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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING SOLUBLE FEATHER KERATIN PROTEIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/153923
Kind Code:
A1
Abstract:
Feathers produced when culling poultry or processing broilers cannot easily be used effectively as they stand; therefore, the object is to enable easy conversion of feathers into soluble feather keratin protein. Feathers for filling mattresses were washed with a neutral detergent and then rinsed with water and dried. 1 g of these feathers was put into a 300 ml flask, 50 ml of a 0.2 mol/l thioglycolic acid solution, adjusted to pH 11.0 with sodium hydroxide, were added thereto, and after stirring/shaking at 30ºC for 48 hours this solution was adjusted to 30ºC and then adjusted to pH 7 with acetic acid. 50 ml of 0.4 mol/l sodium bromate solution were added slowly to this solution, over 4 hours, and then the solution was left the stand for 20 hours. The insoluble matter was filtered from the solution, and then the macro­molecular material was precipitated by adjusting the pH to close to 3.5 with acetic acid and this precipitate was recovered by centrifugation. The precipitate was made into a paste with acetic acid, and stored in a cool dark place. Solubilization does not cause any decrease in molecular weight.

Inventors:
ARAI KOZO (JP)
SHINOTSUKA MASAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002451
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 02, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ARAI KOZO (JP)
IBARAKI PREFECTURE (JP)
ECOLOGYSUPPORT CO LTD (JP)
SHINOTSUKA MASAKO (JP)
International Classes:
C07K14/78; C08H1/00
Foreign References:
JPH07126296A1995-05-16
JPH092919A1997-01-07
Attorney, Agent or Firm:
KIHATA, Yukio (JP)
Yukio Kobata (JP)
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Claims:
 鳥類の羽毛を浸漬した水にアルカリ性に調整したチオグリコール酸(TGA)溶液を加えて攪拌振とうする第1工程と、
 第1工程で得られた溶液を中性付近に調整し、この溶液に酸化剤を加えて所定時間放置することにより可溶性羽毛ケラチン蛋白質を製造する第2工程と、
による可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第1工程のチオグリコール酸溶液のアルカリ性への調整をリチウム、ナトリウム、アンモニウム又はカリウムの水酸化物によって行い、これによってそれらの溶液をpH8.0~13に調整することとした請求項1の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第2工程の溶液の中性付近への調整を該溶液に酢酸を添加することで行い、これによって該溶液をpH5~8.0に調整することとした請求項1又は2の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第1工程の攪拌振とうを、前記溶液を20~50℃に保持しながら1/3~120時間行うこととした請求項1、2又は3の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第2工程の酸化剤として、過酸化水素、臭素酸ソーダ又は空気を用いた請求項1、2、3又は4の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第2工程の酸化剤として過酸化水素又は臭素酸ソーダを用い、該過酸化水素又は臭素酸ソーダを前記放置する時間の内の前半の一定時間の間に継続して徐々に添加することとした請求項1、2、3又は4の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第2工程の酸化剤として空気を用い、該空気を前記放置する全時間中に継続的にバブリングすることで添加することとした請求項1、2、3又は4の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第2工程で得られた溶液から不溶物を濾過して取り除き、その後、該溶液をpH2~4付近に調整して溶解している羽毛ケラチン蛋白質を沈澱させ、遠心分離により沈殿した羽毛ケラチン蛋白質を回収することによる請求項1、2、3、4、5、6又は7の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
 前記第2工程で得られた溶液をpH7~8に調整した後、溶液を濾過して不溶物を取り除き、その後、該溶液を分画分子量1000~5000のゲルカラムに通して脱塩し、溶解している羽毛ケラチンタンパク質を分取し、すべてのフラクションを集めて、凍結乾燥することによる請求項1、2、3、4、5、6又は7の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法。
Description:
可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製 方法

 本発明は、廃鶏やブロイラー処理等によ 生じた羽毛を処理して可溶性羽毛ケラチン 白質に変換する可溶性羽毛ケラチン蛋白質 製造方法に関する。

 廃鶏やブロイラー処理により生じる羽毛 、細かく裁断して肥料として利用されるも もあるが、大部分は焼却処分されている。 た近年、大量の羽毛布団が廃棄されている 、これらも殆どが焼却処分に付されている 元来、羽毛は天然資源であり、廃棄羽毛を 効利用する立場から羽毛繊維を可溶化する みがなされてきている。これらの試みには 例えば、特許文献1、2及び3の例がある。

