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Title:
SWITCHING DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078251
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a switching device comprising a first electrode (101), a second electrode (102), and a complex oxide ion-conducting layer (103) arranged between the first electrode (101) and the second electrode (102). The complex oxide ion-conducting layer (103) contains at least two oxides including a metal oxide. The first electrode (101) is capable of supplying electrons into the complex oxide ion-conducting layer (103). The second electrode (102) contains a metal and is capable of supplying ions of this metal into the complex oxide ion-conducting layer (103).

Inventors:
BANNO NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071311
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
November 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NEC CORP (JP)
BANNO NAOKI (JP)
International Classes:
H01L49/00; H01L27/10; H01L45/00
Domestic Patent References:
WO2006070773A12006-07-06
Foreign References:
JP2006319028A2006-11-24
JP2006303343A2006-11-02
JP2008244090A2008-10-09
Attorney, Agent or Firm:
YAMAKAWA, Masaki et al. (4th Floor Sanno Park Tower,11-1, Nagatacho 2-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 金属酸化物を含む少なくとも2つの酸化物を備えたイオン伝導層と、
 このイオン伝導層の一方の面の側に配置され、前記イオン伝導層に電子を供給する第1電極と、
 金属を含み、前記イオン伝導層の他方の面の側に配置されて前記イオン伝導層に前記金属のイオンを供給する第2電極と
 を少なくとも備えることを特徴とするスイッチング素子。
 請求項1記載のスイッチング素子において、
 前記イオン伝導層は、
 前記金属酸化物の結晶化温度より高い結晶化温度を備える
 ことを特徴とするスイッチング素子。
 請求項1記載のスイッチング素子において、
 前記金属を含み、前記イオン伝導層の一方の面の側に配置されて前記イオン伝導層に前記金属のイオンを供給する第3電極を備え、
 この第3電極は、前記第1電極と絶縁分離して配置されている
ることを特徴とするスイッチング素子。
 請求項1記載のスイッチング素子において、
 前記第1電極は、前記イオン伝導層に金属の拡散を抑制した状態で形成されている
 ことを特徴とするスイッチング素子。
 請求項1記載のスイッチング素子において、
 前記イオン伝導層は、金属酸化物として酸化タンタルを含み、酸化物として酸化シリコンおよび酸化アルミニウムの少なくとも1つを含む
 ことを特徴とするスイッチング素子。
 請求項1記載のスイッチング素子において、
 前記イオン伝導層は、
 前記金属酸化物を備えた第1イオン伝導層と、
 前記金属酸化物を含む少なくとも2つの酸化物を備えた第2イオン伝導層と
 を備え、
 前記第1電極の側に前記第1イオン伝導層が備えられている
 ことを特徴とするスイッチング素子。
 請求項6記載のスイッチング素子において、
 前記第1イオン伝導層は、金属酸化物として酸化タンタルを含み、
 前記第2イオン伝導層は、金属酸化物として酸化タンタルを含み、酸化物として酸化シリコンおよび酸化アルミニウムの少なくとも1つを含む
 ことを特徴とするスイッチング素子。
 基板の上に第1電極が形成された状態とする第1工程と、
 イオン伝導層が前記第1電極の上に形成された状態とする第2工程と、
 第2電極が前記イオン伝導層の上に形成された状態とする第3工程と
 を少なくとも備え、
 前記イオン伝導層は、金属酸化物を含む少なくとも2つの酸化物を備え、
 前記第1電極は、前記イオン伝導層に電子を供給し、
 前記第2電極は、金属を含み、前記イオン伝導層に前記金属のイオンを供給する
 ことを特徴とするスイッチング素子の製造方法。
 基板の上に第2電極が形成された状態とする第1工程と、
 前記第2電極の上にイオン伝導層が形成された状態とする第2工程と、
 前記イオン伝導層の上に第1電極が形成された状態とする第3工程と、
 前記イオン伝導層の上に第3電極が形成された状態とする第4工程と
 を少なくとも備え、
 前記イオン伝導層は、金属酸化物を含む少なくとも2つの酸化物を備え、
 前記第1電極は、前記イオン伝導層に電子を供給し、
 前記第2電極は、金属を含み、前記イオン伝導層に前記金属のイオンを供給し、
 前記第3電極は、前記金属を含み、前記イオン伝導層に前記金属のイオンを供給する
 ことを特徴とするスイッチング素子の製造方法。
Description:
スイッチング素子およびその製 方法

 本発明は、プログラマブルロジックおよ メモリ等の電子デバイスに用いられる、電 化学反応を利用したスイッチング素子およ その製造方法に関する。

 プログラマブルロジックの機能を多様化 、電子機器などへの実装を推進して行くた には、ロジックセル間を相互に結線するス ッチ(スイッチング素子)のサイズを小さく てオン抵抗を小さくすることが必要となる このような背景の中で、電気化学反応を利 したスイッチは、よく知られた半導体スイ チよりも寸法が小さく、オン抵抗が小さい とが知られている。電気化学反応を用いた イッチング素子には、文献1(特表2002-536840号 報)に開示された2端子スイッチが知られて る。

 図12に、文献1に記載された2端子スイッチ の構造を示す。この2端子スイッチは、金属 オンを供給する第1電極1201および第2電極1202 イオン伝導層1203を挟んだ構造をしている。 第1電極1201および第2電極1202の間のスイッチ グは、イオン伝導層1203中での金属架橋の形 ・消滅によって行われる。2端子スイッチは 、構造が単純であるため、作製プロセスが簡 便であり、素子寸法をナノメートルオーダー まで小さくして形成することが可能である。

 また、上記同様にイオン伝導層を備えて3 つの電極を備えた3端子スイッチも提案され いる。この3端子スイッチは、金属架橋の形 ・消滅を制御する第3電極を設けることで、 金属架橋の太さを(範囲)制御可能とし、エレ トロマイグレーション耐性に優れたものと っている。

 ところで、上述した素子をロジックに応 した際、2端子スイッチは金属架橋が低抵抗 であるため、接続および切断の際に素子に大 きな電流が流れ、ロジックに損傷を与える危 険性がある。これに対し、3端子スイッチで 、金属架橋の形成を制御する電極と、電気 号を伝達する電極が別に存在するため、電 の制御ができる。ただし、3端子スイッチは 2端子スイッチに比較して構造が複雑であり 、素子寸法も大きくなる傾向にある。

 このようなスイッチをプログラマブルロ ックの配線切り替えスイッチとして搭載す ためには、ロジック動作電圧以上のスイッ ング電圧(耐圧)とCMOS(Complementary Metal Oxide S emiconductor)の製造プロセスに対する親和性が 要となる。また、スイッチング特性は、イ ン伝導体の材料に大きく依存するため、イ ン伝導体材料の選択・最適化が重要である 酸化物よりなるイオン伝導層は、スイッチ グ電圧を高められ、CMOS製造プロセスとの親 性も良い点から有望である。例えば、酸化 として酸化タンタルをイオン伝導層に用い 例が、文献2(特開2006-319028号公報)に開示さ ている。

