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Patent Searching and Data


Title:
SWEET-TYPE SEASONING COMPOSITIONS CONTAINING HIGH PROPORTION OF AMINO ACID AND YEAST FOR OBTAINING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081519
Kind Code:
A1
Abstract:
Seasonings which can be substitutes for animal-protein hydrolyzates. The seasonings include: a seasoning composition which contains free proline in an amount of 8.0% or larger based on a free amino acid composition and contains neither collagen nor gelatin; a seasoning composition which contains free proline and free glycine in amounts of 6.0% or larger and 5.0% or larger, respectively, based on a free amino acid composition and contains neither collagen nor gelatin; a yeast extract which contains free proline in an amount of 8.0% or larger based on a free amino acid composition; and a seasoning composition which contains a yeast extract and contains free proline and free glycine in amounts of 6.0% or larger and 5.0% or larger, respectively, based on a free amino acid composition. Also provided is a yeast for use in producing such seasoning compositions and yeast extract.

Inventors:
MATSUMURA NOBUYASU (JP)
SHIMOKAWA HISATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2006/326119
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 27, 2006
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN TOBACCO INC (JP)
MATSUMURA NOBUYASU (JP)
SHIMOKAWA HISATOSHI (JP)
International Classes:
A23L27/00; A23L27/10; A23L27/21; A23L29/281
Domestic Patent References:
WO1999016860A11999-04-08
WO1999016860A11999-04-08
Foreign References:
JP2005160402A2005-06-23
JP2005143466A2005-06-09
JP2005143465A2005-06-09
JP2001178398A2001-07-03
JPH09234058A1997-09-09
JP2005102549A2005-04-21
JPH10327802A1998-12-15
JPH09234058A1997-09-09
JP2006067806A2006-03-16
Other References:
H. TAKAGI; F. IWAMOTO; S. NAKAMORI, APPLN. MICROBIOL. BIOTECNOL, vol. 47, 1977, pages 405 - 411
See also references of EP 2119373A4
Attorney, Agent or Firm:
SHAMOTO, Ichio et al. (Section 206 New Ohtemachi Bldg.,2-1, Ohtemachi,2-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 04, JP)
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Claims:
遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8.0%以上含み、コラーゲン又はゼラチンを使用していない、調味料組成物。
遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の15.0%以上含む、請求項1記載の調味料組成物。
遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の6.0%以上、及び遊離型グリシンを5.0%以上含み、コラーゲン又はゼラチンを使用していない、調味料組成物。
遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8.0%以上含む、酵母エキス。
遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の15.0%以上む、請求項4記載の酵母エキス。
酵母エキスを含み、かつ遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の6.0%以上、及び遊離型グリシンを遊離型アミノ酸組成の5.0%以上含む、調味料組成物。
酵母エキスを含み、アミノ酸組成が請求項4~6のいずれか1項に示すアミノ酸組成となるようにアミノ酸を添加した、調味料組成物
サッカロマイセス属又はキャンディダ属に属し;プロリンアナログ耐性を有し;かつプロリン生産上有効な条件で培養したときに、得られた菌体の熱水抽出液が、遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8.0%以上含みうる、請求項1~7のいずれか1項に記載の調味料組成物、酵母エキス又は酵母エキス組成物を製造するための、酵母。
サッカロマイセス・セレビシエ JT-YE-P-52(受領番号 ABP-10725)、又はそれと同一の菌学的性質を有するその変異株である、請求項8に記載の酵母。
Description:
甘味系アミノ酸高含有調味料組 物及びそれを得る酵母

 本発明は調味料、特に酵母エキスに関す 。本発明の調味料は、食品分野で有用であ 。

 甘味は砂糖に代表される5原味のひとつで あり、天然物では砂糖、ブドウ糖などの糖類 が主に使われている。アミノ酸でも、プロリ ン、グリシン、アラニンが甘味を有すること が知られており、これらアミノ酸の甘味の質 は、糖類とは異なるため、状況に応じ、アミ ノ酸類も甘味増強に使われることがある。

 また、調味料として加工食品に多用され 動物蛋白質分解物は、主としてコラーゲン ゼラチンが原料として使われるため、その 成アミノ酸である、プロリン、グリシン、 ラニンが多い独特の甘味を有する調味料で 甘みの増強に使用されることがある。

