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Patent Searching and Data


Title:
SHEET-LIKE ARTICLE AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054415
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a sheet-like article containing fibers to the surfaces of which carbon nanotubes and/or carbon nanohorns are adhered. Since many carbon nanotubes and/or carbon nanohorns are adhered to the fiber surfaces in a uniformly dispersed state without agglomerating together, the carbon nanotubes and/or carbon nanohorns form a network structure on the fibers. The sheet-like article is preferably obtained by wet-papermaking the fibers and a liquid dispersion of the carbon nanotubes and/or carbon nanohorns. By using fibers mainly containing cellulose fibers, there can be obtained a preferable sheet-like article.

Inventors:
AKIYAMA KOUSUKE (JP)
IMAI MASANORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069150
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOKUSHU PAPER MFG CO LTD (JP)
AKIYAMA KOUSUKE (JP)
IMAI MASANORI (JP)
International Classes:
D21H21/14; C01B31/02; D06M11/74; D21H13/50; D21H15/12; D06M101/06
Foreign References:
JP2005260214A2005-09-22
JP2005256221A2005-09-22
JPS5335712A1978-04-03
JP2007182363A2007-07-19
Other References:
See also references of EP 2204493A4
Attorney, Agent or Firm:
HATORI, Osamu (8-6 Akasaka 1-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンが表面に付着した繊維を含んで形成されたシート状物であって、多数の前記カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンが、凝集せずに均一に分散した状態で前記繊維の表面に付着していることによって、該繊維上でネットワーク構造をとっていることを特徴とするシート状物。
 前記シート状物が、前記繊維並びに前記カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの分散液を湿式抄紙して得られたものであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシート状物。
 前記シート状物が、前記カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンを含まずに形成された繊維集合体に、該カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの分散液を含浸させて得られたものであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシート状物。
 前記繊維集合体の形成繊維がカチオン系有機高分子で処理されていることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のシート状物。
 前記シート状物の主たる形成繊維がセルロース繊維であることを特徴とする請求の範囲第1項~第4項の何れかに記載のシート状物。
 請求の範囲第1項に記載のシート状物の製造方法であって、繊維とカーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの分散液とを混合してこれらの混合分散液を得る工程、及び該混合分散液を湿式抄紙してシート状物を得る工程を有することを特徴とするシート状物の製造方法。
 前記カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの分散液中に界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求の範囲第6項に記載のシート状物の製造方法。
 前記繊維と前記カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの分散液とを混合する前に、該繊維に、該カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの定着剤を吸着させることを特徴とする請求の範囲第7項に記載のシート状物の製造方法。
 前記定着剤が前記界面活性剤と逆の極性を持つことを特徴とする請求の範囲第8項に記載のシート状物の製造方法。
 前記界面活性剤がアニオン性であり、前記定着剤がカチオン性であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のシート状物の製造方法。
 前記定着剤が有機高分子系定着剤であることを特徴とする請求の範囲第10項に記載のシート状物の製造方法。
 請求の範囲第6項~第11項の何れかに記載の製造方法で製造されたシート状物。
Description:
シート状物及びその製造方法

 本発明は、カーボンナノチューブ及び/又 はカーボンナノホーンが表面に付着した繊維 を含んで形成され、導電材料、電磁波シール ド、電磁波吸収体、マイクロ波吸収発熱体、 電極、超微細フィルタ、面状発熱体、触媒の 担体などに使用することが可能なシート状物 及びその製造方法に関する。

 カーボンナノチューブやカーボンナノホ ンは、その特異的な構造に由来した特性に り、極めて低い電気伝導度特性を有し、導 材料、電磁波シールド、電磁波吸収体、マ クロ波吸収発熱体、電極、超微細フィルタ 面状発熱体などの材料として注目を浴びて る。このため、カーボンナノチューブやカ ボンナノホーンを含有するシートもいくつ 検討されている。

 例えば特許文献1には、直径が0.01μm~4μm、 アスペクト比が2~100000である炭素繊維とパル を用いたシートが提案されている。しかし 本シートはパルプと炭素繊維を一緒に混ぜ 方法で製造しており、炭素繊維の分散を向 させる酸化処理、あるいはコーティング、 ラフト等をおこなっても炭素繊維の凝集が 生し、そのため、セルロース繊維に炭素繊 のネットワークを形成することはできかっ 。また、炭素繊維の固まりがシートに存在 てしまうため、炭素繊維同士のつながりが なく、導電性、電磁波シールド特性、マイ ロ波吸収特性等といった炭素繊維の性能を 分に発揮することが困難であった。

 特許文献2には、セルロース繊維に炭素フ ィブリルが絡み合った、炭素フィブリルの凝 集体を含有した紙が提案されている。しかし 、本シートも特許文献1のシート状物と同様 炭素フィブリルが凝集体として存在してし うため、シート内での炭素フィブリルのネ トワークが充分形成することができず、結 として炭素フィブリルの性能を十分に発揮 ることが困難であった。

 特許文献3には、界面活性剤と蒸留水に天 然繊維を浸漬・含浸させることによって、天 然繊維の表面にカーボンナノチューブを被覆 する方法が提案されている。しかし、この方 法ではセルロース繊維に充分カーボンナノチ ューブが被覆されなかった。また界面活性剤 を含んだ天然繊維は、天然繊維自体が絡み合 い難く、織物の糸として使用することは可能 であるが、これを湿式抄紙法でシートにする ことは困難であった。さらに、カーボンナノ チューブの表面が界面活性剤に覆われており 、カーボンナノチューブ同士の接触を阻害す るために、電子の移動が阻害され充分な導電 性を付与することはできなかった。

