Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SOLID FATTY ACID ALKYL ESTER SULFONATE METAL SALT MATERIAL, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF FATTY ACID ALKYL ESTER SULFONATE METAL SALT POWDER HAVING SHARP GRAIN SIZE DISTRIBUTION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054406
Kind Code:
A1
Abstract:
(1) A solid fatty acid alkyl ester sulfonate metal salt material characterized by having an endothermic peak area at 50 to 130°C of 50% or more relative to the whole endothermic peak area at 0 to 130°C as measured on a differential scanning calorimeter. (2) A process for producing a fatty acid alkyl ester sulfonate metal salt powder, which comprises pulverizing the solid fatty acid alkyl ester sulfonate metal salt material (1) in a pulverizer at a pulverizer inside temperature of 30 to 50°C.

Inventors:
ABE YUTAKA (JP)
NAKAMURA NAOKI (JP)
MATSUO TAKAO (JP)
NEGISHI DAISUKE (JP)
MASUI HIROYUKI (JP)
YOSHII TORU (JP)
SHOGASE NOBUKAZU (JP)
MATSUBARA MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069131
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 22, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
LION CORP (JP)
ABE YUTAKA (JP)
NAKAMURA NAOKI (JP)
MATSUO TAKAO (JP)
NEGISHI DAISUKE (JP)
MASUI HIROYUKI (JP)
YOSHII TORU (JP)
SHOGASE NOBUKAZU (JP)
MATSUBARA MASAHIKO (JP)
International Classes:
C11D1/28; C07C303/32; C07C309/17; C11D11/00; C11D17/06
Domestic Patent References:
WO2004111166A12004-12-23
Foreign References:
JPH10298159A1998-11-10
JPS62298570A1987-12-25
Attorney, Agent or Firm:
KUMAKURA, Yoshio et al. (Shin-Tokyo Bldg.3-1, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 55, JP)
Download PDF:
Claims:
 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物であって、示差走査熱分析計を用いて測定される50~130℃における熱吸収ピーク面積が、0~130℃における全吸収ピーク面積に対して50%以上であることを特徴とする前記脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物。
 前記固形物に含まれる水分が10質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物。
 前記金属塩固形物が、60~98質量%の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩と、1~10質量%の硫酸アルキル金属塩と、1~10質量%の脂肪酸スルホナート金属塩とから製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物。
 前記脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩が、下記式(1)で表されることを特徴とする請求項3記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物。
(式中、R1は、炭素数10~20の直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、R2は炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基であり、Mは、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、Xはアルカリ金属イオンの場合1、アルカリ土類金属イオンの場合1/2の数である。)
 前記脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩が、前記式(1)におけるR1が炭素数14の直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基である脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩を含む混合物であって、前記式(1)におけるR1が炭素数14の直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基である脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩が、該混合物の全量を基準として、40質量%以上の量で含まれることを特徴とする請求項3又は4記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物。
 粒子又はフレークの形態であり、その平均径が3mm以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物。
 請求項1~6のいずれか1項記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物の製造方法であって、
 (I)脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩の準安定固体を、30℃以上、20000Pa以下の圧力において、少なくとも48時間維持する工程、
 (II)脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩の準安定固体を溶融し、得られた溶融物を、前記金属塩の準安定固体の融点以上であって前記固形物の融点以下の温度において5分以上維持する工程、又は
 (III)脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩の準安定固体を溶融し、得られた溶融物に、前記金属塩の準安定固体の融点以上であって80℃以下の温度において100(1/s)以上の剪断速度で剪断力を与える工程、を含むことを特徴とする前記製造方法。
 請求項1~6のいずれか1項記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物を粉砕して得られる、脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩粉末。
 請求項1~6のいずれか1項記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物を粉砕機内部の温度が30℃以上50℃以下の温度で粉砕することを特徴とする、脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩粉末の製造方法。
 平均粒径0.1~100μmの無機粉体の存在下において、脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固形物を粉砕することを特徴とする請求項9記載の製造方法。
 請求項9又は10記載の製造方法により得られた脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩粉末。
 請求項8又は11記載の脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩粉末を含有することを特徴とする繊維製品用又は食器用粉末洗剤組成物。
Description:
脂肪酸アルキルエステルスルホ ート金属塩固形物及び粒度分布のシャープ 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 粉末の製造方法

 本発明は、衣料用粉末洗剤の原料等とし 好適な脂肪酸アルキルエステルスルホナー 金属塩固形物及びその製造方法、並びに衣 用粉末洗剤の原料等として好適な脂肪酸ア キルエステルスルホナート金属塩粉末の製 方法、該製造方法により得られる脂肪酸ア キルエステルスルホナート金属塩粉末及び 粉末を含有する繊維製品用又は食器用粉末 剤組成物に関する。

 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 (以下、「MES」と称する)は、衣料用の粉末 剤組成物を製造するための界面活性剤とし 広く用いられている。粉末洗剤組成物の製 方法は種々知られているが、その代表的な 法にMESの粉末を他の界面活性剤やビルダー からなる粉末にドライブレンドする方法あ いは噴霧乾燥法などがある。
 MESをドライブレンドする場合にはペースト のMESを濃縮して固体状としたものを粉砕す 。また、MESから噴霧乾燥法により粉末洗剤 成物を製造する場合、水分を多く含んだペ スト状のMESを用い、ビルダー等と混合する とにより洗剤スラリーを調製するのが一般 である。このとき、ペースト状のMESを製造 た場所から遠く離れた場所で粉末のドライ レンドを行ったり、洗剤スラリーを調製す こともある。その場合、国内外はもとより 外までペースト状のMESを輸送する必要があ 。輸送するにはペースト状のMESではコスト 高くなってしまうため、濃縮物として輸送 る方が経済的である。MESの濃縮方法として これまでに幾つかの方法が知られている(特 許文献1~4)。
 しかし、濃縮物を固体状態で輸送すると、 重下にさらされたり、高温環境下にさらさ たりして、固化してしまい、容器から排出 るのが困難となる。また、塊状物となって まうと、輸送先で粉末としたり、ペースト に戻すのに支障をきたし、ハンドリング性 劣ることとなる。
 また、粉末洗剤組成物は、界面活性剤、ゼ ライト、アルカリ剤、染料等から構成され 造粒後、流動性や外観を改善するために整 を目的として粉砕工程を設けることが多い
 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 (MES)は、粉末洗剤組成物を構成する界面活 剤として広く用いられているが、MESの粉末 製造する場合、粉砕機へ粉末が付着するの 防止するため、一般的に、30℃よりも低い冷 風を粉砕機に吹き込みながら行う(例えば、 許文献2)。
 しかし、このようにして得られるMES粉末は 粒度分布が広く、粗粉や微粉の多い粉末と ってしまう。粗粉が多いと水に溶けにくい いう問題がある。微粉が多いと保存中に塊 形成してしまい、水に溶けにくくなるとい 問題がある。
 これに対し、微粉や粗粉が少なく、粒度分 が狭い粉末は、上記問題を生じにくいのに え、ゼオライト等の無機粉体と混ぜ合わせ のに分級せずに済み、工業的に有利である いう利点がある。

特開2004-210807号公報

国際公開第2004/111166号パンフレット

特開2003-105396号公報

特開2003-82395号公報

 従って、本発明は、固化し難い脂肪酸アル ルエステルスルホナート金属塩及びその製 方法を提供することを目的とする。
 また、粉末洗剤組成物の製造においてMESの レークを粉砕する際、粉砕機内部の温度を げると粉砕されたフレークの粉砕機内部へ 付着が懸念されるため、30℃以下の低温で うことが必須であり、そのため粒度分布が くなることが課題であった。また逆に、粒 分布の狭いMES粉末を得るために、フレーク 風、または粉砕機自体の温度を調整して、 砕機内部の温度を高くして粉砕をすると、 たついて粉砕機に付着してしまうことも課 であった。
 従って、本発明は、粉砕機への付着を抑制 た、粒度分布の狭い脂肪酸アルキルエステ スルホナート金属塩粉末の製造方法を提供 ることを目的とする。

