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Title:
FABRIC FOR AIR BAG
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072354
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a fabric for an air bag, which is low in cost, is excellent in storability, and has an air permeability satisfying an initial human body restraining performance. The fabric comprises a synthetic resin coated onto at least one side of a fabric of a synthetic fiber having a cover factor of 2000 to 2500. The fabric is characterized in that the air permeability of the fabric under a differential pressure of 100 kPa is 0.01 to 1.00 L/cm2/min, and, in the central section of a weaving yarn part, a resin film is present in a thickness of not more than 2 µm on the upper part of single yarns while, in the cross section in a boundary part between weaving yarn parts, the resin film is present in a thickness of 2 to 30 µm on the upper part of single yarns.

Inventors:
KANO KENICHIRO (JP)
TSURUTA TAKASHI (JP)
KITAMURA MAMORU (JP)
ISODA HIDEO (JP)
HAGIWARA HIROAKI (JP)
MARUYAMA GAKU (JP)
HATTORI TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068726
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
October 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO BOSEKI (JP)
KANO KENICHIRO (JP)
TSURUTA TAKASHI (JP)
KITAMURA MAMORU (JP)
ISODA HIDEO (JP)
HAGIWARA HIROAKI (JP)
MARUYAMA GAKU (JP)
HATTORI TAKAHIRO (JP)
International Classes:
D06M15/693; B60R21/16; D03D1/02
Foreign References:
JP2001089949A2001-04-03
JPS59133224A1984-07-31
JPS55133424A1980-10-17
JP2006249655A2006-09-21
JPH0516753A1993-01-26
JP2001524624A2001-12-04
JPH04281062A1992-10-06
JPH11222776A1999-08-17
JPH068779A1994-01-18
Other References:
See also references of EP 2218818A4
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Claims:
 式1で示すカバーファクターが2000~2500である合成繊維製織物に合成樹脂を少なくとも片面に塗布されてなる織物であって、織物の100kPa差圧下での通気度が0.01~1.00L/cm 2 /minであり、織糸部の中央断面において樹脂被膜が単糸上部に2μm以下の厚さで存在しているのに対して、織糸部間の境部の断面において樹脂被膜が単糸上部に2~30μmの厚さで存在していることを特徴とするエアバッグ用織物。
 カバーファクター
  =[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9)]
  +[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9)]
                                 ・・・(式1)
 合成樹脂の塗布量が、乾燥後の質量で0.1~15g/m 2 であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ用織物。
 合成樹脂が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリアミド系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂に水溶性増粘剤を含有してなる樹脂組成物であり、粘度が5~200dPa・sである、前記樹脂組成物を含む水系分散液を前記合成繊維製織物に塗布、乾燥してなる請求項1または2に記載のエアバッグ用織物。
 合成樹脂が、ソフトセグメントとして数平均分子量100~5000のポリエーテル化合物を有するポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物。
 合成樹脂中のポリエーテル化合物がアミノ変性されていることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ用織物。
 ポリアミド系樹脂が、ソフトセグメントとハードセグメントから構成される共重合ポリエーテルポリアミドであり、
 ソフトセグメントが、下記一般式(I)で表されるポリエーテルジアミン化合物と下記一般式(II)で表されるジカルボン酸化合物とから構成されるポリエーテルポリアミドからなり、
 ハードセグメントが、下記一般式(III)で表されるアミノカルボン酸化合物、及び/又は下記一般式(IV)で表されるラクタム化合物から構成されるポリアミドからなることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ用織物。
[但し、Rは炭素数2~3の直鎖または分岐のアルキレン基を、nは13~26の数値を表す]
[但し、R 1 は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす]
[但し、R 2 は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす]
[但し、R 3 は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす]
 水溶性増粘剤が、セルロース系誘導体であることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグ用布帛。
Description:
エアバッグ用織物

 本発明は、低コストで収納性に優れ、人 の初期拘束性能を満足する通気度を持つエ バッグ用織物に関するものである。

 近年、自動車安全部品の一つとして急速 装着率が向上しているエアバッグは、自動 の衝突事故の際、衝撃をセンサーが感知し インフレータから高温、高圧のガスを発生 せ、このガスによってエアバッグを急激に 開させて、運転者や同乗者の身体が衝突し 方向へ飛び出した際、特に頭部がハンドル フロントガラス、ドアガラス等に衝突する とを防止し保護するものである。従来、エ バッグにはクロロプレン、クロルスルフォ 化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴム 被覆したコーティング織物が、耐熱性、空 遮断性(低通気度)、難燃性が高いという理 により使用されてきており、現在はシリコ ンコーティング織物が主流となっている。

 しかしながら、これらの合成ゴムをコー ィングした織物は織物の質量が増加し、ま 柔軟性が満足できるものではなく製造コス も高いため、エアバッグ用織物として使用 るには不具合な点が多かった。

 織物のコーティング塗布量を変更し、改 することは従来から知られている(例えば、 特許文献1を参照)。しかしながら、特許文献1 には、エアバッグ展開性能などに関しての記 述はない。さらに、通気性・燃焼性などに関 しては満足できるレベルになく、改善が求め られている。

 また、軽量化、低コスト化等を目的とし 、織物に架橋エラストマーをコーティング る発明も提案されている(例えば、特許文献 2を参照)。しかしながら、特許文献2における 実施形態での付着量は高く、また架橋に熱量 が必要であるためにコストアップ要因となり 好ましくない。

