Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
VOID-CONTAINING RESIN MOLDED PRODUCT, PROCESS FOR PRODUCING THE VOID-CONTAINING RESIN MOLDED PRODUCT, AND IMAGE RECEIVING FILM OR SHEET FOR SUBLIMATION TRANSFER RECORDING MATERIAL OR THERMAL TRANSFER RECORDING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129715
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a void-containing resin molded product having a high level of heat insulating properties, and a process for producing the void-containing resin molded product, and a image receiving film or sheet for a sublimation transfer recording material or a thermal transfer recording material, comprising a void-containing resin molded product and having excellent printing properties. The void-containing resin molded product is composed of a crystalline polymer only and has voids in its interior. The void-containing resin molded product is characterized by satisfying a requirement of X/Y ratio = not more than 0.27 wherein X represents the coefficient of thermal conductivity of the void-containing resin molded product, W/mK; and Y represents the coefficient of thermal conductivity of a polymer molded product which has the same thickness as the void-containing resin molded product, is formed of the same crystalline polymer as the crystalline polymer constituting the void-containing resin molded product but free from any void, W/mK.

Inventors:
ARIOKA DAISUKE (JP)
GOTO YASUTOMO (JP)
OGURA TOORU (JP)
SASAKI HIROKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/072685
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
November 22, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
ARIOKA DAISUKE (JP)
GOTO YASUTOMO (JP)
OGURA TOORU (JP)
SASAKI HIROKI (JP)
International Classes:
B41M5/382; C08J9/00; B41M5/50; B41M5/52
Foreign References:
JP2004010837A2004-01-15
JPS50146675A1975-11-25
JP2001329090A2001-11-27
JP2007056148A2007-03-08
JPS467284A1971-12-20
JP2005205905A2005-08-04
JPH0247031A1990-02-16
JPH0655863A1994-03-01
JPH04278392A1992-10-02
Attorney, Agent or Firm:
HIROTA, Koichi et al. (NAGARE & ASSOCIATES 4th Floor, Shinjuku TR Bldg., 2-2-13, Yoyogi, Shibuya-k, Tokyo 53, JP)
Download PDF:
Claims:
 結晶性ポリマーのみからなり、内部に空洞を含有する空洞含有樹脂成形体であって、
 前記空洞含有樹脂成形体の熱伝導率をX(W/mK)として、前記空洞含有樹脂成形体と同じ厚さで、前記空洞含有樹脂成形体を構成する結晶性ポリマーと同一の結晶性ポリマーからなり、空洞を含有しないポリマー成形体の熱伝導率をY(W/mK)とした際のX/Y比が、0.27以下であることを特徴とする空洞含有樹脂成形体。
 結晶性ポリマーのみからなり、内部に空洞を含有し、熱伝導率が、0.1(W/mK)以下であることを特徴とする空洞含有樹脂成形体。
 空洞含有率が、3体積%以上、50体積%以下であり、
 空洞の配向方向に直行する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)として、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比が、10以上である請求の範囲第1項から第2項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体。
 少なくとも1種類の結晶性ポリマーが、複数種類の結晶状態からなる請求の範囲第1項から第3項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体。
 1種類の結晶性ポリマーのみからなる請求の範囲第1項から第4項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体。
 結晶性ポリマーがポリエステル類である請求の範囲第1項から第5項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体。
 結晶性ポリマーのみからなるポリマー成形体を、10~36,000mm/minの速度で、かつ、
 延伸温度をT(℃)、結晶性ポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
 (Tg-30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
 で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することにより形成された空洞を含む請求の範囲第1項から第6項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体。
 請求の範囲第1項から第7項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体の製造方法であって、
 結晶性ポリマーのみからなるポリマー成形体を、10~36,000mm/minの速度で、かつ、
 延伸温度をT(℃)、結晶性ポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
 (Tg-30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
 で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸する工程を含む空洞含有樹脂成形体の製造方法。
 請求の範囲第1項から第7項のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体を含有する昇華転写記録材料用又は熱転写記録材料用の受像フィルム又はシート。
Description:
空洞含有樹脂成形体及びその製 方法、並びに、昇華転写記録材料用又は熱 写記録材料用の受像フィルム又はシート

 本発明は、結晶性ポリマーのみからなる 洞含有樹脂成形体及びその製造方法、並び 、昇華転写記録材料用又は熱転写記録材料 の受像フィルム又はシートに関する。

 空洞含有樹脂フィルム又はシートは、そ 断熱性、クッション性、光透過性(又は遮光 性)などの特性から、熱転写方式プリンター 画像記録用紙の部材として使用されたり、 子機器の照明用部材などに使用されたりし いる。

 近年、パーソナルコンピュータ(PC)やネット ワーク環境の整備が進み、また、デジタルカ メラなどの電子画像記憶装置が普及するにつ れて、これらのシステムや商品で取り込んだ 画像をシートなどにハードコピーする技術が 求められている。
 前記ハードコピーする技術として、各種画 を出力する際に音が静かであり、操作や保 が容易であり、小型化や高速化が可能な、 熱転写記録方式(及びそれを用いたプリンタ ー)が広く普及しつつある。

 感熱転写記録方式とは、着色成分を含む ンク層を塗布などにより形成したインクリ ンを、ハードコピーされる(最終的に画像が 形成される)受像シートに重ね合わせて、そ 上からサーマルヘッドにより熱を与えるこ によって、インクリボン上のインク成分を 融や昇華させて、受像シート側へ転写し、 像を形成する印字(画像形成)方式である。

 感熱転写記録方式が適用された当初は、そ 受像シート素材として、薄手のポリプロピ ン系合成紙と天然紙を張り合わせたものや 厚手のポリプロピレン系合成紙を基材とし 、これらの表面に記録層を設けたものが用 られていた。
 しかし、前記ポリプロピレン系合成紙は、 然紙では得られない表面平滑性や適度なク ション性を備えている一方で、腰が弱く、 れシワが入り易いという問題があった。

 その後、受像シート素材は改良され、白 性(印字後の鮮やかさの向上)、静電防止性( り付き防止)、折れ難さの向上などの特性を 改善する努力が続けられている。また、印字 がかすれたり、欠けたりしないこと、印字の 「くっきり感」、「色の濃さ」などの印字の 品質も重視して改善されている。

