HISAYUKI TERUMI (JP)
SHIBUYA MASAKI (JP)
OI TOMOZUMI (JP)
HISAYUKI TERUMI (JP)
SHIBUYA MASAKI (JP)
JP2001279098A | 2001-10-10 |
少なくともセリウムを含み、表層部における酸化セリウムの含有量が50重量%以上であることを特徴とする炭化ケイ素系繊維。 |
セリウムを1~10重量%含むことを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素系繊維。 |
ケイ素を40~60重量%、炭素を20~40重量%、及び酸素を1~30重量%含むことを特徴とする請求項1又は2記載の炭化ケイ素系繊維。 |
比表面積が4000cm 2 /g以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の炭化ケイ素系繊維。 |
セリウムを含む変性ポリカルボシランを原料として、セリウムを含む炭化ケイ素系繊維を得る第1工程と、 前記炭化ケイ素系繊維を加熱酸化することによってシリコン酸化物層を形成する第2工程と、 前記シリコン酸化物層のシリコン酸化物の少なくとも一部を選択的に除去する第3工程と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の炭化ケイ素系繊維の製造方法。 |
前記第1工程は、セリウムを含む変性ポリカルボシランを溶融紡糸し、次いでこれを不融化し、その不融化繊維を不活性ガス雰囲気中又は真空中で焼成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の炭化ケイ素系繊維の製造方法。 |
前記第3工程は、前記シリコン酸化物層をフッ化水素酸又は強アルカリ水溶液によって処理する工程を含むことを特徴とする請求項5又は6記載の炭化ケイ素系繊維の製造方法。 |
本発明は、ディーゼル排気ガス用フィル ーの材料などに使われ、耐熱性、耐酸化性 及び耐アルカリ性に優れているばかりでな 、それ自身が触媒機能を持ち、触媒担持機 に優れた炭化ケイ素系繊維及びその製造方 に関する。
一般に炭化ケイ素セラミックスは、耐熱 、耐酸化性、及び耐アルカリ性などに優れ いる。そのため、例えばディーゼル排気ガ 用フィルターの材料として、炭化ケイ素ハ カムや炭化ケイ素系繊維のフェルトなどが の用途で実用化されている。特に炭化ケイ 系繊維は、炭化ケイ素ハニカムと異なり熱 撃や振動により割れるということがなく、 らに直径10μm程度の極細繊維が複雑に絡み う構造であるため、排気ガス中の粒子の捕 機構が深層ろ過となり、排気ガス中の微小 粒子を高い効率で捕捉可能である。このた 炭化ケイ素系繊維は、今後ますます厳しく ると予想される排気ガス規制に対する材料 して有望である(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の炭化ケイ素系繊維は 耐熱性などにおいて優れているが、繊維自 に触媒機能がなく、フィルターによって排 ガス浄化を行う場合、繊維上に触媒を担持 る工程を別途必要とする。さらに、触媒を 持する場合においても比表面積が約800cm 2 /gと小さく、触媒の担体としては、適してい いという問題がある。
そこで本発明は、それ自身に排気ガス浄 触媒機能を持たせるとともに、触媒担持機 に優れた炭化ケイ素系繊維及びその製造方 を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者 は、鋭意研究を重ねた結果、セリウムを含 せ、表層部における酸化セリウムの含有量 50重量%以上とすることによって、炭化ケイ 系繊維自身に排気ガス浄化触媒機能を持た るとともに、触媒担持機能を向上させるこ ができることを見出した。すなわち、本発 は、少なくともセリウムを含み、表層部に ける酸化セリウムの含有量が50重量%以上で ることを特徴とする炭化ケイ素系繊維であ 。
