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Patent Searching and Data


Title:
ROTARY BLADE TOOL FIXING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084636
Kind Code:
A1
Abstract:
A fixing device for fixing a rotary blade to a spindle in a bench circular sawing machine, for example, is conventionally constituted to find it hard to make the radial direction compact. This constitution raises a problem to sacrifice the inclination angle and the cutting depth of the rotary blade tool. Provided is a fixing device, which is enabled to solve that problem by adopting the constitution easily made compact in the radial direction. An intermediate flange (12) and an outer flange (13) are formed to have such cam portions (12c and 13d) on their confronting faces as mesh with each other. These cam portions (12c and 13d) are brought into sliding contact with each other by the rotating force applied to the rotary blade tool, and the rotating force is converted into the displacement of the intermediate flange (12) in the direction of a spindle axis (J), so that the rotary blade (2) acts in a clamping direction.

Inventors:
TAKAHASHI YUJI (JP)
KOIKE YOICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074419
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MAKITA CORP (JP)
TAKAHASHI YUJI (JP)
KOIKE YOICHIRO (JP)
International Classes:
B23D61/02; B23B31/02; B24B45/00
Foreign References:
JPH11226869A1999-08-24
JP2001150208A2001-06-05
JP2002103236A2002-04-09
JP2000233367A2000-08-29
JPH10156609A1998-06-16
JPH02501907A1990-06-28
JP2001096407A2001-04-10
Other References:
See also references of EP 2123380A4
Attorney, Agent or Firm:
OKADA PATENT & TRADEMARK OFFICE, P.C. (10-19 Sakae 2-chome,Naka-ku, Nagoya-shi, Aichi 08, JP)
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Claims:
回転するスピンドルの回転固定部に回転刃具を固定するための装置であって、前記回転刃具を両側から挟み込んで該回転刃具を回転について前記回転固定部に固定するインナフランジとアウタフランジと、前記回転固定部の端面に固定ねじ部を締め込んで前記インナフランジと前記アウタフランジに対して前記回転刃具に対するスピンドル軸線方向の挟み込み力を発生させる固定フランジを備え、
 前記回転刃具と前記インナフランジとの間及び/又は前記回転刃具と前記アウタフランジとの間に中間フランジを介装し、該中間フランジと対をなす前記インナフランジとの間及び/又は前記中間フランジと対をなす前記アウタフランジとの間に、前記スピンドル軸線方向に高さが変化するカム部の噛み合いによるカム噛み合い部を設け、
 かつ、前記インナフランジ及び/又は前記アウタフランジであって前記中間フランジと対をなして前記カム噛み合い部を形成する部材を前記回転固定部に回転について固定して、
 前記回転刃具に付加される回転抵抗により前記中間フランジを、該中間フランジと対をなして前記カム噛み合い部を形成する部材に対して相対回転させて前記カム噛み合い部に前記スピンドル軸線方向の軸力を発生させる構成とした固定装置。
請求項1記載の固定装置であって、
 前記回転固定部に回転について固定され、かつ該回転固定部の端部に当接されてスピンドル軸線方向の変位を規制されたインナフランジと、該インナフランジとの間に前記回転刃具を挟み込み、かつ前記回転固定部に対して相対回転可能な中間フランジと、該中間フランジを前記回転刃具との間に挟み込み、かつ前記回転固定部に回転について固定されたアウタフランジと、該アウタフランジを前記中間フランジとの間に挟み込み、かつ前記回転固定部の端面に固定ねじ部を締め込んでスピンドル軸線方向に移動不能にねじ結合される固定フランジを備え、
 前記中間フランジと前記アウタフランジとの間に前記カム噛み合い部を設けて、
 前記回転刃具を経て前記中間フランジに付加される前記アウタフランジに対する相対回転力を前記カム噛み合い部を経て前記中間フランジの前記回転刃具に対する前記スピンドル軸線方向の押圧力に変換する構成とした固定装置。
請求項2記載の固定装置であって、前記中間フランジの前記回転刃具に対する回転方向の摩擦抵抗を、前記カム部の摺接抵抗よりも大きく設定した固定装置。
請求項2または3記載の固定装置であって、前記回転刃具と前記インナフランジとの間に、該回転刃具に対する前記インナフランジの回転方向の摩擦抵抗を、前記回転刃具に対する前記中間フランジの回転方向の摩擦抵抗よりも小さくするするための摩擦低減手段を介在させた固定装置。
請求項2~4のいずれか1項に記載した固定装置であって、前記インナフランジが、前記スピンドルの回転固定部に回転可能に取り付けられた固定装置。
請求項2~5のいずれか1項に記載した固定装置であって、前記中間フランジと前記アウタフランジとの間に、これらの周囲を覆うカバーを取り付け、該カバーに回転方向の弾性力を持たせるとともに、前記中間フランジと前記アウタフランジに対してそれぞれ回転方向に係合させて、前記中間フランジの前記アウタフランジに対する回転方向の位置について、前記中間フランジのカム部と前記アウタフランジのカム部が最も深く噛み合うこととなる初期位置に付勢した固定装置。
請求項2~6のいずれか1項に記載した固定装置であって、前記中間フランジと前記スピンドルの回転固定部との間に、該中間フランジの前記スピンドルに対する回転方向の位置について、前記中間フランジのカム部と前記アウタフランジのカム部が最も深く噛み合うこととなる初期位置に付勢するための初期位置付勢手段を介装した固定装置。
請求項1記載の固定装置であって、
 前記回転固定部に回転について固定され、かつ該回転固定部の端部に当接されてスピンドル軸線方向の変位を規制されたインナフランジと、該インナフランジと前記回転刃具との間に挟み込まれ、前記回転固定部に回転について許容された中間フランジと、該中間フランジとの間に前記回転刃具を挟み込むアウタフランジと、該アウタフランジを前記回転刃具との間に挟み込み、かつ前記回転固定部の端面に固定ねじ部を締め込んでスピンドル軸線方向に移動不能にねじ結合される固定フランジを備え、
 前記インナフランジと前記中間フランジとの間にカム噛み合い部を設けて、
 前記回転刃具を経て前記中間フランジに付加される前記インナフランジに対する相対回転力を前記カム噛み合い部を経て前記中間フランジの前記回転刃具に対する前記スピンドル軸線方向の押圧力に変換する構成とした固定装置。
請求項1記載の固定装置であって、
 前記回転固定部に回転について固定され、かつ該回転固定部の端部に当接されてスピンドル軸線方向の変位を規制されたインナフランジと、該インナフランジと前記回転刃具との間に挟み込まれ、かつ前記回転固定部に回転について許容されたインナ中間フランジと、該インナ中間フランジとの間に前記回転刃具を挟み込み、かつ前記回転固定部に回転について許容されたアウタ中間フランジと、該アウタ中間フランジを前記回転刃具との間に挟み込み、かつ前記回転固定部に回転について固定されたアウタフランジと、該アウタフランジを前記アウタ中間フランジとの間に挟み込み、かつ前記回転固定部の端面に固定ねじ部を締め込んでスピンドル軸線方向に移動不能にねじ結合される固定フランジを備え、
 前記インナフランジと前記インナ中間フランジとの間、及び前記アウタフランジと前記アウタ中間フランジとの間に、前記スピンドル軸線方向に高さが変化するカム部が相互に噛み合うカム噛み合い部をそれぞれ設けて、
 前記回転刃具を経て前記インナ中間フランジと前記アウタ中間フランジに付加される、前記インナフランジと前記アウタフランジに対する相対回転力を、前記二組のカム噛み合い部を経て前記インナ中間フランジと前記アウタ中間フランジの前記回転刃具に対する前記スピンドル軸線方向の押圧力に変換する構成とした固定装置。
Description:
回転刃具の固定装置

 この発明は、例えば携帯丸鋸において円 の切断刃(回転刃具)をスピンドルに取り付 るための固定装置であって、手操作で簡単 締め付けることができ、使用中における回 刃具のスピンドルに対する滑り(相対回転)を 確実に防止することができるツールレスタイ プの固定装置に関する。

