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Patent Searching and Data


Title:
CROSSCUT TESTING METHOD, AND CROSS-CUT TESTING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/040999
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a cross-cut testing method, in which a peeling force is applied to a coating film (11) applied to a base material (10), after cuts (12) were formed longitudinally and transversely in the coating film (11), so that the adhesion of the coating film (11) is subsequently evaluated on the basis of the peeled state of the coating film (11). In order to measure the adhesion of the coating film (11) to the base material (10) quantitatively and to prevent the operations from being complicated, longitudinal first cuts (12a) are formed at an equal spacing or at an unequal interval, and transverse second cuts (12b) are formed to have gradually narrowed spacings.

Inventors:
INOMOTO HISASHI (JP)
OHKAWA TAKEYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002555
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
INOMOTO HISASHI (JP)
OHKAWA TAKEYOSHI (JP)
International Classes:
G01N19/04
Foreign References:
JPS60196644A1985-10-05
JPH01185430A1989-07-25
US3389463A1968-06-25
JPH0666996U1994-09-20
Other References:
See also references of EP 2204644A4
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 53, JP)
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Claims:
 基材(10)に塗布された塗膜(11)に対して縦横に切り込み(12)を形成する切り込み形成工程と、切り込み(12)の形成後に塗膜(11)に剥離力を作用させる剥離工程と、剥離工程後に塗膜(11)が剥がれた状態に基づいて塗膜(11)の密着力を評価する評価工程とを順に行う碁盤目試験方法であって、
 上記切り込み形成工程は、縦横の一方の第1切り込み(12a)を等間隔または不均一な間隔で形成し、縦横の他方の第2切り込み(12b,12c)を不均一な間隔で形成する工程であることを特徴とする碁盤目試験方法。
 請求項1において、
 上記切り込み形成工程は、上記第1切り込み(12a)を等間隔で形成し、上記第2切り込み(12b,12c)を不均一な間隔で形成する工程であることを特徴とする碁盤目試験方法。
 請求項1または2において、
 上記切り込み形成工程は、上記第2切り込み(12b,12c)を、一端側から他端側へ向かって間隔が徐々に大きくまたは小さくなるように形成する工程であることを特徴とする碁盤目試験方法。
 基材(10)に塗布された塗膜(11)に対して縦横に切り込み(12)を形成する切り込み形成機構(20)と、切り込み(12)を形成した塗膜(11)に剥離力を作用させる剥離機構(20)とを備え、塗膜(11)に対して碁盤目試験を行う碁盤目試験装置であって、
 上記切り込み形成機構(20)は、縦横の一方の第1切り込み(12a)を等間隔または不均一な間隔で形成する第1切り込み手段(20a)と、縦横の他方の第2切り込み(12b,12c)を不均一な間隔で形成する第2切り込み手段(20b)とを備えていることを特徴とする碁盤目試験装置。
 請求項4において、
 上記第1切り込み手段(20a)は、上記第1切り込み(12a)を等間隔で形成するように構成されていることを特徴とする碁盤目試験装置。
 請求項4または5において、
 上記第2切り込み手段(20b)は、一端側から他端側へ向かって間隔が徐々に大きくまたは小さくなるように、上記第2切り込み(12b,12c)を塗膜(11)に形成することを特徴とする碁盤目試験装置。
 請求項5または6において、
 上記切り込み形成機構(20)が円筒状の基材(10)に形成された塗膜(11)を切り込み形成対象とするものであり、第1切り込み手段(20a)が上記第1切り込み(12a)を軸方向へ等間隔に形成する一方、第2切り込み手段(20b)は上記第2切り込み(12b,12c)を周方向へ不均一な間隔で形成するように構成されていることを特徴とする碁盤目試験装置。
 請求項7において、
 上記第2切り込み手段(20b)は、周方向に連続し、軸方向に断続する複数の切り込みである上記第2切り込み(12b)を形成するように構成されていることを特徴とする碁盤目試験装置。
 請求項7において、
 上記第2切り込み手段(20b)は、周方向と軸方向に連続し、ねじれ角が漸次変化する1本の螺旋状の切り込みである上記第2切り込み(12c)を形成するように構成されていることを特徴とする碁盤目試験装置。
Description:
碁盤目試験方法及び碁盤目試験 置

