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Patent Searching and Data


Title:
TURBINE BLADE AND STEAM TURBINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175192
Kind Code:
A1
Abstract:
A turbine blade (21) has a ventral surface (21P) that extends in the radial direction, which intersects with a vapor flow direction, and faces the upstream side of the flow direction. A slit (5) is formed on the downstream side in the ventral surface (21P), extends radially, and captures a component of vapor that has liquefied. A hydrophilic uneven region (6) is formed more on the upstream side than the slit (5) and has a larger liquid film allowance than the ventral surface (21P) as a result of being recessed in the depth direction intersecting with the ventral surface (21P). In the hydrophilic uneven region (6), the dimension in the depth direction increases and the flow resistance decreases toward the slit (5), the further toward the downstream side the hydrophilic uneven region (6) goes.

Inventors:
MIZUMI SHUNSUKE (JP)
DUAN CHONGFEI (JP)
SASAO YASUHIRO (JP)
TABATA SOICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/005867
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 14, 2020
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HITACHI POWER SYS (JP)
International Classes:
F01D25/32; F01D9/02
Foreign References:
JP2017106451A2017-06-15
JPH02267301A1990-11-01
JP2007120478A2007-05-17
JP2007309235A2007-11-29
JP2017020443A2017-01-26
JPH03131316A1991-06-04
Attorney, Agent or Firm:
MATSUNUMA Yasushi et al. (JP)
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Claims:
\¥02020/175192 16 卩(:171?2020/005867

請求の範囲

[請求項 1 ] 蒸気の流れ方向に交差する径方向に延びるとともに、 該流れ方向の 上流側を向く腹面を有し、

前記腹面における下流側には、 前記径方向に延び、 前記蒸気のうち の液化した成分を捕捉するスリッ トが形成され、

該スリッ トよりも上流側には、 前記腹面に交差する深さ方向に凹む ことで前記腹面よりも液膜許容量が大きい親水性凹凸領域が形成され \

該親水性凹凸領域では、 前記スリッ トに向かって下流側に向かうほ ど前記深さ方向の寸法が大きく、 かつ流動抵抗が小さいタービン静翼

[請求項 2] 前記親水性凹凸領域は、 前記流れ方向、 及び前記径方向に間隔をあ けて配列された複数の凸部を有し、

前記流れ方向における前記凸部同士の間の寸法を !- 3とし、 前記流 れ方向における前記凸部の寸法を!-匕としたとき、 !_ 3 / ! -匕の値は 、 前記スリッ トに向かって下流側に向かうほど小さくなる請求項 1 に 記載の夕ービン静翼。

[請求項 3] 該凸部は、 前記腹面に直交する方向から見て矩形であるとともに、 前記径方向から見て矩形の断面を有している請求項 2に記載の夕ービ ン静翼。

[請求項 4] 前記親水性凹凸領域では、 前記流れ方向の上流側から下流側にかけ て、 前記深さ方向の寸法が段階的に大きくなっている請求項 1から 3 のいずれか一項に記載のタービン静翼。

[請求項 5] 前記流れ方向における前記親水性凹凸領域の上流側に設けられ、 前記 腹面よりも撥水性の高い撥水性領域をさらに有する請求項 1から 4の いずれか一項に記載のタービン静翼。

[請求項 6] 軸線回りに回転可能な回転軸と、

該回転軸の外周面に前記軸線方向に対する周方向に配列された複数 \¥0 2020/175192 17 卩(:17 2020 /005867

のタービン動翼と、

前記回転軸、 及び前記タービン動翼を外周側から覆うケーシングと 該ケーシングの内周面に前記軸線に対する周方向に配列されるとと もに、 前記夕ービン動翼と前記軸線方向に隣接して設けられた複数の 請求項 1から 5のいずれか一項に記載の夕ービン静翼と、 を備える蒸気夕ービン。

Description:
\¥0 2020/175192 1 卩(:17 2020 /005867 明 細 書

発明の名称 : タービン静翼、 及び蒸気タービン

技術分野

[0001 ] 本発明は、 タービン静翼、 及び蒸気タービンに関する。

本願は、 2 0 1 9年 2月 2 7日に日本に出願された特願 2 0 1 9— 0 3 3 5 6 4号について優先権を主張し、 その内容をここに援用する。

背景技術

[0002] 蒸気タービンは、 軸線回りに回転可能な回転軸と、 当該回転軸の外周面上 で軸線方向に間隔をあけて配列された複数の タービン動翼段と、 回転軸、 及 び夕ービン動翼段を外周側から覆うケーシン グと、 ケーシングの内周面上で タービン動翼段と交互に配列された複数のタ ービン静翼段と、 を備えている 。 ケーシングの上流側には外部から蒸気を取り 込む吸入口が形成され、 下流 側には排気口が形成されている。 吸入口から取り込まれた高温高圧の蒸気は 、 タービン静翼段で流れの方向と速度を調整さ れた後、 タービン動翼段で回 転軸の回転力に変換される。