 特許文献4には、化学めっき液にカーボン ナノチューブを分散して、この液で天然繊維 を処理することにより天然繊維にカーボンナ ノチューブを被覆する方法が提案されている 。しかし、この方法ではニッケル等の金属を 介してカーボンナノチューブが被覆されてお り、電磁波シールド特性、マイクロ波吸収特 性、面状発熱性等、本来カーボンナノチュー ブがもっている性能を充分に発揮できない。 また、前述と同様化学めっき液で処理された 天然繊維は織物の糸として使用することは可 能であるが、これを湿式抄紙法でシートにす ることは不可能であった。

 特許文献5、6にはカーボンナノチューブ 分散方法及びそのシートが提案されている ここでいうシートとはカーボンナノチュー 単独のシートであり、非常に高価であると もに、シートの強度を保持することができ い。更に、カーボンナノチューブの表面に 界面活性剤が付着しており、これをシート し、カーボンナノチューブのネットワーク 形成しても、カーボンナノチューブの界面 性剤が阻害し、導電性等の効果が充分に発 できない。

 特許文献7には、カーボンナノチューブを 添加した紙とその製造方法が提案されている 。しかし、ここで提案されている定着法では 、パルプスラリー調整の時点でカーボンナノ チューブ自体の凝集体を生じるため、シート 中にカーボンナノチューブのネットワークを 良好に形成させることができない。従って、 カーボンナノチューブの導電性を十分に生か すことが難しく、シートの導電性を下げるた めに多量のカーボンナノチューブを添加する 必要があった。

 このように、導電材料、電磁波シールド マイクロ波吸収発熱体、あるいは電極とい た、極めて有効な電気特性を有するカーボ ナノチューブ及び/又はカーボンナノホーン を含有したシートを形成することは、従来技 術によっては困難であった。

特開昭63-288298号公報

特開平7-97789号公報

特開2005-256221号公報

特開2005-256222号公報

特開2007-39623号公報

特開2007-63107号公報

国際公開第08/069287号パンフレット

 本発明は、電気特性及び発熱特性に優れ 導電材料、電磁波シールド、電磁波吸収体 マイクロ波吸収発熱体、電極などとして好 なシート状物を提供することを課題とする

 本発明は、カーボンナノチューブ及び/又 はカーボンナノホーンが表面に付着した繊維 を含んで形成されたシート状物であって、多 数の前記カーボンナノチューブ及び/又はカ ボンナノホーンが、凝集せずに均一に分散 た状態で前記繊維の表面に付着しているこ によって、該繊維上でネットワーク構造を っていることを特徴とするシート状物に関 る。

 また本発明は、前記シート状物が、前記 維並びに前記カーボンナノチューブ及び/又 はカーボンナノホーンの分散液を湿式抄紙し て得られたものであることを特徴とするシー ト状物に関する。

 また本発明は、前記シート状物が、前記 ーボンナノチューブ又はカーボンナノホー を含まずに形成された繊維集合体に、該カ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ーンの分散液を含浸させて得られたものであ ることを特徴とする前記シート状物に関する 。

 また本発明は、前記繊維集合体の形成繊 がカチオン系有機高分子で処理されている とを特徴とする前記シート状物に関する。

 また本発明は、前記シート状物の主たる 成繊維がセルロース繊維であることを特徴 する前記シート状物に関する。

 また本発明は、前記シート状物の製造方 であって、繊維とカーボンナノチューブ及 /又はカーボンナノホーンの分散液とを混合 してこれらの混合分散液を得る工程、及び該 混合分散液を湿式抄紙してシート状物を得る 工程を有することを特徴とするシート状物の 製造方法に関する。

 また本発明は、前記製造方法において、 記カーボンナノチューブ及び/又はカーボン ナノホーンの分散液中に界面活性剤が含有さ れていることを特徴とする。

 また本発明は、前記製造方法において、 記繊維と前記カーボンナノチューブ及び/又 はカーボンナノホーンの分散液とを混合する 前に、該繊維に、該カーボンナノチューブ及 び/又はカーボンナノホーンの定着剤を吸着 せることを特徴とする。

 また本発明は、前記製造方法において、 記定着剤が前記界面活性剤と逆の極性を持 ことを特徴とする。

 また本発明は、前記製造方法において、 記界面活性剤がアニオン性であり、前記定 剤がカチオン性であることを特徴とする。

 また本発明は、前記製造方法において、 記定着剤が有機高分子系定着剤であること 特徴とする。

図1は、本発明のシート状物の形成繊維 の長さ方向に沿った断面を模式的に示した断 面図である 図2は、実施例1のシート状物の電子顕 鏡写真(3000倍)である。 図3は、実施例1のシート状物の電子顕 鏡写真(10000倍)である。 図4は、比較例3のシート状物の電子顕 鏡写真(3000倍)である。 図5は、比較例3のシート状物の電子顕 鏡写真(10000倍)である。 図6は、本発明の範囲外のシート状物の 図1相当図である。

 本発明のシート状物の主たる特徴の一つ その主体となる繊維の表面に、カーボンナ チューブ及び/又はカーボンナノホーンが、 単に付着しているのではなく、特定のネット ワーク構造をとって該繊維の表面を被覆して いることである。ここで言う「主体となる繊 維」(シート状物の主たる形成繊維)とは、前 シート状物の質量の51%以上を占める繊維の とを指す。カーボンナノチューブやカーボ ナノホーン自体の電気導電度は銅と同程度 あり、物理的強度においても非常に丈夫で る。表面をこのカーボンナノチューブ及び/ 又はカーボンナノホーンの特定のネットワー ク構造で被覆された繊維によって形成された シート状物は、優れた電気特性を有し、かつ 主体となる繊維に裏打ちされた強度や柔軟性 によって強度も強く、取扱がし易くなること で、従来カーボンブラック含有シートで問題 となっていたような、紙紛やカーボンブラッ クの脱落といった問題を解決することができ る。さらに、カーボンナノチューブ及び/又 カーボンナノホーンがネットワーク構造で 維表面に存在することにより、電子の運動 ネルギー、電磁波、マイクロ波を効率的に エネルギーに変換することが可能であり、 れた電磁波シールドシート、マイクロ波発 体、面状発熱体を提供することができる。