 本発明は、基材に塗布した塗膜の密着力 測定するための碁盤目試験において、定量 な測定結果を得るための方法及び装置に関 るものである。

 JIS(日本工業規格) K 5600-5-6に定められて る碁盤目試験(クロスカット法)は、基材に 成した塗膜に縦横に等間隔の切り込みを入 た後、粘着テープを表面に貼り付けてから がし、剥離したマス目の数により塗膜の密 力を判定する試験である。

 例えば、特許文献1には、基材状の被膜を碁 盤目状に切り込み、得られた各々のマス目に 治具を接着して引っ張り応力を加えることに より、その剥離荷重に基づいて被膜の密着強 度を評価するものが開示されている。

特開平6-16744号公報

 上記碁盤目試験では、一般に、基材に対 る塗膜の密着力を、塗膜が剥がれたかどう で判断するしかできず、定量的に測定する とは困難であるし、フッ素樹脂のように粘 テープが付きにくい材料や平板ではない材 では、再現性よくテープを剥離することは しい。

 また、上記特許文献1のものでは、治具を 基材に接着する必要があるから作業工数が多 く、測定を簡単に行うことができない。

 本発明は、かかる点に鑑みてなされたも であり、その目的は、碁盤目試験において 材に対する塗膜の密着力を定量的に測定で るようにするとともに、作業が繁雑になる も防止することである。

 第1の発明は、基材(10)に塗布された塗膜(1 1)に対して縦横に切り込み(12)を形成する切り 込み形成工程と、切り込み(12)の形成後に塗 (11)に剥離力を作用させる剥離工程と、剥離 程後に塗膜(11)が剥がれた状態に基づいて塗 膜(11)の密着力を評価する評価工程とを順に う碁盤目試験方法を前提としている。

 そして、この碁盤目試験方法の上記切り み形成工程は、縦横の一方の第1切り込み(12 a)を等間隔または不均一な間隔で形成し、縦 の他方の第2切り込み(12b,12c)を不均一な間隔 で形成する工程であることを特徴としている 。なお、上記剥離工程は、粘着テープなどを 用いて行う工程であってもよいし、切り込み (12)の間隔を狭くすることによってその切り み(12)同士の間に作用する剥離力で塗膜(11)が 自然に剥がれる工程であってもよい。つまり 、切り込み形成工程とほぼ同時に剥離工程が 起こるようにしてもよい。また、評価をする 度に塗膜(11)の厚さが違うと密着力が変化し しまうため、塗膜(11)の厚さは統一しておく とが好ましい。

 この第1の発明では、切り込み(12)の間隔 狭い部分ほど基材(10)に対する塗膜(11)の密着 力が弱くなる。そのため、切り込み(12)の間 の広い部分に比べて切り込み(12)の間隔の狭 部分の方が塗膜(11)から剥がれやすくなる。 したがって、どの程度の間隔で切り込み(12) 形成した部分の塗膜(11)が剥がれているかを 価することによって、塗膜(11)の密着力を判 断できる。

 また、第2の発明は、第1の発明において 上記切り込み形成工程が、上記第1切り込み( 12a)を等間隔で形成し、上記第2切り込み(12b,12 c)を不均一な間隔で形成する工程であること 特徴としている。

 この第2の発明では、第2切り込み(12b,12c) 間隔が狭い部分ほど基材(10)に対する塗膜(11) の密着力が弱くなる。そのため、第2切り込 (12b,12c)の間隔の広い部分に比べて第2切り込 (12b,12c)の間隔の狭い部分の方が塗膜(11)から 剥がれやすくなる。したがって、どの程度の 間隔で第2切り込み(12b,12c)を形成した部分の 膜(11)が剥がれているかを評価することによ て、塗膜(11)の密着力を判断できる。

