記シアン化水素とを管型反応器中で流通反応させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
 前記管型反応器の流体流路の短辺が0.01mm~15mmであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の製造方法。
 流通反応中の滞留時間が1000秒以下であることを特徴とする請求の範囲第1項~第4項のいずれか1項に記載の製造方法。
 前記カルボニル化合物1モルに対して、前記シアン化水素を0.9~3.0モルの割合で流通反応させることを特徴とする請求の範囲第1項~第5項の何れか1項に記載の製造方法。
 前記触媒は、有機塩基性化合物および無機塩基性化合物の少なくとも一方であることを特徴とする請求の範囲第1項~第6項の何れか1項に記載の製造方法。
 前記触媒は、アミン化合物、芳香族アミン化合物、アルカリ金属化合物、金属アルコキシド化合物、およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選択される化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項~第7項の何れか1項に記載の製造方法。
 前記シアン化水素1モルに対して、0.001~0.1モルの前記触媒の存在下で流通反応させることを特徴とする請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載の製造方法。
 請求の範囲第1項~第9項のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたシアノヒドリン化合物を加水分解し、エステル化する工程を含むことを特徴とするα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
 カルボニル化合物(ただし、重水素化物を除く)とシアン化水素とからシアノヒドリン化合物を製造するための製造装置であって、
 前記カルボニル化合物と前記シアン化水素とを、触媒存在下で流通反応させる反応器と、
 前記カルボニル化合物を前記管型反応器中に導入する第1の導入器と、
 前記シアン化水素を前記管型反応器中に導入する第2の導入器と、
を備えていることを特徴とする製造装置。
 前記カルボニル化合物が、一般式(1)で示されるアルデヒド化合物であることを特徴とする製造装置。
(式中、R 1 は、アリール基または炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R 1 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
Description:
シアノヒドリン化合物の製造方 および製造装置、ならびにα-ヒドロキシエ テル化合物の製造方法

 本発明は、シアノヒドリン化合物の製造 法および製造装置、ならびにα-ヒドロキシ ステル化合物の製造方法に関するものであ 、より具体的には、カルボニル化合物とシ ン化水素とからシアノヒドリン化合物を製 するための方法および装置、ならびに当該 アノヒドリン化合物を用いてα-ヒドロキシ ステル化合物を製造するための方法に関す 。

 アルデヒド化合物、ケトン等のカルボニ 化合物とシアン化水素とを反応させてシア ヒドリン化合物を製造する方法が知られて る。シアノヒドリン化合物は、α-ヒドロキ エステル化合物の製造等、様々な化合物を 成するための出発物質として有用であり、 率よく製造するために、様々な製造方法が 発されている(特許文献1~7)。

 従来特にケトンを用いてシアノヒドリン 合物を製造する方法の開発が進められてい 。ケトンを用いてシアノヒドリン化合物を 造する方法として、特許文献8には、重水素 化アセトンとシアン化水素とを反応させて、 重水素化シアノヒドリン化合物を製造する方 法が開示されている。

 特許文献8においては、重水素化率の高い 重水素化シアノヒドリン化合物を製造するた めに、重水素化アセトンとシアン化水素とを 、流通反応器内で反応させている。流通反応 器は、反応に用いる物質を連続的に導入して 反応させ、反応生成物を系外に排出させるも のである。このような流通反応器内で重水素 化アセトンとシアン化水素とを反応させるこ とによって、重水素化シアノヒドリン化合物 の重水素化率の低下を防止している。

 アルデヒド化合物を用いてシアノヒドリン 合物を製造するとき、従来アルデヒド化合 を予め入れておいた回分反応器中にシアン 水素を導入する製造方法が用いられている 回分反応器を用いた反応は、バッチ法と称 れることもあり、反応に用いる物質を反応 中に一度に導入し、反応が平衡に達してか 、または一定の反応率に達してから反応生 物を取り出す方法である。このようなアル ヒド化合物を用いてシアノヒドリン化合物 製造する方法が、特許文献1に開示されてい る。特許文献1においては、予めアルデヒド 合物を入れておいた反応器中に、不活性ガ によって希釈したシアン化水素ガスを導入 ることによって、シアノヒドリン化合物を 造している。

日本国公開特許公報「特公昭34-522号公報 (1959年2月9日公開)」

日本国公開特許公報「特公昭35-5755号公 (1960年5月25日公開)」

日本国公開特許公報「特公昭36-5869号公 (1961年5月26日公開)」

日本国公開特許公報「特公昭36-11965号公 (1961年7月29日公開)」

日本国公開特許公報「特公昭36-12115号公 (1961年7月31日公開)」

日本国公開特許公報「特公昭38-6761号公 (1963年5月22日公開)」

日本国公開特許公報「特開平10-25273号公 (公開日:1998年1月27日)」

日本国公開特許公報「特開2007-55953号公 (公開日:1998年1月27日)」

 シアノヒドリン化合物を製造するときの ルボニル化合物とシアン化水素との反応は 熱反応である。そして、カルボニル化合物 シアン化水素との反応速度は非常に速いた 、時間あたりの発熱量は非常に大きく、除 速度に合わせてカルボニル化合物を仕込ん おいた反応器中にゆっくりとシアン化水素 導入することによってシアノヒドリン化合 を製造していた。しかしながら、ゆっくり 時間をかけてカルボニル化合物にシアン化 素を反応させた場合、反応により生成され シアノヒドリン化合物の反応収率が低下す という問題が生じていた。また、除熱速度 りも早い速度でシアン化水素を導入する場 、反応液温度が異常に高くなりシアノヒド ン化合物が分解しやすくなるだけでなく、 アン化水素の蒸発、拡散等の危険を伴って た。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、カルボニル化合 とシアン化水素とを反応させて、収率を低 させることなくシアノヒドリン化合物を製 するための製造方法、およびこれにより製 されたシアノヒドリン化合物を用いてα‐ ドロキシエステル化合物を製造するための 造方法を提供することにある。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意検討した結果、特に工業的にシアノヒ リン化合物を製造する場合に、シアノヒド ン化合物がカルボニル化合物存在下に長時 曝されることによって、シアノヒドリン化 物の収率を低下させていることを新たに見 した。すなわち、材料を反応器中に導入し 反応を開始させてから、除熱効率のよい流 反応器を用いることによって、反応生成物 反応器外に取り出すまでの滞留時間を短縮 れば、シアノヒドリン化合物の収率の低下 防止し得ることを見出し、本発明を完成さ るに至った。

 すなわち、本発明に係るシアノヒドリン 合物の製造方法は、カルボニル化合物(ただ し、重水素化物を除く)と、シアン化水素と らシアノヒドリン化合物を製造する方法で って、上記カルボニル化合物と上記シアン 水素とを、触媒存在下で流通反応させるこ を特徴としている。

 また、本発明に係るシアノヒドリン化合 の製造装置は、カルボニル化合物(ただし、 重水素化物を除く)とシアン化水素とからシ ノヒドリン化合物を製造するための製造装 であって、上記カルボニル化合物と上記シ ン化水素とを、触媒存在下で流通反応させ 反応器と、上記カルボニル化合物を上記管 反応器中に導入する第1の導入器と、上記シ ン化水素を上記管型反応器中に導入する第2 の導入器と、を備えていることを特徴として いる。

 上記の構成によれば、カルボニル化合物 シアン化水素とを反応器中に導入し、反応 開始させてから、反応生成物を反応器外に り出すまでの滞留時間を、上述したバッチ を用いた反応における滞留時間と比較して 大幅に短縮することが可能である。これに り、反応系内において、生成されたシアノ ドリン化合物が、未反応のカルボニル化合 に曝される時間を短縮することができるの 、生成されたシアノヒドリン化合物と未反 のカルボニル化合物とが反応するのを防ぎ 収率よくシアノヒドリン化合物を製造する とが可能である。ここで、「滞留時間」は 材料を反応器中に導入し、反応を開始させ から、反応生成物を反応器外に取り出すま の時間を意図している。また、本発明にお て、反応系とは、カルボニル化合物とシア 化水素とを混合して反応を開始させてから シアノヒドリン化合物を単離するか、塩基 触媒を中和または除去することによって反 を停止させるまで、もしくは、次工程での 応に用いられるまでの系のことを示す。

