Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SEPARATION MEMBRANE ELEMENTS, SEPARATION MEMBRANE MODULE, AND PROCESS FOR PRODUCING SEPARATION MEMBRANE ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/088075
Kind Code:
A1
Abstract:
Separation membrane elements which can be produced by a method comprising immersing an end part of a hollow-fiber porous separation membrane in a liquid resin and then curing the resin to form a membrane sealing part. One of the separation membrane elements is characterized in that the membrane sealing part has been formed from a casting resin, the pores of the hollow-fiber porous separation membrane which are present in a part in contact with the membrane sealing part have been filled with a pore-filling resin, and the casting resin is tenaciously adherent to the pore-filling resin. The root part of the hollow-fiber porous separation membrane is flexible and is less apt to break or cause gas/liquid leakage during use. The other separation membrane element is characterized in that at least that surface of the membrane sealing part which is on the side which comes into contact with a liquid to be treated has been formed from a thermosetting fluororesin. This membrane sealing part has excellent chemical resistance like conventional membrane sealing parts made of a thermoplastic fluororesin. Also provided are: a separation membrane module including separation membrane elements of either of the above kinds as constituent elements; and a process for producing the separation membrane elements.

Inventors:
KASHIHARA HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050219
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
January 09, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
SUMITOMO ELEC FINE POLYMER INC (JP)
KASHIHARA HIDEKI (JP)
International Classes:
B01D63/02; B01D63/00; B01D71/32
Foreign References:
JPH044024A1992-01-08
JP2003112016A2003-04-15
JPS61157309A1986-07-17
JPH06296836A1994-10-25
JP2003093850A2003-04-02
JPS61157307A1986-07-17
JPH03106422A1991-05-07
JPH09290138A1997-11-11
Other References:
See also references of EP 2239043A4
Attorney, Agent or Firm:
JODAI, Tetsuji et al. (3-32 Higashikoraibashi,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 39, JP)
Download PDF:
Claims:
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部を有する分離膜エレメントであって、
 前記膜封止部が、注型用樹脂により形成され、
 前記中空糸状多孔質分離膜の孔が、前記中空糸状多孔質分離膜と前記膜封止部との接触部において、孔充填樹脂により充填され、前記注型用樹脂と前記孔充填樹脂が接着していることを特徴とする分離膜エレメント。
 注型用樹脂及び孔充填樹脂が、熱硬化性樹脂の硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜エレメント。
 注型用樹脂と孔充填樹脂が、同種の樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離膜エレメント。
 注型用樹脂の硬度が40度以上であり、かつ孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメント。
 注型用樹脂の硬度が40度未満であり、孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度と同一又は注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメント。
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部からなる分離膜エレメントの製造方法であって、
 複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末に、熱硬化性樹脂bの溶液を含浸させた後乾燥して、樹脂含浸部を形成する工程、
 硬化前の熱硬化性樹脂aを注型し、かつ注型された熱硬化性樹脂aに、前記樹脂含浸部を浸漬する工程、及び
 熱硬化性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bを硬化し、前記中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメントの製造方法。
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部を有する分離膜エレメントであって、
 前記膜封止部の、少なくとも被処理液との接触部側表面が、熱硬化性フッ素樹脂により形成されていることを特徴とする分離膜エレメント。
 前記膜封止部の、中空糸状多孔質分離膜の開口部側にある表面が、さらに、熱硬化性フッ素樹脂により形成されていることを特徴とする請求項7に記載の分離膜エレメント。
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部を有する分離膜エレメントの製造方法であって、
 複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末側を束ねて型にセットする工程、
 前記型に硬化前の熱硬化性樹脂を注型する工程、
 注型後、前記熱硬化性樹脂を硬化して、中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する工程、
 硬化した前記熱硬化性樹脂の、少なくとも中空糸状多孔質分離膜が延びている側の表面に、硬化前の熱硬化性フッ素樹脂を塗布する工程、
 塗布後、前記熱硬化性フッ素樹脂を硬化する工程、及び
 硬化した前記熱硬化性樹脂を型から脱型し、中空糸状多孔質分離膜端末側を切削し、中空糸状多孔質分離膜の開口部を形成する工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメントの製造方法。
 中空糸状多孔質分離膜の開口部を形成後、硬化した熱硬化性樹脂の、中空糸状多孔質分離膜の開口部側の表面に、さらに熱硬化性フッ素樹脂の塗布及びその硬化をすることを特徴とする請求項9に記載の分離膜エレメントの製造方法。
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部を有する分離膜エレメントの製造方法であって、
 複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末側を束ねて型にセットする工程、
 前記型に硬化前の熱硬化性フッ素樹脂を注型する工程、
 注型後、前記熱硬化性フッ素樹脂を硬化して中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する工程、及び
 硬化した前記熱硬化性フッ素樹脂を型から脱型し、中空糸状多孔質分離膜端末側を切削し、中空糸状多孔質分離膜の開口部を形成する工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメントの製造方法。
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、式:HOOCCF 2 [(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 COOH[式中、p=2~20でありq=2~20である。]で表されるパーフルオロポリオキシアルカンジカルボン酸又はその誘導体、及び、前記パーフルオロポリオキシアルカンジカルボン酸又はその誘導体と縮合重合をする多官能性化合物、からなる組成物であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の分離膜エレメントの製造方法。
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、式:HOCF 2 -[(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 OH[式中、p=2~20でありq=2~20である。]で表されるパーフルオロポリオキシアルカンジハイドロキシ又はその誘導体、及び、前記パーフルオロポリオキシアルカンジハイドロキシ又はその誘導体と縮合重合をする多官能性化合物からなることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の分離膜エレメントの製造方法。
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、式:XCF 2 -[(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 X[式中、Xはシラン官能基であり、p=2~20であり、q=2~20である。]で表される末端にシラン官能基を有するパーフルオロポリオキシアルカンからなることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の分離膜エレメントの製造方法。
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、下記式(I):
[式中、n=2~50であり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はアルキル基又はアルケニル基であり、但し、R1、R2及びR3の中の少なくとも1の基、並びに、R4、R5及びR6の中の少なくとも1の基は、アルケニル基である。]で表されるパーフルオロアルキルエーテルを有するシリコーン化合物からなることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の分離膜エレメントの製造方法。
 中空糸状多孔質分離膜が、フッ素樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5、及び請求項7ないし請求項8のいずれか1項に記載の分離膜エレメント。
 請求項1ないし請求項5、請求項7ないし請求項8、及び請求項16のいずれか1項に記載の分離膜エレメント及び前記分離膜エレメントを収容するハウジングからなり、前記膜分離膜エレメントとハウジングが一体化されていることを特徴とする分離膜モジュール。
Description:
分離膜エレメント、分離膜モジ ール及び分離膜エレメントの製造方法

 本発明は、中空糸状多孔質分離膜を用い 分離膜エレメント、この分離膜エレメント ら構成され、半導体製造や食品工業等の分 で気液吸収、脱気、濾過用等として用いら る分離膜モジュール、及び、この分離膜エ メントの製造方法に関する。

 半導体製造や食品工業等の分野での、気 吸収、脱気、濾過用等の用途には、中空糸 多孔質分離膜を用いた分離膜エレメントを ウジング内に収容した分離膜モジュールが いられている。この分離膜エレメントは、 空糸状多孔質分離膜を複数本集束して、そ 端末を樹脂製の膜封止部により封止して一 化してなるものである。

 従来、この分離膜エレメントの製造にお る中空糸状多孔質分離膜の封止は、中空糸 多孔質分離膜の端末部を金型内にセットし 後、金型内に樹脂液(液状の樹脂を言う。以 下同じである。)を注型して中空糸状多孔質 離膜の端末部を前記樹脂液に浸漬し、その 、樹脂液を硬化させて膜封止部を形成して われていた(以後、浸漬成形法と言う場合が る。)。図3はこの注型(浸漬)の様子を示す断 面図であり、図中、35は1本の中空糸状多孔質 分離膜を示し、35’はその中空部を示す。図3 (a)では金型(図示されていない。)内に注型さ ている樹脂液33に、中空糸状多孔質分離膜35 の端末部32が浸漬されている様子が示されて る。

 なお、注型(浸漬)の際には、中空糸の中 部に樹脂が流れ込まないよう、事前に中空 端末にある中空部の開口部を、封止又は結 等の方法により塞いでおき(以後、開口閉塞 と言う。)、樹脂の硬化後に、この中空糸端 末部分を、硬化樹脂(の前記中空糸端末部分 近傍部分)とともに切り落とし、中空部の開 部を端末に露出させる。図3(a)中の34は、こ 中空糸端末の開口閉塞部を示す。又、図3(b) は、中空糸端末の開口閉塞部34が、その近傍 分(図3(a)中の枠mにより囲まれた部分)にある 硬化樹脂とともに切り落とされ中空部35の開 部が露出した膜封止部が形成された様子を す。