 前記のカーボンナノチューブ及び/又はカ ーボンナノホーンの特定のネットワーク構造 は、シート状物における主体となる繊維を優 先的に被覆していることが好ましい。主体と なる繊維表面に被覆されるカーボンナノチュ ーブ及び/又はカーボンナノホーンの表面積 、主体となる繊維の表面積に対し5%以上であ ることが好ましい。さらに好ましいのは20%以 上である。カーボンナノチューブ及び/又は ーボンナノホーンで被覆された繊維の表面 が、主体となる繊維の表面積全体の5%未満で あると、カーボンナノチューブ及び/又はカ ボンナノホーンが繊維表面でネットワーク 造をとりにくくなり、良好な電気特性を得 くくなるので好ましくない。つまり、本発 においては、主体となる繊維の総表面積の5% 以上、特に20%以上が、カーボンナノチューブ 及び/又はカーボンナノホーンによって被覆 れていることが、良好な電気特性が得られ 点で好ましい。

 本発明におけるカーボンナノチューブ及 /又はカーボンナノホーンの、繊維上での特 定のネットワーク構造とは、図1に模式的に すように、多数のカーボンナノチューブ及 /又はカーボンナノホーンが、凝集せずに均 に分散した状態で繊維A(主体となる繊維)の 面に付着している状態であり、このとき繊 Aの表面には、多数のカーボンナノチューブ 及び/又はカーボンナノホーンからなる、均 な厚みのカーボン層B(ミクロのネットワーク 構造)が、該繊維Aの略全長に亘って連続的に 成される。そして、本発明のシート状物は このようなカーボンナノチューブ及び/又は カーボンナノホーンのミクロのネットワーク 構造(カーボン層B)が表面に形成された多数の 繊維Aが、3次元的に絡み合って形成されてい ことによって、該シート状物全体としてカ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ーンのマクロのネットワーク構造を有してお り、これによって優れた電気特性及び発熱特 性を発現する。

 即ち、本発明におけるカーボンナノチュ ブ及び/又はカーボンナノホーンのネットワ ーク構造とは、主体となる繊維の表面におい てカーボンナノチューブ及び/又はカーボン ノホーンが互いに接触して主体となる繊維 面で全体として連続してミクロのネットワ クを形成しつつ、且つカーボンナノチュー 及び/又はカーボンナノホーンによって被覆 れた繊維がシート状物中で3次元的に絡み合 った構造のマクロのネットワークを形成して いる状態を指す。このことにより、カーボン ナノチューブ及び/又はカーボンナノホーン シート状物全体に亘って連続して接触し、 子の通り道を提供するため前記したような めて有効な電気特性を示すと考えられる。 し、本発明において、カーボンナノチュー 及び/又はカーボンナノホーンは、必ずしも 図1に示すように繊維Aの表面に厚みの均一 カーボン層Bを形成している必要は無く、カ ボン層Bの厚みはある程度の幅があっても良 く、カーボン層Bの表面が凹凸を有していて 良い。

 このように、本発明のシート状物におけ 主体となる繊維の表面では、図1に模式的に 示すように、カーボンナノチューブ及び/又 カーボンナノホーンが凝集せずに均一に分 した状態で該表面に付着していることが必 である。そのことによって、シート状物の で均一な導電性が達成される。これに対し カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナ ホーンが表面に付着した繊維を含んで形成 れたシート状物であっても、例えば図6に模 式的に示すように、多数のカーボンナノチュ ーブ及び/又はカーボンナノホーンが凝集し 多数の凝集体Cを形成し、多数の凝集体Cが、 主体となる繊維Aの表面上で連続的に連なっ いる場合(多数のカーボンナノチューブ及び/ 又はカーボンナノホーンが均一に分散してい ない場合)は、凝集体Cの中では電子は通るが シート状物全体として考えた場合、電気を 実に通すことが難しくなるので好ましくな 。またこの場合は、導電性の向上効果が望 ず、導電性を向上させるために多量のカー ンナノチューブ及び/又はカーボンナノホー ンを添加する必要があり、大きなコストアッ プ要因となる。またこの場合は、カーボンナ ノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの 加量が著しく増えると主体となる繊維表面 被覆するのみでなく主体となる繊維の間に まる形でも存在するようになるため、抄紙 の水抜けが悪化してシートの製造が困難と る。さらにこの場合は、図6に模式的に示し ように、シート状物の中でのカーボンナノ ューブ及び/又はカーボンナノホーンの分布 が均一でないために、シート状物内部の導電 性にばらつきが生じ、その結果、電気を流し たときに抵抗値の高い部分から発火するなど の問題が発生するため好ましくない。

 また、例えば繊維表面においてカーボン ノチューブやカーボンナノホーンが連続せ に部分的に(不連続に)存在している場合(多 のカーボンナノチューブ及び/又はカーボン ナノホーンが繊維上でネットワーク構造をと っていない場合)は、特にシート状物を電磁 シールドやマイクロ波発熱体として使用す ような場合に、該カーボンナノチューブや ーボンナノホーンが電磁波やマイクロ波を 率的に熱エネルギーに変換することができ 、充分な効果を発揮することができないの 好ましくない。