 また、カルボニル化合物とシアン化水素 を流通反応させることによって、バッチ法 用いた反応系と比較して除熱効率がよいた 、瞬間的に高温になることがあっても、効 よく除熱することが可能である。これによ 、生成されたシアノヒドリン化合物が分解 ることによる収率の低下を防止することが 能である。

 さらに、本発明に係るシアノヒドリン化 物の製造方法において、上記カルボニル化 物が、一般式(1)で示されるアルデヒド化合 であることが好ましい。

 また、本発明に係るシアノヒドリン化合 の製造装置において、上記カルボニル化合 (ただし、重水素化物を除く)が、一般式(1) 示されるアルデヒド化合物であることが好 しい。

(式中、R 1 は、アリール基または炭素数1~10の炭化水素 を示す。また、R 1 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭 素以外の原子を含んでいてもよい。)
 上記の構成によれば、アルデヒド化合物と アン化水素とを反応器中に導入し、反応を 始させてから、反応生成物を反応器外に取 出すまでの滞留時間を、上述したバッチ法 用いた反応における滞留時間と比較して、 幅に短縮することが可能である。これによ 、反応系内において、生成されたシアノヒ リン化合物が、未反応のアルデヒド化合物 曝される時間を短縮することができるので 生成されたシアノヒドリン化合物と未反応 アルデヒド化合物とが反応するのを防ぎ、 率よくシアノヒドリン化合物を製造するこ が可能である。

 また、アルデヒド化合物とシアン化水素 を流通反応させることによって、バッチ法 用いた反応系と比較して除熱効率がよいた 、瞬間的に高温になることがあっても、効 よく除熱することが可能である。これによ 、生成されたシアノヒドリン化合物が分解 ることによる収率の低下を防止することが 能である。

 また、本発明に係るシアノヒドリン化合 の製造方法においては、上記カルボニル化 物と上記シアン化水素とを管型反応器中で 通反応させることが好ましい。これにより 簡易な構成で効率よくアルデヒド化合物等 カルボニル化合物とシアン化水素とを流通 応させることができる。その結果、生成さ るシアノヒドリン化合物が未反応のアルデ ド化合物等のカルボニル化合物に長時間曝 れるのを防ぐことができる。

 さらに、本発明に係るシアノヒドリン化 物の製造方法においては、上記管型反応器 流体流路の短辺が0.01mm~15mmであることが好 しい。これにより、アルデヒド化合物等の ルボニル化合物とシアン化水素との反応に いて発生する反応熱をより効率よく除去す ことが可能であり、その結果、生成される アノヒドリン化合物が分解するのを抑え、 つシアノヒドリン化合物と未反応のアルデ ド化合物とが反応する速度を遅らせること できる。

 また、本発明に係るシアノヒドリン化合 の製造方法においては、流通反応中の滞留 間が1000秒以下であることが好ましい。これ より、一般的なバッチ法を用いた反応系と比 較して、滞留時間を大幅に短縮することが可 能である。これにより、生成されたシアノヒ ドリン化合物が未反応のアルデヒド化合物等 のカルボニル化合物に長時間曝されるのを防 ぐことが可能である。その結果、生成された シアノヒドリン化合物と未反応のアルデヒド 化合物等のカルボニル化合物とが反応するの を防ぎ、収率よくシアノヒドリン化合物を製 造することが可能である。

 また、本発明に係るシアノヒドリン化合 の製造方法において、上記カルボニル化合 1モルに対して、上記シアン化水素を0.9~3.0 ルの割合で流通反応させることが好ましい これにより、アルデヒド化合物等のカルボ ル化合物とシアン化水素とを効率よく反応 せることが可能であり、未反応のアルデヒ 化合物等のカルボニル化合物が反応系内に 留するのを防ぐことができる。

 さらに、本発明に係るシアノヒドリン化 物の製造方法において、上記触媒は、有機 基性化合物および無機塩基性化合物の少な とも一方であることが好ましく、アミン化 物、芳香族アミン化合物、アルカリ金属化 物、アルカリ土類金属化合物、金属アルコ シド化合物からなる群より選択される化合 であることがより好ましい。また、上記シ ン化水素1モルに対して、0.01~0.1モルの当該 媒の存在下で流通反応させることが好まし 。これにより、アルデヒド化合物等のカル ニル化合物とシアン化水素との反応を促進 、収率よくシアノヒドリン化合物を生成す ことが可能である。

 本発明に係るα-ヒドロキシエステル化合 の製造方法は、本発明の製造方法により製 されたシアノヒドリン化合物を加水分解し エステル化する工程を含むことを特徴とし いる。

 上記構成によれば、アルデヒド化合物等 カルボニル化合物を出発原料として、α‐ ドロキシエステル化合物を製造したとき、 間物質であるシアノヒドリン化合物を収率 く得ることができる。そのため、高収率のα ‐ヒドロキシエステル化合物を得ることがで きる。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明で明白になるであろう。

図1は、本発明に係る製造方法において 使用する反応装置を説明する概略図である。

符号の説明

 1  ウォーターバス
 10 ポンプ
 11 ポンプ
 15 導入器(第2の導入器)
 16 導入器(第1の導入器)
 23 混合器
 24 導入管
 25 反応器(管型反応器)
 26 導入管
 27 背圧弁
 28 反応液排出ライン
 29 反応液補集器
 70 排気口

 以下、本発明の実施形態について、詳細 説明する。

 〔シアノヒドリン化合物製造方法〕
 本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造 法は、一般式(1)で示されるアルデヒド化合 等のカルボニル化合物(ただし、重水素化物 を除く)とシアン化水素とを、触媒存在下で 通反応させることを特徴としている。

(式中、R 1 は、アリール基または炭素数1~10の炭化水素 を示す。また、R 1 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭 素以外の原子を含んでいてもよい。)
 なお、本発明において、カルボニル化合物 は、カルボニル基を有する化合物であり、 つその重水素化物以外の化合物であればよ 、例えばアルデヒド化合物、ケトン化合物 が挙げられる。また、本発明において、ア デヒド化合物とは、分子内にアルデヒド基 有する化合物であり、シアノヒドリン化合 とは、分子内にシアノ基とヒドロキシル基 有する化合物である。本発明では、特に、 一の炭素原子にシアノ基とヒドロキシル基 ついたシアノヒドリン化合物(α‐シアノヒ リン)を製造することを目的としている。

 上述のように本発明に係る製造方法にお てカルボニル化合物としてアルデヒド化合 が例示できるので、まずアルデヒド化合物 ついて説明する。

 (アルデヒド化合物)
 本発明において使用するアルデヒド化合物 、一般式(1)で示されるものであり、カルボ ル基に水素原子を少なくとも1個(すなわち ルミル基)有するカルボニル化合物である。 発明者らは、アルデヒド化合物とシアン化 素とを反応させてシアノヒドリン化合物を 造するとき、特に炭素数の小さいアルデヒ 化合物を用いた場合に、生成されるシアノ ドリン化合物と未反応のアルデヒド化合物 が反応しやすく、シアノヒドリン化合物の 応収率が低いことを見出した。したがって 本発明においては、上述したアルデヒド化 物のうち、炭素数の小さいアルデヒド化合 を用いた場合に、特に顕著な効果を奏する

 すなわち、本発明によれば、炭素数の小 いアルデヒド化合物、特に炭化水素基の炭 数が1~3のアルデヒド化合物とシアン化水素 を反応させてシアノヒドリン化合物を製造 る場合に、収率よくシアノヒドリン化合物 製造することができる。本発明において使 するアルデヒド化合物は炭素数が小さいア デヒド化合物であることが好ましく、ホル アルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオ アルデヒド等の飽和アルキルアルデヒド、 クリルアルデヒド、メタクリルアルデヒド プロピオルアルデヒド等の不飽和アルキル ルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフトアル ヒド、フタルアルデヒド、ニコチンアルデ ド等の芳香族アルデヒド等が挙げられるが これらに限定されない。また、これらのア デヒド化合物は、アミン、アミド、メトキ 、フェニル、ニトロ、ヒドロキシル、アル ヒド、カルボン酸等の置換基を有していて よい。本発明において使用するアルデヒド 合物が、使用時の温度において固体である 合、反応に対して不活性な溶媒にアルデヒ 化合物を溶解または懸濁させて使用しても い。