 しかしながら、酸化物イオン伝導体を用 た本スイッチは、CMOSの製造プロセスを経る ことで、オフ状態におけるリーク電流が増加 し、場合によっては、常にオン状態になると いう問題が発生する。これは、CMOSの製造プ セス中の熱処理過程において、金属イオン 供給する電極の金属イオンが、イオン伝導 内部に拡散してしまうことに起因している 酸化物イオン伝導体を用いる本スイッチン 素子では、金属イオンを供給する電極と酸 物イオン伝導体が接している構造上、金属 オンを供給する電極の金属イオンが、イオ 伝導層内部に拡散しやすい状態となってい 。このため、CMOSの製造プロセス中の熱処理 程において、金属イオンがイオン伝導層内 に拡散し、スイッチング素子として動作す 段階で既に金属イオンが存在した状態とな てしまうもの考えられる。

 上述したように、既に金属イオンが存在 ている状態は、オフ状態でもイオン伝導層 金属イオンが存在していることになり、オ の状態におけるリーク電流が増加し、また イオン伝導層に用いる材料によっては、既 存在している金属イオンにより、常にオン 状態になっている場合が発生する。このよ な状態では、当然ながらスイッチング素子 しては機能せず、プログラマブルロジック 載した際、プログラマブルロジックの信頼 が低下してしまう。

 上述の問題を回避する方法として、金属 オンのイオン伝導層内部への拡散係数が小 い酸化物をイオン伝導体に用いる方法が考 られる。しかしながら、この場合、金属イ ンの拡散による初期不良および故障は抑制 れるが、スイッチング電圧の大幅な増加や り返しスイッチング耐性の劣化などが生ず 。

 本発明は、以上のような問題点を解消す ためになされたものであり、電気化学反応 利用したスイッチング素子の信頼性を、ス ッチング性能を低下させることなく、より くすることを目的とする。

 本発明に係るスイッチング素子は、金属 化物を含む少なくとも2つの酸化物を備えた イオン伝導層と、このイオン伝導層の一方の 面の側に配置され、イオン伝導層に電子を供 給する第1電極と、金属を含み、イオン伝導 の他方の面の側に配置されてイオン伝導層 金属のイオンを供給する第2電極とを少なく も備えるようにしたものである。

 また、本発明に係るスイッチング素子の 造方法は、金属酸化物を含む少なくとも2つ の酸化物を備えたイオン伝導層と、このイオ ン伝導層の一方の面の側に配置され、イオン 伝導層に電子を供給する第1電極と、金属を み、イオン伝導層の他方の面の側に配置さ てイオン伝導層に金属のイオンを供給する 2電極とを少なくとも備えるスイッチング素 の製造方法であって、基板の上に第1電極を 形成する第1工程と、イオン伝導層が第1電極 上に形成された状態とする第2工程と、第2 極がイオン伝導層の上に形成された状態と る第3工程とを少なくとも備える。

 また、本発明に係る他のスイッチング素 の製造方法は、金属酸化物を含む少なくと 2つの酸化物を備えたイオン伝導層と、この イオン伝導層の一方の面の側に配置され、イ オン伝導層に電子を供給する第1電極と、金 を含み、イオン伝導層の他方の面の側に配 されてイオン伝導層に金属のイオンを供給 る第2電極と、金属を含み、イオン伝導層の 方の面の側に配置されてイオン伝導層に金 のイオンを供給する第3電極を備えるスイッ チング素子の製造方法であって、基板の上に 第2電極を形成する第1工程と、第2電極の上に イオン伝導層を形成する第2工程と、イオン 導層の上に第1電極を形成する第3工程と、イ オン伝導層の上に第3電極を形成する第4工程 を少なくとも備える。

 以上説明したように、本発明によれば、 属酸化物を含む少なくとも2つの酸化物を備 えたイオン伝導層を用いるようにしたので、 電気化学反応を利用したスイッチング素子の 信頼性を、スイッチング性能を低下させるこ となく、より高くすることができる。

図1は、本発明の実施の形態1における イッチング素子の構成例を模式的に示す断 図である。 図2は、本発明の実施の形態1における イッチング素子の動作例を説明するための 明図である。 図3は、本発明の実施の形態1における イッチング素子の電気的特性を測定した結 を示す特性図である。 図4は、本発明の実施の形態1における イッチング素子の電気的特性を測定した結 を示す特性図である。 図5は、本発明の実施の形態1における イッチング素子の電気的特性を測定した結 を示す特性図である。 図6Aは、本発明の実施の形態1における 複合酸化物イオン伝導層のX線回折測定結果 示す説明図である。 図6Bは、本発明の実施の形態1における 複合酸化物イオン伝導層のX線回折測定結果 示す説明図である。 図7A~図7Dは、本発明の実施の形態1に おけるスイッチング素子の製造方法例を説明 する工程図である。 図8A~図8Fは、本発明の実施の形態1に おける他のスイッチング素子の製造方法例を 説明する工程図である。 図9は、本発明の実施の形態2における イッチング素子の構成例を模式的に示す断 図である。 図10Aは、本発明の実施の形態2におけ スイッチング素子の動作例を説明するため 説明図である。 図10Bは、本発明の実施の形態2におけ スイッチング素子の動作例を説明するため 説明図である。 図11A~図11Dは、本発明の実施の形態 2におけるスイッチング素子の製造方法例を 明する工程図である。 図12は、文献1に記載された2端子スイ チの構造を示す構成図である。 図13は、本発明の実施の形態3における スイッチング素子の構成例を模式的に示す断 面図である。 図14A~図14Cは、本発明の実施の形態 3におけるスイッチング素子の動作例を説明 るための説明図である。 図15は、本発明の実施の形態3における スイッチング素子のより詳しい構成例を示す 断面図である。 図16は、本実施例のスイッチング素子 動作に対する電気特性の変化を示すグラフ ある。 図17は、スイッチングの繰り返し耐性 ついて説明する説明図である。 図18は、本発明の実施の形態3における スイッチングの繰り返し耐性について説明す る説明図である。 図19A~図19Dは、本発明の実施の形態 3におけるスイッチング素子の製造方法例を 明する工程図である。

 以下、本発明の実施の形態について図を 照して説明する。

[実施の形態1]
 始めに、本発明の実施の形態1について説明 する。図1は、発明の実施の形態1におけるス ッチング素子の構成例を模式的に示す断面 である。このスイッチング素子は、第1電極 101と、第2電極102と、第1電極101および第2電極 102の間に配置された複合酸化物イオン伝導層 103とを備える。まず、複合酸化物イオン伝導 層103は、金属酸化物を含む少なくとも2つの 化物を備えている。また、第1電極101は、複 酸化物イオン伝導層103に電子を供給可能と ている。また、第2電極102は、金属を含み、 この金属のイオンを複合酸化物イオン伝送層 103に供給可能としている。なお、第1電極101 、電圧を印加した際に、複合酸化物イオン 導層103中に金属イオンを供給しないことが ましい。

