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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF GLASS SUBSTRATES AND GLASS SUBSTRATES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093550
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention provides a process for producing glass substrates usable as low-temperature p-Si TFT substrates by a down-draw method directly, and glass substrates obtained by the process. A process for the production of glass substrates which comprises the forming step of forming molten glass into a ribbon by a down-draw method, the annealing step of annealing the glass ribbon, and the cutting step of cutting the glass ribbon into glass substrates, characterized in that in the annealing step, the average cooling rate from the annealing point to the annealing point minus 50°C is lower than that from the annealing point plus 100°C to the annealing point.

Inventors:
KATO YOSHINARI (JP)
MATSUKI EIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050699
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON ELECTRIC GLASS CO (JP)
KATO YOSHINARI (JP)
MATSUKI EIJI (JP)
International Classes:
C03B17/06; C03C3/091; G02F1/1333
Domestic Patent References:
WO2007136054A12007-11-29
WO2007080924A12007-07-19
Foreign References:
JPH09278465A1997-10-28
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 ダウンドロー法にて溶融ガラスをリボン状に成形する成形工程と、ガラスリボンを徐冷する徐冷工程と、ガラスリボンを切断してガラス基板を得る切断工程とを含むガラス基板の製造方法であって、徐冷工程において、(徐冷点+100℃)から徐冷点までの平均冷却速度より、徐冷点から(徐冷点-50℃)までの平均冷却速度を低くしたことを特徴とするガラス基板の製造方法。
 (徐冷点+100℃)から徐冷点までの平均冷却速度が30℃/分以上であることを特徴とする請求項1のガラス基板の製造方法。
 ダウンドロー法にて溶融ガラスをリボン状に成形する成形工程と、ガラスリボンを徐冷する徐冷工程と、ガラスリボンを切断してガラス基板を得る切断工程とを含み、徐冷工程が、ガラスを徐冷点まで冷却する第一の徐冷段階と、ガラスをTx(ここでTxは(徐冷点-50℃)から(徐冷点―200℃)の間にある温度)まで冷却する第二の冷却段階と、ガラスを(Tx―250℃)まで冷却する第三の徐冷段階とを含み、第一の徐冷段階の平均冷却速度より、第二の徐冷段階の平均冷却速度を低くしたことを特徴とするガラス基板の製造方法。
 (徐冷点+100℃)から徐冷点までの平均冷却速度で定義される、第一の徐冷段階の平均冷却速度が30℃/分以上であることを特徴とする請求項3のガラス基板の製造方法。
 第二の徐冷段階の平均冷却速度より、第三の徐冷段階の平均冷却速度を高くしたことを特徴とする請求項3又は4のガラス基板の製造方法。
 Txから(Tx―250℃)までの平均冷却速度で定義される、第三の徐冷段階の平均冷却速度が50℃/分以上であることを特徴とする請求項3~5の何れかのガラス基板の製造方法。
 ガラスリボンの有効幅が500mm以上となるように、溶融ガラスを成形することを特徴とする請求項1~6の何れかのガラス基板の製造方法。
 ダウンドロー法が、オーバーフローダウンドロー法であることを特徴とする請求項1~7の何れかのガラス基板の製造方法。
 液相粘度が10 4.5 dPa・s以上のガラスを用いることを特徴とする請求項1~8の何れかのガラス基板の製造方法。
 歪点が600℃以上のガラスを用いることを特徴とする請求項1~9の何れかのガラス基板の製造方法。
 質量百分率で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~25%、B 2 O 3  3~15%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15%、Na 2 O 0~5%含有するガラスを用いることを特徴とする請求項1~10の何れかのガラス基板の製造方法。
 フラットパネルディスプレイに使用されるガラス基板の製造方法であることを特徴とする請求項1~11の何れかのガラス基板の製造方法。
 フラットパネルディスプレイが、低温p-SiTFTが基板上に形成されるディスプレイであることを特徴とする請求項12のガラス基板の製造方法。
 請求項1~13の何れかの方法で作製されてなることを特徴とするガラス基板。
 常温から10℃/分の速度で昇温し、保持時間450℃で10時間保持し、10℃/分の速度で降温したときの熱収縮率が30ppm以下であり、平均表面粗さRaが0.3nm以下、歪み値が1.0nm以下であることを特徴とするガラス基板。
 ガラスの仮想温度が徐冷点から(徐冷点+44℃)の範囲にあり、平均表面粗さRaが0.3nm以下、歪み値が1.0nm以下であることを特徴とするガラス基板。
 反り値が100μm以下であることを特徴とする請求項15又は16のガラス基板。
 短辺が500mm以上であることを特徴とする請求項15~17の何れかのガラス基板。
 表面が未研磨であることを特徴とする請求項15~18の何れかのガラス基板。
 液相粘度が、10 4.5 dPa・s以上のガラスからなることを特徴とする請求項15~19の何れかのガラス基板
 歪点が600℃以上のガラスからなることを特徴とする請求項15~20の何れかのガラス基板。
 質量百分率で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~25%、B 2 O 3  3~15%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15%、Na 2 O 0~5%含有するガラスからなることを特徴とする請求項15~21の何れかのガラス基板。
 フラットパネルディスプレイに使用されることを特徴とする請求項15~22の何れかのガラス基板。
 フラットパネルディスプレイが、低温p-SiTFTが基板上に形成されるディスプレイであることを特徴とする請求項23のガラス基板。
Description:
ガラス基板の製造方法及びガラ 基板

 本発明は、ガラス基板の製造方法及びガ ス基板に関し、特に多結晶シリコンタイプ 薄膜トランジスタ素子で駆動される、いわ る低温p-SiTFTタイプのディスプレイに好適な ガラス基板に関するものである。

 液晶ディスプレイ等のフラットパネルデ スプレイの基板としてアルミノシリケート ガラス基板が広く用いられている。この用 に用いられるガラス基板には熱収縮が小さ ことが要求される。つまりガラス基板上に 膜電気回路が形成されることから、成膜熱 理、パターニング等の処理が施されること なり、これらの処理でガラス基板が高温下 曝されることになる。この時、ガラス基板 、構造緩和を起こし、体積が収縮する。こ 熱収縮が大きいと、ガラス基板上に形成さ る回路パターンが、所期の設計からずれて まい、電気的な性能を維持できなくなると う致命的な欠陥となる。

 ところでフラットパネルディスプレイに し、年々高精度、高精細等の要求が高まっ おり、これらの要求を満足する次世代のデ スプレイとして有望視されているのが、低 p-SiTFTにより駆動される液晶ディスプレイや 有機ELディスプレイである。これらのディス レイにおいて、基板上に低温p-SiTFTを形成す る時の熱処理温度は、450~600℃付近の高温で り、しかも回路パターンがより微細になる それゆえ、この種の用途に使用されるガラ 基板には、特に熱収縮率の小さいものが要 されている。

