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Patent Searching and Data


Title:
RESIN MOLDING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/155813
Kind Code:
A1
Abstract:
A resin molding containing a long afterglow phosphor that exhibits an enhanced afterglow brightness performance. There is provided a resin molding characterized by containing not only a blue-green inorganic long afterglow phosphor consisting of a divalent metal aluminate having the aluminum partially replaced by boron and activated by a rare earth but also an orange-yellow organic fluorescent dye.

Inventors:
FUJIKURA SHOZO (JP)
FUJISHITA HIROAKI (JP)
TONE TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/062275
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
ITAKURA MASAKO (JP)
FUJIKURA SHOZO (JP)
FUJISHITA HIROAKI (JP)
TONE TAKAHIRO (JP)
International Classes:
C08L101/00; C08K3/38; C08K5/03; C09K11/06; C09K11/64
Foreign References:
JP2002105448A2002-04-10
JP2002323613A2002-11-08
JP2002366065A2002-12-20
JP2002536529A2002-10-29
JP2007513447A2007-05-24
Attorney, Agent or Firm:
YAMADA, Masaki et al. (3-3 Nishi-shimbashi 3-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 アルミニウムがホウ素により部分的に置換され、希土類で賦活された二価金属アルミン酸塩である青緑系無機長残光蛍光体と、
 橙黄色系有機蛍光染料とを含有することを特徴とする樹脂成型物。
 前記橙黄色系有機蛍光染料がペリレン系蛍光染料であることを特徴とする請求項1記載の樹脂成型物。
 前記橙黄色系有機蛍光染料が、490nm以上540nm以下の範囲の発光ピーク波長を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂成型物。
Description:
樹脂成型物

 本発明は、樹脂成型物に関し、特に長残 蛍光体を含有する樹脂成型物に関する。

 長残光蛍光体は、外部からの光等の刺激に り発光し、刺激を停止した後でも発光し続 る蛍光体であり、例えば夜光塗料として、 間や暗所での案内板や標識等に用いられて る。このような長残光蛍光体として、例え 、希土類賦活金属アルミン酸ストロンチウ が広く使用されている。この中で、例えば 造式がSrAl 2 O 4 :Eu,Dyで表わされる蛍光体は、暗所では緑黄色 の蛍光光を発光する蛍光体であって、避難誘 導や安全確保の分野で多様な製品に用いられ ている(例えば、特許文献1)。また、青色系の 蛍光光を発光する蛍光体として例えば、アル ミニウムがホウ素により部分的に置換され、 希土類で賦活された二価金属アルミン酸塩か らなる青色系の蛍光体が知られている(例え 、特許文献2参照)。

特開平8-127772号公報

特開平9-111236号公報

 標識の表示態様は避難誘導や安全確保の 野でも近年多様化しており、標識に用いら る蛍光体には、発光色を調整してバリエー ョンを揃えることが望まれている。発光色 調整する方法として長残光蛍光体に染料や 料等の着色料を混合することが考えられる しかしながら、これまで知られている染料 顔料を、発光色の変化が判る程度まで長残 蛍光体に混合すると、残光特性が著しく低 してしまう。

 本発明は、上記事情に鑑み、長残光特性 有し、かつ発光色の調整が可能な樹脂成型 を提供することを目的とする。

 上記目的を達成する本発明の樹脂成型物は アルミニウムがホウ素により部分的に置換 れ、希土類で賦活された二価金属アルミン 塩である青緑系無機長残光蛍光体と、
 橙黄色系有機蛍光染料とを含有することを 徴とする。

 ここで、橙黄色系有機蛍光染料は、発光 のピーク波長が橙ないし黄色の範囲にある 機蛍光染料を意味する。本発明によれば、 緑系無機長残光蛍光体と橙黄色系有機蛍光 料とを樹脂成型物に含有することにより、 緑系無機長残光蛍光体とは異なる色の蛍光 を発光する。しかも、青緑系無機長残光蛍 体と橙黄色系有機蛍光染料とを含有する樹 成型物は、単体の青緑系無機長残光蛍光体 りも残光輝度特性が向上することを確認し 。

