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Patent Searching and Data


Title:
REFRIGERATOR AND METHOD OF REFRIGERATION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129718
Kind Code:
A1
Abstract:
Supercooling refrigeration being a method of enhancing the quality of food frozen other than the quick freezing method is realized by simple construction, and there are provided a refrigerator and method of refrigeration capable of realizing high-quality freezing by simple construction. The refrigerator is one capable of food storage utilizing cold air generated by cooler (3), comprising supercooling case (81) adapted to hold stored food in a supercooling state such that freezing does not occur even at its freezing point or lower temperature for at least a given period of time. The supercooling case (81) consists of, for example, the downside case of up-and-down two stage case disposed in switching chamber (200) capable of switching to multiple temperature zones.

Inventors:
HANDA MASUMI (JP)
HIRAOKA TOSHIE (JP)
HIRASHIKI ISAMU (JP)
YAGITA KIYOSHI (JP)
MATSUMOTO MARIKO (JP)
SAKAMOTO KATSUMASA (JP)
MAEDA GO (JP)
ONO KAORI (JP)
ISAKA HISAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/073442
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
December 05, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI ELECTRIC CORP (JP)
HANDA MASUMI (JP)
HIRAOKA TOSHIE (JP)
HIRASHIKI ISAMU (JP)
YAGITA KIYOSHI (JP)
MATSUMOTO MARIKO (JP)
SAKAMOTO KATSUMASA (JP)
MAEDA GO (JP)
ONO KAORI (JP)
ISAKA HISAO (JP)
International Classes:
F25D11/02; A23L3/36; F25D17/06; F25D17/08
Foreign References:
JP3903066B12007-04-11
JP2003180314A2003-07-02
JPS63254945A1988-10-21
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hisao et al. (The 6th Central Bldg.19-10, Toranomon 1-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 冷蔵庫本体に配置され冷却器からの冷気により魚、肉類、野菜、果実などの食品を収納する0℃から冷凍温度帯の温度まで連続してまたは段階的に温度調整可能な温度設定手段を設けた冷凍室もしくは冷却室と、前記冷凍室内もしくは前記冷却室内に吹出され前記冷却器に吸い込まれる冷気を前記冷凍室内もしくは前記冷却室内に循環させる冷気調整手段と、前記温度設定手段が設定する温度と前記冷気調整手段が調整する冷気方向と冷気量により前記冷凍室もしくは前記冷却室に貯蔵された食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態に前記冷凍室もしくは前記冷却室を維持する制御装置と、を備え、
 前記制御装置は、
 前記食品を過冷却状態に維持するように前記温度設定手段にて凍結点から-15℃程度までの温度範囲で温度を低下させながら調整する
 ことを特徴とする冷蔵庫。
 冷蔵庫本体に配置され冷却器からの冷気により魚、肉類、野菜、果実などの収納する食品を温度設定手段にて段階的に温度を下げながら凍結点以下の温度で凍らない過冷却状態に維持深化させる冷凍室もしくは冷却室と、前記冷凍室内もしくは前記冷却室内に吹出され前記冷凍室内もしくは前記冷却室内を循環する冷気の風量、風速、風向、温度を変化させる冷気調整手段と、前記温度設定手段と前記冷気調整手段にて前記冷凍室もしくは前記冷却室に収納され過冷却状態にある食品の過冷却状態を前記冷凍室もしくは前記冷却室の冷気の状態を変化させて解除する過冷却解除手段と、を備えた
 ことを特徴とする冷蔵庫。
 冷凍室もしくは冷却室の温度を設定し前記冷凍室もしくは前記冷却室に導入される冷気により魚、肉類、野菜、果実などの収納する食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態とする第1の温度設定手段と、前記第1の温度設定手段にて設定した前記冷凍室もしくは前記冷却室の温度より低い温度の冷気を供給し前記食品の過冷却状態を強制的に解除する第2の温度設定手段と、過冷却状態を解除した後で前記食品を冷凍保存する温度に設定する第3の温度設定手段と、を備え、
 前記第1の温度設定手段、前記第2の温度設定手段、前記第3の温度設定手段の設定する温度を、時間間隔を置いてもしくは前記食品の温度を計測して変化させる
 ことを特徴とする冷蔵庫。
 冷凍室もしくは冷却室の温度を設定し前記冷凍室もしくは前記冷却室に導入される冷気により魚、肉類、野菜、果実などの収納する食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態とする第1の温度設定手段と、前記第1の温度設定手段にて設定した前記冷凍室もしくは前記冷却室の温度より低い温度の冷気にて前記食品の過冷却状態を解除した前記食品を冷凍保存する温度に設定する第3の温度設定手段と、を備え、
 前記第3の温度設定手段にて設定される前記冷凍室もしくは前記冷却室の温度は、
 前記第1の温度設定手段にて設定される前記冷凍室もしくは前記冷却室の温度とは無関係に設定可能である
 ことを特徴とする冷蔵庫。
 冷凍室もしくは冷却室の温度を設定し前記冷凍室もしくは前記冷却室の冷却された壁面により魚、肉類、野菜、果実などの収納する食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態とする第1の温度設定手段と、前記冷凍室もしくは前記冷却室の壁面の温度もしくは前記冷凍室もしくは前記冷却室に導入される前記食品を過冷却状態とする冷気の温度より、低い温度の冷気にて前記食品の過冷却状態を強制的に解除する過冷却状態解除手段と、前記過冷却状態解除手段にて解除した前記冷凍室または前記冷却室に収納する前記食品を冷凍保存する第3の温度設定手段と、を備えた
 ことを特徴とする冷蔵庫。
 前記食品の過冷却状態を解除する際、前記冷凍室もしくは前記冷却室の冷気の状態を変化させるか、又は、収納する前記食品の周囲の風速を早くさせて前記食品表面の温度分布又は熱伝達率を変化させる
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記食品の過冷却状態をより低い温度の冷気を前記食品周囲に導入することにて強制的に解除した場合、あるいは前記食品の温度を計測し自動的に解除されたと判断した場合、
 前記冷凍室もしくは前記冷却室の設定温度は、
 前記食品が冷凍保存されるように-5℃以下の温度帯から選択され設定された温度である
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷却室が前記冷凍室の冷気吹出し口から吹出され、前記冷却器に吸い込まれる冷気を取り入れ前記食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態に維持する前記冷凍室内に配置されており、
 前記温度設定手段は、
 前記冷却室に貯蔵された前記食品が過冷却状態を得るように前記冷凍室の温度を-2℃以下で-15℃以上に設定し、
 前記冷気調整手段は、
 前記冷却室に収納した前記食品周囲の風速を抑え、前記冷却室に貯蔵された前記食品を過冷却状態に維持するように前記冷凍室内に吹出し前記冷却室に取り入れる冷気を調整する
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷却室が前記冷凍室の冷気吹出し口から吹出され、前記冷却器に吸い込まれる冷気を取り入れ前記食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態に維持する前記冷凍室内に配置されており、
 前記冷却室を前記冷凍室に配置した蓋もしくは上側ケースにより覆われる過冷却ケースにて構成するとともに、前記蓋もしくは前記上側ケースと前記過冷却ケースとの間に前記冷気を取り入れる隙間を設け、
 前記隙間は、
 前記冷凍室内を流れる冷気の流れ方向とは異なる方向を向いた開口で、前記隙間が10~30mm程度の寸法である
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷凍室もしくは前記冷却室が前記冷却器からの冷気により収納された食品を凍結点以下で-15℃以上の設定温度でも凍らない過冷却状態に維持し、
 前記冷気調整手段にて前記冷凍室もしくは前記冷却室に収納され過冷却状態にある食品に前記設定温度より2℃~5℃程度低い温度の冷気を供給して前記食品の過冷却状態を解除する過冷却解除手段を備えた
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷凍室もしくは前記冷却室に設けられ室内の温度を計測する温度計測手段とともに貯蔵される前記食品の温度を計測する食品温度計測手段を設け、
 前記食品の温度を計測する食品温度計測手段は、
 前記冷却室内もしくは前記冷凍室内の温度から食品表面の温度を推測する、または、温度センサにて食品表面温度を計測する
 ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の冷蔵庫。
 計測された食品表面温度から前記食品中心付近の温度を演算する食品芯温度計測手段を備えた
 ことを特徴とする請求項11記載の冷蔵庫。
 前記冷気調整手段は、
 ダンパーにて前記冷凍室もしくは前記冷却室へ吹出す冷気の冷気吹出し口での風速を1.0~1.2m/s程度に抑える
 ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷気調整手段を、前記冷凍室もしくは前記冷却室へ前記冷却器からの冷気を吹出す冷気吹出し口、前記冷凍室もしくは前記冷却室に配置された前記冷凍室もしくは前記冷却室へ冷気を取り入れる取り入れ口あるいは前記冷気吹出し口と前記取り入れ口との間の風路のうち少なくともいずれかに設け、
 前記冷気調整手段にて冷気を調整して過冷却状態となる前記冷凍室もしくは前記冷却室に貯蔵した前記食品周囲の風速を0・1~0・5m/s程度に抑える
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷気調整手段は、
 室内への冷気吹出し口から過冷却状態を維持する前記食品の配置位置までの前記風路の複数回の曲がり又は前記室内奥行き寸法に近い前記風路の長さである冷気風路構造である
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷気調整手段は、
 貯蔵した食品が過冷却状態とされるとき、前記食品周囲の空気温度の冷却状態変化による変動幅が10℃以内となるように調整する
 ことを特徴とする請求項13~15のいずれかに記載の冷蔵庫。
 食品の凍結点以下で-17℃以上の冷凍温度帯に設定した前記冷凍室もしくは前記冷却室の温度を、前記食品の温度が凍結点としてあらかじめ設定された温度以下になった場合又は前記食品が前記冷却室に貯蔵されてから所定時間経過した場合に、前記食品の過冷却状態を深化させるように前記冷凍室もしくは前記冷却室の設定温度を1~2℃程度下げる
 ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記食品が収納されて一定時間経過後、前記食品の温度が所定値に到達又は前記食品の温度急変のうち少なくともいずれか1つを検知し、前記冷凍室内もしくは前記冷却室内の前記食品に温度、振動、超音波、風速変動などの物理的衝撃を加えて過冷却を解除し、あるいは過冷却状態が解除された状態であると判断して、あらかじめ設定された冷凍温度にて保存する、あるいは急速冷凍する
 ことを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記冷凍室内もしくは前記冷却室内の温度を、前記食品の凍結点までの温度、過冷却達成温度、過冷却状態解除温度又は冷凍保存温度により連続的又は段階的に温度を変えて制御する
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記温度設定手段は、
 前記冷凍室もしくは前記冷却室に収納された常温の食品が冷却される際に、前記食品の表面温度が3℃から0℃に低下する範囲の冷却速度が、-3.5℃/hr~-10℃/hrの範囲とする
 ことを特徴とする請求項11に記載の冷蔵庫。
 前記食品芯温度計測手段にて計測する前記食品中心付近温度が過冷却状態であって前記食品の芯温が凍結点~凍結点よりも5℃低い温度の範囲内に有るときの冷却速度は、
 前記食品の芯温が-300℃/hr~-0.35℃/hrの範囲内である
 ことを特徴とする請求項12に記載の冷蔵庫。
 前記過冷却状態は、
 少なくとも5秒間以上保持される
 ことを特徴とする請求項1~21のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記食品が過冷却状態にあるとき、貯蔵した前記食品の芯温と表面温度との差が0℃~10℃の範囲内となるように、前記食品を冷却する
 ことを特徴とする請求項12に記載の冷蔵庫。
 前記食品を過冷却状態に維持する前記過冷却室もしくは前記冷凍室を上側ケースと下側ケースの下側ケースにより構成した
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 前記上側ケースと前記下側ケースとの間に隙間を設けた
 ことを特徴とする請求項24に記載の冷蔵庫。
 前記上側ケースの底面に前記下側ケース内の空気温度変動を抑制する部材を配置した
 ことを特徴とする請求項24に記載の冷蔵庫。
 前記食品を過冷却状態に維持する前記過冷却室もしくは前記冷凍室を上側ケースと下側ケースの上側ケースにより構成した
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 貯蔵した食品が過冷却状態とされるとき、前記冷凍室内部もしくは前記冷却室内部の空気温度ムラが15℃以内となるように、前記冷凍室もしくは前記冷凍室を構成する容器あるいはケースの冷気を取り入れる開口もしくはフタ構造の位置および大きさを形成する
 ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷蔵庫。
 冷却器からの冷気により収納する食品を凍結点以下で-15℃以上の設定温度で凍らない過冷却状態に維持する冷凍室もしくは冷却室と、前記冷凍室内もしくは前記冷却室内に吹出され前記冷凍室内もしくは前記冷却室内を循環する冷気の温度を変化させる冷気調整手段と、を備えた冷蔵庫において、
 前記食品を-15℃以上に設定された前記冷凍室もしくは前記冷却室に収納するステップと、前記冷気調整手段にて前記冷凍室内もしくは前記冷却室内の温度が-5℃以下で-10℃以上もしくは前記冷凍室内もしくは前記冷却室内の風速が0.5m/s以下になるように調整するステップと、前記冷凍室もしくは前記冷却室に収納され過冷却状態にある前記食品に前記設定温度より低い温度の冷気を直接供給して前記食品の過冷却状態を解除するステップと、を備えた
 ことを特徴とする冷凍保存方法。
 前記過冷却状態を解除するステップの後で前記食品を冷凍保存する温度として、-5℃以下の温度帯である
 ことを特徴とする請求項29記載の冷凍保存方法。
Description:
冷蔵庫および冷凍保存方法

 この発明は、過冷却を使用した冷凍保存 術に係り、それを利用した冷蔵庫(冷凍冷蔵 庫とも称する)および冷凍保存方法に関する

 冷凍した食品を解凍すると、凍結させて ない生鮮食品に比べると品質が悪化するこ は知られている。通常冷凍の場合は、常温 食品を-18℃に設定された空間に入れると、 食品温度はある一定の時間を経て空間と同 温度まで冷却される。そして、その温度が 品の凍結点以下であれば凍結する。低温環 に該食品をおくと、表面から除々に冷却さ 、最終的に中心部分までが周囲温度に至る このとき、表面のほうが先に温度が下がる め、表面が先に凍りはじめるという現象が き、食品表面にできた氷結晶が食品内部の 凍結状態の水分を引き出しながら拡大する め、中心部分に向かって大きな針状結晶が きる。大きな針状結晶は肉や魚など食品本 の構造を破壊するため、解凍時の食品形状 凍結前の状態に戻すことは非常に困難であ 。

 殆どの食品においても、凍結時にいかに て小さな氷結晶をつくるか、氷結晶によっ 食品本来の構造を破頓しないかが、凍結品 を良くする手段であるといえる。また、最 の家庭用冷蔵庫に対するニーズは、食生活 生活スタイルの変化により「冷凍」または 冷凍保存」に集まっている。さらに、業務 の冷蔵庫等も同様である。冷凍食品の多様 、利用量増加、作り置き、食品ストックな 、冷凍室利用頻度は高まる傾向にあり、大 量化が求められている。また一方では、食 品質に対する要求も高く、冷凍保存食品の 質を高める工夫は数多くなされている。

