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Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF TRANSFER SHEETS EXCELLENT IN THE RESISTANCE TO BURR GENERATION AND TRANSFER SHEETS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075086
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for the production of a transfer sheet provided with a protective layer which is more excellent in the resistance to burr generation and in wear resistance and which is also excellent in the ability to follow the curved surface of a substrate; and a transfer sheet (1) comprising a releasable support sheet (11) and a transfer layer (20) formed on the support sheet (11), wherein the transfer layer (20) has a protective layer (21). The protective layer (21) is formed by heating a protective layer precursor (which is in an uncrosslinked state) made of a material prepared by mixing an actinic -radiation-curable resin composition comprising both a polymer (A) having a (meth)acrylic equivalent of 100 to 300g/eq, a hydroxyl value of 20 to 500, and a weight-average molecular weight of 5000 to 50000 and a polyfunctional isocyanate with colloidal silica particles bearing free silanol groups on the surfaces and contains a product of heat crosslinking among the polymer (A), the polyfunctional isocyanate, and the colloidal silica particles.

Inventors:
WATASE TOMOYA (JP)
KYOMEN MASAYUKI (JP)
NISHIDA MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003637
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NISSHA PRINGING CO LTD (JP)
WATASE TOMOYA (JP)
KYOMEN MASAYUKI (JP)
NISHIDA MASAHIRO (JP)
International Classes:
B32B27/30; B32B33/00; B41M5/26; B44C1/17
Foreign References:
JPH06179283A1994-06-28
JPH07304275A1995-11-21
JP2005262690A2005-09-29
JP2003103997A2003-04-09
JP2005297460A2005-10-27
JPH1058895A1998-03-03
JP2001232994A2001-08-28
JP2001232994A2001-08-28
JPH05139093A1993-06-08
JPH1058895A1998-03-03
Other References:
See also references of EP 2221175A4
Attorney, Agent or Firm:
FUJIWARA, Michihiko (Uji-jazuka Uji-sh, Kyoto 21, JP)
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Claims:
 以下の工程からなる転写材の製造方法。
イ.(メタ)アクリル当量100~300g/eq、水酸基価20~500、重量平均分子量5000~50000のポリマーAと多官能イソシアネートからなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と、粒子表面に遊離シラノール基を有するコロイダルシリカ粒子を混合し、保護層材料を製造する工程。
ロ.離型性を有する基材シート上に、前記保護層材料を付着して、熱架橋前保護層を形成する工程。
ハ.前記熱架橋前保護層を加熱して、ポリマーA、多官能イソシアネートとコロイダルシリカ粒子との熱架橋反応生成物を生成し、保護層を形成する工程。
 前記コロイダルシリカ粒子の一次粒子径が1~200nmである請求項1に記載した転写材の製造方法。
 前記保護層材料において、コロイダルシリカ粒子/ポリマーAの固形分重量比が0.2~1.0であることを特徴とする請求項1乃至2いずれか記載の転写材の製造方法。
 離型性を有する基材シート上に転写層が設けられた転写材において、
 前記転写層に含まれる保護層が、
 (メタ)アクリル当量100~300g/eq、水酸基価20~500、重量平均分子量5000~50000のポリマーAと多官能イソシアネートからなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と、粒子表面に遊離シラノール基を有するコロイダルシリカ粒子を混合した保護層材料を用いて作製された熱架橋前保護層を加熱して生成された、
ポリマーA、多官能イソシアネートとコロイダルシリカ粒子との熱架橋反応生成物を含む保護層である転写材。
 前記コロイダルシリカ粒子は、一次粒子径が1~200nmであることを特徴とする請求項4に記載した転写材。
 前記保護層材料において、コロイダルシリカ粒子/ポリマーAの固形分重量比が0.2~1.0であることを特徴とする請求項4乃至5いずれか記載の転写材。
Description:
耐箔バリ性に優れた転写材の製 方法と転写材

 この発明は、プラスチック製品や金属製 などの被転写物に転写層を転移させて加飾 るための転写材に関する。より詳しくは、 材フィルムを剥離する際に、転写領域以外 転写層が被転写物の表面に残留しないよう した箔バリ防止転写材であって、また、耐 耗性に優れた転写領域を有する転写材に関 るものである。転写領域とは、転写材に形 された転写層のうち被転写物への転移が必 な領域をいう。