 本発明者らが鋭意検討した結果、脂肪酸ア キルエステルスルホナート金属塩に特定の 理を施すことで新規な結晶状態に変換され 固化しにくい安定な構造となることを見出 た。
 すなわち、本発明は、脂肪酸アルキルエス ルスルホナート金属塩固形物であって、示 走査熱分析計を用いて測定される50~130℃に ける熱吸収ピーク面積が、0~130℃における 吸収ピーク面積に対して50%以上であること 特徴とする前記脂肪酸アルキルエステルス ホナート金属塩固形物を提供する。

 本発明はまた、(I)脂肪酸アルキルエステル ルホナート金属塩の準安定固体を、30℃以 、20000Pa以下の圧力において、少なくとも48 間維持する工程、
 (II)脂肪酸アルキルエステルスルホナート金 属塩の準安定固体を溶融し、得られた溶融物 を、前記金属塩の準安定固体の融点以上であ って前記固形物の融点以下の温度において5 以上維持する工程、又は
 (III)脂肪酸アルキルエステルスルホナート 属塩の準安定固体を溶融し、得られた溶融 に、前記金属塩の準安定固体の融点以上で って80℃以下の温度において100(1/s)以上の剪 速度で剪断力を与える工程、のいずれかの 程を含むことを特徴とする前記脂肪酸アル ルエステルスルホナート金属塩固形物の製 方法を提供する。
 更に、本発明者らが鋭意検討した結果、MES 特定の結晶型を用いて粉砕すると、粉砕機 着がなく、高温で粉砕することができるた シャープな粒度分布を有するMES粉末が得ら ることが分かった。
 すなわち、本発明は、脂肪酸アルキルエス ルスルホナート金属塩粉末の製造方法であ て、脂肪酸アルキルエステルスルホナート 属塩固形物であって、示差走査熱分析計を いて測定される50~130℃における熱吸収ピー 面積が、0~130℃における全吸収ピーク面積 対して50%以上であることを特徴とする前記 肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩 形物を、粉砕機内部の温度が30℃以上50℃以 の温度で粉砕することを特徴とする前記製 方法を提供する。
 本発明はまた、上記製造方法により得られ 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 粉末を提供する。
 本発明はまた、上記脂肪酸アルキルエステ スルホナート金属塩粉末を含有することを 徴とする繊維製品用又は食器用粉末洗剤組 物を提供する。

 本発明によれば、加重下、高温下といった 酷な条件下において保存しても固化しにく 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 固形物が得られる。
 また、本発明によれば、粒度分布の狭い脂 酸アルキルエステルスルホナート金属塩粉 を得ることができる。

 本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホ ート金属塩固形物の原料となる脂肪酸アル ルエステルスルホナート金属塩は、以下の (1)で示される。

 式(1)中、R1は、炭素数10~20、好ましくは炭素 数10~18、より好ましくは炭素数10~16の直鎖又 分岐アルキル又はアルケニル基であり、R2は 炭素数1~4、好ましくは炭素数1~2の直鎖又は分 岐アルキル基であり、Mは、アルカリ金属イ ン又はアルカリ土類金属イオン、好ましく アルカリ金属イオン、より好ましくはナト ウム又はカリウムであり、Xはアルカリ金属 オンの場合1、アルカリ土類金属イオンの場 合1/2の数である。
 本発明において、MESは一種単独を使用する ともできるし、二種以上の混合物として使 することもできる。混合物であるのが好ま い。前記混合物が、上記式(1)においてR1が 素数14の直鎖もしくは分岐のアルキル基また はアルケニル基である化合物を含有するのが さらに好ましい。前記混合物中、上記式(1)に おいてR1が炭素数14の直鎖もしくは分岐のア キル基またはアルケニル基である化合物が40 質量%以上、好ましくは60質量%以上、特に好 しくは80質量%以上の量で含まれるのが特に ましい。
 前記脂肪酸アルキルエステルスルホナート 属塩は、公知の方法で製造することもでき し、市販品を使用することもできる。

 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 を結晶に変換する方法(熟成方法と記す場合 もある)としては、例えば上記(I)~(III)があげ れる。脂肪酸アルキルエステルスルホナー 金属塩を結晶化できる方法であれば他の方 であってもよい。
 原料となる脂肪酸アルキルエステルスルホ ート金属塩は、様々な結晶状態を取ること 知られている。例えば、2-スルホパルミチ 酸メチルエステルナトリウムの安定結晶で 無水、2水、5水、10水の結晶状態がある。報 によれば無水物の融点は112℃であり、前記2 水塩の融点は70℃である(M. Fujiwara,et.al, Langmu ir, 13, 3345 (1997))。
 原料となるMESの結晶状態は特に限定されな が、MESを融解し、急冷すると、準安定固体 形成する。例えば、MESを100~150℃で融解し、 3分間以内の間に0~40℃に冷却することにより MESの準安定固体を得ることができる。準安 固体は液晶状態が過冷却して固体になった のと考えられる。MESの準安定固体は、X線回 折により測定すると、面間隔が20-30Å,10-15Å び3-5Åの間にピークトップを持つ3本の回折 ピークを有する結晶構造を有することを特徴 とする(図1)。
 純粋なMESからは、このような準安定固体は 成されにくいが、硫酸メチル金属塩や脂肪 スルホナート金属塩が混合していると、準 定固体状態を形成しやすい。しかし、硫酸 チル金属塩はペーストのMESの粘度を下げハ ドリング性を向上させる。また準安定固体 急冷により容易に固体を形成するので製造 は好ましい状態と言える。従って、原料と て用いる脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩としては、脂肪酸アルキルエステ からそのスルホナート金属塩を製造する際 発生する副生物である硫酸メチル金属塩や 肪酸スルホナート金属塩を含有するのが好 しい。なお、硫酸メチル金属塩は下記式(2) 表される。脂肪酸スルホナート金属塩は、 記式(3)又は(4)で表される。

 式(2)中、R3は炭素数1~4の直鎖又は分岐アル ル基であり、M及びXは上で述べたとおりであ る。
 式(3)及び式(4)中、R1、M及びXは式(1)について 上で述べたとおりである。

 特に、60~98質量%の脂肪酸アルキルエステ スルホナート金属塩と、1~10質量%の硫酸ア キル金属塩と、1~10質量%の脂肪酸スルホナー ト金属塩とから製造されるのがより好ましい 。MESの量が60質量%未満であると、その固体物 性がMES以外の物質による影響が大きくなる。 MESの量が98質量%を超えると、固体物性が大き く異なり製造時のハンドリング性が劣ってし まう。硫酸アルキル金属塩又は脂肪酸スルホ ナート金属塩の量が10質量%を超えると、MESの 準安定固体から本発明の結晶型への変換速度 が著しく遅くなる。中でも、前記脂肪酸アル キルエステルスルホナート金属塩が、上記式 (1)におけるR1が炭素数14の直鎖又は分岐アル ル又はアルケニル基である化合物を、全脂 酸アルキルエステルスルホナート金属塩の40 質量%以上、好ましくは60質量%以上、特に好 しくは80質量%以上含有するのが好ましい。

 本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物を得るための上記工程(I)は MESの準安定固体を30℃以上、20000Pa以下の圧 において、少なくとも48時間維持する工程 ある。
 30℃未満の温度で維持した場合、準安定固 から本発明の結晶型へ転換するが、その速 が極めて遅い。40℃以下の温度で維持するの が好ましい。40℃を超える温度で維持すると 準安定固体の場合、わずかに融解が観察さ 、このためMESの準安定固体が融着し、保存 に固化してしまう恐れがある。維持温度は3 0℃以上であれば一定温度である必要はなく 例えば断続的に加熱し、冷却しても良い。 度の設定方法は特に限定されず、例えばMES 容器に入れ、その外部環境を条件温度にし り、容器そのものを条件温度に調整したり 容器の内部に条件温度の気流を流す、とい た方法により行うことができる。容器とし は、サイロ、フレキシブルコンテナバッグ ドラム缶、クラフト袋、ポリエチレンバッ 等を使用することができる。
 20000Paを超える圧力で維持すると固化する場 合がある。実用上、保管のための容器への充 填によりMES自体の荷重がかかり、特に底部へ の圧力がかかることは避けられない。ここで いう圧力は底面での圧力とし、圧力[Pa]=容器 の充填質量[kg]×重力加速度g[m/s 2 ]/容器底面積[m 2 ]で定義される。12000Pa以下の圧力で維持する が好ましい。更に500~8000Paの圧力において維 持するのが好ましい。
 維持時間が48時間未満であると、準安定固 から本発明の結晶型への転換が十分でない 合がある。長くても6週間、好ましくは72時 以上である。
 MESを上記条件で維持する間、MESを容器に入 て密閉状態を保ってもよいし、開放状態を っても良いが、開放状態の場合、吸湿の影 があるので、好ましくは湿潤した空気との 触は避けた方が良い。
 特に、30~35℃、3000~7000Paにおいて200~400時間 維持するのが好ましい。
 得られる脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物は、50℃以上の高融点を有 るため、高温下で保存しても融解しにくい