 ここで、上記本発明の樹脂成型物におい 、前記橙黄色系有機蛍光染料がペリレン系 光染料であることが好ましい。

 ペリレン系蛍光染料は、橙黄色系有機蛍 染料のなかでも光に対する耐久性が特に高 、標識等の用途に好適である。

 また、上記本発明の樹脂成型物において 上記橙黄色系有機蛍光染料が、490nm以上539nm 以下の範囲の発光ピーク波長を有するものあ ることが好ましい。

 特に490nm~539nmの範囲の発光ピーク波長を する橙黄色系有機蛍光染料によって、残光 度特性がより向上する。

 以上説明したように、本発明によれば、 残光特性を有し、かつ発光色の調整が可能 樹脂成型物が実現する。

試料1および比較例1(1)の発光スペクト である。 試料2および比較例2(1)の発光スペクト である。 比較例3の発光スペクトルである。 比較例4発光スペクトルである。

 以下本発明の実施の形態を説明する。

 本発明の実施形態である樹脂成型物は、 脂中に、青緑系無機長残光蛍光体と、橙黄 系有機蛍光染料とを含有したものであり、 部より照射される光を受けて励起し、青緑 無機長残光蛍光体の蛍光光よりも長波長側 ピーク波長を有する蛍光光を発光する。こ 樹脂成型物に外部の励起源から光が照射さ ると、青緑系無機長残光蛍光体は照射され 光のエネルギーを蓄え青緑色の蛍光光を発 する。青緑系無機長残光蛍光体が発光する 緑色の蛍光光の一部は有機蛍光染料を励起 、有機蛍光染料は青緑系無機長残光蛍光体 蛍光光よりも低波長の蛍光光を発光する。 脂成型物は、青緑系無機長残光蛍光体の蛍 光と有機蛍光染料の蛍光光との混合によっ 、励起源を取り去った暗所で、青緑系無機 残光蛍光体の青緑よりも長波長側の色の蛍 光を発光する。

 本実施形態の樹脂成型物は、微視的には 青緑系無機長残光蛍光体の粒子が樹脂中に 散した構造を有している。すなわち、青緑 無機長残光蛍光体の粒子が隙間なく堆積し 状態とは異なり、粒子同士が間隔を有して 置されている。このため、励起源から照射 れる光が樹脂樹脂成型物の深層にある青緑 無機長残光蛍光体まで行き届き、樹脂成型 に含まれる青緑系無機長残光蛍光体の全体 飽和するまでエネルギーが蓄えられる。ま 、樹脂成型物の深層で青緑系無機長残光蛍 体から発光される蛍光光の一部が、周辺の 緑系無機長残光蛍光体を励起し、暗所でも 量ながら発光―励起のエネルギー循環が生 るため、樹脂成型物は青緑系無機長残光蛍 体単体よりも残光特性が高いと考えられる 青緑系無機長残光蛍光体の粒子が樹脂中に 散した構造により残光特性を高める観点か は、樹脂成型物全体に対する青緑系無機長 光蛍光体の質量比は50%以下であることがよ 好ましい。

