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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING POLYIMIDE COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011352
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a process for producing a polyimide compound, in which the phenomenon of spontaneous rise of reaction solution during polymerization reaction by the Weissenberg effect can be inhibited in the production of a polyimide compound synthesized through a polymerization reaction between acid dianhydride and diamine. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Any water formed by polymerization reaction is refluxed into the reaction system, so that increasing of the viscosity of the reaction solution can be inhibited to thereby attain inhibition of the phenomenon of spontaneous rise of the reaction solution. By refluxing so that the amount of water formed by the polymerization reaction falls within the range of 0.01 to 1.1 wt.% based on the total weight of the reaction solution, there can be obtained a polyimide compound of polymerization degree as high as realizing the production of a polyimide film of 10 μm or more thickness.

Inventors:
ISHII JUNICHI (JP)
SUNAGA TOMOYASU (JP)
NOMURA MAMIKO (JP)
KANAYA HIROKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062790
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
July 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SONY CHEM & INF DEVICE CORP (JP)
ISHII JUNICHI (JP)
SUNAGA TOMOYASU (JP)
NOMURA MAMIKO (JP)
KANAYA HIROKI (JP)
International Classes:
C08G73/10
Foreign References:
JP2002012664A2002-01-15
JP2002265600A2002-09-18
JPH05331445A1993-12-14
JPH09118808A1997-05-06
Attorney, Agent or Firm:
SATO, Masaru (3-1 Ariake, Kouto-k, Tokyo 71, JP)
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Claims:
 所定の溶媒に溶解させた酸二無水物と、シロキサンジアミンと、極性基を有するジアミンとの重合反応により合成されるポリイミド化合物の製造方法であって、
 上記重合反応は、上記反応溶液中の水の重量が、反応溶液全重量に対して0.01wt%以上1.1wt%以下の範囲となるように、上記重合反応で生成する水を反応系内に還流しながら行うことを特徴とするポリイミド化合物の製造方法。
 上記重合反応は、
 上記重合反応によって生成する水を回収する第1の重合工程と、
 上記重合反応によって生成する水を還流する第2の重合工程とを有し、
 上記重合反応により生成する水の重量は、上記第2の重合工程で反応させる極性基を有するジアミンの量によって調整されることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド化合物の製造方法。
 上記酸二無水物、上記シロキサンジアミン及び上記極性基を有するジアミンの総重量は、上記反応溶液の全重量に対して、10wt%以上60wt%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリイミド化合物の製造方法。
 上記溶媒は、ラクトン系溶媒又はエーテル系溶媒あるいはその混合溶媒であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のポリイミド化合物の製造方法。
 上記極性基は、水酸基であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリイミド化合物の製造方法。
 上記シロキサンジアミンの重量は、上記酸二無水物、上記シロキサンジアミン及び上記極性基を有するジアミンの総重量に対して、20wt%以上80wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載のポリイミド化合物の製造方法。
 上記極性基を有するジアミンの重量は、上記酸二無水物、上記シロキサンジアミン及び上記極性基を有するジアミンの総重量に対して、0.1wt%以上25wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のポリイミド化合物の製造方法。
Description:
ポリイミド化合物の製造方法

 本発明は、ポリイミド化合物の製造方法 関するものである。

 溶媒に可溶なポリイミド化合物は、酸二 水物モノマーとジアミンモノマーとを、例 ばトリグライムやγ-ブチロラクトンなどの 性溶媒中で付加重合させることでポリイミ 前駆体を生成させた後、環化脱水反応によ てイミド化することで合成することができ 。

 しかしながら、水酸基、アミド基、カル ン酸基、スルホン酸基といった極性基を有 るモノマーを使用することで極性基を導入 、溶媒に可溶としたポリイミド化合物の場 、トリグライムやγ-ブチロラクトンなどの 媒を使用すると、ポリイミド化合物の主鎖 導入された極性基同士の相互作用(水素結合 )によって、溶液イミド化中に反応溶液の粘 が増加する。そして、粘度の増加した反応 液が、ワイゼンベルグ効果によって撹拌機 シャフトにせりあがってしまう。そのため イミド化反応を中断しなければならない。