 このような問題を解決し、高品質冷凍を 現するための代表的な技術としては、急速 凍が知られている。即ち、高品質冷凍技術 代表的なものは、急速冷凍である。急速冷 の品質評価によく用いられている方法に、 などの解凍時のドリップ流出量比較がある ドリップ流出量は、食品が凍結する際の氷 晶の生成位置、大きさなどに左右される。 結晶が大きいと細胞が破壊され、解凍時の リップ流出量が増加し、品質低下につなが 。一方、氷結晶が小さいと細胞の形状が維 され、解凍時のドリップ流出量は少なくな 、食品のうまみが保持されることになる。

 急速冷凍した食品のドリップ流出量が少 い、即ち、食品内部に小さい氷結晶ができ 理由としては、最大氷結晶生成帯である-1 ~-5℃の温度帯を素早く通過させていること 挙げられる。氷結晶の成長が進むこの温度 にある時間をできるだけ短縮することが、 きな氷結晶の生成を抑制することになる。 たがって、急速冷凍は、食品内部に大きな 結晶が生成されるのを抑制するための一手 といえる。

 従来技術には、底面に金属板を有する急 冷凍容器と、急速冷凍容器の上面開口上方 急速冷凍容器内の食品を冷却するための冷 を吐出する冷気ダクトを設け、急速冷凍容 を急速冷凍室に設置するなどして、冷蔵庫 の急速冷凍を実施しようとしているものが る(例えば、特許文献1参照)。

 しかし、急速冷凍にはいくつか問題点が る。まず、氷結晶について、急速冷凍では さくなる傾向にあるとされているが、食品 心部まで本当に小さい氷結晶であるとは必 しもいえない。凍結させる食品がある程度 きくなると、冷気が直接当たる表面は急速 冷やされて小さい氷結晶ができると考えら るが、中心部では温度が下がりきらず、最 氷結晶生成帯に留まり、大きな氷結晶、ま は、針状氷結晶ができていることも考えら る。次に、急速冷凍時には極低温冷気を吹 付ける為大きなエネルギーが必要であり、 エネについては逆行しているといえる。ま 、極低温冷気をつくりだすためには、高性 で、巨大な圧縮機を搭載する必要があるな 、コスト的なデメリットも考えられる。

 このような急速冷凍の問題点を回避でき 新たな高品質冷凍技術として、過冷却冷凍 技術が挙げられる。過冷却冷凍とは、食品 特定の冷却条件で冷却していくと、該食品 凍結点以下の温度でも凍っていない状態と ることをいう。このような過冷却状態で食 を保存すると、凍結による蛋白質変性、細 組織の損傷などの冷却障害を回避できると う利点がある。また、過冷却状態とした食 に強制的に刺激を与えて過冷却状態を解除 ると、食品が急速に凍結すること、および のようにして得られた凍結状態は、過冷却 態を通過してしまう従来の急速凍結法に比 て細胞組織の損傷が少なく、品質劣化が極 て小さいことが報告されている(例えば、特 許文献2参照)。過冷却状態を経て凍結した食 は、食品全体に均一に、針状ではなく粒状 細かい氷結晶が生成されるため、細胞組織 損傷が少なくなるのである。

 従来の過冷却冷凍では、食品等(野菜、果 実、肉、魚等)の氷結点(凍結点)付近まで、常 温から比較的急速に冷却する急速冷却処理を 行い、続いて、氷結点以下まで0.01℃~0.5℃/時 間の緩慢な冷却速度で冷却するスロークーリ ング処理を行う方法で、過冷却状態をつくっ ているものがある(例えば、特許文献3参照)。 また、冷凍庫の内部空間に静磁場を発生させ ると共に、該静磁場内に位置した物体に対し て、静磁場の磁界強度に応じて決定される所 定周波数の電磁波を連続的または間欠的に照 射し、該物体に含まれる水分子を構成する水 素原子核に核磁気共鳴を生じさせて水分の氷 結温度を降下させ、氷結温度を通常以下とす る方法が記載されている(例えば、特許文献4 照)。

特開2005-83687号公報(第6―17頁、第2図、第 3図)

特開2003-180314号公報(0012欄)

特開平8-252082号公報(請求項1、0015欄)

特開2000-325062号公報(請求項1、0014欄)

 従来の技術では、過冷却状態とするとき 冷却スピードが遅く、過冷却状態が長すぎ と、酸化や細菌繁殖などによって食品品質 低下する可能性があった。また、過冷却状 は不安定であるため過冷却状態での最低到 点温度が深く(低く)到達する前に過冷却が 除されやすい、最低到達点温度が浅い(高い) と解除されたときに出来る氷核が少ないため 冷凍品質の良い冷凍ができないという問題点 がある。

 また、家庭用の冷蔵庫など、いくつかの 品が同時に混在して保存している冷蔵庫で 冷却冷凍を行う場合、過冷却から凍結まで 時間がかかりすぎると、緩慢な凍結を行う 境、即ち温度が高く維持された環境に既に 凍された食品が長時間放置されることにな 、そのような冷凍食品の品質への影響もで くるという問題があった。

 さらに、氷結点付近まで急速冷凍してか 緩慢冷却に移行するという方法は、氷結点 異なる食品が混在する冷凍庫においては、 適な移行ポイントを設定するのが非常に困 であるという問題もあった。

 また、上記特許文献2では、食品を、容器 内にデッドスペースが無いように収容して密 封した状態で、凍結点より高い温度から凍結 点以下の温度まで-0.5℃/hを越え-5.0℃/h以下の 冷却速度で冷却する工程を経て、該食品(水 乳製品、イチゴ)を過冷却状態とする方法が 載されている。このような方法を用いると 従来よりも速い冷却スピードで過冷却状態 つくることが可能であるが、食品を密封す ための手間が生じる。また、冷凍庫で保存 る可能性のあるすべての食品を密封するの 難しいという問題点が有った。

 また、静磁場内に位置した物体に対して 静磁場の磁界強度に応じて決定される所定 波数の電磁波を連続的または間欠的に照射 、該物体に含まれる水分子を構成する水素 子核に核磁気共鳴を生じさせて水分の氷結 度を降下させ、氷結温度を通常以下とする 法で過冷却状態をつくることは、複雑で大 な装置を要する結果となり、食品に対する 用性は薄くなる。例え、業務用の冷凍倉庫 とっても大掛かりとなりすぎて、装置コス がかかりすぎることから、まして家庭用冷 庫に搭載することを考えた場合、実用化は しいと考えられる。さらに、近年、電磁波 よる健康被害についても注目が集まってお 、家庭用、業務用、流通用の冷蔵庫のよう 簡便に開閉できる装置へ適用するには、人 への影響にも十分注意を払う必要があると う問題点があった。

 この発明は、上記のような課題を解決す ためになされたもので、本発明の目的は、 品の品質を損なうことなく少ないエネルギ で凍結することができる、即ち、高品質冷 を簡単な構成で実現できる冷蔵庫および冷 保存方法を得ることである。

 また、本発明の目的は、従来の冷凍方法 常識とされていた極低温冷気で一気に凍結 せること無しに従来よりも高い冷却温度で 却する簡単な構成で高品質冷凍を実現し、 エネ性と高品質冷凍の両方のメリットを発 することができる冷蔵庫および冷凍保存方 を得ることである。

 本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫本体に配置さ 冷却器からの冷気により魚、肉類、野菜、 実などの食品を収納する0℃から冷凍温度帯 の温度まで連続してまたは段階的に温度調整 可能な温度設定手段を設けた冷凍室もしくは 冷却室と、前記冷凍室内もしくは前記冷却室 内に吹出され前記冷却器に吸い込まれる冷気 を前記冷凍室内もしくは前記冷却室内に循環 させる冷気調整手段と、前記温度設定手段が 設定する温度と前記冷気調整手段が調整する 冷気方向と冷気量により前記冷凍室もしくは 前記冷却室に貯蔵された食品を凍結点以下の 温度でも凍らない過冷却状態に前記冷凍室も しくは前記冷却室を維持する制御装置と、を 備え、前記制御装置は、前記食品を過冷却状 態に維持するように前記温度設定手段にて凍 結点から-15℃程度までの温度範囲で温度を低 下させながら調整するものである。

 この発明に係る冷凍保存方法は、冷却器 らの冷気により収納する食品を凍結点以下 -15℃以上の設定温度で凍らない過冷却状態 維持する冷凍室もしくは冷却室と、前記冷 室内もしくは前記冷却室内に吹出され前記 凍室内もしくは前記冷却室内を循環する冷 の温度を変化させる冷気調整手段と、を備 た冷蔵庫において、前記食品を-15℃以上に 定された前記冷凍室もしくは前記冷却室に 納するステップと、前記冷気調整手段にて 記冷凍室内もしくは前記冷却室内の温度が- 5℃以下で-10℃以上もしくは前記冷凍室内も くは前記冷却室内の風速が0.5m/s以下になる うに調整するステップと、前記冷凍室もし は前記冷却室に収納され過冷却状態にある 記食品に前記設定温度より低い温度の冷気 直接供給して前記食品の過冷却状態を解除 るステップと、を備えたものである。

 この発明の冷蔵庫は、高品質冷凍機能と て、従来の急速冷凍ではなく、簡単な構造 過冷却冷凍機能を採用したので、従来より 少ないエネルギーでの高品質冷凍、即ち、 球環境対策として省エネルギー冷凍を実現 ることができるという効果を有する。また この発明の冷蔵庫は、過冷却をおこすため スペース内に冷気を導入し、冷却温度を複 に変化できる温度制御された冷却構造を採 することで、従来と大きく変わらない冷蔵 の構造、制御で、食肉などの食品の過冷却 凍を実現できるという効果を有する。

 この発明の冷凍保存方法は、冷凍車両の うな車両用冷蔵庫の場合、運搬中に時間を けて到着までの途中もしくは必要なときに ないエネルギーで品質のよい冷凍保存食品 送り先へ提供できるなどの多様なビジネス ステムが可能となる。

過冷却なし(a)と過冷却あり(b)で水が凍 するときの温度変化を示したグラフ。 通常の急速凍結と過冷却凍結とにより 肉を凍結したときと、一度凍結した肉を解 したときの肉組織の状態を示した図。 この発明の実施の形態における冷蔵庫 側面断面図。 この発明の実施の形態における冷蔵庫 風路構成を示す側面断面図。 この発明の実施の形態1における冷蔵庫 の切替室周辺の側面断面図。 この発明の実施の形態1における過冷却 ケースの構造図。 この発明の実施の形態1における別の過 冷却ケースの構造図。 この発明の実施の形態1における別の過 冷却ケースの構造図。 実施の形態1における冷蔵庫の過冷却制 御の例を示すタイミングチャート。 実施の形態1における冷蔵庫の過冷却 御の例を示すフローチャート。 実施の形態1における冷蔵庫の切替室 辺の側面断面図。 実施の形態1における冷蔵庫の切替室 辺の側面断面図。 実施の形態1における冷蔵庫の切替室 辺の側面断面図。 実施の形態1における切替室天井面の クトの上面図。 実施の形態1における過冷却ケースの 造図。 実施の形態1における冷蔵庫の切替室 辺の側面断面図。 実施の形態1における冷蔵庫の切替室 辺の側面断面図。 実施の形態1における過冷却ケースの 造図。 実施の形態1における過冷却ケースへ 冷気の流れを示す模式図。 実施の形態1における冷蔵庫の過冷却 御例を示すタイミングチャート。 実施の形態1における冷蔵庫の過冷却 御の例を示すフローチャート。 図3の冷蔵庫の切替室内に過冷却用の 付別置きケースを設置したときの断面図。 切替ケース内に過冷却ケースを設置し た様子を示した図。 冷却速度と食品内部にできる氷結晶と の大きさの関係図。 実施の形態1における冷蔵庫の表示パ ルを表した図。

符号の説明

 1 冷蔵庫、2 ファン、3 冷却器、4 風路 5 液晶操作パネル、6 冷蔵室用帰還路、7  菜室用帰還路、10 圧縮機、16 制御装置、41  切替室風路、41a 仕切り壁、42 切替室背面 側吹出し口、43 切替室天井面吹出し口、44 切替室背面下側吹出し口、45 切替室底面吸 み口、46 ダンパ、50 切替室天井面ダクト 51 切替室天井面ダクトの穴、60 切替室の蓋 、70 ファン、80 切替ケース、81 過冷却ケー ス、82 切替ケース底面、83 切替ケース、84  過冷却ケース、85 切替ケース、86 過冷却ケ ス、90 切替ケース背面の切欠き、91 切替 ース前面のスリット、95 表面温度測定装置 96 天井面、100 冷蔵室、200 切替室、201 切 替ケース、202 過冷却ケース、300 冷凍室、30 1 冷凍ケース、400 野菜室、401 野菜ケース 500 製氷室。

実施の形態1.
 まず、過冷却について詳しく説明する。図1 は、過冷却なし(a)と過冷却あり(b)で水が凍結 するときの温度変化を示したグラフである。 グラフの縦軸は温度でありグラフ上方に向か うほど温度は上がる。横軸は時間であり矢印 方向に時間経過を示す。過冷却状態とは、そ の物質の凍結点以下であるにも関わらず、100 パーセント凍っていない状態をいう。ここで 、凍結点とは、その物質が凍り始める温度の ことをいう。即ち、過冷却状態とは、凍り始 めるべき温度ではあるが全く凍っていない状 態のことである。例えば、水の凍結点は0℃ ある。この凍結点は物質によって様々であ 、塩濃度や糖度が高い食品などにおいては0 よりも低くなる傾向にある。過冷却状態と 冷却状態を経た凍結について水を例にさら 詳しく説明すると、過冷却状態とは、水を 却したとき、凍結点である0℃を下回っても 100パーセント水の状態であることをいう。

 過冷却状態にはいった水も、やがては凍 し、氷とすることが可能であるが、このと には何らかの刺激が必要である。この刺激 は、温度的なものであっても、物理的なも であってもよい。このように、刺激によっ 凍結を開始させることができるのであるが 過冷却状態から凍結開始に移行するまでの 間は、数秒単位であり、瞬間的なものであ 。しかし、この凍結開始時に瞬間的に凍る の割合は全体の数パーセントであり、これ 100パーセント氷になるまでにはさらに冷却 間を要する。

 ここで、通常凍結と過冷却凍結との違い ついて比較しながら述べる。まず、通常凍 と過冷却凍結との一番の違いは、過冷却状 に入るか、入らないかの違いである。通常 結の場合には、凍結点を過ぎると、過冷却 態には入らずに凍結が開始する。そして、 うひとつ通常凍結と過冷却凍結との大きな いは、凍結開始時の状態である。ここで、 結開始時にはどのような現象が起こってい のかをペットボトルに入った水を例に説明 ると、通常凍結の場合には、凍結が開始す とペットボトル表面付近の水から凍り始め 表面部分に薄氷がはったような状態になり その後内部に向かって氷が広がり、最終的 全体が凍結する。

 氷の成長は、水分子がある一定以上の大 さのクラスターを形成した氷核を中心に起 るものであり、氷核形成は凍結開始時に起 るものである。したがって、通常凍結の場 には表面にはとんどの氷核が形成され、そ から水の状態である部分へ向かって氷が成 しているといえる。一方、過冷却凍結の場 には、凍結が開始するとペットボトル全体 均一に氷核が形成される。そして、内部も 面もペットボトル内のあらゆる部分で氷が 長するため、一定方向に向かって氷が成長 るということはない。

