Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
REMEDY FOR DIABETES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126920
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of screening a compound having a hypoglycemic effect (hereinafter referred to as “hypoglycemic compound”), a remedy for diabetes which contains a compound having a novel function mechanism, etc. More specifically speaking, a method of screening a hypoglycemic compound capable of binding to the β subunit of a trimeric GTP-binding protein, a remedy for diabetes comprising a hypoglycemic compound, which is characterized by being capable of binding to the β subunit of a trimeric GTP-binding protein, as the active ingredient, etc.

Inventors:
FUKUCHI NAOYUKI (JP)
OKAMOTO SATORU (JP)
MIYANAGA WATARU (JP)
TAKESHITA SEN (JP)
TAKAYANAGI MASARU (JP)
FUKUDA YUMIKO (JP)
IKENOUE TAKAO (JP)
YAMADA NAOYUKI (JP)
ARASHIDA NAOKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057185
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
April 11, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
FUKUCHI NAOYUKI (JP)
OKAMOTO SATORU (JP)
MIYANAGA WATARU (JP)
TAKESHITA SEN (JP)
TAKAYANAGI MASARU (JP)
FUKUDA YUMIKO (JP)
IKENOUE TAKAO (JP)
YAMADA NAOYUKI (JP)
ARASHIDA NAOKO (JP)
International Classes:
C07D487/04; A61K45/00; A61K51/00; A61P3/04; A61P3/10; A61P9/00; A61P13/12; A61P25/00; A61P27/02; A61P43/00; C07D519/00; C12Q1/48; G01N33/15; G01N33/50; G01N33/543; C12N15/09
Domestic Patent References:
WO2004069259A12004-08-19
WO2007020853A12007-02-22
WO2002044180A12002-06-06
WO2005068467A12005-07-28
WO2005042536A12005-05-12
WO2006118341A12006-11-09
WO2001053266A12001-07-26
Other References:
YOSHINORI KANOH ET AL.: "Effect of pertussis toxin on insulin-induced signal transduction in rat adipocytes and soleus muscles", CELLULAR SIGNALLING, vol. 12, no. 4, 2000, pages 223 - 232, XP008121365
HAZEKI O. ET AL.: "Activation of PI 3-kinase by G protein beta gamma subunits", LIFE SCIENCE, vol. 62, no. 17/18, 1998, pages 1555 - 1559, XP008121366
HIROSHI KUBO ET AL.: "Specific role of p85/p110beta in GTP-binding protein-mediated activation of Akt-1", DAI 78 KAI THE JAPANESE BIOCHEMICAL SOCIETY TAIKAI HAPPYO SHOROKUSHU, 25 August 2005 (2005-08-25), pages 931 + ABSTR. NO. 3P-368, XP008116987
HONGJIE CHEN ET AL.: "Insulin signaling in vascular endothelial cells: a key role for heterotrimeric G proteins revealed by siRNA-mediated Gbeta1 knockdown", BIOCHEMISTRY, vol. 45, 2006, pages 8023 - 8033, XP008121367
See also references of EP 2157092A4
SHEEHAN ET AL., CLINICAL MEDICINE & RESEARCH, vol. 1, 2003, pages 189
HAJDUCH ET AL., FEBS LETTERS, vol. 492, 2001, pages 199
WETTSCHURECK ET AL., PHYSIOLOGICAL REVIEWS, vol. 85, 2005, pages 1159
MAIER ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 274, 1999, pages 29311
SCOTT ET AL., EMBO JOURNAL, vol. 20, 2001, pages 767
BONACCI ET AL., SCIENCE, vol. 312, 2006, pages 443
ASANO ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 275, 2000, pages 17671
KERCHNER ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 279, 2004, pages 44554
STEMWEIS ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 259, 1984, pages 13806
KOZASA ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 270, 1995, pages 1734
JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 279, 2004, pages 44554
LEOPOLDT ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 273, 1998, pages 7024
DOWLER ET AL., SCIENCE STKE, vol. L6, 2002
CHO ET AL., ANNUAL REVIEWS OF BIOPHYSICAL BIOMOLECULAR STRUCTURE, vol. 34, 2005, pages 119
SIMPSON ET AL., ANNUAL REVIEW OF BIOCHEMISTRY, vol. 55, 1986, pages 1059
DAVIS ET AL., BIOCHEMISTRY, vol. 44, 2005, pages 10593
ZHANG ET AL., JOURNAL OF BIOMOLECULAR SCREENING, vol. 4, 1999, pages 67
KNIGHT ET AL., BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 12, 2004, pages 4749
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hiroshi et al. (IKUBO & KATAYAMA Fukuoka Bldg. 9th Fl.,8-7, Yaesu 2-chom, Chuo-ku Tokyo 28, JP)
Download PDF:
Claims:
 下記一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩(当該化合物)と3量体GTP結合蛋白質βサブユニット(当該蛋白質)とを用いて、当該化合物と当該蛋白質の結合に対する被検物質の阻害活性を測定することによって、血糖降下作用化合物をスクリーニングする方法。
{式中、A及びBは同一または異なってもよく、それぞれ独立して置換基を有してもよい芳香環、置換基を有してもよい複素環、または置換基を有してもよい脂肪族環を示し、
 R 1 は、置換基を1~3個有してもよい、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基または低級アルコキシ基を示し、
 -X-及び-Y-は同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、-O-、-NR 2 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、-CH 2 -、-CR 3 R 4 -、-COO-、-CONR 2 -または-CO-(式中R 2 は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、または置換基を有してもよいスルホニル基を示し、R 3 及びR 4 は同一または異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、またはトリフルオロメチル基を示す)を示し、
 -W-は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル鎖であり、その炭素原子の1~10個は-O-、-NR 5 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、または-CO-で置き換えられていてもよく(式中R 5 は、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、または置換基を有してもよいスルホニル基を示す)、
 Qは、水素原子、ビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能基、酵素、固相、ジアゾ基、またはアジド基を示す。また、式中1つ以上の原子が放射性同位元素であってもよい。但し、
 i) 置換基を有してもよい場合の置換基とは、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアゾ基、及びアジド基からなる群から選ばれ、また、これらの置換基はビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識されてもよく、
 ii) -X-が水素原子である場合は、-W-、-Y―、または、Qをすべて有さず、
 iii) -Y-が水素原子である場合は、Qを有さない。}
 一般式(I)で表されるラクタム化合物のうち、-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qがビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能基、または酵素であり、置換基を有してもよい場合の置換基がビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識されていない、請求項1記載の方法。
 一般式(I)で表されるラクタム化合物のうち、-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが水素原子、ジアゾ基、またはアジド基であり、置換基を有してもよい場合の置換基がビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識されていない、請求項1記載の方法。
 一般式(I)で表されるラクタム化合物のうち、Xが水素原子であり、少なくとも一般式(I)内の1つ以上の原子が放射線同位体である請求項1記載の方法。
 (A)一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩(当該化合物)と3量体GTP結合蛋白質βサブユニット(当該蛋白質)とを接触させる工程、
 (B)被検物質の存在下、当該化合物と当該蛋白質とを接触させる工程、および
 (C)当該化合物と当該蛋白質の結合に対する被検物質の阻害活性を測定する工程、
を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットを含む細胞、組織あるいはそれらの抽出物を用い、一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩(当該化合物)と3量体GTP結合蛋白質βサブユニットの結合に対する被検物質の阻害活性を測定することにより、血糖降下作用化合物をスクリーニングする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
 (A)3量体GTP結合蛋白質βサブユニット(当該蛋白質)を固相に固定する工程、
 (B)被検物質を当該蛋白質に接触させる工程、および
 (C)一般式(I)で示された化合物またはその製薬学的に許容される塩(当該化合物)、酸、塩基または変性剤を含有する溶液を用いて、工程(B)において当該蛋白質に結合した化合物を溶出する工程、
を含む血糖降下作用化合物を同定する方法。
 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合する血糖降下作用化合物を有効成分とする糖尿病治療薬。
 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合し、フォスフォイノシタイド3-キナーゼの酵素活性を亢進することを主作用とする血糖降下作用化合物を有効成分とする糖尿病治療薬。
 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに対し、一般式(I)で示された化合物の、当該蛋白質に結合する部位と同一の部位に結合する化合物を有効成分とする糖尿病治療薬。
 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットのフォスフォイノシタイド3-キナーゼに対する酵素活性亢進作用をさらに亢進する化合物を検出することを特徴とする血糖降下作用化合物のスクリーニング方法。
 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットとフォスフォイノシタイド3-キナーゼの結合を亢進する化合物を検出することを特徴とする血糖降下作用化合物のスクリーニング方法。
 フォスフォイノシタイド3-キナーゼのサブタイプがβであることを特徴とする請求項11又は12に記載のスクリーニング方法。
一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
{式中、A及びBは同一または異なってもよく、それぞれ独立して置換基を有してもよい芳香環、置換基を有してもよい複素環、または置換基を有してもよい脂肪族環を示し、R 1 は、置換基を1~3個有してもよい、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基または低級アルコキシ基を示し、-X-及び-Y-は同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、-O-、-NR 2 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、-CH 2 -、-CR 3 R 4 -、-COO-、-CONR 2 -または-CO-(式中R 2 は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、または置換基を有してもよいスルホニル基を示し、R 3 及びR 4 は同一または異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、またはトリフルオロメチル基を示す)を示し、-W-は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル鎖であり、その炭素原子の1~10個は-O-、-NR 5 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、または-CO-で置き換えられていてもよく(式中R 5 は、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、または置換基を有してもよいスルホニル基を示す)、Qは、水素原子、ビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能基、酵素、固相、ジアゾ基、またはアジド基を示す。また、式中1つ以上の原子が放射性同位元素であってもよい。但し、
 i) 置換基を有してもよい場合の置換基とは、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアゾ基、及びアジド基からなる群から選ばれ、また、これらの置換基はビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識されてもよく、
 ii) -X-が水素原子である場合は、-W-、-Y―、または、Qをすべて有さず、
 iii) -Y-が水素原子である場合は、Qを有さない。
 さらに、一般式(I)中、以下a)からf)のいずれかの条件が満たされる。
 a) X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qがビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能基、または酵素である;
 b) X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qがジアゾ基、またはアジド基である;
 c) X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが固相である;
 d) 1つ以上の原子が放射線同位体である;
 e) 少なくとも1つ以上の、ビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識された置換基を有する;または
 f) 置換基として少なくとも1つ以上のジアゾ基あるいはアジド基を有する。}
 X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qがビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能基、または酵素である、請求項14に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 置換基を有してもよい場合の置換基がビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識されていない、請求項15記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 -X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qがジアゾ基、またはアジド基である、請求項14に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 置換基を有してもよい場合の置換基がビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識されていない、請求項17記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 -X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが固相である、請求項14記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 一般式(I)内の1つ以上の原子が放射線同位体である、請求項14に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 Xが水素原子である、請求項20記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 少なくとも1つ以上の、ビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、あるいは酵素標識された置換基を有する、請求項14に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
 置換基として少なくとも1つ以上のジアゾ基あるいはアジド基を有する、請求項14記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
下記一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
{式中、A及びBは同一または異なってもよく、それぞれ独立して置換基を有してもよい芳香環、置換基を有してもよい複素環、または置換基を有してもよい脂肪族環を示し、R 1 は、置換基を1~3個有してもよい、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基または低級アルコキシ基を示し、-X-及び-Y-は同一または異なってもよく、それぞれ独立して-O-、-NR 2 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、-CH 2 -、-CR 3 R 4 -、-COO-、-CONR 2 -または-CO-(式中R2は水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、または置換基を有してもよいスルホニル基を示し、R 3 及びR 4 は同一または異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、またはトリフルオロメチル基を示す)を示し、-W-は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル鎖であり、その炭素原子の1~10個は-O-、-NR 5 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、または-CO-で置き換えられていてもよく(式中R 5 は、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、または置換基を有してもよいスルホニル基を示す)、Qは水素原子を示す。
但し、
i) 置換基を有してもよい場合の置換基とは、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアゾ基、及びアジド基からなる群から選ばれる。}
Description:
糖尿病治療薬

 本発明は、血糖降下作用を有する化合物( 以下、「血糖降下作用化合物」という)のス リーニング法、新規な作用メカニズムを有 る化合物を含有する糖尿病治療薬などに関 る。より詳しくは、本発明は3量体GTP結合蛋 質βサブユニットに結合する血糖降下作用 質のスクリーニング法、3量体GTP結合蛋白質 サブユニットに結合することを特徴とする 糖降下作用化合物を有効成分とする糖尿病 療薬などに関する。

 糖尿病はインスリンに対する末梢組織の 抗性上昇、あるいはインスリン分泌量の減 に伴い、血中の糖濃度が上昇する病態であ 。糖尿病は、種々の重篤な合併症を引き起 すことから、薬剤による治療が必要な疾患 ある。糖尿病治療薬としては、スルフォニ 尿素薬、フェニルアラニン誘導体、αグル シダーゼ阻害薬、ビクアナイド薬、チアゾ ジン誘導体、およびインスリン等が用いら ている(非特許文献1:Sheehanら、Clinical Medicine & Research、1、189、(2003))。

 近年、脂肪細胞等の糖の取り込み作用を する末梢細胞に対し、糖取り込み作用を亢 する化合物(以下、「糖取り込み亢進剤」と 記す)が知られている(特許文献1:WO02/44180;特許 文献2:WO2005/068467;特許文献3:WO2005/042536;特許文 4:WO2006/118341)。これらの化合物はインスリン 非存在下においても脂肪細胞等の糖取り込み 作用を亢進することが示されており、さらに 糖尿病モデル動物での血糖降下作用が示され ている。現在糖尿病治療薬として用いられて いるインスリンを除く上述した薬剤は、イン スリン非存在下での脂肪細胞等の糖取り込み を示さないことから、特許文献1~4に記載の「 糖取り込み亢進剤」は、糖尿病治療薬として 有用であると考えられる。しかしながら、こ れらの「糖取り込み亢進剤」の作用メカニズ ムに関しては不明であり、これまで報告され ていなかった。

 また、インスリンによる糖取り込み作用に Aktと呼ばれる蛋白質のリン酸化(Ser473)が必 であることが知られているが(非特許文献2:Ha jduchら、FEBS Letters、492、199、(2001))、上記「 取り込み亢進剤」の作用とAktのリン酸化と 関連性については不明であった。

WO02/44180

WO2005/068467

WO2005/042536

WO2006/118341 Sheehanら、Clinical Medicine & Research、1 189、(2003) Hajduchら、FEBS Letters、492、199、(2001)

 上記記載の「糖取り込み亢進剤」は、上述 た通り、現在使用されている糖尿病治療薬 は異なり、インスリン同様に脂肪細胞等の 取り込み作用を亢進し、有用かつ新しいタ プの糖尿病治療薬となりうると考えられる 、その作用メカニズムは不明であった。
 このような状況下、本発明者らは、「糖取 込み亢進剤」の作用を引き起こす細胞内の 合蛋白質(以下「作用標的分子」と記す)、 らにはその作用が起こる分子機構(以下「作 メカニズム」と記す)を明らかにすることに よって本発明を完成させた。すなわち、本発 明は次のような血糖降下作用を有する化合物 または糖尿病治療薬、そのような化合物また は糖尿病治療薬のスクリーニング方法、その スクリーニング方法で用いることのできるプ ローブ化合物などを提供する。

 (1)下記一般式(I)で示される化合物またはそ 製薬学的に許容される塩(当該化合物)と3量 GTP結合蛋白質βサブユニット(当該蛋白質)と を用いて、当該化合物と当該蛋白質の結合に 対する被検物質の阻害活性を測定することに よって、血糖降下作用化合物をスクリーニン グする方法。
{式中、A及びBは同一または異なってもよく、 それぞれ独立して置換基を有してもよい芳香 環、置換基を有してもよい複素環、または置 換基を有してもよい脂肪族環を示し、
 R 1 は、置換基を1~3個有してもよい、低級アルキ ル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基 または低級アルコキシ基を示し、
 -X-及び-Y-は同一または異なってもよく、そ ぞれ独立して水素原子、-O-、-NR 2 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、-CH 2 -、-CR 3 R 4 -、-COO-、-CONR 2 -または-CO-(式中R 2 は水素原子、置換基を有してもよい低級アル キル基、置換基を有してもよいアシル基、置 換基を有してもよいアルコキシカルボニル基 、置換基を有してもよいカルバモイル基、ま たは置換基を有してもよいスルホニル基を示 し、R 3 及びR 4 は同一または異なってもよく、それぞれ独立 して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ア ルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、ア ルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシ ル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキル アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカル ボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シア ノ基、またはトリフルオロメチル基を示す) 示し、
 -W-は、置換基を有してもよい炭素数1~20のア ルキル鎖であり、その炭素原子の1~10個は-O- -NR 5 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、または-CO-で置き換えられていてもよく(式 中R 5 は、水素原子、置換基を有してもよい低級ア ルキル基、置換基を有してもよいアシル基、 置換基を有してもよいアルコキシカルボニル 基、置換基を有してもよいカルバモイル基、 または置換基を有してもよいスルホニル基を 示す)、
 Qは、水素原子、ビオチン、発蛍光団、発色 団、化学発光官能基、酵素、固相、ジアゾ基 、またはアジド基を示す。また、式中1つ以 の原子が放射性同位元素であってもよい。 し、
 i) 置換基を有してもよい場合の置換基とは 、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メル カプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、 アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオ キシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カル ボキシル基、アルコキシカルボニル基、カル バモイル基、ニトロ基、シアノ基、トリフル オロメチル基、アリール基、ヘテロアリール 基、ジアゾ基、及びアジド基(好ましくは、 ロゲン原子、水酸基、アミノ基、低級アル ルアミノ基、アリール基、ヘテロアリール 、低級アルキル基及び低級アルコキシ基)か なる群から選ばれ、また、これらの置換基 ビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識 化学発光標識、あるいは酵素標識されても く、
 ii) -X-が水素原子である場合は、-W-、-Y―、 または、Qをすべて有さず、
 iii) -Y-が水素原子である場合は、Qを有さな い。}

(2)一般式(I)で表されるラクタム化合物のう ち、-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Q ビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官 基、または酵素であり、置換基を有しても い場合の置換基がビオチン標識、発蛍光団 識、発色団標識、化学発光標識、あるいは 素標識されていない、上記(1)記載の方法。

(3)一般式(I)で表されるラクタム化合物のうち 、-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが 素原子、ジアゾ基、またはアジド基であり 置換基を有してもよい場合の置換基がビオ ン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化学 光標識、あるいは酵素標識されていない、 記(1)記載の方法。
(4)一般式(I)で表されるラクタム化合物のうち 、Xが水素原子であり、少なくとも一般式(I) の1つ以上の原子が放射線同位体である上記( 1)記載の方法。

(5)(A)一般式(I)で示される化合物またはその製 薬学的に許容される塩(当該化合物)と3量体GTP 結合蛋白質βサブユニット(当該蛋白質)とを 触させる工程、
 (B)被検物質の存在下、当該化合物と当該蛋 質とを接触させる工程、および
 (C)当該化合物と当該蛋白質の結合に対する 検物質の阻害活性を測定する工程、
を含む、上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法
(5a)固相に固定化した当該蛋白質に、被検物 の存在下または非存在下に当該化合物を接 させ、固相に結合した当該化合物の量を測 することによって、当該化合物と当該蛋白 の結合に対する被検物質の阻害活性を測定 る、上記(5)に記載の方法。
(5b)固相に固定化した当該化合物に、被検物 の存在下または非存在下に当該蛋白質を接 させ、固相に結合した当該蛋白質の量を測 することによって、当該化合物と当該蛋白 の結合に対する被検物質の阻害活性を測定 る、上記(5)に記載の方法。
(5c)被検物質の存在下または非存在下に、当 化合物と当該蛋白質を接触させ、当該蛋白 と当該化合物の結合量を測定することによ て、当該化合物と当該蛋白質の結合に対す 被検物質の阻害活性を測定する、上記(5)に 載の方法。
(5d)被検物質の存在下で接触させた場合の結 量と、被検物質の非存在下で接触させ
た場合の結合量とを比較することによって、 当該化合物と当該蛋白質の結合に対する被検
物質の阻害活性を測定する、上記(5a)~(5c)のい ずれかに記載の方法。
(5e)さらに、3量体GTP結合蛋白質βサブユニッ の存在下(あるいは3量体GTP結合蛋白質βサブ ニットと結合した状態で)、被検物質のフォ スフォイノシタイド3-キナーゼ(特に、サブタ イプβ)に対する酵素活性亢進活性を測定する 工程を含む、上記(5)に記載の方法。
(5f)さらに、被検物質のAktリン酸化活性を測 する工程を含む、上記(5)または(5e)に記載の 法。
(5g)さらに、被検物質の糖取り込み活性を測 する工程を含む、上記(5)、(5e)または(5f)に記 載の方法。

(6)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットを含む細 胞、組織あるいはそれらの抽出物を用い、一 般式(I)で示される化合物またはその製薬学的 に許容される塩(当該化合物)と3量体GTP結合蛋 白質βサブユニットの結合に対する被検物質 阻害活性を測定することにより、血糖降下 用化合物をスクリーニングする、上記(1)~(4) のいずれかに記載の方法。
(7)(A)3量体GTP結合蛋白質βサブユニット(当該 白質)を固相に固定する工程、
 (B)被検物質を当該蛋白質に接触させる工程 および
 (C)一般式(I)で示された化合物またはその製 学的に許容される塩(当該化合物)、酸、塩 または変性剤を含有する溶液を用いて、工 (B)において当該蛋白質に結合した化合物を 出する工程、
を含む血糖降下作用化合物を同定する方法。
(8)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合す る血糖降下作用化合物を有効成分とする糖尿 病治療薬。
(8a)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 る血糖降下作用化合物を哺乳動物に有効量 与することを含む、糖尿病の治療方法。
(8b)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 る血糖降下作用化合物の糖尿病治療のため 使用。
(8c)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 る血糖降下作用化合物の、糖尿病治療薬の 造のための使用。

(9)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合し 、フォスフォイノシタイド3-キナーゼの酵素 性を亢進することを主作用とする血糖降下 用化合物を有効成分とする糖尿病治療薬。
(9a)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 、フォスフォイノシタイド3-キナーゼの酵素 活性を亢進することを主作用とする血糖降下 作用化合物を哺乳動物に有効量投与すること を含む、糖尿病の治療薬方法。
(9b)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 、フォスフォイノシタイド3-キナーゼの酵素 活性を亢進することを主作用とする血糖降下 作用化合物の糖尿病治療のための使用。
(9c)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 、フォスフォイノシタイド3-キナーゼの酵素 活性を亢進することを主作用とする血糖降下 作用化合物の、糖尿病治療薬の製造のための 使用。
(10)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに対し 一般式(I)で示された化合物の、当該蛋白質 結合する部位と同一の部位に結合する化合 を有効成分とする糖尿病治療薬。
(10a)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに対し 一般式(I)で示された化合物の、当該蛋白質 結合する部位と同一の部位に結合する化合 を哺乳動物に有効量投与することを含む、 尿病の治療方法。
(10b)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに対し 一般式(I)で示された化合物の、当該蛋白質 結合する部位と同一の部位に結合する化合 の糖尿病治療のための使用。
(10c)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに対し 一般式(I)で示された化合物の、当該蛋白質 結合する部位と同一の部位に結合する化合 の、糖尿病治療薬の製造のための使用。
(10d)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに対し 一般式(I)で示された化合物と競合的に結合 る化合物を有効成分とする糖尿病治療剤。

(11)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットのフォ フォイノシタイド3-キナーゼに対する酵素活 性亢進作用をさらに亢進する化合物を検出す ることを特徴とする血糖降下作用化合物のス クリーニング方法。
(12)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットとフォ フォイノシタイド3-キナーゼの結合を亢進す る化合物を検出することを特徴とする血糖降 下作用化合物のスクリーニング方法。
(13)フォスフォイノシタイド3-キナーゼのサブ タイプがβであることを特徴とする上記(11)又 は(12)に記載のスクリーニング方法。

