Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
THERAPEUTIC AGENT FOR SPINAL CORD INJURY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105507
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a substance effective for the fundamental treatment of a spinal cord injury and a demyelinating disease. Specifically disclosed are a therapeutic agent for a spinal cord injury and a therapeutic agent for a demyelinating disease, each of which comprises an HGF protein as an active ingredient.

Inventors:
OKANO HIDEYUKI (JP)
TOYAMA YOSHIAKI (JP)
NAKAMURA MASAYA (JP)
IWANAMI AKIO (JP)
KITAMURA KAZUYA (JP)
NAKAMURA TOSHIKAZU (JP)
FUNAKOSHI HIROSHI (JP)
HANADA KEIGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053557
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 28, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV KEIO (JP)
UNIV OSAKA (JP)
KRINGLE PHARMA INC (JP)
OKANO HIDEYUKI (JP)
TOYAMA YOSHIAKI (JP)
NAKAMURA MASAYA (JP)
IWANAMI AKIO (JP)
KITAMURA KAZUYA (JP)
NAKAMURA TOSHIKAZU (JP)
FUNAKOSHI HIROSHI (JP)
HANADA KEIGO (JP)
International Classes:
A61K9/08; A61K38/22; A61P25/28
Domestic Patent References:
WO2006077675A12006-07-27
WO2003045439A12003-06-05
WO2007032396A12007-03-22
WO2003045439A12003-06-05
WO2005100577A12005-10-27
Foreign References:
JPH05111382A1993-05-07
JPS6128521A1986-02-08
Other References:
KITAMURA H.: "Sekizui Sonsho ni Taisuru Hepatocyte Growth Factor no Yukosei no Kento", THE JOURNAL OF THE JAPANESE ORTHOPAEDIC ASSOCIATION, vol. 80, no. 8, 2006, pages S884, XP003023237
KITAMURA K.: "Sekizui Sonsho ni Taisuru Hepatocyte Growth Factor no Yokusei no Kento", JOURNAL OF THE JAPAN SPINE RESEARCH SOCIETY, vol. 17, no. 1, 2006, pages 557, XP003023238
IWANAMI A.: "Sekizui Sonsho ni Taisuru Hepatocyte Growth Factor (HGF) no Yukosei no Kento", THE JOURNAL OF THE JAPANESE ORTHOPAEDIC ASSOCIATION, vol. 79, no. 8, 2005, pages S764, XP003010152
BIOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN., vol. 122, 1984, pages 1450 - 1459
NATURE, vol. 342, 1989, pages 440 - 443
NAT. NEUROSCI., vol. 2, 1999, pages 213 - 217
CLIN. CHIM ACTA., vol. 327, 2003, pages 1 - 23
THE JOURNAL OF THE JAPANESE ORTHOPAEDIC ASSOCIATION, vol. 79, no. 8, 25 August 2005 (2005-08-25), pages S764
BIOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN., vol. 163, 1989, pages 967
M. BODANSZKY; M.A. ONDETTI: "Peptide Synthesis", 1966, INTERSCIENCE PUBLISHERS
SCHROEDER; LUEBKE: "The Peptide", 1965, ACADEMIC PRESS
See also references of EP 2116255A4
Attorney, Agent or Firm:
IWATANI, Ryo (1-31 Dojima 2-chome, Kita-k, Osaka-shi Osaka 03, JP)
Download PDF:
Claims:
HGF蛋白質を有効成分とする脊髄損傷治療剤。
HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含む蛋白質であってHGFとして作用する蛋白質、又はこれらの部分ペプチドであってHGFとして作用するペプチドである請求の範囲第1項に記載の治療剤。
HGF蛋白質が、配列番号2で表わされるアミノ酸配列を含む蛋白質である請求の範囲第1項に記載の治療剤。
脊髄損傷部位に局所適用するための請求の範囲第1~3項のいずれかに記載の治療剤。
髄腔内投与用注射剤の剤型である請求の範囲第3項に記載の治療剤。
徐放性ポンプによる髄腔内投与用注射剤の剤型である請求の範囲第3項に記載の治療剤。
脊髄神経の脱髄抑制剤である請求の範囲第1~6項のいずれかに記載の治療剤。
HGF蛋白質を有効成分として含有し、かつ脊髄損傷直後から2週以内に投与されることを特徴とする脊髄損傷治療剤。
HGF蛋白質を有効成分として含有し、かつ脊髄損傷直後から4日以内に投与されることを特徴とする、脊髄損傷治療剤。
脊髄損傷患者に有効量のHGF蛋白質を投与することを特徴とする脊髄損傷治療方法。
脊髄損傷治療剤を製造するためのHGF蛋白質の使用。
脊髄損傷治療用HGF蛋白質。
HGF蛋白質を有効成分とする脱髄性疾患治療剤。
脱髄性疾患が多発性硬化症、デビック病、バロー同心性硬化症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、シルダー病、亜急性硬化性汎脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)、ビンスワンガー病、低酸素脳症、橋中心髄鞘破壊症、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)から選ばれる請求の範囲第13項記載の治療剤。
HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含む蛋白質であってHGFとして作用する蛋白質、又はこれらの部分ペプチドであってHGFとして作用するペプチドである請求の範囲第13項又は第14項記載の治療剤。
HGF蛋白質が、配列番号2で表わされるアミノ酸配列を含む蛋白質である請求の範囲第13項又は第14項記載の治療剤。
疾患部位に局所適用するための請求の範囲第11~16項のいずれかに記載の治療剤。
髄腔内投与用注射剤の剤型である請求の範囲第17項記載の治療剤。
徐放性ポンプによる髄腔内投与用注射剤の剤型である請求の範囲第17項記載の治療剤。
脱髄性疾患の患者に有効量のHGF蛋白質を投与することを特徴とする脱髄性疾患治療方法。
脱髄性疾患治療剤を製造するためのHGF蛋白質の使用。
脱髄性疾患治療用HGF蛋白質。
Description:
脊髄損傷治療薬剤

 本発明は脊髄損傷治療剤に関し、更に詳 くは肝細胞増殖因子(以下、HGFと略記する。 )蛋白質を有効成分とする脊髄損傷治療剤に する。更に、本発明はHGF蛋白質を有効成分 する脱髄性疾患治療剤に関する。

 脊髄損傷(spinal cord injury:SCI)とは、交通事 や高所転落に伴う脊脱臼骨折等の外傷で、 髄実質が損傷されることにより、損傷部以 の末梢の運動・感覚・自律神経系の麻痺を する病態のことである。
 現在、脊髄損傷の患者は、日本では約10万 、米国では25万人に及ぶとされており、年間 日本では5千人、米国では1万人以上の患者が 加している。