 浸漬成形法によれば、膜封止部を少ない 程で製造することができ、生産性の観点か 好ましい。この方法によれば、中空糸状多 質分離膜の樹脂液への浸漬の際に、中空糸 多孔質分離膜の端末部32にある微細な多数 孔内(各孔は図示されていない。)に樹脂液33 浸透する。そして、注型された樹脂液33と 孔内を充填する樹脂液33を硬化することによ り、樹脂液間でアンカー効果が発揮され、中 空糸状多孔質分離膜と膜封止部間の接着性が 向上し、両者を確実に一体化することができ る(特許文献1)。

 この種の分離膜モジュールを構成する材 としては、処理気液が腐食性を有する場合 あるので、耐薬品性の材質が望まれ、例え 、中空糸状多孔質分離膜の材料には、耐薬 性の高い多孔質フッ素樹脂からなるものが く用いられている。そして、膜封止部も処 気液と接触する部分であるので、耐薬品性 高い材質からなるものが望まれている。

 従来、膜封止部を形成する材質としては、 レタン樹脂やエポキシ樹脂が用いられてい が、これらの樹脂は、フッ素樹脂と比較す と耐薬品性が低く、腐蝕性の処理気液の場 、分離膜モジュールの使用時に、処理気液 の接触による膜封止部が劣化しやすいとの 題があった。そこで、耐薬品性の高い材質 ある熱可塑性フッ素樹脂、例えば、テトラ ルオロエチレン・パーフルオロアルキル・ ニルエーテル共重合体(PFA)の使用が提案さ ている(特許文献2)。

特開平3-106422号公報

特開平9-290138号公報

 しかしながら、前記の従来技術には次に べるような問題があった。

 浸漬成形法、即ち、図3に示すような方法 (中空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に 漬した後、樹脂を硬化させて膜封止部を形 する方法、)では、浸漬の際に毛管現象によ 、樹脂液33が、中空糸状多孔質分離膜の、 脂液33の液面部より上部にある根元部32aにま で上昇する。すると、この根元部32aに吸収さ れた樹脂液33の硬化により、根元部32aの柔軟 が失われる。

 分離膜エレメント(分離膜モジュール)の 用時には、処理気液の流量変動や圧力変動 によって中空糸状多孔質分離膜が揺動し中 糸状多孔質分離膜の根元部32aに曲げ応力等 作用するが、根元部32aの柔軟性が失われる 、この曲げ応力等により根元部32aが破損し 気液の漏れが生じるという問題があった。

 又、膜封止部を形成する材質としてのPFA ような熱可塑性フッ素樹脂の使用にも次に べる問題がある。

 即ち、フッ素樹脂、例えばPFA等の熱可塑 フッ素樹脂は融点が高く、又溶融させても めて高粘度であり、成形のための流動性を るためには300℃以上に加熱する必要がある このような高温では中空糸状多孔質分離膜 溶融するので、このフッ素樹脂を、中空糸 多孔質分離膜をセットした金型に樹脂液と て注型できない。従って、ウレタン樹脂や ポキシ樹脂を用いる場合で採用されている 漬成形法を採用することは困難であった。

 そこで、膜封止部を形成後、膜封止部に をあけ、この穴に中空糸状多孔質分離膜の 末を挿入した後、加熱して膜封止部と中空 状多孔質分離膜を溶融接着して、一体化す 方法が提案されている。しかし、この方法 は分離膜エレメントの製造工程が大幅に増 て生産性が低いとの問題がある。又、アン ー効果も期待できず、両者間の接着性が低 、使用時に中空糸状多孔質分離膜が膜封止 から抜けやすくなるという問題があった。

 本発明は上記の従来技術の問題に鑑みて されたものであり、以下の(1)及び(2)をその 題とする。

 (1)浸漬成形法、即ち中空糸状多孔質分離 の端末部を樹脂液に浸漬した後、樹脂を硬 させて膜封止部を形成する方法により製造 きるものでありながら、中空糸状多孔質分 膜の根元部が柔軟性を有し、使用中におけ 根元部の破損、気液の漏れが生じにくい分 膜エレメント、この分離膜エレメントの製 方法、及びこの分離膜エレメントを構成要 とする分離膜モジュールを提供する(課題1)

 (2)ウレタン樹脂やエポキシ樹脂を用いる 合のように浸漬成形法により製造すること でき、従って、生産性が高くかつ膜封止部 中空糸状多孔質分離膜の端末間の接着性に れるが、更に、膜封止部の耐薬品性も、従 の熱可塑性フッ素樹脂からなる膜封止部と 様に優れている分離膜エレメント、この分 膜エレメントの製造方法、及びこの分離膜 レメントを構成要素とする分離膜モジュー を提供する(課題2)。

 本発明者は、前記課題1を解決するため鋭意 検討した結果、
 中空糸状多孔質分離膜の端末の、膜封止部 の接触部分にある孔内のみを、樹脂硬化物 より充填することにより、前記の課題1を達 成できることを見出し、以下に示す構成から なる発明(以下、発明1と表すことがある。)を 完成した。

 請求項1に記載の発明は、
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端 を集束して封止する膜封止部を有する分離 エレメントであって、
 前記膜封止部が、注型用樹脂により形成さ 、
 前記中空糸状多孔質分離膜の孔が、前記中 糸状多孔質分離膜と前記膜封止部との接触 において、孔充填樹脂により充填され、前 注型用樹脂と前記孔充填樹脂が接着してい ことを特徴とする分離膜エレメントであり 発明1に該当する発明である。

 請求項1に記載の分離膜エレメントは、複 数の中空糸状多孔質分離膜及びその端末を集 束し封止する膜封止部からなること等は、半 導体製造や食品工業等の分野で、気液吸収、 脱気、濾過用等に用いられている従来の分離 膜エレメントと同様である。又、中空糸状多 孔質分離膜の形状や材質、その本数、膜封止 部の形状等も、従来の分離膜分離膜エレメン トの場合と同様なものとすることができる。

 ここで中空糸状多孔質分離膜とは、細い 状の多孔質分離膜であり、多孔質分離膜と 、微細な孔、特に膜両表面間を貫通する貫 孔を多数有する膜、特に樹脂製の膜であり 中空糸状多孔質分離膜の管の内側と外側間 、前記貫通孔を通して、濾過や気液の接触 脱気等が行われる。

 膜封止部とは、複数の中空糸状多孔質分 膜の端末を集束して封止する部分であり、 常、中空糸状多孔質分離膜の両方の端末に けられるが、この膜封止部が樹脂の硬化物 より形成されることも従来と同様である。 に、この膜封止部が、次ぎに示す(1)~(3)の工 程を順次行うことにより形成できる点も、従 来と同様である。

(1)中空糸状多孔質分離膜の端末を金型内にセ ットする。
(2)金型内に樹脂液を注型する。
(3)樹脂液の樹脂を硬化させる。

 なお、樹脂液が中空糸状多孔質分離膜の 空部への浸入することを防ぐため、通常、 らに、(1)の前に、中空糸状多孔質分離膜の 末にある中空部の開口部を、封止又は結束 の方法によりを塞ぐ工程、及び、(3)の後に 空糸端末部分を、硬化樹脂の一部とともに り落とし、中空部の開口部を端末に露出さ る工程が行われる。

 前記注型用樹脂とは、この樹脂膜封止部 形成する樹脂の硬化物を意味し、注型、硬 による成形が容易な熱硬化性樹脂の硬化物 好ましく用いられる。従って、前記樹脂液 しては、硬化前の液状の熱硬化性樹脂が好 しく用いられる。

 請求項1に記載の分離膜エレメントでは、 中空糸状多孔質分離膜の孔が、実質的に、中 空糸状多孔質分離膜と膜封止部との接触部の みにおいて、樹脂により充填されていること を特徴とする。孔充填樹脂とは、この孔を充 填している樹脂を言う。接触部以外の部分に ある孔は、孔充填樹脂により充填されていな い。即ち、従来の分離膜エレメントの場合と は異なり、中空糸状多孔質分離膜の根元部( 3における32a等)において、樹脂が含浸されて 硬化し柔軟性が失われている部分がほとんど なく、その結果、中空糸状多孔質分離膜の揺 動による根元部の破損、気液の漏れが抑制さ れている。

 ここで、中空糸状多孔質分離膜の孔とは 中空糸状多孔質分離膜が有する前記貫通孔 び他の微細孔である。又、接触部とは、中 糸状多孔質分離膜の、膜封止部内に埋め込 れている部分(即ち、注型時における注型用 樹脂液の液面より下の部分)を意味するが、 の埋め込まれている部分のみではなく、そ 近傍(前記の液面よりわずかに上の部分)も含 む意味である。しかし、根元部の破損、気液 の漏れをより効果的に防ぐためには、埋め込 まれている部分にある孔のみが孔充填樹脂に より充填されていることが好ましく、前記近 傍の部分は可能な限り小さいことが好ましい 。

 又、請求項1に記載の分離膜エレメントで は、接触部において、孔充填樹脂と膜封止部 を構成する注型用樹脂が強固に接着している ことを特徴とする。孔充填樹脂と注型用樹脂 が強固に接着(例えば融着)していることによ 、中空糸状多孔質分離膜と膜封止部の接着 強固になる。