 酵母エキスもまた、調味料として種々の食 に使用されている(特許文献1~3)。酵母の変 株等の食品分野での適用に関しては、プロ ンの毒性アナログであるAZCに耐性を示す変 株のなかから細胞内にプロリンを蓄積し、 株よりも冷凍ストレス耐性を示す変異株を たとの報告があり(非特許文献1)、それと同 の手法等により、菌体内にプロリン、アル ニン、リジン、グルタミン酸から選ばれる1 以上のアミノ酸を蓄積し、冷凍耐性を有す 酵母が冷凍パン生地に利用されている(特許 文献4)。またプロリン蓄積型形質転換酵母が 酒の醸造に利用されている(特許文献5)。し しながら、前者は冷凍パン生地での酵母の 存率に着目したものであり、後者は酵母の タノール耐性や清酒の味のマイルド化に関 るものであり、調味料としての利用に関し は、一切言及していない。また両者とも、 物蛋白質加水分解物様の甘み増強を目的と たものではなく、プロリン、アラニン、グ シンの示す、総合的な甘みには言及してい い。

特開2005-102549

特開平10-327802

WO99/16860

特開平9-234058号公報

特開2006-67806号公報 H.Takagi、F.Iwamoto,and S.Nakamori, Appln. Microbi ol. Biotecnol, 47, 405-411, 1977

 動物蛋白加水分解物は塩酸分解で製造さ るため、通常の方法で製造した場合モノク ロプロパンジオール(MCP)、ジクロロプロパ ール(DCP)と呼ばれる毒性が疑われている物質 が生成することが知られている。MCP、DCPを低 減化し、安全な調味料とする製造法もあり、 近年の製品は低MCP、DCPのものになってはいる が、消費者からは、代替となる調味料が求め られていた。

 一方、酵母エキスは酵母から抽出された のであるので化学合成品でないアミノ酸を く含む。酵母の菌体には遊離アミノ酸とし 、特に旨味成分であるグルタミン酸や甘味 分であるアラニンを多く含んでおり、動物 白加水分解物代替品として期待されている 、特にグリシン、プロリン含量が少ないこ から動物蛋白加水分解物独特の甘味を付与 ることは困難であった。

 本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭 研究を進めた結果、酵母内のプロリン含量 高めた株の中から、アラニン含量に差を与 ることなくグリシンを多く含む株をスクリ ニングすることで、これらのアミノ酸を多 含む酵母菌体、及び酵母エキスが得られる とを見出し、本発明をするに至った。

 [酵母エキス]
 本発明は、以下を提供する:
 1)遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8. 0%以上含む、酵母エキス;
 2)遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の15 .0%以上む、上記2)記載の酵母エキス;
 3)酵母エキスを含み、かつ遊離型プロリン 遊離型アミノ酸組成の6.0%以上、及び遊離型 リシンを遊離型アミノ酸組成の5.0%以上含む 、調味料組成物;
 4)酵母エキスを含み、アミノ酸組成が上記1) ~3)のいずれか1つに示すアミノ酸組成となる うにアミノ酸を加えた、調味料組成物。

 本発明は、以下も提供する:
 1’)サッカロマイセス属又はキャンディダ に属し、高プロリン生産性であり、所望に り高アラニン生産性である株の菌体をプロ ン生産上有効な条件で(所望によりプロリン 産上有効な条件であって、かつグリシン生 上有効な条件で)培養して酵母菌体を得て、 得られた酵母菌体から酵母エキスを得る工程 を含む、遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組 成の8.0%以上含む、酵母エキスの製造方法;
 2’)遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成 15.0%以上む酵母エキスの製造のための、上記 2’)記載の製造方法;
 3’)酵母エキスを含み、かつ遊離型プロリ を遊離型アミノ酸組成の6.0%以上、及び遊離 グリシンを遊離型アミノ酸組成の5.0%以上含 む、調味料組成物の製造方法;
 4’)酵母エキスを含み、アミノ酸組成が上 1’)~3’)のいずれか1つに示すアミノ酸組成 なるようにアミノ酸を加えた、調味料組成 の製造方法。

 本明細書でアミノ酸について言及する場 は、特別な場合を除き、ペプチド又はタン ク質の一部を構成しているアミノ酸残基は まず、遊離型のアミノ酸を指す。

 本明細書で「酵母エキス」というときは 特別な場合を除き、酵母菌体から溶媒によ 抽出した抽出物を指す。抽出工程を経て得 れたものであり、かつ少なくとも数種のア ノ酸を含むものであれば、抽出物の精製物 濃縮物及び乾燥物も「酵母エキス」に含ま る。