 このように構成された本実施の形態にお るスイッチング素子では、例えば、第1電極 101を接地状態とし、第2電極102に所定の正の 圧を印加すると、図2に示すように、第2電極 102に含まれている金属のイオン(金属イオン)2 05が、複合酸化物イオン伝導層103に拡散(溶解 )する。このとき、複合酸化物イオン伝導層10 3には、第1電極101より電子が供給されている で、複合酸化物イオン伝導層103に拡散して る金属イオン205は、同時に供給されている 子により、金属として析出する。この析出 た金属は、複合酸化物イオン伝導層103にお て、第1電極101側より金属架橋204を形成する 。このようにして形成された金属架橋204によ り、第1電極101と第2電極102とが電気的に接続 れ、本スイッチング素子がオン状態となる

 一方、上述したように金属架橋204が形成 れたオン状態とされているスイッチング素 において、第1電極101を接地状態とし、第2 極102に所定の負の電圧を印加すると、今度 、金属架橋204を形成している一部の析出金 の電子が第1電極101に移動して金属イオンと る。金属イオンの一部は第2電極102に戻る。 このようにして、イオンとなることで、金属 架橋204の一部が消滅する。例えば、金属架橋 204が、第1電極101の側と第2電極102の側の2の部 分に分離する。これらの結果として、第1電 101と第2電極102との間の電気的な接続が切断 れ、本スイッチング素子がオフ状態となる なお、このようにして本スイッチング素子 オフ状態になる過程で、電気的接続が完全 切れる前の段階から第1電極101および第2電 102間の抵抗が大きくなり、また、電極間容 が変化するなど電気特性の変化があり、最 的に電気的接続が切れる。

 以上のようにしてオフ状態とした後、ま 、オン状態とするためには、前述したよう 、第2電極102に正電圧を印加すればよい。な お、上述では、第1電極101を接地状態とした 、これに限るものではなく、例えば、第2電 102を接地して第1電極101に負電圧を印加して スイッチをオン状態にしてもよい。また、第 2電極102を接地し、第1電極101に正電圧を印加 てスイッチをオフ状態にしてもよい。

 次に、複合酸化物イオン伝導層103につい 説明する。複合酸化物イオン伝導層103は、 えば、金属酸化物としての酸化タンタルと の酸化物としての酸化シリコンとを含んで 成されたものであり、酸化タンタルを主成 とし、ここに、46mol%の酸化シリコンを含む のであればよい。このように構成された2元 系の酸化物は、例えば、各々の酸化物を所望 の割合で含む焼結体ターゲットを用いたスパ ッタ法により形成することができる。また、 レーザアブレーション法により、各々の酸化 物の焼結体ターゲットを同じ成膜チャンバー 内で同時に昇華させることで形成できる。

 上述した本実施の形態におけるスイッチ グ素子によれば、例えば、よく知られたCMOS などの半導体装置の製造プロセスにおける熱 履歴が加えられても、第2電極102などからの 合酸化物イオン伝導層103に対する金属の拡 が抑制されるようになり、前述したように ーク電流の増加や、オフ状態が得られない どの問題が解消されるようになる。

 次に、実際に作製した素子を用いて電気 特性を測定した結果について説明する。作 したスイッチング素子(試料)は、第1電極101 して膜厚100nmの白金電極を用い、第2電極102 して膜厚100nmの銅電極を用いる。また、参 試料として、酸化タンタルより構成したイ ン伝導層を用い、試料として、本実施の形 における複合酸化物イオン伝導層103を用い 。また、複合酸化物イオン伝導層103(イオン 導層)は、層厚15nmに形成する。なお、各試 (スイッチング素子)は、シリコン基板の上に 、層間絶縁膜を介して形成する。また、以下 の測定では、参照試料および試料を、窒素雰 囲気で400℃・30分の熱処理条件で加熱を行い この加熱の前後における電気特性の変化を 定する。

 加熱処理を行っていない参照試料は、第1 電極を接地して、第2電極に正電圧を印加す と、図3に点線で示すように、1.8Vでスイッチ がオフ状態(高抵抗の状態)からオン状態(低抵 抗の状態)へ遷移する。この際、参照試料に かる電流を10μAが上限となるよう制限する。 次に、負電圧を印加すると-0.5Vで電流は減少 、オフ状態に遷移する。この際は、参照試 に流れる電流を50mAが上限となるよう制御す る。

 次に、参照試料に対して上記熱処理を加 、この後、第1電極を接地して、第2電極に 電圧を印加すると、図3の実線に示すように 加熱処理を行っていない参照試料の約4倍の 6.0Vで、スイッチがオフ状態からオン状態へ 移する。この際、加熱処理を行っていない 態に比較して、1Vの電圧を印加したときの漏 れ電流は2桁程度大きい。

 上述した参照試料に対し、本実施の形態 スイッチング素子に対応する試料では、加 処理の前後で、電気特性は図4に示すように 変化した。まず、加熱処理を行っていない試 料において、第1電極101を接地して、第2電極1 02に正電圧を印加すると、3.4Vでスイッチがオ フ状態(高抵抗の状態)からオン状態(低抵抗の 状態)へ遷移する。この際、1Vの電圧印加時に 観測された漏れ電流は、参照試料に比較して 3桁程度小さい。次に、負電圧を印加すると -0.4Vで電流は減少し、オフ状態に遷移する。 この際、試料に流れる電流を50mAが上限とな よう制御する。

 次に、本実施の形態に対応する試料に対 て上記熱処理を加え、この後、第1電極101を 接地して、第2電極12に正電圧を印加すると、 加熱処理を行っていない状態と同様に、3.4V スイッチがオフ状態からオン状態へ遷移す 。この際、1Vの電圧を印加したときの漏れ電 流は加熱処理の有無で同じとなる。

 次に、金属イオンがイオン伝導層内に拡 しない負電圧を、イオン伝導層が絶縁破壊 るまで印加した結果について図5に示す。図 5において、実線が参照試料の結果を示し、 線が本実施の形態に対応する試料の結果を している。参照試料に比較し、本実施の形 に対応する試料は、リーク電流が少なく、 縁破壊電圧が高いことがわかる。

 次に、本実施の形態における複合酸化物 オン伝導層103について、X線回折の測定結果 について説明する。測定を行う複合酸化物イ オン伝導層は、よく知られたRFスパッタ法に り、酸化タンタルと酸化シリコンとから構 されて酸化シリコンを46mol%含んだ焼結体タ ゲットを用い、層厚50nmに成膜したものであ る。また、比較の対象として、RFスパッタ法 より酸化タンタルの焼結体ターゲットを用 て層厚50nmに成膜した参照試料も測定を行う 。

 本実施の形態に対応する複合酸化物イオ 伝導層は、800℃で加熱処理をする前と後と X線回折測定を行い、参照試料は、500℃,600 ,700℃,800℃で加熱処理をした後でX線回折測 を行う。本実施の形態に対応する複合酸化 イオン伝導層の測定結果は、図6Aに示し、参 照試料の測定結果は、図6Bに示す。まず、図6 Bを見ると、参照試料では、700℃および800℃ おいて、500℃および600℃には無いピークが 現しており、700℃以上で結晶化しているこ がわかる。