 凍結完了後の通常凍結と過冷却凍結との いとしては、その冷却過程の違いから、通 凍結の場合には表面から内部に向かった大 な針状氷結晶ができるのに対し、過冷却凍 の場合には表面と内部に、均一に小さな粒 氷結晶ができるということである。また、 速冷凍の場合には、凍結開始時、凍結完了 にどのような状態であるかというと、表面 冷気を当てて素早く凍結させるという点で うと通常凍結の場合と同様である。まず、 面の温度が急激に下がるため、表面から凍 始める。しかし、通常凍結と異なる点は、 部まで冷却される速度が速くなるため、通 凍結に比べると内部にも氷核ができやすい 態となり、通常凍結時ほど大きな氷結晶が きることはない。

 食品冷凍について考えると、凍結完了後 氷結晶の大きさ、形状は解凍時の食品品質 大きな影響を与える。食品は、細胞、タン ク質、糖質などで構成されている場合がほ んどであるため、氷結晶によってその構造 一度破壊されてしまうと、完全に元にもど ない場合が多い。したがって、凍結時にで る氷結晶の大きさ、形状が食品本来の構造 破壊しないようなものであると品質の良い 凍ができているといえるのである。

 -60℃に設定された極低温冷凍の場合と、- 18℃に設定された過冷却状態を経ての冷凍の 合とにて、冷却室内のアンガロースゲルを 結させて結晶状態を比較すると、前者の結 は針状で大きく成長しているのに対し、後 の結晶は粒上で細かく全体的に均一に広が ている。このような差が食品凍結時に生じ 場合、前者では食品本来の構造が結晶によ て破壊されるのに対し、後者では氷結晶に る影響を殆ど受けないことになり、過冷却 態を経て冷凍すると品質の良い冷凍食品が られることになる。

 次に、過冷却冷凍で食品を凍結させるこ のメリットおよび斬新性について述べる。 冷却冷凍で食品を凍結させることの最大の リットは、品質の良い冷凍ができるという にある。これまでに述べてきたように、過 却状態を経た凍結においては、過冷却状態 なる過程で食品内部までも十分に冷却され ため、食品全体に均一に氷核が形成され、 さな粒状氷結晶に成長する。また、過冷却 態で達した最低温度と凍結点との差(図1(b) A点とB点の差)が大きければ大きいほど凍結 始時に形成される氷核の数が多くなるため より微細な氷結晶となる。したがって、過 却が十分に起これば(過冷却状態で到達する 度が低ければ低いほど)、凍結→解凍後も凍 結前により近い状態を維持することが可能と なる。

 食品の冷却と氷結晶の大きさ、形状につ て考える際に、最大氷結晶生成帯である-1 ~-5℃の温度帯の通過時間を考慮することは 来から行われている。それは、この最大氷 晶生成帯を短時間で通過させてやると氷結 は小さくなるという考え方である。過冷却 凍の場合には、最大氷結晶生成帯を含むこ 近辺の温度帯(-1℃~-10℃付近)に過冷却状態で 留まる時間は長い。しかし、過冷却状態とは 凍っていない状態である。したがって、過冷 却状態であれば、この温度帯通過時間が長く ても凍結後の氷結晶が大きくならず、微細な 氷結晶を作ることが可能である。最大氷結晶 温度帯を含むこの近辺の温度帯での冷凍で、 小さな氷結晶を形成させ、品質の良い冷凍と するという点では全く新規の冷凍方法である 。

 また、過冷却状態が解除すると凍結が開 し、温度が変化しない相変化状態を経て完 に凍結するのであるが、過冷却状態を経て れば、その後の凍結の過程で最大氷結晶生 帯に長時間留まったとしても、氷結晶が肥 化することはないことが確認できている。 たがって、この点においても新規の冷凍方 であるといえる。過冷却を経ていれば、そ 後の凍結過程に長時間かかったとしても、 結晶状態にほとんど影響はないが、凍結過 に入ったときに急速に冷凍してやると、氷 晶が肥大する可能性はさらに低くなり、ま 、氷結晶以外の食品品質低下要因について 回避することができるので、さらに品質の い冷凍ができるといえる。

 また、これまでは過冷却状態に入った食 を過冷却解除して凍結させた場合のメリッ についてのみ述べてきたが、過冷却状態に った食品を必ずしも凍結させる必要はない 過冷却状態を維持するメリットとしては、 結温度以下、即ち通常であれば凍ってしま ような温度で保存しているにも関わらず100 ーセント凍っていない、氷結晶が全くでき いない状態であるため、低温で保存しなが 氷結晶による食品構造の変化を全く受けな という点が挙げられる。

 より低温で保存することは食品の様々な 学変化を抑制できるという点で鮮度推持に 効であることは一般的に知られていること あるが、この低温保存と未凍結であるとい 両方のメリットを達成できる保存方法であ ともいえる。また、食品を解凍する必要も い。しかし、未凍結状態であるということ は、デメリットもある。食品中の水分が未 結であるということは、細菌繁殖や様々な 学変化にその水分が利用可能であるという とである。したがって、その点では凍結し ものよりも注意を払う必要がある。

 次に、この発明をその実施の形態に基づ て詳しく説明する。この発明の実施の形態 係る冷蔵庫は、過冷却を安定的に実現する めに必要となる安定した温度環境を維持し 食品への冷気直接吹き付けの温度、風速、 量、タイミングなどの温度や冷気を調整す 制御機構、食品を収納するケース等の構造 、過冷却解除を確実に実現するために必要 なる過冷却完了を判断する装置または制御 構、および過冷却解除に必要とされる刺激 与える装置または制御機構とを備える。ま 、過冷却解除後の質のよい凍結を維持する めの冷却および保存の機能も備える。

 先ず、過冷却凍結は、食品温度により以下 5つの状態に分かれる。
(1)未凍結状態:食品温度が、その食品の凍結 以上である状態。
(2)過冷却状態:食品温度が、その食品の凍結 以下でありかつ凍結していない状態。即ち 食品温度が低下し続けるので、過冷却状態 あることがわかる。
(3)過冷却解除:食品温度が凍結点以下の温度 ら凍結点に戻ったときの状態。
(4)凍結開始~凍結完了状態:食品が凍結点に達 て相変化(水であれば、液体の水から固体の 氷に変化すること)を起こし、一定温度で推 する状態。
(5)凍結完了・冷凍保存状態:食品が(4)の過程 経て凍結した状態。

 ここで、主な食品の凍結点を説明する。 れぞれの凍結点は、牛肉/豚肉であれば-1.7 、マグロであれば-1.3℃、バレイショであれ -1.7℃、イチゴであれば-1.2℃、リンゴであ ば-2.0℃である(参考文献:総合食料工業、p.922 (1975))。(1)~(2)の状態では、過冷却突入(食品を 未凍結状態のまま凍結点以下の温度にするこ と)のために必要な条件と過冷却を深化させ (過冷却状態のときに到達する温度を低くす こと)条件を、(3)では、過冷却状態を解除し 凍結を開始するための条件を、(4)及び(5)では 、過冷却凍結した食品の良さを保つための条 件がある。

 (1)~(3)をコントロールして十分に深い過冷 却度(食品の凍結点と過冷却して到達した温 の温度差)を得ると(4)及び(5)によりその効果 消失することはない。但し、過冷却状態に るとき、食品の出し入れで長時間扉を開放 、あるいは、設定温度を凍結点温度以上に て過冷却室内の温度が例えば0℃以上になり 過冷却状態が解除された場合は、再び状態(1) から再スタートすることになる。次に(1)~(3) 工程について述べる。

 先ず食品として厚さ15mm、150gの牛肉を投 したときの検討結果に基づいて述べる。本 明の冷蔵庫の過冷却室(過冷却スペースに同 )における過冷却条件について説明する。過 冷却の条件設定時に注意すべき点は、冷却速 度および冷却される食品の芯温の最低到達点 (過冷却状態で到達する温度)と凍結点との差 である。冷却速度が速すぎると、食品全体 温度が不均一な状態で冷却されるため、(食 品の表面温度と芯温の差が大きい)凍結して る部分と未凍結部分とができる。

 氷結晶は氷核を中心に成長するため、該 品の一部分でも凍結してしまうと、そこか 未凍結部分の水分を取り込みながら成長す ことになる。その結果、針状の大きな氷結 ができることになる。細胞間などに生じた 状氷結晶や大きな氷結晶は、細胞中の水分 出や細胞破壊の原因となり、該食品解凍時 ドリップ流出を引き起こす。その結果とし 、食品本来のうまみが減少したり、遊離ア ノ酸などの栄養分が減少したり、食感が悪 なったりする。一方、冷却速度が遅すぎる 、過冷却状態の維持については問題ないが 未凍結状態が長くなることで、細菌繁殖、 化促進などにより食品品質が悪化すること 問題となる。

 つまり、凍結点までは表面温度と芯温と 差が小さくなるように冷却し、凍結点以下 温度に達した場合(過冷却状態)は冷却速度 上げて、芯温の最低到達点に早く到達する うにして過冷却を解除することで未凍結状 が長くならないようにする。このように食 が凍結点まで、凍結点以下の過冷却状態ま 、過冷却解除され、完全に凍結するまでの れぞれの温度制御、冷気調整を連続してま は段階的に行うようにする。このような問 を解決するために、過冷却スペースに抗菌 能をつける方法もある。抗菌機能としては 紫外線、オゾンを用いる方法が挙げられる しかし、抗菌機能をつけるとコストがかか という問題もある。

 先ず、過冷却突入条件に対し冷却速度を 明する。食品は表面から冷却され、食品の 類や厚みに応じて熱伝導で食品中心が冷却 れる。即ち、食品表面の冷却速度が決まっ から中心の冷却速度が決まるものだからで る。また、実際家庭用冷蔵庫で食品の温度 化を制御する場合、食品の表面温度を検知 ることが一般的であり、まずはこちらを規 する。食品が過冷却したときの食品表面と 心温度の経時変化では、食品中心の温度と 品表面の温度は略同様な傾向で低下する。 さ15mm、150gの牛肉で、食品周囲の空気温度 30分程度で設定した温度、例えば-5℃、-7℃ -10℃に到達するが、食品表面温度が凍結点 到達するのはそれぞれ120分程度、80分程度、 60分以下と設定温度が高いほど遅れる。

 食品中心温度は食品表面温度差の差が少 く、それぞれの温度差は0.5℃~3.0℃程度であ る。但し、空気設定温度が高いほど表面と中 心の温度差は小さく、設定温度が低いほど過 冷却度、即ち、冷凍時のエネルギーは小さく なる。冷却速度は、食品表面温度が3℃から0 になる範囲で計算する。この温度帯での冷 速度が冷却突入の可否に相関のある温度帯 あり、食品周囲の設定温度が-5℃では食品 面の冷却速度は約3.5℃/h、設定温度―7℃で 食品表面の冷却速度は約5℃/h、設定温度-10 の過冷却が浅いときでは冷却速度は約10℃/h ある。

 この結果より、過冷却に突入するための 件として、食品の表面と中心の距離がある きは、食品表面の冷却速度が10℃/h以下であ ること、望ましくは5℃/h以下であることが示 される。また、このとき、食品表面と中心の 温度差にも差異がある。設定温度―5℃では 食品表面と食品中心の温度差は約1℃(K)(食品 中心の冷却速度は約3.5℃/h)で、設定温度―7 では、食品表面と食品中心の温度差は約2℃( K)(食品中心の冷却速度は約5℃/h)である。

 これに対し、過冷却が浅かった設定温度- 10℃では食品表面と食品中心の温度差は約3℃ (K)(食品中心の冷却速度は約10℃/h)である。こ の結果より、過冷却に突入するための条件と して、食品表面と中心との温度差が3℃(K)以 であること、望ましくは2℃(K)以下であるこ が示される。食品の表面と中心の距離が小 く、即ち食品の熱容量が小さい場合、例え 薄い肉などでは設定温度が-10℃より低い、 えば-15℃であっても過冷却度は浅くならず 好な冷凍食品が得られる。

 以上のことから、食品表面の冷却速度は 食品の表面と中心の温度差が3K以下となる 却速度であることが条件と考えられる。こ とき、以下の現象の発生が回避されると考 られる。イ)食品表面と中心で温度差が大き なると、食品中に含まれる水分の密度が変 り、その密度差で食品に含まれる水分の対 が発生する。このため、水分子の会合率が 加し、幼核の成長を促進するので過冷却が 除されやすくなる。ロ)食品表面が先に凍結 してしまうと、食品表面は凍結点の温度一定 の状態で安定した環境を食品全体に形成して しまう。このため、食品は安定的に凍結点に 保持され食品表面から伝導する冷却熱は全て 潜熱として利用され、凍結が進んでいく。こ のため、食品の表面が凍結すると、食品全体 が過冷却しないことになる。

 一方、食品周囲の空気温度については、 品を、未凍結のまま凍結点以下にするため は、食品の種類や厚さにより変わるが、一 的に食品周囲の空気温度を-10℃以上にする よく、食品周囲の空気温度の上限は過冷却 せたい食品の凍結点以下であることは自明 あり、例えば牛肉や豚肉であれば-1.7℃以下 であり、たいていの食品に対しては-2℃とす 。温度差が3℃(K)以下に抑える冷却速度は約 3.5℃/h~約10℃/h程度、特に約5℃/h程度以下が ましい。

 しかしながら、薄切り肉など厚さ10mm以下 の場合は、300℃/h以下にすることで過冷却に 入するし、厚み40―50mm程度の塊肉は約2℃― 3℃/hが必要である。いずれの食品でも食品表 面と食品中心の温度差を3℃程度に抑えれば い。但し、ヨーグルトのようにゲル状で水 が一定の位置に保持されやすい均質な過冷 しやすい食材では、約3.5℃/h~約10℃/h程度で 冷却するが、-18℃の設定温度で、温度差5― 10℃でも過冷却する。

 過冷却に突入し、過冷却状態を維持する の一つの阻害要因としての食品周囲の温度 ラに対しては、冷却速度のムラを抑制する 即ち、食品周囲の冷却速度を小さくすると い。また、冷蔵庫が空気温度をある一定温 に制御するために圧縮機のON/OFF、庫内ファ のON/OFF、ダンパの開閉など、様々な機器動 の影響により食品周囲の空気温度に変動が ることは避けられない。空気温度変動があ ことで、食品内部の温度変動が大きくなる このため、食品内部の水分の対流が促進さ る、即ち水分子の会合確率が高くなり、過 却が解除されやすくなる。これを回避し過 却に突入するには食品の凍結点を越える(例 えば-1.7℃)まで、即ち過冷却状態に突入する での温度変動幅は、実験では約6℃(K)以内で あった。

 食品の大きさや種類によらず、食品表面 過冷却が解除する刺激を与えてはいけない このため食品周囲の空気温度変動は、前述 通り6K以内であることが望ましい。ただし 多少過冷却度が浅くなったり過冷却が発現 る確率が低くなっても過冷却状態を作るこ は可能であり、例えば吹出口近傍で、温度 動が6Kより大きい、例えば15Kとなるような環 境であっても過冷却に突入することはできる し、過冷却しやすい食材では過冷却を深化さ せることができる。過冷却状態に突入し、過 冷却を深くするためには必ずしも同じ温度で 冷却する必要はない。