 (ケトン化合物)
 なお、上述のように本発明に係る製造方法 おいてカルボニル化合物としてアルデヒド 合物以外にはケトン化合物が例示できる。 発明において使用できるケトン化合物とし は、ケトン基を有するものであればよいが 例えば、アセトン、2-ブタノン、2-ペンタノ ン、3-メチル-2-ブタノン、3-ペンタノン、3-ヘ キサノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-ヘプタ ン、2-メチル-3-ヘキサノン、2,4-ジメチル-3- ンタノン、アセトフェノン、2-ノナノン、2- クタノン、2-ヘプタノン、2-ヘキサノン、4- チル-2-ペンタノン、4-ヘプタノン、シクロ キサノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノンが挙げ れる。

 (シアン化水素)
 本発明において使用するシアン化水素は、 タンのアンモ酸化によって得られたシアン 水素、シアン化リチウム、シアン化ナトリ ム、シアン化カリウム、シアン化カルシウ 等を塩酸または硫酸により酸性にして生成 れたシアン化水素、またはこれらを蒸留す ことによって精製したシアン化水素を使用 ることができる。また、シアン化水素は不 定であるため、酸性の安定剤、例えば亜硫 ガス等を含むシアン化水素を使用してもよ 。

 (触媒)
 本発明に係る製造方法で用いられる触媒と ては、塩基性触媒を用いる。塩基性触媒と ては、有機塩基性化合物および無機塩基性 合物のいずれか一方を用いることができる 中でも、有機塩基性化合物が好ましい。触 として用いられる化合物としては、トリメ ルアミン、トリエチルアミン、トリプロピ アミン、トリイソプロピルアミン、トリブ ルアミン、トリヘプチルアミン、トリオク ルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタ 、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアニリン の3級アミノ化合物、リチウムメトキシド、 リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド 、リチウムブトキシド、ナトリウムメトキシ ド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロ ポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウム メトキシド、カリウムエトキシド、カリウム プロポキシド、カリウムブトキシド等の金属 アルコラート化合物、水酸化リチウム、水酸 化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カル シウム、水酸化マグネシウム、炭酸リチウム 、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カル シウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属 化合物やアルカリ土類金属化合物、塩基性イ オン交換樹脂、ゼオライト等の塩基性化合物 がある。

 上記のような触媒を反応器中に導入する 合は、シアン化水素1モルに対して、0.001~0.1 モルであることが好ましく、0.003~0.05モルで ることがより好ましく、0.005~0.01モルである とがさらに好ましい。反応器中に導入する 媒の割合が、シアン化水素1モルに対して、 0.001モル未満ではアルデヒド化合物等のカル ニル化合物とシアン化水素との反応速度が くなり、滞留時間内に反応が完結しないた 好ましくない。また、触媒の割合が0.1モル 超えると、反応に使用されなかった触媒が 応器中に大量に残存するだけでなく、シア 化水素の重合を引き起こしやすくなり好ま くない。

 また、使用するシアン化水素に酸性の安 剤が含まれる場合は、塩基性化合物と酸性 安定剤が反応するため、触媒活性が失われ 可能性がある。この場合、安定剤の含有モ 数に相当する塩基性化合物を追加すればよ 。上記触媒の割合は、このような相殺後の 効触媒量である。なお、塩基性化合物が常 で固体の場合は、アルデヒド化合物等のカ ボニル化合物に溶解または懸濁させて使用 るか、溶媒に溶解または懸濁させて使用す ばよい。

 (溶媒)
 本発明に係る製造方法においては、アルデ ド化合物等のカルボニル化合物とシアン化 素との反応に対して不活性な溶媒を使用す ことができる。原料して使用するアルデヒ 化合物等のカルボニル化合物、触媒として 用する塩基性化合物、または生成物である アノヒドリン化合物が、反応時の温度にお て固体である場合は、これらの物質を溶媒 溶解または懸濁させて使用することが可能 ある。

 本発明において使用可能な溶媒は、例え 、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ 等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロペンタ 、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シク オクタン等の脂環式炭化水素系溶媒、ベン ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水 系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、 トラクロロメタン、ジクロロエタン、クロ ベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、 エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル メチル-t-ブチルエーテル、ジブチルエーテ 、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒 を挙げることができる。なお、本発明によ て製造したシアノヒドリン化合物を用いて -ヒドロキシエステル化合物を製造するとき 溶媒として例えばトルエンを用いる場合に 、シアノヒドリン化合物製造時にも溶媒と てトルエンを用いることが好ましい。

 溶媒の使用量は、原料として使用するア デヒド化合物等のカルボニル化合物、触媒 して使用する塩基性化合物、または生成物 あるシアノヒドリン化合物を溶解できる量 またはこれらの物質を懸濁した溶液が流動 を示す量を適宜使用すればよい。

 (反応)
 本発明に係る製造方法において、カルボニ 化合物とシアン化水素との反応は、例えば 上記一般式(1)に示されるアルデヒド化合物 例に説明すると、反応式(2)で示される反応 あり、上記一般式(1)で示されるアルデヒド 合物に、触媒によって活性化されたシアン 水素が付加することによって、シアノヒド ン化合物を生成する反応である。

(式中、R 1 は、アリール基または炭素数1~10の炭化水素 を示す。また、R 1 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭 素以外の原子を含んでいてもよい。)
 上記反応式(2)で示される反応は発熱反応で り、特に工業的規模でシアノヒドリン化合 を製造する場合には、単位時間あたりの反 熱量が極端に大きくなり、反応液温度が異 に上昇し易い。この場合、生成したシアノ ドリン化合物が分解し易くなる等の問題が 生するため、発熱量を制御する必要がある 反応系内における発熱を抑え、反応系内の を十分に除熱するためには、アルデヒド化 物とシアン化水素とを長時間かけてゆっく 反応させる必要があるが、反応に長時間要 る場合、生成されたシアノヒドリン化合物 未反応のアルデヒド化合物と反応すること よって、シアノヒドリン化合物の反応収率 低下するという問題が生じる。

 本発明に係る製造方法によれば、アルデ ド化合物等のカルボニル化合物とシアン化 素とを、触媒存在下で流通反応させるため 滞留時間を短縮することが可能である。そ 結果、生成したシアノヒドリン化合物が未 応のアルデヒド化合物等のカルボニル化合 に長時間曝されるのを防ぐことによって、 成したシアノヒドリン化合物が未反応のア デヒド化合物等のカルボニル化合物と反応 ることを防ぐことが可能であり、収率よく アノヒドリン化合物を生成することができ 。

 ここで、用語「滞留時間」は、原料(アル デヒド化合物等のカルボニル化合物およびシ アン化水素)を反応器中に導入し、反応を開 させてから、反応生成物を反応器外に取り すまでの時間を意図しており、反応系内に いて流通反応させている反応時間として表 れる場合もある。

 ここで、「流通反応」は、反応に用いる 体の化合物を反応器内に連続的に導入して 応させ、反応生成物を系外に排出させる反 である。本発明に係る製造方法によれば、 ルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシ ン化水素とを反応器内に連続的に導入して 応させ、生成されるシアノヒドリン化合物 反応系外に排出するので、生成したシアノ ドリン化合物が未反応のアルデヒド化合物 のカルボニル化合物に長時間曝されるのを ぐことができる。

 なお、アルデヒド化合物等のカルボニル 合物とシアン化水素とを流通反応させる反 器は、特に限定されず、流体を連続的に導 して反応させ、反応生成物を系外に排出さ ることができる流通反応器であればその構 は問わない。すなわち、本発明において用 る反応器は、反応に用いる流体を導入する 入口と、反応生成物を排出する排出口とを し、かつ導入した流体を系内で反応させる ペースを有する反応器であればよい。

 また、アルデヒド化合物等のカルボニル 合物とシアン化水素との反応速度は非常に いため、これらを反応器内に導入すると即 に反応しシアノヒドリン化合物が生成され 。したがって、反応に用いるアルデヒド化 物等のカルボニル化合物とシアン化水素と 反応器内に連続的に導入し続けることで、 業的規模でのシアノヒドリン化合物の製造 実現することが可能である。

