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Title:
RAILWAY VEHICLE DRIVE UNIT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104594
Kind Code:
A1
Abstract:
A railway vehicle drive unit (12) rotationally drives the wheel (11) of a railway vehicle. In more concrete, the railway vehicle drive unit (12) comprises a speed reducer housing (13) held on the inner diameter surface of the wheel (11) and rotated integrally with the wheel (11), an input side rotating member (14) connected to a drive source, a speed reduction mechanism (15) for reducing the rotational speed of the input side rotating member (14) and transmitting the reduced speed to the speed reducer housing (13), a fixed member (23) disposed in the speed reducer housing (13) and fixedly connected to the vehicle body, axle bearings (24, 25) for rotatably supporting the speed reducer housing (13) in relative to the fixed member (23), and lubricating oil circulation mechanisms (32, 33) for circulating a lubricating oil between the speed reduction mechanism and the axle bearings (24, 25).

Inventors:
MIKI DAISUKE (JP)
KATAOKA YUKIHIRO (JP)
ADACHI TAKAYA (JP)
YAMADA MASAHIRO (JP)
GOTO DAISUKE (JP)
TAMADA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052679
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
MIKI DAISUKE (JP)
KATAOKA YUKIHIRO (JP)
ADACHI TAKAYA (JP)
YAMADA MASAHIRO (JP)
GOTO DAISUKE (JP)
TAMADA KENJI (JP)
International Classes:
F16H1/32; B61C9/46
Foreign References:
JP2007230508A2007-09-13
JP2002115747A2002-04-19
JP2006161753A2006-06-22
JP2006226499A2006-08-31
JP2006336702A2006-12-14
JPS6023344U1985-02-18
JP2007230508A2007-09-13
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Hidehiko et al. (Oriental Sakaisuji Bldg. 21-19, Shimanouchi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 82, JP)
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Claims:
 鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットであって、
前記駆動ユニットは、
 車輪の内径面に保持されて、車輪と一体回転する減速機ハウジングと、
 駆動源に接続されている入力側回転部材と、
 前記入力側回転部材の回転を減速して前記減速機ハウジングに伝達する減速機構と、
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
 前記減速機ハウジングを前記固定部材に対して回転自在に支持する車軸軸受と、
 前記減速機構と前記車軸軸受との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環機構とを備える、鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油循環機構は、前記入力側回転部材の回転に伴って生じる遠心力を利用して潤滑油を循環させる、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油循環機構は、前記固定部材の内部を径方向に貫通し、潤滑油を径方向外側から径方向内側に向かって還流する潤滑油路を含む、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記車軸軸受は、前記固定部材の外径面に固定される内輪と、前記減速機ハウジングの内径面に固定される外輪と、前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の円錐ころとを含む円錐ころ軸受であって、
 前記減速機ハウジングと前記固定部材との間には、前記円錐ころの大径側端部に対面する位置に前記減速機ハウジングの内部を密封する密封部材が配置されており、
 前記潤滑油路の径方向外側の開口部は、前記円錐ころ軸受および前記密封部材の間に設けられている、請求項3に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記密封部材は、前記固定部材の外径面に摺接するリップ部を有し、前記減速機ハウジングの内径面に固定されて、前記減速機ハウジングと一体回転する、請求項4に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記入力側回転部材は、偏心部を有し、
前記減速機構は、
 前記偏心部に相対回転自在に保持されて、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、
 前記公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部材と、
 前記減速機ハウジングに固定され、前記公転部材の外周に係合して前記減速機ハウジングを前記入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材とを含み、
 前記潤滑油路の径方向内側の開口部は、前記偏心部に対面する位置に設けられている、請求項3に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機構は内部に潤滑油が封入された空間内に保持され、
 前記潤滑油循環機構は、前記潤滑油が封入された空間と相互に潤滑油の移動が可能な状態で前記空間と連通する潤滑油保持室とを備える、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油保持室は、前記減速機ハウジングの内部に配置されており、
 前記空間と前記潤滑油保持室とは、互いの内部圧力を同一にするための通気孔と、互いの油面高さを同一にするための潤滑油通路とで接続されている、請求項7に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記空間に封入されている潤滑油の状態を検出する検出手段と、
 前記検出手段の検出結果に応じて、前記空間と前記潤滑油保持室との間で潤滑油を移動させる潤滑油移動手段とを備える、請求項7に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油移動手段は、前記検出手段の検出結果が閾値を上回ったことを条件として前記潤滑油保持室の内部を加圧し、前記検出手段の検出結果が閾値を下回ったことを条件として前記潤滑油保持室の内部を減圧する圧力調整装置である、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油保持室は、その内部を前記空間から隔離された第1の領域と、前記空間に連通する第2の領域とに区画するピストンを有し、
 前記圧力調整装置は、前記ピストンを移動させることによって、前記潤滑油保持室の内部を加減圧する、請求項10に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記検出手段は、前記空間に封入されている潤滑油の温度を検出する温度センサである、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記検出手段は、前記入力側回転部材の回転速度を検出する回転センサである、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油保持室は、前記減速機ハウジングの外部に設けられている、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油保持室には、内部の潤滑油を濾過する濾過装置が設けられている、請求項7に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機構は内部に潤滑油が封入された空間内に保持され、
 前記潤滑油循環機構は、前記減速機ハウジングおよび前記入力側回転部材のうちの少なくともいずれか一方の回転を利用して、前記空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ潤滑油移送機構とを備える、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油移送機構は、前記入力側回転部材の回転を利用して、前記空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、
 その内部に前記潤滑油移送機構と、
 前記潤滑油移送機構から前記空間の底部領域に向かって延び、前記潤滑油移送機構に潤滑油を供給する潤滑油供給路と、
 前記潤滑油移送機構から前記空間の上部領域に向かって延び、前記潤滑油移送機構からの潤滑油を排出する潤滑油排出路とを含む、請求項17に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油移送機構は、
 前記入力側回転部材が正回転したことによって潤滑油を汲み上げる第1のポンプと、
 前記入力側回転部材が逆回転したことによって潤滑油を汲み上げる第2のポンプとを含む、請求項17に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記第1のポンプは、外径面に歯形を有し、前記入力側回転部材と一体回転する第1駆動歯車と、内径面に前記第1駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記固定部材に回転自在に支持されて前記第1駆動歯車の回転中心から水平方向一方側にずれた点を中心として回転する第1従動歯車とを備え、
 前記第2のポンプは、外径面に歯形を有し、前記第1のポンプと異なる位置で前記入力側回転部材と一体回転する第2駆動歯車と、内径面に前記第2駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記固定部材に回転自在に支持されて前記第2駆動歯車の回転中心から水平方向他方側にずれた点を中心として回転する第2従動歯車とを備える、請求項19に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記第1のポンプは、外径面に歯形を有し、前記入力側回転部材と一体回転する駆動歯車と、外径面に前記駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記駆動歯車の水平方向一方側に回転自在に配置される第1従動歯車とで構成され、
 前記第2のポンプは、前記駆動歯車と、外径面に前記駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記駆動歯車の水平方向他方側に回転自在に配置される第2従動歯車とで構成される、請求項19に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記入力側回転部材は、偏心部を有し、
前記減速機構は、
 前記偏心部に相対回転自在に保持されて、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、
 前記公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する複数の自転規制部材と、
 前記減速機ハウジングに固定され、前記公転部材の外周に係合して前記減速機ハウジングを前記入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材と、
 偏心運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相で前記入力側回転部材に嵌合固定されたカウンタウェイトとを備え、
 前記潤滑油移送機構は、前記カウンタウェイトに設けられている、請求項17に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記カウンタウェイトは、大径扇状部と、前記大径扇状部より半径が小さく、互いの弦を接するように前記大径扇状部に接続される小径扇状部とを含み、
 前記潤滑油移送機構は、前記大径扇状部の弦に開口部を有し、前記大径扇状部の内部を周方向に延びる周方向油路と、前記周方向油路から前記大径扇状部の外径面に向かって延びる径方向油路とを含む、請求項22に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記カウンタウェイトは、大径扇状部と、前記大径扇状部より半径が小さく、互いの弦を接するように前記大径扇状部に接続される小径扇状部とを含み、
 前記潤滑油移送機構は、前記大径扇状部の端面から厚み方向に突出するフィンである、請求項22に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機構は、互いに前記大径扇状部の位相が異なるように配置された複数の前記カウンタウェイトを有する、請求項23に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油移送機構は、前記減速機ハウジングの回転を利用して、前記空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油移送機構は、前記減速機ハウジング、および前記減速機ハウジングの回転に伴って回転する部材の表面に形成される凹凸部である、請求項26に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記凹凸部は、前記減速機ハウジングの内径面から突出し、前記減速機ハウジングの回転方向と交差する方向に延びる突条である、請求項27に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記突条は、前記減速機ハウジングの内径面の複数箇所に等間隔に設けられている、請求項28に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングの円周方向を向く前記突条の壁面は、前記減速機ハウジングの内径面の接線に対して鋭角に接している、請求項28に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングの回転軸線に垂直な前記突条の断面形状は、互いに平行な短辺と長辺とを有する等脚台形であって、前記短辺が前記減速機ハウジングの内径面に接するように配置されている、請求項30に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記突条は、前記減速機ハウジングの内径面に嵌め込まれた環状ベルトの内径面に形成されている、請求項28に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
 前記固定部材の外径面に固定される内輪、前記減速機ハウジングの内径面に固定される外輪、前記内輪と前記外輪との間に配置される複数の転動体、および隣接する前記転動体の間隔を保持する保持器を備え、前記減速機ハウジングを前記固定部材に対して回転自在に支持する車軸軸受とをさらに備え、
 前記凹凸部は、前記外輪、前記転動体、および前記保持器の少なくともいずれか1つに設けられている、請求項27に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
 前記減速機ハウジングの内径面に固定され、前記減速機ハウジングおよび前記固定部材の間を密封する円環形状の密封部材とをさらに備え、
 前記潤滑油移送機構は、前記密封部材から前記減速機ハウジングの回転方向と交差する方向に張り出す堰である、請求項26に記載の鉄道車両駆動ユニット。
Description:
鉄道車両駆動ユニット