 近年医療の進歩に伴い受傷後の生存率は 昇し、障害の進行を抑えるべく脊椎骨損傷 再建手術の方法も飛躍的に進歩してきた。 たがって、2次的な神経症状の増悪を抑える ことも成功しはじめている。更に、リハビリ テーションによる機能回復訓練技術の向上や 補助器具(電動車いす等)の開発等により、患 の日常生活動作(ADL)が向上してきてはいる しかし、根本的な脊髄損傷自体への有効な 療法(神経損傷からの神経保護・再生)がない ために、自立した排尿・排便・手作業や歩行 が不能な患者が大量に存在しているのが現状 である。

 一方、HGFは、最初に成熟肝細胞に対する 力なマイトジェンとして同定され、1989年に その遺伝子クローニングがなされた(非特許 献1、2)。HGFは肝細胞増殖因子として発見さ たが、ノックアウト/ノックインマウスの手 を含む発現及び機能的解析における近年の 数の研究により、HGFは新規な神経栄養因子 あることも明らかにされた(非特許文献3、4) 。

 そして、特許文献1には、パーキンソン病 モデルラットを用いて、HGF遺伝子のモデルラ ットへの作用効果を行動学的及び組織学的に 検討した実施例が示されており、HGF遺伝子の 前投与により中脳黒質ドーパミンニューロン を神経毒6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)から 護し、パーキンソン病モデルラットの症状 抑えたとの実験結果が示されている。また この特許文献1では、前記実験結果に基づい 、HGF遺伝子がパーキンソン病のみならず、 ルツハイマー病、脊髄小脳変性症、多発性 化症、線条体黒質変性症(SND)、脊髄性筋萎 症(SMA)、ハンチントン舞踏病、シャイ・ドレ ーガー症候群、シャルコー・マリー・トゥー ス病(CMT)、フリードライヒ失調症、重症筋無 症、ウイリス動脈輸閉塞症、アミロイドー ス、ピック病、スモン病、皮膚筋炎・多発 筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、ベー ェット病、全身性エリテマトーデス(SLE)、 ルコイドーシス、結節性動脈周囲炎(PN)、後 靭帯骨化症、広範性脊管柱狭窄症、混合性 合組織病(MCTD)、糖尿病性末梢神経炎、虚血 脳血管障害(脳梗塞、脳出血等)などの神経 患の治療にも適用できるとし、かかる神経 患の1つとして脊髄損傷も挙げられている。

 しかしながら、6-OHDAはカテコールアミン 合成する神経細胞(具体的にはノルアドレナ リン、アドレナリン、ドーパミン産生神経細 胞)に特異的に効果をもつ特殊な人工毒で、 記されているほとんどの疾患で変性死滅す といわれる神経細胞に対して6-OHDAはそもそ 毒性を示さない。したがって、6-OHDAによる 経細胞死抑制効果をもって脊髄損傷を含む 記疾患に対して効果を予測することは到底 きない。また、前記特許文献1には、HGF蛋白 投与による治療効果に関する記載もない。

 更に、非特許文献5には、ラット第10胸髄 に、HGF遺伝子を繰み込んだウイルスベクタ (HGF発現ウイルスベクター)を注入したのち 同部位に胸椎圧挫損傷を作製し、その後運 機能を評価したところ、下肢運動機能の回 が認められたことが記載されている。

 しかしながら、通常脊髄損傷は事故等の外 によって起きるにもかかわらず、非特許文 5では、胸椎圧挫損傷の3日前にHGF発現ウイ スベクターを注入している。このように事 の発生及び損傷部位を予測して、事前に局 的にHGF発現ウイルスベクターを投与するこ は不可能である。
 また、脊髄損傷の患者は、受傷後72時間は 体が安定せず、髄腔内投与のためのカテー ル挿入等が非常に困難となる可能性があり 投与時期の決定が重要になる。
 更に、通常のHGF遺伝子治療は蛋白質の発現 の調節が困難である、一部の遺伝子発現ベ ターでは繰り返し投与の際に免疫反応を惹 する危惧がある、一部の遺伝子発現ベクタ ではゲノムに遺伝子を導入することになる の問題点が想定される。

 ところで、脊髄神経を含む有髄神経の神 線維はミエリンと呼ばれるリポ蛋白の層か 成る髄鞘で覆われている。髄鞘は神経線維 絶縁体のような働きをしており、有髄神経 跳躍伝導を可能にしている。この髄鞘が破 される現象を脱髄と称するが、脱髄が生じ と神経伝達の著しい遅延によって多彩な神 症状を引き起こす。これら脱髄を伴う疾患 脱髄性疾患と総称し、代表的なものとして 多発性硬化症が挙げられ、脊髄損傷の場合 通常脱髄を伴う。

 多発性硬化症は脳及び脊髄の播種性脱髄斑 形成を特徴とする遅進性の中枢神経疾患で 欧米人に多く人口10万人当たり約50~100人、 本では人口10万人当たり1~5人に発症する。症 状は個人差が大きく、視覚喪失,複視,眼振,構 音障害,脱力,異常感覚,膀胱異常,気分変化等 様々な症状を発現し、寛解と再燃を繰り返 ながら進行していく。病因として免疫学的 常が疑われているものの、いまだ解明され いない。そのため、他の脱髄性疾患と同様 根本的治療法もないのが現状である。
 なお、前述の通り、HGF遺伝子を組み込んだ イルスベクター(HGF発現ウイルスベクター) 注入する方法が知られているが、ヘルペス イルス(HSV)やアデノウイルスなどのウイルス を脳内に注入すると、脳における濃度依存的 炎症反応をもたらし、脱髄を招くことが知ら れている(特許文献2)。したがって、この点か らも、HGF遺伝子を繰み込んだウイルスベクタ ーを用いる治療方法は、脱髄性疾患の根本的 治療法にならないことは明らかであり、脱髄 を招かない治療方法の確立が求められていた 。

WO2003/045439号パンフレット

WO2005/100577号パンフレット Biochem.Biophys.Res.Commun.,122,1450-1459(1984) Nature,342,440-443(1989) Nat.Neurosci.,2,213-217(1999) Clin.Chim.Acta.,327,1-23(2003) 日本整形外科学会雑誌、2005.08.25、Vol.79,N o.8,pS764