 特許文献1は、架橋構造を有するケラチン 蛋白質繊維を液体中で還元処理した後、不溶 物を除き、更に還元剤を除去して可溶性ケラ チンを得るに際し、カチオン界面活性剤を、 還元処理時又は不溶物を除いた後に加えるこ とによる可溶性ケラチンの製造方法である。

 特許文献2は、少なくとも以下の記載の(A)か ら(C)の製造行程よりなる羽毛ケラチン加水分 解物又はその塩の製造方法であり、
(A)還元剤を含むあるいは含まない非アルカリ 性水溶液に羽毛を浸漬し、それを0.2~0.32MPaに 圧しながら121~136℃の高温にすることで、羽 毛を軟化させる工程。
(B)(A)工程により得られた羽毛含有非アルカリ 水溶液のpHを、塩基を添加してアルカリに調 した後、プロテアーゼを添加して加水分解 応させることにより、軟化させた羽毛を部 的に消化させる工程。
(C)(B)工程により得られた部分的に消化された 羽毛を、(I)親水性の置換基で化学修飾する工 程、及び/または(II)尿素、アルコール、多価 ルコールから選ばれる1種以上を含有する水 溶液に高分子のまま可溶化せしめる溶解工程 。

 特許文献3は、鳥類の羽毛を、(1)アルカリ 処理により形状変換及び形質変換して得られ るオリゴβケラチン誘導体、および/または(2) 上記(1)の処理に引き続く紫外線照射処理によ り形状変換及び形質変換して得られるオリゴ βケラチン誘導体の水溶液を存在させること よる水不溶性物質の可溶化またはミクロ乳 分散方法である。

特開平8-92295号公報

特開2005-120286号公報

特開2004-337746号公報

 本発明は、廃鶏やブロイラー処理、或い 羽毛布団の廃棄の際に生じ、そのままでは 効利用が困難な羽毛を可溶性羽毛ケラチン 白質に変換する低コストで高收率の製造方 を提供することを解決の課題とするもので る。

 本発明の1は、鳥類の羽毛を浸漬した水に アルカリ性に調整したチオグリコール酸(TGA) 液を加えて攪拌振とうする第1工程と、第1 程で得られた溶液を中性付近に調整し、こ 溶液に酸化剤を加えて所定時間放置するこ により可溶性羽毛ケラチン蛋白質を製造す 第2工程とによる可溶性羽毛ケラチン蛋白質 製造方法である。

 本発明の2は、本発明の1の可溶性羽毛ケ チン蛋白質の製造方法に於いて、前記第1工 のチオグリコール酸溶液のアルカリ性への 整をリチウム、ナトリウム、アンモニウム はカリウムの水酸化物によって行い、これ よってそれらの溶液をpH8.0~13に調整するこ としたものである。

 本発明の3は、本発明の1又は2の可溶性羽 ケラチン蛋白質の製造方法に於いて、前記 2工程の溶液の中性付近への調整を該溶液に 酢酸を添加することで行い、これによって該 溶液をpH5~8.0に調整することとしたものであ 。

 本発明の4は、本発明の1、2又は3の可溶性 羽毛ケラチン蛋白質の製造方法に於いて、前 記第1工程の攪拌振とうを前記溶液を20~50℃に 保持しながら1/3~120時間行うこととしたもの ある。

 本発明の5は、本発明の1、2、3又は4の可 性羽毛ケラチン蛋白の製造方法に於いて、 記第2工程の酸化剤として、過酸化水素、臭 酸ソーダ又は空気を用いたものである。

 本発明の6は、本発明の1、2、3又は4の可 性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法に於いて 前記第2工程の酸化剤として過酸化水素又は 素酸ソーダを用い、該過酸化水素又は臭素 ソーダを前記放置する時間の内の前半の一 時間の間に継続して徐々に添加することと たものである。

 本発明の7は、本発明の1、2、3又は4の可 性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法に於いて 前記第2工程の酸化剤として空気を用い、該 気を前記放置する全時間中に継続的にバブ ングすることで添加することとしたもので る。