 本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物を得るための上記工程(II)は 、脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 塩の準安定固体を溶融し、得られた溶融物を 、前記金属塩の準安定固体の融点以上であっ て前記固形物の融点以下の温度において5分 上維持する工程である。
 この温度は、準安定固体の融点と結晶型の 点とから決定することができる。準安定固 の融点及び結晶型の融点は、示差走査熱分 計(DSC)により予め決定することができる。
 例えば原料として上記式(1)で表される脂肪 アルキルエステルスルホナート金属塩を使 する場合、40℃以上であって90℃未満の温度 で維持するのが好ましく、50℃以上80℃未満 温度で維持するのが好ましい。この範囲を れると短時間で結晶型を形成しにくくなる 他方、維持時間が5分に満たないと固形物状 がDSCで規定される安定状態に達しない場合 ある。
 特に、55~75℃において10~500分、維持するの 好ましい。

 本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物を得るための上記工程(III) 、脂肪酸アルキルエステルスルホナート金 塩の準安定固体を溶融し、得られた溶融物 、前記金属塩の準安定固体の融点以上であ て80℃以下の温度において、100(1/s)以上の剪 力を与える工程である。
 上記工程(II)では、MESの溶融物を所定温度で 所定時間放置することによりMES固形物を得ら れるが、本工程(III)では所定時間放置する代 りに剪断力を与える。剪断力を与えること より、結晶型への転移が早くなる。
 剪断力を付与する手段は特に限定されない 、例えば各種混練装置や押出造粒装置を用 て行うことができる。例えば、栗本鐵工所 式会社製KRCニーダー、Mazzoni S.p.a製Milling Pr odder等の市販品を用いることができる。
 剪断速度は、剪断速度=羽先端速度/クリア ンスで規定される。本工程において剪断速 は100(1/s)以上であり、150(1/s)以上であるのが ましい。100(1/s)未満だと攪拌処理が不足し 固形物状態がDSCで規定される安定状態に達 ない場合がある。
 剪断は、5秒以上であって5分未満の時間で うのが好ましい。5秒より短い時間だと安定 体になりにくい。5分を超えると、一般に装 置規模が極めて大きくなってしまう。
 特に、55~75℃において200~5000(1/s)の剪断速度 剪断力を与えるのが好ましい。

 本発明の結晶型MESのDSCピークは、準安定固 のMESのDSCピークとは異なる。上記式(1)にお るR1が14と16との混合物から製造されるMESを にとって説明すると、準安定固体のDSCは、 35℃から約55℃の間に吸熱ピークが現れ、そ のトップが約40℃から約50℃となる融解ピー が観察される(図2)。これに対し、結晶型のDS Cは、約50℃以上での吸熱ピークが観察される ようになる(図3)。図2と図3とを対比すると、 3に示されるような結晶構造を有するMESは、 図2に示されるような準安定固体のMESと異な 、40-50℃付近のピークが低減しており、より 高温領域でも安定で
あると言える。さらに、本発明の結晶型のMES の吸熱ピークとしては、約50℃~約70℃及び約7 0℃~90℃付近に出現する複数のピークが観察 れ、水分率が低いと後者の吸熱ピークの絶 値が大きくなる。(図3-1、3-2)

 本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物は、示差走査熱分析計によ 測定される50~130℃における熱吸収ピーク面 Aが、0~130℃における全吸収ピーク面積Bに対 して50%以上、好ましくは70%以上である。50%を 下回ると固化しやすくなる。
 本発明で規定するAとBとの比は、示差走差 分析計を用いてアルミパン又はステンレス ンに分析対象を入れて所定昇温速度で昇温 、吸熱、発熱量の測定をすることにより決 する。この時、100℃以下で発熱ピークが観 されることがあるが、この場合には、発熱 を50℃以上の吸熱量から差し引いた値をAと る。Bについても同様に吸熱ピークの吸熱量 ら発熱ピークの発熱量の絶対値を差し引い 全吸熱量を用いる。
 吸熱量を算出するために基準となるベース インは、吸熱ピーク前後の直線部分結ぶ直 により定義される。
 図4に示した模式図を見れば、当業者であれ ばベースラインの決定及びピーク分割の仕方 を容易に理解できるであろう。
 融点はピークトップの値で規定される。例 ば、準安定固体の融点は、図2で示される50 以下のピークのピークトップで規定される 結晶型のMES固体の融点は、50から130℃の高 側のピークのピークトップの温度で規定さ る。例えば、図3-1、図3-2で示される高温側 ピーク、即ち前者では88℃、後者では78℃で 定される。結晶型のMESの固体の融点は、MES に含まれる他の成分や水分によっても変化 、また準安定固体から結晶型のMES固体への 化に伴い、その高温側のピークもシフトし いく。従って、結晶型MESの融点は、該当サ プルを入れたセルを、DSCで同様の測定を行 、少なくともすべてのピークの内で、最大 ークの10%以上の相対強度を持つ、最も高温 のピークの頂点の温度とする。なお、融点 不明確な場合はサンプルを45℃で1週間保管 た後に測定すると、明確になる。

 示差走査熱分析計としては、一般的に市 されている示差走査熱量計であれば使用可 であり、入力補償型、熱流束型のいずれも まわない。例えば、Perkin Elmer Inc. Diamond D SCや、セイコーインスツル株式会社 EXSTAR 600 0等の市販品を用いることができる。サンプ パンとしては、アルミ又はステンレス製を いる。昇温速度は、1~2℃/minであるのが好ま い。これより遅いとノイズが大きくなるた である。これより速いと微細なピークの検 ができなくなることがある。

 本発明の結晶型MESをX線回折により測定する と、結晶格子に基づく反射と考えられる多数 の反射が検出される(図5)。従って、本発明の 結晶型MESは、一般的なブラベ格子を持つ分子 結晶となっていると考えられる。ブロードな 反射ピークが3つ観測される準安定固体のMES X線回折(図1)と比較すると明らかに異なるた 、MESが準安定固体であるか本発明で規定す 結晶型であるかの区別は容易にできよう。
 本発明の結晶型は、その成長方法によって 、顕微鏡によっても観察が可能である。準 定状態を溶融した状態を急冷した状態では 図6-1のように、均質な偏光を有する固体と て観察されるが、溶融後、60℃に放置して くと結晶が針状結晶として成長し(図6-2)、や がて、全体を占有するようになる(図6-3)。こ 図の場合のように、核を中心として、同心 状に結晶が成長したり、また、均質に針状 晶が成長する場合がある。
 これら、DSC、X線回折、顕微鏡観察の結果よ り、本発明の結晶型MESは公知の準安定固体で あるMESとは、明らかにその物理化学的な状態 が異なっていると言うことができる。また、 DSCとX線回折により、その存在を確認するこ が可能であるといえる。
 本発明の結晶型MESは安定であり、本発明の 晶型以外のMESと共存した場合でも、本発明 結晶型MESが50%以上含まれることにより、た えば40℃以上になるような高温環境下でも の溶融量が低減され、その結果、準安定固 MESの粘着性を軽減することで固化性も低減 れると言うことができる。