 この樹脂成型物は、例えば、硬化性を有す 液状の樹脂材料に青緑系無機長残光蛍光体 よび橙黄色系有機蛍光染料を混合した後、 脂材料を硬化させることによって形成され 。この場合、樹脂成型物は、橙黄色系有機 光染料が溶解した樹脂中に青緑系無機長残 蛍光体の粒子が分散した構造を有する。樹 成型物は、射出成型、押出し成型、または し込みによって、用途に応じた種々の形状 成型されるが、特に、板状に形成されるこ によって、材料の使用量に対する蛍光光に る表示効果が高められる。本発明の樹脂成 物は、上述したように青緑系無機長残光蛍 体および橙黄色系有機蛍光染料が樹脂材料 に分散したものであることが好ましい。た し、本発明の樹脂成型物は、青緑系無機長 光蛍光体および橙黄色系有機蛍光染料の双 が樹脂材料中に均一に分布したものに限ら ず、樹脂材料中における青緑系無機長残光 光体および橙黄色系有機蛍光染料の一方ま は双方の分布密度に偏りを有したものであ ても良い。さらに、本発明の樹脂成型物は 樹脂材料が、青緑系無機長残光蛍光体を含 層と橙黄色系有機蛍光染料を含む層とに分 れたものであってもよい。層状の樹脂成型 は、例えば、青緑系無機長残光蛍光体を含 硬化した樹脂材料と橙黄色系有機蛍光染料 含む硬化した樹脂材料とを互いに貼り合わ る方法や、青緑系無機長残光蛍光体を含み 化した樹脂材料の表面に、橙黄色系有機蛍 染料を含む硬化前の樹脂材料を塗布して硬 する方法によって製造することができる。
(青緑系無機長残光蛍光体)
 本実施形態に係る青緑系無機長残光蛍光体 、励起源を取り去っても発光が持続する蛍 体である。本実施形態では、青緑系無機長 光蛍光体として、アルミニウムがホウ素に り部分的に置換され、希土類で賦活された 価金属アルミン酸塩を用いる。この二価金 アルミン酸塩としては、アルミニウムがホ 素により部分的に置換され、Eu、Dy、Ce、Pr Sm、Tb、Ho、Er、Tm、Ybからなる群から選ばれ 少なくとも1以上の希土類金属元素で賦活さ たアルミン酸ストロンチウムが好ましい。 ルミニウムがホウ素により部分的に置換さ 希土類で賦活された二価金属アルミン酸塩 、高い長残光性を有する。また、490nmを中 とした485nm~495nmの範囲にピーク波長を有する 発光光を発光する。
(有機蛍光染料)
 本実施形態に係る橙黄色系有機蛍光染料は 可視光を受けて励起し、ピーク波長が黄色 いし橙色の範囲にある蛍光光を発光する。 実施形態に係る橙黄色系有機蛍光染料は、 記青緑系無機長残光蛍光体が発光する青緑 の発光光の一部を受けて励起し、受けた光 青緑色よりも長波長側の黄色ないし橙色の 囲にピーク波長がある蛍光光を発光する。 黄色系有機蛍光染料を含有することにより 脂成型物の蛍光色が調整される。樹脂成型 の蛍光色は、含有する橙黄色系有機蛍光染 の種類および濃度によって調整することが きる。しかも、青緑系無機長残光蛍光体お び橙黄色系有機蛍光染料を含有した樹脂成 物は、青緑系無機長残光蛍光体単体に比べ 残光性が高い。これは、青緑系無機長残光 光体からの発光光の一部が、視感度のより い黄色ないし橙色の光に変換されるためと えられる。具体的には発光ピーク波長が490n m以上540nm以下の範囲にある橙黄色系有機蛍光 染料を含有した樹脂成型物で高い残光特性を 確認した。また、本発明の橙黄色系有機蛍光 染料としては、ペリレン系蛍光染料を用いる ことが好ましい。橙黄色系有機蛍光染料とし てのペリレン系蛍光染料では、従来の常識に 反し、長残光性が向上することが確認された 。また、ペリレン系蛍光染料は、有機染料の 中でも耐久性(特に、光に対する耐久性)が良 である。ペリレン系蛍光染料は耐熱温度が 300℃であり、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂 混合し、樹脂が硬化する程度に加熱した場 でもほとんど分解しない良好な耐熱性を有 ている。

 ペリレン系蛍光染料は、例えば、オレン 系の蛍光染料として下式

(式中R 1 およびR 2 はそれぞれイソピル基又は塩素原子を意味し 、あるいはR 1 はメチル基またはエチル基を、R 2 はC 3 ―またはC 4 アルキル基を意味する)で表わされるペリレ ー3,4,9,10テトラカルボン酸ジイミドがある。 このオレンジ系のペリレン系蛍光染料には、 例えば、BASF社のルモゲンFオレンジ(Lumogen F  Orange)がある。