 本発明の8は、本発明の1、2、3、4、5、6又 は7の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法 於いて、第2工程で得られた溶液から不溶物 取り除き、その後、該溶液をpH2~4付近に調 して溶解している羽毛ケラチン蛋白を沈澱 せ、遠心分離により沈殿した羽毛ケラチン 白質を回収することとしたものである。

 本発明の9は、本発明の1、2、3、4、5、6又 は7の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法 於いて、第2工程で得られた溶液をpH7~8に調 し、この調整に前後して該溶液を濾過して 溶物を取り除いた後、該溶液を分画分子量10 00~5000のカラムに通して脱塩し、溶解してい 羽毛ケラチンタンパク質を分取し、すべて フラクションを集めて、凍結乾燥すること より羽毛ケラチン蛋白質を回収することと たものである。

 本発明1の可溶性羽毛ケラチン蛋白の製造 方法によれば、廃鶏やブロイラー処理等によ り生じた羽毛を処理して簡単にかつ低廉に可 溶性羽毛ケラチン蛋白に変換し、これを有効 利用することができる。

 羽毛のケラチン繊維は、その蛋白分子間 るいは分子内に多量のジスルフィド(-SS-)結 が存在し架橋密度の高い巨大な網目構造を 成しており、その可溶化は困難である。こ ようなジスルフィド結合を還元によって切 し、これをスルフヒドリル基に変換してケ チン鎖の架橋を無くし、高分子の溶解条件 満たしたように見えても、実際には容易に 解しない。スルフヒドリル基のpK値は9程度 ペプチド鎖の加水分解を起こさないような 常のpH領域では、スルフヒドリル基のイオ 化のみでは高分子量のケラチンペプチド鎖 水に溶解しない。また、スルフヒドリル基 含むタンパク質は、反応性が高く空気中で やかに酸化され、不溶化してしまう。本発 の1の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製造方法 よれば、このような問題を簡単な方法によ 解決し、高收率で安定な可溶性羽毛ケラチ 蛋白質を得ることが可能となったものであ 。

 本発明の2の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の 製造方法によれば、前記チオグリコール酸溶 液のpHを適切に調整することができる。

 本発明の3の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の 製造方法によれば、前記酸化剤の投入に先だ つ溶液のpHの調整を容易に行うことができる

 本発明の4の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の 製造方法によれば、その反応を良好に進行さ せることができる。

 本発明の5の可溶性羽毛ケラチン蛋白の製 造方法によれば、前記酸化剤として、過酸化 水素、臭素酸ソーダ又は空気を用いることに より、生成しているシステイン残基を酸化し 、ジスルフィド結合を生じる三種の反応のう ち二種の反応を簡易にかつ良好に生じさせる ことができるが、三種のうちケラチンの溶解 を阻害する他の一種の反応を抑制することが できる。

 本発明の6又は7の可溶性羽毛ケラチン蛋 質の製造方法によれば、前記各酸化剤を、 記のように、放置時間の内の前半の一定時 の間に徐々に添加し、あるいはその全時間 渡って継続的に添加することとしたことに り、一層良好に、生成しているシステイン 基を酸化し、ジスルフィド結合を生じる三 の反応のうち二種の反応を効率良く生じさ 、溶解を阻害する他の一種の反応を効果的 抑制することができる。

 本発明の8及び9の可溶性羽毛ケラチン蛋 の製造方法によれば、溶液中から可溶性羽 ケラチン蛋白質を良好に回収することがで る。

実施例2で得た二つの試料及び未処理羽 毛のSDS電気泳動パターンを示した図。

 本発明の可溶性羽毛ケラチン蛋白質の製 方法は、鳥類の羽毛を浸漬した水にアルカ 性に調整したチオグリコール酸溶液を加え 攪拌振とうする第1工程と、第1工程で得ら た溶液を中性付近に調整し、この溶液に酸 剤を加えながら所定時間放置することによ 可溶性羽毛ケラチン蛋白質を製造する第2工 とによって構成したものである。

