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Title:
WATER-SOLUBLE ANTHRAPYRIDONE COMPOUND OR SALT THEREOF, INK COMPOSITION, AND COLORED MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078252
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an anthrapyridone compound represented by the formula (1) or a salt thereof. (1) wherein R1 represents a hydrogen atom or a C1-C8 alkyl group; a sulfonate group substituent which is located on the benzene ring substituted by a cyanuric amino group and an azo group and whose substitution position on the benzene ring is not specified is located at position-2 or position-4 when the position to be substituted by the cyanuric amino group is defined as position-1 and the position to be substituted by the azo group is defined as position-5 in the benzene ring; and R represents a hydroxy group, an anilino group, a toluidino group, a xylidino group, a (C2-C8)alkylanilino group, a phenyl(C1-C3)alkylamino group, a (C1-C12)alkylamino group, a di(C1-C12)alkylamino group, a carboxy(C1-C12)alkylamino group or a sulfo(C1-C12)alkylamino group.

Inventors:
MATSUMOTO HIROYUKI (JP)
KAJIURA NORIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071427
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
November 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KAYAKU KK (JP)
MATSUMOTO HIROYUKI (JP)
KAJIURA NORIKO (JP)
International Classes:
C09B56/12; B41J2/01; B41M5/00; C09B5/14; C09B29/20; C09D11/00
Domestic Patent References:
WO2004104107A12004-12-02
Foreign References:
JP2005008868A2005-01-13
JP2005314514A2005-11-10
JPH01197577A1989-08-09
JP2004083892A2004-03-18
JP2006124612A2006-05-18
JP2005206751A2005-08-04
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki (25-8 Higashi-ikebukuro 1-chom, Toshima-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩。
(式中、R 1 は水素原子又はC1-C8アルキル基であり、
 シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン環上の、置換位置が特定されていないスルホン酸基は、シアヌルアミノ基の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を5位とした場合に2位又は4位に置換しており、
 Rは水酸基;アニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2-C8アルキルアニリノ基;フェニルC1-C3アルキルアミノ基;C1-C12アルキルアミノ基;ジC1-C12アルキルアミノ基;カルボキシC1-C12アルキルアミノ基;又はスルホC1-C12アルキルアミノ基を表す。)
 R 1 が水素原子又はC1-C8アルキル基であり、
 Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2-C4アルキルアニリノ基;フェニルC1-C3アルキルアミノ基;C1-C8アルキルアミノ基;ジC1-C8アルキルアミノ基;カルボキシC1-C5アルキルアミノ基;又はスルホC1-C4アルキルアミノ基である請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
 R 1 がメチル基であり、
 Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2-C4アルキルアニリノ基;フェニルC1-C3アルキルアミノ基;C1-C8アルキルアミノ基;又はカルボキシC1-C5アルキルアミノ基である請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
 下記式(19)で表される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
 下記式(20)で表される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を色素として含有し、さらに水を含有することを特徴とするインク組成物。
 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項6に記載のインク組成物。
 インクジェット記録用である請求項7に記載のインク組成物。
 色素として含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物の総質量中における無機不純物の含有量が、該化合物の総質量に対して1質量%以下である請求項6乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物。
 色素として含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物の含有量が、組成物の総質量に対して0.1~20質量%の範囲である請求項6乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物。
 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
 前記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
 着色がインクジェットプリンターによりなされた請求項14に記載の着色体。
 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンター。
Description:
水溶性アントラピリドン化合物 はその塩、インク組成物及び着色体

 本発明は水溶性のアントラピリドン化合 又はその塩、これを含有するインク組成物 びこれにより着色された着色体に関する。

 各種カラー記録方法の中で、その代表的方 の一つであるインクジェットプリンターに る記録方法、すなわちインクジェット記録 、インクの吐出方式が各種開発されている 、いずれもインクの小滴を発生させ、これ 種々の被記録材、例えば、紙、フィルム、 帛等に付着させ記録を行うものである。こ 記録方法は、プリンターヘッドと被記録材 が直接接触しない為、音の発生がなく静か あり、また小型化、高速化、カラー化が容 であるという特長を有する為、近年急速に 及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待 れている。
 従来、万年筆、フェルトペン等のインク及 インクジェット記録用のインクとしては、 素として水溶性の染料を水性媒体に溶解し インクが使用されている。また、これらの ンクにおいては、ペン先やインク吐出ノズ でのインクの目詰まりを防止すべく、一般 水溶性の有機溶剤が添加されている。これ のインクには、十分な濃度の記録画像を与 ること、ペン先やノズルの目詰まりを生じ いこと、被記録材上での乾燥性がよいこと 滲みが少ないこと、保存安定性に優れるこ 等が要求される。また、形成される記録画 には、耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性 の堅牢度が求められている。
 インクジェットプリンターのノズル詰まり 、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤 添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶 や添加剤が多いという組成状態になったと に色素が結晶化し析出することに由来する のが多い。よって、インクを蒸発乾燥させ 場合においても結晶が析出しにくいという とが非常に重要な要求性能の一つである。 た、この理由により、溶剤や添加剤に対す 高い溶解性も色素に求められる性質の一つ ある。

 ところで、コンピューターのカラーディ プレー上の画像又は文字情報をインクジェ トプリンターによりカラーで記録するには 一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C) ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が 用いられ、これにより記録画像がカラーで表 現される。CRT(ブラウン管)ディスプレー等に けるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)によ 加法混色画像を、減法混色画像で出来るだ 忠実に再現するには、インクに使用される 色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に い色相を有し且つ鮮明であることが望まれ 。また、インクは長期の保存に対して安定 あり、また上記のように記録画像の濃度が く、しかも記録画像の堅牢度に優れている とが求められる。

 近年のインクジェット記録技術の発達に り、印刷スピードの向上がめざましく、オ ィス環境での主用途である普通紙へのドキ メントの印刷に、電子トナーを用いたレー ープリンターと同じ様に、インクジェット リンターを用いる動きが出ている。インク ェットプリンターは、記録紙の種類を選ば い、機械の価格が比較的安い、という利点 あり、特にSOHO等の小~中規模オフィス環境 普及が進んでいる。このように普通紙への 刷にインクジェットプリンターを使用する 合、印刷物に求められる各種の品質の中で 、色相や耐水性がより重視される傾向があ 。従来、これらの性能、特に耐水性を満た べく、色素として染料を使用した染料イン の代わりに、色素として顔料を使用した顔 インクを用いるという方法が提案されてい 。しかし、顔料インクは染料インクと異な 、溶液ではなく分散液になるため、保存安 性が不良であるという問題や、プリンター ッドのノズルが詰まるという問題等が比較 起こりやすい。また、顔料インクを使用し 場合、耐擦性にも問題が出ることが多く、 相も染料インクより劣る場合が多い。これ 対して染料インクの場合、このような顔料 ンクを用いた場合の問題は比較的起こりに いとされる。その反面、染料インクは特に 水性が顔料インクと比較して著しく劣り、 れに対する改良が強く望まれている。