 一方、正面衝突用エアバッグでは、軽量 、収納性に優れる、コーティングを施さな 織物を使用したノンコートエアバッグが主 になっている(例えば、特許文献3を参照)。 かしながら、側面衝突用エアバッグのよう 、乗員との距離が近いエアバッグではより 速な展開性能が必要である。そのため、高 圧力のインフレータに耐えられるエアバッ 用織物が求められている。

 現在、ノンコート織物の特性である軽量 良好な収納性を維持できるエアバッグ用織 として、合成樹脂希釈液での含浸処理が提 されている(例えば、特許文献4を参照)。し しながら、この方法で得られるエアバッグ 織物の通気性能は十分に満足できるもので ない。

 織物における樹脂存在状態を制御し、軽量 を図る方法も検討されている(例えば、特許 文献5を参照)。特許文献5の方法では「目合い 部」に多くの樹脂を存在させることを目的と しているが、「織糸部」にも樹脂が存在して いるため樹脂量が増加している点や、特に樹 脂量を低下させた場合には、通気度制御に必 要な部分が「目合い部」のみならず経糸と緯 糸が交わる境部もあるため通気度が高い点等 の問題がある。

特開平5-16753号公報

特表2001-524624号公報

特開平4-281062号公報

特開平11-222776号公報

特開平6-8779号公報

 本発明の目的は、上記従来技術の現状に み、低コストで収納性に優れ、人体の初期 束性能を満足する通気度を持つエアバッグ 織物を提供することにある。

 本発明は、上記目的を解決するために、次 ような構成を有する。
 (1)式1で示すカバーファクターが2000~2500であ る合成繊維製織物に合成樹脂を少なくとも片 面に塗布されてなる織物であって、織物の100 kPa差圧下での通気度が0.01~1.00L/cm 2 /minであり、織糸部の中央断面において樹脂 膜が単糸上部に2μm以下の厚さで存在してい のに対して、織糸部間の境部の断面におい 樹脂被膜が単糸上部に2~30μmの厚さで存在し ていることを特徴とするエアバッグ用織物。
 カバーファクター
  =[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9) ]
  +[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9) ]
                                  ・・・(式1)
 (2)合成樹脂の塗布量が、乾燥後の質量で0.1~ 15g/m 2 であることを特徴とする前記(1)に記載のエア バッグ用織物。
 (3)合成樹脂が、ポリウレタン系樹脂、アク ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポ アミド系樹脂よりなる群から選択される少 くとも1種の熱可塑性樹脂に水溶性増粘剤を 含有してなる樹脂組成物であり、粘度が5~200d Pa・sである、前記樹脂組成物を含む水系分散 液を前記合成繊維製織物に塗布、乾燥してな る前記(1)または(2)に記載のエアバッグ用織物 。
 (4)合成樹脂が、数平均分子量100~5000のソフ セグメントを有するポリアミド系樹脂であ ことを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1つに 記載のエアバッグ用織物。
 (5)ソフトセグメントがアミノ変性されてい ことを特徴とする前記(4)に記載のエアバッ 用織物。
 (6)ポリアミド系樹脂が、ソフトセグメント ハードセグメントから構成される共重合ポ エーテルポリアミドであり、
 ソフトセグメントが、下記一般式(I)で表さ るポリエーテルジアミン化合物と下記一般 (II)で表されるジカルボン酸化合物とから構 成されるポリエーテルポリアミドからなり、
 ハードセグメントが、下記一般式(III)で表 れるアミノカルボン酸化合物、及び/又は下 一般式(IV)で表されるラクタム化合物から構 成されるポリアミドからなることを特徴とす る前記(4)に記載のエアバッグ用織物。
[但し、Rは炭素数2~3の直鎖または分岐のアル レン基を、nは13~26の数値を表す]
[但し、R 1 は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす]
[但し、R 2 は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす]
[但し、R 3 は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす]
 (7)水溶性増粘剤が、セルロース系誘導体で ることを特徴とする前記(3)に記載のエアバ グ用布帛。

 本発明のエアバッグ織物は、塗布される 成樹脂が織糸部間の境部の断面において選 的に存在させるようにしているので、低コ トで収納性に優れ、人体の初期拘束性能を 足する通気度を持つ。

本発明の合成樹脂塗布前の合成繊維織 の一例の表面のSEM写真である。 図1の断面BのSEM写真である。 図1の断面AのSEM写真である。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明において使用する合成繊維としては に素材を限定するものではないが、例えば イロン66、ナイロン6、ナイロン46、ナイロ 12等の脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維 のような芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレ ンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフ タレートやポリブチレンテレフタレートなど のポリエステル繊維が使用される。他の例と しては全芳香族ポリエステル繊維、超高分子 量ポリエチレン繊維、ポリパラフェニン・ベ ンゾビス・オキサゾール繊維(PBO繊維)、ポリ ェニレンサルファイド繊維、ポリエーテル トン繊維等が挙げられる。ただし、経済性 勘案するとポリエステル繊維、ポリアミド 維が特に好ましい。また、これらの繊維は の一部または全部が再利用された原材料よ 得られるものでもよい。また、これらの合 繊維には原糸製造工程や後加工工程での工 通過性を向上させるために、各種添加剤を 有していても何ら問題はない。添加剤とし は、例えば酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤 帯電防止剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられ 。また、この合成繊維は原着糸や製糸後染 したものであっても何ら問題はない。また 合成繊維の単糸の断面は通常の丸断面の他 異形断面であっても何ら差し支えない。合 繊維は、マルチフィラメント糸として使用 れ製織されることが破断強度、破断伸度等 観点から好ましい。