 対象となる羽毛は、既述のように、鳥類 それであり、廃鶏やブロイラー処理によっ 生じる羽毛を特に予定しているが、それに 定されるわけではない。

 このような原料となる鳥類の羽毛は、予 中性洗剤で洗浄して汚れを除去し、更に水 して中性洗剤を除去した上で、風乾し、1~5m mに細断したものである。

 羽毛に以上の処理を施した後に、前記第1工 程を開始する。
 まず該羽毛を水に浸漬する。この水は重量 で該羽毛の20~200倍とするのが適当である。 方、チオグリコール酸溶液をアルカリ性に 整し、これを上記水の中に添加する。この オグリコール酸溶液濃度は、0.05~5mol/l程度 なるように、チオグリコール酸の溶解量を めておくのが適当である。またこのチオグ コール酸溶液はpH9.0~13に調整しておくのが好 ましいが、そのために種々の塩基を自由に採 用することができる。例えば、リチウム、ナ トリウム、アンモニウム、又はカリウムの水 酸化物を採用することができる。このように 羽毛を浸漬した水にアルカリ性に調整したチ オグリコール酸を添加してこれを攪拌振とう する。この攪拌振とうは、この溶液を20~50℃ 保持しながら1/3~120時間行うのが適当である 。

 この第1工程で、前記羽毛を構成するケラチ ン蛋白質分子のシスチン残基は、以下のよう に、チオグリコール酸によって還元される。 まず、化1に示すように、シスチン残基のジ ルフィド基は、前記アルカリ性かつ温度条 の下でチオグリコール酸によって還元され 該ジスルフィド基の一部がスルフヒドリル に変換し、システイン残基を生成する。ま 同時に混合ジスルフィド基であるカルボキ メチルアラニルスルフィド残基(CMAD)を生成 る。

 また、こうして生成したカルボキシメチル ラニルスルフィド残基は、化2に示すように 、更にチオグリコール酸によって還元され、 そのジスルフィド基の一部が、同様に、スル フヒドリル基に変換してシステイン残基を生 成し、同時にジチオジグリコール酸(DTDG)を生 成する。

 羽毛を溶解させるためには、ジスルフィ 結合をほぼ完全に切断することが必要であ 。即ち、羽毛ケラチン蛋白質の殆ど全ての スチン残基をシステイン残基に変換するこ が必要である。前記化2の平衡がほぼ完全に 右側に偏ればシスチン残基のジスルフィド結 合はチオグリコール酸による還元によって切 断され、スルフヒドリル基に変換され、シス テイン残基を生じる。こうしてケラチン蛋白 質分子鎖の架橋がなくなると、高分子のケラ チン蛋白質分子鎖の溶解条件が満たされるこ とになるが、スルフヒドリル基のpK値は9程度 (アミノ酸システインとしてのpK値は8.35)であ 、ペプチド鎖の加水分解を起こさないよう 通常のpH領域では、スルフヒドリル基のイ ン化のみでは高分子量のケラチンペプチド を水に溶解させることはできない。

 そこで、酸化反応を利用し、前記カルボキ メチルアラニルスルフィド残基(混合ジスル フィド基)を多量ケラチン蛋白質分子鎖に導 することができれば、カルボキシル基:-COOH(p K値=3~4)を中性付近で陰イオン化(-COO - )し、ケラチン蛋白鎖を溶解させるに十分な 分子イオンを形成させることができること なる。

 ここで、第2工程では、以上の第1工程で られた溶液を中性付近に調整し、この溶液 酸化剤を加えながら所定時間放置し、可溶 羽毛ケラチン蛋白質を生成させる。

 前記溶液のpH5~8.0への調整は種々の酸を用 いて自由に行うことが可能である。例えば、 酢酸を用い、これを添加することによって前 記pHに調整する。更にこの溶液は、前記のよ に、酸化剤を加えながら、かつ20℃前後に 持しながら、所定時間放置する。

 前記酸化剤としては、過酸化水素、臭素酸 ーダ又は空気を用いることができる。また 化剤として過酸化水素又は臭素酸ソーダを いる場合は、該酸化剤を前記放置する全時 の内の前半の一定時間の間に継続して徐々 添加することとするのが適当である。この 合の酸化剤の溶液濃度は、1/10 2 ~1/10mol/lとするのが適当である。更に又酸化 として空気を用いる場合は、該空気を前記 置する全時間中に継続的にバブリングする とで添加することとするのが適当である。 のとき、同時に、前記のように、当該の溶 を20℃前後に保持しておくべきである。この ように、20℃前後に保持しながら、かつ酸化 を添加しながら放置する所定時間は3~10時間 程度とするのが適当である。これによって可 溶性羽毛ケラチンを生成させることができる 。