 普通紙上での耐水性向上という問題に対 ては古くから多くの提案がなされている。 水性に優れ、色相や耐光性等の改良を行っ インクジェット記録用のマゼンタ色素とし 、例えば特許文献1乃至10には、アントラピ ドン系マゼンタ色素が開示され、特許文献1 1及び12には、架橋基で結合された二量体型の アントラピリドン系マゼンタ色素が開示され ている。

特開2000-109464号公報

特開平10-306221号公報

特開2000-191660号公報

特開2000-169776号公報

特開2001-72884号公報

特開2001-139836号公報

特開2002-332418号公報

特開2005-8868号公報

特開2005-314514号公報

特開2006-188706号公報

国際公開第2003/027185号パンフレット

国際公開第2006/075706号パンフレット

 特許文献1には耐水性及び/又は耐湿性に優 たマゼンタ色素が開示されているが、耐水 、特に普通紙に記録した場合の記録画像の 水性について市場の要求を十分に満たして るとはいえない。
 よって、より多くの種類の普通紙上で一様 優れた耐水性をもち、さらには色相、鮮明 にも優れたマゼンタ色素が求められていた
 本発明は水又は水溶性有機溶剤に対する溶 性が高く、インクジェット記録に適する色 と鮮明性を有し、特に普通紙にプリントし 場合における耐水性に優れた水溶性のマゼ タ色素及びそれを含有する保存安定性の良 インク組成物を提供することを目的とする

 本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意 討した結果、特定の式で示される水溶性ア トラピリドン化合物及びそれを色素として 有するインク組成物が上記課題を解決する のであることを見出し、本発明を完成させ 。
 すなわち、本発明は、
 1)
 下記式(1)で表されるアントラピリドン化合 又はその塩、

(式中、R 1 は水素原子又はC1-C8アルキル基であり、
 シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベ ゼン環上の、置換位置が特定されていない ルホン酸基は、シアヌルアミノ基の置換位 を1位、アゾ基の置換位置を5位とした場合 2位又は4位に置換しており、
 Rは水酸基;アニリノ基;トルイジノ基;キシリ ジノ基;C2-C8アルキルアニリノ基;フェニルC1-C3 アルキルアミノ基;C1-C12アルキルアミノ基;ジC 1-C12アルキルアミノ基;カルボキシC1-C12アルキ ルアミノ基;又はスルホC1-C12アルキルアミノ を表す。)、
 2)
 R 1 が水素原子又はC1-C8アルキル基であり、
 Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基; C2-C4アルキルアニリノ基;フェニルC1-C3アルキ アミノ基;C1-C8アルキルアミノ基;ジC1-C8アル ルアミノ基;カルボキシC1-C5アルキルアミノ ;又はスルホC1-C4アルキルアミノ基である上 1)に記載のアントラピリドン化合物又はそ 塩、
 3)
 R 1 がメチル基であり、
 Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基; C2-C4アルキルアニリノ基;フェニルC1-C3アルキ アミノ基;C1-C8アルキルアミノ基;又はカルボ キシC1-C5アルキルアミノ基である上記1)に記 のアントラピリドン化合物又はその塩、
 4)
 下記式(19)で表される上記1)乃至3)のいずれ 一項に記載のアントラピリドン化合物又は の塩、

 5)
 下記式(20)で表される上記1)乃至3)のいずれ 一項に記載のアントラピリドン化合物又は の塩、

 6)
 上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のアント ラピリドン化合物又はその塩を色素として含 有し、さらに水を含有することを特徴とする インク組成物、
 7)
 水溶性有機溶剤をさらに含有する上記6)に 載のインク組成物、
 8)
 インクジェット記録用である上記7)に記載 インク組成物、
 9)
 色素として含有する上記1)乃至5)のいずれか 一項に記載のアントラピリドン化合物の総質 量中における無機不純物の含有量が、該化合 物の総質量に対して1質量%以下である上記6) 至8)のいずれか一項に記載のインク組成物、
 10)
 色素として含有する上記1)乃至5)のいずれか 一項に記載のアントラピリドン化合物の含有 量が、組成物の総質量に対して0.1~20質量%の 囲である請求項6乃至9のいずれか一項に記載 のインク組成物、
 11)
 上記6)乃至10)のいずれか一項に記載のイン 組成物をインクとして用い、該インクのイ ク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録 に記録を行うインクジェット記録方法、
 12)
 上記被記録材が情報伝達用シートである上 11)に記載のインクジェット記録方法、
 13)
 上記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性 色無機物を含有するインク受容層を有する ートである上記12)に記載のインクジェット 録方法、
 14)
 上記6)乃至10)のいずれか一項に記載のイン 組成物により着色された着色体、
 15)
 着色がインクジェットプリンターによりな れた上記14)に記載の着色体、
 16)
 上記6)乃至10)のいずれか一項に記載のイン 組成物を含有する容器が装填されたインク ェットプリンター、
に関する。

 本発明の上記式(1)で示される水溶性アント ピリドン化合物又はその塩は、水や水溶性 機溶剤に対する溶解性に優れる。また、イ ク組成物を製造する過程での、例えばメン ランフィルターに対する濾過性が良好であ という特徴を有し、インクジェット記録紙 で非常に鮮明で、明度の高いマゼンタ色の 相を与える。また、この化合物を色素とし 含有する本発明のインク組成物は、長期間 存後の結晶析出、物性変化、色相変化等も く、貯蔵安定性が極めて良好である。そし 本発明のインク組成物をインクジェット記 用のインクとして使用した印刷物は被記録 (例えば紙、フィルム等)を選択することな マゼンタ色の色相として理想的な色相であ 、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再 させることも可能である。
 さらに本発明のインク組成物は、従来の染 インクと比較して特に普通紙上での耐水性 極めて向上している。また、写真画質用イ クジェット専用紙やフィルムのような多孔 白色無機物を表面に塗工した被記録材に記 しても耐水性が良好であり、写真調の記録 像の長期保存安定性にも優れている。この め、記録メディアを選ばないことが特徴の つであるインクジェット印刷に非常に適し いるインクである。このように、上記式(1) 水溶性アントラピリドン化合物はインク用 特にインクジェット記録用インクに含有す マゼンタ色素として極めて有用である。

発明を実施するための形態

 本発明を詳細に説明する。なお、本明細 においては特に断りがない限り、スルホン 基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸 形で表す。また、本発明のアントラピリド 化合物又はその塩は、マゼンタインク組成 又はマゼンタインク用の色素である。以下 便宜上、「本発明のアントラピリドン化合 又はその塩」を含めて、単に「本発明のア トラピリドン化合物」と簡略して記載する

 本発明のアントラピリドン化合物は、上記 (1)で表される。式(1)中、R 1 は水素原子又はC1-C8アルキル基であり、シア ルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン 上の、置換位置が特定されていないスルホ 酸基は、シアヌルアミノ基の置換位置を1位 、アゾ基の置換位置を5位とした場合に2位又 4位に置換しており、Rは水酸基;アニリノ基; トルイジノ基;キシリジノ基;C2-C8アルキルア リノ基;フェニルC1-C3アルキルアミノ基;C1-C12 ルキルアミノ基;ジC1-C12アルキルアミノ基; ルボキシC1-C12アルキルアミノ基;又はスルホC 1-C12アルキルアミノ基を表す。