 第3の発明は、第1または第2の発明におい 、上記切り込み形成工程が、上記第2切り込 み(12b,12c)を、一端側から他端側へ向かって間 隔が徐々に大きくまたは小さくなるように形 成する工程であることを特徴としている。

 この第3の発明では、第2切り込み(12b,12c) 間隔が一端側から他端側へ向かって徐々に 化するようにしている。上記第2切り込み(12b ,12c)の間隔が狭いものや広いものが混在して ると剥離部分も混在する場合があるが、本 明では第2切り込み(12b,12c)の間隔が小さくな っている部分に集中して剥離が生じる。

 第4の発明は、基材(10)に塗布された塗膜(1 1)に対して縦横に切り込み(12)を形成する切り 込み形成機構(20)と、切り込み(12)を形成した 膜(11)に剥離力を作用させる剥離機構(20)と 備え、塗膜(11)に対して碁盤目試験を行う碁 目試験装置を前提としている。

 そして、この碁盤目試験装置の上記切り み形成機構(20)は、縦横の一方の第1切り込 (12a)を等間隔または不均一な間隔で形成する 第1切り込み手段(20a)と、縦横の他方の第2切 込み(12b,12c)を不均一な間隔で形成する第2切 込み手段(20b)とを備えていることを特徴と ている。この構成において、剥離機構(20)は 粘着テープなどを用いて塗膜(11)を積極的に 剥離する機構であってもよいし、切り込み形 成機構(20)で間隔を狭くすることで切り込み(1 2)同士の間の塗膜(11)に自然に作用する剥離力 を利用した機構(つまり切り込み形成機構(20) 剥離機構(20)を兼ねる構成)であってもよい

 この第4の発明では、切り込み形成機構(20 )により形成した切り込み(12)の間隔の狭い部 ほど基材(10)に対する塗膜(11)の密着力が弱 なる。そのため、切り込み(12)の間隔の広い 分に比べて切り込み(12)の間隔の狭い部分の 方が塗膜(11)から剥がれやすくなる。したが て、どの程度の間隔で切り込み(12)を形成し 部分の塗膜(11)が剥がれているかを評価する ことによって、塗膜(11)の密着力を判断でき 。

 第5の発明は、第4の発明において、上記 1切り込み手段(20a)が、上記第1切り込み(12a) 等間隔で形成するように構成されているこ を特徴としている。

 この第5の発明では、切り込み形成機構(20 )により形成した第2切り込み(12b,12c)の間隔の い部分ほど基材(10)に対する塗膜(11)の密着 が弱くなる。そのため、第2切り込み(12b,12c) 間隔の広い部分に比べて第2切り込み(12b,12c) の間隔の狭い部分の方が塗膜(11)から剥がれ すくなる。したがって、どの程度の間隔で 2切り込み(12b,12c)を形成した部分の塗膜(11)が 剥がれているかを評価することによって、塗 膜(11)の密着力を判断できる。

 第6の発明は、第4または第5の発明におい 、上記第2切り込み手段(20b)が、一端側から 端側へ向かって間隔が徐々に大きくまたは さくなるように、上記第2切り込み(12b,12c)を 塗膜(11)に形成することを特徴としている。

 この第6の発明では、第2切り込み(12b,12c) 間隔が一端側から他端側へ向かって徐々に 化するようにしている。第2切り込み(12b,12c) 間隔が狭いものや広いものが混在している 剥離部分も混在する場合があるが、本発明 は第2切り込み(12b,12c)の間隔が小さくなって いる部分に集中して剥離が生じる。

 第7の発明は、第5または第6の発明におい 、上記切り込み形成機構(20)が円筒状の基材 (10)に形成された塗膜(11)を切り込み形成対象 するものであり、第1切り込み手段(20a)が上 第1切り込み(12a)を軸方向へ等間隔に形成す 一方、第2切り込み手段(20b)は上記第2切り込 み(12b,12c)を周方向へ不均一な間隔で形成する ように構成されていることを特徴としている 。

