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Patent Searching and Data


Title:
V-BELT FOR HIGH-LOAD TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/019821
Kind Code:
A1
Abstract:
A V-belt for high-load transmission, in which impact resistance of blocks is enhanced with separation of a contact section from a reinforcement member suppressed and without a reduction in transmission performance and wear resistance of the belt. The V-belt (B) for high-load transmission has at least one tension belt (10) endlessly extended in an annular shape and also has the blocks (20) engaged with and fixed to the tension belt (10) at predetermined intervals in the longitudinal direction of the belt. Each block (20) has a reinforcement member (27) and contact parts (28) that are formed of a resin on opposite sides, in the lateral direction of the belt, of the reinforcement member (27) and have contact surfaces (30) in contact with a pulley. The thickness (w) of each contact part (28) in the direction vertical to the contact surface (30) is not less than 1.0 mm but note more than 1.8 mm.

Inventors:
SAKANAKA HIROYUKI (JP)
TAKAHASHI MITSUHIKO (JP)
INUKAI MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001982
Publication Date:
February 12, 2009
Filing Date:
July 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BANDO CHEMICAL IND (JP)
SAKANAKA HIROYUKI (JP)
TAKAHASHI MITSUHIKO (JP)
INUKAI MASAHIRO (JP)
International Classes:
F16G5/16
Foreign References:
JP2003194167A2003-07-09
JP2003194167A2003-07-09
Other References:
See also references of EP 2187089A4
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka, JP)
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Claims:
 エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯と、
 上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで係止固定された複数のブロックとを備え、
 上記複数のブロックが、補強部材と、該補強部材におけるベルト幅方向の両側に樹脂によりそれぞれ形成され、プーリに接する接触面を有する接触部とをそれぞれ備えた高負荷伝動用Vベルトであって、
 上記接触部は、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下であることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
Description:
高負荷伝動用Vベルト

 本発明は、高負荷伝動用Vベルトに関する ものである。

 現在、自動車の走行用変速装置として、 ルト式無段変速装置の開発が進められてい 。このベルト式無断変速装置は、駆動軸及 従動軸上に設けられた溝間隔が可変の変速 ーリーに、Vベルトが巻き掛けられることに より構成されている。すなわち、上記ベルト 式無段変速装置は、上記変速プーリーの溝間 隔を変化させることにより、無段階で変速を 行えるように構成されている。

 上記ベルト式無段変速装置に巻き掛けら る上記Vベルトとしては、エンドレスに延び る環状に形成された少なくとも1つの張力帯 、複数のブロックがベルト長さ方向に所定 ッチで係止固定されてなる高負荷伝動用Vベ トが知られている。

 上記高負荷伝動用Vベルトは、張力帯のベ ルト外周面側とベルト内周面側とにそれぞれ ベルト長さ方向に並ぶ複数の外側被噛合部及 び内側被噛合部が設けられている。また、上 記各ブロックには、上記外側被噛合部に噛合 する外側噛合部と、上記内側被噛合部に噛合 する内側噛合部とが設けられている。このよ うな構成により、複数の上記ブロックを上記 張力帯に係止固定することができる。

 上記ブロックは、樹脂部材の内部に補強 材が埋設されてなる。すなわち、上記ブロ クは、補強部材と、その補強部材のベルト 方向の両側面上にそれぞれ形成され、プー との接触面を有する接触部と、を備えてい 。なお、この接触部は樹脂により形成され いる。

 上記高負荷伝動用Vベルトは、プーリから の推力を接触部を介して張力帯に伝えて、該 張力帯によって伝動を行うように構成されて いる。この高負荷伝動用Vベルトは、一般に プーリからの推力を張力帯に効率良く伝え 伝動性を向上させるため、接触部が比較的 性率の高い樹脂によって形成されている。

 また、上記接触部は、走行中に接触面で 耗が生じて厚みが減少するため、該接触部 おける接触面と垂直方向の厚み(以下、単に 、接触部の厚みともいう)が小さすぎると、 行中に上記接触部が摩滅して上記補強部材 露出し、該補強部材とプーリとが直接、接 してしまう可能性がある。このように、補 部材とプーリとが直接、接触すると、ベル が著しく傷んでベルトの寿命低下につなが 。

 一方、上記接触部の厚みが大きすぎると ベルト走行中に補強部材と接触部との界面 の剪断応力が比較的大きくなるため、該接 部が補強部材から剥離してブロックが破損 るおそれがある。このことから、従来より 上記接触部の厚みは、ベルトの走行による 耗を考慮しつつ補強部材と接触部との界面 の剪断応力を可及的に抑制するために、ベ ト走行による摩耗量よりも大きい範囲でで るだけ薄い厚み、例えば0.5mm以上且つ0.8mm以 下の厚みになるように形成されている。