 特に、最近では、印字(印画)装置の小型 、省エネルギー化、高速化の観点で、ヘッ を小型に精緻化する方向にあることから、 の結果として、ヘッドから受像シートに与 る熱エネルギーが小さくなっている。した って、少しの熱エネルギーで容易にインク ボン上のインク成分を溶融・昇華させて、 像シート側へ転写でき、かすれや欠け、ム のない安定した画像を形成可能な受像シー が求められている。

 そこで、受像シート素材としてポリエス ル系樹脂を用いて、受像シート内部に微細 空洞を多量に含有させる技術が開発されて る(例えば、特許文献1~3参照)。受像シート 微細な空洞が含有されると、空気層により 像シートの断熱効果が高まり、印字ヘッド 熱エネルギーを有効に印字することができ ためである。

 特許文献1に記載の技術は、ポリエステル 系樹脂フィルムの中に無機系微粒子などを含 有させておき、樹脂の延伸製膜時に無機微粒 子などと樹脂界面とが剥離することにより、 受像シート内に空洞を形成させる技術である 。特許文献1に記載の技術によれば、無機系 粒子などの添加により、フィルムが白色に って画像が鮮明になるとともに、空洞の形 により断熱性を得ることができる。

 しかし、前記特許文献1に記載の技術は、微 分散化のために高度な技術、装置を必要とし 、また、凝集を抑制するために添加剤を加え たり、微粒子の前処理を行ったりする必要が 生じるので、製造工程が複雑になり、コスト が掛かるという問題があった。
 また、粒子を微粒子にすればするほど、製 中のボイドが小さくできるため断熱効果が くなって好ましいが、微粒子の凝集が発生 ると、印字ムラの原因になるだけでなく、 像シートの表面に小さな凸部が形成され、 字ヘッドを損傷したり、ひいては装置トラ ルの原因となったりするおそれがあった。
 また、凹部が形成されると印字の欠けやか れが発生する問題があり、これらは容易に 決し難かった。また受像シート表面の近傍 で発泡層が発現すると、発泡により表面の 滑性が損なわれる問題もあった。

 特許文献2に記載の技術は、主たる成分で ある樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂)に、 の樹脂と相溶しない(非相溶の)別の樹脂を 加して混練する事により2相構造(例えば海島 構造)を形成し、樹脂の延伸製膜時に主たる 分である樹脂と、そこに添加・混練された の樹脂との界面が剥離することにより、空 を形成させる技術である。このとき、非相 相のサイズを揃えることによって、ボイド 制御が容易になり、受像シートの性能を向 させることができる。

 前記特許文献2に記載の技術により受像シー トを製造する場合には、一般的に、海島構造 を形成して製膜延伸時にその界面を剥離させ てボイドを発生させる機構が用いられる。し かし、このような機構により製造する場合に は、思うように島部分が充分小さくできない などの理由により、所望する2相構造が得ら にくいために、結果として、ボイドが充分 小さくできない(制御が難しい)などの問題が あった。
 また、受像シート表面の近傍まで発泡層が 現すると、発泡により表面の平滑性が損な れる問題があった。また、ボイドサイズが きいと印字性が低下したり、高級感が損な れたりする問題があった。

 また、特許文献1及び2に記載の技術はい れも、主たる成分中に異種の成分を混入さ 、それを核としてボイドを発現させる方法 ため、ボイドの中に異種の成分が残り、そ が断熱性向上を阻害してしまうことがあっ 。また、樹脂と無機物の系、あるいは種類 異なる樹脂の系になるため、リサイクルが 難になる問題も顕在化しつつある。

 前記特許文献3に記載の技術は、樹脂フィ ルムを加圧下で不活性ガスと接触させて、樹 脂フィルムに不活性ガスを含浸させ、大気圧 下で延伸して、多孔性延伸樹脂フィルムを得 る技術である。この技術は、空洞の発生源と して気体を用いるので、断熱性やリサイクル 性などの問題を回避し易いという利点がある 。

 しかし、不活性ガスを加圧下でフィルム 含浸させるためには、フィルム全体を数十 圧、あるいは100気圧を超える高圧下で処理 るための大掛かりな装置が必要になり、一 的な溶融製膜・延伸装置と比較して、装置 ストが大幅に増大する問題があった。また 不活性ガスを大量に扱うので、作業者の安 性を確保するための設備や対策が必要にな 、これにもかなりのコストを要するという 題があった。また、均一に発泡させるには 製造工程において条件を均一化させなけれ ならないなど、高度な制御が必要であった

特許第3067557号

特開2005-281396号公報

特開2006-8942号公報

 本発明は、前記従来における諸問題を解 し、以下の目的を達成することを課題とす 。即ち、本発明は、高い断熱性を備えた空 含有樹脂成形体及びその製造方法を提供す ことを目的とする。さらに、本発明は、前 空洞含有樹脂成形体を含有し、印字特性に れた昇華転写記録材料用又は熱転写記録材 用の受像フィルム又はシートを提供するこ を目的とする。

 前記課題を解決するため、本発明者らは 意検討した結果、以下のような知見を得た 即ち、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PH T(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、又は PBS(ポリブチレンサクシネート)のみからなる リマーフィルムを高速延伸すると、空洞含 フィルムになり、前記高速延伸されたフィ ム(空洞含有フィルム)は、PBT層(屈折率約1.5) と空気(空洞)層(屈折率1)からなる空洞含有(多 重層(数十層))構造、PHT層(屈折率約1.5)と空気( 空洞)層(屈折率1)からなる空洞含有(多重層(数 十層))構造、又は、PBS層(屈折率約1.5)と空気( 洞)層(屈折率1)からなる空洞含有(多重層(数 層))構造をとっていたという知見である。