 このような反応溶液のせりあがりの現象 抑制するために、下記に示す種々の方法が 案されている。例えば、イミド化を行う際 、リチウムブロマイドなどの塩を添加し、 性基を介して主鎖同士が水素結合すること 阻害することで、良好なワニスを製造する 法がある。また、溶液中に占めるポリイミ 固形分の割合を減少させる方法もある。ま 、合成時に使用する窒素やアルゴンなどの 活性ガスに湿度を持たせ、その水分にて水 結合を切断し、良好なワニスを製造する方 が報告されている(例えば、特許文献1参照)

特開2002-12664号公報

 イミド化の際に塩を添加する方法で製造 れるポリイミド化合物は、半導体や基板材 といった電子材料に使用する場合、添加さ た塩によって絶縁抵抗の低下や導体腐食な の悪影響を及ぼすため、例えば再沈殿など 精製工程を経て、ポリイミドワニスから塩 完全に除去しなければならない。

 また、ポリイミドワニス中の固形分濃度 低下させる方法で製造されるポリイミド化 物は、固形分濃度が低下しているため厚い を形成することが困難となる。特に、ソル ーレジストやカバーレイなどといったよう 、基板材料にて10μm以上の膜厚を必要とす 分野では、この方法を適用することができ い。

 そして、特許文献1に記載された方法では 、合成時の露点管理が難しく、新たな設備導 入が不可欠であり製造コスト上、好ましくな い。

 そこで、本発明の発明者等は、上記実状 鑑み鋭意研究を進めた結果、重合反応によ て生成する水を反応系内に還流させること 、反応溶液のせりあがりの現象を抑制する とができるポリイミド化合物の製造方法を 出した。

 すなわち、本発明のポリイミド化合物の 造方法は、所定の溶媒に溶解させた酸二無 物と、シロキサンジアミンと、極性基を有 るジアミンとの重合反応により合成される リイミド化合物の製造方法であって、上記 合反応は、上記重合反応により生成する水 重量が、反応溶液全重量に対して0.01wt%以上 1.1wt%以下の範囲となるように、上記重合反応 で生成する水を反応系内に還流しながら行う ことを特徴とする。

 本発明のポリイミド化合物の製造方法に れば、重合反応により生成する水を反応系 に還流させることで、反応溶液の粘度の増 が抑制され、反応溶液のせりあがりの現象 抑制することができる。また、その重合反 により生成する水の重量が反応溶液全重量 対して0.01wt%以上1.1wt%以下の範囲となるよう に還流させることで、10μm以上の膜厚を有す ポリイミドフィルムを製造できる程度に高 重合度を有するポリイミド化合物を製造で る。したがって、反応溶液のせりあがりの 象を抑制するために、反応溶液中の固形分 度を低下させたり、反応溶液中に塩を添加 び除去したり、新たな設備の導入する必要 無くなる。

実施例2における第1の重合工程で得ら た酸無水物末端オリゴマーと、第2の重合工 で得られたポリイミド化合物のIRスペクト を示す図である。

 以下、本発明のポリイミド化合物の製造 法について説明する。なお、本発明は、下 の説明に限られるものではなく、本発明の 旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能 ある。

 本発明のポリイミド化合物の製造方法は 酸二無水物とジアミンとの重合反応におい 、反応溶液がせりあがる現象を抑制するた に、重合反応で生成した水を還流させて、 リイミド化合物を有する反応溶液の粘度を 下させるものである。

 このような本発明のポリイミド化合物の 造方法に使用される酸二無水物は、任意の のが用いられるが、例えば、3,3’,4,4’-ジ ェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物( カシッドDSDA、以下単にDSDAと称する)を用い ことができる。その他の酸二無水物として 、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7-ナフタ ンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサ フルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水 、3,4,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン 酸二無水物、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカ ボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無 水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ )フェニル]フルオレン二無水物、1,2,3,4-シク ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシク [2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸 無水物等といった芳香族酸二無水物や脂環 酸二無水物が挙げられる。重合反応に用い 酸二無水物の量としては、下記に示す極性 を有するジアミンとシロキサンジアミンと 総量に対して等モル量であってもよく、そ より多くても少なくてもよく、合成するポ イミド化合物の分子量に応じて適宜変更さ る。

