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Title:
PROCESS FOR PRODUCING ELECTROCONDUCTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114620
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a production process which can produce a titanium oxide electroconductor having excellent conductive properties and good transparency with high productivity. The production process comprises a laminate forming step of forming a precursor laminate comprising a first precursor layer and a second precursor layer provided in any desired order on a base, and an annealing step of heating the precursor laminate under a reducing atmosphere for annealing to form a metal oxide layer from the first precursor layer and the second precursor layer. The first precursor layer is a titanium oxide layer which is formed of an Nb-containing titanium oxide and, when subjected to a single layer anneal test, contains a polycrystal which is free from a rutile crystal. The second precursor layer is an amorphous titanium oxide layer formed of an Nb-containing titanium oxide and, when subjected to a single layer anneal test, contains a polycrystal which contains a rutile crystal.

Inventors:
YAMADA NAOOMI (JP)
HITOSUGI TARO (JP)
HASEGAWA TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054083
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
KANAGAWA KAGAKU GIJUTSU AKAD (JP)
YAMADA NAOOMI (JP)
HITOSUGI TARO (JP)
HASEGAWA TETSUYA (JP)
International Classes:
H01B13/00; C23C14/06; C23C14/08; G02F1/1343; G02F1/1345; H01B5/14; H01L51/50; H05B33/28
Domestic Patent References:
WO2006016608A12006-02-16
Foreign References:
JPH02191330A1990-07-27
JP2003281947A2003-10-03
JP2005141981A2005-06-02
JP2006144052A2006-06-08
JP2004095240A2004-03-25
JP2007070990A2007-03-22
JP2007222989A2007-09-06
Other References:
APPLIED PHYSICS, vol. 73, no. 5, 2004, pages 587 - 592
See also references of EP 2128876A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyacho, Chiyoda-ku, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 基体上に、第1の前駆体層と第2の前駆体層が任意の順で積層された前駆体積層物を形成する積層物形成工程と、
 前記前駆体積層物を還元雰囲気下で加熱してアニールすることにより、前記第1の前駆体層と前記第2の前駆体層から金属酸化物層を形成するアニール工程を有し、
 前記第1の前駆体層は、Nb、Ta、Mo、As、Sb、Al、Hf、Si、Ge、Zr、W、Co、Fe、Cr、Sn、Ni、V、Mn、Tc、Re、P及びBiからなる群から選ばれるドーパントの1種又は2種以上を含む酸化チタンからなる酸化チタン層であり、かつ、該酸化チタン層は、単層アニール試験を行ったときに、多結晶を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含まない酸化チタン層となる酸化チタン層であり、
 前記第2の前駆体層は、前記ドーパントの1種又は2種以上を含む酸化チタンからなるアモルファス酸化チタン層であり、かつ、該アモルファス酸化チタン層は、単層アニール試験を行ったときに、多結晶を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含む酸化チタン層となるアモルファス酸化チタン層である、
ことを特徴とする導電体の製造方法。
 基体上に、第1の前駆体層と第2の前駆体層が任意の順で積層された前駆体積層物を形成する工程と、
 前記前駆体積層物を還元雰囲気下で加熱してアニールすることにより、前記第1の前駆体層と前記第2の前駆体層から金属酸化物層を形成するアニール工程を有し、
 前記第1の前駆体層は、Nb、Ta、Mo、As、Sb、Al、Hf、Si、Ge、Zr、W、Co、Fe、Cr、Sn、Ni、V、Mn、Tc、Re、P及びBiからなる群から選ばれるドーパントの1種又は2種以上を含む酸化チタンからなる酸化チタン層であって、かつ該酸化チタン層の酸化チタンは波長800nmにおける吸収係数が0cm -1 より大きく、2×10 4 cm -1 未満である酸化チタンであり、
 前記第2の前駆体層は、前記ドーパントの1種又は2種以上を含む酸化チタンからなるアモルファス酸化チタン層であって、かつ該アモルファス酸化チタン層の酸化チタンは波長800nmにおける吸収係数が2×10 4 cm -1 以上、5×10 4 cm -1 未満の酸化チタンである、
ことを特徴とする導電体の製造方法。
 前記第1の前駆体層と前記第2の前駆体層のそれぞれにおけるドーパント原子の含有量が、ドーパント原子とチタン原子の合計量に対し、1原子%以上、10原子%以下である、請求項1または2に記載の導電体の製造方法。
 前記第1の前駆体層の膜厚が5nm以上、50nm以下であり、前記第2の前駆体層の膜厚が15nm以上であり、金属酸化物層の膜厚が20~1000nmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。
 前記積層物形成工程が、スパッタ法により前記第1の前駆体層および第2の前駆体層をそれぞれ形成する工程を有し、
 前記第2の前駆体層を形成する際の雰囲気ガス中における酸化性スパッタガスの濃度が、前記第1の前駆体層を形成する際の雰囲気ガス中における酸化性スパッタガスの濃度よりも低い、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。
 前記積層物形成工程が、スパッタ法により前記第1の前駆体層および第2の前駆体層をそれぞれ形成する工程を有し、
 前記第2の前駆体層を形成する際に使用するターゲットにおける酸素原子の含有量が、前記第1の前駆体層を形成する際に使用するターゲットにおける酸素原子の含有量よりも低い、請求項1~5のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。
 前記アニール工程において、前記前駆体積層物を水素雰囲気下または真空雰囲気下で加熱する、請求項1~6のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。
 前記アニール工程において、前記前駆体積層物を250~850℃の温度に1分以上保持する、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。
 前記アニール工程において、前記前駆体積層物を、第1の前駆体層側から加熱する、請求項1~8のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られた導電体を用いた、透明電極。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られた導電体を用いた、透明導電膜。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られた導電体を用いた、電磁波遮蔽用物品。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られた導電体を用いた、帯電防止膜。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られた導電体を用いた、熱線反射ガラス。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られた導電体を用いた、紫外線反射ガラス。
Description:
導電体の製造方法

 本発明は、透明性が良好な酸化チタン系 電体の製造方法に関する。

 近年、液晶表示パネルの大型化および小 携帯化へのニーズが高くなっている。これ 実現するためには、表示素子の低消費電力 が必要となり、可視光線透過率が高く、か 抵抗値が低い透明電極の適用が不可欠にな 。

 特に、最近開発されつつある有機エレク ロルミネッセンス素子は、自発光タイプで り、小型携帯端末への適用においては有効 あるが、電流駆動で消費電力が大きいとい 問題点がある。また、現在、市場に広まり つあるプラズマディスプレイパネル(PDP)、 よび次世代のディスプレイとして開発され つあるフィールドエミッションディスプレ (FED)は、高消費電力な構造であるという問題 点がある。これらの点から、透明導電性薄膜 の低抵抗化への期待は大きい。

 透明導電性薄膜の代表例は、スズをドー した酸化インジウムからなるインジウム・ ィン・オキサイド膜(以下、ITO膜という)で る。ITO膜は透明性に優れ、高い導電性を有 るものの、Inの地殻含有率が50ppbと少なく、 源の枯渇とともに原料のコストが上昇して まうという欠点がある。

 近年、透明導電体の材料として、耐薬品性 よび耐久性を兼ね備えた酸化チタン(TiO 2 )が注目されている(例えば下記非特許文献1)
 下記特許文献1には、基板上に、アナターゼ 型結晶構造を有するM:TiO 2 (MはNb、Taなど)からなる金属酸化物層を成膜 て透明導電体を得る方法が提案されている ここでは、エピタキシャル成長により成膜 た、アナターゼ型結晶構造を有するM:TiO 2 の単結晶薄膜(固溶体)が、透明性を維持しつ 電気伝導度を著しく向上させることが示さ ている。
 下記特許文献2には、透明基体上に、水素を 含有する透明高屈折率薄膜層と金属薄膜層と が交互に積層された積層体を形成して透明導 電性薄膜積層体を得る方法が提案されている 。透明高屈折率薄膜層は、例えば酸化チタン からなる。
応用物理 第73巻第5号(2004)587項~592項

国際公開第2006/016608号パンフレット

特開2004-95240号公報

 特許文献1に記載されているアナターゼ型結 晶構造を有するM:TiO 2 の単結晶薄膜は、製造が難しく実現性が低い 。特許文献2における透明屈折率薄膜層は、 膜時に水素を含有させるため、透明性が不 分となりやすい。このように、電気的抵抗 小さく、かつ透明性に優れた導電体を実現 ることは容易ではなかった。
 また、前記のいずれの文献にも金属酸化物 形成した後にアニールすることについては 載されていない。

 本発明は前記事情に鑑みてなされたもの 、導電性に優れるとともに、透明性が良好 酸化チタン系導電体を生産性良く製造でき 方法を提供することを目的とする。

 前記課題を解決するための本発明の実施形 は、以下のとおりである。
 すなわち、本発明の第1の実施形態は、基体 上に、第1の前駆体層と第2の前駆体層が任意 順で積層された前駆体積層物を形成する積 物形成工程と、
 前記前駆体積層物を還元雰囲気下で加熱し アニールすることにより、前記第1の前駆体 層と前記第2の前駆体層から金属酸化物層を 成するアニール工程を有し、前記第1の前駆 層は、Nb、Ta、Mo、As、Sb、Al、Hf、Si、Ge、Zr W、Co、Fe、Cr、Sn、Ni、V、Mn、Tc、Re、P及びBi らなる群から選ばれるドーパントの1種又は2 種以上を含む酸化チタンからなる酸化チタン 層であり、かつ、該酸化チタン層は、単層ア ニール試験を行ったときに、多結晶を含みか つ該多結晶がルチル型結晶を含まない酸化チ タン層となる酸化チタン層であり、前記第2 前駆体層は、前記ドーパントの1種又は2種以 上を含む酸化チタンからなるアモルファス酸 化チタン層であり、かつ、該アモルファス酸 化チタン層は、単層アニール試験を行ったと きに、多結晶を含みかつ該多結晶がルチル型 結晶を含む酸化チタン層となるアモルファス 酸化チタン層である、ことを特徴とする導電 体の製造方法である。