 これに対し、複合酸化物イオン伝導層で 、図6Aに示すように、参照試料が結晶化し いると考えられる700℃を超える800℃で加熱 てもピークが出現していなく、結晶化せず 非晶質を保っているものと考えられる。こ らのことより、酸化タンタルに酸化シリコ を加えた複合酸化物(複合酸化物イオン伝導 )は、酸化タンタルで構成したイオン伝導層 に比較して、結晶化しにくいものと考えられ る。

 イオン伝導層として適用可能な酸化タン ルなどの金属酸化物は、LSI製造工程や使用 境温度である150℃から400℃のような結晶化 度より低い温度範囲でも、X線回折に反映さ れないわずかな結晶化が進行する。酸化タン タルと酸化シリコンの複合酸化物は酸化タン タルよりも結晶化しにくいことから、150℃か ら400℃の範囲における結晶化も進行しにくい と考えられる。

 前述したように、CMOSの製造プロセスにお ける熱履歴によるイオン伝導層への金属イオ ンの拡散の問題は、上述したイオン伝導層に おける結晶化が1つの要因であるものと考え れる。酸化タンタルなどの金属酸化物は、 晶質より結晶状態のほうが金属イオンの拡 が促進される。本実施の形態における複合 化物イオン伝導層103では、上述したように 高温環境下においても結晶化せずに非晶質 状態が維持されているため、結晶粒界を通 て起こる金属イオンの速い拡散を抑制する とができ、高温環境下での金属イオンの拡 が抑制できるものと考えられる。この結果 図3,図4,図5を用いて説明したように、本実施 の形態のスイッチング素子によれば、400℃・ 30分の熱処理が加わっても、リーク電流の増 を招くことが無く高い信頼性が保たれてい 。

 ところで、本実施の形態における電気化 反応を利用したスイッチング素子では、例 ばオンに移行(遷移)する電圧(オン電圧)が、 複合酸化物イオン伝導層103における金属イオ ンの拡散速度に依存する。この拡散速度が小 さすぎるとオン電圧が大きくなり過ぎ、スイ ッチング素子としては好ましくない。これに 対し、複合酸化物イオン伝導層103では、銅イ オンの拡散速度が、酸化タンタル中に対して 100倍程度小さい酸化シリコンを組み合わせて 用いており、スイッチング電圧の大幅な高電 圧化を招くことがない。なお、酸化シリコン の代わりに酸化アルミニウムを用いても、上 述同様であることが確認されている。

 次に、本実施の形態におけるスイッチン 素子の製造方法について、実施例を用いて り詳細に説明する。

[実施例1]
 始めに、実施例1の製造方法について、図7A~ 図7Dを用いて説明する。

[工程1]
 図7Aに示すように、低抵抗な単結晶シリコ からなる基板701を用意し、基板701の表面に 厚300nmのシリコン酸化膜702を形成する。また 、シリコン酸化膜702の上に、例えば真空蒸着 法もしくはスパッタ法により、白金からなる 膜厚100nmの第1電極703を形成する。なお、第1 極703は、白金に限らず、タングステン,タン ル,チタンなどの、複合酸化物イオン伝導層 に金属イオンを溶出させない材料から構成さ れていればよい。ところで、基板701は、よく 知られた技術により、MOSトランジスタや抵抗 素子などの複数の半導体素子が集積されて形 成されていてもよい。この場合、シリコン酸 化膜702は、層間絶縁膜となる。

[工程2]
 図7Bに示すように、第1電極703の上に、層厚1 5nmの複合酸化物イオン伝導層704を形成する。 複合酸化物イオン伝導層704は、例えば、酸化 タンタルをベースとして46mol%の酸化シリコン が含まれた焼結体ターゲットを用い、よく知 られたRFスパッタ法により形成すればよい。 の際、成膜される複合酸化物の組成が、タ ゲットの組成に近くなるように、供給する 素流量などの各条件を最適化して設定する

 例えば、ターゲットに印加するRFパワーは10 0W、成膜室内に供給するアルゴンガスは12sccm し、酸素流量は0.5sccmとし、成膜室内の圧力 は0.5Pa程度に維持する。これらのスパッタ条 により、酸化タンタルをベースとして46mol% 酸化シリコンが含まれた状態に、複合酸化 イオン伝導層704が形成される。なお、sccmは 流量の単位であり、0℃・1気圧の流体が1分間 に1cm 3 流れることを示す。

[工程3]
 以上のようにして複合酸化物イオン伝導層7 04が形成された後、図7Cに示すように、まず 複合酸化物イオン伝導層704の上に、スパッ 法もしくはCVD(Chemical Vapor Deposition)法により 、酸化シリコンからなる層厚100nmの絶縁層705 形成する。次に、公知のリソグラフィー技 を用い、スピンコートにより絶縁層705の上 感光性レジスト層を形成し、所定の光像を 光性レジストに感光させて潜像を形成し、 れを現像することで、所望とする箇所に開 部を備えたレジストパターンを形成する。 のようにして形成したレジストパターンを スクとし、よく知られたドライエッチング により、絶縁層705を選択的にエッチングし 底部に複合酸化物イオン伝導層704の一部表 が露出する開口部705aを形成する。

[工程4]
 以上のようにして、開口部705aを備えた絶縁 層705を形成した後、この上に、真空蒸着法も しくはスパッタ法により膜厚100nmの銅を堆積 せて銅膜を形成し、この銅膜を公知のリソ ラフィー技術およびエッチング技術により 工することで、図7Dに示すように、第2電極7 06を形成する。第2電極706は、開口部705a内に いて、複合酸化物イオン伝導層704に接した 態となる。

[実施例2]
 次に、実施例2の製造方法について説明する 。なお、この実施例2においても、図7を用い 説明する。

[工程1]
 図7Aに示すように、低抵抗な単結晶シリコ からなる基板701を用意し、基板701の表面に 厚300nmのシリコン酸化膜702を形成する。また 、シリコン酸化膜702の上に、白金からなる膜 厚100nmの第1電極703を形成する。これは、上述 した実施例1と同様である。

[工程2]
 図7Bに示すように、第1電極703の上に、層厚1 5nmの複合酸化物イオン伝導層704を形成する。 複合酸化物イオン伝導層704は、例えば、酸化 タンタルからなる焼結体ターゲットと酸化シ リコンのターゲットとの、2つのターゲット 同一の成膜室内で用い、よく知られたRFスパ ッタ法により形成することができる。この際 、成膜される複合酸化物が、所望の組成比の 状態となるように、供給する酸素流量やター ゲットへの印加電力などの各条件を最適化し て設定する。所望の組成比は、例えば、酸化 タンタルをベースとして46mol%のシリコンが含 まれた状態である。

 例えば、ターゲットに印加するRFパワー 100~500W、成膜室内に供給するアルゴンガスと 酸素との流量比を10:3し、成膜室内の圧力は0. 5Pa程度に維持する。これらのスパッタ条件に より、酸化タンタルをベースとして46mol%の酸 化シリコンが含まれた状態に、複合酸化物イ オン伝導層704が形成される。