 従来から、樹脂成形品、内装材、建具、 具、雑貨等の各種物品の表面加飾の為に、 写材が使用されている。

 転写材の基材フィルム上に形成された転 層は、保護層(剥離層と呼ばれる場合もある )、絵柄層、接着層などを有するのが一般的 ある。転写層の面積と被転写物の被転写面 面積とを完全一致させることは、見当合わ などの点で現実的でないため、転写材の転 層の面積が被転写物の被転写面の面積より きくなるように設定される。このため、転 材の転写層は、被転写面に接した転写領域 被転写面に接しない非転写領域が隣接し、 の境界は境界線(当該境界線を仕切り線と呼 場合がある)となる。被転写物に転写層を接 着させた後、基材フィルムを剥離する際、仕 切り線において転写層が奇麗に剪断されて、 転写領域の転写層は被転写物に転写し、非転 写領域の転写層は基材フィルムと共に除去さ れれば問題は生じない。

 しかし、被転写物に転写層を接着させた 、基材フィルムを剥離すると、前記仕切り 付近の非転写領域の転写層は、転写領域の 写層に引っ張られて、被転写物の表面に舌 となって残留してしまう。これが、いわゆ 「箔バリ」である。

 図5は、従来の転写材101を使用して転写層 20を被転写物31に転写後に、基材シート11を剥 離している状態を示した説明図である。破線 142が仕切り線である。線分141で示す箔バリが 生じている。

 この箔バリを除去するためには、吸引装 などの箔バリ除去装置で除去するか、手作 で取り去るなどの作業を必要としている。 バリが多いと箔バリ除去作業に時間や手間 かかり、転写物品の製造コストが押し上げ れたり、転写加工時や成形同時転写加工時 転写器具や金型を汚したりなどの不具合が じる。このため、転写材の基本的性能とし 箔バリ低減(耐箔バリ性と呼ばれる場合もあ る)が求められる。

 また、被転写物の被転写面の耐久性を増 ために、転写材の基本的性能として、保護 の耐磨耗性も求められる。

 転写材は転写シートと呼ばれる場合もあ 。

 従来の転写シートは、耐磨耗性と耐箔バ 性を良くするために、離型性を有する支持 シート上に設けられた転写層のうち、支持 シートに近い少なくとも1層を、樹脂バイン ダー中に該樹脂バインダーより高硬度で立方 体状の無機物粒子を含有する硬質膜層とした ものがある。(例えば、特許文献1参照。)。

 また、従来の他の転写シートは、耐磨耗 と耐箔バリ性を良くするために、離型性を する基材シート上に設けられた層のうち基 シート面に近い少なくとも一層を、平均粒 が0.01~15μmの金属酸化物球粒体を10~90重量%含 む硬質膜層としたものがある。(例えば、特 文献2参照。)。

 さらに、従来転写材の保護層に、(メタ)ア リル当量100~300g/eq、水酸基価20~500、重量平均 分子量5000~50000のポリマーと多官能イソシア ートとを有効成分として含有する、活性エ ルギー線硬化性樹脂組成物を使用している 当該組成物を用いると、耐磨耗性および耐 品性に優れた成形品を低コストで得ること できる。(例えば、特許文献3参照。)。

特開2001-232994号公報

特開平5-139093号公報

特開10-58895号公報

 特許文献1と特許文献2に記載された転写 は、樹脂と無機物粒子を混合した硬質膜層 採用している。ここで無機物粒子は単に樹 と混合されているのみである。このため、 待するほどの強固な膜は得られにくく、保 層の飛躍的な耐磨耗性の向上にはつながら い。また、耐箔バリ性の向上には、無機物 子を高濃度で添加する必要がある。

 特許文献1及び特許文献2に開示された硬 膜層をより一層耐磨耗性と耐箔バリ性に優 たものにするために、無機物粒子の混合割 を増加させることが考えられるが、無機物 子が大きいなどの理由から、混合割合を増 させると硬質膜層の透明性が悪くなり、硬 膜層の可撓性が低下するなどの弊害が生じ 。

 特許文献3に開示された樹脂組成物を使用 した保護層は、転写加工時に柔軟性を有する 膜であり、成形品曲面部においてクラックの 発生が抑制される特性を有する。しかし、転 写加工の条件下で、粘性が高く、他の樹脂組 成物に比較して箔バリが発生しやすい。