 上記式(1)において、R 1 で表されるC1-C8アルキル基としては、直鎖、 岐鎖及び環状アルキル基のいずれでもよい 、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖 ものがより好ましい。該アルキル基の炭素 は、C1-C5が好ましく、C1-C3がより好ましい。 具体例としては、メチル、エチル、n-プロピ 、n-ブチル等の直鎖;イソプロピル、2-メチ ブチル、イソブチル、tert-ブチル等の分岐鎖 ;及び、シクロプロピル、シクロブチル等の 状のアルキル基が挙げられる。上記の具体 のうち、最も好ましいものはメチルである

 上記式(1)において、シアヌルアミノ基及び ゾ基が置換したベンゼン環上の、置換位置 特定されていないスルホン酸基は、シアヌ アミノ基の置換位置を1位、アゾ基の置換位 置を5位とした場合に2位又は4位に置換してい る。スルホン酸基の置換位置としてはいずれ も好ましく、該スルホン酸基の置換位置が2 と4位との混合物であってもよい。
 なお、式(1)中、上記「シアヌルアミノ基及 アゾ基が置換したベンゼン環」に付与した1 乃至6の数字は、該ベンゼン環上の位置を記 したものである。

 以下、上記式(1)において、Rがトルイジノ基 ;キシリジノ基;C2-C8アルキルアニリノ基;フェ ルC1-C3アルキルアミノ基;C1-C12アルキルアミ 基;ジC1-C12アルキルアミノ基;カルボキシC1-C1 2アルキルアミノ基;又はスルホC1-C12アルキル ミノ基を表す場合、その具体例等について 次記載する。
 Rで表されるトルイジノ基としてはo-、m-、p- トルイジノが挙げられる。
 同様に、キシリジノ基としては、2,4-キシリ ジノ、2,5-キシリジノ、3,5-キシリジノ、3,4-キ シリジノが挙げられる。
 同様に、C2-C8アルキルアニリノ基のC2-C8アル キル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよい が、直鎖がより好ましい。該アルキル部分の 炭素数は、C2-C6が好ましく、C2-C4がより好ま い。その具体例としては、4-エチルアニリノ 、4-n-ブチルアニリノ、4-tert-ブチルアニリノ 4-n-ヘキシルアニリノ、4-n―オクチルアニリ ノ等が挙げられる。
 同様に、フェニルC1-C3アルキルアミノ基のC1 -C3アルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれで もよいが、直鎖がより好ましい。その具体例 としては、ベンジルアミノ、2-フェネチルア ノ、フェニルプロピルアミノ等のアルキル 分が直鎖のもの;1-フェネチルアミノ等のア キル部分が分岐鎖のもの;等が挙げられる。
 同様に、C1-C12アルキルアミノ基のC1-C12アル ル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく いずれも好ましいが、分岐鎖がより好まし 。該アルキル部分の炭素数は、C1-C10が好ま く、C1-C8がより好ましい。その具体例とし は、メチルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシ アミノ、オクチルアミノ、デシルアミノ、 のアルキル部分が直鎖のもの;2-エチルヘキ ル等のアルキル部分が分岐鎖のもの;等が挙 られる。
 同様に、ジC1-C12アルキルアミノ基のアルキ 部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが 直鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭 数は、C1-C8が好ましい。その具体例として 、ジメチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジ チルアミノ、ジヘキシルアミノ等が挙げら る。
 同様に、カルボキシC1-C12アルキルアミノ基 アルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれで よいが、直鎖がより好ましい。該アルキル 分の炭素数は、C1-C8が好ましく、C1-C5がより 好ましい。その具体例としては、カルボキシ メチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、5- ルボキシペンチルアミノ等が挙げられる。
 同様に、スルホC1-C12アルキルアミノ基のア キル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよ が、直鎖がより好ましい。該アルキル部分 炭素数は、C1-C8が好ましく、C1-C6がより好ま しく、C1-C4がさらに好ましい。その具体例と ては、2-スルホエチルアミノ、3-スルホプロ ピルアミノ、4-スルホブチルアミノ等が挙げ れる。
 Rとして好ましいものは、アニリノ基、キシ リジノ基、C2-C8アルキルアニリノ基、フェニ C1-C3アルキルアミノ基、C1-C12アルキルアミ 基、カルボキシC1-C12アルキルアミノ基であ 、より好ましくはアニリノ基及びC2-C8アルキ ルアニリノ基である。これらの好ましい具体 例としては、下記表1のRに記載した各基であ 、アニリノ、2,4-ジメチルアニリノ、4-n-ブ ルアニリノ、ベンジルアミノ、フェネチル ミノ、フェニルプロピルアミノ、2-エチルヘ キシルアミノ、5-カルボキシペンチルアミノ 等がより好ましい。上記のうち、アニリノ び4-n-ブチルアニリノがさらに好ましい。

 上記R 1 及びRとして挙げたもののうち、好ましいも 同士を組み合わせた化合物はより好ましく より好ましいもの同士を組み合わせた化合 はさらに好ましい。また、さらに好ましい の同士等についても同様である。

 本発明の上記式(1)で示されるアントラピ ドン化合物の具体例を下記表1に示す。

 上記式(1)で表される化合物は遊離酸、あ いはその塩の形としても存在する。上記式( 1)で表される化合物の塩としては、無機又は 機の陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽 オンの塩の具体例としてはアンモニウム塩 アルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリ ム、カリウム等の塩が挙げられる。また、 機の陽イオンとしては、例えば下記式(4)で される化合物の塩が挙げられるがこれらに 定されるものではない。

(式(4)中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4アルキル基 ヒドロキシC1-C4アルキル基、又はヒドロキ C1-C4アルコキシC1-C4アルキル基を表す。この ち、Z 1 ~Z 4 の全てが水素原子である組み合わせはアンモ ニウム塩である。)

 ここで、Z 1 ~Z 4 がアルキル基の例としてはメチル、エチル等 が挙げられ;同じくヒドロキシアルキル基の としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエ ル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプ ピル、4-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブ チル、2-ヒドロキシブチル等が挙げられ;さら にヒドロキシアルコキシアルキル基の例とし ては、ヒドロキシエトキシメチル、2-ヒドロ シエトキシエチル、3-(ヒドロキシエトキシ) プロピル、3-(ヒドロキシエトキシ)ブチル、2- (ヒドロキシエトキシ)ブチル等が挙げられる

 上記塩のうち好ましいものとしては、ナ リウム、カリウム、リチウム、モノエタノ ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタ ールアミン、モノイソプロパノールアミン ジイソプロパノールアミン、トリイソプロ ノールアミンの塩、アンモニウム塩等が挙 られる。これらのうち特に好ましいものは リチウム、ナトリウム、カリウム、及びア モニウム塩である。