 本発明におけるカーボンナノチューブ及 /又はカーボンナノホーンのネットワーク構 造は、シート状物の面積方向(2次元)だけでな くシート状物の厚さ方向(3次元)にも形成され るため、厚さ方向にも導電性を得られる。こ のことにより、本発明のシート状物は、例え ば電池用集電体等にも好適に使用することが できる。また、厚み方向にカーボンナノチュ ーブ及び/又はカーボンナノホーンのネット ーク構造が形成されることにより、電磁波 ールド特性等も飛躍的に向上する。主体と る繊維が部分的にカーボンナノチューブ及 /又はカーボンナノホーンにより被覆されて るような場合には、主体となる繊維の全表 積に対してカーボンナノチューブ及び/又は カーボンナノホーンで被覆された繊維の表面 積の割合が重要となる。このような場合、1 の繊維に対して繊維全体ではなく、繊維に 分的に分割してカーボンナノチューブ及び/ はカーボンナノホーンが被覆された部分が ってもよい。主体となる繊維の表面積に対 て、カーボンナノチューブ及び/又はカーボ ンナノホーンが被覆された繊維の表面積との 比率(表面被覆率)は5%以上であれば電磁波シ ルド特性やマイクロ波発熱体としての特性 発揮できる。また、20%以上であると面状発 体としての性能が飛躍的に向上するので好 しい。さらに、50%以上になると導電性が飛 的に向上するので、電気伝導度が問題とな ている新たな分野にも進出できる。このよ に主体となる繊維表面に、どれだけカーボ ナノチューブ及び/又はカーボンナノホーン 被覆されたかの表面被覆率の問題は、カー ンナノチューブ及び/又はカーボンナノホー ンによるネットワーク構造の形成度に繋がる ので重要である。カーボンナノチューブ及び /又はカーボンナノホーンによるネットワー 構造の形成度合いは、電子顕微鏡で直接観 することで容易に確認することができる。

 上述したカーボンナノチューブ及び/又は カーボンナノホーンのネットワーク構造を有 するシート状物は、好ましくは、1)繊維並び カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナ ノホーンの分散液を湿式抄紙して得られるか 、あるいは2)カーボンナノチューブ又はカー ンナノホーンを含まずに形成された繊維集 体に、該カーボンナノチューブ及び/又はカ ーボンナノホーンの分散液を含浸させて得ら れる。前記1)及び2)の何れの製造方法におい も、カーボンナノチューブ及び/又はカーボ ナノホーンの分散液を用いており、該分散 を用いてシート状物を製造することが、上 したカーボンナノチューブ及び/又はカーボ ンナノホーンのネットワーク構造を形成する 上で重要である。

 前記1)は、湿式抄紙法によってシート状 を製造する方法である。湿式抄紙法とは、 や不織布を製造する際に一般的に使用され 方法で、繊維を水に分散し、これに適宜必 な薬品を添加し、すき網を使用してシート する方法である。通常カーボンナノチュー やカーボンナノホーンは構成原子が全て表 原子であるため、カーボンナノチューブあ いはカーボンナノホーン同士がファンデワ ルス力によって凝集し、結果として複数の 合体として存在する。このため、カーボン ノチューブやカーボンナノホーンを水など 液媒体に分散させずに粉体のままで使用し シート化すると、カーボンナノチューブや ーボンナノホーンは図6に模式的に示すよう 凝集体の状態でシート状物内に存在するこ になり、前述したようなカーボンナノチュ ブやカーボンナノホーンがもつ本来の性能 発揮できない。このため、本発明ではカー ンナノチューブ及び/又はカーボンナノホー ンの分散液を使用してシート状物を形成する のが好ましい。該分散液中には、カーボンナ ノチューブ及び/又はカーボンナノホーンの 中での分散を助ける界面活性剤が含有され いることが好ましい。

 カーボンナノチューブ及び/又はカーボン ナノホーンの分散方法(前記分散液の調製方 )は特に限定されない。例えば、カーボンナ チューブ及び/又はカーボンナノホーンを界 面活性剤を使用して、超音波処理、ビーズミ ルなどで分散した分散液、有機溶剤を使用し て超音波やビーズミルなどの物理的処理によ って分散された分散液、同じ極性を有する分 子同士の斥力を利用して分散された分散液、 カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナ ホーンに磁性体を付着させて分散された分 液、カーボンナノチューブ及び/又はカーボ ナノホーンの表面を修飾することでこれら 分散した分散液、または、これらの技術を み合わせて分散された分散液等を使用でき が、これらに限定されるものではない。特 カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナ ノホーンを水に分散した分散液は、セルロー ス繊維等、親水基を有する繊維の表面に上述 したカーボンナノチューブ及び/又はカーボ ナノホーンのネットワーク構造を形成する に有利である。

 本発明のシート状物を湿式抄紙法〔前記1 )の製造方法〕によって製造する場合につい 、該シート状物の主体となる繊維としてセ ロース繊維を使用した場合を例にとり説明 る。本製造方法は、繊維とカーボンナノチ ーブ及び/又はカーボンナノホーンの分散液 を混合してこれらの混合分散液を得る工程 及び該混合分散液を湿式抄紙してシート状 を得る工程を有する。上述した特定のネッ ワーク構造の形成には、カーボンナノチュ ブ及び/又はカーボンナノホーンの分散方法 と定着剤の組み合わせが重要である。該定着 剤は前記界面活性剤と逆の極性を持つものが 好ましい。セルロース繊維は水中に懸濁した 際に負に荷電することが知られており、例え ばカーボンナノチューブ及び/又はカーボン ノホーンをアニオン性の界面活性剤で分散 せて分散液を調製した場合、該カーボンナ チューブ及び/又はカーボンナノホーンの定 剤としてはカチオン性定着剤を使用するこ で、カーボンナノチューブ及び/又はカーボ ンナノホーンをネットワーク構造を形成させ ながら良好にセルロース繊維の表面に付着さ せることが可能となる。この理由としては、 セルロース繊維にカチオン性定着剤を添加し た際に、カチオン性定着剤がセルロース繊維 の表面に付着して該セルロース繊維の表面の 電荷を正に変えるため、アニオン性の界面活 性剤で分散したカーボンナノチューブ及び/ はカーボンナノホーンが電気的親和力によ て良好にセルロース繊維の表面へと吸着さ るためと思われる。