 そこで、本発明は、より一層耐箔バリ性 耐磨耗性に優れた保護層を備えた転写材の 造方法を得ることを課題とする。また、本 明は、被転写物曲面部においてクラックの 生が抑制される転写材の製造方法を得るこ を課題とする。

 さらに、本発明は、より一層耐箔バリ性 耐磨耗性に優れた保護層を備えた転写材を ることを課題とする。また、本発明は、被 写物曲面部においてクラックの発生が抑制 れる転写材を得ることを課題とする。

 本発明のその他の課題は、本発明の説明 より明らかになる。

 本発明の一の態様にかかる転写材の製造方 は、以下の工程からなる。
イ.(メタ)アクリル当量100~300g/eq、水酸基価20~5 00、重量平均分子量5000~50000のポリマーAと多 能イソシアネートからなる活性エネルギー 硬化性樹脂組成物と、粒子表面に遊離シラ ール基を有するコロイダルシリカ粒子を混 し、保護層材料を製造する工程。
ロ.離型性を有する基材シート上に、前記保 層材料を付着して、熱架橋前保護層を形成 る工程。
ハ.前記熱架橋前保護層を加熱して、ポリマ A、多官能イソシアネートとコロイダルシリ 粒子との熱架橋反応生成物を生成し、保護 を形成する工程。

 本発明において、(メタ)アクリル当量は アクリル当量とメタクリル当量の和を意味 る。

 本発明の好ましい実施態様において、前 コロイダルシリカ粒子の一次粒子径が1~200nm であってもよい。

 本発明の他の好ましい実施態様において 前記保護層材料における、コロイダルシリ 粒子/ポリマーAの固形分重量比が0.2~1.0であ てもよい。

 本発明の他の態様にかかる転写材は、離 性を有する基材シート上に転写層が設けら た転写材において、前記転写層に含まれる 護層が、(メタ)アクリル当量100~300g/eq、水酸 基価20~500、重量平均分子量5000~50000のポリマ Aと多官能イソシアネートからなる活性エネ ギー線硬化性樹脂組成物と、粒子表面に遊 シラノール基を有するコロイダルシリカ粒 を混合した保護層材料を用いて作製された 架橋前保護層を加熱して生成された、ポリ ーA、多官能イソシアネートとコロイダルシ リカ粒子との熱架橋反応生成物を含む保護層 である。

 本発明の好ましい実施態様において、前 コロイダルシリカ粒子は、一次粒子径が1~20 0nmであってもよい。

 本発明の他の好ましい実施態様において 前記保護層材料における、コロイダルシリ 粒子/ポリマーAの固形分重量比が0.2~1.0であ てもよい。

 以上説明した本発明、本発明の好ましい 施態様、これらに含まれる構成要素は可能 限り組み合わせて実施することができる。

 本発明にかかる転写材の製造方法は、そ 他の構成とともに、ポリマーA、多官能イソ シアネートとコロイダルシリカ粒子との熱架 橋反応生成物を含む保護層を有する転写材を 提供する方法である。また、本発明の他の態 様にかかる転写材は、その他の構成とともに 、ポリマーA、多官能イソシアネートとコロ ダルシリカ粒子との熱架橋反応生成物を含 保護層を有する。

 熱架橋反応では、コロイダルシリカ粒子 遊離シラノール基とポリマーAの水酸基がイ ソシアネートと反応して、熱架橋反応生成物 (以下「Si熱架橋反応生成物」と呼ぶ場合があ る)となる。対して従来のポリマーAと多官能 ソシアネートとの熱架橋反応生成物を「NonS i熱架橋反応生成物」と呼ぶ場合がある。

 転写材を使用する転写加工工程は、転写 程と剥離過程を含む。転写過程は転写材中 転写層が被転写物に移行する過程であり、 離過程は被転写物から転写材(基材シート) 剥がされる過程である。転写過程の温度領 (転写温度領域と呼ぶ場合がある)は、剥離過 程の温度領域(剥離温度領域と呼ぶ場合があ )よりも高い。

 Si熱架橋反応生成物は、NonSi熱架橋反応生 成物に比較してガラス転移点が高温度側に移 動する。また、Si熱架橋反応生成物は、NonSi 架橋反応生成物に比較して、剥離温度領域 おいて粘性が低下する。換言すれば、Si熱架 橋反応生成物よりなる膜は、高温時は当該樹 脂本来の伸びやすい性質を示し、低温時はガ ラスに類似する脆い性質を示す膜となる。