 本発明の目的は、遺伝子を用いることな 、簡便な方法により脊髄損傷及び脱髄性疾 を治療することができる薬剤を提供するも である。

 本発明者らは、前記課題を解決すべく種 研究を重ねた結果、HGF蛋白質が、脱髄抑制 果や5HT神経再生効果等脊髄損傷治療で最も まれている機能再生効果を有し、HGF蛋白質 脊髄損傷の治療薬剤として有用であるのみ らず、脱髄性疾患の治療薬剤としても有用 あることを見出し、更に検討を重ねて本発 を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、
(1)HGF蛋白質を有効成分とする脊髄損傷治療剤 、
(2)HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表されるア ノ酸配列を含む蛋白質、配列番号1又は2で されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ 酸配列を含む蛋白質であってHGFとして作用 る蛋白質、又はこれらの部分ペプチドであ てHGFとして作用するペプチドである前記(1) 載の治療剤、
(3)HGF蛋白質が、配列番号2で表わされるアミ 酸配列を含む蛋白質である前記(1)記載の治 剤、
(4)脊髄損傷部位に局所適用するための前記(1) ~(3)のいずれかに記載の治療剤、
(5)髄腔内投与用注射剤の剤型である前記(4)記 載の治療剤、
(6)徐放性ポンプによる髄腔内投与用注射剤の 剤型である前記(4)記載の治療剤、
(7)脊髄神経の脱髄抑制剤である前記(1)~(6)の ずれかに記載の治療剤、
(8)HGF蛋白質を有効成分として含有し、かつ脊 髄損傷直後から2週以内に投与されることを 徴とする脊髄損傷治療剤、
(9)HGF蛋白質を有効成分として含有し、かつ脊 髄損傷直後から4日以内に投与されることを 徴とする脊髄損傷治療剤、
(10)脊髄損傷患者に有効量のHGF蛋白質を投与 ることを特徴とする脊髄損傷治療方法、
(11)脊髄損傷治療剤を製造するためのHGF蛋白 の使用、
(12)脊髄損傷治療用HGF蛋白質、
(13)HGF蛋白質を有効成分とする脱髄性疾患治 剤、
(14)脱髄性疾患が多発性硬化症、デビック(Devi c)病、バロー同心性硬化症、急性散在性脳脊 炎(ADEM)、シルダー(Schilder)病、亜急性硬化性 汎脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)、ビ スワンガー病、低酸素脳症、橋中心髄鞘破 症、ギラン・バレー症候群、フィッシャー 候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP) ら選ばれる前記(13)記載の治療剤、
(15)HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表されるア ミノ酸配列を含む蛋白質、配列番号1又は2で されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ 酸配列を含む蛋白質であってHGFとして作用 る蛋白質、又はこれらの部分ペプチドであ てHGFとして作用するペプチドである前記(13) 又は(14)記載の治療剤、
(16)HGF蛋白質が、配列番号2で表わされるアミ 酸配列を含む蛋白質である前記(13)又は(14) 載の治療剤、
(17)疾患部位に局所適用するための前記(13)~(16 )のいずれかに記載の治療剤、
(18)髄腔内投与用注射剤の剤型である前記(17) 載の治療剤、
(19)徐放性ポンプによる髄腔内投与用注射剤 剤型である前記(17)記載の治療剤、
(20)脱髄性疾患の患者に有効量のHGF蛋白質を 与することを特徴とする脱髄性疾患治療方 、
(21)脱髄性疾患治療剤を製造するためのHGF蛋 質の使用、及び
(22)脱髄性疾患治療用HGF蛋白質、
に関する。

 本発明の治療剤は、脊髄損傷及び脱髄性 患に対して極めて優れた治療効果を発揮す ものである。また、本発明の治療剤は、遺 子治療のもつ問題点がないという特長を有 る。更に、本発明の治療剤は、脊髄損傷や 髄性疾患(例えば、多発性硬化症等)などで られる有髄神経での脱髄を効果的に抑制、 療することができるという特長を有する。 にまた、本発明の治療剤はHSVやアデノウイ ス等のウイルスベクターを用いる必要がな ため、脱髄を招くことがないという特徴を する。更に加えて、本発明の治療剤は、遺 子治療と異なり有効成分であるHGFの供給量 しくは投与量を容易に調節することが可能 あり、かつ投与時期の調節が可能であり、 に繰り返しもしくは持続的に投与が可能で るという特長を有する。

脊髄損傷直後からHGF蛋白質を200μg/2週 投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄損 後の脊髄組織のHE(ヘマトキシリン-エオシン: Hematoxylin-Eosin)染色像である。 脊髄損傷直後からHGF蛋白質を200μg/2週 投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄損 後の脊髄組織のLFB(ルクソール・ファスト・ ルー:Luxol Fast Blue)染色像である。 脊髄損傷直後からHGF蛋白質を200μg/2週 投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄損 後の脊髄組織の5HT(5-Hydroxytryptamine)免疫染色 である。 脊髄損傷直後からHGF蛋白質を200μg/2週 投与したHGF蛋白質投与群の脊髄損傷後の脊 組織の5HT及びGAP43(Growth associated protein-43)の 疫染色像である。 脊髄損傷直後からHGF蛋白質を200μg/2週 投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄損 後のBBB(Basso-Beattie-Bresnahan)スコアを示す線図 ある。図中、矢印は、HGF蛋白質またはPBS投 期間を表す。 脊髄損傷直後からHGF蛋白質を400μg/4週 投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄損 後のBBBスコアを示す線図である。図中、矢 は、HGF蛋白質またはPBS投与期間を表す。 脊髄損傷4日後からHGF蛋白質を400μg/4週 投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄損 後のBBBスコアを示す線図である。図中、矢 は、HGF蛋白質またはPBS投与期間を表す。 脊髄損傷2週間後からHGF蛋白質を400μg/4 間投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄 傷後のBBBスコアを示す線図である。図中、 印は、HGF蛋白質またはPBS投与期間を表す。 脊髄損傷8週間後からHGF蛋白質を400μg/4 間投与したHGF蛋白質投与群と対照群の脊髄 傷後のBBBスコアを示す線図である。図中、 印は、HGF蛋白質またはPBS投与期間を表す。

 本発明で使用されるHGF蛋白質は公知物質 あり、医薬として使用できる程度に精製さ たものであれば、種々の方法で調製された のを用いることができる。HGF蛋白質の製造 法としては、例えばHGF蛋白質を産生する初 培養細胞や株化細胞を培養し、培養上清等 ら分離、精製して該HGF蛋白質を得ることが きる。あるいは遺伝子工学的手法によりHGF 白質をコードする遺伝子を適切なベクター 組み込み、これを適当な宿主細胞に挿入し 形質転換し、この形質転換体の培養上清か 目的とする組換えHGF蛋白質を得ることもで る。(例えば、特開平5-111382号公報、Biochem.Bi ophys.Res.Commun.1989年、第163巻,p.967等を参照)。 記の宿主細胞は特に限定されず、従来から 伝子工学的手法で用いられている各種の宿 細胞、例えば大腸菌、酵母又は動物細胞等 用いることができる。このようにして得ら たHGF蛋白質は、天然型HGF蛋白質と実質的に じ作用を有する限り、そのアミノ酸配列中 1若しくは複数個〔例えば、数個(例えば1~8個 ;以下同様である。)〕のアミノ酸が置換、欠 若しくは付加されていてもよく、また同様 糖鎖が置換、欠失若しくは付加されていて よい。そのようなHGF蛋白質として、下記す 5アミノ酸欠損型HGF蛋白質を挙げることがで きる。ここで、アミノ酸配列について、「1 しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若し は付加」とは、遺伝子工学的手法、部位特 的突然変異誘発法等の周知の技術的方法に り、又は天然に生じうる程度の数(1~数個)が 欠失、置換若しくは付加等されていること 意味する。糖鎖が置換、欠失若しくは付加 たHGF蛋白質とは、例えば天然のHGF蛋白質に 加している糖鎖を酵素等で処理し糖鎖を欠 させたHGF蛋白質、また糖鎖が付加しない様 糖鎖付加部位のアミノ酸配列に変異が施さ たもの、あるいは天然の糖鎖付加部位とは なる部位に糖鎖が付加するようアミノ酸配 に変異が施されたもの等をいう。