 第2工程で、以上のようにして酸化剤を添 加すると、以下の化3、化4及び化5の反応が同 時に生じる。しかし、化3は高分子鎖である ラチン蛋白質分子鎖に結合したスルフヒド ル基同士の酸化によるジスルフィド結合の 成反応であり、立体化学的にもこのような 間距離が膨潤離間した鎖間に形成されるジ ルフィド結合の生成反応速度は、化4のケラ ン高分子鎖-低分子(チオグリコール酸)の反 速度及び化5のジチオジグリコール酸(DTDG)を 生成する低分子同士の反応速度に比較して充 分に小さい。従って、結果として化4及び化5 反応が優先的に生じ、系に残存するシステ ン残基のスルフヒドリル基の大部分はカル キシメチルアラニルジスルフィド残基及び チオジグリコール酸(DTDG)に変換される。な 、化5は、以上の羽毛ケラチン蛋白の反応と は無関係な、低分子であるチオグリコール酸 同士の反応であり、以上の三つの酸化反応の 内、化5が最も反応速度が大きく、速やかに チオジグリコール酸を生成する。

 ここで、化5の反応は化2と共役しているた 、過剰のR-S-S-Rの生成により化6(化2の逆反応) の反応が生じる。即ち、化2の平衡が左に偏 、更に化1の平衡も左に偏るため、K-S-S-Kの結 合が再生されることになる。換言すれば、化 5によるジチオジグリコール酸(DTDG)の生成は 解を抑制する方向に作用することになる。 こで、この問題を解決するためには、化1及 化2の平衡移動反応速度を遅くすることによ って、ラジカル機構で進む化4及び化5の反応 方をイオン反応で進む化1及び化2より相対 に速くすることができれば、化2及び化1の反 応は実質的に無視できることになる。そこで 、中性或いはやや酸性側で酸化反応を生じさ せることでラジカル反応を効率良く起こし、 一方、平衡移動反応を遅くするためには、系 のpHを7程度にして、R-S - イオンの濃度をできるだけ減少させることに より求核攻撃で進むSH/SS交換反応(平衡反応) 抑制することにした。このようにして、化4 反応を利用してCMAD残基を分子鎖に導入する ことにより水に可溶性の羽毛ケラチン蛋白質 を簡単に合成することができる。

 以上のようにして生成された可溶性羽毛 ラチン蛋白質は、以上の溶液から次のよう して回収する。

 まず、以上の溶液から不溶物を取り除い 上で、該溶液を酢酸又は塩酸でpH3~4付近に 整して溶解している羽毛ケラチン蛋白質を 澱させる。沈殿した羽毛ケラチン蛋白質は 心分離により溶液から分離することができ 。なお溶液からの不溶物の除去は濾過等に って行うことができる。該蛋白質の保存は 酸酸性のペースト状態にして、冷暗所で行 ことができる。

 また前記のようにして生成された可溶性 毛ケラチン蛋白質溶液から不溶物を取り除 た上で、該溶液をpH8に調整し、該溶液をゲ ろ過により精製した。即ち、分画分子量1000 ~5000のゲルを充填したカラムに通して、脱塩 分取し、全フラクションを凍結乾燥するこ によって固体状態で羽毛ケラチン蛋白質を ることができる。該蛋白質の保存は冷暗所 行うことができる。

 本発明に於いては、以上のように、羽毛 ラチン蛋白質を水に溶解可能にするには、 2に示すように、過剰のチオグリコール酸で 羽毛ケラチン蛋白質を還元し、次に化4、化5 化6に示すように系を酸化し溶液中の残余の スルフヒドリル基を混合ジスルフィド基(カ ボキシメチルアラニルジスルフィド基)に変 させる。こうして十分な量の混合ジスルフ ド基を高分子量の羽毛ケラチン蛋白質分子 に導入することができることになるもので る。

