Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
REFRIGERATING APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116239
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a refrigerating apparatus equipped with a cooling medium circuit in which a single cooling medium or a mixed cooling medium containing the single cooling medium is used, wherein the single cooling medium comprises a cooling medium represented by molecular formula (1): C3HmFn [wherein m and n independently represent an integer of 1 to 5, provided that the sum total of m and n is 6] and having a double bond in its molecular structure. In the refrigerating apparatus, specific resin-made functional parts (61, 62, 63, 64, 65) are so arranged that the parts can be contact with the cooling medium in the cooling medium circuit (10) and each of the parts is composed of any material selected from polytetrafluoroethylene, polyphenylene sulfide, a phenolic resin, a polyamide resin, a chloroprene rubber, a silicon rubber, a hydrogenated nitrile rubber, a fluorine-containing rubber and a hydrin rubber.

Inventors:
MATSUURA HIDEKI (JP)
TANAKA MASARU (JP)
HARA HIDEKI (JP)
SHIBAIKE KOUJI (JP)
OHNUMA YOUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001006
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 05, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
MATSUURA HIDEKI (JP)
TANAKA MASARU (JP)
HARA HIDEKI (JP)
SHIBAIKE KOUJI (JP)
OHNUMA YOUICHI (JP)
International Classes:
F04B39/00; C09K5/04; C10M105/38; C10M107/20; C10M107/24; F04C29/00; F25B1/00; C10N20/00; C10N20/02; C10N30/00; C10N40/30
Domestic Patent References:
WO2008130026A12008-10-30
WO2008130039A12008-10-30
WO2008153106A12008-12-18
WO2008053951A12008-05-08
WO2008108365A12008-09-12
Foreign References:
JP2006512426A2006-04-13
JPH10238481A1998-09-08
JP2004116458A2004-04-15
JP2001227827A2001-08-24
JP2005281603A2005-10-13
JPH01319589A1989-12-25
JP2003139444A2003-05-14
JP2008013681A2008-01-24
JPH04110388A1992-04-10
Other References:
See also references of EP 2267309A4
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (JP)
Hiroshi Maeda (JP)
Download PDF:
Claims:
 圧縮機(30)によって冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備え、
 上記冷媒回路(10)の冷媒として、分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒、又は該冷媒を含む混合冷媒が用いられる冷凍装置であって、
 上記冷媒回路(10)の冷媒と接触可能に配設される所定の樹脂製機能部品(61,62,63,64,65)が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、クロロブレンゴム、シリコンゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴムのいずれかで構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1において、
 上記樹脂製機能部品は、所定の摺動部に設けられる摺動部材(61,62,63,64)で構成され、
 上記摺動部材(61,62,63,64)は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド樹脂のいずれかで構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1において、
 上記樹脂製機能部品は、所定の隙間での冷媒の漏れを防止するためのシール部材(65)で構成され、
 上記シール部材(65)は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、クロロブレンゴム、シリコンゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素化ゴム、ヒドリンゴムのいずれかで構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
 上記圧縮機(30)では、温度30℃、相対湿度90%における飽和水分量が2000ppm以上の冷凍機油が用いられることを特徴とする冷凍装置。
 請求項4において、
 上記冷凍機油は、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、及びポリビニルエーテルのうち少なくとも1つを主成分とすることを特徴とする冷凍装置。
 請求項4において、上記冷凍機油は、動粘度が40℃において30cSt以上400cSt以下で、流動点が-30℃以下であることを特徴とする冷凍装置。
 請求項4において、
 上記冷凍機油は、表面張力が20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下であることを特徴とする冷凍装置。
 請求項7において、
 上記冷凍機油は、塩素濃度が50ppm以下であることを特徴とする冷凍装置。
 請求項4において、
 上記冷凍機油は、硫黄濃度が50ppm以下であることを特徴とする冷凍装置。
 請求項4において、
 上記冷凍機油には、酸捕捉剤、極圧添加剤、酸化防止剤、酸素捕捉剤、消泡剤、油性剤、及び銅不活性化剤のうち少なくとも1種類の添加剤が添加されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項10において、
 上記冷凍機油では、1種類の添加剤が添加されている場合には該添加剤の割合が0.01質量%以上5質量%以下に、複数種類の添加剤が添加されている場合には各添加剤の割合が0.01質量%以上5質量%以下になっていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
 上記分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒は、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンであることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
 上記冷媒回路(10)の冷媒は、さらにジフルオロメタンを含む混合冷媒であることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
 上記冷媒回路(10)の冷媒は、さらにペンタフルオロエタンを含む混合冷媒であることを特徴とする冷凍装置。
Description:
冷凍装置

 本発明は、圧縮機で冷媒を圧縮して冷凍 イクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置に するものである。

 従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路 備えた冷凍装置は、空気調和装置や給湯機 に広く適用されている。

 特許文献1には、この種の冷凍装置が開示 されている。この冷凍装置は、圧縮機、凝縮 器、膨張弁、凝縮器が接続されて冷凍サイク ルが行われる冷媒回路を備えている。この冷 媒回路では、圧縮機で圧縮された冷媒が凝縮 器で空気へ放熱して凝縮する。凝縮器で凝縮 した冷媒は、膨張弁で減圧された後、蒸発器 で蒸発する。蒸発後の冷媒は、圧縮機に吸入 されて再び圧縮される。

 また、特許文献1の冷媒回路には、分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の 係が成立する。)で表され且つ分子構造中に 重結合を1個有する冷媒が用いられている。 この冷媒は、塩素原子や臭素原子を含まず、 オゾン層の破壊への影響が小さいことが知ら れている。

特開平4-110388号公報

 ところで、特許文献1に開示の冷媒は、二 重結合を有する等、比較的不安定な分子構造 であるため、長期の冷凍サイクルに伴い冷媒 が劣化して不純物等が生成することがある。 このような不純物が生成されると、例えば圧 縮機の可動スクロールの摺動部材やシール部 材等の樹脂製の機能部品が不純物の影響によ り劣化し易くなる。その結果、このような機 能部品の耐久性や信頼性が損なわれてしまう 虞がある。

 本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの あり、その目的は、分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の 係が成立する。)で表され且つ分子構造中に 重結合を1個有する冷媒から成る単一冷媒又 は該冷媒を含む混合冷媒が用いられる冷媒回 路を備えた冷凍装置において、冷媒と接触可 能に配設される所定の樹脂製機能部品の劣化 を抑制することである。

 第1の発明は、圧縮機(30)によって冷媒を循 させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備 、上記冷媒回路(10)の冷媒として、分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の 係が成立する。)で表され且つ分子構造中に 重結合を1個有する冷媒、又は該冷媒を含む 混合冷媒が用いられる冷凍装置を前提として いる。そして、この冷凍装置は、上記冷媒回 路(10)の冷媒と接触可能に配設される所定の 脂製機能部品(61,62,63,64,65)が、ポリテトラフ オロエチレン、ポリフェニレンサルファイ 、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、クロ ブレンゴム、シリコンゴム、水素化ニトリ ゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴムのいずれ で構成されていることを特徴とするもので る。

 第1の発明の冷凍装置では、冷媒回路(10) 冷媒として、上記分子式1で表され且つ分子 造中に二重結合を1個有する冷媒又は該冷媒 を含む混合冷媒が用いられている。この冷媒 は、圧縮機(30)によって圧縮され、冷媒回路(1 0)で冷凍サイクルが行われる。

 冷媒回路(10)の冷媒と接触可能に所定の樹 脂製機能部品(61,62,63,64,65)が配設される。こ で、樹脂製機能部品(61,62,63,64,65)は、ポリテ ラフルオロエチレン、ポリフェニレンサル ァイド、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂 クロロブレンゴム、シリコンゴム、水素化 トリルゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴムの ずれかで構成される。これらの樹脂材料は 冷媒から生成される不純物に対して比較的 い安定性を有する。その結果、上記の不純 の生成に伴う樹脂製機能部品の劣化が抑制 れる。

 第2の発明は、第1の発明の冷凍装置にお て、上記樹脂製機能部品は、所定の摺動部 設けられる摺動部材(65)で構成され、該摺動 材(65)は、ポリテトラフルオロエチレン、ポ リフェニレンサルファイド、ポリアミド樹脂 のいずれかで構成されていることを特徴とす るものである。