(14)一般式(I)で示される化合物またはその製 学的に許容される塩。
{式中、A及びBは同一または異なってもよく、 それぞれ独立して置換基を有してもよい芳香 環、置換基を有してもよい複素環、または置 換基を有してもよい脂肪族環を示し、R 1 は、置換基を1~3個有してもよい、低級アルキ ル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基 または低級アルコキシ基を示し、-X-及び-Y-は 同一または異なってもよく、それぞれ独立し て水素原子、-O-、-NR 2 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、-CH 2 -、-CR 3 R 4 -、-COO-、-CONR 2 -または-CO-(式中R 2 は水素原子、置換基を有してもよい低級アル キル基、置換基を有してもよいアシル基、置 換基を有してもよいアルコキシカルボニル基 、置換基を有してもよいカルバモイル基、ま たは置換基を有してもよいスルホニル基を示 し、R 3 及びR 4 は同一または異なってもよく、それぞれ独立 して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ア ルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、ア ルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシ ル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキル アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカル ボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シア ノ基、またはトリフルオロメチル基を示す) 示し、-W-は、置換基を有してもよい炭素数1~ 20のアルキル鎖であり、その炭素原子の1~10個 は-O-、-NR 5 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、または-CO-で置き換えられていてもよく(式 中R 5 は、水素原子、置換基を有してもよい低級ア ルキル基、置換基を有してもよいアシル基、 置換基を有してもよいアルコキシカルボニル 基、置換基を有してもよいカルバモイル基、 または置換基を有してもよいスルホニル基を 示す)、Qは、水素原子、ビオチン、発蛍光団 発色団、化学発光官能基、酵素、固相、ジ ゾ基、またはアジド基を示す。また、式中1 つ以上の原子が放射性同位元素であってもよ い。但し、
 i) 置換基を有してもよい場合の置換基とは 、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メル カプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、 アルキルスルホニル基、アシル基、アシルオ キシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カル ボキシル基、アルコキシカルボニル基、カル バモイル基、ニトロ基、シアノ基、トリフル オロメチル基、アリール基、ヘテロアリール 基、ジアゾ基、及びアジド基からなる群から 選ばれ、また、これらの置換基はビオチン標 識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標 識、あるいは酵素標識されてもよく、
 ii) -X-が水素原子である場合は、-W-、-Y―、 または、Qをすべて有さず、
 iii) -Y-が水素原子である場合は、Qを有さな い。
 さらに、一般式(I)中、以下a)からf)のいずれ かの条件が満たされる。
 a) X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが ビオチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能 基、または酵素である;
 b) -X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Q ジアゾ基、またはアジド基である;
 c) -X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Q 固相である;
 d) 1つ以上の原子が放射線同位体である;
 e) 少なくとも1つ以上の、ビオチン標識、 蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識、 るいは酵素標識された置換基を有する;また
 f) 置換基として少なくとも1つ以上のジア 基あるいはアジド基を有する。}

(15)X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが オチン、発蛍光団、発色団、化学発光官能 、または酵素である、上記(14)に記載の化合 またはその製薬学的に許容される塩。
(16)置換基を有してもよい場合の置換基がビ チン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化 発光標識、あるいは酵素標識されていない 上記(15)記載の化合物またはその製薬学的に 容される塩。
(17)-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが アゾ基、またはアジド基である、上記(14)に 記載の化合物またはその製薬学的に許容され る塩。
(18)置換基を有してもよい場合の置換基がビ チン標識、発蛍光団標識、発色団標識、化 発光標識、あるいは酵素標識されていない 上記(17)記載の化合物またはその製薬学的に 容される塩。

(19)-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり、Qが 相である、上記(14)記載の化合物またはその 製薬学的に許容される塩。
(20)一般式(I)内の1つ以上の原子が放射線同位 である、上記(14)に記載の化合物またはその 製薬学的に許容される塩。
(21)Xが水素原子である、上記(20)記載の化合物 またはその製薬学的に許容される塩。
(22)少なくとも1つ以上の、ビオチン標識、発 光団標識、発色団標識、化学発光標識、あ いは酵素標識された置換基を有する、上記( 14)に記載の化合物またはその製薬学的に許容 される塩。
(23)置換基として少なくとも1つ以上のジアゾ あるいはアジド基を有する、上記(14)記載の 化合物またはその製薬学的に許容される塩。

(24)下記一般式(I)で示される化合物またはそ 製薬学的に許容される塩。
{式中、A及びBは同一または異なってもよく、 それぞれ独立して置換基を有してもよい芳香 環、置換基を有してもよい複素環、または置 換基を有してもよい脂肪族環を示し、R 1 は、置換基を1~3個有してもよい、低級アルキ ル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基 または低級アルコキシ基を示し、-X-及び-Y-は 同一または異なってもよく、それぞれ独立し て-O-、-NR 2 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、-CH 2 -、-CR 3 R 4 -、-COO-、-CONR 2 -または-CO-(式中R2は水素原子、置換基を有し もよい低級アルキル基、置換基を有しても いアシル基、置換基を有してもよいアルコ シカルボニル基、置換基を有してもよいカ バモイル基、または置換基を有してもよい ルホニル基を示し、R 3 及びR 4 は同一または異なってもよく、それぞれ独立 して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ア ルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、ア ルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシ ル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキル アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカル ボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シア ノ基、またはトリフルオロメチル基を示す) 示し、-W-は、置換基を有してもよい炭素数1~ 20のアルキル鎖であり、その炭素原子の1~10個 は-O-、-NR 5 -、-S-、-SO-、-SO 2 -、または-CO-で置き換えられていてもよく(式 中R 5 は、水素原子、置換基を有してもよい低級ア ルキル基、置換基を有してもよいアシル基、 置換基を有してもよいアルコキシカルボニル 基、置換基を有してもよいカルバモイル基、 または置換基を有してもよいスルホニル基を 示す)、Qは水素原子を示す。
 但し、
i) 置換基を有してもよい場合の置換基とは ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、メル プト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、 ルキルスルホニル基、アシル基、アシルオ シ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カル キシル基、アルコキシカルボニル基、カル モイル基、ニトロ基、シアノ基、トリフル ロメチル基、アリール基、ヘテロアリール 、ジアゾ基、及びアジド基からなる群から ばれる。}

 本発明によれば、血糖降下作用を有する 合物または糖尿病治療薬、そのような化合 または糖尿病治療薬のスクリーニング方法 そのスクリーニング方法で用いることので るプローブ化合物などを提供することがで る。

実施例13におけるAktリン酸化活性の測 結果を示す図である。 実施例14におけるHLF細胞膜を用いた 3 H標識化合物1の結合アッセイの結果を示す図 ある。 実施例15(1)におけるDigitoninによるHLF細 膜からの結合蛋白質の抽出結果を示す図で る。 実施例15(2)における、プローブ分子の 合蛋白質に対する結合能の測定を示す図で る。 実施例15(3)における、アフィニティー ラムを用いた結合蛋白質の取得を示す図で る。 実施例16における、アフィニティーカ ムからの溶出化合物による活性依存的なGβ 溶出を示す図である。 Gβ1γ2を発現させたHEK293T細胞抽出液中 結合蛋白質の存在を示す図である。 昆虫細胞発現Gβに対する化合物のGβ結 能評価を示す図である。 各サブタイプGβγ2-Mycに対する 3 H標識化合物1の結合活性を示す図である。 Gβγ2-Myc結合スクリーニング系を用い 、化合物のGβ結合能評価を示す図である。 Gβγ2-Myc結合スクリーニング系の性能 価を示す図である。 フォスフォイノシタイド3-キナーゼ(PI3 -kinase)βおよびδ特異的阻害剤(TGX-115)による化 合物6惹起Aktリン酸化阻害(分化3T3-L1脂肪細胞) を示す図である。 Gβ1γ2-Myc存在下における各サブタイプ( α、β、γ、δ)フォスフォイノシタイド3-キナ ゼ(PI3-kinase)活性に対するN-deacetylcolchicine(DAC) および化合物1の作用を示す図である。 PI3-kinaseβに対する化合物1および化合 6の活性亢進作用を示す図である。 化合物1、化合物6によるGβ1γ2-Mycとフ スフォイノシタイド3-キナーゼ(PI3-kinase)βと 結合亢進作用を示す図である。 GβのsiRNAによるノックダウン(図右)と ックダウンした細胞を用いた化合物6によるA ktリン酸化(図左)の結果を示す図である。 実施例27記載のスクリーニング方法に ける、化合物1、化合物6によるPI3-kinaseβに する活性亢進作用を示す図である。

 本明細書において、「低級」とは、例えば 炭素数1~6個を有することをいう。また、ア キル基、アルケニル基、アルキニル基、ア コキシ基またはアシル基中の炭素数は、好 しくは6個まで、より好ましくは3個までで る。
 また、「芳香環」とは、炭素原子で構成さ る単環または2つの環からなる芳香環を表し 、具体的に例えばベンゼン環、ナフタレン環 、インデン環、フルオレン環などがあげられ 、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環など があげられる。
 また、「複素環」とは、炭素および窒素、 素、イオウなどで構成される4~9員の1~3つの からなる複素環を表し、具体的に例えば、 リジン環、ジヒドロピラン環、ピリダジン 、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環 フラン環、チオフェン環、オキサゾール環 イソオキサゾール環、ピラゾール環、イミ ゾール環、チアゾール環、イソチアゾール 、チアジアゾール環、ピロリジン環、ピペ ジン環、ピペラジン環、インドール環、イ インドール環、ベンゾフラン環、イソベン フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾピ ゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾ キサゾール環、ベンゾチアゾール環、プリ 環、ピラゾロピリジン環、キノリン環、イ キノリン環、ナフチリジン環、キナゾリン 、ベンゾジアゼピン環、カルバゾール環、 ベンゾフラン環、などがあげられ、好まし はピリジン環、フラン環、チオフェン環、 ンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イン ール環などがあげられ、より好ましくはチ フェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフ ン環、インドール環などがあげられる。
 また、「脂肪族環」とは、炭素原子で構成 れる単環または2つの環からなる脂肪族環を 表し、具体的に例えばシクロプロパン環、シ クロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘ キサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタ ン環、デカリン環、ノルボルナン環などがあ げられ、好ましくはシクロヘキサン環があげ られる。

 低級アルキル基とは、炭素数1~6、好ましく 1~3の直鎖もしくは分岐鎖もしくは環状のア キル基を示し、具体的に例えばメチル基、 チル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペン ル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イ ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イ ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル 基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、3-ヘキシル 基、2-ヘキシル基、シクロプロピル基、シク ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキ ル基などがあげられ、好ましくはメチル基 エチル基などがあげられる。
 低級アルコキシ基とは、低級アルキル基を するアルコキシ基を示す。
  アリール基とは、炭素原子で構成される 素数5~12の単環または2環よりなる芳香族置換 基を示し、具体的に例えばフェニル基、イン デニル基、ナフチル基、フルオレニル基など があげられ、好ましくはフェニル基があげら れる。
 ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子 臭素原子、ヨウ素原子があげられる。

 アルキル基とは、炭素数1~18の直鎖もしくは 分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示し、具 体的に例えばメチル基、エチル基、n-プロピ 基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル 、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基 n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基 イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル 基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペ チル基、ネオペンチル基、2-ペンチル基、3- ンチル基、3-ヘキシル基、2-ヘキシル基、ter t-オクチル基、シクロプロピル基、シクロブ ル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル 、1-アダマンチル基、などがあげられ、好 しくはn-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オク ル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシ 基、n-ドデシル基、イソプロピル基、イソブ チル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペ ンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基 2-ペンチル基、3-ペンチル基、3-ヘキシル基 2-ヘキシル基、tert-オクチル基、シクロプロ ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基 、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基など あげられ、より好ましくは、イソプロピル 、tert-ブチル基、tert-オクチル基、1-アダマ チル基などがあげられる。
 アルケニル基とは、炭素数1~6の直鎖もしく 分岐鎖もしくは環状のアルケニル基を示し 具体的に例えばビニル基、1-プロペニル基 2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテ ル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基などがあ げられる。アルキニル基とは、炭素数1~6の直 鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示し、 具体的に例えばエチニル基、1-プロピニル基 2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル 、3-ブチニル基などがあげられる。

 アルコキシ基とは、炭素数1~18、好ましくは 1~8の直鎖または分岐鎖または環状のアルキル 基を有するアルコキシ基を示し、具体的に例 えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ 、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘ シルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-オク チルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシル キシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシル キシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ 、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロ ロピルオキシ基、シクロブトキシ基、シク ペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ 、シクロヘプチルオキシ基、2-シクロヘキ ルエトキシ基、1-アダマンチルオキシ基、2- ダマンチルオキシ基、1-アダマンチルメチ オキシ基、2-(1-アダマンチル)エチルオキシ 、トリフルオロメトキシ基などがあげられ 好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n-プロ ポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基 tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘ シルオキシ基があげられる。
 アルキルチオ基とは、炭素数1~12、好ましく は1~6の直鎖または分岐鎖状または環状のアル キル基を有するアルキルチオ基を示し、具体 的に例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n- ロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブ ルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチ 基、tert-ブチルチオ基、シクロプロピルチ 基、シクロブチルチオ基、シクロペンチル オ基、シクロブチルチオ基などがあげられ 。

 アルキルスルホニル基とは、炭素数1~12の直 鎖または分岐鎖状または環状のアルキル基を 有するアルキルスルホニル基を示し、具体的 に例えばメタンスルホニル基、エタンスルホ ニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスル ホニル基、ペンタンスルホニル基、ヘキサン スルホニル基、ヘプタンスルホニル基、オク タンスルホニル基、ノナンスルホニル基、デ カンスルホニル基、ウンデカンスルホニル基 、ドデカンスルホニル基などがあげられる。
 アシル基とは、ホルミル基、または炭素数1 ~6の直鎖もしくは分岐鎖もしくは環状のアル ル基を有するアシル基、または炭素数1~6の 鎖もしくは分岐鎖もしくは環状のアルケニ 基を有するアシル基、または炭素数1~6の直 もしくは分岐鎖もしくは環状のアルキニル を有するアシル基、または置換されていて よいアリール基を有するアシル基であり、 体的に例えばホルミル基、アセチル基、プ ピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基 バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル 、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタ リロイル基、クロトノイル基、イソクロト イル基、ベンゾイル基、ナフトイル基など あげられる。
 アシルオキシ基とは、ホルミルオキシ基、 たは炭素数1~6の直鎖もしくは分岐鎖もしく 環状のアルキル基を有するアシルオキシ基 または置換されていてもよいアリール基を するアシルオキシ基を示し、具体的に例え ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プ ピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イ ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イ バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、 キサノイルオキシ基、アクリロイルオキシ 、メタクリロイルオキシ基、クロトノイル キシ基、イソクロトノイルオキシ基、ベン イルオキシ基、ナフトイルオキシ基などが げられる。

 アルキルアミノ基とは、アルキル基で一置 もしくは二置換されたアミノ基であり、そ アルキル基の例は前記「アルキル基」で示 たものがあげられる。具体的に例えば、ア ノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、 ロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、 メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプ ピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、 チルエチルアミノ基などがあげられる。好 しくは炭素数1~6である。
アルコキシカルボニル基とは、炭素数1~8の直 鎖または分岐鎖または環状のアルキル基を有 するアルコキシカルボニル基を示し、具体的 に例えばメトキシカルボニル基、エトキシカ ルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソ プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボ ル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブト キシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル 、ベンジルオキシカルボニル基などがあげ れる。
 カルバモイル基とは、窒素上に炭素数1~6の 鎖または分岐鎖または環状のアルキル基を してもよいカルバモイル基であり、具体的 例えばカルバモイル基、N-メチルカルバモ ル基、N-エチルカルバモイル基、N,N-ジメチ カルバモイル基、N-ピロリジルカルボニル基 、N-ピペリジルカルボニル基、N-モルホリニ カルボニル基などがあげられる。
 スルホニル基とは、硫黄原子上に炭素数1~6 直鎖または分岐鎖または環状のアルキル基 有してもよいスルホニル基であり、具体的 例えばメチルスルホニル基、エチルスルホ ル基、プロピルスルホニル基、ブチルスル ニル基、などがあげられる。
 また、固相とは、化合物や蛋白質を固定化 きる固体、半固体、固溶体であり、具体的 は例えば、容器(チューブ、ウェル、プレー ト)、担体(レジン、ゲル)、シート状、粉末状 あるいは棒状の樹脂、ポリマーなどが挙げら れるが、化合物や蛋白質を固定化できる器質 であればこれらの例には限定されない。

 より具体的には、式(I)において、「A」は 、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、 インデン環、フルオレン環、ピリジン環、ジ ヒドロピラン環、ピリダジン環、ピリミジン 環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チ オフェン環、オキサゾール環、イソオキサゾ ール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チ アゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾ ール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペ ラジン環、インドール環、イソインドール環 、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベ ンゾチオフェン環、ベンゾピラゾール環、ベ ンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環 、ベンゾチアゾール環、プリン環、ピラゾロ ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、 ナフチリジン環、キナゾリン環、ベンゾジア ゼピン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン 環、シクロプロパン環、シクロブタン環、シ クロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロ ヘプタン環、シクロオクタン環、デカリン環 、ノルボルナン環などから選択され、好まし くはベンゼン環、ピリジン環、フラン環、チ オフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフ ェン環、インドール環、キノリン環、ベンゾ チアゾール環、ベンゾオキサゾール環などか ら選択され、より好ましくは、ベンゼン環、 チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオ フェン環、インドール環、キノリン環などか ら選択される。

 式(I)において、「B」は、好ましくは、ベン ゼン環、ナフタレン環、インデン環、フルオ レン環、ピリジン環、ジヒドロピラン環、ピ リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピ ロール環、フラン環、チオフェン環、オキサ ゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール 環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチ アゾール環、チアジアゾール環、ピロリジン 環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドー ル環、イソインドール環、ベンゾフラン環、 イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、 ベンゾピラゾール環、ベンゾイミダゾール環 、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール 環、プリン環、ピラゾロピリジン環、キノリ ン環、イソキノリン環、ナフチリジン環、キ ナゾリン環、ベンゾジアゼピン環、カルバゾ ール環、ジベンゾフラン環、シクロプロパン 環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シ クロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロ オクタン環、デカリン環、ノルボルナン環な どから選択され、より好ましくはベンゼン環 、シクロヘキサン環などから選択される。
 式(I)において、「R 1 」は、好ましくは、水酸基、アリール基(芳 環基)、ヘテロアリール基(複素環基)、シク アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子 置換されている低級アルキル基、低級アル ニル基、低級アルキニル基または低級アル キシ基などから選択され、より好ましくは アリールC 1-2 アルキルまたはヘロアリールC 1-2 アルキル(例えば、ピリジルメチル、チアゾ ルメチル)、ヒドロキシメチル基、メトキシ チル基などから選択される。
 式(I)において、好ましい-X-W-Y-は、-O-(CH 2 ) 1-2 -O-(CH 2 ) 1-2 -NH-、-O-(CH 2 ) 1-2 -O-(CH 2 ) 1-2 -NHCO(CH 2 ) 4-6 -NH-などである。
 なお、式(I)で示される化合物またはその類 化合物の製造方法は、例えば、特許文献1~4 記載されており、式(I)で示される化合物は これらの文献の記載および当業者の技術常 に基づいて容易に製造することができる。

 本明細書中、「プローブ化合物」または「 ローブ分子」とは、「糖取り込み亢進剤」 「作用標的分子」、「作用メカニズム」の 明に有用な低分子化合物を表し、または/お よび「糖取り込み亢進剤」、「血糖降下作用 化合物」をスクリーニングする方法に利用可 能な低分子化合物を表す。
 「糖取り込み亢進剤」とは、生理的に糖(グ ルコースおよびそのアナログ等)を細胞内に り込む細胞、組織に添加することにより、 取り込み能を上昇させる薬剤、化合物を表 、例えば、具体的には特許文献1~4に記載の 合物のうち、細胞に対して実質的に糖の取 込み促進活性を示す化合物のことを表し、 とえば一般式(I)(Xが水素原子)で示される化 物を表す。
 「作用標的分子」とは、「糖取り込み亢進 」が直接あるいは間接的に結合する、細胞 発現している蛋白質を表し、特に糖取り込 活性あるいはAktリン酸化のために必要な蛋 質を表す。
 「作用メカニズム」とは、「糖取り込み亢 剤」の作用標的分子に対する結合以降に生 る反応、例えば2分子以上の蛋白質間の結合 亢進/低下、酵素活性の亢進/低下、蛋白質の ン酸化量の変化等のことを表し、特に糖取 込み活性あるいはAktリン酸化のために必要 変化を表す。
 「血糖降下作用化合物」とは、生体に投与 た際に血糖値を実質的に降下させる化合物 表し、糖尿病治療薬として使用可能である

〔1〕本発明の概要
(「糖取り込み亢進剤」の作用指標の検出)
 上記の背景に基づき、本発明者らはまず特 文献1~4(「糖取り込み亢進剤」に関する特許 )に記載の一般式(I)(Xが水素原子)の構造を有 るいくつかの化合物あるいはその構造をも に鋭意検討を行い構造展開した化合物を合 し、インスリンの糖取り込み作用時に起き ことが知られているAktのリン酸化と(非特許 献2)、糖取り込み活性の強さを測定、比較 た。その結果、測定した化合物のAktリン酸 の強さと糖取り込み活性の強さは良い相関 示すことから、「糖取り込み亢進剤」の糖 り込み作用時においても、Aktリン酸化が起 ることが示された。

(プローブ化合物)
 さらに本発明者らは、特許文献1~4に記載の 合物をもとに、作用標的分子、作用メカニ ムを解明するために使用する化合物(以下「 プローブ化合物」と記す)の設計を行った。 プローブ化合物」は、特許文献1~4に記載の 糖取り込み亢進剤」の活性に必要と思われ 母核を持ち、リンカー構造を介して、固相( 器、担体など)に固定可能な残基あるいは結 合の検出に有用な残基を結合させた化合物、 あるいは検出を可能にするためにラジオアイ ソトープで原子を置換した化合物を設計、合 成を行い、種々の有用な化合物を得た。
 このようなプローブ化合物は、後述した通 、「糖取り込み亢進剤」の作用標的分子、 用メカニズムを解明するために有用である さらに、これらのプローブ化合物は新たな 糖取り込み亢進剤」を得るためのスクリー ングに用いることが可能であり、有用であ 。

「プローブ化合物」の設計として、リンカ ー構造を介して、担体、容器などの固相に固 定し検出する方法や結合の検出に有用な残基 を持ち検出する方法が一般的に知られている 。しかしながら、リンカー部分の結合位置に よっては「プローブ化合物」の母核となる化 合物本来の活性を失うことが一般的に知られ ている。本発明者らは、固相(容器、担体な )に固定可能な残基あるいは検出に有用な残 を有し、かつ化合物本来が有する「糖取り み亢進剤」の活性を失活することのない化 物を設計、合成することを可能にし、「プ ーブ化合物」を見出すに至った。

(作用標的分子)
 本発明者らはさらに、特許文献1~4に記載の 糖取り込み亢進剤」の作用標的分子を同定 るため、さらに研究を行い、上述した「プ ーブ化合物」を用いて、それらが結合する 胞内の蛋白質の探索を進めた。まず、「プ ーブ化合物」の一例として、特許文献3に記 載の、強い糖取り込み活性を有する化合物1( 述の実施例1の化合物)に対し、トリチウム 子を含むラジオアイソトープ標識体を合成 、「糖取り込み亢進剤」が作用する培養動 細胞の細胞膜に対する結合能を測定した。 糖取り込み亢進剤」の培養動物細胞への作 は、具体的にはヒト肝臓由来のHLF細胞を用 、作用の指標としてAktのリン酸化作用を測 した。化合物1のAktリン酸化作用とラジオア ソトープ標識体の結合活性はほぼ同程度の 度において飽和的に見られたことから、ラ オアイソトープ標識体が結合した蛋白質は 「糖取り込み亢進剤」の糖取り込み、Aktリ 酸化が生じるための作用標的分子の1つであ ることが非常に強く示唆された。