 ところで、従来より、上述のような高負 伝動用Vベルトについて、接触部の耐摩耗性 を向上させることが求められている。そこで 、特許文献1が知られている。

 上記特許文献1では、高負荷伝動用Vベルト ブロックにおける接触部を炭素繊維を含む ェノール系樹脂材料により形成し、上記炭 繊維を、オニオン構造中に25オングストロー ム以上且つ200オングストローム以下の結晶層 の厚みを有する炭素繊維によって構成してい る。これにより、接触部の曲げ強度及び曲げ 弾性率を高めて、該接触部の摩耗を抑制する ようにしている。

特許第2972104号公報

 ところで、上述のような構成を有する高 荷伝動用Vベルトでは、プーリと接触する際 に各ブロックの接触部がプーリから衝撃を受 けるため、該接触部の厚みが小さいほど、該 プーリから受ける衝撃に対する緩衝性(クッ ョン性)が低下してブロックの耐衝撃性が低 する。そのため、上述のように、上記各ブ ックの接触部の厚みが0.5mm以上且つ0.8mm以下 の比較的、薄い厚みの場合には、ブロックの 耐衝撃性が比較的、低くなる。

 加えて、ベルト走行に伴う摩耗によって 記接触部の厚みが減少すると、ブロックの 衝撃性がさらに低下する。特に、上記接触 の厚みが0.4mmよりも小さくなった場合には 該接触部の緩衝性が急激に低下してブロッ の耐衝撃性が著しく低下する傾向があるた 、ベルト走行中に高負荷伝動用Vベルトの各 ロックがプーリーに対して出入りするとき 生じる衝撃によって該ブロックの接触部が けやすくなり、ベルトの寿命を低下させる とになる。

 ここで、上記接触部を形成する樹脂の弾 率を下げることによって、ブロックの耐衝 性を向上させることが考えられる。しかし がら、上記接触部の弾性率を下げると、ベ トの伝動性及び耐摩耗性が低下するため、 ルト自体の特性が低下することになる。

 すなわち、上記接触部における樹脂の材 特性(弾性率等)は、伝動ベルトに必要な伝 性及び耐摩耗性によって限定されるため、 脂の材料特性を変えることによりブロック 耐衝撃性を向上させる方策は、伝動性及び 摩耗性とトレードオフの関係となっている したがって、上記特許文献1のようにVベルト のブロックの接触部の材料特性を調整しても 、ベルトの伝動性や耐摩耗性等を低下させる ことなく、ブロックの耐衝撃性を向上させて 該ブロックの接触部が欠けるのを抑制するこ とは困難である。

 本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされた のであり、その目的とするところは、高負 伝動用Vベルトのブロックの接触部が補強部 材から剥離することを抑制しつつ、ベルトの 伝動性や耐摩耗性を低下させることなくブロ ックの耐衝撃性を向上することにある。

 上記の目的を達成するために、この発明 は、高負荷伝動用Vベルトのブロックの接触 部において、接触面に垂直な方向の厚みを1.0 mm以上且つ1.8mm以下とした。

 具体的に、本発明は、エンドレスに延び 環状に形成された少なくとも1つの張力帯と 、上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチ で係止固定された複数のブロックとを備え、 上記複数のブロックが、補強部材と、該補強 部材におけるベルト幅方向の両側に樹脂によ りそれぞれ形成され、プーリに接する接触面 を有する接触部とをそれぞれ備えた高負荷伝 動用Vベルトを対象とする。そして、上記接 部は、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm 以上且つ1.8mm以下であるものとする。

   -作用-
 ところで、高負荷伝動用Vベルトのブロック の接触部における緩衝性(クッション性)は、 接触部の接触面に垂直な方向の厚み(接触部 の厚み)が大きいほど向上するため、補強部 と接触部との界面に加わるプーリからの衝 力は、該接触部の厚みが大きいほど該接触 によって効率良く吸収されると共に分散さ て、より低減される。すなわち、上記接触 の厚みが大きいほど該接触部の耐衝撃性は 上する。一方、上記ブロックにおける補強 材と接触部との界面での剪断応力は、該接 部の厚みが大きくなるほど増大する。