 駆動モータにより回転するスピンドルの先 に、円形の回転刃具を特別の工具を用いる となく作業者が手操作で取り付け、取り外 ができるツールレスタイプの固定装置とし 従来例えば特開2001-96407号公報に開示された ものがあった。この従来の固定装置は、爪部 を径方向に変位させて外周側の凹部に噛み合 い歯を係脱させるラチェット機構を用いた構 成となっていた。
 また、これとは別に、減速用の遊星歯車列 内蔵した構成により手操作で強固に締め付 ることができる固定装置が提供されていた

特開2001-96407号公報

 しかしながら、これら従来の固定装置は、 の構成上径方向にコンパクト化を図ること 困難であるために比較的大径のものが多か た。このため、従来の固定装置を例えば携 形の丸鋸にそのまま適用できない問題があ た。携帯形の丸鋸では、切断刃を傾斜させ 切断材に斜めに切り込む傾斜切りを行う場 に当該固定装置の切断材への干渉をさけて り大きな角度での傾斜切りを可能とするた に当該固定装置の径方向及び軸方向の寸法 極力小さいことが望ましい。また、携帯丸 において、回転刃具の中心に大径の固定装 が装着されていると当該回転刃具の切断材 対する切り込み深さの上限が小さくなるこ から、この点でも従来の固定装置をこの種 切断機にそのまま適用することが困難であ た。
 そこで、本発明では、手操作により回転刃 を強固に取り付けることができ、切断抵抗 るいはブレーキ時において回転刃具のスピ ドルに対する滑りが発生せず、しかも径方 にコンパクトである結果傾斜切りに対応し 丸鋸にも容易に適用できる回転刃具の固定 置を提供することを目的とする。

 このため、本発明は、特許請求の範囲の各 求項に記載した構成の固定装置とした。
 請求項1記載の固定装置によれば、回転刃具 に切断抵抗等の回転抵抗が付加されると、中 間フランジとインナフランジ若しくはアウタ フランジとの間に相対回転力が付加され、こ の相対回転力がカム噛み合い部を経てスピン ドル軸線方向の軸力に変換される。この軸力 が固定フランジの挟み込み力に付加されるこ とにより、回転刃具がインナフランジとアウ タフランジとの間により強固に挟み込まれる ことによりスピンドルに対してより強固に回 転について固定される。このため、使用者は 回転刃具の装着時において固定フランジを軽 く締め込めば足りる。
 回転刃具に対して回転抵抗が付加されなく ると、中間フランジのインナフランジ若し はアウタフランジに対する相対回転力が付 されなくなるため、カム噛み合い部の軸力 なくなるため、固定フランジを楽に緩める とができる。
 このように、中間フランジとインナフラン 若しくはアウタフランジとの間に設けたカ 噛み合い部により発生する軸力を利用する 成であるので、スピンドル径方向のコンパ ト性を損なうことなく回転刃具をより強固 固定することができ、ひいては傾斜切り機 を備えた丸鋸等に容易に適用することがで る。

 請求項2記載の固定装置によれば、回転刃具 に対する回転抵抗は当該回転刃具をスピンド ルに対して回転方向に変位させる外力(回転 、以下単に回転抵抗ともいう)として作用す 。一方、インナフランジが回転固定部に対 て回転について固定され、中間フランジが 転固定部に対して相対回転可能に装着され いることから、回転刃具に付加される回転 抗は中間フランジをスピンドルに対して回 させるための回転力として作用する。この 転抵抗により中間フランジがスピンドルに して回転方向に変位すると、回転固定部に 転について固定されたアウタフランジに対 て回転方向に変位する。中間フランジがア タフランジに対して回転方向に変位すると 両者のカム部の周方向への変位(摺接作用) 発生し、これにより当該回転抵抗の一部が ピンドル軸線方向の分力(軸力)として中間フ ランジに作用し、これが回転刃具に対する押 圧力として当該中間フランジに作用する。
 このように、回転刃具に加工時の大きな回 抵抗あるいはブレーキ時における大きな慣 力(以下、単に回転抵抗ともいう)が付加さ ると、中間フランジのカム部とアウタフラ ジのカム部の摺接作用を経て当該回転抵抗 の一部が中間フランジを回転刃具に押し付 る軸力に変換され、これにより回転刃具の ンナフランジに対する回転方向の滑りが防 される。このことから、使用者は手操作で 定フランジをスピンドルに対してねじ結合 れば、回転刃具のスピンドルに対する回転 が当該固定装置において回転刃具をインナ ランジ側に押し付ける軸力に変換され、こ により当該回転刃具の滑りが防止されるの 、従来の操作性を損なうことなく回転刃具 滑りを確実に防止することができる。
 また、中間フランジとアウタフランジの相 の対向面に設けたカム部の摺接作用により 力を発生させ、この軸力によりインナフラ ジと中間フランジとの間の回転刃具の挟み み力を高める構成であり、従来のようなス ンドル径方向の動きを利用する構成ではな ので、当該固定装置の径方向のサイズを従 よりもコンパクト化しやすい。当該固定装 のスピンドル径方向及び軸方向のサイズを ンパクト化することにより、携帯丸鋸の傾 切り時における回転刃具の傾斜角度を大き 設定することができ、またその切断材に対 る切り込み深さを大きく設定することがで 、従って当該固定装置を携帯丸鋸等に容易 適用することができる。
 請求項3記載の固定装置によれば、上記作用 効果に加えて、回転刃具の回転力(起動、停 時の慣性力及び加工に伴う回転抵抗)が中間 ランジに確実に伝達されてカム部の摺接作 を効率よく発生させることができ、これに り中間フランジの回転刃具に対する押圧力 効率よく高めることができる。
 回転刃具に対する中間フランジの摩擦抵抗 、両者の材質、接触する範囲の平均径によ 適切に設定することができる。また、逆に カム部のカム面間に滑材を介装若しくは塗 等しておくこと、カム面の傾斜角度を適切 設定することにより当該カム部の摺接抵抗 中間フランジの回転刃具に対する摩擦抵抗 りも極力小さくすることができる。

 請求項4記載の固定装置によれば、回転刃具 に回転抵抗が付加されなくなると、カム部を 有する中間フランジと回転刃具が、インナフ ランジひいてはスピンドルに対して回転方向 に変位しやすくなり、これによりカム部の噛 み合いが確実に最も深い初期位置に戻されて 固定フランジのスピンドルに対するねじ結合 力(ねじの締め付け力)が弱められることから 当該固定フランジを小さな回転操作力で楽 緩めることができる。
 請求項5記載の固定装置によれば、スピンド ルの回転固定部に対してインナフランジが一 定の角度範囲の遊びを有する状態で固定され ているため、回転刃具に対して回転抵抗が付 加されなくなった時点での中間フランジの回 転固定部に対する回転方向の変位を発生しや すくなり、これにより中間フランジのカム部 とアウタフランジのカム部の噛み合いが最も 深くなる状態にスムーズに移行して固定フラ ンジのねじ結合力が確実に緩められる。
 請求項6記載の固定装置によれば、回転刃具 に回転抵抗が付加されなくなった時点で、中 間フランジのカム部とアウタフランジのカム 部がカバーの弾性力によって確実に初期位置 (最も深く噛み合う位置)に戻されるので、固 フランジのねじ結合力が確実に緩められる
 請求項7記載の固定装置によれば、回転刃具 に回転抵抗が付加されなくなった時点で、中 間フランジが初期位置付勢手段により初期位 置に戻されて当該中間フランジのカム部とア ウタフランジのカム部の噛み合いが最も深く なる状態に確実に移行させることができ、こ れにより固定フランジのスピンドルに対する ねじ結合力が緩められて、回転刃具を交換等 する場合には固定フランジを小さな力で楽に 緩めることができる。
 請求項8記載の固定装置によれば、カムの噛 み合い部が回転刃具に対して請求項2記載の 成とは反対側(インナフランジ側)に位置する ことによっても請求項2記載の構成の場合と 様の作用効果を得ることができる。請求項8 載の固定装置においても、回転刃具に回転 抗が付加されなくなった時点で、中間フラ ジが確実に回転方向に変位することから、 該中間フランジのカム部とインナフランジ カム部の噛み合いが確実に最も深い状態(初 期状態)に移行し、これにより固定フランジ スピンドルに対するねじ結合力を確実に緩 て当該固定フランジを小さな回転操作力で に緩めることができる。
 請求項9記載の固定装置によれば、回転刃具 に対して両側にカム部の噛み合い部が配置さ れていることから、当該回転刃具に対して回 転抵抗が付加されなくなった時点で両カム部 の噛み合いがそれぞれ最も深くなることによ り発生する、インナ中間フランジとアウタ中 間フランジのスピンドル軸線方向への変位が 概ね二倍になることから、固定フランジのス ピンドルに対するねじ結合力をより確実に緩 めることができる。請求項9記載の固定装置 おいても、回転刃具に対して回転抵抗が付 されなくなった時点でインナ中間フランジ アウタ中間フランジが回転方向に変位しや くなり、従ってカム部が最も深い噛み合い なる状態に確実に移行して固定フランジの ピンドルに対するねじ結合力が緩められる