 当業者においては明らかなように、上記式( 1)で表される化合物の塩は以下の方法等によ 容易に得ることができる。
 例えば、後述する実施例1の(工程8)における 液量を880部に調整する前の反応液、あるいは 式(1)で表される化合物を含むウェットケーキ 又は式(1)で表される化合物の乾燥品等を溶解 した水溶液に食塩を加えて塩析し、析出固体 を濾過することにより、上記式(1)で表される 化合物のナトリウム塩をウェットケーキとし て得ることができる。
 また、得られたナトリウム塩のウェットケ キを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのp Hを適宜調整し、析出した固体を濾過するこ により、上記式(1)で表される化合物の遊離 を、あるいは式(1)で表される化合物の一部 ナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩 の混合物を得ることもできる。
 さらに、式(1)で表される化合物の遊離酸の ェットケーキを水と共に撹拌しながら、例 ば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ア モニア水、式(2)で表される化合物の水酸化 等を添加してアルカリ性にすれば、各々相 するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウ 塩、又は4級アンモニウム塩を得ることもで きる。
 遊離酸のモル数に対して、加える上記の塩 モル数を制限することにより、例えばリチ ムとナトリウムとの混塩等、さらにはリチ ム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニ ムの混塩等も調製することが可能である。
 上記式(1)で表される化合物の塩は、その塩 種類により溶解性等の物理的な性質、ある はインクとして用いた場合のインクの性能 特に堅牢性に関する性能が変化する場合も る。このため目的とするインク性能等に応 て塩の種類を選択することも好ましく行わ る。

 以下に本発明の化合物の製造方法を記載す 。なお、下記式(5)~(11)中に記載のR 1 は、上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
 すなわち、下記式(5)で示されるアントラキ ン化合物1モルとベンゾイル酢酸エチルエス テル1.1~3モルとを、キシレン等の極性溶媒中 炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の存在下 130~180℃の条件で5~15時間反応させることに り、下記式(6)で表される化合物を得る。

 得られた上記式(6)で表される化合物1モル とメタアミノアセトアニリド1~5モルとを、N,N -ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極 有機溶媒中、炭酸ナトリウム等の塩基及び 酸銅等の銅触媒の存在下、110~150℃の条件で2 ~6時間ウルマン反応により縮合させることに り、下記式(7)で表される化合物を得る。

 得られた上記式(7)で表される化合物を8~15 %発煙硫酸中、50~120℃の条件でスルホ化する 同時に、アセチルアミノ基を加水分解する とにより、下記式(8)で表される化合物を得 。

 得られた上記式(8)で表される化合物1モル と2,4,6-トリクロロ-S-トリアジン(シアヌルク ライド)1~1.2モルとを、水中でpH2~7.5、5~35℃の 条件で2~8時間反応させることにより、1次縮 物である下記式(9)で表される化合物を得た 、さらに2,4-ジアミノベンゼンスルホン酸1~1. 2モルを添加し、pH3~7、20~70℃の条件で15分~5時 間反応させることにより、下記式(10)で表さ る化合物が得られる。

 得られた上記式(10)で表される化合物1モ に、0~10℃にて亜硝酸ナトリウム1~1.1モルを 加し、次いで塩酸2~3モルを添加してジアゾ 反応を行い、スルファミン酸を添加して過 の亜硝酸ナトリウムを分解させた後、ジア ニウム塩を、N-ベンゾイルH酸1モルとpH6~9で ップリングさせて、下記式(11)で表される化 物を得る。

 次いで、上記式(11)で表される化合物1モ に、Rに対応する基を導入するために、例え R-Hで表される化合物1~4モルを添加し、pH2~10 70~100℃の条件で0.5~5時間反応させることに り、本発明の上記式(1)で表される化合物が られる。

 本発明の上記式(1)の化合物は、反応後、塩 等の鉱酸の添加により固体の遊離酸として 離することができる。また、得られた遊離 の固体を水又は例えば塩酸水等の酸性水で 浄すること等により、不純物として含有す 無機塩、例えば塩化ナトリウム等の金属陽 オンの塩化物や、硫酸ナトリウム等の硫酸 イオンのアルカリ金属塩等、すなわち、本 細書でいうところの「無機不純物」を除去 ることができる。
 これらの無機不純物は、上記式(1)で表され 化合物を色素として含有するインク組成物 び/又はインクを調製する場合に、該インク 等の保存安定性や、該インクを使用してイン クジェット記録等を行う際の吐出安定性等に 悪影響を与えることが多い。このため、上記 式(1)で表されるアントラピリドン化合物の総 質量中における、該無機不純物の含有量は1 量%以下にすることが好ましく、下限は0質量 %、すなわち分析機器における検出限界以下 もよい。
 無機不純物の少ない化合物を製造するには 例えば逆浸透膜による方法が知られている その他の方法として、上記式(1)で表される 合物の乾燥品あるいはウェットケーキを、 タノール等のC1-C4アルコール及び水の混合 媒中に懸濁させて撹拌した後、固体を濾取 、乾燥することによっても脱塩処理が可能 ある。

 上記式(1)の化合物は、天然及び合成繊維材 又は混紡品の染色、さらには、筆記用イン 及びインクジェット記録用インクの製造に している。
 上記式(1)の化合物を含む反応液は、本発明 インク組成物の製造に直接使用することも 来る。また、反応液から該化合物を単離、 えばスプレー乾燥等の方法により反応液を 燥して単離した後、得られた化合物をイン 組成物に加工することもできる。本発明の ンク組成物は、上記式(1)で表される化合物 色素としてインク組成物の総質量に対して 常0.1~20質量%、より好ましくは1~10質量%、さ に好ましくは2~8質量%含有する。

 本発明のインク組成物は水を媒体として調 され、必要に応じて、水溶性有機溶剤及び ンク調製剤を、本発明の効果を害しない範 内において含有してもよい。水溶性有機溶 は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘 調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消 剤等として使用される。その他のインク調 剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤 、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘 度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安 定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分 散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる。
 水溶性有機溶剤の含有量はインクの総質量 対して0~60質量%、好ましくは10~50質量%であ 、インク調製剤は同様に0~20質量%、好ましく は0~15質量%用いるのが良い。上記以外の残部 水である。

 上記の水溶性有機溶剤としては、例えば タノール、エタノール、n-プロパノール、 ソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノ ール、第二ブタノール、第三ブタノール等の C1-C4アルカノール(アルコール);N,N-ジメチルホ ルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の ミド類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン 、ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメ ルイミダゾリジン-2-オン、1,3-ジメチルヘキ ヒドロピリミド-2-オン等の複素環式ケトン; アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2- ドロキシペンタン-4-オン等のケトン又はケ アルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサ ン等の環状エーテル;エチレングリコール、1, 2-又は1,3-プロピレングリコール、1,2-又は1,4- チレングリコール、1,6-ヘキシレングリコー ル、ジエチレングリコール、トリエチレング リコール、テトラエチレングリコール、ジプ ロピレングリコール、ポリエチレングリコー ル、ポリプロピレングリコール、チオジグリ コール等のC2-C6アルキレン単位を有するモノ オリゴ、若しくはポリアルキレングリコー 又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン -1,2,6-トリオール等のポリオール(トリオール) ;エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、ジ チレングリコールモノメチルエーテル、ジ チレングリコールモノエチルエーテル、ジ チレングリコールモノブチルエーテル(ブチ カルビトール)、トリエチレングリコールモ ノメチルエーテル、トリエチレングリコール モノエチルエーテル等の多価アルコールのC1- C4モノアルキルエーテル;γ-ブチロラクトン、 ジメチルスルホキシド等が挙げられる。