 本発明において、織物の製織方法は特に 定するものではないが、織物物性の均一性 勘案すると平織りが良い。使用する糸は、 糸・緯糸は単一でなくてもよく、例えば太 や糸本数、繊維の種類が異なっても何ら差 支えはない。

 本発明における織物は、公知の方法で製 した合成繊維製織物の少なくとも片面に、 成樹脂を塗布することによって製造される 塗布の方法については特に限定されるもの はなく、公知の方法を用いることができる 、コスト面や塗工後の織物柔軟性を勘案す とナイフコーティングを用いることが好ま い。

 本発明において、織物に塗布する合成樹脂 しては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系 脂、ポリエステル系樹脂、およびポリアミ 系樹脂を使用することができるが、この中 も、数平均分子量100~5000のアミノ変性され ポリオールを含むソフトセグメントを有す ポリアミド系樹脂が通気性の面から好まし 。より好ましいポリオールの分子量は300~3000 である。分子量が100より小さいと、引裂強力 が低下するため好ましくなく、分子量が5000 り大きいと、滑脱抵抗力が不足しやすくな ため好ましくない。なお、数平均分子量の 定は以下のようにして行なった。
 ・GPC法
  装置:TOSOH HLCー8220GPC
  カラム:TSKgel SuperHM-H×2+TSKgel SuperH2000(TOSOH)
  溶媒:HFIP/トリフルオロ酢酸ナトリウム 10m M
  流速:0.25ml/min 濃度:0.05%
  温度:40℃、検出器:RI
  標準ポリメチルメタクリレート換算で分 量計算。

 ここで、ソフトセグメントとしては、ポ オール全体を指すが、線状ポリアルキレン リコールのアミノ変性体が熱可塑性樹脂の 能面から好ましく、より好ましくはポリエ レングリコール、ポリプロピレングリコー 、ポリテトラメチレングリコール又はポリ チレングリコールのアミノ変性体である。 リオールはポリマー中の質量比で10~90質量% あることが好ましい。10質量%未満では塗布 の織物の柔軟性が失われるため好ましくな 、90質量%を超えるとエラストマーとしての 質が得られず、通気度が上昇するため好ま くない。

 本発明において、織物に塗布する合成樹 の融点は、120~180℃の範囲が好ましい。より 好ましくは125~160℃の範囲であり、さらに好 しくは130~145℃の範囲である。該合成樹脂が なくとも片面に塗布されているエアバッグ 織物において、耐熱老化性を向上させるた には、該合成樹脂の融点を120℃以上とする とが好ましい。また、該合成樹脂の水分散 を向上させるためには、融点を180℃以下と ることが好ましく、さらに好ましくは150℃ 下である。

 前記の合成樹脂は、上記一般式(I)のポリ ーテルジアミン化合物、上記一般式(II)のジ カルボン酸化合物、及びポリアミド形成性モ ノマー、即ち、上記一般式(III)のアミノカル ン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)のラク ム化合物を重合して得られる共重合ポリエ テルポリアミドが好ましい。

 また、上記の共重合ポリエーテルポリア ドは、樹脂の総量に対するソフトセグメン の割合が70~85質量%の範囲にあることが好ま い。より好ましくは73~83質量%の範囲であり さらに好ましくは77~81質量%の範囲である。

 上記の特定の共重合ポリエーテルポリア ドを使用することにより、同じ量の樹脂が 物に被覆されたコーティング布帛でも、通 度をさらに低くすることができる。

 共重合ポリエーテルポリアミド樹脂にお て、ポリエーテルジアミン化合物、ジカル ン酸化合物、及びポリアミド形成性モノマ に含まれる末端のアミノ基と、末端のカル ン酸又はカルボキシル基とがほぼ等モルに るような割合とすることが好ましい。

 特に、ポリアミド形成性モノマーの一方 末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン 又はカルボキシル基の場合、ポリエーテル アミン化合物及びジカルボン酸化合物は、 リエーテルジアミン化合物のアミノ基とジ ルボン酸化合物のカルボキシル基がほぼ等 ルになるような割合とするのが好ましい。

 上記一般式(I)のポリエーテルジアミン化 物としては、ポリオキシエチレン、1,2-ポリ オキシプロピレン、1,3-ポリオキシプロピレ 及びそれらの共重合物のアミノ変性体等が げられる。上記一般式(I)において、Rは複数 のアルキレン基を表わすこともある。nは、 13~26の数値である。

 上記一般式(I)のポリエーテルジアミン化 物としては、下記一般式(V)のポリエーテル アミン化合物が好ましい。下記一般式(V)の リエーテルジアミン化合物の具体例として 、米国HUNTSMAN社製のジェファーミンED900(一 式(V)において、(x+z)がおよそ6.0、yがおよそ12 .5)等を用いることができる。