 この発明は、鉄道車両駆動ユニット、特 左右の車輪を独立して駆動可能な鉄道車両 動ユニットに関するものである。

 従来の鉄道車両駆動ユニットは、例えば 特開2007-230508号公報に開示されている。同 報に開示されている鉄道車両駆動ユニット 、モータと、モータの回転を減速して車輪 伝達する減速機とを備える。

 この鉄道車両駆動ユニットには、鉄道車 の運行に必要なトルクを発生させる共に、 い客室スペースを得るために、小型で高減 比が得られるサイクロイド減速機が採用さ ている。具体的には、モータと一体回転す 入力軸と、入力軸に設けられた偏心部に回 自在に支持される曲線板と、曲線板の外周 係合して曲線板に自転運動を生じさせる外 ンと、曲線板の自転運動を回転運動に変換 て車輪に伝達する内ピンとで構成される。

 上記構成の減速機は、各構成部品が相互 接触しながら回転するので、接触部分を潤 する潤滑油が必要になる。しかし、減速機 部の潤滑油は、回転に伴う遠心力によって 方向外側に偏るので、入力軸周辺(径方向内 側)で潤滑油が不足しがちになる。一方、入 軸周辺の潤滑油量を確保するために、減速 内部に封入する潤滑油量を増加すれば、攪 抵抗によって発熱が増大すると共に、減速 のトルク損失が増大する。

 また、減速機の内部に封入されている潤 油は、入力軸等の回転に伴う遠心力の影響 受けてケーシングの内径面に沿って広がる で、減速機の運転時における油面高さは、 止時と比較して低くなる。つまり、減速機 運転時には、入力軸周辺の潤滑油量が不足 るという問題を生じる。

 この発明の目的は、潤滑油の油面高さを 定に保つことによって、潤滑性能に優れた 道車両駆動ユニットを提供することである

 この発明の他の目的は、発熱およびトル 損失を低減すると共に、潤滑性能を向上さ た鉄道車両駆動ユニットを提供することで る。

 この発明に係る鉄道車両駆動ユニットは 鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニッ である。具体的には、車輪の内径面に保持 れて、車輪と一体回転する減速機ハウジン と、駆動源に接続されている入力側回転部 と、入力側回転部材の回転を減速して減速 ハウジングに伝達する減速機構と、減速機 ウジングの内部に配置され、車両本体に連 固定される固定部材と、減速機ハウジング 固定部材に対して回転自在に支持する車軸 受と、減速機構と車軸軸受との間で潤滑油 循環させる潤滑油循環機構とを備える。

 上記構成のように、減速機ハウジングの 部で潤滑油を循環させることにより、潤滑 の封入量を削減することができる。その結 、減速機構の発熱およびトルク損失を低減 ることができる。

 好ましくは、潤滑油循環機構は、入力側 転部材の回転に伴って生じる遠心力を利用 て潤滑油を循環させる。これにより、外部 循環装置を設ける場合と比較して装置をコ パクト化することができる。

 一実施形態として、潤滑油循環機構は、 定部材の内部を径方向に貫通し、潤滑油を 方向外側から径方向内側に向かって還流す 潤滑油路を含む。

 好ましくは、車軸軸受は、固定部材の外 面に固定される内輪と、減速機ハウジング 内径面に固定される外輪と、内輪および外 の間に配置される複数の円錐ころとを含む 錐ころ軸受である。また、減速機ハウジン と固定部材との間には、円錐ころの大径側 部に対面する位置に減速機ハウジングの内 を密封する密封部材が配置されている。そ て、潤滑油路の径方向外側の開口部は、円 ころ軸受および密封部材の間に設けられて る。円錐ころ軸受の内部の潤滑油は、遠心 によって大径側端部から排出される。そこ 、潤滑油路の径方向外側の開口部は、車軸 受の大径側端部に隣接する位置に設けるの 望ましい。

 一実施形態として、密封部材は、固定部 の外径面に摺接するリップ部を有し、減速 ハウジングの内径面に固定されて、減速機 ウジングと一体回転する。

 好ましくは、入力側回転部材は偏心部を する。減速機構は、偏心部に相対回転自在 保持されて、入力側回転部材の回転軸心を 心とする公転運動を行う公転部材と、公転 材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻 する自転規制部材と、減速機ハウジングに 定され、公転部材の外周に係合して減速機 ウジングを入力側回転部材に対して減速回 させる外周係合部材とを含む。そして、潤 油路の径方向内側の開口部は、偏心部に対 する位置に設けられている。入力側回転部 は高速回転するので、偏心部の周辺には多 の潤滑油が必要となる。そこで、潤滑油路 径方向内側の開口部は、偏心部に対面する 置に設けるのが望ましい。

 好ましくは、減速機構は内部に潤滑油が 入された空間内に保持され、潤滑油循環機 は潤滑油が封入された空間と相互に潤滑油 移動が可能な状態で空間と連通する潤滑油 持室とを備える。

 上記構成とすれば、内部に潤滑油が封入 れた空間の油面高さの変化に伴って、空間 潤滑油保持室との間で潤滑油が移動する。 の結果、減速機構の停止時と運転時におけ 油面高さの変化を小さくすることができる

 好ましくは、潤滑油保持室は、減速機ハ ジングの内部に配置されている。そして、 間と潤滑油保持室とは、互いの内部圧力を 一にするための通気孔と、互いの油面高さ 同一にするための潤滑油通路とで接続され いる。これにより、単純な構成で油面高さ 調整することが可能となる。

 好ましくは、駆動ユニットは、内部に潤 油の封入された空間に封入されている潤滑 の状態を検出する検出手段と、検出手段の 出結果に応じて、内部に潤滑油の封入され 空間と潤滑油保持室との間で潤滑油を移動 せる潤滑油移動手段とを備える。

 好ましくは、潤滑油移動手段は、検出手 の検出結果が閾値を上回ったことを条件と て潤滑油保持室の内部を加圧し、検出手段 検出結果が閾値を下回ったことを条件とし 潤滑油保持室の内部を減圧する圧力調整装 である。これにより、鉄道車両駆動ユニッ の使用状況に合わせて適切な閾値を選択す ことができる。

 一実施形態として、潤滑油保持室は、そ 内部を内部に潤滑油の封入された空間から 離された第1の領域と、内部に潤滑油の封入 された空間に連通する第2の領域とに区画す ピストンを有する。そして圧力調整装置は ピストンを移動させることによって、潤滑 保持室の内部を加減圧する。

 好ましくは、検出手段は、内部に潤滑油 封入された空間に封入されている潤滑油の 度を検出する温度センサである。減速機構 運転時には潤滑油の温度が上昇する。した って、潤滑油の温度が一定値を超えたとき 、潤滑油保持室から内部に潤滑油の封入さ た空間に潤滑油を供給することにより、油 高さを調整することができると共に、温度 昇を抑制することが可能となる。

 好ましくは、検出手段は、入力側回転部 の回転速度を検出する回転センサである。 滑油に作用する遠心力は、入力側回転部材 回転速度に依存する。したがって、入力側 転部材の回転速度が一定値を超えたときに 潤滑油保持室から内部に潤滑油の封入され 空間に潤滑油を供給することにより、油面 さを調整することができる。

 好ましくは、潤滑油保持室は、減速機ハ ジングの外部に設けられている。これによ 、潤滑油保持室の大きさの自由度が広がる

 好ましくは、潤滑油保持室には、内部の 滑油を濾過する濾過装置が設けられている これにより、鉄道車両駆動ユニットの潤滑 能を長期間に亘って維持することができる

 なお、減速機構は内部に潤滑油が封入さ た空間内に保持され、潤滑油循環機構は、 速機ハウジングおよび入力側回転部材のう の少なくともいずれか一方の回転を利用し 、空間の底部領域から上部領域に潤滑油を ぶ潤滑油移送機構とを備えるのが好ましい

 上記構成とすることにより、減速機ハウ ング内の潤滑油が封入された空間の上部領 にも積極的に潤滑油を供給することができ ので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユニ トを得ることができる。

 一実施形態として、潤滑油移送機構は、 力側回転部材の回転を利用して、潤滑油が 入された空間の底部領域から上部領域に潤 油を運ぶ。

 好ましくは、駆動ユニットは、減速機ハ ジングの内部に配置され、車両本体に連結 定される固定部材をさらに備える。固定部 は、その内部に潤滑油移送機構と、潤滑油 送機構から潤滑油が封入された空間の底部 域に向かって延び、潤滑油移送機構に潤滑 を供給する潤滑油供給路と、潤滑油移送機 から潤滑油が封入された空間の上部領域に かって延び、潤滑油移送機構からの潤滑油 排出する潤滑油排出路とを含む。

 好ましくは、潤滑油移送機構は、入力側 転部材が正回転したことによって潤滑油を み上げる第1のポンプと、入力側回転部材が 逆回転したことによって潤滑油を汲み上げる 第2のポンプとを含む。これにより、鉄道車 が前進したときも後退したときも潤滑油を み上げることができる。

 具体的には、第1のポンプは、外径面に歯 形を有し、入力側回転部材と一体回転する第 1駆動歯車と、内径面に第1駆動歯車に噛合す 歯形を有し、固定部材に回転自在に支持さ て第1駆動歯車の回転中心から水平方向一方 側にずれた点を中心として回転する第1従動 車とを備える。第2のポンプは、外径面に歯 を有し、第1のポンプと異なる位置で入力側 回転部材と一体回転する第2駆動歯車と、内 面に第2駆動歯車に噛合する歯形を有し、固 部材に回転自在に支持されて第2駆動歯車の 回転中心から水平方向他方側にずれた点を中 心として回転する第2従動歯車とを備える。