 また、イエロー系の蛍光染料として下式

(式中Xはハロゲン原子、nは0、1または2の数、 一方のYはシアン基そして他方のYはシアン基 はハロゲン原子、そしてZは、基-COOR 1 を意味し、この場合R 1 は水素原子、直鎖状又は分岐状のC 1 ~C 15 -アルキル基、C 5 ~C 15 ―シクロアルキル基により置換されたC 1 ―もしくはC 2 -アルキル基又はC 7 ~C 15 シクロアルキル基であって、このシクロアル キル基は1~4個の環を含有してよく、あるいは Yはシアン基そしてZはシアン基、ハロゲン原 又は水素原子であって、両方のZは、同一で も異なってもよい)で表わされるペリレン化 物がある。イエロー系のペリレン系蛍光染 としては、例えば、BASF社のルモゲンFイエロ ー(Lumogen F Yellow)がある。
(樹脂材料)
 本実施形態に係る樹脂材料としては、透明 の高い熱可塑性樹脂または熱硬化性性樹脂 用いることが好ましい。より具体的には、 に掲げる樹脂からなる樹脂群から選択され 少なくとも1種類の樹脂を用いることができ る。
(1)熱可塑性樹脂
(a)ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニール樹脂 、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、AS,ABS,HS等各 種ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、 およびポリテトラフルオロエチレン等の汎用 プラスチック類
(b)ポリカーボネート、およびポリエチレンテ フタレート等のエンジニアリング・プラスチ ック類
(c)液晶ポリマー等で代表されるスーパーエン ジニアプラスチック類
(2)熱硬化性樹脂
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹 脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、 アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性 ポリイミド

 以下、実施例と比較例を用いて詳しく説 するが、以下に説明する実施例は本発明を ら限定するものではない。

 [実施例1:樹脂成型物と青緑系無機長残光蛍 体単体との比較]
(試料の作成)
 まず、無色透明の液状である熱硬化性のエ キシ系樹脂に、BASF(株)製BASF社のLumogen F Yel low083(以降、単にYellow083とも称する。)を溶解 た。Yellow083は、ピーク波長が490nmの蛍光光 発光するイエロー系のペリレン系蛍光染料 あり、粉末状である。Yellow083は、濃度が0.02% となるように溶解した。次に、Yellow083が溶解 したエポキシ系樹脂に、大連路明発光科技製 PLB-8B(以降、単にPLB-8Bとも称する。)を混合し 。PLB-8Bは、アルミニウムがホウ素により部 的に置換され、希土類で賦活された二価金 アルミン酸塩であり、粉末状である。Yellow0 83が溶解したエポキシ系樹脂3gに対し、同質 (3g)のPLB-8Bを混合した。つまり、PLB-8Bに対す Yellow083の質量比は、上記濃度と等しい0.02% なるる。次に、作成した混合物6gを、白い平 底容器に1.5mm厚、直径50mmの円形板状に充填し 、120℃で加熱硬化させ樹脂成型物である試料 aを作成した。

 比較例として、Yellow083を加えないPLB-8Bを3g 粉末状のまま、白い平底容器に直径50mmで充 し、比較例bとした。
(残光特性の測定)
 次に、作成した試料aおよび比較例bのそれ れについて、JIS Z 9107に基づいて残光特性 測定した。具体的には、励起源からの光を 射し、励起源を取り去ってから1分、5分、10 、20分、60分経過における発光輝度(mcd/m 2 )を測定した。この測定によって、残光特性 すなわち暗所における時間経過に伴う発光 性が測定される。なお、消防関係の表示分 では、特に5分、10分、20分、60分経過時にお る輝度が重視されるが、本実施例では、輝 の減衰傾向を把握しやすくするため1分経過 時の輝度も測定した。

 試料aおよび比較例bの1分、5分、10分、20分 60分経過における発光輝度は、それぞれ、
試料a :1674、880、560、313、105(mcd/m 2 )
比較例b:1416、649、389、210、68(mcd/m 2 )
であった。