 更に、HGF蛋白質のアミノ酸配列と少なく も約80%以上の相同性を有する蛋白質、好ま くは約90%以上の相同性を有する蛋白質、よ 好ましくは約95%以上の相同性を有する蛋白 であって、かつHGFとして作用する蛋白質も まれる。上記アミノ酸配列について「相同 とは、蛋白質の一次構造を比較し、配列間 おいて各々の配列を構成するアミノ酸残基 一致の程度の意味である。

 上記HGF蛋白質としては、例えば配列番号1又 は2で表されるアミノ酸配列等が挙げられる 配列番号2で表されるHGF蛋白質は、配列番号1 で表されるアミノ酸配列の161~165番目の5個の ミノ酸残基が欠失している5アミノ酸欠損型 HGF蛋白質である。配列番号1又は2で表される ミノ酸配列を有する蛋白質は、両者ともヒ 由来の天然HGF蛋白質であって、HGFとしての イトゲン(mitogen)活性、モートゲン(motogen)活 等を有する。
 配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と 質的に同一であるアミノ酸配列を含む蛋白 としては、配列番号1又は2で表されるアミノ 酸配列と少なくとも約80%以上、好ましくは約 90%以上、より好ましくは約95%以上の同一性を 有するアミノ酸配列を含む蛋白質、例えば配 列番号1又は2で表されるアミノ酸配列から、1 ~数個のアミノ酸残基を挿入又は欠失させた ミノ酸配列、1~数個のアミノ酸残基を別のア ミノ酸残基と置換させたアミノ酸配列又は1~ 個のアミノ酸残基が修飾されたアミノ酸配 等を含む蛋白質であってHGFとして作用する 白質であることが好ましい。挿入されるア ノ酸又は置換されるアミノ酸は、遺伝子に りコードされる20種類のアミノ酸以外の非 然アミノ酸であってもよい。非天然アミノ は、アミノ基とカルボキシル基を有する限 どのような化合物でもよいが、例えばγ-ア ノ酪酸等が挙げられる。これらの蛋白質は 単独であっても、これらの混合蛋白質であ てもよい。配列番号1又は2で表されるアミノ 酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を 含む蛋白質としては、例えばNCBIのデータベ ス(NCBI-GenBank Flat File Release 164.0)に登録さ ているAccession No.BAA14348又はAAC71655等のヒト 来HGFが挙げられるが、これらに限定されな 。

 なお、本発明で用いられるHGF蛋白質は、 トに適用する場合は前記したヒト由来のも が好適に用いられるが、ヒト以外の哺乳動 (例えばサル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、 イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、ハム スター、モルモット、チンパンジー等)に由 するHGF蛋白質であってもよい。このようなHG Fとしては、例えばNCBIのデータベース等に登 されている例えば、マウス由来HGF(例えばAcc ession No.AAB31855、NP_034557、BAA01065,BAA01064等)、 ット由来HGF[例えばAccession No.NP_58713(配列番 3で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質)等 ]、ウシ由来HGF(例えばAccession No.NP_001026921、BA D02475等)、ネコ由来HGF(例えばAccession No.NP_00100 9830、BAC10545,BAB21499等)、イヌ由来HGF(例えばAcce ssion No.NP_001002964、BAC57560等)又はチンパンジ 由来HGF(例えばAccession No.XP_519174等)などが挙 られるが、これらに限定されない。

 本発明に用いられるHGF蛋白質は、C末端がカ ルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO - )、アミド(-CONH 2 )又はエステル(-COOR)のいずれであってもよい ここでエステルにおけるRとしては、例えば 、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピ もしくはn-ブチル等のC 1-6 アルキル基、例えば、シクロペンチル、シク ロヘキシル等のC 3-8 シクロアルキル基、例えば、フェニル、α-ナ フチル等のC 6-12 アリール基、例えば、ベンジル、フェネチル 等のフェニル-C 1-2 アルキル基もしくはα-ナフチルメチル等のα- ナフチル-C 1-2 アルキル基等のC 7-14 アラルキル基のほか、ピバロイルオキシメチ ル基等が用いられる。本発明で用いられるHGF 蛋白質が、C末端以外にカルボキシル基(又は ルボキシレート)を有している場合、カルボ キシル基がアミド化又はエステル化されてい るものも本発明におけるHGF蛋白質に含まれる 。この場合のエステルとしては、例えば上記 したC末端のエステル等が用いられる。更に 本発明に用いられるHGF蛋白質には、上記し 蛋白質において、N末端のメチオニン残基の ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセ チル等のC 2-6 アルカノイル基等のC 1-6 アシル基等)で保護されているもの、N末端側 生体内で切断され生成したグルタミル基が ログルタミン酸化したもの、分子内のアミ 酸の側鎖上の官能基(例えば、-OH、-SH、アミ ノ基、イミダゾール基、インドール基、グア ニジノ基等)が適当な保護基(例えば、ホルミ 基、アセチル等のC 2-6 アルカノイル基等のC 1-6 アシル基等)で保護されているもの、あるい 糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質等の複合 白質等も含まれる。