 この結合蛋白質(「作用標的分子」)の種 を同定するために、鋭意研究を行った。そ 結果、HLF細胞の細胞膜から界面活性剤を用 て細胞膜上の蛋白質を可溶化したところ、 発明者らは、可溶化した蛋白質中にラジオ イソトープ標識体が高い親和性で結合する 白質が存在することを見出した。さらに、 用標的分子に対する結合能を有する低分子 ローブのうち、担体に結合可能な、リンカ 構造の末端にアミノ基を有する化合物2(後述 の実施例2の化合物)を選択し、本化合物を結 した担体を用いたアフィニティークロマト ラフィーを行い、上記化合物1と同等に強い 糖取り込み活性、Aktリン酸化活性を有する化 合物4によって溶出を行ったところ、SDSポリ クリルアミドゲル電気泳動において35-36KDa付 近に泳動される蛋白質を見出し、分子量およ び抗体の反応性、その部分アミノ酸配列情報 より、本蛋白質が3量体GTP結合蛋白質βサブユ ニットであることを突き止めた。3量体GTP結 蛋白質βサブユニットは細胞内においては他 のサブユニットであるα、γサブユニットと 合した3量体構造として存在し、またある状 下ではγサブユニットとの2量体として存在 る(非特許文献3:Wettschureckら、Physiological Revi ews、85、1159、(2005))。すなわち、「糖取り込 亢進剤」は3量体GTP結合蛋白質βサブユニッ 、あるいはβサブユニットを含む3量体、あ いは2量体と結合し、これらの複合体を含め 糖取り込み亢進剤」の作用標的分子が3量体 GTP結合蛋白質βサブユニットであることを見 した。

 本発明者らはさらに、3量体GTP結合蛋白質 βサブユニットを、あるいはγサブニット、 るいはα、γ両サブユニットとともに動物細 、昆虫細胞に発現させ、その抽出物、ある は精製した蛋白質に対して、化合物1のラジ オアイソトープ標識体が結合することを見出 した。さらに本発明者らは鋭意検討を重ねた 結果、抽出あるいは精製した当該蛋白質と「 プローブ化合物」との結合に対する影響、阻 害活性を測定することにより、新たな「糖取 り込み亢進剤」をスクリーニング、あるいは 製造できることを見出し本発明を完成させる に至ったのである。

 本発明者らはさらに上記方法を用いて検 することが可能であった、3量体GTP結合蛋白 質βサブユニットに結合する化合物が、その 合活性の強さに非常に良く相関して、細胞 対してAktリン酸化作用、糖取り込み作用を き起こすことを見出した。このように、上 方法を用いて検出することが可能である、3 量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合する 合物が糖取り込み亢進作用を示すことは、 れまでに知られていない全く新しい知見で り、本発明は3量体GTP結合蛋白質βサブユニ トに結合することを特徴とする血糖降下剤 すなわち糖尿病治療薬を提供するものであ 。

〔2〕本発明に係る作用メカニズム
 本発明者らは上記知見をもとに、さらに「 取り込み亢進剤」の作用メカニズムの解明 行った。その結果、まず、阻害剤を用いた 々の検討によるデータから、「糖取り込み 進剤」の作用メカニズムにフォスフォイノ タイド3-キナーゼのうちβあるいはδサブタ プが関与する知見を得た。フォスフォイノ タイド3-キナーゼβは3量体GTP結合蛋白質βサ ブユニットに結合し、その酵素作用が亢進す ることが報告されていることから(非特許文 4:Maierら、Journal of Biological Chemistry、274、293 11、(1999))、本発明者らは、3量体GTP結合蛋白 βサブユニットに結合する「糖取り込み亢進 剤」が、3量体GTP結合蛋白質βサブユニットを 介してフォスフォイノシタイド3-キナーゼβ 活性を亢進する可能性を見出した。

3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合する 化合物はこれまでいくつか報告されている。 例えばScottらは、Ser-Ile-Arg-Lysという配列を含 、あるいはそれに類似するペプチドについ 報告しており(非特許文献5:Scottら、The EMBO  Journal、20、767、(2001))、またBonacciらは上記結 ペプチド、およびその結合構造をもとにデ インしたファルマコフォアーをもとに新た 3量体GTP結合蛋白質βサブユニット結合化合 を見出したことを報告している(非特許文献 6:Bonacciら、Science、312、443、(2006))。Bonacciらは 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合する 複数の化合物が、異なる生理作用を示すこと を報告しており、3量体GTP結合蛋白質βサブユ ニットへの結合の仕方によって、異なる生理 作用を示すことを報告している。このことは 、3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合す る化合物は、その結合位置、およびその後に 生じる生理作用の違いによって、様々な生理 活性を示しうること、その生理作用は鋭意検 討を行った結果によってのみ見いだしうるこ とを明らかにしている。本発明者らは、上記 「糖取り込み亢進剤」について鋭意検討を行 い、また3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに 結合することが報告されている(非特許文献6) 化合物M201(以下N-deacetylcolchicine)についての生 活性を比較したところ、下記の知見を得た
i)「糖取り込み亢進剤」は糖取り込み活性を すがN-deacetylcolchicineは示さない。
ii)「糖取り込み亢進剤」はAktのリン酸化を示 すがN-deacetylcolchicineは示さない。
iii)「糖取り込み亢進剤」とN-deacetylcolchicineの 3量体GTP結合蛋白質βサブユニット結合に対す る結合は互いに競合しない。
iv)「糖取り込み亢進剤」はフォスフォイノシ タイド3-キナーゼβの活性の亢進作用を3量体G TP結合蛋白質βサブユニット存在下で示すの 対し、N-deacetylcolchicineはフォスフォイノシタ イド3-キナーゼγの活性の亢進作用を3量体GTP 合蛋白質βサブユニット存在下で示すこと 報告されている。(しかしながら、本発明で 施した限りでは、報告されているような亢 作用は見られなかった。)
 上記の知見より、本発明者らは、3量体GTP結 合蛋白質βサブユニットに結合する「糖取り み亢進剤」が、3量体GTP結合蛋白質βサブユ ットを介したフォスフォイノシタイド3-キ ーゼβの活性亢進作用を示すという結論に達 した。

フォスフォイノシタイド3-キナーゼβはイン リンによる糖取り込み作用に関与すること 報告されており(非特許文献7:Asanoら、Journal  of Biological Chemistry、275、17671、(2000))、フォ フォイノシタイド3-キナーゼβによって生成 れた細胞膜上のファスファチジルイノシト ル-[3,4,5]-3リン酸(以下PtdIns[3,4,5]P 3 )に対するAktの結合、さらにSer473位のリン酸 によってAktの活性化が生じることは広く知 れているシグナル伝達経路であり、Aktリン 化は糖取り込みの上流のシグナルと広く認 されている(非特許文献2)。また、前述した うにフォスフォイノシタイド3-キナーゼβは3 量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合し、 の酵素作用が亢進することが報告されてい (非特許文献4:Maierら、Journal of Biological Chem istry、274、29311、(1999))。すなわち、本発明者 は上記発明の結果、および上記一般的な情 を総合的に勘案し、「糖取り込み亢進剤」 糖取り込み作用メカニズムの1つが、3量体GT P結合蛋白質βサブユニットに結合し、フォス フォイノシタイド3-キナーゼの酵素活性を亢 することであることを見出し、本発明を完 させるに至った。3量体GTP結合蛋白質βサブ ニットとフォスフォイノシタイド3-キナー との協奏作用の測定法は、すでに多くの報 によって一般的に知られており(非特許文献4 、非特許文献10:Kerchnerら、Journal of Biological  Chemistry、279、44554、(2004))、本発明は、3量体GT P結合蛋白質βサブユニットに結合し、フォス フォイノシタイド3-キナーゼの酵素活性を亢 する化合物が「糖取り込み亢進剤」として 作用をなし得るという結果を得たことによ 、3量体GTP結合蛋白質βサブユニットとフォ フォイノシタイド3-キナーゼの結合を亢進 る化合物を検出することを特徴とする糖尿 治療化合物のスクリーニングが可能である とを開示するものである。

 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結合 、フォスフォイノシタイド3-キナーゼの酵 活性を亢進する化合物が糖取り込み亢進作 を示すことは、これまでに知られていない く新しい知見であり、さらにこのような活 を示す化合物はこれまでには知られていな 。本発明は3量体GTP結合蛋白質βサブユニッ に結合し、フォスフォイノシタイド3-キナー ゼの酵素活性を亢進することを特徴とする血 糖降下剤、すなわち糖尿病治療薬を提供する ものである。

 以下、本発明のプローブ化合物、治療剤、 クリーニング方法などについて詳細に説明 る。
〔3〕本発明のプローブ化合物
 本発明のプローブ化合物は、上記一般式(I) 示される化合物またはその製薬学的に許容 れる塩である。一般式(I)で表されるラクタ 化合物のうち、-X-及び-Y-が共に水素原子以 であり、Qがビオチン、発蛍光団、発色団、 化学発光官能基、または酵素であり、置換基 を有してもよい場合の置換基がビオチン標識 、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標識 、あるいは酵素標識されていない、上記(14) 載のラクタム化合物またはその製薬学的に 容される塩がより好ましい。その中でも、Q ビオチンが好ましい。

 また、一般式(I)で表されるラクタム化合物 うち、-X-及び-Y-が共に水素原子以外であり Qが水素原子、またはジアゾ基、アジド基で あり、置換基を有してもよい場合の置換基が ビオチン標識、発蛍光団標識、発色団標識、 化学発光標識、あるいは酵素標識されていな い、上記(14)記載のラクタム化合物またはそ 製薬学的に許容される塩がさらに好ましい その中でも、Yは、-NH-、Qは水素原子が好ま い。
 また、一般式(I)で表されるラクタム化合物 うち、Xが水素原子であり、少なくとも一般 式(I)内の1つ以上の原子が放射線同位体であ 上記(14)記載のラクタム化合物またはその製 学的に許容される塩が特に好ましい。その でも、R 1 が置換基を有してもよい低級アルキル基を有 し、そのうちの1つ以上の原子が放射性同位 であることが好ましい。
 これらの化合物は、例えば、特許文献1~4に 載の公知の調製方法に従い合成することが 能である。放射性標識は、例えば 3 H、 14 C、 125 I、 32 P、 33 P、 35 S等のラジオアイソトープを分子内に有する 合物を表し、これらラジオアイソトープを む化合物を原料として用いることで調製す ことが可能であり、一つの例としてはNaBH 4 の代わりにNaB 3 H 4 を用いて化合物の還元反応を行うことによっ て調製可能である。また、発蛍光団標識は、 例えばフルオロセイン、クマリン、ローダミ ン、テキサスレッド、Cy3、Cy5、Alaxa化合物等 例えばHandbook of Fluorescent Probes and Research Products, Ninth Edition(Richard P. Haugland著, Molecu lar Probes社版)に記載の蛍光を有する化合物を 、目的の化合物の原料となる化合物のアミノ 基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等 に反応させ結合することにより調製可能であ る。発色団標識は、例えばニトロベンゼン、 ニトロアニリン、アミノピリジン等の置換芳 香環、置換複素芳香環を有する残基、あるい はピレン、アクリジン等の高度に共役した芳 香環、複素芳香環を有する残基等、好ましく は230nm以上の高波長の極大値におけるモル吸 係数(log 10 ε)が3.5以上、より好ましくは4.0以上である残 基を含む吸光性の高い化合物、あるいは色素 化合物を、化学発光標識は、例えばルシフェ リン等の酵素存在下で発光反応を示す化合物 あるいはルミノールなどの金属イオン存在下 で発光反応を示す化合物等、酵素標識は、例 えばアルカリフォスファターゼ、パーオキシ ダーゼ、βガラクトシダーゼ等の酵素を、上 発蛍光団標識と同様の方法、あるいはクロ リンカー化合物を用いて分子間に架橋を行 ことによって調製可能である。

 上記(14)~(23)記載の化合物は、「糖取り込 亢進剤」の「作用標的分子」の解析、「作 メカニズム」の解明のための「プローブ分 」として有用である。また、これらの化合 は、上記(1)~(7)に記載した「血糖降下作用化 合物」を取得する方法・スクリーニング方法 に利用可能である。なお、上記(24)に記載の 合物は、上記(14)~(23)に記載の化合物の中間 として有用である。上記(14)~(24)に記載の化 物は、特許文献1~4の記載および当業者の技 常識(例えば、公知の有機合成法)に基づいて 容易に製造することができる。

〔4〕本発明のスクリーニング方法
 次に、本発明は、(1)上記一般式(I)で示され 化合物(当該化合物)及び3量体GTP結合蛋白質 サブユニット(当該蛋白質)を用いて、当該化 合物と当該蛋白質の結合に対する被検物質の 阻害活性を測定することによって、血糖降下 作用化合物をスクリーニングする方法を提供 する。
 さらに、本発明は、(5)
 (A)上記一般式(I)で示される化合物(当該化合 物)と3量体GTP結合蛋白質βサブユニット(当該 白質)とを接触させる工程、
 (B)被検物質の存在下、当該化合物と当該蛋 質とを接触させる工程、および
 (C)当該化合物と当該蛋白質の結合に対する 検物質の阻害活性を測定する工程、
を含む血糖降下作用化合物をスクリーニング する方法を提供する。
 ここで、「3量体GTP結合蛋白質βサブユニッ 」とは、単量体でも良く、γサブユニット の2量体でも良く、またα、γ両サブユニット との3量体でも実質的にβサブユニットを有し ていれば良い。3量体GTP結合蛋白質βサブユニ ットはいかなる生物由来のものでも良く、例 えばヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウ サギ由来のものなどが挙げられる。また、3 体GTP結合蛋白質βサブユニットは自然界に存 在する細胞、組織から抽出したものでも良い が、遺伝子工学的手法を用いて細胞、組織に 発現させたものを抽出して用いても良く、さ らに未精製のものを用いても良いが、精製し たものでも良い。3量体GTP結合蛋白質βサブユ ニットの精製法は、自然界に存在する3量体GT P結合蛋白質βサブユニットの精製法の一例と しては、Sternweisら(非特許文献8:Sternweisら、Jou rnal of Biological Chemistry、259、13806、(1984))の 告した方法等が挙げられる。遺伝子工学的 作成した3量体GTP結合蛋白質βサブユニット 精製法の一例としては、Kozasaら(非特許文献9 :Kozasaら、Journal of Biological Chemistry、270、1734 、(1995))の報告した方法等が挙げられるが、 れらに限定されるものではない。 

 さらに、3量体GTP結合蛋白質βサブユニット 1~5のサブタイプが存在するが、いずれのサ タイプでも構わない。自然界に存在する3量 体GTP結合蛋白質βサブユニットは、それぞれ 種に対して報告されているアミノ酸配列の のを用いることが出来るが、アミノ酸の変 が起こっているものでも、実質的な活性を っているものであれば構わない。アミノ酸 列の一例としては、配列番号:16、20、24、28 たは32に記載のものが挙げられるが、これ に限定されるものではない。例えば、配列 号:16、20、24、28または32に記載のアミノ酸配 列に対して、例えば、80%以上、90%以上、95%以 上、97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を 有する蛋白質、配列番号:16、20、24、28または 32に記載のアミノ酸配列において、1~数個(例 ば、6個)のアミノ酸が欠失・置換・付加し アミノ酸配列を有する蛋白質なども本発明 おいて使用可能である。
 遺伝子工学的手法を用いて取得した3量体GTP 結合蛋白質βサブユニットは、それぞれ報告 れているアミノ酸配列のものをそのまま使 することも出来るが、遺伝子変異により適 アミノ酸配列の変異を行ったものであって 、実質の活性を保っているものであれば使 可能である。さらに、3量体GTP結合蛋白質α β、γのサブユニットのうちいずれかあるい は複数のサブユニットのアミノ末端、カルボ キシ末端あるいはアミノ酸配列の途中部分に 、検出あるいは精製を容易にするためのアミ ノ酸配列、具体例としてヒスチジン残基ある いはその連続配列(poly-His)、c-Myc部分ペプチド (Myc-tag)、hemagglutinin部分ペプチド(HA-tag)、Flag 分ペプチド(Flag-tag)、グルタチオン-S-トラン フェラーゼ(GST)、マルトース結合蛋白質(MBP) 等の配列を有するアミノ酸配列を挿入したも のでも構わない。

 また、遺伝子工学的手法を用いて3量体GTP結 合蛋白質βサブユニットを得る際には、動物 胞、昆虫細胞、大腸菌等の細菌等の細胞を い、適切なプロモーターを有するベクター 当該遺伝子を導入し、細胞に導入、培養を うことにより得ることが可能である。ある は、大腸菌抽出物、小麦胚芽抽出物などを いた無細胞系の蛋白質発現系を用いること 可能である。さらに、本明細書記載の3量体 GTP結合蛋白質βサブユニットとは、当該蛋白 にビオチン化、フルオレセイン等の蛍光物 による標識、Euキレート標識、発色団、発 団、酵素標識、 125 I、トリチウム等のラジオアイソトープ標識 あるいは固相(容器、担体など)に対して結合 が容易になるようなヒドロキシスクシイミド 残基、ビニルピリジン残基等を含む化合物を 結合等の修飾をしたものを含み、修飾はβサ ユニット自体でも良いが多量体として存在 るα、γいずれのサブユニットでも良い。

 上記(A)に記載の工程は、具体的には上記 般式(I)で示される化合物(以下、「当該化合 物」という)と3量体GTP結合蛋白質βサブユニ ト(以下、「当該蛋白質」という)を液相上で 、あるいはいずれか一方、あるいは両方を固 相(例えば、容器、担体)に固定して、両者を 触させる工程である。化合物の固相への固 は、例えば、ビオチン基を有する化合物を トレプトアビジンを固相化した固相に結合 る方法、アミノ基を有する化合物をアミノ と反応する例えばヒドロキシスクシイミド 等を表面に有する固相への結合、カルボキ ル基を有する化合物をカルボキシル基と反 する例えばヒドラジン基等を表面に有する 相への結合、チオール基を有する化合物を オール基と反応する例えばビニルピリジン 等を表面に有する固相への結合、等を行う とによって可能であるが、これ以外の方法 も一般的に用いられている化合物の固相へ 固定法を用いて行うことが可能である。ま 、当該蛋白質の固相(例えば、容器、担体) の固定は、例えば、静電引力や分子間力を 用したポリスチレン樹脂、ガラスをはじめ する素材で作られた固相に対する吸着、ビ チン化した当該蛋白質をストレプトアビジ を固相化した固相に結合する方法、3量体GTP 合蛋白質βサブユニットあるいは多量体と て存在するα、γ各サブユニットに対する抗 を固相化した固相に結合する方法、poly-His Myc-tag、HA-tag、Flag-tag、GST、MBP等の当該蛋白 に付加したアミノ酸配列に対する抗体を固 化した固相に結合する方法、poly-Hisを付加し た当該蛋白質の金属キレートを表面に有する 固相に結合する方法、GSTを付加した当該蛋白 質のグルタチオンを表面に有する固相に結合 する方法、MBPを付加した当該蛋白質のマルト ースなどの糖を表面に有する固相に結合する 方法、等が一例として挙げられるが、これ以 外の方法でも一般的に用いられている蛋白質 の固相(例えば、容器、担体)への固定法を用 て行うことが可能である。

 さらに当該蛋白質と当該化合物の接触過 は、それらを含む溶液、固定化された担体 チューブやマルチウェルプレート等の容器 で混合することによって可能であり、また 用する容器の固相上に当該蛋白質あるいは 該化合物を固定化したものに対し、当該蛋 質あるいは当該化合物を含む溶液、当該蛋 質あるいは当該化合物を固定化した担体を む溶液を加えることによって可能である。

 上記(B)に記載の工程は、具体的には上記( A)の当該蛋白質と当該化合物を接触させる際 、被検物質(あるいは被検物質を含む化合物 混合物)を作用させる工程である。被検物質( るいは被検物質を含む化合物混合物)の添加 は、(A)の工程の次に行っても、(A)の工程の前 に行っても、また(A)の工程と同時に行っても 良い。

 上記(C)に記載の工程は、具体的には、液 の、あるいは固相(例えば、容器、担体)に 定した当該化合物と、液相の、あるいは固 に固定した当該蛋白質との結合を、被検物 (あるいは被検物質を含む化合物混合物)の添 加の有無の各状態において測定し、添加によ るその結合の変化を比較することによって、 当該化合物と当該蛋白質との結合に対する、 被検物質(あるいは被検物質を含む化合物混 物)の阻害作用を評価する工程である。当該 合物と当該蛋白質の結合の測定法としては 両者を分離した後測定する方法と、両者を 離せずに測定する方法が挙げられる。

 両者を分離する方法としては、ゲルろ過 アフィニティー樹脂、イオン交換樹脂など カラム法、遠心分離、洗浄等の方法が一例 して挙げられる。例えばゲルろ過、アフィ ティー樹脂、イオン交換樹脂などのカラム によって液相中の当該蛋白質を液相より分 し、当該蛋白質に結合した当該化合物の量 測定することができる。当該化合物、当該 白質のうち一方を固相(容器、担体など)に 定している場合には、遠心分離、洗浄、分 、沈殿等の操作を行うことによって、一方 固定されている固相(容器、担体など)を液相 と分離することが可能であり、分離後に固相 (容器、担体など)に結合している当該化合物 るいは当該蛋白質の量を測定することによ 直接的に、あるいは液相に残った当該化合 あるいは当該蛋白質の量を測定することに り間接的に、両者の結合量を測定すること 可能である。液相で当該化合物と当該蛋白 を分離する方法としては、いずれかに反応 る特異的な蛋白質、あるいは抗体を利用し 、免疫沈降法を用いる方法の他、ゲルろ過 アフィニティー樹脂、イオン交換樹脂など カラム法、遠心分離、洗浄等の方法等が挙 られる。また、分離後に結合した当該化合 あるいは当該蛋白質の量を測定することに り直接的に、あるいは両者が結合した画分 ら分離された画分に含まれる当該化合物あ いは当該蛋白質の量を測定することにより 接的に、両者の結合量を測定することが可 である。

 結合した、あるいは溶液中に含まれる当 化合物量の測定は、例えば上記(1)~(4)に記載 の化合物のように、ビオチン標識、放射性標 識、発蛍光団標識、発色団標識、化学発光標 識、あるいは酵素標識された化合物を用いる ことで行うことが可能である。ビオチン標識 された化合物量の測定は、例として、アビジ ンあるいはストレプトアビジンあるいはそれ らの変異体蛋白質であってビオチンと高い親 和性をもって結合する蛋白質を用い(以下ア ジン類)、例えば放射性原子、蛍光団、発光 、酵素等の検出が容易な標識を行ったアビ ン類と化合物に含まれるビオチンと結合後 測定することが可能である。放射性物質の 定は、シンチレーションカウンター、ガン カウンター、GM計測器などの一般的な放射 を測定する装置を用いて測定することが可 である。蛍光物質の測定は蛍光測定装置、 色物質の測定は吸光光度計、発光物質の測 は発光測定装置を用いて行うことが可能で る。また、酵素で標識された化合物の測定 、その酵素による反応によって発色、蛍光 発光を生じるような化合物に変化する化合 を利用することにより容易に行うことが可 である。

 結合した、あるいは溶液中に含まれる当該 白質量の測定は、一例として下記の方法で うことが可能である。例えば、ビオチン化 フルオレセイン等の蛍光物質による標識、E uキレート標識、発色団標識、発光団標識酵 標識、 125 I、トリチウム等のラジオアイソトープ標識 の標識を行った当該蛋白質は、上記に記載 た方法と同様にして測定することが可能で る。また、ビオチン化した当該蛋白質に対 るストレプトアビジン等の蛋白質を利用、3 体GTP結合蛋白質βサブユニットあるいは多 体として存在するα、γ各サブユニットに対 る抗体を利用、poly-His、Myc-tag、HA-tag、Flag-ta g、GST、MBP等の当該蛋白質に付加したアミノ 配列に対する抗体を利用、poly-Hisを付加した 当該蛋白質に対する金属キレートを有する分 子の利用、GSTを付加した当該蛋白質に対する グルタチオンを有する分子の利用、MBPを付加 した当該蛋白質に対するマルトースなどの糖 を有する分子の利用、等を行うことにより、 免疫沈降法、ウェスタンブロット法、酵素免 疫固相アッセイ法(Enzyme-linked immuno-sorbent assa y:ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法等のサン ウィッチ法により、測定することが可能で る。