 第8の発明は、第7の発明において、上記 2切り込み手段(20b)が、周方向に連続し、軸 向に断続する複数の切り込みである上記第2 り込み(12b)を形成するように構成されてい ことを特徴としている。

 第9の発明は、第7の発明において、上記 2切り込み手段(20b)が、周方向と軸方向に連 し、ねじれ角が漸次変化する1本の螺旋状の り込みである上記第2切り込み(12c)を形成す ように構成されていることを特徴としてい 。

 第7~第9の発明では、例えば機械要素とし の滑り軸受けないしブッシュに摩擦抵抗の さなコーティングを形成する場合に、この ーティングの密着力を、軸方向に形成した 間隔の第1切り込み(12a)と周方向に形成した 均一な間隔の第2切り込み(12b,12c)とから判断 できる。以上のように円筒状の基材(10)に対 て本発明の碁盤目試験を行って相対比較を る場合、円筒の形状(内径)は統一しておくこ とが好ましい。

 本発明によれば、基材(10)に塗布された塗 膜(11)に対して形成する切り込み(12)の間隔を ならせることにより、塗膜(11)の剥がれやす さ(密着力)を変化させ、切り込み(12)の間隔の 広い部分に比べて切り込み(12)の間隔の狭い 分の方が塗膜(11)から剥がれやすくしている したがって、どの程度の間隔で切り込み(12) を入れた部分の塗膜(11)が剥がれているかを 価することによって、塗膜(11)の密着力を定 的に判断できるため、塗膜(11)の密着力を従 来より正確に評価できる。また、この発明で は基材(10)に治具を接着する必要がなく、測 を簡単に行える。さらに、本発明では、粘 テープを用いなくても塗膜(11)の密着力を判 できるため、密着力を評価する塗膜(11)がフ ッ素樹脂のように粘着性の乏しい材料である 場合に適している。

 上記第2の発明によれば、上記第1切り込 (12a)を等間隔で形成し、上記第2切り込み(12b, 12c)を不均一な間隔で形成することによって 第1の発明と同様の効果を奏することができ 。

 上記第3の発明によれば、第2切り込み(12b, 12c)の間隔が一端側から他端側へ向かって徐 に変化するようにしている。ここで、第2切 込み(12b,12c)の間隔が狭いものや広いものが 在していると剥離部分も混在し、密着力の 定が困難になる場合があるが、本発明では 2切り込み(12b,12c)の間隔が小さくなっている 部分で集中して剥離が生じるので、密着力を 容易に判断することができる。

 上記第4の発明によれば、切り込み形成機 構(20)により形成した切り込み(12)間隔の狭い 分ほど基材(10)に対する塗膜(11)の密着力が くなるようにして、切り込み(12)の間隔の広 部分に比べて切り込み(12)の間隔の狭い部分 の方が塗膜(11)から剥がれやすくなるように ている。したがって、どの程度の間隔で切 込み(12)を形成した部分の塗膜(11)が剥がれて いるかを評価することによって、塗膜(11)の 着力を定量的に判断できるため、塗膜(11)の 着力を従来より正確に評価できる。また、 の発明では基材(10)に治具を接着する必要が なく、測定を簡単に行える。

 上記第5の発明によれば、上記第1切り込 (12a)を等間隔で形成し、上記第2切り込み(12b, 12c)を不均一な間隔で形成することによって 第4の発明と同様の効果を奏することができ 。

 上記第6の発明によれば、第2切り込み(12b, 12c)の間隔が一端側から他端側へ向かって徐 に変化するようにしている。ここで、第2切 込み(12b,12c)の間隔が狭いものや広いものが 在していると剥離部分も混在し、密着力の 定が困難になる場合があるが、本発明では 2切り込み(12b,12c)の間隔が小さくなっている 部分で集中して剥離が生じるので、密着力を 容易に判断することができる。