 本発明で用いるHGF蛋白質は、その部分ペプ ド(以下、部分ペプチドと略記する場合があ る。)の形態であってもよく、そのような部 ペプチドとしては、上記したHGF蛋白質の部 ペプチドであってHGFと実質的に同質の活性 有するものであればいずれのものであって よい。本発明において、部分ペプチドのア ノ酸の数は、上記したHGF蛋白質の構成アミ 酸配列のうち少なくとも約20個以上、好まし くは約50個以上、より好ましくは約100個以上 アミノ酸配列を含有するペプチド等が好ま い。具体的には、例えば、配列番号1で表さ れるヒトHGFアミノ酸配列のN末端側から32番目 のアミノ酸から210番目のアミノ酸までのアミ ノ酸配列(HGFのN末端ヘアピンループから第1ク リングルドメインまでの配列)で示されるペ チドや、配列番号1で表されるヒトHGFアミノ 配列のN末端側から32番目のアミノ酸から288 目のアミノ酸までのアミノ酸配列(HGFのN末 ヘアピンループから第2クリングルドメイン での配列)で示されるペプチド等が好ましく 挙げられる。本発明の部分ペプチドにおいて は、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキ レート(-COO - )、アミド(-CONH 2 )又はエステル(-COOR)のいずれであってもよい 更に、部分ペプチドには、上記したHGF蛋白 と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ 基が保護基で保護されているもの、N端側が 体内で切断され生成したGlnがピログルタミ 酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上 官能基が適当な保護基で保護されているも 、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプ ド等の複合ペプチド等も含まれる。

 本発明に用いられるHGF蛋白質(部分ペプチ ドの形態を含む)の塩としては、酸又は塩基 の生理学的に許容される塩が挙げられ、と わけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま い。この様な塩としては、例えば、無機酸( えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)と の塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸 プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コ ク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸 安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンス ホン酸)との塩等が挙げられる。

 本発明に用いられるHGF蛋白質が部分ペプ ドの形態である場合、該部分ペプチドは、 知のペプチドの合成法に従って、あるいはH GF蛋白質を適当なペプチダーゼで切断するこ によって製造することができる。ペプチド 合成法としては、例えば、固相合成法、液 合成法のいずれでも良い。すなわち、HGF蛋 質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミ 酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護 を有する場合は、保護基を脱離することに り目的のペプチドを製造することができる 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 えば、M.Bodanszky及びM.A.Ondetti、ペプチド・シ ンセシス(Peptide Synthesis),Interscience Publishers,Ne w York(1966年)、Schroeder及びLuebke、ザ・ペプチ (The Peptide), Academic Press,NewYork(1965年)等に記 された方法が挙げられる。反応後は通常の 製方法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラム ロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ ・再結晶等を組み合わせてHGF蛋白質の部分 プチドを精製単離することができる。上記 法で得られる部分ペプチドが遊離体である 合は、公知の方法によって適当な塩に変換 ることができるし、逆に塩で得られた場合 、公知の方法によって遊離体に変換するこ ができる。

 なお、本発明で用いられるHGF蛋白質は、 トに適用する場合は前記したヒト由来のも が好適に用いられるが、ヒト以外の哺乳動 に由来するHGF蛋白質であってもよい。例え 、ラット由来のHGF蛋白質は配列番号3で表さ れる。

 本発明の治療剤、すなわち脊髄損傷治療 及び脱髄性疾患治療剤は、脊髄損傷及び脱 を伴う神経疾患全般に用いることができる 具体的には、多発性硬化症(MS)、デビック(De vic)病、バロー同心性硬化症、急性散在性脳 髄炎(ADEM)、シルダー(Schilder)病、亜急性硬化 汎脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)、 ンスワンガー(Binswanger)病、低酸素脳症、橋 心髄鞘破壊症、ギラン・バレー(Guillain-Barre) 候群、フィッシャー(Fisher)症候群、慢性炎 性脱髄性多発根神経炎(CIDP)等が挙げられ、 髄を伴う脊髄損傷も包含される。

 本発明の治療剤(脊髄損傷治療剤及び脱髄 性疾患治療剤)は、ヒトのほか、ヒト以外の 乳動物(例えば、サル、ウシ、ウマ、ブタ、 ツジ、イヌ、ネコ等)にも適用できる。

 本発明の治療剤(脊髄損傷治療剤又は脱髄 性疾患治療剤)を患者又は患畜に投与する場 、種々の製剤形態、例えば液剤、固形剤等 とりうるが、一般的にはHGF蛋白質のみ又は れと慣用の担体と共に注射剤、噴射剤、徐 性製剤(例えば、デポ剤)等とされる。上記注 射剤は、水性注射剤又は油性注射剤のいずれ でもよい。水性注射剤とする場合、公知の方 法に従って、例えば、水性溶媒(注射用水、 製水等)に、医薬上許容される添加剤、例え 等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、 グリセリン、マンニトール、ソルビトール、 ホウ酸、ホウ砂、ブドウ糖、プロピレングリ コール等)、緩衝剤(リン酸緩衝液、酢酸緩衝 、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩 液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、 プシロンアミノカプロン酸緩衝液等)、保存 剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ 息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピ 、パラオキシ安息香酸ブチル、クロロブタ ール、ベンジルアルコール、塩化ベンザル ニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等)、増粘剤(ヒ ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ ピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ リエチレングリコール等)、安定化剤(亜硫酸 素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデ 酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アス ルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等) 又はpH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム、リン 酸、酢酸等)などを適宜添加した溶液に、HGF 白質を溶解した後、フィルター等で濾過し 滅菌し、次いで無菌的な容器に充填するこ により調製することができる。また適当な 解補助剤、例えばアルコール(エタノール等) 、ポリアルコール(プロピレングリコール、 リエチレングリコール等)又は非イオン界面 性剤(ポリソルベート80、ポリオキシエチレ 硬化ヒマシ油50等)などを使用してもよい。 性注射剤とする場合、油性溶媒としては、 えば、ゴマ油又は大豆油等が用いられ、溶 補助剤として安息香酸ベンジル又はベンジ アルコール等を使用してもよい。調製され 注射液は、通常、適当なアンプル又はバイ ルに充填される。注射剤中のHGF蛋白質含量 、通常約0.0002~2.0w/v%程度、好ましくは約0.001 ~1.0w/v%程度、さらに好ましくは約0.01~0.5w/v%程 に調整される。なお、注射剤等の液状製剤 、凍結保存又は凍結乾燥等により水分を除 して保存するのが望ましい。凍結乾燥製剤 、用時に注射用蒸留水等を加え、再溶解し 使用される。

 噴霧剤も製剤上の常套手段によって調製 ることができる。噴霧剤として製造する場 、その添加剤としては、一般に吸入用製剤 使用される添加剤であればいずれのもので ってもよく、例えば、噴射剤の他、上記し 溶剤、保存剤、安定化剤、等張化剤、pH調 剤等が用いられる。噴射剤としては、液化 ス噴射剤又は圧縮ガス等が用いられる。液 ガス噴射剤としては、例えば、フッ化炭化 素(HCFC22、HCFC-123、HCFC-134a、HCFC142等の代替フ ン類等)、液化石油、ジメチルエーテル等が 挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、可 溶性ガス(炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等)又は 溶性ガス(窒素ガス等)などが挙げられる。