 一定の温度で冷却していると食品が冷却 れ、食品表面温度が低下して食品周囲の空 温度との温度差が小さくなり、食品表面温 はほぼ食品周囲の空気温度で安定する。こ ため過冷却を深化させるためには、食品表 と食品周囲の空気温度の温度差を一定以上 保ちながら冷却(深化)していくと良い。こ ためには、食品表面または中心温度に応じ 食品周りの空気温度を下げるようにすれば い。家庭用冷蔵庫におけるこの過冷却深化 工程では、あらかじめ定めた時間(あらかじ 実験で検討した、食品投入から食品中心温 が-1℃に到達するまでの時間;例えば2時間) てから、一定時間毎に(あらかじめ実験で検 した、食品温度が1℃低下する毎の時間;例 ば0.5時間)に設定温度を1℃下げていくなどで も良い。

 このようにすることで、食品表面と食品 囲の空気温度との温度差を維持しつつ食品 冷却できるので過冷却を深化させることが きる。逆にいうと、空気温度にムラが大き 、あるいは空気温度が変動が大きいと、食 表面の温度の分布が大きくなり、あるいは 品表面の熱伝達率が大きくなり表面の冷却 やすい個所から結晶化が始まり過冷却が解 されることになる。

 図2は、通常の急速凍結と過冷却凍結で肉 を凍結したときと、一度凍結した肉を解凍し たときの肉組織の状態を示した図である。こ のように、肉や魚などを冷凍したときに内部 にできる氷結晶が大きいと、細胞を破壊し、 解凍後のドリップ量が多くなることは知られ ている。そこで、過冷却冷凍と通常冷凍の牛 モモ肉やマグロのドリップ量を比較すると、 過冷却冷凍したものは通常冷凍の半分以下に 抑えられる傾向が見られている。ジャガイモ など、芋類は従来冷凍に適さない食品とされ ていた。カレーなどを作ったとき、冷凍保存 し、翌日以降に温めなおして食べるというよ うなことは一般家庭で日常的に行われている ことであるが、その際、ジャガイモだけは取 り除いたり、つぶしたりして冷凍することが カレーをおいしく冷凍するための常識である とされていた。これは、ジャガイモを冷凍し 、解凍すると、スカスカになり、食感が悪く なるからである。

 しかし、過冷却冷凍でカレーを凍結させ と、解凍後もジャガイモの食感が凍結前と ほとんど変わらず、スカスカあるいはべち っとした食感にならない。ジャガイモの主 分であるデンプンはアミロースとアミロペ チンで構成されているが、それらの立体構 を氷結晶の成長によって破壊するのが従来 冷凍であり、一度破壊された構造は解凍し も元に戻らないため、解凍したジャガイモ スカスカになる。これに対して、過冷却冷 でできる氷結晶は、非常に微細であるため 凍結時にデンプンの立体構造をほとんど変 させることがなく、解凍しても、元の立体 造を維持できると考えられる。

 したがって、過冷却冷凍後、解凍したジ ガイモの食感は悪くならないと考えられる このような原理は、冷凍に適さないとされ いた他の食品にもあてはまる場合があり、 って過冷却冷凍を用いると、これまで冷凍 適さないとされていた食品の冷凍が可能に ることも示唆される。このように、冷却状 を経て食品などを凍結させた場合、微細な 結晶ができるため、細胞やタンパク質など 本来の食品構造を変化させることなく維持 きることが分かってきている。

 したがって、凍結→解凍した食品を再び 結するなど、凍結→解凍を繰り返しても従 冷凍時のように品質が極端に悪化すること なくなる可能性もある。以上は一般家庭で 活用によるメリットについて述べたが、食 加工においても過冷却冷凍は有効利用が可 であるといえる。過冷却冷凍で生じる氷結 の細かさは-60℃の冷凍にも優るという結果 得られており、高品質冷凍を実現するとい 点で、業務用冷凍庫にも代替できるといえ 。そして、業務用のように大きなエネルギ を使って極低温冷気をつくりだす必要がな ため、省エネ性が高いというメリットがあ 。

 以上の検討では、食品周囲の冷気が流れ 風速を0.5m/s程度を想定している。食品は、 品表面と食品周囲の空気温度との温度差と 流熱伝達率により冷却速度が決まる。それ 、対流熱伝達率が小さい方が食品表面と中 との温度差が小さくなる事と、早く過冷却 態としたいということからである。なお、 品表面温度の経時変化により冷却速度を規 しているが、実際の製品では食品表面温度 検出手段としてサーモパイルが挙げられる これは、食品表面から発する赤外線による 射熱を受けて非接触で食品表面温度を検知 るものである。これにより、食品が冷蔵庫 切替室などに投入されたときのサーモパイ 検出温度から食品の温度や面積を推論し、 らにその後のサーモパイル検出温度の経時 化から投入された食品の熱容量を推論する とで、各工程における制御時間を投入され 食品に応じて延長または短縮することがで る。

 過冷却は元々不安定な状態であり、何ら の刺激が加わることで解除される。一般的 、振動で解除されると言われているが、例 ば密封容器に隙間なく水を充填したときな は、例えば容器を激しくふっても解除しな し、冷蔵庫の引き出し式の部屋、例えば切 室に入れ、扉開閉を全開/全閉数十回繰り返 しても過冷却は解除しない。ただし、密閉容 器に1/2程度のみ水を入れた場合は、一度に解 除する。このことから、振動で過冷却を解除 するには液体が自由に流動する空間が必要で あると考えられる。

 肉や魚、果物など食品の場合、各細胞およ 細胞間に隙間なく水分が充填されているた 、隙間なく水を充填した密閉容器に相当す 。実際、過冷却した肉を入れた切替室で、 開閉を全開/全閉を繰り返しても過冷却は解 除しない。また、過冷却解除のときに食品全 体の何パーセントで氷核が形成されるかは過 冷却度の大きさにより決まる。例えば、過冷 却度が4℃(K)であった場合には食品全体の水 の5パーセントで氷核が形成されることが次 凍結率の式から明らかである。
 凍結率(%)=(Cp*rV*δT)/L*rV*100
 Cp; 比熱(kJ/kgK)
 r ; 密度(kg/m )
 V ; 体積(m )
 L ; 潜熱(kJ/kg)
 δT; 温度差(K)

 過冷却度が4℃あれば、氷結晶形状は微小 な粒状である。過冷却解除後、食品温度が凍 結点以下の温度から凍結点に戻ったとき(こ ときの温度差が過冷却度)から次の工程で凍 を開始し凍結完了状態になるまでは、食品 凍結点に達して相変化(水であれば、液体の 水から固体の氷に変化すること)を起こし、 定温度で推移する状態であり、この後、凍 が完了し設定された温度で冷凍保存状態す 。過冷却さえ起こせばその後の凍結スピー は氷結晶形状には影響を与えないし、過冷 時に微小な氷核が形成され、その氷核が食 全体に分布していれば食品全体の氷結晶は かくなる。

 以上のように、過冷却解除のときに食品 体の水分の何パーセントで氷核が形成され かを凍結率で求めることが出来、実験デー によると、過冷却度が0.8℃のとき凍結率は 1パーセントで氷結晶は大きな針状であった 。過冷却度が2.6℃まで大きくなると氷結晶は かなり微小になるが凍結率は約3パーセント 度で、過冷却度が4.1℃まで大きくなると、 眼では判別できないほど微小な氷結晶で凍 率は約5パーセント程度である。

 このように、過冷却解除時に出来る氷核 食品全体の水分の数パーセントでしかない もかかわらず、氷核が食品全体に均一に生 ることで、その後の冷凍保存時の氷結晶状 が左右される。また、過冷却状態のときに えられるエネルギーは氷核生成時のエネル ーとして使われるため、過冷却度が大きく 蓄えられるエネルギー量が多ければ多いほ 、過冷却解除時に生ずる氷核の数は多くな 、その分だけ氷結晶径も小さくなると考え れ、氷結晶による食品損傷の影響は小さく ると考えられる。

 以上のように冷蔵庫に収納した食品を過 却状態にするためには、ある範囲の冷却能 により冷却することが必要条件となる。こ は、食品を冷やす冷却能力が弱すぎても強 ぎても過冷却状態にならない、もしくは過 却状態がすぐに解除されてしまうことを意 する。冷却能力が弱い場合は、収納食品が 冷却状態に入りやすいが食品周辺の冷却能 が弱い=温度が高いということになり、過冷 却状態での食品温度の到達点も高くなってし まうので過冷却が深く(=より低い温度)ならず に過冷却解除してしまう。一般的には、過冷 却の深さが大きければ大きいほど大きなエネ ルギーとなり、食品内での微細結晶を生成し 高品質冷凍になるため、より過冷却を深くす るためには冷却能力が弱いだけでは成立しな い。

 過冷却の深さについては、3K(例えば食品 過冷却状態で-4℃まで到達してから解除し -1℃まで温度が瞬時に上がる)以上となると 肉解凍時のドリップ流出量にも大きな差異 発生するため、それ以上の過冷却深さに追 込むことが必要である。また逆に、冷却能 が強い場合には、食品の凍結温度に到達し 時点でそのまま凍結する場合や、過冷却状 に入ってもすぐにその強い冷却能力が刺激 なって解除してしまう現象につながるため い過冷却度は得られない。よって、ある範 の冷却能力で食品を冷やすことが必要条件 なってくる。

 以上のとおり、冷却能力が弱い(=部屋温 が高い場合)には、食品を冷蔵庫に投入した 、部屋温度は約-3℃~-4℃にて推移し、この 度のまま食品を冷却しても部屋温度が-3℃~-4 ℃である以上は食品温度も当然それ以下には ならない。そのため、深い過冷却が得られな いので、部屋温度を少しずつ下げることにな るが、結局は食品温度が約-3℃になった時点 解除する。このように、冷却能力が弱い(= 度が高い)場合には、過冷却には入るものの 深く入らないため、食品としての有意差を ーザーが感じることが少ない。また、冷却 力が強い(=部屋温度が低い)と過冷却状態に らず凍結温度に到達した時点で凍結を開始 てしまう。

 但し、エア温度を-10℃以上とするとした 合、部屋温度は約-7℃~-8℃レベルまでしか げられないが、過冷却の深さとして3K以上を 得ることは本温度で十分達成可能となる。ま た、設定温度を下げる際には食品の凍結温度 (約-1℃)付近から温度を下げるとより深く過 却を追い込むことが可能となる。また、そ 温度を低減する際には食品に対して強い刺 を与えないように少しずつ下げるのが良い 例えば、設定温度を2℃づつ低減させた場合 過冷却解除してしまうケースが発生しても 1℃づつ低減した場合には温度勾配による刺 激が緩和されるため解除に至らない。

 続いて、すでに説明したように、もう一 の過冷却必要条件として過冷却対象食品付 のエア温度分布(ムラ)がある。これは、あ 範囲のエア温度分布(ムラ)に食品が設置され ないと過冷却に入らない、もしくはすぐに過 冷却が解除してしまう現象が発生するためで ある。これは、食品の温度ムラにおける温度 の低い箇所から凍結もしくは過冷却解除が発 生してしまい、結果としてその影響が温度の 高い箇所の食品まで達して追従するように凍 結もしくは過冷却解除してしまうためである 。

 よって、ある範囲の温度分布(ムラ)で冷 をすることが必要条件となってくる。具体 には、エア温度ムラが小さくなればなるほ 良いが冷蔵庫の実機バラツキや収納食品の きさや形などの様々な要因が発生するため 度ムラとしては約2K以下にすることが望まし い。部屋温度に関係なく温度ムラと過冷却の 深さについて実験結果を統計的にまとめると 温度ムラ2K以下になると過冷却の発現確率が 昇してくることが判る。この条件に上述の 度設定を掛け合わすことにより過冷却の発 確率は極めて100%に近づけることが可能とな る。

 冷却強さの調整のため冷蔵庫に搭載して る圧縮機のON/OFFと各部屋に設置された温度 ンサにより調整するダンパなどで温度を一 に保つようになっている。よって、必ず冷 庫の各部屋においては冷気が供給される時 とされない時間(冷気ON/OFF)が存在する。よ て、その設定された部屋の温度に調整する めには、その部屋温度よりも温度の低い冷 を供給しなければならない。しかし、過冷 実現のためには上述のような温度にて食品 過冷却状態にする必要がある。

 このような場合は、より食品付近エア温 の必要条件である-15℃以上、望ましくは-10 以上の温度で一定に冷却し続けたいが、現 的に家庭用冷蔵庫において温度ハンチング 少ない雰囲気を実現するのは困難であり、 冷却対象食品の周囲にくる冷気温度を制御 る。その実現手段としては大きく2つに別け られる。まず1つ目は、その部屋を冷却する 気温度を過冷却最適温度により近づける手 である。通常、冷蔵庫における冷凍温度帯 温度設定できる部屋を冷却する場合の冷気 度はその冷気供給口(吹出口)で約-25℃レベル まで達する。この温度は過冷却最適温度とは かなりかけ離れた数値であり、この冷気供給 の源流の温度を制御することは有効な手段と なる。

 その手段については、まず圧縮機の冷凍 力を下げることにより冷気温度を上げる手 が挙げられる。とはいっても、過冷却以外 本来の冷却能力は確保しておかなければな ないので圧縮機自体の能力を低減させるの はなく、インバータ制御などで圧縮機の駆 回転数を低減することにより冷凍能力を低 させて冷気供給温度を上昇させる。実際に 縮機を10rpsレベル回転数を低減させると吹 し温度も約3K~5Kの温度上昇は見込まれる。

 また、冷気を供給する冷蔵庫内の送風フ ンの回転数においても、その回転数を変更 て供給冷気温度を制御することは可能であ 。実際に、ファンの回転数を下げると冷気 度が減少して対流熱伝達が抑制されるため 気温度としても低くなる。よって、逆にフ ンの回転数を上げることにより熱交換が促 されて冷気供給温度が上昇する。実際に、 内ファンが300rpm~400rpm上昇すると冷気温度と しては約2K~3Kの温度上昇は見込まれる。その かにも冷気供給吹出し口周辺に保温ヒータ などを設置して冷気温度を上昇させること 考えられる。

 2つ目の手段としては、冷気供給温度を上 げるのではなく、その冷気が食品に当たる前 に冷気温度を上昇させて食品付近に温度の低 い冷気をなるべく直接当てないことがその手 段となる。その実現のためには、冷気供給口 から食品への冷気到達距離を長くすることが 挙げられる。例えば、冷気供給口周辺に冷気 整流ガイドを設けたりすることや、吹出し口 と食品設置位置との間に障害物を設けるなど の構造により可能となる。これにより、食品 周辺到達冷気温度は途中の熱交換により上昇 させることが出来る。

 さらに、食品に対する冷気の吹き付け速 も落とせるため強い刺激を与えずにじっく と冷却することができる。吹出し口と食品 置位置との間に障害物を設置した一例とし 食品収納ケース上方にフタ形状を追加した 成が可能である。蓋により冷蔵庫の背面側 ある冷気吹出し口から扉側に設けたケース 開口までの距離をケースの長さの半分以上 れる。この場合の気流解析すると、フタ形 の追加により食品付近の冷気エア温度を上 させる、更には風速を減少させることが可 となる。