 または、第1のポンプは、外径面に歯形を 有し、入力側回転部材と一体回転する駆動歯 車と、外径面に駆動歯車に噛合する歯形を有 し、駆動歯車の水平方向一方側に回転自在に 配置される第1従動歯車とで構成される。第2 ポンプは、駆動歯車と、外径面に駆動歯車 噛合する歯形を有し、駆動歯車の水平方向 方側に回転自在に配置される第2従動歯車と で構成される。

 他の実施形態として、入力側回転部材は 心部を有する。減速機構は、偏心部に相対 転自在に保持されて、入力側回転部材の回 軸心を中心とする公転運動を行う公転部材 、公転部材の公転運動を許容しつつ、自転 動を阻止する複数の自転規制部材と、減速 ハウジングに固定され、公転部材の外周に 合して減速機ハウジングを入力側回転部材 対して減速回転させる外周係合部材と、偏 運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相 入力側回転部材に嵌合固定されたカウンタ ェイトとを備える。そして、潤滑油移送機 は、カウンタウェイトに設けられている。

 具体的には、カウンタウェイトは、大径 状部と、大径扇状部より半径が小さく、互 の弦を接するように大径扇状部に接続され 小径扇状部とを含む。そして、潤滑油移送 構は、大径扇状部の弦に開口部を有し、大 扇状部の内部を周方向に延びる周方向油路 、周方向油路から大径扇状部の外径面に向 って延びる径方向油路とを含む。

 または、カウンタウェイトは、大径扇状 と、大径扇状部より半径が小さく、互いの を接するように大径扇状部に接続される小 扇状部とを含む。そして、潤滑油移送機構 、大径扇状部の端面から厚み方向に突出す フィンである。

 上記構成によっても、カウンタウェイト 大径扇状部が、減速機ハウジング内の潤滑 が封入された空間の底部領域を通過する際 潤滑油を保持し、上部領域で放出すること よって、上部領域に積極的に潤滑油を供給 ることができる。

 さらに好ましくは、減速機構は、互いに 径扇状部の位相が異なるように配置された 数のカウンタウェイトを有する。これによ 、潤滑油を安定して移送することができる

 他の実施形態として、潤滑油移送機構は 減速機ハウジングの回転を利用して、潤滑 が封入された空間の底部領域から上部領域 潤滑油を運ぶ。

 好ましくは、潤滑油移送機構は、減速機 ウジング、および減速機ハウジングの回転 伴って回転する部材の表面に形成される凹 部である。一実施形態として、凹凸部は、 速機ハウジングの内径面から突出し、減速 ハウジングの回転方向と交差する方向に延 る突条である。

 好ましくは、突条は、減速機ハウジング 内径面の複数箇所に等間隔に設けられてい 。これにより、潤滑油を安定して移送する とができる。

 好ましくは、減速機ハウジングの円周方 を向く突条の壁面は、減速機ハウジングの 径面の接線に対して鋭角に接している。一 施形態として、減速機ハウジングの回転軸 に垂直な突条の断面形状は、互いに平行な 辺と長辺とを有する等脚台形であって、短 が減速機ハウジングの内径面に接するよう 配置されている。これにより、潤滑油を保 する能力がさらに向上する。

 さらに好ましくは、突条は、減速機ハウ ングの内径面に嵌め込まれた環状ベルトの 径面に形成されている。これにより、突条 減速機ハウジングの内径面に直接形成する と比較して、製造が簡単になる。

 他の実施形態として、駆動ユニットは、 速機ハウジングの内部に配置され、車両本 に連結固定される固定部材と、固定部材の 径面に固定される内輪、減速機ハウジング 内径面に固定される外輪、内輪と外輪との に配置される複数の転動体、および隣接す 転動体の間隔を保持する保持器を備え、減 機ハウジングを固定部材に対して回転自在 支持する車軸軸受とをさらに備える。そし 、凹凸部は、外輪、転動体、および保持器 少なくともいずれか1つに設けられている。

 さらに他の実施形態として、駆動ユニッ は、減速機ハウジングの内部に配置され、 両本体に連結固定される固定部材と、減速 ハウジングの内径面に固定され、減速機ハ ジングおよび固定部材の間を密封する円環 状の密封部材とをさらに備える。そして、 滑油移送機構は、密封部材から減速機ハウ ングの回転方向と交差する方向に張り出す である。

この発明の一実施形態に係る鉄道車両 車輪駆動装置を示す図である。 図1のII-IIにおける断面図である。 図1の偏心部周辺の拡大図である。 この発明の第2実施形態に係る鉄道車両 用車輪駆動装置を示す図である。 この発明の第2実施形態に係る鉄道車両 用車輪駆動装置の変形例を示す図である。 この発明の第3実施形態に係る鉄道車両 用車輪駆動装置を示す図である。 図6のVII-VIIにおける断面図である。 図6の偏心部周辺の拡大図である。 両持ち内ピン周辺の拡大図である。 片持ち内ピン周辺の拡大図である。 潤滑油移送機構の一例である。 潤滑油移送機構の他の例である。 潤滑油移送機構のさらに他の例である 。 潤滑油移送機構を備えたカウンタウェ イトを示す図である。 この発明の他の実施形態に係る鉄道車 両用車輪駆動装置を示す図である。 図15のXVI-XVIにおける断面図である。 第1の車軸軸受を示す図である。 密封部材の正面図である。

発明を実施するための形態

 (1)第1実施の形態
 図1~図3を参照して、この発明の一実施形態 係る鉄道車両駆動ユニット12および鉄道車 駆動ユニット12を含む鉄道車両用車輪駆動装 置10を説明する。なお、図1は鉄道車両用車輪 駆動装置10の概略断面図、図2は図1のII-IIにお ける断面図、図3は偏心部16a,16b周辺の拡大図 ある。

 まず、図1を参照して、鉄道車両用車輪駆 動装置10は、鉄道車両用車輪11(以下「車輪11 という)と、車輪11の内径面に保持されて、 動源(図示省略)の回転を減速して車輪11に伝 する駆動ユニット12(以下「鉄道車両駆動ユ ット12」という)とで構成されており、鉄道 両本体(図示省略)の下部に配置されている

 鉄道車両駆動ユニット12は、減速機ハウ ング13と、入力側回転部材14と、減速機構15 、固定部材としてのキャリア23と、第1およ 第2の車軸軸受24,25とを主に備える。

 減速機ハウジング13は、車輪11の内径面に 保持されると共に、内部に減速機構15を保持 ている。なお、減速機構15とは、偏心部材16 、公転部材としての曲線板17,18、自転規制部 としての複数の内ピン19、外周係合部材と ての複数の外ピン20、およびこれらに付随す る部材によって構成されており、入力側回転 部材14の回転を減速して減速機ハウジング13 伝達する。

 また、減速機ハウジング13の内径面とキ リア23の外径面との間には第1および第2の車 軸受24,25が配置されている。そして、減速 ハウジング13は、キャリア23に対して回転自 となっており、車輪11と一体回転する出力 回転部材(車軸)としても機能する。

 第1の車軸軸受24は、キャリア23の外径面 固定される内輪24aと、減速機ハウジング13の 内径面に固定される外輪24bと、内輪24aおよび 外輪24bの間に配置される複数の円錐ころ24cと 、隣接する円錐ころ24cの間隔を保持する保持 器24dとを含む円錐ころ軸受である。第2の転 り軸受25も同様の構成であるので、説明は省 略する。第1および第2の車軸軸受24,25として 負荷容量の円錐ころ軸受を採用することに り、車輪11に作用するラジアル荷重およびア キシアル荷重を適切に支持することができる 。

 また、第1の車軸軸受24は車輪11の嵌合位 (より具体的には「車輪11の嵌合幅中心」で って、図1中一点差線lで示す位置を指す)の 方向一方側(図1中の右側)で、第2の車軸軸受2 5は車輪11の嵌合位置の軸方向他方側(図2中の 側)でそれぞれ減速機ハウジング13をキャリ 23に対して回転自在に支持している。この 施形態においては、第1および第2の車軸軸受 24,25それぞれの車輪11の嵌合幅中心からの距 (オフセット)は、等しく設定されている。

 さらに、第1および第2の車軸軸受24,25は、 互いの小径側端部を向かい合わせて配置され ている(背面組合せ)。これにより、車輪11に 用するモーメント荷重を適切に支持するこ ができる。

 また、減速機ハウジング13の軸方向両端 には、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を 封入するための密封部材26,27が設けられてい 。この密封部材26,27は、キャリア23の外径面 に摺接するリップ部を有し、減速機ハウジン グ13の内径面に固定されて、減速機ハウジン 13と一体回転する。

 入力側回転部材14は、駆動源(例えば、モ タ等)に接続されて、駆動源の回転に伴って 回転する。また、曲線板17,18の両側で転がり 受28a,28bによって両持ち支持されており、キ ャリア23に対して回転自在に保持されている なお、この実施形態においては、転がり軸 28a,28bとして円筒ころ軸受を採用している。 また、転がり軸受28aのさらに外側(図1中の右 )は、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を 入する密封部材29が配置されている。

 偏心部材16は、第1および第2の偏心部16a,16 bを有し、入力側回転部材14に嵌合固定されて いる。第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心運 動による遠心力を互いに打ち消しあう位相、 つまり180°位相を変えて配置されている。す わち、第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心 動によって生じる不均一な荷重を吸収する ランス調整機構としても機能する。

 曲線板17は、転がり軸受30によって第1の 心部16aに相対回転自在に保持されている。 して、入力側回転部材14の回転軸心を中心と する公転運動を行う。また、図2を参照して 曲線板17は、厚み方向に貫通する第1および 2の貫通孔17a,17bと、外周にエピトロコイド等 のトロコイド系曲線で構成される複数の波形 17cを有する。

 第1の貫通孔17aは、曲線板17の中央部に形 されており、第1の偏心部16aおよび転がり軸 受30を受け入れる。第2の貫通孔17bは、曲線板 17の自転軸心を中心とする円周上に等間隔に 数個設けられており、キャリア23に保持さ る内ピン19を受入れる。波形17cは、減速機ハ ウジング13に保持される外ピン20に係合して 曲線板17の回転を減速機ハウジング13に伝達 る。なお、曲線板18も同様の構成であって 転がり軸受31によって第2の偏心部16bに回転 在に保持されている。