[工程3]
 以上のようにして複合酸化物イオン伝導層7 04が形成された後、図7Cに示すように、複合 化物イオン伝導層704の上に、開口部705aを備 た絶縁層705を形成する。

[工程4]
 次に、図7Dに示すように、絶縁層705の上に 第2電極706を形成する。
 以上の工程3,工程4は、前述した実施例1と同 様である。

[実施例3]
 次に、実施例3の製造方法について説明する 。なお、この実施例3では、図8A~図8Fを用い、 半導体集積回路の配線層中にスイッチング素 子を組み込んだ場合の製造方法例について説 明する。

[工程1]
 図8Aに示すように、単結晶シリコンかなる 板801を用意し、この上に、第1保護絶縁膜802, 第1層間絶縁膜803,および第1ストップ絶縁膜804 を形成する。なお、基板801は、よく知られた 技術により、MOSトランジスタや抵抗素子など の複数の半導体素子が集積されて形成されて いる。

[工程2]
 図8Bに示すように、まず、公知のフォトリ グラフィー技術およびエッチング技術を用 、第1保護絶縁膜802,第1層間絶縁膜803,および 1ストップ絶縁膜804を貫通する開口部が形成 され状態とする。次に、この開口部の内部を 含む第1ストップ絶縁膜804の上に、第1バリア タル層805が形成された状態とし、次いで、 1バリアメタル層805の表面にスパッタ法によ り銅シード層を形成する。銅シード層は、層 厚20~100nm程度であればよい。次に、形成した シード層の上に、メッキ法により銅を析出 せ、膜厚300~800nm程度の銅膜を形成する。

 次に、よく知られたCMP(Chemical Mechanical Po lishing)法により、第1ストップ絶縁膜804の表面 が露出するまで上記銅膜を研削削除し、第1 護絶縁膜802,第1層間絶縁膜803,および第1スト プ絶縁膜804を貫通する開口部の内部に、第1 バリアメタル層805を介して銅からなる第1配 層806を形成する。この後、第1ストップ絶縁 804の上に、第2保護絶縁膜807を形成する。第 2保護絶縁膜807は、第1配線層806の上面を覆う うに形成する。

[工程3]
 図8Cに示すように、第2保護絶縁膜807の上に 第2層間絶縁膜808,第3保護絶縁膜809,第3層間 縁膜810,および第2ストップ絶縁膜811が、これ らの順に積層された状態とする。

[工程4]
 図8Dに示すように、第2ストップ絶縁膜811お び第3層間絶縁膜810を貫通する開口部812を形 成する。開口部812は、第1配線層806に接続す 配線ビアを形成するための開口領域に形成 ればよい。開口部812は、よく知られたフォ リソグラフィー技術およびエッチング技術 用いて形成すればよい。

 例えば、スピンコートにより第2ストップ 絶縁膜811の上に感光性レジスト層を形成し、 所定の光像を感光性レジストに感光させて潜 像を形成し、これを現像することで、所望と する箇所に開口部を備えたレジストパターン を形成する。このようにして形成したレジス トパターンをマスクとし、よく知られたドラ イエッチング法により、第2ストップ絶縁膜81 1および第3層間絶縁膜810を選択的にエッチン し、底部に第3保護絶縁膜809の一部表面が露 出する開口部812が形成された状態とすればよ い。例えば、90nm世代と呼ばれるリソグラフ ー技術では、開口部812の直径は80~200nm程度に 形成可能である。

[工程5]
 図8Eに示すように、第2層間絶縁膜808および 2保護絶縁膜807を貫通する接続孔813が形成さ れ、第2ストップ絶縁膜811および第3層間絶縁 810に配線溝812aを形成する。例えば、前述同 様に、公知のリソグラフィー技術およびエッ チング技術を用いることで、配線溝812aを形 することができる。この、配線溝812aの形成 おいて、既に形成されていた開口部812の形 が第2層間絶縁膜808および第2保護絶縁膜807 転写され、接続孔813が形成された状態が得 れる。配線溝812aは、スイッチング素子の第2 電極およびこれに接続する第2配線層が形成 れる領域である。

[工程6]
 形成された接続孔813および配線溝812aの内部 に、スイッチング素子の第1電極として機能 る第2バリアメタル814を形成し、この上に、 合酸化物イオン伝導層815を形成する。複合 化物イオン伝導層815は、前述同様に、スパ タ法により形成すればよく、形成した層の さ(堆積厚)として15nm程度とすればよい。こ 後、スパッタ法により層厚20~100nm程度に銅 ード層を形成し、この上に、メッキ法によ 銅膜を形成する。形成する銅膜は、膜厚300~8 00nm程度とすればよい。この後、よく知られ CMP法により、第2ストップ絶縁膜811の表面が 出するまで上記銅膜,第2バリアメタル814お び複合酸化物イオン伝導層815の一部を研削 除する。

 このことにより、図8Fに示すように、複 酸化物イオン伝導層815の上の凹部の領域に 銅からなる第2配線層816が形成された状態が られる。次に、第2ストップ絶縁膜811の上に 、第3バリア層817を介して上層配線層818を形 する。上層配線層818は、第2配線層816の上面 覆うように形成する。

 なお、各保護絶縁膜は、例えば、シリコ ナイトライドもしくはこの中に任意の量の 素が混合された材料など、配線層からの銅 拡散を抑制する材料から構成することが好 しい。また、各層間絶縁膜は、例えば、任 の量の水素,フッ素,および炭素が添加され シリコン酸化物よりなる低誘電率絶縁材料 ら構成されていることが好ましい。さらに 各層間絶縁膜は、よく知られた空孔を含む で構成されているとよい(非特許文献1参照) 空孔を含む膜は、上述した低誘電率絶縁材 より、さらに誘電率を下げることが知られ いる。なお、空孔の大きさは、nm以下である ことが好ましい。

 また、各ストップ絶縁膜は、シリコン酸 膜から構成されていればよく、膜厚は、50~2 00nm程度であればよい。また、各絶縁膜は、 く知られたスパッタ法またはCVD法で形成す ことができる。

 次に、バリアメタルは、例えば、タンタ ナイトライドおよびタンタルの積層構造で く、開口部や配線溝の底面および側壁を覆 ように形成され、銅が層間絶縁膜へ拡散す のを防ぐ役割を果たしている。このような リアメタルとしてのタンタルナイトライド よびタンタルの膜厚は、5~30nm程度であれば い。

[実施の形態2]
 次に、本発明の実施の形態2について説明す る。図9は、発明の実施の形態2におけるスイ チング素子の構成例を模式的に示す断面図 ある。このスイッチング素子は、金属酸化 を含む少なくとも2つの酸化物を備えた複合 酸化物イオン伝導層903と、複合酸化物イオン 伝導層903の一方の面の側に配置され、複合酸 化物イオン伝導層903に電子を供給する第1電 901を備える。