 また、本発明で用いられるHGF蛋白質は、 体分解性高分子と共に、徐放性製剤(例えば デポ剤)とすることもできる。HGF蛋白質は特 デポ剤とすることにより、投薬回数の低減 作用の持続性及び副作用の軽減等の効果が 待できる。該徐放性製剤は公知の方法に従 て製造することができる。本徐放性製剤に 用される生体内分解性高分子は、公知の生 内分解性高分子のなかから適宜選択できる 、例えばデンプン、デキストラン、ヒアル ナン(ヒアルロン酸)もしくはその塩又はキト サン等の多糖類、アテロコラーゲン、コラー ゲン又はゼラチン等の蛋白質、ポリグルタミ ン酸、ポリリジン、ポリロイシン、ポリアラ ニン又はポリメチオニン等のポリアミノ酸、 ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコ ール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ -β-ヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、ポリ酸 水物又はフマル酸・ポリエチレングリコー ・ビニルピロリドン共重合体等のポリエス ル、ポリオルソエステル又はポリメチル-α- アノアクリル酸等のポリアルキルシアノア リル酸、ポリエチレンカーボネート又はポ プロピレンカーボネート等のポリカーボネ ト等である。好ましくはポリエステル、更 好ましくは乳酸・グリコール酸共重合体で る。乳酸-グリコール酸共重合体を使用する 場合、その組成比(乳酸/グリコール酸)(モル%) は徐放期間によって異なるが、例えば徐放期 間が約2週間ないし3カ月、好ましくは約2週間 ないし1カ月の場合には、約100/0ないし50/50で る。該乳酸-グリコール酸共重合体の重量平 均分子量は、一般的には約5,000ないし20,000で る。乳酸-グリコール酸共重合体は、公知の 製造法、例えば特開昭61-28521号公報に記載の 造法に従って製造できる。生体分解性高分 とHGF蛋白質の配合比率は特に限定はないが 例えば生体分解性高分子に対して、HGF蛋白 が約0.01~30w/w%程度である。

 投与方法としては、注射剤もしくは噴霧 を直接脊髄損傷あるいは脱髄性疾患のある 織に直接注射(例えば、髄腔内(intrathecal)投 、徐放性ポンプによる髄腔内持続投与等)も くは噴霧するか、あるいは徐放性製剤(デポ 剤)を脊髄損傷あるいは脱髄性疾患のある組 に近い部位に埋め込むのが好ましい。また 投与量は、剤形、疾患の程度又は年齢等に じて適宜選択されるが、通常、1回当たり1μg ~500mg、好ましくは10μg~50mgである。また、投 方法も剤形、疾患の程度又は年齢等に応じ 適宜選択され、1回単回投与とするか、1回30 ~数週間程度(好ましくは1回24時間~2週間程度 )の持続投与とするか、あるいは前記単回投 または持続投与を、間隔をおいて連続投与 することもできる。連続投与の場合、投与 隔は1日1回から数ヶ月に1回でよく、例えば 徐放性製剤(デポ剤)による投与や徐放性ポン プ(例えば、浸透圧ポンプ)による局所(例えば 髄腔内)持続投与の場合は、数週間~数ヶ月に1 回でもよい。この様な持続投与は、HGF蛋白質 が長期にわたり徐々に脊髄損傷又は脱髄性疾 患の部位に放出されるため、HGF作用が長期に わたり発揮されて、より良好な治療効果が得 られるという利点がある他、投与回数が少な いため、患者への負担が軽減されるという利 点もある。また、必要に応じて1度設置した 下の浸透圧ポンプにHGF蛋白質を追加投与可 な点も利点といえる。なお、投与方法は、 記のとおり局所投与が望ましいが、筋肉内 与、皮下投与、点滴投与等でも可能である また、投与時期も、剤形、疾患の程度又は 齢等に応じて適宜選択され、例えば、脊髄 傷の場合では、好ましくは受傷直後から14日 以内、更に好ましくは受傷直後から7日以内 特に好ましくは受傷直後から4日以内である 特に、脊髄損傷の患者では、受傷後72時間 度は容体が安定し難いことを考慮すると、 傷後約72時間から4日以内に投与されること とりわけ好ましい。上記投与時期は、持続 与または連続投与の場合の投与開始時また 初回投与時も含まれる。

 以下に実施例を用いて本発明を説明するが 本発明はこれらに限定されるものではない
 また、以下の実施例において使用したHGF蛋 質は5残基欠失型リコンビナントヒトHGF蛋白 質(配列番号2)を用いた。

 [実施例1]
(脊髄損傷動物の作製及びHGF蛋白質の投与)
 (1)脊髄損傷動物の作製
 まず、無菌的に浸透圧ポンプ(Osmotic Pump)を 備した。Alzetミニオスモティックポンプ(ALZA  Corporation製、Model2002)にHGF蛋白質(濃度1mg/mL、 PBSに溶解)又はPBS(対照)を注入した。ポンプ吐 出部には、HGF蛋白質又はPBSで内腔を満たした 内径0.3mm-外径0.7mmのシリコンチューブ(株式会 社イマムラ製;カテーテルチューブ)を連結し 連結部には更に内径1.0mm-外径2.0mmのシリコ チューブ(株式会社イマムラ製)をかぶせ、37 で12時間インキュベートした後、実験に供 た。
 成体雌性SDラット(週齢約10週から12週:体重 250g)を14w/v%抱水クロラールの腹腔内投与によ り麻酔し、第10胸椎及び第12胸椎の椎弓を除 した後、浸透圧ポンプ(HGF蛋白質溶液を上記 法で予め充填したもの)を右側脊背側皮下に 留置し、カテーテルチューブを皮下から筋層 を通し、第12胸椎椎弓まで誘導した。次いで 10胸髄にIHインパクター(Precision Systems製)を いて200kDyneの圧挫損傷を作製し、その後第12 胸髄の硬膜とくも膜を頭尻側方向にスプリッ トし、カテーテルチューブをくも膜下腔に挿 入し、カテーテルの先を損傷脊髄直上まで進 めた。カテーテルは外科用接着剤アロンアル ファA「三共」(三共株式会社製)を用い筋層の 上下で癒着させ、十分乾燥した後に筋層と皮 膚を縫合して手術を完了した。
 (2)HGF蛋白質の投与
 術後(圧挫損傷後)、前記浸透圧ポンプによ HGF蛋白質溶液を2週間にわたり髄腔内投与し (HGF蛋白質の投与量:200μg/2週)。なお、対照 にはPBSのみを投与した。