 上記第7~第9の発明によれば、滑り軸受け 摩擦抵抗の小さなコーティング(塗膜)を形 する場合に、このコーティングの密着力を 軸方向に形成した等間隔の第1切り込み(12a) 周方向に形成した不均一な間隔の第2切り込 (12b,12c)とから容易に判断できる。

図1は、本発明の実施形態に係る定量碁 盤目試験装置の概略構成図である。 図2は、ワークの内面展開図である。 図3は、図1の変形例を示す定量碁盤目 験装置の概略構成図である。 図4は、実施例の測定結果を示す表であ る。 図5は、その他の実施形態に係るワーク の内面展開図である。

符号の説明

 1  碁盤目試験装置
 10 基材
 11 塗膜
 12 切り込み
 12a 軸方向(縦)の切り込み(第1切り込み)
 12b 周方向(横)の切り込み(第2切り込み)
 12c 螺旋状の切り込み(第2切り込み)
 20 切り込み形成機構(剥離機構)
 20a 第1切り込み手段
 20b 第2切り込み手段

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。なお、本発明の碁盤目試 について、本実施形態では「定量碁盤目試 」という。

 〈装置構成〉
 図1は、本実施形態に係る定量碁盤目試験装 置(1)の概略構成図である。この定量碁盤目試 験装置(1)は、ワーク(10)としての滑り軸受け( 筒状の基材)の内面に塗布された塗膜(11)に して縦横に切り込み(12)を形成する切り込み 成機構(20)を有している。ワーク(10)は、上 したように内周面に塗膜(11)がコーティング れたものであって、図示していないが軸心 中心として回転するように定量碁盤目試験 置(1)が構成されている。

 切り込み形成機構(20)は、ワーク(10)の軸 向と平行に配置された棒状の本体部(21)と、 体部(21)の先端から直交する方向に突出する 刃先を有する切り込み形成部(22)とを備えて る。上記本体部(21)は、軸方向への移動が可 であるとともに、切り込み形成部(22)の刃先 がワーク(10)の内面に対して圧接する位置と 避する位置との間で軸直角方向へ移動が可 に構成されている。

 〈運転動作〉
 この定量碁盤目試験装置(1)では、ワーク(10) が停止した状態でその内面に刃先がわずかに 食い込む位置で切り込み形成機構(20)の本体 (21)を軸方向へ進退させてから、ワーク(10)を 所定角度回転させる動作を繰り返して行い、 塗膜(11)に対して軸方向の第1切り込み(12a)を 間隔で形成する(第1切り込み手段(20a))。つま り、ワーク(10)を断続的に回転させながら軸 向(縦)の第1切り込み(12a)を等間隔で形成する 。

 次に、ワーク(10)の内部に切り込み形成機 構(20)の本体部(21)を奥まで挿入した状態で刃 をワーク(10)の内面にわずかに食い込ませ、 ワーク(10)を少なくとも1回転させることによ 周方向(横)の第2切り込み(12b)を形成する。 方向の第2切り込み(12b)を1本形成すると、切 込み形成機構(20)の本体部(21)をワーク(10)か 刃先が退避する位置に移動させて所定距離 け後退させ、その位置で刃先を再度ワーク( 10)の内面に圧接させてワーク(10)を回転させ 次の周方向の第2切り込み(12b)を形成する。 のようにして、周方向の第2切り込み(12b)の 成を断続的に行うが、その際に、各第2切り み(12b)間で本体部(21)が後退する距離を徐々 短くすることによって、周方向の第2切り込 み(12b)は、ワーク(10)の奥から手前に向かって 間隔が徐々に狭くなるように不均一な間隔で 形成される(第2切り込み手段(20b))。

 以上により、ワーク(10)には、周方向に連 続する不等間隔の複数の第2切り込み(12b)と、 軸方向に連続する等間隔の複数の第1切り込 (12a)が形成される。図2は、ワーク(10)の内面 展開図であり、縦横に形成された切り込み( 12)の一方である第1切り込み(12a)が等間隔(L)で 形成され、縦横の切り込み(12)の他方である 2切り込み(12b)が不均一な間隔(W1~W5)で形成さ た様子を表している。