 酸二無水物と重合反応するジアミンには 極性基を有するジアミンと、シロキサンジ ミンとが用いられる。極性基を有するジア ンの極性基とは、極性を有する官能基で、 えば水酸基、アミド基、カルボン酸基、ス ホン酸基などが挙げられる。極性基を有す ジアミンとしては、極性基を有していれば 意のものを用いることができるが、例えば 性基として水酸基を有するジアミンを用い ことができる。水酸基を有するジアミンと ては、例えば、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒド キシジフェニルスルホン(BSDA)、又は、2,2-ビ ス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフ オロプロパン(Bis-Ap-Af)、2,2-ビス(3-アミノ-4- ドロキシフェニル)プロパン、3,3’-ジアミノ ー4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3 -ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2, 4-ジアミノフェノール、9,9-ビス(3-アミノ-4-ヒ ドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げら る。

 重合反応に用いる極性基を有するジアミ の量としては、モノマーである酸二無水物 極性基を有するジアミン、シロキサンジア ンの総重量に対して0.1wt%以上25wt%以下であ ことが好ましい。下記に詳細に説明するが 重合反応によって主に還流させる水は、こ 極性基を有するジアミンの量によって調整 れるため、極性基を有するジアミンの重量 上記範囲とすることで、重合反応により生 する水の重量が反応溶液全重量に対して0.01w t%以上1.1wt%以下の範囲となる。すなわち、こ 極性基を有するジアミンを反応溶液に投入 る際に、反応溶液を還流させるようにする とで、容易に反応溶液中の水の重量が上記 囲を満たす。

 シロキサンジアミンは、例えば、少なく も分子内にジメチルシリレン骨格を有して る下記構造式1(構造式1中mは0又は1以上の整 を示し、nは1以上の整数を示す)に示される ロキサンジアミンが好ましい。また、末端 アミノ基が所定の保護基で保護されたシロ サンジアミンも使用することができ、下記 造式1に示されるシロキサンジアミンと、末 端が保護されたシロキサンジアミンとを併用 してもよい。このようなシロキサンジアミン の具体例としては、KF-8010、X-22-9409(いずれも 越化学工業製)などが挙げられる。

 重合反応に用いるシロキサンジアミンの としては、モノマーである酸二無水物、極 基を有するジアミン、シロキサンジアミン 総重量に対して20wt%以上80wt%以下であること が好ましい。

 本発明のポリイミド化合物の製造方法で 用される溶媒は、非プロトン性の極性溶媒 使用できるが、例えば、γ-ブチロラクトン( GBL)、γ-バレロラクトンなどのラクトン系の 媒、ジエチレングリコールジメチルエーテ 、トリエチレングリコールジメチルエーテ (TriGL)、テトラグライム、ジオキサン、テト ヒドロフランなどのエーテル系溶媒、又は これらラクトン系溶媒とエーテル系溶媒と 混合溶媒が使用できる。

 また、この溶媒の量は、酸二無水物、シ キサンジアミン及び極性基を有するジアミ が投入された際の反応溶液の全重量に対し 、酸二無水物、シロキサンジアミン及び極 基を有するジアミンの総重量(固形分濃度) 10wt%以上60wt%以下となるような量であること 好ましい。この範囲を満たすことで、合成 れるポリイミド化合物を有するワニスから リイミドフィルムを形成する際に、十分な 厚が得られる。

 本発明のポリイミド化合物の製造方法は 上記モノマーと溶媒を使用して行うことが きる。その詳細について下記に示す。本発 のポリイミド化合物の製造方法は、反応溶 中の水が反応溶液全重量に対して0.01wt%以上 1.1wt%以下の範囲となるように、酸二無水物と ジアミンとの重合反応によって生成する水を 還流するものである。