 請求項2に記載の発明は、注型用樹脂及び 孔充填樹脂が、熱硬化性樹脂の硬化物である ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜エ メントである。前記のように、注型用樹脂 しては、熱硬化性樹脂の硬化物が好ましく いられる。又、孔充填樹脂は、分離膜エレ ント(分離膜モジュール)の使用環境において 固形であり劣化しないものであれば特に限定 されるものではないが、熱硬化性樹脂の場合 は、中空糸状多孔質分離膜の孔への充填が容 易であるので好ましい。即ち、硬化前の樹脂 液に、中空糸状多孔質分離膜の端末を浸漬し て樹脂液を孔に含浸させ、この後この樹脂液 を硬化することにより、容易に充填できるの で好ましい。

 請求項3に記載の発明は、注型用樹脂と孔 充填樹脂が、同種の樹脂であることを特徴と する請求項1又は請求項2に記載の分離膜エレ ントである。ここで同種の樹脂とは、例え 、化学組成が同じ又は近似な樹脂を言い、 えば、一方がエポキシ樹脂であれば他方も ポキシ樹脂であり(より好ましくは、一方が ビスフェノールA型エポキシ樹脂であれば他 もビスフェノールA型エポキシ樹脂であるよ な場合であり)、分子量のみが異なるような 関係にある樹脂を言う。注型用樹脂と孔充填 樹脂を同種の樹脂とすることにより、中空糸 状多孔質分離膜と膜封止部の接着がより強固 になり、使用時における中空糸状多孔質分離 膜の引抜等が抑制される。

 請求項4に記載の発明は、注型用樹脂の硬 度が40度以上であり、かつ孔充填樹脂の硬度 、注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴 する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に 載の分離膜エレメントである。膜封止部の 圧性等の機械的強度を確保し、中空糸状多 質分離膜の引抜等を低減するためには、注 用樹脂の硬度は高い方が好ましく、中でも 型用樹脂の硬度が40度以上の場合が好まし 。

 ここで硬度とは、JIS K7215のプラスチック の硬さ試験方法に準拠した方法により測定し た値である。

 一方、中空糸状多孔質分離膜の揺動によ 根元部の破損、気液の漏れを防ぐためには 孔充填樹脂は柔軟でありその硬度は小さい とが好ましい。特に、注型用樹脂の硬度が4 0度以上の場合は、注型用樹脂が硬いことに り、中空糸状多孔質分離膜の揺動に際して けが生じやすいので、柔らかい孔充填樹脂 よって揺動した際の中空糸状多孔質分離膜 裂けを防ぐことが望まれ、従って、孔充填 脂の硬度が、注型用樹脂の硬度より小さい とが好ましい。請求項4に記載の発明は、こ 好ましい態様に該当する。

 請求項5に記載の発明は、注型用樹脂の硬 度が40度未満であり、孔充填樹脂の硬度が、 型用樹脂の硬度と同一又は注型用樹脂の硬 より小さいことを特徴とする請求項1ないし 請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメ トである。注型用樹脂の硬度が40度未満で っても、中空糸状多孔質分離膜の揺動によ 根元部の破損、気液の漏れを防ぐためには 孔充填樹脂の硬度は、注型用樹脂の硬度と 一又は注型用樹脂の硬度より小さいことが ましい。

 請求項1の分離膜エレメントは、複数の前 記中空糸状多孔質分離膜の端末を熱硬化性樹 脂の溶液に含浸し、その後、含浸された樹脂 溶液を乾燥して樹脂含浸部を形成し、硬化前 の液状の熱硬化性樹脂を注型し、前記熱硬化 性樹脂液に、前記で形成された樹脂含浸部を 浸漬しこれらの熱硬化性樹脂を硬化して前記 中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する方法 により製造することができる。

 請求項6に記載の発明は、この製造方法に該 当する発明である。すなわち、
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端 を集束して封止する膜封止部からなる分離 エレメントの製造方法であって、
 複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末に 熱硬化性樹脂bの溶液を含浸させた後乾燥し て、樹脂含浸部を形成する工程、
 硬化前の熱硬化性樹脂aを注型し、かつ注型 された熱硬化性樹脂aに、前記樹脂含浸部を 漬する工程、及び
 熱硬化性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bを硬化 、前記中空糸状多孔質分離膜の端末を封止 る工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメント の製造方法、である。

 ここで、熱硬化性樹脂aとは、膜封止部を 形成する熱硬化性樹脂(即ち、硬化後は前記 型用樹脂となる。)の硬化前の樹脂液であり 又熱硬化性樹脂bとは、中空糸状多孔質分離 膜の膜封止部との接触部にある孔を充填する 孔充填樹脂の硬化前の樹脂液である。熱硬化 性樹脂aと熱硬化性樹脂bは同一であっても異 っていてもよいが、前記のように同種の樹 であることが好ましい。熱硬化性樹脂bの溶 液とは、熱硬化性樹脂bを溶剤に溶解したも であり、溶剤としては、熱硬化性樹脂bを溶 するものであれば限定されないが、生産性 観点からは、乾燥しやすいものが好ましい

 この製造方法では、先ず、複数の前記中 糸状多孔質分離膜の端末に、熱硬化性樹脂b の溶液を含浸した後、含浸された樹脂溶液を 乾燥して樹脂含浸部が形成される。乾燥のと きには、樹脂溶液を構成する溶剤を蒸発させ るための加熱を行ってもよいが、熱硬化性樹 脂bを硬化するための加熱はこの段階では行 ない。なお、中空部への熱硬化性樹脂aの浸 を防ぐため、熱硬化性樹脂aへの浸漬の前に 、封止又は結束等の方法による中空部の開口 部の閉塞が望まれるが、この封止又は結束等 は、熱硬化性樹脂bの中空部への樹脂液の浸 を防ぐため、熱硬化性樹脂bへの含浸の前に うことが好ましい。

 次に、前記のようにして形成された樹脂 浸部を有する中空糸状多孔質分離膜の端末 、型(金型等)にセットし、この型に硬化前 熱硬化性樹脂aを注型することにより、前記 脂含浸部が熱硬化性樹脂aに浸漬される。本 発明の分離膜エレメントの製造方法において は、この浸漬(注型)の工程において、樹脂含 部の上縁(中空糸状多孔質分離膜の樹脂含浸 部と非含浸部の境界)が、注型された樹脂液 液面と同じ高さ又は該液面よりも僅かに高 なるように、樹脂含浸部の長さを、樹脂含 部の形成の工程等において調整することが きる。

 注型の工程の段階では、既に中空糸状多 質分離膜の孔が熱硬化性樹脂bにより充填さ れているので、熱硬化性樹脂aの中空糸状多 質分離膜への浸透が妨げられ、図3における 元部32aのような熱硬化性樹脂aが浸透した部 分の形成を防ぐことができる。その結果、こ の部分に吸収された熱硬化性樹脂aの硬化に り根元部の柔軟性が失われて破損、気液の れが生じる、との問題を防ぐことができる なお、熱硬化性樹脂aの液面からの樹脂含浸 の上縁の位置は、せいぜい5mm高い位置まで し、好ましくは3mmまでとし、更に好ましく 1mmまでとする。一方低い場合は、中空糸状 孔質分離膜の孔内への熱硬化性樹脂aの浸透 が生じやすくなるので好ましくない。

 注型工程の後、熱硬化性の樹脂a及び熱硬 化性樹脂bが硬化され、前記中空糸状多孔質 離膜の端末が封止され、膜封止部と一体化 れて分離膜エレメントが形成される。熱硬 性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bの硬化は、これ らを加熱することにより行うことができる。 本発明の製造方法では、前記の浸漬工程後、 熱硬化性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bを同時に 化することを特徴とする。同時に硬化する とにより、中空糸状多孔質分離膜と膜封止 の間の強固な接着が形成され、使用時にお る中空糸状多孔質分離膜の引抜等が抑制さ る。

 本発明者は、又、前記課題2を解決するた め鋭意検討した結果、熱硬化性フッ素樹脂硬 化物が、成形性に優れるとともに、優れた耐 薬品性を有しかつウレタン樹脂やエポキシ樹 脂等の硬化物上にその強固な被覆を形成でき ることを見出した。そして、この熱硬化性フ ッ素樹脂を用いることによりウレタン樹脂や エポキシ樹脂の場合のように浸漬成形法によ り膜封止部を形成でき、この膜封止部は優れ た耐薬品性を有すること、又は、ウレタン樹 脂やエポキシ樹脂等を用いて浸漬成形法によ り膜封止部を形成した後、膜封止部の、少な くとも処理液との接触する部分に、熱硬化性 フッ素樹脂硬化物の被覆を設けることができ 、この被覆により、耐薬品性に優れた膜封止 部が得られることを見出し、以下に示す構成 からなる発明(発明2と表すことがある。)を完 成した。

 請求項7に記載の発明は、
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端 を集束して封止する膜封止部を有する分離 エレメントであって、
 前記膜封止部の、少なくとも被処理液との 触部側表面が、熱硬化性フッ素樹脂により 成されていることを特徴とする分離膜エレ ントであり、発明2に該当するものである。