 両者を分離しない方法としては、具体的 はシンチレーション・プロキシミティ・ア セイ法(Scintilation Proximity Assay: SPA法)、蛍 共鳴エネルギー転移法(Fluorescence Resonance Ene rgy Transfer: FRET法)、AlphaScreen法等が代表例と て挙げられる。上記SPA法としては、ラジオ イソトープ標識した当該化合物の、シンチ ーション分子を含む担体、容器に直接ある は間接的に結合させた当該蛋白質との結合 、シンチレーションカウンターあるいはCCD メラ等の測定機器を用いて測定する方法が 表例として挙げられる。また、同様の原理 用いたImaging beads法、Flashplate法等もこの範 に含まれる。上記FRET法としては、当該化合 物に蛍光物質を直接あるいは間接的に結合し 、当該蛋白質にも蛍光物質を直接あるいは間 接的に結合し、当該化合物と当該蛋白質との 結合によって生じる両蛍光物質間での共鳴エ ネルギー転移によって生じる蛍光の強度を測 定する方法が代表例として挙げられ、時間分 解蛍光測定法を用いた、Eu、Sm、Tbなどのラン タン原子イオンを含むキレートを利用したTR- FRET法等もこの範囲に含まれる。AlphaScreen法と しては、当該化合物、当該蛋白質ともそれぞ れ別の種類の担体に直接あるいは間接的に結 合し、両者の結合によって生じる両担体の空 間的な接近を、光照射によって一方の担体( ーズ)から産生される一重項酸素の、他方の 体(ビーズ)との反応による発光反応を測定 る方法等が代表例として挙げられる。

 より具体的な一例としては、γサブユニ トにMyc-tag配列を付加した3量体GTP結合蛋白質 βγサブユニット2量体と、トリチウム標識し 化合物1の接触を、96穴マルチウェルプレー を用い、抗Myc抗体(マウス由来モノクローナ ル抗体)および抗マウスイムノグロブリン抗 固定化SPAビーズ存在下において、被検物質 在下/非存在下で結合反応を行い、一定時間 過後シンチレーションカウンターを用いて3 量体GTP結合蛋白質βγサブユニット2量体と、 リチウム標識した化合物1との結合量を測定 し、被検物質存在下/非存在下でのカウント の比較を行うことによって、被検物質によ 当該化合物と当該蛋白質との結合に対する 害作用を測定する方法が挙げられる。

 本発明においては、当該化合物と当該蛋白 の結合に対する被検物質の阻害活性を測定 る手法は特に限定されないが、例えば、次 ような方法が例示される。
 (5a)固相に固定化した当該蛋白質に、被検物 質の存在下または不存在下に当該化合物を接 触させ、固相に結合した当該化合物の量を測 定することによって、当該化合物と当該蛋白 質の結合に対する被検物質の阻害活性を測定 する、上記(5)に記載の方法。
 (5b)固相に固定化した当該化合物に、被検物 質の存在下または不存在下に当該蛋白質を接 触させ、固相に結合した当該蛋白質の量を測 定することによって、当該化合物と当該蛋白 質の結合に対する被検物質の阻害活性を測定 する、上記(5)に記載の方法。
 (5c)被検物質の存在下または不存在下に、当 該化合物と当該蛋白質を接触させ、当該蛋白 質と当該化合物の結合量を測定することによ って、当該化合物と当該蛋白質の結合に対す る被検物質の阻害活性を測定する、上記(5)に 記載の方法。
 なお、上記(5a)~(5c)の方法では、例えば、被 物質の存在下で接触させた場合の結合量と 被検物質の不存在下で接触させた場合の結 量とを比較することによって、当該化合物 当該蛋白質の結合に対する被検物質の阻害 性を測定することができる。

なお、上記「血糖降下作用のスクリーニン グ」とは、構造が既知、あるいは不明の化合 物、あるいは化合物の混合物を用い、その方 法にしたがった操作を行うことにより、目的 とする活性を有する化合物を取得、特定し、 結果として血糖降下作用を示す化合物を取得 、特定する方法を表す。

 上記(5a)に記載の方法は、具体的には、当 該蛋白質を容器、担体等の固相に固定化し、 被検物質あるいは被検物質を含む化合物混合 物を作用させ、同時にあるいはその前後に当 該化合物を作用させ、固相に結合した当該化 合物の量を測定する方法を表す。その一例と しては、当該蛋白質として、3量体GTP結合蛋 質βサブユニットとMyc-tag配列を付加した3量 GTP結合蛋白質γサブユニットの複合体を、 Myc-tag抗体、抗マウス抗体を介して、SPAビー に固定化し、当該化合物として、トリチウ 標識した化合物1を用いて、被検物質の存在 /非存在下での両者の結合を測定することに って、被検物質による両社両者の結合に対 る阻害活性を測定する方法が挙げられる。

 上記(5b)に記載の方法は、具体的には、当 該化合物を容器、担体等の固相に固定化し、 被検物質あるいは被検物質を含む化合物混合 物を作用させ、同時にあるいはその前後に当 該蛋白質を作用させ、固相に結合した当該蛋 白質の量を測定する方法を表す。その一例と しては、当該化合物として、リンカー構造の 末端にアミノ基を有する化合物2をヒドロキ スクシイミド基が結合している担体に化学 応を用いて固定化し、当該蛋白質として、3 体GTP結合蛋白質βサブユニットを含む細胞 の抽出物を用いて、当該化合物が結合した 体のカラムに当該蛋白質を結合し、被検物 を含む溶液をそのカラムに流すことによっ 溶出される当該蛋白質量を、ウェスタンブ ット法を用いて測定するすることによって 間接的に結合している当該蛋白質量を測定 る方法が挙げられる。

 上記(5c)に記載の方法は、具体的には、当 該蛋白質に被検物質あるいは被検物質を含む 化合物混合物を作用させ、同時にあるいはそ の前後に当該化合物を作用させ、当該蛋白質 と当該化合物の結合量を測定する方法を表す 。その一例としては、当該蛋白質として、3 体GTP結合蛋白質βおよびγサブユニットを同 に発現させた動物細胞の抽出液、あるいは3 量体GTP結合蛋白質α(poly-His配列を含む)、βお びγ(Myc-tag配列を含む)サブユニットを同時 発現した昆虫細胞の抽出物あるいは精製し βγ2量体を用い、当該化合物として、トリチ ウム標識した化合物1を用いて、被検物質の 在/非存在下で両者を結合後、ゲルろ過を用 て当該蛋白質を含む高分子画分を回収し、 の画分に含まれる放射活性を測定すること よって当該化合物の量を測定し、被検物質 よる両者の結合に対する阻害活性を測定す 方法が挙げられる。

 ただし、これらのスクリーニング法は、 なる例示であり、本発明の範囲はこれに限 れるものではない。

 また、本発明は、(6)3量体GTP結合蛋白質β ブユニットを実質的に含む細胞、組織ある はそれらの抽出物あるいは抽出液を用い、 該化合物と3量体GTP結合蛋白質βサブユニッ の結合に対する被検物質の阻害活性を測定 ることによって血糖降下作用化合物をスク ーニングする、上記(1)~(4)のいずれかに記載 の方法を提供する。

 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットを実質 に含む細胞、組織とは、いかなる種類の生 由来のものでも良く、いかなる組織、細胞 も良い。自然界に存在する組織、細胞でも いが、遺伝子工学的な手法で3量体GTP結合蛋 白質βサブユニット、あるいはそれと結合し る蛋白質を共発現させた動物細胞、昆虫細 、細菌いずれを用いても構わない。それら 抽出物とは、例えば細胞膜、マイクロソー 、核、ゴルジ体等の細胞分画物、あるいは イトゾールを表し、抽出液とは、細胞その のあるいは前記抽出物から、ホモジナイズ 超音波処理、界面活性剤処理、バッファー 出等の操作を行った溶液を表す。

 さらに、本発明は、(7)
 (A)3量体GTP結合蛋白質βサブユニットを固相 固定する工程、
 (B)該3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに被 物質を接触させる工程、および
 (C)一般式(I)で示された化合物(例えば、実施 例1~実施例10記載の化合物)に結合する化合物 あるいは酸、塩基、変性剤等を加えた溶液 用いて、結合した化合物を溶出する工程を 次行うことによって血糖降下作用化合物を クリーニングする方法を提供する。

上記工程(A)、(B)に関しては、上記(5)で述べた とおりである。上記工程(C)によって、容器、 担体等の固相に固定した当該蛋白質に結合し た化合物を、一般式(I)で示された化合物のう ち当該蛋白質に実質的に結合する化合物を添 加することにより競合的に、あるいは酸、塩 基、変性剤等を加えた溶液を用いて当該蛋白 質と結合した血糖降下作用化合物との親和性 を弱めることにより、結合した血糖降下作用 化合物を取得することが可能である。
 例えば、上記のように合成された化合物な びに化合物の混合物からなる調製物につい 、上記(1)~(7)記載の方法を用いて、活性の高 い血糖降下作用化合物を取得することが可能 である。すなわち、上記(1)~(7)記載の方法を いて、活性の高い血糖降下作用化合物を取 する、あるいは活性の強さの異なる化合物 混合物中からより活性の高い血糖降下作用 合物を取得することが可能であり、この方 を用いて、より有効な血糖降下作用化合物 取得することが可能である。

 上記スクリーニング方法によって得られ 、より有効な血糖降下作用化合物は、単一 ある場合、混合物である場合いずれにおい も、そのまま薬剤の原料として使用するこ が可能である。また、上記スクリーニング 法によって得られる化合物の量が少ない場 は、得られた化合物の構造を特定し、その 造式に従って再合成することにより、より くの化合物を得ることが可能である。

〔5〕本発明の治療剤
 本発明の概要の項で述べたように、本発明 らは3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに結 する化合物が、その結合活性の強さに非常 良く相関して、細胞に対してAktリン酸化作 、糖取り込み作用を引き起こすことを見出 た。このように、上記方法を用いて特定す ことが可能である、3量体GTP結合蛋白質βサ ユニットに結合する化合物が糖取り込み亢 作用を示すことは、これまでに知られてい い全く新しい知見である。したがって、本 明は、(8)3量体GTP結合蛋白質βサブユニット 結合することを特徴とする血糖降下作用化 物を有効成分とする糖尿病治療薬を提供す 。
 また、上記したとおり、本発明は、3量体GTP 結合蛋白質βサブユニットに結合し、フォス ォイノシタイド3-キナーゼの酵素活性を亢 する化合物を発見したこと、さらにそのよ な活性を有する化合物がいずれも細胞に対 てAktリン酸化、糖取り込み作用を有するこ を示したものであり、これらの化合物は糖 病治療薬として利用可能な血糖降下作用物 である。したがって、本発明は、(9)3量体GTP 合蛋白質βサブユニットに結合し、フォス ォイノシタイド3-キナーゼの酵素活性を亢進 することを主作用とする血糖降下作用化合物 を有効成分とする糖尿病治療薬をも提供する 。亢進されるフォスフォイノシタイド3-キナ ゼのサブタイプはいずれのものでも良く、 た複数のサブタイプに対してでも良いが、 ましくはサブタイプがβであることが良く より好ましくはβに対して作用を持ち、かつ γに対して作用を持たないものが良い。
 一方、3量体GTP結合蛋白質βサブユニットに し、本明細書で「プローブ分子」として用 た一般式(I)で示された化合物に結合する化 物(例えば、実施例1~実施例10記載の化合物) 同一の結合部位に結合する化合物は、本明 書の実施例に示した事実から、Aktリン酸化 糖取り込み活性を示すことがわかり、この とは本発明における新規な知見である。さ に、GTP結合蛋白質βサブユニットに低分子 合物が結合し何らかの生理反応が起こるこ によって、Aktリン酸化、糖取り込み活性が じることはこれまで全く知られていなかっ 。したがって、本発明は、(10)3量体GTP結合蛋 白質βサブユニットに対し、一般式(I)で示さ た化合物(例えば、化合物1~7)の、当該蛋白 に結合する部位と同一の部位に結合する化 物を有効成分とする糖尿病治療薬をも提供 る。
 ここで、当該蛋白質に対して、当該蛋白質 実質的に結合する一般式(I)で示された化合 の結合部位と同一の部位に結合する化合物 、当該蛋白質に対して両者の結合が実質的 競合することを以って定義することができ 例えば本明細書記載の実施例16、実施例22の 方法を用いて、簡便に試験することが可能で ある。
 なお、本発明の糖尿病治療薬は、糖尿病治 における全く新たなメカニズム(薬理作用) 知見したことを基礎としている。したがっ 、本発明の糖尿病治療薬はこの薬理作用を する化合物を広範に含むものであるが、糖 病治療作用を有することが知られていた公 化合物(例えば、実施例3、5及び6に記載の化 物)を含むものではない。
 また、本発明の糖尿病治療薬は、好ましく 、実施例11に記載の糖取り込み活性の測定 法によって測定された値であって、10μM以下 のEC 50 値を有するものが好ましく、0.1μM以下のEC 50 値がより好ましく、0.01μM以下のEC 50 値を有するものが特に好ましい。

 本発明の治療剤は、例えば、糖尿病、糖 病性末梢神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病 網膜症、糖尿病性大血管症、耐糖能異常、 たは肥満症の予防および/または治療薬とし て使用することができる。この場合、経口投 与、静脈内投与、または経皮投与することが できる。投与量は投与する患者の症状、年齢 、投与方法によって異なるが、有効成分であ る化合物の量として通常0.001~1000mg/kg/日であ 。

 本発明の治療剤は常法により製剤化するこ ができる。製剤の形としては注射剤、錠剤 顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、クリ ム剤、座薬などが挙げられ、製剤用担体と ては、例えば、乳糖、ブドウ糖、D-マンニ ール、澱粉、結晶セルロース、炭酸カルシ ム、カオリン、デンプン、ゼラチン、ヒド キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ ルメチルセルロース、ポリビニルピロリド 、エタノール、カルボキシメチルセルロー 、カルボキシメチルセルロースカルシウム 、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ア チルセルロース、白糖、酸化チタン、安息 酸、パラオキシ安息香酸エステル、デヒド 酢酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガン 、メチルセルロース、卵黄、界面活性剤、 糖、単シロップ、クエン酸、蒸留水、エタ ール、グリセリン、プロピレングリコール マクロゴール、リン酸一水素ナトリウム、 ン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム ブドウ糖、塩化ナトリウム、フェノール、 メロサール、パラオキシ安息香酸エステル 亜硫酸水素ナトリウム等があり、製剤の形 応じて、本発明の化合物と混合して使用さ る。
 さらに、本発明の製剤中における本発明の 効成分の含有量は、製剤の形によって大き 変動し、特に限定されるものではないが、 常は、組成物全量に対して0.01~100重量%、好 しくは1~100重量%である。

〔6〕本発明の他の態様に係るスクリーニン 方法
3量体GTP結合蛋白質βサブユニットとフォスフ ォイノシタイド3-キナーゼとの協奏作用の測 法は、すでに多くの報告によって一般的に られており(非特許文献4、非特許文献10:Kerch nerら、Journal of Biological Chemistry、279、44554、 (2004))、本発明においては、3量体GTP結合蛋白 βサブユニットに結合し、フォスフォイノ タイド3-キナーゼの酵素活性を亢進する化合 物が「糖取り込み亢進剤」としての作用をな し得るという結果を得たことにより、3量体GT P結合蛋白質βサブユニットとフォスフォイノ シタイド3-キナーゼの結合を亢進する化合物 特定することによって血糖降下作用化合物 スクリーニングが可能となる。

 フォスフォイノシタイド3-キナーゼはヘテ 2量体からなる分子であり、その酵素活性サ ユニットの違いにより、α、β、γおよびδ 4種の存在が知られており、すでに記載した おり、そのうちβ、γは3量体GTP結合蛋白質β サブユニット存在下でその活性が上昇するこ とが知られている(非特許文献4)。実施例に示 したとおり、上記(1)~(7)の方法で活性が認め れた化合物は、フォスフォイノシタイド3-キ ナーゼの3量体GTP結合蛋白質βサブユニット存 在下での活性をさらに亢進することが見出さ れ、上記(1)~(7)の方法で活性が認められた化 物がAktリン酸化、糖取り込み作用を引き起 すことから、3量体GTP結合蛋白質βサブユニ トのフォスフォイノシタイド3-キナーゼに対 する酵素活性亢進作用をさらに亢進する化合 物を検知することによって、血糖降下作用化 合物のスクリーニングを行うことが可能であ ることを見出した。
 フォスフォイノシタイド3-キナーゼの活性 によってAktのリン酸化が生じることは広く れており、本発明の3量体GTP結合蛋白質βサ ユニットのフォスフォイノシタイド3-キナー ゼに対する酵素活性亢進作用をさらに亢進す る化合物が、Aktリン酸化、さらに糖取り込み 活性を示すことは想定でき得るが、本発明の ような3量体GTP結合蛋白質βサブユニットのフ ォスフォイノシタイド3-キナーゼに対する酵 活性亢進作用を直接亢進し、さらにAktリン 化、糖取り込み活性を示すような化合物は れまでに全く知られておらず、本発明は3量 体GTP結合蛋白質βサブユニットのフォスフォ ノシタイド3-キナーゼに対する酵素活性亢 作用をさらに亢進する化合物を検出するこ が、血糖降下作用化合物の効果的なスクリ ニングとなりうることを初めて実証したも である。
 したがって、本発明は、(11)3量体GTP結合蛋 質βサブユニットのフォスフォイノシタイド 3-キナーゼに対する酵素活性亢進作用をさら 亢進する化合物を検出することを特徴とす 血糖降下作用化合物のスクリーニング方法 提供する。

 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットのフォ フォイノシタイド3-キナーゼに対する酵素 性亢進作用をさらに亢進する化合物を検出 る具体的な方法としては、例えば実施例に したとおり、Maierら(非特許文献4)、Kerchnerら( 非特許文献10)によって報告された方法を用い ることが可能である。この方法は、フォスフ ァチジルイノシトール-[4,5]-2リン酸、および ジオアイソトープ標識したATPを基質として 反応によって生じたファスファチジルイノ トール-[3,4,5]-3リン酸を定量する方法である が、フォスファチジルイノシトール-[4,5]-2リ 酸の代わりにフォスファチジルイノシトー を基質として用い、生じたフォスファチジ イノシトール-[3]-リン酸を定量する方法(非 許文献11:Leopoldtら、Journal of Biological Chemist ry、273、7024、(1998))等も一般的に行われてお 、本発明の方法は、上記に例示した方法に 定されるものではなく、実質的にフォスフ イノシタイド3-キナーゼの酵素反応によって 生じた生成物を測定できる方法を用いること が出来る。また、ラジオアイソトープ標識し たATPを用いずに、フォスファチジルイノシト ール-[3,4,5]-3リン酸に対する抗体(非特許文献1 2:Dowlerら、Science STKE、L6、(2002))あるいは特異 的に結合する蛋白質(非特許文献13:Choら、Annua l Reviews of Biophysical Biomolecular Structure、34、 119、(2005))を用いて、精製したフォスファチ ルイノシトール-[3,4,5]-3リン酸を定量する方 、反応によって生じたADPを定量する方法な を用いて、フォスフォイノシタイド3-キナ ゼ活性を測定することも可能である。

 また、使用するフォスフォイノシタイド3 -キナーゼはα、β、γ、δいずれのサブタイプ を使用することが可能であるが、好ましくは 3量体GTP結合蛋白質βサブユニットによって酵 素活性が亢進されるβ、γを使用することが 方法として挙げられ、特に好ましくはβサブ タイプを使用することが本方法として挙げら れる。また、使用するフォスフォイノシタイ ド3-キナーゼは細胞、組織から抽出したもの も良く、組み換え体として作成したもので 良く、また精製、あるいは粗精製されたも でも良いが、実質的に目的とする酵素活性 検出できれば未精製のものでも構わない。 た、フォスフォイノシタイド3-キナーゼα、 βおよびδはp85、あるいはp55と呼ばれる制御 ブユニットと、それぞれp110α、βおよびδと ばれる酵素活性サブユニットよりなるヘテ 2量体として存在するが、これらをこのヘテ ロ2量体として用いることが望ましいが、酵 活性サブユニット単体として用いることも 能である。また、フォスフォイノシタイド3- キナーゼγはp101と呼ばれる制御サブユニット と、p110γと呼ばれる酵素活性サブユニットよ りなるヘテロ2量体として存在するが上記と 様である。いずれのサブユニットも、精製 検出等に用いるための人為的なアミノ酸配 を、そのアミノ末端、カルボキシ末端ある は配列の途中に挿入されたものでも、実質 な酵素活性を有するものであれば本発明に 用可能である。

 Bonacciら(非特許文献6)は、N-deacetylcolchicine( 文献中ではM201と記載)について、フォスフォ ノシタイド3-キナーゼγヘテロ2量体の3量体G TP結合蛋白質βサブユニット存在下でのフォ ファチジルイノシトールを基質とした酵素 性を亢進することを報告しているが、実施 21に示したとおり、N-deacetylcolchicineは、フォ フォイノシタイド3-キナーゼγヘテロ2量体 3量体GTP結合蛋白質βサブユニット存在下で フォスファチジルイノシトール-[4,5]-2リン酸 を基質とした酵素活性に対する亢進作用を示 さなかった。さらに、BonacciらはN-deacetylcolchic ineに関するAktリン酸化、糖取り込み活性等に ついては一切報告していない。これに対し、 本明細書記載の「糖取り込み亢進剤」は、フ ォスファチジルイノシトール-[4,5]-2リン酸を 質に用いた場合の、3量体GTP結合蛋白質βサ ユニット存在下でのフォスフォイノシタイ 3-キナーゼの酵素活性を著しく亢進する。 たがって、本発明はフォスフォイノシタイ 3-キナーゼの、より好ましくはフォスフォイ ノシタイド3-キナーゼβに対して、3量体GTP結 蛋白質βサブユニット存在下で活性化する 質が存在すること、またそのような活性を 標にスクリーニングすることにより得られ 化合物がAktリン酸化、糖取り込み活性を引 起こすことを初めて明らかにしたものであ 、その内容、方法を開示するものである。 た、スクリーニング法としてより好ましく 基質としてフォスファチジルイノシトール-[ 4,5]-2リン酸を用いる方法が挙げられるが、上 述した通り、実質的にフォスフォイノシタイ ド3-キナーゼの酵素反応によって生じた生成 を測定する方法を用いることが出来る。

 次に、本発明は、(12)3量体GTP結合蛋白質βサ ブユニットとフォスフォイノシタイド3-キナ ゼの結合を亢進する化合物を検出すること 特徴とする血糖降下作用化合物のスクリー ング方法を提供する。
 実施例25に示したとおり、上記(1)~(7)の方法 活性が認められた化合物は、フォスフォイ シタイド3-キナーゼと3量体GTP結合蛋白質β ブユニットの結合を亢進することが見出さ 、3量体GTP結合蛋白質βサブユニットとフォ フォイノシタイド3-キナーゼとの結合を亢進 する化合物を検出することによって、血糖降 下作用化合物のスクリーニングを行うことが 可能である。
 フォスフォイノシタイド3-キナーゼと3量体G TP結合蛋白質βサブユニットの結合は、一例 して、実施例に示したとおり、両蛋白質の 応後、一方の蛋白質に対する抗体を用いた 疫沈降を行った後、沈降物中に含まれる他 の蛋白質の量を、その蛋白質に対する抗体 用いたウェスタンブロッティング法を用い 測定することが可能である。ただし、上記 法は単なる一例に過ぎず、例えば両蛋白質 抗体を用いたサンドウィッチ法により、測 することが可能である。サンドウィッチ法 具体例としては、酵素免疫固相アッセイ法(E nzyme-linked immuno-sorbent assay:ELISA法)、ラジオイ ムノアッセイ法等が挙げられ、それぞれの蛋 白質をラジオアイソトープ標識、あるいはビ オチン標識しておけば、必ずしも抗体を用い なくても両蛋白質の結合を測定することが可 能である。具体的には、上記〔4〕で示した うに、シンチレーション・プロキシミティ アッセイ法(Scintilation Proximity Assay: SPA法)、 蛍光共鳴エネルギー転移法(Fluorescence Resonance  Energy Transfer: FRET法)(TR-FRET法を含む)、AlphaSc reen法等の方法が挙げられる。