 従来、この種のガラス基板は、フロート や、オーバーフローダウンドローに代表さ るダウンドロー法等により成形される。フ ート法は、溶融ガラスを溶融スズ(フロート バス)の上に流し出し、これを水平方向に引 伸ばすことによってガラスを板状に成形す 方法である。この方法ではフロートバスで ラスリボンを成形した後に、50m以上に及ぶ 大な徐冷炉でガラスリボンを徐冷(オンライ アニール)する。従ってフロート法により成 形されるガラス基板は、熱収縮率が小さいと いう特徴がある。ただしフロート法では、肉 厚を薄くすることが難しく、またガラス基板 を研磨してガラス表面に付着したスズを除去 する必要がある、というデメリットがある。

 一方、ダウンドロー法は、ガラスを垂直 方方向に引き伸ばして板状に成形する成形 法の総称である。例えば現在広く使用され いるオーバーフローダウンドロー法は、断 略楔形の樋状耐火物(成形体)の頂部に溶融 ラスを導いて、その両側よりガラスを溢れ させて側面に沿って流下させ、耐火物下端 合流させて下方へ引き伸ばすことよってガ スを板状に成形する。ダウンドロー法は、 ラスを薄板に成形しやすいというメリット ある。さらにオーバーフローダウンドロー の場合は、成形中にガラス表面が空気以外 接触しないために、未研磨の状態でも表面 位の高いガラス基板を得ることができると うメリットがある。ただしダウンドロー法 は、徐冷炉を成形体の直下に設ける関係上 フロート法のような長大な徐冷炉を設置す ことは実際上不可能である。従って必然的 徐冷炉が短くなり、換言すれば徐冷炉内で 冷却速度が速くなり、ガラスが急冷状態で 化されるため、熱収縮率の小さいガラス基 を得ることができないという問題がある。

 このような事情から、ダウンドロー成形さ たガラス基板を低温p-SiTFT基板用途等に使用 するためには、再度の熱処理(オフラインア ール)を行い、ガラスの構造緩和を進めてお ことによって熱収縮率を小さくする必要が る。この再熱処理は、例えばデバイス作製 の加熱温度より高いガラス転移領域の温度( 歪点または徐冷点付近)まで一旦ガラス基板 加熱し、その温度で一定時間保持した後、 点より200℃程度低い温度まで徐冷してから ガラスが破損しない程度の冷却速度で急冷 る、というものである。

特開平10-53427号公報

特開平10-53426号公報

特開2007-186406号公報

 上記した再熱処理は、通常、セッター上 ガラス基板を平置きし、アニール炉に投入 て行われる。しかしこの方法はバッチ処理 あるため、効率が良くないというデメリッ がある。またセッター上に載置することか 、基板表面にキズや汚れ等の表面欠陥が発 し易く、熱処理後に研磨を必要とする。

 基板表面のキズや汚れを防止することを 的として、基板同士を離間させながら垂直 立てて再熱処理を行う方法が特許文献1に開 示されている。この方法によれば、基板表面 が汚染されるおそれがないというメリットが ある。しかしながら、基板サイズが500×500mm 上となるような大型の基板の場合、熱処理 よって基板が変形し、歪みや反りが発生す という不都合がある。また上記と同様、バ チ処理であるため、効率が良くない。

 本発明は、上記事情に鑑みなされたもの あり、ダウンドロー法で直接、低温p-SiTFT基 板用途に使用可能なガラス基板の製造を製造 する方法と、この方法により得られるガラス 基板を提供することを目的とするものである 。

 本発明者等は、ダウンドロー成形後の徐 工程において、温度管理を最適化すること よって徐冷に要する時間や距離を短縮する とができ、よってオンラインアニールが可 になることを見いだし、本発明として提案 るものである。

 即ち、本発明のガラス基板の製造方法は、 ウンドロー法にて溶融ガラスをリボン状に 形する成形工程と、ガラスリボンを徐冷す 徐冷工程と、ガラスリボンを切断してガラ 基板を得る切断工程とを含むガラス基板の 造方法であって、徐冷工程において、(徐冷 点+100℃)から徐冷点までの平均冷却速度より 徐冷点から(徐冷点-50℃)までの平均冷却速 を低くしたことを特徴とする。本発明にお て「徐冷点」とは、ガラスが10 13 dPa・sの粘度を示す温度であり、ASTM C336-71の 法に基づき測定することができる。「平均 却速度」とは、所定の温度領域をガラスリ ンの板幅方向中央部分が通過する時間を算 し、この領域内の温度差(ここでは100℃)を 過に要した時間で除することにより求めた 度である。

 本発明方法においては、(徐冷点+100℃)か 徐冷点までの平均冷却速度が30℃/分以上で ることが好ましい。

 この構成によれば、熱収縮率に殆ど影響 及ぼさない高温域での処理時間を短縮し易 なる。よって徐冷に要する時間を短縮する とが容易になり、設備設計上、有利になる 或いは、熱収縮に影響を及ぼす温度域での 理時間を十分に確保することができ、熱収 率の小さいガラスを得ることが容易になる また反りの小さいガラス基板を作製するこ が容易になる。

 本発明のガラス基板の製造方法は、ダウ ドロー法にて溶融ガラスをリボン状に成形 る成形工程と、ガラスリボンを徐冷する徐 工程と、ガラスリボンを切断してガラス基 を得る切断工程とを含み、徐冷工程が、ガ スを徐冷点まで冷却する第一の徐冷段階と ガラスをTx(ここでTxは(徐冷点-50℃)から(徐 点―200℃)の間にある温度)まで冷却する第二 の冷却段階と、ガラスを(Tx―250℃)まで冷却 る第三の徐冷段階とを含み、第一の徐冷段 の平均冷却速度より、第二の徐冷段階の平 冷却速度を低くしたことを特徴とする。こ で温度Txは、徐冷点より50℃低い温度(徐冷点 -50℃)と徐冷点より200℃低い温度(徐冷点-200℃ )の間にあり、且つ、その前後で平均冷却速 が大きく変化する温度を意味する。

 本発明においては、(徐冷点+100℃)から徐 点までの平均冷却速度で定義される、第一 徐冷段階の平均冷却速度が30℃/分以上であ ことが好ましい。

 この構成によれば、熱収縮率に殆ど影響 及ぼさない高温域での処理時間を短縮し易 なる。よって徐冷に要する時間を短縮する とが容易になり、設備設計上、有利になる 或いは、熱収縮に影響を及ぼす温度域での 理時間を十分に確保することができ、熱収 率の小さいガラスを得ることが容易になる