 つまり、本発明にかかる転写材中の保護 は、剥離温度領域において、粘性が低くな ために、仕切り線において転写層が奇麗に 断される。このため、耐箔バリ性が向上す 。

 同時に、本発明にかかる転写材中の保護 は、転写温度領域において、粘性が十分に く被転写物の曲面に保護層などの転写層が 随するので、被転写物曲面部においてクラ クの発生が抑制される。

 また、ポリマーAと多官能イソシアネート は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であ り、保護層を構成している。被転写物に転写 された保護層に活性エネルギー線を照射すれ ば、ポリマーAに含まれるエチレン性不飽和 がラジカル重合により架橋反応し、架橋硬 物を生成する。そして硬質のシリカ粒子が 橋硬化物の中に取り込まれている。このた 、被転写物上に転写された保護層の耐摩耗 が向上する。

転写材1の断面説明図である。 温度測定を行った部位を示す金型など 断面説明図である。 対数減衰率(粘性値)と温度の関係を示 グラフである。 転写層20を被転写物31に転写後に、基材 シート11を剥離している状態を示した説明図 ある。 従来の転写材101を使用し、転写層20を 転写物31に転写後に、基材シート11を剥離し いる状態を示した説明図である。

符号の説明

 1  転写材
 11 基材シート
 20 転写層
 21 保護層
 22 絵柄層
 23 接着層
 31 被転写物
 51 A金型
 52 B金型
 53 射出口
 54 成形品
 55 転写材連続シート
 61 見切り部分を示す矢印
 101 従来の転写材
 141 箔バリを示す線分
 142 仕切り線

 以下、図面を参照して本発明の実施例に かる転写材の製造方法と転写材をさらに説 する。本発明の実施例に記載した部材や部 の寸法、材質、形状、その相対位置などは とくに特定的な記載のない限りは、この発 の範囲をそれらのみに限定する趣旨のもの はなく、単なる説明例にすぎない。特に、 写材の断面図は、転写材の層構成を明確に る観点から上下縮尺と左右縮尺を変更して かれている。

 図1は本発明にかかる転写材の断面説明図 である。転写材1は、基材シート11の一方面に 保護層21、絵柄層22、接着層23を順に形成した ものである。図1中にはまた、被転写物31を破 線で示している。保護層21、絵柄層22、接着 23は、被転写物31に転写される層であり、転 層20と総称する。

 保護層21は、転写後または成形同時転写 に基材シート11を剥離した際に基材シート11 たは離型層から剥離して転写物の最外層と り、薬品や摩擦から被転写物31や絵柄層22を 保護するための層である。保護層21を形成す ための保護層材料は、熱架橋反応と活性エ ルギー線硬化反応を生じる樹脂組成物と、 子表面に遊離シラノール基を有するコロイ ルシリカ粒子の混合物である。

 上記樹脂組成物は、(メタ)アクリル当量10 0~300g/eq、水酸基価20~500、重量平均分子量5000~5 0000のポリマーAと多官能イソシアネートから る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であ 。その詳細は、特開平10-58895号公報に詳述 れている。以下、ポリマーAと多官能イソシ ネートからなる活性エネルギー線硬化性樹 組成物を簡単に説明する。

 ポリマーAは、活性エネルギー線照射時の 硬化性の点から、(メタ)アクリル当量は100~300 g/eq、好ましくは150~300g/eqとされる。また、併 用する多官能イソシアネートとの反応性の点 から、ポリマーAの水酸基価は20~500、好まし は100~300とされる。ポリマーAの重量平均分子 量は、5000~50000、好ましくは8000~40000である。

 ポリマーAの製造方法としては、特に限定は なく、従来公知の方法を採用できる。例えば 、
(1)水酸基を含有する重合体の側鎖の一部に( タ)アクリロイル基を導入する方法、
(2)カルボキシル基を含有する共重合体に水酸 基を含有するα,β-不飽和単量体を縮合反応さ せる方法、
(3)カルボキシル基を含有する共重合体にエポ キシ基を含有するα,β-不飽和単量体を付加反 応させる方法、
(4)エポキシ基含有重合体にα,β-不飽和カルボ ン酸を反応させる方法
などがある。