 また、冷蔵庫内に冷気を循環させる送風 ァンと吹出し口との間に冷気供給を制御す ダンパがその角度を調整して冷気量を絞る どの冷気供給のシャッターの役割を果たす ダンパは全閉、全開だけでなく、途中の角 に調整して冷気量を絞り食品へ吹付ける風 を抑制することが出来る。冷気吹出し口の 速をダンパ開度を調整し1.0m/s~1.2m/sとし、ケ ースに蓋を設け、扉側からケース内に冷気を 供給するようにしてケース内の風速を0.1m/s~0. 5m/sとして過冷却状態を維持している。この 1の手段と、第2の手段を個別に行っても良い が、組み合わせて食品付近の温度を過冷却に 都合が良い温度とすることも出来る。

 また温度ムラ改善についての実現手段に いては冷気供給のON/OFF回数を低減すること より温度ムラ、ハンチングを抑制する手段 ある。これは、上述のように、制御装置に 圧縮機の回転数を低減してより高い冷気温 を供給することにより設定温度に到達する でに要する時間を長くしてON/OFF回数低減、 度ムラ、ハンチング改善へとつなげること 出来る。このように、ON/OFF回数を低減させ 手段=冷却能力を低減することとなるので、 これもまた上述のダンパ角度調整などによる 冷気量の絞りなども有効な手段である。さら に、その上で吹出し口のエアガイドの形状や 冷気吹出し口と食品間の障害物の形状などで 冷気温度や風速を調整することが可能となる 。

 次に、過冷却状態を実現する過冷却スペ スの構造、過冷却状態解除時期の判断方法 よび過冷却解除方法について、図面を参照 ながら説明する。なお、以下の各図におい 、同じ符号は、同一物または相当物を表す のとする。過冷却状態を経て冷凍保存が行 れるこの発明の実施の形態1における冷蔵庫 について詳しく説明する。図3は、この発明 実施の形態1における冷蔵庫1の断面図である 。

 この冷蔵庫1の食品貯蔵室は、最上部に開 閉ドアを備えて配置される冷蔵室100、冷蔵室 100の下方に冷凍温度帯(-18℃)から冷蔵、野菜 チルド、ソフト冷凍(-7℃)などの温度帯に切 り替えることのできる引き出しドアを備える 切替室200、切替室200と並列に引き出しドアを 備える製氷室500、最下部に配置される引き出 しドアを備えた冷凍室300、冷凍室300と切替室 200および製氷室500との間に引き出しドアを備 えた野菜室400等から構成される。冷蔵室100の 扉表面には、各室の温度や設定を調節する操 作スイッチと、そのときの各室の温度を表示 する液晶などから構成される操作パネル5と 設けられており、冷蔵室100の背面側には、 の操作パネル5により操作されて設定された 度に各庫室に配置された温度検出器の温度 調整するように圧縮機やダンパの開閉を制 する制御装置16が設けられている。

 冷蔵庫1の背面側には、冷凍サイクルを構 成する圧縮機10および冷却器3が配置され、さ らに、冷却器3により冷却された冷気を冷蔵 100や切替室200に送風するためのファン2、冷 器3により冷却された冷気を冷蔵室100内に導 入するための風路4が設けられている。また 背面側上部の冷蔵庫1外郭の中に配置された 御装置16の制御基板に取り付けられたマイ ンに記憶されたソフトウェアにより、操作 イッチ、操作パネル5の制御動作や表示など ともに庫内に配置した温度センサの検出信 に基づき圧縮機10や送風ファン2などの制御 行われている。なお、切替室200には収納ケ ス201が、冷凍室300には収納ケース301が、野 室400には収納ケース401が、それぞれ設置さ ており、それらのケース内に食品を収納す ことができる。

 図4は、この発明の実施の形態1における 蔵庫の風路構成を示す冷蔵庫の概略側面断 図である。冷却器3で冷却された冷気の一部 、冷凍室300に送風される。また、残りの冷 は風路4を通り、切替室200に送風される。風 路4を通った一部の冷気は更に上段の冷蔵室10 0へと送風され冷蔵室100を冷却する。野菜室40 0は冷蔵室100の戻り冷気が冷蔵室用帰還路6よ 循環されて冷却され、野菜室400を通った空 は、野菜室用帰還路7を経て冷却器3に戻る

 図5は、この発明の実施の形態1における 替室200の側面断面図である。冷蔵室100と野 室400の間に位置する切替室200には、風路4か の冷気をダンパ(切替室ダンパ)46を介して切 替室200に導く切替室風路41が設けられている そして、冷蔵庫の正面側からみて背面左上 切替室背面上側吹出し口42と、天井面手前 の切替室天井面吹出し口43とが冷気吹出し口 として設けられている。

 また、切替室200には、背面右下に切替室 面吸込み口44と、底面に切替室底面吸込み 45とが設けられている。切替室200は、冷蔵( 3℃)、チルド(約0℃)、ソフト冷凍(約-5℃、-7 、-9℃)、冷凍(約-17℃)など、6通りの温度帯 切替可能となっており、冷蔵室100の扉に設 された液晶パネル5によって、温度を切り替 えることができる。切替室200の温度は、図示 されていないサーミスタの設定温度およびそ の検出値により制御されている。

 次に、切替室200内に過冷却室を設置する 造について説明する。図6は、この発明の実 施の形態1における過冷却ケースの構造図で る。図6では、図5で示した切替室収納ケース 201を上下2段に分けて2段式のスライドケース し、その上側ケース80を通常の切替ケース し、その下側ケース81を食品を過冷却状態と する冷却室である過冷却スペースとしての過 冷却ケースとしている。切替室200を引き出す と、切替ケース80と過冷却ケース81が同時に き出される。過冷却ケース81使用時は切替ケ ース80を奥へスライドさせることで、過冷却 ース81から貯蔵品が取り出せる。

 上側ケース80と下側ケース81との間には、 周囲に15mm程度の隙間が開いている。冷凍温 が設定されているときは冷気吹出し口42、43 どから約―20℃の冷気が切替室に吹出す。 の構造によれば、室内に吹出された気流は 側の切替ケース80の内部や周囲を冷却し、上 側ケースと下側の過冷却ケース81との間の隙 から下側ケースへ流入するが、気流の流れ は直角方向の隙間でもあり、下側ケース内 気流が直接流入するのを抑制されるため、 冷却ケース81の空気温度上昇やケース内風 が抑制される。また、通常冷却時には、過 却ケース81の上部が切替ケース80によりカバ されて、冷気が直接入りにくい構造となっ いるため、過冷却をつくるときに必要な緩 冷却が可能となる。

 また、切替ケース80の底面82に空気温度変 化を抑制できるような熱容量の大きい物質( えば、金属板、蓄冷材をケースを2重構造に て注入するなど)を設置してもよい。こうす れば、底面82は過冷却ケース81の上部にあた ため、扉開閉を含めた冷蔵庫通常使用時に 過冷却ケース81内の空気温度変動を抑制する 効果が得られる。

 切替ケース80と過冷却ケース81の間には、 1mmから30mm程度の空間があってもよく、その 合、この冷却室を過冷却時にするときは、 ち過冷却ケース81に冷気を流入して冷えがよ くなる効果、また、過冷却解除時には冷気の 流れがよくなることで解除を効率的に行える という効果が得られる。しかし、隙間があま りに小さいと過冷却突入時や過冷却解除時に 急速冷却や直接冷却のために下側ケースに別 の開口を設ける必要があるなどのため、10mm~3 0mm程度の隙間が望ましいともいえる。

 また、解除用の開口を設けるのであれば 吹出された冷気が直接入り込むのではなく 自然対流レベルの気流であっても問題はな 。直接冷気を流入させてもすでに述べてき ように風速を小さくしたり、冷気温度を高 することで同様の効果が得られる。切替ケ ス80と過冷却ケース81の間に隙間がある構造 の場合の動作としては、切替ケース80の底面 車輪をつけ、過冷却ケース81に設置したガ ド上をすべらせる、あるいは、切替ケース80 の底面に溝をつけ、過冷却ケース81上部に設 した支柱をはめ込んで滑らせることなどが えられる。また、壁面に切替ケース80のみ 前後にスライドさせるためのレールを設置 てもよい。なお、切替ケース80と過冷却ケー ス81の間に隙間がない場合でも適度な冷却性 は得られる。隙間がない場合には、通常冷 時における空気温度変動の幅を小さく抑え ことができる。

 さらに、図6のように、高さのあるケース を2段に分けることで、ケース内の整理性が まり、より使い勝手がよくなるという効果 得られる。また、2段ケースの下側を過冷却 ペースとすることで、冷気が下方に溜まる いう特性から過冷却スペースの冷却性を高 るという効果、上側のケースが下側のケー に吹出し気流の直接流入を抑制する役割を たす場合の空気温度変動を抑制する効果も られる。なお、過冷却ケースの深さとして7 0mm程度のものでも良いし、食パンの冷凍保存 や大型ヨーグルトのチルド保存を想定し140mm 度やそれ以上、例えば300mm~600mm程度の深さ しても良い。

 上側ケースは下側ケースと同じ程度の容 、あるいは図のように下側ケースの数倍の 量などの深さが考えられる。また、2段ケー スの下側を過冷却スペースとする構造として は、図7のように、上側ケースをその前側と 側で深さを相違させるように底面に段差を け、下側ケースをその段差スペースに対応 せて配置する構成としてもよい。図7におい は、上側ケースが切替ケース83であり、下 ケースが過冷却ケース84である。図7の構造 おいては、切替ケース83の背面側には背の高 い食品を収納でき、扉側には小物を収納でき るというメリットがある。過冷却ケースには 冷気を供給する隙間が上側ケースとの間に設 けてある。

 また、2段ケースの下側を過冷却スペース とする構造としては、図8に示すようなもの もよい。図8においては、上側ケースが切替 ース85であり、下側ケースが過冷却ケース86 である。切替ケース85と過冷却ケース86の奥 きは必ずしも同じである必要はなく、一部 間が開いていてもよい。また、切替ケース85 をはめ込み式とすることができるほかに、ス ライド式として、ケースを奥に押し込んで過 冷却ケース86内の食品を取り出す構造として よい。図8の構造においては、上側ケースを 追加するだけで過冷却スペースができること から、変更の際にコストが安くて済むという メリットがある。

 すでに説明したように、冷却速度はある 度限定する必要がある。例えば、プリン、 ーグルトなどの食品では、芯温が300℃/h~0.35 ℃/hの範囲内、好ましくは3.5℃/h付近の冷却 度に設定し、過冷却状態をつくる。上記の 却速度は、芯温が凍結点から凍結点よりも20 ℃低い温度の範囲内、好ましくは凍結点から -10℃の範囲内に至るまでのものである。

 また、過冷却状態は一定時間保持する必 があり、例えば5秒以上必要である。これは 、より過冷却の温度を深くするためである。 つまり、食品が過冷却状態で到達する温度を より低くすることである。過冷却の温度が深 いと良いとされる理由はすでに説明してきた ように、過冷却の温度が深くなると、過冷却 で蓄えられる顕熱エネルギー量が多くなるの で、結果的に過冷却解除時に使われる瞬間的 な潜熱変化のエネルギーが大きくなり、その エネルギーを利用して、過冷却解除時に発生 する氷核が食品中に均一に一度に多く発生し 、その氷核を核に氷結晶が成長するため、小 さな氷の粒が食品内に均一に多数でき、細胞 内の氷結晶が細胞の破壊を少なくし解凍時の ドリップ流出を抑えるなど細胞への影響が小 さくなるということが挙げられる。

 さらに、食品に直接冷気を吹付けない、 るいは風速を抑える、温度変動を抑えるの 、食品の乾燥や霜つきを抑えることが出来 。また、過冷却状態にある時間が長いほど 冷却到達温度が低くなる可能性が高くなる これにより、過冷却度が大きくなるため、 冷却状態の保持はある程度の時間が必要で る。また、芯温が過冷却解除可能温度に達 たときの表面温度との差は0℃~10℃の範囲内 、好ましくは5℃以内とするのが好ましい。 モモ肉、厚さ15mmで150gであれば表面温度と芯 温の差は1℃程度である。以上のような冷却 件についての範囲は、肉、魚、野菜、果物 どの食品についても同様にいえる。

 過冷却状態を維持するには過冷却スペー 内の空気温度の変動(時間による温度の相違 )についても重要である。食品周囲の温度や 速にもよるが、空気温度変動の幅は好まし は5℃以内である。ただし、10℃以内であれ 多少品質は悪化する場合もあるが、過冷却 態をつくることは可能である。空気温度変 幅が大きいと食品品質が悪化する理由とし は、凍結融解を繰り返すことで氷結晶が若 大きく成長してしまうことが挙げられる。 お、空気温度変動幅を小さくする他の手段 して、図示しないサーミスタの検出値によ 機器制御のため、あらかじめマイコンなど 定められている設定値の変動幅を小さくし もよい。好ましくは4K(4℃)以内、さらに好ま しくは1K(1℃)以内とする。

 また、過冷却スペース内の空気温度ムラ 所による温度の相違は、過冷却度数度以内 あればよいが、過冷却突入のためには過冷 度2℃程度以内が望ましく、空気温度ムラが 大きすぎることの問題点としては、大きな食 品を冷却しようとするとき、部分的な凍結が おきてしまうことが挙げられる。即ち、過冷 却室の温度に関係なく、温度ムラと過冷却の 深さについてを実験で求めると温度ムラが2K 下になると過冷却の発現確率が100パーセン に近付く。したがって、食品近傍の温度を さえ、風速を低減することが重要になると もに、過冷却室の開口位置や大きさを過冷 室内全体に冷気が回り局所的な温度が低す ることがないようにシミュレーションによ 気流分布、温度分布を求め選定している。

 過冷却冷凍の温度設定基準については、 れまでに述べたような冷却速度等を満たし 過冷却発生確率が高い温度帯には、例えば- 3℃~-10℃がある。この温度帯においては、冷 するだろうと考えられるほとんどの食品の 結点が含まれるため、過冷却を起こした後 安定的に凍結させることが可能である。ま 、このような温度帯での食品保存期間は2週 間程度となり、例えば週末のまとめ買いで購 入した食品が予定変更等により使いきれなか った場合でも安心して次の週まで保存できる 。

 さらに、この温度帯で凍結後保存すると 解凍することなく包丁などで切り分けるこ ができるため、調理の手間を省ける。ヨー ルトやプリンなどのデザート類を過冷却冷 で凍らせると、非常に微細な氷結晶ができ ため、通常冷凍や冷蔵とは異なった新食感 得ることができる。また、牛乳やジュース などを過冷却冷凍すると、通常冷凍とは違 た食感のシャーベットができるなど、微細 氷結晶ならではの新メニューができる可能 がある。

 次に、冷却室である過冷却室(過冷却ケー ス)の過冷却制御について説明する。ここで 、過冷却解除時期の判断を過冷却開始から 積算時間を基に行い、過冷却解除を食品周 の空気温度を低温側へ変化させることで行 こととする。図9は、制御装置16に記憶され 過冷却制御である冷蔵庫の制御を示したタ ミングチャートである。過冷却ケースに収 された食品を過冷却するには、過冷却ケー 内の食品の芯温、但し表面温度と芯温との が小さい場合は表面温度が凍結点を越え過 却状態に達するまで(ステージ1)、圧縮機10、 ファン2、ダンパ46などが、過冷却ケースのあ る室内(ここでは切替室200)を、例えば-2℃~-20 の範囲で選択される空気温度にするように 作する。なお、圧縮機10やファン2は別の部 の温度でコントロールして、ダンパ46の開 のみで温度を制御してもよい。