また、本発明は、セリウムを含む変性ポ カルボシランを原料として、セリウムを含 炭化ケイ素系繊維を得る第1工程と、前記炭 化ケイ素系繊維を加熱酸化することによって シリコン酸化物層を形成する第2工程と、前 シリコン酸化物層のシリコン酸化物の少な とも一部を選択的に除去する第3工程と、を えたことを特徴とする炭化ケイ素系繊維の 造方法である。
以上のように、本発明によれば、それ自 に排気ガス浄化触媒機能を持たせるととも 、触媒担持機能に優れた炭化ケイ素系繊維 びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る炭化ケイ素系繊維は、Si-C-O の繊維に少なくともセリウムを含み、セリ ムの含有量は、1~10重量%であることが好ま く、5~9重量%であることがさらに好ましい。 の範囲未満においては、比表面積の増大が 分でなく、この範囲より多いと繊維の強度 低下する。
本発明に係る炭化ケイ素系繊維は、セリ ム以外に、ケイ素を40~60重量%、炭素を20~40 量%、及び酸素を1~30重量%含んでいることが ましい。これらの成分は、炭化ケイ素系繊 の骨格をなし、炭化ケイ素系繊維自身の耐 性、引張強さ、耐酸化性、及び耐アルカリ などから決定される。この範囲から外れた のは、例えばフィルターの材料として使用 れる場合、その機能を十分に示さない。ま 、本発明に係る炭化ケイ素系繊維は、チタ 、ジルコニウム、及びアルミニウムなどの 加元素をさらに少量含んでいてもよい。
本発明に係る炭化ケイ素系繊維の繊維径 、特に制限されるものではないが、フィル ーとして使用する場合は、ろ過性能や強度 どから3~20μmの範囲とすることが好ましい。
本発明に係る炭化ケイ素系繊維は、表層 における酸化セリウムの含有量が50重量%以 に調整されているが、50~75重量%であること 好ましい。この範囲未満においては、比表 積の増大が十分でなく、炭化ケイ素系繊維 身の触媒機能も不十分である。ここで、表 部とは炭化ケイ素系繊維表面から内側100nm での部分をいう。表層部における酸化セリ ムの含有量は、オージェ電子分光法によっ 測定することができる。
本発明に係る炭化ケイ素系繊維の比表面積 、4000cm 2 /g以上、好ましくは4500~10000cm 2 /gとするのが好ましい。この値未満において 、触媒担持機能が不十分である。
本発明に係る炭化ケイ素系繊維は、セリ ムを含む変性ポリカルボシランを原料とし 、セリウムを含む炭化ケイ素系繊維を得る 1工程と、前記炭化ケイ素系繊維を加熱酸化 することによってシリコン酸化物層を形成す る第2工程と、前記シリコン酸化物層のシリ ン酸化物の少なくとも一部を選択的に除去 る第3工程と、によって製造することができ 。
原料として用いられるセリウムを含む変 ポリカルボシランは、例えば、既知の方法 よって得られたポリカルボシランにテトラ ソプロポキシセリウムなどのアルコキシセ ウムを添加して加熱することによって得る とができるが、これに限定されず、他の既 の方法によって得ることができる。
次に、例えば、このセリウムを含む変性 リカルボシランを溶融紡糸し、次いでこれ 不融化し、その不融化繊維を不活性ガス雰 気中又は真空中で焼成することによって、 リウムを含む炭化ケイ素系繊維を得ること できる。
次に、シリコン酸化物層は、まず、セリ ムを含む炭化ケイ素系繊維の表面を例えば 気中、1000℃以上、好ましくは1000~1400℃で、 1時間以上、好ましくは1~10時間加熱すること よって、形成することができる。本発明に る炭化ケイ素系繊維は、セリウムを含有し いるので、この加熱酸化の際に、酸化セリ ムも生成される。