 本発明は、本発明者らによる前記知見に基 くものであり、前記課題を解決するための 段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 結晶性ポリマーのみからなり、内部 空洞を含有する空洞含有樹脂成形体であっ 、
 前記空洞含有樹脂成形体の熱伝導率をX(W/mK) として、前記空洞含有樹脂成形体と同じ厚さ で、前記空洞含有樹脂成形体を構成する結晶 性ポリマーと同一の結晶性ポリマーからなり 、空洞を含有しないポリマー成形体の熱伝導 率をY(W/mK)とした際のX/Y比が、0.27以下である とを特徴とする空洞含有樹脂成形体である
<2> 結晶性ポリマーのみからなり、内部 空洞を含有し、
 熱伝導率が、0.1(W/mK)以下であることを特徴 する空洞含有樹脂成形体である。
<3> 空洞含有率が、3体積%以上、50体積% 下であり、
 空洞の配向方向に直行する厚み方向におけ 前記空洞の平均長さをr(μm)として、前記空 の配向方向における前記空洞の平均長さをL (μm)とした際のL/r比が、10以上である<1> ら<2>のいずれかに記載の空洞含有樹脂 形体である。
<4> 少なくとも1種類の結晶性ポリマーが 、複数種類の結晶状態からなる<1>から< ;3>のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形体 である。
<5> 1種類の結晶性ポリマーのみからなる <1>から<4>のいずれかに記載の空洞含 有樹脂成形体である。
<6> 結晶性ポリマーがポリエステル類で る<1>から<5>のいずれかに記載の空 含有樹脂成形体である。
<7> 結晶性ポリマーのみからなるポリマ 成形体を、10~36,000mm/minの速度で、かつ、
 延伸温度をT(℃)、結晶性ポリマーのガラス 移温度をTg(℃)としたときに、
 (Tg-30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
 で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸する とにより形成された空洞を含む<1>から& lt;6>のいずれかに記載の空洞含有樹脂成形 である。
<8> <1>から<7>のいずれかに記載 空洞含有樹脂成形体の製造方法であって、
 結晶性ポリマーのみからなるポリマー成形 を、10~36,000mm/minの速度で、かつ、
 延伸温度をT(℃)、結晶性ポリマーのガラス 移温度をTg(℃)としたときに、
 (Tg-30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
 で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸する 程を含む空洞含有樹脂成形体の製造方法で る。
<9> <1>から<7>のいずれかに記載 空洞含有樹脂成形体を含有する昇華転写記 材料用又は熱転写記録材料用の受像フィル 又はシートである。

 本発明によると、従来における諸問題を 決することができ、高い断熱性を備えた空 含有樹脂成形体及びその製造方法を提供す ことができる。さらに、本発明によると、 記空洞含有樹脂成形体を含有し、印字特性 優れた昇華転写記録材料用又は熱転写記録 料用の受像フィルム又はシートを提供する とができる。

図1は、図1は、本発明の空洞形成樹脂 形体の製造方法の一例を示す図であって、 軸延伸フィルム製造装置のフロー図である 図2Aは、アスペクト比を具体的に説明 るための図であって、空洞含有樹脂成形体 斜視図である。 図2Bは、アスペクト比を具体的に説明 るための図であって、図2Aにおける空洞含 樹脂成形体のA-A’断面図である。 図2Cは、アスペクト比を具体的に説明 るための図であって、図2Aにおける空洞含 樹脂成形体のB-B’断面図である。

(空洞含有樹脂成形体)
 本発明の空洞含有樹脂成形体は、結晶性ポ マーのみからなり、必要に応じてその他の 分を含んでなる。
 前記「成形体」としては、特に制限はなく 目的に応じて適宜選択することができ、例 ば、フィルムやシートが挙げられる。

<結晶性ポリマー>
 一般に、ポリマーは、結晶性ポリマーと非 性(アモルファス)ポリマーとに分けられる 、結晶性ポリマーといえども100%結晶という とはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子 規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並 でいない非結晶(アモルファス)領域とを含 でいる。
 したがって、本発明の空洞含有樹脂成形体 おける前記結晶性ポリマーとしては、分子 造の中に少なくとも前記結晶性領域を含ん いればよく、結晶性領域と非結晶領域とが 在していてもよい。

 前記結晶性ポリマーとしては、特に制限 なく、目的に応じて適宜選択することがで 、例えば、高密度ポリエチレン、ポリオレ ィン類(例えば、ポリプロピレンなど)、ポ アミド類(PA)(例えば、ナイロン-6など)、ポリ アセタール類(POM)、ポリエステル類(例えば、 PET、PEN、PTT、PBT、PPT、PHT、PBN、PES、PBSなど) シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポ リフェニレンサルファイド類(PPS)、ポリエー ルエーテルケトン類(PEEK)、液晶ポリマー類( LCP)、フッ素樹脂、などが挙げられる。その でも、力学強度や製造の観点から、ポリエ テル類、シンジオタクチック・ポリスチレ (SPS)、液晶ポリマー類(LCP)が好ましく、ポリ ステル類がより好ましい。また、これらの ちの2種以上のポリマーをブレンドしたり、 共重合させたりして使用してもよい。

 前記結晶性ポリマーの溶融粘度としては、 に制限はなく、目的に応じて適宜選択する とができるが、50~700Pa・sが好ましく、70~500P a・sがより好ましく、80~300Pa・sが更に好まし 。前記溶融粘度が50~700Pa・sであると、溶融 膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の 状が安定し、均一に製膜しやすくなる点で ましい。また、前記溶融粘度が50~700Pa・sで ると、溶融製膜時の粘度が適切になって押 ししやすくなったり、製膜時の溶融膜がレ リングされて凹凸を低減できたりする点で ましい。
 ここで、前記溶融粘度は、プレートタイプ レオメーターやキャピラリーレオメーター より測定することができる。

 前記結晶性ポリマーの極限粘度(IV)としては 、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択す ることができるが、0.4~1.2が好ましく、0.6~1.0 より好ましく、0.7~0.9が更に好ましい。前記 IVが0.4~1.2であると、製膜されたフィルムの強 度が高くなり、効率よく延伸することができ る点で好ましい。
 ここで、前記IVは、ウベローデ型粘度計に り測定することができる。

 前記結晶性ポリマーの融点(Tm)としては、特 に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ とができるが、40~350℃が好ましく、100~300℃ より好ましく、100~260℃が更に好ましい。前 融点が40~350℃であると、通常の使用で予想 れる温度範囲で形を保ちやすくなる点で好 しく、高温での加工に必要とされる特殊な 術を特に用いなくても、均一な製膜ができ 点で好ましい。
 ここで、前記融点は、示差熱分析装置(DSC) より測定することができる。

-ポリエステル樹脂-
 前記ポリエステル類(以下、「ポリエステル 樹脂」と称する。)は、エステル結合を主鎖 主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を 味する。したがって、前記結晶性ポリマー して好適な前記ポリエステル樹脂としては 前記例示したPET(ポリエチレンテレフタエレ ト)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポ リトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブ レンテレフタレート)、PPT(ポリペンタメチ ンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレン テレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレ ト)、PES(ポリエチレンサクシネート)、PBS(ポ リブチレンサクシネート)だけでなく、ジカ ボン酸成分とジオール成分との重縮合反応 よって得られる高分子化合物が全て含まれ 。