 [実施例2]
(組織解析及び結果)
 術後一定期間後、ラットを14w/v%抱水クロラ ルの腹腔内投与により深麻酔し、次いでPBS 引き続き4w/v%パラホルムアルデヒド/PBSで左 室より灌流を行った。脊髄断片を取り出し 4%w/vパラホルムアルデヒド/PBSで24時間、4℃ 後固定した。組織サンプルを10w/v%シュクロ ス/PBS溶液、次いで30w/v%シュクロース/PBS溶 にそれぞれ24時間4℃で浸漬し、OCTコンパウ ド(サクラファインテクニカル社)中に包埋し た。包埋組織を液体窒素中で直ちに凍結し、 20μmの凍結切片を作製した。次いで切片をヘ トキシリン及びエオシン(HE)で染色し、組織 検査を行った。その結果、図1に示すように HGF蛋白質投与群は対照群に較べて、運動神 の変性・細胞死に起因する空洞形成が顕著 抑制されていることから、圧挫による脊髄 性が抑制されていることが示された。

 [実施例3]
(髄鞘染色及び結果)
 実施例2記載の方法で作製した切片を95v/v%エ タノール処理した後、ルクソール・ファスト ・ブルー(LFB)溶液で60℃、2時間インキュベー し、インキュベーターから取り出した後室 となるまで放置し、95v/v%エタノール及び蒸 水で洗浄した。次に、炭酸リチウム溶液、7 0v/v%エタノールによる分別及び蒸留水による 浄の操作を適当なコントラストが得られる で繰り返した後、切片を脱水・封入し、髄 の観察を行った。図2に示すように、HGF蛋白 質投与群は対照群に較べてLFB陽性の髄鞘面積 が大きく、脊髄損傷による脱髄が抑制されて いることが示された。

 [実施例4]
(免疫組織化学解析及び結果)
 実施例2記載の方法で作製した切片をポリク ローナル抗5HT抗体(1:100希釈)及びポリクロー ル抗GAP43抗体(1:1000希釈)で染色した。すなわ 、5v/v%ヤギ血清及び0.1w/v%トリトンX-100を含 PBSで室温1時間ブロッキングを行った後、前 抗体溶液で4℃、一晩インキュベートした。 この切片をPBSで洗浄後、Alexa488(緑)及びAlexa546 (赤)(1:1000希釈)で蛍光標識した2次抗体で室温1 時間インキュベートして、PBSで洗浄後、スラ イドに封入し、傾向顕微鏡にて5HT陽性神経線 維及びGAP43陽性神経線維を観察した。その結 、図3に示すように、HGF蛋白質投与群は対照 群に比べて、損傷部より4mm尾側において5HT陽 性神経線維が有意に多く認められた。また、 図4に示すように、5HT陽性シグナルとGAP43陽性 シグナルの局在が一致していた。5HT陽性神経 線維は脊髄損傷後の運動機能を担っているこ と、GAP43は成体においては再生神経線維にの 発現していることから、HGF蛋白質の投与に って運動機能に直結する神経線維の再生が 進されることが示された。

 [実施例5]
(運動機能評価及び結果)
 実施例1に記載の方法で脊髄損傷直後からHGF 蛋白質を200μg/2週間投与した動物につき、オ プンフィールドでの動物の動きを複数の観 者が目視で観察し、その機能を0[完全麻痺]~ 21[正常]の21段階で測定、記録し評価するBBB(Ba sso-Beattie-Bresnahan)スコアを用いて、後肢運動 能評価を術後6週まで行った。その結果は図5 のとおりである。
 図5から分かるように、HGF蛋白質群は脊髄損 傷4日後から機能回復が観察され、5週から対 群に比べて有意に機能回復効果が認められ (p<0.05)。

 [実施例6]
 実施例1と同様に脊髄損傷動物を作製し、HGF 蛋白質(濃度2mg/mL、PBSに溶解)又はPBS(対照)を 入した浸透圧ポンプの留置とカテーテルの 入を行った。術後(圧挫損傷後)、浸透圧ポン プによりHGF蛋白質溶液を4週間にわたり髄腔 投与した(HGF蛋白質の投与量:400μg/4週)。なお 、対照群にはPBSのみを投与した。実施例5に 載の方法で運動機能評価を術後9週まで行っ 。その結果は図6のとおりである。
 図6から分かるように、HGF蛋白質を投与した 動物では、対照動物に比較して脊髄損傷4日 から機能回復が観察され、HGF蛋白質投与後 BBBスコアの上昇が認められた。

 [実施例7]
 成体雌性SDラット(週齢約10週から12週:体重 250g)を14w/v%抱水クロラールの腹腔内投与によ り麻酔し、第10胸髄にIHインパクター(Precision Systems製)を用いて200kDyneの圧挫損傷を作製し 髄損傷動物とした。圧挫損傷4日後、2週後 8週後に浸透圧ポンプを留置するために脊髄 傷動物に再手術を施した。再手術は、HGF蛋 質(濃度2mg/mL、PBSに溶解)又はPBS(対照)を注入 した浸透圧ポンプを、実施例1と同様の方法 留置し、カテーテルの先を損傷脊髄直上に 入して固定した。圧挫損傷4日後、2週後およ び8週後から、HGF蛋白質溶液を浸透圧ポンプ より4週間にわたり髄腔内投与した(HGF蛋白質 の投与量:400μg/4週)。なお、対照群にはPBSの を投与した。経時的に実施例5に記載の方法 運動機能評価を行った。その結果は図7、8 び9に示すとおりである。
 圧挫損傷4日後からHGF蛋白質を投与した動物 では、図7から分かるように、対照動物に比 して早期の機能回復が観察された。
 圧挫損傷2週後からHGF蛋白質を投与した動物 では、図8から分かるように、HGF蛋白質投与2 後(圧挫損傷4週後)から、対照動物に比較し 機能回復が観察された。
 圧挫損傷8週後からHGF蛋白質を投与した動物 では、図9から分かるように、HGF蛋白質投与 物と、対照動物との間に機能回復に差は認 られなかった。

 [製剤実施例1]
 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー 酸=50/50,重量平均分子量=10,000;和光純薬工業 式会社製)1.9gをジクロロメタン3.0mLに溶解す る。この有機溶媒液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末 100mgを添加し、ミキサーミル(株式会社レッチ ェ)を用いて微粒化し、HGF蛋白質分散液を調 する。この分散液を0.1w/v%ポリビニルアルコ ル水溶液800mLに添加し、ホモミキサーを用 て撹拌・乳化する。室温で3時間撹拌してジ ロロメタンを揮散させた後、遠心分離(約2,0 00rpm)することによりマイクロカプセルを分取 する。次いで蒸留水400mLを用いて2回洗浄後、 D-マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥する。更 に残留溶媒除去のため、40℃で3日間真空乾燥 してHGF蛋白質含有徐放性マイクロカプセルを 得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:5.3w/w% )。