 また、本発明の第2の実施形態は、基体上に 、第1の前駆体層と第2の前駆体層が任意の順 積層された前駆体積層物を形成する工程と 前記前駆体積層物を還元雰囲気下で加熱し アニールすることにより、前記第1の前駆体 層と前記第2の前駆体層から金属酸化物層を 成するアニール工程を有し、前記第1の前駆 層は、Nb、Ta、Mo、As、Sb、Al、Hf、Si、Ge、Zr W、Co、Fe、Cr、Sn、Ni、V、Mn、Tc、Re、P及びBi らなる群から選ばれるドーパントの1種又は2 種以上を含む酸化チタンからなる酸化チタン 層であって、かつ該酸化チタン層の酸化チタ ンは波長800nmにおける吸収係数が0cm -1 より大きく、2×10 4 cm -1 未満である酸化チタンであり、前記第2の前 体層は、前記ドーパントの1種又は2種以上を 含む酸化チタンからなるアモルファス酸化チ タン層であって、かつ該アモルファス酸化チ タン層の酸化チタンは波長800nmにおける吸収 数が2×10 4 cm -1 以上、5×10 4 cm -1 未満の酸化チタンである、ことを特徴とする 導電体の製造方法である。

 本発明によれば、複数層からなる前駆体 層物を形成し、特定のアニールを行うこと 、導電性に優れるとともに、透明性が良好 、酸化チタンを主成分とする層からなる導 体を生産性良く製造できる。

基板上に金属酸化物層を積層させた状 を示す断面図である。 スパッタ法により前駆体積層物を形成 る例を説明する図である。 成膜時のO 2 流量比を変化させ、単層でアニールした例に おける抵抗率、キャリア濃度およびホール(Ha ll)移動度の測定結果を示す図である。 成膜時のO 2 流量比を変化させ、単層でアニールした例に おける、X線回折による測定結果(XRDプロファ ル)を示す図である。 O 2 流量比0vol%で成膜した膜の、アニール前にお る透過率、反射率および吸収率の測定結果 示す図である。 O 2 流量比1.0vol%で成膜した膜の、アニール前に ける透過率、反射率および吸収率の測定結 を示す図である。 本発明に係る金属酸化物層の抵抗率、 ャリア濃度およびホール移動度の測定結果 示す図である。 本発明に係る金属酸化物層のX線回折に よる測定結果(XRDプロファイル)を示す図であ 。 本発明に係る金属酸化物層のX線回折に よる測定結果(XRDプロファイル)を示す図であ 。 本発明に係る金属酸化物層の透過率、 反射率および吸収率を測定した結果を示す図 であり、(a)はアニール前の測定結果、(b)はア ニール後の測定結果である。 本発明に係る金属酸化物層における、 抵抗率、キャリア濃度およびホール移動度の 温度依存性を示す図である。 本発明に係る金属酸化物層の透過率、 反射率および吸収率を測定した結果を示す図 である。 本発明に係る金属酸化物層における、 抵抗率、キャリア濃度およびホール移動度の 第1の前駆体層の膜厚依存性を示す図である 本発明に係る金属酸化物層における、抵抗率 、キャリア濃度およびホール移動度のO 2 流量比依存性を示す図である。 O 2 流量比1.0vol%で成膜した後、アニールした膜 おける、透過率、反射率および吸収率の測 結果を示す図である。

符号の説明

10  基板
11  第1の前駆体層
12  第2の前駆体層
13  前駆体積層物
13’ 金属酸化物層

<第1の実施形態>
 本発明の第1の実施の形態について詳細に説 明する。
 図1は本実施形態の導電体の断面図である。 本実施形態では、まず基板10(基体)の表面上 、ドーパントを含む酸化チタンからなる第1 前駆体層11を形成し、その上にドーパント 含む酸化チタンからなる第2の前駆体層12を 成する。該第1の前駆体層11と第2の前駆体層1 2の積層物を前駆体積層物13という。
 そして、該前駆体積層物13を還元雰囲気下 アニールすることにより金属酸化物層13’を 得る。こうして得られる金属酸化物層13’は 明性および導電性に優れており、導電体と て好適である。

<基体>
 基体(基板10)の材質は特に限定されない。例 えば単結晶材料、多結晶材料、またはアモル ファス材料でもよく、これらの結晶状態が混 在する材料でもよい。
 具体例としては、チタン酸ストロンチウム( SrTiO 3 )の単結晶または多結晶からなる基板;ペロブ カイト型結晶構造またはそれと類似構造を する岩塩型結晶からなる単結晶基板または 結晶基板;窒化ガリウムの単結晶または多結 晶からなる基板;ウルツ鉱型結晶構造または れと類似構造を有する閃亜鉛鉱型結晶の窒 物あるいは酸化物の単結晶基板または多結 基板;水晶基板;ノンアルカリガラス(例えば 硝子社製、製品名:AN100)、ソーダライムガラ (ソーダ石灰ガラス)等のガラス材料からな ガラス基板;ポリイミド、ポリエチレンテレ タラート、ポリエチレンナフタレート、ト アセチルアセトナート、ポリエーテルスル ォン、ポリカーボネート、ポリエチレン、 リ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリメタ リレート等のプラスチック材料からなるプ スチック基板;表面に熱酸化膜が形成された シリコン基板(熱酸化Si基板)等の半導体基板 が挙げられる。基体は、本発明の効果を損 わない範囲でドーパント、不純物などが含 れていてもよい。
 基体としてSrTiO 3 の単結晶基板を用いる場合は、基板表面が(10 0)面となるように仕上げられた基板が好まし 。この単結晶基板表面にはエピタキシャル 長によりアナターゼ型結晶構造が生成し易 からである。
 一方、ガラス基板の場合は、表面がアモル ァスであることより従来法ではルチル型結 構造が生成し易い傾向にあったが、本発明 おいてはアナターゼ型結晶構造が生成し、 来法に比較して良好な導電膜を得ることが きる。このように、本発明の方法によれば 表面の少なくとも一部がアモルファスであ 基体であっても、該基体の表面上に良好な 電膜を形成できる。
 本発明において、基体の結晶状態は、多結 、アモルファス、または多結晶とアモルフ スとが混在する状態が好ましい。

 本発明における基体の形状は特に限定され い。例えば板状の基板10であってもよく、 ラスチックフィルム等のフィルム状であっ もよい。
 基板10の厚さは特に限定されない。基板10の 透明性が要求される場合には1mm以下が好まし い。板状の基板10において機械的強度が求め れ、透過率を多少犠牲にしてもよい場合で れば、1mmより厚くてもよい。基板10の厚さ 、例えば0.2~1mmが好ましい。

 基板10は、必要に応じて研磨したものを用 ることができる。SrTiO 3 基板等の結晶性を有する基板は、研磨して用 いることが好ましい。例えば研磨材としてダ イヤモンドスラリーを使用して機械研磨する 。該機械研磨では、使用するダイヤモンドス ラリーの粒径を徐々に微細化してゆき、最後 に粒径約0.5μmのダイヤモンドスラリーで鏡面 研磨することが好ましい。その後、更にコロ イダルシリカを用いて研磨することにより、 表面粗さの二乗平均粗さ(RMS)が10Å(1nm)以下と なるまで平坦化させてもよい。

 第1の前駆体層11を形成する前に、基板10 前処理してもよい。該前処理は例えば以下 手順で行うことができる。まず基板をアセ ン、エタノール等により洗浄する。次に、 板を高純度塩酸(例えば、ELグレード、濃度36 質量%、関東化学社製)中に2分間浸す。次に、 基板を純水中に移して塩酸等をすすぐ。次に 、基板を新たな純水中に移し、ここで超音波 洗浄を5分間行う。次に、基板を純水中から り出し、窒素ガスを基板表面に吹き付けて 分を基板表面から除去する。これらの処理 、例えば室温で行う。これらの処理により 基板表面から酸化物、有機物等が除去され と考えられる。上記では塩酸を例に挙げた 、これに代えて王水、フッ酸等の酸を使用 てもよい。また、酸による処理は室温下で ってもよいし、加熱した酸を使用してもよ 。

<ドーパント>
 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12はい れも、Nb、Ta、Mo、As、Sb、Al、Hf、Si、Ge、Zr W、Co、Fe、Cr、Sn、Ni、V、Mn、Tc、Re、P及びBi らなる群から選ばれるドーパントの1種又は2 種以上を含む酸化チタンからなる。本発明に おける酸化チタンはTiO 2 のTiサイトが金属原子M(ドーパント原子)で置 されたものであり、以下「M:TiO 2 」と表すことがある。なお本明細書における 「酸化チタン」および「TiO 2 」には、特に断りのない限り、「TiO 2-δ (δは酸素欠損量。)」も含まれるものとする
 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12にお て、ドーパントの金属原子(M)、酸素原子(O) およびチタン原子(Ti)以外の不純物の含有量 は0.1原子%以下であることが好ましく、0.01原 %以下がより好ましい。
 特に、ドーパントとしてNb、Ta、Mo、As、Sb、 Al、Hf、Si、Ge、Zr又はWを用いると、金属酸化 層13’の透明度を維持しつつ電気伝導度の 上が期待できる。また、ドーパントとしてCo 、Fe、Cr、Sn、Ni、V、Mn、Tc、Re、P又はBiを用い ると、磁気光学効果や強磁性も期待できる。
 上記に挙げたドーパントのうちで、Nb、Ta、 Mo、As、Sb又はWを用いることが好ましく、特 Nbおよび/またはTaを用いることが、導電性を 良好とする点で好ましい。
 第1の前駆体層11に添加されるドーパントと 第2の前駆体層12に添加されるドーパントと 、同じであってもよく、異なっていてもよ 。

