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Patent Searching and Data


Title:
ANIMAL HAVING MODIFICATION IN MGAT2 GENE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093464
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide: a gene-modified non-human animal having inactivated MGAT2 gene, which is useful for the search of the function of MGAT2 in vivo; a gene-modified non-human animal cell; a method for screening of a compound capable of inhibiting the activity of MGAT2; a compound capable of inhibiting the activity of MGAT2; and a method for detecting a disease induced by abnormal lipid metabolism based on the expression level or activity of MGAT2. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Disclosed are: a gene-modified non-human mammal having the artificially inhibited expression of MGAT2 gene; and a method for screening of a compound by using the mammal. The mammal and the method enable to prevent or treat a disease induced by abnormal lipid metabolism. Also disclosed is the screening of a compound capable of inhibiting or enhancing the function of MAGT2. The screening enables to prevent or treat a disease induced by abnormal lipid metabolism.

Inventors:
ARAGANE KATSUYA (JP)
ITO YOSHIKI (JP)
OHBUCHI KATSUYA (JP)
KUSUNOKI JUN (JP)
TAMAI YOSHITAKA (JP)
TOKUSHIMA YUKINA (JP)
HARADA NAOMOTO (JP)
MARUYAMA TAKAHARU (JP)
MURAI NAOMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/073159
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
November 30, 2007
Export Citation:
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Assignee:
BANYU PHARMA CO LTD (JP)
ARAGANE KATSUYA (JP)
ITO YOSHIKI (JP)
OHBUCHI KATSUYA (JP)
KUSUNOKI JUN (JP)
TAMAI YOSHITAKA (JP)
TOKUSHIMA YUKINA (JP)
HARADA NAOMOTO (JP)
MARUYAMA TAKAHARU (JP)
MURAI NAOMI (JP)
International Classes:
A01K67/027; A61K45/00; A61P1/14; A61P1/16; A61P1/18; A61P3/04; A61P3/06; A61P3/10; A61P5/14; A61P7/06; A61P9/08; A61P9/10; A61P9/14; A61P13/12; A61P27/02; A61P29/00; A61P31/00; A61P35/00; A61P35/02; A61P43/00; C12N5/10; C12N15/09; C12Q1/02; C12Q1/68; G01N33/15; G01N33/50
Other References:
ERIC YEN C.-L. ET AL.: "MGAT2, a monoacylglycerol acyltransferase expressed in the small intestine", J. BIOL. CHEM., vol. 278, no. 20, 2003, pages 18532 - 18537, XP002979762
ERIC YEN C.-L. ET AL.: "The triacylglycerol synthesis enzyme DGAT1 also catalyzes the synthesis of diacylglycerols, waxes, and retinyl esters", JOURNAL OF LIPID RESEARCH, vol. 46, no. 7, 2005, pages 1502 - 1511
CAO J. ET AL.: "A predominant role of acyl-CoA: monoacylglycerol acyltransferase-2 in dietary fat absorption implicated by tissue distribution, subcellular localization, and up-regulation by high fat diet", J. BIOL. CHEM., vol. 279, no. 18, 2004, pages 18878 - 18886, XP003024675, DOI: doi:10.1074/JBC.M313272200
CHON S.-H. ET AL.: "Intestinal Monoacylglycerol Metabolism. DEVELOPMENT AND NUTRITIONAL REGULATION OF MONOACYLGLYCEROL LIPASE AND MONOACYLGLYCEROL ACYLTRANSFERASE", J. BIOL. CHEM., vol. 282, no. 46, 16 November 2007 (2007-11-16), pages 33346 - 33357
Attorney, Agent or Firm:
BANYU PHARMACEUTICAL CO., LTD. (1-13-12 Kudankit, Chiyoda-kuTokyo 67, JP)
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Claims:
 MGAT2遺伝子の発現が人為的に抑制されていることを特徴とする遺伝子改変非ヒト哺乳動物。
 MGAT2遺伝子の遺伝子対の一方又は双方に外来遺伝子が挿入されていることを特徴とする遺伝子改変非ヒト哺乳動物。
 外来遺伝子がloxP配列又はfrt配列で挟まれたネオマイシン抵抗性遺伝子(neo)である、請求項2に記載の遺伝子改変非ヒト哺乳動物。
 脂質代謝性疾患のモデル動物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子改変非ヒト哺乳動物。
 哺乳動物がマウスである、請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子改変非ヒト哺乳動物。
 MGAT2遺伝子の発現が人為的に抑制されていることを特徴とする遺伝子改変非ヒト哺乳動物細胞。
 MGAT2遺伝子の遺伝子対の一方又は双方に外来遺伝子が挿入されていることを特徴とする遺伝子改変非ヒト哺乳動物細胞。
 MGAT2遺伝子の遺伝子対の一方又は双方に外来遺伝子を挿入しMGAT2遺伝子の発現を不活性化する工程を含む、遺伝子改変非ヒト哺乳動物の製造方法。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子改変非ヒト哺乳動物又は該哺乳動物に由来する組織若しくは細胞を用いることを特徴とする、脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療に有効な化合物のスクリーニング方法。
 脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療に有効な化合物のスクリーニング方法であって、
 請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子改変非ヒト哺乳動物に被検化合物を投与する工程と、
 被検化合物がMGAT2の機能を代替しているか否かを判定する工程と、
 被検化合物を投与していない場合と比較して、MGAT2の機能を代替する化合物を選択する工程と、を有する化合物のスクリーニング方法。
 脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療に有効な化合物のスクリーニング方法であって、
 被検化合物をMGAT2に接触させる工程と、
 該MGAT2の活性を測定する工程と、
 被検化合物を投与していない場合と比較して、該MGAT2の活性を抑制又は増強する被検化合物を選択する工程と、を有する化合物のスクリーニング方法。
 脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療に有効な化合物のスクリーニング方法であって、
 MGAT2を発現する細胞に被検化合物を接触させる工程と、
 該MGAT2の発現レベルを測定する工程と、
 被検化合物を接触させていない場合と比較して、該MGAT2の発現レベルを減少又は増加させた被検化合物を選択する工程と、を有する化合物のスクリーニング方法。
 脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療に有効な化合物のスクリーニング方法であって、
 MGAT2をコードするDNAのプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを有する細胞又は細胞抽出液を提供する工程と、
 該細胞又は該細胞抽出液に被検化合物を接触させる工程と、
 該細胞又は該細胞抽出液における該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程と、
 被検化合物を接触させていない場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを減少又は増加させた被検化合物を選択する工程と、を有する化合物のスクリーニング方法。
 MGAT2の発現又は活性を低下させる化合物を有効成分とする、脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療のための薬剤。
 MGAT2の発現又は活性を増強させる化合物を有効成分とする、脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療のための薬剤。
 MGAT2遺伝子の発現量を測定する工程を含む、脂質代謝異常に起因する疾患の検査方法。
 MGAT2遺伝子における変異を検出する工程を含む、脂質代謝異常に起因する疾患の検査方法。
Description:
MGAT2遺伝子改変動物

 本発明は、MGAT2遺伝子が不活性化された 伝子改変非ヒト哺乳動物、遺伝子改変非ヒ 哺乳動物細胞、MGAT2阻害作用を有する化合物 のスクリーニング方法及びMGAT2の発現等を指 とした疾患の検査方法等に関する。

 近年の食生活の変化により、体内のエネ ギー収支のアンバランスを背景とした肥満 糖尿病、高血圧、高脂血症が増加し、動脈 化性疾患の発症要因として問題となってい 。動脈硬化性疾患は、悪性腫瘍とともに主 な死因であることが知られている。なかで 、高脂血症は血清コレステロール又は中性 肪(TG:Triglyceride又はTriacylglycerol)が高値を示 病態であり、遺伝的に発生する場合もある 、多くは、過食、過栄養、運動不足などの 天的な要因の占める割合が多い。

 動物細胞は、脂質を不溶性のTGとして体 に大量に蓄え、エネルギーが必要になると みやかに動員し、分解して活動に必要なエ ルギーを取り出す。カロリー摂取が消費量 上回ると超過分は脂肪として蓄えられるこ になる。すなわち、食事の中に存在するTGは 腸管にて消化液中のリパーゼにより1位と3位 ある脂肪酸のエステル結合が切断され、2- ノアシルグリセロール(2-MG)と遊離脂肪酸(FFA) とに分解される。これらは胆汁酸とともにミ セル化を受け、小腸上皮細胞に吸収される。 こうして吸収された2-MGとFFAを利用して、小 細胞は再びTGを合成する。小腸細胞でのTG再 成には2-MG経路とαグリセロリン酸経路の二 の経路がある。通常、TGの80%は2-MG経路で再 成され、残りの20%はαグリセロリン酸経路 再合成される。2-MG経路で生成されたTGは早 ターンオーバーでカイロミクロン(CM)の生成 利用され、一方、αグリセロリン酸経路で 成されたTGは小腸細胞内で遅いターンオーバ ーを示し、一旦蓄積された後、再び分解を受 け、CM生成に利用されることもある。こうし 合成されたCMは腸管リンパへと分泌され、 中に入る(非特許文献1)。

 2-MG経路におけるTGの合成には、MGAT(Acyl-CoA :monoacylglycerol acyltransferase)やDGAT(Acyl-CoA:dinoacyl glycerol acyltransferase)といった酵素が特異的に 与する。MGATは、リパーゼによって生成され た2-MGとfatty acyl-CoAとの結合によってジアシ グリセロールを生成する反応を触媒し、DGAT 、MGATの触媒反応によって生成されたジアシ ルグリセロールとfatty acyl-CoAとの結合によっ てTGを生成する反応を触媒する。

 このようなMGATが肝臓や白色脂肪細胞に存 在することは以前より示唆されていたが(非 許文献2)、そのファミリーの一つであるMGAT1 遺伝子がクローニングされたのは近年のこ であり、腎臓、胃、白色脂肪細胞及び褐色 肪細胞に高発現する分子としてマウスより 離された(非特許文献3)。しかし、MGATの活性 は小腸で顕著に観察されるにもかかわらず、 MGAT1は小腸には発現しておらず、MGATファミリ ーに属する別の分子が存在すると考えられた 。

 その後、Caoらは、MGAT1のcDNA配列をもとに 同性検索によりMGAT2をクローニングし、マ ス小腸由来のcDNAライブラリーより全長cDNAを 単離した(非特許文献4)。マウスMGAT2は334アミ 酸からなる38.6kDaのタンパク質であり、N末 に40アミノ酸のシグナルペプチドを有し少な くとも一つの膜貫通領域を有し、小腸及び腎 臓で強い発現が見られるほか、胃、肝臓、骨 格筋、脾臓でも弱く発現することが確認され た(非特許文献4)。また、Yenらは、ヒト及びマ ウスMGAT2をクローニングし、いずれも334アミ 酸からなり、ヒト(Accession No. NM_ 025098:配 番号1)とマウス(Accession No. AY157609:配列番号2 )のアミノ酸配列において81%の相同性を有す ことを報告した(非特許文献5)。

 試験管内の実験では、MGAT2を導入したSf9 胞及びCOS-7細胞を用いて、MGAT活性は細胞膜 おいて増加しており、また、MGAT2が、rac-1-mon ooleoylglycerol及びsn-2-monooleoylglycerolのアシル化 応を触媒することが確認されている(非特許 文献5)。また、マウスMGAT2を発現させたCOS-7細 胞を用いた実験において、MGAT2の活性はホス ァチジルコリン(Phosphatidylcholine)、ホスファ ジルセリン(Phosphatidylserine)及びホスファチ ン酸(phosphatidic)によって刺激され、非イオン 性及び双性イオン性の界面活性剤によって阻 害されたことより、DGATと機能的に相違する とが示された(非特許文献6)。

臨床医薬、第21巻、第2号、216頁、2005年 J. Biol. Chem、第259巻、8934頁、1984年 Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第99巻、8512頁、2002年 J. Biol. Chem、第278巻、13860頁、2003年 J. Biol. Chem、第278巻、18532頁、2003年 J. Biol. Chem、第278巻、25657頁、2003年

 しかしながら、MGAT2が生体内で具体的に のような作用機序で生理機能を発揮してい かについてはまだ知見がなく、脂質代謝や の異常によって生じる生理現象や疾患との 連についても直接的な関連を示唆する知見 得られていないのが現状であった。また、MG AT2の生体内での機能を検証するための動物モ デルも作出されていないのが現状であった。

 本発明は、上記従来技術の有する課題に みてなされたものであり、MGAT2の生体内で 機能を探索することができる、MGAT2遺伝子が 不活性化された遺伝子改変非ヒト動物及び遺 伝子改変非ヒト動物細胞を提供することを目 的とする。また、MGAT2の活性を阻害する化合 のスクリーニング方法及びMGAT2の活性を阻 する化合物を提供することを目的とする。 らに、MGAT2の発現量又は活性に基づいて脂質 代謝異常に起因する疾患を検査する方法を提 供することを目的とする。