 請求項7に記載の分離膜エレメントも、複 数の中空糸状多孔質分離膜及びその端末を集 束して封止する膜封止部からなる点等は、半 導体製造や食品工業等の分野で、気液吸収、 脱気、濾過用等に用いられている従来の分離 膜エレメントと同様である。ここで、中空糸 状多孔質分離膜、膜封止部の意味は、発明1 ついて説明された意味と同様である。又、 空糸状多孔質分離膜の形状や材質、その本 、膜封止部の形状等も、従来の分離膜エレ ントと同様なものとすることができる。

 請求項7に記載の分離膜エレメントは、こ の膜封止部の、少なくとも、処理液との接触 部側表面が、熱硬化性フッ素樹脂により形成 されていることを特徴とする。ここで、処理 液との接触部側表面とは、この分離膜エレメ ントから構成される分離膜モジュールの内部 側に露出する面(中空糸状多孔質分離膜が延 ている側の面)を意味する。即ち、膜封止部 、熱硬化性フッ素樹脂以外の材質、例えば レタン樹脂やエポキシ樹脂等の他の熱硬化 樹脂からなる部分を主体としてもよいが、 の場合は、少なくとも、分離膜モジュール 内部側に露出する面は、熱硬化性フッ素樹 の硬化物により被覆されている。又、膜封 部全体が、熱硬化性フッ素樹脂からなるも でもよい。

 分離膜モジュールの内部側に露出する面 即ち分離膜モジュールの使用時に処理液の れと接触する部分が、耐薬品性の良い熱硬 性フッ素樹脂の硬化物により形成されてい ので、分離膜エレメント及びこの分離膜エ メントから構成される分離膜モジュールの 久性(耐薬品性)を向上させることができる

 前記のように本発明の分離膜エレメント 膜封止部は、処理液との接触部側表面が熱 化性フッ素樹脂により形成されている限り 、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化 樹脂を主体として構成することができる。 のウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化 樹脂からなる部分は、従来の分離膜エレメ トの膜封止部と同様に、前記浸漬成形法に り形成することができるので、その生産性 高いとともに、中空糸状多孔質分離膜の端 に熱硬化性樹脂が浸透して、アンカー効果 発揮でき、中空糸状多孔質分離膜と膜封止 間の優れた接着力を得ることができる。

 又、熱硬化性フッ素樹脂は、硬化前は液 であり、かつ、中空糸状多孔質分離膜の溶 や熱劣化を生じる温度よりはるかに低い温 (通常150℃程度以下)で硬化できるので、こ を用いて、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等 熱硬化性樹脂の場合と同様に、前記浸漬成 法により、膜封止部を形成することもでき 。従って、熱硬化性フッ素樹脂のみを用い 場合でも、高い生産性で、中空糸状多孔質 離膜と膜封止部間の接着力に優れた膜封止 を得ることができる。

 請求項8に記載の発明は、前記膜封止部の 、中空糸状多孔質分離膜の開口部側にある表 面が、さらに、熱硬化性フッ素樹脂により形 成されていることを特徴とする請求項7に記 の分離膜エレメントである。

 分離膜モジュールの使用時には、膜封止 の、分離膜モジュールの内部側に露出する とは反対側(外側)にある露出面、即ち、中 糸状多孔質分離膜の開口部側にある表面も 該開口部から漏れる処理液と接触し、処理 により劣化することも考えられる。そこで 中空糸状多孔質分離膜の開口部側にある表 も、さらに、熱硬化性フッ素樹脂により形 することにより、この劣化を防ぐことがで 、分離膜エレメント及びこの分離膜エレメ トから構成される分離膜モジュールの耐久 (耐薬品性)をさらに向上させることができる 。

 請求項7に記載の分離膜エレメントであっ て、膜封止部が、熱硬化性フッ素樹脂以外の 材質からなる部分を有するものは、この熱硬 化性フッ素樹脂以外の材質となる液状の熱硬 化性樹脂(以下樹脂液と言うことがある。)に 中空糸状多孔質分離膜の端末を束ねてセッ し、その後この樹脂液を硬化して中空糸状 孔質分離膜の端末を封止し、さらにその後 の硬化した熱硬化性樹脂の表面の少なくと 処理液との接触部側に、熱硬化性フッ素樹 の硬化層を形成して製造することができる

 樹脂液への中空糸状多孔質分離膜の端末 セットは、金型等に樹脂液を注型した後、 こへ中空糸状多孔質分離膜の端末を浸漬す 方法により行うこともできるが、通常は、 空糸状多孔質分離膜の端末を束ねた後、金 等に、この束ねた端末をセットし、さらに の後この金型等に樹脂液を注型して行われ 。熱硬化性フッ素樹脂の硬化層の形成は、 脂液を硬化して中空糸状多孔質分離膜の端 を封止した後、硬化前の熱硬化性フッ素樹 を塗布し、その後硬化する方法により行う とができる。

 本発明は、さらに、この分離膜エレメント 製造方法を提供する。即ち、請求項9に記載 の発明は、
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端 を集束して封止する膜封止部を有する分離 エレメントの製造方法であって、
 複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末側 束ねて型にセットする工程、
 前記型に硬化前の熱硬化性樹脂を注型する 程、
 注型後、前記熱硬化性樹脂を硬化して、中 糸状多孔質分離膜の端末を封止する工程、
 硬化した前記熱硬化性樹脂の、少なくとも 空糸状多孔質分離膜が延びている側の表面 、硬化前の熱硬化性フッ素樹脂を塗布する 程、
 塗布後、前記熱硬化性フッ素樹脂を硬化す 工程、及び
 硬化した前記熱硬化性樹脂を型から脱型し 中空糸状多孔質分離膜端末側を切削し、中 糸状多孔質分離膜の開口部を形成する工程
を有することを特徴とする分離膜エレメント の製造方法である。

 中空糸状多孔質分離膜の端末側を束ねる 法としては、端末を熱溶着などで封止する 法を挙げることができる。又、ひも等によ 結束する方法も挙げることができるが、こ ように封止又は結束することにより、中空 状多孔質分離膜の端末の開口部を閉塞し、 型(浸漬)の際には、中空糸の中空部に樹脂 流れ込むことを防ぐことができる。そして 脂の硬化後に行う工程、即ち、前記熱硬化 樹脂を型から脱型し、中空糸状多孔質分離 端末側を切削し、中空糸状多孔質分離膜の 口部を形成する工程により、中空糸の開口 を端末に露出させることができる。

 中空糸状多孔質分離膜の端末が前記のよ にして束ねられた後、この端末は、型(金型 等)にセットされ、この型に硬化前の熱硬化 樹脂(樹脂液)を注型することにより、前記樹 脂含浸部が熱硬化性樹脂に浸漬される。なお 、前記のように、樹脂液を注型後、中空糸状 多孔質分離膜の端末を型に入れて浸漬しても よい。

 注型した樹脂液に中空糸状多孔質分離膜 端末が浸漬された後、樹脂液の硬化が行わ 、中空糸状多孔質分離膜の端末が封止され 。注型した樹脂液に中空糸状多孔質分離膜 端末を浸漬する工程、及び熱硬化性樹脂を 化して前記中空糸状多孔質分離膜の端末を 止する工程は、従来の分離膜モジュールの 造における浸漬成形法と同様な手順や条件 行うことができる。又、使用する材料等も 様であり、ここで用いられる熱硬化性樹脂 してはエポキシ樹脂やウレタン樹脂等の、 ッ素樹脂以外の熱硬化性樹脂を用いること できる。

 請求項10に記載の発明は、中空糸状多孔 分離膜の開口部を形成後、硬化した熱硬化 樹脂の、中空糸状多孔質分離膜の開口部側 表面に、さらに熱硬化性フッ素樹脂の塗布 びその硬化をすることを特徴とする請求項9 記載の分離膜エレメントの製造方法であり 熱硬化性フッ素樹脂の塗布を、さらに、硬 した熱硬化性樹脂の表面の、中空糸状多孔 分離膜の開口部側にもすることを特徴とす 分離膜エレメントの製造方法である。前記 求項8に記載の分離膜エレメントはこの製造 方法により製造することができる。即ち、こ の方法により、両面が耐薬品性の高い熱硬化 性フッ素樹脂硬化物で被覆された三層構造の 膜封止部を備えた分離膜エレメントを得るこ とができる。

 請求項11に記載の発明は、
 複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端 を集束して封止する膜封止部を有する分離 エレメントの製造方法であって、
 複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末側 束ねて型にセットする工程、
 前記型に硬化前の熱硬化性フッ素樹脂を注 する工程、
 注型後、前記熱硬化性フッ素樹脂を硬化し 中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する工 、及び
 硬化した前記熱硬化性フッ素樹脂を型から 型し、中空糸状多孔質分離膜端末側を切削 、中空糸状多孔質分離膜の開口部を形成す 工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメント の製造方法である。