 上記に記載のスクリーニング方法に用い フォスフォイノシタイド3-キナーゼのサブ イプはいずれのものでも良く、また混合物 も良いが、好ましくはサブタイプがβである ことが良く、より好ましくはβに対して作用 持ち、かつγに対して作用を持たないもの 見出す方法がスクリーニング方法として挙 られる。したがって、本発明は(13)フォスフ イノシタイド3-キナーゼのサブタイプがβで あることを特徴とする上記(11)又は(12)に記載 スクリーニング方法をも提供する。

 本発明は、糖尿病治療薬の有効成分とな うる血糖降下作用化合物のスクリーニング を提供するものである。スクリーニングを うためには、(i)3量体GTP結合蛋白質βサブユ ットに対する結合、好ましくは一般式(I)記 の化合物の3量体GTP結合蛋白質βサブユニッ 結合に対する阻害活性を指標にした上記(1)~ (7)に記載の方法、(ii)3量体GTP結合蛋白質βサ ユニットのフォスフォイノシタイド3-キナー ゼに対する酵素活性亢進作用を指標にした上 記(11)に記載の方法あるいは/および両者の結 亢進作用を指標にした上記(12)記載の方法の うち、(i)あるいは(ii)、あるいは(i)と(ii)を組 合わせることで実施可能である。

 さらに上記スクリーニングを実施して見 した所望の活性、機能を有する化合物に対 て、さらに、(iii)糖取り込み作用が検出可 である細胞/組織を用いた糖取り込み作用に する亢進活性、(iv)動物に対して投与した際 の血糖降下作用などの指標を順次測定するこ とにより、本スクリーニング法は完結する。 (iii)で言う、糖取り込み作用が検出可能であ 細胞/組織とは、例えば脂肪組織、脂肪細胞 、前脂肪細胞、筋組織、筋細胞、前筋細胞、 肝組織、肝細胞、前肝細胞等の他、3T3-L1細胞 あるいはそれを分化させた分化3T3-L1細胞、L6 胞、Glut4を発現させた動物細胞等が挙げら るが、実質的に糖の取り込み作用を検出可 である細胞であればいずれの組織/細胞でも い。また、(iv)で言う動物とは、正常の動物 でも良いが糖尿病モデル動物でも良く、動物 の種類としてマウス、ラット、モルモット、 ハムスター、ウサギ、イヌ、サル等が代表例 として挙げられ、人(糖尿病患者、非糖尿病 者)での効果を判定材料にしても良いが、実 可能ないずれの種類の動物であっても構わ い。

 これまで知られている同様の糖取り込み 性を有する血糖降下作用化合物をスクリー ングする方法は、上記(i)、(ii)の知見がこれ までには得られていなかったため、(iii)、(iv) を行うことのみが可能であった。(iii)は細胞 組織を、(iv)は動物を使用する方法であるこ とから、調製のために労力がかかる、調製ご とに値が異なるなど、スクリーニングには不 向きであった。また、膜透過性の低い化合物 、細胞に生理的な何らかの影響、毒性を与え る化合物の評価を行うことは難しく、有望な 新規母核を有する化合物を発見できないリス クが非常に高い。これに対して、(i)、(ii)の 法は、細胞を用いず、常に同じ材料を使用 ることが可能であり、スクリーニング系と て非常に適した方法である。

 以下に、本発明を実施例によりさらに具 的に説明する。しかし、以下に記載するも に限定するものではない。

<実施例1> 化合物1
WO02/44180記載の方法を用いて、工程1、工程2は 実施した。

<工程1> ピロリジン-2、4-ジオン(テトラ ン酸)の合成
 グリシンエチルエステル塩酸塩(54.68g, 0.392m ol)のジクロロメタン溶液(800ml)に、トリエチ アミン(72g, 0.713mmol)を加え0℃に冷却した。3- クロロ-3-オキソブタン酸メチル(48.5g, 0.355mmol )のジクロロメタン溶液(100ml)を30分かけて滴 し、さらに室温で4時間攪拌した。反応終了 、水(1000ml)を加えてジクロロメタン層を分 し、食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで 燥後、溶媒を留去した。ここにメタノール(6 00ml)と活性炭(10g)を加えた。しばらく攪拌し セライトろ過後、溶媒を除去して、3-エトキ シカルボニルメチルアミノ-3-オキソブタン酸 メチル(66.9g, 93%)を黄色油状物として得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=1.17(t, J=7.2Hz, 3H), 3.30(s,  2H), 3.60(s, 3H), 3.83(d, J=5.7Hz, 2H), 4.07(q, J=7 .2Hz, 2H), 8.50(broad t, 1H).

 得られた3-エトキシカルボニルメチルアミ -3-オキソブタン酸メチル(66.9g, 0.33mol)にメタ ノール(40ml)とトルエン(400ml)を加え、よく攪 しながら、28%-ナトリウムメトキシド/メタノ ール溶液(70g, 0.363mol)を滴下し、65℃で1時間 熱した。反応終了後、2N塩酸(185ml, 0.37mol)を えて中和し、得られた固体をろ取後乾燥し 3-メトキシカルボニルピロリジン-2,4-ジオン (39.5g, 0.25mol)をベージュ色パウダーとして得 。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=3.62(s, 3H), 3.82(s, 2H), 7. 50(broad s, 1H).
 得られた3-メトキシカルボニルピロリジン-2 ,4-ジオン(39.5g, 0.25mol)に1、4-ジオキサン(2400ml )と水(240ml)を加え、30分間加熱還流した。反 終了後に溶媒を留去し、ピロリジン-2,4-ジオ ン(テトラミン酸)(24.4g, 100%)を淡黄色固体と て得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) ケトン型 δ=2.93(s, 2H), 3.7 7(s, 2H), 8.23(s, 1H)、エノール型 δ=3.74(s, 2H),  4.75(s, 1H), 7.07(s, 1H). ケトン型:エノール型 =3:2. 

<工程2> 4-((2-アミノフェニル)アミノ)-3- ロリン-2-オンの合成 工程1で得られたピロ ジン-2,4-ジオン(6.93g, 70mmol)と1,2-フェニレン アミン(7.88g, 70mmol)のメタノール溶液を6℃ て1時間攪拌した。反応溶液を冷却後、析出 た結晶をろ取し、4-((2-アミノフェニル)アミ ノ)-3-ピロリン-2-オン(11.6g, 87%)を合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=3.94(s, 2H), 4.56(s, 1H), 4. 91(bs, 2H), 6.55(dt, J=1.5, 7.5Hz, 1H), 6.72(dd, J=1. 5, 7.8Hz, 1H), 6.80(s, 1H), 6.86(dt, J=1.5, 7.5Hz, 1 H), 7.02(dd, J=1.5, 7.8Hz, 1H), 8.03(s, 1H); ESI-MS(m /z) 190(M+H) +

<工程3>
ベンゾチオフェン-7-アルデヒド(419mg, 2.58mmol) と工程2で得た4-((2-アミノフェニル)アミノ)-3- ピロリン-2-オン(504mg 2.58mmol)をエタノール(26m l)に溶解した。その溶液に酢酸(30ul, 0.516mmol) 加えて、60℃で18時間攪拌した。溶媒を減圧 除去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ ー(ジクロロメタン:メタノール=91:9)にて精製 、目的物(315mg, 36.7%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.76-0.95 (m, 1H), 1.00-1.23( m, 3H), 1.41-1.62(m, 3H), 1.85-1.97(m, 1H), 2.00-2.12( m, 1H), 2.80-2.91(m, 1H), 3.80(d, J=16.4Hz, 1H), 3.95 (d, J=16.4Hz, 1H), 5.06(s, 1H), 6.44(s, 1H), 6.82(s, 1H), 6.96(d, J=7.0Hz, 1H), 7.29(dd, J=7.0, 7.9Hz, 1H ), 7.45(d, J=5.3Hz, 1H), 7.72 (d, J=5.3Hz, 1H), 7.76  (d, J=7.9Hz, 1H); ESI-MS(m/z) 340(M+H) +

<工程4>
工程3で得た化合物(315mg, 0.927mmol)と(2E)-3-(ピ ジル-2-イル)-アクリル酸(414mg, 2.78mmol)をジメ チルホルムアミド(10ml)に溶解した。その溶液 に1-エチル-(3-ジエチルアミノプロピル)-カル ジイミド塩酸塩(以後、EDClと記載する。)(524 mg, 2.78mmol)を加えて、室温で18時間攪拌した その間、原料が消失するまで適時試薬を同 追加した。溶媒を減圧除去後、酢酸エチル 加えて、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶 、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナト ウムで乾燥した。溶媒を減圧除去後、シリ ゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメ ン:メタノール=20:1)にて精製し、目的物(157mg , 36.0%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, CDCl 3 ) δ=0.564-0.765(m, 1H), 1.02-1.38(m, 3H), 1.39-1.58(m,  2H), 1.68-1.98(m, 2H), 2.51-2.74(m, 1H), 2.95-3.13(m,  1H), 3.90 (d, J = 15.8Hz, 1H), 3.99 (d, J = 15. 8Hz, 1H), 4.37-4.54(m, 2H), 5.30(s, 1H), 5.69(s, 1H),  6.52(s, 1H), 7.16-7.23(m, 1H), 7.32-7.51(m, 3H), 7.6 0-7.75(m, 2H), 7.79 (d, J = 7.9Hz, 1H), 7.99 (d, J  = 15.2Hz, 1H), 8.54-8.71(m, 1H); ESI-MS(m/z) 471(M+H ) +

<工程5>
工程4で得た化合物(145mg, 0.304mmol)をメタノー (3.0ml)に溶解した。その溶液に、水素化ホウ 素ナトリウム(23.0mg, 0.608mmol)、ニッケルクロ イド6水和物(14.5mg, 0.061mmol)を順次加え、室 で3時間攪拌した。原料が消失するまで、適 時試薬を追加した。反応溶液に飽和塩化アン モニウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出 し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウ ムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮後、実施例1 合物(135mg, 94.0%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.35-3.10(m, 13H), 3.81(d, J= 16.5Hz, 1H), 3.91(d, J=16.5Hz, 1H), 3.90-4.05(m, 1H), 5.90(s, 1H), 6.81(s, 1H), 6.84(s, 1H), 7.00-7.90(m,  8H), 8.45-8.50(m, 1H); ESI-MS(m/z) 473(M+H) +

 また、上記工程5において、同様の反応を用 いて、水素化ホウ素ナトリウムの代わりに[ 3 H]水素化ホウ素ナトリウムを用いることで、 リチウム( 3 H)標識の化合物1を合成した。

<実施例2> 化合物2
<工程1>
 実施例1の工程3の方法に従い、ベンゾチオ ェン-7-アルデヒドの代わりに2-(2-エトキシメ チル)-ベンズアルデヒドを用いて合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.83-1.33(m, 7H), 1.44-1.69(m,  2H), 1.75-1.97(m, 2H), 2.08-2.23(m, 1H), 2.77-2.92(m,  1H), 3.84(d, J=16.4Hz, 1H), 3.69(q, J=7.3Hz, 2H), 3 .71(d, J=16.4Hz, 1H), 5.06(s, 1H), 5.32(s, 2H), 6.31( s, 1H), 6.68(s, 1H), 6.78-6.91(m, 2H), 6.97-7.21(m, 2 H) ; ESI-MS(m/z) 358(M+H) +

<工程2>
 工程1で得た化合物(699mg, 1.96mmol)と(2E)-3-(1,3- チアゾル-2-イル)-アクリル酸(1.22g, 7.83mmol)を メチルホルムアミド(10ml)に溶解した。その 液にEDCl(1.50g, 7.83mmol)を加えて、室温で2日 攪拌した。溶媒を減圧除去後、酢酸エチル 加えて水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液  飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナト リウムで乾燥後、シリカゲルカラムクロマト グラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1) て精製し、目的物(512mg, 53%)を得た。
ESI-MS(m/z) 495(M+H) +

<工程3>
 工程2で得た化合物(512mg, 1.04mmol)をメタノー ル(10ml)に溶解した。その溶液に、ニッケルク ロライド6水和物(49.2mg, 0.207mmol)と水素化ホウ 素ナトリウム(78.5mg, 2.07mmol)を順次加えた。 温で1時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水 液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を 和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで 燥した。溶媒を減圧除去し、目的物(511mg, 9 9.4%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.53-0.76(m, 1H), 0.87-1.33(m,  8H), 1.37-1.61(m, 2H), 1.92-2.10(m, 1H), 2.67-2.96(m,  2H), 3.14-3.28(m, 2H), 3.48-3.65(m, 2H), 3.76(d, J=1 6Hz, 1H), 3.84(d, J=16Hz, 1H), 3.95-4.09(m, 1H), 5.18 -5.32(m, 2H), 5.86(s, 1H), 6.70(s, 1H), 6.75(s, 1H), 6.94(t, J=7.3Hz, 1H), 7.00-7.13(m, 2H), 7.23-7.32(m,  1H), 7.54(d, J=3.2Hz, 1H), 7.68(d, J=3.2Hz, 1H); ESI- MS(m/z) 497(M+H) +

 工程3で得た化合物(510mg, 1.03mmol)をメタノー ル(10ml)に溶解した。その溶液に、濃塩酸(0.1ml )を加えて55℃で14時間半攪拌した。反応溶液 、1N水酸化ナトリウム(1.1ml)を加えて中性に た。酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食 水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾 した。溶媒を減圧除去し、目的物(367mg, 81.4 %)を
得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.53-0.75(m, 1H), 0.90-1.21(m,  3H), 1.39-1.58(m, 2H), 1.91-2.06(m, 1H), 2.42-2.60(m,  1H), 2.69-2.86(m, 1H), 2.87-3.00(m, 1H), 3.14-3.27(m, 2H), 3.76(d, J=16Hz, 1H), 3.83(d, J=16Hz, 1H), 3.91-4 .08(m, 2H), 5.82(s, 1H), 6.65(s, 1H), 6.70(s, 1H), 6 .74(dd, J=7.3, 7.6Hz, 1H), 6.83(d, J=7.3Hz, 1H), 6.94 (d, J=7.6Hz, 1H), 7.11(dd, J=7.3, 7.6Hz, 1H), 7.54(d,  J=3.5Hz, 1H), 7.67(d, J=3.5Hz, 1H), 9.72(s, 1H); ES I-MS(m/z) 440(M+H) +

<工程5>
ビス-(2-ブロモエチル)エーテル(2.04ml, 16.2mmol) とカリウムスクシンイミド(1.50g, 8.10mmol)をジ メチルホルムアミドに溶解した。その溶液を 80℃に加熱し、19時間攪拌した。溶媒を減圧 去し、酢酸エチルを加えた。有機層を水,  和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水 洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し 。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ サン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、ブロモ体( 1.64g, 68.0%)を得た。
ESI-MS(m/z) 299(M+H) +

 工程3で得た化合物(380mg, 0.865mmol)とブロモ (309mg, 1.04mmol)をジメチルホルムアミド(5.0ml) 溶解した。その溶液に炭酸カリウム(359mg, 2 .60mmol)を加えて、70℃に加熱し20時間半攪拌し た。再度、同量のブロモ体と炭酸カリウムを 加えて、さらに4時間半攪拌した。反応溶液 酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水で洗浄 た後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶 を減圧除去後、シリカゲルカラムクロマト ラフィー(ジクロロメタン:メタノール=95:5)に て精製し、目的物(205mg, 36.1%)を得た。
ESI-MS(m/z) 656(M+H) + .

<工程6>
 工程5で得た化合物(205mg, 0.313mmol)とヒドラ ン1水和物(150μl, 3.13mmol)をエタノールに溶解 した。その溶液を70℃で1時間20分攪拌した。 出した白色固体をろ過し除去することで、 施例2化合物(113mg, 68.7%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.52-0.73(m, 1H), 0.88-1.19(m,  4H), 1.37-1.56(m, 3H), 1.90-2.05(m, 1H), 2.56-2.67(m,  4H), 2.68-2.93(m, 2H), 3.10-3.30(m, 5H), 3.59-3.73(m,  2H), 3.76(d, J=16Hz, 1H), 3.84(d, J=16Hz, 1H), 3.92 -4.06(m, 1H), 4.06-4.22(m, 2H), 5.84(s, 1H), 6.68(s,  1H), 6.73(s, 1H), 6.87-6.95(m, 1H), 6.98-7.07(m, 2H), 7.23-7.34(m, 1H), 7.54(d, J=3.2Hz, 1H), 7.67(d, J=3.2 Hz, 1H); ESI-MS(m/z) 526(M+H) + .

<実施例3> 化合物3
実施例1の工程3の方法に従い、ベンゾチオフ ン-7-アルデヒドの代わりに2-メトキシベン アルデヒドを用い、実施例1化合物の工程4の 方法に従い、3-(ピリジン-2-イル)-プロピオン の代わりに(2E)-3-(1,3-チアゾル-2-イル)-アク ル酸を用いて合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.55-3.05(m, 9H), 3.74(d, J=1 6.5Hz, 1H), 3.82(d, J=16.5Hz, 1H), 3.90-4.05(m, 1H),  3.83(s, 3H), 4.05-4.20(m, 1H), 6.01(s, 1H), 6.73(s, 1 H), 6.73(s, 1H), 6.86-7.10(m, 4H), 7.50(d, J=15.3Hz,  1H), 7.76(d, J=15.6Hz, 1H), 7.84(d, J=3.0Hz, 1H), 7.9 4(d, J=3.0Hz, 1H); ESI-MS(m/z) 449(M-H) - .

<工程2>
工程1で得た化合物(38.3mg, 0.085mmol)をエタノー ル(5.0ml)に溶解した。その溶液に10%パラジウ 炭素(50%含水, 15mg)を加え、水素雰囲気下で2 間攪拌した。反応溶液をセライトろ過後、 媒を減圧濃縮することで、実施例4化合物(33 mg, 87%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.50-3.40(m, 9H), 3.73(s, 3H) , 3.70-3.85(m, 2H), 3.90-4.05(m, 1H), 5.81(s, 1H), 6. 67(s, 1H), 6.71(s, 1H), 6.86-7.31(m, 4H), 7.53(d, J=3 .3Hz, 1H), 7.67(d, J=3.3Hz, 1H); ESI-MS(m/z) 453(M+H) + , 451(M-H) - .

<実施例4> 化合物4
<工程1>
 実施例1化合物の方法に従い、ベンゾチオフ ェン-7-アルデヒドの代わりにベンゾチオフェ ン-3-アルデヒドを用いることで、実施例3化 物を合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.408-0.646(m, 1H), 0.750-0.91 8(m, 1H), 0.918-1.17(m, 2H), 1.28-2.03(m, 3H), 2.35-2. 46(m, 1H), 2.65-2.81(m, 1H), 2.81-2.96(m, 1H), 2.96-3. 20(m, 2H), 3.80(d, J = 16.4Hz, 1H), 3.87(d, J = 16 .4Hz, 1H), 3.93-4.07(m, 1H), 5.97(s, 1H), 6.74(s, 1H) , 6.82(s, 1H), 7.16-7.25(m, 1H), 7.26-7.35(m, 2H), 7. 35-7.49(m, 2H), 7.69(dd, J = 7.0, 7.0Hz, 1H), 7.90(d , J=6.5Hz, 1H), 7.99(d, J=6.5Hz, 1H), 8.52(s, 1H); E SI-MS(m/z) 473(M+H) +

<実施例5> 化合物5
<工程1>
実施例化合物1の工程3の方法に従い、ベンゾ オフェン-7-アルデヒドの代わりにベンゾフ ン-7-アルデヒドを用いることで合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.75-1.20(m, 4H), 1.35-1.55 ( m, 2H), 1.75-1.90 (m, 1H), 2.10-2.25 (m, 2H), 2.75-2 .90 (m, 1H), 3.72 (d, J=16.8Hz, 1H), 3.84 (d, J=16. 8Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 6.36 (s, 1H), 6.72 (s, 1H) , 6.80 (d, J=7.5Hz, 1H), 6.93 (d, J=2.1Hz, 1H), 7.0 9 (t, J=7.5Hz, 1H), 7.48 (d, J=7.5Hz, 1H), 7.98 (d,  J=2.1Hz, 1H); ESI-MS(m/z) 324(M+H) +

<工程2>
 工程1で得た化合物(75mg, 0.232mmol)をジメチル ホルムアミド(6ml)に溶解し、シクロプロパン ルボン酸(370ml, 4.65mmol)およびEDCl(712mg, 3.71mm ol)を加え、室温で3日間撹拌した。反応溶液 減圧濃縮し、酢酸エチルを加え、飽和炭酸 素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄した後、 水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮 て得た残渣を逆相HPLCで精製することにより 実施例5化合物(61mg, 67%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.45-1.14(m, 8H), 1.30-1.48(m,  2H), 1.88-2.02(m, 1H), 2.22-2.52(m, 2H), 2.83-2.96(m,  2H), 3.83(d, J=16.8Hz, 1H), 3.86(d, J=16.8Hz, 1H),  3.95-4.08(m, 1H), 6.61(s, 1H), 6.73(s, 1H), 6.99(d, J =2.1Hz, 1H), 6.99(d, J=7.5Hz, 1H), 7.22(t, J=7.5Hz, 1 H), 7.62(d, J=7.5Hz, 1H), 8.03(d, J=2.1Hz, 1H); ESI
-MS(m/z) 392(M+H) + .

<実施例6> 化合物6
<工程1>
実施例1の工程3の方法に従い、ベンゾチオフ ン-7-アルデヒドの代わりにベンズアルデヒ を用いることで合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.50-3.40(m, 10H), 3.69(d, J= 16.0Hz, 1H), 3.84(d, J=16.0Hz, 1H), 4.79(s, 1H), 6.32 (s, 1H), 6.75(s, 1H), 7.10-7.30(m, 5H); 284(M-H) +

<工程2>
 工程1化合物(200mg, 0.707mmol)をジクロロメタ (50ml)に溶解し、アセトキシ酢酸(500mg, 4.24mmol )、トリエチルアミン(209μl, 1.41mmol)及びEDCl(54 3mg, 2.83mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。 応溶液に0.1N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出 、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸 トリウムで乾燥した。溶媒を減圧除去後、 渣をメタノール(10ml)に溶解し、炭酸カリウ (488mg, 3.54mmol)を加えて、室温で30分攪拌し 。不溶物をセライトろ過にて除き、水を加 、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩 にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し 。溶媒を減圧除去後、残渣にジエチルエー ル/ジクロロメタン(容積比8/1)の溶液を加え 析出してきた結晶をろ過し、実施例6化合物( 185mg, 77%)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.50-2.79(m, 9H), 3.75-4.05(m,  4H), 4.42(m, 1H), 4.72(m, 1H), 5.54(s, 1H), 6.74(s,  1H), 6.80(s, 1H), 7.22-7.37(m, 5H); ESI-MS(m/z) 342( M+H) +

<実施例7> 化合物7
 実施例4の方法を用いて、(2E)-3-(1,3-チアゾル -2-イル)―アクリル酸の代わりに(2E)-3-(ピリジ ン-2-イル)-アクリル酸を用いることで、実施 7化合物を合成した。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.49-0.70(m, 1H), 0.81-1.19(m,  4H), 1.35-1.57(m, 3H), 1.89-2.06(m, 1H), 2.54-2.64(m,  4H), 2.69-2.90(m, 2H), 3.00-3.49(m, 5H), 3.67-3.74(m,  2H), 3.78(d, J=16.8Hz, 1H), 3.85(d, J=16.8Hz, 1H),  3.92-4.06(m, 1H), 4.06-4.21(m ,2H), 5.87(s, 1H), 6.68( s, 1H), 6.72(m, 1H), 6.90(dd, J=7.6, 7.6Hz, 1H), 6.9 8-7.05(m, 2H), 7.16-7.23(m, 1H), 7.25(s, 1H), 7.27(s, 1H), 7.68(ddd, J=1.8, 7.6, 7.6Hz, 1H), 8.45-8.52(m,  1H); ESI-MS(m/z) 520(M+H) +

<実施例8>
<工程1>
実施例2化合物(20mg, 0.0381mmol)とビオチン(37.2mg , 0.152mmol)をジメチルホルムアミド(1.0ml)に溶 した。その溶液にEDCl(29.1mg, 0.152mmol)を加え 、室温で21時間攪拌した。反応溶液に酢酸 チルを加えて、炭酸水素ナトリウム水溶液 brineで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで攪拌し た。溶媒を減圧除去後、シリカゲルカラムク ロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノー =95:5)にて精製し、実施例8化合物(11.1mg, 39.5% )を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.51-0.76(m, 1H), 0.79-1.18(m,  4H), 1.21-1.40(m, 4H), 1.42-1.80(m, 10H), 1.90-2.16(m , 2H), 2.57-2.69(m, 2H), 2.69-2.95(m, 3H), 2.98-3.15(m , 2H), 3.62-3.71(m, 2H), 3.79(d, J=16.4Hz, 1H), 3.86( d, J=16.4Hz, 1H), 3.95-4.06(m, 1H), 4.06-4.24(m, 3H), 4.24-4.43(m, 1H), 5.86(s, 1H), 6.36(s, 1H), 6.42(s,  1H), 6.72(s, 1H), 6.77(s, 1H), 6.88-6.97(m, 1H), 6.99 -7.09(m, 2H), 7.23-7.38(m, 1H), 7.47-7.60(m, 1H), 7.64 -7.74(m, 1H); ESI-MS(m/z) 738. 