第1実施形態に係る固定装置の縦断面図 である。本図は、固定装置により回転刃具が スピンドルに固定された状態を示している。 第1実施形態に係る固定装置の分解図で ある。 図2の(III)-(III)線矢視図であって、中間 ランジの平面図である。 図3の(IV)-(IV)線断面矢視図であって、中 間フランジのカム部の展開図である。 図2の(V)-(V)線矢視図であって、アウタ ランジの平面図である。 固定フランジの平面図である。 第2実施形態に係る固定装置の縦断面図 である。本図は、固定装置により回転刃具が スピンドルに固定された状態を示している。 第3実施形態に係る固定装置の横断面図 である。本図は、固定装置により回転刃具が スピンドルに固定された状態を示している。 第4実施形態に係る固定装置の縦断面図 である。本図は、固定装置により回転刃具が スピンドルに固定された状態を示している。 第5実施形態に係る固定装置の縦断面 である。本図は、固定装置により回転刃具 スピンドルに固定された状態を示している 第6実施形態に係る固定装置の縦断面 である。本図は、固定装置により回転刃具 スピンドルに固定された状態を示している 図11の(XII)-(XII)線断面矢視図であって 第6実施形態に係る固定装置の横断面図であ 。

 次に、本発明の第1実施形態を図1~図6に基づ いて説明する。以下説明する第1実施形態で 、携帯形の丸鋸のスピンドル1に円板形の回 刃具2を取り付けるための固定装置10を例示 て説明する。丸鋸盤のスピンドル1は本体部 に内蔵した駆動モータにより軸線J回りに回 する。このスピンドル1の先端には、小径部1 cが段付き形成されて軸線Jに直交する端部Sa 形成されている。小径部1cには軸線Jを間に て相互に平行な平坦面1a,1aが設けられている 。この二つの平坦面1a,1aにより、スピンドル1 の小径部1cに断面小判形のいわゆる二面幅部S が形成されている。この二面幅部Sが特許請 の範囲に記載した回転固定部の一例に相当 る。以下、この二面幅部Sを回転固定部Sとい う。
 このスピンドル1の先端面(回転固定部Sの先 面)にはねじ孔1bが設けられている。このね 孔1bは、スピンドル1の中心軸線Jに沿って一 定の深さで設けられている。このスピンドル 1の回転固定部Sに対して回転刃具2が軸線J方 に移動不能かつ軸線J回りに回転不能に取り けられる。
 本実施形態の固定装置10は、回転刃具2の一 の側面(図1,2において左側面)に当接される ンナフランジ11と、回転刃具2の他方の端面( 1,2において右側面)に当接される中間フラン ジ12と、この中間フランジ12を回転刃具2との に挟み込むアウタフランジ13と、このアウ フランジ13を中間フランジ12との間に挟み込 固定フランジ14を備えている。
 インナフランジ11は円板形状をなすもので その中心には小判形の挿通孔11aが設けられ いる。この挿通孔11a内に回転固定部Sが挿通 れる。このため、このインナフランジ11は スピンドル1に対して回転について固定され 状態で装着される。また、このインナフラ ジ11は、回転固定部Sの端部Saに当接されて 線J方向(図1,2において左方)の変位が規制さ た状態に装着される。
 このインナフランジ11の回転刃具2側の側面( 図において右側面)には、中心部が逃がされ 円環形状の当接面11bが設けられている。こ 当接面11bが回転刃具2の一方の側面(図におい て左側面)に当接される。

 スピンドル1の回転固定部Sにインナフラン 11が装着された後、回転刃具2が装着される 回転刃具2の中心には円形の取り付け孔2aが けられている。この取り付け孔2a内に回転固 定部Sを挿入して当該回転刃具2がスピンドル1 の回転固定部Sに取り付けられる。このため 回転刃具2は、軸線J回りの回転について直接 固定されない状態で回転固定部Sに装着され 。図示は省略されているが、この回転刃具2 周囲には切断刃が全周にわたって設けられ いる。
 回転刃具2が装着された後、中間フランジ12 装着される。中間フランジ12はインナフラ ジ11とほぼ同じ外径の円板形状をなすもので 、その中心には回転刃具2と同径の円形をな 取り付け孔12aが設けられている。このため 中間フランジ12も、軸線J回りの回転につい 直接固定なされない状態で回転固定部Sに装 される。
 この中間フランジ12の回転刃具2側の側面(図 示左側面)には、中心部が逃がされて円環形 の当接面12bが設けられている。この当接面12 bが回転刃具2の他方の側面(図において右側面 )に当接される。
 ここで、中間フランジ12の当接面12bと回転 具2との間の摩擦抵抗は、以下説明するカム 12c,13d相互間の摺接抵抗(摩擦抵抗)よりも大 くなるように設定されている。中間フラン 12の当接面12bにはいわゆるローレット目加 (摩擦抵抗を大きくする表面加工)がなされて 回転刃具2に対する摩擦係数が大きくなるよ に設定されている。一方、カム部12c,13dのカ 面は平坦かつ滑らかな面に形成されて相互 の摺接抵抗が中間フランジ12の回転刃具2に する摩擦抵抗よりも十分に小さくなるよう 設定されている。

 次に、この中間フランジ12の右側面には、 数のカム部12c~12cが設けられている。このカ 部12c~12cは、図3に示すように同一円周上に って複数(図では6つ)のカム部12c~12cが設けら ている。図4に示すように各カム部12cは、軸 線J方向に高さが連続的に変化する山形を有 ている。
 この中間フランジ12の周面には、溝部12dが 周にわたって形成されている。この溝部12d は止め輪15が装着されている。
 中間フランジ12を装着した後、回転固定部S アウタフランジ13が装着される。このアウ フランジ13も概ね円板形状をなすもので、そ の中心にはインナフランジ11と同じく小判形 挿通孔13aが設けられている。この挿通孔13a に回転固定部Sを挿通させた状態で当該アウ タフランジ13がスピンドル1の回転固定部Sに 転不能な状態で装着される。
 このアウタフランジ13の図1,2において左側 には、中間フランジ12を収容するための収容 部13bが設けられている。この収容部13bの内壁 面には前記止め輪15を嵌め込むための溝部13c 全周にわたって形成されている。この止め 15を介して当該アウタフランジ13と上記中間 フランジ12は、相互に回転可能かつ軸線J方向 へは相互に分離しない状態にアッセンブリ化 されている。
 但し、中間フランジ12側の溝部12dの幅は、 ウタフランジ13側の溝部13cよりも幅広に形成 されて、止め輪15が軸線J方向に変位可能とな っている。このため、中間フランジ12とアウ フランジ13は、軸線J方向に僅かな範囲(カム 部12c,13dの摺接作用により軸線J方向へ相対変 する範囲)で相対変位可能に組み付けられて いる。