 本発明においては、第二の徐冷段階の平 冷却速度より、第三の徐冷段階の平均冷却 度を高くすることが好ましい。

 この構成によれば、熱収縮率に殆ど影響 及ぼさない低温域での処理時間を短縮でき 。よって徐冷に要する時間を一層短縮する とが可能になり、設備設計上、有利になる

 本発明方法においては、Txから(Tx―250℃) での平均冷却速度で定義される、第三の徐 段階の平均冷却速度が50℃/分以上であるこ が好ましい。

 この構成によれば、徐冷に要する時間を 層短縮することが容易になり、設備設計上 極めて有利になる。

 本発明方法においては、ガラスリボンの 効幅が500mm以上となるように、溶融ガラス 成形することが好ましい。ここで「ガラス ボンの有効幅」とは、ガラスリボンからガ ス基板を切り出す直前の品質を保証できる 大幅を意味する。

 この構成によれば、本発明方法の効果が り顕著になる。つまりガラスリボンの有効 が大きくなればなるほど、ガラス基板サイ が大きくなる。そして通常のオフラインア ールの場合は研磨を必要とすることから、 板が大きくなると研磨コストが増大したり 或いは研磨すること自体が困難になったり る。また研磨を必要としない引用文献1の方 法においても、基板が大きくなるとガラスに 歪みや反りが発生しやすくなる。従って、ガ ラスリボンの有効幅が大きくなるほど本方法 を採用するメリットが大きくなる。

 本発明方法においては、ダウンドロー法 オーバーフローダウンドロー法であること 好ましい。

 この構成によれば、研磨を必要としない 品位な表面を得ることができる。

 本発明方法においては、液相粘度が10 4.5 dPa・s以上のガラスを用いることが好ましい 「液相粘度」を求めるに当たっては、まず ラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(500μm)を通 し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白 金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持 て、結晶の析出する温度(液相温度)を求め 。またガラスの10 4 、10 3 、及び10 2.5 に相当するガラス融液の温度を白金球引き上 げ法により測定し、これに基づいて粘度曲線 を作成する。このようにして求めた粘度曲線 から、液相温度に相当する粘度、即ち液相粘 度を求める。

 この構成によれば、ガラスがオーバーフ ーダウンドロー法に適したものとなること ら、表面品位に優れたガラスを容易に成形 きる。よって研磨工程を不要にすることが きる。

 本発明方法においては、歪点が600℃以上の ラスを用いることが好ましい。ここで「歪 」とは、ガラスが10 14.5 dPa・sの粘度を示す温度である。

 この構成によれば、熱収縮率の小さいガ ス基板を作製することが容易になる。

 本発明方法においては、質量百分率で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~25%、B 2 O 3  3~15%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15% Na 2 O 0~5%含有するガラスを用いることが好まし 。

 この構成によれば、歪点が高く、且つオ バーフローダウンドロー成形に適した液相 度を有するガラス組成を選択することが容 になる。またディスプレイ基板に要求され その他の特性、例えば耐薬品性、比ヤング 、化学耐久性、溶融性等に優れたガラス組 とすることも可能になる。

 本発明方法においては、フラットパネル ィスプレイに使用されるガラス基板の製造 法であることが好ましい。

 この構成によれば、フラットパネルディ プレイの製造工程における熱処理で、基板 熱収縮しにくく、回路パターンのずれ等が こりにくいガラス基板を作製することがで る。

 本発明方法においては、前記フラットパ ルディスプレイが、低温p-SiTFTが基板上に形 成されるディスプレイであることが好ましい 。

 この構成によれば、低温p-SiTFTの形成時の 高温状態が晒されても、殆ど熱収縮が起こら ないガラス基板を作製することができる。

 本発明のガラス基板は、上記の方法によ て作製されてなることを特徴とする。

 本発明のガラス基板は、常温から10℃/分 速度で昇温し、保持時間450℃で10時間保持 、10℃/分の速度で降温したときの熱収縮率 30ppm以下であり、平均表面粗さRaが0.3nm以下 歪み値が1.0nm以下であることを特徴とする。 「平均表面粗さRa」とは、SEMI  D7-94「FPDガラ ス基板の表面粗さの測定方法」に準拠した方 法により測定した値を意味する。また「歪み 値」は、歪計を用いて光ヘテロダイン法によ り測定した値である。

 また本発明のガラス基板は、ガラスの仮 温度が徐冷点から(徐冷点+44℃)の範囲にあ 、平均表面粗さRaが0.3nm以下、歪み値が1.0nm 下であることを特徴とする。本発明におけ 「仮想温度」は以下のようにして求めた温 である。まず熱収縮測定と同じガラス板片 700℃に制御した電気炉中に投入し、1時間後 電気炉から取り出してアルミ板上で急冷し 後、熱収縮率を測定する。同様の処理を720 、740℃、760℃について行い、処理温度-熱収 縮率のグラフを作成する。このグラフの一次 の近似曲線から熱収縮率が0ppmとなる熱処理 度を求め、これをガラスの仮想温度とする

 本発明基板においては、反り値が100μm以 であることが好ましい。ここで「反り値」 は、ガラス基板の中央部分から切り出した5 50mm×650mmの大きさの試料をガラス基板反り測 機により測定した値である。なおガラス基 が550mm×650mmの大きさに満たない場合には、 ラス基板の反りを直接測定するものとする

 この構成によれば、反り改善のための特 な処理を行うことなく、低温p-SiTFT基板用途 に使用可能である。

 本発明基板においては、表面が未研磨で ることが好ましい。本発明において「表面 とはガラス基板の透光面(主表面)を意味し 欠け防止等の目的で研磨が施される端面と 区別される。

 この構成によれば、研磨工程が省略でき ことから、安価にガラス基板を作製するこ ができる。

 本発明基板においては、液相粘度が、10 4.5 dPa・s以上であるガラスからなることが好ま い。

 この構成によれば、オーバーフローダウ ドロー成形が可能となり、研磨工程を不要 することができる。

 本発明基板においては、歪点が600℃以上 ガラスからなることが好ましい。

 この構成によれば、熱収縮率の小さいガ ス基板を得ることが容易になる。

 本発明基板においては、質量百分率で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~25%、B 2 O 3  3~15%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15% Na 2 O 0~5%含有するガラスからなることが好まし 。

 この構成によれば、歪点が高く、且つオ バーフローダウンドロー成形に適した液相 度を有するガラスを得ることが可能である またディスプレイ基板に要求されるその他 特性、例えば耐薬品性、比ヤング率、溶融 等に優れたガラス基板を容易に設計するこ が可能になる。

 本発明基板においては、短辺が500mm以上 あることが好ましい。

 この構成によれば、本発明の効果がより 著になる。つまり研磨を必要としない熱処 方法として、基板を縦置きにして熱処理す 既述の特許文献1の方法が知られている。と ころが基板が大型になればなるほど、特許文 献1の方法ではガラスに歪みや反りが発生し すくなってしまう。一方、本発明では、基 サイズが大きくなっても、これに伴う不都 が生じない。