 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭 研究を重ね、生体内でのMGAT2の生理的役割 明らかにすることを目的として、まず相同 換えによりマウスMGAT2を破壊した遺伝子改変 マウスを作製した。そして、MGAT2欠損マウス おける体重、体脂肪率、摂食量、各種血中 ラメーター、肝臓中TG等を測定した。その 果、当該マウスでは、野生型マウスと比較 て、摂食量とは関係なしに体脂肪量が減少 、血漿TG、総コレステロール、グルコースが 有意に低下すること、血中遊離脂肪酸及び肝 臓中TG量が低下傾向にあることを見出し、本 明を完成した。

 すなわち、本発明の遺伝子改変非ヒト哺 動物は、MGAT2遺伝子の発現が人為的に抑制 れていることを特徴とする。かかる動物を いることにより、MGAT2を標的とする化合物の 評価やスクリーニングが可能となる。また、 生体内におけるMGAT2の機能解析用ツールとし も有用である。

 また、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動 は、MGAT2遺伝子の遺伝子対の一方又は双方 外来遺伝子が挿入されていることを特徴と る。

 さらに、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳 物は、外来遺伝子がloxP配列又はfrt配列で挟 まれたネオマイシン抵抗性遺伝子(neo)である とを特徴とする。かかる動物を用いること より、ネオマイシン抵抗性遺伝子を除いたM GAT2欠損マウスを作製することが可能となる

 また、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物 、脂質代謝性疾患のモデル動物であること 特徴とする、
 さらに、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動 は、哺乳動物がマウスであることが好まし 。

 また、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動 細胞は、MGAT2遺伝子の発現が人為的に抑制 れていることを特徴とする。かかる動物を いることにより、MGAT2を標的とする化合物の 評価やスクリーニングが可能となる。また、 生体内におけるMGAT2の機能解析用ツールとし も有用である。

 さらに、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳 物細胞は、MGAT2遺伝子の遺伝子対の一方又 双方に外来遺伝子が挿入されていることを 徴とする。

 また、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動 の製造方法は、MGAT2遺伝子の遺伝子対の一 又は双方に外来遺伝子を挿入しMGAT2遺伝子の 発現を不活性化する工程を含むことを特徴と する。

 また、本発明の脂質代謝異常に起因する 患の予防又は治療に有効な化合物のスクリ ニング方法は、上記のいずれかの遺伝子改 非ヒト哺乳動物又は該哺乳動物に由来する 織若しくは細胞を用いることを特徴とする

 さらに、本発明の化合物のスクリーニン 方法は、脂質代謝異常に起因する疾患の予 又は治療に有効な化合物のスクリーニング 法であって、上記のいずれかの遺伝子改変 ヒト哺乳動物に被検化合物を投与する工程 、被検化合物がMGAT2の機能を代替している 否かを判定する工程と、被検化合物を投与 ていない場合と比較して、MGAT2の機能を代替 する化合物を選択する工程と、を有する。か かるスクリーニング方法により、MGAT2の機能 増強する作用を有する化合物をスクリーニ グすることが可能となる。

 また、本発明の化合物のスクリーニング( 評価)方法は、脂質代謝異常に起因する疾患 予防又は治療に有効な化合物の評価方法で って、上記のいずれかの遺伝子改変非ヒト 乳動物及び野生型非ヒト哺乳動物に被検化 物を投与する工程と、遺伝子改変非ヒト哺 動物及び野生型非ヒト哺乳動物における表 型(例えば、体重、体脂肪量、TG量、コレス ロール、グルコース、遊離脂肪酸)を解析す 工程と、遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び野 型非ヒト哺乳動物における表現型を比較し 野生型非ヒト哺乳動物にのみ脂質代謝異常 善作用を示した化合物を選択する工程と、 有する。かかるスクリーニング方法により MGAT2の機能を阻害する作用を有する化合物 スクリーニングすることが可能となる。

  また、本発明の化合物のスクリーニング方法 は、脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は 治療に有効な化合物のスクリーニング方法で あって、被検化合物をMGAT2に接触させる工程 、当該MGAT2の活性を測定する工程と、被検 合物を投与していない場合と比較して、該MG AT2の活性を抑制又は増強する被検化合物を選 択する工程と、を有する。かかるスクリーニ ング方法により、MGAT2の機能を阻害又は増強 る作用を有する化合物のスクリーニングが 能となる。

 さらに、本発明の化合物の評価方法は、 質代謝異常に起因する疾患の予防又は治療 有効な化合物のスクリーニング方法であっ 、MGAT2を発現する細胞に被検化合物を接触 せる工程と、当該MGAT2の発現レベルを測定す る工程と、被検化合物を接触させていない場 合と比較して、当該MGAT2の発現レベルを減少 は増加させた被検化合物を選択する工程と を有する。かかるスクリーニング方法によ 、MGAT2の機能を阻害又は増強する作用を有 る化合物のスクリーニングが可能となる。

 また、本発明の化合物の評価方法は、脂 代謝異常に起因する疾患の予防又は治療に 効な化合物のスクリーニング方法であって MGAT2をコードするDNAのプロモーター領域の 流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDN Aを有する細胞又は細胞抽出液を提供する工 と、当該細胞又は該細胞抽出液に被検化合 を接触させる工程と、当該細胞又は該細胞 出液における該レポーター遺伝子の発現レ ルを測定する工程と、被検化合物を接触さ ていない場合と比較して、該レポーター遺 子の発現レベルを減少又は増加させた被検 合物を選択する工程と、を有する。かかる クリーニング方法により、MGAT2の機能を阻害 又は増強する作用を有する化合物のスクリー ニングが可能となる。

 さらに、本発明の脂質代謝異常に起因す 疾患の予防又は治療のための薬剤は、MGAT2 発現又は活性を低下させる化合物を有効成 とする。ここで、当該化合物は、上記のい れかのスクリーニング方法により選択され ものであってもよい。

 また、本発明の脂質代謝異常に起因する 患の予防又は治療のための薬剤は、MGAT2の 現又は活性を増強させる化合物を有効成分 することを特徴とする。

 さらに、脂質代謝異常に起因する疾患の 査方法は、本発明のMGAT2遺伝子の発現量を 定する工程を含むことを特徴とする。

 また、本発明の脂質代謝異常に起因する 患の検査方法は、MGAT2遺伝子における変異 検出する工程を含むことを特徴とする。

 本発明者らは、MGAT2の生体内での機能を らかにするため、MGAT2ノックアウトマウスを 作製した。その結果、TGの合成反応を触媒す MGAT2が、体重、体脂肪量、血漿TG、総コレス テロール、グルコース、血中遊離脂肪酸及び 肝臓中TG量を制御することが明らかとなった すなわち、MGAT2とTGの合成経路を中心とする 脂質の代謝異常に起因する疾患との関連が明 らかとされた。

 これらの知見より、本発明は、MGAT2の発 が人為的に抑制されている遺伝子改変非ヒ 哺乳動物を提供する。また、本発明の遺伝 改変非ヒト哺乳動物は、脂質の代謝経路、 にTGの合成経路の異常に起因する疾患のモデ ル動物として有用であり、当該疾患を予防又 治療するための薬剤のスクリーニングにも利 用できる。さらに、上記知見より、MGAT2阻害 が脂質の代謝異常に起因する疾患に有効で ることが明らかとなった。すなわち、本発 は、MGAT2の活性又は発現を指標とするMGAT2阻 害剤のスクリーニング方法をも提供する。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

  MGAT2
 本発明のMGAT2遺伝子(当該遺伝子によってコ ドされるタンパク質を「MGAT2」と表す)は、 ト(Accession No. NM_ 025098:配列番号1及び2)と ウス(Accession No. AY157609:配列番号3及び4)等に ついて知られている。

 また、本発明のMGAT2は上記の例に限定さ ず、上記MGA2と機能的に同等なタンパク質も む。機能的に同等なタンパク質には、天然 MGAT2のアミノ酸配列において1又は2以上のア ミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入さ たアミノ酸配列からなるタンパク質が含ま る。本発明のMGAT2と機能的に同等な変異タン パク質をコードするDNAを調製するために、当 業者によく知られた他の方法としては、スト リンジェントな条件下でのハイブリダイゼー ション技術やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術 利用する方法が挙げられる。

 本発明においてストリンジェントなハイ リダイゼーション条件とは、6M尿素、0.4%SDS 0.5×SSCの条件又はこれと同等のストリンジ ンシーのハイブリダイゼーション条件をさ 。よりストリンジェンシーの高い条件、例 ば、6M尿素、0.4%SDS、0.1×SSCの条件下では、よ り相同性の高いDNAを単離できると期待される 。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で少な くとも55%以上、好ましくは70%以上、より好ま しくは90%以上、特に好ましくは95%以上の配列 の同一性を指す。また、変異体における、変 異するアミノ酸数は、通常、30アミノ酸以内 あり、好ましくは15アミノ酸以内であり、 り好ましくは5アミノ酸以内、さらに好まし は3アミノ酸以内であり、特に好ましくは2 ミノ酸以内である。ここで、アミノ酸配列 塩基配列の同一性は、カーリンおよびアル ュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Aca d. Sci. USA、第87巻、2264頁、1990年;Proc. Natl. A cad. Sci. USA、第90巻、5873頁、1993年)を用いて 定することができる。BLASTのアルゴリズム 基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラム 開発されており(J. Mol/ Biol.、第215巻、403頁 1990年)、BLASTNを用いて塩基配列を解析する 合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordl ength=3とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸 列を解析する場合は、パラメータは、例え 、score=50、wordlength=3とする。

 本発明に用いられるMGAT2が由来する生物 としては、特に限定されないが、例えば、 ト、マウス、ラット、サル、モルモット、 タ、フェレットを挙げることができる。

  遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び遺 伝子改変非ヒト動物細胞
 本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物は、MGAT 2遺伝子の発現が人為的に抑制されているこ を特徴とする。

 本発明において「MGAT2遺伝子の発現が人 的に抑制されている」とは、通常、MGAT2遺伝 子の遺伝子対の一方または双方に、ヌクレオ チドの挿入、欠失、置換等の遺伝子変異を有 することにより該遺伝子の発現が抑制されて いる状態を指す。正常なMGAT2タンパク質とし の機能が減少または喪失している変異MGAT2 ンパク質が発現している場合も、この「MGAT2 遺伝子の発現の抑制」に含まれる。上記「抑 制」には、MGAT2遺伝子の発現が完全に抑制さ ている場合のほか、当該遺伝子の遺伝子対 一方の遺伝子の発現のみが抑制されている 合も含まれる。本発明における遺伝子変異 存在する部位は、MGAT2遺伝子の発現が抑制 れるような部位であれば特に制限されず、 えばエクソン部位、プロモーター部位等を げることができる。

 本発明においてMGAT2遺伝子の改変の対象 なる動物が由来する生物種は、通常、ヒト 外の哺乳動物であり、好ましくはマウス、 ット、ハムスター、ウサギ、ブタ等のげっ 類であり、その中でも特にマウスが好まし 。

 また、本発明は、MGAT2遺伝子の発現が人 的に抑制されていることを特徴とする遺伝 改変哺乳動物細胞を提供する。このような 胞は、脂質代謝の異常に起因する疾患のモ ル細胞として有用である。本発明においてMG AT2遺伝子の改変の対象となる細胞が由来する 生物種は、特に制限はなく、ヒトを含む種々 の生物種由来の細胞である。また、本発明に おいてMGAT2遺伝子の改変の対象となる細胞の 類としては、例えば、体細胞、受精卵、ES 胞、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物か 樹立された細胞が挙げられるが、これらに 定されない。上記遺伝子改変非ヒト哺乳動 由来の細胞株を樹立する方法としては、公 の方法を利用することができるが、例えば げっ歯類においては、胎仔細胞の初代培養 方法を用いることが可能である。

 本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び 伝子改変非ヒト哺乳動物細胞において、MGAT 2遺伝子の発現を人為的に抑制する手段とし は、MGAT2遺伝子全体又はその一部を欠損させ る方法やMGAT2遺伝子の発現制御領域の全部又 その一部を欠損させる方法等を挙げること できるが、好ましくはMGAT2遺伝子の遺伝子 の一方又は双方に外来遺伝子を挿入するこ によりMGAT2遺伝子を不活性化する方法である 。すなわち、本発明の好ましい態様において 、遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び遺伝子改変 非ヒト哺乳動物細胞は、MGAT2遺伝子の遺伝子 の一方又は双方に外来遺伝子が挿入されて ることを特徴とする。