 仮に、上記接触部の厚みが1.0mmよりも小 い場合には、該接触部の緩衝性が比較的低 ため、ブロックの耐衝撃性が比較的低くな 、ベルト走行中にブロックがプーリに出入 するときに生じる衝撃によってブロックの 触部が欠けやすい。さらに、ベルトの走行 伴って接触面が摩耗するため、上記接触部 厚みが0.4mmよりも小さくなる可能性が高い。 ここで、上記接触部の厚みが0.4mmよりも小さ なると、該接触部の厚みが0.4mm以上である 合に比べて該接触部の緩衝性が急激に低下 る傾向にある。そのため、上記接触部の厚 が0.4mmよりも小さくなると、該接触部の耐衝 撃性が著しく低下して、ブロックの接触部で の欠けがさらに生じやすくなる。

 一方、上記接触部の厚みが1.8mmよりも大 い場合には、該接触部の厚みが比較的大き ため、ベルト走行中にブロックの補強部材 接触部との界面で生じる剪断応力が大きく って該接触部の許容応力を上回る場合があ 。そうすると、接触部全体が補強部材から 離してブロックが破損する可能性がある。

 これに対して、本発明の高負荷伝動用Vベ ルトは、上記接触部の接触面に垂直な方向の 厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されてい ため、補強部材と接触部との界面に生じる 断応力の増大が抑制されると共に、該接触 の緩衝性が向上することによってブロック 加わる衝撃力が該接触部によって低減され ブロックの耐衝撃性が高められる。さらに ベルト走行に伴う接触面の摩耗によって接 部の厚みが減少したとしても、該接触部は 期に亘って0.4mm以上の比較的大きい厚みを有 しているため、ブロックの耐衝撃性が著しく 低下することが抑制される。したがって、上 述の構成により、高負荷伝動用Vベルトのブ ックにおいて補強部材から接触部が剥離す のを抑制できるとともに、ベルトの伝動性 耐摩耗性を低下することなくブロックの耐 撃性を向上できる。

 本発明によれば、高負荷伝動用Vベルトの ブロックの接触部における接触面に垂直方向 の厚みが、1.0mm以上且つ1.8mm以下であるため 上記ブロックの補強部材と接触部との界面 生じる剪断応力の増大を抑制しつつ、ブロ クの耐衝撃性を向上させることができる。 らに、ベルト走行に伴う接触面の摩耗によ て接触部の厚みが減少したとしても、該接 部が長期に亘って0.4mm以上の比較的大きい厚 みを有しているため、ブロックの耐衝撃性が 著しく低下するのを抑制できる。したがって 、上記ブロックにおいて接触部が補強部材か ら剥離するのを抑制しつつ、ベルトの伝動性 や耐摩耗性を低下させることなく上記ブロッ クの耐衝撃性を向上できる。

図1は、本発明の実施形態1に係る高負 伝動用Vベルトの一部を概略的に示す斜視図 ある。 図2は、高負荷伝動用Vベルトのブロッ の構成を概略的に示す正面図である。 図3は、ブロックの耐衝撃性試験の試験 装置の構成を概略的に示す図である。 図4は、伝動性試験の伝動装置の構成を 概略的に示す上面図である。 図5は、伝動性試験の伝動装置の構成を 概略的に示す正面図である。 図6は、高速耐久性試験の試験装置の構 成を模式的に示す図である。 図7は、第1実施例で測定した各Vベルト 耐衝撃性、伝動性、高速耐久性及び摩耗量 測定結果を示す図である。 図8は、接触部の厚みに対する重錘の落 下回数の変化を示すグラフである。

符号の説明

B  高負荷伝動用Vベルト(Vベルト)
10  張力帯
20  ブロック
27  補強部材
28  接触部
30  接触面

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実 形態に限定されるものではない。

 図1及び図2は、本発明の実施形態に係る 負荷伝動用VベルトBの構成を概略的に示して いる。すなわち、図1は、高負荷伝動用Vベル Bの一部を概略的に示す斜視図であり、図2 、該高負荷伝動用VベルトBを構成するブロッ ク20を概略的に示す正面図である。

 高負荷伝動用Vベルト(以下、単にVベルト もいう)Bは、図1に示すように、エンドレス 延びて環状に形成された一対の張力帯10と 該一対の張力帯10をベルト幅方向に並べた状 態で、該一対の張力帯10のベルト長さ方向に 定ピッチで係止固定された複数のブロック2 0とを備えている。

 上記一対の張力帯10は、ベルト長さ方向 互いに並んで延びるように、ベルト外側に 置された外ゴム層10a及びベルト内側に配置 れた内ゴム層10bと、これら外ゴム層10aと内 ム層10bとの間に配置された複数の心線11とを それぞれ有している。