 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12にお るそれぞれのチタン原子(Ti)に対するドーパ ント原子の含有量はアニール後も維持される 。したがって、第1の前駆体層11および第2の 駆体層12におけるドーパント原子の含有量は 、アニール後に得ようとする金属酸化物層13 のドーパント原子含有量に応じて設定する
 第1の前駆体層11におけるドーパント原子の 有量と、第2の前駆体層12におけるドーパン 原子の含有量とは同じであってもよく、異 っていてもよい。

 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12のそ ぞれにおけるドーパント原子の含有量は、 タン原子(Ti)とドーパントの金属原子(M)との 合計量を100原子%とすると(以下、同様。)、0 子%超から50原子%以下が好ましい。50原子%よ 大きくなると、アニール後の金属酸化物層1 3’において母物質であるTiO 2 の特性が弱くなってしまう。より好ましくは 20原子%以下、特に10原子%以下が好ましい。
 一方、アニール後の金属酸化物層13’にお る高透明性と低抵抗を良好に両立させるう で、第1の前駆体層11におけるドーパント原 の含有量および第2の前駆体層12におけるド パント原子の含有量はいずれも、1原子%以上 であることがより好ましい。
 またドーパント原子の含有量によって、金 酸化物層13’における光透過特性を調整す こともできる。例えばNb原子のドープ量を多 くすることによって、長波長の赤色領域をカ ットし、青色のみ透過するように構成するこ とも可能である。

<積層物形成工程>
 まず、基板10上に、第1の前駆体層11と第2の 駆体層12が積層された前駆体積層物13を形成 する。本発明において、第1の前駆体層11と第 2の前駆体層12の積層順序は限定されない。本 実施形態では、まず基板10上に第1の前駆体層 11を形成し、その上に第2の前駆体層12を形成 る。

 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12は公 の成膜方法を適宜用いて形成することがで る。具体的には、パルスレーザ堆積(Pulsed L aser Deposition:PLD)法、スパッタ法等の物理気相 蒸着(PVD)法;MOCVD法等の化学気相蒸着(CVD)法;ゾ ゲル法、化学溶液法等の溶液からの合成プ セスによる成膜法等が挙げられる。
 特にPLD法は良好な膜状態が得られ易い点で ましく、スパッタ法は、基板の結晶性にか わらず成膜しやすい点で好ましい。

 スパッタ法を用いる場合、酸化性スパッタ スを含む雰囲気ガス中で、反応性スパッタ により基板10上に第1の前駆体層11を形成し 後、該第1の前駆体層11上に、酸化性スパッ ガスを含む雰囲気ガス中で、反応性スパッ 法により第2の前駆体層12を形成する方法が ましい。スパッタ装置は公知のものを適宜 用できる。例えば反応性DCマグネトロンスパ ッタ装置を使用できる。
 具体的には、まずスパッタ装置の真空チャ バ内に、ターゲットおよび基板10をセット る。ターゲット裏面側には磁石が配置され いる。次いで、真空チャンバ内をポンプで 気して真空状態とした後、スパッタガスを 入して所定のスパッタ圧力に調整する。続 て、スパッタ圧力を維持しつつ、ターゲッ 裏面の磁石により所定強度の磁場を発生さ るとともに、ターゲットに所定の電圧を印 して、基板上に第1の前駆体層11を成膜する
 成膜時のスパッタ圧力は、例えば0.1~5.0Pa程 が好ましく、0.3~3.0Pa程度がより好ましい。

[ターゲット]
 成膜に使用するターゲットは、金属ターゲ トでもよく、金属酸化物ターゲットでもよ 、両者を併用してもよい。金属ターゲット しては、例えば所定量のドーパントを含む タン合金等が用いられる。金属酸化物ター ットとしては、例えば所定量のドーパント 含むTiO 2 焼結体等が用いられる。例えばNb:TiO 2 焼結体は、所望の金属原子比となるように秤 量されたTiO 2 とNb 2 O 5 の各粉末を混合し、該混合した粉末を加熱成 形することにより作製できる。1種のターゲ トに複数種類のドーパントが含まれていて よい。
 ターゲットにおけるチタン原子(Ti)に対する ドーパント原子の含有率は、該ターゲットを 用いて成膜される膜におけるドーパント原子 の含有率とほぼ同等となる。したがって、得 ようとする第1の前駆体層11または第2の前駆 層12におけるドーパント原子含有量に応じて 、ターゲットのドーパント原子含有量を設定 することが好ましい。
 ターゲットにおけるドーパント原子の含有 は、チタン原子(Ti)とドーパントの金属原子 (M)との合計量を100原子%とすると、0原子%超か ら50原子%以下が好ましい。50原子%より大きく なると、アニール後の金属酸化物層13’にお て母物質であるTiO 2 の特性が弱くなってしまう。該ドーパント原 子の含有量は20原子%以下が好ましく、10原子% 以下がより好ましい。一方、アニール後の金 属酸化物層13’における高透明性と低抵抗を 好に両立させるうえで、ターゲットにおけ ドーパント原子の含有量は1原子%以上がよ 好ましい。
 金属酸化物ターゲットの組成において、Ti 原子数に対するOの原子数の比(O/Ti比)が0.5~2.0 の範囲であることが好ましい。すなわち、M:T iO 2―δ :0≦δ≦1.5であることが好ましい。この範囲 りもO/Ti比が少ないと膜が着色しやすく、透 性と導電性を両立することが困難になる。 の範囲よりもO/Ti比が多い酸化物は製造が難 しい。該O/Ti比が1.0~2.0の範囲であると膜の透 性と導電性が両立しやすい。さらに該O/Ti比 が1.5~2.0の範囲であるとより透明性が高い膜 得られる。
 金属酸化物ターゲットの結晶構造は、ルチ 型、アナターゼ型、ブルッカイト型、マグ リ相のいずれでもよく、これらの混合物で よい。

[スパッタガス]
 スパッタガスとしては、少なくとも酸化性 パッタガスが用いられ、好ましくは酸化性 パッタガスと不活性ガスの混合ガスが用い れる。
 不活性ガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、及びXe から選ばれる1種又は2種以上を使用できる。 化性スパッタガスとしては、O 2 、O 3 、H 2 O、及びCO 2 から選ばれる1種又は2種以上を使用できる。 全性と成膜装置の保守の点からは酸化性ス ッタガスとしてO 2 を用いることが好ましい。
 成膜時の雰囲気ガス中における酸化性スパ タガスの濃度は、真空チャンバに導入され スパッタガスの合計の流量に対する酸化性 パッタガスの流量の割合(以下、酸化性スパ ッタガス流量比ということもある。)によっ 調整できる。例えばスパッタガスとして酸 性スパッタガスと不活性ガスの混合ガスを いる場合、前記スパッタガスの合計の流量 、酸化性スパッタガスの流量と不活性ガス 流量の合計である。

[基板温度:第1の前駆体層]
 第1の前駆体層11は、アモルファス層、また 多結晶を含みかつ該多結晶がルチル型結晶 含まない層となるように形成される。その めには、第1の前駆体層11を成膜する際の基 温度は600℃以下が好ましい。600℃を超える ルチル型結晶が生成されやすくなる。該成 時の基板温度の下限値は、成膜可能な温度 あればよく特に限定されない。例えば77K(約 -196℃)である。
 金属酸化物層13’の抵抗をより低くするう では、第1の前駆体層11がアモルファス層で ることが好ましく、そのためには成膜時の 板温度が室温以下であることが好ましい。 明細書において、成膜時の基板温度におけ 「室温」とは、基板を非加熱で成膜する際 基板温度がとり得る温度範囲であり、スパ タ法では25~80℃程度である。したがって、第 1の前駆体層11をアモルファス状とするには、 基板を非加熱とした状態で成膜を行うことが 好ましい。さらには成膜時の基板温度を例え ば25~50℃程度に保つことがより好ましく、必 に応じて冷却することが好ましい。
 また第1の前駆体層11が多結晶を含む層であ 場合は、アニール後に該多結晶がルチル型 晶を含んでいなければよい。したがって、 えば室温以下の基板温度でアモルファス層 形成し、該アモルファス層を、ルチル型結 が生成しないように結晶化温度以上でアニ ルした、多結晶を含む層も第1の前駆体層11 して用いることができる。

[基板温度:第2の前駆体層]
 第2の前駆体層12はアモルファス層となるよ に形成される。そのためには、第2の前駆体 層12を成膜する際の基板温度は室温以下が好 しい。すなわち、第2の前駆体層12は、基板 非加熱とした状態で成膜することが好まし 。さらには成膜時の基板温度を例えば25~50 程度に保つことがより好ましく、必要に応 て冷却することが好ましい。該成膜時の基 温度の下限値は、成膜可能な温度であれば く特に限定されない。例えば77K(約-196℃)で る。