 この製造方法は、膜封止部が熱硬化性フ 素樹脂のみから形成されている分離膜エレ ントの製造方法であり、従来、ウレタン樹 やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて われていた浸漬成形法を、熱硬化性フッ素 脂を用いて行う方法である。従って、前記 ように、高い生産性で、中空糸状多孔質分 膜と膜封止部間の接着力に優れた膜封止部 得ることができる。この場合、膜封止部は 熱硬化性フッ素樹脂のみから形成されるの 、処理液との接触部側表面も、中空糸状多 質分離膜の開口部側にある表面も、熱硬化 フッ素樹脂により形成されている。従って 請求項9や請求項10に記載の製造方法におけ 、硬化した前記熱硬化性樹脂の表面に、硬 前の熱硬化性フッ素樹脂を塗布し、その後 硬化性フッ素樹脂を硬化する工程は不要で り、従来の浸漬成形法と同様な工程のみで 優れた耐薬品性を有する膜封止部を得るこ ができる。

 請求項9~請求項11の製造方法に用いられる 熱硬化性フッ素樹脂は、中空糸状多孔質分離 膜の溶融や熱劣化を生じる温度よりはるかに 低い温度、望ましくは150℃程度以下で液状で あり、かつこのような低い温度で硬化できる ものであって、耐薬品性に優れた硬化物を与 えるものが用いられる。又、機械的強度に優 れ、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂の硬化物上 に塗布して強固な被膜を形成しやすいものが 好ましい。本発明者は、鋭意検討の結果この ような特性を有する好適な熱硬化性フッ素樹 脂を見出した。以下の請求項12~請求項15は、 のような熱硬化性フッ素樹脂を用いること 特徴とする分離膜エレメントの製造方法で る。

 請求項12に記載の発明は、
 熱硬化性フッ素樹脂が、式:HOOCCF 2 [(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 COOH[式中、p=2~20でありq=2~20である。]で表され るパーフルオロポリオキシアルカンジカルボ ン酸又はその誘導体、及び、前記パーフルオ ロポリオキシアルカンジカルボン酸又はその 誘導体と縮合重合をする多官能性化合物から なる組成物であることを特徴とする請求項9 いし請求項11のいずれかに記載の分離膜エレ メントの製造方法である。

 式中のp、qとしてはそれぞれ2~10の範囲が ましく、特に4~8の範囲がより好ましく、平 分子量1500程度となるp、qが特に好ましい。

 前記パーフルオロポリオキシアルカンジ ルボン酸又はその誘導体と縮合重合をする 官能性化合物としては、エポキシ化合物が 示される。エポキシ化合物としては、ビス ェノールA、ビスフェノールFやノボラック 脂等の多官能のフェノール化合物等のジグ シジルエーテル、トリリシジルエーテル、 トラーグリシジルエーテルを挙げることが き、より具体的には下記のエポキシ1のよう ビスフェノール型エポキシを例示すること できるが、下記のエポキシ2、エポキシ3の うに柔軟成分を含むエポキシがより好まし 。

 エポキシ1: ビスフェノール型エポキシ
 エポキシ2: 下記の構造式で表されるエポキ シ樹脂

 エポキシ3: ポリプロピレングリコールジ グリシジルエーテル

 この熱硬化性フッ素樹脂の組成物には、 応促進のために、ジメチルアミノメチルフ ノール、N-アミノエチルピペラジン等の三 アミン類を0.1~2%程度添加することが好まし 。

 請求項13に記載の発明は、
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、式:HOCF 2 -[(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 OH[式中、p=2~20でありq=2~20である。]で表され パーフルオロポリオキシアルカンジハイド キシ又はその誘導体、及び、前記パーフル ロポリオキシアルカンジハイドロキシ又は の誘導体と縮合重合をする多官能性化合物 らなることを特徴とする請求項9ないし請求 11のいずれかに記載の分離膜エレメントの 造方法である。

 式中のp、qとしてはそれぞれ2~10の範囲が ましく、特に4~8の範囲がより好ましく、平 分子量1500程度となるp、qが特に好ましい。

 前記パーフルオロポリオキシアルカンジ イドロキシ又はその誘導体と縮合重合をす 多官能性化合物としては、メチレンビス(4-1 -ファニレン)ジイソシアネート(MDI)等のイソ アネート化合物を挙げることができる。

 請求項14に記載の発明は、
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、式:XCF 2 -[(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 X[式中、Xはシラン官能基であり、p=2~20であり 、q=2~20である。]で表される末端にシラン官 基を有するパーフルオロポリオキシアルカ からなることを特徴とする請求項9ないし請 項11のいずれかに記載の分離膜エレメント 製造方法である。

 式中のp、qとしてはそれぞれ2~10の範囲が好 しく、特に4~8の範囲がより好ましく、平均 子量1500程度となるp、qが特に好ましい。シ ン官能基Xとしては、-SiH、-SiCl、-SiOR(Rは、CH 3 ,C 2 H 5 等のアルキル基)が例示される。

 請求項15に記載の発明は、
 前記熱硬化性フッ素樹脂が、下記式(I):

[式中、n=2~50であり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6 アルキル基又はアルケニル基であり、但し R1、R2及びR3の中の少なくとも1の基、並びに R4、R5及びR6の中の少なくとも1の基は、アル ケニル基である。]
で表されるパーフルオロアルキルエーテルを 有するシリコーン化合物からなることを特徴 とする請求項9ないし請求項11のいずれかに記 載の分離膜エレメントの製造方法である。

 R1、R2、R3、R4、R5又はR6で表されるアルキル としては、CH 3 ,C 2 H 5 等の炭素数1~4のアルキルが例示され、アルケ ニル基としては、C 3 H 5 、C 4 H 7 等の炭素数3~6のアルケニルが例示される。

 発明1及び発明2のいずれにおいても、本 明の分離膜エレメントでは、中空糸状多孔 分離膜を形成する材質やこれらの形態等は 従来の分離膜エレメントと同様なものが用 られる。例えば、中空糸状多孔質分離膜の 質としては、フッ素樹脂、ポリエチレン、 リエーテルスルホン等が考えられる。中で 、フッ素樹脂から形成されているものが、 薬品性、柔軟性、機械的強度等の観点から ましく用いられる。請求項16は、この好まし い態様に該当する。

 フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオ エチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パ ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体 (PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオ ロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラ フルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロ トリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロ トリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリ フッ化ビニリデン(PVDF)等の種々のフッ素樹脂 を1種あるいは複数種の組み合わせ等により いることができる。成形加工性に優れ、更 機械的強度にも優れる点よりPTFEが特に好ま い。

 本発明は、前記の分離膜エレメントに加え 、この分離膜エレメントを用いることを特 とする分離膜モジュールを提供する。すな ち、
 請求項1ないし請求項5、請求項7ないし請求 8、及び請求項16のいずれか1項に記載の分離 膜エレメント及び前記分離膜エレメントを収 容するハウジングからなり、前記分離膜エレ メントとハウジングが一体化されていること を特徴とする分離膜モジュールである(請求 17)。

 本発明の分離膜モジュールについては、 離膜エレメントとこれを収容するハウジン からなる点、分離膜エレメントとハウジン を一体化する方法、ハウジングの種類やそ 形態等は、半導体製造や食品工業等の分野 、気液吸収、脱気、濾過用等に用いられて る従来の分離膜モジュールと同様なものと ることができる。例えば、分離膜エレメン とハウジングの一体化は、膜封止部とハウ ングの接着、パッキングシール等により行 ことができる。

 発明1の分離膜エレメント及びこの分離膜 エレメントからなる分離膜モジュールは、中 空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に浸漬 した後、樹脂を硬化させて膜封止部を形成す るとの生産性に優れた方法により製造できる ものでありながら、中空糸状多孔質分離膜の 根元部が柔軟性を有し、分離膜エレメント、 分離膜モジュールの使用中における根元部の 破損、気液の漏れが生じにくく、又中空糸状 多孔質分離膜と膜封止部の間の接着性に優れ たものである。

 発明2の分離膜エレメント及びこの分離膜 エレメントからなる分離膜モジュールは、中 空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に浸漬 した後、樹脂を硬化させるとの生産性に優れ た方法により製造される膜封止部を有するも のでありながら、この膜封止部の耐薬品性は 、従来の熱可塑性フッ素樹脂からなる膜封止 部と同様に優れている。

 そして、このような優れた特徴を有する 離膜エレメントは、本発明の分離膜エレメ トの製造方法により容易に製造することが きる。

本発明の分離膜モジュールの一例の概 断面図である。 本発明の分離膜モジュールの他の一例 概略断面図である。 従来の分離膜エレメントの製造方法を す概略図である。 分離膜エレメントの製造工程を示す概 図である。 中空糸状多孔質分離膜の端末部及びそ 近傍の膜封止部示す断面図である。 中空糸状多孔質分離膜の端末部及びそ 近傍の膜封止部示す断面図である。 中空糸状多孔質分離膜の端末部及びそ 近傍の膜封止部示す断面図である。

符号の説明

X、Y         分離膜モジュール
1、21、35     中空糸状多孔質分離膜
1’、35’      中空部
1a、32a      中空糸状多孔質分離膜の根元
2、2’、22、22’ 膜封止部
2a、2b       熱硬化性フッ素樹脂層
2c          本体部
3、23        分離膜エレメント
4、24        筒材
5、6、25、26   キャップ
7、27        ハウジング
8、28、31     流入口
9、29、30     排出口
10          集液室
11、34       開口閉塞部
12          熱硬化性樹脂b
13          樹脂含浸部
13’         浸透部
14          封止用樹脂
32          端末部
33          樹脂液