[0003] タービン内を通過する蒸気は、 上流側から下流側に向かうにつれてエネル ギーを失い、 温度 (と圧力) が低下する。 したがって、 最も下流側の夕ービ ン静翼段では、 蒸気の一部が液化して微細な水滴として気流 中に存在してお り、 その水滴の一部はタービン静翼の表面に付着 する。 この水滴は、 翼面上 ですぐに成長して液膜となる。 液膜は、 その周囲を常に高速の蒸気流に曝さ れているが、 この液膜がさらに成長して厚みが増すと、 その一部が蒸気流に よってちぎれて粗大液滴の状態で飛散する。 飛散した液滴は蒸気流により徐 々に加速しながら下流側に流れる。 大きな液滴ほど慣性力が大きく、 主流蒸 気に乗ってタービン動翼の間を通過すること ができずに、 タービン動翼に衝 突する。 タービン動翼の周速は音速を超える場合があ ることから、 飛散した 液滴がタービン動翼に衝突した場合、 その表面を侵食し、 エロージョンを発 生させることがある。 また、 液滴の衝突によってタービン動翼の回転が阻 害 \¥02020/175192 2 卩(:171?2020/005867

され、 制動損失が生じることもある。

[0004] このような液滴の付着と成長を防ぐために、 これまでに種々の技術が提唱 されている。 例えば下記特許文献 1 に記載された装置では、 タービン静翼の 表面に液膜を吸い込むための抽出口が形成さ れているとともに、 この抽出口 に向かってタービン静翼の前縁側から広がる 親水性の除去面が形成されてい る。 除去面を伝って液膜が移動した後、 抽出口によってこれを吸い取ること ができるとされている。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 1 7 _ 1 0 6 4 5 1号公報 発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] ところで、 タービン静翼の表面では、 上流側の端縁 (前縁) のみならず、 前縁から後縁にかけての中途でも水滴が付着 して液膜を形成することがある 。 即ち、 液膜の流量は、 上流側から下流側にかけて大きくなる。 しかしなが ら、 上記特許文献 1 に記載された装置では、 除去面の親水性が全域にわたっ て一様とされていることから、 液膜の流量増加に対応することができない。 その結果、 液膜が抽出口の上流側でさらに成長し、 上述の粗大液滴となって 飛散してしまう可能性がある。 つまり、 上記特許文献 1 に記載された装置に は依然として改良の余地がある。

[0007] 本発明は上記課題を解決するためになされた ものであって、 液膜の成長を より一層低減することが可能なタービン静翼 、 及び蒸気タービンを提供する ことを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008] 本発明の一態様に係るタービン静翼は、 蒸気の流れ方向に交差する径方向 に延びるとともに、 該流れ方向の上流側を向く腹面を有し、 前記腹面におけ る下流側には、 前記径方向に延び、 前記蒸気のうちの液化した成分を捕捉す \¥02020/175192 3 卩(:171?2020/005867

るスリッ トが形成され、 該スリッ トよりも上流側には、 前記腹面に交差する 深さ方向に凹むことで前記腹面よりも液膜許 容量が大きい親水性凹凸領域が 形成され、 該親水性凹凸領域では、 前記スリッ トに向かって下流側に向かう ほど前記深さ方向の寸法が大きく、 かつ流動抵抗が小さい。

[0009] 上記構成によれば、 親水性凹凸領域の深さが、 スリッ トに向かって下流側 に向かうほど大きくなっている。 これにより、 親水性凹凸領域では、 下流側 になるほど、 多くの液滴を保持することができる。 ここで、 夕ービン静翼の 表面では、 上流側の端縁 (前縁) のみならず、 前縁から後縁にかけての中途 でも液滴が付着して液膜を形成することがあ る。 即ち、 液滴の流量は、 上流 側から下流側にかけて大きくなる。 上記の構成によれば、 上流側から下流側 にかけての中途でさらに液滴が付着しても、 親水性凹凸領域によって当該液 滴を保持することができ、 タービン静翼の下流側に飛散する可能性を低 減す ることができる。

[0010] 上記タービン静翼では、 前記親水性凹凸領域は、 前記流れ方向、 及び前記 径方向に間隔をあけて配列された複数の凸部 を有し、 前記流れ方向における 前記凸部同士の間の寸法を !- 3とし、 前記流れ方向における前記凸部の寸法 を [-匕としたとき、 1_ 匕の値は、 前記スリッ トに向かって下流側に向 かうほど小さくなってもよい。