 切り込み(12)の形成後に塗膜(11)に剥離力 作用させる剥離工程は、剥離機構(20)により う。本実施形態では、切り込み(12)の形成時 に周方向の第2切り込み(12b)の間隔を狭くして いくことにより、その第2切り込み(12b)同士の 間で塗膜(11)に必然的に作用する剥離力を利 して剥離機構(20)を構成している。つまり、 の定量碁盤目試験装置(1)では、切り込み形 機構(20)が剥離機構(20)を兼ねる構成になっ いて、切り込み形成工程とほぼ同時に剥離 程が起こるようにしている。

 次に、このようにして塗膜(11)に切り込み (12)を形成して剥離した塗膜(11)の第2切り込み (12b)の間隔を測定する。そして、塗膜(11)が剥 がれた状態に基づいて塗膜(11)の密着力を評 する評価工程を行う。その際、第2切り込み( 12b)の間隔の測定は、例えばマイクロスコー を用いて行うことができる。

 〈実施形態の効果〉
 本実施形態によれば、ワーク(10)にコーティ ングされた塗膜(11)に対して形成する第2切り み(12b)の間隔を異ならせることにより、塗 (11)の剥がれやすさ(密着力)を変化させ、第2 り込み(12b)の間隔の広い部分に比べて第2切 込み(12b)の間隔の狭い部分の方が塗膜(11)か 剥がれやすくしている。したがって、どの 度の間隔で第2切り込み(12b)を形成した部分 塗膜(11)が剥がれているかを評価することに よって、塗膜(11)の密着力を定量的に判断で るため、塗膜(11)の密着力を従来より正確に 価できる。また、この実施形態ではワーク( 10)に治具や粘着テープを接着する必要がなく 、測定を特に簡単に行える。

 また、この実施形態では、第2切り込み(12 b)の間隔が一端側から他端側へ向かって徐々 変化するようにしている。ここで、第2切り 込み(12b)の間隔が狭いものや広いものが混在 ていると剥離部分も混在してしまい、密着 の認定が困難になる場合があるが、本実施 態では第2切り込み(12b)の間隔が小さくなっ いる部分で剥離が生じるので、密着力を容 に判断することができる。つまり、塗膜(11) の剥がれるマス目が小さければ小さいほどワ ーク(10)と塗膜(11)の密着力が高いことが分か 。

 〈実施形態の変形例〉
 図1に示した例では、周方向の第2切り込み(1 2b)を互いに平行で軸方向に不連続な複数の切 り込み(12b)にしているが、上記第2切り込み(12 b)を周方向へ互いに平行で軸方向へ不連続に 成する代わりに、図3に示すように、周方向 と軸方向に連続し、ねじれ角が漸次変化する 1本の螺旋状の第2切り込み(12c)を形成して、 端側から他端側へ第2切り込み(12c)の間隔が くなるようにしてもよい。

 このようにすると、上記実施形態と同様 効果を得られるのに加えて、周方向の第2切 り込み(12c)を連続的に形成できるため、作業 容易に行うことが可能となる。

 〈その他の実施形態〉
 上記実施形態については、以下のような構 としてもよい。

 上記実施形態では、ワーク(10)として滑り 軸受けを用いた例について説明したが、ワー ク(10)(基材)は必ずしも円筒状である必要はな く、平板状や凹凸状の基材に形成した塗膜(11 )の密着力を評価するのに本発明を適用して よい。また、円筒状のワーク(10)に本発明を 用する場合でも、周方向の切り込みを均一 間隔で形成し、軸方向の切り込みを不均一 間隔で形成するようにしてもよい。