 前記ジカルボン酸成分としては、特に制 はなく、目的に応じて適宜選択することが き、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族 カルボン酸、脂環族ジカルボン酸、オキシ ルボン酸、多官能酸などが挙げられ、中で 、芳香族ジカルボン酸が好ましい。

 前記芳香族ジカルボン酸としては、例え 、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニ ジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカル ン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノ シエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスル イソフタル酸などが挙げられ、テレフタル 、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸 ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレ タル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタ ンジカルボン酸がより好ましい。

 前記脂肪族ジカルボン酸としては、例え 、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピ 酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジ ン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる 前記脂環族ジカルボン酸としては、例えば シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げら る。前記オキシカルボン酸としては、例え 、p-オキシ安息香酸などが挙げられる。前 多官能酸としては、例えば、トリメリット 、ピロメリット酸などが挙げられる。前記 肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸 中では、コハク酸、アジピン酸、シクロヘ サンジカルボン酸が好ましく、コハク酸、 ジピン酸がより好ましい。

 前記ジオール成分としては、特に制限は く、目的に応じて適宜選択することができ 例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール 芳香族ジオール、ジエチレングリコール、 リアルキレングリコールなどが挙げられ、 でも、脂肪族ジオールが好ましい。

 前記脂肪族ジオールとしては、例えば、 チレングリコール、プロパンジオール、ブ ンジオール、ペンタンジオール、ヘキサン オール、ネオペンチルグリコール、トリエ レングリコールなどが挙げられ、中でも、 ロパンジオール、ブタンジオール、ペンタ ジオール、ヘキサンジオールが特に好まし 。前記脂環族ジオールとしては、例えば、 クロヘキサンジメタノールなどが挙げられ 。前記芳香族ジオールとしては、例えば、 スフェノールA、ビスフェノールSなどが挙 られる。

 前記ポリエステル樹脂の溶融粘度として 、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択 ることができるが、50~700Pa・sが好ましく、7 0~500Pa・sがより好ましく、80~300Pa・sが更に好 しい。前記溶融粘度が大きいほうが延伸時 ボイドを発現しやすいが、前記溶融粘度が5 0~700Pa・sであると、製膜時に押出しがしやす なったり、樹脂の流れが安定して滞留が発 しづらくなり、品質が安定したりする点で ましい。また、前記溶融粘度が50~700Pa・sで ると、延伸時に延伸張力が適切に保たれる めに、均一に延伸しやすくなり、破断しづ くなる点で好ましい。また、前記溶融粘度 50~700Pa・sであると、製膜時にダイヘッドか 吐出される溶融膜の形態が維持しやすくな て、安定的に成形できたり、製品が破損し くくなったりするなど、物性が高まる点で ましい。

 前記ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)とし ては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選 択することができるが、0.4~1.2が好ましく、0. 6~1.0がより好ましく、0.7~0.9が更に好ましい。 前記IVが大きいほうが延伸時にボイドを発現 やすいが、前記IVが0.4~1.2であると、製膜時 押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが 定して滞留が発生しづらくなり、品質が安 したりする点で好ましい。さらに、前記IV 0.4~1.2であると、延伸時に延伸張力が適切に たれるために、均一に延伸しやすくなり、 置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加 て、前記IVが0.4~1.2であると、製品が破損し くくなって、物性が高まる点で好ましい。

 前記ポリエステル樹脂の融点としては、 に制限はなく、目的に応じて適宜選択する とができるが、耐熱性や製膜性などの観点 ら、150~300℃が好ましく、180~270℃がより好 しい。

 なお、前記ポリエステル樹脂として、前 ジカルボン酸成分と前記ジオール成分とが それぞれ1種で重合してポリマーを形成して いてもよく、前記ジカルボン酸成分及び/又 前記ジオール成分が、2種以上で共重合して リマーを形成していてもよい。また、前記 リエステル樹脂として、2種以上のポリマー をブレンドして使用してもよい。

 前記2種以上でのポリマーのブレンドにお いて、主たるポリマーに対して添加されるポ リマーは、前記主たるポリマーに対して、溶 融粘度及び極限粘度が近く、添加量が少量で あるほうが、製膜時や溶融押出し時に物性が 高まり、押出ししやすくなる点で好ましい。

 また、前記ポリエステル樹脂の流動特性 改良、光線透過性の制御、塗布液との密着 の向上などを目的として、前記ポリエステ 樹脂に対してポリエステル系以外の樹脂を 加しても良い。

 このように、本発明の空洞含有樹脂成形 は、従来技術において添加されていた無機 微粒子、相溶しない樹脂などの空洞形成剤 特に添加しなくても、簡便な工程でボイド 形成させることができる。さらに、不活性 スを予め樹脂の中に溶け込ませるための特 な設備も必要としない。なお、空洞含有樹 成形体の製造方法については、後記する。

 ここで、空洞含有樹脂成形体は、空洞の 現に寄与しない成分であれば、必要に応じ その他の成分を含んでいてもよい。前記そ 他の成分としては、耐熱安定剤、酸化防止 、有機の易滑剤、核剤、染料、顔料、分散 、カップリング剤及び蛍光増白剤などが挙 られる。前記その他の成分が空洞の発現に 与したかどうかは、空洞内又は空洞の界面 分に、結晶性ポリマー以外の成分(例えば、 後記する各成分など)が検出されるかどうか 判別できる。

 前記酸化防止剤としては、特に制限はなく 目的に応じて適宜選択することができ、例 ば、公知のヒンダードフェノール類を添加 てもよい。前記ヒンダードフェノール類と ては、例えば、イルガノックス1010、同スミ ライザーBHT、同スミライザーGA-80などの商品 で市販されている酸化防止剤が挙げられる
 また、前記酸化防止剤を一次酸化防止剤と て利用し、更に二次酸化防止剤を組み合わ て適用することもできる。前記二次酸化防 剤としては、例えば、スミライザーTPL-R、 スミライザーTPM、同スミライザーTP-Dなどの 品名で市販されている酸化防止剤が挙げら る。

 前記蛍光増白剤としては、特に制限はな 、目的に応じて適宜選択することができ、 えばユビテック、OB-1、TBO、ケイコール、カ ヤライト、リューコプア、EGMなどの商品名で 市販されているものを用いることができる。 なお、前記蛍光増白剤は、1種単独で使用し もよいし、2種以上を併用してもよい。この うに蛍光増白剤を添加することで、より鮮 で青味のある白色性を与え、高級感を持た ることができる。