[001 1 ] 液膜に対する流動抵抗は、 液膜と壁面との相互作用のみならず、 液膜同士 の相互作用からも生じる。 特に、 液膜が水である場合にはこの相互作用の影 響は大きい。 ここで、 流れ方向における凸部同士の間に流れ込んだ 液滴と、 径方向における凸部同士の間を流れる蒸気の 流れとの間では、 液滴と蒸気と が引き付けあうことによって、 蒸気の流れに対する流動抵抗が生じる。 この 流動抵抗は、 流れ方向における凸部同士の間の寸法を !- 3とし、 流れ方向に おける凸部の寸法を !_匕としたとき、 !- 匕の値が小さいほど減少する

。 上記の構成によれば、 この 1_ 匕の値が下流側に向かうほど小さくな っていることから、 スリッ トに近付くほど、 蒸気に対する流動抵抗を小さく することができる。 その結果、 親水性凹凸領域を形成したことによる腹面で \¥02020/175192 4 卩(:171?2020/005867

の損失を低減することができる。

[0012] 上記タービン静翼では、 該凸部は、 前記腹面に直交する方向から見て矩形 であるとともに、 前記径方向から見て矩形の断面を有してもよ い。

[0013] 上記構成によれば、 凸部が、 腹面に直交する方向から見て矩形であるとと もに、 径方向から見て矩形の断面を有している。 したがって、 例えば凸部を 矩形ではない他の多角形状や円柱状をなして いる場合に比べて、 より簡便か つ安価に当該凸部を形成することができる。 これにより、 タービン静翼の製 造に要するコスト、 時間を削減することができる。

[0014] 上記タービン静翼において、 前記親水性凹凸領域では、 前記流れ方向の上 流側から下流側にかけて、 前記深さ方向の寸法が段階的に大きくなって いて もよい。

[0015] 上記構成によれば、 上流側から下流側にかけて、 深さ方向の寸法が段階的 に大きくなっている。 これにより、 例えば、 深さ方向の寸法が連続的に大き くなっている構成に比べて、 親水性凹凸領域をより簡便かつ安価に形成す る ことができる。 これにより、 夕ービン静翼の製造に要するコスト、 時間を削 減することができる。

[0016] 上記タービン静翼では、 前記流れ方向における前記親水性凹凸領域の 上流 側に設けられ、 前記腹面よりも撥水性の高い撥水性領域をさ らに有してもよ い。

[0017] 上記構成によれば、 撥水性領域は腹面よりも撥水性が高いことか ら、 当該 撥水性領域に付着した液滴は集合してより大 きな液膜を形成する前に、 蒸気 の流れに乗って下流側に流れ去る。 つまり、 微細な液滴のままの状態で、 当 該液滴を下流側に流すことができる。 これにより、 粒径の大きな液滴が下流 側に流れることによる液膜の形成をさらに抑 制することができる。

[0018] 本発明の一態様に係る蒸気タービンは、 軸線回りに回転可能な回転軸と、 該回転軸の外周面に前記軸線方向に対する周 方向に配列された複数の夕ービ ン動翼と、 前記回転軸、 及び前記タービン動翼を外周側から覆うケー シング と、 該ケーシングの内周面に前記軸線に対する周 方向に配列されるとともに \¥02020/175192 5 卩(:171?2020/005867

、 前記タービン動翼と前記軸線方向に隣接して 複数設けられた上記のいずれ か一態様に係るタービン静翼と、 を備える。

[0019] 上記構成によれば、 液膜の成長がより一層低減されることで、 損失が低減 された蒸気タービンを得ることができる。

発明の効果

[0020] 本発明によれば、 液膜の成長をより一層低減することが可能な タービン静 翼、 及び蒸気タービンを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0021] [図 1]本発明の実施形態に係る蒸気タービンの 成を示す模式図である。

[図 2]本発明の第一実施形態に係るタービン静 の構成を示す斜視図である。 [図 3]本発明の第一実施形態に係るタービン静 の腹面の構成を示す拡大図で ある。

[図 4]図 3の八 _八線における断面図である。

[図 5]本発明の第一実施形態に係る親水性凹凸 域の拡大断面図である。

[図 6]本発明の第一実施形態に係る親水性凹凸 域における水滴の挙動を示す 説明図である。

[図 7]本発明の第二実施形態に係るタービン静 の構成を示す斜視図である。 発明を実施するための形態

[0022] [第一実施形態]