 方法(4)を例にとり、ポリマーAの製造方法 をより具体的に説明する。例えば、グリシジ ル基を有するポリマーにアクリル酸などのα, β-不飽和カルボン酸を反応させる方法により 本発明で用いるポリマーAを得ることができ 。グリシジル基を有するポリマーとして好 しいのは、例えば、グリシジル(メタ)アクリ レートの単独重合体、およびグリシジル(メ )アクリレートとカルボキシル基を含有しな α,β-不飽和単量体との共重合体等が挙げら る。このカルボキシル基を含有しないα,β- 飽和単量体としては、各種の(メタ)アクリ 酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、アク ロニトリルなどが例示できる。

 ポリマーAと併用する多官能イソシアネー トとしては、格別の限定はなく、公知の各種 多官能イソシアネートを使用できる。たとえ ば、イソホロンジイソシアネート、キシリレ ンジイソシアネート、水添キシリレンジイソ シアネート、トリレンジイソシアネート、ジ フェニールメタンジイソシアネート、1,6-ヘ サンジイソシアネート、上記の3量体、多価 ルコールと上記ジイソシアネートを反応さ たプレポリマーなどを用いることができる ポリマーAと多官能イソシアネートの使用割 合は、ポリマーA中の水酸基数とイソシアネ ト基数との割合が1/0.01~1/1、好ましくは1/0.05~ 1/0.8となるように決定される。

 コロイダルシリカ粒子は遊離シラノール基 量が1~50(counts/nm 2 )である。遊離シラノール基の量が上記範囲 あると反応性に富み、好ましい。コロイダ シリカ粒子は、一次粒子径が、通常1~200nm、 ましくは10~50nmである。この範囲にあると、 箔バリ抑制の効果が発揮され、また、保護膜 に透明性が失われることがない。また、粒子 径が10~20nm範囲のコロイダルシリカが市販さ ており、容易かつ安価に入手可能である。

 コロイダルシリカ粒子とポリマーAの混合 割合は、コロイダルシリカ粒子/ポリマーA=0.2 ~1.0(固形分重量比)である。当該割合が少なす ぎると箔バリ抑制の効果がなく、多すぎると 転写時あるいは成形同時転写時にクラックが 起こりやすくなる。また、コロイダルシリカ 粒子/ポリマーA=0.4~1.0、より好ましくは0.8~1.0( 固形分重量比)にすれば、保護層の耐磨耗性 一層向上する。

 保護層21に用いる保護層材料は、ポリマ A、多官能イソシアネート、コロイダルシリ 粒子以外に、必要に応じて以下のような成 を含有することができる。すなわち、反応 希釈モノマー、溶剤、着色剤などである。 た、活性エネルギー線照射に際して電子線 用いる場合には、光重合開始剤を用いるこ なく充分な効果を発揮することができるが 紫外線を用いる場合には、公知各種の光重 開始剤を添加する必要がある。

 保護層材料は、エチレン性不飽和基と水 基とイソシアネート基と、コロイダルシリ の粒子表面にあるシラノール基を含む。こ 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を加熱 ると水酸基、シラノール基とイソシアネー 基とが反応し、樹脂が架橋される。また、 の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活 エネルギー線に露出するとエチレン性不飽 基が重合する。つまり、保護層21を形成す 保護層材料は、熱および活性エネルギー線 両方により架橋される。

 保護層21の付着方法としては、グラビア ート法、ロールコート法、コンマコート法 リップコート法などのコート法、グラビア 刷法、スクリーン印刷法などの印刷法があ 。一般に、保護層21は0.5~30μm、好ましくは2~1 5μmの厚さに形成する。この範囲とすれば、 摩耗性を発揮することができる。また、よ 一層耐箔バリ性が向上する。

 基材シートに上記保護層を付着した後、 該保護層付着基材シートを、例えば、150℃ 1分間加熱し、保護層の熱架橋反応を行う。

<剥離温度領域の測定>
 剥離温度領域の概略値を知るために、成形 時転写加工直後に金型キャビティに残った 形品の見切り部(輪郭部))の温度を測定した 図2は温度測定を行った部位を示す金型など の断面説明図である。図2中、51はA金型、52は B金型、53は射出口、54は成形品、20は転写層 55は転写材連続シート、61は見切り部を示す 印である。