 本明細書でアミノ酸等の酵母エキス又は 味料組成物の成分について、含量又は組成 関する値に言及するときは、特別な場合を き、重量に基づいて求めた値を指す。

 従来の酵母エキスにおけるプロリンの含 はアミノ酸組成の0.5~1%程度であるが、本発 の酵母エキスにおけるそれは6.0%以上であり 、好ましくは8.0%以上、より好ましくは9.0%以 、より好ましくは13.0%以上、より好ましく 14.0%以上、より好ましくは15.0%以上、さらに ましくは17%以上である。また、従来の酵母 キスにおけるグリシンの含量はアミノ酸組 の1~2%程度であるが、本発明の酵母エキスに おけるそれは、4.0%以上、好ましくは5.0%以上 より好ましくは5.1%以上である。さらに、本 発明の酵母エキスにおけるアラニンの含量は 、従来の酵母エキスにおけるアラニンの含量 と同等であり、アミノ酸組成の12~17%である。

 本発明の酵母エキスの好ましい態様にお ては、プロリンの含量がアミノ酸組成の6.0% であり、かつグリシンの含量がアミノ酸組成 の4.0%である。加えてアラニンの含量がアミ 酸組成の12~17%であることが好ましい。

 また、より好ましい態様においては、プ リンの含量がアミノ酸組成の5.0%であり、か つグリシンの含量がアミノ酸組成の5.0%であ 。加えて、アラニンの含量がアミノ酸組成 12~17%であることが好ましい。

 さらに好ましい態様においては、プロリ の含量がアミノ酸組成の6.0%であり、かつグ リシンの含量がアミノ酸組成の5.0%である。 えて、アラニンの含量がアミノ酸組成の12~17 %であることが好ましい。

 別の好ましい態様においては、上述のア ノ酸含量が規定量以上であることに加えて ロイシン、イソロイシン、アルギニン等の 味系アミノ酸の含量が低いこと、例えば従 の酵母エキスの2/3以下であるとよい。

 このように、本発明の酵母エキスは、甘 系アミノ酸である、プロリン、グリシン、 ラニンを多く含むので、従来の酵母エキス 比較して、先味系ですっきりとしてまとま があり、くどい口のこりがない。また、動 蛋白加水分解物に近い甘味を呈する。

 本発明の酵母エキスは、プロリン高生産 の株の中から、アラニン含量が従来の酵母 同等であり、かつグリシン高生産性でもあ 株をスクリーニングすることで得られる酵 を用いて製造することができる。

 プロリン高生産性の株は、親株を、紫外 照射若しくは放射線照射、又はエチルメタ スルホネート(EMS)若しくはN-メチル-N'-ニト -N-ニトロソグアノジン(NTG)等の薬剤により、 変異誘導処理して得られた株の中から、チオ プロリン、アゼチジン-2-カルボキシレート(AZ C)又はデヒドロプロリン等のプロリンアナロ に対して耐性である株を選択することによ 得ることができる。変異株を得るためのよ 詳細な手順については、例えば前掲非特許 献4を参考にすることができ、また、本明細 書の実施例の項を参照することができる。

 親株としては、食用に適した種々の酵母 用いることができる。好ましくは、サッカ マイセス属に属する酵母(例えば、サッカロ マイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・ ロゼイ、サッカロミセス・ウバルム、サッカ ロミセス・シバリエリに属する酵母)、又は ャンディダ属に属する酵母(例えば、キャン ィダ・ウチリスに属する酵母)を用いること ができる。

 親株及び変異株を培養するにあたっては 酵母に多用されるYPD培地、糖蜜培地などが 用できる。所望により、炭素源としては、 ドウ糖、ショ糖、糖蜜、糖化液等が利用可 であり、窒素源としては、硫安、塩化アン ニウム、硝酸塩、尿素、アンモニア等が利 可能である。燐酸、カリウム、マグネシウ 、亜鉛、銅、マンガン、鉄等の無機塩類、 タミン類、アミノ酸を添加することができ 。

 高プロリン生産性株が得られれば、その から所望により、高グリシン生産性であり 高アラニン生産性株である株を選択するこ ができる。高生産性であるか否かは、得ら た酵母エキスについて、アミノ酸分析機等 従来技術を用いて判断することができる。 述のアミノ酸について高生産性であること 加えて、ロイシン、イソロイシン、アルギ ン等の苦味系アミノ酸について生産性の低 株を選択することもできる。