 以上のように、本発明の可溶性羽毛ケラ ン蛋白質の製造方法によれば、廃鶏やブロ ラー処理等により生じた羽毛を処理して簡 にかつ低廉に可溶性羽毛ケラチン蛋白質に 換し、これを有効利用することができる。

 布団中綿用の羽毛(ホワイトグース100%)を 性洗剤で洗浄後、水洗いし、乾燥させた。 の羽毛を1gずつ4本の300mlのフラスコに投入 、その内3本には、それぞれ水酸化ナトリウ でpH11.0に調整した0.2mol/l濃度のチオグリコ ル酸溶液50mlを加え、残りの1本には水酸化ナ トリウムでpH11.0に調整した0.5mol/l濃度のチオ リコール酸溶液50mlを加え、その内のNa-TGA濃 度0.5mol/l濃度を加えた1本については、30℃で4 8時間の攪拌・振とうを行い、他の3本の内の2 本については、いずれも30℃で、ただし一方 48時間、他方は120時間の攪拌・振とうを行 、残りの1本については、50℃で1/3時間の攪 ・振とうを行い、その後、いずれの溶液の 度も30℃に調整してから酢酸でpH7に調整した 。これらの溶液に0.4mol/l濃度の臭素酸ナトリ ム溶液50mlをそれぞれ4時間掛けて徐々に加 、その後、20時間放置した(従って溶液中の 素酸ソーダの濃度は0.2mol/l)。次いで、それ の溶液から不溶物を濾別し、各々酢酸でpHを 3.5付近に調整して高分子物質を沈澱させ、遠 心分離によりその沈殿物を回収した。沈殿物 重量及び不溶残渣重量Wresは真空乾燥してか 測定を行った。沈殿法による沈殿物重量測 では、沈殿物の回収過程で実験誤差が入り 頼性に欠けたので、不溶残渣重量から次の 1により、残渣収率Yres(%)を求めた。

 次の表1に還元反応条件と残渣収率を示す 。

 以上の表1のデータから理解できるように 、この実施例1によれば、TGA濃度0.2mol/l以上、 温度30℃以上、48時間以上の反応時間で行っ 可溶性羽毛ケラチン蛋白質の収率は95%以上 達する。50℃、1/3時間の還元反応でも84%が得 られた。

 布団中綿用の羽毛(ホワイトグース100%)を 性洗剤で洗浄後、水洗いし、乾燥させ約5mm 細断した。この羽毛を0.2gずつ50mlの10本のフ ラスコに投入し、水酸化ナトリウムでpH9.0、1 0.0、10.5、10.75、11.0、11.25、11.5、12.0、12.5、13. 0に調整した0.2mol/l濃度のチオグリコール酸溶 液10mlをそれぞれ上記フラスコ中に加え、こ らを30℃、48時間攪拌・振とうした後、これ の溶液を30℃にしてから酢酸でpH7に調整し 。これらの溶液に0.4mol/l濃度の臭素酸ナトリ ウム溶液10mlを4時間掛けて徐々に加え、その 、20時間放置した(従って溶液中の臭素酸ソ ダの濃度は0.2mol/l)。次いで、それらの溶液 ら不溶物を取り除くため濾別した。各々濾 に酢酸ソーダを加えてpH8に調整してから各 液を分画分子量1000~5000のゲルを充填したカ ムに通して脱塩、分取し、全フラクション 凍結乾燥させた。その凍結乾燥重量Wsolを測 定した。可溶性羽毛ケラチン蛋白質の収率(%) を凍結乾燥収率Ysolとして次の数2のように定 して求めた。