 次に、収容部13bの底部には、中間フランジ1 2のカム部12c~12cに対向して複数(本実施形態で は6つ)のカム部13d~13dが設けられている。この 複数のカム部13d~13dは、中間フランジ12側のカ ム部12c~12cとほぼ同じ径の円周上に沿って設 られている。また、各カム部13dは、中間フ ンジ12側のカム部12cと同じ形状及び大きさで 形成されている。このため、中間フランジ12 カム部12c~12cとアウタフランジ13のカム部13d~ 13dは相互に噛み合った状態となっている。カ ム部12c~12cとカム部13d~13dとの相互の噛み合い 特許請求の範囲に記載したカム噛み合い部 相当する(以下同じ)。
 このように中間フランジ23とアウタフラン 13が対をなして形成されるカム噛み合い部に よれば、図4に示すようにアウタフランジ13と 中間フランジ12が相対回転すると、カム部13d~ 13dとカム部12c~12cの噛み合いが周方向にずれ 軸線Jへの相対変位が発生するため、アウタ ランジ13と中間フランジ12は軸線J方向に相 変位する。本実施形態の場合、後述するよ にスピンドル1に装着した状態では、アウタ ランジ13は軸線J方向に移動不能に固定され ことから、当該アウタフランジ13に対して 間フランジ12に対する相対回転力が付加され ると、この回転力の一部は、カム部12cとカム 部13dの摺接作用を経て中間フランジ12を回転 具2に押し付ける方向の大きな外力(軸力P)と して作用する。この軸力Pが、回転固定部Sに して軸方向の移動を規制されたインナフラ ジ11との間に回転刃具2を挟み込むための挟 込み力となる。
 アウタフランジ13の図1,2において右側面に 、固定フランジ14を収容するための収容部13e が設けられている。この収容部13eの内壁面に も溝部13fが全周にわたって形成されている。 この溝部13f内には、止め輪16が嵌め込まれて る。
 また、収容部13eの底部には、円環形状のば 収容部13gが設けられている。このばね収容 13gの内周側には、固定フランジ14のがたつ 防止及びゆるみ止めをするための板ばね17が 収容されている。図5に示すようにこのばね 容部13gの内壁面には、半円形の係合凹部13h~1 3hが周方向に沿って多数形成されている。

 固定フランジ14は、概ね円板形状をなすも で、その図1,2において左側面の中心には、 定ねじ部14aを備えている。この固定ねじ部14 aがスピンドル1の端面に設けたねじ孔1bに締 込まれる。
 固定ねじ部14aの基部には、ばね段差部14bが 付き状に設けられている。このばね段差部1 4bの外周側に上記板ばね17が配置されている ばね段差部14bは、板ばね17の板厚とほぼ同じ 高さ寸法で設けられている。図5に示すよう 板ばね17の内周孔17aには、その周方向四等分 位置に係合凸部17b~17bが中心側に放射方向に き出す状態で設けられている。これに対し 、ばね段差部14bの周面四等分位置には、各 合凸部17bをがたつきなく嵌め込むための係 凹部14c~14cが形成されている。各係合凹部14c に係合凸部17bをがたつきなく嵌め込んだ状 で板ばね17の内周孔17aにばね段差部14bが挿 されている。このため、板ばね17はばね段差 部14bに軸線J回りに相対回転不能な状態で装 されており、従って固定フランジ14の回転操 作により当該固定フランジ14と一体で回転す 。
 板ばね17は、その周方向四等分位置から外 側へ湾曲状に張り出し、ほぼ周方向に沿っ 同じ方向に延びる4つの係合爪部17c~17cを備え ている。各係合爪部17cは、放射方向外周側に 弾性付勢されている。図5に示すように各係 爪部17cの先端部は半円形状に形成されて、 ウタフランジ13のばね収容部13gに設けた各係 合凹部13h内に弾性力で嵌り込んでおり、これ によりアウタフランジ13に対する固定フラン 14の緩み止めひいては固定ねじ部14aのねじ 1bに対する緩み止めがなされている。各係合 爪部17cをその弾性力に抗して内周側へ変位さ せながら固定フランジ14を回転操作すること でき、これにより固定ねじ部14aをスピンド 1のねじ孔1bに対して締め込むことができ、 に緩めることができる。

 固定フランジ14の周面には、その全周にわ って溝部14eが形成されている。この溝部14e には止め輪16が嵌め込まれている。この止め 輪16を介して固定フランジ14はアウタフラン 13に対して軸線J方向に分離不能かつ軸線J回 に相対回転可能な状態に組み付けられてお 、その結果固定フランジ14とアウタフラン 13と中間フランジ12が一つのアッセンブリに み付けられている。この組み付け状態にお て、固定フランジ14の固定ねじ部14aは軸線J 対して同心に位置し、かつアウタフランジ1 3の挿通孔13aと中間フランジ12の取り付け孔12a の中心に位置する状態となり、この位置でス ピンドル1のねじ孔1bに締め込まれる。
 固定フランジ14の図1,2において右側面の中 には使用者が指先で摘むためのツマミ部14d 設けられている。図6に示すようにこのツマ 部14dの周囲には、回転操作時の滑り止めを るための滑り止め部14fが円環形状の範囲に って設けられている。使用者は、ツマミ部1 4ではなくこの滑り止め部14fに指先を押し当 て当該固定フランジ14の回転操作を行うこと もできる。ツマミ部14を指先で摘んで固定フ ンジ14を回転操作する場合よりも、滑り止 部14fに指先を押し当てて当該固定フランジ14 を回転操作する場合の方が当該回転操作を迅 速に行うことができる。

 以上のように構成した第1実施形態の固定装 置10によれば、特別の工具を用いることなく 操作でスピンドル1に対して回転刃具2を強 に取り付けることができ、回転工具使用中 における回転刃具2のインナフランジ11に対 る滑りを確実に防止することができる。
 スピンドル1の回転固定部Sに回転刃具2を取 付ける場合には、先ず当該固定装置10のイ ナフランジ11を回転固定部Sに装着する。イ ナフランジ11は、その挿通孔11a内に回転固定 部Sを挿入させた状態でスピンドル1に対して 対回転不能に装着される。
 インナフランジ11を装着した後、回転刃具2 回転固定部Sに装着する。回転刃具2の取り け孔2a内に回転固定部Sを挿入し、その一方 側面(図1において左側面)にインナフランジ11 の当接面11bが当接された状態とする。この段 階では、回転刃具2はスピンドル1及びその回 固定部Sに対して軸線J回りに相対回転可能 なっている。
 次に、アッセンブリ化された中間フランジ1 2とアウタフランジ13と固定フランジ14を回転 定部Sに装着する。この場合、ツマミ部14dを 指先で摘んで固定フランジ14をねじ締め方向 回転操作して固定ねじ部14aをスピンドル1の ねじ孔1bに締め込む。固定ねじ部14aがねじ孔1 bに締め込まれていくことにより、スピンド 1の回転固定部Sが中間フランジ12の取り付け 12a、その後アウタフランジ13の挿通孔13a内 挿入されていく。
 固定ねじ部14aに締め込み当初であってねじ め抵抗が小さい段階では、固定フランジ14 滑り止め部14fに指先を押し当てて当該固定 ランジ14を回転操作することにより、当該回 転操作を迅速に行うことができる。
 固定フランジ14の回転操作中、板ばね17が当 該固定フランジ14と一体回転することから、 の板ばね17の各係合爪部17cがアウタフラン 13側の係合凹部13hに弾性付勢力に抗して係脱 しつつ、当該固定フランジ14が回転される。 係合爪部17cが係合凹部13hに係脱する際に生 るこつこつ音により、固定フランジ14の回 操作性が高められるとともに、各係合爪部17 cが係合凹部13hに嵌り込んだ状態に係合され ことにより当該固定フランジ14ひいては固定 ねじ部14aのねじ孔1bに対する緩み止めがなさ る。