 詳細には、重合反応によって生成する水 回収する第1の重合工程と、重合反応によっ て生成する水を還流する第2の重合工程とに かれるが、第1の重合工程は、必要に応じて 略することもできる。すなわち、本発明は 第1の重合工程と第2の重合工程とからなる2 テップ法と、第2の重合工程とからなる1ス ップ法との2つの方法がある。

 まず、2ステップ法(2ステップ発明法)につ いて説明する。第1の重合工程では、重合反 によって生成する水を回収するために、例 ばディーン・スターク・トラップ(Dean-Stark-Tr ap)が備えられた反応容器を用いる。溶媒に酸 二無水物とシロキサンジアミン、そして必要 に応じて極性基を有するジアミンとを投入し た反応溶液をこの反応容器に入れ、所定の温 度で加熱する。これにより、酸二無水物とジ アミンとが反応することで、アミック酸(イ ド前駆体)成分が生成し、反応溶液中にてイ ド化を進めることでアミック酸成分が閉環( 溶液イミド化)する。この第1の重合工程では ポリイミド化合物よりも重合度が小さく、 リイミド化合物の中間体であるイミドオリ マーを合成する。この場合、第2の重合工程 を考慮して、酸二無水物又はジアミンが過剰 となるような組成とすることが好ましい。酸 二無水物を過剰とするような組成の場合、イ ミドオリゴマーの末端がジアミンと反応する 酸無水物を有するイミドオリゴマー(酸無水 末端イミドオリゴマー)となる。一方、ジア ンを過剰となるような組成の場合、合成さ るイミドオリゴマーの末端が酸二無水物と 応するアミノ基を有するイミドオリゴマー( アミノ基末端イミドオリゴマー)となる。

 溶液イミド化の手段としては、環化脱水 応が行える条件であればよく、例えば、溶 中での加熱イミド化や脱水剤による化学イ ド化が挙げられる。例えば、加熱イミド化 、イミド前駆体中にトルエン、キシレン等 共沸剤を添加し、180℃以上に加熱撹拌する とで、アミック酸成分の脱水反応を行い、 環したイミド成分を形成することができる このとき、必要に応じてトリエチルアミン の3級アミン、芳香族系イソキノリン、ピリ ジン等の塩基性触媒や、安息香酸、パラヒド ロキシ安息香酸等の酸触媒をイミド化の触媒 として添加してもよい。また、例えば、脱水 環化試薬である無水酢酸/ピリジン系やジシ ロヘキシルカルボジイミド等の化学イミド 剤によってもアミック酸を閉環することが きる。

 酸無水物末端イミドオリゴマーが合成さ ると、第2の重合工程に移る。第2の重合工 では、還流管を備えた反応容器を用いる。 無水物末端イミドオリゴマーが合成された 応溶液に極性基を有するジアミン、必要に じてシロキサンジアミンを投入した溶液を 流管を備えた反応容器に入れ、所定の温度 加熱する。この反応容器には、還流管が備 られているため、重合反応によって生成す 水が還流することになり、反応溶液中に水 存在する状態で重合反応が進行することに る。この還流は、反応溶液中に存在する水 重量が反応溶液全重量に対して0.01wt%以上1.1w t%以下の範囲となるように調整される。これ 、第2の重合工程で投入する極性基を有する ジアミン、必要に応じてシロキサンジアミン を投入する量によって調整することができる 。一方、アミノ基末端イミドオリゴマーの場 合は、第2の重合工程で投入する酸二無水物 投入する量によって調整することができる そして、この範囲を越えて水が反応溶液に 在すると、高い重合度のポリイミド化合物 得られなくなり、例えば、ポリイミド化合 を有するワニスからポリイミドフィルムを 造する際に10μmといった十分な膜厚のフィル ムを形成することができない。一方、反応溶 液内の水がこの範囲よりも少ない場合、重合 反応中に反応溶液のせりあがりの現象が起こ ってしまうため、重合反応を中断しなければ ならなくなる。