 本発明の酵母エキスに用いることができ 酵母の特に好ましい例は、本明細書の実施 で得られたサッカロマイセス・セレビシエ JT-YE-P-52(受領番号 ABP-10725)であるが、この株 については後述する。

 酵母菌体からの酵母エキスの調製に際し は、まず得られた変異株をプロリン生産上 効な条件で(好ましくは、プロリン生産上有 効な条件であって、かつグリシン及び/又は ラニン生産上有効な条件で)培養する。培養 度は、20℃~38℃とすることができる。培地 、上述のYPD培地、糖蜜培地等を用いること できる。培地のpHは3.5~8.0に調整してもよい 培養時間は、1時間~48時間、例えば8時間~36時 間とすることができる。培養中は、必要に応 じ、しんとう、撹拌、通気、培地又は成分の 添加等を行うことができる。有効な条件の一 例は、YPD培地(バクトイーストエキストラク 1.0%、バクトペプトン2.0%、グルコース2.0%)を い、10時間以上しんとう又は撹拌培養する とである。

 培養物が得られれば、培養物から、遠心 離等の適当な手段を用いて酵母菌体を得て 必要に応じ、洗浄した後、熱水抽出法、酵 分解法及び/又は自己消化法により、エキス 化する。

 培養及びエキス化のための条件は、当業 であれば、適宜決定することができ、また 細な手順は、本明細書の実施例を参照する とができる。

 [調味料組成物]
 本発明者らは、上述の酵母エキスと同等の ミノ酸組成を有する調味料組成物が、上述 酵母エキスと同様に、動物蛋白加水分解物 近い甘味を呈するという観点等において優 ていることも見出した。したがって、本発 は、以下のものも提供する:
 5)遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8. 0%以上含み、コラーゲン又はゼラチンを使用 ていない、調味料組成物;
 6)遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の15 .0%以上含む、上記5)記載の調味料組成物;
 7)遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の6. 0%以上、及び遊離型グリシンを5.0%以上含み、 コラーゲン又はゼラチンを使用していない、 調味料組成物。

 本発明は、以下のものも提供する:
 5’)遊離型プロリンが遊離型アミノ酸組成 8.0%以上となるように配合する工程を含む、 ラーゲン又はゼラチンを使用しない、調味 組成物の製造方法;
 6’)遊離型プロリンが遊離型アミノ酸組成 15.0%以上となるように配合する工程を含む、 上記5’)記載の調味料組成物の製造方法;
 7’)遊離型プロリンが遊離型アミノ酸組成 6.0%以上、及び遊離型グリシンが5.0%以上とな るように配合する工程を含む、コラーゲン又 はゼラチンを使用しない、調味料組成物の製 造方法。

 本発明の調味料組成物は、原料として動 蛋白質であるコラーゲン又はゼラチン以外 原料、例えば酵母エキス、野菜エキス、カ オエキス、カツオ節エキス、昆布エキス。 ークミートエキス、ビーフミートエキス、 キンミートエキス、魚醤油、醤油、味噌等 使用する。

 従来の酵母エキスを利用した調味料組成 におけるプロリンの含量はアミノ酸組成の0 .5~1%程度であるが、本発明におけるそれは6.0% 以上であり、好ましくは8.0%以上、より好ま くは9.0%以上、より好ましくは13.0%以上、よ 好ましくは14.0%以上、より好ましくは15.0%以 、さらに好ましくは17%以上である。また、 来の酵母エキスを利用した調味料組成物に けるグリシンの含量はアミノ酸組成の1~2%程 度であるが、本発明におけるそれは、4.0%以 、好ましくは5.0%以上、より好ましくは5.1%以 上である。さらに、本発明におけるアラニン の含量は、従来の酵母エキスのアラニンの含 量と同等であり、アミノ酸組成の12~17%である 。

 本発明の調味料組成物の好ましい態様に いては、プロリンの含量がアミノ酸組成の6 .0%であり、かつグリシンの含量がアミノ酸組 成の4.0%である。加えてアラニンの含量がア ノ酸組成の12~17%であることが好ましい。

 また、より好ましい態様においては、プ リンの含量がアミノ酸組成の5.0%であり、か つグリシンの含量がアミノ酸組成の5.0%であ 。加えて、アラニンの含量がアミノ酸組成 12~17%であることが好ましい。