 この構成によれば、本発明方法の効果が り顕著になる。つまり通常のオフラインア ールの場合は研磨を必要とすることから、 板が大きくなると研磨コストが増大したり 或いは研磨すること自体が困難になったり る。また研磨を必要としない引用文献1の方 法においても、基板が大きくなるとガラスに 歪みや反りが発生しやすくなる。従って、ガ ラス基板が大型化すればするほど本発明基板 のメリットが大きくなる。

 本発明基板においては、ガラス基板がフ ットパネルディスプレイに使用されること 好ましい。

 この構成によれば、フラットパネルディ プレイの製造工程における熱処理で基板が 収縮しにくく、回路パターンのずれ等が起 りにくいため、低温p-SiTFTを搭載したディス プレイの基板として使用できる。

 本発明基板においては、前記フラットパ ルディスプレイが、低温p-SiTFTが基板上に形 成されるディスプレイであることが好ましい 。

 この構成によれば、低温p-SiTFTの形成時の 高温状態に基板が晒されても、殆ど熱収縮が 起こらない。それゆえ基板上に形成される回 路パターンが、所期の設計からずれてしまい 、電気的な性能を維持できなくなるという欠 陥を効果的に回避できる。

 本発明のガラス基板の製造方法は、徐冷 程における冷却速度をガラスの粘性に対応 て変化させるものである。このため、熱収 率低減に効果的な温度領域(徐冷点から(徐 点-50℃)までの温度範囲)の冷却速度を十分に 低く設定し、それ以外の温度域の速度を高く することができる。これによって、徐冷に要 する時間を短縮でき、ダウンドロー法を採用 したガラス基板の製造方法において、直接、 低温p-SiTFT基板用途に使用可能な熱収縮率の さいガラス基板を作製することが可能にな 。

 本発明のガラス基板は、熱収縮率が小さ 、また歪み値も小さい。しかも表面品位に れている。それゆえオフラインアニールし り、研磨したりすることなく、低温p-SiTFT基 板用途に使用可能である。

ガラス基板の熱収縮率を測定する際の 成プロファイルである。 本発明を実施するためのガラス基板の 造設備を示す概略正面図である。 熱収縮率の測定方法を示す説明図であ 。 オフラインアニールする際に使用した 持枠を示す説明図である。 オフラインアニールの焼成プロファイ である。

符号の説明

  1 成形炉
  11 成形体
  12 冷却ローラー
  2 徐冷炉
  21 ヒーター
  22 引っ張りローラー
  231 第一の徐冷ゾーン
  232 第二の徐冷ゾーン
  233 第三の徐冷ゾーン
  3 冷却室
  4 切断室
  G1 溶融ガラス
  G2 ガラスリボン
  G3 ガラス板
  G31、G32 ガラス板片
  M マーキング
  T テープ
  F 支持枠
  F1 段差部

 ガラス基板の熱収縮率は、板ガラス成形 の冷却速度に左右される。冷却速度は、板 き速度及び徐冷炉内の温度分布により決定 れる。本発明者等の調査によれば、高い冷 速度で冷却された板ガラスは熱収縮率が大 く、逆に低い速度で冷却された板ガラスは 収縮率が小さくなるが、特に徐冷点から(徐 冷点-50℃)の温度範囲における冷却条件が熱 縮率に大きな影響を与え、その一方で歪み 反りには殆ど影響を与えないことが判明し 。そこで本発明方法では、徐冷炉の長さに 限があるダウンドロー法において、熱収縮 の小さいガラス基板を得るために、徐冷点 ら(徐冷点-50℃)の温度範囲の冷却温度を極力 低くし、これ以外の温度範囲の冷却速度を高 くしている。このように調整することで、長 大な徐冷炉を必要とすることなく熱収縮率の 小さなガラス基板を得ることができる。なお 、設備的に許容されるならば、ガラスの温度 が(徐冷点-50℃)を通過しても、引き続き低い 均冷却速度を維持すること望ましい。この い平均冷却速度を維持する温度域は、最大 (徐冷点-200℃)くらいまでである。

 本発明の製造方法をさらに詳述する。

 まず所望の組成となるように調合したガラ 原料を溶融する。ガラス原料の調合は、そ 用途に適した特性を有するガラス組成とな ように、酸化物、硝酸塩、炭酸塩等のガラ 原料、カレット等を秤量し混合すればよい シリカガラス、ボロシリケートガラス、ア ミノシリケートガラス等、ガラスの種類は に問わないが、オーバーフローダウンドロ 法で成形可能なガラスとなるように調合す ことが好ましい。オーバーフローダウンド ー法で成形する場合には、ガラスの液相粘 が高いことが重要である。具体的にはガラ の液相粘度が10 4.5 dPa.s以上、10 5.0 dPa・s以上、10 5.5 dPa・s以上、特に10 6.0 dPa・s以上であることが好ましい。なお、液 粘度は結晶が析出する時の粘度であり、液 粘度が高いほどガラス成形時に失透が発生 にくく、成形しやすくなる。

 また、熱収縮率の小さいガラス基板を得 という観点からすれば、ガラスの歪点が高 ほど好ましい。また歪点が高いガラスほど 冷却速度が高くても所望の熱収縮率を達成 ることが可能となって生産性が上がり、ま 短い徐冷炉での生産が可能になる。ガラス 歪点は、具体的には600℃以上、630℃以上、 に650℃以上であることが好ましい。

 液相粘度が高く、また歪点の高いガラスと ては、質量%でSiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~25%、B 2 O 3  3~15%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15% Na 2 O 0~5%含有するアルミノシリケート系ガラス 挙げられる。また上記組成範囲であれば、 ィスプレイ基板に要求されるその他の特性 例えば耐薬品性、比ヤング率、化学耐久性 溶融性等に優れたガラスとすることが可能 ある。

 このようにして調合したガラス原料を、 ラス溶融装置に供給して溶融する。溶融温 は、ガラスの種類に応じて適宜調節すれば く、例えば上記組成を有するガラスの場合 は、1500~1650℃程度の温度で溶融すればよい なお本発明でいう溶融には、清澄、攪拌等 各種工程を含む。

 次いで溶融ガラスを、ダウンドロー法に リボン状に成形する。ダウンドロー法とし は、スロット(スリット)ダウンドロー法、 ーバーフローダウンドロー法等が知られて る。スロットダウンドロー法は、溶融ガラ を長尺溝が形成された耐火物から流下させ 板状のガラスリボンとし、これを延伸成形 る方法である。またオーバーフローダウン ロー法は、断面略楔形の樋状成形体の頂部 連続的に供給される溶融ガラスを、成形体 頂部から両側面に沿って流下させ、成形体 下端部で融合させることによって板状のガ スリボンとし、このガラスリボンを延伸成 する方法である。何れの方法においても、 ラスリボンは流下するに伴って次第に固化 ていき、所定の幅と厚みを有するガラス板 なる。本発明においては、ダウンドロー法 あれば何れの方法を採用してもよいが、表 品位が良好なガラス基板を得るという観点 らすれば、研磨工程を省略できるオーバー ローダウンドロー法を採用することが望ま い。