 また、本発明に係る製造方法において、 ルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシ ン化水素とを管型反応器中で流通反応させ もよい。これにより、簡易な構成で効率よ アルデヒド化合物等のカルボニル化合物と アン化水素とを流通反応させることができ 。その結果、生成されるシアノヒドリン化 物が未反応のアルデヒド化合物等のカルボ ル化合物に長時間曝されるのを防ぐことが きる。このような管型反応器は、反応に用 る気体または液体である流体を、2種類以上 連続的に導入して反応させることができる反 応器であれば、その構造は問わない。このよ うな管型反応器としてプレート反応器、チュ ーブ&シェル型反応器、スパイラル型反応 等を好適に使用可能である。このような反 器は、熱交換効率がよいため、熱交換器ま は反応除熱器と称される場合がある。した って、反応器の断面形状は、例えば、円管 、角管状、楕円管状等であってもよい。特 管径がμmオーダーと非常に小さいマイクロ アクターと称される管型反応器を用いるこ が好ましい。

 さらに、アルデヒド化合物等のカルボニ 化合物とシアン化水素を流通反応させる管 反応器は、その流体流路の短辺が0.01mm~15mm あることが好ましい。これにより、アルデ ド化合物等のカルボニル化合物とシアン化 素との反応において発生する反応熱を効率 く除去することが可能である。その結果、 成されるシアノヒドリン化合物の分解を抑 、かつシアノヒドリン化合物と未反応のア デヒド化合物等のカルボニル化合物との反 を防ぐことができる。また、上述したよう 小径管型反応器においては、容易かつ安価 耐圧仕様とできるため、反応系内が高温・ 圧となる場合でもより安全に反応を行うこ ができる。

 このような管型反応器は、その流体流路 短辺が0.01mm~15mmであればよく、管型反応器 導入口から排出口までの間の上記断面の短 が一定でなくてもよい。上記流路の短辺が0. 01mm未満では導入した流体の移動に高圧が必 となり、15mmを超えると除熱効率が低下し、 つ流体の反応効率が低下するので好ましく い。また、上記流路の長辺は特に制限され 、また管型反応器の導入口から排出口まで 間の上記流路の長辺が一定でなくてもよい なお、管型反応器の流体流路が円柱形状で る場合、流体流路の短辺は管型反応器の管 (内径)に等しい。

 本発明において用いる反応器内の流量は アルデヒド化合物等のカルボニル化合物と アン化水素との反応速度に応じて適宜変更 ればよく、好ましくは1000秒未満、より好ま しくは500秒未満、さらに好ましくは0.01秒か 200秒の範囲内の反応液滞留時間(反応時間)を 達成することができるように設定すればよい 。流通反応中の反応器内の反応滞留時間は、 反応器の長さおよび原料の流量を適宜変更す ることによって調整することができる。

 また、本発明において、アルデヒド化合 等のカルボニル化合物とシアン化水素とを 通反応させる反応器内の最高温度は、好ま くは-10~300℃であり、より好ましくは0~250℃ さらに好ましくは10~200℃である。反応器内 温度は、反応により生じる熱によって部分 に高温となり、その後除熱処理により温度 低下するため、滞留時間中の反応器内の温 は一定ではない。したがって、反応器内の 高温度は、滞留時間中に達する最高温度を しており、この温度が維持されている時間 数秒程度であり得る。

 反応器内の最高温度が-10℃未満では、基 によっては反応速度が極端に低下するので ましくない。加えて、-10℃未満の反応器内 度を実現するためには高性能の冷凍機が必 となり、さらに反応原料を細かく分割して 応器内に仕込まなければ達成することがで ず、現実的ではない。また、反応器内の最 温度が300℃を超えると、基質によっては原 および生成物の分解が発生するので好まし ない。加えて、300℃を超える反応器内温度 実現するためには、安全性の確保するため 反応装置を大型化する必要がある。

 本発明において用いる反応器内の圧力は 常圧であってもよいが、背圧弁を設けるこ によって反応器内に圧力をかけていること 好ましい。反応器内の反応圧力は、0~10MPaで あることが好ましく、0.1~5MPaであることがよ 好ましく、0.2~1MPaであることがさらに好ま い。反応圧力がより低い場合、シアン化水 およびアルデヒド化合物等のカルボニル化 物が気化してしまい、除熱効率が低下する 能性があるため好ましくない。一方、反応 力がより高い場合、このような装置の建設 多大な費用がかかる上に、反応生成物の沸 の上昇により反応最高温度が高くなり、副 成物の生成を制御することが困難となるた 好ましくない。

 本発明において用いる反応器内の温度は 反応器自身をウォーターバスに浸し、ウォ ターバスの温度を適宜調節することによっ 、反応器の外側から調節してもよい。また 反応器の周囲にチューブ等を設け、チュー 内に温度を適宜調節した液体(冷媒)を流す とによって、反応器の外側から反応器内の 度を調節してもよい。用いる冷媒は、例え 、クーリングタワーなどによって冷却され 冷却水や、冷凍機を用いて冷却された冷媒( チレングリコール・塩化カルシウム水溶液 ど)などを用いることができる。除熱効率の 良い反応器を用い、かつ滞留時間を短くして いるため、広域温度の冷媒を好適に用いるこ とができる。

 反応器には、反応器内の反応液の温度を 宜測定するための測定器を取り付けていて よい。測定器は反応器に複数取り付けられ いてもよく、特にアルデヒド化合物等のカ ボニル化合物、シアン化水素等の原料物質 導入した直後、これらの物質を混合した直 等の温度を測定できるように取り付けてお ことが好ましい。

 本発明において用いる反応器の材質は、 応に用いる物質および反応により生成され 物質と反応しない材質が好ましく、例えば 鉄、銅、チタン、ニッケル等の金属、ステ レス鋼、モネル、ハステロイ、インコロイ の各種合金、樹脂(フッ素樹脂)、ガラス、 器(コージェライト、セラミックス)等が挙げ られる。

 本発明に係る製造方法において、流通反 させるアルデヒド化合物等のカルボニル化 物とシアン化水素との割合は、アルデヒド 合物等のカルボニル化合物1モルに対して、 シアン化水素0.9~3.0モルであることが好まし 、1.0~2.0モルであることがより好ましく、1.0~ 1.5モルであることがさらに好ましい。アルデ ヒド化合物等のカルボニル化合物およびシア ン化水素は一括導入しても分割導入してもよ い。すなわち、滞留時間の最初から最後まで に反応器内に導入されるアルデヒド化合物等 のカルボニル化合物およびシアン化水素の各 モル量が上記の範囲であればよく、流通反応 させるアルデヒド化合物等のカルボニル化合 物とシアン化水素との割合は問わない。

 流通反応中の反応器内のアルデヒド化合 等のカルボニル化合物とシアン化水素との 合が上記のように略等モルであることによ て、アルデヒド化合物等のカルボニル化合 とシアン化水素とが効率よく反応し、反応 内に未反応のアルデヒド化合物等のカルボ ル化合物またはシアン化水素が残留するの 防ぐことができる。アルデヒド化合物等の ルボニル化合物1モルに対して、シアン化水 素が0.9モル未満では、未反応のアルデヒド化 合物等のカルボニル化合物が反応系内に大量 に残留し、シアノヒドリン化合物の収率の低 下に繋がるため好ましくない。また、シアン 化水素が3.0モルを超えると、未反応のシアン 化水素が反応系内に大量に残存し、回収操作 が必要になる、残留するシアン化水素が重合 する等の問題が生じるため好ましくない。

 なお、本発明に係るシアノヒドリン化合 の製造方法によって得られたシアノヒドリ 化合物を、蒸留、カラムクロマトグラフィ 等の公知の方法によって精製してもよく、 製せずにそのままα-ヒドロキシエステル化 物の合成等の反応に用いてもよい。