 さらに好ましい態様においては、プロリ の含量がアミノ酸組成の6.0%であり、かつグ リシンの含量がアミノ酸組成の5.0%である。 えて、アラニンの含量がアミノ酸組成の12~17 %であることが好ましい。

 別の好ましい態様においては、上述のア ノ酸含量が規定量以上であることに加えて ロイシン、イソロイシン、アルギニン等の 味系アミノ酸の含量が低いこと、例えば従 の酵母エキスの2/3以下であるとよい。

 本発明の調味料組成物等は、上述のプロ ン高生産性であり、所望によりアラニン、 リシン高生産性でもある株を用いて製造す ことができ、また、従来法によって得られ 酵母エキスに、プロリン、所望によりさら グリシンを、規定量となるように添加する とにより得てもよい。

 [新規酵母]
 本発明はまた、本発明の酵母エキス、本発 の調味料組成物を製造するための、以下の 母も提供する:
 8)サッカロマイセス属又はキャンディダ属 属し、アゼチジン-2-カルボン酸(AZC)耐性を有 し、かつプロリン生産上有効な条件で培養し たときに、得られる菌体の熱水抽出液が、遊 離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8.0%以 含みうる、酵母。

 9) サッカロマイセス・セレビシエ JT-YE-P -52(受領番号 ABP-10725)、又はそれと同一の菌 的性質を有するその変異株である、上記8)に 記載の酵母。

 本発明はまた、以下のも提供する:
 8’)サッカロマイセス属又はキャンディダ に属する酵母を変異誘導処理して得られた から、プロリンアナログに対して耐性であ 株を選択し、そしてプロリンアナログ耐性 から、高プロリン生産性であって、所望に り高グリシン生産性及び/又は高アラニン生 性である株を選択する工程を含む、酵母の クリーニング方法;
 8’’)サッカロマイセス属又はキャンディ 属に属する酵母を変異誘導処理して得られ 株から、プロリンアナログに対して耐性で る株を選択し、そしてプロリンアナログ耐 株から、高プロリン生産性であって、所望 より高グリシン生産性及び/又は高アラニン 産性である株を選択する工程を含む、酵母 製造方法。

 本明細書において、得られる菌体の熱水 出液が、特定の遊離型アミノ酸(例えば、プ ロリン)を遊離型アミノ酸組成のX%以上含みう るというときは、特別な場合を除き、対象と なる酵母のプロリン生産において発揮するこ とができる最大値(プロリン生産能)について 明している。より具体的には、ある酵母が の要件に該当するか否かを判断する際には その対象酵母から得られた熱水抽出物中の 離アミノ酸組成を測定することになるが、 水抽出に供される対象酵母は、本明細書に たがって特定の遊離型アミノ酸(例えば、プ ロリン)の生産上有効な条件で培養されたも である。有効な条件の一例は、YPD培地(バク イーストエキストラクト1.0%、バクトペプト ン2.0%、グルコース2.0%)を用い、10時間以上し とう又は撹拌培養することである。

 本発明の酵母は遊離型プロリンを遊離型 ミノ酸組成の8.0%以上含みうるが、遊離型プ ロリンを遊離型アミノ酸組成の15.0%以上含み る酵母であることが好ましい。本発明の酵 の他の例は、サッカロマイセス属又はキャ ディダ属に属し、アゼチジン-2-カルボン酸( AZC)耐性を有し、かつプロリン生産上有効な 件であって、かつグリシン及び/又はアラニ 生産上有効な条件で培養したときに、得ら る菌体の熱水抽出液が、遊離型プロリンを 離型アミノ酸組成の6.0%以上、及び遊離型グ リシンを遊離型アミノ酸組成の5.0%以上含み る酵母である。

 本明細書でいう「高プロリン生産性であ て、所望により高グリシン生産性及び/又は 高アラニン生産性である株」の例は、プロリ ン生産上有効な条件で培養したときに、得ら れる菌体の熱水抽出液が、遊離型プロリンを 遊離型アミノ酸組成の8.0%以上含みうる酵母( ましくは、遊離型プロリンを遊離型アミノ 組成の15.0%以上含みうる酵母);及びプロリン 生産上有効な条件であって、かつグリシン及 び/又はアラニン生産上有効な条件で培養し ときに、得られる菌体の熱水抽出液が、遊 型プロリンを遊離型アミノ酸組成の6.0%以上 及び遊離型グリシンを遊離型アミノ酸組成 5.0%以上含みうる酵母である。