 次に、本発明を実施するための最良の形 について、実施例等を示しながら説明する 、本発明の範囲はこの形態や実施例に限定 れるものではなく、本発明の趣旨を損なわ い範囲で種々の変更をすることができる。

 図1は、処理液のろ過に用いられる分離膜 モジュールXの断面を模式的に示す断面図で る。

 分離膜モジュールXは、複数のPTFE製の中 糸状多孔質分離膜1を互いに間隔を設けて略 行に配置し、その軸線方向の両端末を集束 てエポキシ樹脂製の膜封止部2、2’で一体 してなる分離膜エレメント3と、円筒状の筒 4及び該筒材の両端開口を閉じるキャップ5 6を有する耐圧性のハウジング7とを備えてい る。膜封止部2、2’の外側端面には中空糸状 孔質分離膜1の端末が開口しているが、膜封 止部2’の外側端面の開口部はキャップ6によ 塞がれている。

 一方のキャップ5には処理液の流入口8及 透過液の排出口9が設けられている。また、 ャップ5と分離膜エレメント3の膜封止部2と 間には集液室10が設けられている。なお、 離膜エレメント3が、発明1に該当する場合、 膜封止部を形成する材質としては、エポキシ 樹脂の他に、ウレタン樹脂等の他の熱硬化性 樹脂を挙げることができるが、機械的強度、 耐薬品性等の観点、及びコスト面からエポキ シ樹脂が好ましい。

 このように構成される分離膜モジュールX において、処理液は、矢印イで示すようにキ ャップ5の流入口8から分離膜モジュールXの内 側に導入され、中空糸状多孔質分離膜1を透 してその貫通孔により濾過が行われる。透 液は、各中空糸状多孔質分離膜1の管内を通 て集液室10に集液され、矢印ロで示すよう 排出口9から分離膜モジュールXの外側に排出 される。

 図2は、本発明の分離膜モジュールの他の 実施形態である分離膜モジュールYの断面図 示す。分離膜モジュールYは、オゾン溶解等 気液吸収に用いられる分離膜モジュールで る。

 分離膜モジュールYも分離膜モジュールX 同様に、複数のPTFE製の中空糸状多孔質分離 21を互いに間隔を設けて略平行に配置し、 の軸線方向の両端末を集束して膜封止部22、 22’で一体化してなる分離膜エレメント23と 円筒状の筒材24及び該筒材の両端開口を閉じ るキャップ25、26を有する耐圧性のハウジン 27とを備えている。膜封止部22、22’の外側 面には中空糸状多孔質分離膜21の端末が開口 し、中空糸状多孔質分離膜21の一端の開口か 他端の開口への処理液の流通を可能として る。一方のキャップ26には気体の流入口28及 び処理液の排出口29が設けられ、他方のキャ プ25には気体の排出口30及び処理液の流入口 31が設けられている。

 処理液は、流入口31から中空糸状多孔質 離膜21の管内に導入され、中空糸状多孔質分 離膜21の内側に接触しながら流れて排出口29 ら分離膜モジュールYの外側に排出される。 体は、流入口28から分離膜モジュールYのハ ジング27内に導入され、中空糸状多孔質分 膜21の外側に接触しながら流れて排出口30か 分離膜モジュールYの外側に排出される。こ の間に、中空糸状多孔質分離膜21の貫通孔を して、気液吸収が行われる。

 分離膜モジュールX、Yの流入口及び排出 の配置場所などについては処理気液や処理 容などにより適宜設計変更されるものであ 。

 次に、発明1に該当する分離膜エレメント 3の製造方法を図4に基づいて説明する。図4は 、この製造方法の各工程を示す断面図であり 、分離膜エレメント3を構成する複数の中空 状多孔質分離膜1の中の1本について、その端 末部分を拡大して示す。

 まず、図4(a)に示すように、中空糸状多孔 質分離膜1の端末を、エポキシ樹脂を溶剤に 解してなる熱硬化性樹脂b12中に浸漬する。 のとき中空糸状多孔質分離膜1の中空部1’内 に、熱硬化性樹脂b12(及び後述する熱硬化性 脂a)が浸入しないように、予め、中空部1’ 開口部を封止して開口閉塞部11を形成してお く。

 この浸漬により、中空糸状多孔質分離膜1 の有する多数の孔内(各孔は図示されていな 。)に熱硬化性樹脂b12が浸透する。この浸透 た部分を浸透部13’とするが、毛管現象に り、浸透部13’は、図4(a)に示すように実際 浸漬された部分より通常は大きくなる。熱 化性樹脂bとしては、エポキシ樹脂の他にウ タン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられるが 前記のように硬化後も柔軟性を有する樹脂 好ましい。又熱硬化性樹脂bを構成する溶剤 としては、メチルエチルケトン、イソプロピ ルアルコール等を挙げることができる。

 その後、中空糸状多孔質分離膜1を引き上 げて、浸透部13’にある樹脂液12を乾燥させ 中空糸状多孔質分離膜1の端末に樹脂含浸部1 3を形成する(図4(b))。次に、複数の中空糸状 孔質分離膜1を集束した状態で、樹脂含浸部1 3を下に向けて下側に位置する金型(図示は省 されている。)内にセットする。

 その後、熱硬化性樹脂a(以後封止用樹脂 14という。)を金型内に注入して中空糸状多 質分離膜1の束の周囲部及び中空糸状多孔質 離膜1の隙間に行き渡らせ、中空糸状多孔質 分離膜1の端末を封止用樹脂液14に浸漬する( 4(c))。封止用樹脂液14は、膜封止部を形成す ための樹脂液であるので、前記のように、 化前のエポキシ樹脂液、ウレタン樹脂液等 用いられる。

 図4(c)に示すように、封止用樹脂液14を金 内に注入するときは、樹脂含浸部13の上縁 位置を、注入完了後の封止用樹脂液14の液面 と同じ高さ又は該液面よりも僅かに高くなる ように設定する。この状態で樹脂含浸部13を 止用樹脂液14中に浸漬する。中空糸状多孔 分離膜1の孔にはすでに熱硬化性樹脂b12が浸 しているので、中空糸状多孔質分離膜1の根 元部の孔内に、封止用樹脂液14が毛管現象に り浸透することはなく、熱硬化性樹脂aの根 元部への浸透、硬化により根元部の破損、気 液の漏れを生じやすくなるとの問題を抑制す ることができる。

 前記の浸漬の後、加熱により、樹脂含浸 13にある熱硬化性樹脂bと、金型内に注型さ ている熱硬化性樹脂a(封止用樹脂液14)の硬 がされる。この硬化により両樹脂の界面が 着され、中空糸状多孔質分離膜1と膜封止部2 が一体化する。次に、脱型を行い、開口閉塞 部11を含む中空糸状多孔質分離膜1の端末及び その近傍の膜封止部2(図4(d)中のm’部分)を切 取ることにより(図4(d))中空糸状多孔質分離 1の中空部1’が膜封止部2の端面から開口す (図4(e))。このようにして、膜封止部2と中空 糸状多孔質分離膜1とが一体化し、かつ、中 糸状多孔質分離膜1の根元部1aの柔軟性が確 された分離膜エレメント3が作製され、これ ハウジング7内に収容することにより、発明 1の分離膜モジュールXを得ることができる。

 次に、発明2の特徴的な部分である膜封止 部2の詳細な構造の例を、図5~7に基づいて説 する。図5~7は、分離膜エレメント3を構成す 複数の中空糸状多孔質分離膜1の1本につい の端末部分及びその近傍の膜封止部2を拡大 て示す断面図である。なお、以下の説明は 膜封止部2についてされているが、膜封止部 2’、22、22’についても、膜封止部2と同様な 構造とすることができるので、その説明は省 略する。

 図5は、膜封止部2の一態様を示す断面図 あり、この例では、膜封止部2は、エポキシ 脂からなる本体部2cと、熱硬化性フッ素樹 層2aからなる。熱硬化性フッ素樹脂層2aは、 封止部2の、処理液との接触部側表面を被覆 する。ここで、処理液との接触部側表面とは 、図1(又は図2)においてaで示される側の表面 ある。図5に示されるように、中空糸状多孔 質分離膜1は、膜封止部2に埋め込まれており 処理液との接触部側表面とは反対側の表面( 図1(又は図2)においてbで示される側の表面)で 開口している。

 この態様では、処理液との接触部側表面 、耐薬品性に優れた熱硬化性フッ素樹脂層2 aで被覆されているので、膜封止部2の耐薬品 を向上させることができる。この態様の分 膜エレメントは、次に示す手順で製造する とができる。

 先ず、複数の中空糸状多孔質分離膜1の端 末を熱溶着等により封止して束ね、この端末 を下に向けて下側に位置する金型内にセット する。次に、液状のエポキシ樹脂を金型内に 注入して、中空糸状多孔質分離膜1の端末を ポキシ樹脂に浸漬する。このとき、中空糸 多孔質分離膜1の端末の開口部は熱溶着等に り封止されているので、エポキシ樹脂が中 糸の中空に浸入することはない。