<空洞>
 本発明の前記空洞含有樹脂成形体は、空洞 含有し、前記空洞の空洞含有率及びアスペ ト比に特徴を有している。
 前記空洞とは、樹脂成形体内部に存在する 真空状態のドメインもしくは気相のドメイ を意味する。

 前記空洞含有率とは、樹脂成形体の固相部 の総体積と含有される空洞の総体積の和に する、前記含有される空洞の総体積を意味 る。
 前記空洞含有率としては、本発明の効果を なわない限り、特に制限はなく、目的に応 て適宜選択することができ、3体積%以上、50 体積%以下が好ましく、5~40体積%がより好まし く、10~30体積%が更に好ましい。
 ここで、前記空洞含有率は、比重を測定し 前記比重に基づいて算出することができる
 具体的には、前記空洞含有率は、下記の(1) により求めることができる。
 空洞含有率(%)={1-(延伸後の空洞含有樹脂成 体の密度)/(延伸前のポリマー成形体の密度)}    ・・・(1)

 前記アスペクト比とは、空洞の配向方向に 行する厚み方向における前記空洞の平均長 をr(μm)として、前記空洞の配向方向におけ 前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比 意味する。
 前記アスペクト比としては、本発明の効果 損なわない限り、特に制限はなく、目的に じて適宜選択することができ、10以上であ ことが好ましく、15以上がより好ましく、20 上が更に好ましい。

 図2A~2Cは、アスペクト比を具体的に説明 るための図であって、図2Aは、空洞含有樹脂 成形体の斜視図であり、図2Bは、図2Aにおけ 空洞含有樹脂成形体のA-A’断面図であり、 2Cは、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のB-B 断面図である。

 前記空洞含有樹脂成形体の製造工程にお て、前記空洞は、通常、第一の延伸方向に って配向する。したがって、前記「空洞の 向方向に直行する厚み方向における前記空 の平均長さ(r(μm))」は、空洞含有樹脂成形 1の表面1aに垂直で、かつ、第一の延伸方向 直角な断面(図2AにおけるA-A’断面)における 洞100の平均の厚みr(図2B参照)に相当する。 た、「前記空洞の配向方向における前記空 の平均長さ(L(μm))」は、前記空洞含有樹脂成 形体の表面に垂直で、かつ、前記第一の延伸 方向に平行な断面(図2AにおけるB-B’断面)に ける空洞100の平均の長さL(図2C参照)に相当す る。

 なお、前記第一の延伸方向とは、延伸が1軸 のみの場合には、その1軸の延伸方向を示す 通常は、製造時に成形体の流れる方向に沿 て縦延伸を行うため、この縦延伸の方向が 記第一の延伸方向に相当する。
 また、延伸が2軸以上の場合には、空洞形成 を目的とした延伸方向のうち少なくとも1方 を示す。通常は、2軸以上の延伸においても 製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延 が行われ、かつ、この縦延伸により空洞を 成することが可能であるため、この縦延伸 方向が前記第一の延伸方向に相当する。

 ここで、空洞の配向方向に直行する厚み 向における前記空洞の平均長さ(r(μm))は、 学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定す ことができる。同様に、前記空洞の配向方 における前記空洞の平均長さ(L(μm))は、光学 顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定するこ とができる。

 このように、前記空洞含有樹脂成形体は 前記空洞を含有していることにより、例え 、熱伝導率などにおいて、様々な優れた特 を有している。言い換えると、前記空洞含 樹脂成形体に含有される空洞の態様を変化 せることで、熱伝導率などの特性を調節す ことができる。

-熱伝導率-
 前記空洞含有樹脂成形体の熱伝導率として 、0.1(W/mK)以下であることが好ましく、0.09(W/ mK)以下であることがより好ましく、0.08(W/mK) 下であることが更に好ましい。

 また、前記空洞含有樹脂成形体の好適な熱 導率は、相対的な値として規定することも きる。即ち、前記空洞含有樹脂成形体の熱 導率をX(W/mK)として、前記空洞含有樹脂成形 体と同じ厚さで、前記空洞含有樹脂成形体を 構成する結晶性ポリマーと同一の結晶性ポリ マーからなり、空洞を含有しないポリマー成 形体の熱伝導率をY(W/mK)とした際のX/Y比が、0. 27以下であることが好ましく、0.2以下である とがより好ましく、0.15以下であることが更 に好ましい。
 ここで、前記熱伝導率は、熱拡散率、比熱 密度の測定値の積によって算出することが きる。前記熱拡散率は一般的にはレーザー ラッシュ法(例えば、TC-7000((株)真空理工製)) により測定できる。前記比熱はDSCによりJIS K 7123に記載の方法に従って測定できる。前記 度は一定面積の質量とその厚みを測定する とにより、算出することができる。

 さらに、前記空洞含有樹脂成形体は、前記 洞を含有しつつも、従来技術において添加 れていた、空洞を発現するための無機系微 子、相溶しない樹脂、不活性ガスなどが添 されていないため、優れた表面平滑性を有 ている。
 前記空洞含有樹脂成形体の表面平滑性とし は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選 することができるが、Ra=0.3μm以下が好まし 、Ra=0.25μm以下が更に好ましく、Ra=0.1μm以下 が特に好ましい。

(空洞含有樹脂成形体の製造方法)
 前記空洞含有樹脂成形体の製造方法として 、少なくともポリマー成形体を延伸する延 工程を含み、更に必要に応じて製膜工程な のその他の工程を含んでなる。
 なお、前記ポリマー成形体とは、前記結晶 ポリマーのみからなり、特に空洞を含有し いないものを示し、例えば、ポリマーフィ ム、ポリマーシートなどが挙げられる。

-延伸工程-
 前記延伸工程では、前記ポリマー成形体が なくとも1軸に延伸される。そして、前記延 伸工程により、ポリマー成形体が延伸される とともに、その内部に第一の延伸方向に沿っ て配向した空洞が形成されることで、空洞含 有樹脂成形体が得られる。

 延伸により空洞が形成される理由としては 前記ポリマー成形体を構成する少なくとも1 種類の結晶性ポリマーが、複数種類の結晶状 態からなり、延伸時に伸張し難い結晶を含む 相で、硬い結晶間の樹脂が引きちぎられるよ うな形で剥離延伸されることにより、これが 空洞形成源となって空洞が形成されるものと 考えられる。
 なお、このような延伸による空洞形成は、 晶性ポリマーが1種類の場合だけではなく、 2種類以上の結晶性ポリマーが、ブレンド又 共重合されている場合であっても可能であ 。