 上記の水溶性有機溶剤として好ましいも は、イソプロパノール、グリセリン、モノ ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロ レングリコール、2-ピロリドン、N-メチル-2- ピロリドン、及びブチルカルビトールであり 、より好ましくはイソプロパノール、グリセ リン、ジエチレングリコール、2-ピロリドン N-メチル-2-ピロリドン、及びブチルカルビ ールである。これらの水溶性有機溶剤は、 独又は混合して用いられる。

 防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系 有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロア ルスルホン系、ヨードプロパギル系、N-ハ アルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニ リル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、 イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジン オキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系 、フェノール系、第4アンモニウム塩系、ト アジン系、チアジアジン系、アニリド系、 ダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブ ム化インダノン系、ベンジルブロムアセテ ト系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
 有機ハロゲン系化合物としては、例えばペ タクロロフェノールナトリウムが挙げられ 。
 ピリジンオキシド系化合物としては、例え 2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウ が挙げられる。
 イソチアゾリン系化合物としては、例えば 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オク ル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチ ル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチ -4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロ イド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3 -オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソ チアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が 挙げられる。
 その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸 ーダ、酢酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等 挙げられる。
 防腐防黴剤のその他の具体例としては、例 ば、アベシア社製 商品名プロクセルGXL(S) プロクセルXL-2(S)等が好ましく挙げられる。

 pH調整剤は、インクの保存安定性を向上 せる目的で、インクのpHを6.0~11.0の範囲に制 できるものであれば任意の物質を使用する とができる。例えば、ジエタノールアミン トリエタノールアミン等のアルカノールア ン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、 酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物 水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウ 、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアル リ金属の炭酸塩等が挙げられる。

 キレート試薬としては、例えば、エチレ ジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢 ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジ ミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリア ン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナト ウム等が挙げられる。

 防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩 チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ア モニウム、ジイソプロピルアンモニウムナ トライト、四硝酸ペンタエリスリトール、 シクロヘキシルアンモニウムナイトライト が挙げられる。

 紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾ ェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化 物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物 スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾ ル系化合物に代表される紫外線を吸収して 光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も いることができる。

 粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の に水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば ポリビニルアルコール、セルロース誘導体 ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。

 染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε- プロラクタム、エチレンカーボネート等が げられる。その中でも、尿素を使用するの 好ましい。

 褪色防止剤は、画像の保存性を向上させ 目的で使用される。褪色防止剤としては、 種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を 用することができる。有機系の褪色防止剤 しては、ハイドロキノン類、アルコキシフ ノール類、ジアルコキシフェノール類、フ ノール類、アニリン類、アミン類、インダ 類、クロマン類、アルコキシアニリン類、 テロ環類等があり、金属錯体系の褪色防止 としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等があ 。

 表面張力調整剤としては界面活性剤が挙 られ、例えば、アニオン界面活性剤、両性 面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン 面活性剤等が挙げられる。

 アニオン界面活性剤としては、アルキル ルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン 塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル 酸塩、N-アシルアミノ酸及びその塩、N-アシ ルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオ キシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸 塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸 塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩 、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アル キルフェノール型燐酸エステル、アルキル型 燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸 塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキ シルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀 酸塩等が挙げられる。

 カチオン界面活性剤としては、2-ビニル リジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体 等が挙げられる。

 両性界面活性剤としては、ラウリルジメ ルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カル キシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリ ウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピ ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチ ポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン 導体等が挙げられる。

 ノニオン界面活性剤としては、ポリオキ エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオ シエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ オキシエチレンドデシルフェニルエーテル ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー ル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ オキシエチレンアルキルエーテル等のエー ル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステ ル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エス テル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモ ノステアレート、ソルビタンモノオレエート 、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシ エチレンモノオレエート、ポリオキシエチレ ンステアレート等のエステル系;2,4,7,9-テトラ メチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4- オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシ ン-3-オール等のアセチレングリコール(アル ール)系;その他の具体例として、例えば、日 信化学社製 商品名サーフィノール104、82、46 5、オルフィンSTG等が挙げられる。

 消泡剤としては、高酸化油系、グリセリ 脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン 化合物が必要に応じて用いられる。

 これらのインク調製剤は、単独又は混合 て用いられる。なお、本発明のインク組成 を含有するインクの表面張力は通常25~70mN/m より好ましくは25~60mN/mである。同様に、イ クの粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s 下に調整することがより好ましい。

 本発明のインク組成物を製造するにあたり 添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特 制限はない。インク組成物を調製するにあ り、用いる水はイオン交換水や蒸留水等の 純物が少ないものが好ましい。
 さらに、必要に応じてメンブランフィルタ 等を用いて精密濾過を行い、夾雑物を除い もよい。特にインクジェットプリンター用 インクとして使用する場合には精密濾過を うことが好ましい。精密濾過を行うフィル ーの孔径は通常1~0.1μm、好ましくは、0.8~0.2 mである。

 本発明のアントラピリドン化合物を色素 して含有するインク組成物は、印捺、複写 マーキング、筆記、製図、スタンピング、 は記録(印刷)、特にインクジェット記録に ける使用に適する。また、本発明のインク 成物は、インクジェットプリンターのノズ 付近における乾燥によっても結晶の析出が こりにくく、この理由によりプリンターヘ ドの閉塞もまた起こりにくい。さらに、本 明のインク組成物をインクジェット記録に いた場合、水、光、オゾンや酸化窒素ガス 及び摩擦に対する良好な耐性を有する高品 のマゼンタ色の印捺物が得られ、特に普通 に記録した記録画像の耐水性が極めて良好 ある。

 インクジェットプリンターにおいて、高精 な画像を供給することを目的に、高濃度の ンクと低濃度のインクとの2種類のインクが 1台のプリンターに装填されたものもある。 の場合、色素として本発明の化合物を高濃 に含有するインクと、低濃度に含有するイ クとをそれぞれ調製し、それらをインクセ トとして使用してもよい。また、どちらか 方だけに該化合物を含有させてもよい。
 また、本発明の化合物が有する耐水性等の 果を阻害しない範囲で、公知のマゼンタ色 を併用してもよい。
 また、他の色、例えばブラックインクの調 用、あるいはイエロー色素やシアン色素と 合して、レッドインクやブルー(又はバイオ レット)インクを調製する目的で、本発明の 合物を色素として用いることもできる。