 [製剤実施例2]
 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー 酸=50/50,重量平均分子量=10,000;和光純薬工業 式会社製)1.89gと酸化亜鉛10mgとをジクロロメ タン3.0mLに溶解する。この有機溶媒液にHGF蛋 質凍結乾燥粉末100mgを添加し、ミキサーミ (株式会社レッチェ)を用いて微粒化し、HGF蛋 白質分散液を調製する。この分散液を0.1w/v% リビニルアルコール水溶液800mLに添加し、ホ モミキサーを用いて撹拌・乳化した。室温で 3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させた 、遠心分離(約2,000rpm)することによりマイク カプセルを分取する。次いで蒸留水400mLを いて2回洗浄後、D-マンニトール0.2gを添加し 結乾燥する。更に残留溶媒除去のため、40 で3日間真空乾燥してHGF蛋白質含有徐放性マ クロカプセルを得る(生体高分子に対するHGF の配合比率:5.3w/w%)。

 [製剤実施例3]
 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー 酸=75/25,重量平均分子量=15,000;和光純薬工業 式会社製)1.7gをジクロロメタン2.7mLに溶解す る。この有機溶媒液HGF蛋白質凍結乾燥粉末300 mgを添加し、ミキサーミル(株式会社レッチェ )を用いて微粒化し、HGF蛋白質分散液を調製 る。この分散液を0.1w/v%ポリビニルアルコー 水溶液800mLに添加し、ホモミキサーを用い 撹拌・乳化する。室温で3時間撹拌してジク ロメタンを揮散させた後、遠心分離(約2,000r pm)することによりマイクロカプセルを分取す る。次いで蒸留水400mLを用いて2回洗浄後、D- ンニトール0.2gを添加し凍結乾燥する。更に 残留溶媒除去のため、40℃で3日間真空乾燥し てHGF蛋白質含有徐放性マイクロカプセルを得 る(生体高分子に対するHGFの配合比率:17.6w/w%)

 [製剤実施例4]
 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー 酸=75/25,重量平均分子量=15,000;和光純薬工業 式会社製)1.69gと酸化亜鉛10mgとをジクロロメ タン2.7mLに溶解する。この有機溶媒液にHGF蛋 質凍結乾燥粉末300mgを添加し、ミキサーミ (株式会社レッチェ)を用いて微粒化し、HGF蛋 白質分散液を調製する。この分散液を0.1w/v% リビニルアルコール水溶液800mLに添加し、ホ モミキサーを用いて撹拌・乳化する。室温で 3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させた 、遠心分離(約2,000rpm)することによりマイク カプセルを分取する。次いで蒸留水400mLを いて2回洗浄後、D-マンニトール0.2gを添加し 結乾燥する。更に残留溶媒除去のため、40 で3日間真空乾燥してHGF蛋白質含有徐放性マ クロカプセルを得る(生体高分子に対するHGF の配合比率:17.8w/w%)。

 [製剤実施例5]
 DL-乳酸重合体(乳酸/グリコール酸=100/0,重量 均分子量=5,000;和光純薬工業株式会社製)5gを 塩化メチレン50mLに溶解し、10w/v%の溶液を調 する。次いで、この溶液にHGF蛋白質凍結乾 粉末2.5mgを添加する。これを別に40℃に加温 ておいた0.5w/v%キトサン水溶液に加え、ホモ ミキサーを用いて1000rpmの撹拌速度で撹拌し 化する。得られる乳化液を室温で更に3時間 拌して塩化メチレンを蒸散させ、次いで、 心分離(約2,000rpm)して生成したマイクロスフ ィアを集め、予め40℃に加温してある蒸溜水 用いて5回洗浄し、室温で減圧乾燥し、HGF蛋 白質含有マイクロスフィアを得る(生体高分 に対するHGFの配合比率:0.05w/w%)。

 [製剤実施例6]
 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー 酸=75/25,重量平均分子量=5,000;和光純薬工業 式会社製)10gを塩化メチレン:エタノール(4:1)2 00mLに溶解し、5w/v%の溶液を調製する。次いで 、この溶液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末2.5mgを添 する。これを別に40℃に加温しておいた1w/v% ゼラチン水溶液に上記混合溶液を500rpmの速度 でホモミキサーを用いて攪拌しながら少量ず つ加え乳化する。得られる乳化液を室温で更 に3時間撹拌して塩化メチレンとエタノール 蒸散させ、次いで、遠心分離(約2,000rpm)して 成したマイクロスフィアを集め、予め40℃ 加温してある蒸溜水を用いて5回洗浄し、室 で減圧乾燥し、HGF蛋白質含有マイクロスフ アを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率 :0.025w/w%)。

 [製剤実施例7]
 2w/v%HGF蛋白質水溶液0.2mLと2%アテロコラーゲ のリン酸緩衝液溶液2mLを混合した後凍結乾 を行う。これを、液体窒素を用いて低温で 砕した後金型にいれて圧縮成型し円柱状のH GF含有徐放性製剤を得る(生体高分子に対する HGFの配合比率:10w/w%)。

 [製剤実施例8]
 0.01w/v%HGF蛋白質水溶液100mLと2w/v%コラーゲン 溶液50gを均一に混合攪拌し、凍結乾燥する その後液体窒素を用いて低温粉砕する。こ を棒状に圧縮成型し、HGF含有た徐放性製剤 得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:1w/w% )。

 [製剤実施例9]
 HGF蛋白質1mgを2w/v%アテロコラーゲン溶液2mL 溶解した後、凍結乾燥を行う。得られた複 体を粉砕した後、円柱状に圧縮成型し、HGF 有徐放性製剤を得る(生体高分子に対するHGF 配合比率:2.5質量%)。

 [製剤実施例10]
 ヒアルロナンのナトリウム塩(極限粘度数450 0cc/g)0.58gを20mLの水と混合し、膨潤させる。次 にこの混合物に、の2N水酸化ナトリウム2mLを え、撹拌して均一な溶液とする。2.4mLの水 の0.10gのジビニルスルホンを加えて撹拌する 。混合物を70分放置し、得られるゲルをバイ トリス緩衝液(リン酸塩緩衝の0.15M NaCl,pH約7 .2)の223mL中に入れ、3時間膨潤させる。次に混 合物に1mLの2N HClを加える。1時間後に、0.6mL 2N HClを加え、16時間放置した。0.35mLの2N HCl 加え、膨潤ゲルを緩衝液中3日間ゆっくり撹 拌する。均一な粘弾性の柔らかなゲルが得ら れ、これを0.15M NaClで5日間透析する。このゲ ルを、緩衝食塩水中の1w/v%HGF蛋白質と混合し 、HGF蛋白質の最終濃度を0.25w/v%とし、HGF含 製剤を得る(生体高分子に対するHGFの配合比 :約25w/v%)。

 本発明により、脊髄損傷及び脱髄性疾患 治療に有用な薬剤が提供される。