 上記一般式(V)のポリエーテルジアミン化 物において、yは、9.2~19.4が好ましく、より ましくは11.0~16.7、さらに好ましくは12.5~14.4 ある。また、(x+z)は、3.8~6.0が好ましく、よ 好ましくは5.0~6.0、さらに好ましくは5.5~6.0 ある。

 上記一般式(I)のポリエーテルジアミン化 物の数平均分子量は、700~1200の範囲にある とが好ましい。より好ましくは800~1100の範囲 であり、さらに好ましくは900~1000の範囲であ 。

 上記一般式(II)のジカルボン酸化合物とし ては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジカルボン 酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン 酸又はこれらの誘導体を用いることができる 。

 上記一般式(II)のジカルボン酸化合物におい て、R 1 は炭素数1~20の炭化水素の分子鎖又は炭素数1~ 20のアルキレン基であることが好ましく、さ に好ましくは炭素数1~15の炭化水素の分子鎖 又は炭素数1~15のアルキレン基であり、より ましくは炭素数2~12の炭化水素の分子鎖又は 素数2~12のアルキレン基であり、特に好まし くは炭素数4~10の炭化水素の分子鎖又は炭素 4~10のアルキレン基である。

 該ジカルボン酸化合物の具体例としては シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ 酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン 、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2 ~25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグ リセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸 を二量化した炭素数14~48の二量化脂肪族ジカ ボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加 (水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸 、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂 族ジカルボン酸、および、テレフタル酸、 ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙 られる。ダイマー酸及び水添ダイマー酸と ては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004 、「プリポール1006」、「プリポール1009」 「プリポール1013」などを用いることができ 。

 次に、上記一般式(III)のアミノカルボン 化合物及び、上記一般式(IV)のラクタム化合 について説明する。

 上記一般式(III)のアミノカルボン酸化合物 おいて、R 2 は炭素数2~20の炭化水素の分子鎖又は炭素数2~ 20のアルキレン基が好ましく、さらに好まし は炭素数3~18の炭化水素の分子鎖または炭素 数3~18のアルキレン基であり、より好ましく 炭素数4~15の炭化水素の分子鎖または炭素数4 ~15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭 素数4~10の炭化水素の分子鎖又は炭素数4~10の ルキレン基である。

 上記一般式(IV)のラクタム化合物において、 R 3 は炭素数3~20の炭化水素の分子鎖又は炭素数3~ 20のアルキレン基が好ましく、さらに好まし は炭素数3~18の炭化水素の分子鎖又は炭素数 3~18のアルキレン基であり、さらに好ましく 炭素数4~15の炭化水素の分子鎖又は炭素数4~15 のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素 数4~10の炭化水素の分子鎖又は炭素数4~10のア キレン基である。

 該アミノカルボン酸化合物及び、該ラク ム化合物としては、ω-アミノカルボン酸、 クタム、或いはジアミンとジカルボン酸か 合成されるもの及びそれらの塩から選ばれ 少なくとも一種の脂肪族、脂環族及び/又は 芳香族を含むポリアミド形成性モノマーが使 用される。

 ジアミンとジカルボン酸から合成される の及びそれらの塩において、ジアミンとし は、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及び 香族ジアミン、またはこれらの誘導体から ばれる少なくとも一種のジアミン化合物な を挙げることが出き、ジカルボン酸として 、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン 及び芳香族ジカルボン酸、又はこれらの誘 体から選ばれる少なくとも一種のジカルボ 酸化合物などが挙げられる。

 ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジア ミン/ジカルボン酸)は、0.9~1.1の範囲が好まし く、さらに0.93~1.07の範囲が好ましく、0.95~1.05 の範囲がより好ましく、そして0.97~1.03の範囲 が特に好ましい。この範囲から外れると分子 量を高くしにくくなる場合がある。

 ω-アミノカルボン酸の具体例としては、6 -アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、8- ミノオクタン酸、10-アミノカプリン酸、11- ミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸な の炭素数5~20の脂肪族ω-アミノカルボン酸な どが挙げられる。

 ラクタムの具体例としては、ε-カプロラ タム、ω-エナントラクタム、ω-ウンデカラ タム、ω-ドデカラクタム、2-ピロリドンな の炭素数5~20の脂肪族ラクタムなどが挙げら る。

 ジアミンとジカルボン酸とから合成され もの及びそれらの塩において、ジアミンの 体例としては、エチレンジアミン、トリメ レンジアミン、テトラメチレンジアミン、 キサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジ ミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチ ンジアミン、デカメチレンジアミン、ウン カメチレンジアミン、ドデカメチレンジア ン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミ 、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン 3-メチルペンタメチレンジアミンなどの炭 数2~20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合 が挙げられる。

 ジカルボン酸の具体例としては、シュウ 、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ ン酸、ドデカン二酸のような炭素数2~20の脂 肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸化合物 が挙げられる。

 前記の共重合ポリエーテルポリアミド樹 は、公知の縮合反応により製造することが きる。

 共重合ポリエーテルポリアミド樹脂の製 において、必要に応じて触媒として、リン 、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化 物、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチ ホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナ リウム、次亜リン酸エチルなどのホスフィ 酸化合物、フェニル亜ホスホン酸、フェニ 亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホス ン酸エチルなどの亜ホスホン酸化合物、フ ニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェ ルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホ 酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム どのホスホン酸化合物、亜リン酸、亜リン 水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜 ン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、 ロ亜リン酸などの亜リン酸化合物などを添 することができる。