 本発明の結晶型MESの水分率は、10%以下で るのが好ましく、5%以下であるのがより好 しい。水分率が10%を超えると、本発明の結 型MESの保存安定性が低下する傾向にある。 の結果、低温での粘着性が増大し、保管並 に輸送性の改善の程度が著しく低下する恐 がある。下限は0.5%以上であるのが好ましい

 本発明の結晶型MESは、各種形態をとること できるが、フレーク又は粒子の形態である が好ましい。
 フレークは、例えば、溶融した脂肪酸アル ルエステルスルホナート金属塩含有物を冷 すると固体になるが、冷却する時に、ドラ フレーカー、ベルトクーラーなどを用い平 状固体とし、その後、解砕することにより 造することができる。フレーカー例として 、カツラギ工業株式会社製のドラムフレー ー、三菱マテリアルテクノ株式会社製のド ムフレーカーFLがあげられる。ベルトクー ーの例としては、日本ベルティング株式会 製のダブル・ベルト・クーラーやNR型ダブル ・ベルト・クーラー、サンドビック株式会社 製ダブルベルト冷却システムがあげられる。 解砕機の例としては、ホソカワミクロ
ン社製のフレーククラッシャFCなどがあげら る。

 本発明の結晶型MESの粒子の形態としては、 えばペレット、ヌードル、これらの解砕物 及び粉末(粉体)などがあるが、これ以外の のでも良い。
 MES粉末は粉砕機を用いて調製できる。粉砕 例としては、ハンマーミル、ピンミルなど あげられる。ハンマーミルとしてはホソカ ミクロン株式社製のフェザミルFSやFitzpatrick  Company製のFitzmillがある。
 ペレット及びヌードルは、溶融した脂肪酸 ルキルエステルスルホナート金属塩含有物 はフレークを押し出し造粒機又は混練機に 入し、適当な径を持つダイス等を通すこと より製造することができる。冷却後、上述 解砕機等を用いて、適当な大きさに解砕す 。押し出し造粒機の例としては、不二パウ ル株式会社製ペレッターダブル、ツインド ムグラン、ホソカワミクロン株式会社製、 アペレタイザ、エクストルード・オー・ミ クスがあげられる。

 本発明の結晶型MESがフレーク又は粒子の形 をとる場合、以下で定義する平均径が少な とも3mmであるのが好ましく、より好ましく 5mm以上であって、100mm以下であるのが好ま い。3mm未満であれば、接触点及び接触面積 大きくなり、温度が高くなっていく過程で 粒子表面の粘着性の増大に耐えられず、固 しやすくなる。
 平均径(3mm以上の場合)は以下のようにして 定する。即ち、フレーク又は粒子の最大長 有する軸をXとし、この軸に垂直な断面で最 長をもつ軸をY、この2つの軸と垂直な軸をZ して、フレーク又は粒子のサイズとして、 述のXの最大長、Yの最大長とZ軸での長さの 算平均を一つの粒子の代表径とする。この 表径を50個以上のフレーク又は粒子につい 測定を行い、重量平均値を取る。
 フレーク又は粒子に粒径3mm未満の粉末を含 ものついてはJIS Z8815の乾式ふるい分けによ り、積算ふるい下百分率をロジンラムラー線 図によりプロットし、同百分率が50%を、平均 粒径として、上述の百分率に重量平均値とし て加算する。

 本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホ ート金属塩固形物は、更に細かく粉砕して 肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩 末(以下、MES粉末と記す場合もある)として 繊維製品用粉末洗剤組成物や食器用粉末洗 組成物に配合することができる。これらの 末洗剤組成物に含まれる成分としては、ア オン性界面活性剤、例えば、MES、直鎖アル ルベンゼンスルホン酸金属塩、アルファオ フィンスルホン酸金属塩、アルキルサルフ ート金属塩、石鹸金属塩や、ノニオン界面 性剤、例えば高級アルコールのアルキレン キサイド付加物;ビルダー、例えば無機ビル ーとしてゼオライト、硫酸ナトリウム、亜 酸ナトリウム;アルカリ剤、例えば炭酸ナト リウム、炭酸カリウム;蛍光剤;漂白剤;漂白活 性化剤;酵素;香料;柔軟剤、例えばベントナイ ト、カチオン化セルロース、粉末セルロース 等があげられる。

 本発明の結晶型MESのフレーク又は粒子の粉 物(MES粉末)はMESの準安定固体の微粉砕物を 合した場合と比べて高温にさらされた場合 も、その粉末全体が高い流動性を保つこと できる。
 一般的な繊維製品用粉末洗剤組成物や食器 粉末洗剤組成物に配合する場合の配合量は MESの含有量として1質量%以上で50質量%以下 好ましく、5%質量以上で40%質量以下であるこ とが更に好ましい。配合量が1質量%以上で50 量%以下であると、流動性の高い粉末洗剤組 物を得ることができる。

 MES粉末はコーティングすることで固化性を に低減することができる。
 コーティング剤としては無機粉体や有機酸 等の粉体があるが、水溶性及び水不溶性い れでもよく、また、1種単独で又は2種以上 適宜組み合わせて用いることができる。無 粉体の例としては、A型ゼオライト等のアル ノ珪酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウ 、炭酸マグネシウム、アルカリ土類金属炭 塩、非晶質シリカ、ホワイトカーボン(シリ カ)、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、タルク ベントナイト等の粘土鉱物、二酸化珪素、 酸化チタン、微粉砕された炭酸ナトリウム 硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、トリポリ ン酸ナトリウム等が挙げられる。このうち アルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウム、硫酸ナ リウムが好ましい。有機酸塩としては、ス アリン酸塩等の金属石鹸、酢酸ナトリウム クエン酸ナトリウム等がある。このうち、 テアリン酸塩が好ましい。
 準安定固体のMESの微粉砕物の場合は、前述 コーティング剤をコーティングしても、高 で固化しやすい。
 コーティング剤の量としては、MES粉末の質 を基準として、好ましくは1~30質量%、より ましくは1~20質量%、さらに好ましくは5~10質 %で混合するとよい。1質量%未満では、固化 の更なる改善効果が見られず、30質量%をこ ると、一般的な繊維製品用粉末洗剤組成物 食器用粉末洗剤組成物に配合する場合、他 成分の配合の自由度を低減することがある
 コーティング方法としては、MES粉末とコー ィング剤との混合や、結晶型MESのフレーク は粒子にコーティング剤を添加し、それを 砕する方法が挙げられる。

 コーティングされたMES粉末の平均粒子径 300μm以上3mm以下が好ましい。300μm以上であ と、更なる固化性の低減が得られる。また3 mm以上では、一般的な繊維製品用粉末洗剤組 物や食器用粉末洗剤組成物に配合する場合 これら組成全体の粒子の中で粒径が大きく りすぎて、分級などの問題を生ずることが る。平均粒子径は、後述の実施例の<3mm未 満の粉末の平均粒子径の測定>に記載の方 に従い測定された値である。

 本発明の結晶型MES固形物を用いて粉砕を行 と、粉砕機付着がなく、高温で粉砕するこ ができるためシャープな粒度分布を有するM ES粉末が得られる。
 MES粉末は粉砕機を用いて調製できる。粉砕 としては、前記結晶型MESを調製するのに使 できるものと同様なものを使用できる。
 粉砕時の粉砕機内部温度は、特に制限はし いが、好ましくは30℃以上50℃以下であり、 より好ましくは30℃以上であって40℃以下、 に好ましくは33℃以上であって38℃以下であ 。30℃未満であると、得られる粉末の粒度 布が広く、微粉が多くなる場合がある。50℃ を超えると、粉末の粘着力が増えて、装置に 対する付着が生じる場合がある。