 カーボンナノチューブやカーボンナノホ ンは、ファンデルワールス力による凝集力 非常に強いことが知られている。従って、 ルロース繊維の表面に選択的にカーボンナ チューブ及び/又はカーボンナノホーンを定 着させて良好なネットワーク構造を形成する 際には、セルロース繊維の表面にカーボンナ ノチューブ及び/又はカーボンナノホーンが 着する前にそれら自体が凝集することを防 必要がある。その方法として、まず予めカ オン性定着剤をセルロース繊維の水性分散 (パルプスラリー)に投入し該カチオン性定着 剤を該セルロース繊維の表面に定着したのち 、該水性分散液に、分散剤にアニオン性の界 面活性剤を使用するなどして表面をアニオン 性に荷電させたカーボンナノチューブの分散 液を添加することが挙げられる。カチオン性 定着剤をパルプスラリーに添加した後には、 十分に混合しておくことが好ましい。即ち、 繊維とカーボンナノチューブ及び/又はカー ンナノホーンの分散液とを混合する前に、 繊維に、該カーボンナノチューブ及び/又は ーボンナノホーンの定着剤を吸着させるこ が好ましい。こうすることにより、まずセ ロース繊維の表面に均一にカチオン性定着 が吸着し、その後アニオンに荷電したカー ンナノチューブがこの吸着したカチオン性 着剤に吸着するため凝集を防ぎつつセルロ ス繊維の表面にカーボンナノチューブ及び/ 又はカーボンナノホーンのネットワーク構造 を良好に形成することができる。パルプスラ リーに分散液を投入した後にカチオン性定着 剤を添加した場合、セルロース繊維の表面へ の吸着と共にカーボンナノチューブ及び/又 カーボンナノホーン自体の凝集も多く発生 るため好ましくない。

 定着剤(カチオン性定着剤)としては、製 用として一般的に使用されている硫酸アル ニウムのような無機系定着剤よりも有機高 子系定着剤の方が好ましい。その理由は以 のように考えられる。有機高分子系定着剤 繊維表面への吸着方式には、トレイン、ル プ、テイルの3通りの形態があることが知ら ている。トレイン部は、アンカーとしてセ ロース繊維の表面に吸着している部分であ 、ループ部、テイル部は溶媒中に広がった うな状態になっている部分である。このよ な状態下でカーボンナノチューブ及び/又は カーボンナノホーンのアニオン分散体が添加 された場合、カチオン性の有機高分子系定着 剤のループ部、テイル部が、負に荷電してい るカーボンナノチューブ表面に吸着し、架橋 を形成する。このことにより、カーボンナノ チューブ及び/又はカーボンナノホーンのセ ロース繊維の表面への吸着が促進されるも と考えられる。従って、この定着効果を最 限に発揮させるためには、先ず、セルロー 繊維の水分散液に定着剤を添加するなどし 、該定着剤をセルロース繊維に吸着させ、 いで、このセルロース繊維の水分散液にカ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ンの分散液を添加するなどして、該セルロ ス繊維に該カーボンナノチューブ及び/又は カーボンナノホーンを吸着させる方式が好ま しい。

 製紙用として一般的に使用されている硫 アルミニウムのような無機系定着剤の定着 構としては、無機系定着剤が粒子表面に吸 することによって荷電を中和し、ファンデ ワールス力によって定着しているものと考 られる。この場合、カーボンナノチューブ び/又はカーボンナノホーンのセルロース繊 維の表面への定着とネットワーク構造の形成 は観察されるものの、カーボンナノチューブ 及び/又はカーボンナノホーン同士のファン ルワールス力が非常に強く、それら自体の 集がより強く発生する。従って、得られた ート状物の性能は、有機高分子系定着剤を 用したシート状物と比較して劣る。

 また、カーボンナノチューブ及び/又はカ ーボンナノホーンをカチオン性の界面活性剤 で分散した場合も、セルロース繊維の表面に カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナ ホーンのネットワークを良好に形成するこ ができる。この際、パルプスラリーに対し 、予めアニオン性高分子やマイクロフィブ ル化セルロース、カルボキシメチルセルロ スを更に添加することでパルプスラリーの を予めアニオンリッチにすることで、カー ンナノチューブ及び/又はカーボンナノホー のセルロース繊維への定着を促進すること 可能である。

 本発明のシート状物の形成を湿式抄紙法 形成することは、シートの形成と同時にカ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ーンの分散に使用した界面活性剤を除去でき るので好ましい。湿式抄紙法を用いない場合 (例えば乾式法によってシート状物を形成す 場合)は、界面活性剤が繊維表面に作用して セルロース繊維間の水素結合の形成を阻害 る。また、カーボンナノチューブ及び/又は カーボンナノホーン同士がネットワーク構造 を形成しても、その表面に存在する界面活性 剤が直接カーボンナノチューブ及び/又はカ ボンナノホーン同士を接触することを阻害 るため好ましくない。湿式抄紙法を用いる とで、カーボンナノチューブ及び/又はカー ンナノホーンのネットワーク構造を形成し さらには、これを脱水することにより、カ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ーン表面に存在している界面活性剤を除去す ることが可能となり、上記したような問題点 が解決される。

 本発明のシート状物は、前記2)の製造方 によって製造することもできる。前記2)の製 造方法はいわゆる含浸法であり、具体的には 、主体となる繊維でカーボンナノチューブ及 び/又はカーボンナノホーンを含まないシー 状物(繊維集合体)を形成してから、該繊維集 合体をカーボンナノチュ-ブ及び/又はカーボ ナノホーンの分散液に浸し、該繊維集合体 部まで分散液を浸透させ、これによりカー ンナノチューブ及び/又はカーボンナノホー ンのミクロのネットワーク構造で繊維表面を 被覆し、これらが3次元的にマクロのネット ーク構造を形成したシート状物を得る方法 ある。本製造方法では、主体となる繊維表 にカーボンナノチューブ及び/又はカーボン ノホーンのネットワーク構造で被覆させる めの方法は特に限定されない。例えば、カ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ーンが定着しやすいように主体となる繊維を カチオン系有機高分子で処理したものでシー ト状物(繊維集合体)を形成し、それにカーボ ナノチューブ及び/又はカーボンナノホーン 分散液を含浸する方法がある。また、カチオ ンパルプを使用して主体となる繊維表面をカ チオン性にしておき、この主体となる繊維を シート化した後、カーボンナノチューブ及び /又はカーボンナノホーン自体をアニオン性 処理した分散液で含浸し、主体となる繊維 面にカーボンナノチューブ及び/又はカーボ ナノホーンのネットワーク構造を形成する 法等がある。カーボンナノチューブ及び/又 はカーボンナノホーンの分散液としては、例 えば有機溶剤を使用して超音波やビーズミル などの物理的処理によって分散された分散液 や、カーボンナノチューブ及び/又はカーボ ナノホーンの表面を修飾することによって 散した分散液が好ましく使用できる。