 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12お る結晶状態は、XRDプロファイルによって確 できる。すなわちX線回折(XRD)装置によりXRD ロファイルを測定し、アナターゼ型多結晶 特徴的に観察される(101)および(004)のピーク 、ならびにルチル型多結晶に特徴的に観察さ れる(110)のピークの有無を観察する。いずれ ピークも観察されない場合はアモルファス であると判定し、いずれかのピークが有れ 多結晶を含む層であると判定する。また、( 110)ピークが有れば該多結晶はルチル型結晶 含むと判定し、(110)ピークが無ければ該多結 晶はルチル型結晶を含まないと判定する。

 [第1の前駆体層11および第2の前駆体層12が満 たす条件(1)および条件(2)]
 条件(1):下記の方法により単層アニール試験 を行ったときに、第1の前駆体層11は、多結晶 を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含まな い層となるように形成され、第2の前駆体層12 は、多結晶を含みかつ該多結晶がルチル型結 晶を含む層となるように形成される。
 条件(2):第1の前駆体層11は、波長800nmにおけ 吸収係数が0cm -1 より大きく、2×10 4 cm -1 未満、好ましくは0cm -1 超、1×10 4 cm -1 未満となるように形成され、第2の前駆体層12 は、波長800nmにおける吸収係数が2×10 4 cm -1 以上、5×10 4 cm -1 未満、好ましくは3×10 4 cm -1 以上、4×10 4 cm -1 以下となるように形成される。
 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12が、 記(1)、および(2)のいずれかの条件を満たせ よく、両方を同時に満たしてもよい。
 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12を、 記(1)および/または(2)の条件を満たすように 形成することにより、電気的抵抗が小さく、 かつ透明性に優れた金属酸化物層13’が得ら る。

(単層アニール試験)
 本発明において、第1の前駆体層11に対する 層アニール試験は、ノンアルカリガラス基 上に厚さ100nmで形成されたサンプル膜を用 て、以下の手順で行われる。
 まず、ノンアルカリガラス(旭硝子社製、製 品名:AN100)からなる基板の表面上に、実際の 層物形成工程において第1の前駆体層11を形 する時と同じ組成のターゲットおよび同じ 膜条件を用いてサンプル膜を形成する。た しサンプル膜の膜厚は、実際の第1の前駆体 11の膜厚にかかわらず100nmとする。
 次いで該サンプル膜に対して単層アニール 験を行う。すなわち、アニール雰囲気を一 10 -1 Paの真空にした後、水素(H 2 )を導入してH 2 100%の雰囲気とする。このときの雰囲気圧力 1.013×10 5 Pa(1気圧)とする。続いて、該H 2 雰囲気中で、基板の裏面に加熱体を接触させ 、基板温度が5分間で室温(約25℃)から500℃に するように加熱する。そして500℃で1時間保 持した後、室温まで放冷する。
 こうして単層アニール試験を行った後のサ プル膜について、X線回折(XRD)装置によりXRD ロファイルを測定し、上述の第1の前駆体層 11おける結晶状態の判定方法と同様にして判 する。
 なお、第1の前駆体層11がアモルファス層を 膜した後にアニールを施したものである場 、単層アニール試験に供するサンプル膜は 同様にアモルファス層を成膜した後、アニ ルを行って形成する。

 第2の前駆体層12に対する単層アニール試 は、上記第1の前駆体層11に対する単層アニ ル試験において、サンプル膜を形成する際 条件を、実際の積層物形成工程において第2 の前駆体層12を形成する時と同じ組成のター ットおよび同じ成膜条件を用いる他は、第1 の前駆体層11に対する単層アニール試験と同 である。単層アニール試験を行った後のサ プル膜における結晶状態の判定も、上述の 1の前駆体層11おける結晶状態の判定方法と 様である。

(吸収係数)
 本発明における「波長800nmにおける吸収係 」の値は、以下の方法で求められる。
 まず、波長800nmにおける透過率と反射率を 定する。該透過率の測定値がT(%)、反射率の 定値がR(%)、膜厚がd(cm)であるとき、吸収係 α(cm -1  )は、以下の数式(I)によって算出される。
α={ln(100/T)+ln(1-R/100)}/d …(I)

 上記(1)の条件に関しては、単層アニール試 において、アニール時の基板温度が500℃で るため、アニール前のサンプル膜がアモル ァスであっても多結晶を含んでいても、ア ール後のサンプル膜は多結晶を含む。成膜 件を、膜中の酸素含有量が少なくなるよう 条件とすると、単層アニール試験後の膜に チル型結晶が含まれる傾向がある。
 なお、単層アニール試験において、アニー 前のサンプル膜が多結晶を含んでおり、該 結晶がルチル型結晶を含まない場合は、ア ール後のサンプル膜における多結晶にはル ル型結晶は含まれない。

 上記(2)の条件に関しては、成膜条件を、膜 の酸素含有量が少なくなるような条件とす と、波長800nmにおける吸収係数が大きくな 傾向がある。
 第1の前駆体層が、上記(2)の条件を満たすよ うに成膜されたアモルファス層である場合、 該アモルファス層が結晶化温度以上に加熱さ れたときにアナターゼ型結晶が生成され易く 、ルチル型結晶は生成され難い。
 第1の前駆体層が、上記(2)の条件を満たすよ うに成膜された、多結晶を含む層である場合 、該多結晶はルチル型結晶を含んでいない。 したがって、アニール後にもルチル型結晶は 含まれない。
 第2の前駆体層が、上記(2)の条件を満たすよ うに成膜されたアモルファス層である場合、 該アモルファス層は、単層の状態で結晶化温 度以上に加熱されるとルチル型結晶が生成す る。
 本実施形態において、上記(1)および/または (2)の条件を満たすために、膜中の酸素含有量 を制御する方法としては、(A)成膜時の雰囲気 ガス中における酸化性スパッタガスの濃度を 制御する方法、および(B)成膜時に使用するタ ーゲットにおける酸素原子の含有量を制御す る方法がある。
 膜中の酸素含有量を制御するには、これら 方法をそれぞれ単独か、(A)の方法と(B)の方 を組み合わせて行ってもよい。

 [(A)酸化性スパッタガス流量比]
 上記(A)の方法による場合、雰囲気ガス中に ける酸化性スパッタガスの濃度は、具体的 は、成膜時の酸化性スパッタガス流量比に って制御できる。ターゲットにおける酸素 子の含有量が一定である場合、該酸化性ス ッタガス流量比が少なくなるほど、膜中の 素含有量は少なくなる。

 具体的に、上記(1)および/または(2)の条件を 満たすうえで、例えばターゲットが金属酸化 物(M:TiO 2―δ1 :0≦δ1≦1.5)からなる場合、第1の前駆体層11を 成膜する際の酸化性スパッタガス流量比は、 0.1vol%以上が好ましく、0.25vol%以上がより好ま しい。該酸化性スパッタガス流量比の上限は 100vol%でもよい。
 一方、第2の前駆体層12を成膜する際の酸化 スパッタガス流量比は、0.1vol%未満が好まし く、0.05vol%以下がより好ましい。該酸化性ス ッタガス流量比の下限は、0vol%でもよい。
 また第2の前駆体層12を成膜する際のスパッ ガスに酸化性スパッタガスを含有させず、 素(H 2 )ガスを含有させてもよい。この場合のスパ タガスの全流量に対する水素ガスの流量比 1vol%以上50vol%以下が好ましい。該水素ガスの 流量比が上記範囲より少ないと水素ガスの添 加効果が不充分であり、上記範囲より多いと 過剰な還元によって金属チタンが生成する可 能性がある。

 また、ターゲットが金属からなる場合は、 記(1)および/または(2)の条件を満たすうえで 、第1の前駆体層11を成膜する際の酸化性スパ ッタガス流量比は、7.5vol%以上が好ましく、10 vol%以上がより好ましい。該酸化性スパッタ ス流量比の上限は100vol%でもよい。
 一方、第2の前駆体層12を成膜する際の酸化 スパッタガス流量比は、3vol%以上、7.5vol%以 の範囲が好ましく、5vol%以上、7vol%以下がよ り好ましい。該酸化性スパッタガス流量比が 上記範囲より少ないと、酸化不足が原因で、 金属チタンが生成する可能性がある。
 第2の前駆体層を形成する際の雰囲気ガス中 における酸化性スパッタガスの濃度は、第1 前駆体層を形成する際の雰囲気ガス中にお る酸化性スパッタガスの濃度よりも低いこ が、透明性が高く導電性が高い層が形成で る点で好ましい。さらに、この場合、おの のの酸化性ガスの種類は同じであることが ましい。

 [(B)ターゲットにおける酸素原子含有量]
 上記(B)の方法による場合、ターゲットにお る酸素原子の含有量は、例えば図2に示すよ うに、金属ターゲット21と金属酸化物ターゲ ト22を同時に用いて成膜することにより、 属酸化物ターゲットのみを用いて成膜する 合よりも、成膜に使用するターゲットにお る酸素原子の含有量を少なくすることがで る。
 具体的には、予め真空チャンバ内に、金属 ーゲット21と金属酸化物ターゲット22の両方 を、基板10と対向する側にセットしておく。 して、金属ターゲット21および/または金属 化物ターゲット22に電圧を印加し、基板10を 回転させつつ該基板10上に成膜を行う。金属 ーゲット21および金属酸化物ターゲット22に おけるドーパントの含有量は同じであること が好ましい。
 この方法において、雰囲気ガス中における 化性スパッタガスの濃度が一定であり、金 ターゲット21と金属酸化物ターゲット22の大 きさが同じである場合、「金属ターゲットへ の投入電力/金属酸化物ターゲットへの投入 力」の割合が大きくなるほど、膜中の酸素 有量は少なくなる。
 第2の前駆体層12を形成する際に使用するタ ゲットにおける酸素原子の含有量は、第1の 前駆体層11を形成する際に使用するターゲッ における酸素原子の含有量よりも低いこと 、透明性が高く導電性が高い層が形成でき 点で好ましい。さらに、この場合、おのお のターゲットにおけるドーパント含有量は じであることが好ましい。