<実施例9>
<工程1>
 実施例2化合物(20mg, 0.0381mmol)とN-tert-ブチル キシカルボニル-6-アミノカプロン酸(17.6mg,  0.0761mmol)をジメチルホルムアミド(1.0ml)に溶解 した。その溶液にEDCl(14.6mg, 0.0761mmol)を加え 、室温で17時間攪拌した。反応溶液に酢酸エ チルを加えて炭酸水素ナトリウム水溶液、飽 和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで 乾燥した。溶媒を減圧除去後、残渣をトリフ ルオロ酢酸(0.3ml)とジクロロメタン(0.1ml)に溶 して、室温で30分攪拌した。反応溶液に炭 水素ナトリウム水溶液を加えて、ジクロロ タンで抽出した。有機層を飽和食塩水にて 浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶 を減圧除去後、実施例9化合物(19.8mg, 81.5% fo r 2steps)を得た。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.49-0.72(m, 1H), 0.89-1.14(m,  3H), 1.14-1.38(m, 4H), 1.40-1.69(m, 4H), 1.93-2.09(m,  2H), 2.14-2.25(m, 1H), 2.71-2.94(m, 2H), 3.01-3.29(m,  4H), 3.57-3.75(m, 2H),  3.77(d, J=16.4Hz, 1H), 3.85 (d, J=16.4Hz, 1H), 3.92-4.19(m, 3H), 5.85(s, 1H), 6.7 0(s, 1H), 6.76(s, 1H), 6.87-6.93(m, 1H), 6.97-7.09(m, 2H), 7.23-7.35(m, 1H), 7.38(d, J=3.2Hz, 1H), 7.67(d, J=3.2Hz, 1H), 7.74-7.84(m, 1H); ESI-MS(m/z) 639. 

<実施例10>
<工程1>
 実施例7化合物(25.3mg, 0.0488mmol)とビオチン(35 mg, 0.146mmol)をジメチルホルムアミド(2.0ml)に 解した。その溶液にEDCl(28.1mg, 0.146mmol)を加 て、室温で16時間攪拌した。反応溶液に酢酸 エチルを加えて、水、飽和食塩水で順次洗浄 し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を 減圧除去後、実施例10化合物(37.1mg, 99%)を得 。
1 H-NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=0.51-0.69(m, 1H), 0.79-1.15(m,  4H), 1.21-1.70(m, 4H), 1.42-1.80(m, 10H), 1.90-2.23(m , 2H), 2.53-2.63(m, 2H), 2.76-2.87(m, 3H), 2.92-3.00(m , 2H), 3.53-3.77(m, 2H), 3.78(d, J=16.7Hz, 1H), 3.85( d, J=16.7Hz, 1H), 3.95-4.06(m, 1H), 4.07-4.17(m, 2H), 4.26-4.34(m, 2H), 5.87(s, 1H), 6.36(s, 1H), 6.38(m,  1H), 6.68(s, 1H), 6.74(m, 1H), 6.85-6.95(m, 1H), 6.99 -7.05(m, 2H), 7.14-7.22(m, 1H), 7.23-7.33(m, 2H), 7.63 -7.72(m, 1H), 7.75-7.83(m, 1H), 8.53-8.51(m, 1H); ESI- MS(m/z) 747. 

<実施例11> 糖取り込み活性の測定
 雄性Wistarラットを断頭放血後に開腹し、傍 巣脂肪組織を摘出した。これをBSA(ウシ血清 アルブミン)を含むKRH(Krebs-Linger Hepes: 130mM Na Cl、4.7mM KCl、1.2mM KH 2 PO 4 、1.2mM MgSO 4 、1mM CaCl 2 、25mM HEPES)中で細断し、コラゲナーゼ(タイ I)を加えて約40分間消化処理を行い、単離さ た脂肪細胞を得た。バッファー交換により ラゲナーゼを除去後、2%BSA/KRH溶液を加えて 浮遊させ、脂肪細胞けん濁液を得た。 

 被検化合物の糖取り込み活性評価は、文献( 非特許文献14:Simpsonら、Annual Review of Biochemis try、55、1059、(1986))を参考に行った。すなわ 、上記脂肪細胞けん濁液をポリスチレン製 験管に200μlずつ分中し、被検化合物を含む 液を100μl加え、振とう後、37℃で30分間培養 た。糖取り込み活性は、単位時間あたりに り込まれた2-[ 14 C(U)]-deoxy-D-glucoseの量を測定することにより評 価した。すなわち、前培養を終えた脂肪細胞 けん濁液に2-[ 14 C(U)]-deoxy-D-glucoseを添加し、(最終濃度0.5μCi/サ ンプル)、5分後にサイトカラシンB(終濃度10μM )を加えることにより糖取り込みを停止させ 。フタル酸ジノニルを重層してから遠心し 脂肪細胞とバッファーを分離させ、脂肪細 層に含まれる2-[ 14 C(U)]-deoxy-D-glucoseの量を液体シンチレーション カウンターで測定し、取り込まれた糖の量を 定量した。本評価において、インスリン(100nM )も同時に評価を行い、インスリン(100nM)の糖 り込みの値を100%として、各化合物について EC 50 値を求めた。

 本評価系を用いた被検化合物の糖取り込み 性(EC 50 値、μM)を 表1 に示した。また、N-deacetylcolchicine(Toront社、製 品番号198920)は糖取り込み活性を有さなかっ 。

<実施例12> 「糖取り込み亢進剤」のdb/db ウスを用いた血糖降下作用の検討
 約20時間絶食したC57BL/KsJ-db/dbJclマウスに対 て、物性、安定性の良い化合物5、化合物6、 について経口投与し、投与直前と投与後30、6 0、120、180分に尾静脈より採血を行い、血糖 を測定した。投与媒体として0.5%メチルセル ースまたは50%ポリエチレングリコールを用 た。

 化合物3、化合物5、化合物6はいずれも100m g/kg(化合物5は10mg/kg)単回投与において、対照 に対して25%以上の血糖降下作用を示した。

<実施例13> Aktリン酸化活性の測定
 ヒト肝臓由来HLF細胞を用い、被検化合物に るAktリン酸化作用の測定を下記の通り行っ 。HLF細胞を2x10 4 細胞/wellとなるように、10%ウシ胎児血清(FCS) 含むダルベッコMEM培地を用いて96穴プレート に播種し、約5時間、37℃、5%CO 2 存在下で培養し、十分に付着させた後、培地 を吸引除去し、血清を含まず0.1%BSAを含むダ ベッコMEM培地で、同様に終夜培養した。培 を吸引除去した後、被検化合物を含む0.1%BSA 含むダルベッコMEM培地を添加し、37℃、5%CO 2 存在下で15分間の被検化合物処理を行った後 96穴プレートを氷上に置き、培地を吸引除 した後、氷温のリシスバッファー(1mM PMSFを む)を加え、-80℃で凍結した。リシスバッフ ァーはリン酸化Akt測定キット(Cell Signaling Tec hnologies社、製品番号7160、PathScanR Phospho-Akt1 ( Ser473) Sandwich ELISA Kit)に添付のものを、添付 文書に従って作成したものを使用した。上記 凍結した96穴プレートを室温に戻して抽出液( lysate)を融解した後、上記リン酸化Akt測定キ トを用い、添付文書に従ってリン酸化Akt量 測定した。各被検物質によるAktリン酸化の 合いを 図1 に示した。

  表1 および 図1 から明らかなように、各被検化合物の糖取り 込み活性と、Aktリン酸化活性は非常に良い相 関を示し、両者が同じシグナル経路に存在す ることを強く示唆した。また、N-deacetylcolchici neはAktリン酸化活性を有さなかった。

<実施例14> HLF細胞膜を用いた 3 H標識化合物1の結合アッセイ
 ヒト肝臓由来HLF細胞の細胞膜の調製は下記 通り行った。まず、直径15cmの細胞培養用デ ィッシュに10%FCSを含むダルベッコMEM培地でほ ぼコンフルエントに培養したHLF細胞、30枚分 、HMEEバッファー(20mM HEPES-KOH、1mM EDTA、1mM  EGTA、2mM MgCl 2 )存在下でセルスクレーパーを用いて細胞を き取り、約30mlの細胞けん濁液を得た。本け 濁液をテフロン(登録商標)ホモジナイザー 用いてホモジナイズを行い(氷温、1000 rpm、1 5 stroke)、低速の遠心(1500rpm、5分)後の上清を 度高速で遠心(12000rpm、30分)を行い、沈殿を1 mlのHMEEバッファーにけん濁し、細胞膜溶液と した。プロテインアッセイ(BioRad社)を用いた BSAを標品とした蛋白質定量の結果、上記細 膜溶液中の蛋白質濃度は3.5mg/mlであった。

 上記のように得た細胞膜に対する 3 H標識化合物1の結合アッセイを下記のように った。96穴プレートに、RBAバッファー(75mM T ris-HCl、12.5mM MgCl 2 、2mM EDTA、pH7.4)で6倍に希釈した上記細胞膜 液25μl、400μM(アッセイの終濃度100μM)の非標 の化合物1あるいは化合物1を含まないRBAバ ファー25μlを加え、さらに 3 H標識化合物1を含むRBAバッファー50μlを加え 室温で1時間振とうした後、あらかじめ2%BSA 0.5%ポリエチレンイミンを含むRBAバッファー ブロッキングしたフィルタープレート(Unifil ter GF/C、パーキンエルマー社、製品番号600517 4)に、セルハーベスターを用いて細胞膜を捕 し、0.05% Twee-20を含むTBS(20mM Tris-HCl、0.15M N aCl、pH7.4)を用いて良く洗浄した後、よく乾燥 したフィルタープレートに液体シンチレータ ー(マイクロシンチ0、パッカード社)を30μl加 、トップカウント(パッカード社)を用い、 3 Hのカウントを測定した。終濃度100μMの非標 の化合物1を加えていたサンプルを非特異的 3 H標識化合物1の結合とし、非標識の化合物1を 加えないサンプルの値からこの値を引いた値 を、特異的な結合とした。

  図2 に示したように、 3 H標識化合物1のHLF細胞膜に対する飽和的な結 が観察され、スキャッチャードプロットを いて計算した結果、化合物1のKd値は、0.93μM と計算された。この値は、実施例13に示した 合物1のAktリン酸化活性に近い値であり、見 られた細胞膜上の蛋白質への結合はAktリン酸 化、糖取り込みにつながる反応であることが 強く示唆された。

<実施例15> HLF細胞膜からの 3 H標識化合物1結合蛋白質の抽出アフィニティ 精製、結合蛋白質の同定
(1)HLF細胞膜からの結合蛋白質の抽出
  上記実施例14で見られた 3 H標識化合物1の結合蛋白質(以下結合蛋白質) 可溶化を下記のように行った。上記実施例14 に示したとおり作成したHLF細胞膜(3.5mg/ml)のHM EEバッファー溶液100μlに、400μlの0.25%および0. 125%のDigitoninを含むRBAバッファーを加え、終 度をそれぞれ0.2%、0.1%とし、混合した後、室 温で1時間静置した。遠心(15000rpm、30分)によ て得た上清を、各抽出液とし、下記のPD10(GE ルスケア社、製品番号17-0851-01)を用いたゲ ろ過によって含まれる蛋白質に対する 3 H標識化合物1の特異的な結合を測定する方法( 以下PD10法)を用い、抽出液中の結合蛋白質量 測定した。

 PD10法は下記の通り行った。マイクロチュー ブ中に250μlのRBAバッファー、100μlの未標識の 化合物1(500μM)を含むあるいは含まないRBAバッ ファー、100μlの上記各抽出液、50μlの 3 H標識化合物1を含むRBAバッファー(2.5μM)を順 加え、攪拌した後室温で1時間静置した。反 液全量(0.5ml)を、RBAバッファーに良く置換し たPD10カラムに供し、2mlのRBAバッファーをPD10 ラムに流した後、さらに1.5mlのRBAバッファ で溶出した溶出液を、蛋白質を含む高分子 分として分取し、15mlの液体シンチレータを え、シンチレーションカウンターを用い、 分子画分に含まれる 3 H標識化合物1の量を測定した。未標識の化合 1(終濃度100μM)を加えたサンプルのカウント 非特異的な結合によるカウント、未標識の 合物1を加えないサンプルのカウントから非 特異的な結合によるカウントを差し引いた値 を特異的な結合によるカウントとし、抽出液 中に含まれる結合蛋白質の量を評価した結果 、 図3 に示したように、0.2% Digitoninによって結合蛋 白質が細胞膜から抽出されたと判断した。

(2)アフィニティーカラムの作成
 上記実施例2および7~10記載の「プローブ分 」として合成した化合物が、化合物1と同じ 合蛋白質に結合するかを確かめるため、上 実施例14に示した方法を用い、HLF細胞膜へ 3 H標識化合物1結合に対する各化合物の阻害活 を測定した。同時に実施例11に示した糖取 込み作用および実施例13に示したAktリン酸化 活性が比較的強かった化合物3を同時に評価 た。その結果、 図4 に示したように、いずれの化合物もある程度 の 3 H標識化合物1の細胞膜に対する結合を阻害し 結合蛋白質に対する結合能を有することが かった。

 そこで、上記結果より、実施例2記載の化合 物2を選び、アフィニティーカラム作成を行 た。化合物2の固定化は、リンカーに接続し アミノ基を利用して、N-ヒドロキシスクシ ミド基を有する担体を用いたアフィニティ 用カラムである、NHS-Activated Separose HP (GEヘ ルスケア社、製品番号17-0716-01、HiTrap NHS-Activ ated Separose HP (1ml))に対して行った。上記カ ムを5mlの1mM塩酸で洗浄した後、0.2MのNaHCO 3 に溶解した化合物2(2mM)を1.5ml流し、室温で1時 間静置した。さらに3mlの1M Tris-HCl(pH8.5)を流 た後、室温で30分静置してブロッキングを行 い、5mlの蒸留水を用いてカラムを洗浄するこ とで、化合物2を固定化したアフィニティー ラムを作成した。化合物2の結合は、上記手 でカラムを素通りした化合物2の量を、逆相 HPLCで定量することによって確認した。また 実施例7記載の化合物7に関しても、上記化合 物2と同様の操作を行うことで、化合物7を固 化したアフィニティーカラムを作成した。

(3)HLF細胞膜からの結合蛋白質のアフィニティ ー精製、結合蛋白質の同定
 HLF細胞膜からの結合蛋白質の抽出は、下記 通り行った。実施例14と同様の方法で作成 たHLF細胞膜(3.7mg/ml)1.2mlに、0.25% Digitoninを含 RBAバッファー4.8mlを加え、軽く攪拌した後 温で1時間静置した。遠心(15000rpm、30分)によ 不溶物を除いた上清(6ml)を、RBAバッファー24 mlで希釈し、HLF細胞膜抽出液とした。

上記(2)の通り作成した、化合物2を固定化し アフィニティーカラムの上流側に、化合物 固定せず、1M Tris-HCl(pH8.5)によるブロッキン のみを行ったカラム2本をつなぎ、上記HLF細 胞膜抽出液全量を、室温、0.5ml/分の流速でこ のカラムに流して結合蛋白質を吸着させた。 化合物2を固定化したアフィニティーカラム みを取り出し、このカラムを0.04% Digitoninを むRBAバッファーを用い、流速1ml/分で約25分 洗浄した。洗浄過程で溶出された溶出液の ち最後の3分間分を「洗浄」画分(3ml)として 取した。さらに、実施例11で糖取り込み活 、および実施例13でAktリン酸化活性の強かっ た化合物4を200μM含む、上記洗浄液と同一組 の溶液(溶出液)を用い、流速1ml/分で3分間溶 、分取した(「溶出」画分、3ml)。上記「洗 」、「溶出」画分全量を、Centricon-10を用い 限外ろ過を用いて約45μlに濃縮し、そのうち それぞれ7.5μlずつをSDSポリアクリルアミドゲ ル電気泳動後、銀染色(Silver Stain Kit, Protein GEヘルスケア社、製品番号17-1150-01、方法は 付のマニュアルの方法を用いて行った)を行 い、両画分に含まれる蛋白質の比較を行った 。その結果、 図5 に示したように、約36KDaの位置に泳動される ンドは、「溶出」画分特異的なバンドであ ことが確認された。また、ブロッキングの を行ったカラムについても同様の操作を行 たが、約36KDaの位置に泳動されるバンドは られなかった。

 さらに、同様の方法を用いて、化合物2を 固定したアフィニティーカラムを用い、化合 物4で溶出された画分について、SDSポリアク ルアミドゲル電気泳動後、CBB染色し、上記36 KDaに相当する特異的なバンドを切り出し、シ リコナイズ処理済マイクロテストチューブに 移した。600μlのアセトニトリルで3回洗浄し50 mM炭酸水素アンモニウム水溶液で3回洗浄した 。さらに、25mM炭酸水素アンモニウム50%アセ ニトリル溶液で約15分間3回洗浄後、溶液を 去し後、6Mグアニジン塩酸/ 2mM EDTA / 0.5M  リス塩酸(pH 8)を100μl添加後、10μlの還元溶 (DTTを含む6Mグアニジン塩酸/ 2mM EDTA / 0.5M トリス塩酸(pH 8)を添加し、約2時間室温で還 元反応を行なった。その後、遮光し、ヨード 酢酸を含む溶液(25mg ヨード酢酸を0.3mlの6Mグ ニジン塩酸/ 2mM EDTA / 0.5M トリス塩酸(pH  8))を添加し、約30分間放置することにより、 離チオール基のアルキル化を行なった。反 溶液を除去後、アセトニトリルを添加し、 ルの脱水を行なった後、遠心濃縮機を用い 溶媒を除去し、ゲルの乾燥を行なった。10μ lのトリプシン溶液(トリプシン:シグマ社プロ テオミクスグレード、50mM 炭酸水素アンモニ ウム(pH7.6))を加えて、36℃で約15時間酵素消化 を行なった。トリプシン消化後、反応溶液を 別のシリコナイズ処理済マイクロテストチュ ーブに移した。さらに、ゲルを100μlの0.1% ギ 酸-60% アセトニトリルで20分間洗浄し、溶液 同じシリコナイズ処理済マイクロテストチ ーブに移し、これを3回繰り返し、ペプチド の抽出を行なった。得られたトリプシン消化 液は、減圧遠心濃縮機で溶媒を除去し、ナノ ーLC/MS/MS測定用の試料とした。トリプシン消 物をナノーLC/MS/MS(HPLC:Paradaigm MS4 MicromBioreso urcey社、MS:エレクトロスプレーイオン化リニ トラップ質量分析計LTQ、サーモフィッシャ サイエンティフィック社)に供した。得られ たMSおよびMS/MSデータは、データベース検索 フト(Mascot、マトリックスサイエンス社)を用 いて解析を行なった。検索対象データベース は、MSDBおよびNCBI nrを用い、生物種はHomo Sap ienceとした。その結果、どちらのデータベー を用いた場合においても、高いスコアーで( それぞれMascot score 245 および244)GTP結合蛋白 質βサブユニット(以下Gβ)が帰属されたこと ら、本蛋白質がGβであることが明らかとな た。

<実施例16> アフィニティーカラムを用い た結合蛋白質(Gβ)の化合物による溶出
実験
 上記実施例15に示した化合物2を固定化した フィニティーカラムに加え、実施例15(2)で 合物2と同等の、結合蛋白質に対する結合活 を有する化合物7を同様に固定化したアフィ ニティーカラムを作成し、実施例15と同様の フィニティーカラム操作を行った。

 カラムは洗浄を行ったのち、化合物3、化合 物4(いずれも200μM)を含むRBAバッファー(0.02% D igitoninを含む)で順次溶出した。実施例11、13 結果より、化合物3は化合物4に比べ活性が弱 いことが確認されている。化合物2、化合物7 固定化したアフィニティーカラムそれぞれ らの、化合物3、化合物4で順次溶出、その pH4のバッファーを用いて溶出した溶出液に いて、実施例15と同様に濃縮後、SDSポリアク リルアミドゲル電気泳動を行い、銀染色、お よび抗Gβ抗体(SantaScuz社、製品番号sc-261)を用 たウェスタンブロット法を用いて検出を行 たところ、いずれの検出法を用いても、溶 化合物の活性依存的なGβの溶出が確認され ( 図6 )。
 なお上記において、化合物3、化合物4を適 な被検物質に替えてアフィニティーカラム らのGβの溶出を検出することにより、プロ ブ化合物(化合物2、化合物7を固定化したア ィニティーカラム)とGβとの結合阻害活性を 定し、血糖降下作用物質のスクリーニング 行うことが可能である。

<実施例17> 動物細胞発現系(Gβ1、Gγ2)の 成
 配列番号1、2の合成DNAをプライマーとし、 トGβ1の全蛋白コード領域を含むcDNAクローン をテンプレートとして定法によりPCR反応を行 った。得られた1056bpのDNAを制限酵素HindIII、Xh oIで消化し、GFXキット(アマシャムバイオサイ エンス社)を用いて精製した。ベクターpcDNA3.1 Hyg(+)(インビトロジェン社)のHindIII、XhoI部位 クローニングした後、本プラスミドを有す 大腸菌JM109株のシングルコロニー培養液より プラスミドを調製してDNAシーケンシングを行 い、配列番号3で示した塩基配列(配列番号4は アミノ酸配列を示す)を確認し、pcDNA3.1Hyg(+)-GN B1を作成した。さらに本大腸菌培養液からQIAp rep plasmid purification kit(QIAGEN)を用いてプラス ミドDNAを調製し、動物細胞トランスフェクシ ョン用に供した。また、配列番号5、6の合成D NAをプライマーとし、ヒトGγ2の全蛋白コード 領域を含むcDNAクローンをテンプレートとし 定法によりPCR反応を行った。得られた255bpの DNAを制限酵素EcoRI、XhoIで消化し、GFXキット( マシャムバイオサイエンス社)を用いて精製 た。ベクターpcDNA3.1(+)(インビトロジェン社) のEcoRI、XhoI部位にクローニングした後、配列 番号7で示した塩基配列(配列番号8はアミノ酸 配列を示す)を確認し、pcDNA3.1(+)-GNG2を作成し 。さらに形質転換した大腸菌JM109株の培養 からプラスミドDNAを調製し、動物細胞トラ スフェクション用に供した。