 第2の発明では、摺動部に設けられる摺動 部材(65)が樹脂製機能部品を構成する。そし 、この摺動部材(65)が、ポリテトラフルオロ チレン、ポリフェニレンサルファイド、ポ アミド樹脂のいずれかで構成される。この め、冷媒から生成された不純物の影響によ 、摺動部材(65)が変性/劣化してしまうこと 抑制される。

 第3の発明は、第1の発明の冷凍装置にお て、上記樹脂製機能部品は、所定の隙間で 冷媒の漏れを防止するためのシール部材(65) 構成され、該シール部材(65)は、ポリテトラ フルオロエチレン、ポリフェニレンサルファ イド、クロロブレンゴム、シリコンゴム、水 素化ニトリルゴム、フッ素化ゴム、ヒドリン ゴムのいずれかで構成されていることを特徴 とするものである。

 第3の発明では、所定の隙間での冷媒の漏 れを防止するためのシール部材(65)が樹脂製 能部品を構成する。そして、シール部材(65) 、ポリフェニレンサルファイド、クロロブ ンゴム、シリコンゴム、水素化ニトリルゴ 、フッ素化ゴム、ヒドリンゴムのいずれか 構成される。このため、冷媒から生成され 不純物の影響により、シール部材(65)が変性 /劣化してしまうことが抑制される。

 第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの 発明の冷凍装置において、上記圧縮機(30)で 、温度30℃、相対湿度90%における飽和水分量 が2000ppm以上の冷凍機油が用いられることを 徴とするものである。

 第4の発明では、圧縮機(30)の冷凍機油と て、温度30℃、相対湿度90%の条件下における 飽和水分量が2000ppm以上の冷凍機油が用いら る。つまり、本発明では、吸湿性が比較的 い冷凍機油が用いられる。これにより、冷 中の水分を冷凍機油に捕捉することができ 。その結果、冷媒では、水分の影響による 化が抑制される。

 第5の発明は、第4の発明の冷凍装置にお て、上記冷凍機油は、ポリアルキレングリ ール、ポリオールエステル、及びポリビニ エーテルのうち少なくとも1つを主成分とす ことを特徴とするものである。

 第5の発明では、冷凍機油として、ポリア ルキレングリコール、ポリオールエステル、 ポリビニルエーテルの少なくとも1つを主成 とする冷凍機油が用いられている。これら 冷凍機油は、上記分子式1で表され且つ分子 造中に二重結合を1個有する冷媒に対して相 溶性を有するので、この冷媒が冷凍機油に溶 解され易くなる。

 ところで、上述のように冷媒が劣化して 純物が生成されると、この不純物の影響に り本発明の冷凍機油も劣化してしまうこと ある。これにより、冷凍機油の劣化に起因 て更に不純物が生成され、冷凍機油に由来 る不純物の影響により樹脂製機能部品(61,62, 63,64,65)が劣化し易くなる。しかしながら、本 発明では、樹脂製機能部品(61,62,63,64,65)とし 、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェ レンサルファイド、フェノール樹脂、ポリ ミド樹脂、クロロブレンゴム、シリコンゴ 、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、ヒド ンゴムのいずれかを用いているので、冷凍 油から発生した不純物により樹脂製機能部 (61,62,63,64,65)が劣化してしまうのを回避でき 。

 第6の発明は、第4又は第5の発明の冷凍装 において、上記冷凍機油が、動粘度が40℃ おいて30cSt以上400cSt以下で、流動点が-30℃以 下であることを特徴とするものである。

 第6の発明では、冷凍機油の動粘度が40℃ おいて30cSt以上であるため、動粘度不足に って油膜強度が不十分になることはなく、 動部の潤滑性能が確保される。また、冷凍 油の流動点が-30℃以下であるため、冷媒回 (10)において低温部位でも冷凍機油の流動性 確保できる。

 第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの 発明の冷凍装置において、上記冷凍機油は、 表面張力が20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下 あることを特徴とするものである。

 第7の発明では、冷凍機油の表面張力が、 20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下となる。こ で、冷凍機油の表面張力が小さすぎると、 縮機(30)内のガス冷媒中で冷凍機油が小さな 滴になりやすく、比較的多量の冷凍機油が 媒と共に圧縮機(30)から吐出されてしまう。 従って、圧縮機(30)で油上がりが生じる虞が る。逆に、冷凍機油の表面張力が大きすぎ と、圧縮機(30)から吐出された冷凍機油が、 媒回路(10)において大きな油滴になり易い。 このため、圧縮機(30)から吐出された冷凍機 が、冷媒によって押し流されにくく、圧縮 (30)に戻りにくくなる。従って、この場合に 、圧縮機(30)で油上がりが生じる虞がある。

 以上のように、本発明では、冷凍機油の 面張力が20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下と したので、油滴の大きさが最適な範囲となり 、上記のような油上がりが回避される。

 第8の発明は、第4乃至第7のいずれか1つの 発明の冷凍装置において、上記冷凍機油は、 塩素濃度が50ppm以下であることを特徴とする のである。

 第8の発明では、冷凍機油の塩素濃度が50p pm以下となるので、塩素に起因する冷媒の劣 促進が抑制される。これにより、不純物の 成も抑制され、樹脂製機能部品(61,62,63,64,65) の耐久性が向上する。

 第9の発明は、第4乃至第8のいずれか1つに おいて、上記冷凍機油は、硫黄濃度が50ppm以 であることを特徴とするものである。

 第9の発明では、冷凍機油の硫黄濃度が50p pm以下となるので、硫黄に起因する冷媒の劣 が抑制される。これにより、不純物の生成 抑制され、樹脂製機能部品(61,62,63,64,65)の耐 久性が向上する。

 第10の発明は、第4乃至第9のいずれか1つ 発明の冷凍装置において、上記冷凍機油に 、酸捕捉剤、極圧添加剤、酸化防止剤、酸 捕捉剤、消泡剤、油性剤、及び銅不活性化 のうち少なくとも1種類の添加剤が添加され いることを特徴とするものである。

 第10の発明では、酸捕捉剤、極圧添加剤 酸化防止剤、酸素捕捉剤、消泡剤、油性剤 及び銅不活性化剤の添加剤のうち少なくと 1種類の添加剤が冷凍機油に含まれている。 のため、冷凍機油や冷媒の安定化が図られ 不純物等の生成が抑制される。

 第11の発明は、第10の発明の冷凍装置にお いて、上記冷凍機油では、1種類の添加剤が 加されている場合には該添加剤の割合が0.01 量%以上5質量%以下に、複数種類の添加剤が 加されている場合には各添加剤の割合が0.01 質量%以上5質量%以下になっていることを特徴 とするものである。

 第11の発明では、1種類の添加剤が冷凍機 に添加されている場合には、冷凍機油中の 加剤の割合が、0.01質量%以上5質量%以下にな っている。複数種類の添加剤が冷凍機油に添 加されている場合には、冷凍機油中の何れの 添加剤も、その割合が0.01質量%以上5質量%以 になっている。

 第12の発明は、第1乃至第11の何れか1つの発 の冷凍装置において、上記分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の 係が成立する。)で表され且つ分子構造中に 重結合を1個有する冷媒は、2,3,3,3-テトラフ オロ-1-プロペンであることを特徴とするも である。

 第12の発明では、冷媒回路(10)の冷媒とし 、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンからな 単一冷媒、又は2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロ ペンを含む混合冷媒が用いられる。

 第13の発明は、第1乃至第12のいずれか1つ 発明の冷凍装置において、上記冷媒回路(10) の冷媒は、さらにジフルオロメタンを含む混 合冷媒であることを特徴とするものである。

 第13の発明では、冷媒回路(10)の冷媒とし 、上記分子式1で表され且つ分子構造中に二 重結合を1個有する冷媒とジフルオロメタン を含む混合冷媒が用いられる。ここで、上 分子式1で表され且つ分子構造中に二重結合 1個有する冷媒は、いわゆる低圧冷媒である 。このため、例えば上記分子式1で表され且 分子構造中に二重結合を1個有する冷媒から る単一冷媒を用いる場合には、冷媒の圧力 失が冷凍装置の運転効率に与える影響が比 的大きく、理論上の運転効率に対して実際 運転効率が低下してしまう。そこで、本発 では、上記分子式1で表され且つ分子構造中 に二重結合を1個有する冷媒に、いわゆる高 冷媒であるジフルオロメタンが加えられて る。