 また、碁盤目は正方形から長方形に変化 ることが好ましいが、菱形にして切り込み( 12)の間隔を変えるようにしてもよい。

 また、上記実施形態では切り込み形成機 (20)が剥離機構(20)を兼ねるように構成して 粘着テープなどによる積極的な剥離を行わ いようにしている。この構成は塗膜(11)にフ 素樹脂のようにテープが付着しにくい材料 用いる場合に特に好ましい構成であるが、 膜(11)の材料によっては、粘着テープなどを 用いて剥離力を与える専用の剥離機構(20)を けて剥離工程を行うようにしてもよい。

 さらに、上記実施形態では、第1切り込み (12a)を等間隔で形成し、第2切り込み(12b)を不 一な間隔で形成するようにしているが、図5 に示すように、第1切り込み(12a)は、必ずしも 等間隔で形成しなくてもよく、不均一な間隔 (L1~L5)で形成してもよい。その場合でも、塗 (11)が剥がれた部分の切り込み(12a,12b)の間隔 ら、塗膜(11)の密着力を定量的に評価するこ とが可能である。図5は、第1切り込み(12a)と 2切り込み(12b)の両方を一端側から他端側へ かって間隔が徐々に変化するように形成し 例を示しているが、間隔を変化させる仕方 適宜変更してもよい。その場合でも、評価 程で両方の切り込み(12a,12b)の間隔を測定す ば、塗膜(11)の密着力を定量的に判断できる

 なお、以上の実施形態は、本質的に好ま い例示であって、本発明、その適用物、あ いはその用途の範囲を制限することを意図 るものではない。

 比較例(A)として、炭素鋼(S45C)の円筒材に 酸マンガン被膜処理を施した基材(10)の内周 にPAI(ポリアミドイミド)とPTFE(ポリテトラフ オロエチレン)の塗膜(11)を塗布した後に焼成 し、被膜を作成したものを試験片(A)とした。

 比較例(B)として、鉄粉末を焼き固めた基 (鉄系焼結材)(10)の内周にPAIとPTFEの塗膜(11) 塗布した後に焼成して、被膜を作成したも を試験片(B)とした。

 実施例として、鉄粉末を焼き固めた基材( 鉄系焼結材)(10)にスチーム処理を施してから その内周にPAIとPTFEの塗膜(11)を塗布した後 焼成して、被膜を作成したものを試験片(C) した。この場合、後述するようにスチーム 理によって基材(10)の表面に酸化皮膜が形成 れ、その上にPAIとPTFEの塗膜(11)が形成され ことになる。

 試験片(A),(B),(C)を、本発明の定量碁盤目 験及びJIS K 5600-5-6に定められている碁盤目 験の両方で試験し、塗膜(11)の密着力を測定 した。ここで、試料作成、試験装置及び測定 条件などの具体例について説明する。なお、 JIS K 5600-5-6のクロスカット法では、切り込 (12)の間隔は縦横とも1mmとした。

 〈試料作成〉
 焼結材には、JPMA(日本粉末冶金工業規格)SMF4 040に相当する材料を用いた。そして、基材は 、内径φ34mm、外径φ44mm、長さ30mmの円筒形状 形成した。この寸法は一例であり、変更可 である。

 塗膜の組成は、PTFEを20~45質量%含むものと した。また、塗膜には、フッ化物やアルミナ などの第3,第4のフィラーを含ませてもよい。

 塗膜の形成は、スプレー法またはディス ンサー法による塗装で行い、焼成時の膜厚 100~150μmで、切削加工により膜厚を40~60μmに た。なお、焼成は、200~300℃で30分~60分実施 た。

 実施例の試験片(C)について、スチーム処理 、焼結材の表面に酸化皮膜を形成するため 行った。具体的には、焼結材に対して、水 気雰囲気炉において、所定の温度範囲(例え ば500~560℃)で加熱することにより、所定の均 厚さ(数ミクロン程度)の黒色のFe 3 O 4 からなる酸化被膜を形成した。焼結材は多孔 質であり、酸化皮膜は焼結材の表面に露出し た微細な孔の内面にも均一な厚さで形成され る。そして、その上にPAIとPTFEの塗膜(11)が形 される。