本発明の第一実施形態について、 図 1から図 6を参照して説明する。 本実 施形態に係る蒸気タービン 1 〇〇は、 軸線〇方向に沿って延びる蒸気夕ービ ンロータ 3と、 蒸気夕ービンロータ 3を外周側から覆う蒸気夕ービンケーシ ング 2と、 蒸気タービンロータ 3の軸端 1 1 を軸線〇回りに回転可能に支持 するジャーナル軸受 4八、 及びスラスト軸受 4巳と、 を備えている。

[0023] 蒸気タービンロータ 3は、 軸線〇に沿って延びる回転軸 1 と、 回転軸 1の 外周面に設けられた複数の動翼 3 0を有している。 動翼 3 0は、 回転軸 1の 周方向に一定の間隔をもって複数配列されて いる。 軸線〇方向においても、 一定の間隔を持って複数の動翼 3 0の列が配列されている。 動翼 3 0は、 動 \¥02020/175192 6 卩(:171?2020/005867

翼本体 3 1 (タービン動翼) と、 動翼シュラウド 3 4と、 を有している。 動 翼本体 3 1は、 蒸気タービンロータ 3の外周面から径方向外側に向かって突 出している。 動翼本体 3 1は、 径方向から見て翼型の断面を有する。 動翼本 体 3 1の先端部 (径方向外側の端部) には、 動翼シュラウド 3 4が設けられ ている。

[0024] 蒸気タービンケーシング 2は、 蒸気タービンロータ 3を外周側から覆う略 筒状をなしている。 蒸気タービンケーシング 2の軸線〇方向一方側には、 蒸 気 3を取り込む蒸気供給管 1 2が設けられている。 蒸気タービンケーシング 2の軸線〇方向他方側には、 蒸気 3を排出する蒸気排出管 1 3が設けられて いる。 蒸気は、 蒸気タービンケーシング 2の内部で、 軸線〇方向一方側から 他方側に向かって流れる。 以降の説明では、 蒸気の流れる方向を単に 「流れ 方向」 と呼ぶ。 さらに、 蒸気排出管 1 3から見て蒸気供給管 1 2が位置する 側を流れ方向の上流側と呼び、 蒸気供給管 1 2から見て蒸気排出管 1 3が位 置する側を流れ方向の下流側と呼ぶ。

[0025] 蒸気夕ービンケーシング 2の内周面には、 複数の静翼 2 0の列が設けられ ている。 静翼 2 0は、 静翼本体 2 1 (タービン静翼) と、 静翼シュラウド 2 2と、 静翼台座 2 4と、 を有している。 静翼本体 2 1は、 静翼台座 2 4を介 して蒸気夕ービンケーシング 2の内周面に接続される羽根状の部材である さらに、 静翼本体 2 1の先端部 (径方向内側の端部) には、 静翼シュラウド 2 2が設けられている。 動翼 3 0と同様に、 静翼 2 0は内周面上で周方向及 び軸線〇方向に沿って複数配列される。 動翼 3 0は、 隣り合う複数の静翼 2 0の間の領域に入り込むようにして配置され 。 つまり、 静翼 2 0、 及び動 翼 3 0は、 蒸気の流れ方向に交差する方向 (軸線〇に対する径方向) に延び ている。

[0026] 蒸気 3は、 上流側の蒸気供給管 1 2を介して、 上述のように構成された蒸 気タービンケーシング 2の内部に供給される。 蒸気夕ービンケーシング 2の 内部を通過する中途で、 蒸気 3は静翼 2 0と動翼 3 0とを交互に通過する。 静翼 2 0は蒸気 3の流れを整流し、 整流された蒸気 3の塊が動翼 3 0を押す \¥02020/175192 7 卩(:171?2020/005867

ことによって蒸気夕ービンロータ 3に回転力を与える。 蒸気夕ービンロータ 3の回転力は、 軸端 1 1から取り出されて外部の機器 (発電機等) の駆動に 用いられる。 蒸気タービンロータ 3の回転に伴って、 蒸気 3は下流側の蒸気 排出管 1 3を通じて後続の装置 (復水器等) に向かって排出される。

[0027] ジャーナル軸受 4八は、 軸線〇に対する径方向への荷重を支持する。 ジャ —ナル軸受 4八は、 蒸気夕ービンロータ 3の両端に 1つずつ設けられている 。 スラスト軸受 4巳は、 軸線〇方向への荷重を支持する。 スラスト軸受 4巳 は、 蒸気タービンロータ 3の上流側の端部にのみ設けられている。