 なおガラスリボンの板幅は特に制限はな 。ただし基板の板幅が大きくなるほど、本 明方法以外の方法で、歪み、反り等が小さ 、しかも熱収縮率の小さい基板を研磨する となく得ることが困難となることから、板 が大きいほど本発明方法を採用するメリッ が大きいと言える。ガラスリボンの有効幅 、具体的には500mm以上、600mm以上、700mm以上 800mm以上、900mm以上、特に1000mm以上であるこ とが好ましい。有効幅は、スロットダウンド ロー法の場合はガラスが引き出される長尺溝 の長さ等を調節することにより、またオーバ ーフローダウンドロー法の場合は成形体の長 さ等を調節することにより変更できる。

 ガラスリボンの厚みも特に制限はなく、 途に応じて選択すればよい。例えばモバイ ディスプレイの用途では最終的に得られる ラス基板の肉厚が0.1~0.5mm程度であることが ましく、モニタ、テレビ用途の場合は0.3~1.1 mm程度が好適である。ガラスリボンの厚みは 溶融ガラスの流量、ガラスリボンの板引き 度等を調節することによって変更すること できる。

 次いで、成形されたガラスリボンを徐冷 る。徐冷時の冷却スピードは、ガラスの粘 に応じて適切に管理する。具体的には、徐 点以上の温度域(第一の徐冷段階)、徐冷点 らTxまでの温度域(第二の徐冷段階)、及びTx ら(Tx-250℃)までの温度域(第三の徐冷段階)に けて管理することが好ましい。ここで第一 徐冷段階の平均冷却速度は、(徐冷点+100℃) ら徐冷点までの平均冷却速度で定義される 第二の徐冷段階の平均冷却速度は、徐冷点 ら(徐冷点-50℃)までの平均冷却速度で定義 れる。第三の徐冷段階の平均冷却速度は、Tx から(Tx-250℃)までの平均冷却速度で定義され 。

 本発明においては、第一の徐冷段階の平 冷却速度より、徐冷点から(徐冷点-50℃)ま の平均冷却速度を低くする。好ましくは両 の速度差を5℃/分以上、10℃/分以上、15℃/分 以上、20℃/分以上、特に25℃/分以上とする。 両温度範囲間の冷却速度差が大きいほど、徐 冷全体に要する時間、或いは徐冷距離を短縮 し易くなる。また第二の徐冷段階の冷却速度 を十分に低くすることが可能となり、基板の 熱収縮率を低減し易くなる。

 また第二の徐冷段階の平均冷却速度より 第三の徐冷段階の平均冷却速度を高くする とが好ましい。さらに好ましくは両者の速 差を20℃/分以上、30℃/分以上、35℃/分以上 50℃/分以上、55℃/分以上、60℃/分以上、70 /分以上、特に75℃/分以上とする。両温度範 間の冷却速度差が大きいほど、徐冷全体に する時間、或いは徐冷距離を短縮し易くな 。また第二の徐冷段階の冷却速度を十分に くすることが可能となり、基板の熱収縮率 低減し易くなる。

 具体的な冷却速度を以下に示す。

 第一の徐冷段階に相当する温度範囲、特 (徐冷点+100℃)から徐冷点までの温度範囲は 板厚、歪み、反り等に影響を与える領域で る。平均冷却速度は、30℃/分以上、35℃/分 上、特に40℃/分以上であることが好ましい この範囲の冷却速度が低いと、ガラスの形 が速やかに定まらないことから形状をコン ロールし難く、その結果、歪みや反りの特 が悪くなる。また徐冷炉内でこの温度領域 相当する距離が長くなることから、第二の 冷段階に相当する温度範囲、特に徐冷点か (徐冷点-50℃)の温度領域に相当する距離を 分に確保することができなくなり、この温 域の冷却速度を十分に低くすることが困難 なり、熱収縮率の小さいガラス基板を得ら なくなる。平均冷却速度の上限は300℃/分以 、特に150℃/分以下とすることが好ましい。 この温度範囲における冷却速度が高くなりす ぎると、幅方向においてガラスを均質に冷却 することが困難になり、板厚の制御が難しく なったり、歪みや反りが悪化し易くなったり する。

 第二の徐冷段階に相当する温度範囲、特 徐冷点から(徐冷点-50℃)までの温度範囲は 基板の熱収縮の低減に大きな影響を与える 域である。徐冷点から(徐冷点-50℃)までの平 均冷却速度は、30℃/分未満、20℃/分以下、特 に15℃/分以下であることが好ましい。この範 囲の冷却速度が高いと、ガラスの熱収縮率を 小さくすることができなくなる。なおこの範 囲の冷却速度が低いほどよいことは既述の通 りであるが、現実的には冷却速度の低下には 限界がある。つまり冷却速度を低下させるた めには、徐冷炉内の温度制御に加えてできる 限り板引き速度を低下させることが有効とな るが、機械的に安定して板引きできる速度に は限界がある。板引き速度の限界を考慮すれ ば、冷却速度の下限値は、徐冷炉の長さをLcm とした場合、おおよそ(1000/L)℃/分と考えられ 、これより低い速度になると安定して板を引 くことができず、板厚の変動、歪み、反りの 悪化を招く。現実的な徐冷炉の長さを考慮し た場合、この温度範囲における平均冷却速度 は0.34℃/分以上、1℃/分以上、2℃/分以上、特 に5℃/分以上が推奨される。

 なお上記温度範囲において、さらに板幅 向の冷却速度のばらつきを小さくすれば、 幅方向における熱収縮率のばらつきを小さ することが可能になり好ましい。

 また第二の徐冷段階に相当する温度範囲 、より低い温度領域を含むことが好ましく 具体的には上述の通り、(徐冷点-50℃)から( 冷点-200℃)の間に存在する温度Txまで含むこ とが望ましい。

 第三の徐冷段階に相当する温度範囲は、T xから(Tx-250℃)である。なおTx=(徐冷点-50℃)で る場合には、第三の徐冷段階に相当する温 範囲は(徐冷点―50℃)から(徐冷点―300℃)ま となる。この温度範囲の平均冷却速度は、5 0℃/分以上、70℃/分以上、特に90℃/分以上で ることが好ましい。この範囲の冷却速度が いと、徐冷全体に要する時間、或いは徐冷 離を短縮し難くなり、ダウンドロー法での ンラインアニールが難しくなる。ただし急 な冷却によるガラスリボンの破損を防止す ために、平均冷却速度の上限は1000℃/分以 、特に500℃/分以下とすることが好ましい。