 本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物は、 業者に公知の遺伝子工学技術により作製す ことができる。例えば、以下のようにして 伝子改変マウスを作製することができる。 ず、マウスからMGAT2遺伝子のエクソン部分 含むDNAを単離し、遺伝子工学的手法によりMG AT2遺伝子配列の一部又は全部を削除、若しく は他遺伝子を挿入又は置換する。一般に、MGA T2遺伝子配列の一部又は全部に適当なマーカ 遺伝子を挿入し、ターゲティングベクター 構築する。挿入するマーカー遺伝子として 、ネオマイシン耐性遺伝子やハイグロマイ ン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子;β- ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、クロラムフェ ニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子 (cat)、ルシフェラーゼ遺伝子又はGFP(Green Fluor escent Protein)遺伝子のようなレポーター遺伝 が好ましい。抗生物質耐性遺伝子を挿入し 場合には、抗生物質を含む培地で培養する けで相同組み換えを生じた細胞株を選抜す ことができる。また、より効率的な選抜を うためには、ターゲティングベクターにチ ジンキナーゼ遺伝子などを結合させておく とも可能である。これにより、非相同組み えを起こした細胞株を排除することができ 。また、レポーター遺伝子を挿入してエキ ンの機能を破壊する場合、当該レポーター 伝子は、MGAT2のプロモーターの制御下で発現 するように挿入することが好ましい。また、 ターゲティングベクターの調製に用いるベク ターとしては、例えば、pBR322、pBR325、pUC12、p UB110、pTB5、pSH19、pSH15、pKOを挙げることがで る。

 また、細胞内における遺伝子の組み換え 誘導するシステムを利用することもできる このようなシステムとしては、例えば、Cre- loxPシステム、FLP-FRTシステムを挙げることが きる。Cre-loxシステムは、loxPと呼ばれる特 の塩基配列からなるDNAと、loxP配列を認識し 遺伝子を組み換えるCreリコンビナーゼと呼 れる酵素によって構成される。Creはバクテ オファージP1から得られたリコンビナーゼ あり、ターゲティングベクターに所望の領 を2つのloxP配列で挟むようにloxP配列を導入 ることにより、loxP配列で挟まれた領域をCre コンビナーゼ酵素によって切り出すことが きるシステムを構築することができる。例 ば、上述のマーカー遺伝子やレポーター遺 子を2つのloxP配列で挟むような構造をした ーゲティングベクターを作製し、これを用 て遺伝子改変動物を作製する。こうして作 された動物と、Creリコンビナーゼを発現し マウスとを交配することにより、CreがloxP配 を認識してDNAを組み換える。その結果、loxP 配列同士の接合が生じ、loxP配列の間に配置 れたマーカー遺伝子やレポーター遺伝子が かれた遺伝子改変動物を得ることができる

 また、Creリコンビナーゼを発現するトラ スジェニック動物は、公知の方法により作 することができ、例えば、適当な発現制御 域の下流にCreリコンビナーゼ遺伝子(Accession  No. X03453)を配置した発現ベクターを、未受 卵、受精卵、精子及びその始原細胞を含む 芽細胞などに導入し、一晩程度培養した後 代理母の卵管に移植し、トランスジェニッ キメラ動物を得る。得られたトランスジェ ックキメラ動物は、その体細胞の遺伝子を 析することによって、ゲノムにベクターの ンストラクトが組み込まれていることを確 し、正常な動物と交配させる。交配によっ 得られたF1動物はヘテロザイゴートのトラ スジェニック動物であり、F1を掛け合わせる ことで、ホモザイゴートのCreトランスジェニ ック動物を得ることができる。

 Cre-loxPシステム等によってマーカー遺伝 やレポーター遺伝子が除かれた遺伝子改変 位を有する動物は、マーカー遺伝子やレポ ター遺伝子の存在によって生じ得る表現系 示すことがないため、解析の対象となるMGAT2 にのみ焦点をあてた表現系解析が可能となる 。

 こうして得られたターゲティングベクタ をエレクトロポーレーション法等によりマ ス等のES細胞株に導入し、相同組み換えを じた細胞株を選抜する。具体的には、ター ティングベクターを非ヒト哺乳動物ES細胞又 は非ヒト動物卵細胞に公知の方法(エレクト ポレーション法、マイクロインジェクショ 法、リン酸カルシウム法、リポフェクショ 法、パーティクルガン法等)によって導入し ターゲティングベクターに含まれる不活性 されたMGAT2遺伝子配列を相同組換えにより 非ヒト動物ES細胞又は非ヒト動物卵細胞の染 色体上のMGAT2遺伝子と入れ替えることにより 抜することができる。

 MGAT2遺伝子がノックアウトされた細胞は MGAT2遺伝子上又はその近傍のDNA配列をプロー ブとしたサザンハイブリダイゼーション解析 又はターゲティングベクター上のDNA配列とMGA T2遺伝子近傍領域のDNA配列とをプライマーと たPCR法による解析で判定することができる

 非ヒト動物ES細胞を用いた場合は、相同 換えにより、MGAT2遺伝子が不活性化された細 胞株をクローニングし、その細胞を胚形成の 初期の適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒ 動物胚または胚盤胞に注入し、又はMGAT2遺伝 子が不活性化されたES細胞塊を2個の8細胞期 ではさみ込むことにより作製したキメラ胚 偽妊娠させた非ヒト動物の子宮に移植する

 作出された動物は正常なMGAT2遺伝子座を する細胞と人為的に変異したMGAT2遺伝子座を もつ細胞との両者から構成されるキメラ動物 である。当該キメラ動物の生殖細胞の一部が 変異したMGAT2遺伝子座をもつ場合、このよう キメラ個体と正常個体を交配することによ 得られた個体群より、全ての組織が人為的 変異を加えたMGAT2遺伝子座をもつ細胞で構 された個体を、例えば、コートカラーの判 等により選別することにより得られる。こ ようにして得られた個体は、通常、MGAT2ヘテ ロ発現不全個体であり、MGAT2ヘテロ発現不全 体同志を交配し、それらの産仔からMGAT2ホ 発現不全個体を得ることができる。

 卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細 核内にマイクロインジェクション法で遺伝 溶液を注入することによりターゲティング クターを染色体内に導入したトランスジェ ック非ヒト動物を得ることができ、これら トランスジェニック非ヒト動物を比較する とにより、相同組換えによりMGAT2遺伝子座 変異のあるものを選択することにより得ら る。

 MGAT2遺伝子発現不全非ヒト動物は、当該 物のMGAT2のmRNA量を公知の方法を用いて測定 て間接的にその発現量を比較することによ 、正常動物と区別することが可能である。

 このようにしてMGAT2遺伝子がノックアウ されている個体は、交配により得られた動 個体もMGAT2遺伝子がノックアウトされている ことを確認して通常の飼育環境で飼育継代を 行なうことができる。さらに、生殖系列の取 得および保持についても公知の方法に従って 行うことができる。すなわち、MGAT2の不活化 伝子配列を保有する雌雄の動物を交配する とにより、不活化遺伝子配列を相同染色体 両方に持つホモザイゴート動物を取得する とができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄 交配することにより、MGAT2不活化遺伝子配 を有するホモザイゴート及びヘテロザイゴ ト動物を繁殖継代することができる。この うにして得られたMGAT2不活化遺伝子配列を有 する動物の子孫も本発明のMGAT2遺伝子発現不 非ヒト動物に含まれる。

 MGAT2遺伝子の発現が抑制された遺伝子改 非ヒト哺乳動物は、以下のような表現系、 なわち、体重及び体脂肪率の減少、血漿TG、 コレステロール、グルコース量、血中遊離脂 肪酸及び肝中TGの低下が見られる。これらは いずれも脂質の代謝に関連するパラメータ あり、遺伝子改変非ヒト哺乳動物は、高脂 症、糖尿病、肥満をはじめとするいわゆる タボリックシンドロームの症状の改善症状 呈している。血中で、アポ蛋白と結びつい コレステロール・中性脂肪又はリン脂質か 形成されるリポ蛋白(カイロミクロン、超比 重リポ蛋白(VLDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比 リポ蛋白(HDL)のうち、LDLコレステロールが14 0mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満で り、且つ、総コレステロール(TC)が220mg/dl以 、TGが150mg/dl以上である場合に、高脂血症と 断される。高脂血症は動脈硬化の主要な原 となり、動脈硬化はさらに虚血性心疾患(狭 心症・心筋梗塞)、脳卒中(脳出血・脳梗塞)、 腎障害(腎動脈硬化症、腎不全)、眼底異常(眼 底出血、失明)、四肢血行障害(間欠性跛行、 疽)等の原因となることが知られている。す なわち、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物 を使用することにより、これらの疾患をはじ めとする脂質代謝の異常に起因する疾患の予 防又は治療に有効な化合物の評価、スクリー ニングを行うことが可能となる。

 一方、本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動 は、上述のような生理的症状を呈すること ら、低脂血症のモデル動物としても有用で る。血液中に存在するコレステロール、ト グリセライド、リン脂質及び遊離脂肪酸の4 種類の脂質のうち、いずれか1つが正常以下 なれば低脂血症と診断される。低脂血症の 因となる疾患としては、例えば、無(低)βリ 蛋白血症、アポ蛋白B異常症、Anderson病、Tang ier病、アポA-I欠損(変異体)症、慢性肝炎、甲 腺機能亢進症、肝硬変、溶血性貧血、慢性 炎、白血病、吸収不良症候群、悪性リンパ 、アジソン病、慢性(急性)炎症、悪性腫瘍 脾腫、感染症、肥満、2型糖尿病、慢性肝炎 骨髄増殖性疾患、腎不全、悪性腫瘍、低栄 、ネフローゼ症候群、吸収不良症候群を挙 ることができる。すなわち、本発明の遺伝 改変非ヒト哺乳動物を使用することにより これらの疾患をはじめとする脂質代謝の異 によって血中の脂質が低下する症状を呈す 疾患、あるいは、当該症状を原因とする疾 の予防又は治療に有効な化合物の評価、ス リーニングを行うことが可能となる。

  遺伝子改変非ヒト哺乳動物(細胞) 用いる、化合物のスクリーニング
 本発明の脂質代謝異常に起因する疾患の予 又は治療に有効な化合物のスクリーニング 法は、MGAT2遺伝子の発現が人為的に抑制さ ている遺伝子改変非ヒト哺乳動物又は当該 乳動物に由来する組織若しくは細胞を用い ことを特徴とする。

 当該スクリーニング方法において用いら る遺伝子改変非ヒト哺乳動物としては、そ MGAT2の抑制方法について特に制限はないが 例えば、MGAT2遺伝子がレポーター遺伝子を導 入することにより不活性化され、当該レポー ター遺伝子がMGAT2遺伝子に対するプロモータ の制御下で発現しうるものが用いられる。 ポーター遺伝子としては、例えば、β-ガラ トシダーゼ遺伝子(lacZ)、クロラムフェニコ ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(cat) ルシフェラーゼ遺伝子又はGFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子を挙げることができる。

 MGAT2遺伝子をレポーター遺伝子で置換し 遺伝子改変非ヒト哺乳動物では、レポータ 遺伝子がMGAT2に対するプロモーターの支配下 に存在するので、レポーター遺伝子がコード する物質の発現をトレースすることにより、 プロモーターの活性を検出することができる 。例えば、MGAT2遺伝子領域の一部をlacZで置換 した場合、本来、MGAT2が発現する組織で、MGAT 2の代わりにβ-ガラクトシダーゼが発現する 従って、例えば、X-galのようなβ-ガラクトシ ダーゼの基質となる試薬を用いて染色するこ とにより、MGAT2の生体内の発現を観察するこ ができる。具体的には、MGAT2遺伝子欠損マ ス又はその組織切片をグルタルアルデヒド で固定し、リン酸緩衝液(PBS)で洗浄後、X-gal 含む染色液で、37℃程度で30~60分反応させた 後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄するこ によって、β-ガラクトシダーゼ反応を停止 せ、呈色を観察すればよい。

 例えば、当該スクリーニング方法におい 、遺伝子改変非ヒト哺乳動物に被検化合物 投与し、レポータータンパク質の発現が増 した場合、当該被検化合物は、MGAT2遺伝子 プロモーター活性を増強する物質として選 することができる。一方、レポータータン ク質の発現が減少した場合、当該被検化合 は、MGAT2遺伝子のプロモーター活性を阻害す る物質として選択できる。MGAT2遺伝子のプロ ーター活性を増強又は阻害する物質は、MGAT 2の発現を調節することができるので、MGAT2が 関与する脂質代謝異常に起因する疾患、例え ば、肥満、高脂血症(高コレステロール血症 高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロ ル血症、高トリグリセリド血症)、高インス ン血症、動脈硬化、虚血性心疾患(狭心症、 心筋梗塞)、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、腎障害 (腎動脈硬化症、腎不全)、眼底異常(眼底出血 、失明)、四肢血行障害(間欠性跛行、壊疽)、 無(低)βリポ蛋白血症、アポ蛋白B異常症、Ande rson病、Tangier病、アポA-I欠損(変異体)症、慢 肝炎、甲状腺機能亢進症、肝硬変、溶血性 血、慢性膵炎、白血病、吸収不良症候群、 性リンパ腫、アジソン病、慢性(急性)炎症、 悪性腫瘍、脾腫、感染症、肥満、2型糖尿病 慢性肝炎、骨髄増殖性疾患、腎不全、悪性 瘍、低栄養、ネフローゼ症候群、吸収不良 候群の予防又は治療剤として使用すること できる。