 また、エアバッグ用織物に付着させる前 の合成樹脂には、各種の機能を付与するた に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤 増粘剤、着色剤、架橋剤、劣化防止剤、無 フィラー、耐熱剤、帯電防止剤、潤滑剤、 リップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シー 性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料 染料、香料、難燃剤、補強材、金属不活性 剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤 充填剤、等の添加剤を、本発明の目的とす 性能に影響を及ぼさない範囲で混合しても い。

 酸化防止剤は、熱酸化劣化の主要因であ ペルオキシラジカルおよびヒドロペルオキ ドを捕捉、分解し樹脂の脆弱化を抑制する とができる。さらに、光安定剤と併用すれ 光劣化防止に顕著な働きを示す添加剤であ 。代表的な酸化防止剤としては、ヒンダー フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止 、燐系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が る。

 ヒンダードフェノール系酸化防止剤とし は、例えば、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ- ルエン、n-オクタデシル-β-(4″-ヒドロキシ-3 ″,5″-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート テトラキス〔メチレン-3-(3″,5″-ジ-t-ブチル -4″-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 タン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t- チル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カル ウム(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル- モノエチル-ホスフェート)、トリエチレング コール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒド キシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエ スリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチルア リノ)-1,3,5-トリアジン、3,9-ビス〔1,1-ジメチ -2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェ ル)プロピオニルオキシ}エチル〕2,4,8,10-テ ラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ビス〔3, 3-ビス(4″-ヒドロキシ-3″-t-ブチルフェニル) 酸〕グリコールエステル、トリフェノール 2,2″-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノ ル)、N,N″-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ シフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2,2 ″-オキサミドビス〔エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル -4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1, 1,3-トリス(3″,5″-ジ-t-ブチル-4″-ヒドロキシ ベンジル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン 、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジ チルベンジル)イソシアヌレート、3,5-ジ-t-ブ チル-4-ヒドロキシヒドロシンナミックアヒド トリエステルウイズ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキ エチル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)、N,N″-ヘ サメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ -ヒドロシンナマミド)、3,9-ビス〔2-{3-(3-t-ブ ル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオ ルオキシ}-1,1-ジメチルエチル〕-2,4,8,10-テト ラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどが示さ れる。

 硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジ ウリル-3,3″-チオジプロピオン酸エステル ジミリスチル-3,3″-チオジプロピオン酸エス テル、ジステアリル-3,3″-チオジプロピオン エステル、ラウリルステアリル-3,3″-チオ プロピオン酸エステル、ジラウリルチオジ ロピオネート、ジオクタデシルサルファイ 、ペンタエリストリール-テトラ(β-ラウリル -チオプロピオネート)エステルなどが示され 。

 燐系酸化防止剤としては、例えば、トリ (ミックスド、モノ及びジノリルフェニル) ォスファイト、トリス(2,3-ジ-t-ブチルフェニ ル)フォスファイト、4,4″-ブチリデン-ビス(3- メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)フ スファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリ デシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタ ン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフ ァイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタ エリスリトール-ジ-フォスファイト、テトラ ス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4″-ビフェニ ンフォスファナイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4- メチルフェニル)ペンタエリストール-ジ-フォ スファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェ ル)4,4″-ビフェニレンジホスフォナイト、 リフェニルホスファイト、ジフェニルデシ ホスファイト、トリデシルホスファイト、 リオクチルホスファイト、トリドデシルホ ファイト、トリオクタデシルホスファイト トリノニルフェニルホスファイト、トリド シルトリチオホスファイトなどが示される

 アミン系酸化防止剤としては、例えば、N ,N-ジフェニルエチレンジアミン、N,N-ジフェ ルアセトアミジン、N,N-ジフェニルフルムア ジン、N-フェニルピペリジン、ジベンジル チレンジアミン、トリエタノールアミン、 ェノチアジン、N,N″-ジ-sec-ブチル-p-フェニ ンジアミン、4,4″-テトラメチル-ジアミノジ フェニルメタン、P,P″-ジオクチル-ジフェニ アミン、N,N″-ビス(1,4-ジメチル-ペンチル)-p -フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフチル ミン、フェニル-β-ナフチルアミン、4,4″- ス(4-α,α-ジメチル-ベンジル)ジフェニルアミ ンなどのアミン類及びその誘導体やアミンと アルデヒドの反応生成物、アミンとケトンの 反応生成物などが示される。

 光安定剤には、光エネルギーを無害な熱エ ルギーに変換する紫外線吸収剤(UVA)と光酸 で生成するラジカルを捕捉するヒンダード ミン系光安定剤(HALS)がある。
 ヒンダードアミン系光安定剤としては、例 ば、琥珀酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチ )-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペロジ との重縮合物、ポリ〔〔6-(1,1,3,3-テトラブ ル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕ヘキ メチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ )イミル〕〕、2-n-ブチルマロン酸のビス(1,2, 2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)エステル、 トラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)- 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス( 2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート 、N,N″-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ )ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタ ンとの重縮合物、ポリ〔(N,N″-ビス(2,2,6,6-テ ラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジア ミン)-(4-モノホリノ-1,3,5-トリアジン-2,6-ジイ )-ビス(3,3,5,5-テトラミチルピペラジノン)〕 トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)- デシル-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレー 、トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル )-ドデシル-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレ ト、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジ )セバケート、1,6,11-トリス〔{4,6-ビス(N-ブチ -N-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル) ミノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ}ウンデ ン、1-〔2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ ル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトロメチ ルピペリジン、8-ベンジル-7,7,9,9-テトラメチ -3-オクチル-1,3,8-トリアザスピロ〔4,5〕ウン デカン-2,4-ジオン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6 -テトラメチルピペリジン、N,N″-ビス(3-アミ プロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス〔N-ブ ル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ア ノ〕-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物などが される。

 紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン 、ベンゾトリアゾール系、トリアゾール系 ニッケル系、サリチル系の紫外線吸収剤が げられる。該紫外線吸収剤としては、例え 、2,2″-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェ ノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフ ノン、p-t-ブチルフェニルサリシレート、2,4- ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ シベンゾエート、2-(2″-ヒドロキシ-5″-メ ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2″-ヒ ロキシ-3″,5″-ジ-t-アミル-フェニル)ベンゾ リアゾール、2-〔2″-ヒドロキシ-3″、5″- ス(α,α-ジメチルベンジルフェニル)ベンゾト リアゾール、2-(2″-ヒドロキシ-3″-t-ブチル-5 ″-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ ル、2-(2″-ヒドロキシ-3″,5″-ジ-t-ブチルフ ェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,5-ビ -〔5″-t-ブチルベンゾキサゾリル-(2)〕-チオ フェン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベ ジル燐酸モノエチルエステル)ニッケル塩、 2-エトキシ-5-t-ブチル-2″-エチルオキサリッ アシッド-ビス-アニリド;85~90%と2-エトキシ-5- t-ブチル-2″-エチル-4″-t-ブチルオキサリッ アシッド-ビス-アニリド;10~15%の混合物、2-〔 2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル) フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-エトキ シ-2″-エチルオキサザリックアシッドビスア ニリド、2-〔2″-ヒドロキシ-5″-メチル-3″-(3 ",4",5",6"-テトラヒドロフタルイミド-メチル) ェニル〕ベンゾトリアゾール、ビス(5-ベン イル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタ 、2-(2″-ヒドロキシ-5″-t-オクチルフェニル )ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-i-オク キシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデ ルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オ クタデシルオキシベンゾフェノン、サリチル 酸フェニルなどが示される。

 また、合成樹脂に水溶性増粘剤を混合す ことが好ましい。増粘剤としては、水溶性 増粘効果があるものであれば特に限定しな が、カルボキシメチルセルロースナトリウ 、キサンタンガム、カラギーナン、セルロ ス、ヒドロキシエチルセルロースなどのセ ロース系誘導体を例示できる。増粘剤の比 は、乾燥後質量で合成樹脂の付着量の30質 %以下に調整することが好ましい。30質量%を えると引裂強力の低下や通気度の上昇とな ため好ましくない。

 本発明において、合成樹脂を塗布してなる 帛の100kPa差圧下での通気度は0.01~1.00L/cm 2 /minであることが必要である。通常のエアバ グの展開時には30~50kPaの力がかかっているが 、更にインフレータの火薬による熱の影響も あるため、織物を標準状態で測定するときに は100kPa差圧下での通気度を議論することが適 当である。好ましくは、通気度は0.80L/cm 2 /min以下であり、最も好ましくは0.50L/cm 2 /min以下である。1.00L/cm 2 /minより大きいと人体の初期拘束性能に劣る め好ましくない。0.01L/cm 2 /minより小さい場合、初期拘束性能は満足す ものの、本範囲の通気度と大きな差異は見 れないことに加えて、通気度を低減させる めに樹脂量が増加することによるコスト面 柔軟性面でのデメリットが生じるため好ま くない。また、JIS L 1096における通気度で 、合成樹脂を塗布してなる合成繊維製織物 、0.1cc/cm 2 /sec未満であることが好ましい。

 本発明においては、塗布される合成樹脂 織糸部上には存在させないかまたは存在さ ても極力少量にし、織糸部間の境部(経糸と 緯糸が交わる交差線部)に選択的に存在させ ことが必要である。具体的には、織物上に 布された合成樹脂の被膜は、織糸部の中央 面(図1の断面A及び図2参照)において単糸上部 に存在させないか又は2μm以下の厚さで存在 せ、織糸部間の境部の断面(図1の断面B及び 3参照)において単糸上部に2~30μmの厚さで存 させることが必要である。従来の方法では 織糸部の中央断面Aの単糸上においても樹脂 多く存在しているために必要以上の低通気 は得られるものの、樹脂量増加によるコス 面でのデメリットや柔軟性に劣る点があっ 。一方、樹脂量を低下させると、必要な通 度が得られなかった。そこで、本発明者ら 、少ない樹脂量で必要な通気度を得るため 鋭意検討を行った結果、前述のように、樹 被膜を織糸部間の境部に選択的に存在させ ことを見出したものである。