 上記の測定結果に示すように、青緑系無 長残光蛍光体以外に樹脂および橙黄色系有 蛍光染料が含まれた試料aは、いずれの時間 においても、比較例bに比べ発光輝度が高い しかも、試料aの発光輝度は、比較例bに比べ 時間経過に伴う減衰の度合いが小さく、例え ば60分経過における試料aの発光輝度は、比較 例bの1.5倍を超えていた。

 また、発光光の波長スペクトルを測定し ところ、比較例1の発光色は490nmのピーク波 を有する青緑色であるのに対し、試料1の発 光色はピーク波長が519nmの黄緑であった。

 [実施例2:複数種類の材料、複数の濃度]
 そこで次は、複数種類の材料、および複数 橙黄色系有機蛍光染料濃度による組み合わ によって複数の試料を作成し、残光特性を 定した。

 (試料の作成)
 まず、無色透明の液状である熱硬化性のエ キシ系樹脂に橙黄色系有機蛍光染料として Yellow083を溶解した。次に、このYellow083が溶 したエポキシ系樹脂3gに、青緑系無機長残 蛍光体としての日亜化学工業(株)製NP-2820(以 、単にNP-2820とも称する。)を同質量(3g)混合 た。NP-2820はアルミニウムがホウ素により部 分的に置換され、希土類で賦活された二価金 属アルミン酸塩であり、粉末状である。次に 、作成した、エポキシ系樹脂とYellow083、およ びNP-2820の混合物6gを、白い平底容器に1.5mm厚 直径50mmの円形板状に充填し、120℃で加熱硬 化させ、樹脂成型物である試料を作成した。 Yellow083を溶解した時点でのエポキシ系樹脂に 対するYellow083の濃度、つまりNP-2820に対するYe llow083の質量比を変えて5種類の試料を作成し 。NP-2820に対するYellow083の質量比を0.02%とし ものを試料1(2)Yとし、質量比を0.0113%とした のを試料1(3)Yとし、質量比を0.0048%としたも を試料1(4)Yとし、質量比を0.002%としたもの 試料1(5)Yとし、質量比を0.0011%としたものを 料1(6)Yとした。また、橙黄色系有機蛍光染料 を含まない(すなわち0%)比較例1(1)を作成した

 また、橙黄色系有機蛍光染料としてYellow0 83の代わりにBASF(株)製のLumogen F Orange240(以降 、単にOrange240)を用い、5つの試料1(2)O、試料1( 3)O、試料1(4)O、試料1(5)O、試料1(6)Oを作成した 。Orange240は、ピーク波長が539nmの蛍光光を発 するオレンジ系のペリレン系蛍光染料であ 、粉末状である。これら5つの試料1(2)O~1(6)O おける橙黄色系有機蛍光染料の質量比は、 料1(2)Y~1(6)Yとそれぞれ同じである。

 また、橙黄色系有機蛍光染料としてOrange2 40とYellow083とを1:1の質量比で混合したものを い、5つの試料1(2)YO、試料1(3)YO、試料1(4)YO、 試料1(5)YO、試料1(6)YOを作成した。Orange240とYel low083とを混合した橙黄色系有機蛍光染料は、 Orange240のピーク波長とYellow083のピーク波長の 間のピーク波長の蛍光光を発光することとな る。5つの試料1(2)YO~1(6)YOにおける、混合され 橙黄色系有機蛍光染料の質量比は、試料1(2) Y~1(6)Yとそれぞれ同じである。

 次に、青緑系無機長残光蛍光体としてNP-2 820の代わりにPLB-8Bを用い、上記試料と同じ質 量比でYellow083を含有する5つの試料2(2)Y、試料 2(3)Y、試料2(4)Y、試料2(5)Y、試料2(6)Yを作成し 。また、橙黄色系有機蛍光染料を含まない( 0%)比較例2(1)を作成した。なお、上記実施例1 試料aは試料2(2)Yと同じものである。