 粉砕機内部の温度は、特に限定されるもの はないが、粉砕時に風を吹き込む場合は、 温を調整すること、また風を吹き込まない 合でもフレークの温度を調整することや粉 機を外部から保温することなどにより制御 ることができる。また、粉砕機内部とは実 にフレーク等が砕かれているブレードやハ マー等が稼動している部分を囲い、保護し いる容器の内部を意味する。
 特に、スクリーンを取り付けて粉砕するの よい。スクリーンは、粗粉量が増えること 予想される場合は穴径2mmを、微粉量が増え ことが予想される場合は穴径3mmを用いる。 れは、当然のことながら、スクリーンの穴 が大きいと、粒径が大きくなり、スクリー の穴径が小さくなると、粒径が小さくなる 向があるからである。
 本発明者らによれば、粉砕時に回転数(周速 )を上げると、特に粗粉の量を減らすことが きることがわかった。200~8000rpmの回転数で粉 砕するのが好ましく、600~5000rpmがさらに好ま い。なお、回転数が大きくなると粒径が小 く、回転数が小さくなると粒径が大きくな 傾向がある。周速(回転解砕刃の先端の周速 )での好適な範囲は、好ましくは20~70m/s、より 好ましくは30~60m/s、更に好ましくは35~55m/sで る。
 粉砕時間は、通常5秒~5分である。
 粉砕機は直列又は並列に多段配置してもよ 。

 本発明の製造方法により得られるMES粉末の 度分布は、1000μm on50重量%以下及び、149μm  pass10重量%以下であるのが好ましく、1000μm on 8重量%以下及び、149μm pass8重量%以下である がより好ましい。粒度分布がこのような範 にあると、溶解性の面で好ましい。粒度分 は、後述する実施例において説明するよう して求めることができる。
 本発明の製造方法により得られるMES粉末(コ ーティングしていない場合)の平均粒子径は 300~3000μmであるのが好ましく、400~600μmであ のがより好ましい。平均粒子径がこのよう 範囲にあると、溶解性の面で好ましい。平 粒子径は、後述する実施例において説明す ようにして求めることができる。
 本発明の製造方法により得られるMES粉末の 密度は、0.55~0.75kg/Lであるのが好ましく、0.6 0~0.70kg/Lであるのがより好ましい。嵩密度が のような範囲にあると、省スペースであり 溶解性が良好であるので好ましい。嵩密度 、JIS K 3362に準拠して測定することができ 。

 MES粉末を製造する際、無機粉体と共に粉砕 てもよい。無機粉体としては、粉末洗剤組 物を製造するのに通常使用されているもの あれば特に制限なく使用することができる 好適には平均粒径0.1~100μm、好ましくは0.5~50 μm、より好ましくは0.5~30μmの無機粉体を使用 するのが好ましい。無機粉体の平均粒子径が 0.1μm未満であると、発塵性が悪化してしまう 場合があり、100μmを超えてしまうと貯蔵時の 分級による混合粉体の不均一化が生じてしま う場合がある。無機粉体の平均粒子径は、レ ーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置、例え 株式会社堀場製作所製のPartica LA-950V2、東日 コンピュータアプリケーションズ株式会社製 、LDSA-1400A等によって測定することができる
 無機粉体は、仕上がり品の全量を基準とし 、好ましくは30質量%以下、より好ましくは1 ~20質量%、さらに好ましくは5~10質量%で混合す るとMESの粉末物性改善に効果的である。無機 粉体はMES粉末に必ずしも混合しなくてもよい が、混合することにより長期保存での粉末固 化を更に効果的に防ぐことができる。30質量% を超えてしまうと混合粉体の流動性に問題が 生じる。

 無機粉体は、フレーク又はペレットを粉砕 る前に粉砕機に投入してもよいし、粉砕中 も粉砕後でもよい。フレーク又はペレット あるいは粉砕後のパウダーに混合するため 装置としては、乾式混合に使用する装置で れば特に限定なく使用することができる。
具体例としては、水平円筒型混合機、V型混 機、撹拌造粒装置が挙げられるが、これら 限定されるものではない。

調製例1~10、12~17
 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 固形物を製造するための原料として、フレ ク状の脂肪酸アルキルエステルスルホナー 金属塩(以下、「MESフレーク」と称すること もある)を、以下のようにして調製した。
 原料として、パルミチン酸メチル(ライオン (株)製、商品名:パステルM-16)と、ステアリン メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM-1 80)とを準備した。パルミチン酸メチルとステ アリン酸メチルとを、炭素鎖長比が表1に示 割合(質量比)となるように混合した。
 攪拌機を備えた容量1kLの反応装置に、前記 肪酸メチルエステル混合物330kgを注入し、 拌しながら、着色抑制剤として、無水硫酸 トリウムを脂肪酸メチルエステルの5質量%と なる量で投入した後、攪拌を継続しながら、 反応温度80℃で、窒素ガスで4容量%に希釈し SO 3 ガス(スルホン化ガス)110kg(原料メチルエステ に対して1.1倍モル)をバブリングしながら3 間かけて等速で吹き込んだ。更に80℃に保ち ながら30分間熟成を行った。
 エステル化槽に移送後、メタノール14kgを供 給し、80℃においてエステル化反応を行った 更に80℃に保ちながら30分間熟成を行った。
 更に、反応装置から抜き出したエステル化 を、ラインミキサーを用いて当量の水酸化 トリウム水溶液を添加することにより連続 に中和した。
 ついで、この中和物を漂白剤混合ラインに 入し、35%過酸化水素水を純分換算で、AI(有 成分:α-スルホ脂肪酸アルキルエステル金属 塩)に対して純分で1~2%となる量で供給し、80 に保ちながら混合することにより漂白し、 肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩 有ペーストを得た。

 得られた脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩含有ペーストを、真空薄膜蒸発機( 伝熱面:4m 2 、Ballestra社製)に200kg/hrで導入し、内壁加熱温 度100~160℃、真空度0.01~0.03MPaにて濃縮し、温 100~130℃の溶融物として取り出した。冷却さ た溶融物に含まれる脂肪酸メチルエステル ルホナートナトリウム塩(MES)は、JIS K3362に 載されているメチレンブルー(MB)逆滴定法で 、またそのジナトリウム塩(DiNa)、メチル硫酸 ナトリウム(MeSO 4 Na)及び硫酸ナトリウム(Na 2 SO 4 )を、液体クロマトグラフ法により測定した 測定条件は以下の通りである。
  DiNa
  カラム:Nucleosil 100-5SB (GLサイエンス社製)
  溶離液:0.7%過塩素酸ナトリウム 水/メタノ ール(2/8 vol/vol)溶液
  MeSO 4 Na及びNa 2 SO 4
  カラム:TSKgel SuperIC-Anion (東ソー製)
  溶離液:1.7mM炭酸水素ナトリウム、1.8mM炭酸 ナトリウム混合水溶液
 水分率については、冷却されたMESの溶融物 固化した後、乳鉢で粉砕して、カールフィ シャー水分計(京都電子製、MKC-210)を用いて 定した。
 結果を表1に示す。

 ついで、この溶融物をベルトクーラー(( )日本ベルティング製)を用いて、20~30℃まで0 .5分間で冷却し、MESの準安定固体を得た。準 定固体の融点を、DSCを用いて測定した。結 を表1に示す。その後、解砕機((株)日本ベル ティング製)を用いて準安定固体を解砕し、ME Sフレークを得た。

調製例11
 原料として、パルミチン酸メチル(ライオン (株)製、商品名:パステルM-16)を、セパレート 丸底フラスコを用いて、窒素で希釈したSO 3 ガスで反応モル比(SO3/飽和脂肪酸メチルエス ル)=1.2、反応温度80℃の条件にてスルホン化 し、スルホン化生成物を得た。得られたスル ホン化生成物を、80~85℃で30分間熟成反応を い、スルホン化を完結し、2-スルホパルミチ ン酸メチルエステルを得た。続いて、2-スル パルミチン酸メチルエステル100質量部に対 てメタノールを20質量部導入した後に、35% 酸化水素水を5.7質量部導入して、そのまま80 ~85℃で30分漂白を行なった。このようにして られた漂白酸に、所定の濃度の水酸化ナト ウム水溶液を導入、SHIMAZAKI製ジェットアジ ー(TYPE:SJ)により激しく攪拌してpH7に調整し 。得られたMES塩組成物を蒸発皿上で蒸発し メタノールの除去及び濃縮化を行い、MES濃 物を得た。得られた濃縮物を、株式会社入 商会製Bench-Kneader(PNV-1型)で、ジャケットに95 ℃の温水を通水しながら攪拌し、水分を2.6% で濃縮した。得られた溶融物をステンレス に挟み、冷却した後、手で解砕することに りフレークとした。
 得られた溶融物を冷却後、各成分含有量に いては、前記調製例1~10、12~17に記載の測定 により測定を行った。
 なお、表1記載の調製例1~17の融点について 、上記のようにして調製したフレークを以 の〔DSCによる融点、吸熱量及び発熱量の測 〕に述べるように、DSCで測定した。