 上記外ゴム層10aには、ベルト外側の表面 外帆布層(図示省略)が該外ゴム層10aと一体 設けられている。一方、上記内ゴム層10bに 、ベルト内側の表面に内帆布層(図示省略)が 該内ゴム層10bと一体に設けられている。上記 外ゴム層10a及び内ゴム層10bは、例えばメタク リル酸亜鉛を混合した水素化ニトリルゴム(H- NBR)にアラミド繊維又はナイロン繊維等の短 維を含む硬質ゴム材料等により形成されて る。

 上記複数の心線11は、ベルト長さ方向に びると共にベルト幅方向に所定の間隔で配 されている。各心線11は、例えばアラミド繊 維等から形成され、比較的高い強度及び弾性 率を有している。

 上記張力帯10のベルト外側の表面には、 側被噛合部として、ベルト幅方向に所定の 隔で並ぶと共にそれぞれベルト幅方向に延 て断面凹字状をなす複数の外溝12が形成され ている。一方、上記張力帯10のベルト内側の 面には、内側被噛合部として、それぞれベ ト幅方向に延びて断面円弧状をなす複数の 溝13が形成されている。なお、これらの内 13は、それぞれ、ベルト厚み方向に上記外溝 12に対向する位置に所定の間隔で形成されて る。

 上記複数のブロック20は、図2に示すよう 、それぞれ、隣接するブロック20との対向 (正面)から視て略工字状になるように形成さ れている。すなわち、上記各ブロック20は、 ルト外面を構成する外ビーム部21と、ベル 内面を構成する内ビーム部22と、これら外ビ ーム部21と内ビーム部22との間に配置されて ビーム部21と内ビーム部22とを連結するセン ーピラー部23とにより構成されている。

 つまり、上記外ビーム部21及び内ビーム 22は、それぞれ、ベルト幅方向の寸法が上記 センターピラー部23のベルト幅方向の寸法よ も大きくなるように形成されている。上記 ンターピラー部23は、上記外ビーム部21にお けるベルト幅方向の中央部と上記内ビーム部 22におけるベルト幅方向の中央部とを連結す ように設けられている。

 そして、上記センターピラー部23におけ ベルト幅方向の両側には、それぞれ、ベル 幅方向外方に向かって開口し、上記外ビー 部21及び内ビーム部22により区画形成された リット状の一対の嵌合部24が設けられてい 。この一対の嵌合部24には、それぞれ上記張 力帯10が圧入されていて、これにより、該張 帯10がブロック20と嵌合している。

 すなわち、上記嵌合部24には、外側噛合 として、ベルト外側の壁面に張力帯10の上記 外溝12に噛合する突条の外突条部25が形成さ ている一方、内側噛合部として、ベルト内 の壁面に張力帯10の上記内溝13に噛合する突 の内突条部26が形成されている。これら外 条部25及び内突条部26は、ベルト厚み方向に 向する位置に設けられている。そうして、 記外突条部25が外溝12に噛合すると共に上記 内突条部26が内溝13に噛合することにより、 数のブロック20が張力帯10のベルト長さ方向 それぞれ係止固定されている。

 また、上記ブロック20は、ベルト長さ方 の一方の表面に突出して形成された凸部31と 、ベルト長さ方向の他方の表面に形成され、 隣接するブロック20の凸部31に係合する凹部( 示省略)とを有している。これら凹部及び凸 部31は、センターピラー部23のピッチライン 形成されている。

 上記凹部は、断面円弧状等に形成され、 径が底面側に向かうに連れて徐々に小さく るテーパ状に形成されている。一方、上記 部31は、断面円弧状に形成され、外径が先 側に向かうに連れて徐々に小さくなるテー 状に形成されている。

 以上の構成により、上記高負荷伝動用Vベ ルトBは、ベルト長さ方向に隣り合うブロッ 20の間において、一方のブロック20の凹部に 方にブロック20の凸部31が係合することによ り、各ブロック20のベルト厚み方向及びベル 幅方向への揺動が規制されるようになって る。こうして、上記高負荷伝動用VベルトB 、プーリからの推力を接触部28を介して張力 帯10に伝えることにより伝動を行うようにな ている。

 以下で、上記ブロック20の構成について 細に説明する。

 上記各ブロック20は、補強部材27と、該補 強部材27のベルト幅方向の両側に樹脂によっ 形成されていて、プーリとの接触面30を有 る接触部28と、を備えている。

 すなわち、上記各ブロック20は、樹脂部 の内部に、補強部材27が該ブロック20の略中 に位置するように埋め込まれてなる。つま 、上記各ブロック20は、例えばフェノール 樹脂等により形成された樹脂部29と、この樹 脂部29に埋設された補強部材27とにより構成 れている。この補強部材27は、例えばアルミ ニウム合金等からなるもので、上記ブロック 20と略同じ輪郭形状である略工字状に形成さ ている。そして、上記樹脂部29は、上記補 部材27の全面又は略全表面を覆うように形成 されている。