<実施例18> Gβ1、Gγ2発現HEK293T細胞抽出液 を用いた 3 H標識化合物1の結合測定
 上記実施例17に記載したとおり調製した発 プラスミドを用い、HEK293T細胞を用いた蛋白 の発現を行った。HEK293T細胞を、直径10cmの 胞培養用ディッシュに培養し、Lipofectamine 20 00(インビトロジェン社、製品番号11618-019)を い、添付のマニュアルに従った方法を用い 、Gβ1とGγ2を同時にトランスフェクションし 、発現細胞(Gβ1γ2)を回収した。コントロール として、発現ベクターの代わりに遺伝子を未 挿入のベクターを同様にトランスフェクショ ンした細胞(Mock)を作成、回収した。回収した 細胞は、PBSを用いた洗浄後、リシスバッファ ー(75mM Tris-HCl、12.5mM MgCl 2 、2mM EDTA、pH7.4、プロテアーゼインヒビター クテル(Rosch Diagnostics社、11-697-498-001)、0.3%  CHAPS)1mlにけん濁し、超音波破砕を行い、遠心 (15000rpm、20分)を行うことによって上清を抽出 液として得た。プロテインアッセイ(BioRad社) 用いた、BSAを標品とした蛋白質定量を行う とで、Gβ1γ2、Mockそれぞれの抽出液の蛋白 濃度が同等であることを確かめた。

 上記抽出液中に含まれる蛋白質に対する、 3 H標識化合物1結合活性は、実施例15(1)に記載 PD10法を用いて行った。すなわち、上記抽出 300μl、未標識の化合物4(500μM)を含むあるい 含まないRBAバッファー(75mM Tris-HCl、12.5mM Mg Cl 2 、2mM EDTA、pH7.4)100μl、 3 H標識化合物1を含むRBAバッファー(1.25μM、100μ l)を順次加え、攪拌した後室温で1時間静置し た。反応液全量(0.5ml)を、RBAバッファーに良 置換したPD10カラムに供し、2mlのRBAバッファ をPD10カラムに流した後、さらに1.5mlのRBAバ ファーで溶出した溶出液を、蛋白質を含む 分子画分として分取し、15mlの液体シンチレ ータを加え、シンチレーションカウンターを 用い、高分子画分に含まれる 3 H標識化合物1の量を測定した。未標識の化合 4(終濃度200μM)を加えたサンプルのカウント 非特異的な結合によるカウント、未標識の 合物1を加えないサンプルのカウントから非 特異的な結合によるカウントを差し引いた値 を特異的な結合によるカウントとし、抽出液 中に含まれる結合蛋白質の量を評価した結果 、 図7 に示したように、Gβ1γ2を発現させた抽出液 には、Mockのものに比べ高い結合蛋白質の存 が見られた。

 さらに、上記抽出液の一部を用い、SDSポ アクリルアミドゲル電気泳動後、抗Gβ抗体( SantaCcuz社、製品番号sc-261)を用いたウェスタ ブロット法を用い、Gβ1γ2を発現させた抽出 中には、Mockのものに比べGβの発現量が上昇 していることが確認された。

<実施例19> 昆虫細胞発現系の作成(Gβ1~5 Gγ2-Myc、Gαi1-His)と生産
(1)6xHis-Gαi1の発現系の構築
 配列番号9、10の合成DNAをプライマーとし、 ト3量体GTP結合蛋白質αi1サブユニット(Gαi1) 全蛋白コード領域を含むcDNAクローンをテン プレートとして定法によりPCR反応を行った。 得られた1116bpのDNAを、ベクターpCR4Blunt-TOPO(イ ンビトロジェン社、製品番号K2875)にサブクロ ーニングした後、配列番号11で示した塩基配 (配列番号12はアミノ酸配列を示す)を確認し 、さらに制限酵素BamHI、XhoIで切断し、Bac-to-Ba cバキュロウイルス蛋白発現システム(インビ ロジェン社、製品番号10359-016)のベクターpFa stBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1-6xHis-GNAI 1を作成した。さらに添付マニュアルに従い 形質転換した大腸菌DH10Bac株の培養液からバ ミドDNAを調製した。このバクミドDNAを昆虫 胞Sf-21株にリポフェクション法により遺伝 導入を行い、アミノ末端にHisタグ配列を付 した6xHis-Gαi1蛋白を発現する組換えウイルス を取得した。ウイルスは更にSf-21細胞に感染 せることにより組換え蛋白を必要な量を確 しうるウイルス力価まで増加させた。目的 組換え蛋白の発現はウイルス感染細胞ライ ートについて特異的抗体を用いたウェスタ ブロット法により確認した。

(2)Gβ1の発現系の構築
 配列番号13、14の合成DNAをプライマーとし、 ヒトGβ1の全蛋白コード領域を含むcDNAクロー をテンプレートとして定法によりPCR反応を った。得られた1051bpのDNAを、ベクターpCR4Blu nt-TOPO(インビトロジェン社、製品番号K2875)に ブクローニングした後、配列番号15で示し 塩基配列(配列番号16はアミノ酸配列を示す) 確認し、さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し Bac-to-Bacバキュロウイルス蛋白発現システム (インビトロジェン社、製品番号10359-016)のベ ターpFastBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1 -GNB1を作成した。さらに添付マニュアルに従 、形質転換した大腸菌DH10Bac株の培養液から バクミドDNAを調製した。このバクミドDNAを昆 虫細胞Sf-21株にリポフェクション法により遺 子導入を行い、Gβ1蛋白を発現する組換えウ イルスを取得した。マニュアルに従いウイル スは更にSf-21細胞に感染させることにより組 え蛋白を必要な量を確保しうるウイルス力 まで増加させた。目的の組換え蛋白の発現 ウイルス感染細胞抽出液について特異的抗 を用いたウェスタンブロット法により確認 た。

(3)Gβ2の発現系の構築
 配列番号17、18の合成DNAをプライマーとし、 ヒトGβ2の全蛋白コード領域を含むcDNAクロー をテンプレートとして定法によりPCR反応を った。得られた1048bpのDNAを、ベクターpCR4Blu nt-TOPO(インビトロジェン社、製品番号K2875)に ブクローニングした後、配列番号19で示し 塩基配列(配列番号20はアミノ酸配列を示す) 確認し、さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し Bac-to-Bacバキュロウイルス蛋白発現システム (インビトロジェン社、製品番号10359-016)のベ ターpFastBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1 -GNB2を作成した。さらに添付マニュアルに従 、形質転換した大腸菌DH10Bac株の培養液から バクミドDNAを調製した。このバクミドDNAを昆 虫細胞Sf-21株にリポフェクション法により遺 子導入を行い、Gβ2蛋白を発現する組換えウ イルスを取得した。マニュアルに従いウイル スは更にSf-21細胞に感染させることにより組 え蛋白を必要な量を確保しうるウイルス力 まで増加させた。目的の組換え蛋白の発現 ウイルス感染細胞抽出液について特異的抗 を用いたウェスタンブロット法により確認 た。

(4)Gβ3の発現系の構築
 配列番号21、22の合成DNAをプライマーとし、 正常ヒト皮膚線維芽細胞のcDNAライブラリー テンプレートとして定法によりPCR反応を行 た。得られた1078bpのDNAを、ベクターpCR4Blunt-T OPO(インビトロジェン社、製品番号K2875)にサ クローニングした後、配列番号23で示した塩 基配列(配列番号24はアミノ酸配列を示す)を 認し、さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し、Ba c-to-Bacバキュロウイルス蛋白発現システム(イ ンビトロジェン社、製品番号10359-016)のベク ーpFastBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1-GNB 3を作成した。さらに添付マニュアルに従い 形質転換した大腸菌DH10Bac株の培養液からバ ミドDNAを調製した。このバクミドDNAを昆虫 胞Sf-21株にリポフェクション法により遺伝 導入を行い、Gβ3蛋白を発現する組換えウイ スを取得した。マニュアルに従いウイルス 更にSf-21細胞に感染させることにより組換 蛋白を必要な量を確保しうるウイルス力価 で増加させた。目的の組換え蛋白の発現は イルス感染細胞抽出液について特異的抗体 用いたウェスタンブロット法により確認し 。

(5)Gβ4の発現系の構築
 配列番号25、26の合成DNAをプライマーとし、 ヒト肝癌由来HLF細胞のcDNAライブラリーをテ プレートとして定法によりPCR反応を行った 得られた1055bpのDNAを、ベクターpCR4Blunt-TOPO( ンビトロジェン社、製品番号K2875)にサブク ーニングした後、配列番号27で示した塩基配 列(配列番号28はアミノ酸配列を示す)を確認 、さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し、Bac-to-B acバキュロウイルス蛋白発現システム(インビ トロジェン社、製品番号10359-016)のベクターpF astBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1-GNB4を 成した。さらに添付マニュアルに従い、形 転換した大腸菌DH10Bac株の培養液からバクミ DNAを調製した。このバクミドDNAを昆虫細胞S f-21株にリポフェクション法により遺伝子導 を行い、Gβ4蛋白を発現する組換えウイルス 取得した。マニュアルに従いウイルスは更 Sf-21細胞に感染させることにより組換え蛋 を必要な量を確保しうるウイルス力価まで 加させた。目的の組換え蛋白の発現はウイ ス感染細胞抽出液について特異的抗体を用 たウェスタンブロット法により確認した。

(6)Gβ5の発現系の構築
 配列番号29、30の合成DNAをプライマーとし、 ヒト肝癌由来HLF細胞のcDNAライブラリーをテ プレートとして定法によりPCR反応を行った 得られた1093bpのDNAを、ベクターpCR4Blunt-TOPO( ンビトロジェン社、製品番号K2875)にサブク ーニングした後、配列番号31で示した塩基配 列(配列番号32はアミノ酸配列を示す)を確認 、さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し、Bac-to-B acバキュロウイルス蛋白発現システム(インビ トロジェン社、製品番号10359-016)のベクターpF astBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1-GNB5を 成した。さらに添付マニュアルに従い、形 転換した大腸菌DH10Bac株の培養液からバクミ DNAを調製した。このバクミドDNAをカイコ細 Sf-21株にリポフェクション法により遺伝子 入を行い、Gβ5蛋白を発現する組換えウイル を取得した。マニュアルに従いウイルスは にSf-21細胞に感染させることにより組換え 白を必要な量を確保しうるウイルス力価ま 増加させた。目的の組換え蛋白の発現はウ ルス感染細胞抽出液について特異的抗体を いたウェスタンブロット法により確認した

(7)Myc-Gγ2の発現系の構築
 配列番号33、34の合成DNAをプライマーとし、 ヒト3量体GTP結合蛋白質γ2サブユニット(Gγ2) 全蛋白コード領域を含むcDNAクローンをテン レートとして定法によりPCR反応を行った。 られた290bpのDNAを、ベクターpCR4Blunt-TOPO(イ ビトロジェン社、製品番号K2875)にサブクロ ニングした後、配列番号35で示した塩基配列 (配列番号36はアミノ酸配列を示す)を確認し さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し、Bac-to-Bac キュロウイルス蛋白発現システム(インビト ロジェン社、製品番号10359-016)のベクターpFast Bac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1-Myc-GNG2を 成した。さらに添付マニュアルに従い、形 転換した大腸菌DH10Bac株の培養液からバクミ ドDNAを調製した。このバクミドDNAをカイコ細 胞Sf-21株にリポフェクション法により遺伝子 入を行い、アミノ末端Mycタグ配列付加Myc-Gγ 2蛋白を発現する組換えウイルスを取得した マニュアルに従いウイルスは更にSf-21細胞に 感染させることにより組換え蛋白を必要な量 を確保しうるウイルス力価まで増加させた。 目的の組換え蛋白の発現はウイルス感染細胞 ライゼートについてMycタグ配列特異的抗体を 用いたウェスタンブロット法により確認した 。

(8)Gβ1~5とMyc-Gγ2およびGαi1-HisのSf21を用いた共 発現、Ni-NTAレジンを用いた精製
 昆虫細胞Sf21株を用いた蛋白質の発現、生産 は、Bac-to-Bacバキュロウイルス蛋白発現シス ム(インビトロジェン社、製品番号10359-016)添 付のマニュアル(Instruction Manual)記載の方法に 従って行った。具体的には、プラークアッセ イを用いてタイターを確認した3次、あるい 4次ウイルス溶液を用い、Gβ、Myc-Gγ2および6x His-Gαi1遺伝子を含むバキュロウイルスを、そ れぞれMOI=2.5となるように、250ml容の三角フラ スコを用い、10 8 細胞/100mlのSF900IISFM培地(Invitrogen社、製品番号 10902-096)中で、65時間、28℃で振とう培養を行 た。Gβに関しては、Gβ1、Gβ2、Gβ3、Gβ4、Gβ 5の各サブタイプそれぞれについて培養を実 した。培養後、遠心(1000rpm、5分)により細胞 回収し、Insect Cell PBS(7.3mM NaH 2 PO 4  (pH6.2)、58mM KCl、47mM NaCl、5mM CaCl 2 )10mlで洗浄した後、さらに遠心(3000rpm、5分)に よって細胞を回収し凍結保存した。

 上記のように得た各Gβの発現細胞のうち、G β2/Myc-Gγ2の2量体(Gβ2γ2-Myc)の精製を下記の通 行った。方法は、Davisら(非特許文献15:Davis 、Biochemistry、44、10593、(2005))によって報告さ れている方法に基づいて行った。すなわち、 10 8 細胞を、2mlのLysis Buffer(50mM HEPES (pH8.0)、3mM  MgCl 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル(Rosch Diagnos tics社、11-697-498-001)、1mM EDTA、100mM NaCl)を用 て細胞をけん濁した後、100000g、20分の遠心 行い、ペレットを得た。さらにこのペレッ を2mlのExtraction Buffer(50mM HEPES (pH8.0)、3mM MgC l 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル、50mM NaCl 1%コール酸ナトリウム)を用いてけん濁、さ に4℃、1時間の攪拌を行った後、さらに100000 G、20分の遠心を行い、その上清を抽出液(2ml) して得た。抽出液(2ml)にBuffer A(50mM HEPES (pH 8.0)、3mM MgCl 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル、100mM NaCl 0.5% Lubrol)8mlを加え、さらに200μlのNi-NTA agar ose(QIAGEN社、製品番号30210)を添加して、4℃、1 時間攪拌を行った後、遠心(3000rpm、5分)によ てNi-NTA agaroseを回収し、上記Buffer Aにさら 300mMNaCl、5mMイミダゾールを加えたバッファ (0.5ml)で3回洗浄した。さらにNi-NTA agaroseをElu tion Buffer(50mM HEPES (pH8.0)、53mM MgCl 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル、250mM NaCl 5mMイミダゾール、10mM NaF、30μM AlCl 3 、1%コール酸ナトリウム)にけん濁し、室温、 1時間攪拌を行ってGβ2/Myc-Gγ2を溶出し、遠心( 10000rpm、2分)によってNi-NTA agaroseを除いた上 をGβ2/Myc-Gγ2溶液とした。

 得られたGβ2/Myc-Gγ2について、SDSポリアク リルアミドゲル電気泳動、抗Gβ2抗体を用い ウェスタンブロッティング法により、それ れの精製を確認し、細胞抽出液からの回収 は約20%であった。

<実施例20> Gβ発現昆虫細胞抽出液を用い た 3 H結合、および化合物のGβ結合能評価
 上記実施例19(8)記載の通り調製したGβ1とMyc- Gγ2およびGαi1-Hisを発現した凍結昆虫細胞Sf21 10 7 細胞を、融解後、1% Triton X-100を含むRBAバッ ァー(75mM Tris-HCl、12.5mM MgCl 2 、2mM EDTA、pH7.4)1.3mlでけん濁、超音波処理に って蛋白質の抽出を行い、遠心(15000rpm、15 、4℃)によって得た上清をGβ1γ2-Myc 抽出液(1 .3ml)とした。

 上記抽出液を用い、Gβ1γ2-Mycの 3 H標識化合物1に対する阻害活性を、Gβ1γ2-Myc 対する結合活性と考え、化合物1、化合物3、 化合物6のGβ1γ2-Mycに対する結合活性の測定を 行った。上記抽出液中に含まれる蛋白質に対 する、 3 H標識化合物1結合活性は、実施例15(1)に記載 PD10法を用いて行った。すなわち、上記抽出 100μl、被検物質を含むあるいは含まないRBA ッファー(75mM Tris-HCl、12.5mM MgCl 2 、2mM EDTA、pH7.4)300μl、 3 H標識化合物1を含むRBAバッファー(1.25μM、100μ l)を順次加え、攪拌した後室温で1時間静置し た。反応液全量(0.5ml)を、RBAバッファーに良 置換したPD10カラムに供し、2mlのRBAバッファ をPD10カラムに流した後、さらに1.5mlのRBAバ ファーで溶出した溶出液を、蛋白質を含む 分子画分として分取し、15mlの液体シンチレ ータを加え、シンチレーションカウンターを 用い、高分子画分に含まれる 3 H標識化合物1の量を測定した。

化合物を添加しないサンプルのカウントを0% 害、未標識の化合物1(終濃度100μM)を加えた ンプルのカウントを100%阻害とし、各濃度の 各化合物による、Gβγ2-Mycに対する 3 H標識化合物1結合に対する阻害活性を計算し 結果を 図8 に示した。このように、化合物1、化合物3、 合物6はいずれもGβγ2-Mycに結合することが され、結合の強さは化合物1>化合物3>化 物6の順であり、これは実施例11に示した糖 り込み活性、実施例13に示したAktリン酸化 性と、非常に良い相関を示すものであった

<実施例21> 各サブタイプGβγ2-Myc発現昆 細胞lysateを用いた、 3 H結合アッセイ
 上記実施例19(8)で取得したGβ1、Gβ2、Gβ3、G 4、Gβ5の各サブタイプを発現した凍結昆虫細 胞Sf21、10 8 細胞を、融解、3mlのLysis Bufferを用いてけん 後、1% Triton X-100を含むRBAバッファー(75mM Tr is-HCl、12.5mM MgCl 2 、2mM EDTA、pH7.4)2mlでけん濁、4℃、1時間攪拌 て、蛋白質の抽出を行い、遠心(100000G、20分 、4℃)によって得た上清をGβγ2-Myc 抽出液と た。

  上記各Gβγ2-Mycに対する 3 H標識化合物1の結合アッセイは、Gβγ2-Mycに結 合する抗cMyc抗体(モノクローナル抗体9E10)、 cMyc抗体を結合する抗マウスIgG抗体を固相化 たSPA(Scintillation Proximity Assay)ビーズ(Anti-Mous e PVT SPA Scintillation Beads 、GEヘルスケア社 製品番号RPNQ0017)を用い、SPAビーズに結合し Gβγ2-Mycに結合した 3 Hの 3 H標識化合物1の放射活性を、SPA法によって測 する原理を用いた。

 白色96穴プレートに、上記各サブタイプのG γ2-Myc lysateをRBAバッファーで2倍に希釈した 液(40μl)、未標識の化合物1(500μM)を含むある いは含まないRBAバッファー(25μl)、 3 H標識化合物1溶液(1.25μM、25μl)、抗cMyc抗体(9E1 0、200μg/ml、SantaCruz社、製品番号sc-40)溶液(10μ l)、SPAビーズ(20mg/ml、25μl)を順次加え、1時間 とう後、室温で終夜静置し、トップカウン を用い放射活性を測定した。未標識の化合 1(終濃度100μM)を加えたサンプルのカウント 非特異的な結合によるカウント、未標識の 合物1を加えないサンプルのカウントから非 特異的な結合によるカウントを差し引いた値 を特異的な結合によるカウントとした。(上 方法を、以下「SPA法」と表す。)

  図9 に示したとおり、Gβ1、Gβ2、Gβ3、Gβ4では高 3 H標識化合物1の高い特異的な結合見られ、Gβ5 では低い結合が見られた。

<実施例22> 各サブタイプGβγ2-Myc発現昆 細胞lysateを用いた、各化合物のGβ結合活性 評価
 各サブタイプGβγ2-Myc発現昆虫細胞lysateを用 いた、実施例11および13で活性の見られた化 物(化合物1、化合物3、化合物5、化合物6)、 よびN-deacetylcolchicineのGβ結合作用の評価を、 実施例21に記載の方法に準じて、 3 H標識化合物1の結合アッセイに対する阻害活 を測定することによって行った。

 まず、実施例19(8)記載の方法と同様に取得 た、Gβ1、Gβ2、Gβ3、Gβ4と、Myc-Gγ2および6xHis -Gαi1を共発現した昆虫細胞Sf21を取得し、-80 で凍結保存した。Gβ1、Gβ2、Gβ3、Gβ4の各サ タイプを発現した凍結昆虫細胞Sf21、2.5x10 8 細胞を、融解後、4mlのLysis Bufferでけん濁し 遠心(10000G、20分、4℃)を行いペレットを得た 。ペレットを1%コール酸ナトリウムを含む ex traction バッファー( 50mM HEPES 、pH8.0、3mM MgC l 2 、1mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、50mM  NaCl、1% コール酸ナトリウム ) 5ml でけん 、4℃、1時間攪拌して蛋白質の抽出を行い 遠心(100000G、20分、4℃)によって得た上清をG γ2-Myc 抽出液とした。

 上記各Gβγ2-Mycに対する 3 H標識化合物1の結合アッセイは、RBAバッファ 中に 0.1 %のTriton X-100を加えることとプレ トサイズの変更以外は、実施例21記載の方 と同様に行った。すなわち、白色96穴halfプ ートに、抗cMyc抗体(9E10、54μg/ml、ZYMED社 製 番号18-0176z)とSPAビーズ(13.3mg/ml)を含む混合溶 液(18.7μl)、上記各サブタイプのGβγ2-Myc抽出 (6.25μl)、被検物質を含むあるいは含まないRB Aバッファー(75mM Tris-HCl、12.5mM MgCl 2 、2mM EDTA、pH7.4、12.5μl)、 3 H標識化合物1溶液(1.25μM、12.5μl)、を順次加え 、1時間振とう後、室温で終夜静置し、トッ カウントを用い放射活性を測定した。化合 を添加しないサンプルのカウントを0%阻害、 未標識の化合物1(終濃度50-100μM)を加えたサン プルのカウントを100%阻害とし、各濃度の各 合物による、Gβγ2-Mycに対する 3 H標識化合物1結合に対する阻害活性を計算し 。結果の代表例として、Gβ1、およびGβ4に 応する発現蛋白質を用いた評価結果を、 図10 に示した。その他のサブタイプのGβに対応す る発現蛋白質を用いた評価結果も、これらに 類似の値であった。すなわち、 図10 より、化合物1、化合物3、化合物4、化合物5 化合物6のGβ結合活性は、実施例13に示したAk tリン酸化活性と非常に良い相関を示すもの あり、その結果実施例11に示した糖取り込み 活性につながることが強く示唆された。

 さらに、スクリーニング系としての安定性 見るため、Gβ1γ2-Mycを用い、上記被検物質 して化合物1(100μM)および被検物質非添加に いて、それぞれn=6で、平均値、標準偏差、Z' 値を算出した。その結果、Z'=0.63と計算され ハイスループットスクリーニング(HTS)が十分 可能と判断されるZ'>0.5を大きく超え(非特 文献16:Zhangら、Journal of Biomolecular Screening、 4、67、(1999))、本アッセイ系はHTSに十分実用 能であることが分かった( 図11 )。本方法をスクリーニング系として用いて 糖降下作用物質のスクリーニングが可能で る。

<実施例23>フォスフォイノシタイド3-キ ナーゼ(PI3-kinase)βおよびδ特異的阻害剤を用 た、化合物6によるAktリン酸化に対する阻害 性の測定 フォスフォイノシタイド3-キナー ゼ(PI3-kinase)βおよびδ特異的阻害剤としてKnigh tら(Bioorganic & Medicinal Chemistry、12、4749、( 2004))によって報告されたTGX-115を合成した。 成は公開特許(特許文献5:WO01/53266)記載の方法 を用いて行った。