 本発明の酵母は、上述したように、プロ ン高生産性株をスクリーニングすることに り得ることができる。本発明の酵母の例で る本明細書の実施例で得られたサッカロミ ス・セレビジエ JT-YE-P-52(受領番号 ABP-10725) の菌学的性質を下表に示す。

形状: YPD培地で培養した菌体を顕微鏡にて観 察した。
大きさ: 同様にYPD培地で培養した菌体を顕微 鏡にて観察した。
胞子形成: YPD寒天培地で培養した菌体をSharma n寒天培地に接種し、20~25℃で3~10日間培養し 顕微鏡で胞子形成の有無を確認した。
炭素源の資化性と発酵性: 資化性の分析は、 YPD寒天培地で培養した新鮮な菌体を一白金耳 滅菌水5mlに懸濁した後、滅菌水にて2回菌体 遠心集菌洗浄し、再度、滅菌水5mlに懸濁し 液を各種炭素源を添加、滅菌した培地(Yeast  nitrogen base 0.67g、各種炭素源0.1g、水10ml)5mlを 入れたチューブ(Sarstedt tube 101mm×16.5mm)に0.1ml 接種し30℃にて48時間振とう培養後、660nmの吸 光度を測定し生育状況を濁度で判定した。発 酵性は、同様に調整した菌体懸濁液を同培地 10mlとダーラム管を入れたガラス試験管(180mm  ×15mm)に0.1ml接種し、30℃にて1週間静置培養し た後、ダーラム管中の気泡の有無を確認した 。

 [他の態様、用途等]
 本発明の酵母エキス及び調味料組成物(以下 、本発明の酵母エキス等という。)は、液状 ペースト状、粉末状、顆粒状とすることが きる。また、他の調味料、及び食品として 容できる添加物ともに用いることができる

 本発明の酵母エキス等は、種々の食品(健 康食品を含む。)に添加することができる。 た、食品以外に、医薬品、化粧品、ペット ード等にも添加することができる。

 本発明の酵母エキス等は、動物蛋白質分 物と同様の甘味質を有するので、動物蛋白 分解物が適する食品にその代替物として使 することができる。

 本発明の酵母エキス等は、肉・魚・野菜 理に利用でき、具体的な食品の例としては ホワイトソース、ミートソース、デミグラ ソース、トマトソース、カレー、シチュー ポタージュスープ、ミネストローネ、ソー 類(ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソー ス、とんかつソース、お好み焼きソース、焼 きそばソース、たこ焼きソース等)、めんつ (ラーメンつゆ、そばつゆ、うどんつゆ等)、 鍋つゆ(おでんつゆ等)、味噌汁、八宝菜、中 丼、炒飯、餃子、焼売、包子、スナック菓 、ドレッシング、ふりかけ、たれ(焼肉のた れ)、佃煮等を挙げることができる。

 本発明の酵母エキス等は、冷凍食品、レ ルト食品、インスタント食品に使用するこ ができる。

 食品への使用量は、当業者であれば適宜 定することができる。例えば、喫食時に食 重量あたり、0.01~1%となるように添加するこ とができる。

 本発明により、MCP、DCPを含むことなく甘味 アミノ酸を多く含む調味料を提供すること でき、食品へ動物蛋白加水分解物独特の甘 の付与ができる。
また、一般に苦味を有すると言われるアミノ 酸、イソロイシン、ロイシン、アルギニンの 割合が減っているので、より甘さを引き立て ることができる。

 以下具体的実施例を挙げて本発明を説明 る。

 日本たばこ産業株式会社の製パン用酵母J T-1株をYPD培地(バクトイーストエキストラク (DIFCO社)1.0%、バクトペプトン(DIFCO社)2.0%、グ コース2.0%)で対数増殖期まで培養し、0.067M ン酸ナトリウム液にけん濁し、攪拌しなが 紫外線を2分照射した。その後、AZC(シグマ社 ))10mg/mlを含む最小培地(イーストニトロゲン ースw/oアミノ酸(DIFCO社)0.67%、グルコース2.0% 寒天2.0%)で32℃5日培養し、147株のAZC耐性株 得た。これらのコロニーをそれぞれさらに50 mlのYPD培地で24時間培養した後、遠心分離に 集菌し、凍結乾燥菌体を、95℃、20分熱水抽 してアミノ酸分析機(日立L-8900型)でプロリ 、グリシンの分析を実施した。候補株のう 、プロリン、グリシン高含有株としてJT-YE-P- 52を得た。