次に、得られたシリコン酸化物層のシリコ 酸化物の少なくとも一部を選択的に除去す ことによって、表層部における酸化セリウ の含有量を50重量%以上に調整することがで る。すなわち、例えば、シリコン酸化物層 フッ化水素酸又は強アルカリ水溶液に浸漬 せることによって、シリコン酸化物層に含 れるシリコン酸化物がフッ化水素酸又は強 ルカリ水溶液中に溶出し除去される。この 、シリコン酸化物層に含まれる酸化セリウ は、フッ化水素酸又は強アルカリ水溶液中 溶出しないため、選択的に残され、表層部 酸化セリウムの濃度を高くすることができ 。それゆえ、フッ化水素酸又は強アルカリ 溶液のpHや濃度、浸漬時間などを調整する とによって、表層部における酸化セリウム 含有量を50重量%以上にすることができる。 た、シリコン酸化物のみが選択的に除去さ るので、表層部に無数の凹凸を形成するこ ができ、比表面積を増大させ、例えば比表 積を4000cm 2 /g以上に調整することができる。このように 比表面積を増大させることによって、触媒 担持機能を増大させることができる。この うな強アルカリ水溶液は、アルカリ金属の 酸化物水溶液や炭酸塩水溶液等で、pHが10以 上のもの、特に水酸化ナトリウム水溶液や水 酸化カリウム水溶液が好ましい。フッ化水素 酸の濃度は、1~5%、強アルカリ水溶液の濃度 、pH10~14、浸漬時間は、30分~6時間であること が好ましい。
参考例1
先ず、5リットルの三口フラスコに無水トル
エン2.5リットルと金属ナトリウム400gとを入
、窒素ガス気流下でトルエンの沸点まで加
し、ジメチルジクロロシラン1リットルを1時
間かけて滴下した。滴下終了後、10時間加熱
流し沈殿物を生成させた。この沈殿物をろ
し、まずメタノールによって洗浄した後、
によって洗浄して白色粉末のポリジメチル
ラン400gを得た。水冷還流器を備えた三口フ
ラスコ中に得られたポリジメチルシラン250g
仕込み、窒素気流下、380℃で24時間反応させ
て数平均分子量が350のポリカルボシランを得
た。
実施例1
参考例1の方法により合成されたポリカルボ
シラン50gに6.4gのテトライソプロポキシセリ
ムを加え、340℃で1時間反応させることによ
て、セリウムを含む変性ポリカルボシラン
合成した。この変性ポリカルボシランの数
均分子量は、550であった。
次に、この変性ポリカルボシランをキシ ンに溶解させた後、ガラス製の紡糸装置に 込み、内部を十分に窒素置換してから昇温 てキシレンを留去させて、250℃で溶融紡糸 行った。紡糸繊維を空気中で段階的に190℃ で加熱して不融化させた後、1200℃の窒素中 で1時間焼成を行い、セリウムを含有する炭 ケイ素系繊維を得た。この炭化ケイ素系繊 の成分は、ケイ素48重量%、炭素34重量%、セ ウム8重量%、及び酸素10重量%であった。
次に、得られた炭化ケイ素系繊維(平均直径 :12μm)を空気中1000℃で1時間加熱し繊維表面を 酸化させた後、1.6%のフッ化水素酸中に1時間 漬させることによって実施例1に係る炭化ケ イ素系繊維を得た。フッ化水素酸中への成分 の溶出量は、6%であった。その後、十分に繊 を水洗した後、引張強さ及び比表面積を測 した。また、表面状態をオージェ電子分光 により調べた。引張強さは、2.5GPaで、BET比 面積は、5500cm 2 /gであった。表層部の酸化セリウムの含有量 、58重量%であった。
実施例2
参考例1の方法により合成されたポリカルボ
シラン50gに5.7gのテトライソプロポキシセリ
ムと、3.0gのジルコニウム(IV)アセチルアセト
ナートとを加え、340℃で1.5時間反応させるこ
とによって、セリウムを含む変性ポリカルボ
シランを合成した。この変性ポリカルボシラ
ンの数平均分子量は、620であった。