 浸漬の後に、エポキシ樹脂を加熱硬化さ て膜封止部2の本体部2cを形成する。この硬 により中空糸状多孔質分離膜1と本体部2cが 体化する。なお、中空糸状多孔質分離膜1の 端末をエポキシ樹脂に浸漬するとき、エポキ シ樹脂が端末部の多孔質内に浸透するので、 加熱硬化によりアンカー効果が発揮される。 以下に示す図6の例でも同様である。

 次に、この本体部2cの、中空糸状多孔質 離膜1が延びている側の面を熱硬化性フッ素 脂液で塗布し、その後加熱して熱硬化性フ 素樹脂液を硬化し、熱硬化性フッ素樹脂層2 aを形成する。熱硬化性フッ素樹脂層2aの形成 後、脱型をし、さらに後、熱溶着等により封 止されている部分を含む中空糸状多孔質分離 膜1の端末及びその近傍の膜封止部(すなわち 空糸状多孔質分離膜1が延びている側とは反 対の表面側)を切削することにより、中空糸 多孔質分離膜の開口部が形成される。なお 膜封止部2’のように、中空糸状多孔質分離 の開口部を有しない膜封止部の製造におい は、中空糸状多孔質分離膜1の端末及びその 近傍の膜封止部の切削(請求項9における硬化 た前記熱硬化性樹脂を型から脱型し、中空 状多孔質分離膜端末側を切削し、中空糸状 孔質分離膜の開口部を形成する工程)は行わ なくてもよい。

 図6は、膜封止部2の他の一態様を示す断 図であり、この例では、膜封止部2は、エポ シ樹脂からなる本体部2cと、熱硬化性フッ 樹脂層2a及び2bからなる。熱硬化性フッ素樹 層2aは、膜封止部2の、処理液との接触部側 面を被覆し、熱硬化性フッ素樹脂層2bは、 の反対側の表面(図1(又は図2)においてbで示 れる側の表面)を被覆する。図6に示されるよ うに、中空糸状多孔質分離膜1は、膜封止部2 埋め込まれており、処理液との接触部側表 とは反対側の表面にある2b側で開口してい 。

 この態様では、処理液との接触部側表面 びその反対側の両表面が、耐薬品性に優れ 熱硬化性フッ素樹脂層2aで被覆されている で、膜封止部2の耐薬品性をより向上させる とができる。この態様の分離膜エレメント 、次に示す手順で製造することができる。

 先ず、図5の例と同様にして本体部2cを形 する。このとき中空糸状多孔質分離膜1と本 体部2cが一体化する。その後、熱硬化性フッ 樹脂層2aの形成前に、脱型をし、脱型後、 溶着等により封止されている部分を含む中 糸状多孔質分離膜1の端末及びその近傍の膜 止部を切削することにより、中空糸状多孔 分離膜の開口部を形成する。次に、この本 部2cの両面を熱硬化性フッ素樹脂液で塗布 、その後加熱して熱硬化性フッ素樹脂液を 化し、熱硬化性フッ素樹脂層2a、2bを形成す 。

 図7に示す態様は、膜封止部2を熱硬化性 ッ素樹脂のみで形成したものである。この 様の分離膜エレメントは、液状のエポキシ 脂の代わりに液状の熱硬化性フッ素樹脂を い、他の点は図5の態様における本体部2cの 成と同様な手順により、膜封止部2を形成す 。この形成により、中空糸状多孔質分離膜1 と膜封止部2が一体化する。又、液状の熱硬 性フッ素樹脂に中空糸状多孔質分離膜1の端 を浸漬するとき、熱硬化性フッ素樹脂が端 部に浸透するので、加熱硬化によりアンカ 効果が発揮される点も、図5の例の場合と同 様である。

 このようにして形成された膜封止部2は、 処理液との接触部側表面もその反対側(中空 状多孔質分離膜1の開口部側)表面も、熱硬化 性フッ素樹脂の硬化物で形成されており、優 れた耐薬品性が達成されているので、(図5や 6の態様で行われている)熱硬化性フッ素樹 をこの表面に塗布して硬化する工程は不要 ある。従って、この点では、図5や図6の態様 の場合より製造工程は簡易であるが、一方、 熱硬化性フッ素樹脂は高価であるので、材料 コストの点からは、図5や図6の態様の方が有 である。脱型後、熱溶着等により封止され いる部分を含む中空糸状多孔質分離膜1の端 末及びその近傍の膜封止部を切削することに より、中空糸状多孔質分離膜の開口部を形成 して分離膜エレメントが得られる。

 以上のようにして得られた分離膜エレメ ト、即ち図5~7に示すような端末構造を有す 分離膜エレメントを、常法によりハウジン 内に収容することにより、発明2の分離膜モ ジュールを得ることができる。

実施例1~5及び比較例1
[熱硬化性樹脂a(以後、封止用樹脂とする)の 備]
 表1に示す組成で、主剤及び硬化剤を混合し て封止用樹脂A、B、C及びDのそれぞれを得た なお、表1中の数字(硬度以外)は、組成割合( 量部)を示す。

[熱硬化性樹脂b(以後、含浸用樹脂とする)の 備]
 表2に示す組成で、主剤及び硬化剤を混合し て含浸用樹脂I、II、IIIのそれぞれを得た。な お、表2中の数字(硬度以外)は、組成割合(重 部)を示す。

[含浸用樹脂の硬化物及び封止用樹脂の硬化 の硬度の測定]
 前記のようにして調整された含浸用樹脂及 封止用樹脂(液状)を、金型に注型し、100℃ 4時間加熱して30mm角、厚さ10mmの大きさの評 用ブロックを作製し、各評価用ブロックを デュロメーターD型(テクロック社製)により JIS K 7215プラスチック硬さ試験方法に準拠 て、25℃環境下で硬度測定を行った。その測 定値も表1、2に示す。

 なお、上記表1及び表2において使用した略 の意味を、それぞれ以下に示す。
 ビスA : ビスフェノールA型エポキシ樹脂( 日本インキ社製エピクロン850)
 ビスF : ビスフェノールF型エポキシ樹脂( 日本インキ社製エピクロン830)
 PPG : ポリプロピレングリコールジグリシ ルエーテル型エポキシ樹脂
       (東都化成社製PG-201N)
 芳香族 : 芳香族ポリアミン(PTI社製アンカ ンZ)
 脂肪族D: 脂肪族ポリアミン(PTI社製ジェフ ーミンD-400)ジアミン
 脂肪族T: 脂肪族ポリアミン(PTI社製ジェフ ーミンT-403)トリアミン

[分離膜エレメント3の作製]
 分離膜エレメント3を、図4に示された製造 法に基づいて作製した。なお以下の説明に いて、各部材については図4と同じ番号を用 ている。

(1)中空糸状多孔質分離膜1の準備
 外形2.3mm、内径1.1mm、孔径2μmのPTFE製中空糸 多孔質分離膜1(住友電工製ポアフロンチュ ブ)を10本準備した。
(2)含浸用樹脂(熱硬化性樹脂b)液の準備
 表2に記載した含浸用樹脂のそれぞれ10gを、 メチルエチルケトン100gに溶解して含浸用樹 液12を作製した。
(3)中空糸状多孔質分離膜1の樹脂含浸部13の形 成
 中空糸状多孔質分離膜1の一端末を結束して 封止した後、含浸用樹脂液12に10分間浸漬し 中空糸状多孔質分離膜1の孔内に十分に浸透 せた。中空糸状多孔質分離膜1を含浸用樹脂 液12から引き上げ、室温で乾燥させてメチル チルケトンを揮散させて樹脂含浸部13を形 した。中空糸状多孔質分離膜1の他端末も同 処理によって樹脂含浸部13を形成した。

(4)封止用樹脂(熱硬化性樹脂a)液の注型
 前記のようにして得られた10本の中空糸状 孔質分離膜1を、間隔をあけた状態で集束し 樹脂含浸部13を下に向けて金型内にセット た。表1に記載した封止用樹脂の液(封止用樹 脂液14)を、40℃に加熱して粘度を下げ、中空 状多孔質分離膜1の樹脂含浸部13がセットさ た金型内に注入し、中空糸状多孔質分離膜1 の束の周囲部及び中空糸状多孔質分離膜1の 間に行き渡らせた。その際、樹脂含浸部13の 上縁が、注入完了後の封止用樹脂液14の液面 ら1mm以内の高さに位置するようにして樹脂 浸部13を封止用樹脂液14中に浸漬した。
(5)中空糸状多孔質分離膜1の端末の封止
 その後、100℃で4時間加熱して、金型内の樹 脂含浸部13の含浸用樹脂と封止用樹脂14を同 に硬化させて両樹脂の界面を接着させた。
(6)硬化後脱型し、さらにその後、図4(d)(e)に すように、中空糸状多孔質分離膜1の端末近 にある膜封止部2を、前記端末部とともに切 り落として中空糸状多孔質分離膜1の中空部 開口させ、中空糸状多孔質分離膜1の両端末 樹脂製膜封止部2とが一体構造となった分離 膜エレメント3を作製した。