 第14の発明は、第1乃至第13のいずれか1つ 発明の圧縮機において、上記冷媒回路(10)の 冷媒は、さらにペンタフルオロエタンを含む 混合冷媒であることを特徴とするものである 。

 第14の発明では、冷媒回路(10)の冷媒とし 、上記分子式1で表され且つ分子構造中に二 重結合を1個有する冷媒とペンタフルオロエ ンとを含む混合冷媒が用いられる。ここで 上記分子式1で表され且つ分子構造中に二重 合を1個有する冷媒は、微燃性の冷媒ではあ るが、発火するおそれがない訳ではない。そ こで、本発明では、上記分子式1で表され且 分子構造中に二重結合を1個有する冷媒に、 燃性の冷媒であるペンタフルオロエタンが えられている。

 本発明では、冷媒回路(10)の冷媒として、分 子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の 係が成立する。)で表され且つ分子構造中に 重結合を1個有する冷媒、又は該冷媒を含む 混合冷媒が用いられる。これにより、冷凍サ イクルの理論上の成績係数(COP)が高い冷凍装 を提供できる。

 ここで、上記の冷媒は、二重結合を有す 等の理由により比較的不安定な分子構造で り、冷媒が劣化して不純物等が生成され易 。このため、冷凍装置の樹脂製機能部品(61, 62,63,64,65)は、このような不純物の影響により 化学的/物理的に変性して劣化してしまう虞 ある。しかしながら、本発明の樹脂製機能 品(61,62,63,64,65)は、上記の冷媒の不純物に対 て、比較的安定性に優れた材料、即ちポリ トラフルオロエチレン、ポリフェニレンサ ファイド、フェノール樹脂、ポリアミド樹 、クロロブレンゴム、シリコンゴム、水素 ニトリルゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム いずれかで構成されている。従って、上記 純物の影響により、樹脂製機能部品(61,62,63, 64,65)が化学的/物理的に変性してしまうこと 回避される。その結果、樹脂製機能部品で 、所望とする耐久性を確保することができ 。

 第2の発明では、樹脂製機能部品としての 摺動部材(61,62,63,64)をポリテトラフルオロエ レン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ ミド樹脂のいずれかで構成している。これ より、冷媒から生成する不純物に起因する 動部材(61,62,63,64)の劣化を回避できる。その 果、摺動部材(61,62,63,64)の耐久性が向上する ので、摺動部材(61,62,63,64)では、所望とする 動性/耐摩耗性を得ることができる。

 第3の発明では、樹脂製機能部品としての シール部材(65)をポリテトラフルオロエチレ 、ポリフェニレンサルファイド、クロロブ ンゴム、シリコンゴム、水素化ニトリルゴ 、フッ素化ゴム、ヒドリンゴムのいずれか 構成している。これにより、冷媒から生成 る不純物に起因するシール部材(65)の劣化を 避できる。その結果、シール部材(65)の耐久 性が向上するので、シール部材(65)では、所 とするシール性を得ることができる。

 第4の発明では、温度30℃、相対湿度90%に ける飽和水分量が2000ppm以上の冷凍機油を用 いているので、冷媒中の水分を冷凍機油に捕 捉させることができる。このため、水分の影 響により冷媒が劣化してしまうのを防止でき る。

 第5の発明の冷凍機油は、ポリアルキレン グリコール、ポリオールエステル、及びポリ ビニルエーテルのうち少なくとも1つを主成 としている。これにより、冷媒と冷凍機油 が相互に溶け易くなる。このため、冷媒回 (10)中に冷凍機油が流出しても、この冷凍機 は冷媒に溶け込んで圧縮機(30)に返送され易 くなる。その結果、圧縮機(30)における油上 りを抑制することができるので、圧縮機(30) 冷凍機油不足、更には潤滑不良を未然に回 できる。従って、圧縮機(30)の信頼性を向上 させることができる。

 特に、第6の発明の冷凍機油は、動粘度が 40℃において30cSt以上400cSt以下であるので、 動部の潤滑性能を充分確保できる。また、 発明では、流動点が-30℃以下であるので、 較的低温部位でも冷凍機油の流動性を確保 きる。

 第7の発明の冷凍機油は、表面張力が20℃ おいて0.02N/m以上0.04N/m以下であるので、圧 機(30)から多量に冷凍機油が吐出されること 、圧縮機から吐出された冷凍機油が圧縮機 戻りにくくなることがない。従って、圧縮 において油上がりが生じることを抑制する とができ、圧縮機構(82)の摺動部の潤滑不良 を防止できる。

 第8の発明の冷凍機油は、塩素濃度が50ppm 下であるので、塩素に起因して冷媒の劣化 促進してしまうことを防止できる。その結 、樹脂製機能部品(61,62,63,64,65)の耐久性を更 に向上できる。また、第9の発明の冷凍機油 、硫黄濃度が50ppm以下であるので、硫黄に起 因して冷媒の劣化が促進してしまうことを防 止できる。その結果、樹脂製機能部品(61,62,63 ,64,65)の耐久性を更に向上できる。

 第10や第11の発明の冷凍機油では、酸捕捉 剤、極圧添加剤、酸化防止剤、消泡剤、油性 剤、及び銅不活性化剤の6種類の添加剤のう 少なくとも1種類の添加剤が添加されている このため、冷媒や冷凍機油を安定化させる とができ、不純物の発生を抑制できる。そ 結果、樹脂製機能部品(61,62,63,64,65)の耐久性 /信頼性を更に向上できる。

 第12の発明では、上記分子式1で表され且 分子構造中に二重結合を1個有する冷媒が、 2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンであるので 冷凍サイクルのCOPの向上を図ることができ 。

 第13の発明では、上記分子式1で表され且 分子構造中に二重結合を1個有する冷媒に、 いわゆる高圧冷媒であるジフルオロメタンが 加えられている。このため、冷媒の圧力損失 が冷凍装置の運転効率に与える影響を小さく することができるので、冷凍装置の実際の運 転効率を向上させることができる。

 第14の発明では、上記分子式1で表され且 分子構造中に二重結合を1個有する冷媒に、 難燃性の冷媒であるペンタフルオロエタンが 加えられている。従って、冷媒回路(10)の冷 が燃えにくくなるので、冷凍装置の信頼性 向上させることができる。

図1は、実施形態に係る冷凍装置の概略 構成図である。 図2は、実施形態に係る圧縮機の縦断面 図である。 図3は、実施形態に係る圧縮機の圧縮機 構の横断面図である。 図4は、実施形態の変形例3に係る圧縮 の縦断面図である。

符号の説明

 10 冷媒回路
 20 空気調和装置(冷凍装置)
 30 圧縮機
 61 上部軸受(摺動部材,樹脂製機能部品)
 62 中間軸受(摺動部材,樹脂製機能部品)
 63 下部軸受(摺動部材,樹脂製機能部品)
 64 スラスト軸受(摺動部材,樹脂製機能部品)
 65 シールリング(シール部材)

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。

 本実施形態は、本発明に係る冷凍装置(20) によって構成された空気調和装置(20)である 本実施形態の空気調和装置(20)は、図1に示す ように、室外機(22)と3台の室内機(23a,23b,23c)と を備えている。なお、室内機(23)の台数は、 なる例示である。

 上記空気調和装置(20)は、冷媒を充填され て冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えて る。冷媒回路(10)は、室外機(22)に収容される 室外回路(9)と、各室内機(23)に収容される室 回路(17a,17b,17c)とを備えている。これらの室 回路(17a,17b,17c)は、液側連絡配管(18)及びガ 側連絡配管(19)によって室外回路(9)に接続さ ている。これらの室内回路(17a,17b,17c)は、互 いに並列に接続されている。

 本実施形態の冷媒回路(10)には、冷媒として 2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(以下、「HFO -1234yf」という。)の単一冷媒が充填されてい 。なお、HFO-1234yfの化学式は、CF 3 -CF=CH 2 で表される。