 また、Yellow083の代わりにOrange240を用い、5 つの試料2(2)O、試料2(3)O、試料2(4)O、試料2(5)O 試料2(6)Oを作成した。

 次に、比較例を作成した。まず、青緑系 機長残光蛍光体の代わりに青紫系無機長残 蛍光体である根本特殊化学製V-300M(以降、単 にV-300Mとも称する)を用いて、Yellow083を含有 る比較例3(2)Y、比較例3(3)Y、比較例3(4)Y、比 例3(5)Y、比較例3(6)Yと、およびOrange240を含有 る比較例3(2)O、比較例3(3)O、比較例3(4)O、比 例3(5)O、比較例3(6)Oを作成した。この青紫系 無機長残光蛍光体についても、橙黄色系有機 蛍光染料を含まない(0%)比較例3(1)を作成した

 また、青緑系無機長残光蛍光体の代わり 青系無機長残光蛍光体である大連路明発光 技製601G-B(以降、単に601G-Bとも称する)を用 て、Yellow083およびOrange240のそれぞれを含有 る比較例4(2)Y、比較例4(3)Y、比較例4(4)Y、比 例4(5)Y、比較例4(6)Yと、比較例4(2)O、比較例4( 3)O、比較例4(4)O、比較例4(5)O、比較例4(6)Oを作 成した。青系無機長残光蛍光体についても、 橙黄色系有機蛍光染料を含まない(0%)比較例4( 1)を作成した。

 また、比較例として、緑黄系長残光蛍光体 ある根本特殊化学製G300M(以降、単にG300Mと 称する)を用いて別の比較例5を作成した。G30 0Mは、構造式がSrAl 2 O 4 :Eu,Dyで表わされる希土類賦活金属アルミン酸 ストロンチウムの粉末であり、蓄光式誘導標 識に広く用いられているものである。この比 較例5は、蓄光式誘導標識に広く用いられて る緑黄系長残光蛍光体の残光輝度特性を得 ためのものであり、橙黄色系有機蛍光染料 含んでいない。
(残光特性の測定)
 次に、作成した試料および比較例のそれぞ について、JIS Z 9107に基づいて残光特性を 定した。具体的には、励起源からの光を照 し、励起源を取り去ってから1分、5分、10分 、20分、60分経過における発光輝度(mcd/m 2 )を測定した。この測定によって、残光特性 なわち暗所における発光光の時間経過に伴 発光特性が測定される。

 それぞれの試料および比較例の残光特性 次の表に示す。表には、各試料および比較 の測定値を、長残光蛍光体、または橙黄色 有機蛍光染料の量(配合)が同量となるもの うしを横に並べて示した。次表における先 行の”No”欄は試料番号における括弧の前の 数字を示し、最左列の”テストピース管理番 号”は試料番号における括弧内の数字を示し 、”染料色”の行は試料番号における括弧の 後の接尾辞を示す。また、比較例5は橙黄色 有機蛍光染料を含んでいないが、橙黄色系 機蛍光染料を含有する試料と残光特性を比 するため、対応する欄に輝度の値を記載し 。

 上の表1に示すように、試料1(2)Y~試料1(6)Y、 料1(2)O~試料1(6)O、試料1(2)YO~試料1(6)YO、試料2 (2)Y~試料2(6)Y、試料2(2)O~試料2(6)Oは、それぞれ 橙黄色系有機蛍光染料を含まない比較例1(1) 比較例2(1)に比べ、5分、10分、20分、60分経過 時における輝度の低下が抑えられているか、 または向上した。1分経過時における輝度は 較例1(1)、比較例2(1)に比べ低い。しかし、例 えば消防関係の表示分野で重要視される、5 経過以降における輝度の低下が抑えられて た。また、試料2-(2)Y~試料2-(6)Y、および、試 2-(2)O~試料2-(6)Oは、先の実施例で比較例bと て示したPLB-8B単体に比べ発光輝度が高く、 光式誘導標識に広く用いられている緑黄系 残光蛍光体の比較例5に比べても残光特性が い。、本実施例の試料はいずれも、例えば 60分経過時における発光輝度が比較例5に比 50%以上高い。特に、Orange240を含有する試料1 (2)O~試料1(6)O、および、試料2(2)O~試料2(6)Oは、 60分経過時における発光輝度が、比較例5に比 べ少なくとも200%以上高い。
(発光色の測定)
 試料および比較例の一部について、蛍光光 発光色を測定した。上の表1に、各試料およ び比較例の、ピーク波長、ドミナント波長、 および、発光色を示す。発光色の一部につい ては、G300Mの比較例5(”G”)を基準として表現 している。