 なお、上記フェノール系樹脂は、例えば ボラック、レゾール又はベンジリックエー ル型のフェノール系樹脂等であり、これら フェノール系樹脂は変性又は未変性のいず でもよい。変性フェノール系樹脂としては 例えばアルキル変性フェノール系樹脂、ト ルオイル変性フェノール系樹脂等が挙げら る。さらに好ましくは、カルドール等、す わち、カシューオイル、カシューオイルに まれているカルドール、アナカルド酸及び ルダノールの少なくとも1つで変性されたフ ェノール系樹脂等が挙げられる。また、上記 フェノール系樹脂は、単独又は複数混合して 使用することができる。特に、未変性フェノ ール系樹脂とカルドール等による変性フェノ ール系樹脂とを併用する場合には、両者の混 合比率を適宜選択するとよい。

 上記外ビーム部21及び内ビーム部22は、上 記補強部材27におけるベルト幅方向の両側の 面全体が樹脂部29により覆われてなる。上 外ビーム部21及び内ビーム部22における補強 材27のベルト幅方向の両側にそれぞれ形成 れた上記樹脂部29によって、上記接触部28が 成されている。すなわち、上記接触部28は フェノール系樹脂により構成されている。

 ここで、仮に、上記接触部28における常 での弾性率が9000MPa未満であるとすると、該 触部28の機械的強度が比較的小さくなるた 、ベルト走行時にプーリからの推力を張力 10に効率良く伝えるのが難しくなる。このこ とから、上記接触部28は、常温での弾性率が9 000MPa以上になるような材料によって形成され るのが好ましい。すなわち、上記樹脂部29は 常温での弾性率が9000MPa以上の樹脂材料によ って形成されるのが好ましい。

 上記接触部28は、その外表面(補強部材27 は反対側の表面)がプーリーとの接触面30を 成している。すなわち、上記各ブロック20は 、外ビーム部21及び内ビーム部22におけるベ ト幅方向の両側の表面にそれぞれ接触面30を 有している。

 ところで、上記接触部28におけるプーリ らの衝撃に対する緩衝性(クッション性)は、 該接触部28の接触面30に垂直な方向の厚みw(以 下、単に接触部28の厚みともいう)が大きいほ ど向上するため、上記補強部材27と接触部28 の界面に加わるプーリからの衝撃力は、接 部28の厚みwが大きくなるほど該接触部28によ って効率良く吸収されると共に分散され、よ り低減される。すなわち、上記接触部28の厚 wが大きいほど接触部28(ブロック20)の耐衝撃 性が向上する。一方、補強部材27と接触部28 の界面での剪断応力は、該接触部28の厚みw 大きくなるほど増大する。

 仮に、接触部28の厚みwが1.0mmよりも小さ 場合には、該接触部28の緩衝性が低いため、 ブロック20の耐衝撃性が低くなり、ベルト走 中に各ブロック20がプーリーに出入りする きに生じる衝撃によって該ブロック20の接触 部28が欠けやすくなる。さらに、ベルトBの走 行に伴って接触面30は摩耗するため、上記接 部28の厚みwが減少して0.4mmよりも小さくな 可能性が高くなる。ここで、接触部28の厚み wが0.4mmよりも小さくなると、0.4mm以上である 合に比べて該接触部28の緩衝性が急激に低 する傾向があるため、該接触部28の耐衝撃性 が著しく低下して、ブロック20が接触部28で らに欠けやすくなる。

 一方、仮に、接触部28の厚みwが1.8mmより 大きい場合には、ベルト走行時に補強部材27 と接触部28との界面に生じる剪断応力が大き なって該接触部28の許容応力を上回る可能 があるため、該接触部28全体が補強部材27か 剥離してブロック20が破損しやすい。

 これらのことを考慮して、上記接触部28 、接触面30に垂直な方向の厚みwが1.0mm以上且 つ1.8mm以下に形成されている。すなわち、上 外ビーム部21及び内ビーム部22において、補 強部材27のベルト幅方向の両側にそれぞれ形 された樹脂部29は、接触面30に垂直な方向の 厚みwが1.0mm以上且つ1.8mm以下となっている。

 また、上記外ビーム部21及び内ビーム部22 は、ベルト外側の表面からベルト内側に向か ってベルト幅方向の寸法が小さくなるように 形成されている。そして、上記外ビーム部21 び内ビーム部22は、それぞれ、接触面30同士 がなす角度がVベルトBが巻き掛けられるVプー リ(図示省略)のプーリ溝面が互いになす角度 同じ角度に形成されている。