  〈室外回路の構成〉
 室外回路(9)には、圧縮機(30)、室外熱交換器 (11)、室外膨張弁(12)、及び四路切換弁(13)が設 けられている。

 圧縮機(30)は、例えば運転容量が可変なイ ンバータ式の圧縮機として構成されている。 圧縮機(30)には、インバータを介して電力が 給される。圧縮機(30)は、吐出側が四路切換 (13)の第2ポート(P2)に接続され、吸入側が四 切換弁(13)の第1ポート(P1)に接続されている なお、圧縮機(30)についての詳細は後述する 。

 室外熱交換器(11)は、クロスフィン型のフ ィン・アンド・チューブ熱交換器として構成 されている。室外熱交換器(11)の近傍には、 外ファン(14)が設けられている。室外熱交換 (11)では、室外空気と冷媒との間で熱交換が 行われる。室外熱交換器(11)は、一端が四路 換弁(13)の第3ポート(P3)に接続され、他端が 外膨張弁(12)に接続されている。また、四路 換弁(13)の第4ポート(P4)は、ガス側連絡配管( 19)に接続されている。

 室外膨張弁(12)は、室外熱交換器(11)と室 回路(9)の液側端との間に設けられている。 外膨張弁(12)は、開度可変の電子膨張弁とし 構成されている。

 四路切換弁(13)は、第1ポート(P1)と第4ポー ト(P4)とが連通して第2ポート(P2)と第3ポート(P 3)とが連通する第1状態(図1に実線で示す状態) と、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し 第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する第2 状態(図1に破線で示す状態)とが切り換え自在 に構成されている。

  〈室内回路の構成〉
 各室内回路(17)には、そのガス側端から液側 端へ向かって順に、室内熱交換器(15a,15b,15c) 、室内膨張弁(16a,16b,16c)とが設けられている

 室内熱交換器(15)は、クロスフィン型のフ ィン・アンド・チューブ熱交換器として構成 されている。室内熱交換器(15)の近傍には、 内ファン(21)が設けられている。室内熱交換 (15)では、室内空気と冷媒との間で熱交換が 行われる。また、室内膨張弁(16)は、開度可 の電子膨張弁として構成されている。

  〈圧縮機の構成〉
 圧縮機(30)は、例えば全密閉の高圧ドーム型 のスクロール圧縮機として構成されている。 圧縮機(30)の構成を図2及び図3に従って説明す る。

 圧縮機(30)は、縦型で密閉容器を形成する ケーシング(70)を備えている。ケーシング(70) 内部には、下から上へ向かって、電動機(85) と圧縮機構(82)とが配置されている。

 電動機(85)は、ステータ(83)とロータ(84)と 備えている。ステータ(83)は、ケーシング(70 )の胴部に固定されている。一方、ロータ(84) 、ステータ(83)の内側に配置され、クランク 軸(90)が連結されている。クランク軸(90)は、 ーシング(70)の油溜まりの近傍に配置された 下部軸受部材(60)に支持されている。

 圧縮機構(82)は、可動スクロール(76)と固 スクロール(75)とを備え、スクロール式の圧 機構を構成している。可動スクロール(76)は 、略円板状の可動側鏡板(76b)と、渦巻き状の 動側ラップ(76a)とを備えている。可動側ラ プ(76a)は可動側鏡板(76b)の前面(上面)に立設 れている。また、可動側鏡板(76b)の背面(下 )には、クランク軸(90)の偏心部が挿入された 円筒状の突出部(76c)が立設されている。可動 クロール(76)は、オルダムリング(79)を介し 、可動スクロール(76)の下側に配置されたハ ジング(77)に支持されている。一方、固定ス クロール(75)は、略円板状の固定側鏡板(75b)と 、渦巻き状の固定側ラップ(75a)とを備えてい 。固定側ラップ(75a)は固定側鏡板(75b)の前面 (下面)に立設されている。圧縮機構(82)では、 固定側ラップ(75a)と可動側ラップ(76a)とが互 に噛み合うことによって、両ラップ(75a,76a) 接触部の間に複数の圧縮室(73)が形成されて る。

 なお、本実施形態の圧縮機(30)では、いわ ゆる非対称渦巻き構造が採用されており、固 定側ラップ(75a)と可動側ラップ(76a)とで巻き (渦巻きの長さ)が相違している。上記複数の 圧縮室(73)は、固定側ラップ(75a)の内周面と可 動側ラップ(76a)の外周面との間に構成される 1圧縮室(73a)と、固定側ラップ(75a)の外周面 可動側ラップ(76a)の内周面との間に構成され る第2圧縮室(73b)とから構成されている。

 圧縮機構(82)では、固定スクロール(75)の 縁部に吸入ポート(98)が形成されている。吸 ポート(98)には、ケーシング(70)の頂部を貫 する吸入管(57)が接続されている。吸入ポー (98)は、可動スクロール(76)の公転運動に伴 て、第1圧縮室(73a)と第2圧縮室(73b)のそれぞ に間欠的に連通する。また、吸入ポート(98) は、圧縮室(73)から吸入管(57)へ戻る冷媒の れを禁止する吸入逆止弁が設けられている( 示省略)。

 また、圧縮機構(82)では、固定側鏡板(75b) 中央部に吐出ポート(93)が形成されている。 吐出ポート(93)は、可動スクロール(76)の公転 動に伴って、第1圧縮室(73a)と第2圧縮室(73b) それぞれに間欠的に連通する。吐出ポート( 93)は、固定スクロール(75)の上側に形成され マフラー空間(96)に開口している。

 ケーシング(70)内は、円盤状のハウジング (77)によって、上側の吸入空間(101)と下側の吐 出空間(100)とに区画されている。吸入空間(101 )は、図示しない連通ポートを通じて、吸入 ート(98)に連通している。吐出空間(100)は、 定スクロール(75)とハウジング(77)とに亘って に形成された連絡通路(103)を通じて、マフラ 空間(96)に連通している。運転中の吐出空間 (100)は、吐出ポート(93)から吐出された冷媒が マフラー空間(96)を通じて流入するので、圧 機構(82)で圧縮された冷媒で満たされる高圧 間になる。吐出空間(100)には、ケーシング(7 0)の胴部を貫通する吐出管(56)が開口している 。

 本実施形態の圧縮機(30)のケーシング(70) には、有機材料によって構成された部品と て、ステータ(83)の巻き線の絶縁被覆材料、 縁フィルム、及び圧縮機構(82)のシール材料 が用いられている。これらの部品には、高温 高圧の冷媒に接触した場合でも、冷媒により 物理的や化学的に変性を受けない物質で、特 に耐溶剤性、耐抽出性、熱的・化学的安定性 、耐発泡性を有する物質が用いられている。

 具体的に、ステータ(83)の巻き線の絶縁被 覆材料は、ポリビニルフォルマール、ポリエ ステル、THEIC変性ポリエステル、ポリアミド ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、 リエステルアミドイミドの何れかが用いら ている。なお、好ましいのは、上層がポリ ミドイミド、下層がポリエステルイミドの 重被覆線である。また、上記物質以外に、 ラス転移温度が120℃以上のエナメル被覆を いてもよい。

 また、絶縁フィルムには、ポリエチレン レフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ ト(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、 リブチレンテフタレート(PBT)の何れかが用 られている。なお、絶縁フィルムに、発泡 料が冷凍サイクルの冷媒と同じ発泡フィル を用いることも可能である。インシュレー ー等の巻き線を保持する絶縁材料には、ポ エーテルエーテルケトン(PEEK)又は液晶ポリ ー(LCP)が用いられている。ワニスには、エポ キシ樹脂が用いられている。

 また、ケーシング(70)の底部には、冷凍機 油が貯留される油溜まりが形成されている。 また、クランク軸(90)の内部には、油溜まり 開口する第1給油通路(104)が形成されている また、可動側鏡板(76b)には、第1給油通路(104) に接続する第2給油通路(105)が形成されている 。この圧縮機(30)では、油溜まりの冷凍機油 第1給油通路(104)及び第2給油通路(105)を通じ 低圧側の圧縮室(73)に供給される。

 また、圧縮機(30)には、冷媒及び冷凍機油 と接触可能に配設される樹脂製構造部品が設 けられている。本実施形態の圧縮機(30)には 上記樹脂製構造部品として、上部軸受(61)と 間軸受(62)と下部軸受(63)とスラスト軸受(64) が設けられている。