 なお(Tx-250℃)から室温までの冷却速度は 急冷による破損が起こらない範囲であれば に制限がなく、例えば自然冷却であっても い。

 その後、ガラスリボンを所定の長さに切 してガラス板を得る。さらに再切断、端面 理、洗浄等必要な処理を施して、熱収縮率 小さいガラス基板を得ることができる。

 上記本発明の製造方法を実施して本発明 ガラス基板を作製するための好ましい製造 備を以下に示す。なお以下の説明における 種の条件は、上記した製造方法と同様であ ため詳細は省略する。

 本発明方法を実施するガラス基板の製造 備は、ダウンドロー法にて溶融ガラスをリ ン状に成形する成形炉と、ガラスリボンを 冷する徐冷炉と、ガラスリボンを切断して ラス基板を得る切断装置とを含むガラス基 の製造設備であって、徐冷炉が第一の徐冷 階に相当する温度範囲(例えば(徐冷点+100)か ら徐冷点までの領域)を徐冷する第一の徐冷 ーンと、第二の徐冷段階に相当する温度範 (例えば徐冷点から(徐冷点-50℃)までの領域) 徐冷する第二の徐冷ゾーンとを有し、第一 徐冷ゾーンの平均冷却速度よりも第二の徐 ゾーンにおける平均冷却速度が低くなるよ に温度制御されていることを特徴とする。 の構成によれば、熱収縮率低減に効果的な 度領域(第二の徐冷ゾーン)の冷却速度を十 に低く設定し、それ以外の温度領域の速度 高くなるように温度制御することができる これによって、徐冷炉をコンパクトにする とができ、ダウンドロー法を採用したガラ 基板の製造設備において、直接、熱収縮率 小さいガラス基板を作製することが可能に る。なお各ゾーンにおける冷却速度の調節 、ガラス搬送方向のヒーターの電力を調整 ればよい。より具体的には、ガラス搬送方 に複数の別個調節可能なヒーターを設けて き、各ヒーターの出力を調整すればよい。

本設備においては、第二の徐冷ゾーンにお ける平均冷却速度が30℃/分未満となるように 温度制御されていることが好ましい。この構 成によれば、熱収縮率の小さいガラス基板を 作製することが容易になる。

 本設備においては、第二の徐冷ゾーンに いて、板幅方向の冷却速度のばらつきが小 くなるように温度制御されていることが好 しい。この構成によれば、板幅方向におけ 熱収縮率のばらつきを小さくすることが可 になる。なお板幅方向の冷却速度の調節は 板幅方向のヒーターの電力を調整すればよ 。より具体的には、板幅方向に複数の別個 節可能なヒーターを設けておき、各ヒータ の出力を調整すればよい。

 本設備においては、第一の徐冷ゾーンに ける平均冷却速度が30℃/分以上となるよう 温度制御されていることが好ましい。この 成によれば、熱収縮率に殆ど影響を及ぼさ い第一の徐冷ゾーンの長さを短くすること 容易になる。よって徐冷炉をコンパクトに ることが可能になる。また、熱収縮率や反 の小さいガラス基板を効率よく作製するこ ができる。

 本設備においては、さらに第三の徐冷段 に相当する温度範囲(例えば(徐冷点-50℃)か (徐冷点-300℃)までの領域)を徐冷する第三の 徐冷ゾーンを有し、第二の徐冷ゾーンにおけ る平均冷却速度より、第三の徐冷ゾーンにお ける平均冷却速度が高くなるように温度制御 されていることが好ましい。この構成によれ ば、熱収縮率に殆ど影響を及ぼさない第三の 徐冷ゾーンの長さを短くすることができる。 よって徐冷炉を一層コンパクトにすることが 可能になる。

 本設備においては、第三の徐冷ゾーンに ける平均冷却速度が50℃/分以上となるよう 温度制御されていることが好ましい。この 成によれば、徐冷炉の長さを一層コンパク にすることが容易になる。

 本設備においては、徐冷炉の長さが200cm 上、500cm以上、800cm以上、特に1000cm以上であ 、また3000cm以下であることが好ましい。熱 縮率を低下させる観点から、或いは冷却速 を変えずに板引き速度を上げて生産性を上 る観点からすれば、徐冷炉は長いほど好ま い。しかし徐冷炉を長くすると、その分、 ラス溶融装置や成形炉を高所に設置しなけ ばならなくなり、設備設計上の制約を受け おそれがある。また成形装置から垂下して るガラスリボンが重くなり過ぎ、成形装置 ガラス自体がガラスリボンを保持すること 困難になる。しかしこの構成によれば、上 相反する要求を満足させることが容易にな 。

 次に、上記のようにして得られる本発明 ガラス基板について説明する。

 本発明のガラス基板は、ダウンドロー法 特にオーバーフローダウンドロー法で成形 能であるにも関わらず、熱収縮率が非常に さいという特徴がある。

 具体的には、常温から10℃/分の速度で昇 し、保持温度450℃で10時間保持し、10℃/分 速度で降温(図1に示す温度スケジュールで熱 処理)したときのガラスの熱収縮率が30ppm以下 、好ましくは28ppm以下、さらに好ましくは25pp m以下である。熱収縮率が30ppmを超えると、低 温p-SiTFT用基板に用いられた場合に回路パタ ンが所期の設計からずれてしまい、電気的 性能を維持できなくなる。

 また平均表面粗さRaが0.3nm以下である。平 均表面粗さが0.3nmを超える場合は研磨されて るものと考えることができ、製造コストの 大というデメリットがある。

 また歪み値が1.0nm以下である。歪み値が1. 0nmを超えると、ガラス基板の切断時にパター ンがずれる、或いは液晶ディスプレイ基板用 途においては複屈折のために均質な画像が得 られなくなる等の不具合が生じる。

 また本発明のガラス基板は、ガラスの仮 温度が低いほど好ましい。

 仮想温度とは、ガラス構造と同じ構造を つ過冷却液体の温度のことであり、ガラス 構造を示す指標となる。ガラスは高温では 性が低く液体状であり、この時のガラスの 造は粗の状態である。そして、冷却してい とガラスの構造は密になりながら固化する このガラスの構造変化は、ガラスがその温 において最も安定な状態に移ろうとするこ により起こる。ところがガラスの冷却速度 高いと、その温度に対応する密な構造にな 前にガラスが固化してしまい、高温側の状 でガラスの構造が固定されてしまう。この 化したガラスの構造に相当する温度を仮想 度という。