 本発明の着色体とは本発明の化合物で着 された物質のことである。着色体の材質に 特に制限はなく、例えば紙、フィルム等の 報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナ イロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター 基材等、着色されるものであればなんでも く、これらに限定されない。着色法として 、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷 の印刷法、インクジェットプリンターによ 方法等が挙げられるが、インクジェットプ ンターによる方法が好ましい。

 上記の情報伝達用シートとしては、特に制 はなく、普通紙はもちろん、表面処理され もの、具体的には紙、合成紙、フィルム等 基材にインク受容層を設けたもの等も用い ことができる。ここでインク受容層とは、 えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸 るいは塗工する方法;多孔質シリカ、アルミ ナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色 素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアル コールやポリビニルピロリドン等の親水性ポ リマーと共に上記基材表面に塗工する方法; により設けられる。このようなインク受容 を設けたものは通常インクジェット専用紙 インクジェット専用フィルム、光沢紙、光 フィルム等と呼ばれる。
 普通紙とは、特にインク受容層を設けてい い紙のことを意味し、用途によってさまざ なものが数多く市販されている。市販され いる普通紙の一例を挙げると、インクジェ ト用としては、セイコーエプソン社製 両 上質普通紙;キヤノン社製 カラー普通紙;Hewl ett Packard社製 Multipurpose Paper、All-in-one Printi ng Paper;等がある。この他、特に用途をイン ジェット印刷に限定しないPPC用紙等も普通 である。
 本発明のインク組成物は、上記のような普 紙に記録した画像の耐水性が特に優れてい が、その他の光、オゾン、湿度、摩擦等に する耐性にも優れる。一方、上記のインク ェット専用紙等に記録した記録画像の耐水 にも非常に優れ、また同様に耐光性、耐ガ 性、耐湿性、耐擦性等にも優れる。

 本発明のインクジェット記録方法で、被記 材に記録するには、例えば上記のインク組 物が充填された容器をインクジェットプリ ターの所定位置に装填し、通常の方法で、 記録材に記録すればよい。
 本発明のインクジェット記録方法は、本発 のインク組成物と共に、イエロー、シアン 必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイ オレット)、レッド、ブラック等の各インク 併用し得る。この場合、各色のインクは、 れぞれの容器に注入され、それらの容器を インクジェットプリンターの所定位置に装 して使用する。
 インクジェットプリンターには、例えば機 的振動を利用したピエゾ方式;及び加熱によ り生ずる泡を利用したバブルジェット(登録 標)方式等を利用したものがある。本発明の ンクジェット記録方法は、いかなる方式で っても使用が可能である。

 本発明のインク組成物は、鮮明なマゼンタ であり、普通紙やインクジェット専用紙等 記録した画像の鮮明度が高く、インクジェ ト記録方法に適した色相を有する。また、 の記録画像の堅牢度、特に耐水性が非常に いことを特徴とする。
 本発明のインク組成物は、貯蔵中に色素成 等が沈澱、分離することがない。また、本 明のインク組成物をインクジェット記録に 用した場合、ノズル付近におけるインク組 物の乾燥による結晶の析出は非常に起こり くく、噴射器(インクヘッド)を閉塞するこ もない。本発明のインク組成物は連続式イ クジェットプリンターを用い、比較的長い 間間隔においてインクを再循環させて使用 る場合においても、又はオンデマンド式イ クジェットプリンターによる断続的な使用 おいても、物理的性質の変化を起こさない

 以下に本発明をさらに実施例により具体 に説明する。なお、本文中「部」及び「%」 とあるのは、特別の記載のない限り質量基準 である。また、実施例に記載した式中、1乃 6の置換位置を付与したベンゼン環に置換し 、置換位置が特定されていないスルホン酸 は、いずれも2位又は4位に置換したもので る。従って、該スルホン酸基を有する実施 中の化合物は、いずれも位置異性体の混合 である。また、実施例に記載した化合物の ち、最大吸収波長(λmax)の測定において、ほ 同等の吸収強度を有するピークが複数観測 れたものについては、その複数のピークの ずれをも最大吸収波長として記載した。こ λmaxは、水溶液での測定値である。

[実施例1]
 (工程1)キシレン360部中に、撹拌しながら、 記式(12)で表される化合物94.8部、炭酸ナト ウム3.0部、ベンゾイル酢酸エチルエステル14 4.0部を順次加えて昇温し、140~150℃の温度で8 間反応を行った。その間、反応で生成する タノール及び水をキシレンと共沸させなが 系外へ留出させ、反応を完結させた。次い 、冷却し、30℃にてメタノール240部を添加 て30分撹拌後、析出固体を濾取した。得られ た固体をメタノール360部で洗浄後、乾燥して 、下記式(13)で表される化合物124.8部を淡黄色 針状結晶として得た。

 (工程2)撹拌下、N,N―ジメチルホルムアミ 300.0部中に、上記式(13)で表される化合物88.8 部、メタアミノアセトアニリド75.0部、酢酸 一水和物24.0部、及び炭酸ナトリウム12.8部を 順次加えて120~130℃に昇温し、3時間反応を行 た。反応液を約50℃に冷却し、メタノール12 0部を添加して30分撹拌した。析出固体を濾取 し、メタノール500部、次いで80℃の温水で洗 した後、乾燥することにより、下記式(14)で 表される化合物79.2部を青味赤色固体として た。

 (工程3)98%硫酸130部に、撹拌下、水冷しな ら28%発煙硫酸170部を添加して、12%発煙硫酸3 00部を調製した。水冷下、上記式(14)で表され る化合物51.3部を50℃以下で添加した後、85~90 へ昇温し、4時間反応を行った。氷水600部中 に反応液を添加し、その間、氷を加えながら 発熱による液温の上昇を40℃以下に保持した さらに水を加えて液量を1000部とした後、濾 過して、不溶解物を除去した。得られた母液 に温水を加えて1500部とし、液温を60~65℃に保 ちながら、塩化ナトリウム300部を添加して2 間撹拌し、析出した固体を濾取した。20%塩 ナトリウム水溶液300部で洗浄し、よく水分 絞って下記式(15)で表される化合物59.2部を含 むウェットケーキ129.0部を赤色固体として得 。なお、この化合物の純度は、ジアゾ分析 により45.9%であった。

 (工程4)水60部中に上記(工程3)で得た上記式(1 5)で表される化合物のウェットケーキ67.7部を 添加し、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液24 を添加して撹拌し、さらに25%水酸化ナトリ ム水溶液を加えてpHを3~4に調整しながら溶 させた。
 一方、氷水60部に商品名リパールOH(アニオ 界面活性剤、ライオン株式会社製)0.4部を加 、シアヌルクロライド8.9部を添加し、30分 拌した後、得られた懸濁液を、上記の式(15) 含む溶液中に添加し、10%水酸化ナトリウム 溶液にてpHを2.7~3.0に保ち、25~30℃で4時間反 を行うことにより、下記式(16)で表される化 合物を含有する反応液を得た。