 次に、1ステップ法(1ステップ発明法)につ いて説明する。1ステップ法では、上述の第2 重合工程で使用した還流管を備えた反応容 を用いる。溶媒に酸二無水物とシロキサン アミン、極性基を有するジアミンとを投入 た反応溶液を還流管を備えた反応容器に入 、所定の温度で加熱する。この反応容器に 、還流管が備えられているため、重合反応 よって生成する水が還流することになり、 応溶液中に水が存在する状態で重合反応が 行することになる。この還流は、反応溶液 に存在する水の重量が反応溶液全重量に対 て0.01wt%以上1.1wt%以下の範囲となるように調 整される。これは、第2の重合工程で投入す 極性基を有するジアミン及びシロキサンジ ミンを投入する量によって、調整すること できる。

 なお、第1の重合工程で生成した酸二無水 物末端イミドオリゴマーを経由する場合、反 応溶液全重量に対する反応溶液内の水の重量 は、還流管を備えた反応容器を用いた際に投 入されるジアミンモノマー(極性基を有する アミン、シロキサンジアミン)の量に基づい 、理論値として算出できる。この重合反応 よって、ジアミンモノマー1分子あたり、2 子の水が生成する。一方、第1の重合工程で 成したアミノ基末端イミドオリゴマーを経 する場合、反応溶液全量に対する反応溶液 の水の重量は、還流管を備えた反応容器を いた際に投入される酸二無水物モノマーの に基づいて、理論値として算出できる。こ 重合反応によって、酸二無水物モノマー1分 子あたり、2分子の水が生成する。還流管を えることで、重合反応によって生成する水 、反応系内にあるため、還流管を備えた際 投入したジアミンモノマーの量から、反応 液に存在する水の重量が算出でき、反応溶 全重量に対する水の重量の割合を得られる

 1ステップ法及び2ステップ法のように、 合反応によって生成する水を還流させるこ で、反応溶液中に水が含まれる状態となる この反応溶液中の水が、合成されるポリイ ド化合物に導入された極性基同士の水素結 を切断する。したがって、合成されるポリ ミド化合物の見かけ上の分子量が増加せず 粘度の増加を防ぐことができるため、反応 液のせりあがりの現象が起こらない。また 露点を管理した窒素を導入する従来技術で 、反応溶液と加湿窒素との界面付近で水が 用すると考えられるのに対し、本発明の方 では、反応溶液全体に水を作用させること できる。このことから、本発明のポリイミ 化合物の製造方法は、極性の高い置換基を するモノマーを使用する際に有効となり、 に、溶解性や極性の大きさから重合が難し BSDAをモノマーに使用する場合に極めて有効 方法である。

 ポリイミド化合物の機械物性を高めるに 重合度を高くする必要がある。従来は、高 合度のポリイミド化合物を得るために、酸 無水物とジアミンとの重合により生成する を共沸剤などを利用して完全に系外に除去 ていた。しかしながら、本発明では、上記1 ステップ法及び上記2ステップ法のように、 合により生成する水をあえて反応溶液中に し、その還流イミド化水量が、反応溶液全 量に対して0.01wt%以上1.1wt%以下の範囲とする とで、フィルムとした際に10μm以上の膜厚 なるようなの高い重合度と高い固形分濃度 確保できる。

 このように、本発明の製造方法は、重合 よって生成する水を還流させることで、極 基同士の水素結合を切断し、反応溶液の粘 の増加を抑制することができ、ワイゼンベ グ効果により反応溶液のせりあがりの現象 抑制することができる。したがって、反応 液のせりあがりの現象を抑制するために、 来技術のような露点を管理した窒素を導入 るような特別な設備や塩を除去する工程を える必要がない。また、この方法で製造さ るポリイミド化合物は、高い重合度と、高 固形分濃度が確保できるため、電子材料へ 適用が十分に可能なもとなり、特に、10μm 上の厚い膜を必要とする分野にも適用する とが可能である。