 それゆえ仮想温度が低い程、ガラスの構 が密になるということであるため、熱収縮 も小さくなりやすい。このような事情から 想温度は、(徐冷点+50℃)以下、(徐冷点+44℃) 以下、(徐冷点+40℃)以下、特に(徐冷点+35℃) 下であることが好ましい。

 一方、仮想温度を低くするには第一の徐 ゾーンおよび第二の徐冷ゾーンの冷却速度 低くする必要がある。ところがダウンドロ 法のオンラインアニールでガラスを製造す 場合、冷却速度を低くしすぎると安定して を引くことができず、板厚の変動、歪み、 りの悪化を招く。また設備的な制約も生じ 。以上を考慮すれば、ガラスの仮想温度は 冷点以上、(徐冷点+5℃)以上、さらには(徐 点+10℃)以上、さらには(徐冷点+16℃)以上で ることが望ましい。

 また本発明のガラス基板は、表面が未研 であることが好ましい。表面を研磨した場 、製造コストが増大するというデメリット ある。

 本発明のガラス基板は、短辺が500mm以上 600mm以上、700mm以上、800mm、900mm以上、特に100 0mmの大型のガラス基板であることが好ましい 。基板サイズが大きくなるほど、上述の本発 明方法以外の方法で、歪み、反り等が小さく 、しかも熱収縮率の小さいガラス基板を研磨 することなく得ることが困難となることから 、基板サイズが大きい本発明の基板は実用上 、非常に有用である。

 またガラス基板の板厚は特に制限がなく 用途に応じて選択すればよい。例えばモバ ルディスプレイの用途では0.1~0.5mm程度が好 しく、モニタ、テレビ用途の場合は0.3~1.1mm 度が好適である。

 またガラス基板の歪点が高いほど熱収縮 が小さくなる傾向にある。それゆえガラス 歪点は高い方が有利であると言える。具体 には、ガラスの歪点が600℃以上、630℃以上 特に650℃以上であることが好ましい。

 また本発明のガラス基板を構成するガラ は、その用途に適したガラスであればシリ ガラス、ボロシリケートガラス、アルミノ リケートガラス等、種々のガラスが使用可 である。中でもオーバーフローダウンドロ 法で成形可能なガラスからなることが好ま い。つまり、オーバーフローダウンドロー で成形されたガラス基板は、表面品位に優 ており、研磨することなく使用に供するこ ができるというメリットもある。

 オーバーフローダウンドロー法で成形可能 ガラスとは、液相粘度が10 4.5 dPa.s以上、10 5.0 dPa・s以上、10 5.5 dPa・s以上、好ましくは10 6.0 dPa・s以上のガラスである。

 液相粘度が高く、また歪点の高いガラスと て、しかもディスプレイ基板に要求される の他の特性、例えば耐薬品性、比ヤング率 化学耐久性、溶融性等に優れたガラスとし は、質量%でSiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~25%、B 2 O 3  3~15%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15% Na 2 O 0~5%含有するアルミノシリケート系ガラス 挙げられる。以下に組成の限定理由を説明 る。

 SiO 2 はガラスのネットワークフォーマーとなる成 分である。SiO 2 の含有量が多すぎると高温粘度が高くなり溶 融性が悪くなり、また失透性も悪くなるため 好ましくない。少なすぎると化学的耐久性が 悪くなるため好ましくない。

 Al 2 O 3 は歪点を上げる成分である。Al 2 O 3 の含有量が多すぎると失透性およびバッファ ードフッ酸に対する化学的耐久性が悪くなる ため好ましくない。一方、少なすぎると歪点 が下がるため好ましくない。好ましくは10~20% である。

 B 2 O 3 は融剤として作用しガラスの溶融性を改善す る成分である。B 2 O 3 の含有量が多すぎると歪点が下がり塩酸に対 する耐薬品性が悪くなるため好ましくない。 一方、少なすぎると高温粘度が高くなり溶融 性が悪くなる。好ましくは5~15%である。

  MgOは高温粘性を下げガラスの溶融性を 善する成分であり、0~10%、特に0~5%であるこ が好ましい。MgOの含有量が多すぎると失透 が悪くなりバッファードフッ酸に対する化 的耐久性も悪くなる。

 CaOも、MgOと同じく、高温粘度を下げガラ の溶融性を改善する成分であり、その含有 は0~15%、特に0~12%であることが好ましい。CaO の含有量が多すぎると失透性が悪くなりバッ ファードフッ酸に対する化学的耐久性も悪く なるため好ましくない。

 SrOは失透性および化学的耐久性を向上さ る成分であり、0~15%、特に0~10%であることが 望ましい

  BaOは失透性および化学的耐久性を向上 せる成分であり、0~15%、特に0~5%であること 好ましい。BaOの含有量が多すぎると密度が きくなり、高温粘度が高くなり溶融性が悪 なるため好ましくない。

 Na 2 Oはガラスの高温粘度を下げて、溶融性を改 する成分であり、その含有量は0~5%であるこ が好ましい。Na 2 Oの含有量が多すぎすると歪点が低下すると う不都合がある。なおTFTの性能劣化防止の 点からは、Na 2 Oを含むアルカリ金属成分の含有量を0.1%以下 制限することが好ましい。

 なお上記以外にも種々の成分、例えば清 剤等を必要に応じて添加することができる

 以下、本発明の実施例及び比較例を、添 図面を参照して詳細に説明する。

 図2は、本発明を実施するためのガラス基 板の製造設備を示す概略正面図である。この 製造設備は、オーバーフローダウンドロー法 によってガラス基板を製造するためのもので あって、上方から順に、略楔状の断面形状を 有する桶状成形体11に供給される溶融ガラスG 1を頂部から溢れさせると共に、その下端部 融合させることで、ガラスリボンG2を成形す る成形炉1と、ガラスリボンG2を徐冷しながら 熱収縮を低減するための徐冷炉2と、徐冷さ たガラスリボンG2を十分に冷却する冷却室3 、冷却されたガラスリボンG2を所定寸法に切 断する切断室4とを備えている。なお本実施 においては、徐冷炉2の全長をLcmと表示する 、ここでLは200~3000(cm)の範囲内の値を意味す る。また徐冷炉内部には、ガラスリボンG2の 側にガラスリボンG2と対向するようにして 数のパネル状のヒーター21が設けられている 。ヒーター21は、搬送方向(垂直方向)及び板 方向(水平方向)に複数段複数列設置され、そ れぞれ独立して温度制御することが可能とな っている。また切断室4には、図外の後続工 (例えば端面研磨工程等)へガラス基板G3を搬 するための搬送経路が別途設けられている

 次に、上記製造設備を用いた本発明のガ ス基板の製造方法を説明する。

 この製造設備では、まず成形炉1内に設け られた成形体11の頂部に溶融ガラスAを供給し 、その溶融ガラスG1を成形体11の頂部から溢 出させると共にその下端部で融合させて板 のガラスリボンG2を成形する。成形体11の付 には、一対の冷却ローラー12が設けられ、 ラスリボンG2は、この冷却ローラー12で両縁 を挟持され、幅方向の収縮が最小限に抑え れる。