〔実施例1~10〕
 後述する簡易試験に基づき、調製例1~3、5、 6、10、13又は15のMESフレークをセルに入れ、 2に示した温度及び圧力において、表2に示し た期間放置した。
 得られた脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物のDSC及び固化性を測定した 固化性の測定は簡易試験により行った。結 を表2に示す。
〔比較例1〕
 調製例4のMESフレークを熟成(結晶化)するこ なく、後述する簡易試験によりMESフレーク DSC及び固化性を測定した。固化性の測定は 易試験により行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
 後述する簡易試験に基づき、調製例3のMESフ レークをセルに入れ、表2に示した温度及び 力において、表2に示した期間放置した。
 得られたMESフレークのDSC及び固化性を測定 た。固化性の測定は簡易試験により行った 結果を表2に示す。

〔実施例11〕
フレキシブルコンテナバックを用いる試験に 基づき、430Lのポリプロピレン製フレキシブ コンテナバッグ((有)古田商店)にポリエチレ 製の内袋を入れ、そこに、調製例4のMESフレ ーク200kgを入れ、表3に示した温度及び圧力に おいて、表3に示した期間放置した。
 得られた脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物のDSC及び固化性を測定した 固化性の測定はフレキシブルコンテナバッ を用いる試験の評価基準に基づき行った。 果を表3に示す。
〔比較例3〕
 放置温度を20℃とした以外は実施例11と同様 にして、MESフレークのDSC及び固化性を測定し た。結果を表3に示す。

〔実施例12~15及び比較例4~7〕
 5Lのポリエチレン製の袋に、調製例1、3、6 は15のMESフレークを約1kg入れ、送風式恒温槽 (ヤマト科学製、DN-61)で、表4に示した温度に いて表4に示した時間放置した。その後室温 で冷却し、手で解砕することにより、フレー クとした。
 得られた脂肪酸アルキルエステルスルホナ ト金属塩固形物のDSC及び固化性を測定した
 得られたMESフレークのDSC及び固化性を簡易 験により測定した。固化性の測定は簡易試 により行った。得られたMESフレークの融点 、後述の〔DSCによる融点、吸熱量及び発熱 の測定〕により測定した。結果を表4に示す 。

〔実施例16~20、比較例8~12〕
 調製例3、6、7、8又は9のMESフレークを加温 、表5記載の混練温度の溶融物とした。この 融物を、ジャケットに表5記載の混練温度の 温水を流したKRCニーダー(S2型、栗本鐵工所社 製)に、600~800g/minで投入して、表5記載の剪断 度で0.5分間混練した。その後、ニーダーか 取り出した溶融物をステンレス板に挟み、 却した後、手で解砕することによりフレー とした。得られたMESフレークのDSC及び固化 を測定した。固化性の測定は簡易試験によ 行った。結果を表5に示す。

〔実施例21~25、比較例13~17〕
 調製例5、11、12、13又は15のMESフレーク1kgを 6記載の温度及び時間で熟成処理(結晶化処 )したMESフレークをスピードミル(粉砕条件: 転数1500rpm、スクリーン孔径2.0mm、粉砕機内 の温度25℃)粉砕して得られたそれぞれのMES 末72gにゼオライト(アルミノ珪酸塩)(水澤化 株式会社製シルトンB)を8g混合してコーティ グMES粉末を得た。得られたコーティング粉 について平均粒子径の測定、及び後述の簡 試験により固化性の測定を行った。結果を 6に示す。尚、比較例13~17では熟成処理(結晶 化処理)を行わなかった。表6中の「コーティ グ剤含有量」はMES粉末の質量を基準とした ーティング剤の含有量を示す。

〔実施例26~30、比較例18~22〕
 以下のように調製して、MES粉末を粉体混合 た粉末洗剤組成物を得た。
調製例18:粉末洗剤組成物の調製(1)
(スラリー調製工程)
 傾斜角45°の2段傾斜パドル翼(翼長640mm、翼 65mm)及び2枚の邪魔板(長さ600mm、幅50mm、壁面 のクリアランス30mm)を有する有効容積700Lの 合容器に25℃の水を加え傾斜パドル翼を120rp mで回転させつつ(配合終了まで撹拌は継続し )、珪酸Na、ポリアクリル酸Na、硫酸Na、トリ ポリリン酸ナトリウム(STPP)及び炭酸Naの順に ルダー類を添加した。撹拌を継続しつつ、 合槽のジャケットに0.1MPa(ゲージ圧)のスチ ムもしくは8℃の冷水を通し、スラリー温度 50℃に調製し、その温度に保ちつつ1時間撹 を継続した。このようにして、水分約42%の ラリー600kgを調製した。

(噴霧乾燥工程)
 その後、向流式、塔径2.0m、有効長5.6mの乾 塔に加圧ノズルを使用して400kg/hrの能力で乾 燥塔上部からスラリーを供給及び噴霧し、噴 霧乾燥粒子を得た。ノズルは特開平9-75786号 報の実施例2記載のものと同様のものを使用 、噴霧圧2~3.5MPaで噴霧した。この時の乾燥 での熱風温度は300℃、排風量は240m 3 /minであり、得られた噴霧乾燥粒子の水分は3. 9%であった。得られた噴霧乾燥粒子の組成を 7に示す。

(粉末洗剤組成物の調製)
 上記噴霧乾燥工程で得られた噴霧乾燥粒子( 室温まで冷却されたもの)、酵素、漂白剤、 白活性化剤及びMES粉末(直径50mm、長さ100mmの ルに、表1記載の調製例で得られたMESフレー ク又はMES粒子120cm 3 を入れ、セルの上部に5000Paの荷重をかけ、表 8に示すフレーク保管温度及び期間で熟成処 (結晶化処理)したMESフレークをスピードミル 粉砕(粉砕機内部の温度35℃)して得られたも )を用いて、表8に示した質量%になるように ポリエチレンバッグ袋に充填し、袋ごと30回 上下に手で振り混ぜた後、表8に示した質量% 香料を噴霧して洗剤粒子に賦香し、粉末洗 組成物を得た。この組成物を、後述の<粉 末洗剤配合物の流動性評価>に基づき、そ 流動性を評価した。結果を表8に示す。表8中 の「MES粉末量」は粉末洗剤組成物の質量を基 準としたMESの含有量を示す。また、表8中の MES平均粒径」は、後述の<平均粒子径の測 >に従って測定したMES粉末の平均粒径であ る。尚、比較例18~22ではMESフレークの熟成処 (結晶化処理)を行わなかった。