 図1は、試料1(2)Y~試料1(6)Y、試料1(2)O~試料1 (6)O、試料1(2)YO~試料1(6)YO、および比較例1(1)の 発光スペクトルである。図2は、試料2(2)Y~試 2(6)Y、試料2(2)O~試料2(6)O、および比較例2(1)の 発光スペクトルである。図3は、比較例3(1)、 較例3(2)Y~比較例3(6)Y、および、比較例3(2)O~ 較例3(6)Oの発光スペクトルである。図4は、 較例4(1)、比較例4(2)Y~比較例4(6)Y、および、 較例4(2)O~比較例4(6)Oの発光スペクトルである 。

 いずれの試料の発光ピーク波長も、橙黄 系有機蛍光染料が含まれない比較例のピー 波長に比べ長波長側であった。例えば、試 1(2)Yは、ピーク波長が519nm、ドミナント波長 522.1nmであり、G300Mを含有する比較例5に比べ るい感じの緑味の蛍光光を発光する。また 試料1(2)Oは、白みがかった黄橙色の発光光を 発光する。波長や色は、橙黄色系有機蛍光染 料の割合によっても異なり、2種類以上の橙 色系有機蛍光染料を含ませることによって らに変化する。例えば、試料1(2)YOは、試料1( 2)Oと異なる色の蛍光光を発光する。

 例えば、蓄光式誘導標識の分野では、発光 ペクトルのピーク波長を507nm~555nmの範囲と る蛍光標識を採用しているが、Yellow083を0.011 3%以上含有した試料1(2)Y、試料1(3)Y、試料2(2)Y および試料2(3)Yは、この基準例の範囲にお る蛍光光を発光する。
(体色の観測)
 上の表1には、試料および比較例について、 体色、すなわち明所における色を測定した結 果も示している。橙黄色系有機蛍光染料を含 有した試料1(2)Yは黄緑色の体色を有し、試料1 (2)Oは明るい橙色の体色を有する。これは、 黄色系有機蛍光染料を含まない比較例1(1)の 色が白に近い淡緑色であるのとは異なり、 種標識における有色の表示として用いるこ ができる程度となっている。
[参考例]
 ここで、参考例として、青緑系無機長残光 光体と赤色の蛍光光を発光する有機蛍光染 を混合した参考試料を作成し、残光特性を 定した。

 有機蛍光染料として、BASF社のルモゲンF ッド305(Lumogen F Red305。以降単にRed305とも称 る。)を用いた。この有機蛍光染料を、上記 実施例1の場合と同様に、4種類の青緑系無機 残光蛍光体NP-2820、PLB-8B、V-300M、601G-Bのそれ ぞれに混合し、参考試料を作成した。有機蛍 光染料の質量比および試料の製法は、上記実 施例1と同様である。青緑系無機長残光蛍光 としてNP-2820を用いた5つの参考試料1(1)R~1(5)R PLB-8Bを用いた5つの参考試料2(1)R~2(5)R、V-300M 用いた5つの参考試料3(1)R~3(5)R、そして、601G -Bを用いた5つの参考試料4(1)R~4(5)Rを作成した なお、参考試料1(1)R、参考試料2(1)R、参考試 料3(1)R、参考試料4(1)Rは、Red305が無添加のも である。これらの参考試料について残光特 を測定した。

 それぞれの参考試料の残光特性を次の表2 に示す。

 例えば、表2に示すように、Red305が0.02%含 れた参考試料1(2)R、参考試料2(2)Rは、それぞ れRed305が無添加の参考試料1(1)R、参考試料2(1) Rに比べ、励起源を取り去ってから1分後だけ なく、5分、10分、20分、60分経過における発 光輝度も著しく減少した。そして、緑黄系長 残光蛍光体の比較例5に比べても、発光輝度 低下した。