 本発明に係るシアノヒドリン化合物の製 方法によって製造されるシアノヒドリン化 物は、アルデヒド化合物等のカルボニル化 物のカルボニル基にシアン化物イオンが付 された有機化合物であり、シアンヒドリン 合物と称されることもある。本発明によっ 好適に製造することが可能なシアノヒドリ 化合物としては、ヒドロキシアセトニトリ 、ラクトニトリル、α-ヒドロキシブタンニ リル等の飽和アルキルヒドロキシニトリル α-ヒドロキシブタ-3-エンニトリル、α-ヒド キシ-3-メチルブタ-3-エンニトリル、α-ヒド キシブタ-3-インニトリル等の不飽和アルキ ヒドロキシニトリル、マンデロニトリル、 ドロキシ(2-ナフチル)アセトニトリル、(3-( アノ(ヒドロキシ)メチル)フェニル))(ヒドロ シ)アセトニトリル、ヒドロキシ(ピリジン-3- イル)アセトニトリル等の芳香族ヒドロキシ トリル等が挙げられるが、これらに限定さ ない。また、これらのシアノヒドリン化合 は、アミン、アミド、メトキシ、フェニル ニトロ、ヒドロキシル、アルデヒド、カル ン酸等の置換基を有していてもよい。本発 に係るシアノヒドリン化合物の製造方法に いて、例えばプロピオンアルデヒドとシア 化水素とを、触媒存在下で流通反応させる とによって、α-ヒドロキシブチロニトリル 製造することができる。

 本発明に係るシアノヒドリン化合物の製 方法によれば、反応収率が95%以上でシアノ ドリン化合物を製造することが可能である また、例えば反応により生成するシアノヒ リン化合物の生成量が約500g/min以上である 合のように、工業的規模でシアノヒドリン 合物を生成する場合に、特に従来のバッチ を用いた反応系によって製造されるシアノ ドリン化合物の反応収率に比して高い反応 率でシアノヒドリン化合物を製造すること できる。

 本発明によれば、アルデヒド化合物等の ルボニル化合物とシアン化水素とを流通反 させるので、滞留時間を短縮することが可 である。これにより、生成されたシアノヒ リン化合物が未反応のアルデヒド化合物等 カルボニル化合物に曝される時間を短縮す ことができるので、生成されたシアノヒド ン化合物が未反応のアルデヒド化合物等の ルボニル化合物と反応するのを防ぎ、収率 くシアノヒドリン化合物を製造することが 能である。また、本発明によれば、アルデ ド化合物等のカルボニル化合物とシアン化 素との反応よって生じる反応熱を効率よく 去することも可能である。さらに、本発明 よればバッチ法を用いた反応系と比較して より狭いスペースにおいて反応させること 可能である。したがって、本発明に係るシ ノヒドリン化合物の製造方法は、特に工業 な規模でシアノヒドリン化合物を製造する に好適に用いることができる。

 〔α‐ヒドロキシエステル化合物製造方法
 本発明は、また、上記本発明に係る製造方 によって製造したシアノヒドリン化合物を いてα‐ヒドロキシエステル化合物を製造 るための方法を提供する。本発明に係るα‐ ヒドロキシエステル化合物の製造方法は、上 記本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造 方法によって、シアノヒドリン化合物を製造 する第1の工程と、製造されたシアノヒドリ 化合物を加水分解し、エステル化する第2の 程とを含む。

 例えば上記式(1)のアルデヒド化合物を例 説明すると、第1の工程の反応については、 上述の反応式(2)のとおりであり、第2の工程 反応は、例えば、下記反応式(3)に従うこと できる。

(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立して、アリール基または炭 素数1~10の炭化水素基を示す。また、R 1 またはR 2 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭 素以外の原子を含んでいてもよい。)
 つまり、前記シアノヒドリン化合物、アル ール類、水および溶媒の混合液に塩化水素 スを導入することで、効率よくシアノヒド ン化合物を加水分解し、エステル化するこ ができる。この反応で用いることができる ルコール類としては、メタノール、エタノ ル、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブ ノール、s-ブタノール、n-ヘプタノール、n- キサノール、n-オクタノール、2-エチルヘキ サノール、シクロヘキサノール、ベンジルア ルコールなどがある。本発明では、メタノー ル、エタノール、n-プロパノール、i-プロパ ールなどを好適に用いることができる。ま 、第2工程の反応は、シアノヒドリン化合物 加水分解して、エステル化できる反応であ ば、その反応は、上記反応式(3)に限定され ことはない。

 本発明に係るエステル化合物の製造方法 より好適に製造することが可能なエステル 合物は、シアノヒドリン化合物から得たカ ボン酸とアルコールとを反応させて生じる ルボン酸エステル類であり、ヒドロキシ酢 メチル、α-ヒドロキシプロピオン酸メチル α-ヒドロキシ酪酸メチル等の飽和アルキル ドロキシエステル、α-ヒドロキシブテン酸 チル、β-メチル-α-ヒドロキシブテン酸メチ ル、α-ヒドロキシブチン酸メチル等の不飽和 アルキルヒドロキシエステル、マンデル酸メ チル、ヒドロキシ-2-ナフチル酢酸メチル、ヒ ドロキシ(3-(1-ヒドロキシ-2-メトキシ-2-オキソ エチル))フェニル酢酸メチル、ヒドロキシ(ピ リジン-3-イル)酢酸メチル等の芳香族ヒドロ シエステル等が挙げられるが、これらに限 されない。また、これらのエステル化合物 、アミン、アミド、メトキシ、フェニル、 トロ、ヒドロキシル、アルデヒド、カルボ 酸等の置換基を有していてもよい。

 本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化 物の製造方法において、例えば、上述した アノヒドリン化合物の製造方法によって製 したα-ヒドロキシブチロニトリルを用いた 合、α-ヒドロキシブチロニトリルを加水分 し、メタノールを用いてエステル化するこ によって、α-ヒドロキシ酪酸メチルを製造 ることができる。

 本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化 物の製造方法によれば、収率よく製造され シアノヒドリン化合物を用いてα‐ヒドロキ シエステル化合物を製造することができる。 そのため、同モルのアルデヒド化合物等のカ ルボニル化合物を出発原料として、α‐ヒド キシエステル化合物を製造した場合、従来 と比べて、収率よくα‐ヒドロキシエステ 化合物を製造することができる。このこと より、α‐ヒドロキシエステル化合物の製造 コストの低減を実現することができる。

 〔シアノヒドリン化合物製造装置〕
 さらに、本発明は、一般式(1)で示されるア デヒド化合物等のカルボニル化合物とシア 化水素とからシアノヒドリン化合物を製造 るための製造装置を提供する。本発明に係 シアノヒドリン化合物の製造装置は、アル ヒド化合物等のカルボニル化合物とシアン 水素とを、触媒存在下で流通反応させる反 器と、アルデヒド化合物を反応器中に導入 る第1の導入器と、シアン化水素を反応器中 に導入する第2の導入器とを備えている。

(式中、R 1 は、アリール基または炭素数1~10の炭化水素 を示す。また、R 1 中に置換基を有していてもよく、構造中に炭 素以外の原子を含んでいてもよい。)
 本発明に係るシアノヒドリン化合物製造装 を、図1を参照して説明する。図1は、本発 に係るシアノヒドリン化合物の製造装置を 明する概略図である。図1に示すように、反 装置は、反応器(管型反応器)25、アルデヒド 化合物等のカルボニル化合物およびシアン化 水素をそれぞれ導入する導入器(第1および第2 の導入器)15・16を備えている。本発明に係る 造装置が備える反応器25は、上述した本発 に係る製造方法において使用した反応器と 様の構成である。

 そして反応器25には、原料物質を混合す 混合器23が導入管24を介して接続されていて よい。このような混合器23は、独立して導 する2種以上の流体を器内で混合できればよ 、例えばY字型混合器、T字型混合器、十字 混合器、パイプライン型混合器、スクリュ フィーダー型混合器、マイクロミキサー等 好適に使用可能である。本発明係る製造装 は、反応器25とは独立した混合器23を備えて てもよく、反応器25に一体形成された混合 23を備えていてもよい。反応器25と混合器23 が独立したものを用いる場合、反応器25と混 合器23とをチューブ等の導入管24により接続 、送液可能に構成する。そして、反応器25お よび混合器23をウォーターバス1に浸し、ウォ ーターバスの温度を適宜調節することによっ て、反応器25および混合器23内の温度を外側 ら調節してもよい。