次に、この変性ポリカルボシランをキシ ンに溶解させた後、ガラス製の紡糸装置に 込み、内部を十分に窒素置換してから昇温 てキシレンを留去させて、265℃で溶融紡糸 行った。紡糸繊維を空気中段階的に195℃ま 加熱して不融化させた後、1200℃の窒素中で 1時間焼成を行い、セリウム及びジルコニウ を含有する炭化ケイ素系繊維を得た。この 化ケイ素系繊維の成分はケイ素48重量%、炭 34重量%、セリウム7重量%、ジルコニウム1重 %、及び酸素10重量%であった。
次に、得られた炭化ケイ素系繊維(平均直径 :14μm)を空気中1000℃で1時間加熱し繊維表面を 酸化させた後、1.6%のフッ化水素酸中に1時間 漬させることによって、実施例2に係る炭化 ケイ素系繊維を得た。フッ化水素酸中への成 分の溶出量は、5%であった。その後、十分に 維を水洗した後、引張強さ及び比表面積を 定した。また、表面状態をオージェ電子分 法により調べた。引張強さは、2.5GPaで、BET 表面積は、5400cm 2 /g、表層部の酸化セリウムの含有量は、55重 %であった。
実施例3
実施例2の製造工程によって得られた加熱酸
化処理前のセリウム及びジルコニウムを含有
する炭化ケイ素系繊維を空気中1000℃で1時間
熱し繊維表面を酸化させた後、1N水酸化ナ
リウム水溶液中(pH>13)に1時間浸漬させるこ
とによって、実施例3に係る炭化ケイ素系繊
を得た。水酸化ナトリウム水溶液中への成
の溶出量は、8%であった。その後、十分に繊
維を水洗した後、引張強さ及び比表面積を測
定した。また、表面状態をオージェ電子分光
法により調べた。引張強さは、2.4GPaで、BET比
表面積は、4800cm 2
/g、表層部の酸化セリウムの含有量は、52重
%であった
比較例1及び2
実施例1の製造過程によって得られた加熱酸
化処理前のセリウムを含有する炭化ケイ素系
繊維を比較例1とし、実施例2の製造過程によ
て得られた加熱酸化処理前のセリウム及び
ルコニウムを含有する炭化ケイ素系繊維を
較例2として用意した。
比較例3
また、比較例3として、セリウムを含まない
炭化ケイ素系繊維を合成した。すなわち、参
考例1の方法により合成されたポリカルボシ
ン50gに7.0gのジルコニウム(IV)アセチルアセト
ナートを加え、340℃で1.5時間反応させること
によって、ジルコニウムを含有する変性ポリ
カルボシランを合成した。この変性ポリカル
ボシランの数平均分子量は620であった。この
変性ポリカルボシランをキシレンに溶解させ
た後、ガラス製の紡糸装置に仕込み、内部を
十分に窒素置換してから昇温してキシレンを
留去させて、265℃で溶融紡糸を行った。紡糸
繊維を空気中段階的に195℃まで加熱して不融
化させた後、1200℃の窒素中で1時間焼成を行
ことによって、比較例3に係る炭化ケイ素系
繊維を得た。この炭化ケイ素系繊維の成分は
、ケイ素56重量%、炭素34重量%、ジルコニウム
1重量%、酸素9重量%であった。この繊維の引
強さは、3.4GPaであったが、BET比表面積は、80
0cm 2
/gであった。
次に、実施例1乃至3及び比較例1乃至3に係 る炭化ケイ素系繊維、並びにそれらにPt触媒 担持したものを用意し、これらについて、 粒子の酸化能により触媒性能及び触媒担持 能の比較を行った。Pt触媒担持は、5g/L六塩 白金酸水溶液に浸漬後、550℃で1時間焼結す ることにより行った。それぞれの炭化ケイ素 系繊維を用いてフェルトを作成し、微粒子と してカーボンブラックを5重量%混入し、20mL/mi nで空気を流通させながら600℃まで1℃/minで昇 温処理を行い、発熱量を測定した。発熱開始 点を燃焼開始温度Tigとした。これらの結果を 表1に示す。
表1から実施例1乃至3に係る炭化ケイ素系 維を使用したフィルターは、Pt触媒なし、Pt 触媒ありともに、比較例1乃至3に係る炭化ケ 素系繊維を使用したフィルターよりも燃焼 始温度が下がっており、担持機能及び比表 積増大の効果が得られることがわかる。
Next Patent: TUNNEL TYPE MAGNETIC DETECTOR ELEMENT