 脂肪細胞に分化した、分化3T3L1細胞を用い 上記フォスフォイノシタイド3-キナーゼ(PI3-k inase)βおよびδ特異的阻害剤(TGX-115)を用いた 化合物6によるAktリン酸化に対する阻害活性 測定を下記の通り行った。3T3L1細胞を1.5x10 4 細胞/dishとなるように、10%ウシ胎児血清(FCS) 含むダルベッコMEM培地を用いて60mm Collagen t ype I coated dish(IWAKI 4010-010)に播種し、37℃、 5%CO2存在下で4日間培養後、10μg/ml Insulin(SIGMA I-9278)、1μM Dexamethasone(nacalai tesque 109-31)、0. 5mM IBMX(WAKO 099-03411)、10%FCSを含むダルベッコM EM培地で2日間培養し、さらに10μg/ml Insulin(SIG MA I-9278)、10% FCSを含むダルベッコMEM培地で2 間培養した後、10%FCSを含むダルベッコMEM培 で4日間培養した細胞を分化3T3L1細胞として いた。分化3T3L1細胞を4x10 4 細胞/wellとなるように、10%FCSを含むダルベッ MEM培地を用いて96穴プレート(Collagen type I  coated plate、IWAKI社、製品番号4860-010)に播種し 、約16時間、37℃、5%CO2存在下で培養し、十分 に付着させた後、培地を吸引除去し、血清を 含まず0.1%BSAを含むダルベッコMEM培地で、6時 培養した。培地を吸引除去した後、TGX-115を 含む0.1%BSA/ダルベッコMEM培地(90μl)を添加し、 37℃、5%CO 2 存在下で15分間の前処理を行った後、さらに 合物6(3mM)を含む0.1%BSA/ダルベッコMEM培地(10μ l)を添加し、さらに37℃、5%CO 2 存在下で10分間の処理を行った。96穴プレー を氷上に置き、培地を吸引除去した後、氷 のリシスバッファー(1mM PMSFを含む)を加え、 -80℃で凍結した。リシスバッファーはリン酸 化Akt測定キット(Cell Signaling Technologies社、製 品番号7160、PathScanR Phospho-Akt1 (Ser473) Sandwich ELISA Kit)に添付のものを、添付文書に従って 作成したものを使用した。上記凍結した96穴 レートを室温に戻して抽出液(lysate)を融解 た後、上記リン酸化Akt測定キットを用い、 付文書に従ってリン酸化Akt量を測定した。

  図12 に示したように、フォスフォイノシタイド3- ナーゼ(PI3-kinase)βおよびδ特異的阻害剤(TGX-1 15)によって化合物6によるAktリン酸化が完全 阻害されたことから、化合物6によるAktリン 化および糖取り込み作用には、フォスフォ ノシタイド3-キナーゼ(PI3-kinase)βあるいはδ 関与することが強く示唆された。

<実施例24> Gβ1γ2-Myc存在下におけるフ スフォイノシタイド3-キナーゼ(PI3-kinase)活 に対する化合物の作用の検討

(1)MonoQカラム、ゲルろ過を用いたGβ1γ2-Mycの 製
  上記実施例19(8)記載の通り調製したGβ1とMy c-Gγ2およびGαi1-Hisを発現した凍結昆虫細胞Sf2 1、2.5x10 8 細胞を、融解後、4mlのLysis Buffer(50mM HEPES (pH 8.0)、3mM MgCl 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル(Rosch Diagnos tics社、11-697-498-001)、1mM EDTA、100mM NaCl)を用 て細胞をけん濁した後、100000g、20分の遠心 行い、ペレットを得た。さらにこのペレッ を2mlのExtraction Buffer(50mM HEPES (pH8.0)、3mM MgC l 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル、50mM NaCl 1%コール酸ナトリウム)を用いてけん濁、さ に4℃、1時間の攪拌を行った後、さらに100000 G、20分の遠心を行い、その上清を抽出液(2ml) して得た。抽出液(2ml)にBuffer A(50mM HEPES (pH 8.0)、3mM MgCl 2 、10mM 2-メルカプトエタノール、10μM GDP、プ ロテアーゼインヒビターカクテル、100mM NaCl 0.5% Lubrol)16mlを加えた溶液を作成した。

 上記の溶液の半量(10ml)を、MonoQ(直径5mm、長 100mm、アマシャムバイオサイエンス社)に1ml/ 分の流速で吸着させた。MonoQはバッファーA(50 mM HEPES(pH8.0)、0.2mM 2-メルカプトエタノール 0.2%コール酸ナトリウム、90mM NaCl)、バッフ ーB(50mM HEPES(pH8.0)、0.2mM 2-メルカプトエタノ ール、0.2%コール酸ナトリウム、1M NaCl)を展 溶液として用い、あらかじめバッファーAで 分平衡化した後、上記溶液の吸着を行った 吸着後、バッファーAを用い、1ml/分で約12分 間カラムを洗浄した後、NaCl濃度グラジエン (0~50%B/20分、50~100%B/5分、100%B/2分)により溶出 行い、溶出液はグラジエント開始時から1分 間ごとにフラクション分取した。各フラクシ ョンについて、実施例21記載の方法(SPA法)を いた 3 H標識化合物1の結合活性を測定し、活性の高 ったフラクションNo.12~15を分取し、抗Gβ抗 (Upstate Biotechnologies社、製品番号06-238)を用い たウェスタンブロット法を用いたGβの検出を 行い、このフラクションにGβが溶出されてい ることを確認した。

 上記フラクションNo.12~15について、ゲルろ クロマトグラフィーを用いてさらなる精製 行った。上記フラクション(4ml)を、Centricon-10 を用いた限外ろ過によって約1mlまで濃縮し、 Superose6 10/30(直径10mm、長さ300mm、アマシャム イオサイエンス社)を用いゲルろ過を行った 。展開溶媒は40mM HEPES-Na (pH7.4)、120mM NaCl、1m M EGTA、2mM 2-メルカプトエタノール、0.2%コー ル酸ナトリウムよりなるバッファーを用いた 。ゲルろ過は流速0.5ml/分で行い、開始直後か ら2分間ごとにフラクション分取した。各フ クションについて、実施例21記載の方法(SPA )を用いた 3 H標識化合物1の結合活性を測定、および抗Gβ 体(Upstate社、製品番号06-238)を用いたウェス ンブロット法を行い、フラクションNo.16(以 Fr.16、1ml)に 3 H標識化合物1の結合活性、およびGβ量が集ま ことを確認した。このFr.16中のGβ濃度の測 は、同様のウェスタンブロット法を行いた 販のGβγ標品(ウシ脳由来精製品、Calbiochem社 製品番号371768)により、約10μg/mlとし、以下 製Gβ1γ2-Mycと表した。

(2)Gβ1γ2-Myc存在下における各サブタイプ(α、 、γ、δ)フォスフォイノシタイド3-キナーゼ( PI3-kinase)活性に対するN-deacetylcolchicineおよび 合物1の作用の検討
 上記(1)で取得した精製Gβ1γ2-Mycを用い、Gβ1 2-Myc存在下における各サブタイプ(α、β、γ δ)PI3-kinaseの活性に対する、N-deacetylcolchicine よび化合物1の作用の検討を、報告されてい Maierら(非特許文献4)、Kerchnerら(非特許文献10 )の方法を参考に行った。各サブタイプのPI3-k inaseは、α(PI3 Kinase (p110α/p85α), active、Upstate 社、製品番号14-602)、β(PI3 Kinase (p110β/p85α), active、Upstate社、製品番号14-603)、γ(PI3KγHis-GS T (Phosphoinositide 3-kinase p110γHis/p101GST)human, Re combinant, Sf9 insect cell、JENA Bioscience社、製品 番号PR-347S)、δ(PI3 Kinase (p110δ/p85α), active、U pstate社、製品番号14-604)をそれぞれ用いた。 た、下記の反応において、バッファーとし PI3Kバッファー(40mM HEPES-Na (pH7.4)、120mM NaCl 1mM EGTA、1mMジチオスレイトール、1mMβグリセ ロ燐酸、10mM MgCl 2 、0.1% BSA)を用いた。

 フォスファチジルエタノールアミン(0.256μmo l)、フォスファチジルセリン(0.24μmol)、フォ ファチジルコリン(0.112μmol)、スフィンゴミ リン(0.024μmol)およびファスファチジルイノ トール-[4,5]-2リン酸(0.032μmol)の混合液をアル ゴンガスで乾燥させたガラスチューブに、氷 温のPI3Kバッファー(0.27ml)を加え、氷中で超音 波をかけることにより、リピッドミセル溶液 を作成した。このリピッドミセル溶液(125μl) 上記(1)で取得した精製Gβ1γ2-Myc溶液(250μl、1 0μg/ml)を加え、攪拌した後氷中で10分間静置 た。このGβ1γ2-Mycを含むリピッドミセル溶液 30μlを、1.5ml容マイクロチューブ分注し、5μl 化合物溶液、5μlの各サブタイプPI3-kinase(α β、δ:5μg/ml、γ:2.5μg/ml)を順次添加し、さら 室温で10分間静置した。本溶液に 32 P-γ-ATPを含む40μM ATP溶液(10μl)を加え、反応 開始した。 32 P-γ-ATPは1反応につき約300kBq添加した。反応は 室温で30分間行い、80μlの氷温の1N HClを加え ことにより反応を停止した。300μlのクロロ ルム:メタノール(1:1)溶液を加え、攪拌する とにより脂質を抽出し、有機層を80μlの1N H Clで2回洗浄した。残った有機層から溶媒を減 圧除去した後、20μlのクロロホルム:メタノー ル(4:1)溶液に残さを溶解し、あらかじめシュ 酸処理(1%シュウ酸カリウムを含む40%メタノ ル溶液で十分展開後、終夜乾燥、110℃、30 活性化)したTLCプレート(Merck 社、Kieselgel 60) に全量をスポットし、展開溶媒(酢酸:水:1-プ パノール=4:31:65)を用いて、約4時間TLCを行っ た。展開後、良く乾燥した後、イメージング プレートを用いて感光、BAS2000(フジフィルム )を用いてデータを取得した。データの解析 は、BAS2000のソフトウェアを用い、ファスフ チジルイノシトール-[3,4,5]-3リン酸(PIP3)に対 するスポット部分を、各レーン同じ面積に るように領域を設定し、領域内の放射活性 伴うエネルギー(PSL)を数値化した。

  図13 に示したとおり、化合物1(30μM)はPI3-kinaseβに してのみ顕著な活性化作用を示した一方、N -deacetylcolchicine(DACと略した、30μM)はいずれの ブタイプのPI3-kinaseに対しても活性への影響 を与えなかった。

(3)PI3-kinaseβに対する化合物1および化合物6の 性亢進作用の測定
 上記(2)の結果に基づき、化合物1によるPI3-ki naseβの活性化がGβ(Gβ1γ2-Myc)依存的なもので るかどうか、さらに化合物1以外のGβ結合物 でも同様の活性化が見られるかを確かめる め、さらに下記の検討を行った。

 上記(2)の方法と同様にリピッドミセル溶液 作成し、このリピッドミセル溶液(100μl)に 記(1)で取得した精製Gβ1γ2-Myc溶液(200μl、10μg /ml)あるいはGβ1γ2-Mycを含まない同じバッファ ー(100μl)を加えたものを氷中で10分間静置し 。このGβ1γ2-Mycを含む/含まないリピッドミ ル溶液30μlを、1.5ml容マイクロチューブ分注 、5μlの化合物溶液、5μlのPI3-kinaseβ(5μg/ml) 順次添加し、さらに室温で10分間静置した。 本溶液に 32 P-γ-ATPを含む40μM ATP溶液(10μl)を加え、反応 開始した。 32 P-γ-ATPは1反応につき約370kBq添加した。反応は 室温で15分間行い、以下(2)と同様に操作を行 、生成したPIP3量を測定した。

  図14 に示したとおり、化合物1はPI3-kinaseβに対し Gβ(Gβ1γ2-Myc)非存在下では全く影響を与えな ったが、Gβ(Gβ1γ2-Myc)存在下において濃度依 存的(0.1、1、10μM)な顕著な酵素活性亢進作用 示した。また、化合物6も同様にGβ(Gβ1γ2-Myc )存在下における濃度依存的(100μM、1mM)な顕著 な酵素活性亢進作用を示したことから、実施 例20、実施例22でGβに対する結合が検出され 化合物はいずれも同様のGβ存在下におけるPI 3-kinaseβの活性亢進作用を有し、その結果、 の結合の強さに応じた実施例11に示した糖取 り込み活性、実施例13に示したAktリン酸化活 を示すのものと考えられた。
 なお上記において、化合物1、化合物6を適 な被検物質に替えて酵素活性亢進作用を検 することにより、血糖降下作用物質のスク ーニングを行うことが可能である。

<実施例25> Gβ1γ2-Mycのフォスフォイノシ イド3-キナーゼ(PI3-kinase)β結合に対する化合 物1、化合物6の作用の検討
 1.5ml容マイクロチューブにPI3Kバッファー(40m M HEPES-Na (pH7.4)、120mM NaCl、1mM EGTA、1mMジチ スレイトール、1mMβグリセロ燐酸、10mM MgCl2 0.1% BSA)中(300μl)に、実施例20(1)で取得したG 1γ2-Myc,200ng、PI3-kinaseβ(PI3 Kinase (p110β/p85α), active、Upstate社、製品番号14-603)160ng、被検物 を加え、室温で30分間静置した。これに抗cM yc抗体(9E10、200μg/ml、SantaCruz社、製品番号sc-40 )溶液(10μl)を加え、さらに室温で2時間静置し た。この溶液に、同バッファーで洗浄した抗 マウスIgGアガロースビーズ(American Qualex社、 品番号61060)25μlを加え、室温で1時間攪拌混 した後、遠心(10000rpm、1分)により上清を除 、さらに0.5mlの同バッファーで3回、ビーズ 洗浄を行った。ビーズはSDSを含むバッファ で煮沸溶出し、SDSポリアクリルアミド電気 動後、抗p110β抗体(SantaCruz社、製品番号sc-602) および抗Gβ抗体(SantaCruz社、製品番号sc-261)を いたウェスタンブロット法により、ビーズ 吸着したp110β量、およびGβ量を測定した。

  図15 に示したように、抗cMyc抗体に直接結合するG の含量はいずれもほぼ等しいのに対し、p110 は化合物1および化合物6の存在により含量の 上昇が見られ、化合物1および化合物6によっ Gβとp110β(PI3-kinaseβ)の結合が亢進されるこ が確かめられた。また、上記実施例20(2)で示 した、Gβ1γ2-Myc存在下でのPI3-kinaseβに対する 性亢進作用が同等である化合物1(0.1μM)と化 物6(1mM)で、ほぼ同等のGβとp110β(PI3-kinaseβ) の結合が亢進が見られたことから、両化合 のGβとp110β(PI3-kinaseβ)の結合亢進によって、 Gβ1γ2-Myc存在下でのPI3-kinaseβ活性亢進が起こ ことが示唆された。
 なお上記において、化合物1、化合物6を適 な被検物質に替えてGβとp110β(PI3-kinaseβ)の結 合亢進作用を検出することにより、血糖降下 作用物質のスクリーニングを行うことが可能 である。

 <実施例26> Gβ発現抑制細胞に対するAkt ン酸化活性の評価
 ヒト肝臓由来HLF細胞の化合物6によるAktリン 酸化活性に対する、siRNA法を用いたGβの発現 制の効果の評価を下記の通り行った。
 HLF細胞を3.75x10 4 /wellとなるように、10%FCSを含むダルベッコMEM 地を用いて、24well dish(IWAKI、製品番号3820-02 4)に播種し、37℃、5%CO 2 存在下で6時間培養し、細胞を十分に付着さ た後、「ネガティブコントロールsiRNA」(Sense :UUCUCCGAACGUGUCACGU
dTdT(配列番号:37)、Antisense:ACGUGACACGUUCGGAGAAdTdT( 列番号:38)、キアゲン社、製品番号1027310)、 たは、Gβ1 siRNA(Sense:GAUCAUUGUUGCACACAAAdTdT(配列 号:39)、Antisense:UUUGUGUGCAACAAUGAUCdTdG(配列番号:40 )、キアゲン社、製品番号SI00428841)およびGβ2  siRNA(Sense:GCCAUGAAUCCGACAUCAAdTdT(配列番号:41)、Antis ense:UUGAUGUCGGAUUCAUGGCdCdG(配列番号:42)、キアゲン 社、製品番号SI00428848)およびGβ4 siRNA(Sense:CCUU AUAUUUGCAGGUGAAdTdT(配列番号:43)、Antisense:UUCACCUGCAA AUAUAAGGdTdA(配列番号:44)、キアゲン社、製品番 SI00130746)を等量ずつ含む「Gβ siRNA」用い、D harmafect2(Dharmacon社、製品番号T-2002-02)を用いて それぞれ100nMの濃度でsiRNAの細胞内導入を行 、37℃、5%CO 2 存在下で48時間培養した。siRNA導入48時間後に 10%FCSを含むダルベッコMEM培地0.5mlに置換し、 らに37℃、5%CO 2 存在下で20時間培養した後、0.1%BSAを含むダル ベッコMEM培地0.5mlに置換し、37℃、5%CO 2 存在下で4時間培養した後、化合物6および0.1% BSAを含むダルベッコMEM培地0.5mlに置換し、37 、5%CO 2 存在下で20分間の処理を行った。その後、0.5m l PBSを用いて洗浄し、リシスバッファー(Cell Signaling Technologies社、製品番号9803、1mM PMSF 含む)100μlにけん濁し、超音波破砕した後、 心(14000rpm、10分間)を行うことによって上清 抽出液として得た。プロテインアッセイ(Bio Rad社、製品番号500-0006)を用い、BSAを標品とし た蛋白質定量を行い、それぞれの抽出液の蛋 白質濃度が同等になるように調整した。SDSポ リアクリルアミド電気泳動後、抗リン酸化Akt 抗体(Cell Signaling Technologies社、製品番号9271) および抗Gβ1抗体(SantaCruz社、製品番号sc-379) よび抗Gβ2抗体(SantaCruz社、製品番号sc-380)お び抗Gβ4抗体(SantaCruz社、製品番号sc-382)を用 たウェスタンブロット法により、リン酸化A kt量およびGβ1量およびGβ2量およびGβ4量を測 した。 図16 に示したように、「ネガティブコントロール siRNA」を導入した場合、化合物6濃度依存的に リン酸化Akt量が上昇するのに対し、「GβsiRNA を導入し、Gβの発現が抑制された場合では 化合物6のいずれの濃度においてもリン酸化 Akt は検出されなかった。以上より、化合物6 によるAktリン酸化はGβを介していることが明 らかとなった。

<実施例27>Gβ1γ2-His存在下におけるフォス フォイノシタイド3-キナーゼ(PI3-kinase)β活性 を用いた血糖降下物質のスクリーニング法
(1)G蛋白質βγ(Gβ1γ2-His)の調製
 昆虫細胞を用いたGβ1の発現系の構築は実施 例19(2)に示した通りに行った。昆虫細胞を用 た6xHis-Gγ 2 の発現系の構築は以下のように行った。
 配列番号45及び46の合成DNAをプライマーとし 、ヒトGγ2の全蛋白コード領域を含むcDNAクロ ンをテンプレートとして定法によりPCR反応 行った。得られた0.3kbpのDNAを、ベクターpCR4 Blunt-TOPO(インビトロジェン社、Cat No.K2875)に ブクローニングした後、配列番号47で示した 塩基配列(配列番号48はアミノ酸配列を示す) 確認し、さらに制限酵素EcoRI、XhoIで切断し Bac-to-Bacバキュロウイルス発現システム(イン ビトロジェン社、Cat No.10359-016)のベクターpFa stBac1の同制限酵素部位に挿入し、pFB1-6xHis-GNG2 を作成した。さらに添付マニュアルに従い、 形質転換した大腸菌DH10Bac株の培養液からバ ミドDNAを調製した。このバクミドDNAをカイ 細胞Sf-21株にリポフェクション法により遺伝 子導入を行い、6xHis-Gγ 2 蛋白を発現する組換えウイルスを取得した。 マニュアルに従いウイルスは更にSf-21細胞に 染させることにより組換え蛋白を必要な量 確保しうるウイルス力価まで増加させた。 的の組換え蛋白の発現はウイルス感染細胞 イゼートについて6xHisタグ配列特異的抗体 用いたウェスタンブロット法により確認し 。

 昆虫細胞を用いたGβ1γ2-Hisの生産は以下の 法で行った。昆虫細胞Sf21株を用いたGβ1γ2-Hi s蛋白質の発現、生産は、上記記載のGβ1、お びGγ1-His遺伝子を含むバクミドDNAを用い、Ba c-to-Bacバキュロウイルス蛋白発現システム(イ ンビトロジェン社、製品番号10359-016)添付の ニュアル(Instruction Manual)記載の方法に従っ 行った。具体的には、Gβ1、およびGγ1-His遺 子を含むバキュロウイルスそれぞれMOI=2以上 となるように、250ml容の三角フラスコを用い 10 8 細胞/100mlのSF900IISFM培地(Invitrogen社、製品番号 10902-096)中で、65時間、28℃で振とう培養を行 た。培養後、遠心(1000rpm、5分)により細胞を 回収し、Insect Cell PBS(7.3mM NaH 2 PO 4  (pH6.2)、58mM KCl、47mM NaCl、5mM CaCl 2 )で洗浄した後、さらに遠心(1000rpm、5分)によ て細胞を回収し凍結保存した。

 Gβ1γ2-Hisの調製は以下のように行った。上 のように得た2.5x10 8 細胞を、10ml Lysis Buffer(20mM HEPES (pH8.0)、150mM  NaCl、5mM 2-メルカプトエタノール、プロテ ーゼインヒビターカクテル(Rosch Diagnostics社 11-697-498-001)、1mM EDTA)を用いて細胞をけん濁 した後、超音波破砕し、2600G、10分の遠心を い、上清12mlを得た。上清に5% Lubrol 3mlを加 、1%Lubrolとし、4℃、1時間の攪拌を行った後 、100000G、20分の遠心を行い、その上清を抽出 液(15ml)として得た。抽出液を500μlのNi-NTA agar ose(QIAGEN社、製品番号30210)カラムに通し、1% L ubrol を含むlysis Buffer 1mlで洗浄した後、洗 バッファー1(2ml)(20mM HEPES(pH8.0)、0.4M NaCl、5mM  2-メルカプトエタノール、0.5% Lubrol、0.15%  ール酸ナトリウム、10mM イミダゾール)、洗 浄バッファー2(2ml)(20mM HEPES(pH8.0)、0.1M NaCl、5 mM 2-メルカプトエタノール、0.25% Lubrol、0.3% ール酸ナトリウム、10mMイミダゾール)、洗 バッファー3(1ml)(20mM HEPES(pH8.0)、0.1M NaCl、5mM  2-メルカプトエタノール、0.5%コール酸ナト ウム、10mM イミダゾール)で洗浄後、溶出バ ッファー(1ml)(20mM HEPES (pH8.0)、0.01M NaCl、5mM  2-メルカプトエタノール、1% コール酸ナトリ ウム、50mM イミダゾール)を用いて溶出を行 た。この溶出液をGβ1γ2-His溶液とした。Gβ1γ 2-His蛋白質の濃度の測定は、ウェスタンブロ ト法を行いた市販のGβγ標品(ウシ脳由来精 品、Calbiochem社、製品番号371768)との比較に り、約100μg/mlとし、以下精製Gβ1γ2-Hisと表し た。

(2)Gβ1γ2-His存在下におけるフォスフォイノシ イド3-キナーゼ(PI3-kinase)β活性化アッセイ
 実施例24記載(2)の方法に従ってリピッドミ ル溶液を作成し、上記(1)で調製したGβ1γ2-His を13.3μg/mlの濃度になるように加え、氷上で10 分間静置した。本溶液30μlに、化合物1および 6を含む溶液5μl、PI3-kinaseβ(5μg/ml)5μlを順次加 え、 33 P-γ-ATPを含む40μM ATP溶液10μlを加え、室温で2 時間反応を行った。反応後80μlの1N HClを加え て反応を停止し、300μlのクロロホルム:メタ ール(1:1)で脂質の抽出を行い、80μlの1N HClで 2回洗浄した後、有機層を10mlの液体シンチレ ター(Hionic Fluor)を加えて液体シンチレーシ ンカウンターで 33 Pを測定した。

 図17に示したように、化合物非添加に対し 化合物1(0.1μM、10μM)、化合物6(100μM)を加えた ものは明らかなPI3-kinaseの活性上昇が認めら 、本方法がスクリーニング系として実施可 であることが明らかとなった。
 すなわち、本方法をスクリーニング系とし 用い、血糖降下作用物質のスクリーニング 可能であることが明らかとなった。

 本発明によれば、血糖降下作用を有する 合物または糖尿病治療薬、そのような化合 または糖尿病治療薬のスクリーニング方法 そのスクリーニング方法で用いることので るプローブ化合物などを提供することがで る。