 例えば、金属酸化物(M:TiO 2―δ2 :0≦δ2≦1.5)からなる金属酸化物ターゲット22 、MとTiの合金からなる金属ターゲット21を い、第1の前駆体層11の成膜時および第2の前 体層12の成膜時の酸化性スパッタガス流量 を0.1vol%以上の範囲内で一定とする場合、第1 の前駆体層11を成膜する際は、図2(a)に示すよ うに、金属酸化物ターゲット22にのみ電圧を 加し、金属ターゲット21への印加電圧はゼ とすることが好ましい。
 続いて、第2の前駆体層12を成膜する際は、 2(b)に示すように、金属ターゲット21と金属 化物ターゲット22の両方に電圧を印加する 例えば金属酸化物ターゲットの放電方式がRF 放電であり、金属ターゲットの放電方式がDC 電であり、ターゲットの面積が同じである 合、上記(1)および/または(2)の条件を満たす うえで、金属酸化物ターゲットへの投入電力 (単位:W)を100%とするときの金属ターゲットへ 投入電力(単位:W)の割合は5~40%が好ましい。

[膜厚]
 前駆体積層物13において、第1の前駆体層11 膜厚T1は5nm以上、50nm以下が好ましく、10nm以 、40nm以下がより好ましい。該膜厚が上記範 囲であれば、電気的抵抗が小さく、かつ透明 性に優れた金属酸化物層13’が得られる。ま キャリア濃度、ホール移動度においても良 な特性が得られる。
 第2の前駆体層12の膜厚T2は5nm以上である限 特に限定されず、アニール後の金属酸化物 13’の所望の厚さに応じて設定することが好 ましい。下記金属酸化物層13’の好ましい厚 から第2の前駆体層12の膜厚T2は15nm以上が好 しい。なお前駆体積層物13の厚さ(T1+T2)は、 造条件によってアニール後に0~10%程度減少 ることがある。したがって、通常は、金属 化物層13’の厚さは前駆体積層物13の厚さ(T1+ T2)に対して0~10%程度薄い膜厚となる。
 アニールを経て得られた金属酸化物層13’ 厚さは特に限定されず、用途等に応じて適 設定できる。例えば20~1000nmが好ましく、100~2 00nmがより好ましい。

<アニール工程>
 前駆体積層物13を、還元雰囲気下で加熱し アニールする工程を経て、導電体としての 属酸化物層13’を形成する。
 抵抗率、キャリア濃度およびホール移動度 おいて、より良好な特性が得られる点で、 駆体積層物13を、第1の前駆体層11側から加 することが好ましい。本実施形態では、基 10上に第1の前駆体層11が形成され、その上に 第2の前駆体層12が形成されているので、基板 10側から加熱することが好ましい。

 本発明における還元雰囲気とは、アニール 囲気中における酸化性ガスの分圧が0.2×10 5 Pa以下であることをいう。該酸化性ガスとは アニール工程において前駆体積層物13に酸 を与え得る気体を意味し、具体例としてはO 2 、O 3 、NO、NO 2 、H 2 O等が挙げられる。アニール雰囲気中に酸化 ガスが2種以上含まれる場合は、それらの分 の合計が上記の範囲内であればよい。還元 囲気中における酸化性ガスの分圧は、1×10 4 Pa以下が好ましく、10Pa以下がより好ましい。 1×10 -8 Pa程度が最も好ましい。酸化性ガスの分圧の が小さいほど、より低抵抗の金属酸化物層1 3’を得ることができる。
 また、金属酸化物層13’をより低抵抗化す うえで、還元雰囲気中にH 2 および/またはCOを存在させることが好ましく 、プラズマ状態のH 2 を存在させることがより好ましい。したがっ て、アニール雰囲気を一旦真空状態にした後 、水素(H 2 )を導入してアニールを行うことが好ましい
 また、アニールを行う還元雰囲気を真空状 とすることも好ましい。
 本明細書おいて、真空状態の雰囲気圧力は1 0 3 ~10 -8 Paの範囲であり、10 0 ~10 -8 Paの範囲が好ましく、10 -2 ~10 -8 Paの範囲がより好ましい。

 本発明におけるアニールとは、加熱により 定の温度(アニール温度)まで上昇させた後 温度を下げる操作をいう。本実施形態のよ に基板10上に前駆体積層物13が形成されてい 場合は、アニール温度として基板温度を適 することができる。
 アニール温度は、第1の前駆体層11および第2 の前駆体層12がいずれも、アニール後に多結 を含む層となる温度範囲に設定する。
 アニール後の金属酸化物層13’の結晶状態 、多結晶状態でもよく、アモルファスと多 晶とが混在している状態でもよい。アモル ァス構造には一般に複屈折がないため、ア ルファスと多結晶とが混在している状態は 光学的に好ましい。

 アニールにおけるアニール温度は、具体的 は、第1の前駆体層11の結晶化温度および第2 の前駆体層12の結晶化温度のうちの高い方よ も、さらに高い温度とする。例えばドーパ トが添加されていないTiO 2 の結晶化温度は約250℃であり、ドーパントが 添加されると該結晶化温度は低下する傾向が ある。したがってアニール温度は、ドーパン トの種類にもよるが、200℃以上が好ましい。 一方、該アニール温度が高すぎるとアニール 工程においてアナターゼ型の結晶構造がこわ れ、良好な電気伝導特性が得られなくなるお それがあるため、900℃以下が好ましい。基板 10の耐熱性、エネルギー削減、昇温時間の短 等の点からはアニール温度が低い方が望ま い。アニール温度のより好ましい範囲は250~ 850℃であり、250~800℃がさらに好ましい。
 所定のアニール温度に保持する時間(アニー ル時間)は特に制限されず、アニール後に所 の特性が得られるように適宜設定できる。 ニール温度が低いとアニール時間が長くな 傾向がある。アニール時間は、アニール温 以外の条件にもよるが、1分以上が適当であ 、例えば1~120分の範囲内が好ましく、1~60分 好ましい。

 第2の前駆体層12は、上記(1)の条件を満たす うに形成されるため、単層でアニールした 合にはルチル型結晶を含む多結晶となるに かかわらず、第1の前駆体層11と第2の前駆体 層12を積層した前駆体積層物13の状態でアニ ルすると、アニール後の金属酸化物層13’に おいてはルチル型結晶の生成が大幅に抑えら れる。特に前駆体積層物13を第1の前駆体層11 から加熱すると、金属酸化物層13’はルチ 型結晶を含まない多結晶となる。これは驚 べき現象である。
 第2の前駆体層12は、成膜時の条件を膜中の 素含有量が少なくなる条件とすることによ 形成できる。また上記(2)の条件を満たす第1 の前駆体層11は透明性が高いのに対して、第2 の前駆体層12は吸収係数が高く、着色してい 。これらのことから、第2の前駆体層12は、 ニール前において酸素欠陥を多く含んでい と考えられる。
 一方、一般的に、アモルファス膜中の酸素 陥が多いと、結晶化温度以上に加熱された きにルチル型結晶が生成し易くなり、アナ ーゼ型多結晶が生成し難くなることから、 1の前駆体層11における酸素欠陥は少ないと えられる。例えば、上記(1)および/または(2) の条件を満たすとき、第2の前駆体層12におけ る酸素原子の欠陥は、Nbを添加していないTiO 2 薄膜のキャリア濃度から推測すると、1×10 18 ~1×10 20 個/cm -3 程度、第1の前駆体層11における酸素欠陥は1× 10 18 個/cm -3 未満程度になっていると考えられる。

 このようにして得られる金属酸化物層13’ 、第1の前駆体層11の成膜条件で形成された 層をアニールして得られる金属酸化物層と べて、ルチル型結晶を含まない多結晶とい 点では同じであるにもかかわらず、抵抗率 キャリア濃度およびホール移動度が顕著に 上する。
 本実施形態によれば、低抵抗かつ高透明性 金属酸化物層13’を実現でき、特に可視光 で良好な透過率が得られる。したがって、 明性が要求される導電体として好適である
 また特許文献1に記載されている、アナター ゼ型結晶構造を有するM:TiO 2 の単結晶薄膜をエピタキシャル法で成膜する 際には、基板における結晶の配向性が重視さ れ、製造条件の管理も厳しい。
 しかし、本発明の製造方法によればガラス 板だけでなく、プラスチック表面、アモル ァスシリコン基板などのシリコン基板上に 導電体を形成できるため基板選択の幅が大 く、製造も容易である。したがって、本発 の製造方法は生産性が良く、得られる導電 の用途も広い。