 このような樹脂被膜の存在状態は、従来公 の方法で達成することができるが、例えば 下に述べるように織物のカバーファクター 塗布されるコーティング剤の粘度、塗布量 どを適宜調整することによって達成するこ ができる。
 まず、合成繊維製織物のカバーファクター 2000~2500に調整することが必要である。2000よ り小さいと繊維交点部が大きくなり、この交 点部により多くの樹脂が存在し、選択的に樹 脂を存在させることが困難となるため好まし くない。2500より大きい場合、柔軟性に劣る め好ましくない。織物のカバーファクター 以下の式1によって計算される。
 カバーファクター
  =[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9) ]
  +[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9) ]・・・(式1)

 織物に塗布されるコーティング剤(水系分 散液)としては、合成樹脂と上記水溶性増粘 の組み合わせが好ましい。更に、コーティ グ剤の粘度を5~200dPa・s(B型粘度計で測定)に 整することが好ましい。より好ましくは、 度は10~150dPa・sである。5dPa・sより小さいと 透性が高くなり、所望の樹脂存在状態が得 れなくなり、その結果、通気度が上昇する め好ましくない。200dPa・sより大きいと、必 部以外にも樹脂が付着してしまうため好ま くない。ここで分子量の大きい水溶性増粘 を使用すると、構造粘性が大きくなるため コーティング工程でのシェア発生時の粘度 下が多大に生じ、結果として樹脂が基布内 浸透してしまうため、分子量の小さい増粘 が好ましい。増粘剤としては1質量%水溶液 100dPa・s以下の分子量を持つものが好ましい コーティング時の接圧/テンションは上記の 樹脂被膜存在状態が得られるよう適宜設定す れば良い。

 本発明において、合成樹脂の塗布量は、乾 後の質量で0.1~15g/m 2 が好ましく、より好ましくは1.0~10g/m 2 であり、更に好ましくは1.0~8.0g/m 2 である。乾燥後の質量とは、合成樹脂を塗布 し乾燥した後のエアバッグ用織物の質量をJIS  L1096 8.4.2により測定した値から、塗布前の 物の質量を同じくJIS L1096 8.4.2により測定 た値を減算することにより求めたものであ 。乾燥後の質量が0.1g/m 2 より少ないと、通気度を達成しづらくなり、 15g/m 2 より多いと柔軟性が損なわれ、コストが上昇 する。なお、本発明において塗布前の織物と は、まさに樹脂を塗工する前の段階の樹脂の 塗工以外の工程を終えた織物を意味し、通常 は、熱処理による収縮加工や熱セットなどが 施されているものである場合が多い。

 次に、実施例により本発明をさらに詳し 説明する。なお、実施例中における各種評 は、下記の方法にしたがって測定した。

(水系分散液の粘度)
 リオン株式会社製の粘度計(ビスコテスター VT-04F)を用いて、水系分散液の粘度を測定し 。

(通気度)
 100kPa圧力下での通気度を高圧通気度測定機( OEMシステム(株)製)を用いて測定した。

(樹脂被膜存在状態)
 図1における織糸部の中央断面(断面A)及び織 糸部間の境部の断面(断面B)を走査型電子顕微 鏡(SEM)によって撮影し、単糸上の厚みを測定 た。断面A及び断面Bの厚さは図2及び図3に示 すマルチフィラメント幅を4分割する3点の位 にある単糸頂点部に存在する樹脂の繊維と 直方向の厚さをそれぞれ測定し、これらの さの平均をとった。

実施例1
 総繊度が400dtex、108フィラメントのポリアミ ド66繊維を平織りにてウオータージェットル ムにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃ 乾燥仕上げをし、経密度58本/2.54cm、緯密度5 6本/2.54cmの織物を得た。ポリアミド6とポリエ チレングリコール-プロピルアミン付加物(数 均分子量600)とアジピン酸がモル比で2.5:1:1 なるように重合したポリマーを用いて、固 分濃度が6質量%の水系樹脂分散液を作製した 。次いで、該水系分散液に、カルボキシメチ ルセルロースナトリウム(ダイセル化学製、11 05)を該水系樹脂に対して10質量%追加し、粘度 を25dPa・sに調整した。この樹脂組成物の水系 分散液を上記織物にナイフコートにて塗布し 、乾燥後の樹脂量を4g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例2
 総繊度が350dtex、108フィラメントのポリアミ ド66繊維を平織りにてウオータージェットル ムにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃ 乾燥仕上げをし、経密度64本/2.54cm、緯密度6 1本/2.54cmの織物を得た。ポリアミド6とポリプ ロピレングリコール-プロピルアミン付加物( 平均分子量1000)とアジピン酸がモル比で2.0:1 :1となるように重合したポリマーを用いて、 形分濃度が10質量%の水系樹脂分散液を作製 た。次いで、該水系分散液に、ヒドロキシ チルセルロース(ダイセル化学製SP200)を該水 系樹脂に対して8質量%追加し、粘度を20dPa・s 調整した。この樹脂組成物の水系分散液を 記織物にナイフコートにて塗布し、乾燥後 樹脂量を10g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例3
 総繊度が350dtex、108フィラメントのポリアミ ド66繊維を平織りにてウオータージェットル ムにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃ 乾燥仕上げをし、経密度64本/2.54cm、緯密度6 1本/2.54cmの織物を得た。ポリアミド6とアジピ ン酸、ポリエチレングリコール(数平均分子 600)がモル比で1.8:1:1となるように重合したポ リマーを用いて、固形分濃度が6質量%の水系 脂分散液を作製した。次いで、該水系分散 に、カルボキシルメチルセルロース(ナカラ イテスク製、07326-95)を該水系樹脂に対して2 量%追加し、粘度を105dPa・sに調整した。この 樹脂組成物の水系分散液を上記織物にナイフ コートにて塗布し、乾燥後の樹脂量を8g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例4
 総繊度が350dtex、108フィラメントのポリアミ ド66繊維を平織りにてウオータージェットル ムにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃ 乾燥仕上げをし、経密度64本/2.54cm、緯密度6 1本/2.54cmの織物を得た。ポリアミド6とポリテ トラメチレングリコール-プロピルアミン付 物(数平均分子量1000)とアジピン酸がモル比 2.0:1:1となるように重合したポリマーを用い 、固形分濃度が10質量%の水系樹脂分散液を 製した。次いで、該水系分散液に、カルボ シルメチルセルロース(ナカライテスク製、 07326-95)を該水系樹脂に対して1質量%追加し、 度を15dPa・sに調整した。この樹脂組成物の 系分散液を上記織物にナイフコートにて塗 し、乾燥後の樹脂量を2g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例5
 攪拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口 縮合水排出口及び圧力調整装置を備えた容 約5Lの反応容器に、ポリエーテルジアミン(H UNTSMAN社製のジェファーミンED900、全アミン:2. 16meq/g 数平均分子量900)1005.45g、アジピン酸(AA )158.68g、ε-カプロラクタム(ε-CL)375.00g、及び ン酸水溶液(63.2g/L)22.5mLを仕込み、容器内を 分窒素置換した後、0.5時間かけて230℃まで 温し、さらに230℃で4.0時間重合を行った。 の後、減圧下で1.5時間重合を行い、引き続 、230℃のまま圧力調整装置により1.0時間か て容器内を減圧し、さらに230℃で0.5時間重 を行い、ポリマーを得た。