 本発明の脂質代謝異常に起因する疾患の 防又は治療に有効な化合物のスクリーニン 方法の第二の態様としては、MGAT2遺伝子の 現が人為的に抑制された遺伝子改変非ヒト 乳動物に被検化合物を投与する工程と、被 化合物がMGAT2の機能を代替しているか否かを 判定する工程と、被検化合物を投与していな い場合と比較して、MGAT2の機能を代替する化 物を選択する工程と、を有することを特徴 する。

 第二の態様として、まず、被検化合物を 発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物に投与す 。本発明の遺伝子改変非ヒト哺乳動物への 与は、例えば、経口的又は経皮的のような 経口的に行うことができるが、それらに限 されない。被検化合物がタンパク質である 合には、例えば、当該タンパク質をコード る遺伝子を有するウイルスベクターを構築 、その感染力を利用して、本発明の遺伝子 変非ヒト哺乳動物に遺伝子を導入すること 可能である。

 第二の態様としては、次いで、被検化合 がMGAT2の機能を代替しているか否かを判定 、被検化合物を投与していない場合と比較 て、MGAT2の機能を代替する化合物を選択する 。

 例えば以下のような場合に、被検化合物 MGAT2の機能を代替しているものと判定され 。すなわち、被検化合物を投与した本発明 遺伝子改変非ヒト哺乳動物と、被検化合物 投与していない当該動物における体重、体 肪率、摂食量、各種血中パラメーター(血漿 ルコース、血漿TG、総コレステロール)、肝 中TG又は遊離脂肪酸を測定し、これらの数 が被検化合物投与によって増加している場 に、当該被検化合物がmGAT2の機能を代替して いるものと判定される。このような化合物は MGAT2の機能を増強する薬剤として利用可能で り、脂質の減少が起因となって生じる疾患 例えば、低脂血症の原因となる疾患として 、例えば、無(低)βリポ蛋白血症、アポ蛋白 B異常症、Anderson病、Tangier病、アポA-I欠損(変 体)症、慢性肝炎、甲状腺機能亢進症、肝硬 変、溶血性貧血、慢性膵炎、白血病、吸収不 良症候群、悪性リンパ腫、アジソン病、慢性 (急性)炎症、悪性腫瘍、脾腫、感染症、肥満 2型糖尿病、慢性肝炎、骨髄増殖性疾患、腎 不全、悪性腫瘍、低栄養、ネフローゼ症候群 、吸収不良症候群の予防又は治療に有効であ る。

 また、本発明の脂質代謝異常に起因する 患の予防又は治療に有効な化合物のスクリ ニング(評価)方法の第三の態様は、脂質代 異常に起因する疾患の予防又は治療に有効 化合物の評価方法であって、上記のいずれ の遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び野生型非 ト哺乳動物に被検化合物を投与する工程と 遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び野生型非ヒ 哺乳動物における表現型(例えば、体重、体 肪量、TG量、コレステロール、グルコース 遊離脂肪酸)を解析する工程と、遺伝子改変 ヒト哺乳動物及び野生型非ヒト哺乳動物に ける表現型を比較し、野生型非ヒト哺乳動 にのみ脂質代謝異常改善作用を示した化合 を選択する工程と、を有することを特徴と る。

 第三の態様として、まず、遺伝子改変非 ト哺乳動物及び野生型非ヒト哺乳動物に被 化合物を投与する。本発明の遺伝子改変非 ト哺乳動物及び野生型非ヒト哺乳動物への 与は、例えば、経口的又は経皮的のような 経口的に行うことができるが、それらに限 されない。被検化合物がタンパク質である 合には、例えば、当該タンパク質をコード る遺伝子を有するウイルスベクターを構築 、その感染力を利用して、本発明の遺伝子 変非ヒト哺乳動物に遺伝子を導入すること 可能である。

 第三の態様としては、次いで、遺伝子改 非ヒト哺乳動物及び野生型非ヒト哺乳動物 おける表現型(例えば、体重、体脂肪量、TG 、コレステロール、グルコース、遊離脂肪 )を解析する。表現形の解析は、解析対象の 表現型に応じて適宜好適な手段を用いること が可能であり、例えば、血中のTG量、コレス ロール量、グルコース量、遊離脂肪酸を測 する場合には、血液を採取した後、市販の 定キットを用いて各パラメーターを測定す ことができる。また、解析対象となる表現 が体脂肪量である場合には、NMR法等を用い 体脂肪率を測定し、算出することができる

 次いで、遺伝子改変非ヒト哺乳動物及び 生型非ヒト哺乳動物における表現型を比較 、野生型非ヒト哺乳動物にのみ脂質代謝異 改善作用を示した化合物を選択する。

 例えば、体重の減少、体脂肪量の減少、T G量の減少、コレステロール値の減少、グル ース値の減少、遊離脂肪酸の減少が見られ 場合、被検化合物が脂質代謝異常の改善作 を示したと判定される。これに対して、MGAT2 遺伝子改変非ヒト哺乳動物においてこれらの 数値に変化が見られない場合、被検化合物は MGAT2阻害剤として機能すると評価することが きる。一方、野生型非ヒト哺乳動物におい 、例えば、体重の増加、体脂肪量の増加、T G量の増加、コレステロール値の増加、グル ース値の増加、遊離脂肪酸の増加が見られ 同じ被検化合物を投与したMGAT2遺伝子改変非 ヒト哺乳動物においてこれらの数値に変化が 見られない場合、被検化合物はMGAT2増強剤と て機能すると評価することができる。

 かかるスクリーニング方法により、MGAT2 機能を阻害又は増強する作用を有する化合 をスクリーニングすることが可能となる。 た、例えば、代謝性疾患に有効であること 知られているが生体に対する作用機序が不 な化合物があった場合、これを被検化合物 して本発明のスクリーニング方法により化 物を評価した結果、野生型非ヒト哺乳動物 は代謝性疾患改善作用を示し、MGAT2遺伝子改 変非ヒト哺乳動物ではなんらの表現型も示さ なかった場合には、当該被検化合物はMGAT2を 的として作用する化合物であると評価する とができる。

 第三の態様においては、MGAT2が関与する 質代謝異常に起因する疾患、例えば、肥満 高脂血症(高コレステロール血症、高LDLコレ テロール血症、低HDLコレステロール血症、 トリグリセリド血症)、高インスリン血症、 動脈硬化、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞) 脳卒中(脳出血、脳梗塞)、腎障害(腎動脈硬 症、腎不全)、眼底異常(眼底出血、失明)、 肢血行障害(間欠性跛行、壊疽)、無(低)βリ 蛋白血症、アポ蛋白B異常症、Anderson病、Tang ier病、アポA-I欠損(変異体)症、慢性肝炎、甲 腺機能亢進症、肝硬変、溶血性貧血、慢性 炎、白血病、吸収不良症候群、悪性リンパ 、アジソン病、慢性(急性)炎症、悪性腫瘍 脾腫、感染症、肥満、2型糖尿病、慢性肝炎 骨髄増殖性疾患、腎不全、悪性腫瘍、低栄 、ネフローゼ症候群、吸収不良症候群の予 又は治療剤となる化合物のスクリーニング 可能となる。

  化合物のスクリーニング方法
 本発明の化合物のスクリーニング方法の第 の態様は、脂質代謝異常に起因する疾患の 防又は治療に有効な化合物のスクリーニン 方法であって、被検化合物をMGAT2に接触さ る工程と、当該MGAT2の活性を測定する工程と 、被検化合物を投与していない場合と比較し て、当該MGAT2の活性を抑制する被検化合物を 択する工程と、を有することを特徴とする

 本発明の化合物のスクリーニング方法に いて、まず、被検化合物をMGAT2に接触させ 。第一の態様において使用されるMGAT2の状態 は特に制限はなく、例えば、精製された状態 、細胞内に発現した状態、細胞抽出液内に発 現した状態であってもよい。

 MGAT2の精製は公知の方法により行うこと できる。また、MGAT2を発現している細胞とし ては、内在性のMGAT2を発現している細胞又は 来性のMGAT2を発現している細胞を挙げるこ ができる。内在性のMGAT2を発現している細胞 としては、培養細胞等を挙げることができる が、これに限定されるものではない。当該培 養細胞としては、特に制限はなく、例えば、 市販のものを用いることができる。また、内 在性のMGAT2を発現している細胞が由来する生 種としては特に制限はなく、ヒト、マウス ラット、サル、モルモット、フェレット等 挙げることができる。また、前記外来性のM GAT2を発現している細胞は、例えば、MGAT2をコ ードするDNAを含むベクターを細胞に導入する ことで作製できる。ベクターの細胞への導入 は、一般的な方法、例えば、リン酸カルシウ ム法、エレクトロポレーション、リポフェタ ミン法、マイクロインジェクション法によっ て実施することができる。

 また、MGAT2が発現している細胞抽出液は 例えば、試験管内転写翻訳系に含まれる細 抽出液に、MGAT2をコードするDNAを含むベクタ ーを添加したものを挙げることができる。こ のような試験管内転写翻訳系としては、特に 制限はなく、市販の試験管内転写翻訳キット 等を使用することができる。

 本発明のスクリーニング方法における本 明に係る「被検化合物」としては、例えば 天然化合物、有機化合物、無機化合物、タ パク質、抗体、ペプチド、核酸等の単一化 物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子 イブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞 養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出 、植物抽出物、原核細胞抽出物、真核単細 抽出物若しくは動物細胞抽出物等を挙げる とができる。上記被検化合物は、必要に応 て適宜標識して用いることができる。標識 しては、例えば、放射標識、蛍光標識等を げることができる。

 また、本発明において「接触」は、MGAT2 状態に応じて行う。例えば、MGAT2が精製され た状態であれば、精製表品に被検化合物を添 加することにより接触させることができる。 また、細胞内に発現した状態又は細胞抽出液 内に発現した状態であれば、それぞれ、細胞 の培養液又は細胞抽出液に被検化合物を添加 することにより接触させることができる。被 検化合物がタンパク質の場合には、例えば、 当該タンパク質をコードするDNAを含むベクタ ーを、MGAT2が発現している細胞へ導入する、 は当該ベクターをMGAT2が発現している細胞 出液に添加することにより接触させること できる。また、例えば、酵母又は動物細胞 を用いたツーハイブリッド法を用いること 可能である。

 第一の態様では、次いで、MGAT2の活性を測 する。MGAT2の活性としては、モノアシルグリ セロールを基質としたモノアシルグリセロー ルアシルトランスフェラーゼ活性(ジアシル リセロールの生成活性)等を挙げることがで る。具体的には、例えば、ミクロソーム画 、5mM MgCl2、1mg/ml BSA、200mMスクロース、100mM  Tris-HCl(pH7.5)、200μMモノオレイン/1000μMホス ァチジルコリン、25μM[ 14 C]-オレオイル-CoAを含む溶液に、被検化合物 添加することにより反応を行うことができ が、これに限定されず、例えば、Proc.Natl.Acad .Sci.USA、第99巻、8512頁、2002年に記載の方法に よって行うこともできる。ここで、アシルア クセプターとしては、モノアシルグリセロー ルを挙げることができ、アシルドナーとして は、脂肪性アシルCoA(fatty acyl-CoA)を挙げるこ ができる。反応は、例えば、30~37℃にて5~15 行い、クロロホルム/メタノール(体積比で2: 1)を添加することにより停止させる。活性の 出、定量は、例えば、アシルドナーとして 14 C標識されたオレオイルCoA(oleoyl CoA)を用いた 合には、モノアシルグリセロールに取り込 れて 14 Cを有するジアシルグリセロールを検出する とにより、MGAT2の活性を測定することができ る。

 こうして測定されたMGAT2の活性は、被検 合物非存在下で同様にして測定したMGAT2の活 性と比較し、MGAT2の活性を抑制又は増強した 合物をMGAT2阻害剤もしくはMGAT2増強剤として 単離すればよい。このような阻害剤は、MGAT2 発現又は活性を抑制する作用を有し、TGの 成抑制すなわち脂肪の合成・蓄積を抑制す ことが可能となり、脂肪の合成・蓄積の過 に起因する疾患の予防又は治療に有効な化 物を得ることが可能となる。一方、比較の 果、MGAT2の活性を増強することが明らかとな った化合物は、MGAT2増強剤として単離すれば い。このような増強剤は、MGAT2の発現又は 性を増強する作用を有し、TGの合成欠如・不 足すなわち脂肪の合成不備を正常化させるこ とが可能となり、脂肪の合成不備に起因する 疾患の予防又は治療に有効な化合物を得るこ とが可能となる。