 このステージ1では、切替室200の温度を設 定するサーミスタ(図示せず)の設定温度は通 時と同じ(図9で「Tset」として表示)とする。 過冷却解除が可能(食品温度が凍結点より3℃ 上低い温度まで過冷却されている状態を言 )な時間(過冷却状態を少なくとも5秒間保持 た後)に達して(ステージ2)、過冷却解除した 後、食品全体が完全に凍結するまで(ステー 3)は、サーミスタの設定温度は、通常温度設 定(Tset)としてもよいが、その設定温度を下げ (図9で「Tset-down」として表示)、切替室200の温 度をシフトダウンさせてもよい。

 その場合には、過冷却解除の確実性が増 、解除後の冷却速度が速いことから凍結品 も向上する。また、通常の急速冷凍のよう 、-20℃以下に過冷却ケース内温度が下がる うに急速冷却し、一気に凍結させるとさら 凍結品質はよくなる。食品が完全に凍結し 後(ステージ4)の保存温度設定に関しては、- 15℃以上など高温側の温度設定とすると、省 ネ性が高まり、-5℃~-10℃では冷凍保存して 冷蔵庫から取り出してすぐに包丁で切れる め使い易い。また、-15℃以下など低温の温 設定とすると、保存性が高まる。

 冷蔵庫1の以上の制御装置16の制御動作を とめると、図10のフローチャートのように る。図3における液晶パネル5に設けられた過 冷却ボタンを押すと、過冷却時間の積算がス タートする(ステップ1)。ここでは、常温から 過冷却温度に達するまでの時間を予め5分~72 間の範囲、好ましくは1時間~24時間の範囲で めておき、その時間経過後(ステップ2)、過 却ケース内部を自動的に低温側へ温度変化 せる制御とする(ステップ3)。なお、扉開閉 ど、実使用上の温度上昇を図示しないサー スタが検出したときは、所定温度以下の時 のみを積算するものとする。図9に示したス テージ2およびステージ3の積算時間が所定時 に達したと判断すると(ステップ4)、サーミ タの設定温度、圧縮機10およびファン2の速 を通常の値に戻す(ステップ5)。

 収納された食品を過冷却状態に実現可能 冷却室である切替室200は、冷蔵(約3℃)、チ ド(約0℃)、ソフト冷凍(約-5℃、-7℃、-9℃) 冷凍(約-17℃以下)などの複数の温度帯に切替 可能となっており、これらの温度は冷蔵庫本 体背面部の上部に設けられたマイコンなどで 構成された制御装置16がダンパー、圧縮機、 風機などを制御して、設定された温度に切 設定が行われる。扉表面に設けた表示パネ 5の一例を図25に示す。

 図25は、本発明の実施の形態を表す液晶 示パネルを表す図である。図において、5は 示パネルであり、冷蔵室、野菜室、冷凍室 切替室のいずれかを選択する部屋選択スイ チ5a、選択された部屋(貯蔵室)の温度調節、 あるいは急速冷凍を選択する温度調節・急冷 スイッチ5b、過冷却冷凍(瞬冷凍)を選択する 冷却冷凍(瞬冷凍)スイッチ5c、製氷モードを 常、透明、急速、停止から選択する製氷切 スイッチ5dが設けられている。なお、ここ は、過冷却冷凍は瞬時に凍結するため瞬冷 とも言う。

 また、表示パネル5には各温度帯の部屋( 蔵室、冷凍室、切替室、野菜室、過冷却室 ど)ごとの設定温度や現在の温度を表示して 良い。さらに、食品温度の表面温度を非接 の赤外線センサやサーモパイルにて計測す 場合には、この測定された食品表面温度(た とえば図9に示されるように食品温度)を液晶 示パネル5に表示すると過冷却状態や食品の 表面温度が一目で分かり冷蔵庫の使用者にと って時間経過を把握したり、食品がどの程度 冷却されていないかをドアを開けて確認した りする必要もなくなり便利である。

 ここで、急速冷凍を行いたい場合は、温 調節・急冷スイッチ5bを所定時間(3秒)押し けることで、急速冷凍モードに入り、急速 凍が行われる。また、過冷却冷凍(瞬冷凍)を 行いたい場合は、過冷却冷凍(瞬冷凍)スイッ 5cを押すことで、過冷却モードに入り、過 却冷却あるいは過冷却冷凍が行われる。さ に、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫には 製氷皿お掃除モードを備えており、製氷切 スイッチ5dを所定時間(約5秒)押し続けると製 氷皿お掃除モードに入り、製氷皿の掃除が行 われる。

 選択された部屋(貯蔵室)の温度調節は温 調節・急冷スイッチ5bにて行われ、本実施の 形態では温度を強、中、弱の3レベルで表示 るようにしている。この温度表示は、設定 度を直接表示パネル5に表示させるようにし も良い。さらに、この冷却室の設定温度は 冷却状態とする場合と、過冷却状態を解除 る場合と、解除して冷凍保存する場合には 次段階的にもしくは連続的に設定値を切り えることになる。この設定切替はあらかじ 設定されたタイマーによる時間間隔に基づ 自動的にあらかじめ設定された各温度に切 替えることができる。

 但し、冷蔵室100の扉に設置された液晶パ ル5にスイッチなど設けることによって、こ れらの設定する温度を手動で切り替えること も可能である。過冷却状態から解除し、更に 冷凍保存までの冷却室200の温度は、図示され ていないサーミスタの設定温度およびその室 温を検出し、あるいは食品表面の温度を検出 して設定値になるようにダンパーなど冷気調 整手段にて制御される。なお、食品温度を計 測する赤外線センサを室温計測のサーミスタ の代りに用いて圧縮機やダンパーなどの制御 をして良いことは当然である。

 以上のように、過冷却状態に対し、第1の 温度設定にて冷凍室や冷却室の温度を設定し 冷却室に導入される冷気により食品を過冷却 状態とすると、次にあらかじめ温度差を記憶 させこの第1の温度より温度差分低い温度に 食品の過冷却状態を解除し、食品表面の温 状態で過冷却状態を解除したと判断される 食品を冷凍保存するように冷蔵庫扉の切替 イッチにて設定した第3の温度に応じて冷気 調整する。このように、第1の設定温度、第 2の設定温度、第3の設定温度を、時間間隔を いてもしくは食品の温度を計測して順次変 させるので、マイコンに記憶されたソフト ェアという簡単な構造で冷気を調整するこ により、急速冷凍を実行しなくともあるい -60℃のような極低温にしなくともエネルギ の少ない品質の良い食品冷凍が実現できる 凍保存が可能である。時間間隔を設定する 合はあらかじめ記憶させた時間間隔でも良 し、扉表面の液晶パネル5にて時間を設定で きるようにしても良い。これにより、食品に 応じて早い処理が可能になる。また、食品の 温度を計測して解除を判断することで過冷却 度の深化が得られる。

 また、収納する食品を過冷却状態にする 合、食品を収納する冷凍室や冷却室の温度 マイコンに記憶された温度である第1の温度 にて設定手段として設定された温度にてこの 温度を設定した冷却室に導入される冷気量を 調整して過冷却状態に突入させ、且つ、この 過冷却状態を続ける。次に、過冷却状態を続 け過冷却に必要な時間として設定された時間 が経過した後で食品の過冷却状態を解除する ように、第1の温度より低い温度の冷気を供 し食品の過冷却状態を解除し、この解除し 食品を扉表面に設けた温度設定装置で設定 た第3の温度で冷凍保存する。

 第1の温度設定があらかじめ記憶されてい るものとすれば、設定される第3の温度は簡 に手動で切替が出来るため、相互に無関係 設定が可能である。但し、第1の温度を設定 る場合も食品の種類に応じて変更できるよ に温度設定装置を冷蔵庫の扉表面や冷却室 面に設け切り替えられるようにしておいて 良い。これらの温度設定状態と食品表面の 出した温度の状態を液晶パネル5に表示する ことも可能であり、表示を見ながら設定温度 を変えることも可能になる。第3の温度の設 に対しても、数ヶ月以上の長期保存を考え-3 0℃から-60℃の深温帯領域や、-5℃から-15℃の 微細な氷結晶により包丁などを利用して人が 切り分けが出来る弱冷凍温度帯領域、あるい はその中間の冷凍保存温度領域などに切り替 えられる構造としても良い。

 温度設定が行われるとセンサが検出した 度が、その切り替えられ設定された温度帯 なるように制御装置で圧縮機の回転数、ダ パー開閉などオンオフ制御が行われる。以 のように、第1の設定温度と第3の設定温度 それぞれ無関係に設定できるので、保存期 や利用状態に応じ、あるいは時期や収納す 食品の種類に応じて必要な過冷却状態を続 る時間や過冷却の深さに応じて設定温度を 更できるので、フレキシブルな冷凍保存が 能である。

 また、間接冷却の冷却室の温度を設定す 場合、冷却室の中に設けたセンサにて室温 計測したり冷却される壁面の室温の経過時 から推定し、食品を過冷却状態として設定 た第1の温度になっているかを判断すること が出来る。冷却室に収納される食品を過冷却 状態とする第1の温度より低い温度に間接冷 する冷気の温度を下げて壁面温度を低くし 過冷却解除をすることが出来る。もしくは 閉された冷却室の中の送風ファンの回転数 上げて食品の周囲の風速を高くし食品表面 熱伝達率を上げて過冷却を解除しても良い 食品表面の温度分布が不均一になればなる ど過冷却は解除されやすくなる。このよう 食品の過冷却状態を解除する過冷却状態解 手段にて解除した冷却室の開口を開き直接 内へ導入した冷気にて前記食品を冷凍保存 せる、あるいは間接冷却のまま壁面の温度 更に低下させたり、維持したりして室内の 品を冷凍保存しても良い。このように簡単 構造でエネルギーの少ない冷凍保存が可能 ある。

 次に2段ケースでない場合の実施例につい て説明する。図11は、この発明の実施の形態1 における切替室200の側面断面図である。図5 同一符号については同様の構成である。切 室風路41内に切替室背面上側吹出し口42と天 面手前側の切替室天井面吹出し口43への冷 分配を調節する仕切り壁41aが配置されてお 、ダンパ46の開閉角度により、冷気分配する 。95は過冷却により冷凍したい食品の表面温 を測定する装置で例えば赤外線センサであ 。

 切替室200の天井面96に設定されており、 品の表面温度を検出できるようになってい 。なお、表面温度測定装置95は、天井面吹出 し口43からの冷気の影響を受けない位置とし 例えば、吹出し口43が天井面96手前側の場合 は天井面96の後方に設置されている。一方、 面吹出し口44による冷気は食品に対しての 激が吹出し口43よりも強いので、吹出し口44 冷気による食品の状態を検知しやすくする めに背面上部の天井面96に設置されている

 次に、収納する食品を過冷却状態とする 却室、即ち過冷却室(過冷却ケース)の過冷 制御について説明する。過冷却ケースに収 された食品を過冷却するには、過冷却ケー 内の食品の芯温が凍結点になるまでに食品 表面温度が下がりすぎて凍結を開始しない うに食品の表面温度を表面温度測定装置95で 検出しながら芯温と表面温度の差を少なくす るように冷却する。例えば、ダンパ46の開閉 度を図12のように仕切り壁41a位置まで半開 し、吹出し口43への冷気分配を多くすること で過冷却ケース内に流入する冷気の風速を下 げる。

 また、風路41内を通過する距離を長くす ことで冷気温度が上昇し、吹出し口43からの 冷気温度はダンパ46に近い吹出し口42から流 する冷気より高くなり、食品表面を急激に 却しない効果がある。そのときの切替室設 温度は通常の冷凍室の設定温度よりも高く る。芯温が凍結点に達するまで上記のよう 冷却し、凍結点に達するような表面温度に ったと判断したら食品温度の最低到達点を げるように急速に冷却する。これは、凍結 以下の温度は不安定な状態になるのでゆっ り食品の温度を低下させると過冷却状態で 到達温度が高いままに解除されてしまう可 性があるからである。

 よって、凍結点に達したと判定できる温 に表面温度測定装置95の温度がなった場合 、ファン回転数を上げて、過冷却ケースに 入する冷気を多くするか、ダンパ46を全開に して(図11のダンパ46の状態)冷気流入量を多く して最低到達点温度を下げるように温度制御 する。そのとき切替室設定温度は凍結点まで 冷却した温度設定と同じか、設定温度を下げ る。次に食品が過冷却解除されると表面温度 測定装置95の温度が上昇する。これは、食品 過冷却状態から過冷却解除されると食品温 は凍結点まで上昇し、凍結点と過冷却到達 度との差分の熱エネルギー(温度上昇分の熱 エネルギー)により食品内に氷核を生成する 象によるものである。

 その判定を受けて過冷却室に冷気を流入 せて、完全に凍結させるように温度制御す 。ダンパ46を全開とし、ファン回転数、圧 機回転数を上げて、より低温の冷気を流入 きるようにする。そのとき切替室設定温度 通常温度より低くする。このように食品を 結点まで、凍結点から過冷却最低達成点温 、過冷却解除、完全凍結までの各段階で連 的または段階的に設定制御を変える。例え 、過冷却ケースへの冷気温度、冷気風量、 気風速をコントロールし、確実に過冷却状 にし、その過冷却最低到達温度を下げ、過 却を解除し、解除後の凍結スピードを上げ 質のよい冷凍を実現する。

 一方で、一定時間経過しても表面温度測 装置95の温度が凍結点から下がらない場合 、その食品が過冷却を起こさずに(過冷却失 )、凍結点から相変化し、凍結状態に入って しまったと判断し、過冷却解除後の温度制御 と同様に急速に凍結できるように温度制御し 、食品の凍結品質をできるだけ維持するよう に過冷却状態を経ての冷凍でなくてもより微 細に氷結晶を形成できるようにする。失敗が ない温度制御については、凍結点までは例え ば肉の場合は凍結点である-1℃で温度制御し 芯温まで-1℃の凍結点まで均一に食品を冷 する。

 次に、温度設定を-4℃~-7℃程度にコント ールできるようにして、過冷却到達温度を げて行く、過冷却最低到達点温度は冷却温 以下には下がらないので凍結点より-3℃以下 にしたい場合は-4℃以下の温度で冷却する必 がある。ただし、あまり低温にすると最低 達温度を低く出来ないままに過冷却解除さ てしまうので-7℃としている。過冷却解除 ついては過冷却最低到達点が凍結点よりも-3 ℃以下に到達したら(5秒以上過冷却状態にす と同様の効果)過冷却解除するための制御を 実施し解除させる。過冷却解除後は、急冷制 御により、早く食品が凍結するように制御す る。すでに保存され、包丁で簡単に切れるよ うに食品が保存されている場合(-5℃~-10℃保 )は急冷においても、すでに保存されている 品が切れなくならないように食品温度を-10 以下には下げないように温度制御すること 望ましい。冷凍温度帯であれば、その必要 なく、より低温で急冷する。