 前記延伸の方法としては、本発明の効果 損なわない限り、特に制限はなく、例えば 1軸延伸、逐次2軸延伸、同時2軸延伸が挙げ れるが、いずれの延伸方法においても、製 時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸が われることが好ましい。

 一般に、縦延伸においては、ロールの組合 やロール間の速度差により、縦延伸の段数 延伸速度を調節することができる。
 前記縦延伸の段数としては、1段以上であれ ば特に制限はないが、より安定して高速に延 伸することができる点及び製造の歩留まりや 機械の制約の点から、2段以上に縦延伸する とが好ましい。また、2段以上に縦延伸する とは、1段目の延伸によりネッキングの発生 を確認したうえで、2段目の延伸により空洞 形成させることができる点においても、有 である。

--延伸速度--
 前記縦延伸の延伸速度としては、本発明の 果を損なわない限り、特に制限はなく、目 に応じて適宜選択することができるが、10~3 6,000mm/minが好ましく、800~24,000mm/minがより好ま しく、1,200~12,000mm/minが更に好ましい。前記延 伸速度が、10mm/min以上であると、充分なネッ ングを発現させやすい点で好ましい。また 前記延伸速度が、36,000mm/min以下であると、 一な延伸がしやすくなり、樹脂が破断しづ くなり、高速延伸を目的とした大型な延伸 置を必要とせずにコストを低減できる点で ましい。したがって、前記延伸速度が、10~3 6,000mm/minであると、充分なネッキングを発現 せやすく、かつ、均一な延伸がしやすくな 、樹脂が破断しづらくなり、高速延伸を目 とした大型な延伸装置を必要とせずにコス を低減できる点で好ましい。

 より具体的には、1段延伸の場合の延伸速 度としては、1,000~36,000mm/minが好ましく、1,100~ 24,000mm/minがより好ましく、1,200~12,000mm/minが更 に好ましい。

 2段延伸の場合には、1段目の延伸を、ネ キングを発現させることを主なる目的とし 予備的な延伸とすることが好ましい。前記 備的な延伸の延伸速度としては、10~300mm/min 好ましく、40~220mm/minがより好ましく、70~150mm /minが更に好ましい。

 そして、2段延伸における、前記予備的な 延伸(1段目の延伸)によりネッキングを発現さ せた後の2段目の延伸速度は、前記予備的な 伸の延伸速度と変えることが好ましい。前 予備的延伸によりネッキングを発現させた の、2段目の延伸速度としては、600~36,000mm/min が好ましく、800~24,000mm/minがより好ましく、1, 200~15,000mm/minが更に好ましい。

--延伸温度--
 延伸時の温度としては、特に制限はなく、 的に応じて適宜選択することができるが、
 延伸温度をT(℃)、ガラス転移温度をTg(℃)と したときに、
 (Tg-30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸するこ とが好ましく、
 (Tg-25)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸するこ とがより好ましく、
 (Tg-20)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸するこ とが更に好ましい。

 一般に、延伸温度(℃)が高いほど延伸張 も低めに抑えられて容易に延伸できるが、 記延伸温度(℃)が、{ガラス転移温度(Tg)-30}℃ 以上、{ガラス転移温度(Tg)+50}℃以下であると 、空洞含有率が高くなり、アスペクト比が10 上になりやすく、充分に空洞が発現する点 好ましい。

 ここで、前記延伸温度T(℃)は、非接触式 度計により測定することができる。また、 記ガラス転移温度Tg(℃)は、示差熱分析装置 (DSC)により測定することができる。

 なお、前記延伸工程において、空洞の発現 妨げにならない範囲で、横延伸はしてもよ 、しなくてもよい。また横延伸をする場合 は、横延伸工程を利用してフィルムを緩和 せたり、熱処理を行ったりしてもよい。
 また、延伸後の空洞含有樹脂成形体は、形 安定化などの目的で、更に熱を加えて熱収 させたり、張力を加えたりする等の処理を ても良い。

 前記ポリマー成形体の製造方法としては、 に制限はなく、目的に応じて適宜選択する とができ、例えば、結晶性ポリマーがポリ ステル樹脂である場合には、溶融製膜方法 より好適に製造することができる。
 また、前記ポリマー成形体の製造は、前記 伸工程と独立に行ってもよく、連続的に行 てもよい。

 図1は、本発明の空洞形成樹脂成形体の製造 方法の一例を示す図であって、二軸延伸フィ ルム製造装置のフロー図である。
 図1に示すように、原料樹脂11は、押出機12( 料形状や、製造規模によって、二軸押出機 用いたり、単軸押出し機を用いたりする)内 部で熱溶融、混練された後、Tダイ13から柔ら かい板状(フィルム又はシート状)に吐出され 。
 次に、吐出されたフィルム又はシートFは、 キャスティングロール14で冷却固化されて、 膜される。製膜されたフィルム又はシートF (「ポリマー成形体」に相当する)は、縦延伸 15に送られる。
 そして、製膜されたフィルム又はシートFは 、縦延伸機15内で再び加熱され、速度の異な ロール15a間で、縦に延伸される。この縦延 により、フィルム又はシートFの内部に延伸 方向に沿って空洞が形成される。そして、空 洞が形成されたフィルム又はシートFは、横 伸機16の左右のクリップ16aで両端を把持され て、巻取機側(図示せず)へ送られながら横に 伸されて、空洞形成樹脂成形体1となる。な お、前記工程において、縦延伸のみを行った フィルム又はシートFを横延伸機16に供さず、 空洞形成樹脂成形体1として使用してもよい

<用途>
 本発明の空洞含有樹脂成形体は、高い表面 滑性を備えつつ、前記空洞を含有している とにより優れた断熱性を有しているため、 華転写記録材料又は熱転写記録材料に対応 きる受像フィルム素材又は受像シート素材 して最適であり、また、各種断熱材として 用することができる。