 転がり軸受30は、偏心部16aの外径面に嵌 し、その外径面に内側軌道面を有する内輪 材30aと、曲線板17の貫通孔17aの内径面に直接 形成された外側軌道面と、内側軌道面および 外側軌道面の間に配置される複数の円筒ころ 30bと、隣接する円筒ころ30bの間隔を保持する 保持器30cとを備える円筒ころ軸受である。転 がり軸受31も同様の構成であるので、説明は 略する。

 なお、2枚の曲線板17,18の中心点をGとする と、中心点Gは車輪11の重心位置と一致させて いるが、車輪11から鉄道車両駆動ユニット12 負荷されるモーメント荷重を極小化させる めには、中心点Gと車輪重心位置とをオフセ トさせたほうがよい。これにより、構成部 (「曲線板17,18、内ピン19、および外ピン20等 」を指す)が傾いて、接触部分に過大な負荷 生じるのを防止することができる。その結 、鉄道車両駆動ユニット12の回転がスムーズ になると共に、耐久性が向上する。

 また、2つ曲線板17,18の間には、複数の内 ン19に外接する外接リング34が配置されてい る。これにより、曲線板17,18の軸方向の動き を規制している。なお、曲線板17,18と外接 ング34とは滑り接触するので、互いに接触す る壁面に研削加工を施す等するのが望ましい 。また、この外接リング34の機能は、複数の ピン19に内接する内接リング、または複数 外ピン20に内接する内接リングでも代替する ことができる。

 内ピン19は、入力側回転部材14の回転軸心 を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設 けられている。複数の内ピン19のうちの一部 、中央に大径部と、両端に大径部より相対 に直径の小さい小径部とを有する略円柱形 である。そして、小径部がキャリア23に保 されると共に、大径部が曲線板17,18の第2の 通孔17b,18bの内部に位置している。また、大 部の端面は、キャリア23の壁面に当接して ピン19を位置決めする基準面として機能する 。なお、他の内ピン19は、長手方向全域で直 が同一の単純円柱形状である。

 さらに、曲線板17,18の第2の貫通孔17b,18bの 内壁面に当接する位置(大径部)には、内ピン ラー19aが取り付けられている。これにより 曲線板17,18と内ピン19との摩擦抵抗を低減す ることができる。なお、この実施形態に係る 内ピンカラー19aは、滑り軸受である。

 なお、第2の貫通孔17b,18bの直径は、内ピ 19の直径(「内ピンカラー19aを含む最大外径 を指す)と比較して所定分だけ大きく設定さ ている。その結果、内ピン19は、曲線板17,18 が入力側回転部材14の回転に伴って回転しよ とする際に、曲線板の公転運動を許容しつ 、自転運動を阻止する自転規制部材として 能する。

 外ピン20は、入力側回転部材14の回転軸心 を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設 けられている。この外ピン20は、その中央部 減速機ハウジングに保持されると共に、両 部が車軸軸受24,25に当接して固定されてい 。そして、外ピン20は、曲線板17,18の波形17c, 18cに係合して、減速機ハウジング13を入力側 転部材14に対して減速回転させる。

 さらに、曲線板17,18の波形17c,18cに当接す 位置には、外ピンカラー20aが取り付けられ いる。これにより、曲線板17,18と外ピン20と の摩擦抵抗を低減することができる。なお、 この実施形態に係る外ピンカラー20aは、滑り 軸受である。

 カウンタウェイト21は、重心と異なる位 に入力側回転部材14を受け入れる貫通孔を有 し、偏心部16aの偏心運動による不釣合い慣性 偶力を打消す位相、つまり偏心部16aと180°位 を変えて入力側回転部材14に嵌合固定され いる。つまり、カウンタウェイト21は、偏心 部16aの偏心運動によって生じる不均一な荷重 を吸収するバランス調整機構として機能する 。なお、カウンタウェイト22も同様の構成で って、偏心部16bの偏心運動による不釣合い 性偶力を打ち消す位相で入力側回転部材14 嵌合固定されている。

 図3を参照して、2枚の曲線板17,18の中心点G 右側について、中心点Gと曲線板17の中心と 距離をL 1 、曲線板17、転がり軸受30、および偏心部16a 質量の和をm 1 、曲線板17の重心の回転軸心からの偏心量を 1 とし、中心点Gとカウンタウェイト21との距離 をL 2 、カウンタウェイト21の質量をm 2 、カウンタウェイト21の重心の回転軸心から 偏心量をε 2 とすると、L 1 ×m 1 ×ε 1 =L 2 ×m 2 ×ε 2 を満たす関係となっている。また、図3の中 点Gの左側の曲線板18とカウンタウェイト22と の間にも同様の関係が成立する。

 キャリア23は、鉄道車両本体に連結固定 れており、曲線板17,18に対面する壁面に内ピ ン19を保持すると共に、外径面に嵌合固定さ た第1および第2の車軸軸受24,25によって減速 機ハウジング13を、内径面に嵌合固定された がり軸受28a,28bによって入力側回転部材14を れぞれ回転自在に支持している。

 また、キャリア23には、減速機構15と車軸 軸受24,25との間で潤滑油を循環させる潤滑油 環機構を備える。この潤滑油循環機構は、 力側回転部材14の回転に伴って生じる遠心 を利用して潤滑油を循環させる。具体的に 、キャリア23の内部を径方向に貫通し、潤滑 油を径方向外側から径方向内側に向かって還 流する複数の潤滑油路32,33が形成されている

 潤滑油路32の径方向外側の開口部は、第1 車軸軸受24の大径側端部と密封部材26との間 に設けられている。同様に、潤滑油路33の径 向外側の開口部は、第2の車軸軸受25の大径 端部と密封部材27との間に設けられている 円錐ころ軸受24,25の内部の潤滑油は、遠心力 によって大径側端部から排出される。そこで 、潤滑油路32,33の径方向外側の開口部は、第1 および第2の車軸軸受24,25の大径側端部に隣接 する位置に設けるのが望ましい。

 一方、潤滑油路32の径方向内側の開口部 、偏心部16aに対面する位置に設けられてい 。同様に、潤滑油路32の径方向内側の開口部 は、偏心部16bに対面する位置に設けられてい る。入力側回転部材14は高速回転するので、 心部16a,16bの周辺、より具体的には転がり軸 受30,31には多くの潤滑油が必要となる。そこ 、潤滑油路32,33の径方向内側の開口部は、 心部16a,16bに対面する位置に設けるのが望ま い。

 上記構成の鉄道車両駆動ユニット12の作 原理を詳しく説明する。

 まず、駆動源の回転に伴って入力側回転 材14および偏心部材16が一体回転する。この とき、曲線板17,18も回転しようとするが、第2 の貫通孔17b,18bに挿通する内ピン19に自転運動 を阻止され、公転運動のみを行うことになる 。つまり、曲線板17,18は、入力側回転部材14 回転軸心を中心とする円周軌道上を平行移 する。

 曲線板17,18が公転運動すると、波形17c,18c 外ピン20とが係合し、減速機ハウジング13お よび車輪11が入力側回転部材14と同一方向に 体回転する。このとき、曲線板17,18から減速 機ハウジング13に伝達される回転は減速され 高トルクになっている。

 具体的には、外ピン20の数をZ A 、曲線板17,18の波形の数をZ B とすると、鉄道車両駆動ユニット12の減速比 Z B /(Z A -Z B )で算出され、さらに減速比をnとすると、図1 の実施形態における速度比は1/(n+1)で算出さ る。図2に示す実施形態では、Z A =24、Z B =22であるので、減速比は11となり、速度比は1 /12となる。したがって、低トルク、高回転型 の駆動源を採用した場合でも、車輪11に必要 トルクを伝達することが可能となる。

 このように、多段構成とすることなく大 な減速比を得ることができる減速機構15を 用することにより、コンパクトで高減速比 鉄道車両駆動ユニット12を得ることができる 。また、内ピン19および外ピン20の曲線板17,18 に当接する位置にカラー19a,20aを設けたこと より、接触部分の摩擦抵抗が低減される。 の結果、鉄道車両駆動ユニット12の伝達効率 が向上する。

 次に、上記構成の鉄道車両駆動ユニット1 2の潤滑油の流れを詳しく説明する。

 まず、減速機ハウジング13の内部には、 め潤滑油が封入されている。この潤滑油は 入力側回転部材14が回転に伴う遠心力によっ て径方向外側に運ばれる。このとき、転がり 軸受28a,28b,30,31、曲線板17,18と転がり軸受30,31 の間、曲線板17,18と内ピン19との間、内ピン 19と内ピンカラー19aとの間、曲線板17,18と外 リング34との間、曲線板17,18と外ピン20との 、および外ピン20と外ピンカラー20aとの間に それぞれ供給される。

 さらに、潤滑油は、第1および第2の車軸 受24,25の小径側端部から軸受内部を通って、 大径側端部側に排出される。そして、第1お び第2の車軸軸受24,25と密封部材26,27とで囲ま れた空間に到達した潤滑油は、潤滑油路32,33 通って入力側回転部材14の周辺に還流する

 このように、鉄道車両駆動ユニット12の 部で潤滑油を循環させることにより、潤滑 の封入量を削減することができる。その結 、鉄道車両駆動ユニット12の発熱およびトル ク損失を低減することができると共に、高速 回転部(「偏心部材16の周辺」を指す)の潤滑 確保することができる。また、入力側回転 材14の回転に伴う遠心力を利用して潤滑油を 循環させることにより、外部に循環装置を設 ける場合と比較して装置をコンパクト化する ことができる。

 なお、上記の実施形態においては、減速 Bの曲線板17,18を180°位相を変えて2枚設けた 、この曲線板の枚数は任意に設定すること でき、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、 120°位相を変えて設けるとよい。

 また、上記の実施形態において、偏心部1 6a,16bを有する偏心部材16を入力側回転部材14 嵌合固定した例を示したが、これに限るこ なく、入力側回転部材14の外径面に直接偏心 部16a,16bを形成してもよい。