 次に、この成形されたガラスリボンG2を 冷炉2で徐冷することによって熱収縮率を低 する。徐冷炉2には、垂直方向に複数対の引 っ張りローラー22が配置され、ガラスリボンG 2が表面張力等で幅方向に収縮しないように っ張りローラー22で幅方向に引っ張りながら 下方に牽引する。また徐冷炉2内は、(ガラス 徐冷点+100℃)から徐冷点の温度範囲に相当 る第一の徐冷ゾーン231、徐冷点からTxの範囲 に相当する第二の徐冷ゾーン232、及びTxから( Tx-250℃)の温度範囲に相当する第三の徐冷ゾ ン233に区分され、ゾーン毎に冷却速度が異 るように、各ヒーター21の出力が調整されて いる。ガラスリボンG2は、徐冷炉2内で冷却速 度を調節されながら流下することで、効率よ く熱収縮率が低減される。なお各例のTxは、 れぞれ表中に示した。

 徐冷炉2の下方には、冷却室3が設けられ いる。ガラスリボンG2は、冷却室3内で自然 却によってほぼ室温まで冷却される。

 冷却室3の直下には、切断室4が設けられ いる。冷却室4で室温付近まで冷却されたガ スリボンは、切断室4で所定寸法のガラス板 G3に切断された後、後続工程に搬送される。

 上記製造設備を使用して、質量%で、SiO 2  60%、Al 2 O 3  15%、B 2 O 3  10%、CaO 5%、SrO 5%、BaO 2%の組成を有する550 650×0.7mmの大きさのガラス基板(徐冷点 705℃ 歪点 650℃)を、種々の徐冷条件で作製した 徐冷条件、得られたガラス基板の熱収縮率 仮想温度、歪み値、反り値、及び平均表面 さRaを表1、2に示す。なお表中のLは徐冷炉 全長を示している。

 表から明らかなように、第二の徐冷ゾー の平均冷却速度を第一の徐冷ゾーンのそれ り低くして作製した試料No.1、4及び5の熱収 率は25ppm以下であり、低温p-SiTFT用基板とし 使用可能なレベルであった。

 なお板引き速度は、引っ張りローラーの 速度を意味する。

 平均冷却速度は、ガラスリボンの幅方向 央部が各徐冷ゾーンを通過する時間を算出 、徐冷ゾーン内の温度差(第一の徐冷ゾーン の場合は100℃、第二の徐冷ゾーンの場合は試 料No.1が50℃、試料No.2~4が100℃、第三の徐冷ゾ ーンの場合は250℃)を、各ゾーンの通過時間 除することにより求めた速度を意味する。

 なお熱収縮率は、図3(a)に示すようにガラ ス板G3の所定箇所に直線状のマーキングを記 した後、図3(b)に示すように、このガラス板 G3をマーキングMに対して垂直に折り、2つの ラス板片G31、G32に分割する。そして一方の ラス板片G31のみに所定の熱処理(常温から10 /分の速度で昇温し、保持時間450℃で10時間 持し、10℃/分の速度で降温)する。その後、 3(c)に示すように熱処理を施したガラス板片 G31と、未処理のガラス板G32を並べて、接着テ ープTで両者を固定してから、マーキングの れを測定し、下記の数1の式で値を求めた。

 仮想温度は以下のようにして求めた。ま 上記の熱収縮測定と同じガラス板片を700℃ 制御した電気炉中に投入し、1時間後に電気 炉から取り出してアルミ板上で急冷した後、 熱収縮率を測定した。同様の処理を720℃、740 ℃、760℃について行い、処理温度-熱収縮率 グラフを作成し、一次の近似曲線から熱収 率が0ppmとなる熱処理温度を求め、これをガ スの仮想温度とした。

 平均表面粗さRaは、SEMI  D7-94「FPDガラス 板の表面粗さの測定方法」に準拠した方法 より測定した。

 歪み値は、ユニオプト製歪計を用いて光 テロダイン法により測定した。

 反り値は、ガラス基板の中央部分から切 出した550mm×650mmの大きさの試料を東芝製ガ ス基板反り測定機により測定した。

(比較実験)
 比較のために、No.3の試料を用いてオフライ ンアニールを行い、熱収縮率、歪み値、反り 値、及び平均表面粗さRaの変化を確認した。

 まず各ガラス板を400mm×500mmの大きさに切 し、熱処理炉内に試料No.3-1については垂直 持し、試料No.3-2については傾斜支持してア ール処理した。なおガラス板を支持するに たっては、図4に示すような、外寸480mm×630mm ×5mm、内寸390mm×490mmであり、表面に405mm×505mm 0.5mmの段差部F1が形成された低膨張結晶化ガ ス製支持枠Fを使用した。垂直支持の場合は ガラス板を上記の支持枠2枚で挟持し、垂直 立てて、また傾斜支持では支持枠の段差部 ガラス板をはめ込み、支持枠を70°傾けて、 れぞれアニールを行った。

 オフラインアニールの温度プロファイル 、図5に示すように、室温から10℃/分の速度 で600℃まで昇温、600℃で90分保持、600℃から4 50℃まで0.8℃/分の速度で降温、450℃~250℃ま 2℃/分の速度で降温、250℃から室温まで3℃/ の速度で降温、とした。なおオフラインア ールには、カンタル線ヒーター加熱の熱風 環攪拌方式の熱処理炉を用いた。炉内の寸 は幅2000mm、高さ2000mm、奥行き5000mmである。

 結果を表3に示す。

 表から明らかなように、オフラインアニ ルを行った試料No.3-1、3-2は、アニール前の 料No.3と比べ、歪み値や反り値が大きくなる 、ということが確認された。

 尚、本発明は上記の実施形態に限定され ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない 囲内において、さらに種々なる形態で実施 ることができる。

 例えば、実施例では、オーバーフローダ ンドロー法によるガラス板の製造に本発明 適用した場合を説明したが、これ以外にも 例えばスロットダウンドロー法によるガラ 板の製造にも同様にして本発明を適用する とができる。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2008年1月21日出願の日本特許出願 (特願2008-010062)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明に係るガラス基板は、低温p-SiTFTを 搭載する液晶ディスプレイや有機ELディスプ イの基板として好適である。またこれ以外 も、a―SiTFT(アモルファスシリコンタイプの 薄膜トランジスタ素子)液晶ディスプレイ、 ラズマディスプレイ、フィールドエミッシ ンディスプレイ等、各種フラットパネルデ スプレイの基板や、各種電子表示機能素子 薄膜を形成するための基材として用いられ 基板として使用することができる。