 界面活性剤を使用したカーボンナノチュ ブ及び/又はカーボンナノホーン分散液を使 用した場合は、前述した界面活性剤の阻害を 除去し、カーボンナノチューブ及び/又はカ ボンナノホーンの効果を十分に発揮するた に、後加工を施すことが可能である。例え この界面活性剤が溶解可能な溶剤で含浸・ 浄処理する等の加工をすることにより、界 活性剤を除去し導電性を向上させることが きる。

 本発明で使用するカーボンナノチューブ/ カーボンナノホーンについては特に限定され ない。カーボンナノチューブの製造法にはCVD 法、アーク放電法、レーザーアブレーション 法など各種あるが、いずれの方法で作成した カーボンナノチューブでも効果の発現には支 障がない。また、1枚のグラフェンシートを 筒状に巻いた構造のシングルウオールカー ンナノチューブと、これが同心円状に入れ になった状態のマルチウオールカーボンナ チューブがあるが、本発明ではどちらを使 しても効果に支障は無い。カーボンナノチ ーブの直径は1nm~75nmの範囲内であるのが好ま しく、1nm~50nmの範囲内であると更に好ましい また、カーボンナノチューブ繊維長は、0.1 m以上が好ましく、1μm以上で有ることが更に 好ましい。また、カーボンナノホーンの直径 は、150nm以下であることが好ましい。

 本発明で使用される主体となる繊維(シー ト状物の主たる形成繊維)は特に限定されな 。例えば、セルロース繊維として針葉樹晒 ラフトパルプ、(NBKP)、広葉樹晒クラフトパ プ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP) サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ 繊維、楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維、藁、竹 、ケナフ、バガス等の非木材パルプ繊維、セ ルロース繊維を処理することにより得られる マイクロフィブリル化セルロース繊維、バイ オセルロース繊維、レーヨン繊維、その他表 面処理したセルロース繊維、カルボキシルメ チルセルロース繊維、合成パルプ、合成繊維 、半合成繊維、無機繊維、金属繊維等を単独 であるいは必要に応じて適宜組み合わせて使 用する。また、カーボン繊維、活性炭繊維、 導電繊維、金属繊維等も必要に応じて使用す ることができる。

 主体となる繊維としてセルロース繊維を 用すると、効率的にカーボンナノチューブ び/又はカーボンナノホーンがネットワーク 構造を形成した状態で繊維表面に定着するの で好ましい。その理由は定かではないが、セ ルロース繊維はカルボキシル基を有している ので負に荷電しているため、前述した機構に よりカーボンナノチューブ及び/又はカーボ ナノホーンが効率的に、ネットワーク構造 形成して主体となる繊維表面に定着すると えられる。また、セルロース繊維は親水性 水酸基をもっていることから、湿式抄紙法 シートを形成する際に水分散性に優れるの 好ましい。

 セルロース繊維を高圧下剪断力で解繊し マイクロフィブリル化セルロースを使用す と、3次元的なネットワーク構造がさらに密 になるので好ましい。マイクロフィブリル化 セルロースは、セルロース繊維を処理するこ とにより、数平均繊維長が0.05~3mm、保水度が2 00ml以上にした微細繊維である。該繊維にカ ボンナノチューブ及び/又はカーボンナノホ ンが被覆されると、より緻密に、均一なネ トワーク構造の構築が可能となる。さらに マイクロフィブリル化セルロースは、パル 繊維等のセルロース繊維に非常によく定着 る。このため、マイクロフィブリル化セル ース、あるいはセルロース繊維とマイクロ ィブリル化セルロースの混合物にカーボン ノチューブ及び/又はカーボンナノホーンを 定着させると、極めて効果的にカーボンナノ チューブ及び/又はカーボンナノホーンのネ トワーク構造を形成することができるため 有効である。

 本発明において、湿式抄紙法でシート状 を形成する場合、性能を損なわない範囲で 一般的な抄紙薬品を使用することができる 例えば、デンプンやグアーガム、ポリビニ アルコール等の水溶性高分子紙力増強剤、 リアクリルアマイド、ビニルアミン系高分 等の高分子紙力増強剤、メラミン、ポリア ドポリアミンエピクロルヒドリン等の湿潤 力増強剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、 オリン、タルク等の填料、ロジンサイズ、 ルキルケテンダイマー、アルケニル無水コ ク酸ナトリウム、スチレンアクリル等のサ ズ剤、硫酸バンド、カチオン化ポリアクリ マイド、アニオン化ポリアクリルアマイド の定着剤等が使用できる。さらに、必要に じカーボンブラックを添加することもでき 。

 本発明のシート状物、特に、カーボンナ チューブを含有するシート状物は、超微細 ィルタとして使用することが可能である。 れは、カーボンナノチューブによって形成 れる微細な空隙によって、微細な粒子が捕 されることによると考えられる。

 また、本発明のシート状物、特に、カー ンナノホーンを含有するシート状物は、カ ボンナノホーンの物質を内包する特性を利 することで、触媒の担体として利用するこ も可能である。