(昇華転写記録材料用又は熱転写記録材料用 受像フィルム又はシート)
 前記昇華転写記録材料用又は熱転写記録材 用の受像フィルム又はシートは、支持体上 染料受容層(受容層)が形成されていて、受 層と支持体との間には下地層が形成されて ることが好ましい。前記下地層としては、 えば、白地調整層、帯電調節層、接着層、 ライマー層などが挙げられる。また、下地 と支持体との間には断熱層が形成されてい ことが好ましい。本発明の空洞含有樹脂成 体(空洞含有樹脂フィルム又はシート)は、前 記断熱層に用いることが好ましい。支持体と 受容層との間にある各層を単に「中間層」と いい、「中間層」には前記した下地層や断熱 層が含まれる。本発明の昇華転写記録材料用 又は熱転写記録材料用の受像フィルム又はシ ートは、少なくとも1層の受容層及び少なく も1層の中間層を含有する。支持体の裏面側 はカール調整層、筆記層、帯電調整層が形 されていることが好ましい。

 前記支持体、受容層、下地層などの層の 構成、構成成分及び製造方法についての詳 は、特開2007-30275号公報などを参照すること ができる。

 前記各層を形成する方法としては、例え 、グラビアリバースコート、リバース(ロー ル)コート、グラビアコート、ナイフコート ブレードコート、エアーナイフコート、ビ ブレードコート、回転スクリーンコート、 ッドコート、バーコート、ロールコート、 ートロールコート、ブラシコート、スプレ コート、カーテンコート、ビードコート、 ロットオリフィスコート、ダイスロットコ ト、ダイコート、エクストルージョンコー などの方法が挙げられる。

 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳 に説明するが、下記実施例は本発明を制限 るものではなく、前・後記の趣旨を逸脱し い範囲で変更実施することは全ての本発明 技術的範囲に包含される。

 本実施例は、本発明の要件を満たす(空洞 含有)樹脂フィルム(実施例1~12)と、要件を満 さない樹脂フィルム(比較例1~4)を調製し、そ の特性についての評価を行った実施例である 。

<実施例1>
 IV=0.72であるPBT1(ポリブチレンテレフタレー 100%樹脂)を溶融押出機を用いて245℃でTダイ ら押出し、キャスティングドラムで固化さ て、厚さ約120μmのポリマーフィルムを得た このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)し 。
 具体的には、40℃の加温雰囲気下で、100mm/mi nの速度で1軸延伸し、ネッキングが発生した とを確認した後、6,000mm/minの速度で、初め 同一方向に更に1軸延伸した。

<実施例2>
 実施例1において、延伸温度を30℃にしたこ 、ポリマーフィルムの厚みを約50μmにした と、2段目の縦延伸速度を、6,000mm/minに代え 、12,000mm/minで延伸したこと以外は、実施例1 同様にして樹脂フィルムを作製した。

<実施例3>
 IV=0.72であるPBT1(ポリブチレンテレフタレー 100%樹脂)を溶融押出機を用いて245℃でTダイ ら押出し、キャスティングドラムで固化さ て、厚さ約100μmのポリマーフィルムを得た このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)し 。
 具体的には、40℃の加温雰囲気下で、2,400mm/ minの速度で1軸延伸した。

<実施例4>
 実施例3において、1段目の縦延伸速度を、2, 400mm/minに代えて、8,000mm/minで延伸したこと以 は、実施例3と同様にして樹脂フィルムを作 製した。

<実施例5>
 実施例3において、1段目の縦延伸速度を、2, 400mm/minに代えて、11,000mm/minで延伸したこと以 外は、実施例3と同様にして樹脂フィルムを 製した。

<実施例6>
 実施例1で使用したPBT1とIV=0.67であるPET(富士 写真フイルム社製)とを、PBT1:PET=90:10で混合し たものを、溶融押出機を用いて285℃でTダイ ら押出し、キャスティングドラムで固化さ て、厚さ約55μmのポリマーフィルムを得た。 このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)した 。
 具体的には、60℃の加温雰囲気下で、100mm/mi nの速度で1軸延伸し、ネッキングが発生した とを確認した後、4,000mm/minの速度で、初め 同一方向に更に1軸延伸した。

<実施例7>
 実施例1で使用したPBT1とIV=0.67であるPET(富士 写真フイルム社製)とを、PBT1:PET=95:5で混合し ものを、溶融押出機を用いて285℃でTダイか ら押出し、キャスティングドラムで固化させ て、厚さ約100μmのポリマーフィルムを得た。 このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)した 。
 具体的には、60℃の加温雰囲気下で、5,600mm/ minの速度で1軸延伸した。

<実施例8>
 実施例1で使用したPBT1とIV=0.67であるPET(富士 写真フイルム社製)とを、PBT1:PET=80:20で混合し たものを、溶融押出機を用いて285℃でTダイ ら押出し、キャスティングドラムで固化さ て、厚さ約100μmのポリマーフィルムを得た このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)し 。
 具体的には、70℃の加温雰囲気下で、100mm/mi nの速度で1軸延伸し、ネッキングが発生した とを確認した後、5,000mm/minの速度で、初め 同一方向に更に1軸延伸した。

<実施例9>
 IV=0.86であるPBT2(ポリブチレンテレフタレー 100%樹脂)を溶融押出機を用いて250℃でTダイ ら押出し、キャスティングドラムで固化さ て、厚さ約80μmのポリマーフィルムを得た このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)し 。
 具体的には、40℃の加温雰囲気下で、4,800mm/ minの速度で1段で1軸延伸した。

<実施例10>
 IV=0.67であるPBS(ポリブチレンサクシネート10 0%樹脂)を溶融押出機を用いて175℃でTダイか 押出し、キャスティングドラムで固化させ 、厚さ約135μmのポリマーフィルムを得た。 のポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)した
 具体的には、15℃の加温雰囲気下で、100mm/mi nの速度で1軸延伸し、ネッキングが発生した とを確認した後、6,000mm/minの速度で、初め 同一方向に更に1軸延伸した。

<実施例11>
 実施例10において、ポリマーフィルムの厚 を約100μmにしたこと、1段目の縦延伸速度を 100mm/minに代えて、4,800mm/minで延伸したこと 2段目の延伸を行わなかったこと以外は、実 例1と同様にして樹脂フィルムを作製した。

<実施例12>
 IV=0.70であるPHT(ポリヘキサメチレンテレフ レート100%樹脂)を溶融押出機を用いてTダイ ら押出し、キャスティングドラムで固化さ て、厚さ約100μmのポリマーフィルムを得た このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)し 。
 具体的には、20℃の加温雰囲気下で、5,200mm/ minの速度で1軸延伸した。

<比較例1>
 実施例1において、延伸温度を、40℃に代え 、5℃で延伸したこと以外は、実施例1と同 にして樹脂フィルムを作製した。
 なお、比較例1は、1段目の縦延伸を始めた 端に破断した。