(結果)
 表1に温度測定結果を示す。

 樹脂温度は溶融樹脂を金型内に射出した の樹脂の温度である。見切り部温度は、成 同時転写加工直後に測定した値である。金 温度は金型温度調節機構の設定温度である 金型の温度は、樹脂射出時には一旦上昇す が、金型が金属であるなどの理由から急速 冷えて設定温度に戻る。金型は冷却機構を えるものと、備えないものがあるが、上述 た温度変化、つまり、一旦上昇と急速な設 温度復帰はどちらも同様である。

 箔バリは成形同時転写後、あるいは転写 、基材シートから転写層がはがされるとき 見切り部分において転写層(転写膜)がせん 破壊されるか、されないかという現象であ 、その時の見切り部分の膜の状態(粘性)がせ ん断破壊されるかどうかを決定する。温度測 定結果から、剥離領域の温度は、中央値が81 ~98℃、温度範囲として70℃付近~110℃付近の 度領域であることが推定される。

 また、転写温度領域は285℃又は250℃以下 あり、さらに金型の冷却を考慮すれば、200 付近を中央値とする温度領域であると推定 れる。

<粘性測定>
 ポリマーA、多官能イソシアネートからなる 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物にコロイ ダルシリカ粒子を混合し、加熱してSi熱架橋 応生成物からなる塗膜を作成し、温度を変 して塗膜の粘性を測定した。また、対照と てポリマーA、多官能イソシアネートからな る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を加熱 してNonSi熱架橋反応生成物からなる塗膜を作 し、同様に粘性を測定した。

(測定装置と方法)
 測定装置は剛体振り子型物性試験器(株式会 社エー・アンド・デイ:RPT-3000W)を使用した。 試験機は塗膜の表面を支点として振り子を 動させ、その減衰から動的な粘性測定を行 装置である。対数減衰率の値は粘性を表し その値が大きいほど粘性が高いこと示す。 温速度:12℃/分で温度を上げながら測定を行 い、対数減衰率と温度の関係をグラフにした 。測定結果グラフにおいて、山のピークにあ たる温度が塗膜のガラス転移温度(Tg)に相当 る。

(樹脂組成物の組成と塗膜の作成方法)
 下記のポリマーA(a)200部(固形分100部)、多官 イソシアネート(b)5部、光開始剤(d)5部に
・コロイダルシリカ粒子を入れないもの、
・コロイダルシリカ粒子(c)を133部入れたもの (固形分重量比でコロイダルシリカ粒子/ポリ ーA=0.4であった)、
・コロイダルシリカ粒子(c)を267部入れたもの (固形分重量比でコロイダルシリカ粒子/ポリ ーA=0.8であった)、
としたコーティング液を厚さ20μmになるよう 測定用基板にアプリケーターでコートし、1 50℃で1分間加熱した。

 生じたSi熱架橋反応生成物をP1(固形分重 比0.4)、P2(固形分重量比0.8)、NonSi熱架橋反応 成物をQ1とした。

○ポリマーA(a)
グリシジルメタアクリレート、メチルメタア クリレート、アゾビスイソブチロニトリルを 主成分とするポリマーであり、
主たる物性は、
     アクリル当量 270g/eq
     水酸基価 204
     重量平均分子量 18,000
     固形分 50%
     分散媒 酢酸エチル
であった。
○多官能イソシアネート(b):1,6-ヘキサンジイ シアネート(商品名コロネートHX、日本ポリ レタン工業株式会社製)
○コロイダルシリカ粒子(c):(商品名オルガノ リカゾルMEK-ST、一次粒子径10~20nm、日産化学 工業株式会社製、遊離シラノール基は、1~50(c ounts/nm 2 )、固形分30%)
○光開始剤(d):商品名イルガキュアー184、チ ガイギー社製

(結果)
 測定結果グラフを図3に示した。

 75℃付近から110℃付近の温度範囲におい 、P1、P2はQ1に比較して小さい対数減衰率(す わち小さい粘性値)を示した。上記の温度測 定結果で示したように、75℃付近から110℃付 の温度範囲は、剥離温度領域であり、この 度領域において粘性が小さいことは、耐箔 リ性が良好であることを示している。また 75℃付近から110℃付近の温度範囲において P2はP1よりも小さい対数減衰率(すなわち小さ い粘性値)を示しており、コロイダルシリカ 子の混合割合が大きいほうが、粘性値が小 くなる傾向にあった。