 本発明のポリイミド化合物の製造方法の 効性を実験結果に基づいて説明する。本実 例では、還流によって反応溶液内の還流イ ド化水量を調整する発明法(1ステップ発明 、2ステップ発明法)と、生成した水を完全に 系外に除去する比較法(1ステップ比較法、2ス テップ比較法)とを比較した。

 まず、極性基を有するジアミンとしてBSDA を用いたポリイミド化合物について検討した 。

 実施例1は、本発明の1ステップ発明法に ってポリイミド化合物を合成した。還流管 取り付けた500mlの四つ口セパラブルフラスコ に、66.620g(0.049mol)のシロキサンジアミン(X22-94 09)、7.890g(0.028mol)のBSDA(純度99.5%)を投入し、窒 素雰囲気下、118.000gのトリグライム(TriGL)と29. 500gのγ-ブチロラクトン(GBL)との混合溶媒に完 全に溶解させた。その溶液に、27.990g(0.078mol) DSDA(純度99.7%)を加え、オイルバスにて180℃ 撹拌機にて撹拌しながら3時間保持還流し、 リイミド化合物を合成した。

 実施例2は、本発明の2ステップ発明法に ってポリイミド化合物を合成した。まず、 1の重合工程として、ディーン・スターク・ ラップ(Dean-Stark-Trap)を取り付けた500mlの四つ 口セパラブルフラスコに、66.620g(0.049mol)のX22- 9409を投入し、窒素雰囲気下、118.000gのTriGLと2 9.500gのGBLとの混合溶媒に完全に溶解させた。 その溶液に、27.990g(0.078mol)のDSDA(純度99.7%)を え、室温で12時間撹拌させた後、イミド化に よって生成する水を系外で回収するための共 沸剤であるトルエン50mlを加え、オイルバス て180℃で撹拌機にて撹拌しながら3時間保持 流し、撹拌終了間際に減圧脱水によって、 留する水及びトルエンを完全に除去するこ で、酸無水物を末端に有するイミドオリゴ ーを合成した。なお、この時のGPC(Gel Permeat ion Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー) によるポリスチレン標準換算分子量は、数平 均分子量として3570であった。また、得られ 化合物を100℃で10分乾燥させた時のIRスペク ルは図1のようになり、末端が酸二無水物で あることが確認された。

 続いて、第2の重合工程として、室温まで 降温させた反応溶液に、7.890g(0.028mmol)のBSDA( 度99.5%)を分散させた。そして、四つ口セパ ブルフラスコに備えられているディーン・ ターク・トラップを取り外し、代わりに還 管を取り付け、180℃で撹拌機にて撹拌しな ら3時間保持還流し、反応溶液内に重合反応 よって生成した水を残存させて、ポリイミ 化合物を合成した。得られたポリイミド化 物を100℃で10分乾燥させた時のIRスペクトル は図1のようになり、完全にポリイミドへの 応が完了していることが確認された。

 実施例3は、反応溶液中の水の重量が反応 溶液全重量に対して0.01wt%となるように、BSDA 第1の重合工程と第2の重合工程と分けて投 し、実施例2の2ステップ発明法と同様にポリ イミド化合物を合成した。詳細には、第1の 合工程では、X22-9409に加え、実施例2の混合 媒に7.694g(0.027mol)のBSDA(純度99.5%)を投入し、 2の重合工程では、0.196g(0.001mol)のBSDA(純度99.5 %)を投入し、ポリイミド化合物を合成した。

 実施例4は、実施例2で示した2ステップ発 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、実施例4は、TriGLとGBLとの混合溶媒に投 するDSDA、X22-9409、BSDAの総量が反応溶液の全 重量に対する割合を示す固形分濃度を45%とし た。

 実施例5は、実施例2で示した2ステップ発 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、実施例5は、実施例4と同じ固形分濃度 し、溶媒として、90%のTriGLと10%のGBLとの混合 溶媒を使用した。

 実施例6は、実施例2で示した2ステップ発 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、実施例6は、実施例4と同じ固形分濃度 し、溶媒として、95%のTriGLと5%のGBLとの混合 媒を使用した。