 また、上記の実施形態における転がり軸 24,25,28a,28b,30,31は、図1の形態に限定される となく、例えば、すべり軸受、円筒ころ軸 、円錐ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心 ろ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、3 接触球軸受、4点接触玉軸受等、すべり軸受 であるか転がり軸受であるかを問わず、転動 体がころであるか玉であるかを問わず、さら には複列か単列かを問わず、あらゆる軸受を 適用することができる。

 また、上記の実施形態におけるカラー19a, 19bは、滑り軸受である例を示したが、これに 限ることなく、転がり軸受を採用してもよい 。この場合、厚み方向にコンパクト化する観 点から針状ころ軸受を採用するのが望ましい 。

 さらに、鉄道車両用車輪駆動装置10には 上記構成の減速機構15に限ることなく、任意 の構成の減速機構を採用することができる。

 (2)第2実施の形態
 次にこの発明の第2実施の形態について説明 する。図4は第2実施の形態にける鉄道車両用 輪駆動装置の構成を示す図である。図4を参 照して、この実施の形態においては、鉄道車 両駆動ユニット12は、減速機ハウジング13と 入力側回転部材14と、減速機構15と、固定部 としてのキャリア23と、第1および第2の車軸 軸受24,25とを含むという点は先の実施の形態 同じである。

 しかしながら、キャリア23の内部に潤滑 保持室35を備える点が先の実施の形態と異な る。したがって、先の実施の形態と異なる部 分について詳細に説明し、同一部分について は同一番号を付してその説明は省略する。

 減速機ハウジング13は、内部に潤滑油の 入された空間を有し、車輪11の内径面に保持 されている。内部に潤滑油の封入された空間 とは、減速機ハウジング13、キャリア23、お び密封部材26,27で囲まれた領域を指す。また 、内部に減速機構15を保持している。

 減速機構15は、偏心部材16、公転部材とし ての曲線板17,18、自転規制部材としての複数 内ピン19、外周係合部材としての複数の外 ン20、およびこれらに付随する部材によって 構成されており、入力側回転部材14の回転を 速して減速機ハウジング13に伝達する。

 また、減速機構15は、少なくとも一部が 滑油に浸かった状態で内部に潤滑油の封入 れた空間内に配置されている。具体的には 減速機構15の停止時における油面高さが、図 1の直線mの位置になるように潤滑油が封入さ ている。

 潤滑油保持室35は、キャリア23の内部に配 置されており、相互に潤滑油の移動が可能な 状態で潤滑油の封入された空間と連通してい る。具体的には、潤滑油の封入された空間と 潤滑油保持室35とは、互いの内部圧力を同一 するための通気孔35aと、互いの油面高さを 一にするための潤滑油通路35bとで接続され いる。これにより、減速機構15の停止時に いて、潤滑油保持室35の油面高さは、図4の 線mの位置となる。

 また、減速機構15の運転時において、空 に封入されている潤滑油は、減速機ハウジ グ13の内周面に沿って広がるので、油面高さ は図4の直線mの位置より低くなる。そうする 、潤滑油保持室35に保持されている潤滑油 、潤滑油通路35bを通じて潤滑油の封入され 空間に供給される。一方、減速機構15が停止 して潤滑油の封入された空間の油面高さが上 昇すると、潤滑油が潤滑油通路35bを通じて潤 滑油保持室35に排出される。その結果、減速 構15の停止時と運転時における油面高さの 化を小さくすることができる。

 なお、この実施形態においては、潤滑油 持室35をキャリア35の内部に配置した例を示 したが、これに限ることなく、減速機ハウジ ング13の外部に設けてもよい。減速機ハウジ グ13の内部に配置すれば、鉄道車両駆動ユ ット12をコンパクト化することができる。一 方、減速機ハウジング13の外部に配置すれば 潤滑油保持室35の大きくすることができる で、さらに油面高さの変化を小さくするこ ができる。

 また、この実施形態においては、潤滑油 封入された空間と潤滑油保持室35との間で 滑油を移動させるために、通気孔35aと潤滑 通路35bとを設けた例を示したが、これに限 ことなく、他の方法を採用することができ 。図5はこの実施の形態における変形例を示 図である。図5を参照して、この変形例にお ける鉄道車両用車輪駆動装置10および鉄道車 駆動ユニット12を説明する。なお、図4と共 の構成には同一の参照番号を付し、説明は 略する。

 図5を参照して、鉄道車両駆動ユニット12 、空間に封入されている潤滑油の状態を検 する検出手段36と、検出手段36の検出結果に 応じて、潤滑油の封入された空間と潤滑油保 持室35との間で潤滑油を移動させる潤滑油移 手段37とを備える。

 この実施形態における潤滑油保持室35は 減速機ハウジング13の外部に配置されており 、潤滑油通路35bを通じて潤滑油の封入された 空間と連通している。また、潤滑保持室35の 部には、ピストン35cが設けられている。こ ピストン35cは、潤滑油保持室35の内部を潤 油の封入された空間から隔離された第1の領 (ピストン35cの上側の領域)と、内部に潤滑 の封入された空間に連通する第2の領域(ピス トン35cの下側の領域)とに区画する。

 この実施形態における検出手段36は、空 に封入されている潤滑油の温度を検出する 度センサであって、潤滑油の封入された空 の底部領域(常に潤滑油に浸かっている位置) に配置されている。

 潤滑油移動手段37は、温度センサの検出 果が閾値を上回ったことを条件として潤滑 保持室の内部を加圧し、温度センサの検出 果が閾値を下回ったことを条件として潤滑 保持室の内部を減圧する圧力調整装置であ 。具体的には、ピストン35cを押し下げるこ によって潤滑油保持室35の内部を加圧し、ピ ストン35cを押し上げることによって潤滑油保 持室35の内部を減圧することができる。

 上記構成としても、減速機構15の停止時 運転時における油面高さの変化を小さくす ことができる。なお、図1に示す実施形態は 造を単純化できるメリットを有する。一方 図4に示す実施形態は鉄道車両駆動ユニット 12の使用状況に合わせて適切な閾値を選択す ことができる。

 また、検出手段36は温度センサに限らず 空間に封入されている潤滑油の状態を直接 、または間接的に検出することのできるあ ゆるセンサを採用することができる。例え 、検出手段36は、入力側回転部材14の回転速 を検出する回転センサであってもよい。こ 場合、潤滑油移動手段37は、回転センサの 出結果が閾値を上回ったことを条件として 滑油保持室の内部を加圧し、回転センサの 出結果が閾値を下回ったことを条件として 滑油保持室の内部を減圧すればよい。

 さらに、潤滑油保持室35の内部に濾過装 (図示省略)を設けてもよい。この濾過装置に よって濾過された潤滑油を潤滑油の封入され た空間に供給することにより、鉄道車両駆動 ユニット12の潤滑性能を長期間に亘って維持 ることができる。

 (3)第3実施の形態
 次にこの発明の第3実施の形態について説明 する。図6~図14は第3実施の形態における鉄道 両駆動ユニットを示す図である。これらの を参照して、第3実施形態として、この発明 の一実施形態に係る鉄道車両駆動ユニット112 および鉄道車両駆動ユニット112を含む鉄道車 両用車輪駆動装置110を説明する。なお、図6 鉄道車両用車輪駆動装置110の概略断面図、 7は図1のVII-VIIにおける断面図、図8は偏心部1 16a,116b周辺の拡大図、図9は内ピン119の拡大図 、図10は内ピン120の拡大図、図11~13は潤滑油 送機構としてのポンプを示す図、図14は潤滑 油移送機構を備えたカウンタウェイト122を示 す図である。

 まず、図6を参照して、鉄道車両用車輪駆 動装置110は、鉄道車両用車輪111(以下「車輪11 1」という)と、車輪111の内径面に保持されて 駆動源(図示省略)の回転を減速して車輪111 伝達する駆動ユニット112(以下「鉄道車両駆 ユニット112」という)とで構成されており、 先の実施の形態と同様に鉄道車両本体(図示 略)の下部に配置されている。

 鉄道車両駆動ユニット112は、減速機ハウ ング113と、入力側回転部材114と、減速機構1 15と、固定部材としての第1および第2のキャ ア124,125と、第1および第2の車軸軸受126,127と 入力側回転部材114の回転を利用して潤滑油 移送する潤滑油移送機構とを主に備える。

 減速機ハウジング113は、先の実施の形態 同様に内部に潤滑油の封入された空間を有 、車輪111の内径面に保持されている。潤滑 の封入された空間とは、減速機ハウジング1 13、第1および第2のキャリア124,125、および密 部材128,129で囲まれた領域を指す。また、内 部に減速機構115を保持している。

 減速機構115は、偏心部材116、公転部材と ての曲線板117,118、自転規制部材としての複 数の内ピン119,120、外周係合部材としての複 の外ピン121、およびこれらに付随する部材 よって構成されており、入力側回転部材114 回転を減速して減速機ハウジング113に伝達 る。

 また、減速機構115は、少なくとも一部が 滑油に浸かった状態で潤滑油の封入された 間内に配置されている。具体的には、減速 構115の停止時における油面高さが、図1の直 線mの位置になるように潤滑油が封入されて る。

 また、減速機ハウジング113の内径面と第1 および第2のキャリア124,125の外径面との間に 第1および第2の車軸軸受126,127が配置されて る。そして、減速機ハウジング113は、第1お よび第2のキャリア124,125に対して回転自在と っており、車輪111と一体回転する出力側回 部材(車軸)としても機能する。

 第1の車軸軸受126は、第1のキャリア124の 径面に固定される内輪126aと、減速機ハウジ グ113の内径面に固定される外輪126bと、内輪 126aおよび外輪126bの間に配置される複数の円 いころ126cと、隣接する円すいころ126cの間 を保持する保持器126dとを含む円すいころ軸 である。第2の転がり軸受127も同様の構成で あるので、説明は省略する。第1および第2の 軸軸受126,27として高負荷容量の円すいころ 受を採用することにより、車輪111に作用す ラジアル荷重およびアキシアル荷重を適切 支持することができる。