 また、導入する導入器15・16は、それぞれ 導入管(チューブ)21・22を介して混合器23に接 されており、各導入器15・16から原料物質が 混合器23に導入される。本発明の製造装置が える第1の導入器15および第2の導入器16は、 アノヒドリン化合物を生成する原料となる ルデヒド化合物等のカルボニル化合物およ シアン化水素の何れか一方を、反応器25ま は混合器に23導入するものであればよい。な お、本発明に係る製造装置において、第1の 入器15および第2の導入器16は、それぞれ複数 設けられていてもよい。これにより、シアノ ヒドリン化合物を生成する原料を分割して数 回に分けて導入することができる。このとき 、原料を反応器25または混合器23内に導入す 導入口(図示せず)および導入管21・22は導入 15・16の数に合わせて複数形成されていても い。

 これらの導入器15・16には、反応原料物質 を反応器25または混合器23内に送る送液用ポ プ10・11が取り付けられていてもよい。そし 、反応器25および混合器23を含む反応系内の 圧力は、反応物質を送液する送液用ポンプ10 11によって調節してもよい。

 上述した各導入器15・16によって反応器25 たは混合器23内に導入されたアルデヒド化 物等のカルボニル化合物およびシアン化水 は、反応器25内において反応してシアノヒド リン化合物を生成する。本発明に係る製造装 置は、反応器25中で生成したシアノヒドリン 合物を回収する反応液捕集器29を備えてい もよい。また、本発明に係る製造装置は、 応器25内を未反応の状態で通過した反応原料 物質を回収する原料物質回収器(図示せず)を えていてもよい。反応液捕集器29および原 物質回収器は、チューブ等の導入管26および 反応液排出ライン28を介して、反応器25に送 可能に接続される。導入管26と反応液排出ラ イン28との間には背圧弁27を設置してもよい

 また、本発明に係る製造装置は、反応器 の反応液の温度を適宜測定するための測定 (図示せず)を備えていてもよい。測定器は 造装置に複数取り付けられていてもよく、 にアルデヒド化合物等のカルボニル化合物 シアン化水素等の原料物質を混合器23または 反応器25に導入した直後、これらの物質を混 器23または反応器25内で混合した直後等の温 度を測定できるように取り付けておくことが 好ましい。さらに反応液捕集器29には排気口7 0を接続してもよい。

 本発明に係るシアノヒドリン化合物の製 装置を用いれば、アルデヒド化合物等のカ ボニル化合物とシアン化水素とを反応器中 導入して反応させるため、滞留時間を短縮 ることが可能である。これにより、生成さ たシアノヒドリン化合物が未反応のアルデ ド化合物等のカルボニル化合物に曝される 間を短縮することができるので、生成され シアノヒドリン化合物が未反応のアルデヒ 化合物等のカルボニル化合物と反応するの 防止することが可能である。その結果、反 収率を低下させることなく、収率よくシア ヒドリン化合物を製造することができる。

 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明はこれに限定されない。

 〔実施例1〕
 本実施例では、図1に示す反応装置を用いて ヒドロキシブチロニトリルを製造した。液化 シアン化水素の導入用に、冷却部(図示せず) 有する導入管(外径1/16インチ 内径0.5mm、SUS3 16製)15をHPLC用ポンプ(島津製作所製)10に接続 た。なお、冷却部(図示せず)内には、約-10℃ の冷媒を流通させ、HPLCポンプ10のヘッド部分 を約5℃になるまで冷却した。また、プロピ ンアルデヒド(純度:98%以上)の導入用に、導 管(外径1/16インチ 内径0.5mm、SUS316製)16をHPLC ポンプ(島津製作所製)11に接続した。なお、 プロピオンアルデヒドには、触媒として0.6mol %トリエチルアミン(対アルデヒド)を予め溶解 させた。

 さらに、液化シアン化水素を混合器23に 入するために、ポンプ10と混合器(1/16インチ 3方ユニオン、Swagelok社製)23とをSUS316製チュ ブ(外径1/16インチ 内径0.5mm)21で接続した。 た同様に、0.6mol%プロピオンアルデヒドを混 器23に導入するために、ポンプ11と混合器(1/ 16インチ 3方ユニオン、Swagelok社製)23とをSUS31 6製チューブ(外径1/16インチ 内径0.5mm)22で接 した。

 また、混合器23の排出側には管型反応器25 として、SUS316製チューブ(外径1/16インチ 内 0.5mm)を接続した。この管型反応器25の長さは 、反応液滞留時間(5~180秒)が所定の時間にな ように適宜変更した。そして、混合器23から 管型反応器25に原料物質が導入された直後の 応液温度を測定できるように、管型反応器2 5に熱電対を設置した。

 なお、管型反応器25には、導入管26および 反応液排出ライン28を介して反応液捕集器29 連結し、導入管26と反応液排出ライン28との には背圧弁27を設置した。また反応液捕集 29には、トリエチルアミンをクエンチするた めの塩酸(導入するトリエチルアミンの100mol% 上)を予め導入した。そして、反応液捕集器 29には排気口70を接続した。また、混合器23お よび管型反応器25を、30~60℃に調温したウォ ターバスに浸した。反応系内の圧力を0.4MPa した。

 この反応装置を使用して、プロピオンア デヒドと液化シアン化水素とを、トリエチ アミン存在下で反応させてヒドロキシブチ ニトリル(HBN)を製造した。管型反応器25にお ける反応液の平均滞留時間が5~180秒であり、 つ供給する原料のモル比がシアン化水素:プ ロピオンアルデヒド=0.97~1.28:1.00となるように 、管型反応器25の長さ、およびポンプ10・11に よって送液する原料の流量をそれぞれ変更し 、異なる反応条件におけるHBNの反応収率を調 べた。反応により生成したHBNは反応液捕集器 29において回収した。各反応条件において反 液を分析し、HBNの反応収率を得た。結果を 1に示す。

 表1において、シアン化水素(HCN)およびプロ オンアルデヒド(nPA)のモル比を、HCN/nPA(mol/mo l)で示した。表1に示す反応条件1~11において HBNの生成量は1~5g/min、導入直後の反応液温度 はウォーターバス温度+2~4℃であった。表1に すように、プロピオンアルデヒドと液化シ ン化水素とを、トリエチルアミンと共に管 反応器25中で流通反応させたとき、平均滞 時間等の反応条件に関わらず、HBNの反応収 は93~100mol%と高かった。

 なお、本実施例および後述する各実施例 おいて、HBNの反応収率は、反応に用いられ アルデヒド量を基準としたHBNの生成量(mol%) 示しており、絶対検量線法によって算出し 。分析条件は以下の通りであった。カラムI nertsil CN-3(4.6×250mm 5μm)、カラム温度:40℃、 動相Hexane:EtOH=95:5、流量:1.0mL/min、検出器:RI( 差屈折率検出器)、Range:8、Response:5、注入量:2 0μL(ループにより固定)。

 〔実施例2〕
 本実施例では、HBNの製造量をスケールアッ した場合における、HBNの反応収率を調べた 本実施例においても、実施例1と同様に図1 示す反応装置を用いてHBNを製造した。

 液化シアン化水素の導入用に、冷却部(図 示せず)を有する導入管(外径1/8インチ 内径2. 17mm、SUS316製)15をポンプ(C-601、BUCHI製)10に接続 した。なお、冷却部内(図示せず)には、約-10 の冷媒を流通させ、ポンプ10のヘッド部分 約5℃になるまで冷却した。また、プロピオ アルデヒド(純度:98%以上)の導入用に、導入 (外径1/8インチ 内径2.17mm、SUS316製)16をポン (C-601、BUCHI製)11に接続した。なお、プロピ ンアルデヒドには、触媒として0.6mol%のトリ チルアミンを予め溶解させた。

 さらに、液化シアン化水素を混合器23に 入するために、ポンプ10と混合器(1/8インチ  3方ユニオン、Swagelok社製)23とをSUS316製チュー ブ(外径1/8インチ 内径2.17mm)21で接続した。ま た同様に、プロピオンアルデヒドを混合器23 導入するために、ポンプ11と混合器(外径1/8 ンチ 3方ユニオン、Swagelok社製)23とをSUS316 チューブ(外径1/8インチ 内径2.17mm)22で接続 た。