 実施例7は、実施例2で示した2ステップ発 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、実施例7は、実施例4と同じ固形分濃度 し、使用する溶媒としてTriGLを単独で使用し た。

 比較例1は、重合反応により生成する水を 還流させない1ステップの製造方法である1ス ップ比較法によってポリイミド化合物を合 した。比較例1の方法では、実施例1で使用 た還流管の代わりにディーン・スターク・ ラップを500mlの四つ口セパラブルフラスコに 取り付け、共沸剤のトルエンを使用して、重 合反応によって生成する水を反応系外に完全 に除去するものである。なお、比較例1では 溶媒として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を単 で使用した。

 比較例2は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、比較例2は、溶媒として、GBLを単独で使 用した。

 比較例3は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、比較例3は、溶媒として、TriGLを単独で 用した。

 比較例4は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、比較例3は、溶媒として、TriGLを単独で 用し、固形分濃度を20%とした。

 比較例5は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、比較例5は、比較例4と同じ溶媒を使用 、固形分濃度を10%とした。

 比較例6は、重合反応により生成する水を 還流させない2ステップの製造方法である2ス ップ比較法によってポリイミド化合物を合 した。比較例6の方法では、実施例2の第2の 合工程で使用した還流管の代わりにディー ・スターク・トラップを500mlの四つ口セパ ブルフラスコに取り付け、共沸剤のトルエ を使用して、重合反応によって生成する水 反応系外に完全に除去するものである。な 、比較例6は、DSDA、X22-9409、BSDA、及び、使用 する溶媒、並びに、固形分濃度を比較例4と じとした。そして、DSDA及びX22-9409をGBL及びTr iGLの混合溶媒に溶解して、生成する水を完全 に回収しながらイミドオリゴマーを合成した 。そして、合成されたイミドオリゴマーを有 する反応溶液にBSDAを分散させて、生成する を完全に回収しながら、ポリイミド化合物 合成を行った。

 BSDAをモノマーとしたポリイミド化合物の モノマー組成や各評価の結果について下記表 1及び表2に示す。

 重合反応中、反応溶液がせりあがる現象 起こるか否かの観察を行った。重合中ワイ ンベルグ効果で撹拌機のシャフトに反応溶 のせりあがりの現象が確認された場合を× し、反応溶液のせりあがりの現象が確認さ なかった場合を○とし、僅かなせりあがり 確認された場合は、△として、表1のワニス 状態(重合中のせりあがり)の欄に記した。

 また、合成されたポリイミド化合物を含 ワニスをスライドガラス上に滴下し、温度3 0℃、湿度70%の状況下に30分間曝し、ワニスが 吸湿し、白化が起こるか否かを観察した。30 後、ワニスが白化した場合を×とし、ワニ が透明な状態である場合を○として、表1の ニスの吸湿(白化)の欄に記した。

 さらに、合成されたポリイミド化合物を むワニスを12μmの銅箔にコーティングし、10 0℃10分乾燥させ、形成されるポリイミドフィ ルムの状態について評価を行った。乾燥後、 形成されるポリイミドフィルムが10μm以上の 厚を有し、平滑性が良好で、かつ、銅箔を り曲げても形成された膜に亀裂が入らない のを○とし、膜厚が10μ未満、平滑性が不良 、又は、銅箔を折り曲げることで亀裂が入る 場合を×としてポリイミドフィルムの状態の に記した。

 そして、合成されたポリイミド化合物を 成されたポリイミド化合物をGPC測定により リスチレン標準換算による数平均分子量及 重量平均分子量を算出し、表1、2に記した



 反応溶液のせりあがりの現象は、実施例3 において、僅かに確認されたものの、重合反 応を中断するものではなかった。実施例1及 実施例2並びに実施例4乃至実施例7は、反応 液のせりあがりの現象は確認されなかった また、実施例1乃至実施例7は、ワニスの吸湿 の評価において、ワニスが透明のままであっ た。さらに、実施例1乃至実施例7は、数平均 子量も重量平均分子量も高く、ポリイミド ィルムの状態は、10μm以上の膜厚を有し、 滑性が良好で、かつ、銅箔を折り曲げても 成された膜に亀裂が入らず、良好な結果が られた。