 固定ねじ部14aがねじ孔1bに締め込まれると 中間フランジ12の当接面12bが回転刃具2の他 の側面(図1において右側面)に当接される。 た、中間フランジ12側のカム部12c~12cとアウ フランジ13側のカム部13d~13dが周方向にずれ ことなく完全に噛み合わされた状態となり その結果両フランジ12,13が軸線J方向に相互 最も接近した状態となっている。図1は、こ 状態を示している。図示するように中間フ ンジ12とアウタフランジ13が軸線J方向に最 接近した状態となっているため、止め輪15は 、中間フランジ12の溝部12dの幅方向左側に位 している。
 こうして固定フランジ14を手で回転操作し その固定ねじ部14aをスピンドル1のねじ孔1b 強固に締め込めば、回転刃具2のスピンドル1 への取り付けが完了する。
 この取り付け状態において、回転刃具2に切 断抵抗が付加され、あるいはブレーキ時若し くは起動時の慣性が発生することにより当該 回転刃具2にスピンドル1に対して相対回転さ る方向の力(回転抵抗)が作用すると、回転 具2に対する中間フランジ12の当接面12bの摩 抵抗の方がカム部12c~12c,13d~13d間の摺接抵抗 りも大きいこと、及びインナフランジ11とア ウタフランジ13が回転固定部Sを介して回転に ついて一体化されていることから、この回転 抵抗は中間フランジ12を回転刃具2に押し付け る方向の外力として作用する。すなわち、回 転刃具2をスピンドル1に対して相対回転させ 回転力(慣性力や切断抵抗等の外力)は、カ 部12c~12c,13d~13dを周方向に相対変位させる方 の外力として作用することから、カム部12c カム部13dの摺接作用により当該回転力の軸 J方向の分力が中間フランジ12を回転刃具2に し付ける方向の大きな軸力Pとして作用する 。このことから、回転刃具2がインナフラン 11と中間フランジ12との間に大きな力で挟み まれて当該回転刃具2のインナフランジ11に する滑りが防止される。

 以上説明したように、第1実施形態の固定装 置10は、回転刃具2に付加される回転抵抗を、 インナフランジ11と中間フランジ12との間に 転刃具2を挟み込むための力(挟み込み力)に 換する機能を有していることから、回転刃 2のインナフランジ11に対する滑りを確実に 止することができる。また、カム噛み合い により発生する軸力Pにより回転刃具2が強固 に固定される構成であることから、回転刃具 装着時において使用者は固定フランジ14のね 軸部14aを軽く締め込めば足り、この点でも 該固定装置10の使い勝手をよくすることが きる。
 しかも、回転刃具2に付加される回転抵抗を 、回転刃具2の挟み込み力(軸力P)に変換する 能は、アウタフランジ13に対する中間フラン ジ12の軸線J方向の僅かな変位により実現され る構成であり、従来のように爪部を径方向に 変位させて外周側の凹部に噛み合い歯を係脱 させるラチェット機構を用いた構成、あるい は径方向に減速歯車列を配置した構成に比し て径方向のコンパクト化を容易に図ることが できる。このため、携帯丸鋸において、その 傾斜切り時における回転刃具の傾斜角度及び 回転刃具の切り込み深さ等を犠牲することが なく、例示した固定装置10を適用することが きる。
 また、中間フランジ12のカム部12cとアウタ ランジ13のカム部13dが山形に形成されている ことから、アウタフランジ13に対する中間フ ンジ12のいずれの方向の回転抵抗(回転方向 変位)についても、中間フランジ12の軸線J方 向の軸力P(回転刃具2に対する押圧力)に変換 れる。このため、本例の固定装置10によれば 、切断加工中において回転刃具2に付加され 切断抵抗、回転刃具2の回転開始時(起動時) び停止時(ブレーキ時)の慣性によるいずれの 方向の回転力についても機能させることがで きる。

 以上説明した第1実施形態には種々変更を加 えることができる。例えば、図7~図12には、 2~第6実施形態が示されている。各実施形態 おいて、前記第1実施形態と同様の部材及び 成については同位の符号を用いてその説明 省略する。図7には第2実施形態に係る固定 置20が示されている。
 第2実施形態の固定装置20は、主としてイン フランジ21の構成が第1実施形態とは異なっ いる。第2実施形態に係るインナフランジ21 、その中心にボス部21aを有している。この ス部21aは、回転刃具2側(図7において右側)に 突き出している。このボス部21aが回転刃具2 取り付け孔2a内にがたつきなく相対回転可能 な状態で挿入されている。
 ボス部21aの内周側には、回転固定部Sの二面 幅寸法よりも十分に大きな二面幅の挿通孔21b が形成されている。このため、インナフラン ジ21は、スピンドル1に対して回転方向に一定 角度の範囲で相対回転可能な状態に装着され ている。
 インナフランジ21と回転刃具2との間には、 板形状の滑りフランジ22が挟み込まれてい 。図示するようにこの滑りフランジ22の中心 孔にインナフランジ21のボス部21aが挿通され いる。また、この滑りフランジ22の周縁部 、インナフランジ21側に折り返されている。 この折り返し端部22aは、インナフランジ21の 面に設けた係合溝部21cに係合されている。 のため、滑りフランジ22は、インナフラン 21の回転刃具2側の側面のほぼ全面を覆った 態で、スピンドル1の軸線J回りに相対回転可 能かつ軸線J方向へは脱落しない状態に装着 れている。
 この滑りフランジ22を介してインナフラン 21の回転刃具2に対する回転方向の摩擦抵抗 大幅に低減されている。この滑りフランジ22 が特許請求の範囲に記載した摩擦低減手段の 一例に相当する。これに対して、回転刃具2 反対側の側面には、第1実施形態と同様大き 摩擦抵抗で中間フランジ23が当接されてい 。
 中間フランジ23は、その中心の取り付け孔23 aが二面幅孔に形成されている点で、第1実施 態の中間フランジ12と異なっている。この 間フランジ23の取り付け孔23aは、上記インナ フランジ21の挿通孔21bと同じ径かつ同じ二面 寸法で形成されている。このため、中間フ ンジ23は回転固定部Sに対して一定の角度範 で回転可能な状態に装着されている。この 間フランジ23と上記インナフランジ21の回転 固定部Sに対する相対回転可能な角度は、回 刃具2を確実に固定するために十分な軸力を 生し得るカム噛み合い部の相対回転に相当 る角度に設定されている。従って、インナ ランジ21と中間フランジ23の挿通孔は二面幅 孔ではなく通常の円形孔に形成して、回転固 定部Sに対して回転方向の規制をなんら受け い構成としてもよい。

 第1実施形態と同様、この中間フランジ23に カム部12c~12cが設けられており、このカム部 12c~12cにはアウタフランジ13の13d~13dが噛み合 されている。スピンドル1のねじ孔1bには、 定フランジ14の固定ねじ部14aが締め込まれて 回転刃具2がインナフランジ21と中間フランジ 23との間に挟み込まれ、中間フランジ23のカ 部12c~12cとアウタフランジ13のカム部13d~13dは 定ねじ部14aの締め込み力(軸力P)で噛み合わ れている。
 第1実施形態と同様、中間フランジ23と対を してカム噛み合い部を形成するアウタフラ ジ13の中心には、二面幅(小判形)の挿通孔13a が形成されている。この挿通孔13aに回転固定 部Sが回転方向にあそびのない状態で挿通さ ている。このため、アウタフランジ13は回転 固定部Sに相対回転不能な状態で装着されて る。
 以上のように構成した第2実施形態の固定装 置20によれば、回転刃具2に切断抵抗が付加さ れると、この切断抵抗が中間フランジ23とア タフランジ13との間の相対回転力として作 し、この相対回転力がカム部12c,13d間の噛み い作用を経て軸力Pとして回転刃具2に作用 、この軸力Pによって当該回転刃具2がインナ フランジ21と中間フランジ23との間に強固に み込まれ、その結果スピンドル1の回転トル が効率よく回転刃具2に伝達される。
 スピンドル1を停止させて回転刃具2に切断 抗(回転抵抗)が付加されなくなると、カム12c ,13d間の噛み合いが緩む結果、回転刃具2に対 るインナフランジ21と中間フランジ23との挟 み込み力が低下し、また各フランジ21,23,13に 用する固定ねじ部14aの締め込み力が緩むこ から、固定フランジ14を小さな力で容易に み方向に回転させることができる。
 特に、第2実施形態の場合には、インナフラ ンジ21と回転刃具2との間に滑りフランジ22が み込まれているため、回転刃具2に切断抵抗 が付加されなくなった時点で当該インナフラ ンジ21ひいては回転固定部Sに対する回転刃具 2及び中間フランジ23の相対回転をより発生し やくなり、従ってカム部12c,13d間の緩みを発 しやすくなることから、固定ねじ部14aの締 込み力がより確実に緩められて固定フラン 14を緩み方向により一層楽に回転操作するこ とができるようになる。
 また、第2実施形態では、インナフランジ21 スピンドル1の回転固定部Sに対して一定角 範囲で回転可能な状態で装着されているた 、この点でも第1実施形態に比してカム部12c, 13d間の緩みを発生しやすくなり、ひいては固 定フランジ14をより小さな力で緩み方向に回 しやすくなる。