<第2の実施形態>
 第1の実施形態では基板上にスパッタ法で前 駆体積層物を形成したが、PLD(パルスレーザ 積)法で形成してもよい。
 PLD法では、例えば、適切な減圧状態を維持 きるチャンバ内に、基板とターゲットとを 向して配置し、チャンバ内に酸素ガスを注 するとともに、該チャンバ内における酸素 圧を所定の値に保持し、基板温度を所定の 度に設定して、基板およびターゲットを回 駆動させつつ、パルスレーザ光をターゲッ に断続的に照射して、ターゲット表面の温 を急激に上昇させ、アブレーションプラズ を発生させる。このアブレーションプラズ 中に含まれるTi原子、O原子、およびM(ドー ント)原子は、チャンバ中の酸素ガスとの衝 反応等を繰り返しながら状態を徐々に変化 せて基板へ移動し、基板へ到達したTi原子 M原子、O原子を含む粒子は、そのまま基板の 表面に拡散し、薄膜化される。こうして基板 上に膜が形成される。
 上記パルスレーザ光として、例えばパルス 波数が1~10Hzであり、レーザフルエンス(レー ザパワー)が1~2J/cm 2 であり、波長が248nmであるKrFエキシマレーザ 用いられる。
 チャンバの排気側の圧力は常に10 -3 torr(1.33×10 -1 Pa)以下に保たれることが好ましく、10 -4 torr以下がより好ましい。

[ドーパント]
 本実施形態における基体およびドーパント 第1の実施形態と同様である。
 ターゲットは、例えば金属酸化物ターゲッ が用いられる。金属酸化物ターゲットにつ ては第1の実施形態と同様である。本実施形 態においても、ターゲットにおけるドーパン トの含有率は、該ターゲットを用いて成膜さ れる膜におけるドーパントの含有率とほぼ同 等となる。

[基板温度]
 第1の前駆体層11および第2の前駆体層12の、 膜時の基板温度は第1の実施形態と同様であ る。
 なお、PLD法において、基板を非加熱で成膜 る際に基板温度がとり得る温度範囲、すな ち成膜時の基板温度における「室温」の範 は、25~100℃程度であり、25~50℃が好ましい
 本実施形態において第1の前駆体層11および 2の前駆体層12が満たす条件は、第1の実施形 態における上記(1)、および(2)の条件と同じで ある。単層アニール試験も成膜法が異なる他 は同様である。

 [(C)酸素分圧]
 本実施形態において、上記(1)および/または (2)の条件を満たすために、膜中の酸素含有量 を制御する方法としては、上記(A)および(B)の 方法以外の、(C)成膜時の酸素分圧を制御する 方法が好ましい。
 ターゲットにおける酸素原子の含有量が一 である場合、成膜時の酸素分圧が低くなる ど、膜中の酸素含有量は少なくなる。
 具体的に、上記(1)および/または(2)の条件を 満たすうえで、例えばターゲットが金属酸化 物(M:TiO 2―δ3 :0≦δ3≦1.5)からなる場合、第1の前駆体層11を 成膜する際の酸素分圧は、5×10 -1 Pa以上が好ましく、1×10 0 Pa以上がより好ましい。また生産性の点で該 素分圧の上限は1×10 5 Paである。
 一方、第2の前駆体層12を成膜する際の酸素 圧は、5×10 -1 Pa未満が好ましく、3×10 -1 Pa以下がより好ましい。また透明性を確保す 点で該酸素分圧の下限は1×10 -8 Paである。
[膜厚]
 本実施形態における、第1の前駆体層11の膜 T1、第2の前駆体層12の膜厚T2、およびアニー ル後の金属酸化物層13’ の厚さは、第1の実 形態と同様である。

<アニール工程>
 PLD法により形成した前駆体積層物13を、還 雰囲気下で加熱してアニールを行うことに って、導電体としての金属酸化物層13’が得 られる。
 アニール工程は第1の実施形態と同様である 。
 本実施形態においても、第1の実施形態と同 様の作用効果が得られる。

<用途>
 本発明の導電体は適用範囲が広く、例えば フラットパネルディスプレイ、太陽電池、 ッチパネルなどの透明電極への適用が考え れる。また、反射防止膜に用いられる電磁 の遮蔽、静電気により埃がつかないように るフィルム、帯電防止膜、熱線反射ガラス 紫外線反射ガラスなどへの適用も考えられ 。SiO 2 からなる層と、NbをドープしたTiO 2 層とからなる多層膜を作製すれば反射防止膜 としても適用できる。

 用途の例として、色素増感太陽電池の電 ;ディスプレイパネル、有機ELパネル、発光 子、発光ダイオード(LED)、白色LED、レーザ どの透明電極;面発光レーザの透明電極;照明 装置;通信装置;特定の波長範囲だけ光を通す 品などのアプリケーション、なども考えら る。

 さらに具体的な用途として次のものを挙 ることができる。例えば、液晶ディスプレ (LCD:Liquid Crystal Display)における透明導電膜; カラーフィルタ部における透明導電膜;EL(EL:El ectro Luminescence)ディスプレイにおける透明導 膜;プラズマディスプレイ(PDP)における透明 電膜;PDP光学フィルタ;電磁波遮蔽のための 明導電膜;近赤外線遮蔽のための透明導電膜; 表面反射防止のための透明導電膜;色再現性 向上のための透明導電膜;破損対策のための 明導電膜;光学フィルタ;タッチパネル;抵抗 式タッチパネル;電磁誘導式タッチパネル; 音波式タッチパネル;光学式タッチパネル;静 電容量式タッチパネル;携帯情報端末向け抵 膜式タッチパネル;ディスプレイと一体化し タッチパネル(インナータッチパネル);太陽 池;アモルファスシリコン(a-Si)系太陽電池; 結晶Si薄膜太陽電池;CIGS太陽電池;色素増感太 陽電池(DSC);電子部品の静電気対策用透明導電 材料;帯電防止用透明導電材;調光材料;調光ミ ラー;発熱体(面ヒーター、電熱ガラス);電磁 遮蔽ガラス、などが挙げられる。

 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳し 説明するが、本発明はこれら実施例に限定 て解釈されるものではない。
<測定方法>
 以下において測定方法は次の方法を用いた 測定温度は特に断りのないかぎり室温(20~25 )とした。
[透過率、反射率、吸収率、および吸収係数]
 JEOL社製、分光光度計にて透過率(%)および反 射率(%)を測定した。吸収率(%)は、該測定によ って得られた透過率と反射率の合計を100から 減じて求めた。すなわち反射率=100-透過率-吸 収率により算出した。吸収係数は上述の方法 で求めた。
[X線回折(XRD)によるプロファイル]
 Bruker社製のX線回折装置(XRD)により測定した

 以下は、成膜方法としてスパッタ法を用 た例であり、基板温度の「室温」とは、25 以上80℃以下の範囲である。実際の実験では 、基板を加熱しない条件でスパッタ法による 成膜を行い、その際の基板温度は70℃以上80 以下の範囲であったことが確認できている

(例1:室温成膜・単層・O 2 流量比0~5%)
 主要な製造条件を表1に示す。すなわち反応 性DCマグネトロンスパッタ装置を用い、基板 にNbが添加された酸化チタン膜を形成した 基板としては厚さ1mmのノンアルカリガラス( 硝子社製、製品名:AN100)を使用した。スパッ タガスとしてArガスとO 2 ガスの混合ガスを用いた。
 すなわち、反応性DCマグネトロンスパッタ 置の真空槽内に、金属酸化物ターゲットと て、Nbを4原子%含有する酸化チタン焼結体を ットするとともに、基板をセットした。
 次いで、真空槽をポンプで5×10 -4 Pa以下まで排気した後、ArガスとO 2 ガスとをO 2 /(Ar+O 2 )で表されるO 2 流量比(酸化性スパッタガス流量比)が所定の となるように真空系内に導入し、真空槽内 圧力(スパッタ圧力)が1.0Paとなるように調整 した。
 そして、ターゲットに所定の磁場を印加し 状態で、金属酸化物ターゲットに150Wの電力 を印加し、基板上にNbがドープされた酸化チ ン膜(前駆体層)を形成した。基板の加熱は わず、基板温度は室温とした。膜厚は100nmと した。
 次いで、単層アニール試験を行って、基板 に金属酸化物層が形成されたサンプルを得 。得られた金属酸化物層のNb含有量は4原子% であった。
 前駆体層を形成する際のO 2 流量比を0vol%、0.05vol%、0.25vol%、0.5vol%、1.0vol% 2.0vol%、および5.0vol%の7通りに変えてそれぞ サンプルを製造した。
 いずれのサンプルにおいても、アニール前 アモルファス状態であることをXRDプロファ ルにより確認した。

 O 2 流量比が0~5.0vol%の場合の各サンプルの金属酸 化物層について、抵抗率、キャリア濃度、ホ ール移動度(Hall移動度)を測定した。その結果 を図3に示す。
 図3において、横軸はO 2 流量比であり、縦軸は抵抗率、キャリア濃度 、ホール移動度である。図3の結果から、O 2 流量比が0.05~5.0vol%の範囲では、O 2 流量比が低下するにしたがって抵抗率も漸次 低下するが、O 2 流量比がゼロになると、抵抗率が大幅に高く なる。

 またO 2 流量比が0vol%、0.05vol%、0.25vol%、1.0vol%、およ 5.0vol%の各サンプル(以下、それぞれ[例1-0%]、 [例1-0.05%]、[例1-0.25%]、[例1-1%]、[例1-5%]という 。)のアニール後の金属酸化物層について、X 回折を行った。得られたXRDプロファイルを 4に示す。図4において、[例1-0.25%]、[例1-1%] および[例1-5%]においては、アナターゼ型結 に見られる(101)ピークおよび(004)ピークが観 され、ルチル型結晶に見られる(110)ピーク 認められない。これに対して[例1-0.05%]にお ては、アナターゼ型結晶の(101)および(004)ピ クとともに、ルチル型結晶の(110)ピークが 察され、アナターゼ型結晶とルチル型結晶 混在した多結晶であることがわかる。また[ 1-0%]においては、(101)および(004)ピークは無 、(110)ピークが観察される。
 これらの結果に示されるように、[例1-0%]お び[例1-0.05%]は、アニール前はアモルファス であり、単層アニール試験後に、多結晶を みかつ該多結晶がルチル型結晶を含む層と る、すなわち[例1-0%]および[例1-0.05%]は本発 における第2の前駆体層についての上記(1)の 条件を満たす。
 また、[例1-0.25%]、[例1-1%]、および[例1-5%]は アニール前はアモルファス層であり、単層 ニール試験後に、多結晶を含みかつ該多結 がルチル型結晶を含まない層となる。すな ち、本発明における第1の前駆体層について の上記(1)の条件を満たす。