 本発明の化合物のスクリーニング方法の 二の態様は、脂質代謝異常に起因する疾患 予防又は治療に有効な化合物のスクリーニ グ方法であって、MGAT2を発現する細胞に被 化合物を接触させる工程と、当該MGAT2の発現 レベルを測定する工程と、被検化合物を接触 させていない場合と比較して、該MGAT2の発現 ベルを減少又は増加させた被検化合物を選 する工程と、を有することを特徴とする。

 第二の態様では、まず、MGAT2を発現する 胞に被検化合物を接触させる。

 MGAT2を発現する細胞は以下のようにして 製することができる。すなわち、MAGT伝子を 入し、MGAT2タンパク質を発現する細胞の調 は、当業者に公知の方法で行うことができ が、例えば、MGAT2遺伝子又はその一部からな る核酸を好適なプロモーター及び転写調節エ レメントを含む発現ベクターにクローニング し、クローニングされた核酸を有するベクタ ーを宿主細胞に導入することにより調製する 。ここで、前記ベクターとしては、発現ベク ターとして利用可能なものであれば特に限定 されないが、例えば、pCMV-Tag、pcDNA3.1、pBlueBac His2、pCI-neo、pcDNAI、pMC1neo、pXT1、pSG5、pEF1/V5-Hi sB、pCR2.1、pET11、λgt11又はpCR3.1が挙げられる

 次に、MGAT2遺伝子又はその一部からなる 酸が導入された発現ベクターを宿主細胞に 入する。かかる宿主細胞としては、遺伝子 発現に通常使用されるものであれば特に限 されず、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、 生物のいずれであってもよく、例えば、SW480 、DLD-1、CCD-18Co、CCD-841CoN、COS1、COS7、CHO、NIH/3 T3、293、Raji、CV11、C1271、MRC-5、CPAE、HeLa、293T はSf9が挙げられる。また、発現ベクターを 主細胞に導入する方法としては、公知の方 であれば特に限定されないが、例えば、エ クトロポレーション、リン酸カルシウム法 DEAE-デキストラン法又はリポフェクション が挙げられる。

 本発明において「接触」は、以下のよう 行うことできる。細胞内に発現した状態又 細胞抽出液内に発現した状態であれば、そ ぞれ、細胞の培養液又は細胞抽出液に被検 合物を添加することにより接触させること できる。被検化合物がタンパク質の場合に 、例えば、当該タンパク質をコードするDNA 含むベクターを、MGAT2が発現している細胞 導入する、又は当該ベクターをMGAT2が発現し ている細胞抽出液に添加することにより接触 させることができる。また、例えば、酵母又 は動物細胞等を用いたツーハイブリッド法を 用いることも可能である。

 第二の態様では、次いで、MGAT2の発現レ ルを測定する。MGAT2の発現レベルの測定は、 当業者に公知の方法によって行うことができ る。例えば、MGAT2遺伝子のmRNAを定法に従って 抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイ リダイゼーション法又はRT-PCR法を実施する とによってMGAT2遺伝子の転写レベルの測定を 行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を 用いて、MGAT2遺伝子の発現レベルを測定する とも可能である。

 また、MGAT2遺伝子にコードされるMGAT2を含 む画分を定法に従って回収し、MGAT2の発現をS DS-PAGE等の電気泳動法により検出することに り、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこと できる。また、MGAT2に対する抗体を用いてウ エスタンブロッティング法を実施し、MGAT2の 現を検出することにより、遺伝子の翻訳レ ルでの測定を行うことも可能である。ここ 、MGAT2の検出に用いる抗体としては、検出 能な抗体であれば、特に制限はないが、モ クローナル抗体であってもよくポリクロー ル抗体であってもよい。当該抗体は、当業 に公知の方法により調製することができる 具体的には、例えば、ポリクローナル抗体 あれば、以下のようにして調製することが きる。すなわち、MGAT2又はMGAT2とGSTとの融合 ンパク質として大腸菌等の微生物において 現させたリコンビナントタンパク質又はそ 部分ペプチドをウサギ等に免疫し血清を得 。これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA カラム、プロテインGカラム、イオン交換ク マトグラフィー、MGAT2をカップリングしたア フィニティーカラム等により精製することに より調製できる。また、モノクローナル抗体 であれば、例えば、MGAT2又はその部分ペプチ をマウス等の小動物に対して免疫し、同マ スより脾臓を取り出し、これをすりつぶし 細胞を分離し、当該細胞とマウスミエロー 細胞とをポリエチレングリコール等の試薬 用いて融合させ、これにより得られた融合 胞(ハイブリドーマ)の中から、MGAT2に結合す る抗体を産生するクローンを選択する。次い で、得られたハイブリドーマを、マウス腹腔 内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得 られたモノクローナル抗体を、例えば、硫安 沈殿、プロテインAカラム、プロテインGカラ 、イオン交換クロマトグラフィー、MGAT2を ップリングしたアフィニティーカラム等に り精製することにより調製できる。

 第二の態様では、次いで、被検化合物を 触させていない場合と比較して、当該MGAT2 発現レベルを減少又は増加させた被検化合 を選択する。選択された化合物には、MGAT2の 発現を減少又は増加させる化合物が含まれ、 発現を減少させる化合物はMGAT2阻害剤として 発現を増強する化合物はMGAT2増強剤として 用する。MGAT2阻害剤は、MGAT2の発現又は活性 抑制する作用を有し、TGの合成抑制すなわ 脂肪の合成・蓄積を抑制することが可能と り、脂肪の合成・蓄積の過剰に起因する疾 の予防又は治療に有効な化合物を得ること 可能となる。一方、比較の結果、MGAT2の活性 を増強する増強剤は、MGAT2の発現又は活性を 強する作用を有し、TGの合成欠如・不足す わち脂肪の合成不備を正常化させることが 能となり、脂肪の合成不備に起因する疾患 予防又は治療に有効な化合物を得ることが 能となる。

 本発明の化合物のスクリーニング方法の 三の態様は、脂質代謝異常に起因する疾患 予防又は治療に有効な化合物のスクリーニ グ方法であって、MGAT2をコードするDNAのプ モーター領域の下流にレポーター遺伝子が 能的に結合したDNAを有する細胞又は細胞抽 液を提供する工程と、当該細胞又は該細胞 出液に被検化合物を接触させる工程と、当 細胞又は該細胞抽出液における該レポータ 遺伝子の発現レベルを測定する工程と、被 化合物を接触させていない場合と比較して 該レポーター遺伝子の発現レベルを減少又 増加させた被検化合物を選択する工程と、 有することを特徴とする。

 第三の態様において、「機能的に結合し 」とは、MGAT2遺伝子のプロモーター領域に 写因子が結合することにより、レポーター 伝子の発現が誘導されるように、MGAT2遺伝子 のプロモーター領域とレポーター遺伝子とが 結合していることをいう。したがって、レポ ーター遺伝子が他の遺伝子と結合しており、 他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成す る場合であっても、MGAT2遺伝子のプロモータ 領域に転写因子が結合することによって、 該融合タンパク質の発現が誘導されるもの あれば、「機能的に結合した」の意に含ま る。ここで、レポーター遺伝子としては、 の発現が検出可能なものであれば特に制限 れず、例えば、CAT遺伝子、LacZ遺伝子、ルシ フェラーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝 子(GUS)及びGFP遺伝子を挙げることができる。 た、上記レポーター遺伝子には、MGAT2をコ ドするDNAも含まれる。

 MGAT2をコードするDNAのプロモーター領域 下流にレポーター遺伝子が機能的に結合し DNAを有する細胞又は細胞抽出液は、第一の 様において述べた方法で調製することがで る。

 第三の態様では、次いで、上記細胞又は 記細胞抽出液に被検試料を接触させる。本 明において「接触」は第二の態様において べた方法と同様に行うことができる。

 次いで、当該細胞又は当該細胞抽出液に ける上記レポーター遺伝子の発現レベルを 定する。

 レポーター遺伝子の発現レベルは、使用 るレポーター遺伝子の種類に応じて、当業 に公知の方法により測定することができる 例えば、レポーター遺伝子がCAT遺伝子であ 場合には、当該遺伝子産物によるクロラム ェニコールのアセチル化を検出することに って、レポーター遺伝子の発現レベルを測 することができる。また、レポーター遺伝 がLacZ遺伝子である場合には、当該遺伝子発 現産物の触媒作用による色素化合物の発色を 検出することにより、また、ルシフェラーゼ 遺伝子である場合には、当該遺伝子発現産物 の触媒作用による蛍光化合物の蛍光を検出す ることにより、また、β-グルクロニダーゼ遺 伝子である場合には、当該遺伝子発現産物の 触媒作用によるグルクロン(Glucuron)の発光や5- ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-グルクロニ (X-Gluc)の発光を検出することにより、レポー ター遺伝子の発現レベルを測定することがで きる。また、MGAT2遺伝子をレポーター遺伝子 する場合、当該遺伝子の発現レベルの測定 、第二の態様に記載された方法で行うこと できる。

 第三の態様において、次いで、被検化合 を接触させていない場合と比較して、当該 ポーター遺伝子の発現レベルを減少又は増 させた被検化合物を選択する。選択された 合物には、MGAT2の発現を減少又は増加させ 化合物が含まれ、発現を減少させる化合物 MGAT2阻害剤として、発現を増強する化合物は MGAT2増強剤として作用する。MGAT2阻害剤は、MG AT2の発現又は活性を抑制する作用を有し、TG 合成抑制すなわち脂肪の合成・蓄積を抑制 ることが可能となり、脂肪の合成・蓄積の 剰に起因する疾患の予防又は治療に有効な 合物を得ることが可能となる。一方、比較 結果、MGAT2の活性を増強する増強剤は、MGAT2 の発現又は活性を増強する作用を有し、TGの 成欠如・不足すなわち脂肪の合成不備を正 化させることが可能となり、脂肪の合成不 に起因する疾患の予防又は治療に有効な化 物を得ることが可能となる。

  脂質代謝異常に起因する疾患の予 防又は治療のための薬剤
 本発明の脂質代謝異常に起因する疾患の予 又は治療のための薬剤は、MGAT2の発現又は 性を低下させる化合物を有効成分とするこ を特徴する。上述した、本発明の化合物の クリーニング方法によって得られた化合物 、本発明の薬剤に含まれる。

 脂質代謝異常に起因する疾患の予防又は 療のための薬剤としては、MGAT2の発現又は 性を低下又は増強させる化合物を有効成分 する薬剤を挙げることができる。MGAT2の発現 又は活性を低下又は増強させる化合物として は、結果としてMGAT2の発現又は活性を低下又 増強させるものであれば、その種別は限定 れない。このような化合物としては、例え 、天然化合物、有機化合物、無機化合物、 ンパク質、抗体、ペプチド又は核酸を挙げ ことができる。当該核酸にはDNA及びRNAが含 れ、例えば、アンチセンスRNAやsiRNAを挙げ ことができる。

 前記抗体としては特に制限はなく、ポリ ローナル抗体の他、モノクローナル抗体も まれる。また、ウサギ等の免疫動物にMGAT2 免疫して得た抗血清、全てのクラスのポリ ローナル抗体及びモノクローナル抗体、さ に遺伝子組み換えによるヒト型化抗体、ヒ 抗体も含まれる。上記抗体は、以下の方法 より調製することが可能である。ポリクロ ナル抗体であれば、例えば、MGAT2をウサギな どの小動物に免疫し血清を得て、これをMGAT2 カップリングさせたアフィニティーカラム より、MGAT2のみを認識する画分を得て、さ にこの画分から免疫グロブリンGあるいはMを 、プロテインA、あるいはプロテインGカラム より精製することにより調製することがで る。また、モノクローナル抗体であれば、M GAT2をマウスなどの小動物に免疫を行い、同 ウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶし 細胞にし、マウスミエローマ細胞とポリエ レングリコールなどの試薬により融合させ これによりできた融合細胞(ハイブリドーマ) の中から、MGAT2に対する抗体を産生するクロ ンを選択する。次いで、得られたハイブリ ーマをマウス腹腔内に移植し、同マウスよ 腹水を回収し、得られたモノクローナル抗 を、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロ テインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラ ィー、MGAT2をカップリングしたアフィニテ ーカラムなどにより精製することで調製す ことが可能である。上記抗体は、MGAT2の精製 や検出に用いられる他、MGAT2の機能を制御す ための薬剤として用いることが可能である 抗体をヒトのための薬剤として用いる場合 は、免疫原性の点で、ヒト抗体またはヒト 抗体が有効である。ヒト抗体またはヒト化 体は当業者に公知の方法により調製するこ ができる。例えば、ヒト抗体は、例えば、 疫系をヒトと入れ換えたマウスにMGAT2を免 することにより調製することが可能である また、ヒト化抗体は、例えば、モノクロー ル抗体産生細胞から抗体遺伝子をクローニ グし、その抗原決定部位を既存のヒト抗体 移植するCDRグラフト法により調製すること 可能である。