 上部軸受(61)は、クランク軸(90)の上端の 心部と可動スクロール(76)の突出部(76c)との の摺動部位に形成されている。中間軸受(62) 、クランク軸(90)の大径部位と、ハウジング (77)の貫通口の内周面との間の摺動部位に形 されている。下部軸受(63)は、クランク軸(90) の下端部と、上記下部軸受部材(60)の貫通口 内周面との間の摺動部位に形成されている 上部軸受(61)、中間軸受(62)、及び下部軸受(63 )は、いわゆるジャーナル軸受を構成してい 。スラスト軸受(64)は、可動スクロール(76)の 可動側鏡板(76b)の背面とハウジング(77)の支持 部との間の摺接部位に形成されている。

 上記樹脂製機能部品から成る各軸受け(61, 62,63,64)は、摺動部材を構成している。これら の摺動部材を構成する各軸受け(61,62,63,64)は ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフ ニレンサルファイド、ポリアミド樹脂のい れかで構成されている。

  〈冷凍機油について〉
 本実施形態では、ポリアルキレングリコー 、ポリオールエステル、及びポリビニルエ テルの3種類の基油のうち少なくとも1種類 主成分とする冷凍機油を圧縮機(30)に用いる とが可能である。例えば、本実施形態の冷 機油には、この3種類のうちポリビニルエー テルだけを主成分とする冷凍機油が用いられ ている。

 本実施形態の冷凍機油では、下記一般式( I)で表される構成単位を有するポリビニルエ テルを主成分とする冷凍機油が用いられて る。この構造のポリビニルエーテルは、ポ ビニルエーテルの中でも、上記分子式1で表 され且つ分子構造中に二重結合を1個有する 媒との相溶性に優れている。

 一般式(I)において、R1、R2、及びR3は、水 又は炭素数が1以上8以下の炭化水素基を表 ている。R1、R2、及びR3は、同一でもよく、 いに異なっていてもよい。また、一般式(I) おいては、構成単位毎において、R4が炭素数 が1又は2のアルキル基が40%以上100%以下、炭素 数が3又は4のアルキル基が0%以上60%以下の構 比を有している。

 上記冷凍機油は、動粘度が40℃において30cSt 以上400cSt以下で、流動点が-30℃以下で、表面 張力が20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下で、 らに密度が15℃において0.8g/cm 3 以上1.8g/cm 3 以下になっている。また、冷凍機油は、温度 30℃、相対湿度90%における飽和水分量が2000ppm 以上で、さらにアニリン点が所定の数値範囲 内の値となっている。ここで、「アニリン点 」は、例えば炭化水素系溶剤等の溶解性を示 す数値であり、試料(ここでは冷凍機油)を等 積のアニリンと混合して冷やしたときに、 いに溶解し合えなくなって濁りがみえ始め ときの温度を表すものである(JIS K 2256で規 定)。なお、これらの値は、冷媒が溶解しな 状態の冷凍機油自体の値である。この点は 後述する変形例1、変形例2、及びその他の実 施形態に記載した冷凍機油も同じである。

 本実施形態では、冷凍機油の主成分とな ポリビニルエーテルが、HFO-1234yfに対して相 溶性を有している。そして、冷凍機油の動粘 度は、40℃において400cSt以下である。このた 、HFO-1234yfが、冷凍機油にある程度溶解する 。また、冷凍機油の流動点が-30℃以下である ため、冷媒回路(10)において低温部位でも冷 機油の流動性が確保できる。また、表面張 が20℃において0.04N/m以下であるため、圧縮 (30)から吐出された冷凍機油が冷媒によって し流されにくくなるような大きな油滴にな にくい。従って、圧縮機(30)から吐出された 冷凍機油は、HFO-1234yfに溶解してHFO-1234yfと共 圧縮機(30)に戻ってくる。

 また、冷凍機油の動粘度が40℃において30 cSt以上であるため、動粘度が低すぎて油膜強 度が不十分になることはなく、潤滑性能が確 保される。また、表面張力が20℃において0.02 N/m以上であるため、圧縮機(30)内のガス冷媒 で小さな油滴になりにくく、圧縮機(30)から 量に冷凍機油が吐出されることがない。こ ため、圧縮機(30)における冷凍機油の貯留量 を充分に確保することができる。

 また、冷凍機油の飽和水分量が、温度30 /相対湿度90%において2000ppm以上であるため、 冷凍機油の吸湿性が比較的高いものとなる。 これにより、HFO-1234yf中の水分を冷凍機油に って有る程度捕捉することが可能となる。HF O-1234yfは、含有される水分の影響により、変 /劣化し易い分子構造を有する。よって、冷 凍機油による吸湿効果により、このような劣 化を抑制することができる。

 更に、冷凍機油のアニリン点は、上記樹 製機能部品との適合性を考慮して、その数 範囲を設定するのが良い。このようにアニ ン点を設定することで、例えば上述した樹 製機能部品を構成する軸受(61,62,63,64)と冷凍 機油との適合性が向上する。具体的に、アニ リン点が小さ過ぎると、冷凍機油が軸受(61,62 ,63,64)に浸透し易くなり、軸受(61,62,63,64)が膨 し易くなる。一方、アニリン点が大き過ぎ と、冷凍機油が軸受(61,62,63,64)と浸透し難く なり、軸受(61,62,63,64)が収縮し易くなる。そ で、冷凍機油のアニリン点を所定の数値範 とすることで、軸受(61,62,63,64)の膨潤/収縮変 形を防止できる。ここで、例えば各軸受(61,62 ,63,64)が膨潤/縮小変形してしまうと、摺動部 の隙間(ギャップ)を所望とする長さに維持 ることができない。その結果、摺動抵抗の 大や摺動部の剛性の低下を招く虞がある。 かしながら、上記のように冷凍機油のアニ ン点を所定の数値範囲とすることで、軸受(6 1,62,63,64)の膨潤/縮小変形が抑制されるので、 このような不具合を回避できる。

 また、本実施形態の冷凍機油には、添加 として、酸捕捉剤、極圧添加剤、酸化防止 、消泡剤、油性剤、及び銅不活性化剤が添 されている。なお、本実施形態では上記6つ の添加剤を全て使用しているが、各添加剤は 必要に応じて添加すればよく、添加剤が1つ けであってもよい。個々の添加剤の配合量 、冷凍機油に含まれる割合が0.01質量%以上5 量%以下になるように設定されている。なお 酸捕捉剤の配合量、及び酸化防止剤の配合 は、0.05質量%以上3質量%以下の範囲が好まし い。

 酸捕捉剤には、フェニルグリシジルエー ル、アルキルグリシジルエーテル、アルキ ングリコールグリシジルエーテル、シクロ キセンオキシド、α-オレフィンオキシド、 ポキシ化大豆油などのエポキシ化合物を用 ることができる。なお、これらの中で相溶 の観点から好ましい酸捕捉剤は、フェニル リシジルエーテル、アルキルグリシジルエ テル、アルキレングリコールグリシジルエ テル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフ ンオキシドである。アルキルグリシジルエ テルのアルキル基、及びアルキレングリコ ルグリシジルエーテルのアルキレン基は、 岐を有していてもよい。これらの炭素数は 3以上30以下であればよく、4以上24以下であ ばより好ましく、6以上16以下であれば更に ましい。また、α-オレフィンオキシドは、 炭素数が4以上50以下であればよく、4以上24 下であればより好ましく、6以上16以下であ ば更に好ましい。酸捕捉剤は、1種だけを用 いてもよく、複数種類を併用することも可能 である。

 なお、極圧添加剤には、リン酸エステル を含むものを用いることができる。リン酸 ステル類としては、リン酸エステル、亜リ 酸エステル、酸性リン酸エステル、及び酸 亜リン酸エステル等を用いることができる また、極圧添加剤には、リン酸エステル類 は、リン酸エステル、亜リン酸エステル、 性リン酸エステル、及び酸性亜リン酸エス ルのアミン塩を含むものを用いることもで る。