 (工程5)上記(工程4)で得られた上記式(16)で 表される化合物を含有する反応液中に、2,4- アミノベンゼンスルホン酸8.2部と水40部と25% 苛性ソーダ水溶液6.7部とからなる水溶液を加 え、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液を加え てpH4.0に保持しながら、液温を50~55℃まで昇 し、その温度で1時間反応を行うことにより 下記式(17)で表される化合物を含む反応液を 得た。

 (工程6)上記(工程5)で得られた上記式(17)で 表される化合物を含む反応液中に、氷を加え て3℃とし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液7.2部 添加し、次いで濃塩酸12部を添加し、さらに 水及び氷を加えて液量を600部に調整し、3~5℃ にて1時間撹拌した。さらに10%スルファミン 水溶液を0.3部添加して過剰の亜硝酸ナトリ ムを分解させ、ジアゾニウム反応液を得た

 (工程7)N-ベンゾイルH酸(純度:63%)28.2部と水 120部と25%苛性ソーダ水溶液6.8部とからなる水 溶液を上記(工程6)で得られたジアゾニウム反 応液中に一気に添加し、次いで25%苛性ソーダ 水溶液を添加してpHを7.5~8.0に調整し、温度を 50~55℃となるように加熱し、1時間反応させる ことにより、下記式(18)で表される化合物を 有するスラリー液を得た。

 (工程8)上記(工程7)で得られたスラリー液 アニリン11.6部を添加し、加熱し、90℃にて3 0分間反応させた。その間、反応系内のpHは8 ら4に低下した。反応を完結後、反応液を濾 して不溶解物を除去した後、下記式(19)で表 される化合物を含有する水溶液を得た。上記 の水溶液を880部に調整し、次いで55℃に加熱 、濃塩酸を添加してpHを4.0に調整し、次い 塩化アンモニウム88部を添加し、55℃にて30 撹拌し、固体を析出させた。析出した固体 濾取し、15%塩化アンモニウム水溶液600部で 浄して赤色ウェットケーキ200部を得た。

 (工程9)上記(工程8)で得られたウェットケー をエタノール800部と共に加熱、撹拌し、65 にて30分保持した後、析出固体を濾取し、エ タノール500部で洗浄後、乾燥して上記式(19) 表される化合物の精製品49.2部のアンモニウ 塩を赤色固体として得た。
 λmax:519、538nm。

[実施例2]
 実施例1の(工程1)~(工程7)と同様にして得ら た上記式(18)で表される化合物を含有するス リー液に、実施例1の(工程8)で用いたアニリ ンの代わりに4-n-ブチルアニリン17.9部を添加 て加熱し、90℃にて2時間反応させた。その 、反応系内のpHは8から4.6に低下した。反応 完結後、反応液を濾過して不溶解物を除去 た後、濾液を800部に調整し、次いで60℃に 熱し、濃塩酸を添加してpHを3.5に調整し、次 いで塩化アンモニウム40部を添加し、60℃に 30分撹拌し、固体を析出させた。析出した固 体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液200部 で洗浄して赤色のウェットケーキ160部を得た 。得られたウェットケーキをエタノール800部 と共に加熱撹拌して70℃にて30分保持した後 析出固体を濾取し、エタノール500部で洗浄 、乾燥して下記式(20)で表される化合物41.6部 のアンモニウム塩を赤色固体として得た。
 λmax:522、539nm。

[実施例3]
 実施例1の(工程1)~(工程7)と同様にして得ら た上記式(18)で表される化合物を含有するス リー液に、2,4-ジメチルアニリン14.5部を添 して加熱し、90℃にて40分反応させた。その 、反応系内のpHは8から3.8に低下した。反応 完結後、反応液を濾過して不溶解物を除去 た後、濾液を800部に調整し、次いで55℃に 熱し、濃塩酸を添加してpHを4に調整し、次 で塩化アンモニウム80部を添加し、さらに濃 塩酸を添加してpHを3に調整して固体を析出さ せた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモ ニウム水溶液400部で洗浄して赤色のウェット ケーキ240部を得た。得られたウェットケーキ をエタノール800部と共に加熱撹拌して65℃に 1時間保持した後、濾過し、エタノール400部 で洗浄後、乾燥して下記式(21)で表される化 物のアンモニウム塩48.0部を赤色固体として た。
 λmax:518、536nm。

[実施例4]
 実施例1の(工程1)~(工程7)と同様にして得ら た上記式(18)のスラリー液に、フェネチルア ン14.5部を添加して加熱し、25%苛性ソーダ水 溶液を加えながらpHを8~9に調整して85℃にて3 間反応を行い、反応を完結させた。反応液 濾過して不溶解物を除去した後、濾液を1000 部に調整し、次いで60℃に加熱し、濃塩酸を 加してpHを4.0に調整し、次いで塩化アンモ ウム75部を添加し、さらに濃塩酸を添加して pHを2.0に調整して30分撹拌し、固体を析出さ た。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモ ウム水溶液400部で洗浄して赤色のウェット ーキ120部を得た。得られたウェットケーキ エタノール800部と共に加熱撹拌して65℃にて 30分保持した後、析出した固体を濾取し、エ ノール400部で洗浄後、乾燥して下記式(22)で 表される化合物49.0部のアンモニウム塩を赤 固体として得た。
 λmax:520、536nm。

[実施例5]
 実施例1の(工程1)~(工程7)と同様にして得ら た上記式(18)のスラリー液に6-アミノヘキサ 酸15.7部を添加し、25%苛性ソーダ水溶液を加 ながらpHを8~9に調整して90℃にて1時間反応 行い、反応を完結させた。濾過して不溶解 を除去した後、濾液を1000部に調整し、次い 60℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを3.0に調 整し、次いで塩化アンモニウム100部を添加し 、さらに濃塩酸を添加してpHを2.5に調整して1 5分撹拌し、固体を析出させた。析出した固 を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液240部 洗浄して赤色のウェットケーキ104部を得た 得られたウェットケーキをメタノール600部 共に加熱撹拌して60℃にて30分保持した後、 冷して3℃にて30分撹拌後、濾過し、乾燥し 下記式(23)で表される化合物19.2部のアンモ ウム塩を赤色固体として得た。
 λmax:516nm。

[実施例6]
 実施例1の(工程1)~(工程7)と同様にして得ら た上記式(18)のスラリー液に2-エチルヘキシ アミン15.5部を添加し、25%苛性ソーダ水溶液 加えながらpHを6~6.5に調整して90℃にて2時間 反応を行い、反応を完結させた。濾過して不 溶解物を除去した後、濾液を1000部に調整し 次いで60℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを3 .0に調整し、次いで塩化アンモニウム100部を 加し、さらに濃塩酸を添加してpHを1.5に調 して30分撹拌し、固体を析出させた。析出し た固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液 400部で洗浄して赤色のウェットケーキ144部を 得た。得られたウェットケーキをエタノール 1000部と共に加熱撹拌して70℃にて30分保持し 後、20℃に冷却して析出した固体を濾過し エタノール400部で洗浄し、乾燥して下記式(2 4)で表される化合物40.5部のアンモニウム塩を 赤色固体として得た。
 λmax:538、523nm。