[0028] 次いで、 図 2を参照して、 静翼本体 2 1の構成について説明する。 静翼本 体 2 1は、 流れ方向に交差する方向である径方向 (軸線〇に対する径方向) に延びている。 径方向から見た静翼本体 2 1の断面は翼型をなしている。 よ り詳細には、 流れ方向の上流側の端縁である前縁 2 1 は曲面状をなしてい る。 下流側の端縁である後縁 2 1 は径方向から見て周方向の寸法が次第に 小さくなることでテーパ形状をなしている。 前縁 2 1 から後縁 2 1 にか けて、 静翼本体 2 1は、 軸線〇に対する周方向一方側から他方側に向 かって 緩やかに湾曲している。

[0029] 静翼本体 2 1 における周方向一方側の面は、 流れ方向における下流側を向 く背面 2 1 〇とされている。 背面 2 1 〇は、 周方向一方側に向かって凸とな る曲面状をなしている。 一方で、 静翼本体 2 1 における周方向他方側の面は 、 流れ方向における上流側を向く腹面 2 1 とされている。 腹面 2 1 は、 周方向一方側に向かって凹となる曲面状をな している。 蒸気が流れている状 態では、 腹面 2 1 における圧力が、 背面 2 1 〇における圧力よりも高くな る。

[0030] 静翼本体 2 1の径方向内側を向く端面は内周側端面 2 1 とされ、 径方向 外側を向く端面は外周側端面 2 1 巳とされている。 なお、 図 1で示した静翼 シュラウド 2 2、 及び静翼台座 2 4は、 図 2では省略している。

[0031 ] 腹面 2 1 上で、 外周側端面 2 1 巳側に偏った部分 (即ち、 内周側端面 2

1 八よりも外周側端面 2 1 巳に近い部分) には、 スリッ ト 5、 及び親水性凹 \¥02020/175192 8 卩(:171?2020/005867

凸領域 6が形成されている。 スリッ ト 5は、 腹面 2 1 上で径方向に延びる 矩形の孔である。 スリッ ト 5の長辺は径方向に延び、 短辺は上述の流れ方向 に延びている。 詳しくは後述するが、 スリッ ト 5は、 腹面 2 1 に沿って前 縁 2 1 側から後縁 2 1 側にかけて流れてくる蒸気のうちの液化した 成分 (液滴) を捕捉するために形成されている。 スリッ ト 5は、 静翼本体 2 1の 内部に形成された流路 (不図示) に接続されており、 捕捉した液滴はこの流 路を通じて静翼本体 2 1の外部に送られる。

[0032] 親水性凹凸領域 6は、 上記のスリッ ト 5に隣接して、 流れ方向の上流側 ( 前縁 2 1 ) 側に広がっている。 親水性凹凸領域 6は、 腹面 2 1 よりも高 い親水性を有しており、 腹面 2 1 に沿って前縁 2 1 側から流れてくる液 滴をはじくことなく、 後縁 2 1 側のスリッ ト 5に流すために設けられてい る。 親水性凹凸領域 6は、 前縁 2 1 側から後縁 2 1 側にかけて、 流れ方 向に 3つの領域に分けられている。 最も前縁 2 1 側の領域は第一領域 6 1 とされ、 最も後縁 2 1 側の領域は第三領域 6 3とされている。 第一領域 6 1 と第三領域 6 3との間の領域は第二領域 6 2とされている。

[0033] 第一領域 6 1 に比べて第二領域 6 2では液膜許容量が大きい。 第二領域 6

2に比べて第三領域 6 3ではさらに液膜許容量が大きい。 なお、 ここで言う 「液膜許容量」 とは、 当該領域に対する液膜の浸透量と保持量を示 す。 また 、 この浸透量と保持量は、 当該領域における空隙率によって決定される 。 さ らに、 第一領域 6 1 に比べて第二領域 6 2では液滴に対する流動抵抗が小さ い。 第二領域 6 2に比べて第三領域 6 3では液滴に対する流動抵抗がさらに 小さい。

[0034] より具体的には図 3に示すように、 親水性凹凸領域 6を微視的に見た場合 、 第一領域 6 1、 第二領域 6 2、 及び第三領域 6 3には、 それぞれ複数の凸 部丁が設けられている。 凸部丁は、 腹面 2 1 に直交する方向から見て矩形 であるとともに、 径方向から見て概略矩形の断面を有している 。 本実施形態 では、 第一領域 6 1の凸部丁 (第一凸部 6 1 丁) は、 腹面 2 1 に直交する 方向から見て例えば正方形をなしている。 第一凸部 6 1 丁は、 流れ方向及び \¥02020/175192 9 卩(:171?2020/005867