 リン酸エステルには、トリアリールホス ェート、トリアルキルホスフェート、トリ ルキルアリールホスフェート、トリアリー アルキルホスフェート、トリアルケニルホ フェート等がある。さらに、リン酸エステ を具体的に列挙すると、トリフェニルホス ェート、トリクレジルホスフェート、ベン ルジフェニルホスフェート、エチルジフェ ルホスフェート、トリブチルホスフェート エチルジブチルホスフェート、クレジルジ ェニルホスフェート、ジクレジルフェニル スフェート、エチルフェニルジフェニルホ フェート、ジエチルフェニルフェニルホス ェート、プロピルフェニルジフェニルホス ェート、ジプロピルフェニルフェニルホス ェート、トリエチルフェニルホスフェート トリプロピルフェニルホスフェート、ブチ フェニルジフェニルホスフェート、ジブチ フェニルフェニルホスフェート、トリブチ フェニルホスフェート、トリヘキシルホス ェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェー ト、トリデシルホスフェート、トリラウリル ホスフェート、トリミリスチルホスフェート 、トリパルミチルホスフェート、トリステア リルホスフェート、トリオレイルホスフェー ト等がある。

 また、亜リン酸エステルの具体的として 、トリエチルホスファイト、トリブチルホ ファイト、トリフェニルホスファイト、ト クレジルホスファイト、トリ(ノニルフェニ ル)ホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)ホ ファイト、トリデシルホスファイト、トリ ウリルホスファイト、トリイソオクチルホ ファイト、ジフェニルイソデシルホスファ ト、トリステアリルホスファイト、トリオ イルホスファイト等がある。

 また、酸性リン酸エステルの具体的とし は、2-エチルヘキシルアシッドホスフェー 、エチルアシッドホスフェート、ブチルア ッドホスフェート、オレイルアシッドホス ェート、テトラコシルアシッドホスフェー 、イソデシルアシッドホスフェート、ラウ ルアシッドホスフェート、トリデシルアシ ドホスフェート、ステアリルアシッドホス ェート、イソステアリルアシッドホスフェ ト等がある。

 また、酸性亜リン酸エステルの具体的と ては、ジブチルハイドロゲンホスファイト ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジ レイルハイドゲンホスファイト、ジステア ルハイドロゲンホスファイト、ジフェニル イドロゲンホスファイト等がある。以上の ン酸エステル類の中で、オレイルアシッド スフェート、ステアリルアシッドホスフェ トが好適である。

 また、リン酸エステル、亜リン酸エステ 、酸性リン酸エステル又は酸性亜リン酸エ テルのアミン塩に用いられるアミンのうち ノ置換アミンの具体例としては、ブチルア ン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シ ロヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウ ルアミン、ステアリルアミン、オレイルア ン、ベンジルアミン等がある。また、ジ置 アミンの具体例としては、ジブチルアミン ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ クロヘキシルアミン、ジオクチルアミン、 ラウリルアミン、ジステアリルアミン、ジ レイルアミン、ジベンジルアミン、ステア ル・モノエタノールアミン、デシル・モノ タノールアミン、ヘキシル・モノプロパノ ルアミン、ベンジル・モノエタノールアミ 、フェニル・モノエタノールアミン、トリ ・モノプロパノール等がある。また、トリ 換アミンの具体例としては、トリブチルア ン、トリペンチルアミン、トリヘキシルア ン、トリシクロヘキシルアミン、トリオク ルアミン、トリラウリルアミン、トリステ リルアミン、トリオレイルアミン、トリベ ジルアミン、ジオレイル・モノエタノール ミン、ジラウリル・モノプロパノールアミ 、ジオクチル・モノエタノールアミン、ジ キシル・モノプロパノールアミン、ジブチ ・モノプロパノールアミン、オレイル・ジ タノールアミン、ステアリル・ジプロパノ ルアミン、ラウリル・ジエタノールアミン オクチル・ジプロパノールアミン、ブチル ジエタノールアミン、ベンジル・ジエタノ ルアミン、フェニル・ジエタノールアミン トリル・ジプロパノールアミン、キシリル ジエタノールアミン、トリエタノールアミ 、トリプロパノールアミン等がある。

 また、上記以外の極圧添加剤を添加する とも可能である。例えば、モノスルフィド 、ポリスルフィド類、スルホキシド類、ス ホン類、チオスルフィネート類、硫化油脂 チオカーボネート類、チオフェン類、チア ール類、メタンスルホン酸エステル類等の 機硫黄化合物系の極圧添加剤、チオリン酸 リエステル類等のチオリン酸エステル系の 圧添加剤、高級脂肪酸、ヒドロキシアリー 脂肪酸類、多価アルコールエステル類、ア リル酸エステル類等のエステル系の極圧添 剤、塩素化炭化水素類、塩素化カルボン酸 導体等の有機塩素系の極圧添加剤、フッ素 脂肪族カルボン酸類、フッ素化エチレン樹 、フッ素化アルキルポリシロキサン類、フ 素化黒鉛等の有機フッ素化系の極圧添加剤 高級アルコール等のアルコール系の極圧添 剤、ナフテン酸塩類(ナフテン酸鉛等)、脂 酸塩類(脂肪酸鉛等)、チオリン酸塩類(ジア キルジチオリン酸亜鉛等)、チオカルバミン 塩類、有機モリブデン化合物、有機スズ化 物、有機ゲルマニウム化合物、ホウ酸エス ル等の金属化合物系の極圧添加剤を用いる とが可能である。

 また、酸化防止剤には、フェノール系の 化防止剤やアミン系の酸化防止剤を用いる とができる。フェノール系の酸化防止剤に 、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(DBPC) 、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,2 -メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノ ル)、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2 ,6-ジ-tert-ブチルフェノール等がある。また、 アミン系の酸化防止剤には、N,N’-ジイソプ ピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブ ル-p-フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフ ルアミン、N.N’-ジ-フェニル-p-フェニレン アミン等がある。なお、酸化防止剤には、 素を捕捉する酸素捕捉剤も用いることがで る。

 また、銅不活性化剤としては、ベンゾト アゾールやその誘導体等を用いることがで る。消泡剤としては、ケイ素化合物を用い ことができる。油性剤としては、高級アル ール類を用いることができる。

 また、本実施形態の冷凍機油には、必要 応じて、耐荷重添加剤、塩素捕捉剤、清浄 散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、安定剤、 食防止剤、及び流動点降下剤等を添加する とも可能である。個々の添加剤の配合量は 冷凍機油に含まれる割合が0.01質量%以上5質 %以下であればよく、0.05質量%以上3質量%以 であることが好ましい。また、本実施形態 冷凍機油は、塩素濃度が50ppm以下、さらに硫 黄濃度が50ppm以下になっている。

  -運転動作-
 上記空気調和装置(20)の運転動作について説 明する。この空気調和装置(20)は、冷房運転 暖房運転とが実行可能になっており、四路 換弁(13)によって冷房運転と暖房運転との切 換えが行われる。

 《冷房運転》
 冷房運転時には、四路切換弁(13)が第1状態 設定される。この状態で、圧縮機(30)の運転 行われると、圧縮機(30)から吐出された高圧 冷媒が、室外熱交換器(11)において室外空気 放熱して凝縮する。室外熱交換器(11)で凝縮 た冷媒は、各室内回路(17)へ分配される。各 室内回路(17)では、流入した冷媒が、室内膨 弁(16)で減圧された後に、室内熱交換器(15)に おいて室内空気から吸熱して蒸発する。一方 、室内空気は冷却されて室内へ供給される。

 各室内回路(17)で蒸発した冷媒は、他の室 内回路(17)で蒸発した冷媒と合流して、室外 路(9)へ戻ってくる。室外回路(9)では、各室 回路(17)から戻ってきた冷媒が、圧縮機(30)で 再び圧縮されて吐出される。なお、冷房運転 中は、各室内膨張弁(16)の開度が、室内熱交 器(15)の出口における冷媒の過熱度が一定値( 例えば5℃)になるように過熱度制御される。

 《暖房運転》
 暖房運転時には、四路切換弁(13)が第2状態 設定される。この状態で、圧縮機(30)の運転 行われると、圧縮機(30)から吐出された高圧 冷媒が、各室内回路(17)へ分配される。各室 回路(17)では、流入した冷媒が室内熱交換器( 15)において室内空気へ放熱して凝縮する。一 方、室内空気は加熱されて室内へ供給される 。室内熱交換器(15)で凝縮した冷媒は、室外 路(9)で合流する。