[(A)インクの調製]
 上記実施例1の(工程9)で得られた上記式(19) 表される化合物、及びその他のインク調製 等を、下記表2に示した組成比で混合して本 明のインク組成物を得た。得られたインク 成物を0.45μmのメンブランフィルターで濾過 することにより夾雑物を除き、評価用のイン クを得た。なお、水はイオン交換水を使用し 、インク組成物のpHがおよそ9.0となるように ンモニア水で調整後、総量が100部になるよ に水を加えた。得られたインクを実施例7と する。同様に、実施例2~6で得られた化合物を 用いる以外は実施例7と同様の組成及び操作 よって得られたインクをそれぞれ実施例8~12 する。

[比較例1]
 実施例1の(工程9)で得られた上記式(19)で表 れる化合物の代わりに、下記式(25)の比較用 色素を用いる以外は実施例7と同様にして、 比較用のインク組成物を調製した。なお、下 記式(25)で表される化合物はアンモニウム塩 して合成したものを用いた。

 なお、上記式(25)の色素は次のようにして合 成した。
 実施例1の(工程1)~(工程4)と同様にして得ら た式(16)で表される化合物を含有する反応液 に、スルファニル酸8.0部と水40部と25%水酸 ナトリウム水溶液7.0部とからなる水溶液をpH 3~4で添加し、50℃に加熱し、その温度で1時間 反応させた。その間、25%水酸化ナトリウム水 溶液を添加してpHを4に保持し、2次縮合液を た。
 得られた2次縮合液に、アニリン11.2部を添 し、90℃にて1.5時間反応させ、反応を完結さ せて3次縮合液を得た。その間、pHは5から3.4 低下した。濾過により不溶解物を除去した 、湯を加えて液量を500部に調整し、50℃に加 熱し、濃塩酸を添加してpHを3に調整した。次 いで塩化アンモニウム100部を添加し55℃にて1 時間撹拌し、固体を析出させた。析出した固 体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液400部 で洗浄して赤色のウェットケーキ84部を得た
 得られたウェットケーキをメタノール300部 加えて加熱し、55℃の温度で15分間保持して 溶解させた。次いでエタノール75部を添加し 、50℃にて15分間保持した後、水冷し、20℃ て30分間撹拌し、析出した固体を濾取し、 タノール280部とエタノール120部とからなる で洗浄し、乾燥することにより、上記式(25) 色素49.2部を赤色固体として得た。

[(B)インクジェット記録]
 インクジェットプリンター(キヤノン社製  品名:PIXUS ip4100)を用いて、下記表3に示す5 類の普通紙にインクジェット記録を行った インクジェット記録の際、チェック柄のパ ーン(濃度100%と0%との1.5mm角正方形を交互に み合わせたパターン)を作成し、コントラス の高いマゼンタ-ホワイトの印字物を得た。 また、反射濃度が数段階の階調が得られるよ うに画像パターンも作成し、マゼンタ色のグ ラデーションを有する印字物を得た。
 耐水性試験の目視判断を行う際には、チェ ク柄の印刷物を用いた。
 耐水性試験の色素残存率測定は、グラデー ョンを有する印字物を用い、試験前の印字 の反射濃度D値が1に最も近い部分について 射濃度の測定を行った。反射濃度は測色シ テム(GretagMacbeth社製、商品名SectroEye)を用い 測定した。
 記録画像の各種試験方法及び試験結果の評 方法を以下に記載する。

[(C)印刷物のL*、a*、b*の測定]
 プリントしたグラデーションを有する印字 中で反射濃度(D値)が1.0付近の部分について 上記測色システムを用いてL*、a*、b*値を測 した。鮮明性は、色度(a*、b*)からC*=[(a*) 2 +(b*) 2 ] 1/2 を算出した。
 実施例7~12及び比較例1の結果を下記表4に記 。

 実施例7~12の色相は、普通紙1~4の全てにおい て、b*が、比較例1のb*よりも値が小さく、黄 な色相である。また、実施例12は、普通紙1~ 4において、L*値がそれぞれ52.9、53.5、54.1、52. 4であったのに対し、比較例2は、それぞれ50.7 、53.0、53.3、51.5と値が小さく、実施例12の方 比較例1よりも明度が高い色相ということが 分かる。
 普通紙2では、実施例7,9,11,12のC*値がそれぞ 61.5、62.4、60.8、60.8であったのに対し、比較 例1は59.4と値が小さく、実施例7,9,11,12は比較 1よりも鮮明性が高い色相であることが分か る。
 従って、本発明のアントラピリドン化合物 、普通紙においてインクジェット用マゼン 色素として好適な鮮明性、明度を有すると える。

[(D)耐水性試験1(浸漬試験)]
 印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印 物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬し 。乾燥後、パターンの着色部分の色落ち具 を目視で評価し、以下の基準で3段階に評価 した。
  色落ちがやや見られる・・・・・・・・ ・・・・・・・・○
  色落ちするが、着色の残存がある・・・ ・・・・△
  全て色落ちする・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・×
 結果を表5に示す。

[(E)耐水性試験2(ふき取り試験)]
 印刷後24時間乾燥を行ったグラデーション 印字物に対して、イオン交換水を一滴落と 、1分後にふき取る。乾燥後、反射濃度を上 の測色システムを用いて測色した。測定後 色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の 射濃度)×100(%)で計算して求めた値の結果を 6に示す。

 表5及び表6の結果より明らかなように、目 評価の耐水性試験1において、比較例1では普 通紙1~4の全てについて着色物が色落ちしてし まい、プリント前の普通紙と同様の白色にな るのに対し、実施例7~12では色落ちが認めら るものの、着色の残存があった。従って、 施例7~12は比較例1よりも明らかに耐水性が良 好である結果となった。
 また、耐水性試験2において、普通紙1では 比較例1の残存率が60.2に対して、実施例7~12 70.5~82.6であり、普通紙2では、比較例1の残存 率が71.9に対して、実施例7~12は77.1~83.2であり 普通紙3では、比較例1が67.8に対して、実施 7~12は72.1~87.4であり、普通紙4では、比較例1 58.3に対して、実施例7~12が78.5~86.5である。 って、普通紙1~4の全てにおいて実施例7~12が 較例1よりも残存率が高く、明らかに良好で ある結果が得られた。すなわち、比較例1に して実施例7~12の記録画像は、目視及び測色 果のいずれにおいても極めて優れた耐水性 示し、本発明の色素及びこれを含有するイ クの有用性が明らかとなった。

 以上の結果から、本発明の水溶性アント ピリドン化合物はインクジェット記録用の ンク組成物を調製するのに適しており、各 の堅牢性、特に耐水性に極めて優れ、また 溶解性が高く、良好で鮮明な色相を持つ。 れらの特徴から、本発明のアントラピリド 化合物は各種の記録用インク色素、特にイ クジェットインク用のマゼンタ色の色素と て非常に有用な化合物であることが明らか ある。