 なお、自然対流などの風速が小さい環境 でも過冷却状態および過冷却最低到達温度 段階的な温度制御で実現可能であるが、風 、冷気温度の制御によっても同様の効果を られ、さらに急冷や切替室を冷凍設定で使 する場合の急冷制御については自然対流で 冷却スピードが得られないのに対して本実 例のように直接冷気を流入した場合は急冷 可能となり、更に時間間隔で過冷却状態の 持や解除を設定することで、過冷却冷凍時 の短縮化が図れ冷凍品質の向上につながり 過冷却冷凍を行う食品のスペースの有効利 や冷却室に対し過冷却を行わない食品との 在などより幅広い利用が可能となる。上記 施例では過冷却ケース上方開口部に蓋等を 置していないが、蓋等により冷気風量、冷 風速をコントロールすることも合わせて実 しても同様の効果が得られる。そのとき、 は上方開口部を完全に覆う必要はなく、冷 風量、冷気風速がコントロールできる範囲 もよい。

 次に、上下2段に構成された切替ケース201 の上段ケースを過冷却ケースとする場合につ いて説明する。図13は、この発明の実施の形 1における図5に対応する切替室200の側面断 図である。図13に示すように、上下2段に構 された切替ケース201の上段ケースを過冷却 ース40としている。過冷却ケース40は、切替 天井面吹出し口43より後方に設置され、ス イド式で引き出せる構造となっている。こ 構造によれば、過冷却ケース40内部およびそ こに収納されている食品には切替室天井面吹 出し口43から直接冷気が当たらないため、温 を安定な状態で維持することができる。

 図14は、切替室天井面吹出し口43につなが っているダクト50の上面図である。過冷却ケ ス40をよりよく冷却するためには、ダクト50 の途中に穴51を開けて、ダクト50を流れる冷 を自然落下させるような構造にしてもよい

 図13の過冷却ケース使用時は、切替ケー 201を引き出して、独立式の過冷却ケース40を 引き出す。過冷却ケース40は使用時にのみ引 出されるので、切替室200の使用時に過冷却 ース40の温度が上昇しにくいというメリッ がある。また、過冷却ケース40を切替室200の 上方に設置することは、従来の切替ケースの 大きさを変えることなく、新しくケースを追 加できるというメリットもある。

 次に、過冷却ケースの構造について説明 る。図15は、この発明の実施の形態1におけ 過冷却ケースの構造図である。ここでは、 替室200に設けられる切替ケース201の上部を 60で覆って、切替ケース201の全体を過冷却 ースとしている。図15は、切替ケース201の全 体が蓋60に覆われて、その全体が過冷却ケー を形成している例である。なお、切替ケー 201の内部に、縦方向あるいは横方向に仕切 を設けるとともに、その仕切られた一部分 みを蓋60で覆い、蓋60で覆われた部分のみを 過冷却ケースとする構造としてもよい。

 蓋60が設けられて過冷却ケースとされた 間内には冷気が直接吹き付けないため、ケ ス内は完全な間接冷却となる。また、この うにして形成した過冷却ケース内の温度変 はほとんどなく、さらに、それを最も低コ トで実現することができる。なお、ケース に風を入れないで冷却させる、例えば、壁 部に冷気または冷媒を循環させるなどして を冷却することによる輻射冷却を利用すれ 、蓋60なしのケースを過冷却ケースとするこ とも可能である。

 次に、切替室にファンを設ける構造につ て説明する。図16は、この発明の実施の形 1における図5に対応する切替室200の側面断面 図である。図16に示すように、本実施の形態 は、切替室200の上部にファン(切替室ファン )70を設けたものである。この構成によれば、 ファン70の作用により、切替室200内の空気を っくり攪拌することができるため、冷却速 を高めることなく、空気温度を均一に保つ とができる。過冷却ケース40内には大きな 品を投入することもあるが、この構成では のような場合に食品全体の冷却ムラをなく ことができ、過冷却を安定的に起こすこと 可能になる。過冷却ケース40は切替室200内の どのような部分に設置されていてもよく、切 替ケース201に対して独立なケースとしても、 あるいは切替ケース201全体を過冷却ケース40 してもよい。

 次に、切替室内の切替ケースの下部に、 冷却スペースを構成する過冷却ケースを配 する構成について説明する。図17は、この 明の実施の形態1における図5に対応する切替 室200の側面断面図、図18は、本実施の形態で 用される過冷却ケースの斜視図、図19は、 実施の形態による過冷却ケースへの冷気の れを示した図である。図17に示すように、切 替室200内の切替ケース201の下部に、過冷却ス ペースを構成する過冷却ケース81が配置され いる。切替室200の周囲には切替室風路41が けられ、また、冷却器3からの冷気が吹き出 れる3つの吹出し口、切替室背面上側吹出し 口42、切替室背面下側吹出し口44、切替室天 面吹出し口43が設けられている。

 また、切替室風路41の入り口部に、切替 200へ向かう冷気量を調節するダンパ46が設け られている。ここで使用される過冷却ケース 81は、図18に示すように、ケース背面に切替 背面下側吹出し口44からの冷気が流入する切 欠き90が形成され、ケース前面に、切欠き90 ら流れこんだ冷気を排出するスリット91が形 成されている。冷却器3からの冷気は、過冷 ケース81を図19の矢印で示すように流れるた 、過冷却時と過冷却解除時では、その流量 、ダンパ46などの流量調整装置で調整する とが好ましい。なお、ケース背面に冷気が 入する切欠や開口を形成し、ケース前面に れこんだ冷気を排出するスリットや開口を 成する構成は、実施の形態1のいずれの過冷 ケースにも適用できる。

 次に、図17、図18に示した過冷却ケース81 利用した実施の形態1における冷蔵庫の過冷 却制御について説明する。図20は、その過冷 制御の例を示すタイミングチャートである 過冷却ケース81に収容された食品を過冷却 るには、過冷却ケース81に収容された食品の 芯温が凍結点を越え、過冷却状態に達するま で(ステージ1)、圧縮機10、ファン2、ダンパ46 どが、切替室200内を、例えば-2℃~-20℃の範 で選択される空気温度にするように動作す 。なお、圧縮機10やファン2は別の部屋の温 でコントロールして、ダンパ46の開閉のみ 温度制御してもよい。

 ここでは、ダンパ46は、通常通り全開/全 を繰り返すようにする。そして、過冷却解 が可能な食品芯温度に達すると(ステージ2) ダンパ46の開度を半開にし、過冷却ケース81 側に主に冷気が流れ込むようにする。ダンパ 46の半開角度としては、気流に横方向のベク ルを与える角度であればよい。好ましくは1 0度~60度の角度である。ダンパ46を半開とする 時間は、過冷却解除した後、凍結が完了する までの時間(ステージ2、3)とする。食品の凍 が完了した後の保存期間(ステージ4)の制御 、通常通り、ダンパ46を全開/全閉を繰り返 ように戻すこととする。

 冷蔵庫1の以上の制御動作をまとめると、 図21のフローチャートのようになる。過冷却 御を開始すると、ステージ1の時間の積算を 開始する(ステップ51)。次に、ステージ1が所 時間経過したかどうかを判断し(ステップ52) 、所定時間に達したと判断するとダンパ46を 開にし、ステージ2の時間を積算し始める( テップ53)。そして、ステージ2が所定時間経 したかどうかを判断し(ステップ54)、所定時 間に達したと判断するとダンパ46を全開にし 通常制御に戻す(ステップ55)。

 過冷却状態を得るための制御時には、過 却ケース81への冷気の流れ込みはほとんど いので、安定的に過冷却状態をつくること でき、かつ、過冷却解除時には過冷却ケー 81のみほとんどの冷気が流れ込むようにする ので、過冷却解除、確実に凍結が起こる。さ らに、過冷却解除時に切替ケース201の空気温 度に対する影響がほとんどなくなるというメ リットもある。その他、切替室200においてダ ンパ46開度を変更したり、風量を調節したり ることで冷却量を調節し、空気温度変動を 制するようにはたらきかけてもよい。

 図22は、図3の冷蔵庫の切替室内に過冷却 の蓋付別置き過冷却ケース202を設置したと の断面図である。ここでは、過冷却ケース2 02を、過冷却ケース202上面を吹出し口203から 冷気が流れるような位置に設置している。 た、図23は、切替ケース201内に過冷却ケー 202を設置した様子を示したものである。こ ように、過冷却ケース202を蓋付別置きケー にした場合のメリットは、周囲に温度状態 異なる食品が収納された場合も過冷却ケー 202内の食品はその影響を受けにくいことで る。

 また、過冷却ケース202の蓋部分に断熱材 入れてもよいが、この場合においては、吹 し口203からの冷気の影響を受けにくくなり 安定的に過冷却を起こすことができるとい メリットがある。また、直接冷気が吹きつ ることで起こる温度ムラが過冷却解除の要 となる場合があるので、蓋の一部または全 に熱伝導性の良い部材を用いてもよいし、 出し口の数と位置、吹出し口の形状、吹出 口と蓋の位置関係を所定の温度ムラ範囲に まるようにしてもよい。所定の温度ムラ範 とは、10K以内、好ましくは5K以内、さらに ましくは2K以内である。

 なお、これまで説明した全ての実施の形 において、切替ケースや過冷却ケースの一 または全体を熱伝導の良い素材(例えば、ス テンレス、アルミ、銅などの金属板)とする 、ケース内の温度を均一にすることができ 。2重構造としても温度を均一にすることが 能である。また、食品熱容量を吸収できる 熱剤を設けたケースにすると更に過冷却冷 時間の短縮につながる。

 以上、過冷却解除時期をあらかじめマイ ン等に記録した時間を基に行う制御につい 説明してきたが、以下においては、過冷却 除時期を判断する別の方法について説明す 。既に説明してきたように、過冷却状態を 化させるように冷却室の温度を低下させ続 ると、例えば-10℃より低下させた場合自動 に過冷却解除を起こす確率が高くなる。こ 自動的な解除が発生すると食品温度が高く るので判別できる。この自動的な解除もし は強制的な解除が発生した場合、解除時期 センサで計測して確認すると良い。過冷却 除の時期の判断は、赤外線センサ、超音波 ンサ、電界センサなどを用いて、過冷却品 状態を判断して行うことができる。

 赤外線センサを用いる場合、赤外線セン は過冷却ケースを設けるスペースの壁面に 置し、可動式でケース内全体を見渡せるよ にするか、またはアレイセンサにしてケー 内全体を見ることができるようにする。設 位置としては、例えば切替室200背面に設置 斜め上方から過冷却ケースを見渡すことで 全体を見ることができる。過冷却モードに ると、赤外線センサは、過冷却ケース内の 品の表面温度を検知し、食品の表面温度の 化を検出することが出来る。この変化によ 解除を知ることが容易である。

 更には、検出した表面温度から食品の芯 を算出し、そして、該食品の算出された芯 が上記の過冷却条件で示した温度で、且つ あらかじめ設定されマイコンなどに記憶さ た温度に達したと判断すると過冷却解除の 激を加えることが出来る。これにより、過 却状態の時間短縮が可能になる。当然なが 、表面温度と芯温との差が小さい場合もあ 、設定された制御の時間間隔が解除を行う 間に達しても温度差が小さいことを判断す ことを優先させて、更に冷却温度を下げて 冷却度を深化させることも可能である。こ ように表面温度計測を利用すると複雑な判 が簡単になる。

 超音波センサを用いる場合は、超音波セ サに過冷却ケースを接触させる。超音波セ サは超音波の発振部とその反射波を受け取 受信部とから成る。設置位置は、過冷却ケ スの扉を閉めたときにケースに接触する場 ならどこでも良く、例えば切替室200の背面 センサ台座にバネを設けて設置することで 配線長が最も短くコストを抑えてかつ切替 を閉めたときに確実にケースに接触させる とができる。過冷却モードに入ると、超音 センサは、過冷却ケース内の食品に向けて 音波を発振する。

 超音波は、接触している物質内を伝播す ので、センサがケースに接触していること ケース内に収められケースに接触している 質にも超音波が伝播する。このとき、食品 未凍結または過冷却の状態で水分が液体で るときに比べ、過冷却が解除して氷結晶が 成すると、超音波は伝播しやすくなり発振 た超音波が受信部に到達する速度が速くな 。この時間差または伝播速度の差から、過 却解除し食品中の水分が凍結し始めたこと 検知できるので、過冷却解除後の制御に移 できる。

 電界センサを用いる場合は、過冷却スペ スに電界センサを設置する。電界センサの 極部は金属製であればどのような形状でも い。例えば、冷蔵庫の内箱などに簡便に貼 付けるためには、箔状であれば、内箱の凹 に沿って貼り付けることができる。箔より 厚めの板状にすることで、取り付け時に破 の恐れが少ない電極を得ることができる。 た、非接触式であり、冷蔵庫の壁面であれ どこに設置しても良く、測定したい物質と 間に別の物質、例えばプラスチックの板な があっても測定できる。電界センサは、食 内部の誘電率により出力が変化する。食品 未凍結または過冷却の状態で水分が液体で るときに比べ、過冷却が解除されて氷結晶 生成すると、誘電率が大幅に小さくなるの 、それを利用して過冷却解除時期を判断し 過冷却解除後の制御に移行できる。

 また、上記のような装置を用いる以外に 、食品の温度を温度計で直接測り、過冷却 除時期を判断して過冷却解除の刺激を加え もよい。温度計は、冷蔵庫に配線で接続さ ており先端が針金状になっている。食品を 冷却ケースに入れるとき、ユーザーが温度 測定したい食品にこの温度計を差し込む。 れによって、食品内部の温度が測定できる で所定の過冷却温度に到達したかどうかを 接認識することができる。食品内部が十分 過冷却温度に到達したら、過冷却解除のた の制御に移行できる。

 次に、これまでに説明した温度低下また 冷気導入による過冷却解除ではない、他の 冷却解除方法について説明する。その他の 冷却解除方法としては、例えば、過冷却ケ スに振動を加える方法、あるいは音波をか る方法などがある。振動を与える方法とし は、機械を用いる方法、冷蔵庫内の動作機 の振動を利用する方法などがある。また、 冷却解除時に過冷却ケースのみを冷却し切 ケースの温度を下げないようにするための の方法としては、例えば切替ケースの周囲 にヒーターを設けておき、過冷却解除時に 替ケース側のみをヒーターで加温する方法 ある。さらに、例えば過冷却ケースの周囲 にヒーターを設けておき、過冷却中には過 却ケースを加温するヒーターをオンにし、 冷却解除時にはオフにするなどの方法もあ 。なお、過冷却解除については必ずしも行 なければならないものではない。過冷却状 を維持したままそのまま放置しておいても い。

 以上、本発明の実施形態に関連して、過 却スペースの構造、過冷却解除時期判断の 法および過冷却解除方法などについて説明 てきたが、以下では、過冷却解除後の保存 法について説明する。

 過冷却解除後、-10℃以上の範囲で冷凍保 する場合は、凍結した後でも包丁でサクッ 切れる状態を維持できる。過冷却状態を経 凍結したことによって、食品内部の氷結晶 細かくなっているので、通常凍結時に比べ より切れやすくなるという利点もある。ま 、保存温度帯は凍結点以下なので、2週間程 度のある程度長期の保存も可能である。

 過冷却解除後、-10℃~-15℃までの範囲で保 存する場合は、通常の凍結方法では氷結晶が 針状に大きく生成して凍結後に包丁で切れな かったが、本発明の方式では食品内部にでき る氷結晶が細かいので、包丁で切れる状態を 得られるという利点もある。また、保存期間 に関しては、2週間以上1ヶ月程度の長期保存 可能である。