 次に、図8には、上記第2実施形態にさらに 更を加えた第3実施形態に係る固定装置30が されている。この第3実施形態に係る固定装 30は、中間フランジ31とアウタフランジ32と 定フランジ33の周囲に弾性ゴムを素材とす カバー35が装着されている点で、第2実施形 の固定装置20とは異なっている。第1及び第2 施形態と同様の部材及び構成については同 の符号を用いてその説明を省略する。
 第1実施形態及び第2実施形態では、止め輪15 によって中間フランジ23に対するアウタフラ ジ13の軸線J方向の変位(脱落)が規制され、 め輪16によってアウタフランジ13に対する固 フランジ14の軸線J方向の変位(脱落)が規制 れる構成となっていたが、この第3実施形態 固定装置30では、カバー35によってこれらの 変位が規制されるようになっている。この固 定装置30の中間フランジ31の周面、アウタフ ンジ32の周面及び固定フランジ33の周面には それぞれ全周にわたる係合溝部31a,32a,33aが けられている。これに対して、カバー35は、 固定フランジ33側が小径となる概ね円錐筒形 有するもので、その内周面に上記各係合溝 31a,32a,33aに対応して三つの係合凸部35a,35b,35c をそれぞれ全周にわたって備えている。最も 大径側の係合凸部35aが中間フランジ31の係合 部31aに沿って嵌め込まれ、最も小径側の係 凸部35cが固定フランジ33の係合溝部33aに沿 て嵌め込まれ、その間の係合凸部35bがアウ フランジ32の係合溝部32aに沿って嵌め込まれ ている。各係合凸部35a,35b,35cの幅、及び各係 溝部31a,32a,33aの幅は、当該係合凸部35a,35b,35c がそれぞれその幅方向に弾性変形されて各係 合溝部31a,32a,33aに押し込まれることとなる寸 に設定されている。このため、中間フラン 31とアウタフランジ32と固定フランジ33の相 の相対回転は、このカバー35を回転方向に 性変形されることによりなされ、これら各 ランジ31,32,33に何ら回転方向の外力が付加さ れない状態では、このカバー35によって相互 回転方向に一定の位置関係に保持される。 例において、この一定の位置には、中間フ ンジ31のカム部12cとアウタフランジ32のカム 部13dが最も深く噛み合うこととなる位置(初 位置)に設定されている。

 第1及び第2実施形態と同様、中間フランジ31 のカム部12c~12cと、アウタフランジ32のカム部 13d~13dが相互に噛み合わされており、両カム 12c,13dの噛み合いは、カバー35の回転方向の 性力によって相互に最も深い位置で噛み合 初期位置(中間フランジ31とアウタフランジ32 を軸線J方向に相互に最も接近させる位置)に 勢されている。また、この第3実施形態にお いても、中間フランジ31の中心には、第2実施 形態に係る中間フランジ23と同様の二面幅孔 状の挿通孔31bが設けられ、この挿通孔31b内 スピンドル1の回転固定部Sが挿通されてい 。このため、中間フランジ31は、インナフラ ンジ21と同様回転方向に一定角度の範囲で回 可能な状態に装着されている。
 このように構成された第3実施形態の固定装 置30によれば、カバー35の回転方向の弾性力 よって中間フランジ31のカム部12cとアウタフ ランジ32のカム部13dの相互の噛み合わせが最 深くなる方向に付勢されているため、回転 具2に対して切断抵抗が付加されなくなると 、当該カバー35の弾性力によってカム部12c,13d 間の噛み合わせが瞬時かつより確実に最も深 くなる初期状態に移行し、その結果回転刃具 2に対するインナフランジ21と中間フランジ31 の挟み込み力が開放されるとともに固定ね 部14aの締め込み力が緩められることから、 定フランジ35をより確実に小さな力で緩み 向に回転操作できる状態となる。
 また、第3実施形態の固定装置30によれば、 間フランジ31とアウタフランジ32と固定フラ ンジ33との間の周囲がカバー35によって覆わ ることから、これら各フランジ31,32,33間への 異物の侵入を未然に防止することができる。
 図示は省略したが、以上説明した第3実施形 態には次のような変更を加えることができる 。この第3実施形態において、中間フランジ31 、アウタフランジ32及び固定フランジ33間を1 のカバー35により回転方向に係合させ、ま その周囲を覆う構成を例示したが、中間フ ンジ31とアウタフランジ32との間、アウタフ ンジ32と固定フランジ33との間を別々のカバ ーで回転方向に弾性付勢し、またそれらの周 囲を覆う構成としてもよい。
 また、弾性ゴム製のカバー35ではなく、各 ランジ31,32,33間を例えばねじりコイルばねを 介装して相互に回転方向に弾性付勢する構成 としてもよい。初期位置付勢手段として係る ねじりコイルばねを用いる構成であっても、 異物侵入防止機能は低下するものの、カム部 12c,13d間の噛み合わせが最も深くなる方向に 勢することができることから上記と同様の 用効果を得ることができる。従って、アウ フランジ32と固定フランジ33との間について カバーを省略してもよい。

 次に、図9には第4実施形態の固定装置40が示 されている。この第4実施形態の固定装置40は 、カム噛み合い部(カム部12c~12c,13d~13d)と滑り ランジ22の位置が回転刃具2に対してそれぞ 反対側に変更されている点で第2実施形態の 固定装置20とは異なっている。この第4実施形 態の固定装置40が特許請求の範囲の請求項8に 記載した発明の実施形態に相当する。第2実 形態と同様の部材及び構成については同位 符号を用いてその説明を省略する。
 この第4実施形態の場合、回転刃具2に対し 図示左側(スピンドル1の基部側)にインナフ ンジ41と中間フランジ42が配置され、図示右 (スピンドル1の先端側)にアウタフランジ43 固定フランジ14が配置されている。
 インナフランジ41の回転刃具2側の側面にカ 部41a~41aが設けられ、中間フランジ42の回転 具2側とは反対側の側面にカム部42a~42aが設 られており、両カム部41a~41a、42a~42aは相互に 噛み合わされている。
 インナフランジ41の中心には二面幅の挿通 41bが設けられている。この挿通孔41bにスピ ドル1の回転固定部Sが挿入されている。第4 施形態の場合、インナフランジ41は、スピン ドル1に対して回転不能に装着されている。 に明らかなように、中間フランジと対をな てカムの噛み合い部を形成する側のフラン (第1~第3実施形態ではアウタフランジ13,32、 4実施形態ではインナフランジ41)は、回転固 部Sに対して回転不能に装着される。
 中間フランジ42の中心には、ボス部42bが設 られている。このボス部42bが回転刃具2の取 付け孔2aに径方向にがたつきなく挿入され 、当該回転刃具2が中間フランジ42の側面に 接されている。このボス部42bの内周側には ピンドル1の回転固定部Sに対応して二面幅の 挿通孔42cが設けられている。但し、この挿通 孔42cは、第2実施形態におけるインナフラン 21の挿通孔21bと同じく中間フランジ42をスピ ドル1の回転固定部Sに対して一定の角度範 で回転可能とする寸法に設定されている。
 インナフランジ41と中間フランジ42は、止め 輪44によって軸線J回りには相対回転可能であ る一方、軸線J方向への位置ずれが一定の範 に規制されてその脱落が防止されている。
 アウタフランジ43は前記第2実施形態の滑り ランジ22と同じく摩擦抵抗が小さな素材の りフランジ45を間に挟み込んだ状態で回転刃 具2に当接されている。この滑りフランジ45も 特許請求の範囲に記載した摩擦低減手段の一 例に相当する。