 室外回路(9)で合流した冷媒は、室外膨張 (12)で減圧された後、室外熱交換器(11)にお て室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱 換器(11)で蒸発した冷媒は、圧縮機(30)で再び 圧縮されて吐出される。なお、暖房運転中は 、各室内膨張弁(16)の開度が、室内熱交換器(1 5)の出口における冷媒の過冷却度が一定値(例 えば5℃)になるようにサブクール制御される

  -実施形態の効果-
 本実施形態では、冷媒回路(10)の冷媒として 、分子式1:C 3 H m F n (但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の 係が成立する。)で表され且つ分子構造中に 重結合を1個有する冷媒から成る冷媒(即ち HFO-1234yf)を用いている。これにより、冷凍サ イクルの理論上の成績係数(COP)が高い空気調 装置(20)を提供できる。

 一方、HFO-1234yfは、二重結合を有する等の 理由により比較的不安定な分子構造であり、 冷媒が劣化して不純物等が生成され易い。従 って、このような不純物により、空気調和装 置(10)の樹脂製機能部品(即ち、軸受(61,62,63,64) )が化学的/物理的に変性して劣化してしまう がある。しかしながら、本発明では、各軸 (61,62,63,64)が、ポリテトラフルオロエチレン 、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド 樹脂のいずれかで構成されており、これらの 樹脂材料は、冷媒から生成される不純物に対 して比較的高い安定性を有する。従って、上 記の不純物の影響により、軸受(61,62,63,64)が 化してしまうのを回避でき、軸受(61,62,63,64) は、所望とする摺動性能を得ることができ 。

 また、本実施形態では、温度30℃、相対 度90%における飽和水分量が2000ppm以上の冷凍 油を用いているので、冷媒中の水分を冷凍 油に捕捉させることができる。このため、 分の影響によりHFO-1234yfが劣化してしまうの を防止できる。また、冷凍機油は、塩素濃度 が50ppm以下であるので、塩素成分の影響によ 冷媒の劣化が促進してしまうことも防止で る。更に、冷凍機油は、硫黄濃度が50ppm以 であるので、硫黄成分の影響により、冷媒 劣化が促進してしまうことも防止できる。 上のように、本実施形態では、冷媒の劣化 極力防止するように冷凍機油を選定してい ので、冷媒の劣化に起因する不純物の生成 抑えることができ、これにより軸受(61,62,63,6 4)の変性/劣化を効果的に防止できる。

 また、冷凍機油は、ポリアルキレングリ ール、ポリオールエステル、及びポリビニ エーテルのうち少なくとも1つを主成分とし ている。これにより、冷媒と冷凍機油とが相 互に溶け易くなる。このため、冷媒回路(10) に冷凍機油が流出しても、この冷凍機油は 媒に溶け込んで圧縮機(30)に返送され易くな 。その結果、圧縮機(30)における油上がりを 抑制することができるので、圧縮機(30)の冷 機油不足、更には潤滑不良を未然に回避で る。従って、圧縮機(30)の信頼性を向上させ ことができる。

 一方、このような冷凍機油は、長期の冷 サイクルにより劣化して不純物が生成する とがある。しかしながら、本実施形態の軸 (61,62,63,64)は、ポリテトラフルオロエチレン 又はポリアミド樹脂で構成されているので、 冷凍機油の劣化に起因する不純物の影響によ り、軸受(61,62,63,64)が化学的/物理的に変性し しまうことも回避される。

 更に、上記分子式1で表され且つ分子構造 中に二重結合を1個有する冷媒に、いわゆる 圧冷媒であるジフルオロメタンが加えられ いる。このため、冷媒の圧力損失が空気調 装置(20)の運転効率に与える影響を小さくす ことができるので、空気調和装置(20)の実際 の運転効率を向上させることができる。

  -実施形態の変形例1-
 本実施形態の変形例1では、ポリアルキレン グリコール、ポリオールエステル、及びポリ ビニルエーテルの3種類の基油のうちポリオ ルエステルだけを主成分とする冷凍機油が 圧縮機(30)に用いられている。ポリオールエ テルには、「脂肪族多価アルコールと直鎖 若しくは分岐鎖状の脂肪酸とのエステル」 「脂肪族多価アルコールと直鎖状若しくは 岐鎖状の脂肪酸との部分エステル」、及び 「脂肪族多価アルコールと炭素数が3以上9 下の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪酸との 分エステルと、脂肪族二塩基酸若しくは芳 族二塩基酸とのコンプレックスエステル」 何れかが用いられている。これらのポリオ ルエステルは、ポリオールエステルの中で 、上記分子式1で表され且つ分子構造中に二 結合を1個有する冷媒との相溶性に優れてい る。

 「脂肪族多価アルコールと直鎖状又は分 鎖状の脂肪酸とのエステル又は部分エステ 」を形成する脂肪族多価アルコールには、 チレングリコール、プロピレングリコール ブチレングリコール、ネオペンチルグリコ ル、トリメチロールエタン、ジトリメチロ ルエタン、トリメチロールプロパン、ジト メチロールプロパン、グリセリン、ペンタ リスリトール、ジペンタエリスリトール、 リペンタエリスリトール、ソルビトール等 用いることができる。このうち脂肪族多価 ルコールとしては、ペンタエリスリトール ジペンタエリスリトール、及びトリペンタ リスリトールが好ましい。

 また、脂肪酸には、炭素数が3以上12以下 ものを用いることができ、例えばプロピオ 酸、酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロン 、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デ ン酸、ドデカン酸、イソ吉草酸、ネオペン ン酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸、2-メチ ヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、イソオ タン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2,2- メチルオクタン酸、2-ブチルオクタン酸、3, 5,5-トリメチルヘキサン酸を用いることがで る。脂肪酸としては、炭素数が5以上12以下 脂肪酸が好ましく、炭素数が5以上9以下の脂 肪酸が更に好ましい。具体的には、吉草酸、 ヘキサン酸、ヘプタン酸、2-メチルヘキサン 、2-エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、 ソノナン酸、イソデカン酸、2,2-ジメチルオ タン酸、2-ブチルオクタン酸、3,5,5-トリメ ルヘキサン酸等が好ましい。

 また、「脂肪族多価アルコールと炭素数 3以上9以下の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂 酸との部分エステルと、脂肪族二塩基酸若 くは芳香族二塩基酸とのコンプレックスエ テル」では、炭素数が5以上7以下の脂肪酸が 好ましく、炭素数が5又は6の脂肪酸が更に好 しい。具体的には、吉草酸、ヘキサン酸、 ソ吉草酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸又は その混合物が好ましい。また、炭素数が5の 肪酸と炭素数が6の脂肪酸を重量比で10:90以 90:10以下の割合で混合した脂肪酸を使用する ことができる。

 また、脂肪族二塩基酸には、コハク酸、 ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ イン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ド カン二酸、トリデカン二酸、ドコサンナ二 がある。また、芳香族二塩基酸には、フタ 酸、イソフタル酸がある。コンプレックス ステルを調製するためのエステル化反応は 多価アルコールと二塩基酸を所定の割合で 応させて部分エステル化した後に、その部 エステルと脂肪酸とを反応させる。なお、 塩基酸と脂肪酸の反応順序を逆にしてもよ 、二塩基酸と脂肪酸を混合してエステル化 供してもよい。

  -実施形態の変形例2-
 本実施形態の変形例2では、ポリアルキレン グリコール、ポリオールエステル、及びポリ ビニルエーテルの3種類の基油のうちポリア キレングリコールだけを主成分とする冷凍 油が、圧縮機(30)に用いられている。

 この変形例2では、分子式2:R1(R2) m (R3O) n R4(但し、m及びnは整数で、R1及びR4は、水素、 炭素数が1以上6以下のアルキル基、又はアリ ル基を表し、R2及びR3は、炭素数が1以上4以 のアルキル基を表す。)で表される分子構造 のポリアルキレングリコールが用いられてい る。この分子構造のポリアルキレングリコー ルは、ポリアルキレングリコールの中でも、 上記分子式で表され且つ分子構造中に二重結 合を1個有する冷媒との相溶性に優れている