 過冷却解除後-15℃以下の温度帯で保存す と、通常の冷凍と同様に1ヶ月程度の保存が 可能であり、かつ、氷結晶が細かく食品の細 胞を破壊しづらくなっているので、普通に凍 らせた食品に比べてより質のよい味、食感な どを感じることができる。

 上記保存温度を変化させる手段として、1 つの部屋で温度を切り替える方法がある。ま た、過冷却凍結させるために高めの冷凍温度 帯の部屋を用い、保存時に低めの冷凍温度帯 の部屋へ移動させてもよい。高めの冷凍温度 帯とは、-15℃より上、低めの冷凍温度帯とは 、-15℃以下の温度帯である。

 また、過冷却状態を経て凍結すると、食 内部の氷結晶が小さな粒状でできるため、 結率が高い、即ち冷凍保存温度が従来より 低くても、包丁でサクッと切ることが可能 なる。即ち、包丁などで切れる状態での保 期間が延びることになり、新たな機能的で 品質な冷凍温度帯を訴求できるというメリ トがある。

 なお、冷却室としての過冷却スペースが 替室200にある場合を説明してきたが、過冷 スペースは図3における冷蔵庫の冷蔵室100、 冷凍室300、野菜室400、製氷室500のどの部分に 設けてもよい。また、それらの室内の全部ま たは一部を過冷却スペースに当てても良い。 さらに、過冷却スペースは冷凍温度帯の独立 した密閉スペースに形成してもよい。ただし 、いずれの場合にも、過冷却スペース内また はそこに置かれた食品に直接強い冷気が当た らないような構造とするか、過冷却スペース 内に入り込む冷気量を調節できるようにする のが好ましい。

 本発明の冷蔵庫は、一般的な冷蔵庫の仕 を一部変更することで、過冷却冷凍を実施 きる冷蔵庫を得ることができる。また、家 用冷蔵庫の構造を中心に説明してきたが、 型の極低温業務用冷凍倉庫でも本発明の考 、例えば食品を収納した後で、凍結点まで 定の冷却速度で温度を下げ、対象食品に対 高い冷凍温度で全体に分布の良い気流を利 して温度を少しずつ下げながら過冷却を維 する冷却を行い、所定時間後に更に低い温 を直接食品に吹き付けて急速冷凍し過冷却 解除し、その後は過冷却状態を得る温度よ 低い温度、たとえば-18℃程度の冷凍温度で 存するという制御を利用した構成が可能で る。これにより、大幅な省エネルギーを達 することが出来る。

 さらに、有効なのは、冷蔵庫としての低 運搬車の中で食品を運搬しながら過冷却状 に突入させ、過冷却状態を維持し、より低 の冷気を直接食品に供給して過冷却を解除 、冷凍保存することが出来ることである。 ち、肉や魚などの場合、各細胞および細胞 に隙間なく水分が充填されているため、隙 なく水を充填した容器に相当するため、運 中の振動による過冷却解除が無く、且つ、 温の食品を収納し、低すぎない温度で冷却 、最終的に冷凍温度も業務用冷凍庫のよう -60℃などという極端に低い温度にしないで せいぜい-20℃程度の冷凍温度で良いため、 搬車としてエネルギーを使わずに、しかも 運搬時間を利用して過冷却冷凍を行うなど 搬前後の省エネルギーにも役に立ち、冷凍 質の良い食品を届け先に渡すことが出来る

 また本発明の冷蔵庫において過冷却冷凍 実施した食品は、過冷却状態をつくるとき 冷却速度がゆっくりであるので、食品内部 で均一に温度が下がってから同時に氷結晶 できはじめ、一部に生じた氷結晶が不均一 成長することがなく、食品内部にできる氷 晶の大きさが小さくなり、食品品質を維持 ることができる。図24には、冷却速度と食 内部の氷結晶の大きさとの関係を示した。 24からは、冷却速度が速くなるほど食品内部 にできる氷結晶の大きさが大きくなる傾向に あることがわかる。

 本発明の冷蔵庫は、冷却器から循環する 気により収納する食品を0℃から冷凍温度帯 の温度まで連続してまたは段階的に温度調整 可能な冷凍室と、冷凍室の冷気吹出し口から 吹出され冷却器に吸い込まれる冷気を取り入 れ食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷 却状態に維持する冷凍室内に配置された冷却 室と、冷却室に貯蔵された食品が過冷却状態 を得るように冷凍室の温度を-2℃以下で-15℃ 上に設定する温度設定手段と、冷却室に収 した食品周囲の風速を抑え冷却室に貯蔵さ た食品を過冷却状態に維持するように冷凍 内に吹出し冷却室に取り入れる冷気を調整 る冷気調整手段と、を備えたので、省エネ ギーで高品質冷凍を実現できる。

 本発明の冷蔵庫は、冷却器からの冷気に り収納する食品を冷凍させる冷凍室と、冷 室の冷気吹出し口から吹出され冷却器に吸 込まれる冷気を取り入れ凍結点以下の温度 も凍らない過冷却状態に貯蔵された食品を 持する冷凍室内に配置された冷却室と、冷 室は冷凍室に配置した上側ケースにより覆 れる下側ケースにて構成するとともに、上 ケースと下側ケースとの間に設けた冷気を り入れる隙間と、を備え、隙間は冷凍室内 流れる冷気の流れ方向とは異なる方向を向 た開口で、隙間が10mm~30mm程度の寸法である で、簡単な構造で省エネルギーな高品質冷 を実現できる。

 本発明の冷蔵庫は、冷却器からの冷気に り収納する食品を凍結点以下で-15℃以上の 定温度で凍らない過冷却状態に維持する過 却室と、過冷却室内に吹出され過冷却室内 循環する冷気の温度を変化させる冷気調整 段と、冷気調整手段にて過冷却室に収納さ 過冷却状態にある食品に設定温度より2度~5 程度低い温度の冷気を供給して食品の過冷 状態を解除する過冷却解除手段と、を備え ので、品質の良い冷凍食品を簡単に得られ 。

 本発明の冷凍室もしくは冷却室の温度を 定する温度設定手段は、冷却室に収納され 常温の食品が冷却される際に、食品の表面 度が3℃から0℃に低下する範囲の冷却速度 、-3.5℃/hr~-10℃/hrの範囲とするので、確実に 過冷却状態に突入できる。

 本発明の冷凍室又は冷却室へ冷気を吹出 冷気吹出し口、冷却室へ冷気を取り入れる り入れ口および冷気吹出し口と取り入れ口 間の風路の少なくともいずれかに冷気を調 する冷気調整手段を設け、冷気調整手段に 冷気を調整して過冷却状態となる食品周囲 風速を0.1m/s~0.5m/s程度に抑えるので、過冷却 状態を維持できる。

 本発明の冷気調整手段は、冷気吹出し口 前記取り入れ口の間の風路に複数回の曲が を構成又は前記冷却室の奥行き相当の風路 さを設ける、あるいはこの冷気調整手段は ダンパーにて前記冷凍室又は前記冷却室へ 出す冷気の前記冷気吹出し口での風速を1.0m /s~1.2m/s程度に抑えるものであり、これにより 過冷却状態を維持できる。

 本発明の冷凍室又は冷却室の温度を設定 る温度設定手段は、食品の凍結点以下で-17 以上の冷凍温度帯に設定した冷凍室又は冷 室の温度を、食品の温度が凍結点としてあ かじめ設定された温度以下になった場合又 食品が冷却室に貯蔵されてから所定時間経 した場合に、食品の過冷却状態を深化させ ように冷凍室の設定温度を1℃~2℃程度下げ ので、食品の冷凍品質を上げることが出来 。

 本発明の冷気調整手段は、貯蔵した食品 過冷却状態とされるとき、食品周囲の空気 度の冷却状態変化による変動幅が10℃以内 なるように調整する、もしくは冷却室内部 空気温度ムラが2℃以内となるように調整す ので、過冷却状態を維持できる。

 本発明の食品が収納されて一定時間経過 又は食品の温度急変を検知し、冷凍室内又 冷却室内の食品に温度、振動、超音波など 物理的衝撃を与えて過冷却を解除しあらか め設定された冷凍温度にて保存する、又は 速冷凍するので、食品の冷凍品質を上げる とが出来る。この過冷却解除は、冷却室へ 接冷気を導入することで行うので簡単に行 ことが出来る。

 本発明の冷凍保存方法は、冷却器からの 気により収納する食品を凍結点以下で-15℃ 上の設定温度で凍らない過冷却状態に維持 る冷却室と、冷却室内に吹出され過冷却室 を循環する冷気の温度を変化させる冷気調 手段と、を備えた冷蔵庫において、食品を- 15℃以上に設定された冷却室に収納するステ プと、冷気調整手段にて冷却室内の温度が- 10℃以上もしくは冷却室内の風速が0.5m/s以下 なるように一定時間調整するステップと、 却室に収納され過冷却状態にある食品に設 温度より2℃~5℃程度低い温度の冷気を直接 給して食品の過冷却状態を解除するステッ と、を備えたので、冷凍車両のような車両 冷蔵庫の場合、運搬中に時間を掛けて到着 での途中もしくは必要なときに少ないエネ ギーで品質のよい冷凍保存食品を送り先へ 供できるなどの多様なビジネスシステムが 能となる。

 また、上記実施の形態に係る冷蔵庫は、 冷却状態をつくるときは間接冷却であるの 、冷気の直接吹きつけによる食品の乾燥が 減され、冷凍やけも抑制できる。そして、 冷却状態をつくるときに重要な条件である 却スピードを、従来の急速冷凍に比べてゆ くりとしているため、温度変動が少なく、 品全体を均一に冷やすことができる。

 また、上記実施の形態に係る冷蔵庫は、 度変化を抑制できるような熱容量の大きい 質を含む、あるいは吹出し気流の直接流入 抑制する構造を含む過冷却ケースを搭載し いるので、扉開閉による温度変化の影響を けることなく、過冷却ケース内の温度を安 して保つことができる。

 また、上記実施の形態に係る冷蔵庫は、 冷却解除時のみに低温側に温度変化を与え ので、切替ケースなどの既存のスペースに える影響が最小限に押さえられ、他の温度 に設定されたスペースあるいはケースを併 することも可能である。

 また、上記実施の形態に係る冷蔵庫は、 冷却解除が-2℃以下(たとえば-5℃以下)の温 で可能であるので、従来実施例の過冷却解 方法である急速冷凍と比べるとエネルギー 費量が少なくて済むため、省エネ性に優れ いる。

 その他、上記実施の形態に係る冷蔵庫は 過冷却解除後の保存温度を実使用状況によ てソフト冷凍や長期保存用冷凍など、選択 能であるため、使い勝手がよいといったメ ットもある。

 本発明の冷蔵庫は、冷却室の温度を設定 冷却室に導入される冷気により食品を過冷 状態とする第1の温度設定手段と、前記第1 温度設定手段にて設定した冷却室の温度よ 低い温度にて食品の過冷却状態を解除する 2の温度設定手段と、過冷却状態を解除した で食品を冷凍保存する第3の温度設定手段と 、を備え、第1の温度設定手段、第2の温度設 手段、第3の温度設定手段の設定する温度を 、時間間隔を置いてもしくは食品の温度を計 測して順次変化させるので、簡単な構造でエ ネルギーの少ない冷凍保存が可能である。

 本発明の冷蔵庫は、冷却室の温度を設定 冷却室に導入される冷気により食品を過冷 状態とする第1の温度設定手段と、第1の温 設定手段にて設定した冷却室の温度より低 温度の冷気にて食品の過冷却状態を解除す 過冷却状態解除手段と、過冷却状態解除手 にて解除した食品を冷凍保存する第3の温度 定手段と、を備え、第3の温度設定手段にて 設定される冷却室の温度は、第1の温度設定 段にて設定される冷却室の温度とは無関係 設定可能であるので、フレキシブルな冷凍 存が可能である。

 本発明の冷蔵庫は、冷却室の温度を設定 冷却室の冷却された壁面により食品を過冷 状態とする第1の温度設定手段と、冷却室に 導入される食品を過冷却状態とする冷気の温 度もしくは食品の周囲の風速より、低い温度 もしくは早い風速の冷気を導入して食品の過 冷却状態を解除する過冷却状態解除手段と、 過冷却状態解除手段にて解除した冷却室に導 入した冷気にて前記食品を冷凍保存する第3 温度設定手段と、を備えたので、簡単な構 でエネルギーの少ない冷凍保存が可能であ 。

 本発明の第3の温度設定手段にて設定され る冷却室の温度を変更可能に設定する温度設 定手段と、を備えたので、食品の種類により 、保存温度を変更するなど使い勝手の良い冷 蔵庫が得られる。

 以上説明したように、本発明では、食品 貯蔵する冷蔵庫本体に配置され冷却器から 冷気により魚、肉類、野菜、果実などの食 を収納する0℃以下の設定温度に設定されて 過冷却状態で冷却される過冷却室を備え、過 冷却室を食品の芯温が略凍結温度(凍結点、 結点)になるまでは0℃よりも低く設定温度よ りも高い第1温度にてゆっくりと冷却し、食 の芯温が略凍結温度に達したと判断された 合には第1温度よりも低い第2温度で凍結温度 以下でも凍らない過冷却状態が維持できるよ うにゆっくりと過冷却最低到達温度まで冷却 する制御装置を備えている。

 また、本発明の制御装置は、過冷却室内 収納される食品の芯温が略凍結温度より低 した後に略凍結温度まで上昇して過冷却状 が解除された場合には、第2温度あるいは第 2温度よりも低い温度で冷却風量あるいは冷 風速を大きくして急速に冷却する完全凍結 れる設定温度で保存されるものである。

 このように本発明では、食品を凍結点ま 、凍結点から過冷却最低達成点温度、過冷 解除、完全凍結までの各段階で連続的また 段階的に設定制御を変えるようにしている 例えば、過冷却ケースへの冷気温度、冷気 量、冷気風速をコントロールし、確実に過 却状態にし、その過冷却最低到達温度を下 、過冷却を解除し、解除後の凍結スピード 上げて質のよい冷凍を実現する。

 したがって、この発明の冷蔵庫は、高品 冷凍機能として、従来の急速冷凍ではなく 過冷却冷凍機能を採用したので、従来より 少ないエネルギーでの高品質冷凍、即ち、 コ冷凍を実現することができるという効果 有する。

 また、この発明の冷蔵庫は、過冷却をお すためのスペース内に冷気が直接吹きつけ ことを軽減し、温度を均一化でき、冷却温 を複数で段階的に変化できる温度制御され 新たな過冷却室構造または過冷却室ケース 造を採用することで、従来と大きく変わら い冷蔵庫の構造、制御で、食品の過冷却冷 を実現できるという効果を有する。

 なお、本発明に置ける冷蔵庫、冷凍保存 法は家庭用冷蔵庫におけるエネルギーの少 い高品質冷凍が実現できるだけでなく、簡 な構造と制御にて細胞を破壊せずに長期冷 保管できることから業務用冷凍倉庫などで 大規模長期食肉保管、遠洋漁業の漁獲品の 舶内冷凍保管等にとどまらず、医療業務に ける内臓運搬や、細胞他を扱う医療研究装 など、幅広い分野で有用される見込である