径方向に間隔をあけて格子状に配列されて いる。 なお、 凸部丁の断面形状は 、 矩形を志向している限りにおいては加工誤差 も許容される。

[0035] 第二領域 6 2の凸部丁 (第二凸部 6 2丁) は、 腹面 2 1 に直交する方向 から見て長方形状をなしている。 具体的には、 第一凸部 6 1 丁よりも流れ方 向における寸法がわずかに長く設定されてい る。 第一凸部 6 1 丁と同様に、 第二凸部 6 2丁も流れ方向及び径方向に間隔をあけて格 状に配列されてい る。 第三領域 6 3の凸部丁 (第三凸部 6 3丁) は、 第二凸部 6 2丁よりも流 れ方向における寸法がさらに長く設定された 長方形状をなしている。 第二凸 部 6 2丁と同様に、 第三凸部 6 3丁も流れ方向及び径方向に間隔をあけて格 子状に配列されている。

[0036] 各凸部丁同士の間に形成される空間のうち、 径方向 (即ち、 蒸気の流れ方 向に直交する方向) に形成される空間は、 流路 とされている。 この流路 は、 径方向に隣接する一対の凸部丁同士の間に形 成された空間を、 流れ方向 に連続させることで形成されている。 詳しくは後述するが、 この流路 を通 じて、 液滴の一部、 及び蒸気が流れ方向に流れることが可能であ る。

[0037] さらに、 図 4に示すように、 親水性凹凸領域 6では、 腹面 2 1 に直交す る方向における底面巳の高さが第一領域 6 1から第三領域 6 3に向かうにし たがって段階的に変化している。 より具体的には、 腹面 2 1 から底面巳ま での距離 (深さ方向の寸法) は、 スリッ ト 5に向かうにしたがって段階的に 大きくなっている。 第一領域 6 1の底面巳 (第一底面 6 1 巳) に比べて、 第 二領域 6 2の底面巳 (第二底面 6 2巳) はより深い位置に形成されている。 第二底面 6 2巳に比べて、 第三領域 6 3の底面巳 (第三底面 6 3巳) はより 深い位置に形成されている。 第 _ 底面 6 1 巳、 第二底面 6 2巳、 及び第三底 面 6 3巳はそれぞれ腹面 2 1 に沿った形状をなしている。 なお、 図示を簡 略化するため、 図 4では第一底面 6 1 巳、 第二底面 6 2巳、 及び第三底面 6 3巳がそれぞれ平面状をなしているものとし 説明をしたが、 実際には腹面 2 1 の曲面形状に合わせて、 これら第一底面 6 1 巳、 第二底面 6 2巳、 及 び第三底面 6 3巳も曲面状に湾曲している。 第三底面 6 3巳は、 スリッ ト 5 \¥02020/175192 10 卩(:171?2020/005867

の上流側の端縁に接続されている。

[0038] 図 5に示すように、 流れ方向における凸部同士の間の寸法を 1_ 3とし、 流 れ方向における凸部丁の寸法を 1_匕としたとき、 凸部丁の寸法比 1_ 匕 の値は、 第一領域 6 1から第三領域 6 3に向かって段階的に小さくなってい る。 より具体的には、 凸部丁の流れ方向上流側を向く第一端面丁 1 と、 この 凸部丁に隣接する他の凸部丁における下流側 を向く第二端面丁 2との間の距 離が 1- 3とされている。 また、 一つの凸部丁における第一端面丁 1から第二 端面丁 2にかけての寸法 (即ち、 流れ方向における凸部丁の天面丁 3の寸法 ) が(-匕とされている。 望ましくは、 第一領域 6 1 において、 この寸法比 !_ 匕の値は、 1 よりも小さい値に設定される。 より望ましくは、 1- 3 / 1_ 13 < 0 . 8とされる。 最も望ましくは、 5とされる。

[0039] 上述したように、 第一領域 6 1から第三領域 6 3にかけて、 凸部丁がなす 矩形の長辺の長さが段階的に長くなっている ことで、 第一領域 6 1から第三 領域 6 3に向かうに従って、 寸法比!-

いる。 なお、 (即ち、 凸部丁のピッチ) は、 1 未満、 又は 1 0 〇 以上とされている。 上記のような凸部丁を形成するに当たっては 、 短 パルス加工や、 表面干渉波加工を含むレ _ _ 加工が好適に用いられる。

[0040] 上記のように凸部丁を構成した場合、 親水性凹凸領域 6では、 高い親水性 を示すことが知られている。 なお、 ここで言う 「親水性が高い」 状態とは、 親水性凹凸領域に付着した液滴が、 親水性凹凸領域の面に対してなす接触角 が 9 0 ° よりも小さい状態を指し、 特に、 接触角が 5 ° 未満となる状態を超 親水性と呼ぶ。