 下記の方法により、カーボンナノチューブ 分散した。
[分散法1]
 分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸 トリウムを使用し、これをカーボンナノチ ーブと乳鉢で20分間練り混合した後、超音 洗浄機を使用し、発信周波数38KHz、電力120W 2時間処理することによってアニオン性界面 性剤タイプのカーボンナノチューブ分散液 得た。
[分散法2]
 分散剤としてドデシルジメチルアンモニウ ブロマイドを使用したこと以外は分散法1と 同様にして、カチオン性界面活性剤タイプの カーボンナノチューブ分散液を作成した。
[分散法3]
 カーボンナノチューブを予め乳鉢で20分間 り、その後、アセトンにカーボンナノチュ ブの固形分濃度が2質量%になるように分散さ せ、更に、超音波で100W、20分間処理すること で、物理的処理分散タイプのカーボンナノチ ューブ分散液を得た。

[実施例1]
 広葉樹晒クラフトパルプ50質量%、針葉樹晒 ラフトパルプ50質量%を水に分散させ、これ ダブルディスクリファイナーにて叩解し、 ナディアンスタンダードフリーネスによる 解度が350mlの原料パルプスラリーを調製し 。さらに、定着剤としてカチオン化デンプ (商品名「ネオタックL-1」、日本食品加工(株 )製)をパルプ質量に対して2質量%添加し混合 、[分散法1]により得たアニオン性界面活性 タイプのカーボンナノチューブ分散液をパ プ質量に対して固形分濃度で5質量%混合し、 原料スラリーを調製した。この原料スラリー を、すき網を利用して湿式抄紙法にて坪量100 g/m 2 になるようにしてシート状物を作成した。

[実施例2]
 [分散法1]により得たアニオン性界面活性剤 イプのカーボンナノチューブ分散液に代え 、[分散法2]により得たカチオン性界面活性 タイプのカーボンナノチューブ分散液を使 し、カチオン化デンプンの代わりにカルボ シメチルセルロースを3質量%使用したこと 外は実施例1と同様にして、坪量100g/m 2 のシート状物を作成した。

[実施例3]
 [分散法1]により得たアニオン性界面活性剤 イプのカーボンナノチューブ分散液に代え 、[分散法3]により得た物理的分散処理タイ のカーボンナノチューブ分散液を使用した と以外は実施例1と同様にして、坪量100g/m 2 のシート状物を作成した。

[実施例4]
 定着剤として硫酸バンドをパルプ質量に対 て2質量%使用したこと以外は実施例1と同様 して、坪量100g/m 2 のシート状物を作成した。

[実施例5]
 広葉樹晒クラフトパルプ50質量%、針葉樹晒 ラフトパルプ50質量%を水に分散させ、これ ダブルディスクリファイナーにてカナディ ンスタンダードフリーネスによる叩解度が3 50mlとなるように叩解した。このパルプスラ ーに湿潤紙力剤としてポリアミドエピクロ ヒドリン樹脂(商品名「紙力剤WS4002」、星光P MC(株)製)をパルプ質量に対して0.5質量%添加し 原料パルプスラリーを調製した。この原料パ ルプスラリーを湿式抄紙法にて坪量100g/m 2 になるようにして含浸原紙を作成した。前記 含浸原紙を、[分散法3]により得たカーボンナ ノチューブ分散液に含浸し乾燥することで、 カーボンナノチューブ含浸シート状物を得た 。分散液の含浸率から計算したカーボンナノ チューブの含浸率は、1.5%であった。

[実施例6]
 実施例5と同様の方法で作成した含浸原紙に 、定着剤としてカチオン化デンプン1%液を含 し、乾燥させた後に再度[分散法3]により得 アニオン性界面活性剤タイプのカーボンナ チューブ分散液に含浸することで、カーボ ナノチューブ含浸シート状物を得た。

[比較例1]
 広葉樹晒クラフトパルプ50質量%、針葉樹晒 ラフトパルプ50質量%を水に分散させ、これ ダブルディスクリファイナーにて叩解し、 ナディアンスタンダードフリーネスによる 解度が350mlの原料パルプスラリーを調製し 。その後、ポリアミドエピクロルヒドリン 脂(商品名「紙力剤WS4002」、星光PMC(株)製)を2 質量%添加して原料スラリーを調製した。こ 原料スラリーを、すき網を利用して湿式抄 法にて坪量100g/m 2 になるようにしてシート状物を作成した。

[比較例2]
 セルロース繊維と、バインダー繊維として リエチレン繊維を使用して乾式法によって ート状物の作成を試みたが、明らかにカー ンナノチューブが凝集していた。

[比較例3]
 広葉樹晒クラフトパルプ50質量%、針葉樹晒 ラフトパルプ50質量%を水に分散させ、これ ダブルディスクリファイナーにて叩解し、 ナディアンスタンダードフリーネスによる 解度が350mlの原料パルプスラリーを調製し 。その後、この原料パルプスラリーに、分 処理をしていないカーボンナノチューブ(分 液として調製されていない、粉体のままの ーボンナノチューブ)を対パルプ質量に対し 固形分で5質量%添加し、更に硫酸アルミニウ を2質量%添加して原料スラリーを調製した この原料スラリーを、すき網を利用して湿 抄紙法にて坪量100g/m 2 になるようにしてシート状物を作成した。

 上記の実施例1~6及び比較例1~3で得られた ート状物の性能評価結果を表1に示した。性 能評価は、カーボンナノチューブの被覆率、 電磁波シールド性、マイクロ波発熱性、面状 発熱性、導電性について、それぞれ下記の方 法によって行った。尚、比較例2で得られた ート状物については、カーボンナノチュー の凝集が顕著で、性能的に劣ることが明ら であったため、性能評価を行わなかった。

<カーボンナノチューブの被覆率>
 電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM-6360LA) 使用してサンプル(シート状物)の表面写真 撮影(3000倍)し、画像中に占めるカーボンナ チューブの被覆面積を積算した。評価は以 の通りとし、△以上を合格とした。評価は ート状物上の任意の10点で行った。
◎:20%以上
○:10%以上~20%未満
△:5%以上~10%未満
×:5%未満