 〈試験装置、器具、試験片〉
 試験装置(1)の切り込み工具(切り込み形成部 )(22)は、刃先が良好な状態にあることが必要 ある。また、等間隔に切り込みを入れるた 、単一の切り込み工具(22)を用いる際に、ガ イドを有する等間隔スペーサを用いてもよい 。

 また、付着力を失った塗膜(11)を除去する ときに、粘着テープを用いてもよい(例えば 25mmの幅あたり10±1Nの粘着強さをもつもの)。 さらに、評価工程で用いる観察用器具として は、100~300倍程度の倍率をもつ光学顕微鏡を いるとよい。

 試験片の形状には、特に規定はない。た し、試験部位は試験片の端部から5mm以上離 た異なる3箇所で実施することが望ましい。 また、各試験片の膜厚は均一にすることが望 ましい。

 〈試験条件〉
 試験は、他に同意がない限り、温度23±2°, 対湿度50±5%で、上述したように、試験片上 最低3つの異なる箇所で試験を行う。また、 に規定がない限り、試験片を試験の直前に 最低16時間にわたり、温度23±2°,相対湿度50 5%で養生する。

 各試験片に対し、格子パターンのX方向は 1mm間隔,Y方向は5mmから0.1mm間隔で切り込みを 成する。これにより、X方向は4カット,Y方向 51カット切り込むことになり、合計150マス 格子が形成される。

 〈試験手順〉
 まず、試験片を万力などで固定する。次に 規定の手順に従い、手動で切り込みを行う 、試験の前に刃の部分を検査し、刃を交換 ることでその状態を維持する。

 試験片の表面に対して刃が垂直になるよ に切り込み工具を保持する。そして、切り み工具に一様な圧力を加え、必要に応じて 切なスペーサを用いて、一定の切り込み率 塗膜部分に規定の数の切り込みを形成する

 X方向とY方向に上述した間隔で切り込みを 成する。すべての切り込みは、塗膜を貫通 て基材の表面まで達していなければならな 。なお、0.1mm間隔で切り込みを形成するのが 困難な場合は、徐々に細くなる適当な切り込 みを入れた後に、その間隔を拡大鏡で測定し てもよい
 付着力を失った塗膜を除去するには、粘着 ープを用いてもよい。粘着テープは、観察 に保存しておいてもよい。

 〈試験結果の評価方法〉
 試験結果の評価は、付着力を失った塗膜を 去した直後に行う。その際、剥離した塗膜 上部から、観察器具を用い観察する。剥離 ている塗膜の間隔と剥離していない塗膜の 隔を数値化する。2つの数値を必要に応じて 用い、試験結果とする。なお、剥離部分の間 隔が小さいほど、密着性は高い。

 〈測定結果〉
 測定結果を図4の表に示している。この表中 の定量碁盤目剥離幅は、デジタルマイクロス コープを使用して測定した。数値は3回測定 た平均値である。

 この表に示すように、本発明の定量碁盤 試験においては、実施例である試験片(C)の が比較例である試験片(A),試験片(B)よりも剥 離幅が小さい結果が得られたことから、試験 片(C)における塗膜(11)の付着力が強いことと それが試験片(A),試験片(B)に対してどの程度 いのかが分かる。また、JIS K 5600-5-6のクロ スカット法においては、試験片(A),(B)で剥離 起こり、試験片(C)では剥離が起こっていな ので、密着力の強さについて本発明の定量 盤目試験と同様の結果が得られたことが分 る。ただし、このJIS K 5600-5-6のクロスカッ 法では、NG(剥離あり)かOK(剥離なし)かの結 しか判別できないのに対して、本実施形態 定量碁盤目試験では剥離幅を測定すること より密着力を定量化して測定することがで る。

 以上説明したように、本発明は、基材に 布した塗膜の密着力を測定するための碁盤 試験において、定量的な測定結果を得るた の方法及び装置について有用である。