 一方、比較例2乃至比較例4及び比較例6は 反応溶液のせりあがりの現象が確認された なお、比較例1及び比較例5に関しては反応 液のせりあがりの現象は確認されなかった 、比較例1はワニスが白化し、比較例5は乾燥 後の膜厚制御が難しく、厚さ10μmの平滑な膜 製膜することが困難であった。

 比較例1に示す方法のように、NMPのような 非プロトン性のアミド系溶媒を用いて、酸二 無水物とジアミンとの重合反応によりポリイ ミド化合物を合成する場合、反応溶液のせり あがりの現象は確認されない。しかしながら 、非プロトン性のアミド系溶媒は、吸湿性が 高いため、ポリイミド化合物を有するワニス の印刷時又はコーティング時にワニスが白化 してしまう。そのため、ポリイミド化合物を 有するワニスを印刷又はコーティング用とし て使用する場合は、アミド系溶媒を除く非プ ロトン性の極性溶媒、特に、GBLのようなラク トン系溶媒やTriGLのようなエーテル系溶媒や の混合溶媒を使用することが好ましい。

 この結果から、本発明のポリイミド化合 の製造方法では、反応溶液中の水の重量が 反応溶液全重量に対して0.01wt%以上1.1wt%以下 となるように、重合反応によって生成する水 を還流させることで、反応溶液のせりあがり の現象が起こらないことがわかった。また、 この方法によって、ポリイミド化合物は、フ ィルムとした際に10μm以上の膜厚となるよう の高い重合度と高い固形分濃度が確保でき ことがわかった。

 次に、極性基を有するジアミンとしてBis- Ap-Afを用いたポリイミド化合物について検討 た。なお、下記に示す実施例8及び比較例7 至比較例11において、各モノマーの組成は、 DSDAが101mol%、X22-9409が66.2mol%、Bis-Ap-Afが33.8mol% ある。

 実施例8は、実施例2で示した2ステップ発 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、実施例8は、固形分濃度を43%とし、溶媒 としてTriGLを単独で使用した。

 比較例7は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。

 比較例8は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、比較例8は、溶媒として、50%のTriGLと50% GBLとの混合溶媒を使用した。

 比較例9は、比較例1で示した1ステップ比 法と同様にポリイミド化合物を合成した。 お、比較例9は、溶媒として、TriGLを単独で 用した。

 比較例10は、比較例1で示した1ステップ比 較法と同様にポリイミド化合物を合成した。 なお、比較例10は、比較例9と同じ溶媒を使用 し、固形分濃度を45%とした。

 比較例11は、比較例1で示した1ステップ比 較法と同様にポリイミド化合物を合成した。 なお、比較例10は、比較例9と同じ溶媒を使用 し、固形分濃度を43%とした。

 Bis-Ap-Afをモノマーとしたポリイミド化合 のモノマー組成や各評価の結果については 下記表3に示す。各評価については、上記表 1及び表2と同様である。


 実施例8は、BSDAを用いた実施例と同様に 反応溶液のせりあがりの現象が確認されな った。また、ワニスの吸湿の評価において ワニスが透明のままであった。さらに、数 均分子量も重量平均分子量も高く、ポリイ ドフィルムの状態は、10μm以上の膜厚を有し 、平滑性が良好で、かつ、銅箔を折り曲げて も形成された膜に亀裂が入らず、良好な結果 が得られた。

 一方、比較例8乃至比較例11は、反応溶液 せりあがりの現象が確認された。なお、比 例7に関しては比較例1と同様に反応溶液の りあがりの現象が確認されなかったが、比 例1はワニスが白化し、比較例5は、乾燥後の 膜厚が10μm未満であった。

 この結果から、極性基を有するジアミン してBis-Ap―Afを用いても、BSDAを用いた場合 同様の効果が得られることが分かった。