 また、ガラス転移点温度は、低い方から にQ1、P1、P2であった。

 さらに、200℃付近では、P1、P2とQ1の対数 衰率(すなわち粘性値)は略同一であった。 記の温度測定結果から類推されるように、20 0℃付近は転写温度領域である。そして、対 に選定したQ1は、従来、被転写物曲面部にお いてクラックの発生抑制に優れる保護層部材 である。よって、本発明にかかるP1、P2は、 転写物曲面部においてクラックの発生抑制 、従来のQ1と同程度に優れていることが明ら かになった。

 離型性を有する基材シート11としては、 リプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂 ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、 リアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂 どの樹脂シートなど、通常の転写材の基材 ートとして用いられるものを使用すること できる。

 基材シート11からの転写層20の剥離性が良 い場合には、基材シート11上に転写層20を直 設ければよい。基材シート11からの転写層20 剥離性を改善するためには、基材シート11 に転写層20を設ける前に、離型層を全面的に 形成してもよい。離型層は、転写後または成 形同時転写後に基材シート11を剥離した際に 基材シート11とともに転写層20から離型する 。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離 型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂 系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素 樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤 、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型 離型剤などを用いることができる。離型層の 形成方法としては、グラビアコート法、ロー ルコート法、スプレーコート法、リップコー ト法、コンマコート法などのコート法、グラ ビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法 がある。

 絵柄層22は、保護層21の上に、通常は印刷 層として形成する。印刷層の材質としては、 ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ エステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ ウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹 脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロー スエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂 をバインダーとし、適切な色の顔料または染 料を着色剤として含有する着色インキを用い るとよい。絵柄層22の形成方法としては、オ セット印刷法、グラビア印刷法、スクリー 印刷法などの通常の印刷法などを用いると い。特に、多色刷りや階調表現を行うには オフセット印刷法やグラビア印刷法が適し いる。また、単色の場合には、グラビアコ ト法、ロールコート法、コンマコート法、 ップコート法などのコート法を採用するこ もできる。絵柄層22は、表現したい絵柄に じて、全面的に設ける場合や部分的に設け 場合もある。また、絵柄層22は、金属蒸着層 からなるもの、あるいは印刷層と金属蒸着層 との組み合わせからなるものでもよい。

 接着層23は、被転写物31表面に上記の各層 を接着するものである。接着層23は、保護層2 1または絵柄層22上の、接着させたい部分に形 成する。すなわち、接着させたい部分が全面 的なら、接着層23を全面的に形成する。また 接着させたい部分が部分的なら、接着層23 部分的に形成する。接着層23としては、被転 写物31の素材に適した感熱性あるいは感圧性 樹脂を適宜使用する。たとえば、被転写物3 1の材質がポリアクリル系樹脂の場合はポリ クリル系樹脂を用いるとよい。また、被転 物31の材質がポリフェニレンオキシド・ポリ スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、 スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブ レンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性 のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系 樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよ い。さらに、被転写物31の材質がポリプロピ ン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹 、塩素化エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂 、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可 能である。接着層23の形成方法としては、グ ビアコート法、ロールコート法、コンマコ ト法などのコート法、グラビア印刷法、ス リーン印刷法などの印刷法がある。なお、 護層21や絵柄層22が被転写物31に対して充分 着性を有する場合には、接着層23を設けな てもよい。

 また、転写層20の構成は、上記した態様 限定されるものではなく、たとえば、被転 物31の地模様や透明性を生かし、表面保護処 理だけを目的とした転写材を用いる場合には 、基材シート11の上に保護層21、および接着 23を上述のように順次形成してもよい。すな わち、転写層20から絵柄層22を取り除くこと できる。

 以下、前記した層構成の転写材1を用いる 成形品の製造方法について説明する。まず、 接着層23側を下にして、被転写物31上に転写 1を配置する。次に、耐熱ゴム状弾性体、例 ばシリコンラバーを備えたロール転写機、 ップダウン転写機などの転写機を用い、耐 ゴム状弾性体を介して転写材1の基材シート 11側から熱または/および圧力を加える。これ により、接着層23が被転写物31表面に接着す 。冷却後に基材シート11を剥がすと、基材シ ート11と保護層21との境界面で剥離が起こる また、基材シート11上に離型層を設けた場合 は、基材シート11を剥がすと、離型層と保護 21との境界面で剥離が起こる。図4は、転写 20を被転写物31に転写後に、基材シート11を 離している状態を示した説明図である。