  -実施形態の変形例3-
 本発明の樹脂材料は、冷媒と接触可能に配 された樹脂製機能部品であれば、圧縮機(30) の内側、及び外側(冷媒回路(10)に接続される 機能部品)についても適用可能である。この 場合、樹脂製機能部品としては、ポリテトラ フルオロエチレン、ポリフェニレンサルファ イド、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ク ロロブレンゴム、シリコンゴム、水素化ニト リルゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴムのいず れかで構成されるのが好ましい。この点につ いて、以下に詳細に説明する。

  〈摺動部材〉
 例えば可動スクロール(76)、固定スクロール (75)、オルダムリング(79)等の摺動部の表面に フッ素系樹脂、例えばポリテトラフルオロ チレン、ポリフェニレンサルファイド、ポ アミド樹脂のいずれかから成る摺動部材を 成するようにしても良い。

 また、圧縮機(30)の外側の冷媒回路(10)の 機能部品に適用される摺動部材について、 発明の樹脂材料を適用しても良い。具体的 は、例えば四路切換弁(13)の弁体の摺動部に フッ素系樹脂、例えばポリテトラフルオロ チレン、ポリフェニレンサルファイド、ポ アミド樹脂のいずれかから成る摺動部材を 用しても良い。特に、弁体の摺動部では、 記ポリアミド樹脂として66ナイロンを用い ことが好ましい。

  〈シール部材〉
 本発明の樹脂材料を冷媒の漏れを防止する めのシール部材に適用することもできる。 えば図4では、可動スクロール(76)の可動側 板(76b)とハウジング(77)の上面との間にシー 部材としてのシールリング(65)が介設されて る。シールリング(65)は、ハウジング(77)の 側の空間を内外に仕切っている。つまり、 ールリング(65)は、その内周側の高圧冷媒が その外周側、即ち圧縮室(30)の吸入側に漏れ るのを防止している。このようなシール部材 (65)は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ ェニレンサルファイド、クロロブレンゴム シリコンゴム、水素化ニトリルゴム、フッ 化ゴム、ヒドリンゴムのいずれかで構成さ るのが好ましい。これらの樹脂材料は、冷 の劣化により生成した不純物に対して、比 的高い安定性を有する。その結果、上記の 純物の生成に伴って、シールリング(65)が劣 してしまうことが抑制される。

 また、本発明が適用されるシール部材と ては、例えばケーシング(70)の内周面とハウ ジング(77)の外周面との間に介設されるオー ングや、吸入管(56)や吐出管(57)の配管継手部 に介設されるパッキン等も挙げられる。

 また、圧縮機(30)の外側の冷媒回路(10)の 機能部品に適用されるシール部材について 本発明の樹脂材料を適用することもできる 具体的には、例えば四路切換弁(13)、各膨張 (12,16a,16b,16c)、その他電磁弁等において、冷 媒が外部へ流出するのを防止するためのシー ル部材を、ポリテトラフルオロエチレン、ポ リフェニレンサルファイド、クロロブレンゴ ム、シリコンゴム、水素化ニトリルゴム、フ ッ素化ゴム、ヒドリンゴムのいずれかで構成 しても良い。

 また、本発明の樹脂材料をシール部材(65) に適用する場合にも、冷凍機油のアニリン点 を所定の数値範囲の値にすることが好ましい 。これにより、シール部材(65)の膨潤や収縮 抑制することができる。その結果、シール 材(65)のシール性能の低下や劣化を防止でき シール部材(65)のシール性能を長期に亘って 確保することができる。

  〈その他の構造部品〉
 更に、本発明の樹脂材料を上記以外の他の 材(構造部品)に適用しても良い。具体的に 、例えば冷凍機油を所定箇所に案内するた のパイプや、四路切換弁(13)、膨張弁(12,16a,16 b,16c)、その他電磁弁等の弁体そのものを、フ ッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂 (好ましくはナイロン66)のいずれかで構成す ようにしても良い。

 《その他の実施形態》
 上記実施形態は、以下のように構成しても い。

 上記実施形態について、ポリアルキレン リコール、ポリオールエステル、及びポリ ニルエーテルのうち2つ以上を主成分とする 冷凍機油を用いてもよい。

 また、上記実施形態では、冷媒回路(10)の冷 媒として、上記分子式で表され且つ分子構造 中に二重結合を1個有する冷媒のうちHFO-1234yf 外の冷媒の単一冷媒を用いてもよい。具体 には、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン( HFO-1225ye」といい、化学式はCF 3 -CF=CHFで表される。)、1,3,3,3-テトラフルオロ-1 -プロペン(「HFO-1234ze」といい、化学式はCF 3 -CH=CHFで表される。)、1,2,3,3-テトラフルオロ-1 -プロペン(「HFO-1234ye」といい、化学式はCHF 2 -CF=CHFで表される。)、3,3,3-トリフルオロ-1-プ ペン(「HFO-1243zf」といい、化学式はCF 3 -CH=CH 2 で表される。)、1,2,2-トリフルオロ-1-プロペ (化学式はCH 3 -CF=CF 2 で表される。)、2-フルオロ-1-プロペン(化学 はCH 3 -CF=CH 2 で表される。)等を用いることができる。

 また、上記実施形態について、上記分子 で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有 する冷媒(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、 1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3-テ ラフルオロ-1-プロペン、3,3,3-トリフルオロ-1 -プロペン、1,2,2-トリフルオロ-1-プロペン、2- フルオロ-1-プロペン)に、HFC-32(ジフルオロメ ン)、HFC-125(ペンタフルオロエタン)、HFC-134(1 ,1,2,2―テトラフルオロエタン)、HFC-134a(1,1,1,2 テトラフルオロエタン)、HFC-143a(1,1,1-トリフ ルオロエタン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン) 、HFC-161、HFC-227ea、HFC-236ea、HFC-236fa、HFC-365mfc メタン、エタン、プロパン、プロペン、ブ ン、イソブタン、ペンタン、2-メチルブタ 、シクロペンタン、ジメチルエーテル、ビ -トリフルオロメチル-サルファイド、二酸化 炭素、ヘリウムのうち少なくとも1つを加え 混合冷媒を用いてもよい。

 例えば、HFO-1234yfとHFC-32の2成分からなる 合冷媒を用いてもよい。この場合は、78.2質 %のHFO-1234yfと、21.8質量%のHFC-32とからなる混 合冷媒を用いることができる。なお、HFO-1234y fとHFC-32の混合冷媒は、HFO-1234yfの割合が70質 %以上94質量%以下でHFC-32の割合が6質量%以上30 質量%以下であればよく、好ましくは、HFO-1234 yfの割合が77質量%以上87質量%以下でHFC-32の割 が13質量%以上23質量%以下であればよく、更 好ましくは、HFO-1234yfの割合が77質量%以上79 量%以下でHFC-32の割合が21質量%以上23質量%以 下であれば更に好ましい。

 また、HFO-1234yfとHFC-125の混合冷媒を用い もよい。この場合は、HFC-125の割合が10質量% 上であるのが好ましく、さらに10質量%以上2 0質量%以下であるのが更に好ましい。

 また、HFO-1234yfとHFC-32とHFC-125の3成分から る混合冷媒を用いてもよい。この場合は、5 2質量%のHFO-1234yfと、23質量%のHFC-32と、25質量% のHFC-125とからなる混合冷媒を用いることが きる。

 また、上記実施形態について、ケイ酸や 成ゼオライトが乾燥剤として充填された乾 機を冷媒回路(10)に設けてもよい。

 また、上記実施形態について、圧縮機(30) が、横型であってもよく、レシプロ式、ロー タリ式、及びスクリュー式などの他のタイプ の圧縮機であってもよい。

 また、上記実施形態について、冷凍装置( 20)が、暖房専用の空気調和装置であってもよ いし、食品を冷却するための冷蔵庫や冷凍庫 であってもよいし、空調機と冷蔵庫や冷凍庫 とを組み合せた冷凍装置であってもよいし、 冷媒回路(10)の放熱器で水を加熱する給湯装 であってもよい。

 なお、以上の実施形態は、本質的に好ま い例示であって、本発明、その適用物、あ いはその用途の範囲を制限することを意図 るものではない。

 以上説明したように、本発明は、冷凍サ クルを行う冷凍装置について有用である。