 ところで、仮に、接触面30とプーリの表 との動摩擦係数が0.16よりも小さい場合には 該接触面30とプーリの表面との動摩擦係数 比較的小さいため、プーリからの推力を接 部28で十分に受けることが困難となり、伝動 用ベルトとして十分な伝動性を確保すること が困難である。

 一方、仮に、ブロック20におけるベルト 方向の両側の接触面30同士がなす角度をαと たとき、接触面30とプーリの表面との動摩 係数がtan(α/2)以下である場合には、接触面30 とプーリの表面との動摩擦係数が比較的大き いため、ベルトがプーリから脱離するときに プーリに巻き込まれやすくなる。ベルトがプ ーリに巻き込まれた場合には、ベルトを走行 させたときの騒音が比較的大きくなると共に ベルトに必要以上の荷重が加わるため、ベル トが破損しやすい。

 そのことから、接触面30とプーリの表面 の動摩擦係数は、0.16以上且つtan(α/2)以下と っている。

  -実施形態の効果-
 したがって、この実施形態によると、高負 伝動用VベルトBのブロック20において、接触 部28の接触面30の表面に垂直な方向の厚みwが1 .0mm以上且つ1.8mm以下であるため、補強部材27 接触部28との界面に生じる剪断応力の増大 抑制しつつ、該接触部28の緩衝性を向上させ ることによって接触面30に加わる衝撃を接触 28に吸収させると共に分散させて、該接触 28の耐衝撃性を高めることができる。さらに 、ベルト走行に伴う接触面30の摩耗によって 記接触部28の厚みwが減少したとしても、該 触部28が長期に亘って0.4mm以上の比較的大き い厚みを有するため、ブロック20の耐衝撃性 著しく低下するのを抑制することができる したがって、接触部28が補強部材27から剥離 するのを抑制できるとともに、ベルトの伝動 性や耐摩耗性を低下させることなくブロック 20の耐衝撃性を向上できる。

 《その他の実施形態》
 上記実施形態では、接触部28を構成する樹 部29はフェノール系樹脂により形成されて常 温での弾性率が9000MPa以上であるとしたが、 発明はこれに限られず、樹脂部29は、フェノ ール系樹脂以外の樹脂により形成されていて もよく、弾性率が9000MPaよりも小さくてもよ 。

 上記実施形態では、ブロック20における ルト幅方向の両側の接触面30同士がなす角度 をαとしたとき、接触面30とプーリの表面と 動摩擦係数は、0.16以上且つtan(α/2)以下であ としたが、本発明はこれに限られず、伝動 ベルトとしての伝動性を十分、確保できれ 、接触面30とプーリの表面との動摩擦係数 それ以外の数値であってもよい。

 上記実施形態では、高負荷伝動用VベルトB 一対の張力帯10を備えているとしたが、本発 明はこれに限られず、高負荷伝動用VベルトB 、少なくとも1つの張力帯10を備えていれば い。
《実施例》
(第1実施例)
 本第1実施例では、上記実施形態に示す構造 を有する実施例1~4の高負荷伝動用VベルトBを 成して、各VベルトB又は各Vベルトのブロッ 20に対して耐衝撃性試験、伝動性試験及び 速耐久性試験をそれぞれ行った。

 実施例1~4の各VベルトBは、接触部28の厚み wがそれぞれ異なる。具体的には、実施例1~4 各VベルトBは、接触部28の厚みwが順に1.0mm、1 .2mm、1.5mm、1.8mmとなるように形成されている また、これらの実施例1~4の各VベルトBは、 触部28の弾性率がそれぞれ常温で20000MPaであ 。

 上記実施例1~4に対する比較例として、接 部28の厚みwがそれぞれ異なる比較例1~4の各V ベルトを製作して、上記実施例1~4の各Vベル Bと同様の試験を行った。すなわち、上記比 例1~4のVベルトは、接触部28の厚みwがそれぞ れ順に0.3mm、0.5mm、0.8mm、2.0mmであり、その他 構成については、上記実施例1~4のVベルトB 同様である。なお、以下の説明において、 較例1~4のVベルトについても、理解しやすい うに上記実施例1~4と同様の参照符号を用い 説明する。