〔実施例31~40及び比較例23~26〕
 調製例のMESフレークから製造した脂肪酸ア キルエステルスルホナート金属塩固形物を 砕することにより、前記固形物の粉末(MES粉 末)を得た。
 各実施例及び比較例で使用した脂肪酸アル ルエステルスルホナート金属塩固形物の原 となるMESフレークの調製例番号及び結晶化 段を表9に示す。また、得られたMES固形物の DSCによる50~130℃における熱吸収ピーク面積率 を表9に併記する。
 尚、表9に記載の結晶化手段(I)~(III)は以下の 通りである。
 (I)430Lのポリプロピレン製フレキシブルコン テナバッグ((有)古田商店)にポリエチレン製 内袋を入れ、そこに、調製例1、3、4、6、13 16及び17のMESフレーク200kgを入れ、同バッグ 下部底面基準で5880Paの圧力がかかるように もり(Na 2 SO 4 入りフレキシブルコンテナバッグ)を乗せ、 9に示した放置温度、放置期間及び放置圧力 おいて、表9に示した期間放置した。
 (II)調製例4、6及び14のMESフレークを、表9に した放置温度において表9に示した放置期間 放置した。その後室温で冷却し、手で解砕す ることにより、フレークとした。
 (III)調製例3及び6のMESフレークを加温し、表 9記載の混練温度の溶融物とした。この溶融 を、ジャケットに表9記載の混練温度の温水 流したKRCニーダー(S2型、(株)栗本鐵工所製) 、600~800g/minで投入して、表9記載の剪断速度 で0.5分間混練した。その後、ニーダーから取 り出した溶融物をステンレス板に挟み、冷却 した後、手で解砕することによりフレークと した。表9に混練温度と剪断速度を示す。
 MES固形物の粉砕は、上記で得られた脂肪酸 ルキルエステルスルホナート金属塩固形物 、粉砕機(フィッツミル(ホソカワミクロン( )製、DKA-3型))に投入し、処理速度180kg/hrで粉 砕した。粉砕機回転数・周速、粉砕時の粉砕 機内部の温度、スクリーンの穴径は、表9に した通りである。粉砕時の粉砕機内部の温 は、粉砕機内部のスクリーン出直後の位置 、デジタル温度計センサー部を差し込み、 砕直後の粉末温度を測定した。下記の<粉 装置への付着状況の確認>、<粒度分布 測定>に基づいた結果を表9に示す。実施例 31、比較例23については、各目開きの篩の重 頻度を表11に示した。

〔実施例41~43、47~49及び比較例27~28〕
 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 固形物と共に、無機粉体をフィッツミルに 入したこと以外は実施例31~40と同様にして 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 固形物の粉末を得た。結晶化手段、無機粉 の種類及び量、粉砕時の粉砕機内部の温度 スクリーンの穴径は、表10に示した通りであ る。結果を表10にした。実施例42については 各目開きの篩の重量頻度を表11に示した。

〔実施例44~46、50及び比較例29〕
 脂肪酸アルキルエステルスルホナート金属 固形物をフィッツミルで粉砕した後、無機 体と混合したこと以外は実施例31~40と同様 して、脂肪酸アルキルエステルスルホナー 金属塩固形物の粉末を得た。得られたMES固 物のDSCによる50~130℃における熱吸収ピーク 積率、結晶化手段、無機粉体の種類及び量 粉砕時の粉砕機内部の温度、粉砕機回転数 周速、スクリーンの穴径は、表10に示した通 りである。結果を表10にした。

〔実施例51、52〕
調製例19:粉末洗剤組成物の調製(2)
(スラリー調製工程)
 調製例18同様に、傾斜角45°の2段傾斜パドル 翼(翼長640mm、翼幅65mm)及び2枚の邪魔板(長さ60 0mm、幅50mm、壁面とのクリアランス30mm)を有す る有効容積700Lの配合容器に25℃の水を加え傾 斜パドル翼を120rpmで回転させつつ(配合終了 で撹拌は継続した)、水酸化Naを添加し、水 溶解させた後、LAS-Hを添加して中和し、LAS-Na を生成させた(表12のLAS-NaはLAS-Hと水酸化Naの 合により中和生成した量を示す。生成LAS-Na: 加水酸化Na:添加LAS-H=10.00:1.25:9.36(質量比))。 の後、珪酸Na、ポリアクリル酸Na、硫酸Na、 リポリリン酸ナトリウム(STPP)及び炭酸Naの にビルダー類を添加した。撹拌を継続しつ 、配合槽のジャケットに0.1MPa(ゲージ圧)のス チームもしくは8℃の冷水を通し、スラリー 度を50℃に調製し、その温度に保ちつつ1時 撹拌を継続した。このようにして、水分約42 %のスラリー600kgを調製した。

(噴霧乾燥工程)
 その後、向流式、塔径2.0m、有効長5.6mの乾 塔に加圧ノズルを使用して400kg/hrの能力で乾 燥塔上部からスラリーを供給及び噴霧し、噴 霧乾燥粒子を得た。ノズルは特開平9-75786号 報の実施例2記載のものと同様のものを使用 、噴霧圧2~3.5MPaで噴霧した。この時の乾燥 での熱風温度は300℃、排風量は240m 3 /minであり、得られた噴霧乾燥粒子の水分は4. 0%であった。
(粉末洗剤組成物の調製)
 得られた噴霧乾燥粒子(室温まで冷却された もの)、酵素、漂白剤、漂白活性化剤、実施 31で得られた脂肪酸アルキルエステルスルホ ナート金属塩固形物粉末を用いて、表12に示 た質量%になるように平円筒型転動混合機( 筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラ 内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、 高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)に投入し、 充填率30%、回転数22rpm、25℃の条件で得られ 洗剤粒子を混合しつつ、表12に示した質量% 香料を噴霧して洗剤粒子に賦香し、表12記載 の実施例51、52の粉末洗剤組成物を得た。表12 中の
「MES-Na(α-SF-Na)」とは、実施例31で得られた脂 肪酸アルキルエステルスルホナート金属塩固 形物粉末であり、「その他少量成分」とは各 原料から持ち込まれる副生成物等の合計であ る。

評価方法
〔DSCによる融点、吸熱量及び発熱量の測定〕
 示差走差熱分析計としては、パーキンエル ー社Diamond DSCを用いた。アルミパンに実施 及び比較例で得られたMESフレーク20gをトリ ブレンダー(トリオサイエンス 社製)で粉砕 した後、5~30mg入れ、0℃から130℃まで2℃/minの 速度で昇温し、融点、吸熱量及び発熱量の測 定を行った。準安定固体の融点は、最大ピー クの頂点での温度とし、又、結晶型MESの融点 は、該当サンプルを入れたセルを45℃で1週間 保管した後、DSCで同様の測定を行い、少なく ともすべてのピークの内で、最大ピークの10% 以上の相対強度(ピーク高さ比)を持つ、最も 温側のピークの頂点の温度とする。また、 の時の50℃~130℃の吸熱量をA、0℃~130℃の全 熱量をBとして、(A/B)×100を求めた。
 なお、100℃以下で発熱ピークが観察された 合、発熱量の絶対値を50℃以上の吸熱量か 差し引いた値をAとした。またこの場合、Bに ついても同様に吸熱ピークの吸熱量から発熱 ピークの発熱量の絶対値を差し引いた全吸熱 量を用いた。

〔固化性の評価〕
 <簡易試験>
 以下の手順で簡易試験を行った。
なお、実施例1~10及び比較例2については、前 工程(I)に相当する操作(結晶型MESに転換する 操作)を実施した後、簡易試験を実施した。
 -前記工程(I)に相当する操作-
 直径50mm、長さ100mmのセルに、表1記載の調製 例で得られたMESフレーク又はMES粒子120cm 3 を入れた。セルの上部に5000Paの荷重をかけ、 表2記載の放置時間、放置温度で熟成操作を った。
 -簡易試験-
上述の熟成操作で得られた試料のセル、ある いは上述の熟成操作を実施しない比較例1及 表4記載(工程(II)に相当する)及び表5記載(工 (III)に相当する)の操作(結晶型MESに転換する 作)により得られたMESフレークまたは表6記 のMES粉末を120cm 3 を入れた直径50mm、長さ100mmのセルの上部に100 00Paの荷重をかけ、45℃(表6記載のMES粉末の場 は40℃)の恒温槽に1週間保存してケーキを形 成させた。形成させたケーキを目開き16mm(表6 記載のMES粉末の場合は4.75mm)のふるいに入れ 10mmの高さから落下させた。このときの衝撃 よってケーキが破壊され、フレーク同士の 着がなくなるまで(表6記載のMES粉末の場合 すべてがふるいを通過するまで)のケーキの 下回数を測定した。落下回数を評価指標と 、以下の基準で固化性を評価した。
〈評価基準〉
  ◎ :落下回数5回以内
  ○ :落下回数6回以上9回以内
  × :落下回数10回以上
 本発明では、〇以上を貯蔵時の固化性に関 良好な値とした。