 また、MGAT2の発現を低下する化合物とし は、MGAT2をコードするDNAの転写産物と相補的 なRNA又は当該転写産物を特異的に開裂するリ ボザイムを挙げることができる。MGAT2をコー するDNAとしては、配列番号1(ヒト)及び3(マ ス)に記載の塩基配列からなるDNA、配列番号2 (ヒト)及び4(マウス)に記載のアミノ酸配列か なるタンパク質をコードするDNA、及び配列 号2又は4に記載のアミノ酸配列において1又 2以上のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/ は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパ 質をコードする天然由来のDNA等も含まれる

 上記の「MGAT2をコードするDNAの転写産物 相補的なRNA」の一つの態様は、MGAT2をコード するDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNA である。アンチセンス核酸が標的遺伝子の発 現を抑制する作用としては、以下のような要 因が存在する。すなわち、三重鎖形成による 転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部 的に開状ループ構造がつくられた部位とのハ イブリッド形成による転写抑制、合成の進み つつあるRNAとのハイブリッド形成による転写 阻害、イントロンとエキソンとの接合点での ハイブリッド形成によるスプライシング抑制 、mRNAとのハイブリッド形成による核から細 質への移行抑制、キャッピング部位やポリA 加部位とのハイブリッド形成によるスプラ シング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハ ブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領 域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形 成によるペプチド鎖の伸長阻止、及び核酸と タンパク質との相互作用部位とのハイブリッ ド形成による遺伝子発現抑制等である。これ らは、転写、スプライシング又は翻訳の過程 を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する。

 本発明で用いられるアンチセンス配列は 上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を 制してもよい。一つの態様としては、遺伝 のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なア チセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳 害に効果的である。一方、コード領域又は3 ’側の非翻訳領域に相補的な配列を使用する こともできる。このように、遺伝子の翻訳領 域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセン ス配列を含むDNAも、本発明において使用され るアンチセンスDNAに含まれる。使用されるア ンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流 に連結され、好ましくは3’側に転写終結シ ナルを含む配列が連結される。このような ンチセンスDNAの配列は、MGAT2遺伝子又はその 一部と相補的な配列であることが好ましいが 、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完 全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは 、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ま しくは90%以上、より好ましくは95%以上の相補 性を有する。アンチセンス配列を用いて、効 果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、ア ンチセンスDNAの長さは、少なくとも15塩基以 であり、好ましくは100塩基以上であり、さ に好ましくは500塩基以上である。通常、用 られるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短 、好ましくは2.5kbよりも短い。

 本発明のMGAT2に作用する化合物をヒトや の動物の医薬として使用する場合には、こ らの物質自体を直接患者に投与する以外に 公知の製剤学的方法により製剤化して投与 行うことも可能である。例えば、必要に応 て糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキ ル剤、マイクロカプセル剤として経口的に あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許 し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の 射剤の形で非経口的に使用できる。例えば 薬理学上許容される担体若しくは媒体、具 的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳 剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤 賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤等と適 組み合わせて、一般に認められた製薬実施 要求される単位用量形態で混和することに って製剤化することが考えられる。

 錠剤、カプセル剤に混和することができ 添加剤としては、例えば、ゼラチン、コー スターチ、トラガントガム、アラビアゴム ような結合剤、結晶性セルロースのような 形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギ 酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシ ムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッ リンのような甘味剤、ペパーミント、アカ ノ油又はチェリーのような香味剤が用いら る。調剤単位形態がカプセルである場合に 、上記の材料にさらに油脂のような液状担 を含有することができる。注射のための無 組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを いて通常の製剤実施に従って処方すること できる。

 注射用の水溶液としては、例えば生理食 水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張 、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D- ンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、 当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体 にはエタノール、ポリアルコール、例えば ロピレングリコール、ポリエチレングリコ ル、非イオン性界面活性剤、例えばポリソ ベート80(TM)、HCO-50と併用してもよい。

 油性液としてはゴマ油、大豆油があげら 、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベ ジルアルコールと併用してもよい。また、 衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリ ム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカ ン、安定剤、例えばベンジルアルコール、 ェノール、酸化防止剤と配合してもよい。 製された注射液は通常、適当なアンプルに 填させる。

 患者への投与は、例えば、動脈内注射、 脈内注射、皮下注射などのほか、鼻腔内的 経気管支的、筋内的、経皮的、または経口 に当業者に公知の方法により行いうる。投 量は、患者の体重や年齢、投与方法などに り変動するが、当業者であれば適当な投与 を適宜選択することが可能である。また、 該化合物がDNAによりコードされうるもので れば、当該DNAを遺伝子治療用ベクターに組 み、遺伝子治療を行うことも考えられる。 与量、投与方法は、患者の体重や年齢、症 などにより変動するが、当業者であれば適 選択することが可能である。

 化合物の投与量は、症状により差異はあ が、経口投与の場合、一般的に成人(体重60k gとして)においては、1日あたり約0.1から100mg 好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約 1.0から20mgであると考えられる。

 非経口的に投与する場合は、その1回の投 与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法 によっても異なるが、例えば注射剤の形では 通常成人(体重60kgとして)においては、通常、 1日当り約0.01から30mg、好ましくは約0.1から20m g、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注 により投与するのが好都合であると考えら る。

 このような化合物の投与の対象となる疾 として、例えば、肥満、高脂血症(高コレス テロール血症、高LDLコレステロール血症、低 HDLコレステロール血症、高トリグリセリド血 症)、高インスリン血症、動脈硬化、虚血性 疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中(脳出血、 梗塞)、腎障害(腎動脈硬化症、腎不全)、眼 異常(眼底出血、失明)、四肢血行障害(間欠 跛行、壊疽)、無(低)βリポ蛋白血症、アポ蛋 白B異常症、Anderson病、Tangier病、アポA-I欠損( 異体)症、慢性肝炎、甲状腺機能亢進症、肝 硬変、溶血性貧血、慢性膵炎、白血病、吸収 不良症候群、悪性リンパ腫、アジソン病、慢 性(急性)炎症、悪性腫瘍、脾腫、感染症、肥 、2型糖尿病、慢性肝炎、骨髄増殖性疾患、 腎不全、悪性腫瘍、低栄養、ネフローゼ症候 群、吸収不良症候群を挙げることができる。

  脂質代謝異常に起因する疾患の検 査方法
 本発明の脂質代謝異常に起因する疾患の検 方法は、MGAT2遺伝子の発現量を測定する工 を含むことを特徴とする。本発明は、MGAT2遺 伝子の発現量を測定する工程を含む、脂質代 謝異常に起因する疾患の検査方法を提供する 。ここで、「MGAT2遺伝子の発現」には、MGAT2 mRNAの発現だけでなく、MGAT2の発現も含まれ 。本発明の検査方法によって、MGAT2遺伝子の 発現が増加又は減少している場合に、脂質代 謝異常の可能性があり、それに起因する疾患 の罹患の可能性があると判定される。

 以下に、本発明の検査方法の態様を例示 るが、本発明の検査方法はそれらに限定さ るものではない。上記検査方法の一つの態 としては、まず、被検者のRNA試料を調製す 。RNA試料は、例えば被検者の血液、皮膚、 術により採取あるいは切除した組織または 胞から抽出することができる。

 本方法においては、次いで、当該RNA試料 含まれるMGAT2をコードするRNAの量を測定す 。次いで、測定されたRNAの量を対照と比較 る。このような方法としては、ノーザンブ ッティング法、DNAアレイ法、または、RT-PCR 等を例示することができる。

 また、上記検査方法は、MGAT2の発現量を 定することにより、下記の如く実施するこ ができる。まず、被検者からポリペプチド 料を調製する。ポリペプチド試料は、例え 被検者の血液、皮膚、口腔粘膜、毛髪、手 により採取あるいは切除した組織または細 から調製することができる。

 本方法においては、次いで、該ポリペプ ド試料に含まれるMGAT2の量を測定する。次 で、測定されたMGAT2の量を対照と比較する。 このような方法としては、SDSポリアクリルア ミド電気泳動法、並びにMGAT2に結合する抗体 用いた、ウェスタンブロッティング法、ド トブロッティング法、免疫沈降法、酵素結 免疫測定法(ELISA)、及び免疫蛍光法を例示す ることができる。

 また、本発明は、MGAT2遺伝子領域におけ 変異を検出する工程を含む、脂質代謝異常 起因する疾患の検査方法を提供する。該検 方法によって、MGAT2遺伝子領域に変異が生じ ている場合に、MGAT2の発現量に異常を来たし その結果、脂質代謝異常が生じていると判 される。本発明において、MGAT2遺伝子領域 は、MGAT2遺伝子及び該遺伝子の発現に影響す る領域を意味する。MGAT2遺伝子の発現に影響 る領域としては、特に制限はないが、例え 、プロモーター領域などが例示できる。

 また、本発明における変異は、細胞の増 異常又は分化異常を引き起こす変異であれ 、その種類、その数、その部位などに制限 ない。上記変異の種類としては、例えば、 失、置換または挿入変異などが挙げられる

 以下、MGAT2遺伝子領域に生じた変異を検 する工程を含む検査方法の好ましい態様を 載するが、本発明の方法はそれらの方法に 定されるものではない。

 上記検査方法の好ましい態様においては まず、被検者からDNA試料を調製する。DNA試 は、例えば被検者の血液、皮膚、口腔粘膜 毛髪、手術により採取あるいは切除した組 または細胞から抽出した染色体DNA、あるい RNAを基に調製することができる。

 本方法においては、次いで、MGAT2遺伝子 域を含むDNAを単離する。MGAT2遺伝子領域の単 離は、例えば、当該遺伝子領域を含むDNAにハ イブリダイズするプライマーを用いて、染色 体DNA、あるいはRNAを鋳型としたPCR等によって 行うことができる。

 本方法においては、次いで、単離したDNA 塩基配列を決定する。単離したDNAの塩基配 の決定は、当業者に公知の方法で行うこと できる。

 本方法においては、次いで、決定したDNA 塩基配列を、対照と比較する。本発明にお て、対照とは、正常な(野生型の)MGAT2遺伝子 領域を含むDNAを言う。一般に健常人のMGAT2遺 子領域を含むDNAの配列は正常であるものと えられることから、上記「対照と比較する とは、通常、健常人のMGAT2遺伝子領域を含 DNAの配列と比較することを意味する。

 本発明における変異の検出は、以下のよ な方法によっても行うことができる。まず 被検者からDNA試料を調製する。次いで、調 したDNA試料を制限酵素により切断する。次 で、DNA断片をその大きさに応じて分離する 次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対 と比較する。また、他の一つの態様におい は、まず、被検者からDNA試料を調製する。 いで、MGAT2遺伝子領域を含むDNAを増幅する さらに、増幅したDNAを制限酵素により切断 る。次いで、DNA断片をその大きさに応じて 離する。次いで、検出されたDNA断片の大き を、対照と比較する。

 このような方法としては、例えば、制限 素断片長変異(Restriction Fragment Length Polymorp hism/RFLP)を利用した方法やPCR-RFLP法等が挙げら れる。具体的には、制限酵素の認識部位に変 異が存在する場合、あるいは制限酵素処理に よって生じるDNA断片内に塩基挿入または欠失 がある場合、制限酵素処理後に生じる断片の 大きさが対照と比較して変化する。この変異 を含む部分をPCR法によって増幅し、それぞれ の制限酵素で処理することによって、これら の変異を電気泳動後のバンドの移動度の差と して検出することができる。あるいは、染色 体DNAをこれらの制限酵素によって処理し、電 気泳動した後、本発明のプローブDNAを用いて サザンブロッティングを行うことにより、変 異の有無を検出することができる。用いられ る制限酵素は、それぞれの変異に応じて適宜 選択することができる。この方法では、ゲノ ムDNA以外にも被検者から調製したRNAを逆転写 酵素でcDNAにし、これをそのまま制限酵素で 断した後、サザンブロッティングを行うこ も可能である。また、このcDNAを鋳型としてP CRでMGAT2遺伝子領域を含むDNAを増幅し、それ 制限酵素で切断した後、移動度の差を調べ ことも可能である。

 さらに別の方法においては、まず、被検 からDNA試料を調製する。次いで、MGAT2遺伝 領域を含むDNAを増幅する。さらに、増幅し DNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離 せた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する。 離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照 比較する。このような方法としては、例え PCR-SSCP(single-strand conformation polymorphism、一本 鎖高次構造変異)法が挙げられる。この方法 操作が比較的簡便であり、また被検試料の も少なくて済む等の利点を有するため、特 多数のDNA試料をスクリーニングするのに好 である。その原理は次の通りである。二本 DNA断片を一本鎖に解離すると、各鎖はその 基配列に依存した独自の高次構造を形成す 。この解離したDNA鎖を、変性剤を含まない リアクリルアミドゲル中で電気泳動すると それぞれの高次構造の差に応じて、相補的 同じ鎖長の一本鎖DNAが異なる位置に移動す 。一塩基の置換によってもこの一本鎖DNAの 次構造は変化し、ポリアクリルアミドゲル 気泳動において異なる移動度を示す。従っ 、この移動度の変化を検出することによりDN A断片に点突然変異や欠失、あるいは挿入等 よる変異の存在を検出することができる。