 図5は[例1-0%]のアニール前の膜について、透 過率T、反射率R、および吸収率を測定した結 を示すグラフである。横軸は波長を示す。 の結果より、波長800nmにおける吸収係数は3. 40×10 4  cm -1 であった。したがって、[例1-0%]のサンプルは 本発明における第2の前駆体層についての上 (2)の条件を満たす。また、このサンプルの 属酸化物層を目視で観察して着色している とが認められた。
 図6は[例1-1%]のアニール前の膜について、透 過率Tおよび反射率R、および吸収率を測定し 結果を示すグラフである。この結果より、 長800nmにおける吸収係数は3.58×10 3
cm -1 であった。なお、図6は膜厚60nmのデータであ が、吸収係数の値は膜厚に影響されない。 たがって、[例1-1%]は本発明における第1の前 駆体層についての上記(2)の条件を満たす。

(例2:室温成膜・前駆体積層物・第1の前駆体 側から加熱)
 主要な製造条件を表1に示す。すなわち例1 おいて、第1の前駆体層についての上記(1)お び(2)の条件を満たすことが確認された[例1-1 %]と同じ成膜条件で、基板上に第1の前駆体層 を形成した。基板は例1と同じである。ただ 膜厚は30nmとした。
 次いでその上に、例1において、第2の前駆 層についての上記(1)および(2)の条件を満た ことが確認された[例1-0%]と同じ成膜条件で 第2の前駆体層を形成した。ただし膜厚は170n mとした。
 こうして得られた前駆体積層物を、単層ア ール試験と同じ条件でアニールを行って、 板上に金属酸化物層が形成されたサンプル 得た。アニール時の加熱は基板に加熱体を 触させる方法で、第1の前駆体層側から行っ た。

(例3:室温成膜・前駆体積層物・第2の前駆体 側から加熱)
 例2において、第1の前駆体層と第2の前駆体 の積層順序を変え、アニール時の加熱は基 に加熱体を接触させる方法で、第2の前駆体 層側から行った。
 すなわち、まず基板上に、[例1-0%]と同じ成 条件で第2の前駆体層(膜厚170nm)を形成し、 の上に[例1-1%]と同じ成膜条件で第1の前駆体 (膜厚30nm)を形成した。基板は例1と同じであ る。
 こうして得られた前駆体積層物を、単層ア ール試験と同じ条件で、基板側から加熱し アニールを行い、基板上に金属酸化物層が 成されたサンプルを得た。

 例2および例3で得られた金属酸化物層につ て、抵抗率、キャリア濃度、ホール移動度 測定した。その結果を図7に示す。また比較 ために、例1で得られた[例1-0%]のサンプルお よび[例1-1%]のサンプルの金属酸化物層につい ての測定結果も合わせて示す。この図の結果 より、単層の状態でアニールした[例1-0%]およ び[例1-1%]のサンプルに比べて、これらを積層 してアニールした例2および例3は、抵抗率、 ャリア濃度およびホール移動度にいずれに いても格段に向上した。また、例3より例2 方が、これらの特性において優れていた。 属酸化物層の抵抗率は、1×10 -3 ωcm以下であることが好ましい。

 また図8および図9はそれぞれ例2および例3で 得られたサンプルの金属酸化物層について、 X線回折を行って得られた測定結果(XRDプロフ イル)である。
 図8に示されるように、例2のサンプルにお ては、アナターゼ型結晶に見られる(101)ピー クおよび(004)ピークが観察され、ルチル型結 に見られる(110)ピークは認められない。
 このことから、例2における第2の前駆体層 、単層アニール試験では生成される結晶の とんどがルチル型結晶である(図4参照。)に かかわらず、これを第1の前駆体層上に積層 、該第1の前駆体層側から加熱してアニール を行うと、ルチル型結晶を含まない多結晶が 生成されることがわかる。

 図9に示されるように、例3のサンプルにお ては、アナターゼ型結晶に見られる(101)ピー クおよび(004)ピークが観察されるとともに、 チル型結晶に見られる(110)ピークも認めら る。すなわち、アニール時に第2の前駆体層 から加熱した例3のサンプルはアナターゼ型 結晶のほかにルチル型結晶が混在している。
 このことから、例3における第2の前駆体層 、単層アニール試験で生成される結晶のほ んどがルチル型結晶である(図4参照。)にも かわらず、これを第1の前駆体層の下に積層 、第2の前駆体層側から加熱してアニールを 行うと、アナターゼ型結晶とルチル型結晶が 混在した状態となることがわかる。該第2の 駆体層におけるアニールによるルチル型結 の生成は、単層アニール試験に比べてわず であり、第1の前駆体層と第2の前駆体層を積 層してアニールすることにより、ルチル型結 晶の生成が大幅に抑えられることがわかる。

 図10は、例2におけるアニール前の前駆体積 物とアニール後の金属酸化物層について、 れぞれ透過率T、反射率Rおよび吸収率を測 した結果を示すグラフである。図10(a)はアニ ール前、図10(b)はアニール後の結果を示す。 10(a)に示されるように、アニール前の前駆 積層物は可視光領域における吸収率が高い これは第2の前駆体層の吸収係数が高く、着 しているためと考えられる。これに対して ニール後(図10(b))の金属酸化物層は、吸収率 が低下し、透明性が向上した。金属酸化物層 の可視光領域における最低透過率は、50%以上 であることが好ましい。
 図11は、例2で得られたアニール後の金属酸 物層について、測定温度を10~300Kの範囲で変 化させながら、抵抗率、キャリア濃度、ホー ル移動度を測定した結果を示すグラフである 。横軸は測定温度である。図11の結果より、 2で得られた金属酸化物層は温度が変化して もキャリア濃度はほぼ一定であり、金属的な 電気伝導特性を示すことがわかる。

 図12は、例3におけるアニール後の金属酸 物層について、透過率T、反射率Rおよび吸 率を測定した結果を示すグラフである。ア ール前の光学的特性は例2と同じである。図1 2に示されるように、アニール後の金属酸化 層は吸収率が低く、透明性が良好であった

(例4:室温成膜・前駆体積層物・第1の前駆体 側から加熱・膜厚依存性)
 例2において、第1の前駆体層の膜厚を15~60nm 範囲で変化させた。その他は例2と同様にし て基板上に金属酸化物層が形成されたサンプ ルを得た。
 得られた金属酸化物層について、抵抗率、 ャリア濃度、ホール移動度を測定した。そ 結果を図13に示す。横軸は第1の前駆体層の 厚を示す。
 図13の結果より、第1の前駆体層の膜厚がア ール後の金属酸化物層における電気的特性 影響を与えることがわかる。第1の前駆体層 の膜厚が15~30nmの範囲は、抵抗率およびキャ ア濃度において、突出して優れていた。

(例5:室温成膜・前駆体積層物・第1の前駆体 側から加熱・O 2 流量比依存性)
 例2において、第1の前駆体層の成膜時のO 2 流量比を1vol%~10vol%の範囲で変化させた。その 他は例2と同様にして基板上に金属酸化物層 形成されたサンプルを得た。
 得られた金属酸化物層について、抵抗率、 ャリア濃度、ホール移動度を測定した。そ 結果を図14に示す。横軸は第1の前駆体層の 膜時のO 2 流量比を示す。
 図14の結果より、本例の範囲内では、第1の 駆体層の成膜時のO 2 流量比の、金属酸化物層における電気的特性 への影響は少ないことがわかる。

(例6:室温成膜・単層・2種のターゲット併用)
 主要な成膜条件を表2に示す。本例では、図 2に示すように、反応性DCマグネトロンスパッ タ装置に、Nbを4原子%含有するTi-Nb合金からな る金属ターゲット21と、例1と同じ金属酸化物 ターゲット22を同時にセットし、基板上にNb 添加された酸化チタン膜を形成した。
 基板は例1と同じノンアルカリガラスを使用 した。スパッタガスとしてArガスとO 2 ガスの混合ガスを用いた。
 すなわち、反応性DCマグネトロンスパッタ 置の真空槽内に、金属ターゲット21と金属酸 化物ターゲット22をセットするとともに、基 10をセットした。
 次いで、真空槽をポンプで5×10 -4 Pa以下まで排気した後、ArガスとO 2 ガスとをO 2 /(Ar+O 2 )で表されるO 2 流量比(酸化性スパッタガス流量比)が1.0vol%と なるように真空系内に導入し、真空槽内の圧 力(スパッタ圧力)が1.0Paとなるように調整し 。
 そして、ターゲットに所定の磁場を印加し 状態で、金属酸化物ターゲット22に150Wの電 を印加して、基板10上にNbがドープされた酸 化チタン膜(前駆体層)を形成した。金属ター ット21には電力を印加しなかった。基板の 熱は行わず、基板温度は室温とした。膜厚 100nmとした。得られたアニール前の膜がアモ ルファス状態であることをXRDプロファイルに より確認した。
 次いで、単層アニール試験を行って、基板 に金属酸化物層が形成されたサンプルを得 。得られた金属酸化物層のNb含有量は4原子% であった。