[耐薬品性評価]
 次の(i)から(v)までの各薬品液に、このよう して製造した分離膜エレメント3を1000時間 浸漬した状態で、膜封止部2をエアーバブリ グで曝気し、中空糸状多孔質分離膜1を、根 元部分を中心とした角度2~5度の範囲で少なく とも1分間に3回以上振動させた。
 (i)4%硫酸水溶液、(ii)4%水酸化ナトリウム水 液、(iii)有効塩素3000ppm相当の次亜塩素酸ナ リウム水溶液、(iv)イソプロピルアルコール (v)メチルエチルケトン

 その後、以下に示す水中でのエアー漏れ 験を行い、中空糸状多孔質分離膜1の根元部 での漏れの発生を測定し、根元部の破損や気 液の漏れの生じにくさを評価した。又以下に 示す引抜試験を行い、その結果に基づき膜封 止部2と中空糸状多孔質分離膜1の接着性を評 した。その結果を表3に示す。

[水中でのエアー漏れ試験]
 前記で製造された分離膜エレメント3の一端 に図1の6で示すようなキャップをはめて、中 糸状多孔質分離膜1の開口部を塞ぎ、他方の 端には、図1の5で示すようなキャップをはめ キャップ5の排出口には空気吹き込み管を装 着する。その後、この分離膜エレメント3を 中に漬けて、空気吹き込み管から空気を圧 し、中空糸状多孔質分離膜1の根元部から空 (泡)がリークする圧力を測定し、以下の基 で評価した。

 ◎ リークする圧力が50kPa以上
 ○ リークする圧力が20~50kPa
 × リークする圧力が20kPa未満

引抜試験:
 前記で製造された分離膜エレメント3の中空 糸状多孔質分離膜1の1本をインストロンのチ ックに挟んで膜封止部2よりの引抜きを行い 、引抜きが発生するときの引抜き力を測定し た。

比較例1
 比較として、前記分離膜エレメント3の作製 における工程(2)及び(3)を行わなかった以外は 同様にして、中空糸状多孔質分離膜1の両端 と樹脂製膜封止部2とが一体構造となった分 膜エレメント3を作製し、同様にして耐薬品 性評価を行った。その結果も表3に示す。

 比較例1では硬度85度の封止用樹脂を用い が、すべての水漏れ試験で水漏れが発生し 引抜試験でも、80Nをかけた時点で中空糸膜 破断(分離膜切れ)が発生した。一方、実施 1~5では、水漏れ試験、引抜試験とも良好な 果が得られており、分離膜モジュール使用 における根元部の破損、気液の漏れが生じ くく、又中空糸状多孔質分離膜と膜封止部 間の接着性に優れたものであることが示さ ている。

 実施例6~8、比較例2
 先ず、以下の実施例、比較例において用い 熱硬化性フッ素樹脂を示す。

[熱硬化性フッ素樹脂1]
 HOOCCF 2 [(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 COOH[平均分子量1500]で表される熱硬化性フッ 樹脂(ソルベイソレクシス社製フロロリンク) と、下記のエポキシ樹脂との混合物に、三級 アミン類(PTIジャパン社製AC399)を1重量%添加し た混合物。

・ ビスフェノールF型エポキシ(DIC製エピク ン830)との混合物(表4~6中では、1-1と示す。)
・ 1,4-ジメチロールフェニルジグリシジルエ ーテルとの混合物(表4~6中では、1-2と示す。)
・ ポリプロピレングリコールジグリシジル ーテルとの混合物(表4~6中では、1-3と示す。 )

[熱硬化性フッ素樹脂2]
 HOCF 2 -[(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 OHで表される熱硬化性フッ素樹脂(ソルベイソ レクシス社製フロロリンク)とMDIとの、モル で1:1~1:1.05の混合物(表4~6中では、2と示す。)

[熱硬化性フッ素樹脂3]
 XCF 2 -[(OCF 2 CF 2 )p-(OCF 2 )q]-OCF 2 Xで表される熱硬化性フッ素樹脂(ソルベイソ クシス社製フロロリンク)(表4~6中では、3と す。)。

[熱硬化性フッ素樹脂4]
 パーフルオロアルキルエーテルを有するシ コーン化合物に、白金触媒を添加したもの( 表4~6中では、4と示す。)。

実施例6
 外形2.3mm、内径1.1mm、孔径2μmのPTFE製中空糸 多孔質分離膜(住友電気工業社製ポアフロン チューブ)を10本準備した。この中空糸状多孔 質分離膜を、熱溶着により端末を束ねて封止 した状態で、その端末を下に向けて下側に位 置する金型内にセットした。

 次に、40℃に加熱して粘度が下がったウ タン樹脂(日本ポリウレタン社製コロネート: ポリエステル系ポリオールとイソシアネート を反応させたもの)を注形金型内に注入して 10分間浸漬した後、加熱硬化させて、膜封止 部の本体部(図5の例における2c)を形成し、中 糸状多孔質分離膜の端末を封止した。この きの本体部の厚みは50mmであった。

 その後、前記本体部の中空糸状多孔質分 膜が延びている側の表面に、前記の熱硬化 フッ素樹脂の1つを塗布して加熱硬化させて 熱硬化性フッ素樹脂膜(図5の例における2a)を 成し、本体部及びその一面を被覆する熱硬 性フッ素樹脂膜からなる膜封止部を得た。 硬化性フッ素樹脂膜の厚みは100μmであった 次に、脱型を行い、中空糸状多孔質分離膜 膜封止部の、中空糸状多孔質分離膜端末側 切削して中空糸状多孔質分離膜の端末を開 し、分離膜エレメントを得た。

 なお、各熱硬化性フッ素樹脂について、加 硬化は、次に示す条件で行った。
熱硬化性フッ素樹脂1:混合後、100℃、4時間加 熱した。
熱硬化性フッ素樹脂2:MDIとの混合後、100℃、2 時間加熱した。
熱硬化性フッ素樹脂3:イソプロピルアルコー に溶解して10%溶液の形態で塗布後、100℃、2 時間加熱した。
熱硬化性フッ素樹脂4:120℃、4時間加熱して付 加重合させた。

比較例2
 実施例6の本体部の形成と同様にして、膜封 止部を形成し、中空糸状多孔質分離膜の端末 を封止した。このときの膜封止部の厚みは50m mであった。膜封止部の表面への熱硬化性フ 素樹脂の塗布、硬化は行わなかった。次に 脱型を行い、中空糸状多孔質分離膜の膜封 部から突出している部分を切断して、分離 エレメントを得た。

実施例7
 実施例6と同様にして、膜封止部の本体部( 6の例における2c)を形成し、中空糸状多孔質 離膜の端末を封止した。次に、脱型を行い 実施例6と同様にして、中空糸状多孔質分離 膜の端末の開口部を形成し、分離膜エレメン トを得た。

 その後、前記本体部の両表面に、前記の 硬化性フッ素樹脂の1つを塗布して加熱硬化 させて熱硬化性フッ素樹脂膜(図6の例におけ 2a、2b)を形成し、本体部及びその両面を被 する熱硬化性フッ素樹脂膜からなる膜封止 を得た。熱硬化性フッ素樹脂膜の厚みは両 ともそれぞれ100μmであった。又、各熱硬化 フッ素樹脂についての、加熱硬化の条件も 実施例6と同じである。

実施例8
 実施例6で用いた中空糸状多孔質分離膜を実 施例6と同様にして金型内にセットした。次 、前記熱硬化性フッ素樹脂(必要により下記 条件で液状化したもの)を金型内に注入した 後、加熱硬化させて、膜封止部(図7の例にお る2)を形成し、中空糸状多孔質分離膜の端 を封止した。次に、脱型を行い、中空糸状 孔質分離膜の膜封止部の、中空糸状多孔質 離膜端末側を切削して中空糸状多孔質分離 の端末を開口し、分離膜エレメントを得た

 なお、各熱硬化性フッ素樹脂について、 熱硬化は、実施例6と同じ条件で行った。

[耐薬品性評価]
 次の(i)から(v)までの各薬品液に、実施例6~8 び比較例2で製造した分離膜エレメントを500 時間浸漬し、膜封止部の劣化による膜封止部 と中空糸状多孔質分離膜の端部との間に亀裂 が生じてリークしないかを水漏れ試験で評価 した。その結果を表4~6に示す。なお、各表中 、[樹脂]で示す行の記載は、熱硬化性フッ素 脂の種類を示す。又、表中の○は、リーク し、を表し、×は、リーク有り、を表す。

薬品液:(i)4%硫酸水溶液、(ii)4%水酸化ナトリ ウム水溶液、(iii)有効塩素3000ppm相当の次亜塩 素酸ナトリウム水溶液、(iv)イソプロピルア コール、(v)メチルエチルケトン

 表4~6に示される結果より明らかなように 膜封止部の、少なくとも薬品液と接触する 面を熱硬化性フッ素樹脂で形成した実施例6 ~8の分離膜エレメントは、優れた耐薬品性を し、前記の薬品に500時間浸漬しても膜封止 の亀裂や液漏れが生じなかった。一方、ウ タン樹脂のみから膜封止部を形成した比較 2の分離膜エレメントは、前記の薬品への浸 漬により膜封止部の亀裂や液漏れが生じ、耐 薬品性が劣るものであった。