 また、本実施の形態におけるスイッチン 素子は、金属を含み、複合酸化物イオン伝 層903の他方の面の側に配置されて複合酸化 イオン伝導層903に金属のイオンを供給する 2電極902と、上記金属を含み、複合酸化物イ オン伝導層903の一方の面の側に配置されて複 合酸化物イオン伝導層903に金属のイオンを供 給する第3電極904を備える。また、複合酸化 イオン伝導層903の他方の面の側に第2電極902 対して絶縁分離して配置された第3電極904と を備える。なお、第1電極901は、電圧を印加 た際に、複合酸化物イオン伝導層903中に金 イオンを供給しないことが望ましい。

 次に、本実施の形態におけるスイッチン 素子の動作(駆動)例について、図10を用いて 説明する。まず、第1電極901を接地状態とし 第2電極902に正の電圧を印加することで、こ らの間で前述した2端子操作を行い、複合酸 化物イオン伝導層903に金属架橋906を形成する 。第1電極901を接地状態として第2電極902に正 電圧を印加すると、まず、第2電極902を構成 している金属が金属イオン905になって複合酸 化物イオン伝導層903に拡散(溶解)する。この うにして溶解した金属イオン905が、複合酸 物イオン伝導層903の中に析出して金属架橋9 06を形成し、形成された金属架橋906により第1 電極901と第2電極902とが接続された状態とす 。この後、第2電極902に負の電圧を印加する とで、金属架橋906の一部を溶解させ、第1電 極901と第2電極902との間の接続状態が切断(オ )された状態とする。

 以上のようにして、複合酸化物イオン伝 層903の中に、第1電極901と第2電極902とを接 する金属架橋906を形成してこの一部を切断 た後、今度は、第1電極901および第2電極902が 接地された状態とし、第3電極904に正電圧が 加された状態とする。このことにより、ま 、第3電極904を構成している金属が金属イオ 905になって複合酸化物イオン伝導層903に溶 する。このようにして溶解した金属イオン9 05が、複合酸化物イオン伝導層903の中の金属 橋906の箇所に析出し、切断されていた部分 接続し、結果として、第1電極901と第2電極90 2とが接続された状態となる。

 一方、上述したように、第3電極904に正電 圧を印加することで、第1電極901と第2電極902 が接続されたオン状態で、第3電極904に負の 電圧を印加すると、金属架橋906の一部の金属 が複合酸化物イオン伝導層903に溶解し、金属 架橋906の一部が切断される。この際、金属イ オン905は、第2電極902に回収される。これに り、第1電極901と第2電極902との電気的接続が 切断され、本スイッチング素子がオフ状態と なる。

 なお、第3電極904を接地状態とし、第1電 901もしくは第2電極902に負電圧を印加してス ッチング素子をオン状態にし、また、第1電 極901もしくは第2電極902に正電圧を印加して イッチング素子をオフ状態にしてもよい。 た、第1電極901は、この全体が金属イオンを 給しない状態である必要が無く、言い換え と、第2電極902および第3電極904が含んでい 金属を、第1電極901が全く含んでいないもの ある必要はない。第1電極901の複合酸化物イ オン伝導層903に接触する領域が、金属イオン を供給しない状態であればよい。

 例えば、図10Bに示すように、第1電極901も 第2電極902および第3電極904と同様の材料から 成し、第1電極901と複合酸化物イオン伝導層 903との界面に、上記金属(金属イオン)の移動 抑制して導電性を備えるバリア層911が配置 れていてもよい。バリア層911を設けること 、第1電極901を構成している金属のイオンの 複合酸化物イオン伝導層903に対する拡散が、 抑制できるようになる。

 次に、本実施の形態2におけるスイッチン グ素子の製造方法について、図11A~図11Dを用 て説明する。

[工程1]
 図11Aに示すように、低抵抗な単結晶シリコ からなる基板1101を用意し、基板1101の表面 膜厚300nmのシリコン酸化膜1102を形成する。 た、シリコン酸化膜1102の上に、例えば真空 着法もしくはスパッタ法により、銅からな 膜厚100nmの第2電極1103を形成する。第2電極11 03が、図9(図10)の第2電極902に相当する。

[工程2]
 図11Bに示すように、第2電極1103の上に、層 15nmの複合酸化物イオン伝導層1104を形成する 。複合酸化物イオン伝導層1104は、例えば、 化タンタルをベースとして46mol%の酸化シリ ンが含まれた焼結体ターゲットを用い、よ 知られたRFスパッタ法により形成すればよい 。この際、成膜される複合酸化物の組成が、 ターゲットの組成に近くなるように、供給す る酸素流量などの各条件を最適化して設定す る。

 例えば、ターゲットに印加するRFパワー 100W、成膜室内に供給するアルゴンガスは12sc cmとし、酸素流量は0.5sccmとし、成膜室内の圧 力は0.5Pa程度に維持する。これらのスパッタ 件により、酸化タンタルをベースとして46mo l%の酸化シリコンが含まれた状態に、複合酸 物イオン伝導層1104が形成される。

[工程3]
 以上のようにして複合酸化物イオン伝導層1 104が形成された後、まず、複合酸化物イオン 伝導層1104の上に、スパッタ法により、酸化 リコンからなる層厚100nmの絶縁層を形成する 。次に、公知のリソグラフィー技術を用い、 スピンコートにより絶縁層の上に感光性レジ スト層を形成し、所定の光像を感光性レジス トに感光させて潜像を形成し、これを現像す ることで、所望とする箇所に開口部を備えた レジストパターンを形成する。このようにし て形成したレジストパターンをマスクとし、 よく知られたドライエッチング法により、絶 縁層を選択的にエッチングする。これらのこ とにより、図11Cに示すように、底部に複合酸 化物イオン伝導層1104の表面が底部に露出す 開口部1105aを備えた絶縁層1105が、複合酸化 イオン伝導層1104の一部領域に形成された状 が得られる。

[工程4]
 以上のようにして、開口部1105aを備えた絶 層1105を形成した後、この上に、真空蒸着法 しくはスパッタ法により膜厚100nmの白金を 積させて白金膜を形成する。次に、この白 膜を公知のリソグラフィー技術およびエッ ング技術により加工することで、図11Dに示 ように、第1電極1106を形成する。第1電極1106 、開口部1105a内において、複合酸化物イオ 伝導層1104に接続した状態となる。第1電極110 6が、図9(図10)の第1電極901に相当する。

 また、第1電極1106を形成した後、第1電極1 106および絶縁層1105を含む複合酸化物イオン 導層1104の上に、真空蒸着法もしくはスパッ 法により膜厚100nmの銅膜を形成する。次に この銅膜を公知のフォトリソグラフィー技 およびエッチング技術により加工すること 、第3電極1107を形成する。第3電極1107が、図9 (図10)の第3電極904に相当する。

 なお、上述した実施の形態では、複合酸 物イオン伝導層に供給される金属イオンと て、銅イオンを用いるようにしたが、これ 限るものではない。例えば、複合酸化物イ ン伝導層が酸化タンタルをベースとしてい 場合、第2電極(第3電極)を銀から構成し、複 合酸化物イオン伝導層に銀イオンが供給され 、複合酸化物イオン伝導層の中に、銀からな る金属架橋が形成されるようにしてもよい。