 また、混合器23の排出側には管型反応器25 として、SUS316製チューブ(外径1/8インチ 内径 2.17mm)を接続した。この管型反応器25には、反 応液の温度を監視するために、数箇所に熱電 対を設置した。なお、管型反応器25には、導 管26および反応液排出ライン28を介して反応 液捕集器29を連結し、導入管26と反応液排出 イン28との間には背圧弁27を設置した。

 反応液捕集器29には、トリエチルアミン クエンチするための塩酸(導入するトリエチ アミンの100mol%以上)を予め導入した。そし 、反応液捕集器29には排気口70を接続した。 た、混合器23および管型反応器25を、30℃に 温したウォーターバスに浸した。反応系内 圧力を0.4MPaとした。

 この反応装置を使用して、プロピオンア デヒドと液化シアン化水素とを、トリエチ アミン存在下で反応させてHBNを製造した。 型反応器25における反応液の平均滞留時間 7~15秒(反応液捕集器までの平均滞留時間:45~90 秒)であり、かつ供給する原料のモル比がシ ン化水素:プロピオンアルデヒド=1.04:1.00とな るように、管型反応器25の長さ、およびポン 10・11によって送液する原料の流量をそれぞ れ変更し、異なる反応条件におけるHBNの反応 収率を調べた。反応により生成したHBNは反応 液捕集器29において回収した。各反応条件に いて反応液を分析し、HBNの反応収率を得た 結果を表2に示す。

 表2において、シアン化水素(HCN)およびプロ オンアルデヒド(nPA)のモル比を、HCN/nPA(mol/mo l)で示した。表2に示す反応条件12および13に いて、HBN生成量は、反応条件12で30g/min、反 条件13で15g/minであった。反応液温度は、平 滞留時間約0.5~1秒の時点で150℃、平均滞留時 間約3秒の時点で58℃、および平均滞留時間約 7秒の時点で33℃であった。表2に示すように HBNの生成量を実施例1における生成量の3~30倍 にスケールアップした場合であっても、平均 滞留時間等の反応条件に関わらず、HBNの反応 収率は98~99mol%と高かった。

 〔実施例3〕
 実施例2おいて使用した反応装置内の管型反 応器を、ジャケットを有するチューブ&シ ル方式の熱交換器(熱交換部:外径 0.72mm 内  0.49mm 長さ196mm ×55本、SUS316製)に変更し、 実施例2と同様に反応を行った。ジャケット には10℃に調温した水を流通させ、熱交換器 を除熱した。各反応条件において反応液を分 析し、HBNの反応収率を得た。結果を表3に示 。

 表3において、シアン化水素(HCN)およびプロ オンアルデヒド(nPA)のモル比を、HCN/nPA(mol/mo l)で示した。表3に示す反応条件14においては 冷却水流量は100mL/min、およびHBN生産量は30g/ minであった。また、反応条件15においては、 却水流量は25mL/min、およびHBN生産量は15g/min あった。反応条件14および15において、反応 液温度は平均滞留時間約0.5秒の時点で150℃、 平均滞留時間約5秒の時点で17℃であった。熱 交換器の除熱に用いた冷却水の吐出温度は、 反応条件14において62℃であり、反応条件15に おいて100℃で沸騰していた。

 本実施例においては熱交換器を用いて反 させたため、反応液を十分に除熱すること できた。そして図3に示すように、HBNの反応 収率は97~98mol%と高かった。

 〔実施例4〕
 本実施例では、実施例1と同様に図1に示す 応装置を用いてHBNを製造した。本実施例に いては、管型反応器25として、ジャケットを 有するSUS316製チューブ(外径1/8インチ 内径2.1 7mm)を用いた。そして、HBNの製造量をさらに ケールアップした。

 液化シアン化水素の導入用に、導入管(外 径1/8インチ 内径2.17mm、SUS316製)を液化シアン 化水素ボンベ(図示せず)およびポンプ(C-601、B UCHI製)10に接続した。なお、ボンベ(図示せず) には、ポンプサクションでのシアン化水素の 気化を防ぐために、窒素を用いて約3kg/cm2の 力をかけた。また、プロピオンアルデヒド( 度:98%以上)の導入用に、導入管(外径1/8イン  内径2.17mm、SUS316製)16をポンプ(C-601、BUCHI製 )11に接続した。なお、プロピオンアルデヒド には、触媒として0.6mol%のトリエチルアミン 予め溶解させた。

 さらに、液化シアン化水素を混合器23に 入するために、ポンプ10と混合器(1/8インチ  3方ユニオン、Swagelok社製)23とをSUS316製チュー ブ(外径1/8インチ 内径2.17mm)で接続した。ま 同様に、プロピオンアルデヒドを混合器23に 導入するために、ポンプ11と混合器(1/8インチ  3方ユニオン、Swagelok社製)23とをSUS316製チュ ブ(外径1/8インチ 内径2.17mm)22で接続した。

 また、混合器の排出側には管型反応器25 して、ジャケットを有するSUS316製チューブ( 径1/8インチ 内径2.17mm)を接続した。この管 反応器25には、反応液の温度を監視するた に、数箇所に熱電対を設置した。管型反応 25のジャケット部内には0℃に冷却したブラ ン(エチレングリコール水溶液)を流通させ、 管型反応器25を除熱した。なお、管型反応器2 5には、導入管26および反応液排出ライン28を して反応液捕集器29を連結し、導入管26と反 応液排出ライン28との間には背圧弁27を設置 た。反応液捕集器29として、攪拌用のトルエ ンを予め導入した、容量200Lの捕集器(SUS304製) を用いた。反応系内の圧力を0.5~0.6MPaとした

 この反応装置を使用して、プロピオンア デヒドと液化シアン化水素とを、トリエチ アミン存在下で反応させてHBNを製造した。 型反応器25における反応液の平均滞留時間 10秒であり、かつ供給する原料のモル比がシ アン化水素:プロピオンアルデヒド=1.04:1.00と るように、管型反応器25の長さ、およびポ プ10・11によって送液する原料の流量をそれ れ変更し、HBNの反応収率を調べた。

 反応により生成したHBN/トルエン溶液を、 トリエチルアミンをクエンチするための塩酸 (導入したトリエチルアミンの100mol%以上)を予 め導入しておいた捕集器に排出し回収した。 回収した反応液を分析し、HBNの反応収率を得 た。結果を表4に示す。

 表4において、シアン化水素(HCN)およびプロ オンアルデヒド(nPA)のモル比を、HCN/nPA(mol/mo l)で示した。表4に示す反応条件16において、H BN生産量は180g/min、冷却水として用いたブラ ン流量は600g/minであった。また、反応液温度 は、平均滞留時間0.5秒未満の時点では130℃、 平均滞留時間約10秒の時点では2℃であった。 表4に示すように、HBNの生成量を実施例1にお る生成量の30倍以上にスケールアップした 合であっても、HBNの反応収率は96mol%と高か た。

 〔実施例5〕
 本実施例では、以下に示す反応装置を用い ラクトニトリルを製造した。本実施例にお ては、まず1.0mol%TEA/アセトアルデヒド22.0g(0. 49mol アルデヒド)、および液化シアン化水素1 4.8g(0.55mol)をそれぞれ別のシリンジに導入し 。なお、原料の気化を防ぐために、0~10℃の 媒が流通している小径チューブをシリンジ 周部に巻きつけてシリンジを冷却した。

 各原料を導入したシリンジを混合器(1/16 ンチ SUS316ユニオンティー、Swagelok社製)に接 続した。この混合器を、熱交換器を兼ねた管 型反応器(外径1/16インチ 内径1.0mm 長さ100cm SUS316製)に接続した。そして、反応液導入管( 外径1/16インチ 内径1.0mm 長さ65cm、SUS316製)を 介して、容量100mlの四つ口フラスコと上記管 反応器とを接続した。この四つ口フラスコ は温度計、還流冷却機、および攪拌機を設 した。