 本例で得られたアニール後の金属酸化物層 ついて、抵抗率、キャリア濃度、ホール移 度、XRDプロファイルを測定した。また透過 Tおよび反射率R、および吸収率を測定し、 長800nmにおける吸収係数を求めた。いずれの 結果も[例1-1%]の結果と同等であった。
 このことから、本例におけるアニール前の は本発明における第1の前駆体層についての 上記(1)および(2)の条件を満たすことがわかる 。

(例7:室温成膜・単層・2種のターゲット併用)
 主要な成膜条件を表2に示す。すなわち例6 おいて、金属酸化物ターゲット22へ150Wの電 を印加すると同時に、金属ターゲット21に40W の電力を印加し、その他は例6と同様にして 第1の前駆体層上にNbがドープされた酸化チ ン膜(第2の前駆体層)を形成した。基板の加 は行わず、基板温度は室温とした。第2の前 体層の膜厚は100nmとした。得られたアニー 前の膜がアモルファス状態であることをXRD ロファイルにより確認した。
 次いで、単層アニール試験を行って、基板 に金属酸化物層が形成されたサンプルを得 。得られた金属酸化物層のNb含有量は4原子% であった。

 本例で得られたサンプルの金属酸化物層に いて、抵抗率、キャリア濃度、ホール移動 、XRDプロファイルを測定した。また透過率T および反射率R、および吸収率を測定し、波 800nmにおける吸収係数を求めた。いずれの結 果も[例1-0%]の結果と同等であった。
 このことから、本例におけるアニール前の は本発明における第2の前駆体層についての 上記(1)および(2)の条件を満たすことがわかる 。

(例8:室温成膜・前駆体積層物・2種のターゲ ト併用・第1の前駆体層側から加熱)
 第1の前駆体層についての上記(1)および(2)の 条件を満たすことが確認された例6と同じ成 条件で、基板上に第1の前駆体層を形成した 基板は例1と同じである。ただし膜厚は30nm した。
 次いで、その上に、第2の前駆体層について の上記(1)および(2)の条件を満たすことが確認 された例7と同じ成膜条件で、第2の前駆体層 形成した。ただし膜厚は170nmとした。
 こうして得られた前駆体積層物を、単層ア ール試験と同じ条件でアニールを行って、 板上に金属酸化物層が形成されたサンプル 得た。アニール時の加熱は基板に加熱体を 触させる方法で、第1の前駆体層側から行っ た。

 本例で得られたサンプルの金属酸化物層に いて、抵抗率、キャリア濃度、ホール移動 、XRDプロファイルを測定した。またアニー 前とアニール後に、それぞれ透過率T、反射 率Rおよび吸収率を測定した。いずれの結果 例2の結果と同等であった。
 したがって、スパッタ法において金属酸化 ターゲットと金属ターゲットを併用する方 においても、本発明の導電体を良好に製造 きることが認められた。

(例9:室温成膜後にアニール・単層)
 例1と同じ基板上に[例1-1%]と同じ成膜条件で アモルファス状の膜を形成した後、単層アニ ール試験と同じ条件でアニールして前駆体層 とした。膜厚は100nmとした。このアニール後 前駆体層は、[例1-1%]における単層アニール 験後の金属酸化物層に相当し、多結晶を含 かつ該多結晶がルチル型結晶を含まない層 ある。
 この前駆体層はルチル型結晶を含まないた 、さらに単層アニール試験を行うと、多結 を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含ま い層となる。したがって、本例の前駆体層( アニール後)は、本発明における第1の前駆体 についての上記(1)の条件を満たす。
 また本例の前駆体層(アニール後)における 過率、反射率および吸収率の測定結果を図15 に示す。この結果より吸収係数は3.96×10 3 cm -1 であった。なお、図15は膜厚170nmのデータで るが、吸収係数の値は膜厚に影響されない したがって、本例の前駆体層は、本発明に ける第1の前駆体層についての上記(2)の条件 満たす。

(例10:室温成膜後にアニール・前駆体積層物)
 例1と同じ基板上に、例9と同じ方法で第1の 駆体層を形成した。ただし膜厚は30nmとした 。次いでその上に、例1において、第2の前駆 層についての上記(1)および(2)の条件を満た ことが確認された[例1-0%]と同じ成膜条件で 第2の前駆体層を形成した。ただし膜厚は170 nmとした。
 こうして得られた前駆体積層物を、単層ア ール試験と同じ条件でアニールを行って、 板上に金属酸化物層が形成されたサンプル 得た。アニール時の加熱は基板に加熱体を 触させる方法で、第1の前駆体層側から行っ た。

 本例で得られた金属酸化物層について、抵 率、キャリア濃度、ホール移動度を測定し ところ、抵抗率:1.3×10 -4 ωcm、キャリア濃度:1.1×10 21 cm -3 、ホール移動度:4.3×cm 2 /(V・s)であった。このことから、アニールし 多結晶を含む前駆体層も低抵抗化に有効で ることがわかる。
 また、本例で得られた金属酸化物についてX 線回折を行ったところ、図8と同等の結果が られた。またアニール後の金属酸化物層に いて透過率Tおよび反射率Rを測定したところ 、図10(b)と同等の結果が得られた。これらの 果より、本例で得られた金属酸化物は、多 晶を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含 ない層であり、透明性に優れていることが かる。
 したがって、第1の前駆体層がアモルファス 層でなくて、多結晶を含みかつ該多結晶がル チル型結晶を含まない層であっても、本発明 の導電体を良好に製造できることが認められ る。

(例11:室温成膜・前駆体積層物・400℃でアニ ル)
 主要な製造条件を表3に示す。すなわち例1 おいて、第1の前駆体層についての上記(1)の 件を満たすことが確認された[例1-5%]と同じ 膜条件で、基板上に第1の前駆体層を形成し た。基板は厚さ1.1mmのノンアルカリガラス(コ ーニング社製、製品名:#1737)である。ただし 厚は30nmとした。
 次いでその上に、例1において、第2の前駆 層についての上記(1)の条件を満たすことが 認された[例1-0.05%]と同じ成膜条件で、第2の 駆体層を形成した。ただし膜厚は170nmとし 。
 こうして得られた前駆体積層物に対してア ールを行って、基板上に金属酸化物層が形 されたサンプルを得た。アニールの条件は 下の通りである。まずアニール雰囲気を一 10 -2 Paの真空にした後、水素(H 2 )を導入してH 2 100%の雰囲気とする。このときの雰囲気圧力 1.013×10 5 Pa(1気圧)とする。続いて、該H 2 雰囲気中で、基板の裏面に加熱体を接触させ 、基板温度が5分間で室温(約25℃)から400℃に するように加熱する。そして400℃で1時間保 持した後、室温まで放冷する。
 こうして得られた金属酸化物層について、 抗率を測定したところ7.3×10 -4 ωcmであった。
 本例によれば、400℃のアニール温度で低抵 の金属酸化物層が得られることがわかる。

(例12:室温成膜・前駆体積層物・真空中、400 でアニール)
 主要な製造条件を表3に示す。すなわち例11 おいて、アニールを真空雰囲気(10 -2 Pa)中で行った他は同様にして、基板上に金属 酸化物層が形成されたサンプルを得た。
 こうして得られた金属酸化物層について、 抗率を測定したところ7.4×10 -4 ωcmであった。
 本例によれば、400℃のアニール温度で、真 中でアニールしても低抵抗の金属酸化物層 得られることがわかる。

(例13:室温成膜・前駆体積層物・ソーダライ ガラス基板)
 主要な製造条件を表3に示す。すなわち例11 おいて、基板をソーダライムガラスからな 厚さ1.1mmのガラス板に変更した他は同様に て、基板上に金属酸化物層が形成されたサ プルを得た。
 こうして得られた金属酸化物層について、 抗率を測定したところ7.2×10 -4 ωcmであった。
 本例によれば、400℃のアニール温度で、基 がソーダライムガラスからなる場合にも低 抗の金属酸化物層が得られることがわかる

(例14:室温成膜・前駆体積層物・ポリイミド ィルム基板)
 主要な製造条件を表3に示す。すなわち例11 おいて、基板を厚さ約100μmのポリイミドフ ルムに変更した他は同様にして、基板上に 属酸化物層が形成されたサンプルを得た。
 こうして得られた金属酸化物層について、 抗率を測定したところ3.1×10 -3 ωcmであった。
 本例によれば、400℃のアニール温度で、基 がポリイミドからなるフィルムの場合にも 抵抗の金属酸化物層が得られることがわか 。

 本発明により、金属原子をドーパントとし 含む酸化チタンからなる金属酸化物層が実 でき、低抵抗、高透明性、かつ可視光域で 好な透過率が得られる導電体を提供できる 該導電体は、フラットパネルディスプレイ 太陽電池、タッチパネルなどにおける透明 極、あるいは、反射防止膜に用いられる電 波の遮蔽、静電気により埃がつかないよう するフィルム、帯電防止膜、熱線反射ガラ 、紫外線反射ガラス等への適用の可能性が る
 
 なお、2007年3月19日に出願された日本特許出 願2007-070990号及び2007年8月29日に出願された日 本特許出願2007-222989号の明細書、特許請求の 囲、図面および要約書の全内容をここに引 し、本発明の明細書の開示として、取り入 るものである。