 次に、耐衝撃性試験、伝動性試験及び高 耐久性試験の試験装置及び試験方法につい それぞれ説明する。

 上記耐衝撃性試験では、図3に示す耐衝撃 性試験機を用いて実施例1~4及び比較例1~4のV ルトにおけるブロック20の耐衝撃性をそれぞ れ測定した。上記耐衝撃性試験機は、ロード セル50と、該ロードセル50に部材51を介して接 続された略逆コ字状の第1受圧部材52と、該第 1受圧部材52に係合する略コ字状の第2受圧部 53と、この第2受圧部材53のロードセル50とは 対側に接続された柱状のガイド部材54と、 ガイド部材54に沿って落下可能に構成された 重錘55とを備えている。なお、上記図3の符号 56は、重錘55が落下する方向を示している。

 上記第1受圧部材52及び第2受圧部材53は、 者間に、Vベルトのブロック20を、該ブロッ 20と第1受圧部材52及び第2受圧部材との間に 間なく狭持できるように構成されている。 記重錘55は、上記ガイド部材54に沿って落下 して上記第2受圧部材53に衝撃を与えるように 構成されている。

 上述の構成において、上記第1受圧部材52 第2受圧部材53との間にブロック20を狭持さ た状態で、該第2受圧部材53に対して重錘55を 落下させる。これにより、該重錘55によって ロック20の接触部28に衝撃を与えることがで きる。そして、上記ブロック20の接触部28が けるまでの重錘55の落下回数を測定して、そ の重錘55の落下回数をブロック20の耐衝撃性 して評価した。

 なお、上記耐衝撃性試験では、重錘55を 2受圧部材53よりも15mm上方から第2受圧部材53 落下させた。また、落下周期は毎分20回と た。このときの雰囲気温度は13℃である。

 上記伝動性試験では、図4及び図5に示す うに、実施例1~4及び比較例1~4のVベルトを、 れぞれ駆動プーリ60及び従動プーリ61に巻き 掛けて300時間走行させ、ベルト走行後に測定 したベルトの張力を測定した。そして、ベル ト走行前に予め測定したベルトの張力とベル ト走行後の張力とを比較し、ベルトの伝動性 として評価した。なお、図4及び図5における 号67は、ベルトの走行方向を示している。

 まず、本伝動性試験に用いるベルト走行 置、及びベルトの張力の測定方法について 明する。

 この伝動性試験に用いるベルト走行装置 は、駆動プーリ60がベース板62上に固定され 、従動プーリ61がベース板63上に固定されて る。この従動プーリ61が固定されたベース板 63は、該ベース板63の下面に取り付けられた アリング64を介して一対のL/Mガイド65上に配 されている。

 上記一対のL/Mガイド65は、従動プーリの 転軸方向に並んで、駆動プーリ60及び従動プ ーリ61に巻き掛けられたベルトのベルト長手 向に延びるように配置されている。これに り、上記各L/Mガイド65上にベアリング34を介 して配設された上記ベース板63は、該L/Mガイ 65に沿ってベルトのベルト長手方向に移動 ることができる。上記ベース板63の駆動プー リ60側の外方には、定盤(図示省略)上に固定 れたロードセル66が配置されている。このロ ードセル66は、記録計67に接続されていて、 ロードセル66で測定した張力を該記録計67で 録するようになっている。

 また、上記従動プーリ61は、回転軸方向 らバネトルクカム(図示省略)により一定の推 力を加えてプーリの溝幅を狭められるように 構成されている。これにより、ベルトに張力 を付与できるようになっている。上記図4の 号68は、上記一定の推力を加える方向を示し ている。

 以上の構成により、上記ベルト走行装置 は、駆動プーリ60と従動プーリ61とに巻き掛 けられたベルトの張力によって、従動プーリ 61が接触プーリ60側に向かって移動する力が 生するため、その力を上記ロードセル66に加 わる圧縮力として測定することにより、ベル トの張力を測定することができる。

 上記ベルト走行装置は、駆動プーリ60の ーリ径が73.23mmであり、従動プーリ61のプー 径が124.49mmである。駆動プーリ60の回転軸と 動プーリ61の回転軸との間隔は148.5mmとした また、試験中のベルト温度は130℃であった

 上記高速耐久性試験では、図6示すように 、駆動プーリ70及び従動プーリ71に実施例1~4 び比較例1~4の各Vベルトをそれぞれ巻き掛け 500時間走行させ、各Vベルトの走行可能時間 を測定し、高速耐久性として評価した。

 この高速耐久性試験での駆動プーリ70の ーリ径は133.6mmであり、従動プーリ71のプー 径は、61.4mmである。駆動プーリ70の回転数を 5016±60rpmとし、駆動プーリ70のトルクを63.7N・ mとした。また、試験中の雰囲気温度は、120 とした。