 具体的には、まず、MGAT2遺伝子領域を含むDN AをPCR法等によって増幅する。増幅される範 としては、通常200~400bp程度の長さが好まし 。PCRは、当業者においては反応条件等を適 選択して行うことができる。PCRの際に、 32 P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオ ン等によって標識したプライマーを用いる とにより、増幅DNA産物を標識することがで る。あるいはPCR反応液に 32 P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオ ン等によって標識された基質塩基を加えてPC Rを行うことにより、増幅DNA産物を標識する とも可能である。さらに、PCR反応後にクレ ウ酵素等を用いて、 32 P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオ ン等によって標識された基質塩基を、増幅DN A断片に付加することによっても標識を行う とができる。こうして得られた標識DNA断片 、熱を加えること等により変性させ、尿素 どの変性剤を含まないポリアクリルアミド ルによって電気泳動を行う。この際、ポリ クリルアミドゲルに適量(5~10%程度)のグリセ ールを添加することにより、DNA断片の分離 条件を改善することができる。また、泳動 件は各DNA断片の性質により変動するが、通 、室温(20~25℃)で行い、好ましい分離が得ら れないときには4~30℃までの温度で最適の移 度を与える温度の検討を行う。電気泳動後 DNA断片の移動度を、X線フィルムを用いたオ トラジオグラフィーや、蛍光を検出するス ャナー等で検出し、解析を行う。移動度に があるバンドが検出された場合、このバン を直接ゲルから切り出し、PCRによって再度 幅し、それを直接シークエンシングするこ により、変異の存在を確認することができ 。また、標識したDNAを使わない場合におい も、電気泳動後のゲルをエチジウムブロマ ドや銀染色法などによって染色することに って、バンドを検出することができる。

 さらに別の方法においては、まず、被検 からDNA試料を調製する。次いで、MGAT2遺伝 領域を含むDNAを増幅する。さらに、増幅し DNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル で分離する。次いで、分離したDNAのゲル上 の移動度を対照と比較する。このような方 としては、例えば、変性剤濃度勾配ゲル(dena turant gradient gel electrophoresis:DGGE法)等を例示 ることができる。DGGE法は、変性剤の濃度勾 配のあるポリアクリルアミドゲル中で、DNA断 片の混合物を泳動し、それぞれの不安定性の 違いによってDNA断片を分離する方法である。 ミスマッチのある不安定なDNA断片が、ゲル中 のある変性剤濃度の部分まで移動すると、ミ スマッチ周辺のDNA配列はその不安定さのため に、部分的に1本鎖へと解離する。この部分 に解離したDNA断片の移動度は、非常に遅く り、解離部分のない完全な二本鎖DNAの移動 と差がつくことから、両者を分離すること できる。具体的には、MGAT2遺伝子領域を含む DNAを本発明のプライマー等を用いたPCR法等に よって増幅し、これを尿素などの変性剤の濃 度が移動するに従って徐々に高くなっている ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、対 照と比較する。変異が存在するDNA断片の場合 、より低い変性剤濃度位置でDNA断片が一本鎖 になり、極端に移動速度が遅くなるため、こ の移動度の差を検出することにより変異の有 無を検出することができる。

 さらに別の方法においては、まず、被検 から調製したMGAT2遺伝子領域を含むDNA、お び、当該DNAにハイブリダイズするヌクレオ ドプローブが固定された基板、を提供する 本発明において「基板」とは、ヌクレオチ プローブを固定することが可能な板状の材 を意味する。本発明においてヌクレオチド は、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオ ドが含まれる。本発明の基板は、ヌクレオ ドプローブを固定することができれば特に 限はないが、一般にDNAアレイ技術で使用さ る基板を好適に用いることができる。一般 DNAアレイは、高密度に基板にプリントされ 何千ものヌクレオチドで構成されている。 常これらのDNAは非透過性(non-porous)の基板の 層にプリントされる。基板の表層は、一般 にはガラスであるが、透過性(porous)の膜、例 えばニトロセルロースメンブレムを使用する ことができる。

 本発明において、ヌクレオチドの固定(ア レイ)方法として、アフィメトリクス(Affymetrix )社製のオリゴヌクレオチドを基本としたア イが例示できる。オリゴヌクレオチドのア イにおいて、オリゴヌクレオチドは通常in s ituで合成される。例えば、photolithographicの技 (アフィメトリクス社)、および化学物質を 定させるためのインクジェット(ロゼッタイ ファーマティクス(Rosetta Inpharmatics)社)技術 によるオリゴヌクレオチドのインサイチュ 成法が既に知られており、いずれの技術も 発明の基板の作製に利用することができる

 基板に固定するヌクレオチドプローブは MGAT2遺伝子領域の変異を検出することがで るものであれば、特に制限されない。即ち 該プローブは、例えば、MGAT2遺伝子領域を含 むDNAにハイブリダイズするようなプローブで ある。特異的なハイブリダイズが可能であれ ば、ヌクレオチドプローブは、当該遺伝子領 域を含むDNAに対し、完全に相補的である必要 はない。本発明において基板に結合させるヌ クレオチドプローブの長さは、オリゴヌクレ オチドを固定する場合は、通常10~100bpであり 好ましくは10~50bpであり、さらに好ましくは 15~25bpである。

 本方法においては、次いで、MGAT2遺伝子 域を含むDNAと基板を接触させる。この過程 より、上記ヌクレオチドプローブに対し、DN Aをハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼ ションの反応液および反応条件は、基板に 定するヌクレオチドプローブの長さ等の諸 因により変動しうるが、一般的に当業者に 知の方法により行うことができる。

 本方法においては、次いで、MGAT2遺伝子 域を含むDNAと当該基板に固定されたヌクレ チドプローブとのハイブリダイズの強度を 出する。この検出は、例えば、蛍光シグナ をスキャナー等によって読み取ることによ て行うことができる。尚、DNAアレイにおい は、一般的にスライドガラスに固定したDNA プローブといい、一方溶液中のラベルしたDN Aをターゲットという。従って、基板に固定 れた上記ヌクレオチドを、本明細書におい ヌクレオチドプローブと記載する。本方法 おいては、さらに、検出したハイブリダイ の強度を対照と比較する。

 上記の方法以外にも、特定位置の変異の を検出する目的にはアレル特異的オリゴヌ レオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイ リダイゼーション法が利用できる。変異が 在すると考えられる塩基配列を含むオリゴ クレオチドを作製し、これとDNAでハイブリ イゼーションを行わせると、変異が存在す 場合、ハイブリッド形成の効率が低下する それをサザンブロット法や、特殊な蛍光試 がハイブリッドのギャップにインターカレ ションすることにより消光する性質を利用 た方法等により検出することができる。

 また、本発明においては、MALDI-TOF/MS法、T aqMan PCR法、Invader法、Pyrosequencing法、AcycloPrime 法、SNuPE法等も使用することができる。

 本発明の検査方法による検査の結果、MGAT 2の発現が正常組織又は正常細胞と比較して 加している、あるいはMGAT2の活性が正常組織 又は正常細胞と比較して上昇している場合に は、肥満、高脂血症(高コレステロール血症 高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロ ル血症、高トリグリセリド血症)、高インス ン血症、2型糖尿病、動脈硬化等の脂質過多 に起因する疾患と診断することができる。一 方、MGAT2の発現が正常組織又は正常細胞と比 して減少している、あるいはMGAT2の活性が 常組織又は正常細胞と比較して低下してい 場合には、無(低)βリポ蛋白血症、アポ蛋白B 異常症、Anderson病、Tangier病、アポA-I欠損(変 体)症、慢性肝炎、甲状腺機能亢進症等の脂 欠如に起因する疾患と診断することができ 。

 以下、実施例に基づいて本発明をより具 的に説明するが、本発明は、以下の実施例 限定されるものではない。

 (実施例1)
MGAT2欠損マウスの作製
 インビボでのMGAT2の生理的機能を調べるた 、以下の手順でMGAT2欠損マウスを作製した。

 マウスMGAT2は6つのエキソンよりなる。こ うち、エキソン3、4及び5を含む領域をloxP配 列で挟み、cre酵素活性によってコンディショ ナルに除くことができるよう、図1に示すと り、ターゲティングベクターをデザインし 。5'側のアーム(2.5kb)とエキソン3、4及び5を む1.6kbの部位はマウスBACクローン(インビト ジェン社)を鋳型として用い、PCRで増幅する とにより調製した。

 ここで、5'側のアームの調製に用いたPCR用 ライマーの塩基配列は下記のとおりである
SAF2Mlu:5'-ACGCGTGAGGGAAAGTCTTTCTGAGGCATCTCCTC-3'(配列番 5)
SAR1Mlu:5'-ACGCGTCCACAGAGATGGGTGCTGTGTGGGACAGTGGG-3'(配列 号6)
 また、エキソン3、4及び5を含むアームの調 に用いたPCR用プライマーの塩基配列は下記 とおりである。
LTF1Mro:5'-TCCGGAATACTCAGGATTATGAACATCTTGAGACTCAGAGGC-3'(配 列番号7)
LTR1Mro:5'-TCCGGATCTCCGCTCACCTATGGTGGTGATGGGC-3'(配列番 8)
 エキソン3、4及び5を含む部位にloxPサイトを 隣接させるため、まずPCRによって得られたエ キソン3、4及び5を含む1.6kbの核酸断片をmodifie d ploxP30NeopA(クラボウ社)のSmaIサイトにサブク ローニングした。次に、このプラスミドをXho Iで処理し、得られた核酸断片をターゲティ グベクターのSalIサイトに導入した。

 また、PCRによって得られた5'側の2.5kbの核 酸断片はターゲティングベクターのMluIサイ に導入した。

 さらに、3'側のアームを調製するため、XhoI 理をした12kbのBAC由来核酸断片(エキソン6を む)のうち3.5kbのXhoI-MluI核酸断片と上記1.6kb 核酸断片とを置換した。ここで、1.6kbの核酸 断片をクローニングするのに用いたPCR用プラ イマーの核酸配列は下記のとおりである。
LAF2MluBgl:5'-ACGCGTAGATCTGGATCAGGAATAGGGCCTGAGCTAGATGC-3'( 列番号9)
LAR2:5'-AGGTAGAAGCAGTACTCGGTTCACACATCACC-3'(配列番号10)
 こうして得られた8.9kbの3'側の核酸断片をBgl IIによって処理し、ターゲティングベクター BglIIサイトに導入した。

 得られたターゲティングベクターはNotI処 理により直線化し、エレクトロポレーション によりv6.5ES細胞に導入した。

 次に、相同組換え体を同定するため、ネ マイシン耐性を示したES細胞をスクリーニ グし、PCR法により相同組換えが生じたこと 確認できたクローンを選択した。次に、相 組換え体ES細胞クローンをC57BL/6Jを胚盤胞に 入し、偽妊娠マウスに移植した。キメラの マウスをC57BL/6Nマウスと交配させたところ 生殖系列への伝達を示したマウスを得るこ ができた。

 Mgat2ノックアウトマウス(-/-)を得るため、 TgEIIa-creトランスジェニックマウス(ジャクソ ラボラトリー社)とMgat2 lox(ex3,4,5)/lox(ex3,4,5) ウスとを交配した。全てのマウスは12時間 明暗サイクルの標準的な環境下で飼育し、 料は標準的なげっ歯類固形試料であるCE-2(ク レア社)を適宜与えた。

 (実施例2)
MGAT2欠損マウスにおけるMGAT2の発
 MGAT2欠損マウスにおけるMGAT2の小腸、脂肪組 織でのmRNA、タンパク質の発現を確認するた 、下記の試験を行った。

 まず、小腸粘膜、脂肪組織より、RNeasy kit( アゲン社)を用いてmRNAを調製し、Superscript I II(インビトロジェン社)によりcDNAを合成後、 記のプローブを用いたTaqMan PCR法により測 した。
TaqManプローブ:CCATCACCACCATAGTG(配列番号11)
FWプライマー:CATGCCCTTCCGCCAG(配列番号12)
RVプライマー:ATCTGCACCTCGATGGGCT(配列番号13)
 図2にMGAT2欠損マウスの小腸におけるMGAT2mRNA 発現を検討した結果を、図3にMGAT2欠損マウ の脂肪組織におけるmRNAの発現を検討した結 果を示した。いずれの結果も、それぞれ野生 型、ヘテロ接合性及びホモ接合性マウスのデ ータの平均値±標準誤差(SE)として表した(n=5) MGAT2ホモ欠損マウスでは、小腸、脂肪組織 もにMGAT2のmRNA発現がほぼ完全に消失してい 。また、MGAT2ヘテロ欠損マウスでは、中間的 な発現を示し、その発現は小腸で野生型の60% 、脂肪組織では野生型の19%であった。これら のデータはいずれも有意差があり、図2では 生型マウスに対し有意差を示し(p<0.001)、 3では野生型マウスに対して有意差を示した( ホモ:p<0.001、ヘテロ:p<0.05)。