 得られたポリマーを用いて、固形分濃度が2 0質量%の水系樹脂分散液を作製した。次いで 該水系分散液に、カルボキシメチルセルロ ス(ダイセル化学製、1105)を概水系樹脂に対 て5質量%追加し、粘度を25dPa・sに調整した この樹脂組成物の水系分散液を実施例1で用 た織物の片面に、ナイフコートにて塗布し 乾燥後の樹脂量を4g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

比較例1
 総繊度が400dtex、108フィラメントのポリアミ ド66繊維を平織りにてウオータージェットル ムにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃ 乾燥仕上げをし、経密度58本/2.54cm、緯密度5 6本/2.54cmの織物を得た。ポリアミド6とポリエ チレングリコール-プロピルアミン付加物(数 均分子量600)とアジピン酸がモル比で2.5:1:1 なるように重合したポリマーを用いて、固 分濃度が6質量%の水系樹脂分散液を作製した 。次いで、該水系分散液に、カルボキシメチ ルセルロースナトリウム(ダイセル化学製、11 05)を該水系樹脂に対して2質量%追加し、粘度 4dPa・sに調整した。この樹脂組成物の水系 散液を上記織物にナイフコートにて塗布し 燥後の樹脂量を6g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

比較例2
 総繊度が350dtex、108フィラメントのポリアミ ド66フィラメントを平織りにてウオータージ ットルームにて製織後、沸水にて収縮加工 、110℃で乾燥仕上げをし、経密度63本/2.54cm 緯密度61本/2.54cmの織物を得た。この織物に 溶剤シリコーン樹脂(粘度:300dPa・s)をナイフ コートにて塗布し、乾燥後の樹脂量を25g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

比較例3
 総繊度が470dtex、72フィラメントのポリアミ 66繊維を平織りにてウオータージェットル ムにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃ 乾燥仕上げをし、経密度46本/2.54cm、緯密度46 本/2.54cmの織物を得た。ポリアミド6とポリエ レングリコール-プロピルアミン付加物(数 均分子量600)とアジピン酸がモル比で2.5:1:1と なるように重合したポリマーを用いて、固形 分濃度が6質量%の水系樹脂分散液を作製した 次いで、該水系分散液に、カルボキシメチ セルロースナトリウム(ダイセル化学製1105) 該水系樹脂に対して10質量%追加し、粘度を2 5dPa・sに調整した。この樹脂組成物の水系分 液を上記織物にナイフコートにて塗布し、 燥後の樹脂量を4g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

 実施例1~5では、本発明の樹脂被膜存在状 にすることにより、少量の付着量で低通気 を達成できた。特に、織物に付着させる樹 の種類のみが異なる、実施例1と実施例5を 較した場合、実施例5においては、少量の樹 の付着量でも、通気度が大幅に低くなって ることが分かる。一方、比較例1及び比較例 3では樹脂被膜存在状態が悪く低通気度を達 できていない。また、比較例2においては、 通気性は達成できているものの樹脂量が極 て多く、収納性や経済性の点で劣っていた

 実施例1~5、比較例1~3の結果から明らかな うに、本発明は従来のものに比べて低コス で収納性に優れ、人体の初期拘束性能を満 する通気度を持つエアバッグ用織物を提供 ることができる。

 本発明のエアバッグ用織物は、低コスト 収納性に優れ、人体の初期拘束性能を満足 る通気度を持つため自動車安全装置の一つ あるエアバッグ用途に利用することができ 産業界に寄与することが大である。