 また、上述した実施の形態では、複合酸 物イオン伝導層が、金属酸化物としての酸 タンタルと他の酸化物としての酸化シリコ とを含んで構成されたものとしたが、これ 限るものではない。例えば、金属イオンが 導可能な空格子点を備える他の金属酸化物 ベースとして構成されていてもよい。この うな金属酸化物をベースとし、前述したよ に、当該金属酸化物の結晶化の抑制が可能 酸化物を組み合わせ(添加し)て複合酸化物 オン伝導層を構成するようにしてもよい。 属酸化物の結晶化が抑制できれば、CMOSの製 プロセスにおける高温下においても、非晶 の状態が維持され、結晶粒界を通して起こ 金属イオンの速い拡散を抑制することがで 、高温環境下での金属イオンの拡散が抑制 きるものと考えられる。

[実施の形態3]
 次に、本発明の実施の形態3について説明す る。図13は、本実施の形態におけるスイッチ グ素子の構成例を模式的に示す断面図であ 。このスイッチング素子は、第1電極1301と 第2電極1302と、第1電極1301および第2電極1302 間に配置された酸化物イオン伝導層(第1イオ ン伝導層)1303と複合酸化物イオン伝導層(第2 オン伝導層)1304とを備える。酸化物イオン伝 導層1303は、例えば酸化タンタルなどの金属 化物から構成されている。

 これに対し、複合酸化物イオン伝導層1304 は、金属酸化物を含む少なくとも2つの酸化 を備えている。例えば、複合酸化物イオン 導層1304は、金属酸化物としての酸化タンタ と他の酸化物としての酸化シリコンとを含 で構成されたものであり、酸化タンタルを 成分とし、ここに、33mol%の酸化シリコンを むものであればよい。これらの複合酸化物 オン伝導層1304および酸化物イオン伝導層130 3は金属イオンが伝導するための媒体となる

 また、第1電極1301は、酸化物イオン伝導 133(複合酸化物イオン伝導層1304)に電子を供 可能としている。また、第2電極1302は、金属 を含み、この金属のイオンを複合酸化物イオ ン伝送層1304(酸化物イオン伝導層133)に供給可 能としている。なお、第1電極1301は、電圧を 加した際に、酸化物イオン伝導層133および 合酸化物イオン伝導層1304中に金属イオンを 供給しないことが望ましい。

 酸化物イオン伝導層1303は、例えばスパッ タ法により酸化タンタルを堆積することで形 成することができる。また、複合酸化物イオ ン伝導層1304は、実施の形態1と同様に2種類の 酸化物を焼結したターゲットを用いたスパッ タ法により形成することができる。また、複 合酸化物イオン伝導層1304は、レーザアブレ ション法により、各々の酸化物の焼結体タ ゲットを同じ成膜チャンバー内で同時に昇 させることで形成できる。

 本実施の形態の酸化物イオン伝導層と複 酸化物イオン伝導層の積層構造は、実施の 態1における単独で複合酸化物イオン伝導層 を用いた構造に比較し、加熱処理後のスイッ チング回数が向上する。本実施の形態3にお るスイッチング素子では、まず、金属イオ の拡散を複合酸化物イオン伝導層1304で防ぐ これに加え、本スイッチング素子では、駆 時の金属架橋の伸縮が、酸化物イオン伝導 1303で行われるようになり、熱耐性と繰り返 し耐性が両立できるようになる。本実施の形 態では、酸化物イオン伝導層1303で金属架橋 伸縮を行わせているので、スイッチング電 をあまり高くする必要がなく、イオン伝導 としての部分の劣化を招くことがない。こ 結果、スイッチングの繰り返し回数を向上 せることができる。このように、本実施の 態では、酸化物イオン伝導層1303と複合酸化 イオン伝導層1304とにより、イオン伝導層を 構成しているところに特徴がある。

 なお、複合酸化物イオン伝導層1304の厚さ は、プログラマブルロジックの配線スイッチ の製造工程によって生じる熱処理過程(350℃ 270分)の前後で、スイッチング電圧および漏 電流の変化が10%程度となるように最適化す 。

 次に、本実施の形態におけるスイッチン 素子の駆動について図14A~図14Cを用いて説明 する。まず、第1電極1301を接地し、第2電極130 2に正電圧を印加すると、図14Aに示すように 第2電極1302の金属が金属イオン1406になり、 合酸化物イオン伝導層1304および酸化物イオ 伝導層1303に溶解する。このとき、酸化物イ オン伝導層1303には、第1電極1301より電子が供 給されているので、拡散している金属イオン 1406は、同時に供給されている電子により、 属として析出する。この析出した金属は、 化物イオン伝導層1303において、第1電極1301 側より金属架橋1405を形成する。

 形成された金属架橋1405は、上述した電圧 印加状態を継続することで、図14Bに示すよう に第2電極1302に到達し、第1電極1301と第2電極1 302とが電気的に接続され、このスイッチング 素子がオン状態となる。

 一方、上記オン状態で第1電極1301を接地 て、第2電極1302に負電圧を印加すると、金属 架橋1405が複合酸化物イオン伝導層1304に金属 オン1406となって溶解して金属架橋1405の一 が切れ、図14Cに示すように、金属架橋1405aと 金属架橋1405bとに分離する。この際、複合酸 物イオン伝導層1304および酸化物イオン伝導 層1303内の金属イオン1406は第2電極1302に回収 れる。これにより、第1電極1301と第2電極1302 の電気的接続が切れ、スイッチがオフ状態 なる。

 なお、スイッチがオフ状態になるとき、 気的接続が完全に切れる前の段階から、第1 電極1301および第2電極1302間の抵抗が大きくな り、また、電極間容量が変化するなど電気特 性の変化があり、最終的に電気的接続が切れ る。

 上記オフ状態からオン状態にするには、 び第2電極1302に正電圧を印加すればよい。 た、第2電極1302を接地することで、第1電極13 01に負電圧を印加してスイッチをオン状態に 、また、第2電極1302を接地することで、第1 極1301に正電圧を印加すればよい。これによ り、第2電極1302の金属が金属イオン1406として 複合酸化物イオン伝導層1304および酸化物イ ン伝導層1303に溶解する。溶解した金属イオ 1406は、第1電極1301より供給されている電子 より、金属架橋1405aと金属架橋1405bと間に析 出する。この結果、また、金属架橋1405aと金 架橋1405bとが一体に接続し、第1電極1301と第 2電極1302とが電気的に接続され、このスイッ ング素子がオン状態となる。

 次に、本実施の形態におけるスイッチン 素子について、実施例を用いてより詳細に 明する。

[実施例4] 
 まず、本実施例のスイッチング素子の構成 ついて図15の断面図を用いて説明する。こ スイッチング素子は、例えば、低抵抗な単 晶シリコンからなる基板1501と、基板1501の上 に形成されたシリコン酸化膜1502と、シリコ 酸化膜1502の上に形成された第1電極1503と、 化物イオン伝送層1504とを備える。また、酸 物イオン伝送層1504の上には、複合酸化物イ オン伝送層1505が形成されている。また、複 酸化物イオン伝送層1505の上には、絶縁層1506 が形成され、絶縁層1506の上に第2電極1507が形 成されている。例えば、複合酸化物イオン伝 送層1505の一部が、絶縁層1506により覆われて る。また、絶縁層1506の一部に形成された開 口部(貫通孔)を介し、複合酸化物イオン伝送 1505と第2電極1507とが接続している。