<比較例2>
 実施例1において、延伸温度を、40℃に代え 、100℃で延伸したこと以外は、実施例1と同 様にして樹脂フィルムを作製した。
 なお、比較例2は、1段目の縦延伸の後に、 ッキングの発生が確認されず、2段目の延伸 も空洞が発現しなかった。

<比較例3>
 実施例1において、1段目の縦延伸速度を、10 0mm/minに代えて、40,000mm/minで延伸した以外は 実施例1と同様にして樹脂フィルムを作製し 。
 なお、比較例3は、1段目の縦延伸を始めた 端に破断した。

<比較例4>
 樹脂フィルムとして、クリスパーボイドPET( K2323)(東洋紡社製)を用いた。

 本実施例で作製・入手した実施例1~12及び 比較例1~4の樹脂フィルムについて、表1及び 2にまとめて示す。

-評価方法-
 前記実施例1~12及び比較例1~4の樹脂フィルム について、下記の評価を行った。

(1)厚さの測定
 キーエンス社製、ロングレンジ接触式変位 AF030(測定部)、AF350(指示部)を用いて測定し 。

(2)熱伝導率の測定
 熱拡散率は TC-7000((株)真空理工製)を用いて 測定した。樹脂フィルム両面をスプレーによ り黒化し室温で測定した。密度、比熱は後述 の方法で測定し、3つの測定値の積から熱伝 率を求めた。

(3)密度の測定
 樹脂フィルムから一定面積を切り取り、そ 質量を天秤で測定し、その厚みを膜厚計で 定し、質量を体積で割ることで密度を求め 。

(4)比熱の測定
 JIS K7123に記載の方法で求めた。DSCとしては 、Q1000(TAインスツルメント社製)を用いた。

(5)表面平滑性の測定
 光干渉式三次元形状解析装置NewView5022(Zygo社 製)を用い、対物レンズ50倍で測定した。

(6)空洞含有率の測定
 比重を測定し、この比重に基づいて算出し 。
 具体的には、空洞含有率を下記の(1)式によ 算出した。
 空洞含有率(%)={1-(延伸後の樹脂フィルムの 度)/(延伸前のポリマーフィルムの密度)}    ・・・(1)

(7)アスペクト比の測定
 樹脂フィルムの表面に垂直で、かつ、縦延 方向に直角な断面(図2B参照)と、前記樹脂フ ィルムの表面に垂直で、かつ、前記縦延伸方 向に平行な断面(図2C参照)を、走査型電子顕 鏡を用いて300~3000倍の適切な倍率で検鏡し、 前記各断面写真において測定枠をそれぞれ設 定した。この測定枠は、その枠内に空洞が50~ 100個含まれるように設定した。また、前記走 査型電子顕微鏡による検鏡により、空洞が縦 延伸方向に沿って配向していることを確認し た。
 次に、測定枠に含まれる空洞の数を計測し 前記縦延伸方向に直角な断面の測定枠(図2B 照)に含まれる空洞の数をm個、前記縦延伸 向に平行な断面の測定枠(図2C参照)に含まれ 空洞の数をn個とした。
 そして、前記縦延伸方向に直角な断面の測 枠(図2B参照)に含まれる空洞の1個ずつの厚 (r i )を測定し、その平均の厚さをrとした。また 前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図2C 照)に含まれる空洞の1個ずつの長さ(L i )を測定し、その平均の長さをLとした。
 即ち、r及びLは、それぞれ下記の(2)式及び(3 )式で表すことができる。
 r=(σr i )/m   ・・・(2)
 L=(σL i )/n   ・・・(3)
 そして、L/rを算出し、アスペクト比とした

(8)印字品質評価
-感熱転写記録用受像シートの作製-
 まず、実施例1~12及び比較例1~4の樹脂フィル ム表面に、以下に記載する処理を施し、感熱 転写記録用受像シートを作製した。

 ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持 表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシ ベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラ ン下塗層を設けた。その片面層の上に、実 例1~12及び比較例1~4の樹脂フィルムをそれぞ れ、熱によりラミネートし、断熱層を設けた 。次に、下記組成の白色中間層、受容層の順 にバーコーターにより塗布を行った。それぞ れ、乾燥時の塗布量が、白色中間層1.0g/m 2 、受容層4.0g/m 2 となるように塗布を行った。乾燥は各層につ き、110℃で30秒間行った。

--白色中間層--
ポリエステル樹脂(バイロン200、商品名、東 紡積(株)製) 10質量部
蛍光増白剤(Uvitex OB、商品名、チバガイギー 製) 1質量部
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部

--受容層--
塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂 100質量部
(ソルバインA、商品名、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22-3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22-300E)
メチルエチルケトン/トルエン(=1/1) 400質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 5質量部
(Tinuvin900、商品名、チバスペシャリティーケ カルズ社製)

-印字方法-
 次に、カラープリンターとして富士写真フ ルム社製 フジックス VP8100を用い、専用リ ボンをセットして、前記感熱転写記録用受像 シートの受容層形成面にテスト印字を行い、 テスターによる官能試験により判定した。な お、感熱転写記録用受像シートには粘着剤の 付いた上質紙(厚さ約130μ)で裏打ちを行って ストに供した。

-評価基準-
 前記官能試験における評価基準は以下の通 である。
 ◎・・・印字濃度が高く、かつ、感度も高 レベル。
 ○・・・印字濃度は高いが、感度は普通レ ル。
 ×・・・印字濃度が低く、感度も低いレベ 。

 本実施例の結果によれば、本発明の空洞含 樹脂成形体は、結晶性ポリマーのみからな 空洞を含有するため、空洞部に熱可塑性樹 や無機粒子といった空洞発現剤(熱伝導率を 大きくする成分)が存在しないため、熱伝導 が小さく、しかも延伸前の熱伝導率に比べ 大きく減少している(X/Y比が小さい)。
 そして、空洞が、空洞含有樹脂成形体の内 にしか生じないという予想しない結果によ 表面平滑性が非常に良好であることもわか た。それらの物性により印字特性が非常に 好であることも示された。

 一方、樹脂が同じでも延伸条件が適さな と、本発明の空洞含有樹脂成形体が製造で ないことが、比較例1~3により示された。な 、本実施例の感熱転写記録用受像シートの 面切削をして断面写真(SEM)を測定したとこ 、実施例1~12の樹脂フィルムを用いて作製し 感熱転写記録用受像シートにおいては、断 層の空洞が保存されていた。