 また、この高速耐久性試験と同様の条件 各Vベルトをそれぞれ300時間走行させた後に 、各Vベルトの接触部28の厚みwを測定して、 ルト走行前に予め測定した各Vベルトの接触 28の厚みwと比較することにより、各Vベルト の接触部28の摩耗量をそれぞれ求めた。

 上述した耐衝撃性試験、伝動性試験及び 速耐久性試験を実施例1~4及び比較例1~6の各V ベルトについて行った結果を図7に示す。

 比較例2及び比較例3において、耐衝撃性 験におけるブロック20が欠けるまでの重錘55 落下回数(耐衝撃性)をベルト走行前とベル 走行後とで比較すると、走行前の重錘55の落 下回数に比べて走行後の重錘55の落下回数が しく低下している。なお、比較例1について は、高速耐久性試験中に接触部28が摩耗によ 減少して補強部材27が露出したため、ベル 走行後における耐衝撃性試験を行うことが きず、走行後の重錘55の落下回数が測定不可 能であった。

 また、これらの比較例1~3のVベルトは、伝 動性試験において、走行後の張力(図中の伝 性)が走行前の張力よりも低下していた。ま 、その他に、比較例2及び比較例4は、高速 久性試験において、走行時間が400時間以下 、補強部材27の露出又はブロック20の破損が じ、走行不可能となった。

 これに対して、実施例1~4のブロック20は 耐衝撃性試験におけるブロック20が欠けるま での重錘55の落下回数が、ベルト走行前及び ルト走行後共に、3000回以上であり、ベルト 走行前とベルト走行後とを比較しても比較例 1~3のブロック20ほど著しく低下しなかった。 に、実施例3及び実施例4のブロック20につい ては、耐衝撃性試験におけるブロック20が欠 るまでの重錘55の落下回数がベルト走行前 ベルト走行後とで同じ回数であった。

 また、実施例1~4のベルトは、伝動性試験 おいて、走行後のベルトの張力(伝動性)が 行前のベルトの張力と同じであり、300時間 亘る走行によってもベルトの張力が低下し かった。さらに、これら実施例1~4のベルト 、高速耐久性試験において、500時間走行さ ても問題なく走行した。

 以上より、接触部28の厚みwが1.0mm~1.8mm(実施 1~4)であれば、耐衝撃性、伝動性、高速耐久 性及び耐摩耗性の全てにおいて、十分な性能 を確保することができる。特に、上記接触部 28の厚みwが1mm(実施例1)の場合に比べて1.2mm(実 施例2)の方がベルト走行前後での耐衝撃性の 下が少ないため、上記厚みwは1.2mm~1.8mmであ のが好ましい。さらに、上記接触部28の厚 wが1.5mm~1.8mm(実施例3、4)の場合には、耐衝撃 はベルト走行前後で変化しないため、上記 みwは1.5mm~1.8mmであるのがより好ましい。
(第2実施例)
 本第2実施例では、上記実施形態に示す構造 を有する複数のブロック20を形成して、各ブ ック20に対して上記第1実施例の耐衝撃性試 を行った。複数のブロック20は、1.8mm以下の 厚みwで略同じ又は同じ接触部28の厚みwを有 るものを2個ずつ(合計16個)形成した。

 この耐衝撃性試験の結果を図8に示す。図 8は、接触部28の厚みwに対する重錘55の落下回 数の変化を示す図である。図8に示すように 接触部28の厚みwが1.0mmよりも小さいブロック 20については、厚みwが小さくなるほど、接触 部28が欠けるまでの重錘55の落下回数が少な なる傾向が見られる。特に、接触部28の厚み wが0.4mmよりも小さいブロック20については、 触部28の厚みwが0.4mm以上のブロック20に比べ て、接触部28が欠けるまでの重錘55の落下回 が著しく少なくなっている。これに対して 接触部28の厚みwが1.0mm以上且つ1.8mm以下のブ ック20については、接触部28が欠けるまでの 重錘55の落下回数が安定して多い。

 以上のことから、接触部28の厚みwが0.4mm りも小さい場合には、ブロック20の耐衝撃性 が著しく低下することがわかった。また、接 触部28の厚みwを1.0mm以上且つ1.8mm以下にする とにより、ベルトの伝動性や耐摩耗性を低 させることなく、接触部28の耐衝撃性を向上 させてブロック20の接触部28が欠けるのを抑 できることが分かった。

 以上説明したように、本発明は、高負荷 動用Vベルトについて有用であり、特に、接 触部が補強部材から剥離することを抑制しつ つ、ベルトの伝動性や耐摩耗性を低下させる ことなくブロックの耐衝撃性を向上する場合 に適している。