 この滑りフランジ45の中心には、回転刃具2 取り付け孔2aとほぼ同径の円形をなす挿通 45bが設けられている。この挿通孔45bにスピ ドル1の回転固定部Sが挿通されている。この 滑りフランジ45の外周側は第2実施形態と同様 折り返されており、この折り返し端部45aはア ウタフランジ43の外周面に全周にわたって設 た係合溝部43b内に挿入されている。このた 、この滑りフランジ45は、アウタフランジ43 の側面のほぼ全面を覆う状態で軸線J方向に 位不能かつ軸線J回りに相対回転可能に装着 れている。
 このアウタフランジ43の内周側にも二面幅 挿通孔43aが設けられている。この挿通孔43a にスピンドル1の回転固定部Sが挿通されてい る。この挿通孔43aは、中間フランジ42の挿通 42cと同じく回転固定部Sに対して回転方向に 一定の範囲で回転可能な二面幅寸法に設定さ れている。このアウタフランジ43と固定フラ ジ14は、止め輪16より軸線J回りに相対回転 能である一方、軸線J方向への位置ずれが規 されて脱落しないように組み付けられてい 。
 このように構成した第4実施形態の固定装置 40によっても、前記各実施形態と同様の作用 果を得ることができる。使用者は固定フラ ジ14を軽く締め込めば、固定ねじ部14aの締 込み力により回転刃具2が中間フランジ42と ウタフランジ43との間に挟み込まれる。回転 刃具2に切断抵抗が付加されると、カム部41a,4 2aの噛み合いが浅くなって、中間フランジ42 アウタフランジ43との挟み込み力が増大する ため回転刃具2が回転固定部Sに対して回転不 かつ軸方向移動不能な状態で強固に固定さ る。回転刃具2に切断抵抗が付加されなくな ると、カム部41a,42aの噛み合いが深くなって ム噛み合い部が初期位置に復帰するため、 間フランジ42とアウタフランジ43の挟み込み が小さくなり、これにより固定ねじ部14aの め込み力が弱まって固定フランジ14を小さ 力で緩み方向に回転操作することができる また、アウタフランジ43側に滑りフランジ45 挟み込まれ、また当該アウタフランジ43が 転固定部Sに対して一定角度範囲で回転可能 状態で装着されているので、アウタフラン 43ひいては回転固定部Sに対する回転刃具2及 び中間フランジ42の相対回転を発生しやすく り、これによりカム部41a,42a間の噛み合いが 深くなる方向に中間フランジ42を変位させて 定ねじ部14aの締め込み力をより一層確実に めることができるようになっている。

 次に、図10には、第2実施形態と第4実施形態 を組み合わせた第5実施形態の固定装置50が示 されている。この第5実施形態の固定装置50は 、回転刃具2に対して両側にカム噛み合い部 備えている点で前記第1~第4実施形態とは異 っている。すなわち、第1~第4実施形態では 組のカム噛み合い部を備えた構成であるの 対して、この第5実施形態では二組のカム噛 合い部を備えている。この第5実施形態の固 定装置50が特許請求の範囲の請求項9に記載し た発明の実施形態に相当する。第1~第4実施形 態と同様の部材及び構成については同位の符 号を用いてその説明を省略する。
 この固定装置50は、図10において左側からイ ンナフランジ51と、インナ中間フランジ52と アウタ中間フランジ53と、アウタフランジ54 固定フランジ14を備えており、回転刃具2に して図示左側には、第4実施形態におけるイ ンナフランジ41と中間フランジ42の組み合わ を用い、回転刃具2に対して図示右側には第2 実施形態における中間フランジ23とアウタフ ンジ13との組み合わせを用いた構成となっ いる。但し、第5実施形態の場合、滑りフラ ジ22は用いられていない。
 インナフランジ51のカム部51aとインナ中間 ランジ52のカム部52aが相互に噛み合わされ、 アウタ中間フランジ53のカム部53aとアウタフ ンジ54のカム部54aが相互に噛み合わされて る。インナフランジ51とアウタフランジ54の れぞれの中心には、二面幅の挿通孔51b,54bが 設けられており、それぞれの内周側にスピン ドル1の回転固定部Sが相対回転不能な状態で 通されている。両中間フランジ52,53の中心 も二面幅の挿通孔52b,53bが設けられている。 し、両挿通孔52b,53bの二面幅寸法は、スピン ドル1の回転固定部Sに対して回転方向に一定 度の範囲で両中間フランジ52,53の相対回転 許容する寸法に設定されている。インナ中 フランジ52の中心にはボス部52cが設けられて いる。このボス部52cの内周側に上記挿通孔52b が設けられている。このボス部52cが回転刃具 2の取り付け孔2aに径方向にがたつきなく挿入 されている。
 インナフランジ51とインナ中間フランジ52は 止め輪44を介して軸線J回りに相対回転可能で ある一方軸線J方向にがたつきなく組み合わ れている。また、アウタ中間フランジ53とア ウタフランジ54は止め輪15を介して、アウタ ランジ54と固定フランジ14は止め輪16を介し それぞれ軸線J回りに相対回転可能である一 、軸線J方向へはがたつきなく組み合わされ ている。

 このように二組のカム噛み合い部を備えた 5実施形態の固定装置50によれば、回転刃具2 に対する切断抵抗が付加されなくなると、イ ンナフランジ51とインナ中間フランジ52との 、アウタ中間フランジ53とアウタフランジ54 の間における相対回転力が付加されなくな 、その結果当該回転刃具2の両側におけるカ ム部の噛み合わせが最も深くなって固定ねじ 部14aの締め込み力が瞬時に弱められ、従って 固定フランジ14を小さな力で緩み方向に回転 作することができる。
 特に、この第5実施形態の場合、回転刃具2 両側に二組のカム部の噛み合い部を備えて ることから、回転刃具2に対して回転抵抗が 加されなくなり、その結果両中間フランジ5 2,53に対する回転力が付加されなくなると、 れぞれカム部51a,54aに対する噛み合いが最も くなることから当該両中間フランジ52,53の 線J方向への変位について第2若しくは第4実 形態の場合の約2倍の変位量を得ることがで 、これにより一層迅速かつ確実な固定ねじ 14aの緩みを発生させることができる。
 また、二組のカム噛み合い部により発生す 軸力Pにより回転刃具2が強固に固定される め、使用者は刃具装着時において固定フラ ジ14を軽く締め込めば足り、この点で当該固 定装置50の使い勝手を一層よくすることがで ることは前記各実施形態と同様である。

 次に、図11及び図12には第6実施形態の固定 置60が示されている。この固定装置60は、第2 実施形態の固定装置20において、中間フラン 23とアウタフランジ13との間に二つの板ばね 61,62を介装した構成となっている。その他、 2実施形態と同様の部材及び構成については 同位の符号を用いてその説明を省略する。
 この第6実施形態の場合、中間フランジ63の 心には、スピンドル1の回転固定部Sに対し 回転方向に一定の角度範囲で回転可能とす 二面幅寸法で形成された二面幅の挿通孔63a 設けられている。この挿通孔63aにスピンド 1の回転固定部Sが挿通されている。図12に示 ようにこの挿通孔63aの周囲2カ所には、半円 形のばね収容部63b,63cが設けられている。両 ね収容部63b,63cは、当該中間フランジ63の板 方向(軸線J方向)について固定フランジ14側の 側面にわずかな深さで形成されている。この 両ばね収容部63b,63c内にそれぞれ板ばね61,62が 収容されている。
 両板ばね61,62は、帯板形状を有する小片で り、その両端部は屈曲している。両板ばね61 ,62のそれぞれの屈曲端部61a,61a,62a,62aはばね収 容部63b,63cの大径側の側壁に弾性的に係合さ て、当該両板ばね61,62が突っ張った状態で保 持されている。このため、両板ばね61,62は、 線J回り及び放射方向に位置ずれしないよう に固定されている。両板ばね61,62の長手方向 央は、それぞれスピンドル1の回転固定部S 平坦面1aに当接されている。両板ばね61,62間 間隔は、スピンドル1の二平坦面1a,1a間の面 にほぼ一致している。この両板ばね61,62の 勢力によって中間フランジ63は、スピンドル 1の軸線J回りの位置(回転方向)について一定 置(両板ばね61,62がスピンドル1の回転固定部S の平坦面1aに当接される位置であって図12に す位置、以下初期位置という)に戻されるよ に付勢されている。
 しかも、中間フランジ63が両板ばね61,62の付 勢力によって初期位置に戻された状態では、 当該中間フランジ63のカム部63d~63dとアウタフ ランジ64のカム部64a~64aとの噛み合いが最も深 くなるように当該両板ばね61,62と回転固定部S の平坦面1aとの位置関係が適切に設定されて る。アウタフランジ64は、その中心の挿通 64bが二面幅孔に形成されているため、回転 定部Sに回転について固定された状態で装着 れている。