[0041 ] さらに、 上記の 匕の値が第一領域 6 1から第三領域 6 3に向かう にしたがって段階的に小さくすることで、 上述の流路 を流通する蒸気に対 する流動抵抗を段階的に小さくすることが可 能となる。 具体的には図 6に示 すように、 液滴 が流れ方向に隣接する第一凸部 6 1 丁同士の間の空間に 滞留している場合、 流路 を流れる蒸気流れ 3に対して、 液滴 による 引っ張り力が生じる。 この力は、 蒸気流れ 3に対する流動抵抗となる。 つ \¥02020/175192 11 卩(:171?2020/005867

まり、 上記の寸法比 流路 の単位長さ 当たりにおける液滴 の引っ張り力が小さくなる。 したがって、 図 6に示 すように、 第二領域 6 2では、 第二凸部 6 2丁同士の間に捕捉された液滴 による引っ張り力が、 第一領域 6 1 よりも小さくなる。 同様に、 第三領域 6 3では、 第三凸部 6 3丁同士の間に捕捉された液滴による引っ張 力が、 第二領域 6 2よりも小さくなる。 即ち、 親水性凹凸領域 6では、 スリッ ト 5 に向かって下流側に向かうほど、 蒸気流れ 3に対する流動抵抗が小さくな っている。

[0042] 続いて、 本実施形態に係る静翼本体 2 1 における蒸気の挙動について説明 する。 蒸気タービンケーシング 2内を通過する蒸気は、 上流側から下流側に 向かうにつれて仕事をすることで温度が低下 する。 したがって、 最も下流側 のタービン静翼段では、 蒸気の一部が液化して液滴 (水滴) として静翼本体 2 1の表面に付着する。 この液滴は、 徐々に成長して液膜となる。 液膜がさ らに成長すると、 その一部がちぎれて粗大液滴として飛散する 。 飛散した液 滴は蒸気の主流に乗って下流側に流れようと するが、 粗大液液は自身に働く 慣性力が大きいことから十分に主流に乗るこ とができずに、 タービン動翼 ( 動翼本体 3 1) に衝突する。 タービン動翼の周速は音速を超える場合があ る ことから、 飛散した液滴がタービン動翼に衝突した場合 、 その表面を侵食し 、 エロージョンを発生させることがある。 また、 液滴の衝突によって夕ービ ン動翼の回転が阻害され、 制動損失が生じることもある。

[0043] しかしながら、 本実施形態に係る静翼本体 2 1では、 腹面 2 1 上にスリ ッ ト 5、 及び親水性凹凸領域 6が形成されている。 したがって、 液滴の大部 分をスリッ ト 5によって捕捉することができ、 下流側に向かって飛散する可 能性を低減することができる。 さらに、 このスリッ ト 5の上流側には、 腹面 2 1 よりも液膜許容量が大きい親水性凹凸領域 6が形成されていることか ら、 当該親水性凹凸領域 6に付着した液滴は、 付着後ただちにこの親水性凹 凸領域 6に拡散してなじむ。 その結果、 液滴が集合して成長する可能性を低 減することができる。 \¥02020/175192 12 卩(:171?2020/005867

[0044] ここで、 静翼本体 2 1の表面では、 上流側の端縁 (前縁 2 1 ) のみなら ず、 前縁 2 1 から後縁 2 1 にかけての中途でも液滴が付着して液膜を形 成することがある。 即ち、 液膜の流量は、 腹面 2 1 上における上流側から 下流側にかけて大きくなる。 したがって、 親水性が流れ方向の全域にわたっ て一様である場合、 液膜の流量増加に対応することができない。 その結果、 液膜がスリッ ト 5の上流側でさらに成長し、 粗大液滴となって飛散してしま う可能性がある。

[0045] しかしながら、 上記の構成では、 親水性凹凸領域 6の深さが、 スリッ ト 5 に向かって下流側に向かうほど大きくなって いる。 これにより、 親水性凹凸 領域 6では、 下流側になるほど、 多くの液滴を保持することができる。 即ち 、 下流側になるほど、 見かけ上の液膜許容量が大きくなる。 したがって、 上 流側から下流側にかけての中途でさらに液滴 が付着しても、 親水性凹凸領域 6の第二領域 6 2、 又は第三領域 6 3によって当該液滴を保持することがで き、 静翼本体 2 1の下流側に飛散する可能性を低減すること できる。

[0046] ところで、 流れ方向における凸部丁同士の間に流れ込ん だ液滴 と、 径 方向における凸部丁同士の間を流れる蒸気の 流れ 3との間では、 液滴 と蒸気とが引き付けあうことによって、 蒸気の流れ 3に対する流動抵抗が 生じる。 この流動抵抗は、 流れ方向における凸部丁同士の間の寸法を !_ 3 と し、 流れ方向における凸部の寸法を !_匕としたとき、 !_ 匕の値が小さ いほど減少する。 上記の構成によれば、 この寸法比 1_ 匕の値が下流側 に向かうほど小さくなっていることから、 スリッ ト 5に近付くほど、 蒸気の 流れ 3に対する流動抵抗を小さくすることができ 。 その結果、 親水性凹 凸領域 6を形成したことによる腹面 2 1 での損失を低減することができる