 表2にチオグリコール酸ナトリウム(Na-TGA) 元系のpH変化と凍結乾燥収率Ysolとの関係を す。

 表2のデータから実施例2によれば還元系 pH11以上では殆ど完全に羽毛ケラチンから可 性ケラチン蛋白質を取り出すことができる とが分かる。

 布団中綿用の羽毛(ホワイトグース100%)を 性洗剤で洗浄後、水洗いし、乾燥させ約5mm 細断した。この羽毛を0.2gずつ6本の50mlのフ スコに投入し、水酸化ナトリウムでpH11.0に 整した0.025、0.05、0.10、0.15、0.20、0.50mol/l濃 のチオグリコール酸溶液10mlを各フラスコ中 に加え、これらを30℃、48時間攪拌・振とう た後、これらの溶液を30℃にしてから酢酸で pH7に調整した。これらの溶液に0.4mol/l濃度の 素酸ナトリウム溶液10mlを4時間掛けて徐々 加え、その後、20時間放置した(従って溶液 の臭素酸ソーダの濃度は0.2mol/l)。次いで、 れらの溶液から不溶物を取り除くため濾別 た。各濾液に酢酸ソーダを加えてpH8に調整 てから各溶液を分画分子量1000~5000のゲルを 填したカラムに通して脱塩、分取し、全フ クションを凍結乾燥させた。凍結乾燥重量Ws ol及び不溶残渣重量Wresを測定した。後者の重 量は真空乾燥してから測定を行った。可溶性 羽毛ケラチン蛋白質の収率(%)を、凍結乾燥収 率Ysol及び残渣収率Yresを、それぞれ次の数3、 数4のように定義して求めた。

 表3にチオグリコール酸(Na-TGA)濃度変化と 結乾燥収率及び残渣収率との関係を示す。

 実施例3によれば、表3のデータから理解 れるように、チオグリコール酸濃度により 結乾燥收率及び残渣乾燥收率は大きく変化 ており、チオグリコール酸濃度が可溶性羽 ケラチン蛋白質の収率に決定的な影響をも ことが見出された。表3のデータから、チオ リコール酸濃度は0.20mol/l濃度のときに最も い結果が得られ、また凍結乾燥収率及び残 収率の両者は実験誤差内で一致することも かった。

 布団中綿用の羽毛(ホワイトグース100%)を 性洗剤で洗浄後、水洗いし、乾燥させ約5mm 細断した。この羽毛を0.2gずつ50mlの5本のフ スコに投入し、水酸化ナトリウムでpH11.0に 整した0.20mol/l濃度のチオグリコール酸溶液 5、6、8、10及び20ml(浴比として、各々25、30 40、50及び100倍)を各々上記フラスコ中に加え 、これらを30℃、48時間攪拌・振とうした後 これらの溶液を30℃にしてから酢酸でpH7に調 整した。これらの溶液に0.4mol/l濃度の臭素酸 トリウム溶液10mlを4時間掛けて徐々に加え その後、20時間放置した(従って溶液中の臭 酸ソーダの濃度は0.2mol/l)。次いで、それら 溶液から不溶物を取り除くため濾別した。 液に酢酸ソーダを加えてpH8に調整してから 液を分画分子量1000~5000のゲルを充填したカ ムに通して脱塩、分取し、全フラクション 凍結乾燥させた。凍結乾燥重量、Wsolを測定 た。浴比の変化と収率との結果を表4に示す 。

 実施例4によれば、表4のデータから分か ように、浴比50倍のとき収率は最大値を示す 。羽毛中のジスルフィド(-SS-)結合含量に対し て過大量のチオグリコール酸(TGA)の存在は、 記化6の反応の抑制が十分に機能せず、前記 化2及び化1の反応が起こるためである。

 還元系のpHを変化させて得られた可溶性羽 ケラチンタンパク質のSDS-PAGEによる電気泳動 法を用いて分子量についてのキャラクタリゼ イションを行った。試料として、実施例2に ける表2中pH10.0及び10.5の条件(還元: 0.2mol/l N a-TGA10mL(浴比50倍), 30℃, 48h; 酸化: 0.2mol/l Na BrO 3 , 30℃, 24h.)で得られた、それぞれ凍結乾燥 率が71.5 及び88.0 %のSDS電気泳動パターンを 処理羽毛のそれと共に図1に示す。何れの試 料の分子量も約12600を示し、未処理羽毛(オリ ジナル)のタンパク質と同様に単分散状態の ンパク質であり、可溶化処理による分子量 下は起こらないことが分かった。

 本発明によれば、廃鶏やブロイラー処理 により生じた羽毛を処理して容易に可溶性 ラチン蛋白質に変換することが可能であり 焼却処分されてきた羽毛類を、ダメージ毛 或いは爪の修復などの美容分野、機能性蛋 質フィルムや蛋白質成形品等の食品や工業 野、或いは水田に投入する肥料等として農 分野で有効利用することができる。