 このように構成した第6実施形態の固定装置 60によれば、中間フランジ63が板ばね61,62によ ってカム部63d,64a間の噛み合いが最も深くな 初期位置に付勢されている。このため、回 刃具2及び中間フランジ63に回転抵抗が付加 れなくなると、両板ばね61,62の付勢力によっ て中間フランジ63が確実かつ瞬時に初期位置 戻されることにより、中間フランジ63のカ 部63dとアウタフランジ64のカム部64aの噛み合 いが最も深くなって、回転刃具2に対するイ ナフランジ21と中間フランジ63の挟み込み力 瞬時に解放され、これにより固定ねじ部14a ねじ孔1bに対する締め込み力が弱められて 回転刃具2を交換等する場合には固定フラン 14を小さな力で楽に緩み方向に回転させる とができる。
 再度、スピンドル1を回転させて切断加工を 行えば、回転刃具2に回転抵抗が付加される とによって中間フランジ63が両板ばね61,62の 勢力に抗して初期位置から変位して、その ム部63dとアウタフランジ64のカム部64aが相 変位し、これにより当該中間フランジ63とイ ンナフランジ21との挟み込み力が瞬時に増大 れて回転刃具2がスピンドル1に対して回転 向及び軸線J方向に強固に固定された状態と る。
 また、第2実施形態と同様、インナフランジ 21と回転刃具2との間に滑りフランジ22が挟み まれ、かつ当該インナフランジ21がスピン ル1の回転固定部Sに対して回転方向に適度な 遊びを有する状態で装着されていることから 、切断加工終了後に回転抵抗が付加されなく なると、インナフランジ21に対する回転刃具2 及び中間フランジ63の相対回転を発生しやす 、この点でも固定フランジ14の緩み方向へ 回転操作をより楽に行うことができるよう なる。

 以上説明した各実施形態にはさらに様々な 更を加えることができる。例えば、第1実施 形態において、中間フランジ12の当接面12bに わゆるローレット目加工を施すことにより 当該中間フランジ12の当接面12bの回転刃具2 対する摩擦抵抗を、カム部12c~12、13d~13d間の 摺接抵抗よりも大きくする構成を例示したが 、当接若しくは摺接する相互の材質を適切に 設定することによりカム部12c~12cとカム部13d~1 3d間の摺接抵抗よりも中間フランジ12の回転 具2に対する摩擦抵抗を大きく設定する構成 してもよい。
 また、例示した各実施形態において、カム 12c~12及びカム部13d~13dに摺動性の高いライナ ーを貼り付け、あるいは滑材を塗布する等し てその摺動抵抗を低下させる一方、中間フラ ンジ12の当接面12bに滑り止め材を貼り付けて ム部12c,13d間の摺接抵抗と中間フランジ12の 転刃具2に対する摩擦抵抗に適切な差を設定 する構成としてもよい。
 また、中間フランジ12の当接面12aの回転刃 2に対する接触面積を大きくすることにより の摩擦抵抗を、カム部12c,13d間の摺接抵抗よ りも大きくすることができ、これにより前記 と同様の作用効果を得ることができる。
 さらに、中間フランジ12の回転刃具2に対す 当接面12bが、カム部12c,13d間の摺接部位より も外周側にあることにより、前者に対して大 きな摩擦抵抗を容易に設定することができる 。
 また、各実施形態において、スピンドル1の 先端にねじ孔1bを設け、固定フランジ14に固 ねじ部14aを設けた構成を例示したが、逆に ピンドル1側にねじ軸部を設け、固定フラン 14側に雌ねじ部(ナット部)を設けて相互にね じ結合する構成としてもよい。

 さらに、第2,3,6実施形態において、回転刃 2に対するインナフランジ21の回転方向の摩 抵抗を、回転刃具2に対する中間フランジ23,3 1,63の回転方向の摩擦抵抗よりも小さくする るための摩擦低減手段として滑りフランジ22 を用いる構成を例示したが、当該摩擦低減手 段として、滑りフランジ22の片面若しくは両 にさらにモリブデングリス等の潤滑剤を塗 し、あるいはインナフランジ21若しくは回 刃具2若しくは双方についてメッキ等により 動性の高い表層をコーティングして、回転 具2に対するインナフランジ21の回転方向の 擦抵抗を小さくする構成としてもよい。
 また、摩擦低減手段として滑りフランジ22 代えてスラストベアリングを介在させるこ により、インナフランジの回転刃具に対す 回転方向の摩擦を低減する構成としてもよ 。さらに、摩擦低減手段としての滑りフラ ジ22に代えて、中間フランジと対をなしてカ ム噛み合い部を形成しない側のフランジ(第2, 3実施形態のインナフランジ21、第4実施形態 アウタフランジ43、第6実施形態のインナフ ンジ21)を回転固定部Sに対して少なくとも一 角度の範囲で相対回転可能に構成すること より、カム噛み合い部の相対変位を促すこ ができる。上記の一定角度範囲の回転は、 転固定部Sが挿通される挿通孔を円形孔とす る構成の他、二面幅の挿通孔であっても回転 方向の規制を緩くする(二面幅の間隔を大き する)ことによっても得られる。
 さらに、例示した各実施形態に共通する構 として、以下の基本的構成を導くことがで る。第1に、中間フランジは、回転について 回転固定部Sに固定されない。第2に、中間フ ンジと対をなしてカム噛み合わせ部を構成 るフランジは、回転について回転固定部Sに 固定される。第3に、中間フランジと対をな てカム噛み合わせ部を構成しないフランジ 、回転について回転固定部Sに固定されない 第4に、同じく中間フランジと対をなしてカ ム噛み合わせ部を構成しないフランジについ ては、回転について回転固定部Sに固定され 場合であっても回転刃具との間に摩擦低減 段を介在させることによって両者間の相対 転により回転刃具の回転固定部Sに対する相 回転を促すことができることから、結果と て第3の構成と同様の機能を得ることができ る。
 第3の構成において、回転固定部Sに回転に いて固定されないことには、挿通孔が円形 である結果回転方向に何ら規制を受けない 成、挿通孔が二面幅孔であるが、回転固定 Sの二面幅寸法よりも十分に緩い二面幅であ 結果回転方向に一定の範囲で遊びがある構 を採用することができる。第3若しくは第4 いずれの構成であっても、カム噛み合わせ において相互に噛み合うカム部の一定角度 相対回転により回転刃具を強固に挟み込む 足る軸力Pを発生させ、逆にこの軸力Pを解除 することができる。
 また、回転固定部として二面幅部Sを例示し たが、これに代えて断面矩形、断面六角形の 軸部を回転固定部としてもよい。
 さらに、図示は省略したが、第4、第5実施 態において、第3及び第6実施形態で例示した ような初期位置付勢手段を用いることにより 、各カム噛み合い部の噛み合いを最も深くな る方向に付勢する構成としてもよい。
 また、第6実施形態において、中間フランジ 63の回転固定部Sに対する回転方向の位置につ いて、中間フランジ63のカム部63d~63dとアウタ フランジ64のカム部64a~64aが最も深く噛み合う こととなる初期位置に付勢するための初期位 置付勢手段として、二つの板ばね61,62を用い 構成を例示したが、これに代えて圧縮、引 張り、ねじり等のコイルばねあるいはその の付勢手段を用いる構成としてもよい。
 さらに、携帯丸鋸のスピンドル1に回転刃具 2を固定する場合を例示したが、本願発明に る固定装置は、卓上型若しくは据え付け型 丸鋸盤、グラインダ、ポリッシャー等のそ 他の回転工具のスピンドルに回転刃具を取 付ける場合についても同様に適用すること できる。