 <フレキシブルコンテナバックを用いる試 験>
 実施例11及び比較例3については、下記の前 工程(I)に相当する操作(結晶型MESに転換する 操作)を実施した後、フレキシブルコンテナ 用いる試験を実施した。
-工程(I)に相当する操作-
 実施例11及び比較例3のMESフレークを、フレ シブルコンテナバッグに入れ、同バッグの 部底面基準で5880Paの圧力がかるようにおも (Na 2 SO 4 入りフレキシブルコンテナバッグ)を乗せ、 3記載の放置温度及び放置期間にエージング ース(キャリーパック)(日測エンジニアリン 株式会社製)で保管した。
 -フレキシブルコンテナバックを用いる試験 -
 上述の熟成試験の後、11760Paの圧力がかかる ように前述のおもり(Na 2 SO 4 入りフレキシブルコンテナバッグ)を変え、 述のエージングブースを用い45℃で1週間放 した後、下部排出孔からMESフレークを排出 た。排出の様子を観察し、以下の指標で固 性を評価した。
〈評価基準〉
  ◎ :自然排出したもの
  ○ :自然排出したが塊状物があったもの
  × :自然排出せず、外部からの打撃、圧力 を必要としたもの

<粉末洗剤組成物の流動性評価>
 表8の実施例26~30、比較例18~22の各組成の粉 洗剤組成物を、あらかじめ、切り目を入れ 耐熱性テープ(マスキングテープ)で切り目を 接続した直径50mm、高さ100mmのセル(図7)に50g入 れて、10000Paの荷重をかけ、ポリエチレン袋 密閉したものを、45℃の恒温槽に2日間放置 た後、容器ごとトレイの上に乗せた目開き16 mmのふるい上に静かに置き、その後耐熱性テ プをはがし、セルの側板を静かにはずす。 述粉末の崩れた部分はトレイ上に落ちるが この落ちた部分の質量を電子天秤で測定し 。この崩れ落ちた部分の全量に対する質量 率[単位:%]で、粉末の流動性を評価した。

<粉砕装置への付着状況の確認>
 粉砕装置への粉末の付着状況は、装置を解 し、直接目視で確認した。以下の基準で評 した。結果を表9及び表10に示す。
   ◎:付着がない
   △:つまってはいないが粉末が付着して る
   ×:装置がつまる

<3mm未満の粉末の粒度分布の測定>
 実施例21~50及び比較例13~29で得られた脂肪酸 アルキルエステルスルホナート金属塩固形物 の粉末の粒度分布を求めた。
 粒度分布は、以下のようにして重量頻度(%) 算出することにより決定した。
 即ち、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、 710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩 受け皿を用いて分級操作を行なった。分級 作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開 の大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μm 篩の上から100g/回の噴霧乾燥粒子サンプル 入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機(( 株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ロー リング:290回/分)に取り付け、10分間振動させ 後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した ンプルを篩目ごとに回収する操作を行った
 この操作を繰すことによって1410~1680μm(1410μ m.on)、1190~1410μm(1190μm.on)、1000~1190μm(1000μm.on) 1000~710μm(710μm.on)500~710μm(500μm.on)、350~500μm(3 50μm.on)、250~350μm(250μm.on)、149~250μm(149μm.on)、 皿~149μm(149μm.pass)の各粒子径の分級サンプル 得、重量頻度(%)を算出した。

 得られた結果を以下の基準で評価した。
  粗粉について(表9及び表10中「1000μm on」)
   ◎:1000μm onの重量頻度(%)が8%以下
   ○:1000μm onの重量頻度(%)が8%超~10%以下
   △:1000μm onの重量頻度(%)が10%超~12%以下
   ×:1000μm onの重量頻度(%)が12%超
  微粉について(表9及び表10中「149μm pass」)
   ◎:149μm passの重量頻度(%)が8%以下
   ○:149μm passの重量頻度(%)が8%超~10%以下
   △:149μm passの重量頻度(%)が10%超~12%以下
   ×:149μm passの重量頻度(%)が12%超
 なお、1000μm onと149μm passの評価が共に◎ しくは○であれば、粒度分布範囲がシャー となり良好な粒度分布であるとした。逆に ちらかもしくは両方の評価に△もしくは×が ある場合は良好な粒度分布ではないと判断し た。

<3mm未満の粉末の平均粒子径の測定>
 上で算出した重量頻度が50%以上となる最初 篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段 きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの 篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上 の重量頻度をd%として、次式によって平均粒 径(重量50%)を求めた。
     平均粒子径(重量50%径)=10 (50-(c-d/(log   b-log   a)   x   log   b))/(d/(log   b-log   a))
<3mm以上のフレーク又は粒子の平均径の測 >
 フレーク又は粒子の最大長を有する軸をXと し、この軸に垂直な断面で最大長をもつ軸を Y、この2つの軸と垂直な軸をZとして、フレー ク又は粒子のサイズとして、上述のXの最大 、Yの最大長とZ軸での長さの加算平均を一つ の粒子の代表径とした。この代表径を50個以 のフレーク又は粒子について測定を行い、 量平均値を取った。

 実施例26~30、51及び52、並びに比較例18~22で 用した原料を以下に示す。
・炭酸Na:粒灰(ソーダアッシュジャパン(株)製 )
・LAS-H:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ラ オン(株)製、ライポンLH-200)(AV値(LAS-Hを1g中和 するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)な 、表5中ではNaOHと中和したLAS-Naとしての組成 を示す。
・STTP:トリポリリン酸ナトリウム(太洋化学工 業(株)製)
・珪酸Na:S50°珪酸ソーダ1号(日本化学工業(株) 製)(SiO 2 /Na 2 Oモル比=2.15)
・ポリアクリル酸Na:アクアリックDL-453((株)日 本触媒製)(純分35質量%水溶液)
・ゼオライト:A型ゼオライト(純分47.5質量%)( 本化学工業(株)製)
・硫酸Na:中性無水芒硝A0(四国化成(株)製)
・酵素:サビナーゼ18T(ノボザイムズジャパン( 株)製)
・漂白剤:過炭酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株 )製、SPC-D)
・漂白活性化剤:特開2007-153596号公報の実施例 に記載の漂白活性化剤造粒物G 
・香料:以下の組成から成る香料組成物
デカナール0.5%、オクタナール0.3%、ヘキシル ンナミックアルデヒド10.0%、ジメチルベン ルカルビニルアセテート8.0%、レモン油3.0%、 リリアール6.0%、リラール2.0%、リナロール5.0% 、フェニルエチルアルコール7.5%、トナリド2. 0%、o-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート3.0 %、ガラクソリド BB*2.0%、リナスコール2.5%、 ラニオール1.0%、シトロネロール2.0%、ジャ モランジ2.0%、メチルジヒドロジャスモネー 5.0%、ターピネオール1.0%、メチルヨノン3.0% アセチルセドレン5.0%、レモニトリル1.0%、 ルイテート1.0%、オリボン1.5%、ベンゾイン1.0 %、シス-3-ヘキセノール0.5%、クマリン2.0%、ダ マセノン0.2%、ダマスコン0.3%、ヘリオナール1 .5%、ヘリオトロピン1.5%、アニスアルデヒド2. 5%、ガンマーウンデカラクトン0.8%、バグダノ ール1.2%、トリプラール0.5%、スチラリルアセ ート1.5%、キャロン0.1%、ペンタリド3.0%、オ サヘキサデセン-2-オン2.9%、エチレンブラシ レート6.2%(*:BBはベンジルベンゾエート)
 尚、香料成分の%は香料組成物中の質量%を す。

準安定固体MESのX線回折ピーク 準安定固体MESのDSCピーク 本発明の結晶型MESのDSCピーク。図3-1は 水分率1.9%の準安定固体MESを35℃で4週間放置 した後の結晶型MESのDSCピークである。図3-2は 、水分率3.3%の準安定固体MESを35℃で4週間後 置した後の結晶型MESのDSCピークである。 吸熱量を算出するために基準となるベ スライン及びピーク分割の仕方を示す模式 である。 本発明の結晶型MESのX線回折ピーク 本発明の結晶型MESの顕微鏡写真であり この顕微鏡写真において上下方向の一辺は7 50μmに相当し、横方向の一辺は1000μmに相当す る。 粉末洗剤組成物の流動性評価に用いる ルの模式図である。