 また、MGAT2欠損マウスにおけるタンパク の発現を確認するため、下記の試験を行っ 。

 まず、小腸及び脂肪組織の膜画分をSDSポ アクリルアミドゲル電気泳動で分離後、PVDF 膜に転写し、ウエスタンブロット法に供する 試料とした。ウエスタンブロット法に使用す る抗体は、マウスMGAT2の一部に相当するペプ ド(IIVGGAQEALDARPG:配列番号14)をウサギに免疫 、定法により調製し、抗マウスMGAT2ウサギポ リクローナル抗体を得た。前述のPVDF膜と抗 ウスMGAT2抗体を用いてウエスタンブロットを 行い、検出されたバンドを、LAS3000ルミノイ ージアナライザーにより定量した。

 図4に示すとおり、MGAT2欠損マウスにおけ MGAT2タンパク質の発現も小腸でほぼ完全に 失していた。また脂肪組織でも同様にMGAT2タ ンパク質の発現がほぼ消失していた。また、 ウエスタンブロット法により検出されたバン ドを、LAS3000ルミノイメージアナライザーに り定量した結果、図5に示すとおり、MGAT2ヘ ロ欠損マウスの小腸ではMGAT2は野生型のほぼ 1/2の発現量であった(p<0.001、n=5)。

 以上より、MGAT2欠損マウスにおいて、ホ 欠損マウスではMGAT2の発現がmRNA及びタンパ 質レベルで完全に抑制されていることが確 された。また、ヘテロ欠損マウスにおいて MGAT2はホモ欠損マウスと野生型マウスの中間 的な発現を示し、MGAT2遺伝子のターゲティン により、期待した遺伝子欠損マウスが得ら たことが確認できた。

 (実施例3)
MGAT2欠損マウスにおけるMGAT2の活
 MGAT2欠損マウスにおけるMGATの活性を確認す ため、下記の手順で、小腸粘膜ミクロソー 画分のMGAT活性を検討した。

 まず、100mM Tris-HCl (pH7.5)、200mM sucrose、5mM  MgCl 2 、1mg/ml BSA、200μM monoolein/1000μM phosphatidylchol ine、25uM [ 14 C]-oleoyl-CoAを反応溶液とし、総量で100μlにな ように小腸粘膜のミクロソーム画分を加え 37℃、20分間インキュベートすることにより 酵素反応を進行させた。その後、反応液に1 00μlの2-プロパノール/ヘプタン/水(80/20/2)を加 え、反応を停止した。さらに200μlのヘプタン を加え、攪拌した後遠心し、そのヘプタン層 を薄層クロマトグラフィー(シリカゲル60:メ ク社)により分離した。得られた薄層クロマ グラフィーにおけるジグリセリド、トリグ セリド画分の放射活性を測定し、MGAT活性と した。

 図6に示すとおり、小腸におけるMGAT活性 MGAT2欠損マウスでは野生型マウスの約5%に減 しており、MGAT2ヘテロ欠損マウスではWTの70% であった(p<0.001、n=5)。

 以上より、MGAT2欠損マウスにおいて、ホ 欠損マウスでは小腸のMGAT活性がほぼ完全に 制されていることが確認された。また、ヘ ロ欠損マウスにおいてもMGATはホモ欠損マウ スと野生型マウスの中間的な活性を示し、MGA T2遺伝子のターゲティングにより、期待した 伝子欠損マウスが得られたことが確認でき 。

 (実施例4)
MGAT2欠損マウスの一般症状の解析
 MGAT2のインビボにおける生理機能を調べる め、MGAT2欠損マウスの表現型の解析を行った 。

 まず、MGAT2欠損マウスは、ヘテロ接合性 びホモ接合性マウスともは生存可能であっ 。また、MGAT2欠損マウスの一般症状の観察と 自発運動量の測定を行った。検討の条件と項 目は下記のとおりである。

 野生型、MGAT2ヘテロ欠損マウス及びMGAT2ホモ 欠損マウスは雌雄それぞれN=8(雌ホモのみN=5) し、週齢は9~11週のものを用いた。
体重
 雄:野生型:27.3±0.4g、ヘテロ:27.0±0.2g、ホモ:2 5.9±0.9g
 雌:野生型:21.9±0.9g、ヘテロ:21.6±0.4g、ホモ:2 1.6±0.6g
観察項目
 中枢神経症状(常同、身づくろい、攻撃性、 発声)
 中枢興奮(挙尾、振戦、痙攣)
 運動機能(探索行動、よろめき歩調、体姿勢 、驚き・触覚・痛覚反応)
 筋緊張(握力、躯体緊張)
 反射(角膜反射、立ち直り反射)
 自律神経症状(立毛、苦悶反応、眼烈、眼球 突出、皮膚色、呼吸数、排尿、排便、流涙、 流涎、体温)
 その他(外観、毛並み、体重等)
自発運動量
 測定期間(7日間)中の総活動量
 明暗サイクルに同調した活動量の日内変動
 測定開始から4時間後までの新規環境におけ る馴化パターン
 上記項目を観察した結果、野生型、MGAT2へ ロ欠損マウス及びMGAT2ホモ欠損マウス間で結 果に違いは見られなかった。また、組織病理 学解析においても差は認められなかった。

 (実施例5)
MGAT2欠損マウスにおける中性脂肪( TG)の吸収の解析
 MGAT2は小腸における脂肪吸収に関与してい と考えられていることから、MGAT2欠損マウス の中性脂肪吸収を検討した。

 まず、11~12週齢の雄性MGAT2ホモ欠損マウス 、ヘテロ欠損マウス及び野生型マウスを16時 絶食後、10ml/kgのコーン油を経口投与した。 投与1、2及び3時間後に、尾静脈より血液を採 取し、血漿中のTGを、デターミナーL TG IIキ ト(協和メデックス)を用いて測定した。

 図7及び図8に示すとおり、MGAT2欠損マウス ではコーン油投与による血漿中TGの上昇が約7 9%抑制されていた(p<0.05、n=5~8)。一方、MGAT2 テロ欠損マウスでは顕著な変化は認められ かった。これらの結果から、MGAT2が小腸で 脂質吸収に関与し、MGAT2阻害剤が脂質吸収抑 制作用を持つ可能性が示唆された。

 (実施例6)
MGAT2欠損マウスにおける体重、体 肪率及び摂食量の解析
 MGAT2が体重に及ぼす影響を検討するため、MG AT2欠損マウスの体重測定を行った。

 13~14週齢の雄性MGAT2ホモ欠損マウス及び野 生型マウスを用いて体重の比較を行ったとこ ろ、MGAT2ホモ欠損マウスの体重が野生型マウ と比較して8%有意に低下していた。

 また、同じマウスについてNMR法(ミニスペ ックアナライザー:ブルカー社)により体脂肪 を測定したところ、MGAT2ホモ欠損マウスは 生型マウスと比較して30%有意に体脂肪率の 下が見られた。しかし、除脂肪体重率は変 が見られず、MGAT2ホモ欠損マウスで見られた 体重の減少は、体脂肪量の減少によるもので あることが確認された。なお、MGAT2へテロ欠 マウスにおいては、体重及び体脂肪率とも 生型マウスと比較して変化は見られなかっ 。

 また、MGAT2ホモ欠損マウス及び野生型マ スについて摂食量を測定したところ、これ のマウスの間で差は見られなかった。

 以上より、MGAT2ホモ欠損マウスで見られ 体重及び体脂肪の減少は摂食抑制によるも ではなく、MGAT2の欠損によって生じた生体内 の脂質の代謝異常に起因する現象であること が明らかとなった。

 (実施例7)
MGAT2欠損マウスにおける血中パラ ーターの解析
 MGAT2が及ぼす各種血中パラメーターへの影 を検討するため、17-18週齢の雄性MGAT2欠損マ ス及び野生型マウスの以下の項目について 測定を行った。なお、カッコ内は使用した ットを示す。

 血漿グルコース(デターミナーGL Eキット:協 和メディクス社)
 血漿TG(デターミナーL TG IIキット:協和メデ ィクス社)
 総コレステロール(デターミナーL TCキット: 協和メディクス社)
 遊離脂肪酸(NEFA-HA TEST WAKO:和光純薬工業社)
 その結果、MGAT2ホモ欠損マウスでは、野生 マウスと比較して、血漿TGが52%、総コレステ ロールが29%、血漿グルコースが20%有意に低下 していた。また、血中の遊離脂肪酸が27%、肝 臓中TGが36%低下傾向を示した。

 以上より、MGAT2欠損マウスでは、体重、 脂肪の減少のみならず、血糖、血中TG、血中 コレステロールの低下が認められた。すなわ ち、MGAT2が生体内で脂質代謝の制御に大きな きをしており、MGAT2が欠損することによりTG の合成が抑制される方向に働くことが見出さ れた。これは、MGAT2の阻害が肥満、糖尿病、 脂血症、脂肪肝等のメタボリックシンドロ ムの改善に有用であることが示されたのみ らず、MGAT2の機能増強が、低脂肪等を起因 する疾患に有用であることが示された。

 (実施例8)
高脂肪食負荷を行ったMGAT2欠損マ スの表現形解析
 次に、MGAT2ホモ欠損マウス及び野生型マウ に、60%脂肪を含有した高脂肪食負荷を行い その表現形の解析を行った。

 高脂肪食4週負荷後の体重は、MGAT2ホモ欠 マウスでは野生型マウスに比べ20%有意に低 した。またNMR法により体脂肪量を測定した 果、高脂肪食4週負荷後の体脂肪量はMGAT2ホ 欠損マウスにおいて、野生型マウスと比べ5 2%有意に減少し、高脂肪食誘導の肥満に対し 抗性を示すことが明らかとなった。

 一方、除脂肪体重には変化はなく、MGAT2 モ欠損マウスに見られた体重の減少は、体 肪の減少と考えられた。MGAT2ヘテロ欠損マウ スでは、野生型と比較して、体重及び体脂肪 量には有意な差は認められなかった。

 次に、高脂肪食負荷MGAT2ホモ欠損マウス び野生型マウスの血中パラメーターを測定 た。その結果、高脂肪食4週負荷後のMGAT2ホ 欠損マウスでは、野生型マウスと比較し、 コレステロール及びインスリン値が、それ れ38%及び61%有意に低下し、中性脂肪及び遊 脂肪酸が、それぞれ44%及び18%低下傾向を示 た。

 さらに、高脂肪食6週負荷後の肝臓中及び 小腸粘膜の中性脂肪量を測定した結果、MGAT2 モ欠損マウスでは、野生型マウスに比べ、5 8%、59%有意に低下した。

 これらの結果から、MGAT2ホモ欠損マウス 、高脂肪食誘導の肥満、高脂血症、高イン リン血症、2型糖尿病、脂肪肝に対し耐性を し、MGAT2阻害剤が、これらの疾患の治療に 効であることが示された。

 以上説明したように、本発明の遺伝子改 非ヒト哺乳動物は、脂質の代謝経路、特にT Gの合成経路の異常に起因する疾患のモデル 物として有用であり、当該疾患を予防又治 するための薬剤のスクリーニングにも利用 きる。さらに、上記知見より、MGAT2阻害剤及 び増強剤が脂質の代謝異常に起因する疾患に 有効であることが明らかとなった。すなわち 、本発明は、MGAT2の活性又は発現を指標とす MGAT2阻害剤及び増強剤のスクリーニング方 を提供する。また、MGAT2の発現及び活性が脂 質代謝異常に起因する疾患の指標となること から、MGAT2の発現又は活性を指標とした当該 患を検査することが可能となる。

MGAT2欠損マウスの作製に用いたターゲ ィングベクターの構造を示す図である。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスについて小腸における MGAT2のmRNAの発現量を比較した結果を示す図で ある。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスについて脂肪組織にお けるMGAT2のmRNAの発現量を比較した結果を示す 図である。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスについて小腸における MGAT2のタンパク質の発現量をウエスタンブロ ト法により比較した結果を示す図である。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスについて小腸における MGAT2のタンパク質の発現量を比較した結果を す図である。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスについて小腸における MGAT2の活性を比較した結果を示す図である。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスにコーン油を投与した 際の血漿中TGの変化を経時的に比較した結果 示す図である。図中、■は野生型マウスの 果を示し、▲はMGAT2へテロ欠損マウスの結 を示し、▼はMGAT2ホモ欠損マウスの結果を示 す。 MGAT2ホモ欠損マウス、MGAT2へテロ欠損マ ウス及び野生型マウスにコーン油を投与した 際の血漿中TG量を比較した結果を示す図であ 。