 JT-YE-P-52株をYPD培地200mlを含むバッフル付 500ml三角フラスコ10本で24時間しんとう培養 、500rpm、10分の遠心分離により湿菌体48.1gを 得た。これに水70mlを加え、95℃、20分攪拌し がらエキスを抽出した。抽出後5000rpm、10分 遠心分離する事により抽出残渣を分離し、 母エキス(酵母エキスB)76gを得た。このエキ の固形分あたりの遊離アミノ酸組成を測定 たところ、表1の様であった。比較のため、 変異前のJT-1株をエキス化したときの対照エ ス(酵母エキスA)のアミノ酸組成を示す。変 前にくらべてアラニンはそのままでグリシ 、プロリンが増加していた。また、苦味系 ミノ酸であるロイシン、イソロイシン、ア ギニンの割合が約半分に減っていた。

 実施例2で示した本発明のエキスの呈味効果 を調べるために以下の実験をした。
まず始めに、訓練されたパネラー18人に砂糖 動物蛋白加水分解物(エキストラート;ジェ ティフーズ株式会社)、イーストエキストラ ト21TF(ジェティフーズ株式会社)、イースト キストラクト21A(ジェイティフーズ株式会社 )、実施例1の対照エキス(酵母エキスA)を試飲 せ、砂糖の甘味と動物蛋白加水分解物の甘 の質の異なることを理解させ、動物蛋白質 水分解物の甘味の質を認識させた。また、 象エキスに動物蛋白質加水分解物の有する 味がないことを認識させた。

 本発明の変異元株であるJT-1株から実施例 2で示した方法で製造した酵母エキスAにプロ ン(和光純薬)をアミノ酸組成の5.0、7.0、8.0,9 .0、13.0、14.0、15.0%になるように加えたものと 酵母エキスAを固形分1%のお湯液を用い、甘味 の感じ方に影響が出る食塩濃度を合わせるた めに、最終的に固形分の26%になるように食塩 を添加し、官能試験を行った。官能試験は動 物蛋白加水分解物(エキストラート)と同等の さ強度を5として1点から10点までのスコアを 表記させ、また、動物蛋白加水分解物と甘さ の質が同じものを5点とし、大きく離れてい もの1点とし、1~5点のスコアを表記させ、平 点で表した。試験は前期の訓練されたパネ 18人によって行った。

 その結果、表2に示すような結果となり、 プロリン8%以上で甘味の増加が確認され、動 蛋白加水分解物に近い甘味の質になり、15% 強い甘味が観察され、動物蛋白加水分解物 甘味の質がより近づいた。また、実施例2で 作成した酵母エキスBはさらに甘味が強く、 物蛋白加水分解物により近い味質であった これは下表に示すように、苦味アミノ酸の 合が少ないためと推定された。

 実施例2で示した本発明のエキスの呈味効 果を調べるために以下の実験をした。

 表3に示したように、酵母エキスAに、プ リンを加えそれぞれ6.0%にしたものにグリシ を加え、3.0、4.0、5.0%にしたものを作成し、 実施例3と同様に酵母エキスA、酵母エキスB、 動物蛋白加水分解物と甘味強度、質の比較を 行った。その結果、グリシン5.0%、プロリン6. 0%以上で甘味が強くなった。また、酵母エキ Aのグリシンを5.0%になるようにグリシンを 加し、プロリンを3.0,4.0,5.0,6.0%になるように えたものを試験した結果、プロリン6.0%で動 物蛋白加水分解物に近い質の甘味になった。 なお、官能試験は実施例3に準じて行った。

 実施例2で示した本発明のエキスと変異前 の酵母から製造したエキス、そして動物蛋白 加水分解物を凍結乾燥機で凍結乾燥し、固形 分あたりの塩分を26%になるように揃え、表4 示すレシピでホワイトソースを作成し、甘 強度、甘味の質を比較した。その結果、本 明のエキスを使用したホワイトソースの甘 が動物蛋白加水分解物と同等であった。

 このように本発明では動物蛋白加水分解 に含まれる甘味系アミノ酸を多く含む調味 を塩酸加水分解法によらずに製造でき、MCP DCPの含まれない調味料を消費者へ提供でき 。