 管型反応器を約30℃に調温したウォータ バスに浸し、四つ口フラスコを約10℃に調温 したウォーターバスに浸した。ついで、シリ ンジポンプを起動させ、TEA/アセトアルデヒ を0.23ml/minおよびシアン化水素を0.17ml/minで混 合器に給液した(シアン化水素:アセトアルデ ド=1.12:1.00)。反応液を四つ口フラスコに回 し、約2時間四つ口フラスコ中に反応液をお た。反応液をHPLC分析し、ラクトニトリルの 反応収率を算出したところ、99mol%と高かった 。

 〔実施例6〕
 本実施例では、以下に示す反応装置を用い マンデロニトリルを製造した。本実施例に いては、まず1.0mol%TEA/ベンズアルデヒド25.0g (0.23mol アルデヒド)、および液化シアン化水 9.6g(0.35mol)をそれぞれ別のシリンジに導入し た。なお、原料の気化を防ぐために、0~10℃ 冷媒が流通している小径チューブをシアン 水素用シリンジに巻きつけてシリンジを冷 した。

 各原料を導入したシリンジを混合器(1/16 ンチ SUS316ユニオンティー、Swagelok社製)に接 続した。この混合器を、熱交換器を兼ねた管 型反応器(外径1/16インチ 内径1.0mm 長さ100cm SUS316製)に接続した。そして、反応液導入管( 外径1/16インチ 内径1.0mm 長さ65cm、SUS316製)を 介して、容量100mlの四つ口フラスコと上記管 反応器とを接続した。この四つ口フラスコ は温度計、還流冷却機、攪拌機を設置した

 管型反応器を約30℃に調温したウォータ バスに浸し、四つ口フラスコを約20℃に調温 したウォーターバスに浸した。ついで、シリ ンジポンプを起動させ、TEA/アセトアルデヒ を0.20ml/minおよびシアン化水素を0.12ml/minで混 合器に給液した(シアン化水素:ベンズアルデ ド=1.50:1.00)。反応液を四つ口フラスコに回 し、約2時間四つ口フラスコ中に反応液をお た。反応液をHPLC分析し、マンデロニトリル の反応収率を算出したところ、97mol%と高かっ た。

 〔実施例7〕
 実施例4にて得られたHBN反応液188.0g(HBN収率96 %、1.0molスケール‐アルデヒド)を温度計、還 冷却機、攪拌機を備えた500mL四つ口フラス に仕込んだ。メタノール100.7g(3.15mol)、水19.5g (1.08mol)を加え、内温20℃に調整した。塩化水 43.7g(1.20mol)を38±2℃を維持して吹き込んだ後 、還流熟成8時間を行い、α‐ヒドロキシブタ ンエステル反応液を得た。トルエン一定とし てガスクロマトグラフにて収率を分析したと ころ、85.2mol%であった。

 〔参考例1〕
 反応器として、温度計、還流冷却機、およ 攪拌機を備えた3.5m3GLライニングの反応釜を 用いてバッチ法によりHBNを製造した。この反 応器にプロピオンアルデヒド1210.6kg(20.8kmol)( 度:98%以上)、および触媒としてトリエチルア ミン11.2kg(0.11kmol)を導入し、攪拌しながら約10 ℃に冷却した。約-18℃のブラインを用いて反 応器を可能な限り冷却し、反応器内の温度を 約10~20℃に保った状態で、シアン化水素587.1kg (21.7kmol)を反応器内に滴下した。シアン化水 の滴下に18時間を要した。得られた反応液を 分析したところ、HBNの反応収率は85mol%であっ た。

 〔参考例2〕
 反応器として、温度計、還流冷却管、滴下 ート、および攪拌機を備えた容量300mLの四 口フラスコを用いてバッチ法によりHBNを製 した。この反応器にプロピオンアルデヒド14 5.2g(2.50mol)(純度:98%以上)、および触媒として リエチルアミン1.5g(15mmol)を導入し、攪拌し がら約15℃に冷却した。反応器内の温度を10~ 20℃に保った状態で、シアン化水素23.5g(0.87mol )を40分かけて反応器内に滴下した。上記温度 範囲において23時間保持した後、さらにシア 化水素46.9g(1.74mol)を80分かけて反応器内に滴 下した。得られた反応液を分析したところ、 HBNの反応収率は87mol%であった。

 〔参考例3〕
 反応器として、温度計、還流冷却管、滴下 ート、および攪拌機を備えた容量300mLの四 口フラスコを用いてバッチ法によりHBNを製 した。この反応器にプロピオンアルデヒド14 5.2g(2.50mol)(純度:98%以上)、および触媒として リエチルアミン1.5g(15mmol)を導入し、攪拌し がら25℃に冷却した。反応器内の温度を20~30 に保った状態で、シアン化水素23.5g(0.87mol) 30分かけて反応器内に滴下した。上記温度範 囲において19時間保持した後、さらにシアン 水素46.9g(1.74mol)を80分かけて反応器内に滴下 した。得られた反応液を分析したところ、HBN の反応収率は79mol%であった。

 〔参考例4〕
 温度計、還流冷却管、滴下ロート、および 拌機を備えた100mL四つ口フラスコにベンズ ルデヒド42.4g(0.40mol)、および触媒としてトリ エチルアミン0.2g(1.6mmol 0.4mol%対アルデヒド) 仕込み、攪拌下、20℃以下に冷却した。反応 器内の温度を20~30℃に保ちながら、シアン化 素3.8g(0.14mol)を10分かけて滴下した。その後 25℃にて22時間保持した。この際、反応液中 に副生成物と思われる結晶を確認した。その 後、シアン化水素7.6g(0.29mol)を30分かけて滴下 した。得られた反応液を分析したところ、マ ンデロニトリルの反応収率は83mol%であった。

 〔参考例5〕
 反応器として、温度計、還流冷却管、滴下 ート、および攪拌機を備えた容量200mL四つ フラスコを用いてバッチ法によりラクトニ リルを製造した。この反応器にアセトアル ヒド44.1g(1.00mol)、および触媒としてトリエチ ルアミン1.0g(10mmol、1.0mol%対アルデヒド)を仕 み、攪拌しながら10℃に冷却した。反応器内 の温度を0~10℃に保った状態で、シアン化水 8.5g(0.31mol)を25分かけて反応器内に滴下した 10℃にて、15時間保持した後、シアン化水素1 9.9g(0.73mol)を60分かけて反応器内に滴下した。 得られた反応液を分析したところ、ラクトニ トリルの反応収率は、61mol%であった。

 〔参考例6〕
 参考例1にて得られた反応液を用いた以外は 、実施例7と同様にして、α‐ヒドロキシブタ ンエステルを含む反応液を得た。同様に反応 液を分析したところ、プロピオンアルデヒド 量を基準としたときのα‐ヒドロキシブタン ステルの反応収率は76.0mol%であった。

 実施例1から7および参考例1から6を比較し て分かるように、本実施例に係る製造方法で は、いずれも高収率で目的とするシアノヒド リン化合物を製造できることが確認された。 また、実施例7および参考例6を比較して分か ように、本実施例によれば、α‐ヒドロキ エステル化合物を高収率で製造することが きることが確認された。

 本発明に係るシアノヒドリン化合物の製 方法によれば、アルデヒド化合物等のカル ニル化合物とシアン化水素とを流通反応さ るため、滞留時間を短縮することが可能で る。これにより、生成されたシアノヒドリ 化合物が未反応のアルデヒド化合物等のカ ボニル化合物に曝される時間を短縮するこ ができるので、生成されたシアノヒドリン 合物が未反応のアルデヒド化合物等のカル ニル化合物と反応するのを防ぎ、収率よく アノヒドリン化合物を製造することが可能 ある。

 また、本発明に係るα‐ヒドロキシエス ル化合物の製造方法によれば、出発原料で るアルデヒド化合物等のカルボニル化合物 対して、中間体であるシアノヒドリン化合 を収率よく製造できるために、最終物質で るα‐ヒドロキシエステル化合物を高収率で 製造することができる。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内で、いろい と変更して実施することができるものであ 。

 本発明に係る製造方法によって製造した アノヒドリン化合物は様々な化合物の出発 質として有用であり、本発明によれば収率 くシアノヒドリン化合物を製造することが 能である。したがって、本発明は、医薬品 業、農薬品産業等に広く利用可能である。