[0047] さらに、 上記構成によれば、 凸部丁が、 腹面 2 1 に直交する方向から見 て矩形であるとともに、 径方向から見て矩形の断面を有している。 したがっ て、 例えば凸部丁を矩形ではない他の多角形状や 円柱状をなしている場合に 比べて、 より簡便かつ安価に当該凸部丁を形成するこ とができる。 これによ \¥0 2020/175192 13 卩(:171? 2020 /005867

り、 静翼本体 2 1の製造に要するコスト、 時間を削減することができる。

[0048] 加えて、 上記構成によれば、 上流側から下流側にかけて、 親水性凹凸領域

6の深さ方向の寸法が段階的に大きくなって る。 これにより、 例えば、 深 さ方向の寸法が連続的に大きくなっている構 成に比べて、 親水性凹凸領域 6 をより簡便かつ安価に形成することができる 。 これにより、 静翼本体 2 1の 製造に要するコスト、 時間を削減することができる。

[0049] 以上、 本発明の第一実施形態について説明した。 なお、 本発明の要旨を逸 脱しない限りにおいて、 上記の構成に種々の変更や改修を施すことが 可能で ある。 例えば、 上記第一実施形態では、 親水性凹凸領域 6が、 第一領域 6 1 、 第二領域 6 2、 及び第三領域 6 3の 3つの領域に分けられている例につい て説明した。 しかしながら、 親水性凹凸領域 6の態様は上記に限定されず、 親水性が異なる 4つ以上の領域に分けられた構成を採ること 可能である。

[0050] [第二実施形態]

次に、 本発明の第二実施形態について、 図 7を参照して説明する。 なお、 上記の第 _ 実施形態と同様の構成については同 _ の符号を付し、 詳細な説明 を省略する。 図 7に示すように、 本実施形態では、 上述の親水性凹凸領域 6 のさらに上流側に、 撥水性を示す撥水性領域 7が設けられている。 なお、 こ こで言う 「撥水性を示す」 とは、 当該撥水性領域 7に付着した液滴のなす接 触角が、 9 0 ° 以上である状態を示す。 即ち、 撥水性領域 7に到達した液滴 は、 当該撥水性領域 7になじむことなく、 はじかれて、 下流側の親水性凹凸 領域 6に到達する。 即ち、 当該撥水性領域 7では、 液滴が集合してより大き な液膜を形成する前に、 蒸気の流れに乗って下流側に流れ去る。 つまり、 微 細な液滴のままの状態で、 当該液滴を下流側に流すことができる。 これによ り、 粒径の大きな液滴が下流側に流れることによ る液膜の形成をさらに抑制 することができる。

ここで、 前述の接触角が 1 5 0 ° 以上である状態は超撥水状態といい、 よ り撥水機能を発揮できることから、 液膜の形成をより効果的に抑制すること ができる。 \¥02020/175192 14 卩(:171?2020/005867

[0051] 以上、 本発明の第二実施形態について説明した。 なお、 本発明の要旨を逸 脱しない限りにおいて、 上記の構成に種々の変更や改修を施すことが 可能で ある。

産業上の利用可能性

[0052] 本発明によれば、 液膜の成長をより一層低減することが可能な タービン静 翼、 及び蒸気タービンを提供することができる。

符号の説明

[0053] 1 00 蒸気タービン

1 回転軸

2 蒸気夕ービンケーシング

3 蒸気夕ービンロータ

4八 ジャーナル軸受

4巳 スラスト軸受

5 スリッ ト

6 親水性凹凸領域

7 撥水性領域

1 1 軸端

1 2 蒸気供給管

1 3 蒸気排出管

20 静翼

2 1 静翼本体

2 1 内周側端面

2 1 巳 外周側端面

2 1 前縁

2 1 腹面

2 1 0 背面

22 静翼シユラウド \¥02020/175192 15 卩 !/·!? 2020 /005867

30 動翼

3 1 動翼本体

34 動翼シユラウド

5 1 スリット本体

52 拡大部

6 1 第一領域

6 1 巳 第一底面

6 1 丁 第一凸部

62 第二領域

62巳 第二底面

62丁 第二凸部

63 第三領域

63巳 第三底面

63丁 第三凸部

巳 底面

3 蒸気流れ

0 軸線

流路

3 蒸気

丁 凸部

丁 1 第一端面

丁 2 第二端面

丁 3 天面

液滴