 また、第1の車軸軸受126は車輪111の嵌合位 置(より具体的には「車輪111の嵌合幅中心」 あって、図6中一点鎖線lで示す位置を指す) 軸方向一方側(図6中の右側)で、第2の車軸軸 127は車輪111の嵌合位置の軸方向他方側(図6 の左側)でそれぞれ減速機ハウジング113を第1 および第2のキャリア124,125に対して回転自在 支持している。この実施形態においては、 1および第2の車軸軸受126,127それぞれの車輪1 11の嵌合幅中心からの距離(オフセット)は、 しく設定されている。

 さらに、第1および第2の車軸軸受126,127は 互いの小径側端部を向かい合わせて配置さ ている(背面組合せ)。これにより、車輪111 作用するモーメント荷重を適切に支持する とができる。

 また、減速機ハウジング113の軸方向両端 には、減速機ハウジング113の内部に潤滑油 封入するための密封部材128,129が設けられて いる。この密封部材128,129は、第1および第2の キャリア124,125の外径面に摺接するリップ部 有し、減速機ハウジング113の内径面に固定 れて、減速機ハウジング113と一体回転する

 入力側回転部材114は、駆動源(例えば、モ ータ等)に接続されて、駆動源の回転に伴っ 回転する。また、曲線板117,118の両側で転が 軸受130a,130bによって両持ち支持されており 第1および第2のキャリア124,125に対して回転 在に保持されている。なお、この実施形態 おいては、転がり軸受130a,130bとして円筒こ 軸受を採用している。また、転がり軸受130a のさらに外側(図6中の右側)は、減速機ハウジ ング113の内部に潤滑油を封入する密封部材131 が配置されている。

 偏心部材116は、第1および第2の偏心部116a, 116bを有し、入力側回転部材114に嵌合固定さ ている。第1および第2の偏心部116a,116bは、偏 心運動による遠心力を互いに打ち消しあう位 相、つまり180°位相を変えて配置されている すなわち、第1および第2の偏心部116a,116bは 偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸 するバランス調整機構としても機能する。

 曲線板117は、転がり軸受132によって第1の 偏心部116aに相対回転自在に保持されている そして、入力側回転部材114の回転軸心を中 とする公転運動を行う。また、図7を参照し 、曲線板117は、厚み方向に貫通する第1およ び第2の貫通孔117a,117bと、外周にエピトロコ ド等のトロコイド系曲線で構成される複数 波形117cと、内部を径方向に延びる油路117dと 、油路117dの途中に潤滑油を一時的に保持す 潤滑油保持空間117eとを有する。

 第1の貫通孔117aは、曲線板117の中央部に 成されており、第1の偏心部116aおよび転がり 軸受132を受け入れる。第2の貫通孔117bは、曲 板117の自転軸心を中心とする円周上に等間 に複数個設けられており、第1および第2の ャリア124,125に保持される内ピン119,120を受入 れる。波形117cは、減速機ハウジング113に保 される外ピン121に係合して、曲線板117の回 を減速機ハウジング113に伝達する。なお、 線板118も同様の構成であって、転がり軸受13 3によって第2の偏心部116bに回転自在に保持さ れている。

 油路117dは、第1の貫通孔117aから曲線板117 外周面に向かって延びている。なお、油路1 17dの位置は特に限定されないが、図2に示す うに、第2の貫通孔117bを通過するように設け るのが望ましい。これにより、曲線板117と内 ピン119,120との接触部分に積極的に潤滑油を 給することができる。また、油路117dの径方 外側の端部は、波形117cの谷部分に形成する のが望ましい。曲線板117と外ピン121との係合 時に破損等するのを防止するためである。

 さらに、油路117dから分岐する潤滑油保持 空間117eを設けることにより、十分な量の潤 油が供給されている時には曲線板117内に潤 油を保持しておき、潤滑油の供給量が低下 た時には潤滑油保持空間117eに保持されてい 潤滑油を油路117dに放出することができる。 これにより、より安定して潤滑油を供給する ことができる。

 転がり軸受132は、偏心部116aの外径面に嵌 合し、その外径面に内側軌道面を有する内輪 部材132aと、曲線板117の貫通孔117aの内径面に 接形成された外側軌道面と、内側軌道面お び外側軌道面の間に配置される複数の円筒 ろ132bと、隣接する円筒ころ132bの間隔を保 する保持器132cとを備える円筒ころ軸受であ 。転がり軸受133も同様の構成であるので、 明は省略する。

 なお、2枚の曲線板117,118の中心点をGとす と、中心点Gは車輪111の中心位置と一致させ ているが、車輪111から鉄道車両駆動ユニット 112に負荷されるモーメント荷重を極小化させ るためには、中心点Gと車輪中心位置とをオ セットさせたほうがよい。これにより、構 部品(「曲線板117,118、内ピン119,120、および ピン121等」を指す)が傾いて、接触部分に過 な負荷が生じるのを防止することができる その結果、鉄道車両駆動ユニット112の回転 スムーズになると共に、耐久性が向上する

 また、2つの曲線板117,118の間には、複数 内ピン119,120に外接する外接リング136が配置 れている。これにより、曲線板117,118の軸方 向の動き量を規制している。なお、曲線板117 ,118と外接リング136とは滑り接触するので、 いに接触する壁面に研削加工を施す等する が望ましい。また、この外接リング136の機 は、複数の内ピン119,120に内接する内接リン 、または複数の外ピン121に内接する内接リ グでも代替することができる。

 内ピン119,120は、入力側回転部材114の回転 軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に複数 個設けられている。また、曲線板117,118の第2 貫通孔117b,118bの内壁面に当接する位置(両持 ち内ピン119では、大径部119aの位置)には、内 ン軸受119e,120eが取り付けられている。これ より、曲線板117,118と内ピン119,120との摩擦 抗を低減することができる。なお、この実 形態における内ピン軸受119e,120eは、滑り軸 である。

 図9を参照して、内ピン119は、軸方向中央 部に大径部119aと、軸方向両端部に大径部119a り直径が小さい第1および第2の小径部119b,119 cと、大径部119aと第1および第2の小径部119b,119 cの間に案内部119dとを含む。第1および第2の 径部119b,119cの外周面には、それぞれ雄ねじ 形成されている。案内部119dの外径は、両持 内ピン119を受け入れる孔124a,125aの内径と一 するように設定されており、第1および第2 キャリア124,125に対して内ピン119の径方向の 置決めをするために用いられる。

 この内ピン119は、第1および第2のキャリ 124,125に両持ち支持される両持ち内ピンであ 。より具体的には、第1の小径部119bは、第1 キャリア124に直接固定されており、第2の小 径部119cは、押圧固定手段(後述する)によって 第2のキャリア125を大径部119aの端面に押し付 て固定されている。

 図10を参照して、内ピン120は、長手方向 域で直径が同一の単純円柱形状であって、 方向一方側端部のみを第1のキャリア124に片 ち支持されている片持ち内ピンである。

 また、片持ち内ピン120には、その内部に 滑油保持空間120aと、潤滑油保持空間120aか 径方向に延びる貫通孔120bとが設けられてい 。同様に、内ピン軸受120eにも、径方向に貫 通する貫通孔120fが設けられている。なお、 通孔120b,120fの位置は特に限定されないが、 10に示すように、曲線板117,118の間の空間に 面する位置に設けるのが望ましい。

 潤滑油保持空間120aには潤滑油が保持され ており、主に、内ピン120と内ピン軸受120eと 間、および内ピン軸受120eと曲線板117,118との 接触部分に潤滑油を供給する。具体的には、 十分な量の潤滑油が供給されている時には潤 滑油保持空間120a内に潤滑油を保持しておき 潤滑油の供給量が低下したときには潤滑油 持空間120aに保持されている潤滑油を貫通孔1 20b,120fを通じて放出する。これにより、より 定して潤滑油を供給することができる。

 さらに、潤滑油保持空間120aに潤滑油を含 浸した多孔質部材(図示省略)を格納してもよ 。これにより、貫通孔120b,120fを通じて徐々 潤滑油が染み出すので、長期間に亘って安 して潤滑油を供給することができる。なお 多孔質部材としては、焼結金属や発泡グリ ス等が挙げられる。

 なお、上記の実施形態においては、片持 内ピン120にのみ潤滑油保持空間120aおよび貫 通孔120bを設け、内ピン軸受120eにのみ貫通孔1 20fを設けた例を示したが、両持ち内ピン119お よび内ピン軸受119eも同様の構成とすること できる。また、内ピン119,120だけに留まらず 外ピン121および外ピン軸受121aをも同様の構 成とすることができる。

 なお、第2の貫通孔117b,118bの直径は、内ピ ン119,120の直径(「内ピン軸受119e,120eを含む最 外径」を指す)と比較して所定分だけ大きく 設定されている。その結果、内ピン119は、曲 線板117,118が入力側回転部材114の回転に伴っ 回転しようとする際に、曲線板の公転運動 許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制 材として機能する。

 外ピン121は、入力側回転部材114の回転軸 を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個 けられている。この外ピン121は、その中央 が減速機ハウジングに保持されると共に、 端部が車軸軸受126,127に当接して固定されて いる。そして、外ピン121は、曲線板117,118の 形117c,118cに係合して、減速機ハウジング113 入力側回転部材114に対して減速回転させる

 さらに、曲線板117,118の波形117c,118cに当接 する位置には、外ピン軸受121aが取り付けら ている。これにより、曲線板117,118と外ピン1 21との摩擦抵抗を低減することができる。な 、この実施形態に係る外ピン軸受121aは、滑 り軸受である。