 酸化物イオン伝導層1504は、酸化タンタル から構成され、層厚12nmに形成されている。 合酸化物イオン伝送層1505は、酸化シリコン 33mol%含む酸化タンタルから構成され、層厚3 nmに形成されている。また、第1電極1503は、 金から構成され、膜厚40nmに形成され、第2電 極1507は、銅から構成されて膜厚100nmに形成さ れている。

 この実施の形態におけるスイッチング素 では、本構成では、絶縁層1506に形成した貫 通孔の領域にスイッチが形成され、スイッチ の接合面積を貫通孔の開口程度の大きさにで きる。また、基板1501は、よく知られた技術 より、MOSトランジスタや抵抗素子などの複 の半導体素子(不図示)が集積されて形成され ている。例えば、MOSトランジスタ(図示せず) 形成され、このMOSトランジスタのドレイン( ドレイン電極)に第1電極1503が接続している。

 次に、本実施の形態におけるスイッチン 素子の特性について、図16,17,18を用いて説 する。まず、図16は、本実施例のスイッチン グ素子の動作に対する電気特性の変化を示す グラフである。なお、図16において、(a)は、 素雰囲気下において350℃・270分の加熱処理 施した後の特性であり、(b)は、この加熱処 を行う前の特性である。また、ここでは、 1電極1503を基板1501に形成されているn型のMOS FET(不図示)のドレイン電極を介して接地し、 2電極1507に正電圧および負電圧を印加して る。

 まず、加熱処理を行っていない場合、図1 6の(b)に示すように、第2電極1507に正電圧を印 加すると、8.5Vでスイッチがオフ状態(高抵抗 状態)からオン状態(低抵抗の状態)へ遷移す 。この際、MOSFETのゲート電極に5Vを印加し スイッチング素子にかかる電流を約8mAに制 している。MOSFETのゲート幅は40μmである。次 に、第2電極1507に負電圧を印加すると-2.2Vで 流は減少し、オフ状態に遷移する。この際 上述したようにMOSFETにより、スイッチング 子に流れる電流を50mAが上限となるよう制御 ている。

 一方、加熱処理を行ったスイッチング素 において、加熱した場合と同様に、第2電極 1507に正電圧を印加すると、加熱処理を行っ いない場合に比較して1V程度大きい9.5Vでス ッチがオフ状態からオン状態へ遷移する(a) この際、4-7Vの間の電圧において観測される れ電流は、加熱処理を行っていない場合に 較して1桁程度大きくなる。また、スイッチ ング電圧および漏れ電流ともに、10%程度の変 化に抑えられている。

 次に、スイッチングの繰り返し耐性につ て説明する。まず、単独で複合酸化物イオ 伝導層を用いたスイッチング素子について 明する。なお、複合酸化物イオン伝導層を 成した後に、窒素環境下で350℃・30分の加 処理を施している。この例では、図17に示す ように、繰り返し28回まではオンとオフとの り替えが行える、29回目以降は、オフ状態 遷移しなくなる。なお、図17において、(a)が オンを示し、(b)がオフを示している。

 次に、複合酸化物イオン伝導層に加えて 化物イオン伝導層を用いた本実施の形態に けるスイッチング素子について説明する。 お、酸化物イオン伝導層および複合酸化物 オン伝導層を形成した後に、窒素環境下で3 50℃・30分の加熱処理を施している。この場 、図18に示すように、繰り返し710回までオン とオフとの切り替えが行え、大幅に増加する 。

 次に、本実施例におけるスイッチング素 の製造方法について、図19A~図19Dを用いて説 明する。

[工程1]
 図19Aに示すように、低抵抗な単結晶シリコ からなる基板1501を用意し、基板1501の表面 膜厚300nmのシリコン酸化膜1502を形成する。 た、シリコン酸化膜1502の上に、第1電極1503 形成する。例えば、まず、例えば真空蒸着 もしくはスパッタ法により、膜厚40nmの白金 を形成する。次に、白金膜の上にフォトレ スト膜を形成し、公知のフォトリソグラフ ー技術によりフォトレジスト膜をパターニ グし、所望の形状(配線形状)のレジストパ ーンを形成する。

 次に、形成したレジストパターンをマス とし、白金膜をドライエッチングしてパタ ニングすれば、第1電極1503が形成できる。 1電極1503は、例えば、所定の幅を備え、図19A の紙面左右方向に延在している配線である。 なお、第1電極1503は、白金に限らず、タング テン,タンタル,チタンなどの、複合酸化物 オン伝導層に金属イオンを溶出させない材 から構成されていればよい。

[工程2]
 図19Bに示すように、第1電極1503の上に、酸 物イオン伝導層1504および複合酸化物イオン 導層1505を形成する。例えば、酸化タンタル の焼結体ターゲットを用いたスパッタ法によ り酸化タンタルを厚さ12nm程度に堆積するこ で、酸化物イオン伝導層1504が形成できる。 き続いて、酸化タンタル中に酸化シリコン 33mol%含まれた焼結体のターゲットを用いた パッタ法により、層厚3nmの複合酸化物イオ 伝導層1505が形成できる。この後、第1電極15 03の形状に合わせ、公知のフォトリソグラフ ー技術およびエッチング技術により、酸化 イオン伝導層1504および複合酸化物イオン伝 導層1505をパターニングしてもよい。

[工程3]
 図19Cに示すように、まず、複合酸化物イオ 伝導層1505の上に、スパッタ法もしくはCVD(Ch emical Vapor Deposition)法により、酸化シリコン らなる層厚40nmの絶縁層1506を形成する。次 、公知のリソグラフィー技術を用い、所望 する箇所に開口部を備えたレジストパター を形成する。このようにして形成したレジ トパターンをマスクとし、よく知られたウ ットエッチング法により、絶縁層1506を選択 にエッチングし、底部に複合酸化物イオン 導層1505の一部表面が露出する開口部1505aを 成する。

[工程4]
 以上のようにして、開口部1506aを備えた絶 層1506を形成した後、この上に、真空蒸着法 しくはスパッタ法により膜厚100nmの銅を堆 させて銅膜を形成し、この銅膜を公知のリ グラフィー技術およびエッチング技術によ 加工する。これにより、図19Dに示すように 第2電極1507が形成できる。第2電極1507は、開 部1506a内において、複合酸化物イオン伝導 1504に接した状態となる。

 以上、実施形態を参照して本発明を説明 たが、本発明は上記実施形態に限定される のではない。本発明の構成や詳細には、本 明のスコープ内で当業者が理解し得る様々 変更をすることができる。

 この出願は、2007年12月19日に出願された 本出願特願2007-326960号を基礎とする優先権を 主張し、その開示のすべてをここに取り込む 。