<電磁波シールド性>
 100M Hz、3G Hzの電磁波シールド性を測定し 。電磁波シールド性の評価として、電磁波 信用マイクロループアンテナ(キーコム(株) 、直径5mmのマイクロループアンテナ)および 磁波受信用マイクロループアンテナ(日本電 気真空硝子(株)社製、磁界プローブCP-2S)を、 ペクトラムアナライザ((株)アドバンテスト 、商品名:R3132)に接続し、電磁波発信用マイ クロループアンテナおよび電磁波受信用マイ クロループアンテナをサンプル(シート状物) 挟むようにして配置し、電磁波シールド性 測定した。電磁波シールド性については、1 00MHzと3GHzにおける能力をdBで示し、以下のと り評価した。〇以上を合格とした。
[100MHz]
◎:15dB以上
○:10~15dB未満
△:5~10dB未満
×:5dB未満
[3GHz]
◎:20dB以上
○:10~20dB未満
△:5~10dB未満
×:5dB未満

<マイクロ波発熱性>
 家庭用電子レンジで、600kWの出力で30秒間マ イクロ波をサンプル(シート状物)に与え、表 の発熱温度を非接触型温度計によって測定 、マイクロ波付与前と比べて10℃以上表面 度が上がったものは△、20℃以上上がったも のは○とした。また、10℃以上表面温度が上 らなかったものは×とした。○、△を合格 ベルとした。

<面状発熱性>
 ガラス板上にサンプル(シート状物)を置き 電極間距離10cmになるようにして12Vの電圧を けて5分後の表面温度を非接触型温度計によ って測定した。測定は、23℃に設定した恒温 で行った。10℃以上表面温度が上がったも は△、20℃以上上がったものは○とした。ま た、10℃以上表面温度が上がらなかったもの ×とした。○、△を合格レベルとした。

<導電性>
 サンプル(シート状物)をJIS P8111で示された 件下で1昼夜調湿後、シート状物の体積抵抗 値をJIS K7194に従って四端子法にて測定し、 電性とした。体積抵抗値は、ロレスタMCP-HT45 0(三菱化学(株)製)を用いて、23℃、50%RH条件下 で測定した。評価基準は以下の通りとし、△ 以上を合格とした。
◎:1×10 1 ω・cm未満
○:1×10 1 ~1×10 2 ω・cm未満
△:1×10 2 ~1×10 3 ω・cm未満
×:1×10 3 ω・cm以上

 図2及び図3に、実施例1で得られたシート 物の表面の電子顕微鏡写真を示す。図3中、 矢印で示した部位は、カーボンナノチューブ の被覆部(図1のカーボン層Bに相当する部分) ある。図2及び図3によれば、シート状物の主 たる形成繊維であるセルロース繊維の表面に 、カーボンナノチューブが凝集せずに均一分 散した状態で付着し、ネットワーク構造を形 成しながらセルロース繊維を被覆している様 子が観察できる。また、図2によると、セル ース繊維の表面のネットワーク構造の被覆 が50%以上であることが目視で観察できる。

 実施例1のアニオン性界面活性剤分散‐カ チオン性定着剤使用タイプのシート状物は、 実施例2のカチオン性界面活性剤分散‐アニ ン性定着剤使用タイプのシート状物や実施 3の物理的処理分散タイプのカーボンナノチ ーブ分散液を使用したタイプのシート状物 りも性能が上回っていた。この理由は、前 したカチオン性高分子による定着機構によ 、カーボンナノチューブのセルロース繊維 面への被覆が促進されたためであると考え れる。

 実施例4の無機系定着剤を使用したタイプ のシート状物の表面を電子顕微鏡で観察した ところ、カーボンナノチューブが凝集せずに 均一分散した状態でセルロース繊維の表面に 付着し、ネットワーク構造を形成しながらセ ルロース繊維の表面を被覆しているのに加え て、カーボンナノチューブの凝集体がセルロ ース繊維間に詰まっている様子が観察された 。湿式法によるシート状物の形成時、実施例 4の処方は、実施例1~3の処方と比較して搾水 かかる時間が若干長かったが、これは凝集 たカーボンナノチューブがセルロース繊維 の隙間を詰めることで、水抜けを阻害した めであると思われる。

 実施例5及び6は何れもいわゆる含浸法に ってシート状物を形成したものであり、実 例5よりも実施例6の方が全般的に性能が優れ ていることが示された。これはセルロース繊 維を予めカチオン性高分子で処理したことに より、カーボンナノチューブのセルロース繊 維への定着が促進されて、良好に定着したか らだと思われる。

 比較例1で得られたシート状物はカーボン ナノチューブを含有していないため、各性能 評価結果は悪いものとなった。また、比較例 2で得られたシート状物は、性能評価を行わ かったが、カーボンナノチューブの凝集が 著であり、またカーボンナノチューブの繊 表面からの脱落が多く、性能的に劣ること 明らかであった。

 図4及び図5に、比較例3で得られたシート 物の表面の電子顕微鏡写真を示す。図4及び 図5中、矢印で示した部位は、カーボンナノ ューブの凝集部分(図6の凝集体Cに相当する 分)である。図4及び図5によれば、カーボン ノチューブが凝集した状態で存在しており セルロース繊維の表面を十分に被覆してい い様子が観察できる。比較例3では、繊維と 合させるカーボンナノチューブの形態を、 施例のように分散液とせず、カーボンナノ ューブを粉体のままで繊維の分散液に添加 たため、繊維上でカーボンナノチューブの 集が目立つようになったものと考えられる

 本発明のシート状物は、多数のカーボン ノチューブ及び/又はカーボンナノホーンが 、凝集せずに均一に分散した状態で該シート 状物の形成繊維の表面に付着していることに よって、該繊維上でネットワーク構造をとっ ているため、優れた導電性、電磁波シールド 性、マイクロ波発熱性、面状発熱性を持ち、 導電シート、電磁波シールドシート、調理用 マイクロ波発熱シート、ミラーの曇り防止シ ート、電極、超微細フィルタ等に、好ましく 使用することができる。




 
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