 カウンタウェイト122は、重心と異なる位 に入力側回転部材114を受け入れる貫通孔を し、偏心部116aの偏心運動による不釣合い慣 性偶力を打消す位相、つまり偏心部116aと1180 位相を変えて入力側回転部材114に嵌合固定 れている。つまり、カウンタウェイト122は 偏心部116aの偏心運動によって生じる不均一 荷重を吸収するバランス調整機構として機 する。なお、カウンタウェイト123も同様の 成であって、偏心部116bの偏心運動による不 釣合い慣性偶力を打ち消す位相で入力側回転 部材114に嵌合固定されている。

 図8を参照して、2枚の曲線板117,118の中心点G の右側について、中心点Gと曲線板117の中心 の距離をL 11 、曲線板117、転がり軸受132、および偏心部116 aの質量の和をm 11 、曲線板117の重心の回転軸心からの偏心量を ε 11 とし、中心点Gとカウンタウェイト122との距 をL 12 、カウンタウェイト122の質量をm 12 、カウンタウェイト122の重心の回転軸心から の偏心量をε 12 とすると、L 11 ×m 11 ×ε 11 =L 12 ×m 12 ×ε 12 を満たす関係となっている。また、図3の中 点Gの左側の曲線板118とカウンタウェイト123 の間にも同様の関係が成立する。

 第1および第2のキャリア124,125は、鉄道車 本体に連結固定されており、曲線板117,118に 対面する壁面に内ピン119,120を保持すると共 、外径面に嵌合固定された第1および第2の車 軸軸受126,127によって減速機ハウジング113を 内径面に嵌合固定された転がり軸受130a,130b よって入力側回転部材114をそれぞれ回転自 に支持している。

 第1のキャリア124は、両持ち内ピン119の第 1の小径部119bを受け入れる孔124aと、片持ち内 ピン120の軸方向一方側端部を受け入れる孔124 bとを有する。なお、孔124aは、内壁面に雌ね が形成されているねじ穴である。一方、孔1 24bは、単純孔(ねじが形成されていない孔)で る。

 第2のキャリア125は、両持ち内ピン119の第 2の小径部119cを受け入れる貫通孔125aと、片持 ち内ピン120の軸方向他方側端部を受け入れる 孔125bとを有する。なお、貫通孔125aの直径は 2の小径部119cより、孔125bの直径は片持ち内 ン120のよりそれぞれ大きく設定されている

 ここで、内ピン119,120を第1および第2のキ リア124,125に取り付ける方法を説明する。ま ず、内ピン119,120を第1のキャリア124に固定す 。具体的には、両持ち内ピン119の第1の小径 部119bを孔124aに螺合固定すると共に、片持ち ピン120の軸方向一方側端部を孔124bに圧入固 定する。

 なお、内ピン119,120と第1のキャリア124と 固定方法は、上記の例に限ることなく、例 ば、両持ち内ピン119の一方側端部を孔124aに 入し、片持ち内ピン120の一方側端部と孔124b とにねじを形成して両者を螺合してもよい。

 次に、内ピン119,120それぞれに内ピン軸受 119e,120eを嵌め入れる。

 そして、両持ち内ピン119の第2の小径部119 cが貫通孔125aに、片持ち内ピン120の軸方向他 側端部が孔125bにそれぞれ嵌まり込むように 第2のキャリア125を嵌め入れる。このとき、 ピン119,120と貫通孔125a,125bとの間には隙間が けられているので、ある程度の製造誤差や 付け誤差を許容することができる。

 最後に、両持ち内ピン119を押圧固定手段 よって固定する。この実施形態における押 固定手段は、第2の小径部119cに設けられた ねじと、これに螺合するナット137とで構成 れる。つまり、第2の小径部119cにナット137を 螺合すると、第2のキャリア125が大径部119aに し付けられるので、両持ち内ピン119が第1お よび第2のキャリア124、125に対して強固に固 される。

 このとき、案内部119dによって、両持ち内 ピン119が径方向に位置決めされる。なお、図 9に示す案内部119dは円柱形状であるが、これ 限らず、任意の形状を採用することができ 。例えば、案内部を両持ち内ピン119の端部 向かって直径が徐々に小さくなる円錐形状 し、孔124a,125aの両持ち内ピン119と対面する の開口部も案内部の形状に対応する円錐面 すれば、さらに簡単に位置決めを行うこと できる。

 上記のようにすることで、鉄道車両駆動 ニット112の組立性が向上する。なお、組立 向上および部品点数の削減等の観点からは 両持ち内ピン119を片持ち内ピン120よりも少 くするのが望ましい。ただし、内ピン119,120 には曲線板117,118から荷重が負荷されるので 両持ち内ピン119および片持ち内ピン120は、 れぞれ等間隔に配置するのが望ましい。

 潤滑油移送機構は、入力側回転部材114の 転を利用して、上記した潤滑油の封入され 空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運 。より具体的には、第1のキャリア124の内部 に配置されるポンプ141と、ポンプ141から潤滑 油の封入された空間の底部領域に向かって延 び、ポンプ141に潤滑油を供給する潤滑油供給 路134と、ポンプ141から潤滑油の封入された空 間の上部領域に向かって延び、ポンプ141から の潤滑油を排出する潤滑油排出路135とを含む 。

 図11を参照して、ポンプ141は、外径面に歯 を有し、入力側回転部材114と一体回転する 動歯車142と、内径面に駆動歯車142に噛合す 歯形を有し、第1のキャリア124に回転自在に 持されて駆動歯車142の回転中心c 1 から水平方向一方側にずれた点c 2 を中心として回転する従動歯車143とを備える サイクロイドポンプである。

 上記構成のポンプ141は、入力側回転部材1 14が反時計回り(正回転)に回転したときに、 間の底部領域から潤滑油供給路134を通じて み上げた潤滑油を、潤滑油排出路135を通じ 上部領域に排出することができる。

 一方、このポンプ141は、入力側回転部材114 時計回り(逆回転)に回転したときには潤滑 を移送することができない。そこで、この ンプ141とは異なる位置に、入力側回転部材11 4が時計回りに回転したときに潤滑油を移送 能な第2のポンプを設けるのが望ましい。具 的には、ポンプ141と同じ構造で、c 1 ,c 2 の位置関係を逆転させたポンプを設ければよ い。

 また、図12を参照して、他の実施形態に るポンプ151は、外径面に歯形を有し、入力 回転部材114と一体回転する駆動歯車152と、 径面に駆動歯車152に噛合する歯形を有し、 動歯車152の水平方向一方側に回転自在に配 される従動歯車153とで構成される。なお、 の実施形態においては、従動歯車153は、第1 キャリア124に回転自在に取り付けられた回 軸124cに嵌合固定されている。

 図11のポンプ141に代えて、上記構成のポ プ151を採用しても、入力側回転部材114が反 計回りに回転したときに潤滑油を移送する とができる。また、ポンプ141と同じ構造で 駆動歯車152と従動歯車153との位置関係を逆 させた第2のポンプを設ければ、入力側回転 材114が時計回りに回転したときにも潤滑油 移送することが可能となる。

 さらに、図13を参照して、さらに他の実 形態に係るポンプ161は、外径面に歯形を有 、入力側回転部材114と一体回転する駆動歯 162と、外径面に駆動歯車162に噛合する歯形 有し、駆動歯車162の水平方向一方側に回転 在に配置される第1従動歯車163と外径面に駆 歯車162に噛合する歯形を有し、駆動歯車162 水平方向他方側に回転自在に配置される第2 従動歯車64とで構成される。なお、この実施 態においては、従動歯車163,164は、第1のキ リア124に回転自在に取り付けられた回転軸12 4c,124dに嵌合固定されている。

 上記構成のポンプ161によれば、入力側回 部材114が反時計回りに回転したときに、駆 歯車162と第1従動歯車163とが潤滑油を移送す る第1のポンプとして機能する。一方、入力 回転部材114が時計回りに回転したときに、 動歯車162と第2従動歯車64とが潤滑油を移送 る第2のポンプとして機能する。これにより 図11または図12に示すポンプ141,151を2箇所に 置する場合と比較して、ポンプを配置する ペースを小さくすることができる。

 上記の各実施形態においては、潤滑油移 機構としてポンプを採用した例を示したが これに限ることなく、入力側回転部材114の 転を利用して潤滑油を移送するあらゆる構 を採用することができる。例えば、図14に すように、カウンタウェイト122に潤滑油移 機構を設けてもよい。カウンタウェイト123 ついても同様であるので、説明は省略する

 図14を参照して、カウンタウェイト122は 大径扇状部122aと、大径扇状部122aより半径が 小さく、互いの弦を接するように大径扇状部 122aに接続される小径扇状部122bとを含む。

 また、大径扇状部122aには、その弦に開口 部を有し、大径扇状部122aの内部を周方向に びる周方向油路122cと、周方向油路122cから大 径扇状部122aの外径面に向かって延びる径方 油路122dとが設けられている。さらに、カウ タウェイト122の端面には、厚み方向に突出 る複数のフィン122eが設けられている。

 上記構成の鉄道車両駆動ユニット112の作 原理を詳しく説明する。

 まず、駆動源の回転に伴って入力側回転 材114および偏心部材116が一体回転する。こ とき、曲線板117,118も回転しようとするが、 第2の貫通孔117b,118bに挿通する内ピン119,120に 転運動を阻止され、公転運動のみを行うこ になる。つまり、曲線板117,118は、入力側回 転部材114の回転軸心を中心とする円周軌道上 を平行移動する。

 曲線板117,118が公転運動すると、波形117c,1 18cと外ピン121とが係合し、減速機ハウジング 113および車輪111が入力側回転部材114と同一方 向に一体回転する。このとき、曲線板117,118 ら減速機ハウジング113に伝達される回転は 速され、高トルクになっている。

 具体的には、外ピン121の数をZ A1 、曲線板117,118の波形の数をZ B1 とすると、鉄道車両駆動ユニット112の減速比 はZ B1 /(Z A1 -Z B1 )で算出され、さらに減速比をn1とすると、図 1の実施形態における速度比は1/(n1+1)で算出さ れる。図2に示す実施形態では、Z A1 =24、Z B1 =22であるので、減速比は11となり、速度比は1 /12となる。したがって、低トルク、高回転型 の駆動源を採用した場合でも、車輪111に必要 なトルクを伝達することが可能となる。