 最後に、活性エネルギー線を照射するこ により、被転写物31に転写された保護層21を 完全に架橋硬化させる。活性エネルギー線と しては、電子線、紫外線、γ線などを挙げる とができる。照射条件は、活性エネルギー 硬化性樹脂組成物に応じて定められる。

 被転写物31としては、材質を限定される とはないが、特に樹脂成形品、木工製品も くはこれらの複合製品などを挙げることが きる。これらは、透明、半透明、不透明の ずれでもよい。また、被転写物31は、着色さ れていても、着色されていなくてもよい。樹 脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレ フィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂など 汎用樹脂を挙げることができる。また、ポ フェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂 ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール 樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート 性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチ ンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレ タレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹 などの汎用エンジニアリング樹脂やポリス ホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系 脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリ クリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂 ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、 リアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジ アリング樹脂を使用することもできる。さ に、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強 を添加した複合樹脂も使用できる。

 次に、転写材1を用い、射出成形による成 形同時転写法を利用して樹脂成形品表面に耐 磨耗性および耐薬品性を有する保護層などを 付与する方法について説明する。まず、A金 とB金型とからなる成形用金型内に転写層20 内側にして、転写材1を送り込む。この際、 葉の転写材1を1枚づつ送り込んでもよいし 長尺の転写材1の必要部分を間欠的に送り込 でもよい。長尺の転写材1を使用する場合、 位置決め機構を有する送り装置を使用して、 転写材1の絵柄層22と成形用金型との見当が一 致するようにするとよい。成形用金型を閉じ た後、B金型に設けたゲートより溶融樹脂を 型内に射出充満させ、被転写物31を形成する のと同時にその面に転写材1を接着させる。 脂成形品を冷却した後、成形用金型を開い 樹脂成形品を取り出す。基材シート11を剥が した後、活性エネルギー線を照射することに より保護層21を完全に架橋硬化させる。

<テーバー磨耗評価試験>
 保護層材料中のコロイダルシリカ粒子の濃 を変えて(4種類)転写材を作成し、これを転 した成形品を作成し、転写後保護層のテー ー磨耗評価試験を行った。同時に目視によ 箔バリ評価も行った。

(測定装置及び方法)
 測定装置はテーバー磨耗試験機(テスター産 業株式会社製)を使用した。その他の試験条 等は以下のとおりであった。
     試験方法:ISO9352およびJIS K7204に準拠
     磨耗輪:CS-10
     荷重:500g

(成形品の作成)
 離型処理がなされた基材シート上に保護層 膜/プライマー層/柄インク層/接着層を順次 成した成形同時転写材を作製し、ポリメチ メタクリレート成形樹脂を用いて成形同時 写加工により、100mm角の板状成形品を得て これをテーバー磨耗試験に用いた。評価は が剥がれて下地が露出するまでの磨耗回数 カウントした。

(樹脂組成物の組成と塗膜の作成方法)
ポリマーA(a)200部(固形分100部)、多官能イソシ アネート(b)5部、光開始剤(d)5部に
・コロイダルシリカ粒子を入れないもの
・コロイダルシリカ粒子(c)を66部入れたもの( 固形分重量比でコロイダルシリカ粒子/ポリ ーA=0.2であった)、
・コロイダルシリカ粒子(c)を133部入れたもの (固形分重量比でコロイダルシリカ粒子/ポリ ーA=0.4であった)、
・コロイダルシリカ粒子(c)を267部入れたもの (固形分重量比でコロイダルシリカ粒子/ポリ ーA=0.8であった)、
としたコーティング液を固形分30%になるよう にメチルエチルケトンで希釈して#18バーでバ ーコートし、150℃、30秒加熱し、以降プライ ー層、柄インク層、接着層と順次バーコー ーにより形成した。

 使用したポリマーA(a)、多官能イソシアネ ート(b)、コロイダルシリカ粒子(c)と光開始剤 (d)は、上述の粘性測定に使用した材料と同一 であった。成形同時転写後、基材シートを剥 がし、照射量920mJのUV照射を行った。

 表2に評価試験結果を掲げた。

(結果)
 保護層材料にコロイダルシリカ粒子を加え 転写材は耐箔バリ性が良好であった。保護 材料にコロイダルシリカ粒子を加えた転写 を使用して作成した成形品は、下地が露出 るまでの磨耗回数が多くなった。つまり耐 耗性の向上が見られた。