 このように、多段構成とすることなく大 な減速比を得ることができる減速機構15を 用することにより、コンパクトで高減速比 鉄道車両駆動ユニット112を得ることができ 。また、内ピン119,120および外ピン121の曲線 117,118に当接する位置に内ピン軸受119e,120eお よび外ピン軸受121aを設けたことにより、接 部分の摩擦抵抗が低減される。その結果、 道車両駆動ユニット112の伝達効率が向上す 。

 次に、上記構成の鉄道車両駆動ユニット1 12の潤滑油の流れを詳しく説明する。まず、 滑油は、減速機ハウジング113の内部の潤滑 の封入された空間内、すなわち、減速機ハ ジング113、第1および第2のキャリア124,125、 よび密封部材128,129で囲まれた領域内に封入 されており、減速機構15の停止時における油 高さは、図6の直線mの位置である。

 次に、入力側回転部材114が回転すると、 滑油移送機構としてのポンプ141が、潤滑油 封入された空間の底部領域から潤滑油供給 134を通じて汲み上げた潤滑油を、潤滑油排 路135を通じて上部領域に排出する。また、 滑油移送機構としてのカウンタウェイト122 、回転しながら潤滑油の封入された空間の 部領域と上部領域との間を移動する。この き、底部領域で周方向油路122cおよび径方向 油路122dに潤滑油を保持し、上部領域で潤滑 を放出すると共に、フィン122eによって潤滑 を掻き揚げる。これにより、潤滑油の封入 れた空間の上部領域(図6の入力側回転部材11 4より上側の領域)に潤滑油を供給することが きる。

 潤滑油移送機構によって放出された潤滑 は、上部領域に位置する構成部品、特に内 ン119と内ピン軸受119eとの間、内ピン軸受119 eと曲線板117,118との間を潤滑しながら、重力 よって底部領域に戻される。また、その一 は、潤滑油保持空間117e,120aに保持される。

 上記構成とすることにより、減速機ハウ ング113内の潤滑油の封入された空間の上部 域にも積極的に潤滑油を供給することがで るので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユ ット112を得ることができる。なお、上述し 潤滑油移送機構(ポンプ141,151,161、カウンタ ェイト122)を全て設ける必要はなく、少なく とも1つ設ければ、この発明の効果を得るこ ができる。

 なお、図6に示す実施形態においては、潤 滑油移送機構を有するカウンタウェイト122,12 3を180°位相を変えて配置している。これによ り、一方の大径扇状部が減速機ハウジング113 内の潤滑油の封入された空間の底部領域に位 置しているとき、他方の大径扇状部が減速機 ハウジング113内の潤滑油の封入された空間の 上部領域で潤滑油を放出する。その結果、潤 滑油を安定して移送することができる。

 (4)第4実施形態
 次に、この発明の第4実施形態に係る鉄道車 両駆動ユニット112aおよび鉄道車両駆動ユニ ト112aを含む鉄道車両用車輪駆動装置110aを説 明する。なお、以下に示す図において、同一 の構成要素には同一の参照番号を付し、説明 は省略する。図15は鉄道車両用車輪駆動装置1 10aの概略断面図、図16は図15のXI-XIにおける断 面図、図17は第1の車軸軸受126を示す図、図18 密封部材128の正面図である。

 図15を参照して、他の実施形態に係る鉄 車両駆動ユニット112aは、減速機ハウジング1 13と、入力側回転部材114と、減速機構115と、 定部材としての第1および第2のキャリア124,1 25と、第1および第2の車軸軸受126,127と、減速 ハウジング113の回転を利用して潤滑油を移 する潤滑油移送機構とを主に備える。

 潤滑油移送機構は、減速機ハウジング113 回転を利用して、上記した潤滑油の封入さ た空間、すなわち、減速機ハウジング113、 1および第2のキャリア124,125、および密封部 128,129で囲まれた領域において、その底部領 域から上部領域に潤滑油を運ぶ。具体的には 、減速機ハウジング113、および減速機ハウジ ング113の回転に伴って回転する部材の表面に 形成される凹凸部である。なお、「減速機ハ ウジング113の回転に伴って回転する部材」に は、例えば、外ピン121および外ピン軸受121a 第1および第2の車軸軸受126,127の外輪126b,127b 円すいころ126c,127c、および保持器127d,127d、 封部材128,129等が該当する。

 図16を参照して、減速機ハウジング113の 径面には、凹凸部113aが形成されている。こ 実施形態における凹凸部113aは、減速機ハウ ジングの回転方向と交差する方向に延びる複 数の突条である。なお、この凹凸部113aは、 速機ハウジング113の内径面に直接形成して よいし、内径面に凹凸部113aを有する環状ベ ト(図示省略)を減速機ハウジングの内径面 嵌め込んでもよい。

 なお、突条の形状は特に限定されないが この実施形態においては、減速機ハウジン 113の回転軸線に垂直な突条の断面形状は、 いに平行な短辺と長辺とを有する等脚台形 なっている。そして、短辺が減速機ハウジ グ113の内径面に接するように配置されてい 。つまり、減速機ハウジング113の円周方向 向く突条の壁面(等脚台形の斜辺に相当する 壁面)は、減速機ハウジング113の内径面の接 に対して鋭角に接している。これにより突 の潤滑油を保持する能力が向上する。

 また、突条は、減速機ハウジング113の内 面の12箇所に130°間隔で配置されている。こ のように、複数の突条を等間隔で配置するこ とにより、潤滑油を安定して移送することが 可能となる。

 また、図17を参照して、第1の車軸軸受126 も凹凸部126eが形成されている。この実施形 態における凹凸部126eは、外輪126bの内径面、 すいころ126cの端面、および保持器126dの端 に設けられている。なお、第2の車軸軸受127 同様であるので、説明は省略する。

 さらに、図15を参照して、密封部材128に 、減速機ハウジング113の回転方向と交差す 方向に張り出す堰128aが設けられている。こ 堰128aも潤滑油移送機構として機能する。図 18を参照して、この実施形態における堰128aは 、45°の間隔を空けて8箇所に等間隔に設けら ている。

 なお、鉄道車両駆動ユニット112aを構成す るその他の要素については、上記した実施形 態の鉄道車両駆動ユニット112と共通するので 、説明は省略する。

 ここで、他の実施形態に係る鉄道車両駆 ユニット112aの潤滑油の流れを詳しく説明す る。まず、潤滑油は、減速機ハウジング113の 内部の潤滑油の封入された空間内、すなわち 、減速機ハウジング113、第1および第2のキャ ア124,125、および密封部材128,129で囲まれた 域内に封入されており、減速機構15の停止時 における油面高さは、図15の直線mの位置であ る。

 次に、減速機ハウジング113が回転すると 潤滑油移送機構(凹凸部113a,126e、および堰128 )は、回転しながら潤滑油の封入された空間 底部領域と上部領域との間を移動する。こ とき、底部領域で潤滑油を保持し、上部領 で潤滑油を放出する。これにより、減速機 ウジング113内の潤滑油の封入された空間の 部領域(図15の入力側回転部材114より上側の 域)に潤滑油を供給することができる。

 潤滑油移送機構によって放出された潤滑 は、上部領域に位置する構成部品、特に内 ン119と内ピン軸受119eとの間、内ピン軸受119 eと曲線板117,118との間を潤滑しながら、重力 よって底部領域に戻される。また、その一 は、潤滑油保持空間117e,120aに保持される。

 上記構成とすることにより、減速機ハウ ング113内の潤滑油の封入された空間の上部 域にも積極的に潤滑油を供給することがで るので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユ ット112aを得ることができる。なお、上述し た潤滑油移送機構(凹凸部113a,126e、および堰12 8)を全て設ける必要はなく、少なくとも1つ設 ければ、この発明の効果を得ることができる 。

 なお、上記の実施形態においては、減速 構15の曲線板117,118を1180°位相を変えて2枚設 けたが、この曲線板の枚数は任意に設定する ことができ、例えば、曲線板を3枚設ける場 は、120°位相を変えて設けるとよい。

 また、上記の実施形態において、偏心部1 16a,116bを有する偏心部材116を入力側回転部材1 14に嵌合固定した例を示したが、これに限る となく、入力側回転部材114の外径面に直接 心部116a,116bを形成してもよい。

 また、第3実施の形態においては、一つの 実施の形態として潤滑油移送機構は、入力側 回転部材114の回転を利用して潤滑油を移送す る場合について説明し、他の実施の形態とし て、潤滑油移送機構は、減速機ハウジング113 の回転を利用して潤滑油を移送する場合につ いて説明したが、これに限ることなく、潤滑 油移送機構は、入力側回転部材114および減速 機ハウジング113の両方の回転を利用して、潤 滑油を移送してもよい。例えば、上記したポ ンプ141を設けると共に、第1の車軸軸受126に 凸部126eを設けることによって、潤滑油を移 してもよい。これにより、さらに、潤滑性 を向上させることができる。

 また、上記の実施形態における転がり軸 126,127,130a,130b,132,133は、図の形態に限定され ることなく、例えば、すべり軸受、円筒ころ 軸受、円すいころ軸受、針状ころ軸受、自動 調心ころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸 受、3点接触球軸受、4点接触玉軸受等、すべ 軸受であるか転がり軸受であるかを問わず 転動体がころであるか玉であるかを問わず さらには複列か単列かを問わず、あらゆる 受を適用することができる。

 また、上記の実施形態における内ピン軸 119e,120eおよび外ピン軸受121aは、滑り軸受で ある例を示したが、これに限ることなく、転 がり軸受を採用してもよい。この場合、厚み 方向にコンパクト化する観点から針状ころ軸 受を採用するのが望ましい。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 を説明したが、この発明は、図示した実施 態のものに限定されない。図示した実施形 に対して、この発明と同一の範囲内におい 、あるいは均等の範囲内において、種々の 正や変形を加えることが可能である。

 この発明は、鉄道車両駆動ユニットに有利 利用される。
 




 
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